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技術 高炉通気性予測装置及び高炉通気性予測方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 茂森弘靖
出願日 2014年1月28日 (6年9ヶ月経過) 出願番号 2014-013807
公開日 2015年8月3日 (5年3ヶ月経過) 公開番号 2015-140455
状態 特許登録済
技術分野 鉄の製造
主要キーワード 要求点 制約対象 先入れ先出し法 送風流量 各説明変数 通過質量 モデルパラメータθ 線形回帰式
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

高炉通気性を精度高予測すること。

解決手段

データ展開部10aが、実績データベース4内に格納されている実績データの各変数について、複数ステップ前の過去にまで遡ってデータを展開して実績データセットを作成し、類似度算出部10bが、実績データセット内に格納されている複数の操業条件について、予測対象の操業条件に対する類似度を算出し、予測式作成部10cが、実績データセット内に格納されている操業条件に関する情報を用いて、操業条件と通気抵抗指数との関係を表す予測モデルを作成し、類似度算出部10bによって算出された類似度を重みとする評価関数を予測モデルの予測誤差を評価する評価関数として最適化問題を解いて、予測モデルのパラメータを決定し、通気性予測部10dが、作成された予測式に予測対象の操業条件を入力し、予測対象の操業条件で高炉の操業を行った場合における通気抵抗指数を予測する。

概要

背景

近年の高炉操業は、原燃料コストの合理化を追求すべく、微粉炭吹き込み等の実施等を含め、厳しい条件下で行われている。このような状況下では、とりわけ日々の高炉操業の安定維持管理、特に通気性の安定維持管理が重要である。従って、高炉の安定操業を確保するためには、通気性予測技術の確立が重要である。高炉の通気性は高炉内での通気抵抗指数化した指標、すなわち、通気抵抗指数(ΔP/V)により評価される。この通気抵抗指数ΔP/Vは下記式(1)により計算される。ここで、BPは送風圧力[Pa]であり、TP炉頂圧力[Pa]であり、BGVはボッシュガス量[m3(標準状態)/min]である。これらの値は、高炉に設置されたセンサにより計測される。

高炉の通気抵抗指数を安定化させることは、生産性の向上や燃料原単位の低減等の点からも操業上重要である。高炉の通気性予測は、これまで以下のような方法によって行われてきた。

すなわち、特許文献1には、衝撃試験に付した後のコークスを目開き径の異なる2種類ののそれぞれにて分別し、各篩の通過質量割合を基に定められた式から計算した指数により、高炉内の通気性を予測する方法が記載されている。また、特許文献2記載の方法では、操業中高炉の炉下部での送風圧力の仮想低下量を用いて炉下部の充填物粒子径を推定する。また、特許文献2記載の方法は、この仮想低下量と予め求められた高炉の安定操業中の炉下部での送風圧力の仮想低下量とを用いて、そのときの炉下部の充填物粒子径を推定する。そして、特許文献2記載の方法は、操業中高炉の上記充填物粒子径と、安定操業中の上記充填物粒子径との比を、高炉の操業安定性の指標として用いる。この特許文献2記載の方法では、さらに、羽口の上方で朝顔部に属する2点以上の炉内壁近傍の圧力を用いて求めた羽口軸上の仮想の送風圧力Pb’と、上記2点以上の圧力の内最も高い位置の圧力測定値Pminとの圧力差を仮想低下量としている。特許文献2記載の方法は、この仮想低下量から、Ergunの式を用いて炉下部の平均的充填粒子径を求めている。また、特許文献3には、実機操業諸元から求められた重回帰式より、羽口から炉頂部までの通気抵抗を推定する方法が記載されている。この特許文献3記載の方法では、出銑量、ボッシュガス量、ダスト量、O/C(鉱石原料とコークスとの存在比)、CR(コークス比)、PCR微粉炭比)、及び装入原料性状のうち、少なくとも一つの因子に基づいて、羽口から炉頂部までの通気抵抗を推定している。

概要

高炉の通気性を精度高く予測すること。データ展開部10aが、実績データベース4内に格納されている実績データの各変数について、複数ステップ前の過去にまで遡ってデータを展開して実績データセットを作成し、類似度算出部10bが、実績データセット内に格納されている複数の操業条件について、予測対象の操業条件に対する類似度を算出し、予測式作成部10cが、実績データセット内に格納されている操業条件に関する情報を用いて、操業条件と通気抵抗指数との関係を表す予測モデルを作成し、類似度算出部10bによって算出された類似度を重みとする評価関数を予測モデルの予測誤差を評価する評価関数として最適化問題を解いて、予測モデルのパラメータを決定し、通気性予測部10dが、作成された予測式に予測対象の操業条件を入力し、予測対象の操業条件で高炉の操業を行った場合における通気抵抗指数を予測する。

目的

本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、高炉の通気抵抗指数を精度高く予測可能な高炉通気性予測装置及び高炉通気性予測方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

過去の高炉操業条件及び該操業条件で高炉の操業を行った際の通気抵抗指数に関する情報を含む実績データの各変数について、複数ステップ前の過去にまで遡ってデータを展開して実績データセットを作成するデータ展開部と、前記実績データセット内の複数の操業条件について、予測対象の操業条件に対する類似度を算出する類似度算出部と、前記実績データセット内の操業条件に関する情報を用いて高炉の操業条件と通気抵抗指数との関係を表す通気抵抗指数の予測式を作成すると共に、前記類似度算出部によって算出された類似度を重みとする評価関数を前記予測式の予測誤差を評価する評価関数として最適化問題解くことによって、前記予測式のパラメータを決定する予測式作成部と、前記予測式作成部によって作成された予測式に前記予測対象の操業条件を入力することによって、前記予測対象の操業条件で高炉の操業を行った際の通気抵抗指数を予測する通気性予測部と、を備えることを特徴とする高炉通気性予測装置

請求項2

前記予測式作成部は、予測対象の物理的特性制約対象として前記最適化問題を解くことを特徴とする請求項1に記載の高炉通気性予測装置。

請求項3

前記類似度算出部は、予測対象の操業条件に対する類似度と実績データと予測対象との時間的な類似度との積を類似度として算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉通気性予測装置。

請求項4

前記データ展開部、前記類似度算出部、前記予測式作成部、及び前記通気性予測部が処理に用いる操業条件は主成分分析によって線形変換次元圧縮されたものであることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載の高炉通気性予測装置。

請求項5

過去の高炉の操業条件及び該操業条件で高炉の操業を行った際の通気抵抗指数に関する情報を含む実績データの各変数について、複数ステップ前の過去にまで遡ってデータを展開して実績データセットを作成するデータ展開ステップと、前記実績データセット内の複数の操業条件について、予測対象の操業条件に対する類似度を算出する類似度算出ステップと、前記実績データセット内の操業条件に関する情報を用いて高炉の操業条件と通気抵抗指数との関係を表す通気抵抗指数の予測式を作成すると共に、前記類似度算出ステップにおいて算出された類似度を重みとする評価関数を前記予測式の予測誤差を評価する評価関数として最適化問題を解くことによって、前記予測式のパラメータを決定する予測式作成ステップと、前記予測式作成ステップにおいて作成された予測式に前記予測対象の操業条件を入力することによって、前記予測対象の操業条件で高炉の操業を行った際の通気抵抗指数を予測する炉通気性予測ステップと、を含むことを特徴とする高炉通気性予測方法

技術分野

0001

本発明は、高炉操業の安定維持管理のために高炉通気性予測する高炉通気性予測装置及び高炉通気性予測方法に関する。

背景技術

0002

近年の高炉操業は、原燃料コストの合理化を追求すべく、微粉炭吹き込み等の実施等を含め、厳しい条件下で行われている。このような状況下では、とりわけ日々の高炉操業の安定維持管理、特に通気性の安定維持管理が重要である。従って、高炉の安定操業を確保するためには、通気性予測技術の確立が重要である。高炉の通気性は高炉内での通気抵抗指数化した指標、すなわち、通気抵抗指数(ΔP/V)により評価される。この通気抵抗指数ΔP/Vは下記式(1)により計算される。ここで、BPは送風圧力[Pa]であり、TP炉頂圧力[Pa]であり、BGVはボッシュガス量[m3(標準状態)/min]である。これらの値は、高炉に設置されたセンサにより計測される。

0003

0004

高炉の通気抵抗指数を安定化させることは、生産性の向上や燃料原単位の低減等の点からも操業上重要である。高炉の通気性予測は、これまで以下のような方法によって行われてきた。

0005

すなわち、特許文献1には、衝撃試験に付した後のコークスを目開き径の異なる2種類ののそれぞれにて分別し、各篩の通過質量割合を基に定められた式から計算した指数により、高炉内の通気性を予測する方法が記載されている。また、特許文献2記載の方法では、操業中高炉の炉下部での送風圧力の仮想低下量を用いて炉下部の充填物粒子径を推定する。また、特許文献2記載の方法は、この仮想低下量と予め求められた高炉の安定操業中の炉下部での送風圧力の仮想低下量とを用いて、そのときの炉下部の充填物粒子径を推定する。そして、特許文献2記載の方法は、操業中高炉の上記充填物粒子径と、安定操業中の上記充填物粒子径との比を、高炉の操業安定性の指標として用いる。この特許文献2記載の方法では、さらに、羽口の上方で朝顔部に属する2点以上の炉内壁近傍の圧力を用いて求めた羽口軸上の仮想の送風圧力Pb’と、上記2点以上の圧力の内最も高い位置の圧力測定値Pminとの圧力差を仮想低下量としている。特許文献2記載の方法は、この仮想低下量から、Ergunの式を用いて炉下部の平均的充填粒子径を求めている。また、特許文献3には、実機操業諸元から求められた重回帰式より、羽口から炉頂部までの通気抵抗を推定する方法が記載されている。この特許文献3記載の方法では、出銑量、ボッシュガス量、ダスト量、O/C(鉱石原料とコークスとの存在比)、CR(コークス比)、PCR微粉炭比)、及び装入原料性状のうち、少なくとも一つの因子に基づいて、羽口から炉頂部までの通気抵抗を推定している。

先行技術

0006

特開2001−254081号公報
特開2003−306708号公報
特開2012−87375号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1,2記載の方法によれば、高炉内の現象模倣した予測モデル構築する必要があるが、高炉内の現象をすべて精緻にモデル化することは極めて困難であるため、十分に高い精度の予測モデルを構築することができない。また、特許文献3記載の方法によれば、各操業条件と通気抵抗指数との関係は非常に複雑で非線形であるので、簡易線形回帰式では十分に高い精度の予測モデルを構築することができない。そのため、従来の高炉通気性予測方法によれば、高炉の通気抵抗指数を精度高く予測することが困難であった。

0008

本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、高炉の通気抵抗指数を精度高く予測可能な高炉通気性予測装置及び高炉通気性予測方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

上記した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る高炉通気性予測装置は、過去の高炉の操業条件及び該操業条件で高炉の操業を行った際の通気抵抗指数に関する情報を含む実績データの各変数について、複数ステップ前の過去にまで遡ってデータを展開して実績データセットを作成するデータ展開部と、前記実績データセット内の複数の操業条件について、予測対象の操業条件に対する類似度を算出する類似度算出部と、前記実績データセット内の操業条件に関する情報を用いて高炉の操業条件と通気抵抗指数との関係を表す通気抵抗指数の予測式を作成すると共に、前記類似度算出部によって算出された類似度を重みとする評価関数を前記予測式の予測誤差を評価する評価関数として最適化問題解くことによって、前記予測式のパラメータを決定する予測式作成部と、前記予測式作成部によって作成された予測式に前記予測対象の操業条件を入力することによって、前記予測対象の操業条件で高炉の操業を行った際の通気抵抗指数を予測する通気性予測部と、を備えることを特徴とする。

0010

本発明に係る高炉通気性予測装置は、上記発明において、前記予測式作成部は、予測対象の物理的特性制約対象として前記最適化問題を解くことを特徴とする。

0011

本発明に係る高炉通気性予測装置は、上記発明において、前記類似度算出部は、予測対象の操業条件に対する類似度と実績データと予測対象との時間的な類似度との積を類似度として算出することを特徴とする。

0012

本発明に係る高炉通気性予測装置は、上記発明において、前記データ展開部、前記類似度算出部、前記予測式作成部、及び前記通気性予測部が処理に用いる操業条件は主成分分析によって線形変換次元圧縮されたものであることを特徴とする。

0013

上記した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る高炉通気性予測方法は、過去の高炉の操業条件及び該操業条件で高炉の操業を行った際の通気抵抗指数に関する情報を含む実績データの各変数について、複数ステップ前の過去にまで遡ってデータを展開して実績データセットを作成するデータ展開ステップと、前記実績データセット内の複数の操業条件について、予測対象の操業条件に対する類似度を算出する類似度算出ステップと、前記実績データセット内の操業条件に関する情報を用いて高炉の操業条件と通気抵抗指数との関係を表す通気抵抗指数の予測式を作成すると共に、前記類似度算出ステップにおいて算出された類似度を重みとする評価関数を前記予測式の予測誤差を評価する評価関数として最適化問題を解くことによって、前記予測式のパラメータを決定する予測式作成ステップと、前記予測式作成ステップにおいて作成された予測式に前記予測対象の操業条件を入力することによって、前記予測対象の操業条件で高炉の操業を行った際の通気抵抗指数を予測する通気性予測ステップと、を含むことを特徴とする。

発明の効果

0014

本発明に係る高炉通気性予測装置及び高炉通気性予測方法によれば、高炉の通気抵抗指数を精度高く予測することができる。

図面の簡単な説明

0015

図1は、本発明の一実施形態である高炉通気性予測システムの構成を示すブロック図である。
図2は、図1に示す実績データベースに格納されている実績データの一例を示す図である。
図3は、本発明の一実施形態である実績データベース展開処理の流れを示すフローチャートである。
図4は、本発明の一実施形態である高炉通気性予測処理の流れを示すフローチャートである。
図5Aは、通気抵抗指数の実績値と従来の高炉通気性予測方法を用いて予測された通気抵抗指数の予測値との関係を示す図である。
図5Bは、通気抵抗指数の実績値と本願発明の高炉通気性予測方法を用いて予測された通気抵抗指数の予測値との関係を示す図である。
図6Aは、通気抵抗指数の実績値と従来の高炉通気性予測方法を用いて予測された通気抵抗指数の予測値との関係を示す図である。
図6Bは、通気抵抗指数の実績値と本願発明の高炉通気性予測方法を用いて予測された通気抵抗指数の予測値との関係を示す図である。

実施例

0016

以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である高炉通気性予測システムの構成及びその動作について説明する。

0017

〔高炉通気性予測システムの構成〕
始めに、図1図2を参照して、本発明の一実施形態である高炉通気性予測システムの構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態である高炉通気性予測システムの構成を示すブロック図である。図2は、図1に示す実績データベースに格納されている実績データの一例を示す図である。

0018

図1に示すように、本発明の一実施形態である高炉通気性予測システム1は、入力装置2、出力装置3、実績データベース4、及び高炉通気性予測装置5を主な構成要素として備えている。入力装置2は、キーボードマウスポインタテンキー等の情報入力装置によって構成され、オペレータが各種情報を高炉通気性予測装置5に入力する際に操作される。出力装置3は、表示装置印刷装置等の情報出力装置によって構成され、高炉通気性予測装置5の各種処理情報を出力する。

0019

図2に示すように、実績データベース4は、数分から数十分の一定周期高炉プロセスにおける通気抵抗指数、並びに高炉における送風温度送風湿分微粉炭吹込量、及び酸素富化量等の操業条件実績データを格納する。具体的には、実績データベース4は、数分から数十分の一定周期で出力変数の実績値yn(但し、n=1,2,…,N)と以下の数式(2)で表される入力変数の実績値とを格納する。

0020

0021

なお、本実施形態においては、出力変数は通気抵抗指数であり、入力変数は通気抵抗指数と物理的な因果関係がある高炉プロセスの操作変数である送風温度、送風湿分、微粉炭吹込量、及び酸素富化量等の操業条件である。また、実績データベース4は、最新の実績データに基づいて高炉通気性の予測モデルを構築できるように、先入れ先出し法等の方法によって古い実績データが除去されるように構成されている。

0022

図1に戻る。高炉通気性予測装置5は、ワークステーションパーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって構成され、CPU10、RAM11、及びROM12を主な構成要素として備えている。CPU10は、高炉通気性予測装置5全体の動作を制御する。CPU10は、ROM12内に予め格納されている高炉通気性予測プログラム12aを実行することによってデータ展開部10a、類似度算出部10b、予測式作成部10c、及び通気性予測部10dとして機能する。これら各部の機能については後述する。

0023

このような構成を有する高炉通気性予測システム1では、高炉通気性予測装置5が以下に示す実績データベース展開処理及び高炉通気性予測処理を実行することによって、高炉内の通気抵抗指数を予測する。以下、図3及び図4に示すフローチャートを参照して、実績データベース展開処理及び高炉通気性予測処理を実行する際の高炉通気性予測装置5の動作について説明する。

0024

〔実績データベース展開処理〕
始めに、図3に示すフローチャートを参照して、実績データベース展開処理を実行する際の高炉通気性予測装置5の動作について説明する。

0025

図3は、本発明の一実施形態である実績データベース展開処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、外部の計算機が一定周期で収集している高炉プロセスにおける通気抵抗指数、並びに高炉における送風温度、送風湿分、微粉炭吹込量、及び酸素富化量等の操業条件実績データが実績データベース4に格納され、先入れ先出し法等の方法によって実績データベース4の内容が更新されたタイミングで開始となり、実績データベース展開処理はステップS1の処理に進む。

0026

ステップS1の処理では、データ展開部10aが、実績データベース4に格納されている出力変数(通気抵抗指数)及び入力変数(送風温度、送風湿分、微粉炭吹込量、及び酸素富化量等の操業条件)の過去の実績データを通気性予測に利用可能な形に展開する。具体的には、過去の実績データは、以下の数式(3)に示すように、N行(L+1)列の行列として実績データベース4内に格納されている。

0027

0028

そこで、始めに、データ展開部10aは、実績データベース4に格納されている各変数について、(K−1)ステップ前までの過去の実績データを横に並べて展開し、以下の数式(4)に示すようなN行K(L+1)列の行列を生成する。なお、数式(4)に示す行列の1列目は出力変数yn(但し、n=1,2,…,N)である。

0029

0030

次に、データ展開部10aは、数式(4)に示す行列の2列目以降を説明変数とし、以下の数式(5)に示すように説明変数の記号付け替える。以後、数式(5)に示す行列を展開後実績データセットと表記する。

0031

0032

なお、展開後実績データセットの2列目以降の説明変数の部分は、予め主成分分析により線形変換、次元圧縮されたものであってもよい。具体的には、説明変数の実績値が以下の数式(6)のように表される時、始めに、データ展開部10aは、以下に示す数式(7)を利用して、平均値が0、標準偏差が1になるように各説明変数標準化する。

0033

0034

0035

標準化後の説明変数の実績値を以下に示す数式(8)又は(9)のように表す。次に、データ展開部10aは、以下に示す数式(10)によって定義される行列Zの共分散行列Vを求め、共分散行列Vの固有値とそれに対応する固有ベクトルとを算出する。共分散行列Vには、非負の固有値が複数あり、それらに対応する固有ベクトルも複数存在する。

0036

0037

0038

0039

次に、データ展開部10aは、固有ベクトルを対応する固有値が大きい順に並べ替える。固有ベクトルを対応する固有値の大きい順からM個取り出したものを行列P=[w1,w2,…,wMn]T(但し、MはK(L+1)−1以下の自然数である)と表す。行列Pはローディング行列と呼ばれる。データ展開部10aは、ローディング行列Pを用いて説明変数の実績値zを以下に示す数式(11)のように線形変換したものを展開後実績データセットの説明変数として用いるようにする。以後、使用する展開後実績データセットを以下に示す数式(12)のように表すこととする。これにより、ステップS1の処理は完了し、実績データベース展開処理は終了する。

0040

0041

0042

〔高炉通気性予測処理〕
次に、図4に示すフローチャートを参照して、高炉通気性予測処理を実行する際の高炉通気性予測装置5の動作について説明する。

0043

図4は、本発明の一実施形態である高炉通気性予測処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、入力装置2に対して以下の数式(13)に示す予測対象の操業条件のデータが入力されたタイミングで開始となり、高炉通気性予測処理はステップS11の処理に進む。

0044

0045

ステップS11の処理では、データ展開部10aが、入力装置2から入力された予測対象の操業条件のデータを実績データベース展開処理と同様に変数変換する。具体的には、まずデータ展開部10aは、操業条件の各入力変数について、(K−1)ステップ前までの過去の実績データを並べて展開し、以下の数式(14)に示すようなK(L+1)−1個の要素をもつベクトルを生成する。

0046

0047

以下、数式(14)に示すベクトルの変数の記号を以下に示す数式(15)のように付け替える。

0048

0049

次に、データ展開部10aは、以下に示す数式(16)を用いて数式(15)に示すベクトルの各変数を標準化し、以下の数式(17)に示す標準化後の予測対象の説明変数を生成する。そして最後に、データ展開部10aは、ローディング行列Pを用いて以下の数式(18)に示すように予測対象の説明変数を線形変換し、これを要求点(予測対象の説明変数値)として用いる。これにより、ステップS11の処理は完了し、高炉通気性予測処理はステップS12の処理に進む。

0050

0051

0052

0053

ステップS12の処理では、類似度算出部10bが、予測対象の説明変数値と展開後実績データセットに格納されている過去の説明変数値との類似度を算出する。具体的には、始めに、類似度算出部10bは、数式(18)に示す要求点及び展開後実績データセットの各説明変数値xn=[x1n,x2n,…,xMn]Tについて、以下の数式(19)に示す要求点からの距離Γnを算出する。なお、数式(19)中のパラメータλmは,送風流量と送風湿分のように異なる尺度で測定される入力変数をスケーリングするための重み係数である。

0054

0055

そして、類似度算出部10bは、展開後実績データセットの各説明変数値xn=[x1n,x2n,…,xMn]Tについて、以下の数式(20)を用いて要求点から数式(19)によって算出される距離Γnの位置にある点の類似度Wnを算出する。ここで、数式(20)中のパラメータσΓは距離Γnの標準偏差、パラメータpは調整パラメータを示す。

0056

0057

なお、類似度Wnは、以下の数式(21)に示すように、予測対象の説明変数に対する類似度と展開後実績データセットに格納されている複数の実績データと予測対象の説明変数との時間的な類似度との積であってもよい。ここで、数式(21)中、パラメータλは、忘却要素であり、0より大きく1より小さい値の調整パラメータである。忘却要素λを入れることにより、新しい実績データの類似度が大きくなり、古い実績データの類似度が小さくなる。これにより、ステップS12の処理は完了し、高炉通気性予測処理はステップS13の処理に進む。

0058

0059

ステップS13の処理では、予測式作成部10cが、展開後実績データセットに格納されているN個の実績データ(説明変数の実績値xn)とその要求点との類似度Wnとを用いて、要求点に類似する過去の実績データを重視した局所的な予測モデルを作成する。具体的には、予測式作成部10cは、以下に示す数式(22)によって表される予測モデルを作成する。

0060

0061

ここで、数式(22)中、θ=[b,a1,a2,…,aM]Tはモデルパラメータである。モデルパラメータθは、以下に示す数式(23)によって計算される、類似度Wnを重みとする実測値と予測値との誤差重み付き二乗和である評価関数Jの値を最も小さくする最適化問題を解くことによって算出することができる。

0062

0063

ここで、yn(但し、n=1,2,…,N)は、n番目の実績データに対応する出力変数の値であり、diag(s)は、ベクトルsの要素を主対角要素とする対角行列を示す。予測値と実測値との誤差の重み付き二乗和を最小化するモデルパラメータを計算することによって、類似度が高い、すなわち要求点に近い実績データをより良くフィッティングする局所的な予測モデルを作成することができる。

0064

なお、最適化問題を解く際、以下に示すような制約条件を与えて最適化問題を解いてもよい。具体的には、制約条件として、モデルパラメータθの中の入力変数の偏回帰係数φ=[a1,a2,…,aM]Tの範囲に対して以下に示す数式(24)により表される制限を設けるようにしてもよい。ここで、下付のバーは下限値を表し、上付のバーは上限値を表している。

0065

0066

下限値及び上限値には、入出力変数間の物理的先見情報を与えるものとする。具体的には、入力変数の一つである送風温度が上昇すれば出力変数である通気抵抗指数は下がる。従って、送風温度に対応するモデルパラメータについては、下限値及び上限値をそれぞれ−∞,0にする。また、入力変数の一つである送風湿分が上昇すれば通気抵抗指数は上がる。従って、送風湿分に対応するモデルパラメータについては、下限値及び上限値をそれぞれ0,∞とする。このように、物理モデルから得られる先見情報に関する制約条件を加えることによって、要求点に近い実績データをより良くフィッティングし、且つ、予測対象の物理特性に合った偏回帰係数を持ち合わせた局所的な予測モデルを作成することができる。これにより、ステップS13の処理は完了し、高炉通気性予測処理はステップS14の処理に進む。

0067

ステップS14の処理では、通気性予測部10dが、ステップS13の処理によって作成された予測モデルに要求点の説明変数値を代入することによって高炉の通気性の予測値を算出する。これにより、ステップS14の処理は完了し、一連の高炉通気性予測処理は終了する。

0068

実験例〕
本願発明の高炉通気性予測方法と従来の高炉通気性予測方法とを用いて、ある高炉プロセスを対象に通気抵抗指数を予測した実験結果について説明する。ここで、従来の高炉通気性予測方法とは、特許文献3記載の方法のように、簡易な線形回帰式によって通気性を予測する方法である。なお、本実験では、送風温度、送風湿分、微粉炭吹込量、及び酸素富化量等の操業条件を入力変数とし、高炉内の通気抵抗指数ΔP/Vを出力変数とした。

0069

本願発明の高炉通気性予測方法において用いるパラメータは次の通りである。入力変数の個数Lは500、実績データベースに格納するサンプル数Nは80000、データ展開する個数Kは20、主成分分析により次元圧縮した説明変数の数Mは71とした。時間における類似度を計算するための忘却要素の値は0.999とした。また、実績データベースへ格納する実績データは30分の一定周期で収集した。

0070

図5A,5Bはそれぞれ、通気抵抗指数の実績値と従来の高炉通気性予測方法及び本願発明の高炉通気性予測方法を用いて予測された通気抵抗指数の予測値との関係を示す図である。図5Aに示すように,従来の高炉通気性予測方法を用いて予測された通気抵抗指数ΔP/Vの予測誤差のRMSE(Root Mean Square Error:根平均二乗誤差)は0.637であった。これに対して、図5Bに示すように、本願発明の高炉通気性予測方法を用いて予測された通気抵抗指数の予測誤差のRMSEは0.412であった。また、図6A,6Bはそれぞれ、通気抵抗指数の実績値と従来の高炉通気性予測方法及び本願発明の高炉通気性予測方法を用いて予測された通気抵抗指数の予測値との関係を示す図である。図6Bに示すように、本願発明の高炉通気性予測方法による実測値と予測値とは、図6Aに示す従来の高炉通気性予測方法による実績値および予測値と比較して、より一致していることが確認された。このことから、本願発明の高炉通気性予測方法によれば、通気抵抗指数を精度高く予測できることが明らかになった。

0071

以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である高炉通気性予測システム1によれば、データ展開部10aが、実績データベース4内に格納されている実績データの各変数について、複数ステップ前の過去にまで遡ってデータを展開して実績データセットを作成する。また、類似度算出部10bが、実績データセット内に格納されている複数の操業条件について、予測対象の操業条件に対する類似度を算出し、予測式作成部10cが、実績データセット内に格納されている操業条件に関する情報を用いて、操業条件と通気抵抗指数との関係を表す予測モデルを作成すると共に、類似度算出部10bによって算出された類似度を重みとする評価関数を予測モデルの予測誤差を評価する評価関数として最適化問題を解くことによって、予測モデルのパラメータを決定する。そして、通気性予測部10dが、予測式作成部10cによって作成された予測式に予測対象の操業条件を入力することによって、予測対象の操業条件で高炉の操業を行った場合における通気抵抗指数を予測する。このような構成によれば、実績データベース4内に格納されている実績データに基づいて予測モデルの調整を自動的に行うことができるので、高炉の通気抵抗指数を精度高く予測することができる。

0072

また、本発明の一実施形態である高炉通気性予測システム1によれば、予測式作成部10cが、予測対象の物理的特性を制約条件として最適化問題を解くので、物理現象に反する予測モデルが作成されることを抑制し、通気抵抗指数の予測精度をさらに向上させることができる。

0073

以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが,本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。

0074

1高炉通気性予測システム
2入力装置
3出力装置
4実績データベース
5 高炉通気性予測装置
10 CPU
10aデータ展開部
10b類似度算出部
10c予測式作成部
10d 通気性予測部
11 RAM
12 ROM
12a 高炉通気性予測プログラム

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