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技術 プレグラウトPC鋼材及びそのプレグラウト層の硬化方法

出願人 住友電工スチールワイヤー株式会社住友電気工業株式会社
発明者 大島克仁山田眞人松原喜之松下公則田中秀一菅原潤中島晋吾
出願日 2014年12月4日 (6年7ヶ月経過) 出願番号 2014-245912
公開日 2015年8月6日 (5年11ヶ月経過) 公開番号 2015-143464
状態 特許登録済
技術分野 建築物の補強部材 現場におけるコンクリートの補強物挿入作業
主要キーワード 製作説明図 外層外 筒状シース 硬化度合 緊張荷重 デュロメータ硬度 ストレッチング処理 ブルーイング処理
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図面 (11)

課題

プレグラウト層へのフィル樹脂の主添加をPC鋼より線緊張時とし、その緊張時をプレグラウト層の硬化促進始期とする硬化方法を提供する。

解決手段

19本撚りPC鋼より線1と、その外周に配されたプレグラウト層2と、そのプレグラウト層2の外周を被うシース3を有するプレグラウトPC鋼材10であり、各鋼線側線)1b、1c、1dの間にフィル樹脂4が充填され、PC鋼より線が緊張されると、各鋼線間の空隙が縮小し、その縮小に伴って初めてフィル樹脂が各鋼線間からプレグラウト層に流れ出て(滲出して)硬化させ、プレグラウト層の硬化促進始期は、コンクリート打設し終わった後のPC鋼より線を緊張してコンクリートに圧縮応力を与えるプレストレス時となる。

概要

背景

一般的なポストテンション工法は、コンクリートに予め埋設された筒状シースPC鋼材を挿入して緊張定着し、その緊張力反力により、コンクリートに圧縮応力を与えるものであり、引張強度が弱いというコンクリートの欠点を補うものである。
このポストテンション工法において、シースとPC鋼材の間にはセメントミルク等のグラウト材注入混入して、PC鋼材とコンクリートの接着、PC鋼材の腐食を防止する。

上記グラウト材の注入作業は、施工現場で行うため煩雑であり、コストアップ要因となる。このため、上記シース、PC鋼材及びグラウト材を予め有するプレグラウトPC鋼材を使用することが行われている。このプレグラウトPC鋼材は、複数の鋼線素線)を撚り合わせたPC鋼より線と、そのPC鋼より線の外周にそのPC鋼より線を収納するように配されたプレグラウト層と、そのプレグラウト層の外周を被うシースを有する構成である(特許文献1 段落0005、図2参照)。

このプレグラウトPC鋼材を使用したポストテンション工法において、プレグラウト材(プレグラウト層)は、PC鋼より線を緊張するまで硬化しない長い緊張可能期間が要求され、PC鋼より線に緊張力を付与して定着後(コンクリートを圧縮後)、常温で硬化する必要がある。
このため、その作用を担保するために、所要の時間でグラウト材を硬化させるべく、硬化時間に応じたグラウト材の組成、粘度等を定めたり(特許文献1 請求項1)、硬化時間に応じた混合比率硬化剤を混合したり(特許文献2 請求項1)、同グラウト材の配合を工夫したりした種々のグラウト材が提案されている(特許文献3 請求項1)。

概要

プレグラウト層へのフィル樹脂の主添加をPC鋼より線の緊張時とし、その緊張時をプレグラウト層の硬化促進始期とする硬化方法を提供する。19本撚りPC鋼より線1と、その外周に配されたプレグラウト層2と、そのプレグラウト層2の外周を被うシース3を有するプレグラウトPC鋼材10であり、各鋼線(側線)1b、1c、1dの間にフィル樹脂4が充填され、PC鋼より線が緊張されると、各鋼線間の空隙が縮小し、その縮小に伴って初めてフィル樹脂が各鋼線間からプレグラウト層に流れ出て(滲出して)硬化させ、プレグラウト層の硬化促進始期は、コンクリートを打設し終わった後のPC鋼より線を緊張してコンクリートに圧縮応力を与えるプレストレス時となる。

目的

この発明は、上記の実情に鑑み、上記加熱等以外の手段でもってプレグラウト層の硬化をその促進が望まれる始期からなし得るようにすることを課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

複数の鋼線を撚ったPC鋼より線と、そのPC鋼より線の外周にそのPC鋼より線を収納するように配されたプレグラウト層と、そのプレグラウト層の外周を被うシースを有するプレグラウトPC鋼材であって、上記PC鋼より線の各鋼線の間にプレグラウト硬化を促進するフィル樹脂充填され、そのフィル樹脂は、前記PC鋼より線の緊張前にはプレグラウト層側には滲出されず、緊張時にその緊張力によってプレグラウト層に滲出するプレグラウトPC鋼材。

請求項2

上記鋼線の層の間にスペーサを介在して各層間の上記フィル樹脂が充填される空隙を大きくした請求項1に記載のプレグラウトPC鋼材。

請求項3

上記プレグラウト層がエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂を主成分とする樹脂からなり、上記フィル樹脂は、そのエポキシ樹脂硬化剤である請求項1又は2に記載のプレグラウトPC鋼材。

請求項4

上記プレグラウト層がエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂を主成分とする樹脂からなり、上記フィル樹脂は、エポキシ樹脂とそのエポキシ樹脂硬化剤の混合物である請求項1又は2に記載のプレグラウトPC鋼材。

請求項5

上記フィル樹脂に、その増粘性用、チクソトロピー性上用又はタレ防止用フィラーを添加した請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のプレグラウトPC鋼材。

請求項6

請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のプレグラウトPC鋼材の上記プレグラウト層の硬化方法であって、前記プレグラウトPC鋼材をコンクリート埋設し、そのPC鋼より線を緊張して前記コンクリートに圧縮力を与える際の前記緊張時の緊張力でもって、上記フィル樹脂を前記プレグラウト層内に流出させて硬化させるプレグラウトPC鋼材のプレグラウト層の硬化方法。

技術分野

0001

この発明は、プレストレストコンクリート(PC)ポストテンション工法等のPC施工方法において使用されるプレグラウトPC鋼材、及びそのプレグラウトPC鋼材のプレグラウト層硬化方法に関する。

背景技術

0002

一般的なポストテンション工法は、コンクリートに予め埋設された筒状シースPC鋼材を挿入して緊張定着し、その緊張力反力により、コンクリートに圧縮応力を与えるものであり、引張強度が弱いというコンクリートの欠点を補うものである。
このポストテンション工法において、シースとPC鋼材の間にはセメントミルク等のグラウト材注入混入して、PC鋼材とコンクリートの接着、PC鋼材の腐食を防止する。

0003

上記グラウト材の注入作業は、施工現場で行うため煩雑であり、コストアップ要因となる。このため、上記シース、PC鋼材及びグラウト材を予め有するプレグラウトPC鋼材を使用することが行われている。このプレグラウトPC鋼材は、複数の鋼線素線)を撚り合わせたPC鋼より線と、そのPC鋼より線の外周にそのPC鋼より線を収納するように配されたプレグラウト層と、そのプレグラウト層の外周を被うシースを有する構成である(特許文献1 段落0005、図2参照)。

0004

このプレグラウトPC鋼材を使用したポストテンション工法において、プレグラウト材(プレグラウト層)は、PC鋼より線を緊張するまで硬化しない長い緊張可能期間が要求され、PC鋼より線に緊張力を付与して定着後(コンクリートを圧縮後)、常温で硬化する必要がある。
このため、その作用を担保するために、所要の時間でグラウト材を硬化させるべく、硬化時間に応じたグラウト材の組成、粘度等を定めたり(特許文献1 請求項1)、硬化時間に応じた混合比率硬化剤を混合したり(特許文献2 請求項1)、同グラウト材の配合を工夫したりした種々のグラウト材が提案されている(特許文献3 請求項1)。

先行技術

0005

特開2003−172001号公報
特開2000−281967号公報
特開2009−108497号公報
特開2007−211486号公報
特開2012−154097号公報
特開平05−200825号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上記従来の各プレグラウトPC鋼材は、何れも、前もって硬化剤を混合したり、グラウト材の配合等に工夫をしたりしたものである。しかし、硬化度合は、気温等の環境によって変化するとともに、工期予定をずれる場合が多く、その工期が長くなった場合には、グラウト材の硬化が進行してPC鋼材の緊張作業に支障が生じる恐れがある。
こうした実情から、緊張可能期間は可能な限り長めに要求されることが多い。そのため、現在適用されているプレグラウト層の樹脂は緊張可能期間を伸ばす方向で配合設計されている。しかし、緊張可能期間と硬化時間はトレードオフの関係にあるから、通常、プレグラウト層が完全に硬化するまでに数年を必要としている。

0007

一方、プレグラウト層を任意の時に硬化させる手段として、発熱体をシース内に設けたものがある(特許文献4)。しかし、PC鋼より線の緊張後に発熱体に通電させる必要があり、作業が煩雑になる。
また、プレグラウト層にその硬化剤入りカプセルを混入したものがある(特許文献5、要約)。しかし、この技術は、PC鋼線材の緊張力でプレグラウト層を介しそのカプセルを破壊して硬化剤をプレグラウト層に流出させるため、カプセルの破壊が円滑になされない恐れがある。すなわち、プレグラウト層の硬化時間が不安定である。
なお、特許文献1段落0022にも、硬化剤を皮膜包み込んだマイクロカプセルをプレグラウト層に混入する考えが示されているが、このカプセルはプレグラウト層内の水等や熱加熱により皮膜が溶けることによって破壊し、その中の硬化剤をプレグラウト層内に流出させるものである。

0008

この発明は、上記の実情に鑑み、上記加熱等以外の手段でもってプレグラウト層の硬化をその促進が望まれる始期からなし得るようにすることを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

上記課題を達成するために、この発明は、複数の鋼線を撚ったPC鋼より線と、そのPC鋼より線の外周にそのPC鋼より線を収納するように配されたプレグラウト層と、そのプレグラウト層の外周を被うシースを有するプレグラウトPC鋼材であって、前記PC鋼より線の各鋼線の間にプレグラウト硬化を促進するフィル樹脂が充填され、そのフィル樹脂は、前記PC鋼より線の緊張前にはプレグラウト層側には滲出せず、緊張時にその緊張力によってプレグラウト層に滲出する構成を採用したのである。

発明の効果

0010

この発明は、以上のように構成したので、プレグラウト層の硬化促進が望まれる始期である、PC鋼より線を緊張してコンクリートに圧縮応力を与える時から、フィル樹脂のプレグラウト層への流出が始まって硬化が進行するため、PC鋼より線の緊張作用に支障なく、工期の短縮を図ることができる。

図面の簡単な説明

0011

この発明に係るプレグラウトPC鋼材の一実施例の断面図である。
同実施例の製作説明図である。
同実施例の製作説明図である。
同実施例の製作説明図である。
他の実施例の断面図である。
同実施例の製作説明図である。
さらに他の実施例の断面図である。
同実施例の製作説明図である。
さらに他の実施例の断面図である。
さらに他の実施例の断面図である。

実施例

0012

(この発明の実施形態の説明)
この発明に係るプレグラウトPC鋼材の実施形態は、複数の鋼線を撚ったPC鋼より線と、そのPC鋼より線の外周にそのPC鋼より線を収納するように配されたプレグラウト層と、そのプレグラウト層の外周を被うシースを有するプレグラウトPC鋼材において、前記PC鋼より線の各鋼線の間にプレグラウト硬化を促進するフィル樹脂(以下、フィル樹脂)が充填され、そのフィル樹脂は、前記PC鋼より線の緊張前にはプレグラウト層側には滲出せず、緊張時にその緊張力によってプレグラウト層に滲出する構成を採用する。

0013

すなわち、上記プレグラウト層の硬化促進が望まれる始期は、コンクリートを打設し終わった後、そのコンクリートにプレストレス、すなわち、PC鋼材の緊張・定着作用を行って、その緊張力の反力により、コンクリートに圧縮応力を与える時である。このため、まず、その緊張力によるコンクリートに圧縮応力を与える時にプレグラウト層の硬化促進を行なうようにしたのである。
つぎに、そのプレストレス時にプレグラウト層の硬化促進を図るべく、PC鋼より線の鋼線間にプレグラウトの硬化を促進させるフィル樹脂を充填したのである。この構成により、PC鋼より線を緊張するまで(緊張・定着作用の開始前)は、PC鋼より線の鋼線間にあるフィル樹脂が滲出せず、緊張時における鋼線間の空隙の縮小により初めてフィル樹脂が滲出してプレグラウト層を硬化させる。

0014

以上から、この構成であると、PC鋼より線を緊張するまで、フィル樹脂はプレグラウト層に流れ出ず、プレグラウト層の硬化によるPC鋼より線の緊張作業への支障が生じない。一方、PC鋼より線が緊張されると、各鋼線間の空隙は確実に縮小するため、その縮小に伴って初めてフィル樹脂がプレグラウト層に流れ出て(滲出して)硬化させることとなる。すなわち、プレグラウト層の硬化促進始期は、コンクリートを打設し終わった後のPC鋼より線を緊張してコンクリートに圧縮応力を与えるプレストレス時となる。

0015

この構成において、上記鋼線の層の間にスペーサ等を介在して各層間のフィル樹脂が充填される空隙を大きくすれば、その空隙に充填されるフィル樹脂の量を多くすることができるため、プレグラウト層の硬化度合いの調整がし易くなる。

0016

プレグラウト層は、従来から使用されている周知の樹脂、例えばエポキシ樹脂やそのエポキシ樹脂を主成分とする樹脂等を採用し得る。
また、フィル樹脂は、緊張作業のPC鋼より線鋼線間の空隙の縮小によって、その鋼線間からグラウト樹脂層(プレグラウト層)に滲出し、グラウト樹脂層の硬化を促進するものであり、プレグラウト層がエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂を主成分とする樹脂の場合は、そのエポキシ樹脂の硬化剤等が考えられる。フィル樹脂は、粉体またはこれらを粒状化したビーズ等でも良いが、吸湿によって溶けたり、PC鋼より線の緊張力で破壊したりする皮膜で包まれた(フィル樹脂が収納された)マイクロカプセル型でも良い。

0017

そのフィル樹脂に用いるエポキシ樹脂硬化剤は、その硬化剤のみ(単独)でも良いが、適宜、バインダー樹脂を混合することができる。そのバインダー樹脂の種類は特に限定されるものではないが、最終的にグラウト樹脂とともに硬化することができるエポキシ樹脂が好ましい。

0018

エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えばアミン系化合物酸無水物系化合物アミド系化合物フェノール系化合物カルボン酸系化合物などが挙げられる。これら硬化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。硬化剤の種類は特に限定されるものではないが、鋼材の緊張可能期間の観点からケチミンが好ましい。

0019

また、バインダー樹脂に用いるエポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂トリフェニルメタン型エポキシ樹脂フェノールアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。エポキシ樹脂の種類は特に限定されるものではないが、粘度や取り扱いの容易さからビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。

0020

フィル樹脂をエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の混合物とする場合、その組み合わせにより最適なエポキシ樹脂硬化剤の配合量は異なるが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とケチミンの組み合わせである場合、ケチミンの配合量は2.5〜30phr、好ましくは、3.5〜20phr、更に好ましくは、4.5〜15phrである。
ケチミンの配合量が少なすぎる場合は、硬化速度が充分でなくなる可能性があり、多すぎた場合は鋼材の緊張可能期間が充分でなくなる可能性がある。

0021

フィル樹脂には、必要に応じて無機充填剤フィラー)を添加することができる。このフィラーの添加により、フィル樹脂の増粘性チクソトロピー性及びタレ防止性のそれぞれの向上を図ることができる。その無機充填剤としては、結晶シリカ溶融シリカアルミナジルコン珪酸カルシウム炭酸カルシウム酸化カルシウム炭化ケイ素窒化ケイ素窒化ホウ素ジルコニアフォステライトステアタイトスピネルチタニアタルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら充填材は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤の含有量は、この発明の硬化性樹脂組成物中において0〜95重量%を占める量が用いられる。更にこの発明のフィル樹脂には、シランカップリング剤ステアリン酸パルミチン酸ステアリン酸亜鉛ステアリン酸カルシウム等の離型剤顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。

0022

このプレグラウトPC鋼材によるコンクリートへのプレストレス導入は、従来と同様に、コンクリートにプレグラウトPC鋼材を予め埋設し、そのコンクリートの打設が終了後、そのPC鋼より線を緊張して行う。
このとき、その緊張力でもって、PC鋼より線の鋼線間の空隙を縮小させ、その空隙に充填したフィル樹脂をプレグラウト層内に滲出して硬化させる。

0023

(この発明の実施形態の詳細)
一実施例を図1に示し、この実施例のプレグラウトPC鋼材10は、従来と同様に、ピアノ線等の複数の鋼線1a、1b、1c、1dを撚り合わせた複数層のPC鋼より線1と、そのPC鋼より線1の外周にそのPC鋼より線1を収納するように配されたエポキシ樹脂(グラウト材)からなるプレグラウト層2と、そのプレグラウト層2の外周を被うポリエチレンからなるシース3を有し、側線(鋼線)1b、1cおよび1d間(空隙)にフィル樹脂4を充填させた構成である。
この実施例では、鋼線1a、1b、1cの各径:6.0〜7.0mm、同1d:約5mm、同数:19本、PC鋼より線1の径:28.6mm、シース厚:約1.5mmとした。また、フィル樹脂4は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とケチミンの混合物を使用し、そのエポキシ樹脂に対するケチミンの配合量は10phrとした。

0024

このプレグラウトPC鋼材10の製造は、まず、図2Aに示すように、心線(鋼線)1aの周囲に内層:6本の側線(内層鋼線)1bを、その内層の周り外層:12本の側線(外層鋼線)1c、1dをそれぞれ撚り合わせ、その撚り線1を、ストレッチング処理を行なった後、又はストレッチング処理と同時にブルーイング処理を行なって撚り合わせ状態を安定させる。

0025

つぎに、図2Bに示すように、その撚り線1の外層の一部の側線1dの撚りを部分的に順次緩解して開きつつ、残りの素線1a、1b、1cからなる撚り線をフィル樹脂4の混練槽に通過させる。この混練槽内の通過によって、側線1dを除く撚り線1b、1c周囲にフィル樹脂4が被覆される。その後、側線1dの撚りを戻し、図2Cに示すように、そのフィル樹脂4を被覆し撚りを戻した撚り線1を、その撚り線1の外周面形状内周面形状ダイス5に通過させて、撚り線1の外周面一部のフィル樹脂4(側線1c、1dの外周面のフィル樹脂4)を除去するととともに各側線1b、1cおよび1d間にフィル樹脂4を充填させる。この撚り線1の内外層の撚りを部分的に順次緩解して開きつつ、心線1a、側線1b、1cを樹脂被覆する手段(開撚り手段)は、特許文献6段落0012〜0034、図1〜図10に記載のように周知なものである。

0026

このようにして、各側線1b、1cおよび1d間にフィル樹脂4が充填された撚り線(PC鋼より線)1の外周に、従来と同様に、プレグラウト層2を介在してシース3を押出し成形して、図1に示すプレグラウトPC鋼材10を得る。そのプレグラウト層2によるPC鋼より線1の収納時、その撚り線1の外周面は、上記ダイス5への通過によってフィル樹脂4が除去されているとともに、内外層鋼線1b、1c、1d間のフィル樹脂4は各鋼線1b、1c、1dの撚り合わせによる圧接によって外層外周に滲み出すことはない。このため、プレグラウト層2にフィル樹脂4が触れることは殆ど無いため、上記緊張可能期間を十分に得ることができる。

0027

このプレグラウトPC鋼材10は、従来と同様にして、ポストテンション工法において使用し、コンクリートを打設して硬化後、PC鋼より線1を緊張し、その緊張力の反力により、コンクリートに圧縮応力を与える。
このとき、そのPC鋼より線1の緊張力を500〜700kNとしたところ、フィル樹脂4がプレグラウト層2に流れ出た(滲出した)。このフィル樹脂4の流出によって、従来の流出なしのものと比較して半分ほどの期間でプレグラウト層2の完全な硬化を得ることができた。

0028

なお、このプレグラウトPC鋼材10がドラムに巻かれた状態を想定し、このプレグラウトPC鋼材10の曲げ試験曲率半径:1.0m、30秒保持)を行なったところ、フィル樹脂4の滲出は認められなかった。

0029

この実施例において、図3に示すように、内層の隣り合う側線1b、1bと側線1cの間(空隙)にもフィル樹脂4を充填することができ、このときは、図4に示すように、その側線1cおよび1dの撚りを部分的に順次緩解して開きつつ、残りの素線1a、1bからなる撚り線をフィル樹脂4の混練槽に通過させる。さらに、図5に示すように、心線1aと内層の側線1bの間(空隙)にもフィル樹脂4を充填することができ、このときは、図6に示すように、その側線1cおよび1dの撚りを部分的に順次緩解して開くとともに、側線1bを少し緩解しつつ、その素線1a、1bからなる開撚り線をフィル樹脂4の混練槽に通過させる。これらの何れの場合も、図2Aに示す撚り線1を使用し、図2Cに示すダイス5を通過させる。

0030

この発明に係るプレグラウトPC鋼材10が優れていることを確認するために、図1に示す上記実施例の構成のプレグラウトPC鋼材10において、下記表1に示す組成のフィル樹脂4の各試験例1〜6を作成し、その各試験例1〜6において、緊張荷重:726.3kNを加えた後、70℃で保管し、プレグラウト層2のタイプD圧子デュロメータ硬度が20となる日数を評価した。試験例1〜5がこの発明に係る実施例であり、試験例6が従来例である。

0031

0032

この試験例1〜5と試験例6との対比から、フィル樹脂4を充填することにより、緊張後のプレグラウト層2の硬化日数が短くなることが確認できる。また、試験例1〜5の対比から、フィル樹脂4の硬化剤成分が多くなるにつれて、緊張後のプレグラウト層2の硬化日数が短くなることが確認できる。さらに、硬化剤としては、ポリアミンが優れていることが分かる。

0033

この発明は、図7に示す、心線1aの周りに6本の側線1bを撚り合わせた、7本撚りプレグラウトPC鋼材10’においても採用し得ることは勿論である。このプレグラウトPC鋼材10’は、上記と同様に、その撚り線1’の側線1bの撚りを部分的に順次緩解して開きつつ、残りの素線(心線1a)をフィル樹脂4の混練槽に通過させた後、その撚り線1’の外周面形状が内周面形状のダイスを通過させて、撚り線1’の外周面一部のフィル樹脂4を除去するととともに各側線1aと1b間(空隙)にフィル樹脂4を充填させる。

0034

また、緊張荷重によるフィル樹脂4の滲出量を増やすために、心線1a、内層鋼線1b、外層鋼線1c、1dの間にスペーサ等を介在して各層間の空隙を増やすことができる。そのスペーサ等は種々のものが考えられるが、例えば、図8に示すように、内層鋼線1bの外周に、糸状のスペーサ6を巻回する等すれば、その糸状スペーサ6によって内層鋼線1b、外層鋼線1c、1dで囲まれる部分の間隙が大きくなるとともに、スペーサ6の糸間の間隙から側線1b、1cで囲まれる部分にもフィル樹脂4を入り込ませることができる(図1図8参照)。糸状スペーサ6に代えて多孔シートやカプセル等の粒状体を心線1a、内層鋼線1b、外層鋼線1c、1dの間に介在することもでき、さらに、テープ状スペーサ6を隙間を持って巻回することもできる。カプセルにはフィル樹脂を収納したものとすることができる。

0035

因みに、この発明においては、プレグラウト層2に、従来の硬化剤を全く配合しない場合のみを言うのではなく、PC鋼より線1、1’の緊張時、プレグラウト層2にある程度の粘性が要求される時などは硬化剤を適宜に配合して硬化作用を得る必要があり、その場合等は、必要量の該硬化剤を前もって配合しておくことは勿論である。すなわち、この発明は、上記のように、PC鋼より線1、1’の緊張時にフィル樹脂4の滲出によるプレグラウト層2の硬化促進を図るものである。
グラウト材は、エポキシ樹脂以外の従来周知のものを適宜に採用することができ、そのグラウト材に応じたフィル樹脂4を採用することは勿論である。

0036

このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0037

1、1’PC鋼より線
1a心線(鋼線)
1b内層の側線(鋼線)
1c外層の側線(鋼線)
1d 外層の側線(鋼線)
2プレグラウト層
3シース
4フィル樹脂
5ダイス
6スペーサ
10、10’ PC鋼材

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