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図面 (5)

課題

塗布法等のような簡便な製造方法によって得られる特定の幅又は特定の形状を有するカーボン膜の提供する。

解決手段

P位に1乃至2の不飽和結合を環内に有する6員環炭化水素を有する2個の置換芳香環をP位に有するベンゼン環により形成される、ポリフェニレン重合体から製造されるグラフェンナノリボンポリマー。前記ポリフェニレン重合体は有機溶媒に可溶な基を有し、有機溶剤に溶かし、湿式成膜とを行い、可溶性基を除去し、芳香族性のみを有するポリフェニレンとし、更に脱水素処理を行って、縮環反応を行いカーボン膜を生成する。前記方法により特定の幅又は形状を有するカーボン膜を製造する。

概要

背景

グラフェンカーボンナノチューブフラーレン等のカーボン材料は、化学的定性に優れている一方で、特異な物理的・電気的特性を有するため注目されている。これらの中でも、グラフェンにおいて幅又は形状に対する長さの縦横比が大きいグラフェンナノリボンは、端にある炭素原子数局所的にはバルクの環境にある炭素原子の割合が同程度になるため、端の化学構造と幅又は形状によってバンドギャップ電気導電率等の特性を意図的に制御できると予見されていること(非特許文献1参照)から、各企業、研究機関などで鋭意研究がなされている。
前記グラフェンは、半導体のようなエネルギーギャップが存在しないため、グラフェンで構成した電界効果トランジスタオン電流遮断することができない。そのため、グラフェンにバンドギャップを付与することが大きな課題となっている。その一つの解決手段として、カーボンナノチューブと同様にグラフェンの幾何学的形状をリボン状に細くすると、バンドギャップが形成されることが理論的実験的にも報告されている(非特許文献1、第5節のP74)。

このようなグラフェンナノリボン膜の製造方法に関する報告としては、トップダウン法ボトムアップ法とがある。
前記トップダウン法としては、例えば、カーボンナノチューブの分散液を超音波処理して酸化開裂させた後、遠心分離してその上澄み液基板上に塗布することでグラフェンナノリボン膜を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、化学気相成長法で作製されたグラフェン膜に対してAFMを用いて局所陽極酸化によるリソグラフィーを行いグラフェンナノリボン膜を製造する方法(AFMリソグラフィー法)が報告されている(非特許文献2参照)。
しかし、これらの方法は、いずれも特性制御のために非常に重要な端の化学構造や幅又は形状が均質なグラフェンナノリボン膜を製造することは困難であること、生産性が見込めないことから実用性に耐え得るものではなかった。

一方、前記ボトムアップ法としては、例えば、端に溶解基を導入したグラエナノリボンを合成することで、本来不溶であるグラフェンナノリボンに溶解性を付与し、塗布法でグラフェンナノリボン膜を製造する方法が報告されている(非特許文献3参照)。しかし、この報告では、特性制御に大きな影響を与える端を化学修飾できる余地が少ないこと、本来は不必要な溶解基を導入したことによりグラフェンナノリボン膜の優れた特性が得られないことが課題となっている。

また、グラフェンナノリボンのビルディングブロックとなる低分子真空蒸着法により金の(111)面上に成膜した後で加熱処理を行い、分子を縮環してグラフェンナノリボン膜を製造する方法が報告されている(非特許文献4参照)。しかし、この報告の方法では、重合度の制御が難しいこと、グラフェンナノリボン膜が島状にしか成膜できないことが課題となっている。

したがって、先行技術文献においては、塗布法等のような簡便な製造方法によって端の化学構造や幅又は形状が均一なグラフェンナノリボン膜を得ることは非常に困難であり、新たな製造方法の提供が強く望まれている。

概要

塗布法等のような簡便な製造方法によって得られる特定の幅又は特定の形状を有するカーボン膜の提供する。P位に1乃至2の不飽和結合を環内に有する6員環炭化水素を有する2個の置換芳香環をP位に有するベンゼン環により形成される、ポリフェニレン重合体から製造されるグラフェンナノリボンポリマー。前記ポリフェニレン重合体は有機溶媒に可溶な基を有し、有機溶剤に溶かし、湿式成膜とを行い、可溶性基を除去し、芳香族性のみを有するポリフェニレンとし、更に脱水素処理を行って、縮環反応を行いカーボン膜を生成する。前記方法により特定の幅又は形状を有するカーボン膜を製造する。なし

目的

本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

下記一般式(I)で表されるポリフェニレン重合体を含み、特定の幅又は特定の形状を有することを特徴とするカーボン膜。<一般式(I)>ただし、前記一般式(I)中、R1〜R8は、それぞれ水素原子ハロゲン原子アルキル基、及びアリール基から選択されるいずれかである。nは、繰り返し数を示し、0〜5の整数であり、nが1以上の場合には、R1〜R8は、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは、下記一般式1及び下記一般式2のいずれかで表される基である。<一般式1>ただし、前記一般式1中、X1及びY1のうち一方は置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基又はアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。Q1からQ6は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、及び1価の有機基のいずれかであり、これらは、隣接する基同士でそれぞれ結合して環を形成していてもよい。<一般式2>ただし、前記一般式2中、X2、X3、Y2、及びY3のうち一方は置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基又はアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。Q1からQ6は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、及び1価の有機基のいずれかであり、これらは隣接する基同士でそれぞれ結合して環を形成していてもよい。

請求項2

前記カーボン膜が、グラフェンナノリボンである請求項1に記載のカーボン膜。

請求項3

請求項1から2のいずれかに記載のカーボン膜を用いたことを特徴とする導電性素子

請求項4

支持基板と、前記基板上のゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に、請求項1から2のいずれかに記載のカーボン膜からなるカーボン膜層と、前記カーボン膜層に隣接して形成された第一の電極と、前記カーボン層で前記第一電極と離隔された第二電極とを有することを特徴とするカーボン膜素子

技術分野

0001

本発明は、特定の幅又は特定の形状を有するカーボン膜及びそれを用いた素子に関する。

背景技術

0002

グラフェンカーボンナノチューブフラーレン等のカーボン材料は、化学的定性に優れている一方で、特異な物理的・電気的特性を有するため注目されている。これらの中でも、グラフェンにおいて幅又は形状に対する長さの縦横比が大きいグラフェンナノリボンは、端にある炭素原子数局所的にはバルクの環境にある炭素原子の割合が同程度になるため、端の化学構造と幅又は形状によってバンドギャップ電気導電率等の特性を意図的に制御できると予見されていること(非特許文献1参照)から、各企業、研究機関などで鋭意研究がなされている。
前記グラフェンは、半導体のようなエネルギーギャップが存在しないため、グラフェンで構成した電界効果トランジスタオン電流遮断することができない。そのため、グラフェンにバンドギャップを付与することが大きな課題となっている。その一つの解決手段として、カーボンナノチューブと同様にグラフェンの幾何学的形状をリボン状に細くすると、バンドギャップが形成されることが理論的実験的にも報告されている(非特許文献1、第5節のP74)。

0003

このようなグラフェンナノリボン膜の製造方法に関する報告としては、トップダウン法ボトムアップ法とがある。
前記トップダウン法としては、例えば、カーボンナノチューブの分散液を超音波処理して酸化開裂させた後、遠心分離してその上澄み液基板上に塗布することでグラフェンナノリボン膜を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、化学気相成長法で作製されたグラフェン膜に対してAFMを用いて局所陽極酸化によるリソグラフィーを行いグラフェンナノリボン膜を製造する方法(AFMリソグラフィー法)が報告されている(非特許文献2参照)。
しかし、これらの方法は、いずれも特性制御のために非常に重要な端の化学構造や幅又は形状が均質なグラフェンナノリボン膜を製造することは困難であること、生産性が見込めないことから実用性に耐え得るものではなかった。

0004

一方、前記ボトムアップ法としては、例えば、端に溶解基を導入したグラエナノリボンを合成することで、本来不溶であるグラフェンナノリボンに溶解性を付与し、塗布法でグラフェンナノリボン膜を製造する方法が報告されている(非特許文献3参照)。しかし、この報告では、特性制御に大きな影響を与える端を化学修飾できる余地が少ないこと、本来は不必要な溶解基を導入したことによりグラフェンナノリボン膜の優れた特性が得られないことが課題となっている。

0005

また、グラフェンナノリボンのビルディングブロックとなる低分子真空蒸着法により金の(111)面上に成膜した後で加熱処理を行い、分子を縮環してグラフェンナノリボン膜を製造する方法が報告されている(非特許文献4参照)。しかし、この報告の方法では、重合度の制御が難しいこと、グラフェンナノリボン膜が島状にしか成膜できないことが課題となっている。

0006

したがって、先行技術文献においては、塗布法等のような簡便な製造方法によって端の化学構造や幅又は形状が均一なグラフェンナノリボン膜を得ることは非常に困難であり、新たな製造方法の提供が強く望まれている。

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、塗布法等のような簡便な製造方法によって得られる特定の幅又は特定の形状を有するカーボン膜を提供することを目的にとする。

課題を解決するための手段

0008

前記課題を解決するための手段としての本発明のカーボン膜は、下記一般式(I)で表されるポリフェニレン重合体を含み、特定の幅又は特定の形状を有する。

0009

<一般式(I)>



ただし、前記一般式(I)中、R1〜R8は、それぞれ水素原子ハロゲン原子アルキル基、及びアリール基から選択されるいずれかである。nは、繰り返し数を示し、0〜5の整数であり、nが1以上の場合には、R1〜R8は、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは、下記一般式1及び下記一般式2のいずれかで表される基である。

0010

<一般式1>



ただし、前記一般式1中、X1及びY1のうち一方は置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基又はアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。Q1からQ6は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、及び1価の有機基のいずれかであり、これらは、隣接する基同士でそれぞれ結合して環を形成していてもよい。

0011

<一般式2>



ただし、前記一般式2中、X2、X3、Y2、及びY3のうち一方は置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基又はアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。Q1からQ6は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、及び1価の有機基のいずれかであり、これらは隣接する基同士でそれぞれ結合して環を形成していてもよい。

発明の効果

0012

本発明によると、前記従来における諸問題を解決することができ、塗布法等のような簡便な製造方法によって得られる特定の幅又は特定の形状を有するカーボン膜を提供することができる。

図面の簡単な説明

0013

図1は、本発明で用いられるポリフェニレン重合体1のTG及びDSCの図である。
図2は、本発明で用いられるポリフェニレン重合体1(溶解性重合体)と可溶性基を除去した重合体膜(重合体)の吸収スペクトルの図である。
図3は、本発明で用いられる重合体膜とグラフェンナノリボン膜の吸収スペクトルの図である。
図4は、本発明で用いられる(1)ポリフェニレン重合体2のスピンコート膜と、(2)ポリフェニレン重合体2の真空加熱300℃のときと、(3)ポリフェニレン重合体2の真空加熱450℃のときの顕微ラマン分光の図である。
図5は、本発明で用いられる(1)ポリフェニレン重合体2のスピンコート膜と、(2)ポリフェニレン重合体2の真空加熱450℃のときの吸収スペクトルの図である。

0014

(カーボン膜)
本発明のカーボン膜は、下記一般式(I)で表されるポリフェニレン重合体を含み、特定の幅又は特定の形状を有する。

0015

ここで、前記カーボン膜における特定の幅とは、単層グラフェン切り取ることで生み出される有限の幅であり、切り取った未結合の端部は、ジグザグ型アームチェア型、又はこれらの組み合わせとなる。
また、前記カーボン膜の特定の形状とは、単層グラフェンを切り取ることで生み出される形状を意味する。

0016

<一般式(I)>



ただし、前記一般式(I)中、R1〜R8は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、及びアリール基から選択されるいずれかである。nは、繰り返し数を示し、0〜5の整数であり、nが1以上の場合には、R1〜R8は、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは、下記一般式1及び下記一般式2のいずれかで表される基である。

0017

<一般式1>



ただし、前記一般式1中、X1及びY1のうち一方は置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基又はアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。Q1からQ6は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、及び1価の有機基のいずれかであり、これらは、隣接する基同士でそれぞれ結合して環を形成していてもよい。

0018

<一般式2>



ただし、前記一般式2中、X2、X3、Y2、及びY3のうち一方は置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基又はアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。Q1からQ6は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、及び1価の有機基のいずれかであり、これらは隣接する基同士でそれぞれ結合して環を形成していてもよい。

0019

本発明は、特定の可溶性基を有するポリフェニレンを原料として、特定の幅又は特定の形状を有するカーボン膜を製造する方法を提供するものである。この点について類似の報告がなされている(J.AM.CHEM.SOC. 130, 4216 (2008))。
しかし、本発明のカーボン膜には電気特性熱安定性を低下させるアルキル基やSP3炭素が含まれていないため、高品質なカーボン膜、グラフェンナノリボン、特定の幅又は形状を有するグラファイトを得ることができる。
また、前記グラフェンナノリボンは、キャリア電子輸送が高く、一軸方向のみが極めて発達している構造になるため、その特性・形状を生かして導電性配線としての利用などが考えられる。

0020

<カーボン膜の製造方法>
前記カーボン膜の製造方法について、下記反応式A1に基づいて説明する。

0021

<反応式A1>



ただし、前記式中の括弧は繰り返しを意味する。Xは、前記一般式Iと同じ意味を表す。

0022

本発明で用いられる特定構造を有するポリフェニレンは、有機溶媒に可溶な基を有しているため、有機溶剤を用いた湿式成膜が可能である。加えて外部エネルギー印加することにより過程1で示される可溶性基の除去により芳香族性を有する基(π電子共役部位)となる。
前記過程1の可溶性基の除去により得られたポリフェニレンは過程2での脱水素処理により、水素引き抜きによる縮環反応により特定の幅又は形状を有するカーボン膜が生成する。膜の厚みによって一分子膜である場合はグラフェンナノリボンが得られ、複数層堆積した膜では特定の幅又は形状を持ったグラファイトとなる。即ち、出発原料である特定構造を有するポリフェニレンの初期構造に依存してその幅又は形状を決定することができることが大きな特徴である。なお、前記過程1及び前記過程2は同時に進行する場合もある。

0023

<特定の可溶性基を有するポリフェニレン原料>
本発明の原料であるポリフェニレンに関して、前記一般式1及び前記一般式2においてX1〜X3、Y1〜Y3で表される基は、水素原子又は置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基又はアシルオキシ基であり、X及びYのうち少なくとも一方は、置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基又は置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基などであり、他方は水素原子である。このような部分構造を有することにより剛直な構造でも溶解性を付与することができ、高い成膜加工性を得ることができる。また、前記特定の基を導入することで、従来の溶解基とは異なり、π共役系が拡張しつつ溶解性を向上することができる。

0024

前記置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基としては、炭素数1以上の置換されていてもよい直鎖又は環状の脂肪族アルコール、炭素数4以上の芳香族アルコール等のアルコール由来のエーテル基などが挙げられる。また、前記エーテル中の酸素原子硫黄原子に置き換わったチオエーテル基も含めることができる。具体的には、例えば、メトキシ基エトキシ基プロポキシ基、ブトキシ基イソブトキシ基、ピバロイル基ペントキシ基、ヘキシロキシ基、ラウリロキシ基、トリフルオロメトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基、ペンタフルオロプロポキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロヘキシロキシ基、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基などが挙げられ、エーテル結合部位酸素硫黄に置き換えた対応するチオエーテル類も同様に含まれる。

0025

前記置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ基、炭素数2以上のハロゲン原子を含んでいてもよい直鎖又は環状の脂肪族カルボン酸及び炭酸ハーフエステル、炭素数4以上の芳香族カルボン酸等、カルボン酸及び炭酸ハーフエステル由来のアシルオキシ基などが挙げられる。また、前記カルボン酸の酸素原子が硫黄に置き換わったチオカルボン酸も含めることができる。具体的には、例えば、ホルミルオキシ基、アセトキシ基プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ペンタノイルオキシヘキサノイルオキシ、ラウロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ、3,3,3−トリフルオロプロピオニルオキシ、ペンタフルオロプロピオニルオキシ、シクロプロパノイルオキシシクロブタノイルオキシ、シクロヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基などが挙げられる。加えて、上記例示したアシルオキシ基のカルボニル基とアルキル基あるいはアリール基の間に酸素原子又は硫黄原子を挿入した、炭酸ハーフエステル由来の炭酸エステルも挙げることができる。更に加えて、エーテル結合部位及びカルボニル部位の酸素の1つ以上を硫黄に置き換えた対応するアシチオオキシ類、チオアシルオキシ類も同様に含まれる。

0026

ここで、前記置換基X1〜X3、Y1〜Y3の一部について下記に例示する。なお、Etはエチル基、Phはフェニル基を表す。

0027

0028

0029

0030

0031

0032

0033

前記ポリフェニレンにおけるQ1からQ6で表される基としては、前述のように、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子塩素原子臭素原子ヨウ素原子)、あるいは一価の有機基(但し、Q1からQ6においては置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基又はアシルオキシ基以外の1価の有機基)が用いられる。
前記一価の有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基アルコキシル基チオアルコキシル基、アリールオキシ基チオアリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基ヘテロアリールチオオキシ基、シアノ基ヒドロキシル基ニトロ基カルボキシル基チオール基アミノ基などが挙げられる。

0034

前記アルキル基は、直鎖又は分岐又は環状の置換又は無置換のアルキル基を表す。これらの例としては、アルキル基[好ましくは置換又は無置換の炭素数1以上のアルキル基〔例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基、ノニル基、デシル基ウンデシル基、ドデシル基トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデカン基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロオクチル基、トリフルオロドデシル基、トリフルオロオクタデシル基、2−シアノエチル基〕]、シクロアルキル基[好ましくは置換又は無置換の炭素数3以上のアルキル基〔例えば、シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、ペンタフルオロシクロヘキシル基〕]などが挙げられる。
なお、以下に説明する他の一価の有機基においても、アルキル基は上記概念のアルキル基を示す。

0035

前記アルケニル基は、直鎖又は分岐又は環状の置換又は無置換のアルケニル基を表す。これらの例としては、アルケニル基[好ましくは置換又は無置換の炭素数2以上のアルケニル基であり、上記した炭素数2以上のアルキル基の任意の炭素—炭素単結合を1つ以上二重結合としたものが挙げられる〔例えば、エテニル基ビニル基)、プロペニル基アリル基)、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、1—オクテニル基、2−オクテニル基、3−オクテニル基、4−オクテニル基、1,1,1−トリフルオロ−2−ブテニル基〕。]、シクロアルケニル基[上記した炭素数2以上のシクロアルキル基の任意の炭素−炭素単結合を1つ以上二重結合としたものが挙げられる〔例えば、1−シクロアリル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、1−シクロヘプテニル基、2−シクロヘプテニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロヘプテニル基、3−フルオロ−1−シクロヘキセニル基〕。]等が挙げられる。なお、該アルケニル基はトランス(E)体及びシス(Z)体等の立体異性体が存在する場合は、そのいずれであってもよく、またそれらの任意の割合からなる混合物であってもよい。

0036

前記アルキニル基としては、好ましくは置換又は無置換の炭素数2以上のアルキニル基であり、上記した炭素数2以上のアルキル基の任意の炭素—炭素単結合を1つ以上三重結合としたものが挙げられる。このようなアルキニル基として、例えば、エチニル基プロパギル基、トリメチルシリルエチニル基、トリイソプロピルシリルエチニル基が挙げられる。

0037

前記アリール基としては、好ましくは置換又は無置換の炭素数6以上のアリール基〔例えば、フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、p−クロロフェニル、p−フルオロフェニル、p−トリフルオロフェニルナフチル等〕などが挙げられる。

0038

前記ヘテロアリール基としては、好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族性もしくは非芳香族性ヘテロ環化合物〔例えば、2−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−チエノチエニル、2−ベンゾチエニル、2−ピリミジル等〕などが挙げられる。

0039

前記アルコキシル基及びチオアルコキシル基としては、好ましくは置換又は無置換のアルコキシル基及びチオアルコキシル基であり、上記に例示したアルキル基及びアルケニル基及びアルキニル基の結合位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してアルコキシ基あるいはチオアルコキシ基としたものが具体例として挙げられる。

0040

前記アリールオキシ基及びチオアリールオキシ基としては、好ましくは置換又は無置換のアリールオキシ基及びアリールチオオキシ基であり、上記に例示したアリール基の結合部位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してアリールオキシ基あるいはチオアルコキシ基としたものが具体例として挙げられる。

0041

前記ヘテロアリールオキシ基及びヘテロチオアリールオキシ基としては、好ましくは置換又は無置換のヘテロアリールオキシ基及びヘテロアリールチオオキシ基であり、上記に例示したヘテロアリール基の結合部位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してヘテロアリールオキシ基あるいはヘテロチオアリールオキシ基としたものが具体例として挙げられる。

0042

前記アミノ基としては、好ましくはアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアニリノ基、〔例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基〕、アシルアミノ基[好ましくは、ホルミルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、〔例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリn−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基〕]、アミノカルボニルアミノ基[好ましくは、炭素置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、〔例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基〕]などが挙げられる。

0043

前記Q1からQ6で表される一価の有機基としては、前述した範囲で表すことが可能であるが、好ましくは置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基であるか、又は隣り合う基同士で環状構造を形成していることである。更に好ましくは、前記環状構造が置換していてもよいアリール基又はヘテロアリール基からなることである。
前記環の結合、縮環形式の一例としては下記に示すような構造が挙げられる。なお、X及びYは、前記一般式1及び2に記載のX1〜X3、Y1〜Y3と同様に定義される基である。

0044

0045

本発明で用いられるポリフェニレン重合体の一例としては以下のものが挙げられる。なお、X及びYは、前記一般式1及び2に記載のX1〜X3、Y1〜Y3と同様に定義される基である。

0046

0047

より具体的には以下の構造が挙げられる

0048

側鎖とは、鎖式化合物分子構造で、最も長い炭素原子の連鎖(主鎖)から枝分かれしている部分を示す。前記一般式1又は前記一般式2で示される特定の部分構造はどの位置に導入してもよい。例えば、溶解性の観点から、主鎖、側鎖、末端基に導入しても好ましい結果が得られるが、溶解性と製造の両方の観点から側鎖に導入することがより好ましい結果が得られる。

0049

前記溶媒としては、芳香族系溶媒ハロゲン系溶媒及びエーテル系溶媒から選択される。
前記溶媒には、更に、アルコール系溶液ケトン系溶液パラフィン系溶媒及び炭素数4以上のアルキル置換芳香族系溶液から選択される粘度調整液が加えられることが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、ベンゼントルエンキシレンエチルベンゼンジエチルベンゼンアニソールクロロベンゼンジクロロベンゼンクロロトルエン等のアルコキシ基、ハロゲンを有してもよい芳香族系溶媒;ジクロロメタンジクロロエタンクロロホルム四塩化炭素テトラクロロエタントリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒ジブチルエーテルテトラヒドロフランジオキサン等のエーテル系溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0050

前記粘度調整液としては、例えば、メタノールエタノールプロパノールブタノールペンタノールヘキサノールオクタノールノナノールシクロヘキサノール、メチルセロソルブエチルセロソルブエチレングリコールベンジルアルコール等の直鎖又は分岐のアルコール系溶媒ブチルベンゼンシクロヘキシルベンゼンテトラリン、ブチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の直鎖又は分岐アルキル基を有してもよい炭素数4以上のアルキル置換芳香族系溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、前記粘度調整液としてアルコール系溶液とするとアルコール系は水を吸いやすいことから溶液保存管理注意を要するところ、粘度調整液として炭素数4以上のアルキル置換芳香族系溶液とすると疎水性であるので保管が簡便であるという利点がある。
また、炭素数4以上のアルキル置換芳香族系溶液であれば、アルキル基の構造を変化させる(例えば、アルキル鎖を長くする)ことにより粘度調整が可能であるという利点がある。
また、アルコール系溶液は粘度が高いので、高い溶液粘度を必要とする成膜プロセス(例えば、インクジェット法)に適した溶液を調整する際に好適である。

0051

なお、前記粘度調整液の種類や混合量等は、各種の成膜プロセスに必要な粘度に応じて適宜選択されうる。炭素数4以上のアルキル置換芳香族系溶液とは、即ち、芳香族であって炭素数4以上のアルキル置換基を有するものをいう。前記アルキル置換基の炭素数の上限については特に定めるものではないが、例えば、50程度を上限にすることが例として挙げられる。このように芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒及びエーテル系溶媒のうちから溶媒を選択することにより、カーボン膜材料を必要量(例えば、1質量%)以上溶媒に溶解させることができる。

0052

また、前記粘度調整液としてアルコール系溶液、ケトン系溶液、パラフィン系溶液及び炭素数4以上のアルキル置換芳香族系溶液のうちから選択した溶液を加えると、カーボン膜材料含有溶液の粘度を増加させて各種の塗布手段(例えば、インクジェットノズルプリントスピンコート)に適した粘度に調整することができる。
なお、溶媒は、芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒及びエーテル系溶媒のうちから選択される少なくとも一つであり、2つ以上を混合してもよいことはもちろんである。
同様に、粘度調整液も、アルコール系溶液、ケトン系溶液、パラフィン系溶液及び炭素数4以上のアルキル置換芳香族系溶液のうちから選択される少なくとも一つであり、2つ以上を混合してもよいことはもちろんである。

0053

<ポリフェニレン原料の合成例:モノマー誘導
下記反応式A2に、ポリフェニレン原料の合成例をモノマーから誘導する具体的方法を開示するが、本発明に関わる合成方法はこれらの合成例に限定されるものではない。なお、前記式中、R1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基から選択されるいずれかである(以下、同様)。

0054

<反応式A2>

0055

<モノマーの製造例>
・[工程1]AIBNとNBSを用いた臭素化もしくはBr2を用いた臭素化により製造することができる。
・[工程2]一般的なエステル化方法エーテル化方法を用いることができるが、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水和物とR−COOH、DBUと塩基及びR−COOHを用いることでも形成することができる。Williamsonエーテル合成を用いることでエーテル基を形成することも容易である。これにより本発明で用いられるアシルオキシ基、例えば(3)を形成することができる。
・[工程3]ジブロモジヨードベンゼン(4)とジボロン体とのSuzukiカップリングによって得られる。ジボロンエステルが好ましく用いられ、例えば、ビスカテコラート)ジボロン、ビス(ヘキシレングリコラート)ジボロン、ビス(ピナコラート)ジボロン、ビス(ネオペンチル)ジボロンなどが好ましく用いられる。
・[工程4]ジヨードベンゼンとのSuzukiカップリング反応により製造できる。
・[工程5]工程3と同様に製造することができる。
・[工程6]アシルオキシ基を有する化合物(3)とジボロン体(7)のSuzukiカップリング反応により製造できる。
・[工程7]ジボロンジブロモ化合物ビフェニルボロン酸化合物とのSuzukiカップリング反応により製造できる。
・[工程8]化合物(9)を脱水極低温の状態で、有機リチウム、例えば、n−BuLiを加えリチオ化し、トリメチルスズクロライドと反応することで、トリメチルスズ体(10)を得ることができる。
これにより本発明で用いられるモノマーの一例を製造することができる。

0056

<重合体の製造例>
<<製造例1>>

0057

前述した化合物(8)とジボロン酸とのSuzukiカップリング反応を用いることで、共重合体を合成することができる。

0058

<<製造例2>>



前記化合物(8)とジボロンとのSuzukiカップリング反応を用いることで、ホモカップリングを行うことができる。また、前記化合物(8)を用い、Yamamoto反応を用いることでも得ることができる。

0059

<<製造例3>>



前記化合物(8)と化合物(10)とのStilleカップリング反応を用いることで共重合体を得ることができる。

0060

<ポリフェニレン原料の合成例:重合
以下重合法について更に詳しく説明する。
本発明のカーボン膜のポリフェニレン原料の製造方法は、電界重合法、酸化的重合、化学的重合などの方法が挙げられるが、化学的重合が好ましく、結合部位が選択的に結合し、高分子量でありながら、溶媒に可溶な重合体が得られやすい。
前記ポリフェニレン原料を製造するには、モノマーが必要であるが、モノマーの製造方法は一般的な有機合成により製造することができる。

0061

前記ポリフェニレン原料の製造方法において、縮合重合の方法としては、特に制限はなく、縮合重合に関与する置換基に応じて、既知縮合反応を用いることができる。例えば、該当するモノマーをSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Stilleカップリング反応により重合する方法、Ni(0)錯体により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、又は電気化学的に酸化重合する方法など、公知の方法が例示される。
これらの中でも、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Stilleカップリング反応により重合する方法、ニッケルゼロ価錯体により重合する方法が、構造制御がしやすい点で好ましい。

0062

重合に関与する置換基として好ましい置換基は重合反応の種類によって異なるが、例えば、Yamamoto反応等の0価ニッケル錯体を用いる場合には、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基アリールスルホネート基アリールアルキルスルホネート基などが挙げられる。また、Suzukiカップリング反応等のニッケル触媒又はパラジウム触媒を用いる場合には、アルキルスルホネート基、ハロゲン原子、ホウ酸エステル基、−B(OH)2などが挙げられる。

0063

アリールハロゲン化物のハロゲン原子としては、反応性の観点からヨウ素化物又は臭素化物が好ましい。
Grignard反応の場合には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒中でハロゲン化物と金属Mgとを反応させてGrignard試薬溶液とし、これと別に用意したモノマー溶液とを混合し、ニッケル又はパラジウム触媒を過剰反応に注意しながら添加した後に昇温して還流させながら反応させる方法が例示される。
前記Grignard試薬は、前記モノマーに対して1当量以上が好ましく、1当量〜1.5当量がより好ましく、1当量〜1.2当量が更に好ましい。これら以外の方法で重合する場合も、公知の方法に従って反応させることができる。

0064

Suzukiカップリング反応に用いられるアリールホウ素化合物としては、例えば、アリールボロン酸、アリールボロン酸エステル、アリールボロン酸塩などが挙げられる。
これらの中でも、アリールボロン酸エステルは、アリールボロン酸のように三無水物(ボロキシン)を生成しない、また、結晶性が高く、精製が容易である点からより好ましい。

0065

前記アリールボロン酸エステルの合成方法としては、例えば、(i)アリールボロン酸とアルキルジオール無水有機溶媒中にて加熱反応する方法、(ii)アリールハロゲン化物のハロゲン部位メタル化した後に、アルコキシボロンエステルを加える反応による方法、(iii)アリールハロゲンのグリニャール試薬を調製した後に、アルコキシボロンエステルを加える反応による方法、(iv)アリールハロゲン化物とビス(ピナコラート)ジボロンやビス(ネオペンチルグリコラート)ジボロンをパラジウム触媒下にて加熱反応する方法などが挙げられる。

0066

前記パラジウム触媒としては、例えば、Pd(PPh3)4、PdCl2(PPh3)2、Pd(OAc)2、PdCl2又はパラジウムカーボン配位子として別途トリフェニルホスフィンを加える、など種々の触媒を用いることができる。これらの中でも、Pd(PPh3)4特に好ましい。

0067

Suzukiカップリング反応においては塩基が必要であるが、Na2CO3、NaHCO3、K2CO3などの比較的弱い塩基が良好な結果を与える。立体障害等の影響を受ける場合には、Ba(OH)2やK3PO4などの強塩基が有効である。その他苛性ソーダ苛性カリ金属アルコシド等、例えば、カリウムt−ブトキシドナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウムメトキシドナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドカリウムメトキシドなどが挙げられる。

0068

また、反応をよりスムーズに進行させるために相間移動触媒を用いてもよい。前記相移動触媒としては、例えば、テトラアルキルハロゲン化アンモニウム、テトラアルキル硫酸水素アンモニウム、又はテトラアルキル水酸化アンモニウムなどが挙げられる。好ましい例としては、テトラ−n−ブチルハロゲン化アンモニウム、ベンジルトリエチルハロゲン化アンモニウム、トリカプリルイルメチル塩化アンモニウムである。

0069

反応溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル等のアルコール及びエーテル系、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系の他、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。

0070

Yamamoto反応において用いられるゼロ価のニッケル錯体としては、例えば、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケルなどがあげられる。これらの中でも、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)が好ましい。

0071

前記重合反応の反応温度は、用いるモノマーの反応性、また、反応溶媒により適宜設定されるが、溶媒の沸点以下に抑えることが好ましい。
前記重合反応における反応時間は、用いるモノマーの反応性、又は、望まれる重合体の分子量などにおいて適宜設定することができ、2時間〜50時間が好ましく、5時間〜24時間がより好ましい。

0072

また、以上の重合操作において分子量を調節するために分子量調節剤、又は末端修飾基として重合体の末端封止するための封止剤を反応系に添加することも可能であり、反応開始時に添加しておくことも可能である。したがって、本発明における重合体の末端には停止剤に基づく基が結合してもよい。
前記分子量調節剤、末端封止剤としては、例えば、フェニルボロン酸ブロモベンゼンヨウ化ベンゼン等、反応活性基を1個有する化合物が挙げられる。

0073

前記ポリフェニレン原料の平均分子量は、ポリスチレン換算による数平均分子量で、1,000〜1,000,000が好ましく、2,000〜500,000がより好ましい。
前記数平均分子量が、小さすぎる場合には、クラックの発生等の成膜性が悪化し実用性に乏しくなる。加えて、原料の分子量によってカーボン膜の分子量が決定されるため低分子量は好ましくない。一方、前記数平均分子量が、大きすぎる場合には、一般の有機溶媒への溶解性が悪くなり、溶液の粘度が高くなって塗工が困難になり、やはり実用上問題になる。

0074

以上のようにして得られた本発明で用いるポリフェニレン原料は、重合に使用した塩基、未反応モノマー末端停止剤、又、重合中に発生した無機塩等の不純物を除去して使用される。これら精製操作再沈澱、抽出、ソックスレー抽出限外濾過透析等をはじめとする従来公知の方法を使用できる。

0075

<ポリフェニレン原料の可溶性基の除去>
前記ポリフェニレン原料の可溶性基の除去は、下記反応式A3に示す置換基脱離化合物離脱反応によって除去される。

0076

<反応式A3>



ただし、前記反応式A3中、X及びYのうち一方は置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基又はアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。Q1からQ6は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、及び1価の有機基のいずれかであり、これらは、隣接する基同士でそれぞれ結合して環を形成していてもよい。

0077

前記ポリフェニレン原料に修飾されている前記一般式(A)で表される部分構造は、エネルギー付与により前記一般式(B)で表される芳香族基(π電子共役部位)とX−Yで表される化合物に変換する。

0078

前記一般式(A)で表される部分構造には置換基の立体的な配置が異なる異性体が複数存在するが、いずれも前記一般式(B)で示される特定部分構造へと変換され、脱離成分は同一であることに変わりはない。
前記一般式(A)で表される化合物から脱離する基であるX及びYは脱離性置換基と定義され、それらが結合して生成したX−Yは脱離成分と定義される。脱離成分は固体液体気体の3態を取りえるが、系外への除去を考えると、脱離成分が液体又は気体であることが好ましく、特に好ましくは常温で気体であること又は、脱離反応を行う温度において気体となることである。

0079

前記脱離成分の沸点としては大気圧(1,013hPa)において、500℃以下が好ましく、系外への除去の容易さと生成するπ共役化合物の分解・昇華温度を考えると、400℃以下がより好ましく、300℃以下が更に好ましい。

0080

以下に、前記一般式(A)におけるXが置換されていてもよいアシルオキシ基であり、Y及びQ1,Q6が水素原子である場合を一例とし、下記反応式A4にその離脱反応による変換の式を示す。なお、本発明における置換基脱離化合物の離脱反応による変換はこれに限定されるものではない。

0081

<反応式A4>



なお、前記式中、R3は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基から選択されるいずれかである(以下、同様)。

0082

上記の例の場合、エネルギー付与(加熱)により、前記一般式(C)で表されるシクロヘキサジエン環構造から、脱離成分として前記一般式(E)で表されるアルキル鎖を有するカルボン酸が脱離し、前記一般式(D)で表されるベンゼン環を含む構造の特定化合物に変換される。加熱温度がカルボン酸の沸点を超えている場合にはカルボン酸は速やかに気体となる。

0083

以下に、一般式(F)で表される化合物から脱離成分が脱離する機構について、下記反応式A5により概略を示す。

0084

<反応式A5>



本発明で用いられるシクロヘキサジエン環構造からの脱離成分の脱離機構は前記一般式(F)から前記一般式(H)への変換である。説明を補足するため、シクロヘキセン環[前記一般式(G)]の場合の脱離機構も含めて示す。

0085

前記反応式A5に示すように、前記一般式(F)で表されるシクロヘキセン環の場合、六員環状の遷移状態を取ることで、β−炭素上の水素原子がカルボニルの酸素原子上へと1,5−転位することで協奏的な脱離反応が起こり、カルボン酸化合物が脱離し、シクロヘキセン環構造から一般式(H)で表されるようなベンゼン環構造へと変換される。
2つのアシルオキシ基を有するシクロヘキセン構造を有する化合物[前記一般式(F)]の場合、脱離反応は2段階で進行すると考えられ、まず一つのカルボン酸が脱離して前記一般式(G)で表されるシクロヘキサジエン環構造となる。
この時、前記一般式(F)で表される2置換体からカルボン酸1分子を脱離させるために必要な活性化エネルギーは、前記一般式(G)で表される1置換体から同1分子を脱離させるのに要するそれに比べて、十分に大きいため、反応は速やかに2段階進行し、前記一般式(H)で表される構造まで変換される。

0086

ここで、置換基(アシルオキシ基と水素等)の位置関係の違いによる、複数の立体異性体が存在する場合においても、反応の速度は異なるが上記反応は進行する。
前記シクロヘキサジエン骨格の、脱離反応の低温化はアシルオキシ基だけに限られるわけではなく、エーテル基などでも同様の効果が見られる。
前記反応式A5においてβ炭素上の水素原子の引き抜き、転移が反応の第一段階であるため、酸素原子の水素原子を引きつける力が強いほど反応は起こりやすいと考えられる。その度合いは、例えば、アシルオキシ基側のアルキル鎖によっても変わってくるし、酸素原子を同じく第16族の元素である硫黄、セレンテルルポロニウムなどのカルコゲン原子などに変えることによっても変化する。

0087

この脱離反応を行うために付与(印加)するエネルギーとしては、熱、光、電磁波が挙げられるが、反応性及び収率、後処理の観点から、熱エネルギーあるいは光エネルギーが好ましく、特に熱エネルギーが好ましい。また、酸又は塩基の存在下で上記エネルギーを印加してもよい。
通常、前記脱離反応には、官能基の構造にも依存するが、反応速度及び反応率の観点から加熱が必要となることが多い。脱離反応を行うための加熱の方法には、支持体上で加熱する方法、オーブン内で加熱する方法、マイクロ波照射による方法、レーザーを用いて光を熱に変換して加熱する方法、光熱変換層を用いる等種々の方法を用いることができるが、これらに限定されるものではない。

0088

脱離反応を行うための加熱温度については、室温(およそ25℃)〜500℃の範囲を用いることが可能であり、下限温度は材料の熱安定性及び脱離成分の沸点を考え、上限温度ではエネルギー効率や、未変換分子の存在率、変換後の化合物の分解、昇華等を考慮すると、40℃〜500℃の範囲が好ましく、更に置換基脱離化合物の合成時の熱安定性を考慮すると、60℃〜500℃の範囲がより好ましく、80℃〜400℃が特に好ましい。
前記加熱の時間については、高温であるほど反応時間は短く、低温であるほど脱離反応に必要な時間は長くなる。また、置換基脱離化合物の反応性、量にもよるが、0.5分間〜120分間が好ましく、1分間〜60分間がより好ましく、1分間〜30分間が特に好ましい。

0089

光を外部刺激として用いる場合は、赤外線ランプや、化合物が吸収する波長の光を照射すること(例えば、405nm以下の波長に露光)等を利用してもよい。その際に半導体レーザーを用いてもよい。例えば、近赤外域レーザー光(通常は780nm付近の波長のレーザー光)、可視レーザー光(通常は、630nm〜680nmの範囲の波長のレーザー光)、波長390nm〜440nmのレーザー光が挙げられる。好ましくは波長390nm〜440nmのレーザー光であり、440nm以下の範囲の発振波長を有する半導体レーザー光が好適に用いられる。これらの中でも、好ましい光源としては、390nm〜440(更に好ましくは390nm〜415nm)の範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザー光、中心発振波長850nmの赤外半導体レーザー光を光導波路素子を使って半分の波長にした中心発振波長425nmの青紫SHGレーザー光を挙げることができる。

0090

前記脱離性置換基の脱離反応において、酸又は塩基は触媒として働き、より低温での変換が可能となる。これらの使用方法は特に限定はされないが、置換基脱離化合物に対してそのまま添加してもよいし、任意の溶媒に溶解させ溶液にして添加してもよいし、気化させてその雰囲気中で加熱処理を行ってもよく、光酸発生剤及び光塩基発生剤等を添加し、光照射によって系内で酸及び塩基を得てもよい。

0091

前記酸としては、例えば、塩酸硝酸硫酸酢酸トリフルオロ酢酸トリフルオロメタンスルホン酸、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸蟻酸リン酸、2−ブチルオクタン酸などが挙げられる。

0092

前記光酸発生剤としては、例えば、スルホニウム塩ヨードニウム塩等のイオン性発生剤イオン性光酸発生剤イミドスルホネートオキシムスルホネートジスルホニルジアゾメタンニトロベンジルスルホネート等の非イオン性発生剤を用いることができる。
また、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム水酸化カリウム等の水酸化物炭酸水素ナトリウム炭酸ナトリウム炭酸カリウム等の炭酸塩トリエチルアミンピリジン等のアミン類ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等のアミジン類などを用いることができる。
また、光塩基発生剤としては、例えば、カルバマート類、アシルオキシム類、アンモニウム塩等を用いることができる。
これらの中でも、揮発性の酸又は塩基の雰囲気中に行うのが、反応後の酸塩基の系外への除去の容易さを考えると好ましい。

0093

脱離反応を行う際の雰囲気については、上記触媒の有無に関わらず大気下においても行うことが可能であるが、酸化等の副反応及び水分の影響を除くため、更に脱離した成分の系外への排除を促すために、不活性ガス雰囲気下又は減圧下で行うことが好ましい。

0094

脱離性置換基となるアシルオキシ基等の形成方法については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、後述のアルコールとカルボン酸クロライドもしくはカルボン酸無水物を反応させる又はハロゲン原子とカルボン酸銀もしくはカルボン酸−4級アンモニウム塩交換反応によってカルボン酸エステルを得る方法以外にも、ホスゲンとアルコールを反応させ炭酸エステルを得る方法、アルコールに二硫化炭素を加えた後、ヨウ化アルキルを反応させキサントゲン酸エステルを得る方法、三級アミン過酸化水素あるいはカルボン酸を反応させアミンオキシドを得る方法、アルコールにオルトセレノシアノニトロベンゼンを反応させセレノキシドを得る方法などが挙げられる。

0095

<ポリフェニレン原料の重合構造と可溶性基除去後の重合体構造
ポリフェニレン原料の詳細な例示として以下のものが挙げられる。なお、X及びYは、前記一般式1及び2に記載のX1〜X3、Y1〜Y3と同様に定義される基である。

0096

より具体的には以下の構造が挙げられる。

0097

上述に記載の通り、外部エネルギーを印加することにより例示化合物(1)から(11)は以下の特定構造に変換される。
変換前のポリフェニレン重合体を塗布し形成加工し、外部エネルギーを印加することで所望の形態の重合膜を得ることができる。

0098

脱水素過程>
脱水素過程は、外部エネルギーによって、ラジカル又は還元・酸化的に水素が脱離する。また、触媒などを用いて脱水素が促進されることが多数報告されている。
下記反応式A6〜A10に、特定の出発原料から得られる特定の幅又は形状を有するカーボン膜の具体的な構造を示している。このように出発原料の大きさに応じて分子短軸方向の幅や形状が異なる。なお、X及びYは、前記一般式1及び2に記載のX1〜X3、Y1〜Y3と同様に定義される基である。

0099

<反応式A6>

0100

<反応式A7>

0101

<反応式A8>

0102

<反応式A9>

0103

<反応式A10>

0104

[外部エネルギーの印加方法]
この可溶性基の除去及び脱水素反応を行うために外部から付与(印加)するエネルギーとしては、熱、光、電磁波が挙げられるが、反応性及び収率、後処理の観点から、熱エネルギーあるいは光エネルギーが好ましく、熱エネルギーが特に好ましい。また、酸又は塩基の存在下で上記エネルギーを印加してもよい。

0105

加熱の方法としては、支持体上で加熱する方法、オーブン内で加熱する方法、マイクロ波の照射による方法、レーザーを用いて光を熱に変換して加熱する方法、光熱変換層を用いる等種々の方法を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
加熱温度については、室温(およそ25℃)〜2,000℃の範囲を用いることが可能であり、下限温度は材料の熱安定性及び脱離成分の沸点を考え、上限温度ではエネルギー効率や、用いられる基板、未変換分子の存在率、変換後の化合物の分解、昇華等を考慮すると、40℃〜1,000℃の範囲が好ましく、更に置換基脱離化合物の合成時の熱安定性を考慮すると、60℃〜800℃の範囲がより好ましく、100℃〜650℃の範囲が更に好ましい。
加熱の時間については、高温であるほど反応時間は短く、低温であるほど長くなる。また、可溶性基の除去の時間は、0.5分間〜120分間が好ましく、1分間〜60分間がより好ましく、1分間〜30分間が特に好ましい。
脱水素反応における時間は、0.5分間〜12時間が好ましく、10分間〜2時間がより好ましく、30分間〜1時間が特に好ましい。

0106

光を外部刺激として用いる場合は、赤外線ランプや、化合物が吸収する波長の光を照射すること(例えば、405nm以下の波長に露光)等を利用してもよい。その際に半導体レーザーを用いてもよい。例えば、近赤外域のレーザー光(通常は780nm付近の波長のレーザー光)、可視レーザー光(通常は、630nm〜680nmの範囲の波長のレーザー光)、波長390nm〜440nmのレーザー光が挙げられる。これらの中でも、波長390nm〜440nmのレーザー光が好ましく、440nm以下の範囲の発振波長を有する半導体レーザー光が好適に用いられる。中でも好ましい光源としては、390nm〜440(更に好ましくは390nm〜415nm)の範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザー光、中心発振波長850nmの赤外半導体レーザー光を光導波路素子を使って半分の波長にした中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザー光を挙げることができる。
加熱するときの雰囲気は周囲に酸素が含まれていないことが好ましい。

0107

<触媒>
脱水素反応を促進させるために、触媒を用いることが好ましい。グラフェンの製造方法で用いられるような触媒が好ましく用いられ、例えば、結晶化した金属膜を用いることが挙げられる。カーボン材料の六員環の方位を揃えてエピタキシャルに合成できる方法が報告されており、Au、Ag、Cu、Ni、Fe、Coなどの結晶膜が挙げられる。また、HOPGなどの結晶膜も好ましく用いられる。これらに出発原料であるポリフェニレンを密着させることで触媒として機能する。支持基板上に結晶膜を設けその上にポリフェニレンを塗布することにより密着させる方法が好ましく用いられる。更に化学的な触媒も用いることができ、例えば、酸化剤を用いることで、脱水素反応であるScholl反応を促進することができる。例えば、塩化アルミニウム塩化鉄(III)、塩化銅(II)、PIFA、ボロントリフルオライドエセレート、塩化モリブデン(V)、四酢酸鉛などが挙げられる。これらは原料と共に溶解・分散させて用いてもよい。

0108

以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。

0109

(実施例1)
−カーボン膜の作製−
以下の反応式に基づき、カーボン膜を作製した。

0110

(過程1)溶解基の除去
ポリフェニレン重合体1(重合度25,000)を塗工する基板としては、洗浄液超純水、及びイソプロピルアルコール(IPA)をそれぞれ用いて超音波洗浄した石英基板を用いた。
ポリフェニレン重合体1をテトラヒドロフラン(THF)に対して5質量%加えた溶液を調製し、前記石英基板上にスピンコート法により成膜した。成膜後に窒素雰囲気下、280℃で30分間加熱してポリフェニレン重合体1から可溶性基を除去した重合体膜を得た。

0111

(過程2)脱水素反応
アルゴン雰囲気下、石英基板上に成膜した重合体膜を塩化鉄(III)の20質量%ジクロロメタン溶液に30分間浸漬後、メタノールで洗浄することでカーボン膜を得た。

0112

ここで用いたポリフェニレン重合体1のTG及びDSCの測定結果図1に示す。また、ポリフェニレン重合体1(溶解性重合体)と可溶性基を除去した重合体膜(重合体)の吸収スペクトルの結果を図2に示す。また、重合体膜とカーボン膜(グラフェンナノリボン膜)の吸収スペクトルの結果を図3に示す。更に、薄膜ラマン分光(Nanofinder)により、カーボン膜が得られていることが確認された。また、元素分析結果から、炭素と水素のみが観測されている。
TG及びDSCは、X−DSC7000及びTG/DTA7200(SII社製)を用いて測定した。
吸収スペクトルは、U3300(日立製作所製)を用いて測定した。

0113

図1及び図2の結果から(過程1)における溶解基の除去が、280℃で速やかに除去されているのが分かり、前記構造式で示された構造になっていることが示される。更に、酸化剤である塩化鉄(III)を加えることで吸収波長長波長化しており、グラフェンナノリボン膜が生成していることを支持している。

0114

(実施例2)
−カーボン膜の作製−
以下の反応式に基づき、カーボン膜を作製した。

0115

ポリフェニレン重合体2(重合度15,000)を塗工する基板としては、マイカ基板にAuを堆積しAu(111)面が露出している基板を用いた。
ポリフェニレン重合体2をTHFに対して0.1質量%加えた溶液を調製し、前記基板上にスピンコート法(1,000rpm)により成膜した。成膜後に真空チャンバ背圧1.0×10−4Pa)に入れて、セラミックヒーターにより加熱を行った。それぞれ300℃及び450℃で1時間加熱した。

0116

得られた膜の顕微ラマン分光を測定した。結果を図4に示す。図4中1は、ポリフェニレン重合体2のスピンコート膜、2は、ポリフェニレン重合体2のスピンコート膜を300℃で真空加熱したもの、3は、ポリフェニレン重合体2の450℃で真空加熱したときの顕微ラマン分光の図である。
顕微ラマン分光は、Nanofinder(東京インスツルメンツ社製)を用いて測定した。
また、吸収スペクトルを測定するために、洗浄液、超純水、イソプロピルアルコール(IPA)をそれぞれ用いて超音波洗浄した石英基板を用いた。前記ポリフェニレン重合体2をテトラヒドロフラン(THF)に対して1質量%加えた溶液を調製し、石英基板上にスピンコート法(1,000rpm)により成膜した。成膜後に真空チャンバ(背圧1.0×10−4Pa)に入れて、セラミックヒーターにより加熱を行った。450℃で1時間加熱し、加熱前後での吸収スペクトルの変化を調べた。結果を図5に示す。図5中1は、ポリフェニレン重合体2のスピンコート膜、2は、ポリフェニレン重合体2のスピンコート膜を450℃で真空加熱したときの吸収スペクトルである。

0117

顕微ラマン分光から示すように、300℃又は450℃の真空加熱により、Gバンド(1,590cm−1)とDバンド(1,350cm−1)が生成していることが分かった。このことはグラフェンナノリボン膜が製造されていることを示している。更に、同一条件で加熱(450℃)した石英基板での吸収スペクトルでも、出発原料に比べて、吸収が発達し、π共役が拡張されており、グラフェンナノリボン膜が生成していることを更に支持している。
このように特定の構造を有する重合体を用いることで、塗布で簡便にカーボン薄膜、グラフェンナノリボンが製造できることが明らかとなった。

0118

(実施例3)
<カーボン薄膜を用いた素子>
I2/KI溶液のエッチング溶液に、実施例2で作製したカーボン薄膜が形成されたマイカAu基板を浸漬させた。10分間基板をエッチング溶液に浸し、カーボン薄膜を遊離させた。遊離した薄膜をシリコン基板(Nドープ、膜厚300nmの熱酸化膜)ですくい取ることで転写した。純水及びメタノールで洗浄を数回行い、真空乾燥することで、転写膜を得た。

0119

得られた転写膜に対して、シャドウマスクを用いて金を真空蒸着(背圧〜10−4Pa、蒸着レート1Å/s〜2Å/s、膜厚:50nm)することによりソース電極及びドレイン電極を形成した(チャネル長50μm、チャネル幅2mm)。ソース電極及びドレイン電極とは異なる部位の有機半導体層及びシリコン酸化膜削り取り、その部分に導電性ペースト(導電性ペースト、化成社製)を付け溶媒を乾燥させた。この部分を用いて、ゲート電極としてのシリコン基板に電圧を印加した。以上により、FET電界効果型トランジスタ)素子を作製した。
得られたFET(電界効果型トランジスタ)素子の電気特性を、半導体パラメータアナライザー4156C(アジレント社製)を用いて大気下で評価した。
その結果、ゲート電圧変調により、ソースドレイン間の電流の変化が見られた。更にP型N型バイポーラー特性を確認した。これによりトランジスタ素子として有効であることがわかった。

0120

(実施例4)
実施例3と同様にして得られた転写膜に対して、実施例3と同様の方法で金電極を形成した。形成した金電極間に、硝酸をスピンコート(1,500rpm)し、自然乾燥させた。N2雰囲気下、室温で一晩放置することで導電素子を得た。IV測定(アジレント社製、B1500A)をすることでシート抵抗概算すると1,000Ω/□程度であり、本素子は導電性を有していることがわかった。

実施例

0121

本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 下記一般式(I)で表されるポリフェニレン重合体を含み、特定の幅又は特定の形状を有することを特徴とするカーボン膜である。
<一般式(I)>



ただし、前記一般式(I)中、R1〜R8は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、及びアリール基から選択されるいずれかである。nは、繰り返し数を示し、0〜5の整数であり、nが1以上の場合には、R1〜R8は、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは、下記一般式1及び下記一般式2のいずれかで表される基である。
<一般式1>



ただし、前記一般式1中、X1及びY1のうち一方は置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基又はアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。Q1からQ6は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、及び1価の有機基のいずれかであり、これらは、隣接する基同士でそれぞれ結合して環を形成していてもよい。
<一般式2>



ただし、前記一般式2中、X2、X3、Y2、及びY3のうち一方は置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基又はアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。Q1からQ6は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、及び1価の有機基のいずれかであり、これらは隣接する基同士でそれぞれ結合して環を形成していてもよい。
<2> 前記カーボン膜が、グラフェンナノリボンである前記<1>に記載のカーボン膜である。
<3> 前記<1>から<2>のいずれかに記載のカーボン膜を用いたことを特徴とする導電性素子である。
<4>支持基板と、前記基板上のゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に、前記<1>から<2>のいずれかに記載のカーボン膜からなるカーボン膜層と、前記カーボン膜層に隣接して形成された第一の電極と、前記カーボン層で前記第一電極と離隔された第二電極とを有することを特徴とするカーボン膜素子である。

0122

特表2012−500179号公報

先行技術

0123

PRL99, 186801 (2007)
Appl. Phys. Lett. 94, 082107 (2009)
J.AM.CHEM.SOC. 130, 4216 (2008)
Nature 466, 470, (2010)

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