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技術 多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂

出願人 不二製油グループ本社株式会社
発明者 井上朋美渡邊慎平
出願日 2014年11月7日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2014-226831
公開日 2015年6月25日 (5年6ヶ月経過) 公開番号 2015-116188
状態 特許登録済
技術分野 食用油脂
主要キーワード 揮発性分解物 折曲点 空気吹 水溶性ポリフェノール類 重量ppm含有 粉末状油脂 乳化剤含有量 過酸化物質
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年6月25日)のものです。
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課題

優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な汎用性の高い多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂及びそれを利用した食品の提供。

解決手段

脂肪酸組成中にαリノレン酸を30〜80重量%含む多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂において、該多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂に対し水溶性茶ポリフェノール含有量が150〜4000重量ppm、乳化剤含有量が150〜4000重量ppm、該油脂中の乳化剤含有量が水溶性茶ポリフェノール含有量の1.5倍以下、及び下記方法で得られるP/Sの値が0.8以上である多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂。乳化剤ポリグリセリン縮合リシルインエステルである多価不飽和脂肪酸含有植物油脂。P:水溶性茶ポリフェノールを150〜4000重量ppm含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂のCDM定性時間。S:抗酸化物質無添加の精製大豆油のCDM安定性時間。

概要

背景

近年、必須脂肪酸であるn-3系脂肪酸の健康への有効性が広く知られるようになり、需要が高まっている。n-3系脂肪酸としては、αリノレン酸(C18:3)やエイコサペンタエン酸(EPA、20:5)、ドコサヘキサエン酸(DHA、22:6)などがあげられる。αリノレン酸は特定の植物から得られる油脂に多く含まれており、EPA、DHAは魚油に含まれている。しかし、魚油は漁獲量に左右されるため、量や価格が安定しないことがある。また植物由来の油脂を求める消費者もいる。

前記n-3系脂肪酸は、構成脂肪酸中に2重結合を多く含有するため、n-3系脂肪酸を含有する油脂は安定性が悪く、風味劣化が早い。低温遮光下で保存するなどの注意が必要であり、このため、一般的な食用油としての用途が限られており、n-3系脂肪酸を多く含有しかつ安定性の高い油脂が望まれている。

一方、多価不飽和脂肪酸含有油脂は、大豆油菜種油等の食用油と比較して酸化安定性が非常に悪く、酸素・光・熱等により容易に酸化を受け、酸化されると異味異臭や、健康への悪影響も懸念される過酸化物質を生成させる。かかる酸化安定性が著しく劣る多価不飽和酸含有油脂を利用する為、空気中の酸素との接触を遮断することを目的とする種々の方法が開示されている。乳化物とする方法として引用文献1〜引用文献8、粉末化カプセル化する方法として引用文献9〜引用文献10が、開示されている。乳化物とすると、半透明な状態に濁ったり、水分を含有したりする為、用途が限定される。また、粉末化やカプセル化しても乳化物同様に用途が限定される問題がある。かかる技術的背景から、従来の多価不飽和酸含有油脂の利用はカプセルなどで覆われた健康食品や、缶詰等のみに応用範囲が限られている。しかし、製造作業が煩雑で生産性が悪く、カプセル品は工程で既に劣化が進行し、カプセル内部の油は劣化臭を有する物が大半である。また保存中のカプセル破壊を防止するため、食品・飼料等として使用可能なカプセルの種類が限定されるなどの問題がある。

引用文献11には、酸化安定性の劣るDHAを30%以上含有する油脂と他の油を混合し、加熱調理用食用油組成物として利用する方法が開示されている。しかし、かかる方法ではDHA配合量が0.01〜0.5%と極めて量が少なく、健康に有効とされる量を摂取するには遠く及ばない。

精製した多価不飽和脂肪酸含有油脂には臭気および過酸化物質はないが、酸化が起きるとその反応は連鎖的に進行し、急速に劣化臭や過酸化物質の生成が起こることが知られている。たとえば、工場で多価不飽和脂肪酸含有油脂を使用した後で窒素ガス封入してからそれが入った密閉する必要がある等、油脂の取り扱いには様々な配慮が必要であり、その利用はおのずと制限がある。様々な酸化防止剤またはその混合物の添加により多価不飽和脂肪酸含有油脂を安定化させる試みが多くなされてきているが、それらは現在まで十分な成果を上げるまでに至っておらず、市場からの要望に反し、多価不飽和脂肪酸含有油脂を含む食品の展開は十分進んでいるとはいえない。

従来から、食用油脂の酸化安定性を向上させるため、抗酸化剤の添加が一般的に行われている。具体的には、脂溶性抗酸化剤トコフェロールの利用や、アスコルビン酸パルミテートなどが検討されている。例えば、アスコルビン酸水溶液乳化して添加する方法として引用文献2、トコフェロール・アスコルビン酸および茶抽出物を添加する方法として引用文献12、アスコルビン酸またはその塩と他の有機酸またはその塩を添加する方法として引用文献13が開示されているが、多価不飽和脂肪酸含有油脂の酸化安定性を向上させる方法としては満足できるものではなく、さらに優れた酸化防止法が望まれている。

特許文献13では、水溶性抗酸化活性物質一種又は、二種以上を含む水溶液100重量部を必要に応じて相乗剤と共に、一種又は二種以上の親油性乳化剤1〜500重量部を用いて乳化した、油中水型親油性抗酸化剤が開示されている。

特許文献14では、カテキン類を除く水溶性化合物HLBが6〜14の乳化剤を水またはアルコールに溶解し、得られた溶液ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加して、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル中水乳化液を調製し、この乳化液に酵素分解レシチン0.5〜30重量部を添加して、十分に混和して得られる、油脂に可溶な水溶性化合物油溶化製剤が開示されている。

特許文献15では、アスコルビン酸、エリソルビン酸コウジ酸没食子酸リンゴ酸等の油脂に難溶性抗酸化物質エタノールのような低級アルキルアルコールに溶解し、ついでクエン酸モノグリセライド等の有機酸モノグリセライドに溶解し、さらに混合溶液をポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルに溶解することにより、油脂への溶解性が良好な抗酸化剤組成物が開示されている。

特許文献16では、緑茶由来ヘキサン可溶分及びカテキンを油脂に添加して70〜130℃に加熱し、磨砕することを特徴とするカテキン分散油脂の製造方法が開示されている。

概要

優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な汎用性の高い多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂及びそれを利用した食品の提供。脂肪酸組成中にαリノレン酸を30〜80重量%含む多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂において、該多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂に対し水溶性茶ポリフェノール含有量が150〜4000重量ppm、乳化剤含有量が150〜4000重量ppm、該油脂中の乳化剤含有量が水溶性茶ポリフェノール含有量の1.5倍以下、及び下記方法で得られるP/Sの値が0.8以上である多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂。乳化剤がポリグリセリン縮合リシルインエステルである多価不飽和脂肪酸含有植物油脂。P:水溶性茶ポリフェノールを150〜4000重量ppm含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂のCDM安定性時間。S:抗酸化物質無添加の精製大豆油のCDM安定性時間。なし

目的

低温や遮光下で保存するなどの注意が必要であり、このため、一般的な食用油としての用途が限られており、n-3系脂肪酸を多く含有しかつ安定性の高い油脂が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

構成脂肪酸組成中にαリノレン酸を30重量%〜80重量%含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂において、該多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂に対し水溶性茶ポリフェノール含有量が150重量ppm〜4000重量ppm、乳化剤含有量が150重量ppm〜4000重量ppm、該油脂中の乳化剤含有量が水溶性茶ポリフェノール含有量の1.5倍以下、及び下記方法で得られるP/Sの値が0.8以上である多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂。P:水溶性茶ポリフェノールを150重量ppm〜4000重量ppm含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂のCDM定性時間S:抗酸化物質無添加の精製大豆油のCDM安定性時間

請求項2

多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂に対し水溶性茶ポリフェノール含有量が250重量ppm〜2500重量ppm、乳化剤含有量が250重量ppm〜2500重量ppm、該油脂中の乳化剤含有量が水溶性茶ポリフェノール含有量の1.2倍以下、及び下記方法で得られるP/Sの値が1.0以上である請求項1に記載の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂。P:水溶性茶ポリフェノールを250重量ppm〜2000重量ppm含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂のCDM安定性時間S:抗酸化物質無添加の精製大豆油のCDM安定性時間

請求項3

乳化剤ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである請求項1又は請求項2に記載の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂。

請求項4

請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂を10%以上含む粉末状油脂

請求項5

請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂を使用した食品

請求項6

全油分中の水溶性茶ポリフェノールの含有量が30重量ppm〜3000重量ppmである請求項5に記載の食品。

請求項7

水溶性茶ポリフェノールを水性媒体に加えて、溶液状態で油脂に添加することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂の製造方法。

請求項8

水溶性茶ポリフェノールを水性媒体に加えて、溶液状態で油脂に添加後、減圧下で水分除去することを特徴とする請求項7に記載の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂に関する。より詳しくは、多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂を含む食品に求められる、酸化安定性の向上を実現した多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂およびそれを含有する食品並びにその製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、必須脂肪酸であるn-3系脂肪酸の健康への有効性が広く知られるようになり、需要が高まっている。n-3系脂肪酸としては、αリノレン酸(C18:3)やエイコサペンタエン酸(EPA、20:5)、ドコサヘキサエン酸(DHA、22:6)などがあげられる。αリノレン酸は特定の植物から得られる油脂に多く含まれており、EPA、DHAは魚油に含まれている。しかし、魚油は漁獲量に左右されるため、量や価格が安定しないことがある。また植物由来の油脂を求める消費者もいる。

0003

前記n-3系脂肪酸は、構成脂肪酸中に2重結合を多く含有するため、n-3系脂肪酸を含有する油脂は安定性が悪く、風味劣化が早い。低温遮光下で保存するなどの注意が必要であり、このため、一般的な食用油としての用途が限られており、n-3系脂肪酸を多く含有しかつ安定性の高い油脂が望まれている。

0004

一方、多価不飽和脂肪酸含有油脂は、大豆油菜種油等の食用油と比較して酸化安定性が非常に悪く、酸素・光・熱等により容易に酸化を受け、酸化されると異味異臭や、健康への悪影響も懸念される過酸化物質を生成させる。かかる酸化安定性が著しく劣る多価不飽和酸含有油脂を利用する為、空気中の酸素との接触を遮断することを目的とする種々の方法が開示されている。乳化物とする方法として引用文献1〜引用文献8、粉末化カプセル化する方法として引用文献9〜引用文献10が、開示されている。乳化物とすると、半透明な状態に濁ったり、水分を含有したりする為、用途が限定される。また、粉末化やカプセル化しても乳化物同様に用途が限定される問題がある。かかる技術的背景から、従来の多価不飽和酸含有油脂の利用はカプセルなどで覆われた健康食品や、缶詰等のみに応用範囲が限られている。しかし、製造作業が煩雑で生産性が悪く、カプセル品は工程で既に劣化が進行し、カプセル内部の油は劣化臭を有する物が大半である。また保存中のカプセル破壊を防止するため、食品・飼料等として使用可能なカプセルの種類が限定されるなどの問題がある。

0005

引用文献11には、酸化安定性の劣るDHAを30%以上含有する油脂と他の油を混合し、加熱調理用食用油組成物として利用する方法が開示されている。しかし、かかる方法ではDHA配合量が0.01〜0.5%と極めて量が少なく、健康に有効とされる量を摂取するには遠く及ばない。

0006

精製した多価不飽和脂肪酸含有油脂には臭気および過酸化物質はないが、酸化が起きるとその反応は連鎖的に進行し、急速に劣化臭や過酸化物質の生成が起こることが知られている。たとえば、工場で多価不飽和脂肪酸含有油脂を使用した後で窒素ガス封入してからそれが入った密閉する必要がある等、油脂の取り扱いには様々な配慮が必要であり、その利用はおのずと制限がある。様々な酸化防止剤またはその混合物の添加により多価不飽和脂肪酸含有油脂を安定化させる試みが多くなされてきているが、それらは現在まで十分な成果を上げるまでに至っておらず、市場からの要望に反し、多価不飽和脂肪酸含有油脂を含む食品の展開は十分進んでいるとはいえない。

0007

従来から、食用油脂の酸化安定性を向上させるため、抗酸化剤の添加が一般的に行われている。具体的には、脂溶性抗酸化剤トコフェロールの利用や、アスコルビン酸パルミテートなどが検討されている。例えば、アスコルビン酸水溶液乳化して添加する方法として引用文献2、トコフェロール・アスコルビン酸および茶抽出物を添加する方法として引用文献12、アスコルビン酸またはその塩と他の有機酸またはその塩を添加する方法として引用文献13が開示されているが、多価不飽和脂肪酸含有油脂の酸化安定性を向上させる方法としては満足できるものではなく、さらに優れた酸化防止法が望まれている。

0008

特許文献13では、水溶性抗酸化活性物質一種又は、二種以上を含む水溶液100重量部を必要に応じて相乗剤と共に、一種又は二種以上の親油性乳化剤1〜500重量部を用いて乳化した、油中水型親油性抗酸化剤が開示されている。

0009

特許文献14では、カテキン類を除く水溶性化合物HLBが6〜14の乳化剤を水またはアルコールに溶解し、得られた溶液ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加して、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル中水乳化液を調製し、この乳化液に酵素分解レシチン0.5〜30重量部を添加して、十分に混和して得られる、油脂に可溶な水溶性化合物油溶化製剤が開示されている。

0010

特許文献15では、アスコルビン酸、エリソルビン酸コウジ酸没食子酸リンゴ酸等の油脂に難溶性抗酸化物質エタノールのような低級アルキルアルコールに溶解し、ついでクエン酸モノグリセライド等の有機酸モノグリセライドに溶解し、さらに混合溶液をポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルに溶解することにより、油脂への溶解性が良好な抗酸化剤組成物が開示されている。

0011

特許文献16では、緑茶由来ヘキサン可溶分及びカテキンを油脂に添加して70〜130℃に加熱し、磨砕することを特徴とするカテキン分散油脂の製造方法が開示されている。

先行技術

0012

特開2011−255373号公報
特開平7−107938号公報
特表2005−529728号公報
特開平7−313055号公報
特開平8−154576号公報
特開平8−205771号公報
特開平8−154577号公報
特開平6−49479号公報
特開平7−305088号公報
特開平9−87656号公報
特開2013−81477号公報
特開平9-111237号公報
特開昭63-135483号公報
特開平6-254378号公報
特開2001-131572号公報
特開2010-41965号公報

発明が解決しようとする課題

0013

前記のとおり、人体への多価不飽和脂肪酸の有効性から、多価不飽和脂肪酸含有油脂は注目される素材ではあるが、通常の食用油脂と比べ酸化安定性が劣るため、利用用途が限定されるという問題がある。

0014

本発明の目的は、上記要望に応じるために、多価不飽和脂肪酸含有油脂の酸化を十分に抑制し、風味良好で、大豆油や菜種油等通常の食用油のように液状で流通可能な多価不飽和脂肪酸含有油脂を提供することであり、食品分野へ広く用途を拡大することである。本発明は、n-3系脂肪酸であるαリノレン酸を含有する油脂として、汎用性の高い多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂を原料油脂とするものである。

0015

n-3系脂肪酸を含有する食品において、酸化安定性を向上させると共に、良好な風味を得ることも重要である。油脂の酸化安定性を向上させる方法も開示されているが、前記のとおり、特許文献13〜特許文献15では、水溶性抗酸化物質可溶化するために比較的多量の乳化剤の添加を必須とするためか、風味が好ましくないという問題があった。また、特許文献16は乳化剤を含まないが、カテキンと共に緑茶由来ヘキサン可溶分を含む。緑茶由来ヘキサン可溶分には、苦み渋味の成分が含まれているため、カテキン大量添加には適さない。

0016

本発明の目的は、多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂に平易な方法で水溶性茶ポリフェノールを分散させて、優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な汎用性の高い多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂を提供する事にある。

課題を解決するための手段

0017

本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本来油脂に難溶性である水溶性茶ポリフェノールを、水性媒体を用いて溶液状態で油脂に添加することで、優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂が得られることを見出し、本発明を完成させた。

0018

すなわち、本発明は、
(1)構成脂肪酸組成中にαリノレン酸を30重量%〜80重量%含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂において、該多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂に対し水溶性茶ポリフェノール含有量が150重量ppm〜4000重量ppm、乳化剤含有量が150重量ppm〜4000重量ppm、該油脂中の乳化剤含有量が水溶性茶ポリフェノール含有量の1.5倍以下、および下記方法で得られるP/Sの値が0.8以上である多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂、
P:水溶性茶ポリフェノールを150重量ppm〜4000重量ppm含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂のCDM安定性時間
S:抗酸化物質無添加の精製大豆油のCDM安定性時間
(2) 多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂に対し水溶性茶ポリフェノール含有量が250重量ppm〜2500重量ppm、乳化剤含有量が250重量ppm〜2500重量ppm、該油脂中の乳化剤含有量が水溶性茶ポリフェノール含有量の1.2倍以下、および下記方法で得られるP/Sの値が1.0以上である(1)の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂、
P:水溶性茶ポリフェノールを250重量ppm〜2000重量ppm含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂のCDM安定性時間
S:抗酸化物質無添加の精製大豆油のCDM安定性時間
(3)乳化剤がポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである(1)または(2)の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂、
(4) (1)〜(3)のいずれか1項の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂を10%以上含む粉末状油脂
(5) (1)〜(4)のいずれかの多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂を使用した食品、
(6) 全油分中の水溶性茶ポリフェノールの含有量が30重量ppm〜3000重量ppmである(5)の食品、
(7) 水溶性茶ポリフェノールを水性媒体に加えて、溶液状態で油脂に添加することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂の製造方法、
(8) 水溶性茶ポリフェノールを水性媒体に加えて、溶液状態で油脂に添加後、減圧下で水分除去することを特徴とする(6)の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂の製造方法、である。

発明の効果

0019

本発明によれば、平易な方法で酸化安定性を向上し、かつ風味良好な多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂が得られる。したがって、本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂を利用することで、健康優位性が高く、優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な食品を提供することができる。なお、本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂は食用以外にも使用することできる。具体的には、医薬品、化粧品ペットフード医薬部外品などに利用することができ、かかる用途に、長期間にわたり、戻り臭や健康に有害な働きをする過酸化物質を発生させることなく、健康優位性の高い多価不飽和脂肪酸含有油脂を提供することができる。

0020

本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂に使用することができる油脂類としては、構成脂肪酸組成中にαリノレン酸を30重量%〜80重量%含有するものであれば油脂種を問わず使用することができる。亜麻仁油エゴマ油シソ油)、ラレマンチア油、バジル種子油スイートロケット油、キャメリナ油等が例示できるが、供給量の理由から好ましい油脂は亜麻仁油、エゴマ油(シソ油)である。

0021

本発明では、水溶性茶ポリフェノールを使用する。トコフェロール等の油溶性の抗酸化剤、ローズマリー抽出物ヤマモモ抽出物等の水溶性ポリフェノール類、およびアスコルビン酸等、水溶性の抗酸化物質は、本発明の所望する機能、風味と酸化安定性を損なわない範囲で水溶性茶ポリフェノールと組み合わせて使用することができる。

0022

本発明で使用する水溶性茶ポリフェノールは、茶抽出物の油溶性画分を含まない水溶性茶ポリフェノールを用いることが好ましい。茶抽出物の油溶性画分には、苦み・渋味の成分が含まれているためである。油溶性画分を含まない水溶性茶ポリフェノールを得る好ましい方法として、熱水、アルコール等の水性媒体を用いて、茶葉より抽出する方法が例示できる。より好ましくは、水溶液抽出が例示できる。有機溶媒を用いることなく、水溶液を用いて抽出することで、油溶性画分を殆ど含まない、水溶性茶ポリフェノールを得ることができる。水溶性茶ポリフェノールはカテキン類を主成分とし、代表的なカテキン類として8種存在することが知られており、ガレート型カテキンとして、エピガロカテキンガレートエピカテキンガレートカテキンガレートガロカテキンガレートが例示できる。遊離型カテキンとして、エピガロカテキンエピカテキン、カテキン、ガロカテキンが例示できる。水溶性茶ポリフェノールは、かかるカテキン類以外に、茶葉の発酵状態により発生する酸化されたポリフェノール類も含まれる。本発明において、かかるカテキン類やポリフェノール類を1種以上含有する水溶性茶ポリフェノールを用いることが好ましい。さらに好ましくは、ポリフェノール濃度が一定の濃度範囲に調整された、市販されている水溶性茶ポリフェノール含有組成物を使用することが好ましく、最も好ましくは、乳化剤等で調整されていない水溶性の物が好ましい。好ましい水溶性茶ポリフェノール含有組成物として、太陽化学株式会社製、商品名:サンフェノン、三菱化学フーズ株式会社製、商品名:サンフード等が例示できる。効率的に高濃度で油脂中に分散させることが可能な為、水溶性茶ポリフェノール含有組成物中のポリフェノール含有量としては高いほど良く、水溶性茶ポリフェノール含有組成物中に水溶性茶ポリフェノールを50%以上含有することが好ましい。

0023

CDM(Conductmetric Determination Method)安定性とは、油脂の酸化安定性を示す値である。CDM安定性試験により得られた値を、本明細書では「CDM安定性時間」として、酸化安定性の評価の指標とする。CDM安定性時間が長いほど酸化安定性が優れている。本明細書において、CDM安定性試験の方法は、基準油脂分析試験法2.5.1.2-1996に従う。詳しくは、油脂を反応容器中で120℃に加熱しながら清浄空気送り込み、酸化により生成した揮発性分解物を水中に捕集し、水の導電率を継続して測定する。その値が急激に変化する折曲点までの時間が前記「CDM安定性時間」を示す。

0024

本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂に使用される乳化剤は、W/O型乳化作用を有する乳化剤であれば特に制限はなく、ポリグリセリン脂肪酸エステルショ糖脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル等を使用することができる。好ましい乳化剤として、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが使用できる。例えば、市販されている理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100、ポエム PR-300、阪本薬品工業株式会社製 SYグリスターCRS-75、SYグリスターCR-ED、太陽化学株式会社製サンソフト818H等が例示できる。

0025

本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂は、水溶性茶ポリフェノールの含有量が150重量ppm〜4000重量ppm、好ましくは250重量ppm〜2500重量ppmである。多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂中の水溶性茶ポリフェノール含有量が150重量ppm未満では、十分な酸化安定性向上効果が得られない、4000重量ppmを超えると得られる効果との対比で非効率であるため好ましくない。

0026

本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂は、乳化剤含有量が150重量ppm〜4000重量ppm、好ましくは250重量ppm〜2500重量ppmである。また該油脂中の乳化剤含有量は水溶性茶ポリフェノール含有量の1.5倍以下、好ましくは1.2倍以下である。多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂中の乳化剤含有量が150重量ppm未満では、150重量ppm〜4000重量ppmの水溶性茶ポリフェノールを油脂中に均質に分散できない。乳化剤が水溶性茶ポリフェノール含有量の1.5倍を超えると、得られる効果との対比で、非効率であるため好ましくない。また、乳化剤由来の好ましくない風味も感じられるようになるため好ましくない。多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂に求められる風味の点から、より好ましい乳化剤の含有量は、4000ppm以下、さらに好ましくは2500ppm以下である。

0027

本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂は、下記方法で得られるP/Sの値が0.8以上、好ましくは1.0以上である。
P:多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂のCDM安定性時間
S:抗酸化物質無添加の精製大豆油のCDM安定性時間

0028

多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂を使用した食品の全油分中の水溶性茶ポリフェノールの含有量は30重量ppm〜3000重量ppm、好ましくは30重量ppm〜1000重量ppmである。

0029

本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂を得る方法は、油脂に水溶性茶ポリフェノールを分散させることができれば特に限定はされないが、水溶性茶ポリフェノールを含有してなる多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂を得ようとすれば、例えば、水溶性茶ポリフェノール含有組成物を1重量%溶解した水溶液を作製し、油脂中に規定量加えた後、50〜180℃、0.5〜100torrの減圧条件下攪拌しながら15分〜1時間処理して十分に脱水を行うことにより水溶性茶ポリフェノールを含有する食用油脂を得ることができる。水溶性茶ポリフェノール含有組成物を溶解する水溶液の濃度は0.1〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜50重量%である。0.1重量%未満では、かかる水溶液を油脂に添加した際、油脂に対する水の量が多くなり水分除去に長時間を要するため好ましくない。また、60重量%を超えると水溶性茶ポリフェノール含有組成物に含まれる水溶性茶ポリフェノールが析出して油脂への含有量が低下するため好ましくない。温度は50〜180℃が好ましく、50℃未満では水分除去に長時間を要するため好ましくない。減圧条件は、0.5〜100torrが好ましく、可及的に低い方が好ましい。

0030

また、本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂には、必要に応じて、水溶性茶ポリフェノールの他、香料色素シリコーン等食用油脂に使用可能な添加物を使用することができる。

0031

また本発明における多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂は、自体公知の方法により粉末化することができる。粉末状油脂の作製は、溶解した油脂を冷却塔(チラー)の中へ噴霧して粉末化するスプレークーリング法、溶解した油脂を冷却されたドラム上に流し、固化せしめて掻きとるドラムフレーク法、水中油型の乳化液をスプレードライヤーなどで噴霧乾燥して粉末化するスプレードライ法などが挙げられ、本発明における多価不飽和脂肪酸含油植物油脂の粉末化は特に限定されることはない。

0032

本発明における多価不飽和脂肪酸含油植物油脂の粉末化の方法を例示すると、70℃に加温し完全に溶解した精製パーム油極度硬化油95重量部と本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂5部を混合し、良く攪拌し冷却されたドラム上に流し、固化した油脂をかきとり粉砕した後、10メッシュを通過させ、粉末状の油脂を得ることができる。また、レシチングリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤等を溶解した多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂、または多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂と他の食用油脂と混合した油脂と、カゼインナトリウム等の蛋白デキストリン等の糖質を溶解した水相を混合し、ホモゲナイザー等の乳化装置を使用して水中油型の乳化液を作製した後、スプレードライヤーにて噴霧乾燥することによって、多価不飽和脂肪酸含油植物油脂の粉末品を得ることができる。

0033

本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂は、従来の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂では使用が困難であった種々の食品に使用することができる。好ましい用途は、マヨネーズドレッシングマーガリンショートニングクリームチョコレートフライ油スプレー油冷菓焼き菓子クッキークラッカーフードバー)、カプセル、粉末、その他の油脂加工食品があげられる。αリノレン酸を効率的に摂取するという点からより好ましい用途は、マヨネーズ、ドレッシング、マーガリン、ショートニング、クリーム、サンドクリーム、チョコレート、冷菓、焼き菓子(クッキー、クラッカー、フードバー)、カプセルである。本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂は、食品の油脂中に5%以上含むことが好ましい。また、飼料用として配合飼料中の油脂に使用したり、また配合飼料に粉末品を混合したりすることができる。本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂は、飼料の油脂中に5%以上含むことが好ましい。

0034

以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明する。なお、例中、%および部はいずれも重量基準を意味する。

0035

<多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂の作製>
水溶性茶ポリフェノールを含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂の作製において、太陽化学株式会社製サンフェノン90Sを、水溶性茶ポリフェノール含有組成物として使用する。かかる水溶性茶ポリフェノール含有組成物中のポリフェノール含有量が80重量%以上であることより、水溶性茶ポリフェノール含有組成物中の水溶性茶ポリフェノール含有量は80重量%として、製菓用油脂中の水溶性茶ポリフェノール含有量を算出した。多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂としてサミット製油株式会社の亜麻仁油もしくは株式会社日のエゴマ油を使用する。前者のαリノレン酸含量は47%、後者のαリノレン酸含量は62%である。

0036

<多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Aの作製方法
水溶性茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、10重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した精製された亜麻仁油(サミット製油株式会社製、商品名:亜麻仁油)1kgに、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)を0.2g加えて溶解し、さらに10重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を2.5g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、水溶性茶ポリフェノール200重量ppm、乳化剤200重量ppmを含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Aを得た。

0037

<多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Bの作製方法>
水溶性茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、10重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した精製された亜麻仁油(サミット製油株式会社製、商品名:亜麻仁油)1kgに、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)を0.3g加えて溶解し、さらに10重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を3.75g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、水溶性茶ポリフェノール300重量ppm、乳化剤300重量ppmを含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Bを得た。

0038

<多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Cの作製方法>
水溶性茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、10重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した精製された亜麻仁油(サミット製油株式会社製、商品名:亜麻仁油)1kgに、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)を0.9g加えて溶解し、さらに10重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を11.25g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、水溶性茶ポリフェノール900重量ppm、乳化剤900重量ppmを含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Cを得た。

0039

<多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Dの作製方法>
水溶性茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、30重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した精製された亜麻仁油(サミット製油株式会社製、商品名:亜麻仁油)1kgに、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)を1.8g加えて溶解し、さらに30重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を7.5g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、水溶性茶ポリフェノール1800重量ppm、乳化剤1800重量ppmを含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Dを得た。

0040

<多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Eの作製方法>
水溶性茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、30重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した精製された亜麻仁油(サミット製油株式会社製、商品名:亜麻仁油、)1kgに、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)を3.0g加えて溶解し、さらに30重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を12.5g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、水溶性茶ポリフェノール3000重量ppm、乳化剤3000重量ppmを含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Eを得た。

0041

<多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Fの作製方法>
水溶性茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、10重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した精製されたえごま油(株式会社朝日販売、商品名:えごま油)1kgに、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)を0.9g加えて溶解し、さらに10重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を11.25g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、水溶性茶ポリフェノール900重量ppm、乳化剤900重量ppmを含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Fを得た。

0042

<多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Gの作製方法>
水溶性茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、10重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した精製された亜麻仁油(サミット製油株式会社製、商品名:亜麻仁油%)1kgに、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)を0.1g加えて溶解し、さらに10重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を1.25g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、水溶性茶ポリフェノール100重量ppm、乳化剤100重量ppmを含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Gを得た。

0043

<多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Hの作製方法>
水溶性茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、10重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した精製された亜麻仁油(サミット製油株式会社製、商品名:亜麻仁油)1kgに、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)を6.0g加えて溶解し、さらに10重量%水溶性茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を11.25g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、水溶性茶ポリフェノール900重量ppm、乳化剤6000重量ppmを含有する多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Hを得た。

0044

評価方法
(1)多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂の官能評価方法
パネラー10名により、嗅覚味覚により風味が優れている順に「5 」、「4 」、「3 」、「2 」、「1 」の五段階にて評価を行い、平均化した評価点数を評価結果とした。4点以上を合格とした。作製直後と40℃遮光で2週間保存した後に評価した。
(2)CDM安定性時間
メトローム社製CDM試験機ランシマットを使用して製菓用油脂の酸化安定性を評価する。各食用油脂の酸化安定性の判定は、食用油脂の酸化安定性の増加に相関してCDM安定性時間が延びることによる時間差の比較により行った。測定条件:測定温度120℃、空気吹き込み量20L/h、油脂検体3g仕込み
また、測定条件のうち測定温度のみ96℃に変更したCDM安定性時間を測定した。この測定値参考値として記載した。

0045

(多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂の酸化安定性の評価)
下記方法でP/Sの値を算出して、CDM安定性時間を指標として酸化安定性を対比し評価した。
P:多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂のCDM安定性時間
S:抗酸化物質無添加の精製大豆油のCDM安定性時間

0046

(実施例1)
多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Aをそのまま食用油脂として用いた。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。

0047

(実施例2)
多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Bをそのまま食用油脂として用いた。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。

0048

(実施例3)
多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Cをそのまま食用油脂として用いた。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。

0049

(実施例4)
多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Dをそのまま食用油脂として用いた。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。

0050

(実施例5)
多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Eをそのまま食用油脂として用いた。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。

0051

(実施例6)
多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Fをそのまま食用油脂として用いた。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。

0052

(比較例1)
亜麻仁油(サミット製油株式会社製、商品名:亜麻仁油 )を上記方法に従って評価した。

0053

(比較例2)
多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Gをそのまま食用油脂として用いた。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。

0054

(比較例3)
多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂Hをそのまま食用油脂として用いた。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。

0055

実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例3の官能評価結果とCDM安定性時間を表1に示す。また、抗酸化物質無添加の精製大豆油(不二製油株式会社製、商品名:大豆白絞油N、αリノレン酸含量5%)のCDM安定性時間も示す。

0056

0057

(表1の考察)
・実施例1〜6はP/S値が0.9以上で、大豆油と同等な酸化安定性が得られた。
・酸化安定性が大豆と同等な、実施例1〜6は、40℃暗所2週間保存後の官能評価で 4点以上の良好な風味であった。
・比較例1は酸化安定性が低くCDM安定性が測定できなかった。40℃暗所2週間保存後の官能評価で油脂の劣化した風味が感じられ不合格であった。
・比較例2は、P/S値が0.7で酸化安定性が大豆油より低い結果であった。40℃暗所2週間保存後の官能評価では比較例1より良いが油脂の劣化した風味が感じられ不合格であった。
・比較例3は、製造直後から乳化剤由来の異風味を感じ不合格であった。

0058

(実施例7)
多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂B 65部
デキストリン(谷化学製 「TK-15」) 25部
乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル理研ビタミン製「エマルジーMS」、) 2部
カゼインナトリウム8部
油脂と乳化剤を混合した油相部と、水100部とデキストリン、カゼインナトリウムを混合した水相部を調合し、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて、8500rpm、5分予備乳化した後、ホモゲナイザー(深尾機械(株)製)を用い、150Kg/cm2 の均質化圧で均質化し、スプレードライヤー(日本ビュッヒ製 B290)を用いて、熱風温度175℃で噴霧乾燥した。
作製後の粉末油脂は、臭いもなく、風味も良好であった。

0059

(比較例4)
亜麻仁油(サミット製油株式会社製、商品名:亜麻仁油) 65部
デキストリン(松谷化学製 「TK-15」) 25部
乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル理研ビタミン製「エマルジーMS」、) 2部
カゼインナトリウム8部
油脂と乳化剤を混合した油相部と、水100部とデキストリン、カゼインナトリウムを混合した水相部を調合し、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて、8500rpm、5分予備乳化した後、ホモゲナイザー(深尾機械(株)製)を用い、150Kg/cm2 の均質化圧で均質化し、スプレードライヤー(日本ビュッヒ製 B290)を用いて、熱風温度175℃で噴霧乾燥した。
作製後の粉末油脂は、油脂の酸敗臭があり、実施例7と比較して風味が劣るものであった。

0060

(調整例1)
マヨネーズの作製例
下記のマヨネーズ配合の油脂部全量に、多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂A〜Fを使用してコロイドミルを使用することで多価不飽和脂肪酸を含有するマヨネーズが得られる。
マヨネーズ配合
油 脂 70.0部
黄 15.0部
食 酢 12.5部
食 塩 2.0部
調味料0.5部

実施例

0061

(調整例2)
マーガリンの作製例
多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂A〜Fを各50部と高融点油脂(不二製油株式会社製、商品名:パーキッドV)50部を配合したものを油相とする下記のマーガリン配合にて、コンビネーターを使用することで多価不飽和脂肪酸を含有するマーガリンが得られる。
マーガリン配合
油相 82部
水相18部
ステアリン酸系モノグリセリド0.3部
大豆レシチン0.3部
精製塩1.0部
脱脂粉乳3.0部

0062

本発明により、平易な方法で酸化安定性を向上し、かつ風味良好な多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂が得られ、本発明の多価不飽和脂肪酸含有食用植物油脂を用いることで、長期間にわたり、戻り臭や健康に有害な働きをする過酸化物質の発生を抑制し、健康優位性の高い多価不飽和脂肪酸を食品などに利用することができる。

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