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技術 歯科用接着材

出願人 株式会社トクヤマデンタル
発明者 福留啓志秋積宏伸
出願日 2014年1月27日 (6年11ヶ月経過) 出願番号 2014-012244
公開日 2015年8月3日 (5年4ヶ月経過) 公開番号 2015-140300
状態 特許登録済
技術分野 歯科用製剤
主要キーワード 修復操作 重合禁止材 変色域 被着面積 シリカ系フィラー ポリエステル製フィルム 繰返し測定 エメリーペーパー
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課題

歯への塗布後、乾燥状態を明確かつ容易に確認可能な歯科用接着材を提供することを課題とする。

解決手段

本発明の歯科用接着材は、少なくとも、(a)酸性基含有重合性単量体と、(b)水と、(c)乾燥前後の呈色変化により歯に塗布した後の乾燥状態を確認可能とする色変化材と光重合開始材とを含むことを特徴とする。

概要

背景

歯の齲蝕やそれに伴う欠損治療に際して、歯科用前処理材歯科用接着材歯科用充填修復材による修復が一般的に行われている。特に近年では、修復操作の簡便のために、前記歯科用前処理材の脱灰作用及び浸透作用を有し、前記歯科用前処理材及び前記歯科用接着材の機能を兼ねた一液型の歯科用接着材(以下、単に歯科用接着材という)と前記歯科用充填修復材による修復が一般的に行われている(例えば、特許文献1参照)。
修復治療の際は、以下の手順で作業が行われている。先ず、齲蝕部分を削って窩洞を形成した後、窩洞に前記歯科用接着材を塗布する。次いで、圧縮空気を吹き付けて前記歯科用接着材を乾燥させ、可視光照射して硬化させる。最後に、硬化させた前記歯科用接着材層上から前記歯科用充填修復材を前記窩洞に充填し、可視光を照射して硬化させる。
前記修復治療の中で、操作が不適切であると材料本来接着強さが得られずに接着強さが低下する場合がある。接着強さが低下した場合、二次齲蝕充填材脱落の原因となるため、これを防止する必要がある。この接着強さは、歯のエナメル質及び象牙質の双方に対して要求される。

接着強さが低下する操作上の要因として、(I)光照射強度が低く、前記歯科用充填修復材の硬化が不十分となる、(II)前記歯科用接着材の塗布にムラがあり、歯に対する前記歯科用接着材の被着面積が不十分となる、(III)前記歯科用接着材の乾燥が不十分であり、前記歯科用接着材中の水、溶媒被着面に残存する、などのリスクが残っている。
これらの中で、(I)のリスクは、照射器照射強度事前に測定する、照射距離を可能な限り縮めるなどの方法によって解消でき、(II)のリスクは、前記歯科用接着材が均一に塗布されているかを目視で確認することにより解消される。

一方、(III)のリスクは、注意深く操作を行うことのみであり、解消するのは困難である。即ち、前記歯科用接着材は、乾燥により水や溶媒が揮発するため、次第に流動性が低下するが、前記歯科用接着材の種類により水や溶媒の含有量、流動性が異なるため、充分に乾燥していることを見極めるのは非常に難しい。特に、水は溶媒より揮発しにくいため、被着面に残存しがちである。
この点、(III)のリスクを解消する方法、即ち、前記歯科用接着材中の水分を確実に除去する方法として、乾燥を非常に長時間行う方法が考えられる。この方法によれば水分を確実に除去できるが、乾燥中に生ずる前記歯科用接着材のムラによる接着強さの低下や治療時間の長期化に繋がる問題が生ずる。
したがって、乾燥操作の終点を明確かつ容易に確認できる新たな歯科用接着材の開発が望まれていた。

なお、歯表面における水分の有無を確認する方法に関連して、酸感受性色素及び水を含む液体で歯の表面を湿潤させた後、脱灰作用を有する酸性エッチング組成物を塗布し、前記酸感受性色素の色変化により前記エッチング組成物が適切に塗布できているかを確認する方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、この方法は、水分が存在することを確認する方法であり、水分が存在しないことを明確かつ容易に確認できる、即ち、乾燥状態を明確かつ容易に確認できる方法としては、何ら存在していないのが現状である。

概要

歯への塗布後、乾燥状態を明確かつ容易に確認可能な歯科用接着材を提供することを課題とする。本発明の歯科用接着材は、少なくとも、(a)酸性基含有重合性単量体と、(b)水と、(c)乾燥前後の呈色変化により歯に塗布した後の乾燥状態を確認可能とする色変化材と光重合開始材とを含むことを特徴とする。なし

目的

したがって、乾燥操作の終点を明確かつ容易に確認できる新たな歯科用接着材の開発が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

少なくとも、(a)酸性基含有重合性単量体と、(b)水と、(c)乾燥前後の呈色変化により歯に塗布した後の乾燥状態を確認可能とする色変化材と、光重合開始材とを含むことを特徴とする歯科用接着材

請求項2

更に、(d)揮発性有機溶媒を含む請求項1に記載の歯科用接着材。

請求項3

更に、(e)酸性基非含有重合性単量体を含む請求項1から2のいずれかに記載の歯科用接着材。

請求項4

(c)色変化材が(f)水溶性金属塩である請求項1から3のいずれかに記載の歯科用接着材。

請求項5

(f)水溶性金属塩がハロゲン化金属塩である請求項4に記載の歯科用接着材。

請求項6

ハロゲン化金属塩が塩化コバルト(II)である請求項5に記載の歯科用接着材。

請求項7

更に、(g)アルカリ土類金属塩を含む請求項4から6のいずれかに記載の歯科用接着材。

請求項8

(c)色変化材が(h)pH指示薬である請求項1から3のいずれかに記載の歯科用接着材。

請求項9

(h)pH指示薬の変色域がpH3.0以下に存する請求項8に記載の歯科用接着材。

請求項10

(h)pH指示薬がチモールブルーである請求項9に記載の歯科用接着材。

請求項11

(c)色変化材が(i)酸化還元指示薬である請求項1から3のいずれかに記載の歯科用接着材。

請求項12

(i)酸化還元指示薬の変色域が1.0V以下に存する請求項11に記載の歯科用接着材。

請求項13

(i)酸化還元指示薬がメチレンブルーである請求項12に記載の歯科用接着材。

技術分野

0001

本発明は、歯科治療に用いられる歯科用接着材に関する。

背景技術

0002

歯の齲蝕やそれに伴う欠損治療に際して、歯科用前処理材、歯科用接着材、歯科用充填修復材による修復が一般的に行われている。特に近年では、修復操作の簡便のために、前記歯科用前処理材の脱灰作用及び浸透作用を有し、前記歯科用前処理材及び前記歯科用接着材の機能を兼ねた一液型の歯科用接着材(以下、単に歯科用接着材という)と前記歯科用充填修復材による修復が一般的に行われている(例えば、特許文献1参照)。
修復治療の際は、以下の手順で作業が行われている。先ず、齲蝕部分を削って窩洞を形成した後、窩洞に前記歯科用接着材を塗布する。次いで、圧縮空気を吹き付けて前記歯科用接着材を乾燥させ、可視光照射して硬化させる。最後に、硬化させた前記歯科用接着材層上から前記歯科用充填修復材を前記窩洞に充填し、可視光を照射して硬化させる。
前記修復治療の中で、操作が不適切であると材料本来接着強さが得られずに接着強さが低下する場合がある。接着強さが低下した場合、二次齲蝕充填材脱落の原因となるため、これを防止する必要がある。この接着強さは、歯のエナメル質及び象牙質の双方に対して要求される。

0003

接着強さが低下する操作上の要因として、(I)光照射強度が低く、前記歯科用充填修復材の硬化が不十分となる、(II)前記歯科用接着材の塗布にムラがあり、歯に対する前記歯科用接着材の被着面積が不十分となる、(III)前記歯科用接着材の乾燥が不十分であり、前記歯科用接着材中の水、溶媒被着面に残存する、などのリスクが残っている。
これらの中で、(I)のリスクは、照射器照射強度事前に測定する、照射距離を可能な限り縮めるなどの方法によって解消でき、(II)のリスクは、前記歯科用接着材が均一に塗布されているかを目視で確認することにより解消される。

0004

一方、(III)のリスクは、注意深く操作を行うことのみであり、解消するのは困難である。即ち、前記歯科用接着材は、乾燥により水や溶媒が揮発するため、次第に流動性が低下するが、前記歯科用接着材の種類により水や溶媒の含有量、流動性が異なるため、充分に乾燥していることを見極めるのは非常に難しい。特に、水は溶媒より揮発しにくいため、被着面に残存しがちである。
この点、(III)のリスクを解消する方法、即ち、前記歯科用接着材中の水分を確実に除去する方法として、乾燥を非常に長時間行う方法が考えられる。この方法によれば水分を確実に除去できるが、乾燥中に生ずる前記歯科用接着材のムラによる接着強さの低下や治療時間の長期化に繋がる問題が生ずる。
したがって、乾燥操作の終点を明確かつ容易に確認できる新たな歯科用接着材の開発が望まれていた。

0005

なお、歯表面における水分の有無を確認する方法に関連して、酸感受性色素及び水を含む液体で歯の表面を湿潤させた後、脱灰作用を有する酸性エッチング組成物を塗布し、前記酸感受性色素の色変化により前記エッチング組成物が適切に塗布できているかを確認する方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、この方法は、水分が存在することを確認する方法であり、水分が存在しないことを明確かつ容易に確認できる、即ち、乾燥状態を明確かつ容易に確認できる方法としては、何ら存在していないのが現状である。

先行技術

0006

特開2009− 29743号公報
特表2008−505924号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、歯への塗布後、乾燥状態を明確かつ容易に確認可能な歯科用接着材を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも、(a)酸性基含有重合性単量体と、(b)水と、(c)乾燥前後の呈色変化により歯に塗布した後の乾燥状態を確認可能とする色変化材と、光重合開始材とを含むことを特徴とする歯科用接着材。
<2> 更に、(d)揮発性有機溶媒を含む前記<1>に記載の歯科用接着材。
<3> 更に、(e)酸性基非含有重合性単量体を含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の歯科用接着材。
<4> (c)色変化材が(f)水溶性金属塩である前記<1>から<3>のいずれかに記載の歯科用接着材。
<5> (f)水溶性金属塩がハロゲン化金属塩である前記<4>に記載の歯科用接着材。
<6> ハロゲン化金属塩が塩化コバルト(II)である前記<5>に記載の歯科用接着材。
<7> 更に、(g)アルカリ土類金属塩を含む前記<4>から<6>のいずれかに記載の歯科用接着材。
<8> (c)色変化材が(h)pH指示薬である前記<1>から<3>のいずれかに記載の歯科用接着材。
<9> (h)pH指示薬の変色域がpH3.0以下に存する前記<8>に記載の歯科用接着材。
<10> (h)pH指示薬がチモールブルーである前記<9>に記載の歯科用接着材。
<11> (c)色変化材が(i)酸化還元指示薬である前記<1>から<3>のいずれかに記載の歯科用接着材。
<12> (i)酸化還元指示薬の変色域が1.0V以下に存する前記<11>に記載の歯科用接着材。
<13> (i)酸化還元指示薬がメチレンブルーである前記<12>に記載の歯科用接着材。

発明の効果

0009

本発明によれば、従来技術における前記諸問題を解決することができ、歯への塗布後、乾燥状態を明確かつ容易に確認可能な歯科用接着材を提供することができる。

0010

(歯科用接着材)
本発明の歯科用接着材は、少なくとも、(a)酸性基含有重合性単量体と、(b)水と、(c)色変化材と、光重合開始材とを含み、必要に応じて、その他の材を含む。

0011

<(a)酸性基含有重合性単量体>
前記(a)酸性基含有重合性単量体は、前記歯科用接着材の歯質に対する脱灰作用及び浸透作用を付与する観点から配合される。
前記(a)酸性基含有重合性単量体は、1分子中に少なくとも1つの酸性基と少なくとも1つの重合性不飽和基を有する化合物を意味し、このような化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて公知の化合物から適宜選択して用いることができる。
前記酸性基は、pKa6以下である官能基を意味する。このような酸性基としては、特に制限はないが、歯質の脱灰作用が高く、歯質に対する接着力が高いリン酸基カルボキシ基が好ましく、具体的には、次に示す基を挙げることができる。なお、酸無水物の基についても、加水分解した状態のものとして前記酸性基に含める。

0012

0013

また、前記重合性不飽和基としては、特に制限はなく、例えば、アクリロイル基メタクリロイル基アクリルアミド基メタクリルアミド基、ビニル基アリル基エチニル基スチリル基を挙げることができ、中でも、前記アクリロイル基、前記メタクリロイル基、前記アクリルアミド基、前記メタクリルアミド基が好ましい。

0014

好適に用いることができる前記(a)酸性基含有重合性単量体の例としては、下記構造式に示す化合物の他、ビニル基に直接リン酸基が結合したビニルホスホン酸類、アクリル酸メタクリル酸ビニルスルホン酸等を挙げることができる。

0015

0016

0017

0018

0019

ただし、前記構造式で示される化合物中、前記R1は、水素原子及びメチル基のいずれかを表す。
中でも、下記一般式(a−1)及び(a−2)のいずれかで示される酸性基含有重合性単量体が好ましい。

0020

0021

ただし、前記一般式(a−1)及び(a−2)で示される化合物中、前記R1は、水素原子及びメチル基のいずれかを表す。前記R2及び前記R3は、アルキル鎖を表し、前記R2と前記R3の炭素数の合計が4以上20未満である。

0022

前記一般式(a−1)で示される化合物としては、例えば、2−(メタアクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート(「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタアクリロイルの意であり、以下も同様の表記とする)、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート等が挙げられる。

0023

また、前記一般式(a−2)で示される化合物としては、例えば、ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフェート等が挙げられる。

0024

なお、前記(a)酸性基含有重合性単量体としては、前述の化合物を1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0025

<(b)水>
前記(b)水は、前記(a)酸性基含有重合性単量体の前記酸性基による歯質の脱灰作用を強め、歯質への浸透作用を促進させる観点から配合される。
前記(b)水としては、特に制限はないが、前記歯科用接着材の保存安定性生体適合性等を低下させる不純物を実質的に含まないことが好ましく、脱イオン水蒸留水等を用いることが好ましい。
前記(b)水の配合量としては、特に制限はないが、前記(a)酸性基含有重合性単量体を含む全重合性単量体100質量部に対して、3質量部〜200質量部が好ましい。
なお、前記(b)水は、前記歯科用接着材を歯に塗布した後、前記(a)酸性基含有重合性単量体を重合させる前に、圧縮空気の吹き付け等により、乾燥除去して使用される。

0026

<(c)色変化材>
前記(c)色変化材は、乾燥前後の呈色変化により歯に塗布した後の乾燥状態を確認可能とする材であり、前記歯科用接着材は、歯に塗布した後、前記歯科用接着材中に含まれる前記(b)水や後述する(d)揮発性有機溶媒に含まれる水分が確実に除去されているか、前記(c)色変化材の呈色変化を通じて明確かつ容易に確認することを技術の核とする。
このような(c)色変化材としては、乾燥前後で呈色変化するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、(f)水溶性金属塩、(h)pH指示薬、(i)酸化還元指示薬等が挙げられる。中でも、接着強さへの影響の小ささから、前記(f)水溶性金属塩が好ましい。
なお、前記(c)色変化材としては、カラーセンサ等の装置により呈色変化を確認するものや、目視に呈色変化を確認するものを適用することができるが、目視により呈色変化を確認するものの方が作業負担がなく、より容易に乾燥状態を確認することができることから、呈色変化の視認性が良好である材料を選択することが好ましい。

0027

−(f)水溶性金属塩−
前記(f)水溶性金属塩としては、水分の有無により呈色変化する材料を適用することができ、例えば、硫化ニッケル硫酸ニッケル、ハロゲン化金属塩を挙げることができるが、視認性が良好であることから、ハロゲン化金属塩が好ましい。
前記ハロゲン化金属塩としては、例えば、塩化鉄(III)、塩化コバルト(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、塩化ニッケル(II)、臭化銀(I)、臭化マンガン(II)、ヨウ化マンガン(I)等を挙げることができるが、中でも、視認性が良好な塩化コバルト(II)が特に好ましい。
前記(f)水溶性金属塩の呈色変化に関し、前記塩化コバルト(II)の呈色変化を例として説明すると、前記(b)水が存在するときに無色に近い赤色に呈色し、前記(b)水が乾燥除去されたときに青色に呈色する。この呈色変化を利用して乾燥状態を確認する。なお、前記(d)揮発性有機溶媒を含む場合、前記塩化コバルト(II)は、青色に呈色し、前記(d)揮発性有機溶媒が揮発すると、前記(b)水により無色に近い赤色に呈色し、前記(b)水が乾燥除去されると、再び青色に呈色する。

0028

前記(f)水溶性金属塩の配合量としては、特に制限はないが、前記全重合性単量体100質量部に対して、0.3質量部〜10質量部が好ましい。前記配合量が、10質量部を超えると、接着成分の接着強さが低下することがあり、0.3質量部未満であると、乾燥状態の視認性が低下することがある。ただし、前記配合量が少なく、前記(f)水溶性金属塩自身での視認性が低い場合であっても、(g)アルカリ土類金属塩と併用することで、視認性を向上させることができ、接着強さを維持しつつ、乾燥状態の確認を明確に行うことができる。
なお、前記(f)水溶性金属塩における水溶性とは、20℃での水への溶解度が0.005g/100mL以上であることを意味する。

0029

−−(g)アルカリ土類金属塩−−
前記(g)アルカリ土類金属塩は、前述の通り、前記(f)水溶性金属塩と併用して視認性を向上させる観点から配合される。
このような(g)アルカリ土類金属塩としては、特に制限はなく、前記(f)水溶性金属塩の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化マグネシウム塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム塩化バリウム硫酸マグネシウム硫酸カルシウム硫酸バリウム等を挙げることができる。
なお、前記(g)アルカリ土類金属塩の配合量としては、特に制限はなく、前記全重合性単量体100質量部に対して、0.1質量部〜1質量部程度である。

0030

−(h)pH指示薬−
前記(h)pH指示薬では、水分の乾燥前後でpHが変化し、呈色変化することを利用して、乾燥状態を確認する。
前記(h)pH指示薬としては、前記歯科用接着材の乾燥状態で酸性を示すことから、変色域がpH3.0以下に存するものを選択することが好ましい。
このような(h)pH指示薬としては、特に制限はないが、視認性が良好であることから、チモールブルーが特に好ましい。
前記(h)pH指示薬の呈色変化に関し、前記チモールブルーの呈色変化を例として説明すると、水分が存在するときにオレンジに呈色し、水分が乾燥除去されたときに赤褐色に呈色する。この呈色変化を利用して乾燥状態を確認する。

0031

前記(h)pH指示薬の配合量としては、特に制限はないが、前記全重合性単量体100質量部に対して、0.5質量部〜5質量部が好ましい。前記配合量が、5質量部を超えると、接着成分の接着強さが低下することがあり、0.5質量部未満であると、乾燥状態の視認性が低下することがある。

0032

−(i)酸化還元指示薬−
前記(i)酸化還元指示薬では、水分の乾燥前後で酸化還元電位が変化し、呈色変化することを利用して、乾燥状態を確認する。
前記(i)酸化還元指示薬としては、前記歯科用接着材の乾燥状態で酸化還元電位が低い値を示すことから、変色域が1.0V以下に存するものを選択することが好ましい。
このような(i)酸化還元指示薬としては、特に制限はないが、視認性が良好であることから、メチレンブルーが特に好ましい。
前記(i)酸化還元指示薬の呈色変化に関し、前記メチレンブルーの呈色変化を例として説明すると、水分が存在するときに無色であり、水分が乾燥除去されたときに緑色に呈色する。この呈色変化を利用して乾燥状態を確認する。

0033

前記(i)酸化還元指示薬の配合量としては、特に制限はないが、前記全重合性単量体100質量部に対して、0.5質量部〜5質量部が好ましい。前記配合量が、5質量部を超えると、接着性分の接着強さが低下することがあり、0.5質量部未満であると、乾燥状態の視認性が低下することがある。

0034

<光重合開始材>
前記光重合開始材としては、そのもの自身が光照射によって分解しラジカル種を生成する化合物や、これに重合促進剤を加えた系からなるものが挙げられる。
前記光重合開始材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カンファーキノンベンジル、α−ナフチルアセトナフテンナフトキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン等のα−ジケトン類、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン類、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン等のα−アミノアセトフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等のアシルフォスフィンオキシド誘導体などを挙げることができる。

0035

前記重合促進材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチルp−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、N,N−ジメチルアンスラニックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、p−ジメチルアミノスチルベン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミントリプロピルアミントリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等の第三級アミン類、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類ドデシルメルカプタンペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート)等のメルカプト化合物が挙げられる。

0036

更に、前記重合開始材、前記重合促進材に加え、ヨードニウム塩トリハロメチル置換S−トリアジン、フェナンシルスルホニウム塩化合物等の電子受容体を加えてもよい。
前記光重合開始材の配合量としては、特に制限はないが、前記全重合性単量体100質量部に対して0.01質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜5質量部がより好ましい。

0037

<その他の材>
前記その他の材としては、本発明の効果を妨げない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(d)揮発性有機溶媒、(e)酸性基非含有重合性単量体、シリカ系フィラー等が挙げられる。

0038

−(d)揮発性有機溶媒−
前記(d)揮発性有機溶媒は、接着に有効な成分を歯質に浸透させるとともに、前記歯科用接着材の保存安定性の観点から配合される。
ここで、前記(d)揮発性有機溶媒は、室温で揮発性を有し、水溶性を示す有機溶媒が該当し、前記揮発性とは、760mmHgでの沸点が100℃以下であり、且つ20℃における蒸気圧が1.0KPa以上であることを意味する。また、前記水溶性とは、20℃での水への溶解度が20g/100mL以上であることを意味し、20℃において水と任意の割合で相溶することが好ましい。
このような前記(d)揮発性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノールイソプロピルアルコールアセトンメチルエチルケトンなどを挙げることができる。中でも、生体に対する毒性を考慮すると、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンが好ましい。
なお、これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0039

前記(d)揮発性有機溶媒を配合する場合の配合量としては、特に制限はないが、前記全重合性単量体100質量部に対して、30質量部〜500質量部が好ましい。
なお、前記(d)揮発性有機溶媒は、前記歯科用接着材を歯に塗布した後、前記(a)酸性基含有重合性単量体を重合させる前に、圧縮空気の吹き付け等により、乾燥除去して使用される。

0040

−(e)酸性基非含有重合性単量体−
前記(e)酸性基非含有重合性単量体は、接着成分として配合される。
前記(e)酸性基非含有重合性単量体は、少なくとも一つの前記重合性不飽和基を有し、かつ、前記酸性基を有しない化合物を指し、公知の化合物から適宜選択して用いることができる。中でも、前記重合性不飽和基を複数有する多官能重合性単量体が、硬化速度硬化体機械的物性耐水性、及び耐着色性等を良好にする観点から好適に用いられる。また、(メタ)アクリレート系重合性単量体が好適に使用される。多官能性の前記(メタ)アクリレート系重合性単量体の代表例としては、下記(1)〜(3)に示される、二官能重合性単量体、三官能重合性単量体、四官能重合性単量体が挙げられる。

0041

(1)二官能重合性単量体
前記二官能重合性単量体としては、芳香族化合物系の重合性単量体脂肪族化合物系の重合性単量体が挙げられる。
前記芳香族化合物系の重合性単量体としては、例えば、2,2’−ビス{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2−[4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル]−2‐[4−(メタ)クリイルオキシトリエトキシフェニル]プロパン、2−[4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル]−2−[4−(メタ)クリロイルオキシトリエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)クリロイルオキシプロポキシフェニル]プロパン;及びOH基含有ビニルモノマー脂肪族ジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等が挙げられる。
なお、前記OH基含有ビニルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレート、これらメタクリレートに対応するアクリレート等が挙げられる。また、前記ジイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。

0042

前記脂肪族化合物系の重合性単量体としては、例えば、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタンエチレングリコールジメタクリレートジエチレングリコールジメタクリレートトリエチレングリコールジメタクリレートテトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート、1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート等のメタクリレート、これらメタクリレートに対応するアクリレート等;並びにOH基含有ビニルモノマーと脂肪族ジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等が挙げられる。
なお、前記OH基含有ビニルモノマーとしては、先に例示したものと同様のものを挙げることができ、前記脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサンイソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等を挙げることができる。

0043

(2)三官能重合性単量体
前記三官能重合性単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレートトリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレート;及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等が挙げられる。

0044

(3)四官能重合性単量体
前記四官能重合性単量体としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート;及びジイソシアネート化合物グリシドールジメタクリレートとの付加体から得られるジアダクト等が挙げられる。
なお、前記ジイソシアネート化合物としては、例えば、ジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート等を挙げることができる。
なお、これらの多官能(メタ)アクリレート系重合性単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0045

更に、必要に応じて、単官能の(メタ)アクリレート系重合性単量体を用いてもよい。
前記単官能の(メタ)アクリレート系重合性単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。

0046

また、前記(メタ)アクリレート系重合性単量体以外の重合性単量体を用いてもよい。
このような重合性単量体としては、例えば、フマル酸モノメチルフマル酸ジエチルフマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;スチレンジビニルベンゼンα−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等のスチレン系化合物ジアリルフタレートジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネートアリジグリコールカーボネート等のアリル化合物;などが挙げられる。

0047

また、前記重合性単量体として、疎水性の重合性単量体を多く含む場合には、前記(e)酸性基非含有重合性単量体として両親媒性重合性単量体を併用することが好ましい。
前記両親媒性重合性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコール重合度9〜50)、1,2,3,4−ブタンテトラオール−1,4−ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。このような両親媒性重合性単量体が配合されることにより、組成均一性を確保することができ、象牙質への浸透性がより向上する。その結果、安定して高い接着強さを得ることができる。

0048

なお、前記(e)酸性基非含有重合性単量体としては、特に制限はないが、前記全重合性単量体100質量部中、10質量部〜60質量部が好ましい。

0049

−シリカ系フィラー−
前記シリカ系フィラーは、前記歯科用接着材の保存時におけるゲル化を抑制する観点から配合される。
前記シリカ系フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、石英などの結晶質シリカ非晶質シリカの他、シリカチタニアシリカジルコニア等のシリカを主成分とする他の金属酸化物との複合金属酸化物等を挙げることができる。
中でも、前記非晶質シリカが好ましい。前記非晶質シリカとしては、湿式法乾式法の異なる製造方法で合成されたものが挙げられるが、乾式法で合成されたものが好ましく、フュームドシリカが特に好ましい。

0050

前記シリカ系フィラーの比表面積としては、特に制限はないが、50m2/g以上が好ましく、100m2/g〜300m2/gがより好ましい。なお、シリカ系フィラーの比表面積は、BET法によって測定することができる。
また、前記シリカ系フィラーの粒子径としては、特に制限はないが、1次粒子径が1nm〜100nm、二次粒子径が0.1μm〜10μmのものが好ましい。なお、前記粒子径は、電子顕微鏡で測定することができる。

0051

前記シリカ系フィラーとしては、シランカップリング材で代表される表面処理材疎水化することで、各種重合性単量体とのなじみを良好とし、機械的強度や耐水性を向上させることができる。
前記疎水化の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を挙げることができ、例えば、前記ランカプリング材として、メチルトリメトキシシランメチルトリエトキシシランメチルトリクロロシランジメチルジクロロシラントリメチルクロロシランビニルトリメトキシシランビニルトリエトキシシランビニルトリクロロシランビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランヘキサメチルジシラザン等を用いた疎水化を挙げることができる。

0052

前記シリカ系フィラーの配合量としては、特に制限はないが、前記全重合性単量体100質量部に対して、5質量部〜35質量部が好ましい。

0053

更に、前記歯科用接着材には、本発明の効果を損なわない範囲で、重合禁止材ポリビニルピロリドンカルボキシメチルセルロースポリビニルアルコール等の高分子化合物などの有機増粘材を添加することが可能である。また、紫外線吸収材染料帯電防止材顔料香料等の各種添加材を必要に応じて選択して使用することもできる。

0054

なお、前記歯科用接着材は、歯質に対する脱灰作用及び浸透作用を兼ねた1液型の材として、調製することができ、調製方法としては、特に制限はなく、公知の方法により、前記各材を均一になるまで混合する方法が挙げられる。

0055

以下、本発明を具体的に説明するために、実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明の技術的思想は、これらにより何ら制限されるものではない。なお、実施例及び比較例の製造に用いた各成分並びにその略称及び略号については、以下の通りである。

0056

(各成分並びにその略称及び略号)
[(a)酸性基含有重合性単量体]
PM:2−メタクロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェートとビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェートの混合物
MHP:8−メタクリルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート
DP:10−メタクリルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
MAC−10:11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸
[(b)水]
水:蒸留水
[(c)色変化材]
−(e)水溶性金属塩−
CoCl2:塩化コバルト(II)
FeCl3:塩化鉄(III)
NiSO4:硫酸ニッケル(II)
−−(f)アルカリ土類金属塩−−
MgCl2:塩化マグネシウム
CaCl2:塩化カルシウム
−(g)pH指示薬−
TB:チモールブルー(変色域:pH1.2〜pH2.8)
−(h)酸化還元指示薬−
MB:メチレンブルー(変色域:0.53V)
[(d)揮発性有機溶媒]
アセトン
IPA:イソプロピルアルコール
エタノール
[(e)酸性基非含有重合性単量体]
BisGMA:2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
[光重合開始材]
CQ:カンファーキノン
DMBE:4−ジメチルアミノ安息香酸エチル
BTPO:ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
[重合禁止材]
HT:ジブチルヒドロキシトルエン

0057

(歯科用接着材)
<実施例1>
下記組成に従い、各成分を混合後、これらが均一になるまで攪拌して実施例1に係る歯科用接着材を製造した。

0058

−組成−
・(a)酸性基含有重合性単量体PM 30g
・(b)水 100g
・(f)水溶性金属塩CoCl2 1.0g
・(d)揮発性有機溶媒アセトン100g
・(e)酸性基非含有重合性単量体HEMA 30g
BisGMA 24g
3G 16g
・重合禁止材BHT0.1g
・光重合開始材CQ 1.0g
DMBE 1.0g

0059

<実施例2〜27/比較例1〜9>
また、下記表1に記載の組成に基づいて製造したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜27及び比較例1〜9に係る各歯科用接着材を製造した。

0060

0061

接着試験
先ず、屠殺後24時間以内に抜去した下顎前歯を、注水下、#600のエメリーペーパー耐水研磨紙)で研磨し、唇面と平行になるようにエナメル質平面及び象牙質平面を削り出した。
次に、これら平面に圧縮空気を吹き付けて乾燥させた後、これら平面に直径3mmの円孔の開いた両面テープをそれぞれ固定し、接着面積を規定した。
次に、直径8mmの孔の開いた厚さ0.5mmのパラフィンワックスを、該孔が前記両面テープの前記円孔と同一中心となる位置で前記両面テープ上に貼り付けて模擬窩洞を形成した。
この模擬窩洞に実施例1〜27及び比較例1〜9に係る各歯科用接着材を塗布し、20秒間放置した後、圧縮空気を吹き付けて乾燥させた。ここで、乾燥状態の確認は、後掲の表3に定める基準により行った。また、前記(c)色変化材を含む実施例1〜27に係る各歯科用接着材の乾燥状態を目視で確認するのに際し、次の基準により、視認性の評価を行った。
−乾燥状態の視認性−
◎:容易に確認できる。
○:確認できる。
×:確認できない。

0062

次いで、前記模擬窩洞内に歯科用充填修復材(トクヤマデンタル社製、エステライトフロークイック)を充填し、ポリエステル製フィルムで覆った上から、歯科用光照射器(トクヤマデンタル社製)を用いて20秒間光照射し、最後に、前記ポリエステル製フィルム及び前記パラフィンワックスを丁寧に外し、接着試験片Iを得た。
前記接着試験片Iを24時間、37℃の水中に浸漬させた後、金属製の治具を取り付け、引張試験機島津社製オートグラフAG5000)を用いて、クロスヘッドスピード2mm/minの条件で引っ張り試験を行い、前記エナメル質平面及び前記象牙質平面に対する実施例1〜27及び比較例1〜9に係る各歯科用接着材の接着強さを測定した。なお、この接着強さの測定結果は、20回、同一条件繰返し測定した各測定値平均値として算出したものであり、また、同一条件で繰返し測定した場合の標準偏差についても算出した。
前記接着強さ、前記標準偏差及び前記乾燥状態の視認性の各測定結果を下記表2に示す。

0063

0064

実施例

0065

上掲表2に示すように、実施例1〜27に係る各歯科用接着材では、比較例1〜9に係る各歯科用接着材に比べ、接着強さ及び視認性が同等以上であった。なお、比較例1〜9に係る各歯科用接着材では、乾燥状態の判断にばらつきが生じるため、標準偏差が大きくなり、接着強さが不安定となることが確認される。
また、実施例5,22,25に係る各歯科用接着材では、実施例1,6,23,26に係る各歯科用接着材に比べ、前記(c)色変化材の添加量が少ないため、視認性の低下が確認される。
また、実施例7〜9,24,27に係る各歯科用接着材では、実施例1,6,23,26に係る各歯科用接着材に比べ、前記(c)色変化材の添加量が多いため、接着強さの低下が確認される。
また、実施例6,19に係る各歯科用接着材では、実施例21に係る歯科用接着材に比べ、前記(f)水溶性金属塩として、ハロゲン化金属塩を用いているため、視認性が良好である。中でも、塩化コバルト(II)を用いた、実施例6に係る歯科用接着材の視認性が最良であった。
また、実施例14,15に係る各歯科用接着材では、実施例5に係る歯科用接着材に比べ、前記(g)アルカリ土類金属塩を添加したため、視認性を向上させることができている。なお、前記(g)アルカリ土類金属塩を添加した実施例20に係る歯科用接着材においても、良好な視認性が得られている。

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