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図面 (20)

課題

トランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)のスーパーファミリーに属する、また高度に保存されたモルフォゲンである、Lefty、及びNodalの阻害剤を含有する組成物の提供。

解決手段

Leftyタンパク質を含み、更にヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境由来する1種または複数種の単離された因子を含む、体内に存在する少なくとも1個の腫瘍細胞を有する哺乳動物投与する、特に悪性度の高い腫瘍の形成及び進行を治療及び予防する組成物。

概要

背景

背景
悪性度の高い腫瘍細胞は、前駆細胞といくつかの特徴を共有する。脊椎動物の発生中に、多能性の前駆細胞は、シグナル伝達分子自己分泌輸送または傍分泌輸送を通して、次第に特定の運命特定化されてゆき、ならびに癌の進行中には、悪性細胞は同様に、腫瘍成長および転移を促進する手がかりを放出し、および受け取る。悪性度の高い腫瘍細胞、特に黒色腫細胞は、その脱分化した多能性の可塑的表現型を示す分子特性(すなわち微小環境因子に反応可能で、ならびに後成的機構を介して他の細胞に影響可能な特性)から明らかなように、幹細胞様の可塑性を示す(Bittner et al., 2000, Nature 406:536-540(非特許文献1);Hendrix et al., 2003, Nat. Rev. Cancer 3:411-421(非特許文献2))。また、悪性度の高い黒色腫細胞は、血管擬態(vasculogenic mimicry)が可能である。すなわち、血管様(vasculogenic)ネットワークを、内皮細胞タイプと関連する遺伝子を同時に発現しながら形成可能である(Seftor et al., 2002, Crit. Rev. Oncology Hematol. 44: 17-27(非特許文献3);Maniotis et. al., Am. J. Pathol. 155:739-752(非特許文献4))。

過去の研究は、胚の微小環境が腫瘍細胞の挙動を調節する能力を調べることで、癌細胞と幹細胞の間の類似性を利用してきた(Pierce et al., 1982, Cancer Res. 42:1082-1087(非特許文献5);Gerschenson et al., 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 83:7307-7310(非特許文献6);Lee et al., 2005, Dev. Dyn. 233:1560-1570(非特許文献7);Mintz et al., 1975, Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A 72:3585-3589(非特許文献8))。例えばPierceらは、神経段階のマウス胚神経芽腫細胞を調節すること、および胚の皮膚が黒色腫の成長を阻害することを報告している(Pierce et al., 1982, Cancer Res. 42:1082-1087(非特許文献5); Gerschenson et al., 1986, Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A 83:7307-7310(非特許文献6))。一部の研究は、腫瘍細胞の調節に胚のシグナルが果たす役割重視してきたが、胚モデルを、癌細胞がその微小環境、および結果として生じる相互作用を調節する分子機序発見するためのツールとして利用した例は少ない。

幹細胞の可塑性に寄与する主要な因子の1つがNodalである。Nodalは、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)のスーパーファミリーに属する、高度に保存されたモルフォゲンである(Schier et al., 2003、Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 19:589-621(非特許文献9))。Nodalは、原腸形成前のオーガナイザーのシグナルとして作用することによって、胚軸形成を開始させ、および過去の研究では、Nodalの異所性発現が、異所では内胚葉系中胚葉組織の運命を誘導することが報告されてされている(Whitman, 2001, Dev. Cell 1:605-617(非特許文献10);Schier, 2003, Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 19:589-621(非特許文献9);Iannaccone et al., 1992, Dev. Dyn. 194:198-208(非特許文献11);Smith, 1995, Curr. Opin. Cell Biol. 7:856-861(非特許文献12);Zhou et al., 1993, Nature 361:543-547(非特許文献13);Rebagliati et al., 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 95:9932-9937(非特許文献14);Toyama et al., 1995, Development 121:383-391(非特許文献15))。

Nodalの活性化は、共受容体であるCriptoへの結合と、これに続くI型およびII型アクチビンキナーゼ受容体(ALK)のリン酸化を含む。これに続いて、SMAD2およびSMAD3が活性化される(Lee et. al., 2006, Nature Medicine 12:882-884(非特許文献16))。また、ヒト胚性幹細胞はNodalを発現し、およびLefty A/BなどのNodalの内因性阻害因子分泌する(Besser, D., 2004, J. Biol. Chem. 279:45076-45084(非特許文献17))。それぞれマウスのLefty 2およびLefty 1のヒトホモログであるLefty AおよびLefty Bは、第1染色体長腕42領域上に約50kb離れて存在し、および96%が相互に同一である(Kosaki et. al., 1999, Am. J. Hum. Genet. 64:712-21(非特許文献18))。Lefty AおよびLefty BはTGFβスーパーファミリーの成員であり、ならびにNodalの強力な阻害因子の1つであると見なされている。

概要

トランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)のスーパーファミリーに属する、また高度に保存されたモルフォゲンである、Lefty、及びNodalの阻害剤を含有する組成物の提供。Leftyタンパク質を含み、更にヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境に由来する1種または複数種の単離された因子を含む、体内に存在する少なくとも1個の腫瘍細胞を有する哺乳動物投与する、特に悪性度の高い腫瘍の形成及び進行を治療及び予防する組成物。なし

目的

本発明は、Lefty、およびNodalの阻害因子を含むが、これらに限定されない、ヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境に由来する1種または複数種の単離された因子を含む組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

腫瘍細胞悪性度を抑制するのに有効な薬剤の製造における、ヒト胚性幹細胞微小環境から単離されるLeftyタンパク質の使用。

請求項2

Leftyタンパク質が、Nodal活性阻害剤である、請求項1記載の使用。

請求項3

Leftyタンパク質が、グリコシル化されたLeftyである、請求項2記載の使用。

請求項4

Leftyタンパク質がアポトーシスを増加させ、かつ細胞増殖を低下させる、請求項2記載の使用。

請求項5

Leftyタンパク質が実質的に純粋である、請求項2記載の使用。

請求項6

腫瘍細胞が黒色腫である、請求項1記載の使用。

請求項7

腫瘍細胞が乳癌である、請求項1記載の使用。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、開示が参照により本明細書に組み入れられる、2006年7月28日に出願された米国仮特許出願第60/820,740号、および2007年6月1日に出願された第60/941,343号の恩典を主張する。

0002

発明の分野
本発明は、胚性幹細胞によって産生される化合物を使用して、患者における悪性度の高い腫瘍細胞成長および/または播種治療および/または予防する方法に関する。具体的には本発明は、もっぱらヒト胚性幹細胞によって産生される阻害剤を含むが、これに限定されない、Nodal活性の阻害剤の患者への投与に関する。本発明は、患者の細胞中におけるNodalの存在を検出する段階を含む、患者における悪性度の高い腫瘍を検出するための方法にも関する。

背景技術

0003

背景
悪性度の高い腫瘍細胞は、前駆細胞といくつかの特徴を共有する。脊椎動物の発生中に、多能性の前駆細胞は、シグナル伝達分子自己分泌輸送または傍分泌輸送を通して、次第に特定の運命特定化されてゆき、ならびに癌の進行中には、悪性細胞は同様に、腫瘍の成長および転移を促進する手がかりを放出し、および受け取る。悪性度の高い腫瘍細胞、特に黒色腫細胞は、その脱分化した多能性の可塑的表現型を示す分子特性(すなわち微小環境因子に反応可能で、ならびに後成的機構を介して他の細胞に影響可能な特性)から明らかなように、幹細胞様の可塑性を示す(Bittner et al., 2000, Nature 406:536-540(非特許文献1);Hendrix et al., 2003, Nat. Rev. Cancer 3:411-421(非特許文献2))。また、悪性度の高い黒色腫細胞は、血管擬態(vasculogenic mimicry)が可能である。すなわち、血管様(vasculogenic)ネットワークを、内皮細胞タイプと関連する遺伝子を同時に発現しながら形成可能である(Seftor et al., 2002, Crit. Rev. Oncology Hematol. 44: 17-27(非特許文献3);Maniotis et. al., Am. J. Pathol. 155:739-752(非特許文献4))。

0004

過去の研究は、胚の微小環境が腫瘍細胞の挙動を調節する能力を調べることで、癌細胞と幹細胞の間の類似性を利用してきた(Pierce et al., 1982, Cancer Res. 42:1082-1087(非特許文献5);Gerschenson et al., 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 83:7307-7310(非特許文献6);Lee et al., 2005, Dev. Dyn. 233:1560-1570(非特許文献7);Mintz et al., 1975, Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A 72:3585-3589(非特許文献8))。例えばPierceらは、神経段階のマウス胚神経芽腫細胞を調節すること、および胚の皮膚が黒色腫の成長を阻害することを報告している(Pierce et al., 1982, Cancer Res. 42:1082-1087(非特許文献5); Gerschenson et al., 1986, Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A 83:7307-7310(非特許文献6))。一部の研究は、腫瘍細胞の調節に胚のシグナルが果たす役割重視してきたが、胚モデルを、癌細胞がその微小環境、および結果として生じる相互作用を調節する分子機序発見するためのツールとして利用した例は少ない。

0005

幹細胞の可塑性に寄与する主要な因子の1つがNodalである。Nodalは、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)のスーパーファミリーに属する、高度に保存されたモルフォゲンである(Schier et al., 2003、Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 19:589-621(非特許文献9))。Nodalは、原腸形成前のオーガナイザーのシグナルとして作用することによって、胚軸形成を開始させ、および過去の研究では、Nodalの異所性発現が、異所では内胚葉系中胚葉組織の運命を誘導することが報告されてされている(Whitman, 2001, Dev. Cell 1:605-617(非特許文献10);Schier, 2003, Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 19:589-621(非特許文献9);Iannaccone et al., 1992, Dev. Dyn. 194:198-208(非特許文献11);Smith, 1995, Curr. Opin. Cell Biol. 7:856-861(非特許文献12);Zhou et al., 1993, Nature 361:543-547(非特許文献13);Rebagliati et al., 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 95:9932-9937(非特許文献14);Toyama et al., 1995, Development 121:383-391(非特許文献15))。

0006

Nodalの活性化は、共受容体であるCriptoへの結合と、これに続くI型およびII型アクチビンキナーゼ受容体(ALK)のリン酸化を含む。これに続いて、SMAD2およびSMAD3が活性化される(Lee et. al., 2006, Nature Medicine 12:882-884(非特許文献16))。また、ヒト胚性幹細胞はNodalを発現し、およびLefty A/BなどのNodalの内因性阻害因子分泌する(Besser, D., 2004, J. Biol. Chem. 279:45076-45084(非特許文献17))。それぞれマウスのLefty 2およびLefty 1のヒトホモログであるLefty AおよびLefty Bは、第1染色体長腕42領域上に約50kb離れて存在し、および96%が相互に同一である(Kosaki et. al., 1999, Am. J. Hum. Genet. 64:712-21(非特許文献18))。Lefty AおよびLefty BはTGFβスーパーファミリーの成員であり、ならびにNodalの強力な阻害因子の1つであると見なされている。

先行技術

0007

Bittner et al., 2000, Nature 406:536-540
Hendrix et al., 2003, Nat. Rev. Cancer 3:411-421
Seftor et al., 2002, Crit. Rev. Oncology Hematol. 44: 17-27
Maniotis et. al., Am. J. Pathol. 155:739-752
Pierce et al., 1982, Cancer Res. 42:1082-1087
Gerschenson et al., 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 83:7307-7310
Lee et al., 2005, Dev. Dyn. 233:1560-1570
Mintz et al., 1975, Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A 72:3585-3589
Schier et al., 2003、Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 19:589-621
Whitman, 2001, Dev. Cell 1:605-617
Iannaccone et al., 1992, Dev. Dyn. 194:198-208
Smith, 1995, Curr. Opin. Cell Biol. 7:856-861
Zhou et al., 1993, Nature 361:543-547
Rebagliati et al., 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 95:9932-9937
Toyama et al., 1995, Development 121:383-391
Lee et. al., 2006, Nature Medicine 12:882-884
Besser, D., 2004, J. Biol. Chem. 279:45076-45084
Kosaki et. al., 1999, Am. J. Hum. Genet. 64:712-21

0008

本発明は、Lefty、およびNodalの阻害因子を含むが、これらに限定されない、ヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境に由来する1種または複数種の単離された因子を含む組成物を提供する。本発明はさらに、ヒト胚性幹細胞によるマトリックスコンディショニングによって産生される、単離されたLeftyタンパク質を提供する。本発明はさらに、ヒト胚性幹細胞の微小環境から単離されるグリコシル化されたLeftyを含む、グリコシル化されたLeftyを含むタンパク質、この組成物、およびこのような組成物を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物における腫瘍細胞の成長を阻害する方法を提供する。

0009

本発明は、ヒト胚性幹細胞(hESC)に由来する因子、およびその微小環境を利用して、腫瘍の形成および進行を治療および予防する方法、ならびに腫瘍細胞の悪性度を抑制する方法も提供する。本発明はさらに、本明細書に記載されたhESC由来のLeftyおよび合成誘導体、グリコシル化されたLefty、組換え型のLefty、抗Nodal抗体と、アクチビン受容体様タンパク質ALK 4、ALK 5、および/またはALK 7の1種もしくは複数種の阻害剤と、Criptoの阻害剤と、例えば抗Nodalモルフォリノなどの抗Nodalアンチセンス部分と、例えばNotch4のsiRNAなどのNotch4阻害剤を含むがこれらに限定されないNotch阻害剤とを含むがこれらに限定されない有効量のNodal活性の阻害剤を、体内に存在する少なくとも1個の腫瘍細胞を有する哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物における腫瘍細胞の成長を阻害する方法、および/または悪性度の高い腫瘍を治療する方法を提供する。

0010

本発明は、ヒト胚性幹細胞に接触させた、有効量の事前にコンディショニングされた微小環境を、体内に存在する少なくとも1個の腫瘍細胞を有する哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物における腫瘍細胞の成長を阻害する方法も提供する。

0011

本発明はさらに、以下の段階を含む、患者における悪性度の高い腫瘍(黒色腫や乳癌を含むが、これらに限定されない)を検出する方法を提供する:患者から試料を得る段階;試料をNodalの存在およびNodal阻害因子(Leftyまたは修飾型のLeftyもしくはLefty誘導体など)の非存在に関してアッセイする段階;ならびに仮に試料中にNodalが存在し、かつLeftyが存在しないならば、悪性度の高い腫瘍細胞を検出する段階。本発明は、Nodalを発現する複数の細胞を提供する段階;細胞を対象に、Nodalの活性に対する候補化合物の存在および非存在に関してアッセイする段階;ならびに、仮にNodal活性が、候補化合物の存在下では候補化合物の非存在下より低い場合には、化合物が、悪性度の高い腫瘍を治療するための化合物であると同定する段階を含む、悪性度の高い腫瘍を治療するための化合物を同定する方法も提供する。

0012

加えて本発明は、悪性度の高い腫瘍細胞の存在を検出する目的で、患者における悪性度の高い腫瘍を治療するための薬剤としての薬学的組成物の有効性モニタリングするための方法、および哺乳動物における脱分化した多能性の可塑的な表現型を有する細胞の存在を検出するための方法を提供する。

0013

本発明の特定の態様は、特定の好ましい態様に関する、以下のより詳細な説明、およびクレームから明らかになるであろう。
以下に、本発明の基本的な諸特徴および種々の態様を列挙する。
[1]
ヒト胚性幹細胞の微小環境に由来する1種または複数種の単離された因子を含む組成物。
[2]
単離された因子または因子群がNodalを阻害する、[1]記載の組成物。
[3]
少なくとも1種の因子がLeftyである、[1]記載の組成物。
[4]
ヒト胚性幹細胞によるマトリックスのコンディショニング(conditioning)によって産生される、単離されたLeftyタンパク質。
[5]
グリコシル化されたLefty、またはこの断片もしくは誘導体を含むタンパク質。
[6]
グリコシル化されたLeftyが、ヒト胚性幹細胞の微小環境から単離される、[5]記載のタンパク質。
[7]
[5]記載のタンパク質を含む組成物。
[8]
[7]記載の組成物を、生理学的に許容される投与量で哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物における腫瘍細胞の成長を阻害する方法。
[9]
投与量が0.1〜200 ng/mLである、[8]記載の方法。
[10]
ヒト胚性幹細胞の微小環境に由来する1種または複数種の因子を使用して腫瘍細胞の悪性度を抑制する方法。
[11]
少なくとも1種の因子が、Nodal活性の阻害剤である、[10]記載の方法。
[12]
Nodal活性の阻害剤がLeftyである、[11]記載の方法。
[13]
Nodal活性の阻害剤が、グリコシル化されたLeftyである、[11]記載の方法。
[14]
阻害剤がアポトーシスを増加させ、かつ細胞増殖を低下させる、[11]記載の方法。
[15]
体内に存在する少なくとも1つの腫瘍細胞を有する哺乳動物に、有効量のNodal活性の阻害剤を投与する段階を含む、哺乳動物における腫瘍細胞の成長を阻害する、および/または悪性度の高い腫瘍を治療する方法。
[16]
阻害剤が受容体に対するNodalの結合を阻止する、[15]記載の方法。
[17]
阻害剤が、ヒト胚性幹細胞の微小環境に由来する1種または複数種の単離された因子である、[15]記載の方法。
[18]
阻害剤が、グリコシル化されたLeftyである、[15]記載の方法。
[19]
阻害剤が抗体である、[16]記載の方法。
[20]
阻害剤がNodalタンパク質の発現を阻止する、[15]記載の方法。
[21]
阻害剤がアクチビン様キナーゼ受容体阻害剤である、[15]記載の方法。
[22]
アクチビン様キナーゼ受容体阻害剤が、ALK 4/5/7阻害剤である、[21]記載の方法。
[23]
ALK 4/5/7阻害剤がSB431542である、[22]記載の方法。
[24]
阻害剤がCripto阻害剤である、[15]記載の方法。
[25]
阻害剤がアンチセンスオリゴヌクレオチドである、[20]記載の方法。
[26]
アンチセンスオリゴヌクレオチドが抗Nodalモルフォリノである、[25]記載の方法。
[27]
阻害剤がLeftyである、[15]記載の方法。
[28]
阻害剤が組換え型のLeftyである、[15]記載の方法。
[29]
阻害剤が、グリコシル化されたLeftyである、[15]記載の方法。
[30]
阻害剤がNotch阻害剤である、[20]記載の方法。
[31]
Notch阻害剤が、NotchのsiRNAである、[30]記載の方法。
[32]
阻害剤が、Notch4阻害剤である、[30]記載の方法。
[33]
阻害剤が、Notch4のsiRNAである、[32]記載の方法。
[34]
阻害剤が、ヒト胚性幹細胞の微小環境に由来する、[15]記載の方法。
[35]
体内に存在する少なくとも1個の腫瘍細胞を有する哺乳動物に、ヒト胚性幹細胞に接触させた有効量の事前にコンディショニングされた微小環境を投与する段階を含む、哺乳動物における腫瘍細胞の成長を阻害する方法。
[36]
以下の段階を含む、悪性度の高い腫瘍細胞を検出する方法:
a.患者から試料を得る段階;
b.NodalおよびLeftyの存在に関して試料をアッセイする段階;ならびに
c.試料中にNodalが存在し、かつLeftyが存在しない場合に、悪性度の高い腫瘍細胞を検出する段階。
[37]
Nodalの存在およびLeftyの非存在に関してアッセイする段階が、核酸ベースアッセイ法を含む、[36]記載の方法。
[38]
Nodalの存在およびLeftyの非存在に関してアッセイする段階が、タンパク質ベースのアッセイ法を含む、[36]記載の方法。
[39]
以下の段階を含む、悪性度の高い腫瘍を治療するための化合物を同定する方法:
a.Nodalを発現する複数の細胞を提供する段階;
b.候補化合物の存在下および非存在下において、Nodal活性に関して細胞をアッセイする段階;ならびに
c.Nodal活性が、候補化合物の存在下では候補化合物の非存在下より低い場合に、該化合物を、悪性度の高い腫瘍の治療するための化合物であると同定する段階。
[40]
以下の段階を含む、患者における悪性度の高い腫瘍を治療するための薬剤としての薬学的組成物の有効性をモニタリングするための方法:
a.患者から試料を得る段階;
b.Nodalの存在に関して試料をアッセイする段階;
c.一定量の薬学的組成物を患者に投与する段階;
d.患者から後に回収された試料に、段階(b)および(c)を繰り返す段階;ならびに
e.段階(a)に由来する試料中に検出されたNodalの量を、段階(d)に由来する試料中に検出されたNodalの量と比較する段階であって、薬学的組成物の有効性が、段階(a)で採取された試料と比較した、後に回収された試料中におけるNodalの量の変化を検出することにより、モニタリングされる段階。
[41]
以下の段階を含む、悪性度の高い腫瘍細胞の存在を検出するための方法:
a.患者から腫瘍細胞の試料を得る段階;
b.腫瘍細胞中のNodalのCpGアイランドの、配列ベースメチル化解析を実施する段階;
c.腫瘍細胞中のNodalのCpGアイランド中のメチル化の程度を、悪性度の高くない細胞または非腫瘍細胞におけるメチル化の程度と比較する段階;
d.Nodalの過剰メチル化を、悪性度の高い腫瘍細胞の存在と相関させる段階。
[42]
以下の段階を含む、哺乳動物における、脱分化した多能性の可塑的な表現型を有する存在細胞を検出するための方法:
a.哺乳動物から試料を得る段階;
b.Nodalの存在に関して試料をアッセイする段階;
c.Nodalの存在を、脱分化した多能性の可塑的な表現型を有する存在細胞と相関させる段階。
[43]
試料が体液である、[42]記載の方法。
[44]
体液が血清である、[43]記載の方法。

図面の簡単な説明

0014

腫瘍細胞の悪性度を抑制する際におけるヒト胚性幹細胞の微小環境の利用を示す、実験法の流れ図を示す。
ヒト胚性幹細胞の微小環境が、黒色腫細胞の球状体の形成を誘導することを示す。(A〜G)3-D Matrigelマトリックス上におけるH1(B)ヒト胚性幹細胞(hESC)およびHSF-6(C)ヒト胚性幹細胞によるコロニーの形成と比較した、3-D Matrigelマトリックス(A)上におけるC8161メラニン欠乏性ヒト転移性皮膚黒色腫細胞のコンフルエントな成長を示す位相差顕微鏡による観察;それらの3-DマトリックスからのhESCの除去後(露出した、事前にコンディショニングされたマトリックスであるCMTXは挿入図に示すように残される)、C8161腫瘍細胞が、H1 hESC(D、E)およびHSF-6 hESC(F)で事前にコンディショニングされたマトリックス上に播種され、CMTX(Matrigel)は、次いで、hESCコロニーに似た球状体を形成する(D〜F)(「A」のバーは200 μmに相当)。これとは対照的に、H1細胞によってコンディショニングされた培地曝露されたC8161細胞は球状体を形成することができない(G)。
ヒト胚性幹細胞の微小環境に曝露されたヒト転移性皮膚黒色腫細胞に見られる後成的な変化を示す。(A)メラノサイトマーカーであるMelan-Aに対する、全細胞溶解物ウェスタンブロット解析(1つの試料について等量のタンパク質を負荷)は、Matrigel上のH1 hESC、およびMatrigel上のC8161腫瘍細胞におけるその不在;ならびにMatrigel上の対照となるヒト表皮メラノサイト(HEMn)におけるMelan-A(上のパネル)と比較した、H1 hESCによって事前にコンディショニングされたマトリックスであるCMTX(Matrigel)に曝露されたC8161細胞におけるMelan-Aの誘導を示す。(B)Matrigel上のC8161細胞と比較した、HEMNによって事前にコンディショニングされたマトリックスであるCMTX(Matrigel)に曝露されたC8161細胞と比較したMatrigel上で培養されたHEMnにおけるMelan-Aの遺伝子発現の半定量RT-PCR解析。CMTXのレーンは、C8161黒色腫細胞の播種に先立って、事前にコンディショニングされたマトリックスからHEMN細胞が完全に除去されることを示す対照である。GAPDHをRNAの負荷対照として使用した(下のパネル)。(C)ヒトメラノサイトによって事前にコンディショニングされたコラーゲンIの3-Dマトリックス(HEMn18 CMTXまたはHEMn20 CMTX)が、検討対象遺伝子群の発現を変化させなかったことを示す半定量RT-PCR解析。これは、良性のメラノサイトの微小環境が、転移性黒色腫細胞の可塑的な分子表現型を変化させるように後成的に影響しないことを意味する。
ヒト胚性幹細胞の微小環境が、黒色腫細胞の浸潤および腫瘍形成を低下させることを示す。(A)コンディショニングされていないMatrigel(対照)上、またはH1もしくはHSF-6のhESCのいずれかによって事前にコンディショニングされたMatrigel上における培養後のC8161細胞の浸潤を、MICS(Membrane Invasion Culture System)アッセイ法で、特定のマトリックス(コラーゲンIV、ラミニン、およびゼラチン)で被覆された膜を介して24時間中に浸潤可能な細胞のパーセンテージとして算出した。バーは、規格化済みの浸潤指数の平均±標準偏差を示す。星印(*)が付された値は、対照細胞の浸潤指標と有意に異なる。(B)対照マトリックス(Matrigel)か、またはhESC(H9 CMTX)によってコンディショニングされたマトリックス(n=21)のいずれかに3日間にわたって事前に曝露されたC8161細胞が注射されたマウスにおけるインビボにおける腫瘍形成。値は、腫瘍体積(mm3)の中央値±四分位範囲を示し、および腫瘍体積は、星印(*)が付された時点で有意に異なっていた(P<0.05)。
hESC、悪性度の高い腫瘍細胞、ならびに正常ヒト細胞におけるNodal、Lefty、およびCriptoの発現に差が見られることを示す。以下の細胞におけるNodal、Lefty、およびCriptoのウェスタンブロット解析:H1およびH9、ヒト胚性幹細胞(hESC)系列;C8161、ヒト転移性黒色腫細胞;正常ヒトメラノサイト;MDA-MB-231、ヒト転移性乳癌細胞;Hs 578 Bst正常ヒト筋上皮細胞;ならびにHMEpC正常ヒト乳腺上皮細胞アクチンを負荷対照として使用する。
hESC、悪性度の高い腫瘍細胞、ならびに正常ヒト細胞におけるNodal、Lefty、およびCriptoの発現に差が見られることを示す。以下の細胞におけるLefty-BのmRNAの発現を対象としたリアルタイムRT-PCR解析:H9、ヒト胚性幹細胞(hESC);C8161、ヒト転移性黒色腫細胞;正常ヒトメラノサイト;MDA-MB-231、ヒト転移性乳癌細胞;Hs 578 Bst正常ヒト筋上皮細胞;HMEpC正常ヒト乳腺上皮細胞;GM00473およびGM00957A、ヒト羊水由来幹細胞;SC00125、ヒト臍帯由来幹細胞;ヒト成体間葉系幹細胞(MSC);およびHTR-8/SVneo、不死化ヒト栄養膜細胞
hESC、悪性度の高い腫瘍細胞、ならびに正常ヒト細胞におけるNodal、Lefty、およびCriptoの発現に差が見られることを示す。100%のH9 hESCにおける、ならびにC8161黒色腫細胞およびMDA-MB-231乳癌細胞小規模亜集団におけるCriptoの免疫蛍光局在。バーは、10 μmに相当。
hESC、悪性度の高い腫瘍細胞、ならびに正常ヒト細胞におけるNodal、Lefty、およびCriptoの発現に差が見られることを示す。以下におけるNodal、Lefty、およびCriptoのウェスタンブロット解析:H9、hESC;GM00473およびGM00957A、ヒト羊水由来幹細胞;SC00125、ヒト臍帯由来幹細胞;ヒト成体間葉系幹細胞(MSC);ならびにHTR-8/SVneo、不死化ヒト細胞栄養膜細胞。負荷対照にはアクチンを使用する。
原発性および転移性の黒色腫病変におけるNodalの発現パターンを示す。図6(A〜F)は、(A)正常皮膚、(B〜D)原発性皮膚黒色腫、ならびに(EおよびF)皮膚黒色腫転移巣におけるNodal染色の免疫組織化学的解析を示す。(A)の矢印は正常メラノサイトを示し、また(F)の矢印は、黒色腫細胞の膜に局在するNodalタンパク質を示す。(C)および(D)はそれぞれ、放射方向および垂直方向への成長相を意味する。図6(A〜D)は、代表的な5人の患者の試料であり、図6(E〜F)は代表的な10人の患者の試料である。アイソタイプ対照を挿入図に示し、バーは50 μmに相当する。
乳癌におけるNodalの発現のパターンを示す。正常乳腺組織、非浸潤性乳管癌(DCIS)、浸潤性腺管癌(IDC)、および転移性IDCにおけるNodal染色の免疫組織化学的解析。バーは、100 μmに相当する。
Matrigel上で培養されたhESC上におけるNodalおよびLeftyの分布を示す。Matrigel上で培養されたH9 hESC中におけるLeftyおよびNodalの免疫蛍光の局在、ならびにhESCによってコンディショニングされたマトリックス(H9 CMTX)上におけるLeftyタンパク質のウェスタンブロット解析。最上段のパネルは、基礎となるマトリックスを伴うhESCコロニーの横断面を示す、再構成された共焦点画像を意味する。点線は細胞-マトリックス境界面を意味し、矢印はhESCコロニーの上面を示す。右の対応する画像は、細胞表面(矢印)および細胞-マトリックス境界面(点線)におけるLeftyおよびNodalを示す。大きな画像は、LeftyおよびNodal(挿入図)で染色されたhESCコロニーの3次元共焦点像である。バーは、25μmに相当する。
ヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境が、胚によって事前にコンディショニングされたマトリックスに曝露された可塑的な転移性黒色腫細胞および乳癌細胞におけるNodalの発現および腫瘍形成能を低下させることを示す。hESCの微小環境が、多能性の黒色腫細胞(C8161)および乳癌(MDA-MB-231)細胞におけるNodalタンパク質の発現を低下させることを示すウェスタンブロット解析。
ヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境が、胚によって事前にコンディショニングされたマトリックスに曝露された可塑的な転移性黒色腫細胞および乳癌細胞におけるNodalの発現および腫瘍形成能を低下させることを示す。対照(コンディショニングされていない)Matrigelか、またはhESCによってコンディショニングされたMatrigel(H9 CMTX)のいずれかに3日間にわたって曝露されたヒト転移性黒色腫細胞(C8161)およびヒト転移性乳癌細胞(MDA-MB-231)におけるNodalタンパク質のウェスタンブロット解析。H9 CMTXに曝露された癌細胞の一部は後に、対照(コンディショニングされていない)Matrigel上で、ウェスタンブロット解析に先立つ2日間または7日間かけて回収された。負荷対照としてアクチンを使用する。
ヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境が、胚によって事前にコンディショニングされたマトリックスに曝露された可塑的な転移性黒色腫細胞および乳癌細胞におけるNodalの発現および腫瘍形成能を低下させることを示す。対照(コンディショニングされていない)Matrigelか、またはhESCによってコンディショニングされたMatrigel(H9 CMTX)のいずれかに3日間にわたって曝露されたヒト転移性黒色腫細胞(C8161)およびヒト転移性乳癌細胞(MDA-MB-231)におけるNodalのmRNAを対象としたリアルタイムRT-PCR解析。H9 CMTXに曝露された癌細胞の一部は後に、対照(コンディショニングされていない)Matrigel上で、解析前の2日間または7日間にわたって回収された。
ヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境が、胚によって事前にコンディショニングされたマトリックスに曝露された可塑的な転移性黒色腫細胞および乳癌細胞におけるNodalの発現および腫瘍形成能を低下させることを示す。19日目における、ヌードマウスで腫瘍を形成するC8161細胞におけるNodalの免疫組織化学的局在。Nodalの染色は、Matrigel対照が注入された腫瘍細胞で最も強く、対して、H9 CMTXに曝露されたC8161細胞におけるNodalの染色は低い(より低い腫瘍量と相関)。(バーは、50 μmに相当)。
ヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境が、胚によって事前にコンディショニングされたマトリックスに曝露された可塑的な転移性黒色腫細胞および乳癌細胞におけるNodalの発現および腫瘍形成能を低下させることを示す。対照(コンディショニングされていない)Matrigelか、またはH9 CMTXのいずれかへの3日間の曝露後にソフトアガー上で14日間にわたって培養されたC8161細胞およびMDA-MB-231細胞の相対的なコロニー形成。アッセイ法は、rNodal(100 ng/mL)の存在または非存在の条件下で実施された。バーは、規格化済みのコロニー形成の平均±標準偏差を示す。星印(*)が付された値は、対照細胞のコロニー形成能力とは有意に異なり、ならびに2個の星印(**)が付された値は、対照細胞およびH9 CMTX処理細胞のコロニー形成能力と有意に異なる(n=12、P<0.05)。
ヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境が、胚によって事前にコンディショニングされたマトリックスに曝露された可塑的な転移性黒色腫細胞および乳癌細胞におけるNodalの発現および腫瘍形成能を低下させることを示す。対照(コンディショニングされていない)Matrigelか、または正常メラノサイト(メラノサイトCMTX)、正常筋上皮細胞(Hs 578 Bst CMTX)、羊水由来幹細胞(GM00473/GM00957A CMTX)、もしくは栄養膜細胞(HTR-8/SVneo CMTX)によってコンディショニングされたMatrigelのいずれかに3日間にわたって曝露されたヒト転移性黒色腫細胞(C8161)およびヒト転移性乳癌細胞(MDA-MB-231)におけるNodalタンパク質のウェスタンブロット解析。負荷対照としてアクチンを使用する。
ヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境が、胚によって事前にコンディショニングされたマトリックスに曝露された可塑的な転移性黒色腫細胞および乳癌細胞におけるNodalの発現および腫瘍形成能を低下させることを示す。対照(コンディショニングされていない)Matrigelか、または羊水由来幹細胞(GM00473/GM00957A CMTX)もしくは栄養膜細胞(HTR-8/SVneo CMTX)のいずれかによってコンディショニングされたMatrigelのいずれかに3日間にわたって曝露されたヒト転移性黒色腫細胞(C8161)におけるNodalのmRNAを対象としたリアルタイムRT-PCR解析。18sを使用して遺伝子レベルを規格化し、バーは、H9(A、B)またはMatrigel(C、D)の値に対して規格化された遺伝子発現の平均を示す。
NodalのダウンレギュレーションにhESC由来のLeftyが果たす役割を示す。hESCによってコンディショニングされたマトリックス(CMTX)中におけるNodal阻害因子Leftyの量。Leftyタンパク質は、C8161細胞そのものによってコンディショニングされたマトリックス(C8161+CMTX)中のC8161細胞中には存在しない。
NodalのダウンレギュレーションにhESC由来のLeftyが果たす役割を示す。Matrigel上のH9 hESCコロニー中におけるFITC結合抗Leftyモルフォリノ(MOLEFTY)の免疫蛍光の局在。
NodalのダウンレギュレーションにhESC由来のLeftyが果たす役割を示す。溶媒(対照)、MO対照(MO対照)、またはMOLefty(MO Lefty)のいずれかによって処理されたH9 hESC中におけるLeftyタンパク質のウェスタンブロット解析。負荷対照としてアクチンを使用する。
NodalのダウンレギュレーションにhESC由来のLeftyが果たす役割を示す。溶媒(H9)、MO対照(MO対照)、またはMOLEFTY(MO Lefty)のいずれかによって処理されたH9 hESCにおける、Oct-3/4およびNanogの発現を対象としたリアルタイムRT-PCR解析。遺伝子レベルを18sを使用して規格化し、バーは、H9に対して規格化された遺伝子発現の平均を示す。
NodalのダウンレギュレーションにhESC由来のLeftyが果たす役割を示す。対照(コンディショニングされていない)Matrigelか、hESCによってコンディショニングされたMatrigel(H9 CMTX)か、またはLeftyタンパク質の発現がLeftyに特異的なモルフォリノ(H9 CMTX MO Lefty)によってノックアウトされたhESCによってコンディショニングされたMatrigel上で3日間にわたって培養されたC8161細胞におけるNodalのmRNAの発現を対象としたリアルタイムRT-PCR解析。
NodalのダウンレギュレーションにhESC由来のLeftyが果たす役割を示す。対照(コンディショニングされていない)Matrigelに、またはhESCから精製されたLeftyタンパク質(H9由来のLefty)が播種されたMatrigelのいずれかに3日間にわたって曝露されたヒト転移性黒色腫(C8161)細胞および乳癌(MDA-MB-231)細胞におけるNodalタンパク質のウェスタンブロット解析。MDA-MB-231細胞は、解析に先立つ2日間にわたって、新鮮なMatrigel上で回復させた。負荷対照としてアクチンを使用する。
NodalのダウンレギュレーションにhESC由来のLeftyが果たす役割を示す。対照Matrigelか、またはhESC(Lefty)からrNodal(100 ng/mL)の存在もしくは非存在の条件で精製されたLeftyが播種されたMatrigelのいずれかに対する3日間の曝露後に、ソフトアガー上で14日間にわたって培養されたC8161細胞とMDA-MB-231細胞の相対的なコロニー形成。バーは、規格化されたコロニー形成の平均±標準偏差を示す。星印(*)が付された値は、対照細胞のコロニー形成能力とは有意に異なる(n=6、P<0.05)。
組換え型のLeftyによるNodalのダウンレギュレーションを示す。C8161細胞へのrLeftyの付加がNodalの発現を低下させることを示す、さまざまな濃度(0〜1000 ng/mL)のrLefty-Bに48時間にわたって曝露されたC8161細胞におけるNodalタンパク質のウェスタンブロット解析。
hESCに由来するLeftyがグリコシル化されていることを示す。糖タンパク質の染色、ならびに組換え型のLefty(rLefty)-B、rLefty-A、ならびにH9ヒト胚性幹細胞(hESC)+H9 hESCによって3日間かけてコンディショニングされたマトリックス(CMTX)に由来する溶解物を含むウェスタンブロット上におけるLefty-AおよびLefty-Bの検出。SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後に、タンパク質をトランスブロット(transblotted)し、糖タンパク質に関して染色を行った。これは、緑色のバンド(下)として確認される。Lefty-AおよびLefty-Bは後に、ウェスタンブロット解析で検出された(上)。矢印は、ウェスタンブロット上のLeftyタンパク質を示し、および染色された糖タンパク質を示す画像上の同一の位置を示す。
Nodalの阻害およびhESCの微小環境が、インビボにおける腫瘍形成能を消失させることを示す。(A)対照マトリックス(Matrigel)か、またはhESCによってコンディショニングされたマトリックス(H9 CMTX)(n=10)のいずれかに3日間にわたって事前に曝露されたMDA-MB-231細胞が注射されたマウスにおける、インビボにおける腫瘍形成。(B)空のベクターか、またはNodal発現コンストラクト(n=5)のいずれかでトランスフェクトされたC81-61細胞、および(C)MO対照またはMONodalのいずれかによって処理されたMDA-MB-231細胞(n=10)。値は、腫瘍体積(mm3)の平均±標準誤差(A)または標準偏差(B、C)を示し、および腫瘍体積は、星印(*)が付された時点で有意に異なっていた(P<0.05)。
Nodalの阻害およびhESCの微小環境が、インビボにおける腫瘍形成能を消失させることを示す。(D)Ki67に対する免疫組織化学的染色、および末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼビオチン-dUTPニック末端標識(TUNEL)によって決定された、C8161およびMDA-MB-231に由来する腫瘍に関する、アポトーシスに対する腫瘍細胞の増殖の比。マウスへの注射に先立ち、C8161細胞およびMDA-MB-231細胞を、対照マトリックス上か、またはhESCでコンディショニングされたマトリックス(H9 CMTX)上で3日間にわたって培養するか、またはMONodalで処理してNodalの発現をノックダウンした。バーは、規格化済みの平均値±標準偏差を示し、および星印(*)が付された値は対照値と有意に異なる(P<0.05)。(E)Ki67の発現(赤/)の免疫組織化学的解析、ならびに同所性の黒色腫(C8161)および乳癌(MDA-MB-231)の腫瘍のTUNEL染色。マウスへの注射に先立ち、細胞をMONodalで処理するか、H9 hESC CMTXに曝露させるか、または非処理のままとした(対照)。増殖は、Ki67の染色によって明らかにされ、およびアポトーシス核は共焦点顕微鏡で、アポトーシスを生じたC8161細胞またはMDA-MB-231細胞の核に局在する赤い染色として検出された。TUNEL解析では、細胞の核がDAPIによって青色に対比染色される。バーは、25 μmに相当する。(F)MO対照またはMONodalのいずれかによって処理されたC8161細胞およびMDA-MB-231細胞のインビトロにおける増殖。値は、15,000個の細胞をプレーティングした4日後における平均細胞数(×1000)±標準偏差を示す。星印(*)は、対照細胞とMONodal処理細胞間に有意差があることを意味する(n=4、P<0.05)。
図13-2の続きを示す図である。
Nodalの阻害が、黒色腫の腫瘍形成能を消失させることを示す。(A)ソフトアガーアッセイ法で7日間にわたって培養された細胞の位相差顕微鏡による観察。パネルは、悪性度の低いC81-61細胞、悪性度の高いC8161細胞、MONodalで処理されたC8161細胞、およびMONodalで処理されて組換え型のNodal(100 ng/mL)によって救済されたC8161細胞のコロニー形成能力を意味する。バーは、20 μmに相当する。(B)MO対照またはMONodalのいずれかによって処理されたC8161細胞が注射されたマウスにおけるインビボにおける腫瘍形成。値は、腫瘍体積(mm3)の中央値±四分位範囲を示し、ならびにMO対照およびMONodalの腫瘍体積は、星印(*)が付された時点で有意に異なっていた(n=5、p<0.05)。(C)MONodalで処理されたC8161細胞に由来する同所性腫瘍におけるNodal染色の免疫組織化学的解析。C8161細胞は、注射後の17日目までにNodalの再発現を開始した。バーは、50 μmに相当する。(MONodal=Nodalに対するアンチセンスモルフォリノ)。(D)擬トランスフェクトされたC81-61対照と比較時の、NodalのcDNAがトランスフェクトされた悪性度の低い黒色腫細胞C81-61による腫瘍形成能の獲得:値は、38日後における腫瘍体積の中央値±標準偏差として記載されている(*p<0.05;n=5/パラメータ)。
Nodalシグナル伝達のダウンレギュレーションが、メラノサイト様表現型の獲得、および脱分化した可塑的な表現型の喪失を招くことを示す。(A)溶媒またはALK 4/5/7阻害剤(SB431542、1 μM、10 μM)のいずれかによる処理の48時間後におけるC8161細胞におけるNodal、リン酸化されたSMAD-2、全SMAD 2/3、およびアクチンのウェスタンブロット解析。(A、B)全てのNodalバンドはプロタンパク質を示す。(B)溶媒、またはさまざまな濃度のALK阻害剤のいずれかを添加した24時間後における、C8161細胞におけるNodal、チロシナーゼ、およびアクチンのウェスタンブロット解析。(C)溶媒、またはさまざまな濃度のALK阻害剤の存在下で、3-DコラーゲンIマトリックス上で6日間にわたって培養されたC8161細胞におけるVE-カドヘリンケラチン18、およびアクチンのウェスタン解析。(D)浸潤能の低下。(E)ALK 4/5/7阻害剤によるNodalのダウンレギュレーション後の血管擬態の消失。
NodalとNotch間の分子クロストークを示す。(A)NotchのsiRNA、特にNotch4のsiRNAによるC8161細胞におけるNodal発現のノックダウン。siRNAの添加の72時間後におけるC8161細胞のウェスタンブロット解析。リアルタイムRT-PCR解析およびウェスタンブロット解析によって、同時点における個々のNotchのサイレンシングが確認された。(B)Notchの発現は、C8161細胞ではNodalのノックダウンの影響を比較的受けていない。Nodal阻害剤SB431542で処理されたC8161細胞におけるNotch1、Notch2、およびNotch4のウェスタンブロット解析。
悪性度の高いC8161ヒト黒色腫細胞の、hESCによってコンディショニングされたマトリックスに対する曝露が、Nodalのプロモーター中のCpGアイランドの前半部中の特定のシトシン残基(CpG残基6〜17)のメチル化の亢進を誘導することを示す。グラフは、Matrigel上か、またはH9 hESCによってコンディショニングされたMatrigel上のいずれかで培養された悪性度の高いC8161ヒト皮膚黒色腫細胞中におけるNodalのCpGアイランドの前半部のメチル化状態を示す。個々の円は、CpGアイランド中のCpGジヌクレオチドを意味する。黒い円および灰色の円はそれぞれ、メチル化残基と非メチル化残基を意味する。個々の列は、個々のクローンまたは対立遺伝子を意味する。hESCの微小環境(H9 CMTX)の存在下における培養は、メチル化を全体的に、わずか6.8%しか上昇させないが、影をつけた部分では、細胞をH9 CMTX上で培養時に、Matrigel単独の場合と比較して、メチル化に32%の上昇が見られた。

0015

詳細な説明
ある態様では、本発明は、ヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境に由来する1種または複数種の単離された因子を含む組成物を提供する。本明細書で用いる、「1種または複数種の単離された因子」という表現は、hESCの微小環境中に存在する任意の1種の因子または任意の一群の因子を意味する。因子は、個別に単離され得るほか、一群の因子を組み合わせて提供する様式で単離され得る。あるいは、「1種または複数種の単離された因子」という表現は、規定のマトリックス上に存在する任意の1種の因子または一群の因子を意味する場合がある。本明細書で用いる「微小環境」は、基底膜、または胚性幹細胞、好ましくはヒト胚性幹細胞と接触時に胚性幹細胞の影響を受ける他の規定のマトリックスを含む環境である。「事前にコンディショニングされた」微小環境は、本明細書に記載されているように、および例えば、Postovit et al., 2006, Stem Cells 24:501-505に記載されているように、ならびに本明細書の図1に示されているように、適切な条件でヒト胚性幹細胞に接触された微小環境である。本明細書の図1は、腫瘍細胞の悪性度を抑制するためのヒト胚性幹細胞の微小環境の利用について説明している。

0016

1つの態様では、hESCの微小環境から単離された因子はNodalを阻害する。本明細書に記載されているように、悪性度の高い腫瘍細胞はNodalを発現し、およびNodalは、可塑性、腫瘍形成能、および悪性化に不可欠である。したがって、Nodalを阻害することは、悪性度の高い腫瘍を治療および予防するための優れた方法となる。本明細書で用いる、「悪性度の高い黒色腫」および「悪性度の高い乳癌」を含む、「悪性度の高い腫瘍」および「悪性度の高い癌」という表現は、転移を伴う場合もあれば伴わない場合もある新生物の成長を有する悪性細胞を意味する。非制限的な例では、悪性度の高い腫瘍は、系列特異的な因子の喪失を伴う、通常は他の細胞系列に制限されている遺伝子の異常な発現を特徴とする分化転換した表現型を有する悪性細胞を意味する場合がある。例えば、悪性度の高い黒色腫細胞は、上皮細胞の指標となるケラチン陽性中間径フィラメントを有し、および通常は内皮細胞と関連するVE-カドヘリンを含む遺伝子を異常に発現する。また、チロシナーゼなどのメラノサイト特異的マーカーの発現は、悪性度の高い黒色腫細胞では劇的に低下し、場合によっては消失する。チロシナーゼは、チロシン色素メラニンへの変換を触媒し、および悪性度の高い黒色腫では、その悪性度の低い黒色腫と比較して、35倍以上低下する。悪性度の高い腫瘍細胞は、多数の幹細胞マーカーを発現する能力も有し、多能性の脱分化した表現型を示唆する。このような悪性度の高い腫瘍細胞は転移性も高い。

0017

本発明の1つの態様では、hESCの微小環境に由来する因子はLeftyである。本明細書に記載されているように、hESC由来Leftyを含むLeftyは、Nodalの阻害因子である。本明細書で用いる、「Lefty A/B」および「Lefty」という表現は互換性があり、ならびにLefty AかLefty Bのいずれか、またはLefty AとLefty Bの両方の組み合わせを意味する。1つの態様では、微小環境から単離されたLeftyは、実質的に純粋な場合がある。別の態様では、Leftyは、他のhESC因子との組み合わせとして存在する場合がある。

0018

別の態様では、本発明は、ヒト胚性幹細胞によるマトリックスのコンディショニングによって産生される、単離されたLeftyタンパク質を提供する。本明細書で用いる、「マトリックスをコンディショニングする」という表現は、本明細書で定義される、事前にコンディショニングされた微小環境を調製することを意味する。ある態様では、マトリックスはhESCによって0〜10日間、またはこの間の、5〜10日間、2〜8日間、3〜6日間、3〜5日間、3〜4日間、または1日間、2日間、3日間、4日間、もしくは5日間を含むがこれらに限定されない任意の範囲の期間にわたってコンディショニングされる。Leftyはマトリックスから、抗Lefty抗体の使用による方法を含む、当業者既知の任意の方法で単離される場合がある。

0019

1つの態様では、本発明は、グリコシル化されたLeftyを含むタンパク質を提供する。この態様では、Leftyは、さまざまな程度にグリコシル化されている場合があり、ならびに1カ所もしくは複数カ所のN結合型および/またはO結合型のグリコシル化部位、またはこれらの組み合わせを含む場合がある。1つの態様では、グリコシル化されたLeftyは、可能なN-グリコシル化部位および/またはO-グリコシル化部位の0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%を上回る部位がグリコシル化されていることを特徴とする。別の態様では、グリコシル化されたLeftyは、可能なN-グリコシル化部位および/またはO-グリコシル化部位の100%未満、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満の部位がグリコシル化されていることを特徴とする。別の態様では、グリコシル化されたLeftyは、グリコシル化可能なN-グリコシル化部位および/またはO-グリコシル化部位のパーセンテージが、上記のパーセンテージ「を上回る」、および上記のパーセンテージ「に満たない」パーセンテージの組み合わせに基づくことを特徴とする。したがって、1つの非制限的な例では、グリコシル化されたLeftyは、可能なN-グリコシル化部位および/またはO-グリコシル化部位の30%を上回り、かつ70%に満たない部位がグリコシル化されていることを特徴とする。別の態様では、可能なN-グリコシル化部位および/またはO-グリコシル化部位の100%がグリコシル化されている。

0020

1つの態様では、グリコシル化されたLeftyは、hESCに由来するLeftyと実質的に同じ程度にグリコシル化されている。

0021

グリコシル化されたLeftyは、組換え法を含む任意の方法で調製され得る(例えば、Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.を参照)。1つの態様では、グリコシル化されたLeftyは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で組換え的に作製される。あるいは、グリコシル化されたLeftyは、Merrifield et al., 1963, J. Am. Chem. Soc. 85:2149;Houghten et al., 1985, Proc Natl Acad. Sci. USA 82:5132;およびStewart and Young, Solid Phase Peptide Synthesis (Pierce Chemical Co. 1984)に記載されている方法などの当技術分野で既知の手法による化学合成法(固相ペプチド合成など)によって、または合成法と組換え法の組み合わせによって調製され得る。グリコシル化されたLeftyは、hESCの微小環境からの単離を含む、hESCからの単離によっても調製され得る。

0022

本発明の範囲には、Leftyまたはグリコシル化されたLeftyの断片もしくは誘導体が含まれる。本明細書で用いる「断片」は、Nodalを阻害する能力を含むが、これに限定されない、完全長のタンパク質の活性を有する、完全長のLefty配列の任意の部分を意味する。「断片」の範囲には、天然酵素切断産物が含まれる。「誘導体」という表現の範囲には、完全長のLeftyの誘導体、ならびにこの断片が含まれる。本明細書で用いる「誘導体」は、結果として生じるポリペプチドが、Nodalを阻害する能力を含むが、これに限定されないLeftyの活性を有する、付加された、欠失された、挿入された、または置換された1残基もしくは複数のアミノ酸残基を有するLeftyの変形形態を含む。本明細書で用いる「誘導体」は、Leftyの化学的誘導体、およびこの変形形態も含む。当業者であれば、このような変形形態が、任意の組み合わせで存在し得ることを理解するであろう。

0023

グリコシル化されたLeftyの化学的に修飾された誘導体は、当業者によって、本明細書に記載された開示を考慮して調製することができる。グリコシル化されたLefty誘導体は、天然でポリペプチドに結合している分子のタイプまたは位置のいずれかが異なる様式で修飾される。誘導体は、1個もしくは複数の天然で結合している官能基の欠失によって形成される分子を含む場合があるほか、1個もしくは複数のポリマー共有結合による付加によって修飾される場合がある。例えば、選択されるポリマーは典型的には、結合されるタンパク質が、生理的環境などの水性環境中で沈殿しないように水溶性である。適切なポリマーの範囲には、ポリマーの混合物が含まれる。好ましくは、最終製品調製物の治療的な使用に関しては、ポリマーは薬学的に許容される。

0024

個々のポリマーは任意の分子量をとり得る場合があり、および分岐状または非分岐状の場合がある。個々のポリマーは典型的には、約2 kDa〜約100 kDaの平均分子量を有する(「約」という表現は、水溶性ポリマー調製物中に、いくつかの分子が、記載の分子量よりやや多く、やや少なく存在することを意味する)。個々のポリマーの平均分子量は好ましくは、約5 kDa〜約50 kDaであり、より好ましくは約12 kDa〜約40 kDaであり、および最も好ましくは約20 kDa〜約35 kDaである。

0025

適切な水溶性ポリマー、またはこの混合物は、N-結合もしくはO-結合の糖鎖、糖、リン酸ポリエチレングリコール(PEG)(モノ-(C1-C10)ポリエチレングリコール、アルコキシ-ポリエチレングリコール、またはアリールオキシ-ポリエチレングリコールを含む、タンパク質の誘導体化に使用される形状のPEGを含む)、モノメトキシ-ポリエチレングリコール、デキストラン(例えば約6 kDの低分子量デキストランなど)、セルロース、または他の糖質ベースとしたポリマー、ポリ-(N-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマーポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマーポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、およびポリビニルアルコールを含むが、これらに限定されない。本発明には、共有結合的に結合された、グリコシル化されたLeftyポリペプチド多量体の調製に使用可能な二機能性架橋分子も含まれる。

0026

一般に、化学的誘導体化は、タンパク質を活性化ポリマー分子と反応させるために使用される任意の適切な条件で実施され得る。最適反応条件は、既知のパラメータおよび望ましい結果を元に決定される。例えば、タンパク質に対するポリマー分子の比が大きいと、結合されるポリマー分子の占めるパーセンテージは大きくなる。1つの態様では、グリコシル化されたLefty誘導体は、アミノ末端に1個のポリマー分子部分を有する場合がある。これについては例えば、米国特許第5,234,784号を参照されたい。

0027

ポリペプチドのペグ化は、当技術分野で既知の任意のペグ化反応を使用して特異的に実施され得る。このような反応は例えば、以下の参考文献に記載されている:Francis et al., 1992, Focus on Growth Factors 3:4-10;欧州特許第0154316号および第0401384号;ならびに米国特許第4,179,337号。

0028

別の態様では、グリコシル化されたLeftyポリペプチドは、ビオチンに化学的に結合され得る。ビオチン/グリコシル化Leftyポリペプチド分子は後に、アビジンに結合可能となり、四価のアビジン/ビオチン/グリコシル化Leftyポリペプチド分子が得られる。グリコシル化Leftyポリペプチドは、ジニトロフェノール(DNP)またはトリニトロフェノール(TNP)に共有結合的に結合させることも可能であり、および結果として得られるコンジュゲートは、抗DNPまたは抗TNPのIgMと沈殿を生じて、価数が10の十量体コンジュゲートを形成する場合がある。

0029

一般に、本発明のグリコシル化されたLefty誘導体の使用によって軽減または調節される可能性のある条件は、グリコシル化されたLeftyに関して本明細書に記載された条件を含む。しかしながら、本明細書に開示されたグリコシル化されたLefty誘導体は、他の活性、促進型もしくは減弱型の生物学的活性、または非誘導体化分子と比較時の半減期延長もしくは短縮などの他の特徴を有する場合がある。

0030

別の態様では、本発明は、グリコシル化されたLeftyを含む組成物を提供する。組成物は、当業者に既知の手順、または本明細書に記載された手順で製剤化することができる。別の態様では、本発明は、グリコシル化されたLeftyを含む組成物を、生理学的に許容される投与量で哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物における腫瘍細胞の成長を阻害する方法を提供する。このような組成物は、有効量または治療的有効量で投与され得る。本明細書で用いる、「有効量」または「治療的有効量」は互換的に用いられる。

0031

哺乳動物は、ヒト、例えばネコおよびイヌなどの愛玩動物、例えばサルおよびチンパンジーなどの霊長類、ならびに例えばウマウシブタ、およびヒツジなどの家畜動物、または、本発明の任意の方法の実施、または本発明の化合物もしくは組成物の投与を必要とするか、または投与による利益を得るであろう任意の患者を意味する。本明細書で用いる「患者」という表現は、ヒト対象および動物対象を含む。

0032

1つの態様では、本発明は、グリコシル化されたLeftyを含む組成物を、0.01〜500 ng/mLの投与量、0.01〜200 ng/mLの投与量、0.1〜200 ng/mLの投与量、0.1〜100 ng/mLの投与量、1〜100 ng/mLの投与量、10〜100 ng/mLの投与量、10〜75 ng/mLの投与量、20〜75 ng/mLの投与量、20〜50 ng/mLの投与量、25〜50 ng/mLの投与量、または30〜40 ng/mLの投与量で哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物における腫瘍細胞の成長を阻害する方法を含む。別の態様では、本発明は、グリコシル化されたLeftyを含む組成物を、約1 ng/mLの投与量、5 ng/mLの投与量、10 ng/mLの投与量、20 ng/mLの投与量、25 ng/mLの投与量、30 ng/mLの投与量、35 ng/mLの投与量、40 ng/mLの投与量、45 ng/mLの投与量、50 ng/mLの投与量、75 ng/mLの投与量、100 ng/mLの投与量、200 ng/mLの投与量、または500 ng/mLの投与量で哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物における腫瘍細胞の成長を阻害する方法を含む。この文脈で用いられる「約」は、記載濃度の0 ng/mL以内、1 ng/mL以内、2 ng/mL以内、または3 ng/mL以内を意味する。

0033

ある態様では、本発明は、ヒト胚性幹細胞の微小環境に由来する1種または複数種の因子を使用して、腫瘍細胞の悪性度を抑制する方法を提供する。1つの態様では、因子はLeftyおよびグリコシル化されたLeftyを含むが、これらに限定されないNodalの阻害剤である。

0034

このような方法の1つの態様では、腫瘍細胞の悪性度を抑制する因子は、アポトーシスを増加させることで阻害する。本明細書で用いる「アポトーシス」は、通常は胚発生中に、および組織の恒常性維持中に生じるプログラム細胞死の生理学的過程を意味する。別の態様では、腫瘍細胞の悪性度を抑制する因子は、細胞増殖を低下させることで阻害する。細胞増殖は、個々の細胞の質量の増加である成長と対照的な、細胞周期の完了後の細胞の数の増加と定義される。別の態様では、腫瘍細胞の悪性度を抑制する因子は、アポトーシスを増加させることと細胞増殖を低下させることの両方によって、および/または腫瘍細胞の増殖-アポトーシス比を小さくすることによって阻害する。

0035

別の態様では、本発明は、体内に存在する少なくとも1個の腫瘍細胞を有する哺乳動物に、ヒト胚性幹細胞に接触させた有効量の事前にコンディショニングされた微小環境を投与する段階を含む、哺乳動物における腫瘍細胞の成長を阻害する方法を提供する。

0036

本発明の別の態様では、Nodalおよび/またはLeftyは、悪性度の高い腫瘍細胞の悪性度のバイオマーカーとして、ならびに黒色腫および乳癌を含むが、これらに限定されない悪性度の高い癌の予後、診断、および臨床診断用のバイオマーカーとして使用される。ある態様では、本発明は、以下の段階を含む、患者における悪性度の高い腫瘍(黒色腫または乳癌を含むが、これらに限定されない)を検出する方法を提供する:患者から試料を得る段階;NodalおよびLeftyの存在に関して試料をアッセイする段階;ならびに試料中にNodalが存在し、かつLeftyが存在しない場合に、悪性度の高い腫瘍を検出する段階。この文脈で使用される「試料」は、本明細書で定義される腫瘍細胞、組織試料、および体液を含むが、これらに限定されない。非制限的な例では、試料は血清の場合がある。

0037

ある態様では、Nodalの存在は、Nodalの遺伝子または遺伝子産物を対象としてアッセイすることで検出可能である。例えば、核酸ベースのアッセイ法またはタンパク質ベースのアッセイ法によって、腫瘍試料中におけるNodalの存在を検出することができる。Nodalの検出に使用可能な例示的なアッセイ法は、本明細書に記載されたアッセイ法を含む。Leftyの存在は同様に検出することができる。当業者であれば、例えば、Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.に記載されているような従来の方法による他のアッセイ法を設計可能なことを容易に理解する。

0038

別の態様では、悪性度の高い腫瘍を治療するための化合物は、Nodalを発現する複数の細胞を提供する段階、候補化合物の存在下または非存在下でNodal活性に関して細胞をアッセイする段階、ならびに化合物を、Nodalの活性が、候補化合物の存在下では候補化合物の非存在下の場合より低い場合に、悪性度の高い腫瘍の治療に適切な化合物として同定する段階によって同定することができる。この文脈で使用される「Nodal活性」という表現は、Nodalの発現を意味し、かつ/または腫瘍細胞の可塑性、腫瘍形成能、および悪性度を維持することを含む、本明細書で言及された任意の活性を意味する。

0039

本発明の別の方法では、患者における悪性度の高い腫瘍を治療するための薬剤としての薬学的組成物の有効性をモニタリングすることができる。この方法は、患者から第1の試料を得る段階;Nodalの存在に関して第1の試料をアッセイする段階;一定量の薬学的組成物を患者に投与する段階;患者から後に回収された生物学的試料をNodalの存在に関してアッセイする段階;ならびに第1の試料中に検出されるNodalの量を、後の試料中に検出されるNodalの量と比較し、薬学的組成物の有効性が、第1の試料と比較した、後に回収された試料中におけるNodalの量の変化を検出することによってモニタリングされる段階を含む。この文脈で使用される「試料」または「生物学的試料」は、本明細書で定義される腫瘍細胞、組織試料、および体液を含むが、これらに限定されない。非制限的な例では、試料は血清の場合がある。

0040

本発明の別の方法では、哺乳動物における悪性度の高い腫瘍細胞の存在は、患者から腫瘍細胞の試料を得る段階;腫瘍細胞中のNodalのCpGアイランドを対象とした配列ベースのメチル化解析を実施する段階;腫瘍細胞中のNodalのCpGアイランド中のメチル化の程度を、悪性度の高くない細胞または非腫瘍細胞におけるメチル化の程度と比較する段階;ならびにNodalの過剰メチル化を、悪性度の高い腫瘍細胞の存在に相関させる段階によって検出され得る。配列ベースのメチル化解析は、CpGアイランドの全体に、またはその小部分に基づく場合がある。本発明の別の方法では、哺乳動物における脱分化された多能性の可塑的な表現型を有する細胞の存在は、哺乳動物から試料を得る段階;Nodalの存在に関して試料をアッセイする段階;ならびにNodalの存在を、脱分化した多能性の可塑的な表現型を有する存在細胞と相関させる段階によって検出することができる。試料は体液の場合がある。体液は、全血血漿、血清、尿、精液唾液リンパ液髄液、羊水、液、、および脳脊髄液を含むが、これらに限定されない。体液は、前述の、および組織試料や生検試料などのホモジナイズされた固体材料を含む溶液または混合物の全ての実験的に分離されたフラクションも含む。これらの方法は、悪性度の高い癌に対する予後予測アッセイ法または診断アッセイ法として、または黒色腫や乳癌を含むが、これらに限定されない悪性度の高い癌に対する感受性を調べるアッセイ法として使用することができる。

0041

他の態様では、本発明は、体液中に存在する少なくとも1個の腫瘍細胞を有する哺乳動物に、有効量のNodal活性の阻害剤を投与する段階を含む、哺乳動物における腫瘍細胞の成長を阻害する方法を提供する。

0042

本発明は、体液中に存在する少なくとも1個の腫瘍細胞を有する哺乳動物に、有効量のNodal活性の阻害剤を投与する段階を含む、哺乳動物における悪性度の高い腫瘍を治療する方法も提供する。本明細書で用いる、「悪性度の高い腫瘍を治療する」という表現は、治療を必要とする哺乳動物に、哺乳動物における悪性度の高い腫瘍細胞の成長を防ぐか、および/または悪性度の高い腫瘍細胞の転移を防ぐNodal阻害剤を投与する段階を含む方法を意味する。

0043

1つの態様では、本発明は、ヒト胚性幹細胞を含む微小環境を、またはヒト胚性幹細胞によって事前にコンディショニングされた微小環境(「CMTX」)を腫瘍細胞に接触させる段階を含む、腫瘍細胞の成長を阻害するか、および/または悪性度の高い腫瘍を治療する方法を提供する。ある態様では、基底膜マトリックスはMatrigel(商標)の場合がある。事前にコンディショニングされた培地の調製に影響を及ぼす可能性のあるMatrigelの基底膜マトリックスのロットは多様である。具体的には、予備的なロットのMatrigelは、本発明の腫瘍阻害特性を有する、事前にコンディショニングされた微小環境を生じない。このような状況では、代替的なロットを使用することができる。当業者であれば、他のマトリックスを使用可能なことを理解するであろう。

0044

本明細書で用いる「阻害剤(阻害因子)」は、任意の化合物、核酸分子、Lefty A/Bなどの内因性タンパク質、Nodal活性を低減可能か、またはNodal遺伝子の発現に干渉可能なNodalに対する抗体などのペプチドもしくはポリペプチドの場合がある。「阻害剤」という表現の範囲には、同時に投与されるか、または個別に投与されるか、および任意の順序で投与される、2種類もしくはこれ以上の、このような阻害剤の任意の組み合わせが含まれる。Nodal阻害剤は、Nodalタンパク質の活性を、直接的または間接的のいずれかによって阻害可能である。直接的な阻害は例えば、Nodalタンパク質に結合させることでNodalタンパク質の、受容体などの意図された標的への結合を妨げることによって達成することができる。間接的な阻害は例えば、受容体や結合パートナーなどのNodalタンパク質の意図された標的に結合させることでNodalタンパク質の活性を阻止または低減させることによって達成することができる。さらにNodal阻害剤は、特にNodal遺伝子の発現を低下または阻害することによって、遺伝子発現(転写プロセシング翻訳翻訳後修飾)に干渉させることによって、例えばNodalのmRNAに干渉させ、およびNodal遺伝子産物の翻訳を阻止することによるか、またはNodal遺伝子産物の翻訳後修飾によって、または細胞内局在の変化を引き起こすことで、Nodal遺伝子を阻害することができる。

0045

Nodal阻害剤は、ヒト胚性幹細胞の微小環境に由来するLefty A/Bを含むが、これらに限定されない、内因的に産生されるタンパク質の場合がある。例えばLefty A/Bはヒト胚性幹細胞で産生され、細胞周囲の微小環境中に分泌される。Lefty A/Bは、微小環境から単離することができる。あるいはLefty A/Bは、ヒト胚性幹細胞から直接的に(すなわち微小環境中に分泌される前に)単離することができる。別の態様では、本発明の範囲に含まれるNodal阻害剤は、当技術分野で既知の任意の従来の方法で作製可能な組換え型のLefty A/B(rLefty)である。Lefty A/Bは、グリコシル化されている場合があるほか、グリコシル化されていない場合がある。ある態様では、本発明のNodal阻害剤は、hESCによって産生される、グリコシル化されたLefty A/Bである。他の態様では、グリコシル化されたLefty A/Bは、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を使用して産生させることができる。いくつかの状況では、グリコシル化されたLefty A/Bは、そのグリコシル化されていない対応分子または組換え型の対応分子より強力なNodal阻害剤の場合があり、したがって、治療的応用で、より低い用量で投与することができる。

0046

他の態様では、Nodal阻害剤は、アクチビン様キナーゼ(ALK)阻害剤などのNodalシグナル伝達に干渉する分子である。例えばNodalは、そのシグナルを、I型(ALK 4/5/7)とII型(ActRIIB)のアクチビン様キナーゼ受容体間のヘテロ二量体複合体に結合させることによって伝える。複合体の集合は、ActRIIBによるALK 4/5/7のリン酸化および活性化と、これに続くALK 4/5/7を介したSmad-2/3のリン酸化を引き起こす。ALK 4、ALK 5、および/またはALK7の阻害剤は、本発明の範囲に含まれ;本明細書に記載されているように、ALK 4/5/7阻害剤はNodal発現を欠失させることができる。1つの態様では、ALK阻害剤はSB431542(Sigma, St. Louis, MO)である。

0047

1つの態様では、阻害剤は例えば、小分子阻害剤、抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、短鎖干渉RNA(siRNA)分子や短鎖ヘアピンRNA(shRNA)分子などの核酸の場合がある。加えて、このような阻害剤は、本明細書に記載された方法で、または当技術分野で既知の方法で特異的に設計することができる。

0048

ある態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションがNodal活性を阻害する限りにおいて、Nodal遺伝子の少なくとも一部分に相補的である。本明細書で用いる「オリゴヌクレオチド」という表現は、天然のヌクレオチド、ならびに天然および/または非天然のオリゴヌクレオチド結合によって連結された修飾型のヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、最大200ヌクレオチドを一般に含むポリヌクレオチドサブセットである。ある態様では、オリゴヌクレオチドの長さは、10〜60ヌクレオチドである。ある態様では、オリゴヌクレオチドの長さは、12塩基、13塩基、14塩基、15塩基、16塩基、17塩基、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、または30〜40塩基である。オリゴヌクレオチドは、例えば部位特異的変異誘発法を使用する遺伝子変異体構築に使用される1本鎖である。

0049

本発明のオリゴヌクレオチドは、治療用または実験用試薬として、より適した可能性のあるヌクレオチド類似体を含む場合もある。オリゴヌクレオチド類似体の一例は、DNA(またはRNA)のデオキシリボース(またはリボース)のリン酸骨格が、ペプチド中に存在する骨格に似たポリアミド骨格と置き換えられているペプチド核酸(PNA)である(P.E. Nielsen, et al., Science, 1991, 254, 1497)。PNA類似体は、酵素による分解に耐性を有し、ならびにインビボおよびインビトロにおける寿命が長いことが報告されている。PNAは、PNA鎖とDNA鎖間の電荷反発がないために、相補的なDNA配列にも強く結合する。他のオリゴヌクレオチドは、ポリマー骨格環状骨格、または非環状骨格を含むヌクレオチドを含む場合がある。例えば、ヌクレオチドはモルフォリノ骨格構造を有する場合がある(米国特許第5,034,506号)。オリゴヌクレオチドは、レポーター官能基、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善する官能基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善する官能基などの官能基を含む場合もある。オリゴヌクレオチドは、糖の模倣体を有する場合もある。

0050

アンチセンス核酸分子は、当技術分野で既知の手順による化学合成反応および酵素的連結反応を使用することで構築することができる。本発明のアンチセンス核酸分子、またはこの断片は、天然のヌクレオチド、または、分子の生物学的安定性を高めたり、mRNAもしくは天然の遺伝子、例えばホスホロチオエート誘導体やアクリジン置換ヌクレオチドと形成される2本鎖の物理的安定性を高めたりするように設計された、さまざまに修飾されたヌクレオチドを使用して化学的に合成することができる。アンチセンス配列は、活性がベクターが導入される細胞タイプによって決定される場合のある、アンチセンス配列が高効率調節領域の制御下で作られる組換え型のプラスミドファジミド、または減弱化ウイルスの形状で細胞内に導入される発現ベクターを使用して、生物学的に作製することができる。

0051

1つの態様では、本発明のNodal阻害剤は抗Nodalモルフォリノである。

0052

1つの態様では、本発明によって提供される任意の阻害剤は、短鎖干渉RNA(siRNA)の分子種である。本明細書で用いる、「短鎖干渉RNA」すなわち「siRNA」という表現は、例えば、Bass, 2001, Nature 411:428-429;Elbashir et al., 2001, Nature 411:494-498;およびKreutzer et al.,国際公開公報第00/44895号;Zernicka-Goetz et al., 国際公開公報第01/36646号;Fire, 国際公開公報第99/32619号;Plaetinck et al., 国際公開公報第00/01846号;Mello and Fire, 国際公開公報第01/29058号;Deschamps-Depaillette, 国際公開公報第99/07409号;ならびにLi et al., 国際公開公報第00/44914号に記載されているRNA干渉すなわち「RNAi」を可能とする2重鎖の核酸分子を意味する。本明細書で用いられるsiRNA分子は、RNAのみを含むこのような分子に制限される必要はなく、化学的に修飾されたヌクレオチド、およびRNAi能またはRNAi活性を有する非ヌクレオチドをさらに含む。Nodal活性を阻害する特定のsiRNA分子は、当業者に既知の方法で、または市販の手法(Dharmacon Research、Lafayette, COによって提供される手法など)で設計することができる。

0053

別の態様では、本発明のNodal阻害剤は、Notchを阻害する任意の化合物、核酸、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、抗体、または他の分子を含む。ある態様では、Nodal阻害剤はNotch4阻害剤である。ある態様では、Nodal阻害剤は、NotchのsiRNAである。ある態様では、Nodal阻害剤はNotch4のsiRNAである。

0054

ある態様では、本発明は、Nodalに選択的に結合する抗体、またはこの免疫学的に機能する断片、およびNodalタンパク質の活性を選択的に阻害もしくは干渉する方法を提供する。モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、ならびに免疫学的に活性を有する、これらの断片の標準的な作製法は当技術分野で周知であり、例えば、Harlow and Lane (1988, ANTIBODIES: A LABORATORYMANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory Press: New York)に記載されている。完全ヒト抗体、および「ヒト化」抗体を含むキメラ抗体と同様に、エピトープ結合能力および特異性を保持する抗体断片、特にFab断片および他の断片を作製する方法も周知である。「ヒト化」抗体は例えば、マウス抗体の特定の部分とヒト抗体の一部分との置換によって、ヒト対象への投与時に生じる場合のある負の免疫作用を低減させるように「ヒト化」されているマウスで作製される抗体を含む。したがって本発明は、1本鎖抗体、1本鎖Fv抗体、F(ab)抗体、F(ab)'抗体、および(Fab')2抗体、1つもしくは複数の領域が相同なヒト抗体または非ヒト抗体の一部分と置換されたキメラ抗体、ならびに完全ヒト抗体を含むが、これらに限定されない、Nodalの抗体阻害剤の使用を含む。1本鎖抗体は、国際公開公報第88/01649号ならびに米国特許第4,946,778号および第5,260,203号で詳細に論じられている。このような阻害剤は、例えば、ペネトラチン(penetratin)タグ(HIVもしくはアンテナペディア(antennaepedia))を介して、または組換え手法(例えば、ウイルスベクター中の、細胞中に導入されるポリヌクレオチドにコードされたもの)によって輸送することができる。

0055

好ましい態様では、本発明の方法は、有効量の1種または複数種のNodal阻害剤を含み、患者に適切に投与時に望ましい治療効果を誘導可能な薬学的組成物を、薬学的に許容可能な希釈剤担体可溶化剤乳化剤保存剤、および/または補助剤とともに投与する段階を含む。好ましくは、許容可能な製剤材料は、使用される投与量および濃度においてレシピエントに毒性を及ぼさない。

0056

1種または複数種のNodal阻害剤を含む薬学的組成物に関する「有効量」という表現は、本発明では、悪性度の高い黒色腫細胞の成長の予防および低減が可能な該薬学的組成物の量を意味すると理解される。例えば薬学的組成物は、該投与前と比較して、悪性度の高い黒色腫を有する患者が少数の黒色腫細胞を有するか、および/または薬学的組成物の投与後における黒色腫細胞の転移率が低い場合に、治療的に有効である。患者に投与される薬学的組成物は、黒色腫を有する患者、黒色腫の病歴を有する(例えば寛解期にある)患者、または黒色腫が存在する可能性が高いと見なされる(例えば黒色腫を発生しやすい遺伝的素因を有する)患者において黒色腫細胞の転移の発生が防がれる場合には、治療的にも有効である。

0057

ある態様では、本発明の方法に有用な薬学的組成物は、例えば組成物のpH、浸透圧粘性清澄度、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解もしくは放出の速度、吸収または浸透を修飾する、維持する、または保存するための製剤化用材料を含む場合がある。このような態様では、適切な製剤化用材料は、アミノ酸(グリシングルタミンアスパラギンアルギニン、もしくはリシンなど);抗菌剤抗酸化剤(アスコルビン酸亜硫酸ナトリウム、もしくは亜硫酸水素ナトリウムなど);緩衝剤(ホウ酸塩炭酸水素塩、Tris-HCl、クエン酸塩リン酸塩、もしくは他の有機酸など);充填剤(マンニトールやグリシンなど);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェインポリビニルピロリドン、ベータ-シクロデキストリン、もしくはヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンなど);賦形剤単糖二糖;ならびに他の糖質(グルコースマンノース、もしくはデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど);着色剤香味剤、および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド塩形成対イオン(ナトリウムなど);保存剤(塩化ベンザルコニウム安息香酸サリチル酸チメロサールフェネチルアルコールメチルパラベンプロピルパラベンクロルヘキシジンソルビン酸、もしくは過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトールやソルビトールなど);懸濁剤界面活性剤もしくは湿潤剤(プルロニックス(pluronics)、PEG、ソルビタンエステルポリソルベート20、ポリソルベート80などのポリソルベート、トリトントロメタミンレシチンコレステロールチロキサパル(tyloxapal)など);安定性促進剤(ショ糖やソルビトールなど);等張性促進剤(アルカリ金属ハライド、好ましくは塩化ナトリウムもしくは塩化カリウム、マンニトール、ソルビトールなど);輸送用溶媒;希釈剤;添加剤および/または薬学的補助剤を含むが、これらに限定されない。これらについては、REMINGTON'SPHARMACEUTICAL SCIENCES, 18th Edition, (A.R. Gennaro, ed.), 1990, Mack Publishing Companyを参照されたい。

0058

ある態様では、最適な薬学的組成物は、当業者によって、例えば、意図される投与経路、輸送様式、および望ましい投与量を考慮して決定される。これについては例えば、前掲のREMINGTON'SPHARMACEUTICAL SCIENCESを参照されたい。ある態様では、このような組成物は、Nodal阻害剤の物理的状態、安定性、インビボにおける放出速度、およびインビボにおけるクリアランス速度に影響を及ぼす場合がある。

0059

ある態様では、薬学的組成物中の第1の溶媒または担体は、水性または非水性のいずれかの場合がある。例えば、適切な溶媒または担体は、非経口投与用の組成物と共通した他の材料が添加される場合のある注射用水生理食塩水溶液、または人工脳脊髄液の場合がある。中性緩衝食塩水、または血清アルブミンが混合された生理食塩水は、別の例示的な溶媒である。好ましい態様では、本発明の薬学的組成物は、pHが約7.0〜8.5のTris緩衝液、またはpHが約4.0〜5.5の酢酸緩衝液を含み、ならびにソルビトール、ショ糖、Tween-20、および/またはこれらの適切な代替物をさらに含む場合がある。本発明のある態様では、Nodal阻害剤組成物は、望ましい程度の純度を有する選択される組成物に、凍結乾燥塊または水溶液の状態の任意の製剤化用薬剤(formulation agent)(REMINGTON'SPHARMACEUTICAL SCIENCES、前掲)を混合することで保存用に調製することができる。さらに、ある態様では、Nodal阻害剤製品は、ショ糖などの適切な賦形剤を使用して、凍結乾燥物として製剤化することができる。

0060

本発明の薬学的組成物は、非経口輸送用に選択することができる。あるいは組成物は、吸入用に、または経口的な輸送などの、消化管を介した輸送用に選択することができる。このような薬学的に許容可能な組成物の調製は、当技術分野の範囲内に含まれる。

0061

製剤の成分は好ましくは、投与部位に許容される濃度で存在する。ある態様では、組成物を生理学的なpHに、またはわずかに低いpHに、典型的には約5〜約8のpH範囲に維持するために緩衝液が使用される。

0062

非経口投与が想定される場合は、本発明に使用される治療用組成物は、発熱物質を含まず、薬学的に許容可能な溶媒中に望ましいNodal阻害剤を含む、非経口的に許容される水溶液の状態で提供される場合がある。非経口注射に特に適した溶媒は、Nodal阻害剤が、適切に保存される無菌性で等張性の溶液として製剤化される無菌性蒸留水である。ある態様では、調製には、デポ注射を介して輸送可能な製品の制御放出もしくは持続放出を提供可能な、注射可能な微粒子生分解性粒子ポリマー化合物(ポリ乳酸ポリグリコール酸など)、ビーズ、またはリポソームなどの薬剤による望ましい分子の製剤化を含めることができる。ある態様では、循環血液中における滞留時間(sustained duration)を長くするために、ヒアルロン酸を使用することもできる。ある態様では、望ましいNodal阻害剤を導入するために、移植可能薬剤輸送装置を使用することができる。

0063

本発明の薬学的組成物は、吸入用に製剤化することができる。このような態様では、Nodal阻害剤は利便性を考慮して、乾燥した吸入可能な粉末として製剤化される。好ましい態様では、Nodal阻害剤の吸入用溶液を、エアロゾルによる輸送用の噴霧剤によって製剤化することもできる。ある態様では、溶液を霧状にすることもできる。肺内投与、およびこの製剤化の方法はさらに、参照により組み入れられ、かつ化学的に修飾されたタンパク質の肺内輸送について記載している国際特許出願PCT/US94/001875に記載されている。

0064

製剤が経口的に投与され得ることも想定される。この様式で投与されるNodal阻害剤は、錠剤カプセル剤などの固体投与剤形の配合に習慣的に使用されている担体を使用して、または使用せずに製剤化することが可能である。ある態様では、剤形の活性部分を生物学的利用率が最大となり、かつ全身に行きわたる前の分解(pre-systemic degradation)が最小となる時点で消化器内に放出されるようにカプセルを設計することができる。Nodal阻害剤の吸収を促すために、追加的な薬剤を含めることができる。希釈剤、香味剤、低融点ロウ植物油平滑剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、および結合剤を使用することもできる。

0065

本発明の薬学的組成物は好ましくは、錠剤の製造に適切な毒性のない賦形剤との混合物中に有効量の1種または複数種のNodal阻害剤を含むように提供される。錠剤を無菌性の水、または別の適切な溶媒に溶解することによって、溶液を単位投与剤形に調製することができる。適切な添加剤は、炭酸カルシウム炭酸ナトリウム、もしくは炭酸水素ナトリウム乳糖、またはリン酸カルシウムなどの不活性な希釈剤;またはデンプン、ゼラチン、もしくはアカシアなどの結合剤;またはステアリン酸マグネシウムステアリン酸、もしくはタルクなどの平滑剤を含むが、これらに限定されない。

0066

持続的または制御的に輸送される製剤中にNodal阻害剤を含む製剤を含む他の薬学的組成物は、当業者に明らかであろう。リポソーム担体生分解性微粒子、または多孔性ビーズ、およびデポ注射などの、さまざまな他の持続性または制御性輸送手段の作製法も当業者に既知である。これについては例えば、参照により組み入れられ、および薬学的組成物の輸送用の多孔性高分子微粒子の制御放出について記載している国際特許出願PCT/US93/00829を参照されたい。徐放性調製物には、半透性ポリマーマトリックスを、成形品(shaped article)、例えばフィルムマイクロカプセルの形状で含めてもよい。徐放性マトリックスには、ポリエステルヒドロゲルポリラクチド(それぞれが参照により組み入れられる、米国特許第3,773,919号および欧州特許出願第EP 058481号に開示)、L-グルタミン酸ガンマエチル-L-グルタミン酸塩のコポリマー(Sidman et al., 1983, Biopolymers 22:547-556)、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)(Langer et al., 1981, J. Biomed. Mater. Res. 15:167-277、およびLanger, 1982, Chem. Tech. 12:98-105)、エチレン酢酸ビニル(Langer et al.、前掲)、またはポリ-D(-)-3-ヒドロキシ酪酸(欧州特許出願第133,988号)を含めてもよい。徐放性組成物には、当技術分野で既知の任意の複数の方法で調製可能なリポソームを含めてもよい。これについては例えば、参照により組み入れられる、Eppstein et al., 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688-3692;欧州特許出願EP 036,676;EP 088,046およびEP 143,949を参照されたい。

0067

インビボにおける投与に使用される薬学的組成物は典型的には、無菌性調製物として提供される。無菌化は、無菌性の濾過膜を通した濾過によって達成することができる。組成物を凍結乾燥する場合は、この方法による無菌化は、凍結乾燥および再生の前または後のいずれかにおいて実施することができる。非経口投与用の組成物は、凍結乾燥状態で、または溶液中に保存することができる。非経口的な組成物は一般に、無菌性のアクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射用ニードルで穴を開けることが可能なストッパーを有する、静脈注射用溶液充填されたバッグもしくはバイアル中に配される。

0068

薬学的組成物が製剤化されたら、溶液、懸濁物ゲル乳濁物、固体としてか、または脱水状態もしくは凍結乾燥状態の粉末として無菌性バイアル中に保存することができる。このような製剤は、即使用が可能な(ready-to-use)状態か、または投与前に再生される(例えば凍結乾燥された)状態のいずれかで保存することができる。

0069

本発明の方法に有用なNodal阻害剤は、薬学分野で周知の方法を使用した、患者における取り込み、分布、および/または吸収を補助するための、他の分子、分子構造体、または化合物の混合物、例えば、リポソーム、受容体標的分子経口製剤直腸内製剤、局所製剤、もしくは他の製剤との、混合、カプセル化、コンジュゲートの形成、または結合が可能である。

0070

Nodal阻害剤は、毒性のない従来の薬学的に許容可能な担体、補助剤、および溶媒を含む単位投与製剤を、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入もしくはスプレーによって、または直腸内に投与することができる。本明細書で用いる非経口的という表現は、経皮、皮下、血管内(例えば静脈内)、筋肉内、もしくは髄腔内への注射、または注入法などを含む。

0071

経口使用が意図される組成物は、薬学的組成物の製造に関して当技術分野で既知の任意の方法で調製することが可能であり、およびこのような組成物には、薬学的に優れ、かつ口当たりの良い(palatable)調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、および保存剤からなる群より選択される1種または複数種の薬剤を含めることもできる。錠剤は、錠剤の製造に適した毒性のない薬学的に許容可能な賦形剤と混合された活性成分を含む。このような賦形剤は例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウムなどの不活性な希釈剤;造粒剤および崩壊剤、例えば、コーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、またはアカシア;ならびに平滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクの場合がある。錠剤は、コーティングされていなくともよいほか、既知の手法でコーティングされていてもよい。場合によっては、このようなコーティング剤は、消化器内における崩壊および吸収を遅らせることによって、持続的な作用が長期にわたって提供されるように、既知の手法で調製することができる。例えば、モノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延(time delay)材料を使用することができる。

0072

経口使用のための製剤は、活性成分が、不活性な固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはカオリンと混合された硬ゼラチンカプセル剤とすることができ、または、活性成分が、水もしくは油性溶媒、例えばラッカセイオイル液体パラフィン、もしくはオリーブオイルと混合された、軟ゼラチンカプセル剤とすることもできる。

0073

経口使用のための製剤は、トローチ剤とすることもできる。

0074

水性懸濁物は、水性懸濁物の製造に適した賦形剤と混合された活性材料を含む。このような賦形剤は懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムメチルセルロースヒドロプロピル-メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ガムトラガカント、およびアカシアガムであり;分散剤もしくは湿潤剤は、天然のリン脂質、例えばレシチン、またはアルキレンオキシド脂肪酸縮合物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール由来の部分エステルの縮合物(ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなど)、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物由来の部分エステルの縮合物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートの場合がある。水性懸濁物には、1種または複数種の保存剤、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、またはp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピル、1種もしくは複数種の着色剤、1種もしくは複数種の香味剤、およびショ糖やサッカリンなどの1種もしくは複数種の甘味剤を含めてもよい。

0075

油性懸濁物は、活性成分を植物油、例えばラッカセイ油(arachis oil)、オリーブオイル、ゴマ油、またはヤシ油中に、または液体パラフィンなどの鉱油中に懸濁することで製剤化することができる。油性懸濁物には、増粘剤(thickening agent)、例えば蜜ロウ、硬パラフィン、またはセチルアルコールを含めてもよい。口当たりの良い経口用調製物を提供するために、甘味剤および香味剤を添加してもよい。このような組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加して保存することができる。

0076

水の添加による水性懸濁物の調製に適した分散性粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、および1種または複数種の保存剤と混合状態の活性成分を提供する。適切な分散剤もしくは湿潤剤、または懸濁剤は、上記で言及された薬剤によって例示される。他の賦形剤、例えば甘味剤、香味剤、および着色剤を含めることもできる。

0077

本発明の薬学的組成物は、水中油型の乳濁物の状態であってもよい。油相は、植物油もしくは鉱油、またはこれらの混合物であってよい。適切な乳化剤は、天然のガム、例えばアカシアガムまたはガムトラガカント、天然のリン脂質、例えばダイズ、レシチン、ならびに脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来するエステルもしくは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、ならびに該部分エステルとエチレンオキシドの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートの場合がある。乳濁液には、甘味剤および香味剤を含めてもよい。

0078

シロップおよびエリキシルは、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、グルコース、またはショ糖によって製剤化することができる。このような製剤には、鎮痛剤、保存剤、香味剤および/または着色剤を含めることもできる。薬学的組成物は、無菌性の注射用の水性または油性の懸濁物の状態の場合がある。この懸濁物は、そのような適切な分散剤または湿潤剤、および上述の懸濁剤を使用して、当技術分野で既知の手順で製剤化することができる。無菌性の注射用調製物は、毒性のない非経口的に許容される希釈剤または溶媒を溶媒とする無菌性の注射用の溶液または懸濁物、例えば1,3-ブタンジオールを溶媒とする溶液の場合もある。使用可能な許容される溶媒(vehicle)および溶媒(solvent)は、水、リンゲル液、および等張性塩化ナトリウム溶液である。加えて、無菌性の不揮発性油が、溶媒または懸濁用溶媒として慣習的に使用されている。この目的で、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の商標の不揮発性油を使用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が注射液の調製に有用である。

0079

Nodal阻害剤は、例えば薬剤の直腸内投与用に、坐剤の形状で投与することもできる。このような組成物は、薬剤を、常温では固体であるが、直腸内温度では液体となることで、直腸内で溶解して薬剤を放出する適切な非刺激性の賦形剤と混合することで調製することができる。このような材料は、カカオバターやポリエチレングリコールを含む。

0080

Nodal阻害剤は、無菌性溶媒を溶媒とする状態で非経口的に投与することができる。このような薬剤は、使用される溶媒および濃度に依存して、溶媒中に懸濁状か溶解状のいずれかの形状をとり得る。利便性を考慮して、局所麻酔薬、保存剤、および緩衝剤などの補助剤を溶媒中に溶解することができる。

0081

製剤は好ましくは、局所ゲル、スプレー、軟膏、またはクリームとして、または活性成分を例えば0.075〜30% w/w、好ましくは0.2〜20% w/w、および最も好ましくは0.4〜15% w/wの総量で含む坐剤として塗布することもできる。軟膏に製剤化される場合は、活性成分をパラフィン状または水混和性軟膏基剤のいずれかとともに使用することができる。

0082

あるいは、活性成分を、水中油型のクリーム基剤によってクリーム状に製剤化することができる。望ましいならば、水相のクリーム基剤は例えば、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物などの、少なくとも30% w/wの多価アルコールを含む場合がある。局所製剤には、望ましくは、皮膚や他の患部を介した活性成分の吸収または浸透を促進する化合物を含めることができる。このような経皮透過促進物質の例は、ジメチルスルホキシドおよび関連類似体を含む。

0083

本発明の化合物は、経皮的な装置によって投与することもできる。好ましくは、局所投与は、リザーバーおよび多孔性膜のタイプか、固体マトリックスの種類のいずれかのパッチを使用して達成される。いずれの場合も、活性薬剤は、リザーバーもしくはマイクロカプセルから膜を通して、レシピエントの皮膚または粘膜に接触する活性薬剤透過性接着物中へ連続的に輸送される。仮に、活性薬剤が皮膚から吸収されるのであれば、活性薬剤の制御された所定の流れがレシピエントに投与される。マイクロカプセルの場合は、封入剤が膜として機能する場合もある。経皮パッチには、アクリルエマルジョンやポリエステルパッチなどの接着系(adhesive system)とともに、適切な溶媒系に溶解した化合物を含めることができる。

0084

本発明の乳濁物の油相は、既知の成分から既知の様式で構成される場合がある。この相は単に乳化剤を含む場合があるが、少なくとも1種類の乳化剤と脂肪もしくは油のいずれかとの混合物、または脂肪および油の両方との混合物を含んでいてもよい。好ましくは、親水性の乳化剤が、安定剤として作用する脂溶性の乳化剤とともに含められる。油と脂肪の両方を含めることも好ましい。総合すると、安定剤を含む場合もあれば含まない場合もある乳化剤は、いわゆる乳化ロウを構成し、この、油および脂肪をともに含むロウは、クリーム製剤油性分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を構成する。本発明の製剤化における使用に適した乳化剤および乳化安定剤は、Tween 60、Span 80、セトステアリルアルコールミリスチルアルコールグリセリルモノステアレート、およびラウリル硫酸ナトリウムなどを含む。

0085

製剤化用の適切な油または脂肪の選択は、望ましい美容的特性の達成に基づく。というのは、薬学的乳濁物製剤に使用される可能性が高い大半の油中における活性化合物溶解性は極めて低いからである。したがって、クリームは好ましくは、チューブや他の容器からの漏れを避けるために、適切な均質性を有する、べとつかず(non-greasy)、非汚染色性(non-staining)で、かつ洗浄可能な製品であるべきである。ジ-イソアジピン酸塩、ステアリン酸イソセチルココナツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステルミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシルパルミチン酸イソプロピルステアリン酸ブチルパルミチン酸2-エチルヘキシル、または分岐鎖エステルの混合物などの直鎖または分岐鎖の一塩基性または二塩基性アルキルエステルを使用することができる。これらは、必要とされる特性に依存して単独で、または組み合わせて使用することができる。あるいは、白色軟パラフィンおよび/または液体パラフィンなどの高融点の脂質、または他の鉱油を使用することができる。

0086

治療目的で、本発明のNodal阻害剤には通常、意図される投与経路に適した1種または複数種の補助剤が混合される。口から投与される場合、化合物は、乳糖、ショ糖、デンプン粉末アルカン酸セルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸ナトリウム塩およびカルシウム塩、ゼラチン、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはポリビニルアルコールと混合した後に、簡便な投与用に錠剤化もしくはカプセル化するとよい。このようなカプセル剤または錠剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中に活性化合物が分散した状態で提供され得るような、制御放出製剤を含めることができる。非経口投与用の製剤は、水性または非水性の等張性の無菌性の注射溶液または懸濁物の形状とすることができる。これらの溶液および懸濁物は、経口投与用の製剤における使用に関して言及された1種または複数種の担体または希釈剤を有する無菌性の粉末または顆粒から調製することができる。化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノールコーンオイル綿実油、ラッカセイ油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、および/またはさまざまな緩衝液に溶解することができる。他の補助剤および投与様式は、薬学分野で既知および周知である。

0087

1日当たり、体重1 kg当たり約0.1 mg〜約140 mgの規模投与量レベルが、上記の条件の治療に有用である(患者1人に1日当たり約0.5 mg〜約14 g)。単位投与剤形を作製するために担体材料と混合可能な活性成分の量は、処置を受ける宿主および特定の投与様式に依存して変動する。単位剤形は一般に、約1 mg〜約500 mgの活性成分を含む。1日用量は、1日に1〜4回の投与で投与することができる。皮膚条件の場合は、本発明の化合物の局所調製物を患部に、1日に2〜4回塗布することが好ましい場合がある。

0088

しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全般的健康状態性別食習慣、投与時間、投与経路および排出速度、併用薬剤、ならびに治療を受けている特定の疾患の重症度を含む、さまざまな因子に依存することが理解されるであろう。

0089

非ヒト動物への投与の場合、組成物を動物用飼料または飲料水に添加することもできる。動物用の飼料および飲料水の組成を、動物が、治療的に適切な量の組成物を、その食物とともに摂取するように製剤化することは簡便な場合がある。組成物を、飼料および飲料水への添加用の予備混合物として存在させることも簡便な可能性がある。

0090

投与回数は、製剤化に使用される特定のNodal阻害剤の薬物動態学的パラメータに依存する。典型的には、臨床医は組成物を、投与量が望ましい作用を達成するまで投与する。したがって組成物は単回投与として、または2回もしくはこれ以上の投与として経時的に(望ましい分子を同じ量で含む場合もあれば含まない場合もある)、または移植装置もしくはカテーテルを介した持続注入として投与することができる。適切な投与量の別の微調整は、当業者であれば常用の手段で行うことが可能であり、およびこれは当業者によって常用的に実施される作業の範囲内に含まれる。適切な投与量は、適切な用量反応データを使用することで確認することができる。ある態様では、Nodal阻害剤を患者に長時間をかけて投与することができる。

0091

薬学的組成物および/またはNodal阻害剤は単独で、または他の治療薬と組み合わせて、特に他の化学療法剤と組み合わせて投与することができる。

0092

加えて本発明は、以下の段階を含む、患者における悪性度の高い黒色腫を治療するための薬剤としての薬学的組成物の有効性をモニタリングするための方法を提供する:(a)患者から皮膚細胞の試料を得る段階;(b)皮膚細胞を対象にNodalの存在に関してアッセイする段階;(c)一定量の薬学的組成物を患者に投与する段階;(d)患者から得られた、後に回収された生物学的試料を使用して段階(a)を繰り返す段階;および(e)段階(a)に由来する皮膚細胞中に検出されたNodalの量を、段階(c)に由来する皮膚細胞中に検出されたNodalの量と比較し、薬学的組成物の有効性が、段階(a)で回収された皮膚細胞と比較した、後に回収された皮膚細胞中のNodalの量の変化を検出することにより、モニタリングされる段階。

0093

文中で特に記載の必要がなければ、本明細書で使用される単数形は複数形を含むものとし、および複数形は単数形を含むものとする。

0094

実施された実験および達成された結果を含む以下の実施例は、説明目的でのみ提供され、本発明を制限する意図はない。

0095

実施例1:ヒト胚性幹細胞によって事前にコンディショニングされた3-Dマトリックスは、悪性度の高い腫瘍細胞における後成的な変化を促進する
図1に示すように、H1またはHSF-6のヒト胚性幹細胞(hESC)(コンパクトなコロニー中の5×104個の細胞)を、コンディショニングされた幹細胞培地の存在下で3〜4日間にわたって、グロースファクターリデューストMatrigel(growth factor-reduced Matrigel)(BD Biosciences)を含む3-Dマトリックス上に播種した。次にhESCを、その3-DマトリックスからNH4OHと、これに続く2回滅菌処理したH2O、PBS、および完全培地による十分な洗浄によって除去し、露出した、事前にコンディショニングされた3-Dマトリックス(CMTX Matrigel)を得た。この事前にコンディショニングされたマトリックスを、ヒトのメラニン欠乏性転移性皮膚黒色腫細胞(C8161)を、6ウェルディッシュに2.5×105個の細胞となるように3〜4日間かけて播種した。このインキュベーション期間後に、形態、遺伝子およびタンパク質の発現、ならびに行動機能の潜在的な変化の解析を、hESCによって事前にコンディショニングされたマトリックス微小環境に曝露された黒色腫細胞を対象に実施した。細胞外マトリックスの事前のコンディショニングは、黒色腫細胞の形状に劇的な作用をもたらした(図2)。対照となるコンディショニングされていないMatrigelマトリックス上では、C8161黒色腫細胞(図2A)は、オーバーコンフルエントな単層に成長したが、未分化のH1(図2B)およびHSF-6(図2C)のヒト胚性幹細胞(hESC)は、核-細胞質比の高い細胞のコンパクトなコロニーを形成した。しかしながら、ヒト胚性幹細胞によって事前にコンディショニングされた3-Dマトリックス上に播種されたC8161黒色腫細胞は、ヒト胚性幹細胞によって形成されるコロニーに似た球状体の形成によって特徴づけられる変化した表現型を獲得した(図2D〜F)。これとは対照的に、ヒト胚性幹細胞に由来する培養上清は、C8161細胞に後成的な変化を生じず(図2G)、hESCが黒色腫細胞の表現型に、直接的な微小環境の変化を介して影響することが示唆された。

0096

ヒト胚性幹細胞の微小環境に曝露されたC8161細胞の表現型に見られる後成的な変化をさらに解析するため、メラノサイトマーカーであるMelan-Aのウェスタンブロット解析およびRT-PCR解析を実施した(図3Aおよび図3B)。Melan-Aは、Matrigel上においてH1ヒト胚性幹細胞に存在しておらず(分化した色素細胞表現型の欠損を意味する)、C8161黒色腫細胞にも存在していなかった(脱分化した表現型を意味する)。しかしながら、Melan-Aの発現は、H1によって事前にコンディショニングされたMatrigelマトリックスに曝露されたメラニン欠乏性のC8161黒色腫細胞では誘導され(図3A)、Matrigel上における対照メラノサイト(HEMn)と同様に、メラノサイト特異的な表現型マーカーの後成的な誘導が判明した。これとは対照的に、正常HEMnによって事前にコンディショニングされた3-Dマトリックスに曝露されたC8161黒色腫細胞は、その形状を変化させたりMelan-Aを発現させたりするようには誘導されなかった(図3B)。したがって、正常なメラノサイトの微小環境は、hESC微小環境が有する、転移性黒色腫細胞を後成的に再プログラムしてメラノサイト様表現型を発現させる能力を共有していない。これは、ヒトメラノサイトによって事前にコンディショニングされたコラーゲンIの3-Dマトリックス(HEMn18 CMTXまたはHEMn20 CMTX)が、検討対象遺伝子の発現を変化させないことを示す半定量RT-PCR解析を示す図3Cの結果によって確認され、その結果、良性のメラノサイトの微小環境が転移性黒色腫細胞に後成的に影響してその可塑的な分子表現型を変化させるようなことがないことが示される。

0097

実施例2:悪性度の高い腫瘍細胞は、hESC微小環境上における培養後の浸潤性および腫瘍形成能が低い
腫瘍細胞の悪性度は、細胞外マトリックスを介したその浸潤能と相関するので;黒色腫細胞の浸潤に対するhESCの微小環境の作用について調べた。図4Aに示すように、悪性度の高いC8161細胞のインビトロにおける浸潤性は、hESCによって事前にコンディショニングされたマトリックス上における培養後に有意に阻害されたことから、抑制性の抗浸潤の手がかりが、このヒト胚の微小環境と関連することが示唆される。

0098

同等の結果は、インビボにおける腫瘍形成に見出された。ヒト胚性幹細胞の微小環境(H9 CMTX)は、上述の手順で調製した。C8161ヒト皮膚黒色腫細胞をH9 CMTXまたはMatrigelに、マウスモデルへの移植に先立つ3〜4日間にわたって曝露させた。免疫不全ヌードマウスの肩甲骨中央領域(midscapular region)にC8161細胞を皮下注射した(ヒトの癌に見られる自然発生的な転移播種に似せるため)。マウス1匹当たり、0.05 mlのRPMI培地に溶解した2.5×105個の腫瘍細胞を、25ゲージまたは27ゲージのニードルを使用して注射した。

0099

腫瘍のサイズを1日おきにモニタリングし、およびマイクロキャリパー(microcaliper)を使用して測定した。剖検時(注射の19日後)に、CO2圧ガスによる窒息と、これに続く頸椎脱臼によってマウスを安楽死させ、腫瘍および主要臓器摘出して組織学的検査用に調製した。切片を抗Nodal抗体(R&D Systems)で染色し、腫瘍中におけるNodal発現を判定した(実施例6を参照)。図4Aおよび図4Bに示すように、黒色腫細胞は、hESC微小環境上における培養後におけるインビボにおける浸潤性および腫瘍形成能が低かった。

0100

実施例3:ヒト正常細胞、転移性癌細胞、ヒト胚性幹細胞、および他の幹細胞のタイプにおけるNodalシグナル伝達経路の成員の特性解析;悪性度の高い腫瘍はNodalを発現するがLeftyを発現しない
正常細胞、腫瘍細胞、幹細胞のタイプにおけるNodalシグナル伝達経路の重要な成分の発現の詳細に明らかにするためにウェスタンブロット解析を実施した結果、hESCの場合と同様に、転移性黒色腫(C8161)細胞および乳癌(MDA-MB-231)細胞は、Nodalタンパク質を約48 kDaで発現することが判明した(図5A)。これは、Nodalが検出されなかった対応する正常細胞タイプ[メラノサイト、筋上皮細胞(Hs 578 Bst)、および初代ヒト乳腺上皮細胞(HMEpC)]とは対照的である。

0101

TGF-βスーパーファミリーの多様な成員であるLeftyタンパク質(Lefty-A、Lefty-B)は空間的および時間的に、発生系においてNodalと拮抗する(Tabibzadeh et al., 2006, Stem Cells 24:1998-2006)。さらに、Lefty遺伝子はNodalシグナル伝達の下流の標的なので、強力な負のフィードバックループを同経路に付与する(前掲論文)。ウェスタンブロット解析によって、hESCがLeftyタンパク質を約42 kDa、34 kDa、および28 kDaにおいて発現することが判明した。これとは対照的に、Leftyは、転移性乳癌細胞および黒色腫細胞では、または対応する正常体細胞細胞タイプでは発現されない(図5A)。この結果は、リアルタイムRT-PCR解析によって、LeftyのmRNAの発現がhESC細胞系列にのみ見られたことで確認された(図5B)。

0102

Nodalは、そのシグナルを、I型(ALK 4/7)とII型(ActRIIB)のアクチビン様キナーゼ受容体のヘテロ二量体複合体に結合させることで伝播する。ゼブラフィッシュおよびマウスを対象とした遺伝学的研究によって、表皮成長因子-Cripto-1/FRL1/cryptic(EGF-CFC)ファミリーの成員であるCriptoが、ALK 4およびNodalに直接結合すること、ならびにこの結合が、Nodalによるそのシグナルの伝播能力を高めることが確認されている(Schier et al.; Yeo et al., 2001, Mol. Cell 7:949-957)。ウェスタンブロット解析および免疫蛍光顕微鏡を使用して、hESCが高レベルのCriptoを約35 kDaで均一に発現することが見極められている。しかしながら、転移性ヒト黒色腫(C8161)細胞および乳癌(MDA-MB-231)細胞の部分集団のみが、比較的低レベルのCriptoを発現する(図5A、C)。

0103

他のヒト幹細胞タイプにおける、および妊娠第1期のヒト栄養膜細胞(HTR-8/SVneo)における、Nodal、Lefty、およびCriptoの発現を解析するために、ウェスタンブロット解析を実施し、臍帯由来の間葉系幹細胞(MSC;SC00125)および成体MSCがNodalおよびCriptoを発現しないこと、ならびに羊水由来幹細胞(GM00473、GM00957A)および栄養膜細胞はCriptoを発現するものの、後者の発生上の細胞タイプのみが、かなりの量のNodalを発現することが明らかとなった(図5D)。特に、hESCの場合とは対照的に、検討された他の幹細胞系列のなかで、かなりのレベルのLeftyのタンパク質またはmRNAを発現した細胞はなかった(図5B)。

0104

要約すると、癌細胞はhESCと同様にNodalを発現するが、hESCとは異なり、Leftyを発現しない。C8161細胞(ヒト転移性黒色腫細胞)およびMDA-MB-231細胞(ヒト転移性乳癌細胞)は、NodalおよびCriptoを(低レベルで)発現し、ならびにLeftyを発現しなかった。Nodal、Lefty、およびCriptoの発現は、正常ヒトメラノサイト、Hs 578 Bst正常ヒト筋上皮細胞、およびHMEpC正常ヒト乳腺上皮細胞では検出されなかった。

0105

実施例4:Nodalの発現は腫瘍の進行と相関する
ヒト黒色腫標本を、Nodalタンパク質の存在に関してスクリーニングした。ホルマリンで固定され、パラフィンに包埋された保存用組織を、原発性または転移性の皮膚黒色腫の患者から得た(Loyola University Chicago,IL)。免疫組織化学的染色を、Multi-Species HRP/AEC検出システムを接続したHNS710i自動免疫染色装置(Richard-Allan Scientific (RAS), Kalamazoo,MI)で行った。キシレンによる脱パラフィン処理後に、エタノールによる分解、およびクエン酸緩衝液による抗原検索に続いて、以下の4通りのブロッキング段階を行った:0.03%過酸化水素、アビジン、およびビオチンのブロック(Avidin/Biotinブロッキングキット、Vector Laboratories, Inc., Burlingame, CA)、ならびに無血清タンパク質のブロック。抗Nodal抗体(20 μg/mL、R&D)を90分間かけて添加した。スライドをTBS-Tで洗浄し、ビオチン化抗ヤギIgG(2 μg/ml、Vector Labs)でインキュベートし、TBS-Tで洗浄し、およびストレプトアビジンペルオキシダーゼ試薬とともに15分間インキュベートした。AEC(赤色)基質(RAS)を加えて発色させ、Mayerのヘマトキシリンで対比染色した。試料を、試薬グレードアルコール脱水し、永久封入剤(permanent mounting medium)を加えながらカバースリップをかぶせた。陰性対照反応を、アイソタイプをマッチさせ、Nodal抗体と同濃度のChromPureヤギIgG(Jackson Labs)を使用して実施した。

0106

免疫組織化学的実験の結果、Nodalが正常皮膚には存在せず(図6A)、原発性黒色腫では弱く発現するか、または存在しないことがわかった(図6B)。原発性病巣では、Nodalの免疫染色は一般に、垂直増殖期の腫瘍細胞の小規模クラスターに限定されており、および放射状病巣では、まれにしか観察されなかった(n=5;図6のCおよびD)。対照的にNodalタンパク質は、検討された皮膚黒色腫転移の60%で発現していた(n=10;図6のEおよびF)。免疫染色は不均一であり、患者によって規模、強度、および局在はさまざまであった。例えば、Nodalは細胞膜に局在し、細胞質内拡散的に発現されることが判明した(図10)。ウェスタンブロット解析では同様に、検討された転移性黒色腫の45%(n=22)がNodalに関して陽性であることが判明した。これは、いずれもNodalを発現しなかった正常な皮膚(n=9)およびメラノサイト(n=5)とは対照的である(データを表1に要約)。総合すると、これらの結果から、Nodalの発現が黒色腫の進行と正に相関することがわかった。

0107

(表1)

++:腫瘍塊の75%を上回る部分にNodalに対する強い陽性染色が見られたことを意味する。
+:腫瘍塊の50%を上回る部分にNodalに陽性染色が見られたか、またはウェスタンブロット解析でNodalが検出されたことを意味する。
-*:腫瘍塊の小規模部分集団(<10%)にNodal染色が見られたことを意味する。
-:Nodalが存在しなかったことを意味する。

0108

Nodalタンパク質が正常メラノサイトまたは放射増殖期の黒色腫で発現されない一方で、より悪性度の高い垂直増殖期および転移性病変には存在するという、Nodalの発現と黒色腫の進行の正の相関に関しては、ヒト乳腺組織のマイクロアレイ(TMA)を対象とした免疫組織化学的解析から、Nodalタンパク質が同様に、正常乳腺組織には存在しないこと、およびその発現が乳癌の進行と正に相関することが判明した(図7)。

0109

乳腺組織におけるNodal染色の表現および頻度を、「なし」、「弱い(<25%)」、「中程度(25〜75%)」、または「強い(>75%)」と表記した。DCISは非浸潤性乳管癌であり、IDCは浸潤性乳管癌である。スピアマン順位相関から、乳癌の進行とNodalの発現との間に有意な正の相関が存在することがわかった(P<0.05)(データを表2に要約)。

0110

(表2)

0111

実施例5:hESCマトリックス中におけるNodalおよびLeftyの局在
hESCの微小環境中へのLeftyの蓄積可視化するために、共焦点顕微鏡による免疫蛍光の局在を調べた。この方法で、Leftyタンパク質が、hESCが基礎となるMatrigelマトリックスと接触する領域に局在すること、およびhESCに由来するLeftyが基礎となるマトリックス中に浸透することが判明した(図8)。これは、hESCコロニーの表面に局在するNodalタンパク質とは対照的である。これらの結果は、Leftyタンパク質が、H9 hESCによってコンディショニングされたMatrigel中に検出可能であるが(H9 CMTX;図8)、Nodalタンパク質は、このH9 CMTX中には検出されないことが示されたウェスタンブロット解析によって確認された。また、NodalもLeftyも、コンディショニングされていない対照Matrigel単独の場合には見出されなかった。

0112

実施例6:hESCでコンディショニングされたマトリックスに曝露された悪性度の高い腫瘍細胞では、Nodal発現はダウンレギュレートされる
転移性黒色腫(C8161)細胞および乳癌(MDA-MB-231)細胞におけるNodal発現に対するH9 CMTXの作用を見極めた。図9に示されているように、ヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境は、胚の事前にコンディショニングされたマトリックスに曝露された可塑的な転移性黒色腫細胞および乳癌細胞におけるNodalの発現および腫瘍形成能を低下させる。ウェスタンブロット解析(後述)の結果からは、hESCの微小環境が、多能性の黒色腫(C8161)細胞および乳癌(MDA-MB-231)細胞におけるNodalタンパク質の発現を低下させることが判明した(図9A)。H9 CMTXに対する曝露は、Nodalタンパク質の発現を黒色腫細胞と乳癌細胞の両方においてダウンレギュレートし、およびこの作用は経時的に可逆的である(図9B)。H9 CMTXに対する曝露は同様に、黒色腫細胞および乳癌細胞において、NodalのmRNA発現を欠失させる(図9C)。

0113

図9Dは、MatrigelまたはhESCによってコンディショニングされたマトリックス(H9 CMTX)に事前に曝露されたC8161細胞に由来する同所性腫瘍におけるNodal染色の免疫組織化学的解析を示す(実施例2のインビボ実験に由来)。H9 CMTXに曝露されたC8161細胞は、極めて少量のNodalしか発現しなかった。

0114

機能的相関として、H9 CTMXに対するC8161細胞およびMDA-MB-231細胞の曝露が、足場非依存性の成長を行う能力の有意な低下につながること、ならびにインビトロにおけるクローン性コロニー形成能の阻害が、組換え型のNodal(100 ng/mL)を含めることで部分的に救済可能なことが判明した(図9E)。特に、ウェスタンブロット解析をリアルタイムRT-PCRとともに行うことで、癌細胞におけるNodal発現を阻害する能力は、hESCの微小環境に対して排他的であることが判明した(図9Fおよび図9G)。例えば、メラノサイト、羊水由来幹細胞(GM00473、GM00957A)、または栄養膜細胞(HTR-8/SVneo)によってコンディショニングされたマトリックスに対するC8161細胞の曝露は、Nodalのタンパク質またはmRNAの発現を阻害しなかった(図9Fおよび図9G)ことから、hESCの微小環境の後成的な影響の排他性の存在が明らかとなった。

0115

ウェスタンブロット解析
Hess et al., 2001, Cancer Res. 61:3250-3255に記載された手順で、タンパク質溶解物を調製して定量した。等量のタンパク質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で還元条件で分離し、および分離されたタンパク質をImmobilon-P膜(Millipore Corp., Bedford, MA)にトランスファーした。膜を、1% TBS、0.1% Tween 20(TBS-T)、および5%ドライミルク粉末または3%ゼラチン(Nodalのウェスタン用)でブロック処理した。ブロットを、抗Nodal抗体または抗Lefty抗体(ポリクローナルウサギ抗Nodal(H-110) 1:500 Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA;ポリクローナルヤギ抗Lefty 1:500 R&D Systems, Minneapolis, MN)とともにインキュベートし、TBS-Tで洗浄し、および適切な西ワサビペルオキシダーゼ標識二次抗体とともにインキュベートした。二次抗体増感化学発光法(enhanced chemiluminescence)(Super Signal; Pierce, Rockford,IL)によって検出し、およびオートラジオグラフィーフィルム(Molecular Technologies, St Louis, MO)に露光した。Nodalタンパク質は、前駆体およびプロ-Nodalにそれぞれ相当する約48 kDaおよび約35 kDaにおける2本の主要なバンドとして検出された。Nodalは、おそらくタンパク質修飾の分解のために、複数のバンドとしてしばしば現れた。全ての実験は少なくとも3回、実施した。

0116

実施例7:Leftyは、転移性癌細胞におけるNodalの発現およびクローン原性の阻害に関与する主要なhESC由来因子である
既に説明したように、ヒト胚性幹細胞(hESC)の微小環境は、胚の事前にコンディショニングされたマトリックスに曝露された可塑的な転移性黒色腫細胞および乳癌細胞におけるNodalの発現および腫瘍形成能の低下を招く。Nodal阻害剤であるLeftyが、hESCによってコンディショニングされたマトリックス中に多量に存在することがわかった(図10A;CMTX)。対照的に、Leftyタンパク質は、C8161細胞そのものによってコンディショニングされたマトリックス上におけるC8161細胞中には存在しなかった(図10A;C8161+CMTX)。

0117

癌細胞を、Leftyタンパク質の発現が、Lefty-AおよびLefty-Bに特異的なFITC結合モルフォリノオリゴヌクレオチド(MOLEFTY)によってノックダウンされたhESCによってコンディショニングされたMatrigelにも曝露させた。蛍光標識されたモルフォリノは、顕微鏡による観察で、処理したhESCコロニーの75%以上で検出され(図10B)、およびウェスタンブロット解析によって、Leftyタンパク質がhESC中で最長3日間にわたって効率よくノックダウンされていることが確認された(図10C)。hESCの多能性を意味するOct-3/4およびNanogの発現は、この期間中に影響されず、またhESCコロニーの形態に変化は見られなかった。したがってMOLEFTYは、hESCにおけるタンパク質の発現を効率的にノックダウンしたものの、幹細胞の分化は誘導しなかった(図10D)。リアルタイムRT-PCR解析の結果、MOLEFTYによって処理されたH9 hESCによってコンディショニングされたMatrigelに対する転移性黒色腫細胞の曝露は、Nodalの発現の欠失を生じないことが判明した(図10E)。この「H9 Lefty-欠損」マトリックスはむしろ、C8161細胞においてNodalのmRNA発現をアップレギュレートした(図10E)。

0118

加えて、抗Lefty抗体に共有結合させたダイナビーズ(Dynabeads)を使用して、支持細胞を含まないMatrigelマトリックス上で培養したhESCからLeftyを単離した。こうして精製されたhESC由来のLeftyを次に、新鮮なMatrigel中に播種し、および癌細胞の表現型に対する「Lefty含有」マトリックスの影響を調べた。ウェスタンブロット解析の結果、hESC由来のLeftyが、それぞれ転移性黒色腫(C8161)細胞および乳癌(MDA-MB-231)細胞においてNodalタンパク質の発現を欠失および低下させることが判明した(図10F)。

0119

また、「H9 Lefty含有」マトリックスに対するC8161細胞およびMDA-MB-231細胞の曝露は、足場非依存性の成長を有意に低下させ、およびインビトロにおけるクローン原性におけるこの阻害は、組換え型のNodal(100 ng/mL)を含めることで完全に救済され得ることが判明した(図10G)。

0120

実施例8:高濃度でNodalを阻害可能なrLefty
図11のウェスタンブロットからわかるように、C8161細胞へのrLeftyの添加は、Nodalの発現を記載の濃度で低下させる。rLeftyBは、C8161細胞においてNodalタンパク質を阻害可能であるが、これは、そのhESC対応細胞における場合より高い用量において可能である。この結果は、過去の知見と矛盾しない(Tabibzadeh, S et al., 2006, Stem Cells 24:1998-2006)。

0121

実施例9:hESC由来のLeftyは、組換え型のLeftyとは異なり、グリコシル化されている
Nodalシグナル伝達に関してhESC由来のLeftyとrLeftyとの間に見られる、異なる結果を理解する試みの一環として、rLefty-B、rLefty-A、およびH9 hESC+そのコンディショニングされたマトリックスに由来する溶解物における糖タンパク質含量の解析を実施した。rLeftyタンパク質とは対照的に、H9由来のLeftyは、高度にグリコシル化されていることが判明した(図12)。

0122

実施例10:Nodalの阻害およびhESCの微小環境はインビボにおける腫瘍形成能を消失させる
hESCの微小環境が黒色腫細胞および乳癌細胞のインビボにおける腫瘍形成能に及ぼす作用を、同所性マウスモデルを使用して調べた。H9 CMTXに対する転移性黒色腫(C8161)細胞および乳癌(MDA-MB-231)細胞の曝露は、コンディショニングされていないMatrigelに曝露させた細胞と比較して、腫瘍形成能の有意な低下を招いた(図4Bおよび図13A)。腫瘍形成能にNodalが果たす役割をさらに実証し、および過去にNodalの発現を低減することが明らかにされた(図9)、hESCの微小環境の腫瘍抑制特性の潜在的な機構を明らかにするために、同所性マウスモデルを使用して以下の作用を調べた:(a)異所的なNodal発現が、C81-61細胞(転移性のC8161黒色腫細胞系列の同質遺伝子的にマッチさせた非腫瘍形成性異型)の腫瘍形成能に及ぼす作用;および(b)Nodal阻害が、MDA-MB-231乳癌の腫瘍形成能に及ぼす作用。対照となるC81-61黒色腫細胞系列は、500,000個の細胞の注入時に、触れてわかる腫瘍を形成できず、ならびに接種から5.5週後における巨視的観察および組織学的試験では、これらの腫瘍細胞は注射部位に検出されなかった。これとは対照的に、Nodal発現ベクターがトランスフェクトされたC81-61細胞の100%には、触れてわかる腫瘍が、注射から3.5週間以内に形成した(図13B)。触れてわかる腫瘍は、500,000個の対照MDA-MB-231細胞の注射から2.5週間以内に生じ、およびNodalモルフォリノ(MONodal)によるNodal発現のノックダウンは、同じ数の細胞の注入時に、MDA-MB-231の腫瘍形成能の有意な低下を招いた(図13C)。

0123

hESCの微小環境に対する曝露が腫瘍形成能を消失させる機構を確認するために、この処理がインビボにおける腫瘍細胞の増殖-アポトーシス比に及ぼす作用を解析した。増殖の尺度としてのKi67に対する免疫組織化学的染色によって、およびアポトーシスの尺度としての末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼビオチン-dUTPニック末端標識(TUNEL)によって、NodalのノックダウンおよびhESC CMTXに対する曝露が対応して、転移性C8161黒色腫細胞において、および転移性MDA-MB-231乳癌細胞において、アポトーシスに対する増殖の比を低下させることが判明した(図13D、Eおよび図13E)。さらに、細胞増殖のインビトロ解析の結果、MONodalで処理されたC8161細胞およびMDA-MB-231細胞の増殖が、MO対照で処理された細胞に対して低いことが明らかとなった(図13F)。

0124

実施例11:腫瘍形成に不可欠なNodalシグナル伝達;Nodalシグナル伝達の阻害剤は悪性度および腫瘍形成能を低下させる
腫瘍形成にNodalシグナル伝達が果たす役割を解析したところ、Nodalシグナル伝達の発現抑制が、メラノサイト様の表現型の獲得、および脱分化された可塑的な表現型の喪失を招くことがわかった。

0125

抗Nodalモルフォリノ(MO Nodal)の投与も、Nodalのダウンレギュレーション、およびインビボにおける腫瘍形成の低下を招いた。インビトロコロニー形成アッセイ法で、悪性度の低いC81-61細胞、悪性度の高いC8161細胞、MONodalで処理されたC8161細胞、ならびにMONodalで処理されて組換え型のNodal(100 ng/mL)によって救済されたC8161細胞のコロニー形成能力を解析した。同アッセイ法は、10%血清を含むRPMIを溶媒とする0.35%アガロース中に懸濁され、同培地を溶媒とする0.5%寒天を含む6ウェルディッシュにプレーティングされた50,000個の細胞を使用して実施した。コロニーは成長し、7日目に写真撮影した。2週間後にコロニーをクリスタルバイオレットで染色してカウントした。

0126

インビトロアッセイ法によって、C8161細胞がソフトアガー中で7日以内にコロニーを形成可能なこと、およびその悪性度の低い同系の対応細胞(C81-61)がクローンを形成しないことが判明した(図14A)。MONodalによるNodalの阻害は、C8161細胞が足場に依存しない成長を生じる能力を有意に低減させた。さらに2週間後にMONodalは、C8161細胞のコロニー形成を57%低下させた(n=16、p<0.001)。この現象は、rNodal(100 ng/mL)を含めることで救済された現象であった。興味深いことに、rNodalはC81-61細胞系列のコロニー形成を誘導しなかった。クローン原性を判定するアッセイ法では、統計的有意性検定によって判定した。全ての例において、差はp<0.05で統計的に有意であった。

0127

以上の知見の当然の帰結として、同所性マウスモデルを使用して、Nodalの阻害が黒色腫形成に及ぼす作用を調べた。実験的な腫瘍形成モデルでは、5週齢のヌードマウス(Harlan, Madison, WI)の皮下に250,000個のC8161細胞を注射し、50 μLの完全RPMIを溶媒とする対照または抗Nodalモルフォリノで処理した。注射後の3日目、7日目、14日目、および17日目に腫瘍の測定を行い、17日目にマウスを殺した。MO対照またはMONodalのいずれかによって処理されたC8161細胞が注射されたマウスにおけるインビボにおける腫瘍形成を図14Bに示す。同所性マウスを対象とした腫瘍形成試験では、統計的有意性を、順位に関するKruskal-Wallisの一元配置分散解析と、これに続くDunn法で判定した。

0128

触れてわかる皮下腫瘍が、わずか250,000個の対照C8161細胞の注射後の7日以内に生じた。これとは対照的に、Nodal発現のノックダウンは、同じ数の細胞の注射時に、C8161の腫瘍形成能の有意な低下を招いた(図12B;n=5、p<0.05)。腫瘍形成能に見られたこの低下は、腫瘍発生率の30%の低下、ならびに腫瘍成長減速が特徴的であった。

0129

免疫組織化学試験でマウスに由来する腫瘍を解析したところ、MONodal処理群に形成された腫瘍が、Nodalの発現を17日目までに再開することが判明した(図14C)。

0130

加えて、悪性度の低い黒色腫細胞(C81-61)細胞は、NodalのcDNAのトランスフェクト時に腫瘍形成能を獲得した。C81-61細胞には、空のベクターか、またはNodal発現コンストラクトのいずれかがトランスフェクトされた(n=5)。図14Dに示すように、このような細胞には、腫瘍の成長が見られた。

0131

ALK 4/5/7阻害剤の投与によって、さまざまな血管擬態の可塑性に関するバイオマーカーの発現は低下した。図15Aは、溶媒またはALK 4/5/7阻害剤(SB431542、1 μM、10 μM)のいずれかの投与の48時間後におけるC8161細胞における、Nodal、リン酸化型SMAD-2、全SMAD 2/3、およびアクチンのウェスタンブロット解析を示す。全てのNodalのバンドは、プロタンパク質を示す。図15Bは、溶媒、またはさまざまな濃度のALK阻害剤のいずれかを投与した24時間後における、C8161細胞における、Nodal、チロシナーゼ、およびアクチンのウェスタンブロット解析を示し、図15Cは、溶媒、またはさまざまな濃度のALK阻害剤の存在下で、3-DコラーゲンIマトリックス上で6日間にわたって培養されたC8161細胞における、VE-カドヘリン、ケラチン18、およびアクチンのウェスタン解析を示す。図15Dは、浸潤能が低下したことを示し、また図15Eは、NodalをALK 4/5/7阻害剤によってダウンレギュレーションすることで血管擬態が消失したことを示す。

0132

上述の実験の結果、転移性黒色腫が胚のモルフォゲンであるNodalを発現すること、Nodalが腫瘍形成に不可欠であること、およびその作用が、Nodal経路の阻害によって直接的または間接的に(例えばALKの阻害によって)抑制され得ることが明らかとなった。

0133

実施例12:Nodalの発現はNotchの阻害によってダウンレギュレートされる
hESCマトリックスの微小環境に曝露された黒色腫細胞の再プログラミングの基礎となる可能性のある分子機構を明らかにするために、Nodalプロモーターの解析を開始し、Notch経路の推定結合配列エフェクター(CBF-1)を発見し、およびNotch経路とNodal経路間における分子クロストークの可能性を調べた。NotchのsiRNAで処理された転移性黒色腫細胞におけるNodalの発現は、特にNotch4のsiRNAによってノックダウンされた。逆に、Notchの発現は、Nodalのノックダウンによる影響を比較的受けず、Notchが、おそらく分子クロストークを有するNodalの上流に位置することを示唆した。

0134

図16Aに示すように、Nodalの発現は、C8161細胞では、NotchのsiRNAの投与の72時間後にノックダウンされた。リアルタイムRT-PCRおよびウェスタンブロット解析によって、個々のNotchがこの時点でサイレンシングされていることが確認された。これとは対照的に、図16Bに示すように、Notchの発現は、C8161細胞において(Nodal阻害剤SB431542による処理を介した)Nodalのノックダウンによる比較的影響を受けない。

0135

実施例13:過剰メチル化は、悪性度の高い腫瘍細胞におけるNodal経路に重要な役割を果たす
Nodalの過剰メチル化は、転移性の高いC8161細胞では観察されたが、同質遺伝子的にマッチさせたC81-61黒色腫細胞でも、メラノサイトまたはhESC(H9)でも観察されなかった。したがって、配列決定ベースのメチル化解析を使用して、ヒト腫瘍におけるメチル化状態を示すことが可能であり、ひいては疾患状態の有用な予後マーカーとなる。

0136

Nodalのメチル化状態は、CTCF結合部位のメチル化がエンハンサーとプロモーターを隔てることを示すFeinbergの研究室による研究によって支持されている(Gius, et al., 2004, Cancer Cell 6:361-371)。この研究では、アザシチジンが、活性化される数多くの遺伝子の発現を停止させることが判明し;現在では、この一群の遺伝子は、プロモーターのCpGアイランド中にCTCF結合部位を含むことが知られている。特にNodalの場合、その配列は

である。メチル化によって活性化される遺伝子中に同定されたコンセンサス

であり、Feinbergは、CTCFインスレーターの結合が、このコンセンサス配列を有する複数のプロモーターにおいて失われる、メチル化依存性の活性化を直接明らかにしている。これと矛盾するようであるが、この部位がメチル化されるとCTCFは結合できなくなり、プロモーターは機能するようになる。これは主要なインプリンティング機構であり、Nodalが癌と発生中の両方において調節される可能性のある機構に重要な意味をもつ。

0137

図17に示すように、hESCの微小環境(H9 CMTX)の存在下におけるC8161細胞の培養は、全体的にメチル化を6.8%しか高めていないが、影をつけた領域では、細胞をH9 CMTX上で培養時に、Matrigel単独の場合に対してメチル化の32%の上昇が見られる。配列アラインメントの結果、差次的にメチル化されたシトシンが、推定転写因子結合部位に結合することが明らかとなった。影をつけた領域は、EBP、Sp1、およびAP-2alphaに対するコンセンサス配列を含み、ならびに同領域におけるメチル化の32%の上昇が、hESC CMTXに曝露された腫瘍細胞におけるNodal遺伝子のサイレンシングを意味する可能性がある。

0138

実施例14:例示的なアッセイ法および手順
細胞系列の全般的な維持
ヒト黒色腫細胞系列の誘導および表現型の特徴については文献に記載されている。Seftor, et al., 2002, Clin. Experim. Metastas. 19:233-246;Seftor, et al., 2005 Cancer Res. 65:10164-10169。黒色腫細胞系列は、15% FBS、1X Mito+(BD Bioscience)、および硫酸ゲンタマイシンが添加されたHamのF10培地中で維持されるC81-61細胞を例外として、10%ウシ胎仔血清(FBS, Gemini Bioproducts)および0.1%硫酸ゲンタマイシンが添加されたRPMI1640培地(Invitrogen)中で維持される。正常ヒトメラノサイトは購入され(Cascade Biologics)るか、または新生仔包皮(neonatal foreskin)から単離される。Seftor, et. al., 2005。単一細胞の懸濁物を調製し、これをメラノサイトの吸着用プラスチックフラスコに添加し、および細胞を、100単位/mlのペニシリン、100 μg/mlのストレプトマイシン、および250 ng/mLのアムホテリシンBを含むヒトメラノサイト成長因子サプリメント(Cascade Biologics)が添加された培地254中で増殖させる。ヒト胚性幹細胞系列は、文献に記載された手順で培養される。Thomson, et. al., 1998, Science 282:1145-1147。簡単に説明すると、0.1%のブタゼラチンで事前にコーティングされ、1ウェル当たり1.9×105個の照射マウス胚性線維芽細胞(株CF-1;ATCC)を含む6ウェルプレート中で細胞を成長させる。細胞は、DMEM/F12(1:1)、20%ノックアウト血清サプリメント(serum replacement)、非必須最小アミノ酸、L-グルタミン(Invitrogen)、β-メルカプトエタノール、および4 ng/mlのFGF-2(R&D Systems)を含む培地中で維持し、ならびにコラゲナーゼ(1 mg/ml)によってバラバラにしてからコロニーの重層を開始させた。培養物は、PCRベースのアッセイ法(Roche)によって、マイコプラズマ混入がないと判定される。正常ヒト新生児表皮メラノサイト(HEMn-LP;Cascade Biologics, Portland OR)、筋上皮細胞(Hs 578 Bst;American Type Culture Collection (ATCC), Manassas, VA)、および初代乳腺上皮細胞(HMEpC;Cell Applications Inc., San Diego CA)は、販売者指示書通りに維持した。生臍帯血幹細胞(SC00125;Coriell Institute for Medical ResearchのNew Jersey Stem Cell Resource)、羊水由来幹細胞(GM00473、GM00957A)、および成体骨髄由来間葉系幹細胞(Stem Cell Technologies, Vancouver BC, Canada)は推奨条件で維持した。HTR-8/SVneoは、詳細が明らかな不死化ヒト絨毛外栄養膜細胞(extravillous cytotrophoblast)であり、およびGraham et al., 1993, Exp. Cell Res. 206:204-211に記載された手順で維持した。組換え型のNodalおよびLefty(R&D Systems)は、製造業者の示唆に従って希釈した。野生型Nodal用の発現ベクターは、Daniel Constam博士(Swiss Institute for Experimental Cancer Research (ISREC), Epalinges, Switzerland)から提供を受け、および文献に記載された手順でC81-61細胞にトランスフェクトした。Le Good et al., 2005, Curr. Biol. 15:31-36。

0139

3-Dヒトマトリックスの調製/事前のコンディショニング
25〜30 μlの規定のヒトマトリックス(3 mg/mlのヒトコラーゲンI基剤(Sigma)中に50 μg/mlのヒトラミニン;50 μg/mlのヒトコラーゲンIV)を、カバースリップ上に拡散させるか、または12ウェル培養ディッシュ中に直接配し、および100%エタノールを室温で添加して重合させる。PBSで十分に洗浄した後に、hESCを完全幹細胞培地中の3-Dマトリックス上に播種する。3〜4日後に、Zeiss Televal倒立顕微鏡およびHitachiHV-C20CCDカメラを使用してデジタル画像を得る。次に細胞を、20 mM NH4OHと、これに続く滅菌水、PBS、および完全培地による十分な洗浄によって除去する。次に、事前にコンディショニングされたマトリックスを、2-D LDS-PAGEおよびウェスタンブロットによって直接解析するか、または黒色腫細胞を再び播種し、さらに3日間インキュベートする。次に細胞を回収して、さらに生化学解析分子解析、および機能の解析を行う。

0140

3-Dでコンディショニングされたマトリックスに関する実験
コンディショニングされたマトリックスを、hESC、メラノサイト、筋上皮細胞、羊水由来幹細胞、または栄養膜細胞を使用して、成長因子低減(growth-factor-reduced)Matrigel(14 mg/mL;BD Biosciences)上で、文献に記載された手順で調製した。Postovit et al., 2006, Stem Cells 24:501-505。いずれの場合も細胞は、マトリックスのコンディショニング中に80〜100%のコンフルエンシーであった。あるいは、hESCに由来するLeftyタンパク質をMatrigelに播種した後に重合化させた。次に、2.5×105個/6ウェルディッシュのヒト黒色腫(C8161)細胞または乳癌(MDA-MB-231)細胞を、この事前にコンディショニングされたマトリックスに3〜4日間にわたって曝露させた。

0141

浸潤/移動アッセイ法
膜浸潤培養システム(Membrane Invasion Culture System;MICS)チャンバーを使用して、インビトロにおけるマトリックスを介した腫瘍細胞(刺激した場合と刺激しない場合の両方)の浸潤の程度を、文献に記載された手順で評価する。Hendrix, M.J.C. et. al., 1992, J. Natl. Cancer Inst., 84:165-174。

0142

細胞の生存および増殖の判定
細胞の増殖を、さまざまな時点における、複製途上の細胞の新規合成DNAへのBrdUの取り込みの免疫組織化学的染色によって調べる(BrdU Labeling and Detection Kit III;Roche)。増殖指数の評価を、Ki-67の発現によってモニタリングする。

0143

増殖アッセイ法
1.5×104個の細胞を、標準的な組織培養条件で、24ウェルのディッシュの各ウェルにプレーティングし、細胞を毎日回収してその数をカウントした。

0144

ソフトアガーによるクローン原性アッセイ法
細胞のクローン原性を、文献に記載された手順で評価する。Hamburger, A.W., and Salmon, S.E., 1977, Science 197:461-463。個々のパラメータを、ソフトアガー中におけるクローン形成に関して3回にわたって検討する。簡単に説明すると、104個の細胞を、ソフトアガー上に重層された完全培地を含む60 mmのペトリ皿にプレーティングする。細胞をプレーティングした後の所定の日数の経過後に、Hitachi HCV-20カラーカメラが接続されたZeiss Axiovert 25を使用してコロニーの位相差像を得る。

0145

足場非依存性成長アッセイ法
足場非依存性成長アッセイ法を、文献に記載された手順で実施した。Topczewska et al., 2006, Nat. Med. 12:925-932。

0146

幹細胞集団およびクローン由来の黒色腫幹細胞の分化アッセイ法
文献に記載された手順で、さまざまな事前にコンディショニングされた3-Dのマトリックスに由来する幹細胞を回収し、特定の分化用培地を含む適切なECMに再びプレーティングする。Hendrix et. al., 2003, Nature Rev. Cancer 3:411-421;Hsu et. al., 2004, MethodsMol. Med. 107:13-28;Pittenger e.t al., 1999, Science 284:143-147。

0147

実験的な同所性腫瘍モデル
5週齢のマウスの皮下に、50 μLの完全RPMIを溶媒とする250,000個のC8161ヒト皮膚黒色腫細胞または500,000個のC81-61ヒト皮膚黒色腫細胞を注射するか;または8週齢のマウスの乳腺脂肪体に、50 μLの完全RPMIを溶媒とする500,000個のMDA-MB-231細胞を注射する。腫瘍が触れて判別可能となった時点で、週に2回の測定を行った。

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