図面 (/)

技術 車両用操舵装置

出願人 本田技研工業株式会社
発明者 倉持俊克山崎憲雄判治宗嗣中島健一
出願日 2014年1月20日 (5年9ヶ月経過) 出願番号 2014-008028
公開日 2015年7月30日 (4年2ヶ月経過) 公開番号 2015-136958
状態 特許登録済
技術分野 走行状態に応じる操向制御 パワーステアリング機構
主要キーワード 起動時動作 直線移動量 電流値情報 入出力系統 ナット外径 気象データベース 相対動作 手応え
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年7月30日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

SBW方式の操舵装置低温下で制御性能が低下し、運転者に違和感を与える。

解決手段

車両用操舵装置11は、運転者が車両Vを操舵するために操作するステアリングホイール13と、これに反力を与える操舵反力モータ16と、車両Vの転舵輪21a,21bを転舵モータ29により転舵する転舵装置17と、ステアリングホイール13と転舵装置17とを機械的に断接するクラッチ機構19と、ステアリングホイール13の操舵角に基づいた転舵角となるように制御する制御装置40と、温度を測定する温度センサ70とを備える。車両用操舵装置11は、温度が所定値以下の場合に、ステアリングホイール13と転舵装置17とを機械的に結合して起動する。これにより、低温下においても運転者に違和感を与えることなく操舵可能である。

概要

背景

最近、機械式ステアリング方式の操舵装置に代わって、ステアバイワイヤ(Steer By Wire:SBW)と呼ばれる方式の操舵装置が開発されている。機械式ステアリング方式では、ステアリングホイールとタイヤとが機械的に結合している。そのために、路面の凹凸によって、ステアリングホイールに振動揺れが伝わる。この振動や揺れの影響を修正するために、運転者無意識のうちにステアリングホイールを操作する。これは、運転時のストレスや疲労を引き起こす虞がある。
これに対して、ステア・バイ・ワイヤ方式は、ステアリングホイールとタイヤとが機械的に結合されておらず、ステアリングホイールによる操舵とタイヤの操舵角の変更とを独立に制御する。操舵装置は、ステアリングホイールによる操舵をセンサで検知し、センサ情報に基づいて算出した制御信号を、ワイヤハーネスを介して、タイヤの転舵角を制御する転舵モータに伝達する。転舵モータは、転舵機構を駆動することにより、タイヤを転舵させる。ステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置では、ステアリングホイールに路面の凹凸による振動や揺れが伝わらない。よって、運転時のストレスや疲労が低減される。

ステア・バイ・ワイヤ方式の制御信号に何らかの不具合が発生した場合に備え、操舵装置は、ステア・バイ・ワイヤ方式と機械式ステアリング方式とを切り替え可能としていることが多い。操舵装置は、ステア・バイ・ワイヤ方式で不具合が発生した場合には、クラッチ機構によりステアリングホイールと転舵機構とを機械的に結合させて、機械式ステアリング方式に切り替え、ステアリング操作を可能としている。
このステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置には、低温下において転舵ギアボックス内のグリス粘性上がり、転舵ギアボックスのフリクションが増大するという問題がある。

また、特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1の要約には、「転舵ロッド32に形成された雄ねじに、雌ねじが形成されたナット44を螺合させ、そのナットにモータによって回転力を付与するように構成された転舵装置12において、ナットに、それを保持するベアリング50のインナレース52および転舵ロッドよりも線膨張係数の大きな材料を用い、ナットのインナレースへの圧入代と、雄ねじと雌ねじとのクリアランスとを、使用許容最低温度においても圧入代が0とならないように、かつ、クリアランスが0とならないように調整する。」という構成が記載され、「温度変化によるナット外径とインナレース内径との収縮量差と、雌ねじと雌ねじとの収縮量差とを相殺させて、クリアランスの変化を吸収させることで、使用許容最低温度においても、ナットがインナレースにしっかりと保持され、かつ、ナットと転舵ロッドとの円滑な相対動作担保される。」という効果が記載されている。
しかし、転舵ギアボックスを構成する部品寸法ばらつきなどを考慮する必要があり、すべての製品品質を安定させるのは困難である。

概要

SBW方式の操舵装置は低温下で制御性能が低下し、運転者に違和感を与える。車両用操舵装置11は、運転者が車両Vを操舵するために操作するステアリングホイール13と、これに反力を与える操舵反力モータ16と、車両Vの転舵輪21a,21bを転舵モータ29により転舵する転舵装置17と、ステアリングホイール13と転舵装置17とを機械的に断接するクラッチ機構19と、ステアリングホイール13の操舵角に基づいた転舵角となるように制御する制御装置40と、温度を測定する温度センサ70とを備える。車両用操舵装置11は、温度が所定値以下の場合に、ステアリングホイール13と転舵装置17とを機械的に結合して起動する。これにより、低温下においても運転者に違和感を与えることなく操舵可能である。

目的

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、低温下においても運転者に違和感を与えることなく操舵可能な車両用操舵装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

運転者が車両を操舵するために操作する操舵部材と、前記操舵部材に反力を与える反力モータと、前記車両の転舵輪転舵モータにより転舵する転舵機構と、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に断接するクラッチ機構と、前記操舵部材の操舵角に基づいた転舵角となるように制御する制御部と、温度を測定または推定して取得可能な温度取得手段と、を備え、温度が所定値以下の場合には、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合して起動する、ことを特徴とする車両用操舵装置

請求項2

前記温度取得手段は、前記制御部に接続された温度測定部を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵装置。

請求項3

前記温度取得手段は、車外温度計の温度情報エアコン作動情報、シートヒータ温度立ち上がり特性情報、タイヤ空気圧情報TPMS(Tire Pressure Monitoring System)の情報、ナビゲーション装置の情報、インターネットを介して受信した情報のうちいずれかに基づき、温度を推定して取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵装置。

請求項4

前記温度取得手段が取得した温度が所定値以下の状態が所定時間以上継続した場合には、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合して起動する、ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用操舵装置。

請求項5

前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合して起動したのちに、前記温度取得手段が取得した温度が所定値を超えたならば、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合しないSBW(Steer By Wire)モードに移行する、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用操舵装置。

請求項6

前記転舵モータの電流値を検出する転舵モータ電流検出部を更に含み、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合して起動したのちに、前記転舵モータの電流積算値が所定値以上になったならば、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合しないSBWモードに移行する、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用操舵装置。

請求項7

前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合して起動するとは、EPS(Electronic Power steering)モードの起動である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用操舵装置。

請求項8

EPSモードにおいて、少なくとも2つ以上のモータを駆動する、ことを特徴とする請求項7に記載の車両用操舵装置。

請求項9

前記反力モータの電流値を検出する反力モータ電流検出部を更に含み、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合して起動したのちに、EPSモードにおいて前記反力モータを駆動し、前記反力モータの電流積算値が所定値まで増加したならば、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合しないSBWモードに移行する、ことを特徴とする請求項8に記載の車両用操舵装置。

技術分野

0001

本発明は、ステアバイワイヤ方式の車両用操舵装置に関する。

背景技術

0002

最近、機械式ステアリング方式の操舵装置に代わって、ステア・バイ・ワイヤ(Steer By Wire:SBW)と呼ばれる方式の操舵装置が開発されている。機械式ステアリング方式では、ステアリングホイールとタイヤとが機械的に結合している。そのために、路面の凹凸によって、ステアリングホイールに振動揺れが伝わる。この振動や揺れの影響を修正するために、運転者無意識のうちにステアリングホイールを操作する。これは、運転時のストレスや疲労を引き起こす虞がある。
これに対して、ステア・バイ・ワイヤ方式は、ステアリングホイールとタイヤとが機械的に結合されておらず、ステアリングホイールによる操舵とタイヤの操舵角の変更とを独立に制御する。操舵装置は、ステアリングホイールによる操舵をセンサで検知し、センサ情報に基づいて算出した制御信号を、ワイヤハーネスを介して、タイヤの転舵角を制御する転舵モータに伝達する。転舵モータは、転舵機構を駆動することにより、タイヤを転舵させる。ステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置では、ステアリングホイールに路面の凹凸による振動や揺れが伝わらない。よって、運転時のストレスや疲労が低減される。

0003

ステア・バイ・ワイヤ方式の制御信号に何らかの不具合が発生した場合に備え、操舵装置は、ステア・バイ・ワイヤ方式と機械式ステアリング方式とを切り替え可能としていることが多い。操舵装置は、ステア・バイ・ワイヤ方式で不具合が発生した場合には、クラッチ機構によりステアリングホイールと転舵機構とを機械的に結合させて、機械式ステアリング方式に切り替え、ステアリング操作を可能としている。
このステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置には、低温下において転舵ギアボックス内のグリス粘性上がり、転舵ギアボックスのフリクションが増大するという問題がある。

0004

また、特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1の要約には、「転舵ロッド32に形成された雄ねじに、雌ねじが形成されたナット44を螺合させ、そのナットにモータによって回転力を付与するように構成された転舵装置12において、ナットに、それを保持するベアリング50のインナレース52および転舵ロッドよりも線膨張係数の大きな材料を用い、ナットのインナレースへの圧入代と、雄ねじと雌ねじとのクリアランスとを、使用許容最低温度においても圧入代が0とならないように、かつ、クリアランスが0とならないように調整する。」という構成が記載され、「温度変化によるナット外径とインナレース内径との収縮量差と、雌ねじと雌ねじとの収縮量差とを相殺させて、クリアランスの変化を吸収させることで、使用許容最低温度においても、ナットがインナレースにしっかりと保持され、かつ、ナットと転舵ロッドとの円滑な相対動作担保される。」という効果が記載されている。
しかし、転舵ギアボックスを構成する部品寸法ばらつきなどを考慮する必要があり、すべての製品品質を安定させるのは困難である。

先行技術

0005

特開2010−132036号公報

発明が解決しようとする課題

0006

従来のステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置は、低温下において、転舵ギアボックス内のグリスの粘性が上がりフリクションが増大すると、目標転舵角実転舵角偏差が増大して制御性能が低下する虞がある。また、転舵ギアボックスのフリクションが転舵モータの転舵トルク以上の値となってしまうと、転舵自体ができなくなる虞がある。
このような場合、操舵装置は、クラッチ機構によりステアリングホイールと転舵機構とを機械的に結合させ、例えばEPS(Electronic Power steering)モードやマニュアルステアリングモードに移行して転舵を可能とする。しかし、このようなモード変化は、運転者に違和感を与える虞がある。

0007

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、低温下においても運転者に違和感を与えることなく操舵可能な車両用操舵装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0008

前記課題を解決するために、(1)に係る発明は、運転者が車両を操舵するために操作する操舵部材と、前記操舵部材に反力を与える反力モータと、前記車両の転舵輪を転舵モータにより転舵する転舵機構と、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に断接するクラッチ機構と、前記操舵部材の操舵角に基づいた転舵角となるように制御する制御部と、温度を測定または推定して取得可能な温度取得手段とを備える。温度が所定値以下の場合には、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合して起動することを最も主要な特徴とする。

0009

(1)に係る発明によれば、温度が所定値以下の場合に、操舵部材と転舵機構とを機械的に結合して起動するため、低温下においても運転者に違和感を与えることなく操舵可能である。

0010

また、(2)に係る発明は、(1)に係る発明であって、前記温度取得手段は、前記制御部に接続された温度測定部を含むことを最も主要な特徴とする。

0011

(2)に係る発明によれば、温度測定部により、温度を直接に測定できる。

0012

また、(3)に係る発明は、(1)に係る発明であって、前記温度取得手段は、車外温度計の温度情報エアコン作動情報、シートヒータ温度立ち上がり特性情報、タイヤ空気圧情報TPMS(Tire Pressure Monitoring System)の情報、ナビゲーション装置の情報、インターネットを介して受信した情報のうちいずれかに基づき、温度を推定して取得する、ことを最も主要な特徴とする。

0013

(3)に係る発明によれば、車両のイグニションオフされているときの情報も取得できるので、温度をより客観的に推定できる。

0014

また、(4)に係る発明は、(1)ないし(3)のいずれか1つに係る発明であって、前記温度取得手段が取得した温度が所定値以下の状態が所定時間以上継続した場合には、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合して起動することを最も主要な特徴とする。

0015

(4)に係る発明によれば、所定値以下の温度が所定時間以上継続していることを確認することにより、車両の転舵機構のフリクションが小さくなったことを、より的確に推定できる。

0016

また、(5)に係る発明は、(1)ないし(4)のいずれか1つに係る発明であって、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合して起動したのちに、前記温度取得手段が取得した温度が所定値を超えたならば、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合しないSBWモードに移行することを最も主要な特徴とする。

0017

(5)に係る発明によれば、車両の転舵機構のフリクションが小さくなったならば、路面の凹凸による影響が少ないSBWモードに移行できる。

0018

また、(6)に係る発明は、(1)ないし(5)のいずれか1つに係る発明であって、前記転舵モータの電流値を検出する転舵モータ電流検出部を更に含む。前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合して起動したのちに、前記転舵モータの電流積算値が所定値以上になったならば、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合しないSBWモードに移行する、ことを最も主要な特徴とする。

0019

(6)に係る発明によれば、転舵モータの電流積算値によって、車両の転舵機構内のグリスに与えた熱量を推定しているので、グリスの粘性が充分に小さくなったことを判断できる。これにより、車両の転舵機構のフリクションが小さくなったことを判断できる。

0020

また、(7)に係る発明は、(1)ないし(6)のいずれか1つに係る発明であって、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合して起動するとは、EPSモードの起動であることを最も主要な特徴とする。

0021

(7)に係る発明によれば、低温時にEPSモードで起動しているので、車両の転舵機構内のグリスの粘性に関わらず、操舵部材による操舵を行うことができる。更に、転舵モータの駆動により、車両の転舵機構内のグリスに熱量を与えて、グリスの粘性を早急に低下させることができる。

0022

また、(8)に係る発明は、(7)に係る発明であって、EPSモードにおいて、少なくとも2つ以上のモータを駆動することを最も主要な特徴とする。

0023

(8)に係る発明によれば、EPSモードで少なくとも2つ以上のモータを駆動しているので、車両の転舵機構内のグリスの粘性に関わらず、ステアリングホイールによる操舵をハイパワーに行うことができる。更に、少なくとも2つ以上のモータを駆動により、車両の転舵機構内のグリスにより多くの熱量を与えて、グリスの粘性を早急に低下させることができる。

0024

また、(9)に係る発明は、(8)に係る発明であって、前記反力モータの電流値を検出する反力モータ電流検出部を更に含む。前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合して起動したのちに、EPSモードにおいて前記反力モータを駆動し、前記反力モータの電流積算値が所定値まで増加したならば、前記操舵部材と前記転舵機構とを機械的に結合しないSBWモードに移行することを最も主要な特徴とする。

0025

(9)に係る発明によれば、反力モータの電流積算値によっても、車両の転舵機構内のグリスに与えた熱量を推定して、グリスの粘性が充分に小さくなったことを判断できる。

発明の効果

0026

本発明によれば、低温下においても運転者に違和感を与えることなく操舵可能な車両用操舵装置を提供できる。

図面の簡単な説明

0027

車両用操舵装置の概略の構成図である。
第1実施形態における起動時の動作を示すフローチャートである。
第2実施形態における起動時の動作を示すフローチャートである。

実施例

0028

以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、図面中の各要素は、発明の理解を容易にするために、適宜拡大、縮小または簡略化されて描かれることがある。
[第1実施形態]
図1は、車両用操舵装置11の概略の構成図である。
車両用操舵装置11は、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)方式の操舵装置である。この車両用操舵装置11は、動作モードとしてSBWモードと、EPSモードと、マニュアルステアリングモードとを有する。
SBWモードは、後記する転舵モータ29の駆動により転舵力を発生させるモードである。車両用操舵装置11は、通常はSBWモードで動作し、路面の凹凸によるステアリングホイール13の振動や揺れを防止する。SBWモードは、操舵特性車速に応じて変更可能であり、例えば、低速時にはクイック高速時にはスローとすることができる。
EPSモードは、転舵モータ29の駆動により、運転者の手動による操舵に係る補助力を発生させるモードであり、電動パワーステアリングモードとも呼ばれる。車両用操舵装置11は、SBWモードで不具合が発生した場合に、EPSモードに移行する。
マニュアルステアリングモードは、運転者の手動による操舵を行わせるモードである。車両用操舵装置11は、例えばEPSモードにおいて操舵反力モータ16および転舵モータ29の失陥時に、マニュアルステアリングモードに移行する。マニュアルステアリングモードは、モータによるアシストが得られない状態である。なお、図面では、マニュアルステアリングモードのことを、単に「マニュアルモード」と記載している場合がある。

0029

これらのモードを実現するために、車両用操舵装置11は、図1に示すように、ステアリングホイール13と、操舵反力発生装置15と、転舵装置17と、クラッチ機構19とを備える。車両用操舵装置11は、車両Vに搭載されている。車両Vは、一対の転舵輪21a,21bを備える。

0030

ステアリングホイール13は、運転者が車両Vを操舵するため、運転意図にしたがって操作される部材である。ステアリングホイール13は、本発明の「操舵部材」に相当する。ステアリングホイール13には、操舵軸23が設けられている。操舵軸23は、運転者によるステアリングホイール13の操作にしたがって、軸周りに回転するように構成されている。このステアリングホイール13は、図面において、単に「ステアリング」と記載している場合がある。

0031

操舵反力発生装置15は、車両用操舵装置11がSBWモードで動作している際に、ステアリングホイール13を握る運転者の手元に操舵に係る反力(手応え)を発生させる機能を有する。操舵反力発生装置15は、操舵反力モータ16を有する。操舵反力モータ16には、操舵軸23が連結されている。
操舵反力モータ16は、操舵軸23を軸周りに回転させるための操舵トルクを発生させる。これにより、車両用操舵装置11がSBWモードで動作している際に、ステアリングホイール13を握る運転者の手元には、操舵に係る反力(手応え)が伝えられるようになっている。操舵反力モータ16には更に、この操舵反力モータ16に流れる電流値を検出する電流センサ74が接続されている。

0032

転舵装置17は、ラック・アンドピニオン機構(不図示)を介して、転舵軸25の回転運動ラック軸27の直線運動に変換する機能を有する。転舵装置17は、本発明の「転舵機構」に相当し、車両Vの転舵輪21a,21bを転舵モータ29により転舵する。転舵装置17は、転舵モータ29と、グリスが封入された転舵ギアボックスとを有する。
転舵モータ29には、転舵軸25およびラック軸27が連結されている。転舵モータ29は、ラック軸27を軸方向に沿って直線運動させるための転舵トルクを発生させる。転舵モータ29には、この転舵モータ29に流れる電流値を検出する電流センサ73が接続されている。
低温時に転舵装置17内のグリスの粘性が上がり、転舵装置17のフリクションが増大する。転舵装置17のフリクション増大により、転舵モータ29は、転舵軸25およびラック軸27の駆動が困難になり、目標転舵角と実転舵角の偏差が増大し、制御性能が低下する。また、転舵モータ29の負担が増大する。
ラック軸27には、図示しないタイロッドを介して一対の転舵輪21a,21bが連結されている。一対の転舵輪21a,21bは、ラック軸27の直線運動によって転舵されるようになっている。
転舵軸25、ラック軸27、および、転舵モータ29を有する転舵装置17は、本発明の「転舵機構」に相当する。

0033

クラッチ機構19は、操舵軸23および転舵軸25の間を機械的に結合する機能、または切り離す機能を有する。これにより、クラッチ機構19は、ステアリングホイール13と転舵装置17とを機械的に断接する。こうした機能を実現するために、クラッチ機構19は、遊星歯車機構31を備える。この遊星歯車機構31は、内歯歯車31aと、遊星歯車31bと、太陽歯車31cと、遊星キャリア31dとを含んで構成される。
また、クラッチ機構19は、ロック用歯車33およびロック装置35を備える。ロック装置35は、ロック用歯車33の歯溝係合するロックピン39と、ロックピン39を駆動する電磁ソレノイド37とを含んで構成される。

0034

内歯歯車31aは、操舵軸23のうち転舵装置17の側端部に固定され、操舵軸23と一体に回転するように構成される。太陽歯車31cは、転舵軸25と同軸回転軸周りに自在に回転するように構成される。遊星歯車31bは、太陽歯車31cおよび内歯歯車31aのそれぞれに係合するように複数設けられる。複数の遊星歯車31bのそれぞれは、転舵軸25と一体に回転する遊星キャリア31dに対して回転自在に軸支されている。

0035

ロック用歯車33は、外歯歯車である。ロック用歯車33は、太陽歯車31cと一体に回転するように構成される。ロックピン39は、不図示の付勢手段によってロック用歯車33に近接する方向に付勢されている。ロックピン39がロック用歯車33の歯溝に係合すると、ロック用歯車33の回転運動が規制されるように構成されている。
電磁ソレノイド37は、励磁電流の供給によってロックピン39を引き込むように変位させることで、ロックピン39とロック用歯車33との係合を解除するように動作する。
ロック装置35は、制御装置40から送られてくる制御信号にしたがって動作するように構成される。制御装置40は、電磁ソレノイド37に励磁電流を供給することで、ロック用歯車33に対するロックピン39の係合を解除するように動作する。

0036

次に、クラッチ機構19の作用について説明する。ロックピン39がロック用歯車33の歯溝に係合すると、ロック用歯車33と一体に回転する太陽歯車31cの回転運動が規制される。
太陽歯車31cの回転運動が規制された状態で、運転者がステアリングホイール13を操作すると、操舵軸23の回転に伴って内歯歯車31aが回転する。このとき、太陽歯車31cの回転運動が規制されているため、遊星歯車31bは自転しながら太陽歯車31cの周囲を公転する。遊星歯車31bの公転によって、遊星歯車31bを軸支する遊星キャリア31dおよびこの遊星キャリア31dと一体に回転する転舵軸25が回転する。

0037

要するに、ロックピン39がロック用歯車33の歯溝に係合した状態では、クラッチ機構19は、操舵軸23および転舵軸25の間を結合する結合状態になる。このとき、操舵軸23の回転力は、転舵軸25へと伝えられる。

0038

一方、ロック用歯車33の歯溝に対するロックピン39の係合が解除されると、ロック用歯車33と一体に回転する太陽歯車31cは回転自在な状態になる。
太陽歯車31cが回転自在な状態で、運転者がステアリングホイール13を操作すると、操舵軸23の回転に伴って内歯歯車31aが回転する。このとき、遊星歯車31bは、自転しながら太陽歯車31cの周囲を公転しようとする。しかし、遊星キャリア31dには、転舵軸25およびラック軸27を介して転舵輪21a,21bが連結されている。このため、遊星キャリア31dの回転に対する抵抗力は、回転自在の状態にある太陽歯車31cの回転に対する抵抗力と比べてはるかに大きい。したがって、遊星歯車31bが自転すると、太陽歯車31cの方が回転(自転)し、遊星キャリア31dは回転しない。つまり、転舵軸25は回転しない。

0039

要するに、ロック用歯車33の歯溝に対するロックピン39の係合が解除された状態では、クラッチ機構19は、操舵軸23および転舵軸25の間は機械的に結合しない状態、つまり、両者は切り離された状態になる。このとき、操舵軸23の回転力は、転舵軸25へと伝えられない。

0040

次に、制御装置40に対する入出力系統について説明する。制御装置40は、本発明の「制御部」に相当し、ステアリングホイール13の操舵角に基づいた転舵角となるように制御する。制御装置40には、入力系統として、操舵角センサ41、操舵トルクセンサ43、操舵反力モータレゾルバ45、転舵モータレゾルバ47、ラックストロークセンサ49、温度センサ70、電流センサ73,74、ナビゲーション装置80が接続されている。

0041

操舵角センサ41および操舵トルクセンサ43は、操舵軸23に設けられている。操舵角センサ41は、運転者によるステアリングホイール13の操舵角を検出し、検出した操舵角情報を制御装置40に与える。また、操舵トルクセンサ43は、運転者によるステアリングホイール13の操舵トルクを検出し、検出した操舵トルク情報を制御装置40に与える。

0042

操舵反力モータレゾルバ45は、操舵反力モータ16に設けられている。操舵反力モータレゾルバ45は、操舵反力モータ16の回転動作量(操舵角)を検出し、検出した操舵角情報を制御装置40に与える。
転舵モータレゾルバ47は、転舵モータ29に設けられている。転舵モータレゾルバ47は、転舵モータ29の回転動作量(転舵角)を検出し、検出した転舵角情報を制御装置40に与える。

0043

ラックストロークセンサ49は、ラック軸27に設けられている。ラックストロークセンサ49は、ラック軸27の直線移動量(転舵角)を検出し、検出した転舵角情報を制御装置40に与える。
温度センサ70は、転舵装置17に設けられている。温度センサ70は、転舵ギアボックス近傍の温度を測定し、その温度情報を制御装置40に与える。温度センサ70は、本発明の「温度測定部」に相当し、かつ本発明の「温度取得手段」に含まれる。
電流センサ73は、転舵モータ29に流れる電流値を検出し、その電流値情報を制御装置40に与える。電流センサ73は、本発明の「転舵モータ電流検出部」に相当する。
電流センサ74は、操舵反力モータ16に流れる電流値を検出し、その電流値情報を制御装置40に与える。電流センサ74は、本発明の「反力モータ電流検出部」に相当する。
ナビゲーション装置80は、車両Vの走行時に、現在位置や目的地への経路案内を行う装置である。ナビゲーション装置80は、アンテナ81を介してインターネットに無線通信する。これにより、温度取得部71は、例えば気象情報配信サイトアクセスして、車両Vの置かれている雰囲気温度を推定して取得できる。

0044

一方、制御装置40には、出力系統として、操舵反力モータ16、転舵モータ29、および、電磁ソレノイド37が接続されている。

0045

制御装置40は、以下の第1の機能ないし第3の機能を有する。
第1の機能は、入力系統を介して入力した検出信号、および、車両用操舵装置11の各種構成部材に係る異常診断結果などに基づいて、車両用操舵装置11の動作モードを、SBWモード、EPSモード、または、マニュアルステアリングモードのいずれかに決定する機能である。
第2の機能は、決定した動作モードにしたがって、操舵反力モータ16、転舵モータ29、および、電磁ソレノイド37の駆動制御を行うための制御信号をそれぞれ生成する機能である。
第3の機能は、生成した制御信号に基づいて、操舵反力モータ16、転舵モータ29、および、電磁ソレノイド37の駆動制御を行う機能である。
SBWモードは、通常時のモードであり、ステアリングホイール13と転舵装置17とを機械的に結合しない。EPSモード、または、マニュアルステアリングモードは、温度が所定値以下のモードであり、ステアリングホイール13と転舵装置17とを機械的に結合する。

0046

制御装置40は、車両用操舵装置11がSBWモードで動作している際に、操舵反力モータ16の駆動制御を行うことにより、ステアリングホイール13を握る運転者の手元に対し、適切な操舵に係る反力(手応え)を伝えるように動作する。
また、制御装置40は、車両用操舵装置11がSBWモードで動作している際に、転舵モータ29の駆動制御を行うことにより、運転者の運転意図にしたがって転舵輪21a,21bを転舵するように動作する。
さらに、制御装置40は、車両用操舵装置11の動作モードにしたがって、電磁ソレノイド37への励磁電流の供給または供給停止を切り替える駆動制御を行う。これにより、クラッチ機構19は、結合状態または切離状態のいずれか一方に切り替わる。

0047

詳しく述べると、制御装置40は、温度取得部71と、転舵モータ電流積算部72と、反力モータ電流積算部75とを含んで構成される。

0048

温度取得部71は、例えば温度センサ70が温度を測定できなかったときに、他の情報によって温度を推定して取得する。ここで温度とは、例えば、転舵装置17の転舵ギアボックスに封入されたグリスの温度である。温度取得部71は、本発明の「温度取得手段」に含まれる。

0049

転舵モータ電流積算部72は、EPSモードで起動した後に転舵モータ29に流れる電流積算値を算出する。転舵モータ29に流れる電流積算値は、転舵装置17の転舵ギアボックス(不図示)に封入されたグリスに与えた熱量に比例する。よって、制御装置40は、起動時の温度情報と転舵モータ29に流れる電流積算値とにより、転舵装置17内のグリスの温度を推定し、SBWモードに切り替えるか否かを判定可能である。
反力モータ電流積算部75は、EPSモードで起動した後に操舵反力モータ16に流れる電流積算値を算出する。車両用操舵装置11は、EPSモードにおいて、転舵モータ29と操舵反力モータ16の2つのモータを駆動する。これにより、車両用操舵装置11は、転舵モータ29のみで駆動する場合と比べ、より大きなトルクでハイパワーに操舵可能である。このとき、操舵反力モータ16に流れる電流積算値は、転舵装置17の転舵ギアボックス(不図示)に封入されたグリスに与えた熱量に比例する。よって、車両用操舵装置11は、起動時の温度情報と操舵反力モータ16に流れる電流積算値とによっても、転舵装置17内のグリスの温度を推定し、SBWモードに切り替えるか否かを判定可能である。起動時の温度情報とは、温度センサ70で測定した温度や、温度取得部71で推定した温度である。転舵装置17内のグリスの温度によって、フリクションを推定できる。

0050

図2は、第1実施形態における起動時の動作を示すフローチャートである。
車両Vのイグニッションオンすると、車両用操舵装置11は、図2に示す起動時の動作を開始する。
テップS10において、制御装置40は、温度センサ70により測定した温度が所定値以下であるか否かを判断する。
制御装置40は、温度が所定値以下ならば(Yes)、ステップS11の処理を行い、温度が所定値を超えていたならば(No)、ステップS15の処理を行う。
ステップS11において、制御装置40は、所定値以下の温度が所定時間継続したか否かを判断する。制御装置40は、所定値以下の温度が所定時間継続したならば(Yes)、ステップS12の処理を行い、この状態が所定時間継続しなかったならば(No)、ステップS15の処理を行う。ステップS11の処理により、転舵装置17内のグリスの粘性が小さくなったことを、より的確に推定できる。

0051

ステップS12において、制御装置40は、ステアリングホイール13と転舵装置17とを機械的に結合して起動する。このとき車両用操舵装置11は、EPSモードで起動し、転舵モータ29に加えて操舵反力モータ16を駆動して操舵を補助する。運転者は、操舵中のSBWモードからEPSモードへの切り替えがないので、違和感を生じない。しかも、EPSモードで起動しているので、転舵モータ29のトルク、操舵反力モータ16のトルク、さらには運転者の手動操舵トルクの3つが加算されて、グリスの粘性抵抗打ち勝って操舵(転舵)することができる。更に、転舵モータ29と操舵反力モータ16の駆動により、車両Vの転舵装置17内のグリスにより多くの熱量を与えて、グリスの粘性を早急に低下させることができる。
ステップS13において、制御装置40は、温度センサ70により測定した温度が所定値以下であるか否かを判断する。制御装置40は、温度が所定値以下ならば(Yes)、ステップS12の処理に戻り、温度が所定値を超えていたならば(No)、ステップS15の処理を行う。
ステップS14において、制御装置40は、SBWモードに移行し、図2の処理を終了する。
ステップS15において、制御装置40は、ステアリングホイール13と転舵装置17とを機械的に結合せずにSBWモードで起動し、図2の処理を終了する。
図2の処理により、車両用操舵装置11は、温度センサ70により温度を測定し、その温度が所定値以下ならは、通常のSBWモードとは異なるEPSモードで起動することができ、低温下においても運転者に違和感を与えることなく操舵可能である。車両用操舵装置11は更に、車両Vの転舵装置17内のグリスの温度が、粘性が充分に小さい温度を超えたならば、路面の凹凸による影響が少ないSBWモードに移行できる。

0052

〔第2実施形態〕
第2実施形態の車両用操舵装置11は、第1実施形態とは異なり、インターネットを介して受信した気象情報(温度情報)によって、車両Vの置かれている雰囲気温度を推定して取得するものである。
図3は、第2実施形態における起動時の動作を示すフローチャートである。図2に示す第1実施形態の起動時動作のフローチャートと同一の要素には、同一の符号を付与している。
車両Vのイグニッションをオンすると、車両用操舵装置11は、図3に示す起動時の動作を開始する。
ステップS10Aにおいて、制御装置40は、温度取得部71によって車両Vの雰囲気温度を推定して取得し、この推定温度が所定値以下であるか否かを判断する。制御装置40は、推定温度が所定値以下ならば(Yes)、ステップS11Aの処理を行い、推定温度が所定値を超えていたならば(No)、ステップS15の処理を行う。第2実施形態の温度取得部71は、ナビゲーション装置80の通信機能によって、インターネットを介して受信した気象情報(温度情報)と車両Vの現在の位置情報とに基づき、車両Vの置かれている雰囲気温度を推定して取得する。
ステップS11Aにおいて、制御装置40は、所定値以下の推定温度が所定時間継続していたか否かを判断する。制御装置40は、所定値以下の推定温度が所定時間継続していたならば(Yes)、ステップS12の処理を行い、この状態が所定時間継続していなかったならば(No)、ステップS15の処理を行う。ステップS11Aの処理により、転舵装置17内のグリスの粘性が小さくなったことを、より的確に推定できる。
ステップS12の処理は、図2に示すステップS12の処理と同様である。
ステップS13Aにおいて、制御装置40の転舵モータ電流積算部72は、転舵モータ29に流れる電流積算値を算出し、所定値以上であるか否かを判断する。制御装置40は、転舵モータ29に流れる電流の積算値が所定値以上ならば(Yes)、ステップS14の処理を行い、この電流の積算値が所定値未満ならば(No)、ステップS12の処理に戻る。
転舵モータ29の電流積算値は、転舵モータ29の駆動により転舵装置17内のグリスに与えた熱量と比例する。転舵モータ29の電流積算値により、転舵装置17内のグリスの温度上昇を推定し、グリスの粘性が充分に小さくなったことを判断できる。
前記したステップS10の推定温度が低いほど、転舵装置17のフリクションの低下には時間が掛かる。よって、転舵モータ電流積算部72は、起動時の推定温度が低いほど所定値を大きくしてより長くEPSモードで動作し、転舵装置17内のグリスにより多くの熱量を与える。
ステップS14,S15の処理は、図2に示すステップS14,S15の処理と同様である。

0053

図3の処理により、車両用操舵装置11は、直近の温度情報や、車両Vのイグニションがオフされていた過去の温度情報を受信する。温度取得部71は、この温度情報から、車両Vの置かれている雰囲気温度を推定して取得し、その推定温度が所定値以下ならは、通常のSBWモードとは異なるEPSモードで起動できる。更に、車両用操舵装置11は、転舵モータ29に流れる電流の積算値が所定値以上となり、ある程度転舵ギアボックスのフリクションが低下した後に、SBWモードに移行できる。

0054

温度取得部71は、車両Vの置かれている雰囲気温度の推定において、車外温度計の温度情報、エアコン作動情報、シートヒータ温度立ち上がり特性情報、タイヤ空気圧情報、TPMS(Tire Pressure Monitoring System)の情報、ナビゲーション情報などを用いてもよい。
タイヤ空気圧は温度によって変化するため、温度取得部71は、タイヤ空気圧情報により、雰囲気温度を推定できる。TPMSの情報には、タイヤの温度情報が含まれている。
ナビゲーション情報とは、例えば車両Vの置かれている位置情報と現在の日時情報である。温度取得部71は、位置情報と現在の日時情報に基づいて気象データベースを参照し、統計的に現在の雰囲気温度を推定できる。
車両用操舵装置11は、反力モータ電流積算部75により操舵反力モータ16の電流積算値を算出し、操舵反力モータ16の電流積算値が所定値まで増加したならば、SBWモードに移行する構成を採用してもよい。操舵反力モータ16の電流積算値によっても、車両Vの転舵装置17内のグリスに与えた熱量を推定して、グリスの粘性が充分に小さくなったことを判断できる。

0055

〔上記実施形態における車両用操舵装置11の作用効果
第1の観点(請求項1に対応)に基づく車両用操舵装置11では、運転者が車両Vを操舵するために操作するステアリングホイール(操舵部材)13と、ステアリングホイール(操舵部材)13に反力を与える操舵反力モータ16と、車両Vの転舵輪21a,21bを転舵モータ29により転舵する転舵装置(転舵機構)17と、ステアリングホイール(操舵部材)13と転舵装置(転舵機構)17とを機械的に断接するクラッチ機構19と、ステアリングホイール(操舵部材)13の操舵角に基づいた転舵角となるように制御する制御装置(制御部)40と、温度を測定または推定して取得可能な温度取得部(温度取得手段)71とを備える。車両用操舵装置11は、温度が所定値以下の場合には、ステアリングホイール(操舵部材)13と転舵装置(転舵機構)17とを機械的に結合して起動(EPSモード・マニュアルステアリングモード)する。

0056

第1の観点(請求項1に対応)に基づく車両用操舵装置11によれば、温度が所定値以下の場合に、EPSモード・マニュアルステアリングモードで起動するため、低温下においても運転者に違和感を与えることなく操舵可能である。

0057

また、第2の観点(請求項2に対応)に基づく車両用操舵装置11では、温度取得手段は、制御装置(制御部)40に接続された温度センサ(温度測定部)70を含む構成を採用してもよい。

0058

第2の観点(請求項2に対応)に基づく車両用操舵装置11によれば、温度センサ(温度測定部)70により、転舵ギアボックスの温度を直接に測定できる。

0059

また、第3の観点(請求項3に対応)に基づく車両用操舵装置11では、温度取得部(温度取得手段)71は、車外温度計の温度情報、エアコン作動情報、シートヒータ温度立ち上がり特性情報、タイヤ空気圧情報、TPMSの情報、ナビゲーション装置80の情報、インターネットを介して受信した情報のうちいずれかに基づき、車両Vの置かれている雰囲気温度を推定する構成を採用してもよい。

0060

第3の観点(請求項3に対応)に基づく車両用操舵装置11によれば、車両Vのイグニションがオフされているときの情報も取得できるので、車両Vの置かれている雰囲気温度をより客観的に推定できる。

0061

また、第4の観点(請求項4に対応)に基づく車両用操舵装置11では、図2のステップS11のYesのように、所定値以下の温度が所定時間以上継続した場合には、ステップS12のように、ステアリングホイール(操舵部材)13と転舵装置(転舵機構)17とを機械的に結合して起動(EPSモード・マニュアルステアリングモード)する構成を採用してもよい。

0062

第4の観点(請求項4に対応)に基づく車両用操舵装置11によれば、所定値以下の温度が所定時間以上継続していることを確認することにより、転舵装置17内のグリスの粘性が小さくなったことを、より的確に推定できる。

0063

また、第5の観点(請求項5に対応)に基づく車両用操舵装置11では、図2のステップS12のように、ステアリングホイール(操舵部材)13と転舵装置(転舵機構)17とを機械的に結合して起動(EPSモード・マニュアルステアリングモード)したのちに、ステップS13のNoのように、温度が所定値を超えたならば、ステアリングホイール(操舵部材)13と転舵装置(転舵機構)17とを機械的に結合しないSBWモードに移行する構成を採用してもよい。

0064

第5の観点(請求項5に対応)に基づく車両用操舵装置11によれば、車両Vの転舵装置17内のグリスの温度が、粘性が充分に小さい温度を超えたならば、路面の凹凸による影響が少ないSBWモードに移行できる。

0065

また、第6の観点(請求項6に対応)に基づく車両用操舵装置11では、転舵モータ29の電流値を検出する電流センサ(転舵モータ電流検出部)73を更に含む。車両用操舵装置11は、ステアリングホイール(操舵部材)13と転舵装置(転舵機構)17とを機械的に結合して起動(EPSモード・マニュアルステアリングモード)したのちに、図3のステップS13AのYesのように、転舵モータ29の電流積算値が所定値以上になったならば、ステアリングホイール(操舵部材)13と転舵装置(転舵機構)17とを機械的に結合しないSBWモードに移行する構成を採用してもよい。

0066

第6の観点(請求項6に対応)に基づく車両用操舵装置11によれば、転舵モータ29の電流積算値によって、車両Vの転舵装置17内のグリスに与えた熱量を推定し、グリスの粘性が充分に小さくなったことを判断できる。

0067

また、第7の観点(請求項7に対応)に基づく車両用操舵装置11では、ステアリングホイール(操舵部材)13と転舵装置(転舵機構)17とを機械的に結合し、EPSモードで起動する構成を採用してもよい。

0068

第7の観点(請求項7に対応)に基づく車両用操舵装置11によれば、低温時にEPSモードで起動しているので、転舵装置17内のグリスの粘性に関わらず、ステアリングホイール13による操舵を行うことができる。更に、転舵モータ29の駆動により、転舵装置17内のグリスに熱量を与えて、グリスの粘性を早急に低下させることができる。

0069

また、第8の観点(請求項8に対応)に基づく車両用操舵装置11では、EPSモードにおいて、少なくとも2つ以上のモータを駆動する構成を採用してもよい。

0070

第8の観点(請求項8に対応)に基づく車両用操舵装置11によれば、EPSモードで少なくとも2つ以上のモータを駆動しているので、転舵装置17内のグリスの粘性に関わらず、ステアリングホイール13による操舵をハイパワーに行うことができる。更に、少なくとも2つ以上のモータの駆動により、車両Vの転舵装置17内のグリスにより多くの熱量を与えて、グリスの粘性を早急に低下させることができる。

0071

また、第9の観点(請求項9に対応)に基づく車両用操舵装置11では、操舵反力モータ16の電流値を検出する電流センサ(反力モータ電流検出部)74を更に含む。車両用操舵装置11は、ステアリングホイール(操舵部材)13と転舵装置(転舵機構)17とを機械的に結合して起動(EPSモード)したのちに、EPSモードにおいて操舵反力モータ16を駆動し、操舵反力モータ16の電流積算値が所定値まで増加したならば、ステアリングホイール(操舵部材)13と転舵装置(転舵機構)17とを機械的に結合しないSBWモードに移行する構成を採用してもよい。

0072

第9の観点(請求項9に対応)に基づく車両用操舵装置11によれば、操舵反力モータ16の電流積算値によっても、車両Vの転舵装置17内のグリスに与えた熱量を推定して、グリスの粘性が充分に小さくなったことを判断できる。

0073

〔その他の実施形態〕
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施できるからである。

0074

また、本発明の各実施形態に係る説明において、車両用操舵装置11は、その動作モードとして、SBWモード、EPSモード、および、マニュアルステアリングモードを有する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。その動作モードとして、SBWモードとEPSモードとを有する車両用操舵装置、またはSBWモードとマニュアルステアリングモードとを有する車両用操舵装置に対して、本発明を適用してもよい。

0075

11車両用操舵装置
13ステアリングホイール(操舵部材)
16操舵反力モータ(反力モータ)
17転舵装置(転舵機構)
15操舵反力発生装置
19クラッチ機構
21a,21b転舵輪
23操舵軸
25転舵軸
27ラック軸
29転舵モータ
37電磁ソレノイド
39ロックピン
40制御装置(制御部)
41操舵角センサ
43操舵トルクセンサ
45 操舵反力モータレゾルバ
47 転舵モータレゾルバ
49ラックストロークセンサ
70温度センサ(温度取得手段:温度測定部)
71 温度取得部 (温度取得手段)
72 転舵モータ電流積算部
73電流センサ(転舵モータ電流検出部)
74 電流センサ (反力モータ電流検出部)
75 反力モータ電流積算部
80ナビゲーション装置
V 車両

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • アイシン精機株式会社の「 走行支援装置」が 公開されました。( 2019/08/15)

    【課題】走行支援中に、画像認識による自車両の現在位置の補正を適切に行う。【解決手段】実施形態の走行支援装置は、自車両の動きを検知する検知部から取得した検知信号に基いて、自車両の現在位置を推定する推定部... 詳細

  • 株式会社デンソーの「 操舵制御装置」が 公開されました。( 2019/08/15)

    【課題】制御モードに応じて適切に回転電機を制御可能である操舵制御装置を提供する。【解決手段】インバータ回路120、220は、モータ巻線180、280ごとに設けられる。制御部130、230は、モータ巻線... 詳細

  • 本田技研工業株式会社の「 車両用操舵装置」が 公開されました。( 2019/08/15)

    【課題】自車両の車速が低車速域を経て高車速域に移行した際でも、運転者に与える操舵感の快適性を確保する。【解決手段】車両用操舵装置Sは、電動機3と、舵角センサ41と、操舵トルクセンサ42と、車輪速センサ... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ