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技術 導電性積層体の製造方法、導電性積層体、色素増感型太陽電池用対向電極、色素増感型太陽電池および太陽電池モジュール

出願人 日本ゼオン株式会社
発明者 吉原明彦児島清茂
出願日 2014年1月31日 (3年11ヶ月経過) 出願番号 2014-017679
公開日 2015年8月13日 (2年5ヶ月経過) 公開番号 2015-146338
状態 特許登録済
技術分野
  • -
主要キーワード 標本標準偏差 曝露温度 製造用基材 カーボン層中 スーパーグロース法 バンドピーク 吸着済み 変性エポキシ系樹脂

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図面 (1)

課題

導電性と、触媒活性などの所望活性とに優れる導電性積層体製造方法を提供する。

解決手段

カーボン1、分散剤1および溶媒1を含有するカーボン分散液1を基材上に塗布乾燥させて第一カーボン層を形成する工程(1)と;カーボン2、分散剤2および溶媒2を含有するカーボン分散液2を工程(1)で得られた第一カーボン層上に塗布し乾燥させて第二カーボン層を形成する工程(2)と;少なくとも、工程(2)で得られた第二カーボン層を溶媒3で洗浄し、少なくとも、前記分散剤2の一部を前記第二カーボン層から除去する洗浄工程(3)、および/または、少なくとも、工程(2)で得られた第二カーボン層に対し、プラズマ処理UV処理およびオゾン処理からなる群より選択される少なくとも1つの処理を行って、少なくとも、前記第二カーボン層中に含まれている分散剤2の一部を分解する分解工程(4)と;を含む、導電性積層体の製造方法。

概要

背景

近年、太陽電池電極などに用いられる導電膜として、ITO(酸化インジウムスズ)以外の材料を用いた様々な導電膜の開発が進んでいる。具体的には、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)などのカーボン導電材料として配合したカーボン導電膜を太陽電池の電極などに用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。

また、そのような導電膜を適用する太陽電池としては、近年、色素増感型太陽電池などの有機系太陽電池が注目されている。中でも、色素増感型太陽電池は、軽量化が期待でき、広い照度範囲で安定して発電できることや、大掛かりな設備を必要とすることなく、比較的安価な材料を用いて製造し得ることから、特に注目を集めている。

ここで、色素増感型太陽電池は、通常、図1に示すように、光電極10、対向電極触媒電極)30、および、光電極10と対向電極30との間に位置する電解質層20を有している(例えば、特許文献2参照)。そして、光電極10は、支持体10aと、支持体10a上に設けられた導電層10bと、導電層10b上に設けられた多孔質半導体微粒子層10cおよび増感色素層10dとを備えている。また、対向電極30は、支持体30aと、支持体30a上に設けられた導電層30bと、導電層30b上に設けられた触媒層30cとを備えている。更に、光電極10の導電層10bと、対向電極30の導電層30bとは外部の回路40を介して接続されている。
そして、この色素増感型太陽電池では、光電極中の増感色素が光を受けて励起されると、増感色素の電子取り出され、取り出された電子が、光電極から出て、外部の回路を通って対向電極に移動し、さらに電解質層に移動する。

概要

導電性と、触媒活性などの所望活性とに優れる導電性積層体製造方法を提供する。カーボン1、分散剤1および溶媒1を含有するカーボン分散液1を基材上に塗布乾燥させて第一カーボン層を形成する工程(1)と;カーボン2、分散剤2および溶媒2を含有するカーボン分散液2を工程(1)で得られた第一カーボン層上に塗布し乾燥させて第二カーボン層を形成する工程(2)と;少なくとも、工程(2)で得られた第二カーボン層を溶媒3で洗浄し、少なくとも、前記分散剤2の一部を前記第二カーボン層から除去する洗浄工程(3)、および/または、少なくとも、工程(2)で得られた第二カーボン層に対し、プラズマ処理UV処理およびオゾン処理からなる群より選択される少なくとも1つの処理を行って、少なくとも、前記第二カーボン層中に含まれている分散剤2の一部を分解する分解工程(4)と;を含む、導電性積層体の製造方法。なし

目的

本発明は、導電性と、触媒活性などの所望の活性とに優れる導電性積層体の効率的な製造方法、および、導電性と、触媒活性などの所望の活性とに優れる導電性積層体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

カーボン1、分散剤1および溶媒1を含有するカーボン分散液1を基材上に塗布乾燥させて第一カーボン層を形成する工程(1)と;カーボン2、分散剤2および溶媒2を含有するカーボン分散液2を工程(1)で得られた第一カーボン層上に塗布し乾燥させて第二カーボン層を形成する工程(2)と;少なくとも、工程(2)で得られた第二カーボン層を溶媒3で洗浄し、少なくとも、前記分散剤2の一部を前記第二カーボン層から除去する洗浄工程(3)、および/または、少なくとも、工程(2)で得られた第二カーボン層に対し、プラズマ処理UV処理およびオゾン処理からなる群より選択される少なくとも1つの処理を行って、少なくとも、前記第二カーボン層中に含まれている分散剤2の一部を分解する分解工程(4)と、を含む、導電性積層体製造方法

請求項2

前記カーボン1と、前記カーボン2との少なくとも一方がカーボンナノチューブを含む、請求項1に記載の導電性積層体の製造方法。

請求項3

前記カーボンナノチューブの、窒素吸着によるBET比表面積が600m2/g以上2600m2/g以下であり、かつ、水蒸気吸着によるBET比表面積が0.01m2/g以上30m2/g以下である、請求項2に記載の導電性積層体の製造方法。

請求項4

前記カーボンナノチューブの平均長さが0.1μm以上10mm以下である、請求項2または3に記載の導電性積層体の製造方法。

請求項5

請求項1〜4いずれかに記載の製造方法により得られる導電性積層体。

請求項6

表面抵抗率が0.01Ω/□以上500Ω/□以下である、請求項5に記載の導電性積層体。

請求項7

請求項5または6に記載の導電性積層体を用いてなる色素増感型太陽電池用対向電極

請求項8

請求項7に記載の色素増感型太陽電池用対向電極を備えてなる色素増感型太陽電池

請求項9

請求項8に記載の色素増感型太陽電池を直列および/または並列に接続してなる太陽電池モジュール

技術分野

0001

本発明は、導電性積層体製造方法並びに、当該製造方法を用いて得られる導電性積層体、当該導電性積層体を用いた色素増感型太陽電池用対向電極色素増感型太陽電池および太陽電池モジュールに関するものである。

背景技術

0002

近年、太陽電池電極などに用いられる導電膜として、ITO(酸化インジウムスズ)以外の材料を用いた様々な導電膜の開発が進んでいる。具体的には、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)などのカーボン導電材料として配合したカーボン導電膜を太陽電池の電極などに用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。

0003

また、そのような導電膜を適用する太陽電池としては、近年、色素増感型太陽電池などの有機系太陽電池が注目されている。中でも、色素増感型太陽電池は、軽量化が期待でき、広い照度範囲で安定して発電できることや、大掛かりな設備を必要とすることなく、比較的安価な材料を用いて製造し得ることから、特に注目を集めている。

0004

ここで、色素増感型太陽電池は、通常、図1に示すように、光電極10、対向電極触媒電極)30、および、光電極10と対向電極30との間に位置する電解質層20を有している(例えば、特許文献2参照)。そして、光電極10は、支持体10aと、支持体10a上に設けられた導電層10bと、導電層10b上に設けられた多孔質半導体微粒子層10cおよび増感色素層10dとを備えている。また、対向電極30は、支持体30aと、支持体30a上に設けられた導電層30bと、導電層30b上に設けられた触媒層30cとを備えている。更に、光電極10の導電層10bと、対向電極30の導電層30bとは外部の回路40を介して接続されている。
そして、この色素増感型太陽電池では、光電極中の増感色素が光を受けて励起されると、増感色素の電子取り出され、取り出された電子が、光電極から出て、外部の回路を通って対向電極に移動し、さらに電解質層に移動する。

先行技術

0005

特許第5082016号公報
特開2013−16435号公報

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、カーボンは、色素増感型太陽電池の対向電極における酸化還元反応活性化する触媒としても機能し得る。そのため、カーボン導電膜を色素増感型太陽電池の対向電極に適用する場合、導電層と触媒層との双方をカーボン導電膜で形成することが考えられる。

0007

しかし、対向電極の導電層と触媒層との双方をカーボン導電膜で形成する場合など、カーボン導電膜を積層して導電性積層体として使用する場合には、当該導電性積層体には、導電性に加え、触媒活性などの所望の活性を発揮することが求められる。

0008

そこで、本発明は、導電性と、触媒活性などの所望の活性とに優れる導電性積層体の効率的な製造方法、および、導電性と、触媒活性などの所望の活性とに優れる導電性積層体を提供することを目的とする。
また、本発明は、導電性および触媒活性に優れる色素増感型太陽電池用対向電極を提供することを目的とする。
更に、本発明は、光電変換効率に優れる色素増感型太陽電池および太陽電池モジュールを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の導電性積層体の製造方法は、カーボン1、分散剤1および溶媒1を含有するカーボン分散液1を基材上に塗布乾燥させて第一カーボン層を形成する工程(1)と;カーボン2、分散剤2および溶媒2を含有するカーボン分散液2を工程(1)で得られた第一カーボン層上に塗布し乾燥させて第二カーボン層を形成する工程(2)と;少なくとも、工程(2)で得られた第二カーボン層を溶媒3で洗浄し、少なくとも、前記分散剤2の一部を前記第二カーボン層から除去する洗浄工程(3)、および/または、少なくとも、工程(2)で得られた第二カーボン層に対し、プラズマ処理UV処理およびオゾン処理からなる群より選択される少なくとも1つの処理を行って、少なくとも、前記第二カーボン層中に含まれている分散剤2の一部を分解する分解工程(4)と;を含む。このようにして得られる導電性積層体は、導電性と、触媒活性などの所望の活性との双方に優れている。

0010

ここで、本発明の導電性積層体の製造方法では、前記カーボン1と、前記カーボン2との少なくとも一方がカーボンナノチューブを含むことが好ましい。カーボンナノチューブを含有すれば、得られる導電性積層体において、導電性と、触媒活性などの所望の活性とが更に向上するからである。また、かかる導電性積層体の耐屈曲性も向上するからである。

0011

更に、本発明の導電性積層体の製造方法では、前記カーボンナノチューブの、窒素吸着によるBET比表面積が600m2/g以上2600m2/g以下であり、かつ、水蒸気吸着によるBET比表面積が0.01m2/g以上30m2/g以下であることが好ましい。上記範囲内のBET比表面積を有するカーボンナノチューブを使用すれば、得られる導電性積層体において、導電性と、触媒活性などの所望の活性と、耐屈曲性とを更に向上させることができるからである。
なお、本発明において、「BET比表面積」は、77Kにおける窒素吸着等温線および298Kにおける水蒸気吸着等温線をそれぞれ測定し、BET法により求めることができる。ここで、BET比表面積の測定には、例えば、「BELSORP(登録商標)−max」(日本ベル(株)製)を用いることができる。

0012

また、本発明の導電性積層体の製造方法では、前記カーボンナノチューブの平均長さが0.1μm以上10mm以下であることが好ましい。上記範囲内の平均長さを有するカーボンナノチューブを使用すれば、得られる導電性積層体において、導電性と、触媒活性などの所望の活性と、耐屈曲性とを更に向上させることができると共に、当該カーボンナノチューブを含むカーボン層を良好な膜形状とすることができるからである。
なお、本発明において、「カーボンナノチューブの平均長さ」は、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択したカーボンナノチューブ100本の長さを測定して求めることができる。

0013

そして、本発明の導電性積層体の製造方法により得られる、本発明の導電性積層体は、表面抵抗率が0.01Ω/□以上500Ω/□以下であることが好ましい。表面抵抗率が0.01Ω/□以上500Ω/□以下であれば、導電性と触媒活性などの所望の活性とを高いレベル両立することができるからである。
なお、本発明において、「表面抵抗率」は、JIS K7194に準拠し、抵抗率計を用いて四端子四探針法により測定することができる。

0014

また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の色素増感型太陽電池用対向電極は、上述した導電性積層体を用いてなることを特徴とする。この色素増感型太陽電池用対向電極は、上述した導電性積層体を用いているので、導電性および触媒活性に優れている。

0015

更に、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の色素増感型太陽電池は、上述した色素増感型太陽電池用対向電極を備えてなることを特徴とする。この色素増感型太陽電池は、上述した色素増感型太陽電池用対向電極を用いているので、光電変換効率に優れている。

0016

そして、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の太陽電池モジュールは、上述した色素増感型太陽電池を直列および/または並列に接続してなることを特徴とする。この太陽電池モジュールは、上述した色素増感型太陽電池を用いているので、光電変換効率に優れている。

発明の効果

0017

本発明によれば、導電性と、触媒活性などの所望の活性とに優れる導電性積層体の効率的な製造方法、および、導電性と、触媒活性などの所望の活性とに優れる導電性積層体を提供することができる。
また、本発明によれば、導電性および触媒活性に優れる色素増感型太陽電池用対向電極を提供することができる。
更に、本発明によれば、光電変換効率に優れる色素増感型太陽電池および太陽電池モジュールを提供することができる。

図面の簡単な説明

0018

色素増感型太陽電池の概略構成を示す図である。

0019

以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の導電性積層体の製造方法は、導電性と、触媒活性などの所望の活性とに優れる、カーボンを含有した導電性積層体を製造する際に用いることができる。そして、本発明の導電性積層体の製造方法を用いて製造した導電性積層体は、特に限定されることなく、色素増感型太陽電池用対向電極、色素増感型太陽電池および太陽電池モジュールなどの各種製品に用いることができる。

0020

(導電性積層体の製造方法)
本発明の導電性積層体の製造方法は、カーボン1、分散剤1および溶媒1を含有するカーボン分散液1を基材上に塗布し乾燥させて第一カーボン層を形成する工程(1)と;カーボン2、分散剤2および溶媒2を含有するカーボン分散液2を工程(1)で得られた第一カーボン層上に塗布し乾燥させて第二カーボン層を形成する工程(2)と;少なくとも、工程(2)で得られた第二カーボン層を溶媒3で洗浄し、少なくとも、前記分散剤2の一部を前記第二カーボン層から除去する洗浄工程(3)、および/または、少なくとも、工程(2)で得られた第二カーボン層に対し、プラズマ処理、UV処理およびオゾン処理からなる群より選択される少なくとも1つの処理を行って、少なくとも、前記第二カーボン層中に含まれている分散剤2の一部を分解する分解工程(4)と;を含む。
そして、本発明の導電性積層体の製造方法を用いて得られる本発明の導電性積層体では、第一カーボン層と第二カーボン層とはそれぞれ分散剤1と分散剤2とを含むが、洗浄工程(3)および/または分解工程(4)により主として第二カーボン層から分散剤2が除去されており、第二カーボン層のカーボン2の含有割合は第一カーボン層のカーボン1の含有割合よりも大きくなっている。かかる導電性積層体は、導電性と、触媒活性などの所望の活性との双方に優れる。

0021

<工程(1)>
工程(1)では、カーボン1、分散剤1および溶媒1を含有するカーボン分散液1を基材上に塗布し、塗布したカーボン分散液1を乾燥させて、導電性積層体を構成する第一カーボン層を形成する。なお、カーボン分散液1は、任意にその他の添加剤を更に含有していてもよい。

0022

[カーボン1]
第一カーボン層のカーボン1としては、特に限定されることなく、天然黒鉛活性炭人造黒鉛ケッチェンブラックアセチレンブラックカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ(CNT)などの導電性カーボンを用いることができる。中でも、カーボン1としては、CNTを用いることが好ましい。CNTは、導電性および機械的特性に優れており、第一カーボン層にCNTを使用すれば、第一カーボン層の導電性および耐屈曲性を向上させることができるからである。
なお、上述した導電性カーボンは、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。

0023

[[カーボンナノチューブ]]
ここで、カーボン1として好適なカーボンナノチューブとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。単層カーボンナノチューブを使用すれば、多層カーボンナノチューブを使用した場合と比較し、カーボン層の導電性および機械的特性を向上させることができる。

0024

ここで、CNTとしては、平均直径(Av)に対する、直径標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ)の比(3σ/Av)が0.20超0.60未満のCNTを用いることが好ましく、3σ/Avが0.25超のCNTを用いることがより好ましく、3σ/Avが0.50超のCNTを用いることが更に好ましい。3σ/Avが0.20超0.60未満のCNTを使用すれば、CNTの分散性が高まり、CNTの配合量が少量であっても、カーボン層の導電性および機械的特性を十分に高めることができる。従って、所望の導電性および機械的特性を有するカーボン層を得るために必要なCNTの配合量を低減して、導電性、機械的特性および透明性に優れるカーボン層を得ることができる。
なお、「カーボンナノチューブの平均直径(Av)」および「カーボンナノチューブの直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)」は、それぞれ、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択したカーボンナノチューブ100本の直径(外径)を測定して求めることができる。また、CNTの平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、CNTの製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られたCNTを複数種類組み合わせることにより調整してもよい。

0025

そして、本発明において、CNTとしては、前述のようにして測定した直径を横軸に、その頻度縦軸に取ってプロットし、ガウシアン近似した際に、正規分布を取るものが通常使用される。

0026

更に、CNTは、ラマン分光法を用いて評価した際に、Radial Breathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層カーボンナノチューブのラマンスペクトルには、RBMが存在しない。

0027

また、CNTは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が、通常、1以上100以下、好ましくは50以下、より好ましくは20以下である。G/D比が1以上100以下であれば、CNTの配合量が少量であっても、カーボン層の導電性および機械的特性を十分に高めることができる。従って、所望の導電性および機械的特性を有するカーボン層を得るために必要なCNTの配合量を低減して、導電性、機械的特性および透明性に優れるカーボン層を得ることができる。

0028

更に、CNTの平均直径(Av)は、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることが更に好ましく、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。CNTの平均直径(Av)が0.5nm以上であれば、CNTの凝集を抑制してカーボン層中でのCNTの分散性を高め、導電性および機械的特性に優れるカーボン層を得ることができる。また、CNTの平均直径(Av)が15nm以下であれば、導電性および機械的特性に優れるカーボン層を得ることができる。

0029

また、CNTは、平均長さが0.1μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることが更に好ましく、また、10mm以下であることが好ましい。CNTの平均長さが0.1μm以上であれば、CNTの配合量が少量であっても、カーボン層の導電性および機械的特性を十分に高めることができると共に、CNT同士が絡み合って良好な網目構造を形成するので、カーボン層の形状を良好な膜形状とすることができる。また、CNTの平均長さが10mm以下であれば、CNTの過度の凝集を抑制してカーボン層中でのCNTの分散性を高め、導電性および機械的特性に優れるカーボン層を得ることができる。

0030

また、CNTの窒素吸着によるBET比表面積は、600m2/g以上であることが好ましく、2600m2/g以下であることが好ましい。更に、CNTの水蒸気吸着によるBET比表面積は、0.01m2/g以上であることが好ましく、30m2/g以下であることが好ましい。
ここで、窒素吸着によるBET比表面積は、CNTの全表面を対象とした比表面積相当するのに対し、水蒸気吸着によるBET比表面積は、CNTの親水性表面部分を対象とした比表面積に相当する。従って、窒素吸着によるBET比表面積と水蒸気吸着によるBET比表面積が上記範囲となる割合の場合、CNTの表面に親水性表面部分が適度に存在し、CNTの分散性が優れたものとなる。また、窒素吸着によるBET比表面積が600m2/g以上であれば、カーボン層の導電性および機械的特性を十分に向上させることができる。更に、窒素吸着によるBET比表面積が2600m2/g以下であれば、CNTの凝集を抑制してカーボン層中でのCNTの分散性を高め、導電性および機械的特性に優れるカーボン層を得ることができる。

0031

更に、CNTの質量密度は、0.002g/cm3以上0.2g/cm3以下であることが好ましい。質量密度が0.2g/cm3以下であれば、CNT同士の結びつきが弱くなるので、CNTを均質分散させ、導電性および機械的特性に優れるカーボン層を得ることができる。また、質量密度が0.002g/cm3以上であれば、CNTの一体性を向上させ、バラけることを抑制できるため取り扱いが容易になる。

0032

また、CNTは、複数の微小孔を有することが好ましい。CNTは、中でも、孔径が2nmよりも小さいマイクロ孔を有するのが好ましく、その存在量としては、マイクロ孔容積で、好ましくは0.40mL/g以上、より好ましくは0.43mL/g以上、更に好ましくは0.45mL/g以上であり、上限としては、通常、0.65mL/g程度である。CNTが上記のようなマイクロ孔を有することで、CNTの凝集が抑制され、カーボン層中でのCNTの分散性が高まり、導電性および機械的特性に優れるカーボン層を効率的に得ることができる。なお、マイクロ孔容積は、例えば、CNTの調製方法および調製条件を適宜変更することで調整することができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、CNTの液体窒素温度(77K)での窒素吸脱着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(I):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素飽和蒸気圧であり、式(I)中、Mは吸着質窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cm3である。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP(登録商標)−mini」〔日本ベル(株)製〕を使用して容易に求めることができる。

0033

なお、上述した性状を有するCNTは、例えば、表面にCNT製造用触媒層を有する基材(以下、「CNT製造用基材」ということがある。)上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、CNT製造用触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法スーパーグロース法国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、アセチレンを主成分とする原料ガス(例えば、アセチレンを50体積%以上含むガス)を用いることにより、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。

0034

[分散剤1]
分散剤1としては、カーボン1を分散させうるものであれば特に限定されるものではなく、界面活性剤合成高分子および天然高分子などが挙げられる。

0035

ここで、界面活性剤としては、任意の、アニオン性界面活性剤カチオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤を用いることができる。具体的には、界面活性剤としては、例えば、ドデシルスルホン酸ナトリウムデオキシコール酸ナトリウムコール酸ナトリウムドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
また、合成高分子としては、例えば、ポリエチレンポリプロピレンポリスチレンポリビニルピロリドンカルボキシメチルセルロースヒドロキシエチルセルロースポリスチレンスルホン酸スルホン酸基含有単量体単位カルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン−ビニルアルコール酢酸ビニル共重合樹脂ジメチルアミノエチルアクリレートジメチルアミノエチルメタクリレートアクリル系樹脂エポキシ樹脂変性エポキシ系樹脂フェノキシ樹脂変性フェノキシ系樹脂フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂フッ素系樹脂メラミン樹脂アルキッド樹脂フェノール樹脂ポリアクリルアミドポリアクリル酸などが挙げられる。
天然高分子としては、例えば、多糖類であるデンプンプルランデキストランデキストリングアーガムキサンタンガムアミロースアミロペクチンアルギン酸アラビアガムカラギーナンコンドロイチン硫酸ヒアルロン酸カードランキチンキトサンセルロース、並びに、その塩または誘導体が挙げられる。誘導体とはエステルエーテルなどの従来公知の化合物意味する。

0036

上述した中でも、分散剤1としては、カーボン同士やカーボン層とカーボン層が形成される基材とを結着する結着材としても機能し得ることから、合成高分子および天然高分子が好適である。それらの中でも、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、スルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子がより好適であり、スルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子が特に好適である。
なお、分散剤1は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。

0037

以下、スルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子について説明する。なお、本発明において「単量体単位を含む」とは、「その単量体を用いて得た重合体中に単量体由来構造単位が含まれている」ことを意味する。

0038

ここで、スルホン酸基含有単量体単位を形成し得るスルホン酸基含有単量体は、スルホン酸基と、炭素−炭素不飽和結合などの他の単量体と共重合可能な基とを有するものであれば特に限定されないが、例えば、スチレンスルホン酸などの芳香族スルホン酸ビニルスルホン酸アリスルホン酸アクリルアミド−t−ブチル−スルホン酸、アクリルアミド−N−ブタンスルホン酸などを挙げることができる。なお、ここでスルホン酸基含有単量体は、そのスルホン酸基中、水素原子無機イオンあるいは有機イオン置換され、無機塩あるいは有機塩の形態となっていてもよい。すなわち、スルホン酸基含有単量体は、スルホン酸塩の形態となっていてもよい。
無機塩としては、アルカリ金属塩リチウム、ナトリウム、カリウムなど)などを挙げることができ、有機塩としては、アルキルアミン塩メチルアミンエチルアミンプロピルアミンブチルアミンジメチルアミンジエチルアミントリメチルアミントリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリ−t−ブチルアミンなど)、アリールアミンフェニルアミンベンジルアミンなど)などを挙げることができる。

0039

そしてこれらの中でも、スルホン酸基含有単量体としては、スチレンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミド−t−ブチル-スルホン酸、およびそれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム)が好ましく、スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム)がより好ましい。

0040

なお、スルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子中、スルホン酸基含有単量体単位が全単量体単位に占める割合は、通常、10モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、特に好ましくは40モル%以上であり、通常、90モル%以下、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下、特に好ましくは60モル%以下である。

0041

また、カルボキシ基含有単量体単位を形成し得るカルボキシ基含有単量体は、カルボキシ基と、炭素−炭素不飽和結合などの他の単量体と共重合可能な基とを有するものであれば特に限定されないが、アクリル酸メタクリル酸マレイン酸フマル酸イタコン酸などのエチレン性不飽和脂肪族カルボン酸や4−ビニル安息香酸などを挙げることができる。なお、ここでカルボキシ基含有単量体は、そのカルボキシ基中、水素原子が無機イオンあるいは有機イオンで置換され、無機塩あるいは有機塩の形態となっていてもよい。すなわち、カルボキシ基含有単量体は、カルボン酸塩の形態となっていてもよい。
ここで、無機塩、有機塩としては、上述したスルホン酸基含有単量体と同様のものが挙げられる。

0042

そしてこれらの中でも、エチレン性不飽和脂肪族カルボン酸およびその塩が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびそれらの塩がより好ましく、マレイン酸およびそのアルカリ金属塩(ナトリウム塩カリウム塩)が特に好ましい。

0043

なお、スルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子中、カルボキシ基含有単量体単位が全単量体単位に占める割合は、通常、10モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、特に好ましくは40モル%以上であり、通常、90モル%以下、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下、特に好ましくは60モル%以下である。

0044

また、スルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子は、上述したスルホン酸基含有単量体単位、カルボキシ基含有単量体単位以外にも任意の繰り返し単位を含んでいてもよい。このような任意の繰り返し単位を形成し得るその他の単量体としては、アクリル酸エステルアクリル酸メチルアクリル酸エチル、アクリル酸プロピルアクリル酸ブチルアクリル酸ベンジルなど)、メタクリル酸エステルメタクリル酸メチルメタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジルなど)、イタコン酸エステル(イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、イタコン酸プロピル、イタコン酸ブチル、イタコン酸ベンジルなど)、スチレンアクリロニトリルメタクリロニトリルアクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、イタコン酸アミド、N,N-ジメチルアクリルアミドなどを挙げることができる。

0045

なお、スルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子中、任意の繰り返し単位の含有割合は、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更により好ましくは10モル%、特に好ましくは5モル%以下である。

0046

そして、スルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子は、例えば、上述した単量体を含む単量体組成物反応溶媒中で重合することにより製造される。
ここで、単量体組成物中の各単量体の含有割合は、通常、所望の合成高分子における対応する単量体単位(繰り返し単位)の含有割合と同様にする。
反応溶媒、重合方法重合開始剤などは、公知のものを適宜選択して用いることができる。

0047

なお、スルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子の数平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは100万以上2500万以下であり、より好ましくは200万以上1500万以下であり、更に好ましくは300万以上1000万以下である。ここで、数平均分子量は、水を溶離液として使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、標準ポリエチレングリコールによる校正曲線と対比させることにより算出される。

0048

スルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子の具体的な例を以下に記載するが、スルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子は、これらに限定されるものではない。なお、以下の例示において「モル比」は、合成高分子中における各単量体単位のモル比を示す。
スチレンスルホン酸ナトリウムアクリル酸ナトリウム共重合体(モル比=1/1、平均重合度2万、数平均分子量300万2300)
・スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸ナトリウムの共重合体(モル比=1/1、平均重合度3万、数平均分子量472万8500)
・スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸カリウムの共重合体(モル比=2/1、平均重合度5万、数平均分子量871万0400)
・スチレンスルホン酸ナトリウム/イタコン酸ジナトリウムの共重合体(モル比=3/1、平均重合度5万、数平均分子量990万7800)
・スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸ジナトリウムの共重合体(モル比=1/1、平均重合度2万、数平均分子量366万2300)
・スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸ジナトリウムの共重合体(モル比=1/1、平均重合度5万、数平均分子量915万5700)
・スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸ジナトリウムの共重合体(モル比=1/1、平均重合度9万、数平均分子量1648万0300)
・スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸ジナトリウムの共重合体(モル比=3/1、平均重合度2万、数平均分子量389万3000)
・スチレンスルホン酸アンモニウム/マレイン酸ジアンモニウムの共重合体(モル比=1/1、平均重合度3万、数平均分子量526万6700)
・スチレンスルホン酸/マレイン酸の共重合体(モル比=1/1、平均重合度2万、数平均分子量322万2000)
・スチレンスルホン酸ナトリウム/フマル酸ジナトリウムの共重合体(モル比=1/1、平均重合度2万、数平均分子量366万3300)
・ビニルスルホン酸ナトリウム/アクリル酸ナトリウムの共重合体(モル比=1/1、平均重合度5万、数平均分子量224万1400)
・アリルスルホン酸ナトリウム/アクリル酸ナトリウムの共重合体(モル比=1/1、平均重合度2万、数平均分子量238万1600)
・アクリルアミド−N−ブタンスルホン酸ナトリウム/アクリル酸ナトリウムの共重合体(モル比=1/1、平均重合度8万、数平均分子量1205万1600)
・スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸ジナトリウム/アクリル酸アミドの共重合体(モル比=2/2/1、平均重合度3万、数平均分子量557万7300)
・スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸ジナトリウム/マレイン酸モノメチルナトリウムの共重合体(モル比=2/2/1、平均重合度1.5万、数平均分子量297万7600)
・スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸ジナトリウム/アクリル酸ナトリウムの共重合体(モル比=3/2/1、平均重合度2.5万、数平均分子量497万7300)

0049

スルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子を使用することで、カーボンを良好に分散させることができると共に、基材と第一カーボン層とを良好に接着させることができる。さらに、通常、分散剤はカーボン層中で抵抗となることが多く、カーボン層および導電性積層体の導電性を低下させ得る。しかし、スルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子は、カーボンを極めて良好に分散させるため、実質的に抵抗要因として影響することがなく、優れた導電性を有するカーボン層および導電性積層体を得ることができる。

0050

[任意の添加剤]
第一カーボン層に配合する任意の添加剤としては、製造する導電膜の用途に応じて、充填材安定化剤着色剤電荷調整剤滑剤金属ナノ粒子などの既知の添加剤を用いることができる。

0051

[第一カーボン層の形成]
第一カーボン層は、上記各成分を溶媒1と混合してカーボン分散液1を得て、それを基材上に塗布し、乾燥させて形成する。

0053

カーボン分散液1は、上述したカーボン1、分散剤1、溶媒1、および任意のその他の添加剤を既知の混合分散機(例えば、ボールミルビーズミルサンドミルロールミルホモジナイザー超音波ホモジナイザー高圧ホモジナイザー超音波装置アトライター、デゾルバーペイントシェーカー等)を用いて混合することにより、製造することができる。

0054

カーボン分散液1を塗布する基材としては、特に限定されることなく、製造する導電性積層体の用途に応じて既知の基材を用いることができる。例えば、樹脂基材ガラス基材などを挙げることができる。樹脂基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルポリイミドポリフェニレンスルフィドアラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸ポリ塩化ビニルポリカーボネートポリメタクリル酸メチル脂環式アクリル樹脂シクロオレフィン樹脂トリアセチルセルロースなどよりなる基材を挙げることができる。ガラス基材としては、通常のソーダガラスよりなる基材を挙げることができる。

0055

そして、カーボン分散液1を基材上に塗布する方法としては、公知の塗布方法を採用できる。具体的には、塗布方法としては、ディッピング法ロールコート法グラビアコート法ナイフコート法、エアナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法スクリーン印刷法スプレーコート法グラビアオフセット法等を用いることができる。

0056

更に、塗布したカーボン分散液1を乾燥する方法としては、公知の乾燥方法を採用できる。乾燥方法としては、熱風乾燥法、真空乾燥法熱ロール乾燥法赤外線照射法等が挙げられる。乾燥温度は、特に限定されないが、通常、室温〜200℃、乾燥時間は、特に限定されないが、通常、0.1〜150分である。

0057

<工程(2)>
工程(2)では、カーボン2、分散剤2および溶媒2を含有するカーボン分散液2を工程(1)で得られた第一カーボン層上に塗布し、塗布したカーボン分散液2を乾燥させて、導電性積層体を構成する第二カーボン層を形成する。なお、第二カーボン層は、第一カーボン層上に直接形成してもよいし、本発明の効果を奏する範囲内で任意の追加層を介して第一カーボン層上に形成してもよい。また、カーボン分散液2は、任意にその他の添加剤を更に含有していてもよい。

0058

[カーボン2]
第二カーボン層のカーボン2としては、特に限定されることなく、第一カーボン層のカーボン1と同様の導電性カーボンを用いることができる。中でも、カーボン2としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノファイバー、CNTを用いることが好ましい。特にCNTは、導電性および機械的特性に加え、触媒活性にも優れており、CNTを使用すれば、導電性と、触媒活性などの所望の活性と、耐屈曲性とを向上させることができるので、好ましい。

0059

なお、カーボン2として使用するCNTも、第一カーボン層のカーボン1として用い得るCNTの好適な性状と同様の性状を有していることが好ましい。上述した性状を有するCNTは、導電性および機械的特性に加え、触媒活性にも優れているため、上述したCNTを使用すれば、導電性と、触媒活性などの所望の活性と、耐屈曲性とを更に向上させることができる。

0060

[分散剤2]
分散剤2としては、カーボン2を分散させうるものであれば特に限定されるものではなく、第一カーボン層に関して上述したものと同様のものが挙げられる。後述するように本発明の導電性積層体の製造においては、分散剤2は第二カーボン層から洗浄および/または分解により除去されるため、分散剤2としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの、洗浄および/または分解により容易に除去可能なものが好ましい。

0061

[任意の添加剤]
第二カーボン層に配合する任意の添加剤としては、第一カーボン層と同様の添加剤を用いることができる。

0062

[第二カーボン層の形成]
第二カーボン層は、上記各成分を溶媒2と混合してカーボン分散液2を得て、それを工程(1)で得られた第一カーボン層上に塗布し、乾燥させて形成する。
ここで、溶媒2としては前記溶媒1と同様のものが挙げられる。
なお、第二カーボン層の形成は、第一カーボン層の場合に準じ、カーボン分散液2を得た後、これを前記第一カーボン層上に塗布し、乾燥させることにより行なうことができる。

0063

そして、本発明の導電性積層体の製造方法においては、工程(2)の後、以下の工程(3)および工程(4)の少なくとも一方を行う。なお、より効率的に第2カーボン層から分散剤2を除去する観点からは、工程(3)および工程(4)の双方を行うのが好ましい。

0064

<工程(3)>
工程(3)では、少なくとも、工程(2)で得られた第二カーボン層を溶媒3で洗浄し、少なくとも、前記分散剤2の一部を前記第二カーボン層から除去する。なお、本工程では、第一カーボン層が同時に洗浄され、当該第一カーボン層に含まれている分散剤1の一部が除去されてもよい。
前記洗浄は、例えば、工程(1)と工程(2)により得られた、第一カーボン層と、当該第一カーボン層上に形成された第二カーボン層とからなる積層体に対して行えばよい。洗浄では、当該積層体と、分散剤2を溶解可能な溶媒3とを接触させ、第二カーボン層中の分散剤2を溶媒3中に溶出させることにより、第二カーボン層中の分散剤2の一部を第二カーボン層から除去する。この際、第一カーボン層から分散剤1の一部が除去されてもよい。

0065

なお、分散剤2を溶解可能な溶媒3としては、特に限定されることなく、カーボン分散液2の溶媒2と同じものを使用することができる。中でも、取り扱いの容易性などの観点からは、溶媒3としては、水、アルコール類、アセトンやメチルイソブチルケトンなどのケトン類、N−メチルピロリドンなどのアミド系極性有機溶媒などが好ましい。

0066

そして、上述した溶媒3を用いた積層体の洗浄は、例えば、積層体の溶媒3中への浸漬、または、溶媒3の積層体への塗布により行なうことができる。なお、積層体の洗浄は複数回に分けて行なってもよい。また、洗浄後の積層体は、既知の方法を用いて乾燥させることができる。
なお、溶媒3中への浸漬により分散剤2の除去を行なう場合には、浸漬時間は、30秒間以上とするのが好ましく、1分間以上とするのがより好ましく、30分間以上とするのが更に好ましく、1時間以上とするのが特に好ましい。また、6時間以下とするのが好ましく、3時間以下とするのがより好ましい。浸漬時間を30秒間以上とすれば、十分に分散剤2を除去することができるからである。また、浸漬時間を6時間以下とすれば、分散剤2を十分に除去することができると共に、過度の洗浄により第一または第二カーボン層からカーボンが脱落したり、基材から積層体が剥離したりするのを防止することができるからである。

0067

<工程(4)>
工程(4)では、少なくとも、工程(2)で得られた第二カーボン層に対し、プラズマ処理、UV処理およびオゾン処理からなる群より選択される少なくとも1つの処理(以下、「分解処理」と称することがある。)を行って、少なくとも、前記第二カーボン層中に含まれている分散剤2の一部を分解する。本工程では、第一カーボン層に対しても同時に分解処理が行われ、当該第一カーボン層に含まれている分散剤1の一部が分解されてもよい。
なお、工程(3)および工程(4)の双方を行う場合、工程(3)での洗浄を経た第二カーボン層に対し、工程(4)で分解処理を行うのが好ましい。即ち、工程(3)および工程(4)の双方を行う場合、工程(3)での洗浄の後に第二カーボン層中に残存している分散剤2を工程(4)で分解することが好ましい。

0068

前記分解処理は、例えば、第一カーボン層と、当該第一カーボン層上に形成された第二カーボン層とからなる積層体に対して行えばよい。積層体の分解処理では、積層体に対し、プラズマ処理、UV処理およびオゾン処理からなる群より選択される少なくとも1つの処理を行うことにより、少なくとも、第二カーボン層中に含まれている分散剤2の一部を分解する。この際、第一カーボン層中の分散剤1の一部が分解されてもよい。なお、分解処理の際に生じる分解物は、任意に、分解処理を行った後に洗浄などの手法を用いて除去してもよい。

0069

[プラズマ処理]
ここで、積層体のプラズマ処理では、積層体をプラズマ曝すことにより、第二カーボン層中に存在している分散剤2を分解する。具体的には、積層体のプラズマ処理は、アルゴンネオンヘリウム、窒素、二酸化窒素酸素空気等を含む容器内に積層体を配置し、グロー放電により生ずるプラズマに積層体(特に、第二カーボン層)を曝すことにより行なうことができる。なお、プラズマ発生放電形式としては、(1)直流放電および低周波放電、(2)ラジオ波放電、(3)マイクロ波放電などを用いることができる。
プラズマ処理の条件は、特に限定されるものではないが、処理強度は、プラズマ照射面の単位面積当たりエネルギー出力が0.05〜2.0W/cm2であることが好ましく、ガス圧力は、5〜150Paが好ましい。処理時間は、適時選択すればよいが、通常、1〜300分間、好ましくは10〜180分間、より好ましくは15〜60分間である。

0070

[UV処理]
積層体のUV処理では、積層体に紫外線(UV)を照射することにより、第二カーボン層中に存在している分散剤2を分解する。具体的には、積層体のUV処理では、低圧水銀灯高圧水銀灯超高圧水銀灯キセノンランプメタルハライドランプカーボンアークランプ紫外線レーザー発生装置等の紫外線光源から放射された紫外線を空気中で積層体(特に、第二カーボン層)に照射する。なお、紫外線の照射前に紫外線吸収剤で積層体の第二カーボン層の表面を処理してもよい。
ここで、積層体に照射する紫外線の波長は適宜選択できるが、紫外線の波長は、300nm以上が好ましく、500nm以下が好ましく、360nm以下がより好ましい。
また、紫外線照射は、第二カーボン層中に存在している分散剤2の量および目的とする分散剤2の除去率を考慮して照射時間と紫外線の強度を適宜設定することにより行われる。なお、紫外線の照射時間は、通常、30秒間から6時間、より好ましくは1分間から2時間、さらに好ましくは1時間以下である。

0071

[オゾン処理]
積層体のオゾン処理では、積層体とオゾン分子とを接触させることにより、第二カーボン層中に存在している分散剤2を分解する。具体的には、積層体のオゾン処理は、積層体(特に、第二カーボン層)をオゾンに曝露することによって行われる。曝露方法は、オゾンが存在する雰囲気に積層体を所定時間保持する方法、積層体の第二カーボン層にオゾン気流を所定時間接触させる方法など、適宜の方法で行うことができる。
ここで、積層体に接触させるオゾンは、空気、酸素ガス、または酸素添加空気等の酸素含有気体オゾン発生装置に供給することによって発生させることができる。得られたオゾン含有気体を、積層体を保持してある容器、処理槽等に導入して、オゾン処理を行う。オゾン含有気体中のオゾン濃度、曝露時間、曝露温度などの諸条件は、第二カーボン層中に存在している分散剤2の量および目的とする分散剤2の除去率を考慮して適宜定めることができる。具体的には、オゾン処理は、例えば、酸素または空気の気流を使用し、濃度1〜200mg/Lのオゾン含有気体を発生させ、流量20〜2000mL/分、温度0〜80℃で、1分間〜24時間行うことができる。

0072

なお、処理の容易性の観点からは、分解処理としては、少なくともUV処理を用いることが好ましい。

0073

ここで、上述した洗浄および/または分解処理を行った場合、特に第二カーボン層中の分散剤2の量が減少し、第二カーボン層のカーボン2の含有割合が向上するが、カーボン2としてSGCNT等の長さが長いCNTを使用した場合、当該CNTは互いに絡まり合って網目構造を形成しているので、分散剤2が除去されても、層形状を良好に維持することができる。

0074

なお、上述した洗浄および/または分解処理を用いて導電性積層体を形成する場合には、分散剤1としてスルホン酸基含有単量体単位とカルボキシ基含有単量体単位とを含む合成高分子を使用し、分散剤2としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される少なくとも一つを使用することが好ましい。このような分散剤を組み合わせて用いれば、第一カーボン層に含まれる分散剤1により基材と積層体とを良好に接着させつつ、洗浄および/または分解処理により第二カーボン層に含まれる分散剤2を良好に除去することができるからである。
なお、洗浄および分解処理は、基材上に形成した積層体に対して実施してもよいし、基材から剥離した積層体に対して実施してもよい。

0075

(導電性積層体)
以上により、本発明の導電性積層体が得られる。上述した洗浄および/または分解処理を行うことで、特に、第二カーボン層に含まれる分散剤2の含有割合が減り、一方、第二カーボン層に含まれるカーボン2の含有割合が増加する。その結果、質量基準で、第二カーボン層中のカーボン2の含有割合が、第一カーボン層中のカーボン1の含有割合よりも大きくなる。また、第二カーボン層の表面に存在する分散剤2が除去されて、より多くのカーボン2が第二カーボン層の表面に露出することになる。従って、本発明の導電性積層体では、特に、第二カーボン層の触媒活性が向上する。

0076

<導電性積層体の性状>
そして、本発明の導電性積層体は、表面抵抗率が0.01Ω/□以上500Ω/□以下であることが好ましい。表面抵抗率が500Ω/□以下であれば、十分に高い導電性が得られる。また、表面抵抗率が0.01Ω/□以上であれば、カーボンを多量に配合する必要がなく、透明性の低下を抑制することができる。なお、表面抵抗率は、カーボンの配合量や種類などを変更することにより調整することができる。

0077

(色素増感型太陽電池)
図1に示すように、本発明に係る色素増感型太陽電池100は、光電極10と、電解質層20と、対向電極30とを有しており、電解質層20は、光電極10と対向電極30との間に位置している。そして、光電極10は、支持体10aと、支持体10a上に設けられた導電層10bと、半導体微粒子よりなる多孔質半導体微粒子層10cと、多孔質半導体微粒子層10cの半導体微粒子の表面に吸着した増感色素よりなる増感色素層10dとを備えており、多孔質半導体微粒子層10cおよび増感色素層10dは導電層10b上に形成されている。また、対向電極30は、支持体30aと、支持体30a上に設けられた導電層30bと、導電層30b上に設けられた触媒層30cとを備えている。更に、光電極10の導電層10bと、対向電極30の導電層30bとは外部の回路40を介して接続されている。

0078

ここで、本発明に係る色素増感型太陽電池100は、対向電極30として下記の本発明に係る色素増感型太陽電池用対向電極を使用することを大きな特徴の一つとする。そして、色素増感型太陽電池100は、導電性および触媒活性に優れる色素増感型太陽電池用対向電極を使用しているので、光電変換効率に優れている。

0079

<色素増感型太陽電池用対向電極>
本発明に係る対向電極30は、導電層30bおよび触媒層30cとして上述した導電性積層体を用いる以外は、従来公知のものを使用して形成することができる。

0080

従って、対向電極30の支持体30aとしては、透明樹脂基材やガラス基材を用いることができ、特に透明樹脂基材を用いることが好ましい。透明樹脂基材の形成に用いる透明樹脂としては、シクロオレフィンポリマーCOP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレンSPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)等の合成樹脂が挙げられる。

0081

そして、本発明に係る対向電極30では、上述した導電性積層体の第一カーボン層を導電層30bとして使用し、導電性積層体の第二カーボン層を触媒層30cとして使用することを大きな特徴の一つとする。即ち、本発明に係る対向電極30は、支持体30a上に、第一カーボン層が支持体30a側となるように導電性積層体を形成することにより、調製される。
なお、このような導電性積層体を用いた対向電極30は、第二カーボン層が優れた触媒活性を発揮すると共に、導電性積層体が優れた導電性を発揮するので、触媒活性および導電性に優れている。

0082

色素増感型太陽電池用光電極
色素増感型太陽電池用光電極10としては、従来公知のものを使用することができる。

0083

具体的には、光電極10の支持体10aとしては、対向電極30の支持体30aと同様のものを用いることができる。

0084

導電層10bとしては、特に限定されることなく、インジウムスズ酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の酸化物よりなる導電膜、PEDOT〔ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)〕/PSS(ポリスチレンスルホン酸)などの、ポリチオフェン類ポリアニリン類などの導電性高分子よりなる導電膜、天然黒鉛、活性炭、人造黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)などの導電性カーボンを含有する導電膜を用いることができる。

0085

また、光電極10の多孔質半導体微粒子層10cは、例えば、酸化チタン酸化亜鉛酸化スズ等の金属酸化物粒子(半導体微粒子)を用いて形成することができる。なお、多孔質半導体微粒子層10cは、プレス法、水熱分解法、泳動電着法バインダーフリーコーティング法等により、形成することができる。

0086

さらに、多孔質半導体微粒子層10cの半導体微粒子の表面に吸着して増感色素層10dを形成する増感色素としては、シアニン色素メロシアニン色素オキソノール色素キサンテン色素スクワリリウム色素ポリメチン色素クマリン色素リボフラビン色素ペリレン色素等の有機色素;鉄、銅、ルテニウム等の金属フタロシアニン錯体ポルフィリン錯体等の金属錯体色素;等が挙げられる。
なお、増感色素層10dは、例えば、増感色素の溶液中に多孔質半導体微粒子層10cを浸漬する方法や、増感色素の溶液を多孔質半導体微粒子層10c上に塗布する方法等により、形成することができる。

0087

<電解質層>
電解質層20は、通常、支持電解質酸化還元対(酸化還元反応において可逆的に酸化体および還元体の形で相互変換しうる一対化学種)、溶媒等を含有している。

0088

ここで、支持電解質としては、リチウムイオンイミダゾリウムイオン、4級アンモニウムイオン等の陽イオンを含む塩が挙げられる。
また、酸化還元対としては、酸化された増感色素を還元し得るものであれば、よく、塩素化合物塩素ヨウ素化合物ヨウ素、臭素化合物臭素タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、コバルトイオン(III)−コバルトイオン(II)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオン、フェリシアン化物フェロシアン化物キノンヒドロキノン、フマル酸−コハク酸等が挙げられる。
さらに、溶媒としては、太陽電池の電解質層の形成用溶媒であるアセトニトリルメトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド炭酸プロピレン等が挙げられる。

0089

なお、電解質層20は、その構成成分を含有する溶液(電解液)を光電極10上に塗布したり、光電極10と対向電極30とを有するセルを作製し、その隙間に電解液を注入したりすることで形成することができる。

0090

(太陽電池モジュール)
本発明に係る太陽電池モジュールは、前述した色素増感型太陽電池が直列および/または並列に接続されてなるものである。
ここで、本発明の太陽電池モジュールは、例えば、本発明に係る色素増感型太陽電池を平面状または曲面上に配列し、各電池間非導電性隔壁を設けるとともに、各電池の光電極や対向電極を導電性の部材を用いて電気的に接続することで得ることができる。
そして、本発明に係る太陽電池モジュールは、本発明に係る色素増感型太陽電池を用いているので、光電変換効率に優れている。
なお、太陽電池モジュールの形成に使用する色素増感型太陽電池の数は特に限定されず、目的の電圧に応じて適宜決定することができる。

0091

以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において作製した対向電極層フィルムの表面抵抗率および耐屈曲性、並びに、色素増感型太陽電池素子変換効率は、以下の方法を使用して評価した。

0092

<表面抵抗率>
作製した対向電極層フィルムについて、JIS K7194に準拠し、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、製品名「ロレスタ(登録商標)GP」)を用いて四端子四探針法にて表面抵抗率を測定した。
<耐屈曲性>
作製した対向電極層フィルムを50mm×150mmにカットしてサンプルを得た。そして、このサンプルの両短辺に沿って幅10mm長さ50mmの範囲で銀ペースト(太陽インキ製造(株)製、ECM−100AF4820)を塗布し、温度90℃で30分間乾燥させて、端子電極を形成した。このサンプルの第二カーボン層(触媒層)側の中央部に直径5mmの金属円柱を固定し、この円柱に沿って、円柱の抱き角0°(サンプルが平面の状態)から、円柱の抱き角が180°(円柱を中心にしてサンプルを折り返した状態)となる範囲で、20回折曲げ動作を行った。この折り曲げ前の端子電極間抵抗値をR0、折り曲げ後の端子電極間の抵抗値をRとしたときに、R/R0で表される抵抗値変化率を耐屈曲性の指標とした。なお、端子電極間の抵抗値はデジタルマルチメーター(カイセ社製、KT−2011)で測定した。そして、以下の基準判断した。
R/R0≦10:○(耐屈曲性が良好)
R/R0>10:×(耐屈曲性が悪い)
<変換効率>
光源として、150Wキセノンランプ光源にAM1.5Gフィルタ装着した擬似太陽光照射装置(PEC−L11型、ペクセル・テクノロジーズ社製)を用いた。光量は、1sun(AM1.5G、100mW/cm2(JIS C8912のクラスA))に調整した。作製した色素増感型太陽電池素子をソースメータ(2400型ソースメータ、Keithley社製)に接続し、以下の電流電圧特性の測定を行なった。
1sunの光照射下、バイアス電圧を0Vから0.8Vまで0.01V単位で変化させながら出力電流を測定した。出力電流の測定は、各電圧ステップにおいて、電圧を変化させた後、0.05秒後から0.15秒後までの値を積算することで行った。バイアス電圧を、逆方向に0.8Vから0Vまで変化させる測定も行い、順方向と逆方向の測定の平均値光電流とした。
なお、測定に際しては、色素増感型太陽電池素子の有効面積を規定するため、直径5.5mmの円形状のくり抜き部分を有する黒色遮光マスクを使用した。作製した色素増感型太陽電池素子の光電極の上にマスクを置くことにより、有効面積を0.2376cm2とした。
上記の電流電圧特性の測定結果より、光電変換効率(%)を算出した。

0093

(実施例1)
<カーボンナノチューブの合成>
国際公開第2006/011655号の記載に従って、スーパーグロース法によってSGCNTを得た。
得られたSGCNTは、窒素吸着によるBET比表面積が804m2/g、水蒸気吸着によるBET比表面積が2.4m2/g、質量密度が0.03g/cm3、マイクロ孔容積が0.44mL/gであった。また、透過型電子顕微鏡を用い、無作為に100本のSGCNTの直径を測定した結果、平均直径(Av)が3.3nm、直径の標本標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ)が1.9nm、(3σ/Av)が0.58、平均長さが100μmであった。また、得られたSGCNTは、主に単層CNTにより構成されていた。
<色素増感型太陽電池用対向電極の作製>
容量30mLのサンプル瓶にカーボン2としてのSGCNTを0.005gと、分散剤2としてのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(CMC)を0.005gとを量りとり、イオン交換水10gを加えた後、硝酸を用いてpHを4に調整した。これをバス型超音波分散機で30分間処理することで、カーボンナノチューブ分散液2(溶液A)を得た。
また、容量30mLのガラス製容器にカーボン1としてのSGCNTを0.020gと、分散剤1としてのスチレンスルホン酸ナトリウム(50)/マレイン酸ジナトリウム(50)の共重合体(モル比=1/1、平均重合度5万、数平均分子量915万5700)を0.040gとを量りとり、イオン交換水8mLとエタノール2mLとを加えた後、1N塩酸を用いてpHを2に調整した。これを超音波ホモジナイザーで氷冷分散処理(出力50W、120分間)し、カーボンナノチューブ分散液1(溶液B)を得た。なお、前記共重合体の各単量体名の後の括弧中に記載する数値は、該共重合体中におけるその単量体由来の単量体単位の含有割合(モル%)を示し、「モル比」は、該共重合体中における各単量体単位のモル比を示す。
次に、調製した溶液Bを、対向電極の支持体となる基材としての、表面樹脂層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡(株)社製、A4100、厚さ100μm、A4サイズ)上にバーコーターを用いて塗布した。SGCNTの塗布量は、25mg/m2であった。溶液Bを塗布した基材を、温度80℃の乾燥機内で5分間乾燥させた。
続いて、溶液Aを上述のPETフィルムの溶液Bを塗布した面(溶液Bを乾燥させてなるフィルム上)にバーコーターを用いて塗布した。SGCNTの塗布量は、10mg/m2であった。そして、溶液Aを塗布したフィルムを温度80℃で5分乾燥して、溶液Bを乾燥させてなるフィルム(第一カーボン層)と溶液Aを乾燥させてなるフィルム(第二カーボン層)との積層体をPETフィルム上に形成した。
その後、PETフィルム上に形成した積層体を、イオン交換水中に2時間浸漬させた後、乾燥させた。そして、積層体に対して更に低圧水銀ランプを用いたUV処理を15分間行い、第二カーボン層からCMCを実質的に除去した。そして、導電性積層体としての対向電極層フィルム(UV処理後の積層体)をPETフィルム上に積層してなる色素増感型太陽電池用対向電極を作製した。
<色素増感型太陽電池用光電極の作製>
色素溶液の調製]
ルテニウム錯体色素(N719、ソラロニクス社製)7.2mgを20mLのメスフラスコ入れた。tert−ブタノール10mLをメスフラスコに添加し、攪拌した。その後、アセトニトリル8mLを加え、メスフラスコに栓をした後、超音波洗浄器による振動により、60分間攪拌した。溶液を常温に保ちながら、アセトニトリルを加え、全量を20mLとした。
[光電極の調製]
ITO−PENフィルムよりなる基板上に、低温成膜酸化チタンペースト(ペクセル・テクノロジーズ社製)を塗布し、塗膜を乾燥後、ホットプレートを用いて温度150℃で10分間加熱することにより多孔質酸化チタン電極を作製した。この酸化チタン電極を上記N719色素溶液(0.3mM)に浸漬した。このとき、充分な色素吸着を行うため、色素溶液は、電極一枚当たり、2mL以上を目安とした。
色素溶液を40℃に保ちながら色素を吸着させた。2時間後、シャーレから色素吸着済み酸化チタン電極を取り出し、アセトニトリル溶液にて洗浄して乾燥させ、光電極とした。
<色素増感型太陽電池素子の作製>
厚さ25μmの熱融着フィルム(SOLARONIX社製)の内側を直径9mmの円形状にくりぬき、このフィルムを対向電極上にセットした。電解液を滴下し、光電極を上から重ね合わせ、みの虫クリップで両側を挟むことで色素増感型太陽電池素子を作製した。そして、変換効率を評価した。結果を表1に示す。

0094

(実施例2)
色素増感型太陽電池用対向電極を作製する際に、溶液Aに替えて下記の溶液Cを用いた以外は実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池用対向電極、色素増感型太陽電池用光電極および色素増感型太陽電池素子を作製した。そして、変換効率を評価した。結果を表1に示す。
[溶液Cの調製]
容量50mLのサンプル瓶にカーボン2としてのSGCNTを0.005gと、分散剤2としてのドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム30%水溶液(製品名「ダウファックス(登録商標)2A1」、ダウケミカル社製)0.03gとを量りとり、イオン交換水10gを加えた。これをバス型超音波分散機で30分間処理することで、カーボンナノチューブ分散液2(溶液C)を得た。

0095

(比較例1)
色素増感型太陽電池用対向電極を作製する際に、溶液Aに替えて下記の溶液Dを使用し、PETフィルム上に形成した積層体のイオン交換水への浸漬およびUV処理を実施せず、溶液Bを乾燥させてなるフィルム(第一カーボン層)と溶液Dを乾燥させてなるフィルム(第二カーボン層)との積層体よりなる対向電極層フィルムをPETフィルム上に積層して色素増感型太陽電池用対向電極とした以外は実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池用光電極および色素増感型太陽電池素子を作製した。そして、変換効率を評価した。結果を表1に示す。
[溶液Dの調製]
分散剤2としてのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(CMC)の配合量を0.0115gとした以外は溶液Aと同様にしてカーボンナノチューブ分散液(溶液D)を得た。

0096

(比較例2)
以下のようにして作製した色素増感型太陽電池用対向電極を使用した以外は実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池用光電極および色素増感型太陽電池素子を作製した。そして、変換効率を評価した。結果を表1に示す。
<色素増感型太陽電池用対向電極の作製>
インジウムスズ酸化物(ITO)をスパッタ処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ITO膜厚み200nm、シート抵抗15Ω/□)のITO面上に、バーコーターを用いて溶液Aを塗布した。SGCNTの塗布量は、10mg/m2であった。そして、溶液Aを塗布したフィルムを温度100℃で5分乾燥して、溶液Aを乾燥させてなるフィルムをPETフィルムのITO膜上に形成した。
その後、PETフィルム上に形成した、ITO膜および溶液Aを乾燥させてなるフィルムよりなる積層体を、イオン交換水中に2時間浸漬させた後、乾燥させた。そして、積層体に対して更に低圧水銀ランプを用いたUV処理を15分間行い、導電性積層体としての対向電極層フィルム(UV処理後の積層体)をPETフィルム上に積層してなる色素増感型太陽電池用対向電極を作製した。

0097

実施例

0098

表1より、実施例1〜2の対向電極層フィルムは、表面抵抗率が低く、且つ、耐屈曲性に優れている(即ち、導電性および機械的特性に優れている)ことが分かる。また、実施例1〜2の色素増感型太陽電池素子は、変換効率にも優れている(即ち、導電性および触媒活性に優れている)ことが分かる。

0099

本発明によれば、導電性と、触媒活性などの所望の活性とに優れる導電性積層体の効率的な製造方法および該導電性積層体を提供することができる。
また、本発明によれば、導電性および触媒活性に優れる色素増感型太陽電池用対向電極を提供することができる。
更に、本発明によれば、光電変換効率に優れる色素増感型太陽電池および太陽電池モジュールを提供することができる。

0100

10光電極
30対向電極
20電解質層
10a,30a支持体
10b,30b導電層
10c多孔質半導体微粒子層
10d増感色素層
30c触媒層
40回路
100 色素増感型太陽電池

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