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課題

解決手段

被験者から採取した試料中のmiRNAが、miR-663b又は/及びmiR-4649-5pが増大している場合、あるいはmiR-4299又は/及びmiR-3187-5pが減少していることを指標とする、筋萎縮性側索硬化症の検査法及び病態モニタリング法である。miR-663b又は/及びmiR-4649-5pを抑制すること、あるいはmiR-4299又は/及びmiR-3187-5pを補充することによって、筋萎縮性側索硬化症を治療することもできる。

概要

背景

認知症を含む神経変性疾患は、一般に進行性であり、脳神経細胞不可逆的な変性を伴うことから、早期に診断治療を開始することが重要である。しかし、現時点では有効なバイオマーカー確立されておらず、血清学的検査による診断法は確立されておらず、また確実な治療法も確立されていない。その結果、疾患は進行し、かつ難治性であるために、日常生活破壊される状況となり、患者本人肉体的負担のみならず、家族にも多大の負担を来している。このように、神経変性疾患は患者本人だけでなく、長期にわたり介護者にも多大な負担が及ぶことから、社会全体の活力の大きな損失につながるという実態がある。超高齢化社会が進む我が国では、神経変性疾患対策国家的な重要課題となってきている。すなわち、(1)高齢化社会における医療福祉行政基幹的課題であること、(2)認知症による膨大な経済的損失(年間5兆円相当ともいわれる)を軽減すること、(3)医療イノベーションで日本発の革新的治療法の開発を推進し、日本の医薬輸入赤字(2兆円超)を解消すること、(4)国の5ヵ年計画(2012)で対策が必要な重点疾患(がん難病希少疾病肝炎感染症糖尿病、脳心血管疾患精神神経疾患小児疾患)に指定されていること、などである。これらの疾患の診断と治療に役立つ新たなバイオマーカーの開発、検査診断薬治療薬、治療法の開発が緊急の課題となっている。

検査診断法の疾患関連バイオマーカーが特定され、血清学的診断法により簡便に早期の診断及び病態モニタリングが実施できるようになれば、早期治療が可能となり、多くの患者の不可逆的なダメージを最小限に抑えることが可能となる。早期診断が可能となれば、患者だけでなく介護者のQOLの向上、ひいては超高齢化を迎えた日本社会全体の活力の維持にも大きく貢献することは間違いない。治療法に関しては、病態改善薬のみならず、進行抑制薬も十分に医療上の意義が高いことから、疾患関連バイオマーカーの神経系に対する機能の解析も重要になっている。

神経変性疾患の発症や病態に関わる生体内因子は、遺伝子から細胞まで広く研究されているが、未解明な部分が非常に多く、未だに診断や治療につながる有用なバイオマーカーは見出されていない。難治性神経変性疾患のうちでも、筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)は重篤神経機能障害と死に至る疾患であり、有用なバイオマーカーの開発は緊急の課題となっている。

近年、生体内因子の重要な因子として、マイクロRNA(miRNAと略す)が注目されている。miRNAは、約22塩基蛋白質非翻訳RNA(small non-coding RNA)であり、ヒトには約2000種類が存在することが示唆されている。miRNAは生体内でさまざまな遺伝子の発現抑制を行う分子として注目される。ゲノム上には各miRNA遺伝子の領域が存在し、RNAポリメラーゼIIによって転写され、約数百塩基のmiRNA初期転写産物が形成される。miRNA初期転写産物は核内でDrosha、細胞質内でDicerと呼ばれる2種類のRNaseIII酵素によってプロセシングされ、成熟miRNAが形成される。成熟miRNAは制御タンパク質複合体(RNA-induced silencing complex:RISC)と協調しつつ、相補的配列をもつ複数のターゲット遺伝子mRNA相互作用し、遺伝子の発現を抑制することが知られている。

miRNAはヒト疾患に広く関連が示唆されているが、特にがんとmiRNAの関係に関して、様々な臓器において正常組織とがん組織で多くのmiRNAの発現様式が異なることから、発がん過程へのmiRNA発現異常の関与が強く示唆されている。すなわち、腫瘍抑制的miRNAの発現低下あるいは発がん促進的miRNAの発現上昇がヒト発がん過程に関与している可能性が強く示唆されている(非特許文献1)。miRNAの産業上の利用に関しても、がんの領域での利用が主体であったが、ようやく各種疾患に対する創薬への利用が報告され始めてきた(非特許文献2)。血中に存在するmiRNAを疾患関連バイオマーカーとして、検査診断に利用できることも、がん(非特許文献3)や心疾患(非特許文献4)で報告されている。
神経疾患分野においては、血液よりも、中枢神経系の脳脊髄液(cerebrospinal fluid:CSF)に存在するmiRNAが診断学的な意味があることが報告され、たとえば、多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)では、miR-922、miR-181c、miR-633などがその候補として報告されている(非特許文献5)。また一方で、損傷後の神経の再生にmiRNAを利用する方法(特許文献1)や多能性ストローマ細胞ニューロン分化刺激する方法(特許文献2)が報告されている。

しかしながら、miRNAは各種疾患に広く関与している可能性が高いにもかかわらず、具体的にALSへのmiRNAの応用技術に関する情報は乏しく、マウスモデルでmiR-206の不足が病態を悪化させるという報告(非特許文献6)などがあるにすぎない。進行性で内因的な因子の関与が大きいと考えられるALSでは、miRNAを利用した検査診断あるいは創薬に有用な疾患バイオマーカーの開発が切望されている。

概要

筋萎縮性側索硬化症の新規のバイオマーカーを提供する。被験者から採取した試料中のmiRNAが、miR-663b又は/及びmiR-4649-5pが増大している場合、あるいはmiR-4299又は/及びmiR-3187-5pが減少していることを指標とする、筋萎縮性側索硬化症の検査法及び病態モニタリング法である。miR-663b又は/及びmiR-4649-5pを抑制すること、あるいはmiR-4299又は/及びmiR-3187-5pを補充することによって、筋萎縮性側索硬化症を治療することもできる。なし

目的

本発明の目的は、ALSの検査と治療に対するmiRNA及び/又はその標的遺伝子の利用であり、ALSのバイオマーカーとなるmiRNA及び/又はその標的遺伝子を臨床検査や病態モニタリング、さらには治療法へ応用することである

効果

実績

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請求項1

被験者から採取した試料中のmiRNAを測定する工程を含み、前記miRNAが表1又は表2に記載のmiRNAの少なくとも1つである、筋萎縮性側索硬化症検出方法

請求項2

被験者から採取した試料中の遺伝子産物を測定する工程を含み、前記遺伝子が表3〜表6の記載の遺伝子の少なくとも1つである、筋萎縮性側索硬化症の検出方法。

請求項3

表1又は表2に記載のmiRNAの少なくとも1つと、表3〜表6の記載の遺伝子の遺伝子産物の少なくとも1つとを測定する、請求項1又は2に記載の検出方法。

請求項4

前記miRNAが、miR-663b、miR-4649-5p、miR-4299、miR-3187-5pである、請求項1又は3に記載の検出方法。

請求項5

筋萎縮性側索硬化症に対する治療を行った対象から試料を採取する工程、並びに、前記試料中のmiRNA、及び/又は、その標的遺伝子の遺伝子産物を測定する工程を含み、前記miRNAが表1又は表2に記載のmiRNAの少なくとも1つであり、前記標的遺伝子が表3〜表6の記載の遺伝子の少なくとも1つであるである、前記治療効果判定方法

請求項6

表1〜表6に記載したmiRNA及び/又は標的遺伝子の少なくとも1つの発現指標とする、筋萎縮性側索硬化症の治療薬スクリーニングする方法。

請求項7

表1に記載のmiRNAの少なくとも1つを抑制するオリゴヌクレオチドを有効成分とする医薬組成物

請求項8

表2に記載のmiRNAの少なくとも1つを補充するオリゴヌクレオチドを有効成分とする医薬組成物。

請求項9

表3又は表4に記載の標的遺伝子、又はその遺伝子産物の少なくとも1つの全長あるいは一部を有効成分とする医薬組成物。

請求項10

表5又は表6に記載の標的遺伝子、又はその遺伝子産物の少なくとも1つの全長あるいは一部を抑制する成分を含む医薬組成物。

請求項11

筋萎縮性側索硬化症の治療または予防用である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物。

技術分野

0001

本発明は、筋萎縮性側索硬化症の存在を検出するための検査診断及び同疾患の治療標的として有用なマイクロRNA(miRNA)、さらにその標的遺伝子とそれらの利用に関する。

背景技術

0002

認知症を含む神経変性疾患は、一般に進行性であり、脳神経細胞不可逆的な変性を伴うことから、早期に診断し治療を開始することが重要である。しかし、現時点では有効なバイオマーカー確立されておらず、血清学的検査による診断法は確立されておらず、また確実な治療法も確立されていない。その結果、疾患は進行し、かつ難治性であるために、日常生活破壊される状況となり、患者本人肉体的負担のみならず、家族にも多大の負担を来している。このように、神経変性疾患は患者本人だけでなく、長期にわたり介護者にも多大な負担が及ぶことから、社会全体の活力の大きな損失につながるという実態がある。超高齢化社会が進む我が国では、神経変性疾患対策国家的な重要課題となってきている。すなわち、(1)高齢化社会における医療福祉行政基幹的課題であること、(2)認知症による膨大な経済的損失(年間5兆円相当ともいわれる)を軽減すること、(3)医療イノベーションで日本発の革新的治療法の開発を推進し、日本の医薬輸入赤字(2兆円超)を解消すること、(4)国の5ヵ年計画(2012)で対策が必要な重点疾患(がん難病希少疾病肝炎感染症糖尿病、脳心血管疾患精神神経疾患小児疾患)に指定されていること、などである。これらの疾患の診断と治療に役立つ新たなバイオマーカーの開発、検査診断薬治療薬、治療法の開発が緊急の課題となっている。

0003

検査診断法の疾患関連バイオマーカーが特定され、血清学的診断法により簡便に早期の診断及び病態モニタリングが実施できるようになれば、早期治療が可能となり、多くの患者の不可逆的なダメージを最小限に抑えることが可能となる。早期診断が可能となれば、患者だけでなく介護者のQOLの向上、ひいては超高齢化を迎えた日本社会全体の活力の維持にも大きく貢献することは間違いない。治療法に関しては、病態改善薬のみならず、進行抑制薬も十分に医療上の意義が高いことから、疾患関連バイオマーカーの神経系に対する機能の解析も重要になっている。

0004

神経変性疾患の発症や病態に関わる生体内因子は、遺伝子から細胞まで広く研究されているが、未解明な部分が非常に多く、未だに診断や治療につながる有用なバイオマーカーは見出されていない。難治性神経変性疾患のうちでも、筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)は重篤神経機能障害と死に至る疾患であり、有用なバイオマーカーの開発は緊急の課題となっている。

0005

近年、生体内因子の重要な因子として、マイクロRNA(miRNAと略す)が注目されている。miRNAは、約22塩基蛋白質非翻訳RNA(small non-coding RNA)であり、ヒトには約2000種類が存在することが示唆されている。miRNAは生体内でさまざまな遺伝子の発現抑制を行う分子として注目される。ゲノム上には各miRNA遺伝子の領域が存在し、RNAポリメラーゼIIによって転写され、約数百塩基のmiRNA初期転写産物が形成される。miRNA初期転写産物は核内でDrosha、細胞質内でDicerと呼ばれる2種類のRNaseIII酵素によってプロセシングされ、成熟miRNAが形成される。成熟miRNAは制御タンパク質複合体(RNA-induced silencing complex:RISC)と協調しつつ、相補的配列をもつ複数のターゲット遺伝子mRNA相互作用し、遺伝子の発現を抑制することが知られている。

0006

miRNAはヒト疾患に広く関連が示唆されているが、特にがんとmiRNAの関係に関して、様々な臓器において正常組織とがん組織で多くのmiRNAの発現様式が異なることから、発がん過程へのmiRNA発現異常の関与が強く示唆されている。すなわち、腫瘍抑制的miRNAの発現低下あるいは発がん促進的miRNAの発現上昇がヒト発がん過程に関与している可能性が強く示唆されている(非特許文献1)。miRNAの産業上の利用に関しても、がんの領域での利用が主体であったが、ようやく各種疾患に対する創薬への利用が報告され始めてきた(非特許文献2)。血中に存在するmiRNAを疾患関連バイオマーカーとして、検査診断に利用できることも、がん(非特許文献3)や心疾患(非特許文献4)で報告されている。
神経疾患分野においては、血液よりも、中枢神経系の脳脊髄液(cerebrospinal fluid:CSF)に存在するmiRNAが診断学的な意味があることが報告され、たとえば、多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)では、miR-922、miR-181c、miR-633などがその候補として報告されている(非特許文献5)。また一方で、損傷後の神経の再生にmiRNAを利用する方法(特許文献1)や多能性ストローマ細胞ニューロン分化刺激する方法(特許文献2)が報告されている。

0007

しかしながら、miRNAは各種疾患に広く関与している可能性が高いにもかかわらず、具体的にALSへのmiRNAの応用技術に関する情報は乏しく、マウスモデルでmiR-206の不足が病態を悪化させるという報告(非特許文献6)などがあるにすぎない。進行性で内因的な因子の関与が大きいと考えられるALSでは、miRNAを利用した検査診断あるいは創薬に有用な疾患バイオマーカーの開発が切望されている。

0008

特表2011-515407号公報
特表2012-530054号公報

先行技術

0009

microRNAの制御異常と癌、実験医学vol.27, No.8, 2009.
臨床・創薬利用が見えてきたmicroRNA、遺伝子医学MOOK23 2012.
Allegra A et al., Int J Oncol. 2012;41(6):1897-912.
Fichtlscherer S. et al., Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2011;31(11):2383-90.
Haghikia A. et al., Neurology. 2012;79(22):2166-2170.
WilliamsAHet al., Science. 2009;326(5959):1549-1554.

発明が解決しようとする課題

0010

上記のとおり、難治性のALSに対する検査法や治療法は確立しておらず、医療上の大きな課題になっている。疾患に関与すると言われているmiRNA及び/又はその標的遺伝子に関して、ALSにおけるバイオマーカーとなり得るmiRNA及び/又はその標的遺伝子を見出し、その利用方法を確立すれば、新しい検査診断法、病態モニタリング法、さらには治療薬への応用が可能となる。本発明の目的は、ALSの検査と治療に対するmiRNA及び/又はその標的遺伝子の利用であり、ALSのバイオマーカーとなるmiRNA及び/又はその標的遺伝子を臨床検査や病態モニタリング、さらには治療法へ応用することである。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、以下の発明に関する:
[1]被験者から採取した試料中のmiRNAを測定する工程を含み、前記miRNAが表1又は表2に記載のmiRNAの少なくとも1つである、筋萎縮性側索硬化症の検出方法
[2]被験者から採取した試料中の遺伝子産物を測定する工程を含み、前記遺伝子が表3〜表6の記載の遺伝子の少なくとも1つである、筋萎縮性側索硬化症の検出方法。
[3]表1又は表2に記載のmiRNAの少なくとも1つと、表3〜表6の記載の遺伝子の遺伝子産物の少なくとも1つとを測定する、[1]又は[2]の検出方法。
[4]前記miRNAが、miR-663b、miR-4649-5p、miR-4299、miR-3187-5pである、[1]又は[3]の検出方法。
[5]筋萎縮性側索硬化症に対する治療を行った対象から試料を採取する工程、並びに、前記試料中のmiRNA、及び/又は、その標的遺伝子の遺伝子産物を測定する工程を含み、前記miRNAが表1又は表2に記載のmiRNAの少なくとも1つであり、前記標的遺伝子が表3〜表6の記載の遺伝子の少なくとも1つであるである、前記治療効果判定方法
[6]表1〜表6に記載したmiRNA及び/又は標的遺伝子の少なくとも1つの発現を指標とする、筋萎縮性側索硬化症の治療薬をスクリーニングする方法。
[7]表1に記載のmiRNAの少なくとも1つを抑制するオリゴヌクレオチドを有効成分とする医薬組成物
[8]表2に記載のmiRNAの少なくとも1つを補充するオリゴヌクレオチドを有効成分とする医薬組成物。
[9]表3又は表4に記載の標的遺伝子、又はその遺伝子産物の少なくとも1つの全長あるいは一部を有効成分とする医薬組成物。
[10]表5又は表6に記載の標的遺伝子、又はその遺伝子産物の少なくとも1つの全長あるいは一部を抑制する成分を含む医薬組成物。
[11]筋萎縮性側索硬化症の治療または予防用である、[7]〜[10]のいずれかの医薬組成物。

発明の効果

0012

本発明の検出方法によれば、簡便な遺伝子検査方法により、ALSを検出することができる。好ましくは、ALSの進行に伴う病態を把握することができる。また、本発明におけるmiRNA及び/又はその標的遺伝子を同疾患の検査診断並び治療に利用することができる。さらに、同疾患の治療薬となる化合物のスクリーニングに利用することができる。

図面の簡単な説明

0013

血漿中miR-663bとALS病態の相関グラフである。死亡ないしは永続的な侵襲的人工呼吸器接続を観察のend pointとした時に、発症からend pointまでの期間と強い負の相関を認めた。
血漿中miR-4649-5pとALS病態の相関グラフである。死亡ないしは永続的な侵襲的人工呼吸器接続を観察のend pointとした時に、発症からend pointまでの期間と強い負の相関を認めた。
血漿中miR-4299とALS病態の相関グラフである。発症からend pointまでの全経過時間で補正した罹病期間との間に負の相関を認めた。
血漿中miR-3187-5pとALS病態の相関グラフである。発症からend pointまでの全経過時間で補正した罹病期間との間に負の相関を認めた。

0014

以下に特に記載すること以外は、本発明の検出方法・治療効果判定方法・治療方法・医薬組成物・治療薬のスクリーニング方法において、適宜、相互に参照することができる。
本発明の検出方法では、ALSを検出するバイオマーカーとして、表1又は表2に記載のmiRNAの少なくとも1つ、及び/又は、表3〜表6に記載の標的遺伝子の遺伝子産物(ポリペプチド又はmRNA)の少なくとも1つを使用することができる。これらは好ましくはALSの進行に伴う病態把握用のバイオマーカーに用いることができる。該miRNA及び/又はその標的遺伝子の遺伝子産物は、単独の使用も、複数の使用も、いずれも可能である。精度を高めるためには、複数を組み合わせて使用する方が好ましく、また、公知のmiRNA及び/又はその標的遺伝子の遺伝子産物を組み合わせて利用することもできる。

0015

0016

0017

0018

0019

0020

0021

後述の実施例において具体的実験データが示すとおり、血漿において、ALS患者では健常者と比較して、表1のmiRNA(すなわち、miR-4258、miR-663b、miR-1469、miR-663、miR-4649-5p)が増大していた。従って、被験者、特にALSが疑われる患者又はALS患者から採取した試料中で、これらのmiRNA(以下、検出用miRNAと称する)の少なくとも1つの増加を、それ自体公知の方法に従って測定することにより、ALSの可能性ありと判定することができる。特に、miR-663bとmiR-4649-5pは、ALSの死亡時期又は侵襲陽圧換気療法の時期との関連性が高く、ALSの進行に伴う病態把握用のバイオマーカー(例えば、ALSの予後の指標や進行程度予知)とすることができるので好ましい。

0022

また、血漿において、ALS患者では健常者と比較して、表2のmiRNA(すなわち、hsa-miR-26b、hsa-miR-4299、hsa-let-7f、hsa-miR-4419a、hsa-miR-3187-5p、hsa-miR-4496、hsa-miR-151-3p)が減少していた。従って、被験者、特にALSが疑われる患者又はALS患者から採取した試料中で、これらの検出用miRNAの少なくとも1つの減少を、それ自体公知の方法に従って測定することにより、ALSの可能性ありと判定することができる。特に、miR-4299とmiR-3187-5pは、ALSの死亡時期又は侵襲的陽圧換気療法の時期との関連性が高く、ALSの進行に伴う病態把握用のバイオマーカー(例えば、ALSの重症度の指標)とすることができるので好ましい。

0023

表3と表4は、ALS患者血漿中で増大したmiRNAが標的としていると予測される遺伝子を、表5と表6はALS患者血漿中で減少したmiRNAが標的としていると予測される遺伝子を示す。これらは、ALSの病態に関与する遺伝子群であるので、表1と表2のmiRNAに加え、表3〜表6の標的遺伝子の遺伝子産物を併用して測定することにより、より高精度にALSを検出できる。

0024

また、表1に記載の増大したmiRNAを減少させる作用を有するオリゴヌクレオチド類核酸医薬投与して過剰なmiRNAの作用を抑制することは、ALSの治療に有用な薬剤を提供することができる。

0025

あるいは、表2に記載の減少したmiRNAと同様の作用を有するオリゴヌクレオチド類の核酸医薬を投与して減少したmiRNAの作用を補充することは、ALSの治療に有用な薬剤を提供することができる。

0026

表1及び表2に記載のmiRNAの配列は公知のデータベース(miRBase:http://www.mirbase.org/)から入手することができる。それぞれの名称とIDを表1及び表2に示した。

0027

本発明の検出方法においてバイオマーカーとしてmiRNA又はその標的遺伝子のmRNAを使用する場合、それ自体公知の遺伝子検査方法、例えば、核酸プローブを用いるハイブリダイゼーション法や、PCRプライマーを用いるPCR法により、測定することができる。測定機器で言えば、マクロアレイマイクロビーズイメージスキャナー、次世代シークエンサー質量分析装置などが用いられる。

0028

また、本発明の検出方法においてバイオマーカーとしてmiRNAの標的遺伝子がコードするポリペプチドを使用する場合、それ自体公知のタンパク質分析方法、例えば、抗体を用いる免疫学的分析方法電気泳動等の生化学的分析方法質量分析方法により実施することができ、臨床検査用自動分析機を使用することもできる。

0029

本発明方法で用いる試料としては、例えば、脳疾患部位、脳脊髄液、血液試料(例えば、末梢血、血漿、血清)、唾液涙液鼻汁、尿、リンパ液、その他の体液、好ましくは、脳疾患部位やその周辺部位(脳脊髄液等)を用いることができる。さらには生検で採取された臓器組織病理組織、細胞、又はそれらからの抽出成分も利用できる。

0030

本発明の検出方法においてバイオマーカーとして用いる表1又は表2に記載のmiRNA、及び/又は表3〜表6に記載の標的遺伝子の遺伝子産物は、ALSの患者に対して行う各種治療の効果を判定するために使用することもできる。
本発明の治療効果判定方法は、ALSに対する治療を行った対象から試料を採取する工程、および前記試料中のmiRNA及び/又はその標的遺伝子の遺伝子産物を測定する工程を含む。

0031

本発明の治療効果判定方法において、ALS患者に対する治療効果を判定する場合には、表1に記載のALS検出用miRNAをバイオマーカーとして用いる場合、当該治療を行う前のALS患者血漿中では、そのmiRNA濃度が健常者よりも高い数値を示す傾向がある。当該miRNA濃度が、治療を行うことにより低下した場合、その治療は効果があったと判定することができる。一方、治療を行っても低下しなかった場合には、その治療は効果がなかったと判定することができる。ただし、miRNAは複数種で個々に標的遺伝子の発現制御を行っていることが推定されるので、個々のmiRNA濃度が協調的に変動せずともよく、臨床症状の状態を案して治療効果が判定される。表3又は表4に記載の標的遺伝子の遺伝子産物は、表1のmiRNAに連動して変動することが期待できる。よって、表1のmiRNAの測定に併用して測定することにより、検査の精度を上げることができる。

0032

また、ALS患者に対する治療効果を判定する場合には、表2に記載のALS検出用miRNAをバイオマーカーとして用いる場合、当該治療を行う前のALS患者血漿中では、そのmiRNA濃度が健常者よりも低い数値を示す傾向がある。当該miRNA濃度が、治療を行うことにより上昇した場合、その治療は効果があったと判定することができる。一方、治療を行っても上昇しなかった場合には、その治療は効果がなかったと判定することができる。ただし、miRNAは複数種で個々に標的遺伝子の発現制御を行っていることが推定されるので、個々のmiRNA値が協調的に変動せずともよく、臨床症状の状態を勘案して治療効果が判定される。表5又は表6に記載の標的遺伝子の遺伝子産物は、表2のmiRNAに連動して変動することが期待できる。よって、表2のmiRNAの測定に併用して測定することにより、検査の精度を上げることができる。

0033

本発明の治療方法では、表1に示した、ALS患者血漿中で増大しているmiRNAを患者体内において抑制することにより、あるいは、表3又は表4に示すその標的遺伝子の遺伝子産物(好ましくはポリペプチド)を患者に補充するか、あるいは、標的遺伝子それ自体を遺伝子治療により患者に投与することにより、ALSを治療することができる。

0034

また、本発明の治療方法では、表2に示した、ALS患者血漿中で減少しているmiRNAを患者体内において増大させることにより、あるいは、表5又は表6に示すその標的遺伝子の遺伝子産物(好ましくはポリペプチド)を患者において阻害することにより、ALSを治療することができる。なお、本明細書において、用語「治療」には、疾患発症後の患者を処置する狭義の「治療」と、疾患発症前の患者を処置する「予防的療法」が含まれる。

0035

生体内のmiRNAを抑制する方法としては、それ自体公知の方法に従って実施することができ、例えば、対象miRNAの全長または一部とハイブリダイズ可能な相補的配列を含むオリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチド)を投与することによって行うことができる。
上記の抑制性オリゴヌクレオチドを患者に投与する方法としては、それ自体公知の方法に従って実施することができ、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、リン脂質膜をもつリポソーム封入する方法、エキソソーム模倣したリポソームに封入する方法、コラーゲンとの複合体として徐放化させる方法、RNAの糖部分のO(酸素)をS(硫黄)で置き換えた4’−チオRNA化による化学修飾体の利用、オリゴヌクレオチドの糖の部分を2’−F、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチルに修飾した化学修飾体の利用、などで生体内において安定的に補充する核酸補充法として実施することができる。同時に、miRNAは複数分子で標的遺伝子を制御する可能性が高いため、上記の核酸補充法に関しても、複数の核酸カクテルによる補充を好んで用いることができる。これらは、本発明における医薬組成物である。

0036

本発明の医薬組成物は、ALSの治療に用いることができ、有効成分として、表1に記載のmiRNAの少なくとも1つ(その全長または一部)に対する抑制性オリゴヌクレオチド、表2に記載のmiRNAの少なくとも1つ(その全長または一部)と同様の作用を有するオリゴヌクレオチド(好ましくはmiRNA)、表3又は表4に示す標的遺伝子の遺伝子産物(好ましくはポリペプチド)、表3又は表4に示す標的遺伝子、表5又は表6に示す標的遺伝子の遺伝子産物(好ましくはポリペプチド)を阻害する物質、及び、表5又は表6に示す標的遺伝子を阻害する物質から選んだ、少なくとも1つを含むことができ、所望により、製薬学的許容される担体を更に含むことができる。

0037

本発明の検出方法においてバイオマーカーとして用いる表1又は表2に記載のmiRNA、及び表3〜表6に記載の標的遺伝子の遺伝子産物は、ALSの治療薬をスクリーニングするために使用することができる。
本発明において、miRNAまたはその標的遺伝子の遺伝子産物を標的とする候補物質(例えば化合物)をスクリーニングする方法は、in vitroでは、直接標的分子に結合する候補物質を分光学的な変化や表面プラズモン共鳴で調べる方法(いわゆるハイスループットスクリーニング)や培養細胞に候補物質を暴露させて培養細胞中の標的(miRNAまたはその標的遺伝子の遺伝子産物)の発現を調べる方法などが適用される。さらにin vivoでは、神経変性モデル動物において、ALS症状またはALS病理像の改善を指標とした方法などが適用される。

0038

例えば、本発明のスクリーニング方法の内、表3〜表6に記載の標的遺伝子でコードされるポリペプチドを利用する態様では、前記の各種in vitroアッセイ又はin vivoアッセイを用いて実施することができる。本態様では、例えば、当該ポリペプチド又はそれを発現する細胞、組織、若しくは動物個体(特には非ヒト動物)と、候補物質とを接触させる工程、および前記候補物質とポリペプチドとの結合、前記ポリペプチドの発現量変化若しくは活性変化、又は動物固体における症状変化を分析する工程を含む方法により、実施することができる。

0039

また、本発明のスクリーニング方法の内、表1又は表2に記載のmiRNA、又は、表3〜表6に記載の標的遺伝子のmRNAの発現を指標とする態様では、例えば、候補物質を培養細胞、組織、又は動物個体(特には、非ヒト動物)に投与する工程、前記個体から試料を採取する工程、および前記試料中のmiRNA又はmRNAを測定する工程を含む方法により、実施することができる。

0040

本発明のスクリーニング方法で評価する候補物質は、特に限定されるものではないが、各種化合物に加え、各種抽出物、例えば、微生物培養上清、各種生物若しくはその組織由来天然成分若しくは抽出物を挙げることができる。また、使用する細胞は、組織から分離された培養細胞、樹立された培養細胞株ES細胞iPS細胞、Muse細胞などが、非ヒト動物においては、特定遺伝子ノックアウトあるいはノックインの処理を施したモデルマウスモデルラットなどを挙げることができる。

0041

本発明のスクリーニング方法において、表1に記載のmiRNAの少なくとも1つを測定する場合、そのmiRNA量を減少させることができる物質をALSの治療薬の候補として選択することができる。又は表2に記載のmiRNAの少なくとも1つを測定する場合、そのmiRNA量を増大させることができる物質をALSの治療薬の候補として選択することができる。
また、表3又は表4に記載の標的遺伝子のポリペプチド又はmRNAを測定する場合、その遺伝子産物の発現量又は活性を増加させることができる物質をALSの治療薬の候補として選択することができる。さらに表5又は表6に記載の標的遺伝子のポリペプチド又はmRNAを測定する場合、その遺伝子産物の発現量又は活性を減少させることができる物質をALSの治療薬の候補として選択することができる。

0042

以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。

0043

《実施例1:ALS患者血漿中における疾患関連miRNAの同定》
健常成人10人(男性5人+女性5人、平均年齢49.3±14.9)とALS患者16人(男性9人+女性7人、平均年齢65.8±8.9歳)の採血は被験者の上腕静脈から20mLの末梢血を採取し、速やかに4℃、3000rpmで10分間、遠心処理し、上清(血漿)を0.6mLずつポリプロピレンチューブ分注して−80℃で凍結保存した。凍結保存した試料0.3mLから、RNAを抽出してmiRNAを測定した。

0044

マイクロアレイは3D−Geneチップ(東レ(株))を用い、メーカー指定のmiRNA抽出液並びにハイブリダイゼーション試薬セットとHy5シングルカラーラベル(miRCURY LNA microRNA Hy5 Power labeling kit)によって試料中のmiRNAを標識し、Human miRNA Oligo chip(データベースmiRBase Release17.0から選定したヒト約1800種のmiRNAプローブを搭載)上のプローブハイブリダーゼーションを行い、3D−Geneスキャナーで結合したmiRNAの蛍光計測し、シグナル値標準化(global normalization)して用いた。健常人対照群に対する患者群(=ALS患者/健常人)のシグナル強度の変化を変動率(Fold change)として求め、変動率(Log2)のmiRNAに対して両側不等分散t検定を行い、p<0.1のmiRNAを同定した。その結果、5種類のmiRNAがALS患者血漿中で有意に増大していることを見出した(表7)。また、7種類のmiRNAがALS患者血漿中で有意に減少していることを見出した(表8)。

0045

0046

0047

これら5種類のmiRNAについて、年齢性別罹患期間、初期症状延髄、腕、脚)、ALS−FRS−R(ALS Functional Rating Scale:ALS機能評価尺度改訂版)、ALS−FRS−Rにおける球麻痺に関する評価、機能的評価、MMSE(Mini Mental State Examination:小規模認知機能検査)、FAB(Frontal Assessment Battery:前頭葉機能検査)、機能的評価(Barthel Index)、死亡時期又は侵襲的陽圧換気療法(人工呼吸器装着)の時期までの期間(Time from onset to end point:エンドポイント期間)を指標として、多変量解析(二変数分散解析で危険率5%の棄却楕円)を行った。

0048

その結果、表9に示したように、増大していた5種類のmiRNAのうち、miRNA-663bとmiR-4649-5pが、死亡ないしは永続的な侵襲的人工呼吸器接続を観察のend pointとした時に、発症からend pointまでの期間と強い負の相関を認めた。これは、疾患初期であっても結果的に疾患の進行が速い例では高いことを示し、また、他の全ての評価項目に影響を受けなかった。すなわち、miRNA-663bとmiR-4649-5pはALSにおいて、それらが増大しているほど病勢が強く、早期に(より短期間で)疾患が進行することを示すバイオマーカーとなり得ると考えられた。miRNA-663bとmiR-4649-5pの血中濃度が高い場合、標的遺伝子の機能が抑制されると考えられることから、これらの標的遺伝子の機能不全がALSの疾患増悪に関与していると考えられる。

0049

ALSでは、疾患の進行のスピードは症例によって異なり、例えば、発症から1年程度で死亡してしまう例から4−5年ほど人工呼吸器も使用せず生存する例まで様々である。前者の場合、患者本人は自分の疾患の理解や、どのような人工的なデバイスを用いて生存するか、あるいは死亡するかを理解したり、意思決定する余裕もない。疾患の進行が速い症例では、途中でその進行が緩くなることも殆ど無い。したがって、疾患の進行タイプを予知できうるバイオマーカーがあれば、発症早期の診断で、患者は今後どの程度のスピードで病態が悪化し、意思決定のための時間をどれだけ確保できるか等を推定できることが可能となる。従来の公知の方法では、疾患の進行のスピードを予測することはほとんど不可能であるあるため、本発明の臨床上の意義は極めて高く、実地医療における予後管理上の利点も大きい。

0050

0051

一方、表10に示したように、減少していた7種類のmiRNAのうち、miRNA-4299とmiR-3187-5pが、発症からend pointまでの全経過時間で補正した罹病期間との間に負の相関を認めた。年齢と関与を見せず、end pointまでの全経過時間で補正した罹病期間の間に強い負の相関を認め、miRNA-4299とmiR-3187-5pは、採血時点での疾患の進行の程度(重症度)を示すバイオマーカーとなり得ると考えられた。miRNA-4299とmiR-3187-5pの血中濃度が低い場合、標的遺伝子の機能が増幅されると考えられるが、これはALSが進行した病態の遺伝子発現状況と考えられる。

0052

0053

また、表9に示したように、miR-4649-5pは、発症からend pointまでの全経過時間で補正した罹病期間との間に負の相関を認めたことから、早期に疾患が進行することを予知できるバイオマーカーであるだけでなく、採血時点での疾患の進行の程度を検出できるバイオマーカーであると考えられた。

0054

以上のとおり、miRNA-663bとmiR-4649-5pは血漿中健常濃度に比べて2倍以上に増大している場合、また、miRNA-4299とmiR-3187-5pは血漿中健常濃度に比べて1/2以下に減少している場合は、これらは、ALSの進行に伴う病態把握用のバイオマーカーになり得ると考えられる。

0055

《実施例2:増大したALS関連miRNAの標的遺伝子予測》
疾患に関連するmiRNAが見いだされた場合には、このmiRNAが標的とする遺伝子を特定することが必要である。miRNAと標的遺伝子の関係は、1種のmiRNAには複数の標的遺伝子があり、他方、1種のタンパク質遺伝子は複数のmiRNAから調節を受けるという関係があるとされる。したがって、タンパク質遺伝子とmiRNAの相互関係はそれらが掛け合わさったものとなり、約2000種のmiRNAと1種のmiRNAあたり数百種以上に上る予測遺伝子数から、その組み合わせ数は膨大なものになる。現在のところ、miRNAと標的遺伝子の予測はバイオインフォマテクス・ツールを用いて行うことが一般的であるが、特定のタンパク質遺伝子とmiRNAの主たる組み合わせを特定することは難しく、その手法は確立されていない。本発明では、バイオインフォマティクス・ツールによるmiRNAと標的遺伝子の予測と遺伝子オントロジー解析を組み合わせて、miRNAと標的遺伝子の組み合わせを絞り込み、さらに絞り込まれた遺伝子群の中から疾患の特徴的病態を考慮したアノテーション解析から、疾患関連標的遺伝子を特定することに成功した。

0056

まず、増大が見出された5種のmiRNAについて、miRmap(Nucleic AcidsResearch 2012;40(22):11673-83)ウェッブツールで予測し、予測確率上位50遺伝子を同定した。これらのmiRNAは協働して標的遺伝子に作用していることが考えられるので、5種の増大したmiRNAの標的遺伝子の共通遺伝子を抽出した。その結果が表11で、最も共通して5種のmiRNAのうち3種の標的になっているのが、AFAP1(actin filament associated protein 1)であった。AFAP1は、AFAP110/120のヘテロダイマーとなって筋線維であるアクチンフィラメント再構成に関与する(Neurosci Lett. 2008 24; 444(2):132-136)ので、miRNAによるAFAP1の抑制は筋萎縮と関連する可能性が高い。他の因子は5種のmiRNAのうち2種に共通する標的になっていた。表11において、ALS関連性が報告されているのはZNF512Bで、最近、ALSの予後判定因子になることが報告されたが(J Neurol Sci. 2013 15; 324(1-2):163-6)、これ以外の因子は本発明によって明らかにされた。FOXK1、PGPEP1、NAT8Lも筋萎縮に関与する可能性があるので、その変動の検査は診断や病態モニタリングに利用でき、一方、これら遺伝子は創薬標的となるので、これら遺伝子を調節する作用を有する化合物は治療薬として利用することができる。

0057

0058

次に、特にALS病態との関連性で有意差が見いだされたmiR-663bとmiR-4649-5pの標的となる各50種の遺伝子群の中から、神経系に関連する遺伝子もALSに関与することが考えられるので、これらを抽出した。遺伝子選定には、遺伝子アノテーションツールであるDAVID(Nat Protoc. 2009;4(1):44-57)にてオントロジー解析を行い、Gene Ontology(biological process)で神経系のイベントに関与する遺伝子群を抽出した(表12)。これらの遺伝子群が直接ALS関連バイオマーカーとする報告は現在のところ見いだされておらず、本発明で明らかにされた。特にDCLK1はモータータンパク質であるkinesinに関係することが興味深い。すなわち、シナプス小胞輸送に関与するKIF3(kinesin-3 motor protein)が機能を発揮するためにはDCLK1が必要であるという報告がある(Mol Cell. 2012; 47(5): 707-721)。ALSとの関連性については、KIF3の構成タンパク質のKIF3Bの発現がALSの増悪因子のひとつであるSOD1変異体によって低下すること(Human Molecular Genetics, 2002;11(17): 2061-2075)、患者群によってはKIF3を構成するKIFAP3の発現が低下すると孤発性ALSの生存率が高まる可能性があること(Proc Natl Acad Sci USA. 2009;106(22):9004-9009)などが報告されている。これらの報告から、DCLK1の発現増強を促進する化合物は、KIF3の正常化によってALSの治療薬になる可能性が示唆される。

0059

0060

《実施例3:減少したALS関連miRNAの標的遺伝子予測》
実施例2と同様に、減少が見出された7種のmiRNAについて、miRmapウェッブツールで予測し、予測確率上位50遺伝子を同定した。これらのmiRNAは協働して標的遺伝子に作用していることが考えられるので、7種の増大したmiRNAの標的遺伝子の共通遺伝子を抽出した。その結果が表13で、共通性はいずれも7種のmiRNAのうちの2種にあった。DCX(doublecortin)は、増大するmiRNAの標的遺伝子としても同定され、減少するmiRNAからも制御されていることが示され、興味深い。

0061

0062

次に、特にALS病態との関連性で有意差が見いだされたmiR-4299とmiR-3187-5pの標的となる各50種の遺伝子群の中で神経系に関連する遺伝子もALSに関与することが考えられることから、これらを抽出した。遺伝子選定には、遺伝子アノテーションツールであるDAVIDにてオントロジー解析を行い、Gene Ontology(biological process)で神経系のイベントに関与する遺伝子群を抽出した(表14)。これらの遺伝子群が直接ALS関連バイオマーカーとする報告は現在のところ見いだされておらず、本発明で明らかにされた。

実施例

0063

0064

本発明は、ALSの検査診断並びに治療に利用することができる。さらに、同疾患の治療薬となる化合物のスクリーニングに利用することができる。

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