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技術 粒状綿およびそれを用いた中綿材料、並びにその中綿材料を含む寝装品または衣料品

出願人 ダイワボウホールディングス株式会社ダイワボウノイ株式会社ダイワボウポリテック株式会社
発明者 山田雅彦小出友哉岡屋洋志
出願日 2014年2月21日 (6年10ヶ月経過) 出願番号 2014-031703
公開日 2015年8月27日 (5年4ヶ月経過) 公開番号 2015-155586
状態 特許登録済
技術分野 不織物 詰物、皮張りされた物品及びその製法
主要キーワード 円筒状内面 中綿材 ポリエステル系エラストマー樹脂 偏心率 かさ高性 融点複合繊維 圧縮弾性 エラストマー系樹脂
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年8月27日)のものです。
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図面 (5)

課題

嵩高性圧縮した後の嵩回復性、および保温性の高い粒状綿ならびに中綿材料を提供する。

解決手段

本発明は繊維を交絡させた粒状綿であり、前記粒状綿は、熱可塑性弾性樹脂を60質量%以上含む第一成分と、第二成分からなる弾性複合繊維と、融点が140℃以上の熱可塑性樹脂からなる高融点繊維を含み、前記粒状綿は、前記弾性複合繊維を10質量%以上、90質量%以下含み、前記粒状綿は、前記高融点繊維を10質量%以上、90質量%以下含み、前記弾性複合繊維の断面において、前記第一成分は、繊維表面の少なくとも20%を占めており、前記粒状綿において、粒状綿を構成する繊維同士が実質的に接着されていない、粒状綿。

概要

背景

従来から、寝装品衣料品に使用する中綿材料として天然繊維合成繊維を使用した中綿材料が種々提案されている。中綿材料に使用される天然の繊維には、動物由来の繊維と植物由来の繊維がある。中綿材料に使用されている動物由来の繊維としては、水鳥を始めとする鳥類から採取される羽毛ダウン)、羽根フェザー)の他、羊毛ウール)などが使用されている。しかし、動物由来の繊維は動物保護の観点、資源保護の観点から、捕獲や採取に関する規制が厳しくなった結果、生産量が減少しているだけでなく、供給量が不安定になっている。加えて、使用者体質によってはアレルギーの原因となる可能性も指摘されている。

また、中綿材料に使用される植物系の天然繊維として、コットン木綿)が古くから使用されている。コットンは供給が安定しており、アレルギーの原因となる可能性は低いものの保温性が十分でないことがある。従って、中綿材料としてコットンを使用する場合、保温性を高めるためにコットンの使用量が増やすために重量が増加し、使用者が重く感じることがある。また、コットンを始めとする植物由来の天然繊維は、セルロースを主成分とするため、水洗いといった、一般家庭で可能な方法で洗浄すると、構成繊維が水を大量に吸収する。その結果、再度使用できるようになるまで時間がかかるということも指摘されている。

そこで、天然繊維を使用した中綿材料に替わる素材として合成繊維を使用した中綿材料が提案されている。合成繊維は供給量が安定しているだけでなく、比重が軽く、吸水性が低いものが多いため、使用時の軽量感に優れており、中綿材料として充分な量を使用することで、高い保温性を発揮する。加えて、天然の繊維と比較して耐薬品性耐水性富むことから、取扱いが容易である。合成繊維を中綿材料として使用する場合、合成繊維を開繊し、そのまま寝装品や衣料品に充填して使用するほか、構成繊維間接着して中綿材料として使用する方法や不織布にした後、その不織布を適当な大きさに裁断して使用する方法(特許文献1)や、不織布を粉砕して使用する方法(特許文献2)などが提案されている。また、合成繊維を主な構成繊維とし、これを粒状になるように集合させた粒状綿粒綿ファイバーボール玉状綿とも称される)も合成繊維を使用した中綿材料の一形態として提案されている。

粒状綿は、繊維が粒状にまとまっているため、合成繊維を開繊し、充填しただけの中綿材料に比べて工程性嵩高性嵩回復性の面から有利である。また、合成繊維を一旦不織布とし、それを裁断したり、粉砕したりする中綿材料よりも工程が単純で生産性に優れていると考えられる。合成繊維を用いた粒状綿として、ポリエステル繊維を使用した粒状綿や、熱接着繊維を使用し、構成繊維間の一部を熱接着させた粒状綿(特許文献3)が知られている。しかし、ポリエステル繊維を使用した粒状綿では、嵩の大きな中綿材料となるが、繊維の反発性が強すぎるため、粒状綿が大幅に疎な構造になることがある。この構造では空気の通過する部分が多く、また通過する部分が広くなる。その結果、わずかな空気の流れが生じただけで粒状綿内の空気が移動しやすくなり、粒状綿内の空気の入れ替わり激しくなることから、保温性が低下することがある。また、ポリエステル繊維を含む粒状綿は、反発力が大きいが、ポリエステル繊維のみを粒状綿にした場合、繊維の反発力が大きいことから繊維が粒状にまとまりにくく、粒状綿の表面から複数本の繊維が飛び出しているような状態になりやすい。粒状綿において、その表面から飛び出す構成繊維が多くなると、粒状綿同士の交絡性が高くなりすぎることで、粒状綿を中綿材料として充填する際に生産性が低下するおそれがある。

粒状綿の構成繊維として、熱接着性繊維を使用し、繊維を粒状にした後、加熱処理を行い、構成繊維間を熱接着させた粒状綿も提案されている。このような粒状綿では、構成繊維間が熱接着されているため、粒状綿から飛び出す構成繊維の本数が少なくなり、粒状綿同士の交絡性が適度なものとなりやすい。このような粒状綿は充填性といった生産性が高いと考えられる。加えて、構成繊維間を熱接着しており、粒状の形状が維持されやすいと考えられる。しかし、構成繊維間を熱接着させるため、粒状綿の直径が小さくなりやすく、充填したときの嵩高性が十分でないおそれがある。加えて構成繊維間を熱接着することで、繊維間の微細な空隙が熱接着によりふさがれてしまい、保温性が低下するおそれが指摘されている。以上のように、合成繊維を主体とし、繊維を粒状にした粒状綿は、その嵩高性、嵩回復性、そして中綿材料として使用したときの保温性について更なる改良の余地があった。

概要

嵩高性、圧縮した後の嵩回復性、および保温性の高い粒状綿ならびに中綿材料を提供する。本発明は繊維を交絡させた粒状綿であり、前記粒状綿は、熱可塑性弾性樹脂を60質量%以上含む第一成分と、第二成分からなる弾性複合繊維と、融点が140℃以上の熱可塑性樹脂からなる高融点繊維を含み、前記粒状綿は、前記弾性複合繊維を10質量%以上、90質量%以下含み、前記粒状綿は、前記高融点繊維を10質量%以上、90質量%以下含み、前記弾性複合繊維の断面において、前記第一成分は、繊維表面の少なくとも20%を占めており、前記粒状綿において、粒状綿を構成する繊維同士が実質的に接着されていない、粒状綿。

目的

本発明は、繊維を交絡させた粒状綿であり、
前記粒状綿は、熱可塑性弾性樹脂を60質量%以上含む第一成分と、第二成分からなる弾性複合繊維と、
融点が140℃以上の熱可塑性樹脂からなる高融点繊維を含み、
前記弾性複合繊維の断面において、前記第一成分は、繊維表面の少なくとも20%を占めており、
前記粒状綿は、前記弾性複合繊維を10質量%以上、90質量%以下、前記高融点繊維を10質量%以上、90質量%以下含み、
粒状綿を構成する繊維同士が実質的に接着されていない、粒状綿を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

繊維を交絡させた粒状綿であり、前記粒状綿は、熱可塑性弾性樹脂を60質量%以上含む第一成分と、第二成分からなる弾性複合繊維と、融点が140℃以上の熱可塑性樹脂からなる高融点繊維を含み、前記粒状綿は、前記弾性複合繊維を10質量%以上、90質量%以下含み、前記粒状綿は、前記高融点繊維を10質量%以上、90質量%以下含み、前記弾性複合繊維の断面において、前記第一成分は、繊維表面の少なくとも20%を占めており、前記粒状綿において、粒状綿を構成する繊維同士が実質的に接着されていない、粒状綿。

請求項2

前記高融点繊維が、実質的に1種類の熱可塑性樹脂からなる高融点単一繊維、および/または、融点が140℃以上の熱可塑性樹脂を2種類以上組みあわせた高融点複合繊維である請求項1に記載の粒状綿。

請求項3

前記高融点複合繊維が、2種類のポリエステル樹脂からなる複合繊維であり、前記2種類のポリエステル樹脂は、融点および/または極限粘度が互いに異なるポリエステル樹脂であり、前記ポリエステル繊維繊維断面において、2種類のポリエステル並列型に配置された並列型複合繊維である、請求項2に記載の粒状綿。

請求項4

前記高融点繊維の捲縮数が4個/25mm以上、30個/25mm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の粒状綿。

請求項5

前記高融点繊維が、繊維断面において、繊維の長さ方向に連続する中空部分を少なくとも1箇所以上有する中空繊維を含んでいる請求項1〜4のいずれかに記載の粒状綿。

請求項6

前記弾性複合繊維において前記熱可塑性弾性樹脂の曲げ弾性率が10MPa以上、600MPa以下であり、硬度が10以上、65以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の粒状綿。

請求項7

前記弾性複合繊維において、前記熱可塑性弾性樹脂がポリオレフィン樹脂であり、前記ポリオレフィン樹脂の融点が130℃未満である請求項1〜6のいずれかに記載の粒状綿。

請求項8

前記弾性複合繊維において、前記熱可塑性弾性樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンおよび/またはポリブテン−1である、請求項1〜7のいずれかに記載の粒状綿。

請求項9

前記弾性複合繊維において、前記熱可塑性弾性樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンであり、前記第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度は、0.88g/cm3以上、0.918g/cm3未満である、請求項1〜8のいずれかに記載の粒状綿。

請求項10

前記弾性複合繊維において、前記第一成分は、さらに低密度ポリエチレン(LDPE)を含み、前記低密度ポリエチレン(LDPE)の含有量は、前記直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と前記低密度ポリエチレン(LDPE)の合計質量に対して、5質量%以上、25質量%以下である、請求項9に記載の粒状綿。

請求項11

前記弾性複合繊維において、前記第一成分の密度が0.88g/cm3以上、0.918g/cm3未満である、請求項9または10に記載の粒状綿。

請求項12

前記弾性複合繊維において、前記第一成分が、密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を少なくとも2種類含む、請求項9〜11のいずれかに記載の粒状綿。

請求項13

前記第一成分は、密度が0.908g/cm3以上、0.94g/cm3以下である第一の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE1)と、密度が0.85g/cm3以上、0.908g/cm3未満である第二の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE2)とを含み、前記第一成分の全質量を100質量%としたとき、LLDPE1が3質量%以上、92質量%以下の割合で含まれ、LLDPE2が3質量%以上、92質量%以下の割合で含まれ、LLDPE1とLLDPE2の合計が75質量%以上、95質量%以下である、請求項12に記載の粒状綿。

請求項14

請求項1〜13のいずれかに記載の粒状綿を20質量%以上含む中綿材料。

請求項15

請求項14に記載の中綿材料を含む寝装品

請求項16

請求項14に記載の中綿材料を含む衣料品

技術分野

0001

本発明は、優れた嵩高性嵩回復性を有し、優れた保温性を発揮し、工程性に優れた粒状綿、およびそれを用いた中綿材料、並びにその中綿材料を含む寝装品または衣料品に関する。

背景技術

0002

従来から、寝装品や衣料品に使用する中綿材料として天然繊維合成繊維を使用した中綿材料が種々提案されている。中綿材料に使用される天然の繊維には、動物由来の繊維と植物由来の繊維がある。中綿材料に使用されている動物由来の繊維としては、水鳥を始めとする鳥類から採取される羽毛ダウン)、羽根フェザー)の他、羊毛ウール)などが使用されている。しかし、動物由来の繊維は動物保護の観点、資源保護の観点から、捕獲や採取に関する規制が厳しくなった結果、生産量が減少しているだけでなく、供給量が不安定になっている。加えて、使用者体質によってはアレルギーの原因となる可能性も指摘されている。

0003

また、中綿材料に使用される植物系の天然繊維として、コットン木綿)が古くから使用されている。コットンは供給が安定しており、アレルギーの原因となる可能性は低いものの保温性が十分でないことがある。従って、中綿材料としてコットンを使用する場合、保温性を高めるためにコットンの使用量が増やすために重量が増加し、使用者が重く感じることがある。また、コットンを始めとする植物由来の天然繊維は、セルロースを主成分とするため、水洗いといった、一般家庭で可能な方法で洗浄すると、構成繊維が水を大量に吸収する。その結果、再度使用できるようになるまで時間がかかるということも指摘されている。

0004

そこで、天然繊維を使用した中綿材料に替わる素材として合成繊維を使用した中綿材料が提案されている。合成繊維は供給量が安定しているだけでなく、比重が軽く、吸水性が低いものが多いため、使用時の軽量感に優れており、中綿材料として充分な量を使用することで、高い保温性を発揮する。加えて、天然の繊維と比較して耐薬品性耐水性富むことから、取扱いが容易である。合成繊維を中綿材料として使用する場合、合成繊維を開繊し、そのまま寝装品や衣料品に充填して使用するほか、構成繊維間接着して中綿材料として使用する方法や不織布にした後、その不織布を適当な大きさに裁断して使用する方法(特許文献1)や、不織布を粉砕して使用する方法(特許文献2)などが提案されている。また、合成繊維を主な構成繊維とし、これを粒状になるように集合させた粒状綿(粒綿ファイバーボール玉状綿とも称される)も合成繊維を使用した中綿材料の一形態として提案されている。

0005

粒状綿は、繊維が粒状にまとまっているため、合成繊維を開繊し、充填しただけの中綿材料に比べて工程性や嵩高性、嵩回復性の面から有利である。また、合成繊維を一旦不織布とし、それを裁断したり、粉砕したりする中綿材料よりも工程が単純で生産性に優れていると考えられる。合成繊維を用いた粒状綿として、ポリエステル繊維を使用した粒状綿や、熱接着繊維を使用し、構成繊維間の一部を熱接着させた粒状綿(特許文献3)が知られている。しかし、ポリエステル繊維を使用した粒状綿では、嵩の大きな中綿材料となるが、繊維の反発性が強すぎるため、粒状綿が大幅に疎な構造になることがある。この構造では空気の通過する部分が多く、また通過する部分が広くなる。その結果、わずかな空気の流れが生じただけで粒状綿内の空気が移動しやすくなり、粒状綿内の空気の入れ替わり激しくなることから、保温性が低下することがある。また、ポリエステル繊維を含む粒状綿は、反発力が大きいが、ポリエステル繊維のみを粒状綿にした場合、繊維の反発力が大きいことから繊維が粒状にまとまりにくく、粒状綿の表面から複数本の繊維が飛び出しているような状態になりやすい。粒状綿において、その表面から飛び出す構成繊維が多くなると、粒状綿同士の交絡性が高くなりすぎることで、粒状綿を中綿材料として充填する際に生産性が低下するおそれがある。

0006

粒状綿の構成繊維として、熱接着性繊維を使用し、繊維を粒状にした後、加熱処理を行い、構成繊維間を熱接着させた粒状綿も提案されている。このような粒状綿では、構成繊維間が熱接着されているため、粒状綿から飛び出す構成繊維の本数が少なくなり、粒状綿同士の交絡性が適度なものとなりやすい。このような粒状綿は充填性といった生産性が高いと考えられる。加えて、構成繊維間を熱接着しており、粒状の形状が維持されやすいと考えられる。しかし、構成繊維間を熱接着させるため、粒状綿の直径が小さくなりやすく、充填したときの嵩高性が十分でないおそれがある。加えて構成繊維間を熱接着することで、繊維間の微細な空隙が熱接着によりふさがれてしまい、保温性が低下するおそれが指摘されている。以上のように、合成繊維を主体とし、繊維を粒状にした粒状綿は、その嵩高性、嵩回復性、そして中綿材料として使用したときの保温性について更なる改良の余地があった。

先行技術

0007

特開2002−138358号公報
特開2001−089962号公報
特開昭59−150153号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、合成繊維を主体とする粒状綿であって、上記のような、ポリエステル繊維など弾性の高い繊維からなる粒状綿や、構成繊維間を熱接着させた粒状綿などが有する課題を解決するだけでなく、優れた嵩高性、嵩回復性、保温性を示す粒状綿およびそれを用いた中綿材料、並びにその中綿材料を含む寝装品や衣料品の提供を目的としてなされたものである。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは鋭意研究の結果、粒状綿を構成する繊維として、熱可塑性弾性樹脂を含む樹脂成分が繊維表面の少なくとも一部を構成する弾性複合繊維を使用することに着目した。この弾性複合繊維は繊維表面の少なくとも一部を構成する第一成分として、熱可塑性弾性樹脂を含んでいる。繊維表面の少なくとも一部が軟質な熱可塑性弾性樹脂を含むことで、繊維そのものが柔軟になるだけでなく、繊維に与えられた変形が戻りやすくなる。このような弾性複合繊維は、繊維表面がエラストマーに近いものとなるため、繊維同士が絡みやすいため、粒状への成形性が容易であるだけでなく、粒状への成形後、熱処理をして構成繊維間を熱接着しなくてもその形状が維持されやすくなる。こうして得られた粒状綿は、生産性に優れ、粒状の形状が崩れにくいだけでなく、構成繊維間を熱接着していないため微小繊維間空隙を多く有することで保温性に富むだけでなく、柔軟性、嵩高性、嵩回復性に優れた粒状綿となり、寝装品や衣料品に使用する中綿材料として、最適な材料となることを見いだし、本発明を完成させた。

0010

すなわち、本発明は、繊維を交絡させた粒状綿であり、
前記粒状綿は、熱可塑性弾性樹脂を60質量%以上含む第一成分と、第二成分からなる弾性複合繊維と、
融点が140℃以上の熱可塑性樹脂からなる高融点繊維を含み、
前記弾性複合繊維の断面において、前記第一成分は、繊維表面の少なくとも20%を占めており、
前記粒状綿は、前記弾性複合繊維を10質量%以上、90質量%以下、前記高融点繊維を10質量%以上、90質量%以下含み、
粒状綿を構成する繊維同士が実質的に接着されていない、粒状綿を提供する。

発明の効果

0011

本発明の粒状綿は、繊維を交絡させた粒状綿であり、前記粒状綿には熱可塑性弾性樹脂を60質量%以上含む第一成分と、第二成分からなる弾性複合繊維と、融点が140℃以上の熱可塑性樹脂からなる高融点繊維が含まれる。前記粒状綿は、前記弾性複合繊維を10質量%以上、90質量%以下含み、前記高融点繊維を10質量%以上、90質量%以下含み、構成する繊維同士は実質的に接着されていない。このような粒状綿とすることで、適度な繊維間空隙を有することで高い保温性を示すだけでなく、嵩高性や嵩回復性に富み、粒状の形状が崩れにくい粒状綿、およびこれを用いた中綿材料、並びにその中綿材料を含む寝装品や衣料品を提供することができる。

図面の簡単な説明

0012

図1機械捲縮の形態を示す。
図2A〜Cは、本発明の粒状綿に含まれる弾性複合繊維の好ましい捲縮形態を示す。
図3は本発明の粒状綿に含まれる弾性複合繊維の別の好ましい捲縮形態を示す。
図4は本発明の粒状綿に含まれる弾性複合繊維の繊維断面を示す。

0013

本発明の粒状綿は、弾性複合繊維を含んでいる。まずは、本発明の粒状綿に含まれる弾性複合繊維について説明する。

0014

[弾性複合繊維]
本発明の粒状綿には、熱可塑性弾性樹脂を60質量%以上含む第一成分と、第二成分からなる弾性複合繊維が10質量%以上、90質量%以下含まれている。本発明でいう熱可塑性弾性樹脂とは、熱可塑性樹脂であって、曲げ弾性率が10MPa以上、600MPa以下および/または硬度が10以上、65以下である熱可塑性樹脂を指す。ここで、曲げ弾性率とは、JIS K 7171(2008年)に準じて測定される曲げ弾性率であり、硬度は、JIS K 7215(1986年)に準じ、タイプDデュロメータを用いて測定されるデュロメータ硬さ(HDD)を指す。前記曲げ弾性率および/または硬度の範囲を満たす熱可塑性樹脂が各種熱可塑性エラストマーではなくても柔軟で軟質な樹脂となり、このような樹脂を60質量%以上含む樹脂成分が繊維表面の少なくとも20%以上を構成することで、弾性複合繊維は適度な粘着性を示すと考えられる。前記曲げ弾性率の範囲、または前記硬度の範囲を満たす熱可塑性弾性樹脂として、各種ポリエチレン低密度ポリエチレン高密度ポリエチレン直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる)、ポリブテン−1といったポリオレフィン樹脂ポリブチレンサクシネートやそれを含む共重合を始めとするポリエステル樹脂ポリエステル系エラストマー樹脂ポリオレフィンエラストマー樹脂が挙げられる。前記熱可塑性弾性樹脂は曲げ弾性率が前記範囲を満たすものであってもよいし、または硬度が前記範囲を満たすものであってもよいが、好ましくは前記曲げ弾性率および硬度を満たす熱可塑性弾性樹脂であることが好ましい。

0015

前記熱可塑性弾性樹脂は、曲げ弾性率および/または硬度が前記範囲を満たせば特に限定されないが、融点が130℃未満のポリオレフィン樹脂であることが好ましい。融点が130℃未満のポリオレフィン樹脂であることで、前記弾性複合繊維の生産性に優れるだけでなく、得られる粒状綿の嵩高性、嵩回復性、および柔軟性のバランスがとれた粒状綿になりやすいためである。前記熱可塑性弾性樹脂として好ましい、融点が130℃未満のポリオレフィン樹脂として例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。この中でも、弾性複合繊維が柔軟な繊維になり、他の繊維との交絡性に富むといった観点から、熱可塑性弾性樹脂が直鎖状低密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリオレフィン系エラストマーであることが好ましく、弾性複合繊維の生産性を考慮すると直鎖状低密度ポリエチレンまたはポリブテン−1であることがより好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンであることが特に好ましい。

0016

本発明の粒状綿に含まれる弾性複合繊維は、第一成分と第二成分の体積比(第二成分/第一成分 以下、芯比とも称す)が80/20〜30/70であることが好ましい。より好ましくは70/30〜35/65、最も好ましくは60/40〜40/60である。第二成分は、主として粒状綿の嵩高性および嵩回復性に寄与し、第一成分は、主として粒状綿の柔軟性および他の繊維との交絡性や粒状綿の生産性に寄与する。弾性複合繊維の芯鞘比が80/20〜30/70であると、この弾性複合繊維を含む粒状綿は柔軟性と嵩高性および嵩回復性を両立することができる。芯鞘比は、第一成分が多くなりすぎると、柔軟な粒状綿になるが、嵩高性や嵩回復性が低下する傾向がある。一方、第二成分が多くなりすぎると、得られる粒状綿は初期嵩に優れるものの、弾性複合繊維は他の繊維との交絡性が欠けるため、粒状綿を形成しづらくなる傾向や、粒状綿に柔軟性がなく硬い触感の粒状綿になる傾向がある。

0017

本発明の粒状綿に含まれる弾性複合繊維においては、第二成分の重心位置は、繊維断面において、繊維の重心位置からずれていることが好ましい。図4に本発明の粒状綿に含まれる弾性複合繊維の繊維断面を示す。図4においては、第二成分(2)の周囲に第一成分(1)が配置され、第一成分(1)が繊維断面において弾性複合繊維(10)表面の少なくとも20%を占めている。繊維断面において、第二成分(2)の重心位置(3)は、繊維(10)の重心位置(4)からずれており、ずれの割合(以下、偏心率と記載する場合がある。)は、弾性複合繊維の繊維断面を電子顕微鏡などで拡大撮影し、繊維断面における第二成分(2)の重心位置(3)をC1とし、複合繊維(10)の繊維断面における繊維の重心位置(4)をCfとし、弾性複合繊維(10)の繊維断面の半径(5)をrfとしたとき、下記式で示す数値をいう。
偏心率(%)=[|Cf−C1|/rf]×100

0018

第二成分(2)の重心位置(3)が繊維の重心位置(4)からずれている繊維断面としては、図4に示す偏心芯鞘型(この場合、第一成分(1)が鞘成分であり、第二成分(2)が芯成分である)、あるいは並列型サイドバイサイド型)であることが好ましい形態であり、偏心芯鞘型がより好ましい形態である。場合によっては、多芯型であっても多芯部分が集合して繊維の重心位置からずれて存在しているものでも可能である。特に、偏心芯鞘型の繊維断面であると、容易に所望の波形状捲縮および/または螺旋状捲縮などの立体捲縮を発現するだけでなく、弾性複合繊維における表面の大部分が柔軟な熱可塑性弾性樹脂、例えば直鎖状低密度ポリエチレンで構成されるので、繊維同士が適度に絡まりやすくなり、粒状綿にしやすい。加えて繊維同士の交絡がある程度強くなるので、粒状綿にした後、構成繊維間を熱接着しなくても使用時に形が崩れにくくなる点で好ましい。弾性複合繊維が偏心芯鞘型の複合繊維である場合、弾性複合繊維の偏心率は、5%以上、50%以下であることが好ましい。より好ましい偏心率は、7%以上、30%以下である。また、第二成分の繊維断面における形態は、円形以外に、楕円形Y形X形井形多角形星形などの異形、あるいは中空形、ならびに異型断面と中空断面を組みあわせた断面形状であってもよい。

0019

図2に本発明の粒状綿に含まれる弾性複合繊維の捲縮形態を示す。本発明の粒状綿に含まれる弾性複合繊維は波形状捲縮または螺旋状捲縮から選ばれる少なくとも一つの立体捲縮を発現している立体捲縮性の複合繊維であることが好ましい。本発明でいう波形状捲縮とは、図2Aに示すような捲縮の山部が湾曲したものを示す。螺旋状捲縮とは、図2Bに示すような捲縮の山部が螺旋状に湾曲したものを示す。図2Cに示すような波形状捲縮と螺旋状捲縮とが混在した捲縮も本発明でいう立体捲縮が発現した顕在縮性複合繊維に含まれ得る。図1に示すような通常の機械捲縮の場合は、捲縮の山が鋭角である、いわゆる鋸歯状捲縮のままであると、粒状綿にしたときの嵩回復性が不足するおそれがある。また、図3に示すように機械捲縮の鋭角な捲縮と、図2Aに示す波形状捲縮が混在した捲縮も本発明でいう立体捲縮が発現した顕在捲縮性複合繊維に含まれ得る。本発明においては、波形状捲縮と螺旋状捲縮とを含めて、機械捲縮と区別して立体捲縮という。

0020

本発明の粒状綿に含まれる弾性複合繊維は、粒状綿への加工のしやすさ、粒状綿に含まれる高融点繊維、およびその他の繊維との交絡性、および得られる粒状綿の嵩高性や嵩回復性を考慮すると、捲縮数が8個/25mm以上、30個/25mm以下であることが好ましく、10個/25mm以上、28個/25mm以下であることがより好ましく、12個/25mm以上、24個/25mm以下であることが特に好ましい。また、本発明の粒状綿に含まれる弾性複合繊維は、JIS L 1015(2010年)に準じて捲縮数および捲縮率を測定したときに、捲縮率と捲縮数の比(捲縮率/捲縮数)が0.5以上、1.2以下であることが好ましく、0.7以上、1.0以下であることがより好ましい。捲縮率は、捲縮の固定性(捲縮の伸びにくさ)を示し、捲縮率/捲縮数が、上記範囲を満たすと、捲縮が伸びにくく、適度な大きさの波形および/または螺旋状捲縮を有するので、得られる粒状綿が良好な嵩高性と嵩回復性をしめすようになる。

0021

本発明の粒状綿に含まれる弾性複合繊維の繊度は特に限定されない。しかし、前記弾性複合繊維の繊度は2.2dtex以上、30dtex以下であると好ましく、3.3dtex以上、20dtex以下であるとより好ましく、5.6dtex以上、18dtex以下であると特に好ましく、6.7dtex以上、15dtex以下であると最も好ましい。弾性複合繊維の繊度が上記の繊度の範囲を満たすことで、本発明の粒状綿は生産性が良好であるだけでなく、得られる粒状綿および中綿材料が嵩高性、嵩回復性に優れるだけでなく、良好な保温性を有するものになる。

0022

本発明の粒状綿に含まれる弾性複合繊維の繊維長は特に限定されないが、15mm以上、72mm以下であることが好ましい。より好ましい弾性複合繊維の繊維長は20mm以上、64mm以下であり、24mm以上、48mm以下であることが特に好ましく、28mm以上、42mm以下であることが最も好ましい。弾性複合繊維の繊維長が上記繊維長の範囲を満たすことで、本発明の粒状綿は生産性が良好であるだけでなく、粒状綿を構成する繊維間の交絡性が高まり、使用時に粒状綿の形状が崩れにくくなる。

0023

以下、本発明の粒状綿を構成する弾性複合繊維において、第一成分が熱可塑性弾性樹脂として特に好ましい直鎖状低密度ポリエチレンを60質量%以上含んでいる弾性複合繊維について説明する。

0024

[第一成分]
弾性複合繊維を構成する第一成分は、少なくとも1種類の直鎖状低密度ポリエチレンを、第一成分の総質量を基準として、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、100質量%以下、より好ましくは75質量%以上、95質量%以下含んでいる。直鎖状低密度ポリエチレンの第一成分における含有量が60質量%以上であると、上記特性を有する弾性複合繊維を容易に得ることができる。60質量%未満であると、第一成分に占める直鎖状低密度ポリエチレンの割合が低下することで、直鎖状低密度ポリエチレンに起因する柔軟性を弾性複合繊維が示さなくなるおそれがある。その結果、そのような弾性複合繊維を含む粒状綿は、嵩高性や嵩回復性に乏しくなるおそれがあるほか、柔軟性に欠け、風合いが悪くなるおそれもある。

0025

また、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度は特に限定されないが、直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が0.88g/cm3以上、0.918g/cm3未満であると好ましい。直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が上記範囲を満たすとは、含まれる直鎖状低密度ポリエチレンが1種類であれば、その直鎖状低密度ポリエチレンの密度が上記範囲を満たすことを指し、第一成分に2種類以上の直鎖状低密度ポリエチレンを含む場合、各直鎖状低密度ポリエチレンの密度と、第一成分に含まれる全ての直鎖状低密度ポリエチレンの質量を100%としたときに、それぞれの直鎖状低密度ポリエチレンが占める割合から求められ得る。第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度は0.89g/cm3以上、0.917g/cm3以下であるとより好ましく、0.90g/cm3以上、0.917g/cm3以下であると特に好ましく、0.902g/cm3以上、0.916g/cm3以下であると最も好ましい。第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が0.88g/cm3以上、0.918g/cm3未満の範囲内であると、第一成分が可紡性を損なうことなく適度な弾性および柔軟性を持つようになり、弾性複合繊維がしなやかで、変形に対して、元の形に戻りやすい繊維となる。そのため、この弾性複合繊維を10質量%以上、90質量%以下含む粒状綿は嵩高性(初期嵩)に富み、優れた嵩回復性を示すことができる。加えて、直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が0.88g/cm3以上、0.918g/cm3未満の範囲内であると、第一成分の比重が小さくなるため、粒状綿が嵩のわりに軽量な粒状綿となる。

0026

しかしながら、前記第一成分において使用され得る直鎖状低密度ポリエチレンは、必ずしも低密度(一般に0.925g/cm3以下)のものに限られない。例えば、0.85g/cm3以上、0.945g/cm3、好ましくは0.89g/cm3以上、0.93g/cm3以下、より好ましくは0.90g/cm3以上、0.925g/cm3以下、特に好ましくは0.902g/cm3以上、0.920g/cm3のものも使用できる。第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.85g/cm3未満であると、紡糸時に糸切れ融着が多発して、いわゆる可紡性が低下するおそれがある。また、その場合、弾性複合繊維の第一成分が柔らかくなりすぎることで、この弾性複合繊維を含む粒状綿および中綿材料が十分な嵩高性および嵩回復性を示さなくなることがある。一方、直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.945g/cm3よりも大きくなると、この弾性複合繊維を含む粒状綿および中綿材料の柔軟性が低下し、全体が硬くなる傾向にある。その結果、長時間変形させたり、繰り返し圧縮させた際、その変形が残りやすくなると考えられ、使用に伴う嵩の減少、いわゆる“へたり”が大きくなる恐れがある。

0027

また、密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレンを2種以上組み合わせて使用して、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度を0.88g/cm3以上、0.918g/cm3未満の範囲内に調節してもよい。密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレンを2種以上組み合わせて使用することによって、得られる粒状綿および中綿材料の嵩回復性が更に高められると考えられるので好ましい。その理由として、密度や共重合物とその割合、分子量分布といった、諸物性が異なる2種類以上の直鎖状低密度ポリエチレンを混合して第一成分に使用することで、性質の異なる直鎖状低密度ポリエチレンが第一成分全体に分散するようになり、より低密度の直鎖状低密度ポリエチレンは、第一成分全体に柔軟性を持たせ、弾性複合繊維に柔軟性やしなやかさをもたらすようになり、より高密度の直鎖状低密度ポリエチレンは、第一成分全体に弾力性コシ感)を持たせ、弾性複合繊維に弾力性をもたらすようになり、両者が第一成分全体に均一に分散されることで繊維物性が向上する、と推測されるが、このような推測に束縛されるものではない。

0028

密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレンを2種以上組み合わせて使用する場合、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度を、好ましくは0.88g/cm3以上、0.918g/cm3未満の範囲内に調節することができれば、組み合わされる直鎖状低密度ポリエチレンの密度に特に限定はなく、密度が第一成分の密度の上限を超える直鎖状低密度ポリエチレンと、密度が第一成分の密度の下限を下回る直鎖状低密度ポリエチレンとを組み合わせて使用してもよい。本発明では、密度の高い直鎖状低密度ポリエチレンと、密度の低い直鎖状低密度ポリエチレンとを組み合わせて使用することが好ましい。このとき、密度の高い方の直鎖状低密度ポリエチレン(「第一の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE1)」と呼ぶ場合もある)の密度は、例えば、0.908g/cm3以上、0.94g/cm3以下、好ましくは0.91g/cm3以上、0.94g/cm3以下、より好ましくは0.912g/cm3以上、0.935g/cm3以下である。また、密度の低い方の直鎖状低密度ポリエチレン(「第二の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE2)」と呼ぶ場合もある)の密度は、例えば、0.85g/cm3以上、0.908g/cm3未満、好ましくは0.88g/cm3以上、0.908g/cm3未満、より好ましくは0.89g/cm3以上、0.906g/cm3以下である。

0029

密度の高い直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE1)と、密度の低い直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE2)とを組み合わせて使用する場合、密度の高い方の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE1)の使用量は、第一成分の全質量を基準として、第一成分の全質量を100質量%としたとき、例えば、3質量%以上、97質量%以下、好ましくは5質量%以上、95質量%以下、より好ましくは8質量%以上、92質量%以下である。また、密度の低い方の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE2)の使用量は、第一成分の全質量を基準として、第一成分の全質量を100質量%としたとき、例えば、3質量%以上、97質量%以下、好ましくは5質量%以上、95質量%以下、より好ましくは8質量%以上、92質量%以下である。また、LLDPE1とLLDPE2の合計は100質量%を超えない。

0030

本発明では、密度の高い直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE1)と、密度の低い直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE2)とを組み合わせて使用し、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度を0.88g/cm3以上、0.94g/cm3未満の範囲内とすることによって、この弾性複合繊維を含む粒状綿および中綿材料は優れた嵩高性だけでなく、高い嵩回復性を示すことができる。

0031

本発明で使用され得る直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンα−オレフィンとを共重合させることによって得られる共重合体を指す。α−オレフィンは、一般に炭素数が3〜12のα−オレフィンである。炭素数が3〜12のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレンブテン−1ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1およびこれらの混合物を挙げることができる。これらのうち、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルヘキセン−1およびオクテン−1が特に好ましく、ブテン−1およびヘキセン−1がさらに好ましい。

0032

前記直鎖状低密度ポリエチレン中のα−オレフィン含有量は、1mol%以上、10mol%以下であることが好ましく、2mol%以上、5mol%以下であることがより好ましい。α−オレフィン含有量が少ないと、弾性複合繊維の柔軟性が損なわれ、結果的に粒状綿や中綿材料の柔軟性も失われることがある。α−オレフィンの含有量が多くなると、結晶性が悪くなり、繊維化の際に繊維同士が融着する可能性がある。

0033

前記直鎖状低密度ポリエチレンは、紡糸前の融点が130℃未満であり、融点が85℃以上、128℃以下であると好ましく、90℃以上、125℃以下であるとより好ましい。融点の高い直鎖状低密度ポリエチレンは一般的に硬い直鎖状低密度ポリエチレンであるため、融点が130℃以上の直鎖状低密度ポリエチレンを使用すると、これを第一成分に含む弾性複合繊維全体が硬い繊維となり、粒状綿や中綿材料にしたときに柔軟性や嵩回復性が低下するおそれがある。直鎖状低密度ポリエチレンの融点が85℃未満であると紡糸時に糸切れや融着が多発して、いわゆる可紡性が低下するおそれがある。また、その場合、弾性複合繊維の第一成分が柔らかくなり、この弾性複合繊維を含む粒状綿および中綿材料が十分な嵩高性および嵩回復性を示さなくなる、といったおそれがある。また、本発明の粒状綿に使用する弾性複合繊維において、第一成分は、前記融点の範囲を満たす直鎖状低密度ポリエチレンを、例えば60質量%以上含み、70質量%以上、100質量%以下含むことが好ましい。融点が130℃未満の直鎖状低密度ポリエチレンの含有量を上記範囲とすることで、第一成分が可紡性を損なうことなく適度な弾性および柔軟性を持つようになり、弾性複合繊維がしなやかで、変形に対して、元の形に戻りやすい繊維となり、結果として、それを含む粒状綿も柔軟で、嵩回復性に優れたものとなる。

0034

上記の密度および融点を有する直鎖状低密度ポリエチレンは、メタロセン触媒を用いてエチレンとα−オレフィンとを共重合させることにより、容易に得られる。尤も、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が好ましくは0.88g/cm3以上、0.918g/cm3未満となり、直鎖状低密度ポリエチレンが上記の融点を有し得る限りにおいて、直鎖状低密度ポリエチレンは、メタロセン触媒を用いて重合されたものに限定されず、例えば、チーグラーナッタ触媒を用いて重合されたものを用いてよい。

0035

直鎖状低密度ポリエチレンのメルトインデックスMI)は、紡糸性を考慮すると1g/10分以上、60g/10分以下の範囲内にあることが好ましい。ここで、メルトインデックス(MI)は、JIS K 7210(1999年)(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kgf))に準じて測定される。MIが大きいほど、紡糸時に鞘成分の固化速度が遅くなり、繊維同士が融着しやすくなる。一方、MIが小さすぎると、繊維化が困難となる。より具体的には、直鎖状低密度ポリエチレンのMIは、2g/10分以上、40g/10分以下であることが好ましく、3g/10分以上、35g/10分以下であることがより好ましく、5g/10分以上、30g/10分以下であることが特に好ましい。

0036

直鎖状低密度ポリエチレンにおける重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値:Mw/Mn)は、5.0以下であることが好ましい。より好ましいQ値は2.0以上、4.0以下であり、さらにより好ましくは2.5以上、3.5以下である。Q値が5.0以下であると、直鎖状低密度ポリエチレンの分子量分布の幅が狭いという特徴を有しているといえ、このQ値の範囲を満たす直鎖状低密度ポリエチレンを第一成分に使用することで、捲縮の発現性、特に繊維の状態で立体捲縮を発現する顕在捲縮性に優れた弾性複合繊維を得ることができ、これを用いた粒状綿の嵩高性が向上すると考えられる。

0037

直鎖状低密度ポリエチレンの曲げ弾性率は10MPa以上、600MPa以下であるが、得られる弾性複合繊維の性質や、この弾性複合繊維を含む粒状綿の触感、嵩高性を考慮すれば、25MPa以上、500MPa以下であることが好ましい。弾性複合繊維は、第一成分の主成分である直鎖状低密度ポリエチレンに起因する柔軟な触感を有するが、単に柔軟なだけでは繊維のコシがなく、嵩高で嵩回復性に富んだ粒状綿および中綿材料が得られにくくなったりすることがある。そのため直鎖状低密度ポリエチレンは、曲げに対してある程度変形しにくいものであることが好ましく(即ち、曲げに対する変形のしにくさが、ある程度高いものが好ましく)、具体的には曲げ弾性率が25MPa以上のものが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンの曲げ弾性率が大きすぎると柔軟な触感が失われるおそれがあるので500MPa以下であることが好ましい。より好ましくは直鎖状低密度ポリエチレンの曲げ弾性率は、30MPa以上、400MPa以下であり、特に好ましいのは35MPa以上、350MPa以下であり、最も好ましいのは40MPa以上、300MPa以下である。なお、上記曲げ弾性率の範囲は、熱可塑性弾性樹脂が直鎖状低密度ポリエチレン以外の樹脂、例えば、熱可塑性弾性樹脂としてポリブテン−1やポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマーを選択し、これを60質量%以上含む第一成分とした場合にも同様である。

0038

直鎖状低密度ポリエチレンの硬度は10以上、65以下であるが、弾性複合繊維の性質や、これを含む粒状綿や中綿材料の触感、嵩高性および嵩回復性を考慮すれば、30以上、63以下の範囲内にあることが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンが柔らかすぎると弾性複合繊維の弾性(コシ)が失われ、それを含む粒状綿や中綿材料の嵩高性や嵩回復性が低下することもある。そのため、直鎖状低密度ポリエチレンはある程度の硬度、具体的には20以上の硬度を有することが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンの硬度が大きすぎると柔軟な触感が失われるおそれがあるので、それは63以下であることが好ましい。より好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンの硬度は、35以上、63以下であり、特に好ましくは、40以上、60以下であり、最も好ましくは、45以上、60以下である。なお、上記硬度の範囲は、熱可塑性弾性樹脂が直鎖状低密度ポリエチレン以外の樹脂、例えば、熱可塑性弾性樹脂としてポリブテン−1やポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマーを選択した場合も同様である。

0039

本発明の粒状綿に良好な嵩高性、嵩回復性および保温性を粒状綿や中綿材料に与える限りにおいて、第一成分は、熱可塑性弾性樹脂、特に好ましくは直鎖状低密度ポリエチレンに加えて、さらに他のポリマー成分を含んでいてよい。例えば、熱可塑性弾性樹脂に加えて、さらに低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブチレンポリメチルペンテン樹脂ポリブタジエンプロピレン系共重合体(例えば、プロピレン−エチレン共重合体)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタアクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等などのポリオレフィン系樹脂や、その変性物ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートポリトリメチレンテレフタレートポリエチレンナフタレートポリ乳酸ポリブチレンスクシネートおよびその共重合体などのポリエステル樹脂や、その変性物、ナイロン66ナイロン12、およびナイロン6などのポリアミド系樹脂や、その変性物、アクリル系樹脂ポリカーボネートポリアセタールポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリングプラスチック、それらの混合物、ならびにそれらのエラストマー系樹脂などから選択される、1または複数のポリマー成分を含んでよい。

0040

本発明の粒状綿において、前記弾性複合繊維における熱可塑性弾性樹脂として直鎖状低密度ポリエチレンを用い、これを60質量%以上含む樹脂成分を弾性複合繊維の第一成分とする場合、前記第一成分は、直鎖状低密度ポリエチレン以外の他のポリマー成分として、低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。

0041

前記第一成分に含まれていてもよい低密度ポリエチレン(「LDPE」(Low Density Polyethylene)とも呼ばれる)とは、分岐の多い軟質のポリエチレンであり、その製造方法に由来して、高圧法ポリエチレンとも呼ばれる。本発明においては、必要に応じて低密度ポリエチレンを、前記第一成分に少量添加することによって、弾性複合繊維は立体捲縮が顕在化した、いわゆる顕在捲縮性の繊維となり、立体捲縮をより良好に発現するため、この弾性複合繊維を粒状綿にしたときの嵩高性および嵩回復性を向上させることが可能となる。また、低密度ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレンよりも柔らかいものであるため、例えば、密度の高い直鎖状低密度ポリエチレンを用いたときに低下しがちな粒状綿の柔軟性を、低密度ポリエチレンで確保することも可能である。

0042

低密度ポリエチレンの密度は0.91g/cm3以上、0.93g/cm3であることが好ましい。低密度ポリエチレンの密度はポリマーのメルトインデックス(MI)(190℃)に依存する傾向にあるため、紡糸性を考慮すると、低密度ポリエチレンの密度は、0.915g/cm3以上、0.92g/cm3以下であることが好ましい。なお、低密度ポリエチレンの密度は、前記第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体が有するべき密度の上限より高くてもよく、後述する、第一成分が有すると好ましい密度の上限より高くてもよい。

0043

低密度ポリエチレンの紡糸前の融点は、90℃以上、120℃以下であることが好ましいが、本発明においては、低い融点の低密度ポリエチレンがより好ましく用いられる。融点が低い低密度ポリエチレンを用いることにより、弾性複合繊維に対し立体捲縮、特に顕在捲縮をより良好に発現させることができ、柔軟な触感を示す粒状綿を得ることができる。より具体的には、低密度ポリエチレンの融点は95℃以上、115℃以下であることがより好ましく、100℃以上、110℃以下であると特に好ましい。

0044

低密度ポリエチレンのメルトインデックス(MI)(測定方法前掲)は、紡糸性を考慮すれば、一般的に1g/10分以上、60g/10分以下(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kgf))であることが好ましい。MIが大きいほど、紡糸時に鞘成分の固化速度が遅くなり、繊維同士が融着しやすくなるからである。一方、MIが小さすぎると、繊維化が困難となる。より好ましくは、低密度ポリエチレンのMIは、3g/10分以上、50g/10分以下であり、特に好ましくは、5g/10分以上、50g/10分以下であり、最も好ましくは、10g/10分以上、50g/10分以下である。

0045

低密度ポリエチレンにおけるQ値は、10.0以下であることが好ましい。より好ましいQ値は4.0以上、9.0以下であり、特に好ましくは5.0以上、8.0以下である。Q値が10を越えると、弾性複合繊維の捲縮発現性が低下したり、発現した捲縮の形状が明瞭ではなかったりする場合がある。

0046

前記第一成分において、第一成分が直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンを含む場合、直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンとは、それらを合わせた質量を100質量%としたときに、直鎖状低密度ポリエチレンが75質量%以上、95質量%以下の割合で含まれ、低密度ポリエチレンが5質量%以上、25質量%以下の割合で含まれるように混合されていると好ましい。第一成分における直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの割合は、直鎖状低密度ポリエチレンが80質量%以上、90質量%以下の割合で含まれ、低密度ポリエチレンが10質量%以上、20質量%以下の割合で含まれるように混合されているとより好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンの占める割合が多すぎると、低密度ポリエチレンを加えることによる効果が得られにくく、この弾性複合繊維を含む粒状綿の嵩高性が低下することがある。直鎖状低密度ポリエチレンの占める割合が少なすぎると、この弾性複合繊維を含む粒状綿の柔軟性が低下することがある。

0047

低密度ポリエチレンは、上記の範囲内で含まれると、弾性複合繊維において、形状が明瞭な立体捲縮を発現させ、また、発現した捲縮のばらつき(例えば、発現した立体捲縮の形状のばらつきや、弾性複合繊維ごとの捲縮数のばらつき)を少なくさせるとともに、弾性複合繊維の捲縮率を高くすることができる。したがって、この弾性複合繊維を含む粒状綿は初期嵩の大きな粒状綿となる。この第一成分で構成された弾性複合繊維に立体捲縮が発現しやすい理由は定かではないが、分岐の少ない直鎖状低密度ポリエチレン分子に低密度ポリエチレンの長分岐絡み合い延伸での歪みが生じ易くなるため、立体捲縮が発現し易くなるものと推定される。尤も、この推定によって本発明が制限されることはない。また、低密度ポリエチレンは、柔軟化剤として機能するので、上記の範囲で低密度ポリエチレンを含むと、例えば、密度の高い直鎖状低密度ポリエチレンを使用した場合であっても得られる弾性複合繊維が柔軟な繊維になりやすく、それを用いた粒状綿および中綿材料も優れた柔軟性を示しやすくなる。

0048

第一成分は、上記ポリマー成分以外の他の成分、例えば、帯電防止剤顔料艶消し剤熱安定剤光安定剤難燃剤抗菌剤滑剤可塑剤柔軟剤酸化防止剤紫外線吸収剤結晶核剤などの添加剤を含んでよい。そのような添加剤は、第一成分の全体の10質量%以下の量を占めるように、第一成分に含まれることが好ましい。

0049

[第二成分]
本発明において、弾性複合繊維に含まれる第二成分は、上記の第一成分とともに弾性複合繊維を形成することができる樹脂などのポリマー成分であれば特に限定はなく、好ましくは第一成分に含まれる熱可塑性弾性樹脂の融点よりも高い融点を有するポリマー成分を含む。第二成分は、例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブタジエン、プロピレン系共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等などのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル樹脂、ナイロン66、ナイロン12、およびナイロン6などのポリアミド樹脂、各種アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリングプラスチック、それらの混合物などから選択される、1または複数のポリマー成分を含んでよい。

0050

第二成分は、ポリマー成分として、第一成分に含まれる熱可塑性弾性樹脂の融点よりも40℃以上高い融点を有し得るポリエステルを50質量%以上含む成分であることが好ましい。第二成分は、第二成分の総質量を基準として、ポリマー成分として、ポリエステルを、好ましくは50質量%以上含み、より好ましくは75質量%以上含み、最も好ましくは100質量%含む。

0051

ポリエステルは、他のポリマーに比べて、安価であり、高い剛直性を有し、繊維に弾力性(コシ)を与え得るので、好ましく用いられ得る。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸などの重合体またはその共重合体が挙げられる。前記ポリエステルの融点は、第一成分に含まれる熱可塑性弾性樹脂の融点よりも40℃以上高い。好ましい前記ポリエステルの融点は、熱可塑性弾性樹脂の融点より50℃以上高い温度である。

0052

前記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、剛直性が大きいことから、最も好ましく使用され得る。ポリエチレンテレフタレートは延伸条件を適宜調節することにより、高い結晶性を有し、熱収縮しにくいものとなるので、立体捲縮を良好に発現した弾性複合繊維を容易に与えうる。そのような弾性複合繊維を用いて粒状綿を作製すると、嵩高で嵩回復性に優れた粒状綿となる。

0053

ポリエチレンテレフタレートとそれ以外の他のポリマー成分とを含む場合、当該他のポリマー成分は、弾性複合繊維において立体捲縮が十分に発現し、かつ、前記弾性複合繊維を含む粒状綿が高い嵩高性、良好な嵩回復性、および高い保温性を有する粒状綿になるのであれば特に限定されない。例えば、他のポリエステル系樹脂、具体的には、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸およびポリトリメチレンテレフタレートを混合してよい。

0054

第二成分は、上記ポリマー成分以外の他の成分、例えば、帯電防止剤、顔料、艶消し剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、抗菌剤、滑剤、可塑剤、柔軟剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤などの添加剤を含んでよい。そのような添加剤は、第二成分の全体の10質量%以下の量を占めるように、第二成分に含まれることが好ましい。

0055

[高融点繊維]
本発明の粒状綿は、上記弾性複合繊維および、高融点繊維を含む。本発明の粒状綿を構成する高融点繊維は、粒状綿の形状維持、粒状綿やそれを用いた中綿材料の嵩高性や嵩回復性の発現に寄与する。従って上記高融点繊維を構成する熱可塑性樹脂は、軟質な成分を含まない熱可塑性樹脂であることが好ましく、具体的には融点が140℃以上の熱可塑性樹脂、より好ましくは融点が150℃以上の熱可塑性樹脂で構成されることが好ましい。加えて、高融点繊維が粒状綿の嵩高性、嵩回復性に寄与することを考慮すると、高融点繊維を構成する熱可塑性樹脂は曲げ弾性率が600MPaを超える熱可塑性樹脂(以下、曲げ弾性率が600MPaを超える熱可塑性樹脂を熱可塑性非弾性樹脂とも称す)であることが好ましく、より好ましくは曲げ弾性率が650MPa以上であることが好ましい。なお、高融点繊維を構成する樹脂の曲げ弾性率の上限は特に限定されない。本発明の粒状綿を構成する高融点繊維に好ましく用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸といったポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンといったポリオレフィン樹脂、ナイロン6,6、ナイロン6といったポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリングプラスチックなどから構成される繊維が好ましい。中でもポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂は入手が容易で安価であること、および高融点で得られる繊維も弾性に富むことから、上記高融点繊維を構成する熱可塑性樹脂として好ましく用いられる。

0056

本発明の粒状綿に含まれる高融点繊維は上記の融点を満たす熱可塑性樹脂で構成された繊維であればよい。そのため、上記の樹脂を1種選択し、実質的にその樹脂からなる単一繊維(以下、高融点単一繊維と称す)であってもよいし、2種以上(同種であっても、異種であってもよい)の熱可塑性樹脂を含む繊維であってもよい。前記高融点繊維が、2種以上の熱可塑性樹脂を用いた繊維である場合、複数の熱可塑性樹脂を溶融時に混合し、単一の成分として溶融紡糸した繊維でもよいし、2種類以上の熱可塑性樹脂を組みあわせた複合繊維(以下、高融点複合繊維と称す)であってもよい。粒状綿の嵩高性、嵩回復性を考慮すると、上記高融点繊維は、捲縮がある程度強くかかっている繊維、あるいは繊維そのものが捲縮を発現しやすい繊維であることが好ましい。捲縮が強くかけられている繊維としては、弾性の強い熱可塑性樹脂、具体的にはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂からなる単一繊維が挙げられる。捲縮を発現しやすい繊維としては各種複合繊維が挙げられ、その中でも芯鞘型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊維、並列型複合繊維が挙げられ、その中でも並列型複合繊維であることが好ましい。

0057

前記高融点繊維が高融点単一繊維を含む場合、前記高融点単一繊維はポリエステル樹脂からなる単一繊維、ポリアミド樹脂からなる単一繊維、ポリプロピレン樹脂からなる単一繊維から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。前記高融点繊維がポリエステル単一繊維またはポリアミド単一繊維を含むと、本発明の粒状綿は、嵩高性、嵩回復性の高い粒状綿となる。前記高融点繊維がポリプロピレン単一繊維を含むと、本発明の粒状綿は軽量になる。

0058

前記高融点繊維が高融点複合繊維を含む場合、前記高融点複合繊維を構成する熱可塑性樹脂の融点が140℃以上であって、融点、溶融粘度などが異なる熱可塑性樹脂同士であれば特に限定されることなく用いることができる。具体的にはポリエステル/ポリエステル、ポリアミド/ポリアミド、ポリオレフィン/ポリオレフィンといった組みあわせも可能であるし、ポリエステル/ポリオレフィン、ポリエステル/ポリアミド、ポリアミド/ポリオレフィンといった樹脂の組みあわせも可能である。このような熱可塑性樹脂の組みあわせの中でも、高融点の樹脂同士の組み合わせであり、繊維そのものの弾性および粒状綿にしたときの反発性や嵩高性に優れると考えられるポリエステル/ポリエステル、ポリエステルポリアミド、ポリアミド/ポリアミド、ポリエステル/ポリプロピレンの組み合わせが好ましく、ポリエステル/ポリエステルまたはポリエステル/ポリアミドの組み合わせがより好ましく、ポリエステル/ポリエステルの組み合わせが最も好ましい。ポリエステル同士の組み合わせであれば、融点および/または溶融粘度の異なる2種類の樹脂を用いて複合繊維とすることで、発現性の高い高融点繊維が容易に得られるだけでなく、ポリエステル樹脂の融点が比較的高いことから繊維の弾性が高く、嵩高性、嵩回復性に優れた粒状綿が得られやすいためである。

0059

上記高融点繊維は、粒状綿への加工のしやすさ、および得られる粒状綿の嵩高性や嵩回復性を考慮すると、捲縮数が4個/25mm以上、30個/25mm以下であることが好ましく、5個/25mm以上、28個/25mm以下であることがより好ましく、6個/25mm以上、24個/25mm以下であることが特に好ましい。また、JIS L 1015(2010年)に準じて捲縮数および捲縮率を測定したときに、捲縮率と捲縮数の比(捲縮率/捲縮数)が0.7以上、3.5以下であることが好ましく、0.85以上、3.0以下であることがより好ましい。捲縮率/捲縮数が、上記範囲を満たすと、捲縮が伸びにくく、得られる粒状綿が良好な嵩高性と嵩回復性をしめすようになる。

0060

上記高融点繊維の繊度は特に限定されない。しかし、前記高融点繊維の繊度は2.2dtex以上、30dtex以下であると好ましく、3.3dtex以上、20dtex以下であるとより好ましく、5.6dtex以上、18dtex以下であると特に好ましく、6.7dtex以上、15dtex以下であると最も好ましい。高融点繊維の繊度が上記の繊度の範囲を満たすことで、本発明の粒状綿は生産性が良好であるだけでなく、得られる粒状綿および中綿材料が嵩高性、嵩回復性に優れるだけでなく、良好な保温性を有するものになる。

0061

上記高融点繊維の繊維長は特に限定されないが、繊維長が15mm以上、100mm以下であることが好ましく、20mm以上、80mm以下であることがより好ましく、24mm以上、72mm以下であることが特に好ましく、28mm以上、68mm以下であることが最も好ましい。高融点繊維の繊維長が上記繊維長の範囲を満たすことで、本発明の粒状綿は生産性が良好であるだけでなく、前記複合繊維や他の繊維との交絡性が高まり、使用時に粒状綿の形状が崩れにくくなると考えられる。

0062

前記高融点繊維の断面形状は特に限定されない。しかし、前記粒状綿を構成する高融点繊維のうち、少なくとも一部の繊維が、繊維断面が円形以外の繊維断面、いわゆる異形断面の繊維であることが好ましい。高融点繊維のうち、少なくとも一部が異形断面繊維であると。異形断面に起因して粒状綿内に微細な空隙が形成されやすくなり、粒状綿およびそれを用いた中綿材料の保温性が向上すると考えられる。前記円形断面以外の繊維断面としては、楕円形、H形、Y形、X形、W形、井形といった断面形状や、三角形四角形五角形六角形といった多角形の断面形状、星形の断面形状、および3葉断面、4葉断面、8葉断面といったいわゆる多葉断面の形状が挙げられる。前記高融点繊維は、円形断面以外の繊維断面を有する繊維を1種類有してもよいし、円形断面以外の繊維断面を有する繊維を2種類以上用いてもよい。

0063

前記高融点繊維は、繊維断面において、繊維長さ方向に連続する空洞を有する、いわゆる中空繊維であってもよい。高融点繊維が中空繊維であると、繊維の直径(外径)が同じ繊維であれば、中空繊維であるほうが軽量になるため、それを用いた粒状綿が軽量になるだけでなく、中空部分により得られる粒状綿および中綿材料の保温性が向上すると考えられる。高融点繊維の少なくとも一部が中空繊維である場合、その中空率は3%以上、80%以下であることが好ましく、5%以上、50%以下であることがより好ましく、8%以上、25%以下であることが特に好ましく、10%以上、20%以下であることが最も好ましい。高融点繊維の中空率が80%を超えると、繊維が折れやすくなり、得られる粒状綿の嵩高性、嵩回復性が低下するおそれがある。高融点繊維の中空率が3%未満であると、中空部分を有さない、いわゆる中実繊維を使用した場合と比較して軽量性、保温性が向上しないおそれがある。なお、本発明において、中空率とは、繊維の長さ方向に垂直な繊維断面において、繊維の側周面で囲まれる面積に対する、前記繊維断面に現れた空洞部分の面積の百分率で表される。

0064

本発明において使用する「立体捲縮」という用語は、図1に示すような捲縮の山が鋭角である機械捲縮と区別されるために用いられる。具体的には立体捲縮は、例えば、図2Aに示すような山部が湾曲した捲縮(波形状捲縮)、図2Bに示すような山部が螺旋状に湾曲した捲縮(螺旋状捲縮)、図2Cに示すような、波形状捲縮と螺旋状捲縮とが混在した捲縮、図3に示すような、図1に示す機械捲縮の鋭角な捲縮と、図2Aに示すような波形状捲縮が混在した捲縮などである。もちろん、図1に示す機械捲縮と、図2Aに示す波形状捲縮と、図2Bに示す螺旋状捲縮とが混在した捲縮であってもよい。立体捲縮は、潜在捲縮性複合繊維において加熱処理等により発現した立体捲縮であってよく、あるいは顕在捲縮性複合繊維において発現した立体捲縮であってよい。ここで、潜在捲縮性複合繊維とは、繊維の段階で立体捲縮を発現しておらず、または弱い立体捲縮を発現していて、加熱処理に付すと、立体捲縮またはより強い立体捲縮が発現する繊維である。顕在捲縮性複合繊維とは、繊維の段階で立体捲縮を発現しており、加熱処理に付しても立体捲縮の状態が変化しない、または変化するとしてもその度合いが小さい繊維である。

0065

[粒状綿]
本発明の粒状綿は、熱可塑性弾性樹脂を60質量%以上含む第一成分と、第二成分からなる弾性複合繊維と高融点複合繊維を含む。粒状綿に含まれる弾性複合繊維は10質量%以上90質量%以下であり、高融点繊維は10質量%以上、90質量%以下である。本発明の粒状綿において、弾性複合繊維および高融点繊維が前記割合で含まれていると、粒状綿およびそれを用いた中綿材料が嵩高性および嵩回復性に優れたものとなる。本発明の粒状綿において、前記弾性複合繊維の含有量は10質量%以上、80%以下であることが好ましく、20%以上、75%以下であることがより好ましく、25%以上、70%以下であることが特に好ましく、30%以上、60%以下であることが最も好ましい。前記弾性複合繊維の含有量が10質量%未満であると、粒状綿およびそれを用いた中綿材料が硬い感触となるおそれがある。前記弾性複合繊維の含有量が90質量%を超えると、粒状綿およびそれを用いた中綿材料の触感が柔らかいものになるが、嵩高性や嵩回復性が低下するおそれがある。

0066

本発明の粒状綿において、前記高融点繊維の含有量は20質量%以上、90質量%以下であることが好ましく、25質量%以上、80質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上、75質量%以下であることが特に好ましく、40質量%以上、70質量%以下であることが最も好ましい。前記高融点繊維の含有量が10質量%未満であると、粒状綿およびそれを用いた中綿材料の嵩高性や嵩回復性が低下するおそれがある。前記高融点繊維の含有量が90質量%を超えると、粒状綿およびそれを用いた中綿材料の嵩高性や嵩回復性が高いものとなるが、粒状綿およびそれを含む中綿材料が硬い触感となるおそれがある。

0067

本発明の粒状綿は、本発明の効果が損なわれない範囲において、必要に応じて前記弾性複合繊維および高融点繊維以外の他の繊維を含んでもよい。他の繊維として、例えば、コットン、シルク、ウール、パルプなどの天然繊維、レーヨンキュプラなどの再生繊維、融点が140℃未満の熱可塑性樹脂(例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンといった各種ポリエチレン、各種熱可塑性エラストマーが挙げられる)の単一繊維、また、第一成分が熱可塑性弾性繊維に該当しない樹脂で構成された複合繊維(例えば、ポリエステル/高密度ポリエチレン、ポリエステル/ポリブテン−1、ポリエステル/エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン/高密度ポリエチレン、ポリプロピレン/ポリブテン−1、ポリプロピレン/エチレン−プロピレン共重合体 という樹脂の組みあわせが挙げられる)を含んでもよい。これらの他の繊維は、1種または複数種の繊維を用途などに応じて選択することができる。しかし、本発明の粒状綿は、粒状綿の嵩高性や嵩回復性を考慮したとき、前記弾性複合繊維や高融点繊維の含有量ができるだけ多いほうが好ましい。従って、本発明の粒状綿において、粒状綿全体の質量を100質量%としたとき、前記弾性複合繊維の含有量と前記高融点繊維の含有量の合計量が、粒状綿全体に対し70質量%以上であることが好ましく、弾性複合繊維と高融点繊維の合計量が80質量%であるとより好ましく、90質量%以上であると特に好ましく、実質的に前記弾性複合繊維と高融点繊維からなる粒状綿であることが最も好ましい。

0068

本発明の粒状綿は、公知の粒状綿の製造方法によって製造することができる。すなわち、特定の長さに切断した弾性複合繊維、高融点繊維、必要に応じて前記弾性複合繊維および高融点繊維以外の繊維(前記他の繊維)を用意する。次に、必要に応じて前記弾性複合繊維、高融点繊維、および他の繊維を開繊する。そしてこれらの繊維を所定量秤量し、公知の粒綿製造装置を用いて繊維を交絡させて粒状綿とする。粒状綿の製造装置としては高速気流を用い、高速気流下で原料となる繊維を交絡、粒状にする製造装置(例えば、特開平03−206125に記載)、回転可能な金属製の容器内部に掻き上げ羽根を設け、前記容器内部に繊維を投入した後、前記金属容器を回転させて粒状綿を得る製造装置(例えば、特開2003−183969に記載)、また原料となる繊維を塊状とし、円筒状内面螺旋状溝によって挟み、螺旋状溝を回転させることで球状にする製造方法(例えば、特開2001−295170に記載)など、繊維を交絡し、粒状にできる装置、製造方法であれば特に限定されず、いずれの製造方法であってもよい。本発明の粒状綿の直径は特に限定されないが、直径が2mm以上、30mm以下であることが好ましい。粒状綿の直径は各製造方法において任意の値に調整でき、前記高速気流下で繊維を撹拌して粒状綿にする製造方法であれば、高速気流下で繊維を撹拌する時間を調整することで、大きくすることができるし、小さくすることもできる。

0069

本発明の粒状綿は、粒状綿を構成する繊維同士が実質的に接着していない。すなわち、原料となる繊維を粒状に調整する段階、あるいは粒状に調整した後において、構成繊維間を接着していない。各種粒状綿において、構成繊維間を接着する方法としては、粒状綿に対し、熱処理を行い構成繊維の一部を溶融させて構成繊維間を熱接着する方法や、粒状綿を製造する段階や粒状に調整した後、各種接着剤を加えて構成繊維間を接着する方法があるが、本発明の粒状綿では、これらの処理を意図的に行わず、実質的に繊維の交絡のみで粒状の形状を維持している。本発明の粒状綿は、繊維表面の少なくとも一部が、熱可塑性弾性樹脂を60質量%以上含む第一成分に比較的軟質の熱可塑性弾性樹脂が繊維表面に含まれているため、弾性複合繊維同士、および弾性複合繊維と高融点繊維との交絡性が高くなり、熱接着を始めとする構成繊維間を接着する処理を行わなくても、粒状の形状が維持されやすいためである。また、粒状綿において、構成繊維間を接着すると、粒状綿の嵩が減少しやすいだけでなく、構成繊維間が密になることで粒状綿が有する微細な空隙が失われ、空気層による保温性が低下するおそれもある。

0070

[中綿材料、寝装品、衣料品]
本発明の粒状綿は各種中綿材料(以下、単に中綿とも称す)として用いられる。当該中綿材料は、掛け布団敷き布団マットレスを始めとする各種寝装品、中綿ジャケット、各種防寒着といった各種衣料品だけでなく、各種敷きマットや、クッション材、また、ぬいぐるみなどの手芸用品に使用される。一般的には袋状にした布帛の中に詰められて使用し、対象物に嵩高性やクッション性、嵩回復性を付与するだけでなく、断熱性、保温性をも付与する。本発明の粒状綿は嵩高性、嵩回復性に優れるだけでなく、保温性にも優れるため、各種寝装品や衣料品において、嵩高性や保温性を付与する中綿材料として使用することが好ましい。粒状綿を中綿材料として使用する場合、対象物に充填する方法は特に制限されないが、一般的には空気流にて中綿材料となる充填物を搬送し、袋状にした布帛に充填する。このとき、本発明の粒状綿は繊維が粒状に形成されているため、空気搬送性、および高速気流を用いた袋状物への充填性に優れており生産性が高い

0071

本発明の中綿材料は、その製品(例えば、寝装品や衣料品)に使用された中綿材料全体の質量を100質量%としたとき、本発明の粒状綿を20質量%以上含んでいる。中綿材料が、全体の質量に対し、本発明の粒状綿を20質量%以上含んでいることで、嵩高性や嵩回復性、および保温性に優れた中綿材料となる。本発明の中綿材料の使用方法としては特に制限されないが、一例として、寝装品や衣料品において、本発明の粒状綿を含む中綿材料と、従来の中綿材料である羽毛等を用いた中綿材料の2種類を用意し、これらを2層構造にした寝装品または衣料品が挙げられる。前記寝装品や衣料品において、本発明の粒状綿を含む層と従来の中綿材料である羽毛等との積層構造にすることで、羽毛等の使用量を抑えつつ、嵩高性、嵩回復性および保温性に優れた寝装品や衣料品を得ることができる。

0072

[実施例1〜4、比較例1〜5、参考例1]

本発明の実施例および比較例で使用する弾性複合繊維、高融点繊維、中綿材料として以下のものを用意した。

0073

(弾性複合繊維A)
第一成分が、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE1)(宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名「420SD」、密度0.918g/cm3、Q値3.0、MI=7g/10分、融点116℃、ヘキセン共重合、曲げ弾性率270MPa、硬度(HDD)52)を70質量%、前記LLDPE1とは異なる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE2)(日本ポリエチレン(株)製、商品名「カーネル登録商標)KS560T」、密度0.898g/cm3、Q値3.1、MI=16.5g/10分、融点90℃、ヘキセン共重合、曲げ弾性率62MPa、硬度(HDD)40)を15質量%、および低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名「J2516」、密度0.916g/cm3、MI=25g/10分、融点106℃、硬度(HDD)45)を15質量%含む樹脂成分(第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの密度:0.9145g/cm3、第一成分全体の密度:0.9147g/cm3)とし、第二成分がポリエチレンテレフタレート(PET)(融点:250℃、極限粘度値(IV値)0.64(東レ株式会社製、T200E))からなる樹脂成分であり、第一成分/第二成分の複合比容積比)が55/45、偏心率25%、繊度9.0dtex、繊維長32mm、捲縮数15.9個/25mm、捲縮率11.3%の偏心芯鞘型複合繊維を用意した。

0074

高融点繊維A
溶融粘度の異なるポリエステル樹脂同士を、並列型に複合した並列型複合繊維であり、繊維断面において、中空部分を有する並列型中空複合繊維ユニチカ株式会社製 H38Y(コンジュゲートPET繊維、繊度6.7dtex、繊維長51mm、捲縮数:6.4個/25mm、捲縮率17.7%、中空率15%)を用意した。

0075

高融点繊維B
高融点繊維Bとして、中空部分を有さないポリエチレンテレフタレート単一繊維(繊度7.8dtex、繊維長32mm)を用意した。

0076

高融点繊維C
高融点繊維Cとして、中空部分を有さないポリプロピレン単一繊維(ダイワボウポリテック株式会社製 PN PP単一繊維、繊度6.7dtex、繊維長32mm、捲縮数:15個/25mm、捲縮率12%)を用意した。

0077

(中綿材料A)
中綿材料Aとして、市販されている各種中綿として用いられている羽毛(ダウン90%、フェザー10%)を用意した。

0078

(中綿材料B)
中綿材料Bとして、市販されているポリエステル綿繊維径約30μmと繊維径約10μmを約20:80の割合となるように混綿して粒状にしたもの)を用意した。

0079

(粒状綿の製造)
本発明の実施例1〜5および比較例1〜3および比較例5の粒状綿を、以下の通り製造した。
弾性複合繊維A、および高融点繊維A〜Cを以下の表1、表2に示す配合比(混綿比)となるようにそれぞれ量した。次いで、秤量した各繊維を公知の粒状綿製造装置を用いて直径が3mm〜8mmの粒状綿を得た。なお、比較例1の粒状綿は、構成繊維間の少なくとも一部を熱接着させるため、粒状綿に調整した後、熱風加工機にて約120℃にて5分間処理することで熱接着処理を行った。

0080

ミニチュア布団の製造)
上記方法で得られた粒状綿、市販の中綿材料(羽毛、ポリエステル製綿)を用いて、実施例1〜5、比較例1〜5、参考例1のミニチュアの布団を作製した。まず、中綿材料を充填する袋状物として、織物経糸80番手綿糸緯糸ポリエステル50d—144f、経糸密度216本/2.54cm、緯糸密度140本/2.54cmの綾織織物)を用意し、これを50cm四方正方形になるように裁断し、中綿材料を充填する部分を残して4辺を縫合した。次に、縫合していない部分から前記粒状綿や市販の中綿材料を87g充填し、その後、充填口を縫合し、ミニチュア布団とした。なお、実施例3〜5のミニチュア布団では、袋状体の内部を2つに区切り、積層構造の中綿材料で構成されたミニチュア布団とするため、市販されているポリエステル製のタフタ織物を用意し、前記タフタ織物を50cm四方に裁断し、それを縫合前の前記袋状体の内部に挿入した状態で、一部を残して縫合することで、内部が2つに区切られた袋状体とし、片方の空間に本発明の粒状綿を43.5g充填し、もう一方の空間に用意した中綿材料A(羽毛)を43.5g充填し、中綿材料の合計が87gである2層構造のミニチュア布団とした。得られたミニチュア布団について、厚さ、圧縮率回復率保温率の測定を行った。各測定方法は後述する。

0081

(厚さ)
JIS L 1097(1982年) 5.2『合成繊維ふとんわた試験方法比容積かさ高性)』に記載された方法に準じてミニチュア布団の高さを測定して、この値を厚さとした。まず20cm四方の板(0.5g/cm2)を用意して作成したミニチュア布団の中央に載置する。この板の上に5kgの重りを載せ、30秒後に重りを除き、嵩を回復させる。重りを除いてから30秒後に、再び重りを載せて30秒間荷重を加える。30秒間重りを加え、重りを除いて30秒間嵩回復させる動作を3回繰り返したあと、四隅の高さ(mm)を測定し、その平均値を厚さとした。

0082

(圧縮率、回復率)
JIS L 1097(1982年) 5.3『合成繊維ふとんわた試験方法圧縮弾性(圧縮率 回復率)』に記載された方法に準じてミニチュア布団の圧縮率、回復率を測定した。
まず、前記の方法で厚さを測定し、これを初期高さ(h0)とする。次に、前記20cm四方の板をミニチュア布団中央に載置したまま、この板の上に10kgの重りを載せ、30秒後に四隅の高さを測定し、その平均値を加重時の高さ(h1)とする。加重時の高さ(h1)を測定した後、重りを取り除き、3分間嵩回復させる。重りを除いてから3分後に四隅の高さを測定し、その平均値を嵩回復後の高さ(h2)とする。前記方法で測定したh0〜h2から、次の式により圧縮率および回復率を算出する。
圧縮率(%)=([h0−h1]/h0)×100
回復率(%)=([h2−h1]/[h0−h1])×100
h0:初期高さ(h0)(mm)
h1:加重時の高さ(h1)(mm)
h2:嵩回復後の高さ(h2)(mm)

0083

(保温率)
JIS L1096 A法(恒温法):(2010年)に準じてミニチュア布団の保温率を測定した。
保温率(%)=(1−b/a)×100
a:発熱体状における放熱量(J/cm2・s)
b:発熱体に試料を取り付けた時の放熱量(J/cm2・s)

0084

厚さ、圧縮率、回復率、保温率の測定結果を併せて表1、2に示す。

0085

0086

0087

表1、2に示す通り、本発明の粒状綿と比較品において回復率はほぼ同等であるが、厚さにおいては、本発明の粒状綿は比較品より優れている。また、圧縮率、保温率においても本発明の粒状綿は比較品より優れている。特に、羽毛と粒状綿を組み合わせると、厚さ、圧縮率、回復率、保温率とも比較品を超える結果が得られた。

実施例

0088

本発明には以下の態様のものが含まれる。
(態様1)
繊維を交絡させた粒状綿であり、
前記粒状綿は、熱可塑性弾性樹脂を60質量%以上含む第一成分と、第二成分からなる弾性複合繊維と、
融点が140℃以上の熱可塑性樹脂からなる高融点繊維を含み、
前記粒状綿は、前記弾性複合繊維を10質量%以上、90質量%以下含み、
前記粒状綿は、前記高融点繊維を10質量%以上、90質量%以下含み、
前記弾性複合繊維の断面において、前記第一成分は、繊維表面の少なくとも20%を占めており、
前記粒状綿において、粒状綿を構成する繊維同士が実質的に接着されていない、粒状綿。
(態様2)
前記高融点繊維が、実質的に1種類の熱可塑性樹脂からなる高融点単一繊維、および/または、融点が140℃以上の熱可塑性樹脂を2種類以上組みあわせた高融点複合繊維である態様1に記載の粒状綿。
(態様3)
前記高融点複合繊維が、2種類のポリエステル樹脂からなる複合繊維であり、
前記2種類のポリエステル樹脂は、融点および/または極限粘度が互いに異なるポリエステル樹脂であり、
前記ポリエステル繊維の繊維断面において、2種類のポリエステルが並列型に配置された並列型複合繊維である、態様2に記載の粒状綿。
(態様4)
前記高融点繊維の捲縮数が4個/25mm以上、30個/25mm以下である態様1〜3のいずれかに記載の粒状綿。
(態様5)
前記高融点繊維が、繊維断面において、繊維の長さ方向に連続する中空部分を少なくとも1箇所以上有する中空繊維を含んでいる態様1〜4のいずれかに記載の粒状綿。
(態様6)
前記弾性複合繊維において前記熱可塑性弾性樹脂の曲げ弾性率が10MPa以上、600MPa以下であり、硬度が10以上、65以下である、態様1〜5のいずれかに記載の粒状綿。
(態様7)
前記弾性複合繊維において、前記熱可塑性弾性樹脂がポリオレフィン樹脂であり、前記ポリオレフィン樹脂の融点が130℃未満である態様1〜6のいずれかに記載の粒状綿。
(態様8)
前記弾性複合繊維において、前記熱可塑性弾性樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンおよび/またはポリブテン−1である、態様1〜7のいずれかに記載の粒状綿。
(態様9)
前記弾性複合繊維において、前記熱可塑性弾性樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンであり、
前記第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度は、0.88g/cm3以上、0.918g/cm3未満である、態様1〜8のいずれかに記載の粒状綿。
(態様10)
前記弾性複合繊維において、
前記第一成分は、さらに低密度ポリエチレン(LDPE)を含み、前記低密度ポリエチレン(LDPE)の含有量は、前記直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と前記低密度ポリエチレン(LDPE)の合計質量に対して、5質量%以上、25質量%以下である、態様9に記載の粒状綿。
(態様11)
前記弾性複合繊維において、前記第一成分の密度が0.88g/cm3以上、0.918g/cm3未満である、態様9または10に記載の粒状綿。
(態様12)
前記弾性複合繊維において、前記第一成分が、密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を少なくとも2種類含む、態様9〜11のいずれかに記載の粒状綿。
(態様13)
前記第一成分は、密度が0.908g/cm3以上、0.94g/cm3以下である第一の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE1)と、密度が0.85g/cm3以上、0.908g/cm3未満である第二の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE2)とを含み、
前記第一成分の全質量を100質量%としたとき、LLDPE1が3質量%以上、92質量%以下の割合で含まれ、LLDPE2が3質量%以上、92質量%以下の割合で含まれ、
LLDPE1とLLDPE2の合計が75質量%以上、95質量%以下である、態様12に記載の粒状綿。
(態様14)
態様1〜13のいずれかに記載の粒状綿を20質量%以上含む中綿材料。
(態様15)
態様14に記載の中綿材料を含む寝装品。
(態様16)
態様14に記載の中綿材料を含む衣料品。

0089

本発明は、優れた嵩高性、嵩回復性を有し、なおかつ、保温性に優れた粒状綿を提供することができる。この粒状綿は各種中綿材料として最適であり、クッション材(例えば、自動車用航空機用鉄道車両用船舶用座席に使用するクッション材のほか、一般家庭用、事務用の座席に使用するクッション材や、衣料用パッド(例えば、女性ブラジャーパッド肩パッド肘当てパッド、膝当てパッド等)、寝装品(例えば、ベッドふとんベッドマット、マットレス、枕等といった用途)、また、吸音材遮音材防振材制振材断熱材、保温材等を構成できるが、掛け布団、敷き布団といった各種寝装品の中綿材料、または中綿ジャケット、各種防寒着といった衣料品の中綿材料として用いるのに特に適している。

0090

1 第一成分
2 第二成分
3 第二成分の繊維断面における重心位置
4弾性複合繊維の繊維断面における重心位置
5 弾性複合繊維の繊維断面における半径
10 弾性複合繊維

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