図面 (/)

技術 麹菌変異株

出願人 本田技研工業株式会社
発明者 新川智光澤茂信田中麻衣子
出願日 2014年1月22日 (6年5ヶ月経過) 出願番号 2014-009750
公開日 2015年7月30日 (4年11ヶ月経過) 公開番号 2015-136323
状態 特許登録済
技術分野 酵素・酵素の調製 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理
主要キーワード 代替資源 原油価格 イナワラ 生産収率 代替エネルギー 和光純薬工業社 セルロリティカス 糖化力
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年7月30日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

草本類バイオマスを用いた固体培養に適しており、かつ遺伝子組換え宿主として好適な麹菌変異株、当該麹菌変異株から得られた形質転換体、当該形質転換体を用いた糖化酵素生産方法の提供。

解決手段

アスペルギルスアワモリAOK1597株の栄養要求性変異株である、麹菌変異株;pyrF遺伝子の全長又は一部が欠損しており、ウリジン要求性である、前記麹菌変異株;ウリジン要求性である前記麹菌変異株に、pyrF遺伝子及び糖化酵素遺伝子が導入された形質転換体;前記糖化酵素遺伝子が、セロビオハイドロラーゼ遺伝子、β−グルコシダーゼ遺伝子、エンドキシラナーゼ遺伝子、アラビノフラノシダーゼ遺伝子、グルクロニダーゼ遺伝子、及びエンドグルカナーゼ遺伝子からなる群より選択される1種以上である、前記記載の形質転換体;前記いずれかに記載の形質転換体を固体培養する、糖化酵素の生産方法。

概要

背景

地球温暖化大気汚染などの環境上の問題に加えて、原油価格の大幅上昇や近い将来の原油枯渇予想ピークオイル)など輸送用エネルギー供給に関わる懸念から、近年、石油代替エネルギー開発は非常に重要な課題である。植物バイオマスリグノセルロース等のセルロース系バイオマスは、地球上に最も豊富にある再生可能エネルギー源であり、石油代替資源として期待されている。

稲わらコーンストーバ等の固形バイオマスの表面上で、糖化酵素を産生する麹菌を培養することにより、当該バイオマスを糖化処理することができる。麹菌により糖化能の高い糖化酵素の遺伝子を導入した形質転換体を用いることにより、この糖化処理効率を向上させることができる。

一方で、麹菌等の微生物外来遺伝子を導入して形質転換する際には、目的の外来遺伝子が導入された微生物のみを選択的に選抜するために、宿主として、pyrG(オロチジンリン酸脱炭酸酵素)遺伝子やsC遺伝子、niaD遺伝子等を欠損させた栄養要求性株を使用する方法が一般的に用いられている(例えば、非特許文献1又は2参照。)。例えば、pyrF遺伝子欠損によりウラシル要求性となった株を宿主とし、目的の遺伝子とpyrF遺伝子を組み合わせて導入した後にウラシル不含培地で培養すると、形質転換株のみが増殖するため、効率的に遺伝子組み換え菌を選抜することができる(例えば、非特許文献3参照。)。

概要

草本類バイオマスを用いた固体培養に適しており、かつ遺伝子組換えの宿主として好適な麹菌変異株、当該麹菌変異株から得られた形質転換体、当該形質転換体を用いた糖化酵素の生産方法の提供。アスペルギルスアワモリAOK1597株の栄養要求性変異株である、麹菌変異株;pyrF遺伝子の全長又は一部が欠損しており、ウリジン要求性である、前記麹菌変異株;ウリジン要求性である前記麹菌変異株に、pyrF遺伝子及び糖化酵素遺伝子が導入された形質転換体;前記糖化酵素遺伝子が、セロビオハイドロラーゼ遺伝子、β−グルコシダーゼ遺伝子、エンドキシラナーゼ遺伝子、アラビノフラノシダーゼ遺伝子、グルクロニダーゼ遺伝子、及びエンドグルカナーゼ遺伝子からなる群より選択される1種以上である、前記記載の形質転換体;前記いずれかに記載の形質転換体を固体培養する、糖化酵素の生産方法。なし

目的

地球温暖化や大気汚染などの環境上の問題に加えて、原油価格の大幅上昇や近い将来の原油枯渇予想(ピークオイル)など輸送用エネルギー供給に関わる懸念から、近年、石油代替エネルギー開発は非常に重要な課題である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

アスペルギルスアワモリ(Aspergillusawamori)AOK1597株の栄養要求性変異株であることを特徴とする、麹菌変異株

請求項2

pyrF遺伝子の全長又は一部が欠損しており、ウリジン要求性である、請求項1に記載の麹菌変異株。

請求項3

アスペルギルス・アワモリHA1株(受託番号:NITEBP−01751)である、請求項1に記載の麹菌変異株。

請求項4

請求項1〜3のいずれか一項に記載の麹菌変異株に、pyrF遺伝子及び糖化酵素遺伝子が導入されたことを特徴とする、形質転換体

請求項5

前記糖化酵素遺伝子が、セロビオハイドロラーゼ遺伝子、β−グルコシダーゼ遺伝子、エンドキシラナーゼ遺伝子、アラビノフラノシダーゼ遺伝子、グルクロニダーゼ遺伝子、及びエンドグルカナーゼ遺伝子からなる群より選択される1種以上である、請求項4に記載の形質転換体。

請求項6

前記糖化酵素遺伝子が、アクレモニウムセルロリティカス(Acremoniumcellulolyticus)由来のセロビオハイドロラーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のβ−グルコシダーゼ遺伝子、サーモアスカス(Thermoascus)属菌由来のエンドキシラナーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のアラビノフラノシダーゼ遺伝子、及びアクレモニウム・セルロリティカス由来のグルクロニダーゼ遺伝子からなる群より選択される1種以上である、請求項4に記載の形質転換体。

請求項7

pyrF遺伝子及び前記糖化酵素遺伝子が、染色体中に組み込まれている、請求項4〜6のいずれか一項に記載の形質転換体。

請求項8

請求項4〜7のいずれか一項に記載の形質転換体を固体培養することを特徴とする、糖化酵素の生産方法

請求項9

稲わら又はコーンストーバを用いて固体培養する、請求項8に記載の糖化酵素の生産方法。

技術分野

0001

本発明は、固体培養に好適であり、かつ遺伝子組換え宿主として好適な麹菌変異株、当該麹菌変異株から得られた形質転換体、及び、当該形質転換体を用いた糖化酵素生産方法に関する。

背景技術

0002

地球温暖化大気汚染などの環境上の問題に加えて、原油価格の大幅上昇や近い将来の原油枯渇予想ピークオイル)など輸送用エネルギー供給に関わる懸念から、近年、石油代替エネルギー開発は非常に重要な課題である。植物バイオマスリグノセルロース等のセルロース系バイオマスは、地球上に最も豊富にある再生可能エネルギー源であり、石油代替資源として期待されている。

0003

稲わらコーンストーバ等の固形バイオマスの表面上で、糖化酵素を産生する麹菌を培養することにより、当該バイオマスを糖化処理することができる。麹菌により糖化能の高い糖化酵素の遺伝子を導入した形質転換体を用いることにより、この糖化処理効率を向上させることができる。

0004

一方で、麹菌等の微生物外来遺伝子を導入して形質転換する際には、目的の外来遺伝子が導入された微生物のみを選択的に選抜するために、宿主として、pyrG(オロチジンリン酸脱炭酸酵素)遺伝子やsC遺伝子、niaD遺伝子等を欠損させた栄養要求性株を使用する方法が一般的に用いられている(例えば、非特許文献1又は2参照。)。例えば、pyrF遺伝子欠損によりウラシル要求性となった株を宿主とし、目的の遺伝子とpyrF遺伝子を組み合わせて導入した後にウラシル不含培地で培養すると、形質転換株のみが増殖するため、効率的に遺伝子組み換え菌を選抜することができる(例えば、非特許文献3参照。)。

先行技術

0005

Nemoto,et.al.,Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry,2012,vol.76(8),p.1477〜1483.
Yamada,et.al.,Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry,1997,vol.61(8),p.1367〜1369.
Fujii,et.al.,Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry,2012,vol.76(2),p.245〜249.

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、草本類バイオマスを用いた固体培養に適しており、かつ遺伝子組換えの宿主として好適な麹菌変異株、当該麹菌変異株に糖化酵素遺伝子を導入した形質転換体、当該形質転換体を用いた糖化酵素の生産方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明に係る麹菌変異株、形質転換体、及び糖化酵素の生産方法は、下記[1]〜[9]である。
[1]アスペルギルスアワモリ(Aspergillus awamori)AOK1597株の栄養要求性変異株であることを特徴とする、麹菌変異株。
[2] pyrF遺伝子の全長又は一部が欠損しており、ウリジン要求性である、前記[1]の麹菌変異株。
[3] アスペルギルス・アワモリHA1株(受託番号:NITEBP−01751)である、前記[1]の麹菌変異株。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれかの麹菌変異株に、pyrF遺伝子及び糖化酵素遺伝子が導入されたことを特徴とする、形質転換体。
[5] 前記糖化酵素遺伝子が、セロビオハイドロラーゼ遺伝子、β−グルコシダーゼ遺伝子、エンドキシラナーゼ遺伝子、アラビノフラノシダーゼ遺伝子、グルクロニダーゼ遺伝子、及びエンドグルカナーゼ遺伝子からなる群より選択される1種以上である、前記[4]に記載の形質転換体。
[6] 前記糖化酵素遺伝子が、アクレモニウムセルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)由来のセロビオハイドロラーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のβ−グルコシダーゼ遺伝子、サーモアスカス(Thermoascus)属菌由来のエンドキシラナーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のアラビノフラノシダーゼ遺伝子、及びアクレモニウム・セルロリティカス由来のグルクロニダーゼ遺伝子からなる群より選択される1種以上である、前記[4]に記載の形質転換体。
[7] pyrF遺伝子及び前記糖化酵素遺伝子が、染色体中に組み込まれている、前記[4]〜[6]のいずれかの形質転換体。
[8] 前記[4]〜[7]のいずれかの形質転換体を固体培養することを特徴とする、糖化酵素の生産方法。
[9]稲わら又はコーンストーバを用いて固体培養する、前記[8]の糖化酵素の生産方法。

発明の効果

0008

本発明に係る麹菌変異株は、固体培養に適しており、かつ栄養要求性株であるため、外来遺伝子を導入する遺伝子組換えの宿主として好適である。このため、当該麹菌変異株に糖化酵素遺伝子を導入して得られた形質転換体は、固体培養により効率よく糖化酵素を生産することができる。

図面の簡単な説明

0009

参考例1において、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)又はアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)に属する各株の酵素生産収率測定結果を示した図である。
実施例1において、アスペルギルス・アワモリHA1株を120時間培養した後のウリジン含有CDプレート培地写真図である。
実施例1において、アスペルギルス・アワモリAOK1597株を120時間培養した後のウリジン含有CDプレート培地の写真図である。

0010

<麹菌変異株>
本発明に係る麹菌変異株は、アスペルギルス・アワモリAOK1597株(株式会社田今野商店より入手可能である。)(以下、「AOK1597株」と略すことがある。)の栄養素の合成等に関する遺伝子の機能を欠損させることにより、栄養要求性を獲得した変異株であることを特徴とする。後記参考例1に示すように、AOK1597株は、固体培養した際の酵素生産効率が、他のアスペルギルス・アワモリよりも優れている。つまり、本発明に係る麹菌変異株は、元々固体培養による酵素生産効率の高い株に栄養要求性を付与した株である。

0011

また、本発明に係る麹菌変異株は、栄養要求性を備える。このため、本発明に係る麹菌変異株を遺伝子組み換えの宿主として用いることにより、効率的に遺伝子組み換え体を取得することができる。本発明に係る麹菌変異株が備える栄養要求性としては、ウリジン要求性が好ましい。

0012

AOK1597株に栄養要求性を付与するためには、栄養素の合成等に関する遺伝子の全長又は一部を欠損させる。例えば、AOK1597株にウリジン要求性を付与するために、pyrF遺伝子の全長又は一部を欠損させる。その他、sC遺伝子やniaD遺伝子の全長又は一部を欠損させてもよい。pyrF遺伝子等の全長又は一部を欠損する方法は、特に限定されるものではなく、自然変異導入法、プロトプラスト−PEG法のように微生物の遺伝子組み換えにおいて公知の技術の中から適宜選択して用いることができる。

0013

本発明に係る麹菌変異株は、要求される栄養素を添加させた培地(ウリジン要求性の場合には、ウリジンを添加させた培地)で培養する以外は、AOK1597株と同様の培地や培養条件により培養することができる。

0014

<形質転換体>
本発明に係る麹菌変異株に糖化酵素遺伝子が導入された形質転換体は、当該糖化酵素を非常に効率よく産生することができる。当該形質転換体の作製時に、当該糖化酵素遺伝子と共に、栄養要求性を付与するためにAOK1597株から欠損させた遺伝子も導入することにより、栄養要求性の有無を指標として当該糖化酵素遺伝子導入株を効率よく取得することができる。

0015

本発明に係る麹菌変異株がウリジン要求性の場合、本発明に係る形質転換体は、本発明に係る麹菌変異株に、pyrF遺伝子及び糖化酵素遺伝子が導入されたことを特徴とする。pyrF遺伝子と糖化酵素遺伝子の両方を導入することにより、形質転換体はウリジン不含培地でも生育可能となる。このため、遺伝子導入後の麹菌をウリジン不含培地で培養することにより、形質転換体のみが選抜できる。

0016

本発明に係る形質転換体としては、pyrF遺伝子及び糖化酵素遺伝子は、染色体外染色体外遺伝子として保持されていてもよいが、糖化酵素の発現定性の点から、染色体中に組み込まれているものがより好ましい。

0017

例えば、pyrF遺伝子を発現させるための発現カセットと、糖化酵素遺伝子を発現させるための発現カセットとを組み込んだ発現ベクターを、前記麹菌変異株に導入することにより、形質転換体が得られる。なお、pyrF遺伝子を発現させるための発現カセットを組み込んだ発現ベクターと、糖化酵素遺伝子を発現させるための発現カセットとを組み込んだ発現ベクターの両方を前記麹菌変異株に導入してもよいが、ウリジン要求性による選抜精度の点から、両遺伝子の発現カセットは1の発現ベクターに乗せて形質転換するほうが好ましい。

0018

ここで、発現カセットとは、構造遺伝子を発現するために必要なDNAの組み合わせであり、構造遺伝子と宿主細胞内で機能するプロモーターターミネーターとを含む。発現カセットには、さらに、5’−非翻訳領域、3’−非翻訳領域のいずれか1つ以上が含まれていてもよい。また、pyrF遺伝子を発現させるための発現カセットと、糖化酵素遺伝子を発現させるための発現カセットとは、それぞれ別個の発現カセットであってもよく、1の発現カセット内に、pyrF遺伝子と糖化酵素遺伝子の両方を含んでいてもよい。

0019

また、発現カセットを組み込む発現ベクターとしては、アスペルギルス・アワモリをはじめとする麹菌に対する形質転換に使用可能な公知のベクターの中から適宜選択して、必要に応じて適宜改変したものを用いることができる。

0020

発現ベクターを本発明に係る麹菌変異株へ導入する形質転換方法は特に限定されるものではなく、アスペルギルス・アワモリをはじめとする麹菌に対する遺伝子導入を行う際に使用される各種方法により行うことができる。当該形質転換方法としては、例えば、アグロバクテリウム法、プロトプラスト−PEG法、PEG−カルシウム法(Mol.Gen.Genet.,vol.218,p.99〜104(1989))、エレクトロポレーション法等が挙げられる。形質転換後に、ウリジン不含培地で培養することにより、発現カセットが導入された形質転換体のみを生育させて選抜する。

0021

本発明に係る麹菌変異株に導入する糖化酵素遺伝子としては、一般的に植物バイオマスやリグノセルロース等のセルロース系バイオマスの糖化処理に使用される糖化酵素であることが好ましい。当該糖化酵素としては、例えば、グルコシド加水分解酵素エンドグルカナーゼセルラーゼ又はエンド−1,4−β−D−グルカナーゼ、EC 3.2.1.4)、エキソ型のセロビオハイドロラーゼ(1,4−β−セロビオシダーゼ又はセロビオハイドロラーゼ、EC 3.2.1.91)、β−グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21)、ヘミセルラーゼであるキシラナーゼ(エンド−1,4−β−キシラナーゼ、EC 3.2.1.8)、アラビノフラノシダーゼ(EC 3.2.1.55)、グルクロニダーゼ(EC 3.2.1.31)等が挙げられる。本発明に係る麹菌変異株に導入する糖化酵素遺伝子は、1種類のみであってもよく、2種類以上を組み合わせて導入させてもよい。

0022

本発明に係る麹菌変異株に導入する糖化酵素遺伝子としては、糖化力の強い糖化酵素をコードする遺伝子であることが好ましい。例えば、アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)由来のセロビオハイドロラーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のβ−グルコシダーゼ遺伝子、サーモアスカス(Thermoascus)属菌由来のエンドキシラナーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のアラビノフラノシダーゼ遺伝子、及びアクレモニウム・セルロリティカス由来のグルクロニダーゼ遺伝子からなる群より選択される1種、又は2種以上を組み合わせて導入させることが好ましい。

0023

本発明に係る麹菌変異株に導入する糖化酵素遺伝子としては、耐熱性の高い糖化酵素であることも好ましい。セルロース系バイオマスに対する糖化処理は、比較的高温で行うことにより、糖化効率をより高められるためである。

0024

<糖化酵素の生産方法>
本発明に係る糖化酵素の生産方法は、本発明に係る形質転換体を、草本類バイオマスを用いて固体培養することを特徴とする。本発明に係る形質転換体は、元々固体培養において酵素生産収率の高いAOK1597株を親株とするため、他のアスペルギルス・アワモリを親株として製造された形質転換体よりも、固体培養により糖化酵素を高収率で生産できる。

0025

当該方法において基質として用いられる固体は、草本類バイオマスが好ましく、稲わら又はコーンストーバがより好ましい。

0026

なお、本発明に係る形質転換体により生産された糖化酵素は、当該形質転換体を直接基質に接触させて糖化反応に用いてもよく、当該形質転換体から粗精製又は精製した糖化酵素として使用してもよい。

0027

次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0028

[参考例1]
アスペルギルス・オリゼ及びアスペルギルス・アワモリの各株(RIB40株、RIB128株、AOK20株、AOK2P株、AOK27L株、AOK65株、AOK139株、AOK210株、AOK241株、AOK1597株、AOK1505株、AOK1506株、AOK1508株、AOK1509株、及びAOK1510株)(いずれも秋田今野商店より入手。)について、菌体外分泌した全酵素量に基づいて酵素の生産収率を算出して比較した。ここで、「酵素の生産収率」とは、投入した炭素源当たりの生産酵素量であり、下記式により算出した。
式:[酵素の生産収率]=[分泌した全酵素量]÷[投入したデキストリン量]

0029

具体的には、まず、稲藁を目開き3mmのメッシュを通過する大きさに粉砕し、乾燥質量に対して25質量%の濃度のアンモニア水を1:1の質量比となるように混合した。得られた混合物を、常温(約20℃)で120時間保持した後、減圧下で60〜80℃の温度に加熱することによりアンモニア気化させて分離することにより、アンモニア処理イナワラを作製した。
これとは別に、各麹菌株を、Czapek−Dox(CD)培地(3質量/容量%デキストリン、0.1質量/容量%リン酸2水素カリウム、0.2質量/容量%塩化カリウム、0.05質量/容量%硫酸マグネシウム、0.001質量/容量%硫酸鉄、0.3質量/容量%硝酸ナトリウム)培地にて1週間培養し、胞子懸濁液を作製した。

0030

アンモニア処理イナワラ(含水率:約10%)1gに対してデキストリン(和光純薬工業社製)の10%溶液を1mL加え、さらに2M塩酸(和光純薬工業社製)を0.085mL加えてpH6に調整することにより、ベースとなる基質サンプルを作製した。pHは、基質サンプル1gに対して5mLの超純水を加えて懸濁した溶液のpHを測定した。
次に、基質サンプル5gを50mL容プラスチックチューブ(ベクトン・ディキンソンアンドカンパニー社製)に測り取り、121℃、15分間の条件でオートクレーブ処理した。オートクレーブ後の基質サンプルに、1×106個の胞子植菌し、撹拌した後に滅菌シャーレ(旭硝子社製)に移し、30℃、95%RHで40時間培養した。また同時に、胞子を植菌しないサンプル(ネガティブコントロール)も同様に実施した。
培養後の基質全量を50mL容プラスチックチューブに回収し、塩化ナトリウム(和光純薬工業社製)の0.5%溶液15mLを加えて撹拌し、4℃にて2時間静置した。静置後、4℃、10,000×gで10分遠心し、上清滅菌フィルターメルク社製)により処理することにより、酵素液を取得した。
取得した酵素液10μLを用いてSDS−PAGEを行い、得られたバンドの強度より分泌された全酵素量を算出した。ネガティブコントロールをHPLCにより分析し、投入したデキストリン量を算出した。得られた全分泌酵素量と投入したデキストリン量から、前記式に基づいて酵素の生産収率を算出した。

0031

各株の酵素の生産収率を図1に示す。この結果、AOK1597株は、スクリーニングに用いたアスペルギルス・アワモリの中で最も酵素生産能力が高く、一般的によく使用されている麹菌アスペルギルス・オリゼRIB40株と比べて約3倍も酵素生産能力が高かった。

0032

[実施例1]
AOK1597株に対し、pyrF遺伝子を自然変異導入法により欠損させ、ウリジン要求性を持つ固体培養で酵素生産性の高い麹菌アスペルギルス・アワモリHA1株(以下、「HA1株」と略すことがある。)を得た。

0033

具体的には、まず、AOK1597株(株式会社秋田今野商店より入手)を、CDプレート培地にて1週間培養して胞子を形成させ、0.01% POLYSORBATE 20(和光純薬工業社製)を用いて回収し、胞子懸濁液を取得した。
次いで、CD培地に終濃度1mg/mLの5−フルオロオロチン酸一水和物(和光純薬工業社製)と終濃度20mMウリジン(Sigma−Aldrich社製)を加えたプレート培地(ウリジン含有CDプレート培地)に、得られた胞子懸濁液を1×106個/プレートになるように植菌し、生育できる株を選択することにより、pyrF遺伝子(Aspergillus nidulansのpyrFオルソログ)欠損株であるHA1株を得た。図2及び3に、120時間培養後のウリジン含有CDプレート培地の写真を示す。ウリジン含有CDプレート培地上で培養したところ、このHA1株(図2)は、親株であるAOK1597株(図3)と同様に良好に増殖した。

実施例

0034

なお、HA1株は、新たに作製された新株であり、固体培養に適しており、かつ効率的に遺伝子組換え可能であるという優れた特性を有する。そこで、出願人は、HA1株を、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ足2−5−8 122号室)に新規微生物として寄託した(寄託日:平成25年11月12日)。受託番号がNITEBP−01751である。

0035

本発明に係る麹菌変異株は、固体培養に適しており、かつ効率的に遺伝子組換え可能である。また、当該麹菌変異株に糖化酵素遺伝子を導入して得られた形質転換体は、草本類バイオマスを用いた固体培養において当該糖化酵素の生産効率に優れている。このため、本発明は、例えば、セルロース系バイオマスからのエネルギー産生の分野において利用が可能である。

0036

NITEBP−01751

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • Spiber株式会社の「 2本鎖DNA断片を製造する方法」が 公開されました。( 2020/04/09)

    【課題】正確かつ効率的に所望の塩基配列を有する2本鎖DNA断片を製造する方法の提供。【解決手段】(1)2本鎖DNA断片の鎖の一部に相当するセンスオリゴヌクレオチド1とアンチセンスオリゴヌクレオチド2か... 詳細

  • 三菱製紙株式会社の「 細胞又は組織の凍結保存用治具」が 公開されました。( 2020/04/09)

    【課題】凍結作業が容易である凍結保存用治具を提供する。【解決手段】本発明によれば、細胞とは、単一の細胞のみならず、複数の細胞からなる生物の細胞集団を含むものであり、孔径が15nm以下のガラス多孔質構造... 詳細

  • 国立大学法人大阪大学の「 多層心筋組織培養物の製造方法」が 公開されました。( 2020/04/09)

    【課題】より重厚な心筋組織を作製し、かつ該組織を良好な生存状態で維持し得る新規な培養手段を提供し、以て、移植に適した心筋組織を提供すること。【解決手段】生体適合性ポリマーからなるファイバーシート上に播... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ