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図面 (7)

課題

ナノ粒子寿命を、例えば、歯内治療継続時間、すなわち、約30〜60分に対応するように調節できる、または歯内治療の継続時間に比べてより長くなるように調節できる、歯内療法のためのナノ粒子含有洗浄溶液を提案すること。

解決手段

本発明は、歯内治療の前または歯内治療の間に混合されて歯内洗浄溶液を形成することを目的とした、第1製剤および第2製剤からなるセットを提案する。第1製剤は酸化剤を含む。第2製剤は、酸化剤による該粒子の酸化を減速するように処理された抗菌性ナノ粒子を含む。抗菌性ナノ粒子は、例えば、殻中にハイブリッド芯殻型構造の状態で封入される。1つの変形形態において、抗菌性ナノ粒子は、少なくとも2種の元素からなる合金から作製され、合金元素の1種は、他の元素に比べて、酸化に対してより抵抗性である。

概要

背景

歯内治療中、歯科医は、各充填施術の後に、歯根管(root canal)を清掃し殺菌するための洗浄溶液を使用する。実際、機械式または非機械式ヤスリを使用する歯根管のインストルメンテーション(instrumentation)の段階は、生物組織一緒象牙質スラッジを構成する多量のを作り出す。象牙質細管を塞ぐこの微細な層は、根管閉鎖する最終ステップの前に、除去されなければならない。最近の先行技術は、各充填施術後の次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)での組織すすぎ洗い、それに続くEDTAエチレンジアミン四酢酸)での最終清掃を推奨しており、ここで、これらの2つの洗浄溶液は、一方が他方の作用を打ち消すので、同時に使用することはできない。
オーストラリア特許出願公開第2012/100480号は、エタノールソーダ水酸化ナトリウム)、および抗菌性ナノ粒子、例えば、銀、亜鉛または金のナノ粒子を含む別の洗浄溶液を提案している。
銀ナノ粒子は、医療分野において、それらの抗菌特性について実際に公知である。銀ナノ粒子の抗菌効果は、それらの粒子が溶解され、かつAg+イオンが放出される場合に生じると思われる。一般に、銀ナノ粒子の溶解を可能にする酸化剤は、水に溶解された二原子酸素(dioxygen)である。
引用したオーストラリア特許出願で提案されている洗浄溶液は、銀イオンの放出に関するこの原理に基づいている。しかし、溶液へのナノ粒子の溶解がどのように達成されるかは、必ずしも明白でない。製剤中への水酸化ナトリウムの存在、および生じる塩基性pHは、酸化銀の形成に好都合であり、添付の図1で示されるように、これらのナノ粒子の酸化を、したがってそれらの溶解を実際に抑制する。このことは、歯内治療中、およびおそらくはその後でさえ、低レベルであるナノ粒子の作用をもたらす。

概要

ナノ粒子の寿命を、例えば、歯内治療の継続時間、すなわち、約30〜60分に対応するように調節できる、または歯内治療の継続時間に比べてより長くなるように調節できる、歯内療法のためのナノ粒子含有洗浄溶液を提案すること。本発明は、歯内治療の前または歯内治療の間に混合されて歯内洗浄溶液を形成することを目的とした、第1製剤および第2製剤からなるセットを提案する。第1製剤は酸化剤を含む。第2製剤は、酸化剤による該粒子の酸化を減速するように処理された抗菌性ナノ粒子を含む。抗菌性ナノ粒子は、例えば、殻中にハイブリッド芯殻型構造の状態で封入される。1つの変形形態において、抗菌性ナノ粒子は、少なくとも2種の元素からなる合金から作製され、合金元素の1種は、他の元素に比べて、酸化に対してより抵抗性である。

目的

本発明は、歯内治療の前または歯内治療の間に混合して歯内洗浄溶液を形成することを目的とした

効果

実績

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請求項1

歯内治療の前または歯内治療の間に混合されて歯内洗浄溶液を形成することを目的とした第1製剤および第2製剤からなるセットであって、前記第1製剤が酸化剤を含み、前記第2製剤が、前記酸化剤によるそれらの粒子の酸化を減速するように処理された抗菌性ナノ粒子を含む、前記セット。

請求項2

前記抗菌性ナノ粒子が、銀、金、酸化チタン酸化銅酸化亜鉛、またはキトサンから調製される、請求項1に記載のセット。

請求項3

前記抗菌性ナノ粒子が、殻中に封入される、請求項1または2に記載のセット。

請求項4

前記殻が、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、またはポリマーから作製される、請求項3に記載のセット。

請求項5

前記殻が、多孔性、好ましくはメソ多孔性である、請求項3または4に記載のセット。

請求項6

前記殻が、それらの表面にグラフトされた官能基を含む、請求項3から5のいずれか1項に記載のセット。

請求項7

歯内治療の前または歯内治療の間に混合されて歯内洗浄溶液を形成することを目的とした第1製剤および第2製剤からなるセットであって、前記第1製剤が酸化剤を含み、前記第2製剤が、少なくとも2種の元素からなる合金から作製される抗菌性ナノ粒子を含み、元素の1種が、残りの元素に比べて酸化に対してより抵抗性である、前記セット。

請求項8

2種の元素が、銀および金である、請求項7に記載のセット。

請求項9

前記酸化剤が、過酸化物次亜塩素酸塩ハロゲン、過マンガン酸塩過塩素酸塩、または過ヨウ素酸塩である、請求項1から8のいずれか1項に記載のセット。

請求項10

前記酸化剤が過酸化水素である、請求項9に記載のセット。

請求項11

前記第1製剤が、さらに、キレート化剤を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載のセット。

請求項12

前記キレート化剤が、マレイン酸クエン酸エチレンジアミン四酢酸リンゴ酸グルコン酸乳酸グリコール酸プロパン酸酢酸マロン酸シュウ酸酒石酸リン酸、上に挙げた酸の塩、またはエチレンジアミンである、請求項11に記載のセット。

請求項13

前記第2製剤が、さらに、界面活性剤を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載のセット。

請求項14

請求項15

前記界面活性剤が、硝酸セチルトリメチルアンモニウムである、請求項13または14に記載のセット。

請求項16

前記第1製剤および前記第2製剤が、その混合物酸性pHを有する、請求項1から15のいずれか1項に記載のセット。

請求項17

前記第1製剤の組成が、前記第1製剤が、前記抗菌性ナノ粒子に対する酸化作用とは無関係に、象牙質に対して清掃作用を発揮するように選択される、請求項1から16のいずれか1項に記載のセット。

技術分野

0001

本発明は、歯内療法のための洗浄溶液(irrigation solution)に関する。

背景技術

0002

歯内治療中、歯科医は、各充填施術の後に、歯根管(root canal)を清掃し殺菌するための洗浄溶液を使用する。実際、機械式または非機械式ヤスリを使用する歯根管のインストルメンテーション(instrumentation)の段階は、生物組織一緒象牙質スラッジを構成する多量のを作り出す。象牙質細管を塞ぐこの微細な層は、根管閉鎖する最終ステップの前に、除去されなければならない。最近の先行技術は、各充填施術後の次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)での組織すすぎ洗い、それに続くEDTAエチレンジアミン四酢酸)での最終清掃を推奨しており、ここで、これらの2つの洗浄溶液は、一方が他方の作用を打ち消すので、同時に使用することはできない。
オーストラリア特許出願公開第2012/100480号は、エタノールソーダ水酸化ナトリウム)、および抗菌性ナノ粒子、例えば、銀、亜鉛または金のナノ粒子を含む別の洗浄溶液を提案している。
銀ナノ粒子は、医療分野において、それらの抗菌特性について実際に公知である。銀ナノ粒子の抗菌効果は、それらの粒子が溶解され、かつAg+イオンが放出される場合に生じると思われる。一般に、銀ナノ粒子の溶解を可能にする酸化剤は、水に溶解された二原子酸素(dioxygen)である。
引用したオーストラリア特許出願で提案されている洗浄溶液は、銀イオンの放出に関するこの原理に基づいている。しかし、溶液へのナノ粒子の溶解がどのように達成されるかは、必ずしも明白でない。製剤中への水酸化ナトリウムの存在、および生じる塩基性pHは、酸化銀の形成に好都合であり、添付の図1で示されるように、これらのナノ粒子の酸化を、したがってそれらの溶解を実際に抑制する。このことは、歯内治療中、およびおそらくはその後でさえ、低レベルであるナノ粒子の作用をもたらす。

先行技術

0003

オーストラリア特許出願公開第2012/100480号

発明が解決しようとする課題

0004

本発明は、ナノ粒子の寿命を、例えば、
・歯内治療の初めから終わりまでの強力な殺菌作用のために、歯内治療の継続時間、すなわち、約30〜60分に対応するように調節できる、または
・特定の部分酸化された粒子が、歯根管中に留まり、治療後に数時間さらには数日の間、強力な殺菌作用をもたらすことができるように、歯内治療の継続時間に比べてより長くなるように調節できる、歯内療法のためのナノ粒子含有洗浄溶液を提案することを目指す

課題を解決するための手段

0005

この目的に対して、本発明は、歯内治療の前または歯内治療の間に混合して歯内洗浄溶液を形成することを目的とした、第1製剤および第2製剤からなるセットを提供し、第1製剤は酸化剤を含み、第2製剤は、酸化剤によるそれら粒子の酸化を減速させるように加工処理された抗菌性ナノ粒子を含む。
したがって、本発明では、酸化剤の量、および抗菌性ナノ粒子の処理によって付与される保護からなる2つのパラメーターを、ナノ粒子の寿命、すなわちそれらの溶解速度を比較的正確な方式で調節するように操作することができる。抗菌性ナノ粒子の酸化は、第1製剤および第2製剤を混合した後に始まり、抗菌作用を発揮するイオンの連続的放出をもたらす。2つの前記パラメーターは、歯内治療の初めから終わりまでの強力な殺菌効果および/または長期効果を獲得するように選択することができる。

0006

1つの特定の実施形態によれば、抗菌性ナノ粒子は、殻中に封入され、かくして、殻と一緒になってハイブリッド芯殻(コアシェル型構造を形成する。
抗菌性ナノ粒子は、例えば、銀、金、酸化チタン酸化銅酸化亜鉛、またはキトサンから調製される。
殻は、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、またはポリマーから作製される。
殻は、好ましくは、多孔性、より好ましくはメソ多孔性である。
殻は、有利には、それらの表面上にグラフトされた官能基を含む。
酸化剤は、例えば、過酸化物次亜塩素酸塩ハロゲン、過マンガン酸塩過塩素酸塩、または過ヨウ素酸塩である。

0007

1つの特定の実施形態において、酸化剤は過酸化水素である。
第1製剤は、さらに、キレート化剤、例えば、マレイン酸クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、リンゴ酸グルコン酸乳酸グリコール酸プロパン酸酢酸マロン酸シュウ酸酒石酸リン酸、上に挙げた酸の塩、またはエチレンジアミンを含むことができる。
第2製剤は、さらに、界面活性剤、例えば、硫酸塩、スルホン酸塩リン酸塩アルキルカルボン酸塩アルキルアリールカルボン酸塩アルキルエーテルカルボン酸塩、第四級アンモニウムポリソルベート、またはジ−もしくはトリブロックポリマーを含むことができる。とりわけ、界面活性剤は、硝酸セチルトリメチルアンモニウムでよい。

0008

第1製剤および第2製剤は、好ましくは、その混合物酸性pHを有するようなものである。
第1製剤の組成は、有利には、第1製剤が、抗菌性ナノ粒子に対するその酸化作用とは無関係に、象牙質に対して洗浄作用を発揮するように選択される。
上で述べたと同様の目的で、本発明は、また、歯内治療の前または歯内治療の間に混合されて歯内洗浄溶液を形成することを目的とした、第1製剤および第2製剤からなるセットを提案し、第1製剤は酸化剤を含み、第2製剤は、少なくとも2種の元素からなる合金から作られる抗菌性ナノ粒子を含み、それらの元素の1種は、他の元素に比べて、酸化に対してより抵抗性である。2種の元素は、例えば、金と銀である。

図面の簡単な説明

0009

銀に関して計算された電位−pH図(いわゆる、「プールベ」ダイアグラム)を示す図である。
様々な厚さ(X:8nm;Y:15nm;Z:30nm)のシリカ殻中に封入された銀ナノ粒子を示す図である。
洗浄溶液の吸光度漸進的変化を時間の関数として示す図である。この図で、C1は、厚さ30nmのシリカ殻中に封入された銀ナノ粒子を含む本発明による洗浄溶液の吸光度曲線を示し、C2は、厚さ15nmのシリカ殻中に封入された銀ナノ粒子を含む本発明による洗浄溶液の吸光度曲線を示し、C3は、その銀ナノ粒子がである、すなわち殻中に封入されていないことを除けば、曲線C1およびC2のそれと同様である洗浄溶液の吸光度曲線を示す。
別の洗浄溶液の吸光度の漸進的変化を時間の関数として示す図である。この図で、C1’は、厚さ30nmのシリカ殻中に封入された銀ナノ粒子を含む本発明の変形形態による洗浄溶液の吸光度曲線を示し、C2’は、厚さ15nmのシリカ殻中に封入された銀ナノ粒子を含む本発明の前記変形形態による洗浄溶液の吸光度曲線を示し、C3’は、その銀ナノ粒子が裸であることを除けば、曲線C1’およびC2’のそれと同様である洗浄溶液の吸光度曲線を示す。
洗浄なしでの歯根管のインストルメンテーション後の、歯根管の壁を覆う象牙質スラッジを示す図である。
本発明による洗浄溶液による洗浄を伴う歯根管のインストルメンテーション後の、歯根管の壁を示す図である。

実施例

0010

本発明による歯内洗浄溶液は、好ましくは、液状溶液、好ましくは水性溶液の形態で存在する2つの製剤AおよびBを混合することによって得られる。溶液Aは、酸化剤およびキレート化剤を含有する。溶液Bは、芯殻型構造を備えたハイブリッドナノ粒子および界面活性剤を含有する。「ナノ粒子」は、本発明の枠組み内で、直径が1000nm未満、典型的には5〜1000nmの粒子であると解される。それ自体公知である方式で、芯殻型構造を備えたハイブリッドナノ粒子は、殻内に封入されたいわゆる「芯」ナノ粒子を含む。合成条件により、図2に示すように、単一の殻内に1つまたは複数の芯ナノ粒子を封入することができる。この図2は、同様に、殻の厚さが可変であることを示す。後で説明するように、芯粒子の溶解速度を制御するために、殻は、ナノ粒子の形成条件により、より厚いまたはより薄い厚さを有することができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、酸化剤は過酸化水素(または酸素化水(oxygenated water))であり、キレート化剤はマレイン酸であり、ハイブリッドナノ粒子は、銀芯ナノ粒子およびシリカ殻ナノ粒子(Ag@SiO2)を含み、界面活性剤はCTAN(硝酸セチルトリメチルアンモニウム)である。

0011

溶液AとBとを混合すると、過酸化水素(H2O2)は、ナノ粒子の金属銀Ag0を酸化して、銀イオンAg+を放出し、この種は、洗浄溶液A+BのpHが酸性なので、安定である。銀ナノ粒子の周りに形成されたシリカ殻は、これらのナノ粒子を保護し、保護されなければほんの数十秒で放出されるであろう銀イオンの放出を減速する。酸化剤である過酸化水素と銀粒子の周りの保護殻との組合せは、銀の溶解が、例えば歯内治療の継続時間に対応する時間、典型的には約30〜60分にわたって、またはより長期にわたってもたらされるように、銀の溶解動態を調節することを可能にする。そのキレート化作用により、マレイン酸は、銀ナノ粒子を不動態化することおよびAg2Oの形成を防止することによって、ひとたび酸化された銀ナノ粒子の溶解を援助する。最後に、CTANは、銀ナノ粒子を分散させ、したがってその溶解をも促進する。

0012

過酸化水素およびマレイン酸は、前に述べたそれらの機能に加えて、本発明による洗浄溶液での歯根管の洗浄中に、象牙質に対して清掃作用を、および象牙質スラッジに対して除去作用を発揮する。より正確には、酸および酸化媒体は、無機残渣(とりわけヒドロキシアパタイト)および有機残渣(とりわけ壊死組織および細菌性バイオフィルム)の溶解を可能にする。さらに、CTANは、シリカをメソ多孔性にし、その洗浄作用により歯根管の清掃にも関与する。洗浄溶液中にナノ粒子が存在すると、象牙質スラッジの除去効力を増加させる研磨作用を達成することが可能になる。

0013

提案された歯内洗浄溶液は、かくして、
・溶液A+Bは、したがって、種々の成分の酸化性、酸性、キレート形成性洗浄性、および研磨性に基づく即時的清掃を可能にする;
・溶液Aは、活性化される予定の銀ナノ粒子の溶解を可能にし、それらの粒子の殺菌作用に寄与する;という2つの異なる作用を発揮する。銀ナノ粒子の周りにシリカ殻が存在すると、粒子の溶解速度を歯内治療の継続時間と適合するようにするために、粒子の溶解速度を制御することが可能になる。図3は、洗浄溶液A+Bの吸光度の連続的低下、したがって銀ナノ粒子の連続的溶解を示す(参照、曲線C1:Ag@SiO2ナノ粒子が、厚さ30nmのSiO2殻を有する溶液;曲線C2:Ag@SiO2ナノ粒子が、厚さ15nmのSiO2殻を有する溶液)。図3は、比較として、殻のない銀ナノ粒子の溶解が、極めて急速であり、歯内治療に継続時間と適合性がないことを示す(曲線C3参照)。

0014

したがって、本発明の1つの特徴は、歯根管の即時的清掃を可能にする薬剤が、同時に、銀ナノ粒子の溶解を可能にする薬剤であるという事実にある。
前記のような本発明において、銀ナノ粒子の連続的溶解は、酸−酸化剤媒体が、溶液中でAg+イオンが安定である箇所(図1参照)で使用されるという事実のために可能である。それにもかかわらず、高濃度のCl-イオンの存在によって、またはアンモニアもしくはアミンの存在によって、銀イオンを安定化させるその他の手段を考えることも可能である。図4は、本発明のこのような変形形態における吸光度曲線C1’、C2’、C3’を示し、ここで、溶液Aは、過酸化水素、および硝酸アンモニウム(マレイン酸に代わって)を含む。溶液のpHは、したがって7に近く、銀(+1)種は、Ag(NH3)n+錯体の形成のため溶液中で安定である。この図4で、実際の溶解開始を示す変曲点は、図3の場合と同様、溶液AとBとを混合した後の同一長さの時点(厚さ15nmの殻では50秒、30nmの殻では250秒)にあることを観察することができる。その後、溶解速度はより速く、この混合は、ナノ粒子を溶解するのにより効果的である。このことは、ナノ粒子の溶解を減速することにおける、銀ナノ粒子の周りのシリカ殻の役割を証明し、このことは、ナノ粒子を溶解するために選択される溶液に無関係に、当てはまる

0015

抗菌性ナノ粒子の溶解速度を制限することに加えて、シリカ殻は、官能基をグラフトするための界面として役立つことができる。実際、典型的には銀の裸の抗菌性ナノ粒子上に基をグラフトすることは、ナノ粒子の表面原子上に基を、例えば、チオール官能基により直接的に固定することを含む。このような官能化の存在は、ナノ粒子の反応性、したがってとりわけそれらの溶解速度を大きく修正することができる。さらに、ナノ粒子の溶解が起こるにつれて、グラフトされた基は、ナノ粒子の表面から引き離され、したがってそれらの作用を失う。これらの理由のため、抗菌性ナノ粒子の周りに、官能基をグラフトすることが可能であり、かつナノ粒子の溶解中に比較的安定である界面層を準備することが好ましい。
したがって、シリカは、洗浄溶液の条件中でのその安定性のため、および種々の容易に利用可能な有機シランが官能化の広範な選択を可能にするため、この界面層を作り出すのに理想的な材料を構成する。それにもかかわらず、他の材料およびグラフト化手段を考えることができる。このような官能化は、ナノ粒子の挙動を修正するために、ナノ粒子の物理的または化学的表面特性を修正することを意図している。

0016

グラフトされる基は、
・ナノ粒子の表面電荷、したがって反対に帯電した表面、例えば象牙質の表面に対するそれらナノ粒子の親和性を修正するのに役立つ小さな官能基(スルホネート、アンモニウムなど);
・ナノ粒子の疎水性親水性を修正するのに役立つ小さな官能基(アルキルフェニルアルコールなど);
・1つの特定の種類の表面に対してより大きな親和性を有するナノ粒子を準備するのに役立つ小さな官能基(カルボキシレートホスホネートチオール、アミンなど);
生体ポリマーもつれあって、したがって細菌性バイオフィルムへの粘着粘液粘着機構)を優先的に増加させるポリマー鎖(例えば、ポリエチレングリコール);
・所定の分子受容体相互作用し、したがってこれらの受容体の近傍にナノ粒子を固定化することのできる特定の小分子
・特定の(例えば、細菌の膜中の)目標に結合することができ、したがって抗菌性ナノ粒子の正確な送り届けを可能にするペプチドまたはタンパク質;でよい。

0017

典型的には、溶液Aにおいて、過酸化水素は、0.1〜30質量%のレベル、好ましくは約6質量%のレベルで存在し、マレイン酸は、1〜60質量%のレベル、好ましくは約12質量%のレベルで存在する。
溶液Aと同じ容積を有することのできる溶液Bにおいて、Ag@SiO2ハイブリッドナノ粒子の量は、典型的には10〜10000mg/Lであり、好ましくは約400mg/L(約300mg/Lの銀および約100mg/Lのシリカ)に等しく、CTANの質量比は、典型的には0.1〜2.5%であり、好ましくは約0.5%に等しい。銀ナノ粒子の直径は、典型的には5〜250nmであり、好ましくは約30nmに等しい。シリカ殻の厚さは、典型的には2〜100nmである。

0018

実際には、溶液Aおよび溶液Bを、2つの別々の容器中に収容し、キットの形態で歯科医に提供することができる。溶液Aおよび溶液Bを、単一容器の2つの別々の区画に収容することもできる。溶液Aは、長期にわたって安定である。溶液Bも、酸素との接触を断って保存するなら、長期にわたって安定である。
歯内治療の前または歯内治療の間に、歯科医は、2つの溶液AおよびBを混合して、歯根管のそれぞれのインストルメンテーション後に歯根管を洗浄する洗浄溶液を形成する。溶液AおよびBの混合は、注入システムチューブ中で実施することもできる。2つの溶液AおよびBを混合すると、ナノ粒子は酸化剤と接触し、したがって銀の抗菌効果が活性化され、その抗菌効果は、銀ナノ粒子の溶解を減速させるシリカ殻のために歯内治療の初めから終わりまで持続する。銀イオンと対照的に、銀およびシリカナノ粒子は、歯の表面と良好な親和性を有し、それに容易に付着する。歯内治療の終末時点で、歯根管が閉鎖される。部分的に酸化された銀ナノ粒子の一部は、こうして閉鎖された歯根管中に留まり、施術後の数日の間、それらの殺菌作用を持続する。このようにして、直接的にインストルメンテーションがされていない歯根管の部分を含めて、銀イオンの放出および拡散によって、殺菌作用を達成することが可能となる。

0019

説明のために、図5は、洗浄を伴わない歯根管のインストルメンテーション後の歯根管壁を覆う象牙質スラッジを示す。図6は、本発明による溶液A+Bによる洗浄を伴う歯根管のインストルメンテーション後の歯根管壁を示す。象牙質スラッジが除去され、象牙質細管が、開放され浸食されていないことが注目される。各充填施術の後に、最終的なすすぎ洗い液としても使用される本発明による洗浄溶液は、歯根管の表面を効果的に清掃することを可能にする。溶液Bの銀ナノ粒子は、例えば、硝酸銀およびクエン酸ナトリウムから、それ自体公知である方式で得ることができる。

0020

シリカ殻は、APTES(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)およびTEOS(オルトケイ酸テトラエチル)から得ることができる。TEOSは、シリカマトリックスの大部分を形成する。APTESは、シリカを銀の表面に結合するのを助ける(Ag−NH2R結合の形成によって)。シリカ殻の厚さは、TEOSおよびAPTESの量を調節することによって、典型的には2〜100nmに調節することができる。溶解動態を制御および「平坦化」するために、シリカ殻は、複数種の大きさを有することができる(いくつかのバッチを調製しそれらを混合することによって)。したがって、より薄いシリカ層で覆われた一部の銀ナノ粒子は、より短期の殺菌効果を有し、より厚いシリカ層で覆われた別の部分の銀ナノ粒子はより長期の効果を有する。

0021

Ag@SiO2ハイブリッド粒子を合成するのに、その他の添加剤を使用することができる。例えば、グリセロールは、より良好な単分散性の銀芯粒子を得ることを可能にする。
本発明の変形形態において、過酸化水素の代替として、または過酸化水素に加えて、その他の酸化剤、例えば、別の過酸化物、次亜塩素酸塩、ジ−ハロゲン、過マンガン酸塩、過コール酸塩、および/または過ヨウ素酸塩を使用することができる。同様に、マレイン酸の代替として、またはマレイン酸に加えて、その他のキレート化剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、リンゴ酸、グルコン酸、乳酸、グリコール酸、プロパン酸、酢酸、マロン酸、シュウ酸、酒石酸、リン酸、上に挙げた酸の塩、またはエチレンジアミンを使用することができる。銀ナノ粒子の酸化物層中への組み込みのために、および銀ナノ粒子の溶解を促進するために、ハライドイオン(I-、Br-、F-)も使用することができる。最後に、CTANをCTAB臭化セチルトリメチルアンモニウム)で代替すること、またはCTANにCTABを付加することができる。しかし、臭素イオンは、銀の存在下で極めて不溶性であり、銀の利用能を低減するAgBr沈殿物を形成するので、CTANは、CTABと比較して好ましい。一般に、界面活性剤は、アニオン性(硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、アルキルカルボン酸塩、アルキルアリールカルボン酸塩、またはアルキルエーテルカルボン酸塩など)、カチオン性(第四級アンモニウムなど)、双性イオン性または非イオン性(ポリソルベートまたはジ−もしくはトリ−ブロックポリマーなど)でよい。

0022

前に説明したように、銀ナノ粒子は、酸化剤によるそれらの酸化を減速するため、シリカナノ粒子中に芯殻型構造の状態で封入される。殻の材料は、シリカ以外の材料、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、またはポリマー性被覆でよい。抗菌性芯材料は、銀以外の材料、例えば、金、酸化チタン、酸化銅、酸化亜鉛、またはキトサンでよい。

0023

また、抗菌性ナノ粒子の酸化を、それらの粒子を殻内に封入することとは別な方法でそれらの粒子を処理することによって、減速させることができる。例えば、抗菌性ナノ粒子の表面を、その表面上に溶解性の乏しい化合物、例えばAgBrまたはAg2Sを形成することによって、不動態化することが実現可能である。変形形態において、合金中の1種の元素のより大きな酸化抵抗性のため、酸化に対してより抵抗性のある合金、例えば金/銀の合金の状態で抗菌性ナノ粒子を作ることができる。

0024

最後に、液状溶液の形態で存在することに代わって、製剤AおよびBの少なくとも一方は、固体、例えば粉末の形態で存在できる。製剤AおよびBの双方が固体であるなら、歯科医自身が、それらを水または別の液体に溶解させることを考えることも可能である。

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