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技術 車両用操舵システム

出願人 本田技研工業株式会社
発明者 片山博貴田中邦宜植田恭史及川祐樹
出願日 2014年1月21日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2014-008339
公開日 2015年7月30日 (4年2ヶ月経過) 公開番号 2015-136967
状態 特許登録済
技術分野 走行状態に応じる操向制御 パワーステアリング機構
主要キーワード 直線移動量 手応え 自動運転制御 出力系統 入力系統 操向部材 ETC 回転軸周り
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年7月30日)のものです。
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図面 (3)

課題

モード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい車両用操舵システムを提供する。

解決手段

モード切替部63は、EPSモードからSBWモードへの切替えの原因となったシステム故障などの条件が解消されても、第2の条件を満たすようになるまで、EPSモードからSBWモードへの切替えを待つ。この第2の条件は、車両Vが、モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあることであり、モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態になるのを見計らって、EPSモードからSBWモードへの切替えを行う。

概要

背景

特許文献1に示すように、ステアバイワイヤ(Steer By Wire)を搭載した車両用操舵システムにおいては、システムが正常に動作しているときには、ステア・バイ・ワイヤにより車両の転舵を行うSBW(Steer By Wire)モードで動作する。一方、システムに何らかの不具合が生じたときには、反力モータまたは転舵モータ操舵にかかるアシスト力を発生するEPS(Electronic Power Steering:電動パワーステアリング)モードで動作する。

概要

モード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい車両用操舵システムを提供する。モード切替部63は、EPSモードからSBWモードへの切替えの原因となったシステムの故障などの条件が解消されても、第2の条件を満たすようになるまで、EPSモードからSBWモードへの切替えを待つ。この第2の条件は、車両Vが、モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあることであり、モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態になるのを見計らって、EPSモードからSBWモードへの切替えを行う。

目的

本発明は、モード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい車両用操舵システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

車両の操舵のための操向部材による操作入力がされる操舵部と、前記車両の転舵輪転舵する転舵機構と、前記操舵部側と前記転舵機構側とを選択的に断接する連結機構と、前記操舵部に操舵反力を付与する操舵反力アクチュエータと、前記転舵機構に転舵トルクを付与する転舵アクチュエータと、前記操向部材の操舵トルクに関する情報を取得する操舵トルク情報取得部と、前記クラッチ機構で前記操舵部側と前記転舵機構側とを切断して、前記操向部材の操作状態に応じた転舵角となるように前記転舵アクチュエータを駆動するとともに、前記転舵機構の転舵状態に応じた前記操舵反力を前記操向部材に付与するように前記操舵反力アクチュエータを駆動するように、前記クラッチ機構、前記操舵反力アクチュエータ、および前記転舵アクチュエータの制御を行う第1モードを実行する第1モード制御部と、前記クラッチ機構で前記操舵部側と前記転舵機構側とを接続して、前記操舵トルク情報取得部で取得した情報に基づいて前記操舵反力アクチュエータおよび前記転舵アクチュエータのうち少なくとも一方を駆動するように、前記クラッチ機構、前記操舵反力アクチュエータ、および前記転舵アクチュエータの制御を行う第2モードを実行する第2モード制御部と、前記第1モードを実行している場合に第1の条件を満たすときは当該第1モードから前記第2モードに切替え、当該切替え後に第1の条件が解消された場合は、その後に第2の条件を満たしたときに当該第2モードから前記第1モードに切替えるモード切替部と、を備えていることを特徴とする車両用操舵システム

請求項2

前記車両が前記モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあることを判定する状態判定部を備え、前記モード切替部は、前記車両が前記所定状態にあると前記状態判定部が判定したことを前記第2の条件としていることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵システム。

請求項3

前記状態判定部は、前記転舵機構による転舵が所定の転舵角以上となったときは、前記モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵システム。

請求項4

前記状態判定部は、前記車両のエンジン始動の際であるときは、前記モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵システム。

請求項5

前記状態判定部は、前記車両がETCゲートを通過する際には、前記モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵システム。

請求項6

前記状態判定部は、前記車両が自動運転を開始する際には、前記モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵システム。

請求項7

前記状態判定部は、前記車両に設けられた前記第2のモードから前記第1のモードに切り替えるための操作部が操作されたときは、前記モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵システム。

技術分野

0001

本発明は、車両用操舵システムに関する。

背景技術

0002

特許文献1に示すように、ステアバイワイヤ(Steer By Wire)を搭載した車両用操舵システムにおいては、システムが正常に動作しているときには、ステア・バイ・ワイヤにより車両の転舵を行うSBW(Steer By Wire)モードで動作する。一方、システムに何らかの不具合が生じたときには、反力モータまたは転舵モータ操舵にかかるアシスト力を発生するEPS(Electronic Power Steering:電動パワーステアリング)モードで動作する。

先行技術

0003

特開2006−240398号公報

発明が解決しようとする課題

0004

前記のように、SBWモードからEPSモードにモード切替えを行うのは、システムに何らかの不具合が生じたような局面であるから、このような不具合が生じた場合には、ただちにSBWモードからEPSモードにモード切替えを行うことになる。
そして、このようにしてEPSモードにモード切替えた後、EPSモードが動作しているときに前記のシステムの不具合は解消される場合がある。この場合には、EPSモードからSBWモードに戻すことになる。

0005

ところで、ステア・バイ・ワイヤを実現する車両用操舵システムにおいては、ハンドルステアリングホイール)側と転舵機構側とを選択的に切断または接続する連結機構クラッチ機構)を備えている。そして、SBWモードとEPSモードとの間のモード切替えを行う際には、電磁ソレノイドを駆動してクラッチ機構を動作させる。そのため、当該モード切替えを行う際には、電磁ソレノイドやギア動作音がする。また、当該モード切替えにより、操舵力の変化が生じ、当該変化はハンドルの手応えとして運転者にもわかる。よって、EPSモードとSBWモードとの間のモード切替えの際には、前記の動作音とハンドルの手応えによる違和感を運転者に与えることになる。

0006

前記のとおり、SBWモードからEPSモードにモード切替えを行うのは、システムに何らかの不具合が生じたような局面であるため、運転者に違和感を与えることになっても、直ちにモード切替えを行う必要がある。
しかしながら、EPSモードからSBWモードに戻す場合には、前記のシステムの不具合が解消されたとしても、直ちにSBWモードに戻す必要はなく、運転者の抱く違和感に配慮したタイミングでモード切替えを行うことも可能である。

0007

そこで、本発明は、モード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい車両用操舵システムを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の一形態は、車両の操舵のための操向部材による操作入力がされる操舵部と、前記車両の転舵輪を転舵する転舵機構と、前記操舵部側と前記転舵機構側とを選択的に断接する連結機構と、前記操舵部に操舵反力を付与する操舵反力アクチュエータと、前記転舵機構に転舵トルクを付与する転舵アクチュエータと、前記操向部材の操舵トルクに関する情報を取得する操舵トルク情報取得部と、前記クラッチ機構で前記操舵部側と前記転舵機構側とを切断して、前記操向部材の操作状態に応じた転舵角となるように前記転舵アクチュエータ駆動するとともに、前記転舵部の転舵状態に応じた前記操舵反力を前記操向部材に付与するように前記操舵反力アクチュエータを駆動するように、前記クラッチ機構、前記操舵反力アクチュエータ、および前記転舵アクチュエータの制御を行う第1モードを実行する第1モード制御部と、前記クラッチ機構で前記操舵部側と前記転舵機構側とを接続して、前記操舵トルク情報取得部で取得した情報に基づいて前記操舵反力アクチュエータおよび前記転舵アクチュエータのうち少なくとも一方を駆動するように、前記クラッチ機構、前記操舵反力アクチュエータ、および前記転舵アクチュエータの制御を行う第2モードを実行する第2モード制御部と、前記第1モードを実行している場合に第1の条件を満たすときは当該第1モードから前記第2モードに切替え、当該切替え後に第1の条件が解消された場合は、その後に第2の条件を満たしたときに当該第2モードから前記第1モードに切替えるモード切替部と、を備えていることを特徴とする車両用操舵システムである。
本発明によれば、第1モードから第2モードへの切替えの原因となった第1の条件が解除されても、第2モードから第1モードに切替えるのに適した第2の条件を満たすようになるときまで、第2モードから第1モードへの切替えを待つ。よって、モード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい。

0009

前記の場合に、前記車両が前記モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあることを判定する状態判定部を備え、前記モード切替部は、前記車両が前記所定状態にあると前記状態判定部が判定したことを前記第2の条件とするようにしてもよい。
本発明によれば、第1の条件が解消された後に、車両が、モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態となることを見計らって、第2モードから第1モードに切替えを行うことが可能となるので、モード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい。

0010

前記の場合に、前記状態判定部は、前記転舵機構による転舵が所定の転舵角以上となったときは、前記モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあると判定するようにしてもよい。
本発明によれば、転舵機構の発する音で、第2モードから第1モードへの切替えで生じる連結機構の動作音が隠れるので、モード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい。

0011

前記の場合に、前記状態判定部は、前記車両のエンジン始動の際であるときは、前記モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあると判定するようにしてもよい。
本発明によれば、エンジンの始動の際のクランキングの動作音で、第2モードから第1モードへの切替えで生じる連結機構の動作音が隠れるので、モード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい。

0012

前記の場合に、前記状態判定部は、前記車両がETCゲートを通過する際には、前記モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあると判定するようにしてもよい。
本発明によれば、車両がETCのゲートを通過するときは、積極的な操舵が不要であり、運転者は操向部材を強く握っていない場合が多いため、モード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい。

0013

前記の場合に、前記状態判定部は、前記車両が自動運転を開始する際には、前記モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあると判定するようにしてもよい。
本発明によれば、車両が自動運転を開始する際には、運転者は自ら運転操作しようとの意識が低く、運転者は操向部材を強く握っていない場合が多いため、モード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい。

0014

前記状態判定部は、前記車両に設けられた前記第2のモードから前記第1のモードに切り替えるための操作部が操作されたときは、前記モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態にあると判定するようにしてもよい。
本発明によれば、操作部の操作は運転者の意思により第2のモードから第1のモードに切り替える場合であるため、モード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい。

発明の効果

0015

本発明によれば、モード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい車両用操舵システムを提供することができる。

図面の簡単な説明

0016

図1は、本発明の一実施形態にかかる車両用操舵システムの概略構成図である。
図1は、本発明の一実施形態にかかる車両用操舵システムのモード切替部が実行する処理を説明するフローチャートである。

実施例

0017

以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両用操舵システムの概略構成図である。
車両用操舵システム11は、ステア・バイ・ワイヤ(Steer By Wire:SBW)方式の操舵装置である。この車両用操舵システム11は、後述する転舵モータ29の駆動により転舵力を発生させる機能(SBWモード)を備えている。また、例えば操舵反力モータ16の失陥時などのシステムの不具合の際において、転舵モータ29の駆動により、運転者の手動による操舵にかかるアシスト力を発生させる電動パワーステアリング(Electronic Power Steering:EPS)機能(EPSモード)も備えている。さらに、例えば操舵反力モータ16および転舵モータ29の失陥時において、運転者の手動による操舵を行わせる機能(マニュアルステアリングモード)も備えている。

0018

前記の諸機能を実現するために、車両用操舵システム11は、図1に示すように、操舵部12、操舵反力発生装置15、転舵装置17、クラッチ機構19(連結機構)、制御装置40などを備えている。車両用操舵システム11は、車両Vに搭載されている。車両Vは、一対の転舵輪21a,21bを備える。

0019

操舵部12は、車両Vの操舵のためのハンドル13(操向部材)の操作入力がされる装置である。操舵部12のハンドル13は、運転者の運転意図にしたがって操作される車両Vの操舵を行うための部材である。ハンドル13には、操舵軸23が設けられている。操舵軸23は、運転者によるハンドル13の操作にしたがって、軸周りに回転するように構成されている。

0020

操舵反力発生装置15は、車両用操舵システム11がSBWモードで動作している際に、ハンドル13を握る運転者の手元に操舵に係る反力(手応え)、すなわち操舵反力を発生させる機能を有する。操舵反力発生装置15は、操舵反力モータ16(操舵反力アクチュエータ)を有する。操舵反力モータ16には、操舵軸23が連結されている。操舵反力モータ16は、操舵軸23を軸周りに回転させるための操舵トルクを発生させる。これにより、車両用操舵システム11がSBWモードで動作している際に、ハンドル13を握る運転者の手元には、操舵に係る反力(手応え)が伝えられる。

0021

転舵装置(ステアリングギアボックス)17は、周知のラック・アンドピニオン機構(図示せず)を介して、転舵軸25の回転運動ラック軸27の直線運動に変換する機能を有する。このラック・アンド・ピニオン機構は、ラックとピニオンとが噛み合い、ステアリングギアボックス17のハウジング内に収納されている。ラックはラック軸27に形成されている。転舵装置17は、転舵モータ29(転舵アクチュエータ)を有する。転舵モータ29には、転舵軸25およびラック軸27が連結されている。転舵モータ29は、ラック軸27を軸方向に沿って直線運動させるための転舵トルクを発生させる。ラック軸27には、図示しないタイロッドを介して一対の転舵輪21a,21bが連結されている。一対の転舵輪21a,21bは、ラック軸27の直線運動によって転舵される。転舵軸25、ラック軸27、転舵装置17などにより、転舵輪21a,21bの転舵を行う転舵機構51を構成している。

0022

クラッチ機構19は、操舵軸23と転舵軸25とを選択的に接続し、または、切断する機能を有する。こうした機能を実現するために、クラッチ機構19は、遊星歯車機構31を備える。この遊星歯車機構31は、内歯歯車31aと、遊星歯車31bと、太陽歯車31cと、遊星キャリア31dと、を備えている。
また、クラッチ機構19は、ロック用歯車33およびロック装置35を備える。ロック装置35は、ロック用歯車33の歯溝係り合うロックピン39と、ロックピン39を駆動する電磁ソレノイド37と、から構成される。

0023

内歯歯車31aは、操舵軸23の下端側に固定され、操舵軸23と一体に回転するように構成される。太陽歯車31cは、転舵軸25と同軸回転軸周りに自在に回転するように構成される。遊星歯車31bは、太陽歯車31cおよび内歯歯車31aのそれぞれに係り合うように複数設けられる。複数の遊星歯車31bのそれぞれは、転舵軸25と一体に回転する遊星キャリア31dに対して回転自在に軸支されている。
ロック用歯車33は、外歯歯車である。ロック用歯車33は、太陽歯車31cと一体に回転するように構成される。ロックピン39は、図示しない付勢手段(弾性部材)によってロック用歯車33に近接する方向に付勢されている。ロックピン39がロック用歯車33の歯溝に係り合うと、ロック用歯車33の回転運動が規制されるようになっている。

0024

電磁ソレノイド37は、励磁電流の供給によってロックピン39を引き込むように変位させることで、ロックピン39とロック用歯車33との係り合いを解除するように動作する。
ロック装置35は、制御装置40から送られてくる制御信号にしたがって動作する。制御装置40は、電磁ソレノイド37に励磁電流を供給することで、ロック用歯車33に対するロックピン39の係り合いを解除するように動作する。
次に、クラッチ機構19の作用について説明する。ロックピン39がロック用歯車33の歯溝に係り合うと、ロック用歯車33と一体に回転する太陽歯車31cの回転運動が規制される。

0025

太陽歯車31cの回転運動が規制された状態で、運転者がハンドル13を操作すると、操舵軸23の回転に伴って内歯歯車31aが回転する。このとき、太陽歯車31cの回転運動が規制されているため、遊星歯車31bは自転しながら太陽歯車31cの周囲を公転する。遊星歯車31bの公転によって、遊星歯車31bを軸支する遊星キャリア31dおよびこの遊星キャリア31dと一体に回転する転舵軸25が回転する。このときの操舵軸23の回転角度に対する転舵軸25の回転角度の比率は、クラッチ機構19において機械的に定まっている。

0026

要するに、電磁ソレノイド37がOFFでロックピン39がロック用歯車33の歯溝に係り合った状態では、クラッチ機構19は、操舵軸23および転舵軸25の間を接続する接続状態になる。このとき、操舵軸23の回転力は、転舵軸25へと伝えられる。
一方、電磁ソレノイド37がONになって、ロック用歯車33の歯溝に対するロックピン39の係り合いが解除されると、ロック用歯車33と一体に回転する太陽歯車31cは回転自在な状態になる。

0027

太陽歯車31cが回転自在な状態で、運転者がハンドル13を操作すると、操舵軸23の回転に伴って内歯歯車31aが回転する。このとき、遊星歯車31bは、自転しながら太陽歯車31cの周囲を公転しようとする。しかし、遊星キャリア31dには、転舵軸25およびラック軸27を介して転舵輪21a,21bが連結されている。このため、遊星キャリア31dの回転に対する抵抗力は、回転自在の状態にある太陽歯車31cの回転に対する抵抗力と比べてはるかに大きい。したがって、遊星歯車31bが自転すると、太陽歯車31cの方が回転(自転)し、遊星キャリア31dは回転しない。つまり、転舵軸25は回転しない。
要するに、電磁ソレノイド37がONになって、ロック用歯車33の歯溝に対するロックピン39の係り合いが解消された状態では、クラッチ機構19は、操舵軸23と転舵軸25との間を切断した切断状態になる。このとき、操舵軸23の回転力は、転舵軸25へと伝えられない。

0028

制御装置40は、車両用操舵システム11の制御を行うための制御装置である。制御装置40はマイクロコンピュータを中心に構成されている。
制御装置40には、入力系統として、操舵角センサ41、操舵トルクセンサ43、操舵反力モータレゾルバ45、転舵モータレゾルバ47、ラックストロークセンサ49が接続されている。
操舵角センサ41および操舵トルクセンサ43は、操舵軸23に設けられている。操舵角センサ41は、運転者によるハンドル13の操舵回転量(操舵角)を検出し、検出した操舵角情報を制御装置40に与える。

0029

また、操舵トルクセンサ43(操舵トルク情報取得部)は、運転者によるハンドル13の操舵トルクを検出し、検出した操舵トルクに関する情報(操舵トルク情報)を制御装置40に与える。
操舵反力モータレゾルバ45は、操舵反力モータ16に設けられている。操舵反力モータレゾルバ45は、操舵反力モータ16の回転動作量(操舵角)を検出し、検出した操舵角情報を制御装置40に与える。

0030

転舵モータレゾルバ47は、転舵モータ29に設けられている。転舵モータレゾルバ47は、転舵モータ29の回転動作量(転舵角)を検出し、検出した転舵角情報を制御装置40に与える。
ラックストロークセンサ49は、ラック軸27に設けられている。ラックストロークセンサ49は、ラック軸27の直線移動量(転舵角)を検出し、検出した転舵角情報を制御装置40に与える。
一方、制御装置40には、出力系統として、操舵反力モータ16、転舵モータ29、および、電磁ソレノイド37が接続されている。

0031

また、制御装置40は、CAN(Controller Area Network)75を介して、エンジン制御部71、ETC車載器72、操作部73、自動運転制御部74と通信を行うことができる。
エンジン制御部71は、車両Vを駆動するエンジンを制御する制御装置である。よって、エンジン制御部71は当該エンジンの状態を把握できるので、エンジンの状態に関する情報を制御装置40に通知することができる。

0032

ETC車載器72は、電子料金収受システム(Electronic Toll Collection System)を利用するために車両Vに搭載される装置である。すなわち、高速道路有料道路などのETCゲートを車両Vが通過する際に、ETC車載器72がETCゲート側のシステムと無線通信を行うことで、高速道路、有料道路の利用料金収受がなされる。ETC車載器72は、直接またはカーナビゲーションシステムなどを介して間接的に車両Vのシステムと接続され、高速道路、有料道路などのETCゲートを通過中であるという車両Vの状況を制御装置40に通知することができる。

0033

操作部73は、車両Vの車室内インパネなどに設けられたレバーやスイッチなどであり、この操作は後述のモード切替部63の制御に関わるものである(詳細は後述)。
自動運転制御部74は、車線逸脱防止支援システム(Lane KeepingAssist System)、渋滞追従制御(特開平10−338052号公報などを参照)などの車両Vの自動運転の制御を行う。自動運転制御部74は、これらの自動運転を行っているか否かという車両Vの状況を制御装置40に通知することができる。

0034

次に、制御装置40が実行する制御内容について説明する。
制御装置40は、第1モード制御部61、第2モード制御部62、およびモード切替部63を備えている。

0035

第1モード制御部61は、前記のSBWモード(第1モード)の制御を行う。すなわち、第1モード制御部61は、クラッチ機構19(の電磁ソレノイド37)、転舵モータ29、反力モータ16を制御して、SBWモードを実行する。つまり、第1モード制御部61は、SBWモードを動作させるに際して、電磁ソレノイド37を動作させて、クラッチ機構19によって、操舵部12側と転舵機構51側とが切断された状態を維持する。そして、第1モード制御部61は、操舵角センサ41で検出するハンドル13の操作状態に応じた転舵角となるように、転舵モータ29を駆動する。さらに、第1モード制御部61は、転舵機構51による転舵状態(ラックストロークセンサ49(あるいは転舵モータレゾルバ47)により検出する)に応じた操舵反力をハンドル13に付与するように、操舵反力モータ16を駆動する。これによって、第1モード制御部61は、転舵モータ29の駆動により転舵力を発生させることができる。

0036

第2モード制御部62は、前記のEPSモード(第2モード)の制御を行う。すなわち、第2モード制御部62は、クラッチ機構19(の電磁ソレノイド37)、転舵モータ29、反力モータ16を制御して、EPSモードを実行する。つまり、第2モード制御部62は、電磁ソレノイド37を駆動せず、ロックピン39がロック用歯車33が係り合った状態のままとして、操舵部12側と転舵機構51側とが接続された状態(手動操舵力が転舵機構51に伝達される状態)を維持する。そして、第2モード制御部62は、操舵トルクセンサ43により検出した操舵トルク情報に基づいて、操舵反力モータ16および転舵モータ29のうち、少なくとも一方を駆動する。これによって、第2モード制御部62は、運転者の手動による操舵にかかるアシスト力を発生させることができる。

0037

モード切替部63は、第1モード制御部61によるSBWモードと第2モード制御部62によるEPSモードとの間のモードの切替制御を行う(なお、前記のとおり、マニュアルモードも存在するが、マニュアルモードの詳細や、マニュアルモードへの切替えについては説明を省略する)。すなわち、モード切替部63は、通常はSBWモードを維持するが、操舵反力モータ16の異常の検出など、システムに不具合が生じたときは、SBWモードからEPSモードに切り替える制御を行う。
ところで、このようにしてEPSモードに切替えた後、EPSモードが動作している最中に前記のシステムの不具合は解消される場合がある。この場合には、モード切替部63は、EPSモードからSBWモードに戻す制御を行う。

0038

前記のとおり、EPSモードからSBWモードにモード切替えを行う際には、電磁ソレノイド37を駆動してクラッチ機構19を動作させる(操舵部12側と転舵機構51側とを切り離す)。そのため、当該モード切替えを行う際には、電磁ソレノイド37や、クラッチ機構19を構成する前記のギアの動作音がする。また、当該モード切替えにより、操舵力の変化が生じ、当該変化はハンドル13の手応えとして運転者にもわかる。よって、EPSモードからSBWモードへのモード切替えの際には、当該動作音とハンドル13の手応えによる違和感を運転者に与えることになる。

0039

前記のとおり、SBWモードからEPSモードにモード切替えを行うのは、システムに何らかの不具合が生じたような局面である。この場合にも、前記の電磁ソレノイド37やギアの動作音や、操舵力の変化によるハンドル13の手応えは発生するものの、システムの不具合に起因するものであるため、運転者に違和感を与えることになっても、直ちにモード切替えを行う必要がある。
一方、EPSモードからSBWモードに戻す場合には、SBWモードの方がきめ細かな制御ができるものの、前記のシステムの不具合が解消されたとしても、直ちにSBWモードに戻さなければならない必然性はなく、運転者の抱く違和感に配慮したタイミングでモード切替えを行うことも可能である。
そこで、車両用操舵システム11では、モード切替部63により、次のような制御を行う。図2は、かかる制御内容についての一例を説明するフローチャートである。

0040

まず、車両用操舵システム11がSBWモード(第1モード)にあるときは(S1のYes)、切替部63は、SBWモードからEPSモード(第2モード)に切替えするための条件である第1の条件を満たすか否かを判断する(S2)。「第1の条件」は、操舵反力モータ16の異常(温度上昇など)の検出など、システムにSBWモードを継続できないような不具合が生じたことなどである。第1の条件を満たすときは(S2のYes)、切替部63は、SBWモードからEPSモードに切替える(S3)。そして、S1に戻る。第1の条件を満たさないときは(S2のNo)、S1に戻る。

0041

一方、車両用操舵システム11がSBWモードではなく(S1のNo)、S3が実行されたことによりEPSモードにあるときは(S4のYes)、切替部63は、前記の第1の条件が解消したか否かを判断する(S5)。そして、第1の条件が解消した後(S5のYes)、モード切替部63は、第2の条件を満たすか否か判断する(S6)。第2の状態をみたすか否かの具体的な判定は状態判定部64(図1)が行い、この判定に基づいて切替部63が第2の条件を満たすか否か判断する。「第2の条件」とは、車両Vが、SBWモードからEPSモードへの切替え行っても、当該切替えに運転者が気付きにくいような(あるいは、まぎらわすことができるような)所定状態にあることである。この「所定状態」の具体例については後述する。第2の条件を満たすときは(S6のYes)、EPSモードからSBWモードに切り替える(S7)。EPSモードにないとき(S4のNo)、第1の条件は解消していないとき(S5のNo)、および第2の条件を満たさないときは(S6のNo)、S1に戻る。

0042

このような本実施形態の車両用操舵システム11によれば、図2の処理を行うことにより、EPSモードからSBWモードへの切替えの原因となった第1の条件が解消されても(S5のYes)、第2の条件を満たすようになるまで(S6のYes)、EPSモードからSBWモードへの切替えを待つ。この第2の条件は、車両Vが、モードの切替えを運転者が気付きにくいような所定状態にあることであり、モードの切替えを運転者が気付きにくい所定状態になるのを見計らって、EPSモードからSBWモードへの切替えを行う。よって、EPSモードからSBWモードへモード切替えを行う場合にも運転者に違和感を与えにくい。

0043

前記のとおり、第2の条件の判断は、状態判定部64が行う。以下では、第2の条件の判断の具体例について説明する。ここでは、(1)〜(5)の5つの条件の何れか一つを満たしているときには、第2の条件を満たしていると判断する。

0044

(1)車両用操舵システム11で、最大転舵角近く(所定の転舵角以上)にまで操舵されたときは、第2の条件を満たす。
この状態は、ラックストロークセンサ49(あるいは転舵モータレゾルバ47)による検出信号により、状態判定部64が判定することができる。すなわち、最大転舵角近くまで操舵されたときは、EPSモードでも操舵反力が高まり、EPSモードからSBWモードへの切替えを行っても、ハンドル13の手応えの多少の変動について運転者は気付きにくい。また、この状況では、ステアリングギアボックス17の前記のラック・アンド・ピニオン機構において、ラックエンドがステアリングギアボックス17のハウジングに衝突しやすい。そのため、当該衝突で音がするので、EPSモードからSBWモードへの切替えで、電磁ソレノイド37やクラッチ機構19を構成する前記のギアの動作音がしても、前記の衝突音に隠れて当該動作音に気付きにくい。よって、この場合は、EPSモードからSBWモードへモード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい。

0045

(2)車両Vがエンジンの始動の際であるときは、第2の条件を満たす。
前記のとおり、車両Vを駆動するエンジンの状態ついては、エンジン制御部71が把握していて、エンジンの状態に関する情報を制御装置40に通知する。よって、状態判定部64は、エンジンが始動状態にあるか否かを判断することができる。
エンジンの始動の際には、クランキングの動作音により、EPSモードからSBWモードへの切替えによる電磁ソレノイド37やクラッチ機構19を構成する前記のギアの動作音が隠れる。よって、この場合には、EPSモードからSBWモードへモード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい。

0046

(3)車両VがETCのゲートを通過する際は、第2の条件を満たす。
前記のとおり、ETC車載器72から制御装置40には、高速道路、有料道路などのETCゲートを通過中であるという車両の状況を通知する。車両VがETCのゲートを通過するときは、積極的な操舵が不要であり、運転者はハンドル13を強く握っていない場合が多いと考えられる。よって、この場合には、EPSモードからSBWモードへの切替えを行っても、ハンドル13の手応えの変動に気付きにくい。よって、この場合は、EPSモードからSBWモードへモード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい。

0047

(4)車両Vが自動運転を開始する際は、第2の条件を満たす。
前記のとおり、自動運転制御部74は、車線逸脱防止支援システム、渋滞追従制御などの自動運転を行っているか否かという車両Vの状況を制御装置40に通知する。これにより、状態判定部64は、車両Vが自動運転を開始する際であるか否かを判定することができる。
自動運転を開始する際は、運転者は自ら運転操作しようとの意識が低く、ハンドル13を強く操作していない場合が多いと考えられる。そのため、このときにEPSモードからSBWモードへの切替えを行っても、ハンドル13の手応えの変動に運転者は気付きにくい。よって、この場合は、EPSモードからSBWモードへモード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい。

0048

(5)車両Vの車室内のインパネなどに設けられたレバーやスイッチなどである操作部73が操作されたときは、第2の条件を満たす。
すなわち、操作部73は、運転者が手動でEPSモードからSBWモードへモード切替えを行うための装置である。
操作部73を操作する場合は、EPSモードからSBWモードへの切替えにより、ハンドル13の手応えの変動や、電磁ソレノイド37やクラッチ機構19を構成する前記のギアの動作音の発生があることをわかっていながら、運転者が操作部73をあえて操作するときである。よって、この場合は、EPSモードからSBWモードへモード切替えする場合にも運転者に違和感を与えにくい。

0049

なお、状態判定部64は、前記の(1)から(5)までの全ての条件を判断せず、その中の1または複数個の条件を判断するだけとしてもよい。あるいは、状態判定部64は、(1)から(5)までの条件以外の条件を第2の条件として判断するようにしてもよい。この条件は、SBWモードからEPSモードへの切替えを運転者が気付きにくい所定状態に車両Vがあることである。

0050

11車両用操舵システム
12操舵部
13ハンドル(操向部材)
16操舵反力モータ(操舵反力アクチュエータ)
29転舵モータ(転舵アクチュエータ)
43操舵トルクセンサ(操舵トルク情報取得部)
51転舵機構
61 第1モード制御部
62 第2モード制御部
63モード切替部
64状態判定部

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