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技術 高速炉用燃料集合体および高速炉炉心

出願人 株式会社東芝
発明者 森木保幸山岡光明川島正俊坪井靖
出願日 2014年1月28日 (7年7ヶ月経過) 出願番号 2014-013653
公開日 2015年8月3日 (6年1ヶ月経過) 公開番号 2015-141086
状態 特許登録済
技術分野 原子炉、減速部及び炉心部の構造 原子炉燃料及び部品の製造
主要キーワード バランス変動 固定指示 同位体組成比 燃料元素 本数割合 中央領 エネルギー群 ラッパ管
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課題

U無金属燃料高速炉炉心において、ドップラー効果を増大させる。

解決手段

実施形態によれば、TRUを変換する高速炉炉心に用いられる高速炉用燃料集合体101は、再処理において分離されるTRUと、実質的に残部である母材とを有する燃料と、これを収納する被覆管とを有する複数の燃料要素121と、中性子エネルギースペクトル軟化させる中性子スペクトル軟化材と、これを収納する被覆管とを有する複数の中性子スペクトル軟化要素122と、複数の燃料要素121と複数の中性子スペクトル軟化要素122を収納し筒状で両端に開口を有するラッパ管9とを有する。

概要

背景

図11は、従来の高速炉の構成例を示す立断面図である。一般的な高速炉は、たとえば、図11に示すように、炉心1は炉心支持板2により支持されている。炉心支持板2の下方には、コアキャッチャ3が配置されている。炉心1、炉心支持板2およびコアキャッチャ3は、原子炉容器4内に格納されている。また、冷却材入口配管31、冷却材出口配管32の一部は、同様に原子炉容器4内に格納されている。冷却材入口配管31から原子炉容器4内の下部空間に流れ出冷却材15は、上向きに方向を転じて炉心支持板2を通過し、熱の発生源である炉心1に流入する。冷却材15は、炉心1で加熱された後に、原子炉容器4の外部で熱交換するために冷却材出口配管32から流出する。

図12は、従来の高速炉の炉心の構成例を示す水平断面図である。炉心1は、図12に示すように、核分裂性物質を多く含む炉心燃料集合体5と、中性子吸収により核分裂性物質に変換される核分裂性親物質を多く含む径ブランケット燃料集合体7と、中性子吸収物質を多く含み核分裂反応を制御する制御棒集合体8等により構成されている。炉心燃料集合体5としては、内側炉心燃料集合体5aおよび外側炉燃料集合体5bがある。ここで、内側炉心燃料集合体5aは六角形で表示し、外側炉心燃料集合体5bは六角形の中に丸、径ブランケット燃料集合体7は六角形の中に二重丸、制御棒集合体8は六角形の中にCを加えて表示している。

図13は、従来の高速炉の炉心燃料集合体の構成例を示す縦断面図である。また、図14は、従来の高速炉の炉心燃料集合体の構成例を示す横断面図である。内側炉心燃料集合体5aおよび外側炉心燃料集合体5bのそれぞれは、図13および図14に示すように、筒状のラッパ管9内に配設された複数の燃料要素10を有する。

炉心燃料集合体5の燃料要素10は、上部軸ブランケット燃料領域11、炉心燃料領域12、下部ブランケット燃料領域13等により構成された構造となっている。ラッパ管9の上部には、炉心燃料集合体5を炉心1へ装荷或いは炉心1から取出する際の把持部となるハンドリングヘッド16が設けられている。一方、ラッパ管9の下部には、炉心燃料集合体5を固定指示するためのエントランスノズル17が設けられている。このエントランスノズル17の側壁には、冷却材流入口18が穿設されている。冷却材15は、冷却材流入口18より炉心燃料集合体5のラッパ管9内に流入し、ラッパ管9内の冷却材流路14内を通過し、燃料要素10で加熱された後にハンドリングヘッド16の冷却材流路14から炉心燃料集合体5外に流出する。

図15は、従来の高速炉の炉心燃料集合体の燃料要素の例を示す横断面図である。燃料要素10は、円柱状に延びた燃料22と、燃料22を収納する被覆管20を有する。被覆管20は、ステンレス鋼等の金属材料からなる。燃料22と被覆管20の間には、燃料22が炉心で燃焼することによるスウェリングを吸収するために微小ギャップ23が存在する。

高速炉の炉心燃料およびブランケット燃料には、軽水炉LWR)の使用済み燃料再処理施設から抽出されるプルトニウム(Pu)とウラン(U)濃縮施設からの副産物として生成される劣化ウラン原料として製造される混合酸化物燃料が使用される。

使用済み燃料の再処理廃棄物は、数万年のオーダー半減期を有するマイナーアクチニド(MA)や長半減期核分裂生成物LLFP)を含むことから、高レベル放射性廃棄物(HLW)として深地層処分される計画である。しかし、MAやLLFPは数万年オーダーに亘る半減期を有するため、HLWの処分は大変な困難性を伴う。原子力持続的利用のための技術的検討のなかで、Puを含む超ウラン元素(TRU)を核分裂により燃焼すると共に、LLFPを中性子核変換により安定あるいは短半減期核種にする検討などが進められている。

これまでも、TRUやLLFPを消滅すなわち他の元素への核変換をするための検討がなされているが、主な例では、TRUやLLFPの燃焼には高速炉を利用し、燃料はUとTRUを含むU−TRU燃料が用いられている(たとえば、特許文献1参照)。しかし、装荷したTRUの燃焼と同時に、Uから新たにTRUが生成されるため、TRUの正味の燃焼量は少ない。たとえば転換比が1の場合、1トンの核分裂性親物質であるUが、1トンの核分裂性物質であるTRUに転換される。したがって、1トンのTRU装荷量に対して1トンのTRU取出量となる。これでは、LWRからのTRUを燃料に取り込めるのは初装荷時だけになってしまう。

したがって、この方式では、すべてのLWRを高速炉に置きかえなければ、LWRからのTRUを処理することはできない。そのため、LWR主流の時代において、LWRから発生するTRUが蓄積することなく、燃焼処理するためには、当該燃焼施設のTRU燃焼量を極大化することが必要である。

TRU燃焼量を極大化するためには、当該燃焼施設において、新たなTRU発生が無いように、Uを用いない燃料とする方法が考えられる。すなわち、燃焼施設をU無燃料高速炉の炉心とすることにより、新たなTRUの発生がなく、Puを含むTRUを効率良く核分裂により燃焼させることができる。

一方、一般に、原子炉の安全設計では、炉心の温度上昇に伴う即発的な負のフィードバック反応度として、炉心燃料による中性子の吸収割合が増大して反応度が低下するドップラー効果を期待している。このドップラー効果は、主に燃料中の238Uによる共鳴吸収反応が増大していることに起因している。

概要

U無金属燃料高速炉の炉心において、ドップラー効果を増大させる。実施形態によれば、TRUを変換する高速炉炉心に用いられる高速炉用燃料集合体101は、再処理において分離されるTRUと、実質的に残部である母材とを有する燃料と、これを収納する被覆管とを有する複数の燃料要素121と、中性子エネルギースペクトル軟化させる中性子スペクトル軟化材と、これを収納する被覆管とを有する複数の中性子スペクトル軟化要素122と、複数の燃料要素121と複数の中性子スペクトル軟化要素122を収納し筒状で両端に開口を有するラッパ管9とを有する。

目的

本発明の実施形態は、上述した課題を解決するためになされたものであり、高速炉の炉心において、原子炉の安全設計で期待している炉心の温度上昇に伴う即発的な負のフィードバック反応度であるドップラー効果を増大させることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

TRUをTRU以外の元素に変換する高速炉炉心に用いられる高速炉用燃料集合体であって、再処理において分離されるTRUと、実質的に残部である母材とを有し、所定の方向に延びた燃料と、前記燃料を収納し前記所定の方向と同じ方向に延びた筒状で両端が閉止されている被覆管とを有する複数の燃料要素と、中性子エネルギースペクトル軟化させる中性子スペクトル軟化材と、前記中性子スペクトル軟化材を収納し前記所定の方向と同じ方向に延びて両端が閉止されている被覆管とを有する複数の中性子スペクトル軟化要素と、前記複数の燃料要素と前記複数の中性子スペクトル軟化要素を収納し、前記複数の燃料要素と前記複数の中性子スペクトル軟化要素の径方向外側に設けられて長手方向に沿って延びた筒状であって両端に開口を有するラッパ管と、を備えることを特徴とする高速炉用燃料集合体。

請求項2

前記TRUは、プルトニウムネプツニウムアメリシウムおよびキュリウムの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の高速炉用燃料集合体。

請求項3

前記燃料は、金属の形態のものを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高速炉用燃料集合体。

請求項4

前記燃料は、酸化物を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の高速炉用燃料集合体。

請求項5

前記燃料と前記中性子スペクトル軟化材とは同一の被覆管内に収納されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の高速炉用燃料集合体。

請求項6

前記中性子スペクトル軟化材は、酸化ベリリウム酸化リチウム炭化ホウ素および水素化ジルコニウムの少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の高速炉用燃料集合体。

請求項7

格子状に配列された複数の高速炉用燃料集合体を具備し、TRUをTRU以外の元素に変換する高速炉炉心であって、前記高速炉用燃料集合体のそれぞれは、再処理において分離されるTRUと、実質的に残部である母材とを有し、所定の方向に延びた燃料と、前記燃料を収納し前記所定の方向と同じ方向に延びた筒状で両端が閉止されている被覆管とを有する複数の燃料要素と、中性子エネルギースペクトルを軟化させる中性子スペクトル軟化材と、前記中性子スペクトル軟化材を収納し前記所定の方向と同じ方向に延びて両端が閉止されている被覆管とを有する複数の中性子スペクトル軟化要素と、前記複数の燃料要素と前記複数の中性子スペクトル軟化要素を収納し、前記複数の燃料要素と前記複数の中性子スペクトル軟化要素の径方向外側に設けられて長手方向に沿って延びた筒状であって両端に開口を有するラッパ管と、を備えることを特徴とする高速炉炉心。

技術分野

0001

本発明は、超ウラン元素(TRU)をTRU以外の元素に変換する高速炉炉心およびこれに用いられる高速炉用燃料集合体に関する。

背景技術

0002

図11は、従来の高速炉の構成例を示す立断面図である。一般的な高速炉は、たとえば、図11に示すように、炉心1は炉心支持板2により支持されている。炉心支持板2の下方には、コアキャッチャ3が配置されている。炉心1、炉心支持板2およびコアキャッチャ3は、原子炉容器4内に格納されている。また、冷却材入口配管31、冷却材出口配管32の一部は、同様に原子炉容器4内に格納されている。冷却材入口配管31から原子炉容器4内の下部空間に流れ出冷却材15は、上向きに方向を転じて炉心支持板2を通過し、熱の発生源である炉心1に流入する。冷却材15は、炉心1で加熱された後に、原子炉容器4の外部で熱交換するために冷却材出口配管32から流出する。

0003

図12は、従来の高速炉の炉心の構成例を示す水平断面図である。炉心1は、図12に示すように、核分裂性物質を多く含む炉心燃料集合体5と、中性子吸収により核分裂性物質に変換される核分裂性親物質を多く含む径ブランケット燃料集合体7と、中性子吸収物質を多く含み核分裂反応を制御する制御棒集合体8等により構成されている。炉心燃料集合体5としては、内側炉心燃料集合体5aおよび外側炉燃料集合体5bがある。ここで、内側炉心燃料集合体5aは六角形で表示し、外側炉心燃料集合体5bは六角形の中に丸、径ブランケット燃料集合体7は六角形の中に二重丸、制御棒集合体8は六角形の中にCを加えて表示している。

0004

図13は、従来の高速炉の炉心燃料集合体の構成例を示す縦断面図である。また、図14は、従来の高速炉の炉心燃料集合体の構成例を示す横断面図である。内側炉心燃料集合体5aおよび外側炉心燃料集合体5bのそれぞれは、図13および図14に示すように、筒状のラッパ管9内に配設された複数の燃料要素10を有する。

0005

炉心燃料集合体5の燃料要素10は、上部軸ブランケット燃料領域11、炉心燃料領域12、下部ブランケット燃料領域13等により構成された構造となっている。ラッパ管9の上部には、炉心燃料集合体5を炉心1へ装荷或いは炉心1から取出する際の把持部となるハンドリングヘッド16が設けられている。一方、ラッパ管9の下部には、炉心燃料集合体5を固定指示するためのエントランスノズル17が設けられている。このエントランスノズル17の側壁には、冷却材流入口18が穿設されている。冷却材15は、冷却材流入口18より炉心燃料集合体5のラッパ管9内に流入し、ラッパ管9内の冷却材流路14内を通過し、燃料要素10で加熱された後にハンドリングヘッド16の冷却材流路14から炉心燃料集合体5外に流出する。

0006

図15は、従来の高速炉の炉心燃料集合体の燃料要素の例を示す横断面図である。燃料要素10は、円柱状に延びた燃料22と、燃料22を収納する被覆管20を有する。被覆管20は、ステンレス鋼等の金属材料からなる。燃料22と被覆管20の間には、燃料22が炉心で燃焼することによるスウェリングを吸収するために微小ギャップ23が存在する。

0007

高速炉の炉心燃料およびブランケット燃料には、軽水炉LWR)の使用済み燃料再処理施設から抽出されるプルトニウム(Pu)とウラン(U)濃縮施設からの副産物として生成される劣化ウラン原料として製造される混合酸化物燃料が使用される。

0008

使用済み燃料の再処理廃棄物は、数万年のオーダー半減期を有するマイナーアクチニド(MA)や長半減期核分裂生成物LLFP)を含むことから、高レベル放射性廃棄物(HLW)として深地層処分される計画である。しかし、MAやLLFPは数万年オーダーに亘る半減期を有するため、HLWの処分は大変な困難性を伴う。原子力持続的利用のための技術的検討のなかで、Puを含む超ウラン元素(TRU)を核分裂により燃焼すると共に、LLFPを中性子核変換により安定あるいは短半減期核種にする検討などが進められている。

0009

これまでも、TRUやLLFPを消滅すなわち他の元素への核変換をするための検討がなされているが、主な例では、TRUやLLFPの燃焼には高速炉を利用し、燃料はUとTRUを含むU−TRU燃料が用いられている(たとえば、特許文献1参照)。しかし、装荷したTRUの燃焼と同時に、Uから新たにTRUが生成されるため、TRUの正味の燃焼量は少ない。たとえば転換比が1の場合、1トンの核分裂性親物質であるUが、1トンの核分裂性物質であるTRUに転換される。したがって、1トンのTRU装荷量に対して1トンのTRU取出量となる。これでは、LWRからのTRUを燃料に取り込めるのは初装荷時だけになってしまう。

0010

したがって、この方式では、すべてのLWRを高速炉に置きかえなければ、LWRからのTRUを処理することはできない。そのため、LWR主流の時代において、LWRから発生するTRUが蓄積することなく、燃焼処理するためには、当該燃焼施設のTRU燃焼量を極大化することが必要である。

0011

TRU燃焼量を極大化するためには、当該燃焼施設において、新たなTRU発生が無いように、Uを用いない燃料とする方法が考えられる。すなわち、燃焼施設をU無燃料高速炉の炉心とすることにより、新たなTRUの発生がなく、Puを含むTRUを効率良く核分裂により燃焼させることができる。

0012

一方、一般に、原子炉の安全設計では、炉心の温度上昇に伴う即発的な負のフィードバック反応度として、炉心燃料による中性子の吸収割合が増大して反応度が低下するドップラー効果を期待している。このドップラー効果は、主に燃料中の238Uによる共鳴吸収反応が増大していることに起因している。

先行技術

0013

特開平7−294676号公報

発明が解決しようとする課題

0014

U無燃料高速炉の燃料形態については、核分裂による燃焼効率が、金属燃料炉心の方がMOX炉心などの酸化物燃料炉心より優れている。たとえば、TRUの核分裂と捕獲反応の比率は、混合酸化物燃料(MOX燃料)に比較して金属燃料の方が高いためである。また、物質密度が高い金属形態とすることで、他の酸化物形態、窒化物形態とする場合よりも、多くのTRUを燃料内受け入れられる可能性が大きい。

0015

上述したUを用いない燃料(U無燃料)の場合は、炉心の臨界量からの制限により、燃料体積比を少なくし、冷却材、構造材を多くする、あるいは、希釈材を添加する必要がある。また、U無金属燃料高速炉の炉心は、燃料中に238Uが無いのでドップラー効果は小さくなり、負のフィードバック反応度の絶対値が減少するという課題がある。

0016

なお、Uの代わりにトリウム(Th)を利用したPu−Th/TRU−Th燃料炉心は、これまでにも多くの公知の検討評価例がある。Thが燃焼すると同時に、233U、232UなどのU同位体が生成蓄積される。ここでは、「U無」として、ThまたはTh化合物を用いるものは対象としない。

0017

ドップラー効果の要因である中性子吸収反応(absorption)は、中性子捕獲反応(capture)と中性子核分裂反応(fission)の2種類の反応からなる。即ち、中性子吸収反応のドップラー効果は、中性子捕獲反応の増加に伴う中性子数の減少と、中性子核分裂反応の増加に伴う中性子数の増加とのバランスによって決まる。なお、中性子核分裂反応による1核分裂あたりの中性子発生数(ν)は約2.9個である。

0018

燃料核種の温度上昇に伴う反応度変化は、上記の中性子吸収の増加と、これに伴う中性子核分裂による中性子の発生の増加とのバランスの変化が主な要因である。その要因をTRU燃料核種の中性子吸収反応断面積温度変化に伴う大きさと中性子エネルギーの関係として、図16ないし図18に例を示す。なお、ここでは高速炉用に作成された標準70群の核定数セットを利用した数値例を用いて特徴を説明する。また、温度の基準は常温(273K)から高温(1100K)までの変化に着目する。

0019

核種毎の常温(273K)の中性子吸収断面積をσa(273)、中性子核分裂断面積をσf(273)、また、核分裂あたりの中性子発生数をνと表記する。273Kから1100Kまでの温度上昇による中性子吸収断面積の変化分をΔσa(273→1100)、同様に273Kから1100Kまでの温度上昇による中性子核分裂断面積の変化分をΔσf(273→1100)とすると、燃料温度上昇に伴う中性子バランス変動分(変動分)は下記のように表わすことができる。

0020

(変動分)=Δσa(273→1100)−νΔσf(273→1100)
ここで、基準とした中性子吸収断面積σa(273)を分母として、次のような比の値を「ドップラー効果ポテンシャル」と定義する。

0021

ドップラー効果ポテンシャル=(変動分)/(基準値
=[Δσa(273→1100)−νΔσf(273→1100)]/σa(273)
このドップラー効果ポテンシャルは、核種ごとに定義される。ドップラー効果ポテンシャルを、中性子エネルギーおよび空間で積分して得られた値は、ドップラー反応度係数に対応する。なお、ドップラー効果ポテンシャルの積分値が正の場合は、ドップラー反応度係数は負となる。このドップラー効果ポテンシャルを代表的な核種についてみると次のことが言える。

0022

図16は、238Uのドップラー効果ポテンシャルを示すグラフである。図中のU238は238Uを示す。従来のU燃料炉心、Pu/U燃料炉心、TRU/U燃料炉心の組成の中で存在割合の大きい238Uは、ドップラー効果の中心的役割をもっている。図16は、その238Uについて、上記のドップラー効果ポテンシャルと中性子エネルギーとの関係を示している。

0023

ドップラー効果が効くエネルギー領域である非分離共鳴吸収反応領域の中性子エネルギー以下では、燃料温度上昇による中性子吸収の増大が、核分裂の増加分より大きくなり、ほとんどの範囲で、ドップラー効果ポテンシャルが正の数値範囲に入っていることが分かる。238Uは、比較的エネルギーの高い範囲で核分裂し、約0.1MeVに閾値を持つ核分裂反応であり、0.1MeV以下の共鳴吸収反応領域では、実質核分裂反応がないので、温度上昇による吸収断面積の増加が中心となることによる。

0024

238Uのドップラー効果の値は負であることが実証されているが、図17折れ線と、縦軸のドップラー効果ポテンシャルの値が0の線(縦軸の値Yが0に相当する横方向の軸)との間の、エネルギー群毎の面積に、中性子束および随伴中性子束エネルギー分布重み付けした特性が、ドップラー効果と比例すると見ることができる。したがって、図16の折れ線が正の領域にあり、そのY=0の軸との間の面積の合計が、ここでは正値となることが対応している。すなわち、ここでは、負のドップラー係数を与える238Uは、上記のドップラー効果ポテンシャルの中性子エネルギーの積分値が正値と対応させていることになる。

0025

図17は、239Puおよび240Puのドップラー効果ポテンシャルを示すグラフである。図中のPu239は239Puを、Pu240は240Puを示す。Pu同位体の主成分となる239Puおよび240Puについてドップラー効果ポテンシャルの中性子エネルギー依存性を示している。全エネルギー領域で大きな核分裂断面積を有する239Puは、Y=0の軸以下の領域の数値が多く、断面積変化量の相対値も小さい傾向にあり、ドップラー係数の値を、負であるが絶対値が小または正とする要因となる可能性がある。

0026

一方、240Puは、上述の238Uのように低エネルギー領域では核分裂反応を持たないこともあり、共鳴吸収領域でドップラー効果ポテンシャルの値は正であり、ドップラー係数が負のフィードバック要因となる。

0027

そのほかの同位体241Puは239Puと、242Puは240Puと類似のドップラー効果ポテンシャルを有している。Puの総体としては、使用済み燃料の燃焼度冷却期間に依存するPu同位体組成比の重みを考慮する必要がある。

0028

図18は、237Np、241Am、243Amのドップラー効果ポテンシャルを示すグラフである。図中のNp237は237Npを、Am241は241Amを、Am243は243Amを示す。PuのほかにMAの主成分である237Np、241Am、243Amのドップラー効果ポテンシャルの中性子エネルギー依存性を示している。これらの核種は、238U、240Puと同様に、低エネルギー領域では核分裂反応を持たないこともあり、共鳴吸収領域でドップラー効果ポテンシャルの値は正であり、ドップラー効果として負のフィードバック要因となることが分かる。

0029

また、ドップラー効果ポテンシャルは、238U、240Puよりも低エネルギー側にシフトしていることから、減速材の配置は、U無高速炉のドップラー効果確保に有効となることが分かる。

0030

以上をまとめると、次のようになる。

0031

TRUのうち、核分裂性のPuである239Pu、241Puについては注意をはらう必要がある。239Pu、241Puのドップラー効果は負の効果としては絶対値が小さくなり、組成・減速材割合によっては正となり得る。このことは、熱中性子スペクトル炉についても同様である。

0032

一方、TRUの中からPuを除いたマイナーアクチニド(MA;Np、Am、Cm)の主成分は237Np、241Am、243Amである。これらの核種は高速中性子により核分裂をする特徴がある。中性子吸収断面積のドップラー効果のエネルギー領域(主に100keV以下)では、中性子捕獲断面積のドップラー効果が中心になり、核分裂断面積のドップラー効果は小さくなる結果、これらのNp、Amのドップラー効果は負のフィードバック要因となる。

0033

図19は、酸化物燃料炉心、ウランを有する金属燃料炉心、ウラン無金属燃料炉心(U無金属燃料炉心)のそれぞれのドップラー反応度の解析結果の例を示すグラフである。高速スペクトルの炉心において、ウランとTRUを使用する酸化物燃料炉心と、金属燃料炉心と、ウランを用いないで母材(希釈材)としてジルコニウム(Zr)を使用したTRU金属燃料炉心のそれぞれのドップラー反応度の相対値の例を示している。ここでは、酸化物燃料炉心の場合を基準としている。酸化物燃料では燃料全体の70%ないし80%を占める238Uが、負のドップラー効果の要因である。金属燃料についても同様に、238Uが、負のドップラー効果の主要因であるが、母材Zr(10wt%=約29at%)も負のドップラー効果をもたらしているが絶対値は小さい。

0034

ウラン不使用炉心(U無炉心)では、このような燃料物質組成と中性子スペクトルの影響を含めた総体的な適正化によって、負のドップラー効果を確保することになる。燃料は、燃料元素合金などの形態として均質的に混合する母材元素も、核分裂反応の増加による燃料元素の温度上昇と即時的に追随し母材元素の温度上昇が生ずるので、ドップラー効果の要因となる。

0035

図19に示すように、U無金属燃料高速炉の炉心は、238Uがないのでドップラー効果が小さくなり、Zrとマイナーアクチニド(Np、Amなど)の中・高速エネルギー領域の共鳴吸収反応の影響により負のフィードバック反応度を有するが、その大きさは小さくなるという課題がある。

0036

本発明の実施形態は、上述した課題を解決するためになされたものであり、高速炉の炉心において、原子炉の安全設計で期待している炉心の温度上昇に伴う即発的な負のフィードバック反応度であるドップラー効果を増大させることを目的とする。

課題を解決するための手段

0037

上述の目的を達成するため、本実施形態は、TRUをTRU以外の元素に変換する高速炉炉心に用いられる高速炉用燃料集合体であって、再処理において分離されるTRUと、実質的に残部である母材とを有し、所定の方向に延びた燃料と、前記燃料を収納し前記所定の方向と同じ方向に延びた筒状で両端が閉止されている被覆管とを有する複数の燃料要素と、中性子エネルギースペクトルを軟化させる中性子スペクトル軟化材と、前記中性子スペクトル軟化材を収納し前記所定の方向と同じ方向に延びて両端が閉止されている被覆管とを有する複数の中性子スペクトル軟化要素と、前記複数の燃料要素と前記複数の中性子スペクトル軟化要素を収納し、前記複数の燃料要素と前記複数の中性子スペクトル軟化要素の径方向外側に設けられて長手方向に沿って延びた筒状であって両端に開口を有するラッパ管と、を備えることを特徴とする。

0038

また、本実施形態は、格子状に配列された複数の高速炉用燃料集合体を具備し、TRUをTRU以外の元素に変換する高速炉炉心であって、前記高速炉用燃料集合体のそれぞれは、再処理において分離されるTRUと、実質的に残部である母材とを有し、所定の方向に延びた燃料と、前記燃料を収納し前記所定の方向と同じ方向に延びた筒状で両端が閉止されている被覆管とを有する複数の燃料要素と、中性子エネルギースペクトルを軟化させる中性子スペクトル軟化材と、前記中性子スペクトル軟化材を収納し前記所定の方向と同じ方向に延びて両端が閉止されている被覆管とを有する複数の中性子スペクトル軟化要素と、前記複数の燃料要素と前記複数の中性子スペクトル軟化要素を収納し、前記複数の燃料要素と前記複数の中性子スペクトル軟化要素の径方向外側に設けられて長手方向に沿って延びた筒状であって両端に開口を有するラッパ管と、を備えることを特徴とする。

発明の効果

0039

本発明の実施形態によれば、高速炉の炉心において、原子炉の安全設計で期待している炉心の温度上昇に伴う即発的な負のフィードバック反応度であるドップラー効果を増大させることができる。

図面の簡単な説明

0040

第1の実施形態に係るU無金属燃料炉心を模式的に示す水平断面図である。
第1の実施形態に係るU無金属燃料炉心の炉心燃料集合体を示す横断面図である。
第1の実施形態に係るU無金属燃料炉心の炉心燃料集合体の燃料要素の構成を示す横断面図である。
第1の実施形態に係るU無金属燃料炉心の炉心燃料集合体の中性子スペクトル軟化要素の構成を示す横断面図である。
第1の実施形態に係るU無金属燃料炉心と従来の炉心の中性子スペクトルを示すグラフである。
第1の実施形態に係るU無金属燃料炉心における中性子スペクトル軟化材に対するドップラー反応度を示す棒グラフである。
第1の実施形態に係るU無金属燃料炉心の炉心燃料集合体における各中性子スペクトル軟化材の割合とドップラー反応度との関係を示すグラフである。
第2の実施形態に係るU無金属燃料炉心の炉心燃料集合体の構成を示す横断面図である。
第3の実施形態に係るU無金属燃料炉心の炉心燃料集合体の構成を示す横断面図である。
第3の実施形態に係るU無金属燃料炉心の炉心燃料集合体の燃料要素を示す横断面図である。
従来の高速炉の構成例を示す立断面図である。
従来の高速炉の炉心の構成例を模式的に示す水平断面図である。
従来の高速炉の炉心燃料集合体の構成例を示す縦断面図である。
従来の高速炉の炉心燃料集合体の構成例を示す横断面図である。
従来の高速炉の炉心燃料集合体の燃料要素の例を示す横断面図である。
238Uのドップラー効果ポテンシャルを示すグラフである。
239Pu、240Puのドップラー効果ポテンシャルを示すグラフである。
237Np、241Am、243Amのドップラー効果ポテンシャルを示すグラフである。
酸化物燃料炉心、ウランを有する金属燃料炉心、U無金属燃料炉心のそれぞれのドップラー反応度の解析結果の例を示すグラフである。

実施例

0041

以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るU無金属燃料集合体およびU無金属燃料炉心について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。

0042

[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るU無金属燃料炉心を模式的に示す水平断面図である。U無金属燃料炉心100は、鉛直方向に互いに平行に配列された炉心燃料集合体101と、その径方向外側に配列された径ブランケット燃料集合体7を有する。炉心燃料集合体101は、内側炉心燃料集合体101aおよび外側炉心燃料集合体101bを有する。内側炉心燃料集合体101aは中央領域に配列され、その径方向外側に外側炉心燃料集合体101bが配列されている。炉心燃料集合体101が配列されている領域には、制御棒集合体8が点在するように配されている。

0043

図2は、U無金属燃料炉心の炉心燃料集合体を示す横断面図である。炉心燃料集合体101は、互いに平行して三角配列に配置された燃料要素121および中性子スペクトル軟化要素122と、燃料要素121および中性子スペクトル軟化要素122の径方向外側に設けられたラッパ管9とを有する。配列の中心に1本の中性子スペクトル軟化要素122が配され、その周囲に燃料要素121と中性子スペクトル軟化要素122それぞれの環状列が径方向に交互に配されている。その最終の環状列の径方向外側に6角筒形状のラッパ管9が設けられている。ラッパ管9内の燃料要素121および中性子スペクトル軟化要素122間の空間は、冷却材15の流路となっている。

0044

なお、図2では、中心の中性子スペクトル軟化要素122の周囲に、燃料要素121が4列、中性子スペクトル軟化要素122が3列、それぞれ交互に配されている場合を示したがこれに限定されない。列数がこれより少ない場合、あるいは多い場合でもよい。また、燃料要素121と中性子スペクトル軟化要素122の配列の方法は、図3に示すような環状列を交互に繰り返す方法でなく、たとえば、互いに平行する列内に燃料要素121と中性子スペクトル軟化要素122を交互に配する方法でもよい。また、全体として三角配列の場合を示したが、正方格子に配列され、ラッパ管も正方形の筒状の場合であってもよい。

0045

また、図2は、炉心燃料集合体101の構成を模式的に示したものであり、具体的には、内側炉心燃料集合体101aおよび外側炉心燃料集合体101bのそれぞれが、図2に示す構成を有している。

0046

図3は、U無金属燃料炉心の炉心燃料集合体の燃料要素の構成を示す横断面図である。燃料要素121は、円柱状に延びたTRU燃料121aと、TRU燃料121aの径方向周囲に設けられた被覆管121bを有する。被覆管121bは、円筒状で両端が閉止されている。TRU燃料121aは、核燃料リサイクルプロセスにおいて、Pu、Np、AmおよびCmの一部または全部の元素を混合状態回収される混合TRUを主成分として、実質的に残部である母材とを有する金属形態の金属燃料である。ここで、母材としては、たとえばジルコニウム(Zr)などがある。

0047

なお、実際のTRU燃料121aには、回収される混合TRUに移行した少量のUも含まれることになるが、本実施形態の効果への影響は小さい。すなわち、各実施形態の、「ウラン無金属燃料」、「TRU燃料」、「U無金属燃料」、「U無燃料」等の用語については、リサイクルプロセスでウランの分離工程を経た後のTRUを主な燃料物質とする燃料のことを指しており、リサイクルプロセスでのウランの分離工程を経ても分離し切れなかったウランを含有するものも「ウラン無金属燃料」、「TRU燃料」、「U無金属燃料」、「U無燃料」に含まれる。

0048

図4は、U無金属燃料炉心の炉心燃料集合体の中性子スペクトル軟化要素の構成を示す横断面図である。中性子スペクトル軟化要素122は、円柱状に延びた中性子スペクトル軟化材122aと、中性子スペクトル軟化材122aの径方向周囲に設けられた被覆管122bを有する。被覆管122bは、円筒状で両端が閉止されている。中性子スペクトル軟化材122aとしては、中性子捕獲断面積が小さく、原子番号の比較的若い元素を含むものとして、たとえば、LiH、B4C、BeO、ZrH2などがある。ここで、Liは7Li、Bは11Bである。また、HやBeに比べると中性子の減速能力が低下するが、炭素(C)をグラファイトやSiCの形態で中性子スペクトル軟化材122aとして使用してもよい。さらには、マグネシウム(Mg)合金などでもよい。

0049

なお、TRU燃料121aおよび中性子スペクトル軟化材122aは円柱状で、被覆管121bおよび被覆管122bは円筒状の場合を示したが、これに限定されず多角形形状であってもよい。

0050

図5は、U無金属燃料炉心と従来の炉心の中性子スペクトルを示すグラフである。横軸は中性子エネルギー(eV)、縦軸は、中性子スペクトル(φi/φt)を示す。ただし、φiはそれぞれの中性子エネルギーにおける中性子束、φtは、φiの全エネルギーにわたる積分値である。すなわち、縦軸の値は、全エネルギーにわたる積分値が1となるように規格化されている。また、横軸および縦軸の値の表示のたとえば1.0E+01は、1.0×10+01を表す。以下同様である。

0051

図5に示すように、従来の炉心の中性子のエネルギースペクトルに比べて、本実施形態によるU無金属燃料炉心の中性子のエネルギースペクトルは、100keV前後のエネルギーにおけるピークが低くなっており、代わりに、数eVないし数keVオーダーにおける分布が大きくなっている。すなわち、100keV前後のエネルギー領域の中性子が減速され、中性子スペクトルが軟化、すなわちエネルギーの低い方向にシフトしている。

0052

図6は、U無金属燃料炉心における中性子スペクトル軟化材に対するドップラー反応度を示す棒グラフである。横軸は、大別して、酸化物燃料炉心の例としてMOX燃料炉心、およびU無金属燃料炉心を示す。また、U無金属燃料炉心については、中性子スペクトル軟化材がない場合とある場合とを示す。

0053

ここで、中性子スペクトル軟化材がないU無金属燃料は、TRUと母材としてのZrとからなる材料である。中性子スペクトル軟化材がある場合については、中性子スペクトル軟化材が、それぞれ、LiH、B4C、BeO、ZrH2の場合を示す。縦軸は、それぞれの場合の、ドップラー反応度の相対値を示し、MOX燃料炉心の場合を1としている。

0054

図6に示すように、U無金属燃料炉心で中性子スペクトル軟化材がない場合には、ドップラー反応度は、MOX燃料炉心の場合の約1/3に低下する。U無金属燃料炉心に中性子スペクトル軟化材としてLiHを加えると、ドップラー反応度は、MOX燃料炉心の場合の約1/2となる。U無金属燃料炉心に中性子スペクトル軟化材としてB4CあるいはBeOを加えると、ドップラー反応度は、MOX燃料炉心の場合の2倍を超える値となる。U無金属燃料炉心に中性子スペクトル軟化材としてZrH2を加えた場合は、ドップラー反応度は、MOX燃料炉心の場合の3倍を超える値となる。

0055

図7は、U無金属燃料炉心の炉心燃料集合体における各中性子スペクトル軟化材の割合とドップラー反応度との関係を示すグラフである。横軸は、燃料集合体中の燃料と中性子スペクトル軟化材の合計重量に対する中性子スペクトル軟化材の重量の割合(%)である。軟化材は、破線で示す酸化ベリリウムBeO、二点鎖線で示す水素化リチウムLiH、一点鎖線で示す炭化ホウ素B4C、および実線で示す水素化ジルコニウムZrH2の場合の例を示している。縦軸は、図6と同様に、ドップラー反応度を示し、MOX燃料炉心の場合を1とした相対値である。

0056

前述のように、図6に示す母材としてZrを使用し中性子スペクトル軟化材を有さないU無金属燃料炉心の場合、ドップラー反応度(相対値)はMOX燃料炉心の場合の約1/3である。この場合に比べてドップラー反応度(相対値)を有意に大きくする、たとえば、1/2とするには、中性子スペクトル軟化材としてBeOを用いた場合、中性子スペクトル軟化材の割合は約20%である。したがって、中性子スペクトル軟化材としてBeOを用いた場合、本実施形態の効果を生ずるためには、重量の割合(%)は20%以上であることが必要である。

0057

一方、中性子スペクトル軟化材の割合の最大値は、炉心の臨界量から制約を受ける。中性子スペクトル軟化材としてBeOを用いた場合、炉心が臨界となる中性子スペクトル軟化材の割合は、約80%であり、中性子スペクトル軟化材の割合がこれより大きくなると、炉心は未臨界となる。したがって、中性子スペクトル軟化材としてBeOを用いた場合、中性子スペクトル軟化材の割合は80%以下であることが必要である。

0058

従って、本実施形態においては、中性子スペクトル軟化材要素の本数割合、或いは、中性子スペクトル軟化材の添加割合は、中性子スペクトル軟化材としてBeOを用いた場合を例として、約20%以上、かつ約80%以下となるように構成されている。

0059

他の中性子スペクトル軟化材を使用する場合についても、同様の考え方でスペクトル軟化材の割合の範囲を適切に決定することができる。

0060

以上のように、本実施形態に係る高速炉用燃料集合体、すなわち炉心燃料集合体101を用いた高速炉炉心は、TRUのうち高速核分裂をする核種の核分裂反応のドップラー効果が効く高いエネルギー領域側から、中性子捕獲反応のドップラー効果が効く相対的に低いエネルギー領域である共鳴吸収領域側に、中性子エネルギースペクトルをシフトさせることにより、負のドップラー効果を増大させることができる。

0061

すなわち、U無金属燃料高速炉の炉心であっても、従来のMOX燃料炉心に比べて負のドップラー反応度の絶対値を大きく確保できる。この結果、炉心の温度上昇に伴う即発的な負のフィードバック反応度であるドップラー効果が増大するので、炉心の安全性が確保される。

0062

[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態に係るU無金属燃料炉心の炉心燃料集合体の構成を示す横断面図である。本実施形態は、第1の実施形態の変形である。炉心燃料集合体102は、燃料要素121、中性子スペクトル軟化要素122、および酸化物燃料要素123を有する。第1の実施形態との違いは、燃料要素121の一部を酸化物燃料要素123に置き換えた点である。酸化物燃料要素123は、最外周の燃料要素121に代わって1つまたは2つおきに、合計18個が配されている。

0063

なお、酸化物燃料要素123の配置が最外周で、個数が18の場合を示したが、これには限定されない。さらに内側にも配されてもよい。また、最外周をすべて酸化物燃料要素123に置き換えることでもよい。燃料要素121を酸化物燃料要素123に置き換える割合は、金属燃料と酸化物燃料のそれぞれの核熱的特徴を考慮して適切に決定する。

0064

炉心燃料集合体102の要素として、酸化物燃料要素123を加えることによって、さらに中性子のエネルギースペクトルを軟化させ、負のドップラー効果をさらに大きくする効果がある。

0065

[第3の実施形態]
図9は、第3の実施形態に係るU無金属燃料炉心の炉心燃料集合体の構成を示す横断面図である。炉心燃料集合体103は、燃料要素124と、ラッパ管9を有する。第1の実施形態では、炉心燃料集合体101は、ラッパ管9内には、燃料要素121および中性子スペクトル軟化要素122を有しているが、本実施形態における炉心燃料集合体103は、代わりに後述する混合燃料124a(図10参照)を材料とする燃料要素124を有する。

0066

図10は、U無金属燃料炉心の炉心燃料集合体の燃料要素を示す横断面図である。燃料要素124は、円柱状に延びた混合燃料124aと、混合燃料124aの径方向周囲に設けられた被覆管124bを有する。被覆管124bは、円筒状で両端が閉止されている。

0067

混合燃料124aは、主成分である混合TRUと母材とからなる金属燃料に、中性子スペクトル軟化材を添加した材料からなる。

0068

このように構成された本実施の形態によれば、第1および第2の実施形態と同様に、0.1MeV前後のエネルギー領域の中性子が減速され、中性子スペクトルが軟化、すなわちエネルギーの低い方向にシフトする効果がある。この結果、炉心の温度上昇に伴う即発的な負のフィードバック反応度であるドップラー効果が増大すし、炉心の安全性が確保される。

0069

[その他の実施形態]
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。たとえば、実施形態においては、内側炉心燃料集合体の装荷されている領域と外側炉心燃料集合体の装荷されている領域の2つの領域を有するいわゆる2領域炉心の場合を示したがこれに限定されない。たとえば、1領域炉心の場合、あるいは3領域以上の炉心の場合であっても、本発明は適用できる。

0070

また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。さらに、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

0071

1…炉心、2…炉心支持板、3…コアキャッチャ、4…原子炉容器、5…炉心燃料集合体、5a…内側炉心燃料集合体、5b…外側炉心燃料集合体、7…径ブランケット燃料集合体、8…制御棒集合体、9…ラッパ管、10…燃料要素、11…上部ブランケット燃料領域、12…炉心燃料領域、13…下部ブランケット燃料領域、14…冷却材流路、15…冷却材、16…ハンドリングヘッド、17…エントランスノズル、18…冷却材流入口、19…反射体、20…被覆管、22…燃料、23…ギャップ、31…冷却材入口配管、32…冷却材出口配管、100…U無金属燃料炉心、101…炉心燃料集合体、101a…内側炉心燃料集合体、101b…外側炉心燃料集合体、102、103…炉心燃料集合体、110…U無金属燃料集合体、121…燃料要素、121a…TRU燃料、121b…被覆管、122…中性子スペクトル軟化要素、122a…中性子スペクトル軟化材、122b…被覆管、123…酸化物燃料要素、124…燃料要素、124a…混合燃料、124b…被覆管

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