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※この項目の情報は公開日時点(2015年7月27日)のものです。
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概要
背景
農業や園芸の分野では、一般に、果実や野菜等の成長促進のための肥料及び有害生物を駆除するための農薬を、水で希釈してそのまま散布するといった処置が行われる。しかしながら、このように肥料や農薬を水で希釈してそのまま植物体上に散布すると、その肥料や農薬の活性成分が、降雨等により流亡したり、あるいは風により剥離脱落したりして、効果の持続性がしばしば損なわれる。
そこで、肥料や農薬の活性成分の植物体への付着性あるいは固着性を向上させる目的で、通常、肥料や農薬の水希釈液に展着剤が加えられる。展着剤としては、散布液の表面張力を下げ、濡れにくい虫体や作物に対する付着あるいは拡展性を向上させ肥料や農薬の効果を高める性質を有する、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、リグニンスルホン酸塩、ナフチルメタンスルホン酸塩等が汎用されているが、これらは水に非常になじみやすい性質を有するため、降雨等による流亡を抑えることはできない。
また、固着効果を示す展着剤として、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、パラフィン等を主成分とするものがあるが、使用濃度を高くしないと効果がでない、乾いた皮膜が水に溶けないため植物体上にいつまでも残留する、等の問題がある。さらに、これらの展着剤は、いずれも上記水希釈液中での溶解性が悪く、さらには配合量を多くしないと機能しないという問題もある。
これらの問題を解決するものとして、近年、ポリビニルアルコールを含有する農薬活性成分の固着性組成物が開発されている(特許文献1参照)。
概要
目的
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、農業や園芸の分野で使用される液状散布剤であり、固着性が高く、かつ散布性に優れる農業用液状散布剤を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
ケン化度が30〜60モル%のポリビニルアルコール系樹脂を含有することを特徴とする農業用液状散布剤。
請求項2
上記ポリビニルアルコール系樹脂が、変性ポリビニルアルコール系樹脂である請求項1記載の農業用液状散布剤。
請求項3
請求項4
農業用液状散布剤が葉面散布剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の農業用液状散布剤。
技術分野
背景技術
0002
農業や園芸の分野では、一般に、果実や野菜等の成長促進のための肥料及び有害生物を駆除するための農薬を、水で希釈してそのまま散布するといった処置が行われる。しかしながら、このように肥料や農薬を水で希釈してそのまま植物体上に散布すると、その肥料や農薬の活性成分が、降雨等により流亡したり、あるいは風により剥離脱落したりして、効果の持続性がしばしば損なわれる。
0003
そこで、肥料や農薬の活性成分の植物体への付着性あるいは固着性を向上させる目的で、通常、肥料や農薬の水希釈液に展着剤が加えられる。展着剤としては、散布液の表面張力を下げ、濡れにくい虫体や作物に対する付着あるいは拡展性を向上させ肥料や農薬の効果を高める性質を有する、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、リグニンスルホン酸塩、ナフチルメタンスルホン酸塩等が汎用されているが、これらは水に非常になじみやすい性質を有するため、降雨等による流亡を抑えることはできない。
また、固着効果を示す展着剤として、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、パラフィン等を主成分とするものがあるが、使用濃度を高くしないと効果がでない、乾いた皮膜が水に溶けないため植物体上にいつまでも残留する、等の問題がある。さらに、これらの展着剤は、いずれも上記水希釈液中での溶解性が悪く、さらには配合量を多くしないと機能しないという問題もある。
0004
これらの問題を解決するものとして、近年、ポリビニルアルコールを含有する農薬活性成分の固着性組成物が開発されている(特許文献1参照)。
先行技術
0005
特開平8−217604号公報
発明が解決しようとする課題
0006
しかしながら、上記特許文献1の固着性組成物に使用されているポリビニルアルコールは、水溶性の点からケン化度が71〜89モル%が好ましいとの記載があり、これは一般的に部分ケン化ポリビニルアルコールとして市販されている領域であって、かかるポリビニルアルコールを用いると固着性の点でまだまだ改善の余地があるものであった。
0007
また、農業や園芸の分野で使用される液状散布剤には、その活性成分のもととなる薬剤として、肥料をはじめ、農薬、除草剤、防虫剤などの薬剤が加えられるが、水に溶けにくい性質のものも多く、そのようなものを添加した場合、溶媒にアルコールを適量使用したほうが溶解性に優れる場合も多い。しかし、アルコール中にポリビニルアルコールを配合すると、凝集が生じ散布性が阻害されるおそれもあるため、溶媒にアルコールを使用した場合であっても、散布性が阻害されずに、かつ固着性に優れる農業用液状散布剤が求められている。
0008
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、農業や園芸の分野で使用される液状散布剤であり、固着性が高く、かつ散布性に優れる農業用液状散布剤を提供することである。
課題を解決するための手段
0009
本発明者は、上記事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、農業用液状散布剤中のポリビニルアルコールのケン化度を30〜60モル%とすることにより、固着性に優れ、たとえ溶媒にアルコールを使用した場合であっても、散布性が阻害されることがないことを見出し、本発明を完成した。
0010
すなわち、本発明は、ケン化度が30〜60モル%のポリビニルアルコール系樹脂を含有することを特徴とする農業用液状散布剤に関するものである。
0011
なお、本発明で使用されるポリビニルアルコール系樹脂は、上記のようにケン化度が低いことから、ビニルエステル系樹脂とも言える。
発明の効果
0012
本発明の農業用液状散布剤は、その散布剤中の特定ポリビニルアルコール系樹脂の作用により、固着性に優れるとともに、散布性にも優れるようになる。また、溶媒にアルコールを適量使用した場合であっても、凝集を生じず、高い散布性を得ることができる。そのため、水に溶けにくくアルコールに溶けやすい性質の農薬等を配合した場合であっても、散布剤として良好に使用することができる。特に、本発明の農業用液状散布剤は、葉面散布剤として好適に用いられる。
0013
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
0014
前記のように、本発明の農業用液状散布剤は、ケン化度が30〜60モル%のポリビニルアルコール系樹脂(以下、「特定PVA系樹脂」と略す。また、ポリビニルアルコールのことを「PVA」と略す。)を含有することを特徴とする。上記特定PVA系樹脂のケン化度は、好ましくは30〜60モル%、さらに好ましくは、33〜50モル%である。
かかるケン化度が低すぎると、水に溶けなくなり、水溶性散布剤としての機能を果たさなくなるからであり、逆に、かかるケン化度が高過ぎると、固着性が低下したり、アルコールとの凝集反応により散布性が低下する傾向がみられるからである。なお、上記ケン化度は、残存酢酸ビニルの加水分解に要するアルカリ消費量で分析することができる。
0015
上記特定PVA系樹脂は、通常は、ビニルエステル系化合物を重合して得られたビニルエステル系重合体を部分的にケン化して得ることができる。
0016
上記ビニルエステル系化合物としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸等が、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なお、実用上は、経済性の観点から、酢酸ビニルが好適に用いられる。
0017
また、上記特定PVA系樹脂は、未変性のものであっても、変性されたものであってもよいが、特に変性されたものは、アルコールとの親和性がよいことから、農業用液状散布剤の溶媒にアルコールを加える場合には、変性PVAのほうがよい。
かかる変性PVAは、ビニルエステル系モノマーと他の不飽和単量体との重合体をケン化したり、PVAを後変性したりして、製造することができる。
0018
上記「他の不飽和単量体」としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等があげられる。
0020
そして、上記変性PVAのなかでも、水に対する親和性が高いことから、特に、アニオン変性PVA、ノニオン変性PVAが好ましい。アニオン変性PVAとしては、例えば、カルボキシル基含有PVA、スルホン酸基含有PVA、リン酸基含有PVAなどが挙げられる。また、ノニオン変性PVAとしては、オキシアルキレン基含有PVA、アセトアセチル基含有PVA、ジアセトンアクリルアミド変性PVA、メルカプト基含有PVA、シラノール基含有PVA、側鎖1,2ジオール構造単位含有PVAなどが挙げられる。中でもアルコール溶解性の点で、オキシアルキレン基含有PVA、カルボキシル基含有PVAが好ましい。
0021
なお、本発明の農業用液状散布剤では、上記変性PVAの変性率が、通常0.1〜10モル%のものが用いられる。また、アニオン変性PVAの変性率は、好ましくは0.1〜1モル%、特に好ましくは0.2〜0.5モル%であり、ノニオン変性PVAの変性率は、0.5〜5モル%、特に好ましくは1〜2モル%である。
0022
本発明の農業用液状散布剤に用いられる特定PVA系樹脂の平均重合度(JIS K 6726に準拠)は、通常100〜2000、特に150〜1000、さらには200〜800のものが、好適に用いられる。すなわち、PVA系樹脂の平均重合度が低すぎると固着性が低下し、逆に平均重合度が高すぎると溶解性が低下するようになるからである。
0023
つぎに、本発明の農業用液状散布剤に用いられる溶媒としては、水、あるいはアルコールを含有する水等があげられる。そして、アルコールを含有する水、すなわち、水/アルコール混合溶媒を用いる場合、その混合比率(重量比)は、水/アルコールが、通常9/1〜1/9、特に好ましくは7/3〜2/8、更に好ましくは6/4〜3/7のものが用いられる。このような溶媒を用いることにより、散布性、薬剤の溶解性、速乾性(早期塗膜形成性)等に優れるようになるからである。
0024
また、本発明の農業用液状散布剤に用いられる薬剤としては、上記散布剤の活性成分のもととなる薬剤、すなわち、農薬、肥料、除草剤、防虫剤等の、植物に対して固着性が必要な薬剤が使用される。かかる薬剤は、水やアルコールに溶解または分散するものであれば使用することができるが、本発明の農業用液状散布剤に使用される特定PVA系樹脂に対して非反応性のものを使用する必要がある。
0025
本発明の農業用液状散布剤には、特定PVA系樹脂、溶媒、薬剤の他、必要に応じ、乳化剤、水和剤、フロアブル剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤等の、他の成分が添加される。ただし、かかる他の成分の配合量は、農業用液状散布剤全体の10重量%以下が好ましい。
0026
ここで、本発明の農業用液状散布剤は、例えば、(1)特定PVA系樹脂溶液と薬剤溶液とを混合する、(2)特定PVA系樹脂溶液に粉末の薬剤を入れて混合する、(3)薬剤溶液に特定PVA系樹脂粉末を入れて混合する、といった方法により調製することができる。なかでも、(1)に示す方法により調製することが好ましい。
0027
このようにして得られた本発明の農業用液状散布剤における、特定PVA系樹脂の濃度は、通常0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。すなわち、このような濃度になるよう調製することにより、固着性、散布性等に優れるようになるからである。
0028
また、本発明の農業用液状散布剤における、その活性成分のもととなる薬剤の濃度は、通常0.1〜5000重量ppm、好ましくは1〜1000重量ppm、更に好ましくは10〜500重量ppmである。すなわち、このような濃度になるよう調製することにより、薬剤の活性成分が有効に機能するようになるからである。
0030
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
0031
〔実施例1〕
<PVA系樹脂(1)の作製>
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1000重量部、メタノール300重量部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.079モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。さらに、重合開始2時間後、4時間後にそれぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.079モル%(対仕込み酢酸ビニル)追加し、酢酸ビニルの重合率が94%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、共重合体のメタノール溶
液を得た。
次いで、上記メタノール溶液を、濃度50%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位1モルに対して10ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの0.8当量添加し、濾別、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、未変性PVA系樹脂[PVA系樹脂(1)]を得た。
得られたPVA系樹脂(1)のケン化度は、残存酢酸ビニルの加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ49モル%であり、平均重合度は、JIS K 6726に準拠して分析を行ったところ、250であった。
0032
上記のようにして得られたPVA系樹脂(1)を、水/エタノール(重量比)が6/4である混合溶媒に溶解し、5重量%濃度のPVA溶液となるように調製した。そして、かかるPVA溶液100重量部に、非アルコール系の液体肥料(ハイポネックスジャパン社製、ハイポネックス)を指定濃度に希釈して5重量部添加し、農業用液状散布剤を調製した。
0033
〔実施例2〕
PVA系樹脂(1)の作製方法に準じ、ケン化度34モル%、平均重合度300の未変性PVA系樹脂を作製した。そして、上記作製の未変性PVA系樹脂を、PVA系樹脂(1)に代えて用いた。それ以外は、実施例1と同様にして農業用液状散布剤を調製した。
0034
〔実施例3〕
<PVA系樹脂(2)の作製>
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1000重量部、メタノール9580重量部、平均鎖長n=10のポリオキシエチレンアリルエーテル237重量部(2モル%対仕込み酢酸ビニル)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.079モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。さらに、13時間かけて、酢酸ビニル1410重量部、メタノール3195重量部、ポリオキシエチレンアリルエーテル2130重量部を滴下、また重合開始4時間後にアゾビスイソブチロニトリルを0.079モル%(対仕込み酢酸ビニル)追加し、酢酸ビニルの重合率が94%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、上記メタノール溶液を、濃度40%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位1モルに対して10ミリモルとなる割合で加えてケン化を1.5時間行った。中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの0.8当量添加した後、攪拌しながら過熱してメタノールを完全に追い出した後、水を追加して溶解し、40%水溶液のオキシアルキレン基含有PVA系樹脂[PVA系樹脂(2)]を得た。
得られたPVA系樹脂(2)のケン化度は、残存酢酸ビニルの加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ48モル%であり、平均重合度は、JIS K 6726に準拠して分析を行ったところ、260であった。また、上記PVA系樹脂(2)の変性率[オキシアルキレン基含有量]は、その仕込み量から1.8モル%とした。
0035
上記のようにして得られたPVA系樹脂(2)を、PVA系樹脂(1)に代えて用いた以外は、実施例1と同様にして農業用液状散布剤を調製した。
0036
〔実施例4〕
PVA系樹脂(2)の作製方法に準じ、ケン化度43モル%、平均重合度280、変性率1.7モル%の、オキシアルキレン基含有PVA系樹脂を作製した。そして、上記作製の変性PVA系樹脂を、PVA系樹脂(1)に代えて用いた。それ以外は、実施例1と同様にして農業用液状散布剤を調製した。
0037
〔実施例5〕
<PVA系樹脂(3)の作製>
酢酸ビニルと3−メルカプトプロピオン酸をメタノール中で共重合した。得られた共重合体を水酸化ナトリウムでケン化した。
得られたPVA系樹脂(3)のケン化度は、残存酢酸ビニルの加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ38モル%であり、平均重合度は、JIS K 6726に準拠して分析を行ったところ、530であった。また、上記PVA系樹脂(3)の変性率[末端カルボキシル基含有量]は、その仕込み量から0.25モル%とした。得られたPVA系樹脂(3)を、メタノールで48時間ソックスレー抽出による精製を行った後、重水に溶解し、核磁気共鳴分析(以下NMRと略記する)したところ、PVA系樹脂(3)の末端にCOONa基の存在が認められ、分子の片末端にNaOOC−CH2−CH2−S−のカルボキシル基を有するPVA系樹脂(3)が確認できた。
0038
上記のようにして得られたPVA系樹脂(3)を、PVA系樹脂(1)に代えて用いた以外は、実施例1と同様にして農業用液状散布剤を調製した。
0039
〔比較例1〕
PVA系樹脂(1)の作製方法に準じ、ケン化度80モル%、平均重合度350の未変性PVA系樹脂を作製した。そして、上記作製の未変性PVA系樹脂を、PVA系樹脂(1)に代えて用い、さらに、水/エタノール混合溶媒において、その水/エタノール(重量比)を9/1にした。それ以外は、実施例1と同様にして農業用液状散布剤を調製した。
0040
〔比較例2〕
PVA系樹脂(1)の作製方法に準じ、ケン化度88モル%、平均重合度600の未変性PVA系樹脂を作製した。そして、上記作製の未変性PVA系樹脂を、PVA系樹脂(1)に代えて用い、さらに、水/エタノール混合溶媒において、その水/エタノール(重量比)を9/1にした。それ以外は、実施例1と同様にして農業用液状散布剤を調製した。
0041
このようにして得られた実施例および比較例の農業用液状散布剤に関し、下記の基準に従って固着性評価を行った。その結果を、後記の表1に併せて示す。
0042
≪固着性評価≫
農業用液状散布剤105重量部に対し、着色剤(食紅)を0.1重量部添加した後、植物(ベンジャミンエスタ)の葉面に対し、霧吹きにて農業用液状散布剤を散布した。そして、24時間放置後、その葉面(農業用液状散布剤の散布面)に対し、霧吹きにて水を噴きかけた。そして、落ちずに残った着色面を目視観察し、その着色面が、葉面(農業用液状散布剤の散布面)の面積に対して80%以上残ったものを「○」と評価した。なお、葉面(農業用液状散布剤の散布面)の面積に対して30%以上60%未満残ったものを「△」、30%未満しか残らなかったものを「×」と評価した。
0043
0044
上記表1の結果より、実施例の農業用液状散布剤は、固着性が高く、また均一に葉面散布がなされたことから散布性も良好であった。これに対し、比較例の農業用液状散布剤は、水/エタノール(重量比)が6/4の混合溶媒を用いた際、溶媒にPVA系樹脂が溶けなかったため、散布することができず、固着性の評価ができなかったために、水/エタノール(重量比)が9/1の混合溶媒を用いたが、その場合であっても、実施例に比べ、固着性評価に劣る結果となった。
0045
また、実施例および比較例の農業用液状散布剤に関し、下記の基準に従って溶解性評価を行った。その結果を、後記の表2に併せて示す。
≪溶解性評価≫
水/エタノールの割合(重量比)を下記に示す割合にした溶媒に、濃度5%となるように実施例および比較例のPVA系樹脂を室温にて混合し、撹拌し下記の評価基準A〜Cに従い、溶解挙動を観察した。
A:溶解
B:不溶(安定に分散)
C:不溶(分散後に沈殿)
0046
0047
上記表2の結果より、実施例のPVA系樹脂は、比較例のPVA系樹脂に比べ、水/アルコールの混合比が変化しても溶解又は分散する範囲が広く、特に、実施例3〜5の変性PVA系樹脂は、水/アルコールの混合比が変化しても溶解又は分散する範囲がより広かった。
実施例
0048
なお、ケン化度が25モル%程度のPVA系樹脂を用いた場合、溶媒に水のみを用いた場合であっても、PVA系樹脂の溶解がされなくなり、水溶性散布剤としての機能を果たすことができないと推測される。
0049
本発明の農業用液状散布剤は、その特定PVA系樹脂の作用により、固着性が高く、かつ散布性に優れることから、農業や園芸の分野で使用される液状散布剤、例えば、葉、茎、果実等への散布剤への適用に有効である。
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