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技術 Si含有鋼材の熱間鍛造方法

出願人 大同特殊鋼株式会社
発明者 森田敏之岡島琢磨泉幸貴山下正和
出願日 2014年1月29日 (6年10ヶ月経過) 出願番号 2014-014927
公開日 2015年8月3日 (5年4ヶ月経過) 公開番号 2015-139812
状態 特許登録済
技術分野 鍛造
主要キーワード 摩耗個所 拡大変形 終止温度 耐衝撃値 テーパ形 有限要素法解析 鍛造加熱温度 重量増加分
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年8月3日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (6)

課題

Siを0.40〜3.00含んだ高Si鋼材から成る被鍛材を熱間鍛造するに際し、型摩耗を効果的に抑制し得て型寿命を延すことのできるSi含有鋼材の熱間鍛造方法を提供する。

解決手段

質量%でC:O.1O〜O.50%,Si:O.4O〜3.00%,Mn:O.10〜3.00%,P:0.030%以下,S:O.030%以下,Cu:O.01〜1.00%,Ni:0.01〜3.00%,Cr:O.10〜3.00%,Mo:O.O0〜2.00%,V:0.00〜0.50%の化学組成を有するSi含有鋼材から成る被鍛材10に対して、表面拡大率が5以上である部分を含む形状に熱間鍛造するに際して、被鍛材10を以下の式(1)を満たす鍛造加熱温度1127(℃)<鍛造加熱温度(℃)<(1177+[Mn]−0.5×[Cr])(℃)・・・式(1) (但し式中の[ ]は[ ]内の元素含有質量%を示す) に加熱して熱間鍛造を行う。

概要

背景

鋼材の加工手段の1つとして、高温下で鋼材を鍛造する熱間鍛造が広く行われている。
この熱間鍛造の下では金型苛酷な条件で使用される。熱間鍛造における金型の摩耗(以下型摩耗とすることがある)は金型寿命を決する要因であり、摩耗によって金型が早期に寿命に達すれば、必然的に金型に要するコストが高くなる。
従って金型の摩耗を抑制することは、金型コストつまりは熱間鍛造の加工コストを低減する上で極めて重要である。

熱間鍛造における型摩耗は様々な要因によって左右されるが、鋼材即ち被鍛材における鍛造加工後表面積鍛造加工前の表面積との比率である表面拡大率は重要且つ大きな要因である。
この表面拡大率が大きいと、型面に沿っての被鍛材の肉の移動量(摺動移動量)が大きく、型面に塗布されている潤滑剤が大きく引き延ばされてその効果が減少し、摩耗が増大する。特に型面に沿って膜形成している潤滑剤が膜切れを生じたりすると、そこで型摩耗が急激に助長される。

熱間鍛造における型摩耗は、鋼材即ち被鍛材の化学組成によっても左右される。
例えば自動車ギヤ等の材料として用いられている構造用鋼、例えばJIS SNC,SNCM,SCRSCM等ではSi含有量が0.35%以下であるが、Siを0.4%以上含有した高強度の高Si鋼について本発明者らが熱間鍛造試験を行ったところ、加工条件によっては型摩耗が大となることが判明した。

尚、本発明に対する先行技術として、下記特許文献1には「高強度鋼製粗形品およびその製造方法」についての発明が示され、そこにおいて具体例としてSiを0.52〜0.65%含有する組成の鋼材を1150℃に加熱した後、熱間鍛造する点が開示されている。
但しこの特許文献1には、熱間鍛造に際しての加熱温度についての記述がなされているのみで、型摩耗や、型摩耗に大きく影響する表面拡大率等に関する言及は一切なされていない。
またこの特許文献1に記載のものでは、本発明の加熱温度の上限を超えた温度である1200℃に鋼材を加熱した上で鍛造する例も発明例として開示しており、本発明とは異なっている。

概要

Siを0.40〜3.00含んだ高Si鋼材から成る被鍛材を熱間鍛造するに際し、型摩耗を効果的に抑制し得て型寿命を延すことのできるSi含有鋼材の熱間鍛造方法を提供する。質量%でC:O.1O〜O.50%,Si:O.4O〜3.00%,Mn:O.10〜3.00%,P:0.030%以下,S:O.030%以下,Cu:O.01〜1.00%,Ni:0.01〜3.00%,Cr:O.10〜3.00%,Mo:O.O0〜2.00%,V:0.00〜0.50%の化学組成を有するSi含有鋼材から成る被鍛材10に対して、表面拡大率が5以上である部分を含む形状に熱間鍛造するに際して、被鍛材10を以下の式(1)を満たす鍛造加熱温度1127(℃)<鍛造加熱温度(℃)<(1177+[Mn]−0.5×[Cr])(℃)・・・式(1) (但し式中の[ ]は[ ]内の元素含有質量%を示す) に加熱して熱間鍛造を行う。

目的

本発明は以上のような事情背景とし、Siを0.40〜3.00含んだ高Si鋼材から成る被鍛材を熱間鍛造するに際し、型摩耗を効果的に抑制し得て型寿命を延すことのできるSi含有鋼材の熱間鍛造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

質量%でC:O.1O〜O.50%Si:O.4O〜3.00%Mn:O.10〜3.00%P:0.030%以下S:O.030%以下Cu:O.01〜1.00%Ni:0.01〜3.00%Cr:O.10〜3.00%Mo:O.O0〜2.00%V:0.00〜0.50%の化学組成を有するSi含有鋼材から成る被鍛材に対して、表面拡大率が5以上である部分を含む形状に熱間鍛造するに際して、該被鍛材を以下の式(1)を満たす鍛造加熱温度1127(℃)<鍛造加熱温度(℃)<(1177+[Mn]−0.5×[Cr])(℃)・・・式(1)(但し式中の[]は[]内の元素含有質量%を示す)に加熱して熱間鍛造を行うことを特徴とするSi含有鋼材の熱間鍛造方法

技術分野

0001

この発明はSi含有鋼材の熱間鍛造方法に関し、特にSiを0.4%以上含有する高Si鋼材を熱間鍛造する際の鋼材加熱温度設定方法に特徴を有する鍛造方法に関する。

背景技術

0002

鋼材の加工手段の1つとして、高温下で鋼材を鍛造する熱間鍛造が広く行われている。
この熱間鍛造の下では金型苛酷な条件で使用される。熱間鍛造における金型の摩耗(以下型摩耗とすることがある)は金型寿命を決する要因であり、摩耗によって金型が早期に寿命に達すれば、必然的に金型に要するコストが高くなる。
従って金型の摩耗を抑制することは、金型コストつまりは熱間鍛造の加工コストを低減する上で極めて重要である。

0003

熱間鍛造における型摩耗は様々な要因によって左右されるが、鋼材即ち被鍛材における鍛造加工後表面積鍛造加工前の表面積との比率である表面拡大率は重要且つ大きな要因である。
この表面拡大率が大きいと、型面に沿っての被鍛材の肉の移動量(摺動移動量)が大きく、型面に塗布されている潤滑剤が大きく引き延ばされてその効果が減少し、摩耗が増大する。特に型面に沿って膜形成している潤滑剤が膜切れを生じたりすると、そこで型摩耗が急激に助長される。

0004

熱間鍛造における型摩耗は、鋼材即ち被鍛材の化学組成によっても左右される。
例えば自動車ギヤ等の材料として用いられている構造用鋼、例えばJIS SNC,SNCM,SCRSCM等ではSi含有量が0.35%以下であるが、Siを0.4%以上含有した高強度の高Si鋼について本発明者らが熱間鍛造試験を行ったところ、加工条件によっては型摩耗が大となることが判明した。

0005

尚、本発明に対する先行技術として、下記特許文献1には「高強度鋼製粗形品およびその製造方法」についての発明が示され、そこにおいて具体例としてSiを0.52〜0.65%含有する組成の鋼材を1150℃に加熱した後、熱間鍛造する点が開示されている。
但しこの特許文献1には、熱間鍛造に際しての加熱温度についての記述がなされているのみで、型摩耗や、型摩耗に大きく影響する表面拡大率等に関する言及は一切なされていない。
またこの特許文献1に記載のものでは、本発明の加熱温度の上限を超えた温度である1200℃に鋼材を加熱した上で鍛造する例も発明例として開示しており、本発明とは異なっている。

先行技術

0006

特開2010−24503号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は以上のような事情背景とし、Siを0.40〜3.00含んだ高Si鋼材から成る被鍛材を熱間鍛造するに際し、型摩耗を効果的に抑制し得て型寿命を延すことのできるSi含有鋼材の熱間鍛造方法を提供することを目的としてなされたものである。

課題を解決するための手段

0008

而して請求項1のものは、質量%でC:O.1O〜O.50%,Si:O.4O〜3.00%,Mn:O.10〜3.00%,P:0.030%以下,S:O.030%以下,Cu:O.01〜1.00%,Ni:0.01〜3.00%,Cr:O.10〜3.00%,Mo:O.O0〜2.00%,V:0.00〜0.50%の化学組成を有するSi含有鋼材から成る被鍛材に対して、表面拡大率が5以上である部分を含む形状に熱間鍛造するに際して、該被鍛材を以下の式(1)を満たす鍛造加熱温度
1127(℃)<鍛造加熱温度(℃)<(1177+[Mn]−0.5×[Cr])(℃)・・・式(1)
(但し式中の[ ]は[ ]内の元素含有質量%を示す)
に加熱して熱間鍛造を行うことを特徴とする。

0009

以上のように本発明は、Siを0.40〜3.00%含む上記所定組成の高Si鋼材から成る被鍛材を式(1)を満たす温度に加熱して熱間鍛造を行うものである。
本発明者らは、上記高Si鋼材から成る被鍛材に対して熱間鍛造試験を行う中で、かかる高Si鋼材では型摩耗が生じ易いこと、またその型摩耗はSiの含有量が多くなるのに伴って増大することを知得した。
更にその原因を追究する中で、金型の摩耗量を支配している最大要因が鋼材、つまり被鍛材表面に生成するスケールの量であること、そしてそのスケールの生成量を多くする要因が加熱によるスケールの溶融であり、スケールの部分的な溶融が生じると、これを境としてスケールの生成量が急激に増大し、これとともに型摩耗が顕著に増大すること、Siを含有した鋼材ではスケールの溶融が生じ易いこと、特にSi含有量が0.4%を超えた高Si鋼材ではスケールの溶融による影響が顕著に表れ、スケール生成量が急拡大すること等の事実が判明した。
以下この点を具体的に説明する。

0010

通常の鋼材の場合、図1(B)のモデル図に示すように母材BのFe原子雰囲気中のOとが結合して母材B表面にFeの酸化膜FeOを生成し、これがスケールSとなる。
更に母材BのFe原子がスケール(酸化膜)Sを拡散移動し、これを通過して雰囲気中のOと新たに結合することで、図1(B)中破線で示すようにスケールSの成長即ちスケール厚みの増大が生じる。
Fe原子の拡散速度は、鍛造加熱温度が高くなるのに伴って速くなるものの、もともと固相のスケールS内でのFe原子の拡散速度は速いものではないから、加熱温度を高くした場合であってもスケールSの成長速度はそれほど速くはならない。

0011

一方Si含有の鋼材の場合、図1(A)のモデル図に示すように加熱温度を高くすると、Si含有によってスケールSが部分的に溶融し易くなり、特にSi含有量が0.4%を超えて高含有量になると、ある温度を境としてスケールSの部分的な溶融現象が顕著となり、これとともにスケールSの生成量が急拡大すること、そしてこれとともに型摩耗も急激に増大することが判明した。

0012

このようにスケールSの溶融によってスケールSの生成量及びこれに伴って型摩耗が急激に増大するのは、スケールSの溶融部分L、即ち液相中においては母材BからのFe原子の拡散移動速度、つまりスケールSの通過速度が速くなり、母材BからのFe原子が速やかにOと結合して新たにスケールSを生成することによるものと考えられる。

0013

上記式(1)における右辺の(1177+[Mn]−0.5×[Cr])(以下式Aとすることがある)はスケールSの溶融温度を表すものであり、式(1)は熱間鍛造に際して被鍛材の鍛造加熱温度をスケールSの溶融温度よりも低くすべきことを表している。

0014

熱間鍛造における金型の摩耗量を支配する他の要因として、前述したように表面拡大率の問題がある。
表面拡大率が小さければ、たとえ高Si鋼材であってスケールを生成し易いものであっても、型面に沿った被鍛材の肉の摺動移動量が少ないために型摩耗が大きな問題とはならない。
本発明者らは、表面拡大率が5以上であること、Si含有量が0.4%以上であること、鍛造加熱温度が式(1)の右辺(A式)を超える温度であること、の条件が揃ったときに型摩耗が顕著に生じる事実を突き止め、その知見に基づいて本発明を完成した。

0015

以上は型摩耗に対するスケールの影響の問題であるが、熱間鍛造における型摩耗は、このようなスケールによるものとは別に、鍛造時の被鍛材の変形抵抗によっても左右される。具体的には、加熱温度が低下すれば被鍛材の変形抵抗は大きくなり、これに伴って金型の摩耗量は増大する。
そこで本発明では、熱間鍛造に際して被鍛材の加熱温度を1127℃よりも高い温度とする。加熱温度がこれよりも低くなると、変形抵抗の増大によって型摩耗が大となってしまう。

0016

次に本発明の対象となる高Si鋼における各化学成分の限定理由を以下に説明する。
C:0.10〜0.50%
Cは機械部品として強度を得る上で必要な元素であり、含有量が0.10%を下回ると必要な強度が得られなくなるため、0.10%以上含有させる。一方0.50%を超えると加工性、特に被削性が低くなって部品成形に不利になるため、上限値を0.50%とする。

0017

Si:0.40〜3.00%
Siは、鋼の溶製時に脱酸剤として添加されるだけでなく、基地に固溶して強度と高めるので、強度を得る上で有用な元素である。Siの下限を0.40%としたのは、これよりも含有量が少ないと耐焼付性・耐かじり性が低下し、強度が低下することによる。一方、Siの上限を3.00%としたのは、Siが多すぎると加工性、特に被削性が劣化するためである。

0018

Mn:0.10〜3.00%
Mnは脱酸剤として鋼の溶製時に添加される。
但し、その含有量が3.00%を超えて過剰であると加工性特に被削性を劣化させる。そこで本発明ではMn含有量を0.10〜3.00%とする。

0019

P:0.030%以下
S:0.030%以下
これらは不純物であって、脆化を招くなど、部品の機械的性質にとって好ましくない成分であるから、その量は低い方がよい。上記の値は、ともに許容限度である。

0020

Cu:0.01〜1.00%
Cuは、後述するNi,Crと共に、引張強度耐衝撃値及び疲労強度を向上させる元素である。Cuの下限を0.01%としたのは、これよりも含有量が少ないと焼入性が低下し、強度が低下することによる。一方、Cuの上限を1.00%としたのは、Cuが多すぎると加工性、特に被削性が劣化するためである。

0021

Ni:0.01〜3.00%
Niは、前述したCu、後述するCrと共に、引張強度、耐衝撃値及び疲労強度を向上させる元素である。Niの下限を0.01%としたのは、Ni含有量がこれよりも少ないと焼入性が低下し、強度が低下するためである。一方、Niの上限を3.00%としたのは、Niが多すぎると加工性、特に被削性が劣化するためである。

0022

Cr:0.01〜3.00%
Crは、前述するCu,Niと共に、引張強度、耐衝撃値及び疲労強度を向上させる元素である。加工性特に被削性の観点から、本発明では含有量を3.00%以下に規制する。但し含有量が少なすぎると焼入れ性が低くなって、製品機械的特性不満足になるので含有量を0.01%以上とする。

0023

Mo:0.00〜2.00%
Moは任意成分としてのもので、強度を高めるのに有用な元素である。但し多量になると鋼の加工性を悪くするので2.00%以下の含有量とする。

0024

V:0.00〜0.50%
Vは任意成分としてのもので、炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる。但し多量になると鋼の加工性が悪化するので、0.50%以下の含有量とする。

発明の効果

0025

以上のような本発明の熱間鍛造方法によれば、Siを0.40〜3.00含んだ高Si鋼材から成る被鍛材を熱間鍛造するに際し、型摩耗を抑制し得て型寿命を効果的に延命することができる。

図面の簡単な説明

0026

被鍛材表面のスケール成長を模式的に表した説明図である。
熱間鍛造試験の説明図である。
熱間鍛造試験に用いた金型を拡大して示した図である。
鍛造加熱温度と摩耗量の関係を表した図である。
鍛造加熱温度とスケール量の関係を表した図である。

0027

次に本発明の実施例を以下に詳述する。
表1に示す化学組成の鋼材(表1中残部はFe)を真空溶製し、図2(A)に示す試験片を作製して、これを被鍛材10とした。
被鍛材10のサイズ,形状は直径がφ30mm,高さが80mmの円柱形状である。
そしてこの被鍛材10に対して、以下のようにして熱間鍛造を行った。
図3はその際に用いた金型の形状、寸法を示している。

0028

同図に示しているように、ここでは金型12として図中上下の軸方向に対称形状をなす上型12-1と下型12-2とを用いた。
これら上型12-1,下型12-2は、何れも軸方向に対称形状をなす凹部14-1,14-2を有している。凹部14-1,14-2の深さは何れも30mmで、側周面は角度2°のテーパ形状をなしている。
尚金型の材質はJISSKD61(HRC50相当)である。

0029

熱間鍛造では、先ず被鍛材10をインダクションヒータにて加熱し、10秒で表1に示す鍛造加熱温度まで昇温させた。
一方金型12は、予め170〜200℃に加熱(予熱)しておくとともに型面に潤滑剤をスプレー塗布しておき(潤滑剤としては白色系・日華化学F-500(濃度4%)を用いた)、そして被鍛材10に対して昇温後5.5〜5.7秒後に金型12を用いて熱間鍛造を実施した。熱間鍛造は、終止温度950℃以上で行った。

0030

熱間鍛造では、被鍛材10の略上半部,下半部をそれぞれ上型12-1,下型12-2の凹部14-1,14-2内に挿入して保持させた状態で、軸方向寸法が62mmとなるまで軸方向に圧縮変形させ、これと同時に全体を軸直角方向に拡大変形させて、一部を上型12-1の下端面16-1と、下側12-2の上端面16-2との間の間隙にはみ出させ、その間隙部分において円環状の鍔部18を成形した。
この熱間鍛造では、鍔部18の付根部近傍部18a(図2(B)参照)での表面拡大率が最大で、7であった。
尚、表面拡大率は有限要素法により計算で求めることができる。ここではSFTC社(米国)の有限要素法解析コード「DEFORM-2D」を用いた。

0031

以上の熱間鍛造において、被鍛材10を変形させる際の最大荷重を測定し(測定は昭和測器社製のロードセルを用いた)、これを試験片10の横断面の面積で除して変形抵抗を求めた。その値が表1に併せて示してある。
また鍛造前後の金型12の重量測定により、金型12の摩耗量を測定した。結果が同様に表1に示してある。

0032

尚、金型12の最大摩耗個所は、図2(C)に示すように鍔部18の付根近傍部18aに対応した部位20であり、測定した摩耗量は実質的にこの部位20の摩耗によるものである。
他方、これとは別に被鍛材10を加熱した後鍛造加工せずに取り出し、重量増加分を測定することで、生成したスケール量を求めた。結果が表1に示してある。

0033

0034

図4は、表1の結果を横軸に鍛造加熱温度を、縦軸に摩耗量をとって、それらの関係を表したものである。
また図5は、同じく表1の結果を横軸に鍛造加熱温度を、縦軸にスケール量をとって、それらの関係を表したものである。
図4から、実施例1〜5の鋼種及び比較例6の鋼種の何れも、熱間鍛造の際の鍛造加熱温度が1127℃を下回ると摩耗量が増大することが見て取れる。このときの摩耗量の増大は被鍛材10の変形抵抗の増大に基づくものである。

0035

一方、Si含有量が0.18%で本発明の下限値よりも低い比較例6の鋼種では、鍛造加熱温度が本発明で規定する上限温度(式(1)中の右辺の式Aの値)である1177.7℃を大幅に超えた高い温度1210℃であっても、摩耗量は殆ど増大していないのに対して、Si含有量が本発明の下限値である0.4%よりも多く、本発明の範囲内にある実施例1〜5の鋼種では、鍛造加熱温度がそれぞれの上限温度を超えることによって摩耗量が急激に増大していること、その増大量はSiの含有量が多くなるのに伴って拡大していること等が見て取れる。
前述したように、鍛造加熱温度における上限温度はスケールが溶融する温度である。つまりこの溶融温度を鍛造加熱温度が超えることで、摩耗量が急激に拡大していることが見て取れる。

0036

他方、鍛造加熱温度とスケール量との関係を表した図5を見ると、Si含有量が下限値の0.40%よりも多い本発明の実施例1〜5の鋼種においては、鍛造加熱温度がそれぞれの上限温度を超えると、スケール量が急激に増大していることが見て取れる。
またスケール量の増大挙動と、図4の摩耗量の増大挙動とは、図4図5との比較から分かるように酷似しており、このことから金型の摩耗量は、被鍛材10に生成したスケールの量によって支配されていることが理解できる。

0037

換言すれば、熱間鍛造における鍛造加熱温度を、式(1)における右辺の式A(1177+[Mn]−0.5×[Cr])で表されるスケールの溶融温度以下とすることで、スケールの生成量を少なく抑えることができ、またこれによって金型の摩耗を小さく抑制できること、特に表面拡大率5以上で型面に沿った被鍛材の肉の摺動移動量が大きい場合であっても金型の摩耗を小さく抑制できることが理解できる。

0038

以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。

0039

10 被鍛材
12金型
12-1上型
12-2下型
14-1,14-2 凹部
16-1下端面
16-2上端面
18 鍔部
20 部位

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