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技術 ドリル

出願人 三菱日立ツール株式会社
発明者 古野真弘清水武則
出願日 2014年1月16日 (6年9ヶ月経過) 出願番号 2014-005578
公開日 2015年7月23日 (5年3ヶ月経過) 公開番号 2015-131384
状態 特許登録済
技術分野 穴あけ工具
主要キーワード 双曲放物面 同一諸元 穴あけ用ドリル ノンステップ 開き角θ 番取り 側端点 ホーニング面
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年7月23日)のものです。
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図面 (8)

課題

金属への穴あけ加工時切り屑排出性を高め、ドリルに高送りでの穴あけ加工の際の切り屑の生成を促し、切り屑の詰まりを抑制する機能を持たせたる。

解決手段

シャンク部3の軸方向先端部側に複数枚切れ刃50を有し、切れ刃50が半径方向外周側主切れ刃51と半径方向中心側に位置する副切れ刃52からなり、各切れ刃50の逃げ面100の回転方向後方側シンニング部30が形成されたドリル1において、シンニング部30を逃げ面100の回転方向後方側に形成される前方側シンニング面31と、副切れ刃52の回転方向前方側に形成され、副切れ刃52のすくい面を兼ねる後方側シンニング面32から構成し、後方側シンニング面32と前方側シンニング面31がそれぞれ曲面を形成しながら、後方側シンニング面32から前方側シンニング面31へかけて連続した曲面を形成する。

概要

背景

金型加工部品加工等、工作機械に保持されて使用される穴あけ用ドリルによる加工では、切り屑詰まり等によるドリルの損傷がドリルの寿命を早めるため、切り屑の排出性を高めることがドリルを製作する上での一つの目標になる。切れ刃が生成する切り屑の形状はドリルの食い付き開始時とその後の切削時とで異なるが、食い付き時以降には主に切れ刃が切り屑を生成し、切れ刃のすくい面に沿って成長させ、すくい面に面する溝へ排出させるため、切れ刃のすくい面と溝の形状との関係が切り屑の排出性を決定付ける要素になる。

切れ刃の半径方向中心側の回転方向前方側から、隣接する切れ刃の逃げ面の回転方向後方側までには、チゼルエッジの長さを短縮し、切削時のスラストを低減するシンニング部が形成されるが、このシンニング部は切れ刃の回転方向前方側の切れ刃側シンニング面と逃げ面の回転方向後方側の逃げ面側シンニング面から構成される。切れ刃側シンニング面は切れ刃の内、半径方向中心側の副切れ刃のすくい面を兼ね、逃げ面側シンニング面は切り屑排出用の溝に連続するため、切り屑の排出上、両シンニング面の交差部分は連続性を持つことが適切であり、凹曲面状に形成される(特許文献1〜5参照)。

切れ刃側シンニング面と逃げ面側シンニング面の交差部分である溝底が凹曲面状に形成されることで、副切れ刃が切削し、生成した切り屑が切れ刃側シンニング面(すくい面)に誘導されながら、逃げ面側シンニング面側へ送り込まれ、そのまま回転して切り屑排出用の溝へ排出されようとするため、切り屑の排出性が向上する利点があると考えられる(特許文献1)。

但し、切れ刃は半径方向には外周側の主切れ刃内周(中心)側の、切れ刃側シンニング面に面する副切れ刃(シンニング刃)に区分され、副切れ刃が切削した切り屑は逃げ面側シンニング面側へ送り込まれようとし(特許文献1)、切り屑は副切れ刃のすくい面となる切れ刃側シンニング面に沿って成長しようとするため、生成される切り屑を成長させながら溝へ排出させる上では、シンニング部の溝底が凹曲面状であるだけでは十分とは言い難い。

切れ刃の内、主切れ刃が切削し、生成する切り屑は溝の表面に沿って成長し、そのままカールした形で溝から排出されるが(特許文献5)、副切れ刃は主切れ刃とは異なる方向を向くことから、副切れ刃が切削した切り屑は切れ刃側シンニング面(すくい面)から逃げ面側シンニング面側へ送り込まれた後に溝へ排出されようとするため、主切れ刃が切削した切り屑と同様には処理できないと考えられる。

特許文献1〜4ではドリルの回転軸(中心)に関して点対称位置で対になるシンニング面を互いにオーバーラップするように形成することで、シンニング部の容積を拡大し、切り屑の排出性を高めているが、シンニング面自体が全体として連続した曲面をなしていないため、切り屑はシンニング部内で円滑に生成されにくいと想像される。

特許文献5では切れ刃(シンニング刃5)のすくい面8とは別に切れ刃側シンニング面(第1のシンニング面6)を形成し、切れ刃すくい面8と切れ刃側シンニング面6との交差部を凹曲面に形成することで、すくい面8と切れ刃側シンニング面6との間の連続性を確保している(請求項2、図4−(b))。

概要

金属への穴あけ加工時切り屑排出性を高め、ドリルに高送りでの穴あけ加工の際の切り屑の生成を促し、切り屑の詰まりを抑制する機能を持たせたる。シャンク部3の軸方向先端部側に複数枚の切れ刃50を有し、切れ刃50が半径方向外周側の主切れ刃51と半径方向中心側に位置する副切れ刃52からなり、各切れ刃50の逃げ面100の回転方向後方側にシンニング部30が形成されたドリル1において、シンニング部30を逃げ面100の回転方向後方側に形成される前方側シンニング面31と、副切れ刃52の回転方向前方側に形成され、副切れ刃52のすくい面を兼ねる後方側シンニング面32から構成し、後方側シンニング面32と前方側シンニング面31がそれぞれ曲面を形成しながら、後方側シンニング面32から前方側シンニング面31へかけて連続した曲面を形成する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

シャンク部の軸方向先端部側に、複数枚切れ刃と、周方向に隣接する前記切れ刃間に溝を有する刃部を備え、前記切れ刃が半径方向外周側主切れ刃とこの主切れ刃に連続し、前記主切れ刃の半径方向中心側に位置する副切れ刃からなり、前記各切れ刃逃げ面の回転方向後方側に前記溝に面するシンニング部が形成されたドリルであり、前記シンニング部は前記逃げ面の回転方向後方側に形成される前方側シンニング面と、前記副切れ刃の回転方向前方側に形成され、前記副切れ刃のすくい面を兼ねる後方側シンニング面から構成され、前記後方側シンニング面と前記前方側シンニング面がそれぞれ曲面を形成しながら、前記後方側シンニング面から前記前方側シンニング面へかけて連続した曲面を形成していることを特徴とするドリル。

請求項2

前記連続した曲面は前記刃部側から前記シャンク部側へかけ、回転方向前方側から後方側へ向かって傾斜した母線が半径方向中心側から半径方向外周側へ向かい、曲線に沿って平行移動して描く曲面であり、曲率が連続的に変化していることを特徴とする請求項1に記載のドリル。

請求項3

前記曲率は半径方向中心側から半径方向外周側へかけて次第に小さくなっていることを特徴とする請求項2に記載のドリル。

請求項4

前記切れ刃の回転方向前方側にホーニング面が形成され、このホーニング面の回転方向前方側の、前記主切れ刃と前記副切れ刃の境界位置に回転方向前方側に突出する突出部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のドリル。

請求項5

前記突出部の回転方向前方側の先端から前記後方側シンニング面と前記溝との間の外周側境界線が前記シャンク部側へ向かって連続し、この外周側境界線は凸の稜線をなしていることを特徴とする請求項4に記載のドリル。

技術分野

0001

本発明は主として工作機械等で使用され、金属への穴あけ加工時切り屑排出性を高め、特に高送りでの穴あけ加工時にも切り屑の生成を促し、切り屑の詰まりを抑制する機能を持たせたドリルに関するものである。

背景技術

0002

金型加工部品加工等、工作機械に保持されて使用される穴あけ用ドリルによる加工では、切り屑の詰まり等によるドリルの損傷がドリルの寿命を早めるため、切り屑の排出性を高めることがドリルを製作する上での一つの目標になる。切れ刃が生成する切り屑の形状はドリルの食い付き開始時とその後の切削時とで異なるが、食い付き時以降には主に切れ刃が切り屑を生成し、切れ刃のすくい面に沿って成長させ、すくい面に面する溝へ排出させるため、切れ刃のすくい面と溝の形状との関係が切り屑の排出性を決定付ける要素になる。

0003

切れ刃の半径方向中心側の回転方向前方側から、隣接する切れ刃の逃げ面の回転方向後方側までには、チゼルエッジの長さを短縮し、切削時のスラストを低減するシンニング部が形成されるが、このシンニング部は切れ刃の回転方向前方側の切れ刃側シンニング面と逃げ面の回転方向後方側の逃げ面側シンニング面から構成される。切れ刃側シンニング面は切れ刃の内、半径方向中心側の副切れ刃のすくい面を兼ね、逃げ面側シンニング面は切り屑排出用の溝に連続するため、切り屑の排出上、両シンニング面の交差部分は連続性を持つことが適切であり、凹曲面状に形成される(特許文献1〜5参照)。

0004

切れ刃側シンニング面と逃げ面側シンニング面の交差部分である溝底が凹曲面状に形成されることで、副切れ刃が切削し、生成した切り屑が切れ刃側シンニング面(すくい面)に誘導されながら、逃げ面側シンニング面側へ送り込まれ、そのまま回転して切り屑排出用の溝へ排出されようとするため、切り屑の排出性が向上する利点があると考えられる(特許文献1)。

0005

但し、切れ刃は半径方向には外周側の主切れ刃内周(中心)側の、切れ刃側シンニング面に面する副切れ刃(シンニング刃)に区分され、副切れ刃が切削した切り屑は逃げ面側シンニング面側へ送り込まれようとし(特許文献1)、切り屑は副切れ刃のすくい面となる切れ刃側シンニング面に沿って成長しようとするため、生成される切り屑を成長させながら溝へ排出させる上では、シンニング部の溝底が凹曲面状であるだけでは十分とは言い難い。

0006

切れ刃の内、主切れ刃が切削し、生成する切り屑は溝の表面に沿って成長し、そのままカールした形で溝から排出されるが(特許文献5)、副切れ刃は主切れ刃とは異なる方向を向くことから、副切れ刃が切削した切り屑は切れ刃側シンニング面(すくい面)から逃げ面側シンニング面側へ送り込まれた後に溝へ排出されようとするため、主切れ刃が切削した切り屑と同様には処理できないと考えられる。

0007

特許文献1〜4ではドリルの回転軸(中心)に関して点対称位置で対になるシンニング面を互いにオーバーラップするように形成することで、シンニング部の容積を拡大し、切り屑の排出性を高めているが、シンニング面自体が全体として連続した曲面をなしていないため、切り屑はシンニング部内で円滑に生成されにくいと想像される。

0008

特許文献5では切れ刃(シンニング刃5)のすくい面8とは別に切れ刃側シンニング面(第1のシンニング面6)を形成し、切れ刃すくい面8と切れ刃側シンニング面6との交差部を凹曲面に形成することで、すくい面8と切れ刃側シンニング面6との間の連続性を確保している(請求項2、図4−(b))。

先行技術

0009

特開2003−266225号公報(請求項1、段落0012、0014、0017、図2
特開2009−18360号公報(段落0012、0017、0024、図3
特開2008−296313号公報(請求項1、段落0023、図3図6
特開2008−213121号公報(段落0018、図3
特開2001−79707号公報(請求項2、段落0010〜0018、図2図4

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、前記のように副切れ刃が切削した切り屑は副切れ刃のすくい面となる切れ刃側シンニング面に沿って成長しようとすることから、切れ刃側シンニング面と逃げ面側シンニング面との交差部を含め、両シンニング面の全体が曲面として連続していなければ、不連続となる境界線から切り屑に抵抗が作用することが想定されるため、切り屑の成長が阻害される可能性がある。

0011

本発明は上記背景より、シンニング部内での切り屑の生成と成長を促し、切り屑の分断や詰まりが生じにくい形態のドリルを提案するものである。

課題を解決するための手段

0012

請求項1に記載の発明のドリルは、シャンク部の軸方向先端部側に、複数枚の切れ刃と、周方向に隣接する前記切れ刃間に溝を有する刃部を備え、前記切れ刃が半径方向外周側の主切れ刃とこの主切れ刃に連続し、前記主切れ刃の半径方向中心側に位置する副切れ刃からなり、前記各切れ刃の逃げ面の回転方向後方側に前記溝に面するシンニング部が形成されたドリルであり、
前記シンニング部が前記逃げ面の回転方向後方側に形成される前方側シンニング面と、前記副切れ刃の回転方向前方側に形成され、前記副切れ刃のすくい面を兼ねる後方側シンニング面から構成され、
前記後方側シンニング面と前記前方側シンニング面がそれぞれ曲面を形成しながら、前記後方側シンニング面から前記前方側シンニング面へかけて連続した曲面を形成していることを特徴とする。

0013

切れ刃は図1に示すように半径方向外周側に位置し、溝5に面する主切れ刃51と、主切れ刃51に連続し、主切れ刃51の半径方向中心側に位置する副切れ刃52とに区分される。「半径方向」とは、ドリル1の回転軸(中心)Oに直交する断面上、ドリル1の回転軸Oを通る直線(直径)の方向を言う。シンニング部30は前方側シンニング面31と後方側シンニング面32から構成され、前方側シンニング面31は逃げ面100の回転方向後方側の端縁(逃げ面側境界線Q)から回転方向後方側に形成される。「回転方向」とは、図1に矢印Rで示すドリル1の回転する向きを言い、ドリル1の外周面が進む側を前方側、反対側を後方側と言う。

0014

後方側シンニング面32は副切れ刃52のすくい面を兼ねるため、副切れ刃52の区間から回転方向前方側に形成されて前方側シンニング面31に連続する。この後方側シンニング面32と前方側シンニング面31がそれぞれ曲面をなしながら、後方側シンニング面32から前方側シンニング面31へかけて連続した曲面を形成する。後方側シンニング面32と前方側シンニング面31との間には明確な境界線はない。

0015

後方側シンニング面32と前方側シンニング面31が形成する連続した曲面は、例えばドリル1の刃部2側からシャンク部3側へかけ、回転方向前方側から後方側へ向かって傾斜した直線(母線)が半径方向中心側から半径方向外周側へ向かい、ある曲線に沿って平行移動して描く曲面であり、曲率が連続的に変化する曲面である(請求項2)。但し、段差のない連続した曲面であれば、曲面の形態は問われない。母線が移動する曲線は例えばクロソイド曲線のように曲率が連続して変化する曲線であり(請求項3)、その場合の曲率(曲率半径)は半径方向中心側から半径方向外周側へかけて次第に小さく(大きく)なり、母線は「曲率が連続的に変化する曲面」を描く。クロソイド曲線は直線を含み得る(直線から曲線に移行し得る)ため、母線がクロソイド曲線に沿って移動したときにできる曲面である後方側シンニング面32と前方側シンニング面31には平面(平坦面)が含まれることもある。

0016

図2には曲面を描く母線が移動する曲線を破線で示しており、この曲線は後方側シンニング面32から前方側シンニング面31にかけての領域を例えば図4にz−z線で示す、後方側シンニング面32から前方側シンニング面31へかけ、先端部側からシャンク部3側へ向かって傾斜した平面で切断したときに表れる切断線を示している。図5は後方側シンニング面32から前方側シンニング面31にかけての領域を図2のy−y線を通る切断面で切断したときの断面を概略的に示し、図6は回転軸Oに直交する、図4にx−x線で示す切断面で切断したときの切断面を示している。

0017

後方側シンニング面32と前方側シンニング面31のそれぞれが曲面をなし、且つ後方側シンニング面32から前方側シンニング面31へかけて連続した曲面を形成することで、後方側シンニング面32の副切れ刃52側の端縁から前方側シンニング面31の端縁である外周面(2番取り面12)までの領域は段差がない連続した曲面になる。この結果、副切れ刃52が切削して形成した切り屑は副切れ刃52のすくい面である後方側シンニング面32に沿って回転しながら成長し、ドリルの回転に伴って前方側シンニング面31側へ送り込まれ、そのまま溝5へ排出されようとするため、切り屑が溝5に到達するまでの間にシンニング部30内では分断されにくくなり、シンニング部30内での詰まりが生じにくくなる。

0018

特に後方側シンニング面32の副切れ刃52側の端縁から前方側シンニング面31の端縁までの領域が、曲率が連続的に変化する曲面を形成する場合(請求項2、3)には、曲面が不連続である場合に生じる突起になり得る不連続な境界線がなく、切り屑が成長する過程でシンニング面32、31から分断する力を受けにくくなるため、切り屑の成長と溝5への排出が円滑に生じ易くなる。図2に破線で示すように曲面の曲率が半径方向中心側から半径方向外周側へかけて次第に小さくなる場合(請求項3)には、切り屑がカールして成長するときに、シンニング面32、31が次第に増大する切り屑の外形寸法に対応した案内面になるため、切り屑の成長がより促されることになる。

0019

切れ刃50の内、主切れ刃51が切削した切り屑と、副切れ刃52が切削した切り屑を分割させて生成させることは、切れ刃50の回転方向前方側にホーニング面15を形成し、このホーニング面15の回転方向前方側の、主切れ刃51と副切れ刃52の境界位置に回転方向前方側に突出する突出部15aを形成することで確実になる(請求項4)。突出部15aの溝5側(回転方向前方側)の先端V1は図2図3に示すようにホーニング面15と後方側シンニング面32との間のシンニング面側境界線W1と、ホーニング面15と溝5との間の溝側境界線W2と、後方側シンニング面32と溝5との間の外周側境界線W3とが交わる点に該当する。

0020

切れ刃50に形成されるホーニング面15の回転方向前方側の、主切れ刃51と副切れ刃52の境界位置に、回転方向前方側に突出する突出部15aが形成されることで、切れ刃50が被削材を切削するときに突出部15aの先端が切り屑を主切れ刃51側と副切れ刃52側とに切り離す(分離させる)働きをするため、切れ刃50が被削材の切削を開始するときから、切り屑を主切れ刃51が生成する切り屑と副切れ刃52が生成する切り屑とに分割させることが可能になる。

0021

主切れ刃51が生成する切り屑と副切れ刃52が生成する切り屑が互いに分割されることで、主切れ刃51が生成する切り屑を溝5内で成長させながら溝5から排出する一方、副切れ刃52が生成する切り屑を前方側シンニング面31へ送り込みながら成長させた後に、溝5へ排出することが可能になる。切り屑の生成当初から切り屑が分割されることで、切れ刃50が生成する切り屑が分割されない場合との対比では、溝5内へ直接、処理される切り屑とシンニング部30内を経由してから溝5へ処理される切り屑とに分割されて排出されるため、シンニング部30内、あるいは溝5内で切り屑が詰まる可能性が低下し、切り屑の排出性が向上する。

0022

特に図2図3に示すように突出部15aの回転方向前方側の先端V1から後方側シンニング面32と溝5との間の外周側境界線W3がシャンク部3側へ向かって連続し、外周側境界線W3が凸の稜線をなしている場合(請求項5)には、先端V1から外周側境界線W3にかけての区間が切り屑を半径方向外周側と中心側に分断させる刃の役目を果たすため、切れ刃50が生成する切り屑を主切れ刃51側と副切れ刃52側とに分割させる効果が高まり、切り屑の分割による排出効果が向上する。

発明の効果

0023

副切れ刃のすくい面を兼ねる後方側シンニング面とその回転方向前方側の前方側シンニング面のそれぞれが曲面をなし、後方側シンニング面から前方側シンニング面へかけて連続した曲面を形成し、後方側シンニング面の副切れ刃側の端縁から前方側シンニング面の端縁である外周面(2番取り面)までの領域を段差がない連続した曲面にするため、副切れ刃が切削して形成した切り屑を後方側シンニング面に沿って成長させ、そのまま溝へ排出することができる。この結果、切り屑がシンニング部内で分断しにくくし、シンニング部内で詰まりにくくすることができる。

0024

特に後方側シンニング面の副切れ刃側の端縁から前方側シンニング面の端縁までの領域が、曲率が連続的に変化する曲面を形成する場合には、切り屑が成長する過程でシンニング面から分断する力を受けにくくすることができるため、切り屑の成長と溝への排出を円滑に生じ易くすることができる。

図面の簡単な説明

0025

刃部をドリルの軸方向に見たときの、切れ刃とシンニング部の様子を示した端面図である。
ドリルの軸方向に対して傾斜した角度で図1に示す刃部を見た様子を示した端面図である。
図2の副切れ刃部分の拡大図である。
図1のa−a線の矢視図である。
図2のy−y線の断面の概略図である。
図4のx−x線の断面図である。
ドリルの全体を示した側面図である。

実施例

0026

図1図7に示すようにシャンク部3の軸方向先端部側に、複数枚の切れ刃50と、周方向に隣接する切れ刃50、50間に切り屑排出用の溝5を有する刃部2を備え、各切れ刃50の逃げ面100の回転方向後方側に溝5に面するシンニング部30が形成されたドリル1の刃部2の端面を示す。刃部2の先端部である刃先部4はドリル1の回転方向に均等に形成される複数の逃げ面100からなり、各逃げ面100の回転方向前方側に切れ刃50が形成され、回転方向後方側にシンニング部30が形成される。切れ刃50は半径方向外周側の主切れ刃51と、主切れ刃51に連続し、主切れ刃51の半径方向中心側に位置する副切れ刃52からなる。図面では切れ刃50が2枚の場合の例を示しているが、切れ刃50は3枚以上の場合もある。

0027

溝5のねじれ角は20〜40度程度に設定される。ねじれ角が20度より小さければ切り屑が切削穴を通じて上昇しにくく、40度より大きければ溝5の研削量(容積)が大きくなるためにドリル1の剛性が低下し、折損し易くなることによる。

0028

シンニング部30は逃げ面100の回転方向後方側に形成される前方側シンニング面31と、副切れ刃52の回転方向前方側に形成され、副切れ刃52のすくい面を兼ねる後方側シンニング面32から構成される。後方側シンニング面32と前方側シンニング面31は図5図6に示すようにそれぞれ曲面を形成しながら、後方側シンニング面32から前方側シンニング面31へかけて連続した曲面を形成する。「連続した曲面」とは、後方側シンニング面32の曲面と前方側シンニング面31の曲面との間に曲率が不連続になる曲面を挟まないことであり、後方側シンニング面32と前方側シンニング面31との間に明確な境界線が表れないことを言う。

0029

図5図2において副切れ刃52と前方側シンニング面31をy−y線で示す方向の切断面で切断したときのドリル1の断面の概略を、図6図4においてx−x線で示す、回転軸Oに直交する方向の切断面で切断したときのドリル1の断面を示す。図2におけるy−y線は回転軸Oに直交等、交差する方向を指しているが、実際には回転軸Oに平行な方向の切断面で切断した断面をy−y線の方向に見たときの断面を示している。よって図5はドリル1を立てたときの鉛直断面(回転軸Oに平行な断面)を、図6水平断面(回転軸Oに垂直な断面)を表している。図5図6から、いずれの断面で見ても後方側シンニング面32と前方側シンニング面31がそれぞれ曲面を形成しながら、連続した曲面を形成していることが分かる。図4中、後方側シンニング面32と前方側シンニング面31との間にある破線は後述のシンニング面側境界線W1から外周側境界線W3にかけて後方側シンニング面32と前方側シンニング面31との境界を便宜的(仮想的)に示した境界線であるが、後方側シンニング面32から前方側シンニング面31に移行する区間は連続した曲面を形成しているため、実際にはこの境界線は見えない。

0030

両シンニング面32、31の連続した曲面は具体的には、刃部2側からシャンク部3側へかけ、回転方向前方側から後方側へ向かって傾斜した母線(直線)が半径方向中心側から半径方向外周側へ向かい、例えば図2に破線で示すような、曲率が連続的に変化した曲線に沿って平行移動して描く曲面になっている。この連続した曲面は接線曲面や双曲放物面等になるが、一部に平面が含まれることもある。

0031

逃げ面100は切れ刃50の回転方向後方側に向かって切れ刃50に連続する2番面10と、2番面10の後方側に連続し、2番面10の逃げ角より大きい逃げ角を持つ3番面11からなり、3番面11の回転方向後方側に逃げ面側境界線Qを境界として前方側シンニング面31が形成される。後方側シンニング面32は切れ刃50の内、副切れ刃52の回転方向前方側に形成され、前方側シンニング面31に連続する。逃げ面100の内、刃先部4の端面から見たときの面積が大きい3番面11の領域内にオイルホール9の端部の開口が位置している。

0032

オイルホール9の穴径刃径Dの15〜20%が適切である。穴径が刃径Dの15%未満であればクーラントの流量が十分に供給されずに安定した切削が困難になり、20%を越えればドリル1の断面積が減少するためにドリル1の剛性が低下することによる。

0033

図1では2番面10と3番面11との境界を境界線Pで示し、3番面11と前方側シンニング面31との境界を逃げ面側境界線Qで、2番面10と前方側シンニング面31との境界を中心側境界線Sでそれぞれ示している。また逃げ面側境界線Qの半径方向外周側の端点をT2、半径方向中心側の端点をT1で示し、中心側境界線Sの副切れ刃52との境界点をU1で、副切れ刃52と主切れ刃51との境界点をU2で示している。図1ではまた、ドリル1の回転軸(中心)をOで示すが、切れ刃50が2枚の場合、切れ刃50と逃げ面100はドリル1の中心Oに関して点対称に形成され、中心Oを挟んだ副切れ刃52、52間にチゼルエッジ13が形成される。

0034

切れ刃50は前記のように半径方向外周側に位置し、溝5側を向く主切れ刃51と、その半径方向中心側に位置し、逃げ面100(逃げ面側境界線Q)側を向く副切れ刃52とに区分されている。主切れ刃51の半径方向外周側はランド8に連続し、ランド8はドリル1外周面のマージン6、7に連続する。ドリル1外周面のマージン6、7から回転方向後方側の区間には切削時の摩擦低減のための2番取り面12が形成される。

0035

ランド幅は刃径Dの1〜25%程度、より好ましくは3〜20%程度に設定される。ランド幅が刃径Dの1%未満であれば穴内でのドリル1の安定性が低下し、切削中、穴内で案内されにくくなり、25%を越えると穴の内周面に接触する面積が増加し、摩擦抵抗が大きくなり過ぎることによる。

0036

心厚は刃径Dの10〜40%程度に設定される。心厚が刃径Dの10%未満であればドリル1の剛性が低下することで折損の可能性が高まり、40%を越えると溝5の容積が小さくなることで切り屑の排出性が低下することによる。心厚は刃部2の全長に亘って一定である場合と、刃先部4からシャンク部3へかけて次第に増大する場合がある。

0037

刃部2には0.1/100〜0.4/100程度のバックテーパテーパ深さ/溝長)が付けられる。バックテーパが0.1/100より小さければマージン6、7が刃部2の全長に亘って穴の内壁に接触し易くなることで折損の可能性が高く、0.4/100より大きければマージン6、7による穴内での案内の効果が低下することでドリル1が振動し易くなり、折損し易くなることによる。

0038

主切れ刃51と副切れ刃52が異なる方向を向くことで、切れ刃50が生成する切り屑は主切れ刃51が生成する切り屑と副切れ刃52が生成する切り屑とに区分されるため、主切れ刃51が生成した切り屑は溝5内でカールしながら成長しようとし、副切れ刃52が生成した切り屑はシンニング面31に沿ってカールしながら成長しようとする。

0039

ここで、後方側シンニング面32と前方側シンニング面31がそれぞれ曲面を形成しながら、後方側シンニング面32から前方側シンニング面31へかけて連続した曲面を形成することで、後方側シンニング面32から前方側シンニング面31へかけて不連続な境界線が存在しないため、成長過程にある切り屑がいずれかのシンニング面32、31から抵抗を受けにくい状態にあり、切り屑が破断する可能性が低下している。結果として副切れ刃52が切削した切り屑は前方側シンニング面31の半径方向外周側の端縁まで破断することなく成長し易く、そのまま溝5へ排出されようとする。

0040

また後方側シンニング面32から前方側シンニング面31へかけて連続した曲面の曲率が半径方向中心側から半径方向外周側へかけて次第に小さくなっている場合には、副切れ刃52が切削した切り屑がカールしながら円錐形状に成長するときに、次第に増大する切り屑の外径に曲面が適合するため、切り屑の成長が阻害されることがなくなっている。

0041

切れ刃50の回転方向前方側には、回転軸Oが紙面に垂直な状態にある図1の回転軸Oを傾斜させた状態を示す図2のように主切れ刃51と副切れ刃52に亘り、切れ刃50の欠けを防止するホーニング面15が形成される。ホーニング面15の回転方向前方側の境界線は副切れ刃52の区間のシンニング面側境界線W1と主切れ刃51の区間の溝側境界線W2とに区分される。図2図1に示す回転軸Oのシャンク部3側を手前(視点)側へ傾斜させた状態を示す。図2には図4におけるz−z線の断面を取ったときに後方側シンニング面32から前方側シンニング面31にかけて表れる切断線を破線で示している。この破線は前記した母線が通る軌跡を示している。

0042

シンニング面側境界線W1と溝側境界線W2の交点図2図3に示すようにシンニング面31側、もしくはシャンク部3側へ突出した突出部15aの先端V1になる。この突出部15aの先端V1からは、後方側シンニング面32と溝5との間の境界線である外周側境界線W3がシャンク部3側へ向かって連続する。この外周側境界線W3はシンニング部30と溝5との間の境界線でもあり、図2に示すようにヒール14にまで連続する。

0043

図3に示すようにシンニング面側境界線W1と溝側境界線W2、及び外周側境界線W3は凸の稜線をなすが、特に外周側境界線W3が凸の稜線をなすことで、先端V1から外周側境界線W3にかけて連続した区間が、切れ刃50が生成した切り屑を半径方向外周側と中心側に分断させる刃として機能するため、切れ刃50が生成する切り屑を主切れ刃51側の切り屑と副切れ刃52側の切り屑とに分割させる効果を発揮する。

0044

先端V1を始点とする外周側境界線W3が切り屑を半径方向に分割させる刃として機能することで、主切れ刃51が切削した切り屑と副切れ刃52が切削した切り屑が切り屑の生成時から分割され、それぞれの切り屑が溝5の表面とシンニング面32、31に沿って成長し易くなる。ドリル1による被削材の切削開始時から主切れ刃51が生成した切り屑と副切れ刃52が生成した切り屑とに分割されることで、切り屑が分割されない場合のように、成長の状況に応じて溝5へ直接、排出されずにシンニング部30へ回り込み、切り屑がシンニング部30内に集中して停滞するようなことがないため、切り屑のシンニング部30での詰まりが生じにくくなる。

0045

(実施例1)
以下、本発明の実施例のドリル1と、本発明の要件を備えない従来例のドリルを同一の条件下で穴あけ加工に使用した場合の対比を表1〜表3に示す。本発明の要件は「後方側シンニング面32と前方側シンニング面31がそれぞれ曲面を形成しながら、後方側シンニング面32から前方側シンニング面31へかけて連続した曲面を形成していること」である。実施例1以下では試料としてのドリルの製造むらを低減するために、本発明の要件を満たした一種類のドリルと従来例のドリルに付き、同一の5本の試料を用意し、5本の試料の平均を取って評価した。

0046

実施例1のドリルと従来例のドリルは共に、シャンク径及びドリル直径が6.0mm 、全長が250mm、溝長が199mmの寸法と、ピッチが3.2mm、穴径が0.7mmの一対のオイルホールを持ち、ねじれ角は30度で、厚さが3μmのTiSiNの硬質皮膜が施されている。

0047

本発明のドリルの副切れ刃52のすくい面である後方側シンニング面32は前方側シンニング面31に連続する曲面であるのに対し、従来例のドリルの後方側シンニング面は平面である点で、従来のドリルと本発明のドリルは相違する。本発明のドリルと従来のドリルは後方側シンニング面32の形状が相違する点以外、同一の超硬合金基材とした同一形状、同一寸法(同一諸元)の2枚刃である。

0048

穴あけ加工は被削材としての、硬さ220HBの炭素鋼(S50C)に対し、オイルホールを通じた内部給油による湿式切削により、回転数3500回転/min、送り速度700mm/minのステップなし(ノンステップ加工)で、深さ180mmの穴をあけることを目標とした。1本のドリルでの加工はマージンが一定の逃げ面摩耗幅に到達することと、ドリルが折損することのいずれかがが起こった時点で終了し、加工が終了した穴の数をドリル寿命として評価した。マージンの逃げ面摩耗幅は0.4mmとし、5本の同一の試料に対して同一の穴あけ加工を実施した。結果を表1に示すが、平均穴数が200以上を良(○)、150〜200を可(△)、150以下を不可(×)と評価している。

0049

表1中の「開き角θ」は図1に示すように副切れ刃52(直線U1U2)と、逃げ面側境界線Qの両端T1、T2を結ぶ直線とのなす角度であり、後方側シンニング面32の回転方向後方側側端縁と前方側シンニング面31の回転方向前方側端縁とのなす角度に対応する。この角度θが大きい程、後方側シンニング面32の端縁と前方側シンニング面31の端縁とのなす角度が大きく、両シンニング面32、31に挟まれた半径方向中心寄りの領域の容積が大きく、副切れ刃52が生成した切り屑の収容能力排出能力)が高いことを意味する。但し、開き角θが大き過ぎれば、心厚等、ドリル1本体の径が小さくなることで、ドリル1の剛性が低下し、切削時に振動を生じ易くなるため、開き角θの大きさは切り屑の排出性と剛性確保の両面から制限を受ける。

0050

0051

表1より本発明例1は加工穴数(寿命)が200を超えているのに対し、従来例1は本発明例の半分強程度に留まっていることが分かる。両者は後方側シンニング面32が前方側シンニング面31に連続する曲面であるか、連続しない平面であるかの点と、開き角θの点で相違するだけであるから、本発明例1が前方側シンニング面31に連続する曲面の後方側シンニング面32を持ち、開き角θが鈍角であることの結果として、従来例1の2倍弱に近い穴あけ能力を持つと考えられる。

0052

詳しくは、後方側シンニング面32の端縁と前方側シンニング面31の端縁とのなす角度が鈍角で、両面が連続した曲面を形成することで、切り屑の生成と成長が阻害されず、成長した後に円滑に溝5へ排出されていくためであると推測される。後方側シンニング面32と前方側シンニング面31が共に曲面であることで、両シンニング面32、31に挟まれた半径方向中心寄りの領域が曲面で構成された立体の空間になるため、円錐形状に生成される切り屑が収容され易くなっていると言える。

0053

一方、従来例1では後方側シンニング面32が平面であることで、両シンニング面32、31に挟まれた半径方向中心寄りの領域が切り屑の収容に適しない形状の立体になるために、切り屑の生成が阻害され易く、切り屑が詰まりを起こし易くなっていると言える。また後方側シンニング面32と前方側シンニング面31とのなす角度が鋭角であることで、両シンニング面32、31が構成する空間の容積が小さくなっていることも切り屑の生成を阻害した理由であると考えられる。

0054

(実施例2)
実施例1の結果を受け、前記開き角θを110度に一定にしたまま、ドリル1を軸方向に見たときの、後方側シンニング面32から前方側シンニング面31へ移行する区間(U1〜T1)の曲率と、前方側シンニング面31の区間(T1〜T2)の曲率の比率を変化させた本発明例と従来例のドリルに対して実施例1と同様の寿命を比較する試験を実施した。本発明例としてU1〜T1間の曲率:T1〜T2間の曲率の比率を3:1、4.5:1、5.5:1、6:1の4種類の試料2〜5を用意し、従来例としては2.5:1、6.5:1の2種類の試料2、3を用意した。本発明例と従来例のドリルの諸元は実施例1と同じであり、穴あけ加工の要領も同じである。

0055

0056

表2より従来例2、3では平均寿命が150穴を下回るのに対し、本発明例2〜5では180穴を上回り、特に本発明例2、3では250穴を超え、従来例2の2倍弱程度の寿命を得、本発明例4でも従来例2の1.6倍の寿命を得ていることが分かる。従来例2、3は後方側シンニング面32が平面であり、前方側シンニング面31に連続した曲面を形成していない点で本発明例2〜5と相違しているため、この点に起因する、上記した寿命への影響はあると考えられる。

0057

そこで、本発明例2〜5の結果に着目すれば、U1〜T1間の曲率:T1〜T2間の曲率の比率(U1〜T1間の曲率/T1〜T2間の曲率)は3〜5.5:1(3〜5.5)程度の範囲にあることが最も適切であり、特に3〜4.5程度の範囲がより好ましく、この比率が3未満と6より大きい範囲では切削能力が低下する傾向を示すと言える。すなわち、T1〜T2間の曲率に対してU1〜T1間の曲率が小さくても、大き過ぎても切り屑の収容能力が低下し、T1〜T2間の曲率に対するU1〜T1間の曲率の比率には切り屑の生成と成長を阻害しない適切な範囲があり、その範囲が3〜5.5程度であることが言える。

0058

T1〜T2間の曲率に対するU1〜T1間の曲率の比率が3未満であれば(U1〜T1間の曲率が小さければ)、副切れ刃52のすくい面である後方側シンニング面32が副切れ刃52の下方に深く入り込む形になることで、副切れ刃52の刃先強度が低下し、チッピングを生じ易いと考えられる。一方、比率が6を超えると(U1〜T1間の曲率が大きければ)、後方側シンニング面32と前方側シンニング面31との間の領域の容積が減少することで、切り屑の成長が阻害され易く、詰まりを生じ易くなると考えられる。

0059

(実施例3)
実施例1、2の結果を受け、U1〜T1間の曲率:T1〜T2間の曲率の比率(U1〜T1間の曲率/T1〜T2間の曲率)を3:1(3)に一定にしたまま、前記開き角θを変化させた本発明例と従来例のドリルに対して実施例1と同様の試験を実施した。本発明例として開き角θを120度から90度までの4種類の試料6〜9を用意し、従来例として130度と80度の2種類の試料4、5を用意した。本発明例と従来例のドリルの諸元は実施例1と同じであり、穴あけ加工の要領も同じである。

0060

0061

表3より従来例4、5では平均寿命が150穴を下回るのに対し、本発明例6〜9では160穴を上回り、特に本発明例7、8では210穴を超え、従来例4、5より高い寿命を得ていることが分かる。本発明例7の寿命は従来例4の2倍を超えている。従来例2、3も後方側シンニング面32が前方側シンニング面31に連続した曲面を形成していない点で本発明例6〜9と相違しているため、この点に起因する寿命への影響は表れていると考えられる。

0062

そこで、本発明例6〜9の結果に着目すれば、2枚刃の場合、開き角θは100〜110度程度の範囲内にあることが適切であり、この範囲外では切削能力が低下する傾向を示すと言える。すなわち、開き角θは90度未満でも、110度を超えても切り屑の収容能力が低下し、これらの数値の範囲内が良好で、110度前後が最もよい数値であることが言える。

0063

開き角θは90度未満では後方側シンニング面32と前方側シンニング面31との間の領域の容積が減少することで、切り屑の成長が阻害され易く、詰まりを生じ易くなり、110度を超えると、シンニング部30の容積が大きくなることで、ドリル自体の剛性が低下気味になり、ドリルの寿命に影響したものと考えられる。従来例4は開き角θが大きいことで、ドリルの剛性低下を招き、従来例5は開き角θが小さいことで、後方側シンニング面32と前方側シンニング面31との間の領域の容積が減少し、切り屑が詰まり易くなっていることが寿命に影響していると考えられる。

0064

1……ドリル、
2……刃部、3……シャンク部、4……刃先部、
5……溝、
6、7……マージン、8……ランド、9……オイルホール、
100……逃げ面、10……2番面、11……3番面、12……2番取り面、
13……チゼルエッジ、14……ヒール、
15……ホーニング面、15a……突出部、
30……シンニング部、31……前方側シンニング面、32……後方側シンニング面(副切れ刃のすくい面)、
50……切れ刃、51……副切れ刃、52……主切れ刃
O……回転軸、
P……2番面と3番面との境界線、Q……逃げ面側境界線(3番面と前方側シンニング面との境界線)、
R……回転方向、S……中心側境界線(2番面と前方側シンニング面との境界線)、
T1……境界線Qと境界線Sとの交点、T2……境界線Qのドリル外周側端点
U1……境界線Sと副切れ刃との交点、U2……副切れ刃と主切れ刃との交点、
V1……溝と後方側シンニング面とホーニング面との交点、
W1……シンニング面側境界線、W2……溝側境界線、W3……外周側境界線、
θ……副切れ刃と境界線Qの両端T1、T2を結ぶ直線とのなす角度。

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