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技術 酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの製造方法

出願人 信越化学工業株式会社
発明者 金生剛石橋尚樹山下美与志三宅裕樹馬場啓弘長江祐輔
出願日 2014年10月29日 (6年6ヶ月経過) 出願番号 2014-220413
公開日 2015年6月18日 (5年10ヶ月経過) 公開番号 2015-110553
状態 特許登録済
技術分野 有機低分子化合物及びその製造
主要キーワード 工業的経済性 セネシオ酸 二級炭化水素基 三級炭化水素基 四臭化錫 発生予察 ジアルキルボラン コナカイガラムシ科
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課題

簡便かつ効率的な酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの製造方法を提供する。

解決手段

2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(1)を異性化させて2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)を得る異性化工程と、得られた2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)を還元して2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)を得るエステル還元工程と、得られた2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)をブチリル化して酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニル(4)を得るブチリル化工程とを少なくとも含む酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの製造方法を提供する。

化1

(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基を示す。)

概要

背景

昆虫の性フェロモンは、通常雌個体が雄個体を誘引する機能をもつ生物活性物質であり、少量で高い誘引活性を示す。性フェロモンは、発生予察地理的な拡散特定地域への侵入)の確認の手段として、また、害虫防除の手段として広く利用されている。害虫防除の手段としては、大量誘殺法(Mass trapping)、誘引殺虫法(Lure & killまたはAttract & kill)、誘引感染法(Lure & infectまたはAttract & infect)や交信撹乱法(Mating disruption)と呼ばれる防除法が広く実用に供されている。性フェロモンの利用にあたっては必要量のフェロモン原体経済的に製造することが、基礎研究のために、更には、応用のために必要とされる。

フジコナカイガラムシPlanococcus kraunhiaeは、日本、中国、エリトリア北米分布し、多くの果実被害を与え、経済的に重要な害虫である。Sugieらは、この害虫の性フェロモンを単離した。性フェロモンは、2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセノールラバンジュロール,Lavandulol)を塩化ブチリルエステル化した際にその酸性条件下0.2%収率で得られる化合物(文献中でCompound Aと記載されている)と各種スペクトル誘導体のそれらが一致し、性フェロモンを酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニル(Fujikonyl butyrate)であると決定した(非特許文献1)。

フジコナカイガラムシは、殺虫剤を使用した慣行防除が困難で、フェロモンを用いた交信撹乱法による防除が有望視されている。基礎的な生物学的研究農学的研究のため、更に、応用や実用に供する目的には十分量のフェロモン原体の供給が必要となり、効率的で選択性のよい(異性体の副生が少なく分離の手間がかからない)製造方法が強く望まれている。

Tabataは、酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの合成を報告している。2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセノールを出発原料とし、Dess−Martin試薬を用いた酸化反応により2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセナール(ラバンジュラール,Lavandulal)とし、このアルデヒドを酸性条件下に異性化して二重結合位置が移動した2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセナール(別名:フジコナール、Fujikonal)とし、このアルデヒドを還元し、更にエステル化することにより目的物を得ている(非特許文献2)。

概要

簡便かつ効率的な酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの製造方法を提供する。2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(1)を異性化させて2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)を得る異性化工程と、得られた2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)を還元して2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)を得るエステル還元工程と、得られた2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)をブチリル化して酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニル(4)を得るブチリル化工程とを少なくとも含む酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの製造方法を提供する。(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基を示す。)なし

目的

本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、例えば、生物学的研究や農学的活性試験や実際の応用や利用等に必要な十分量のフジコナカイガラムシのフェロモン原体を供給するために、簡便かつ効率的な酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記一般式(1)に示す2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル異性化させて下記一般式(2)に示す2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステルを得る異性化工程と、得られた2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)を還元して下記式(3)に示す2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノールを得るエステル還元工程と、得られた2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)をブチリル化して下記式(4)に示す酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルを得るブチリル化工程とを少なくとも含む酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの製造方法。(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基を示す。)

請求項2

前記エステル還元が、前記異性化工程で得られた2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)を、下記式(5)に示す2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸に変換する段階と、得られた2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(5)を還元して2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)を得る酸還元段階とを含む請求項1に記載の酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの製造方法。

請求項3

前記異性化工程が、塩基の存在下で行われる請求項1または2記載の酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、例えばコナカイガラムシ科一種であるフジコナカイガラムシPlanococcus kraunhiaeの性フェロモンである、酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニル(別名:酪酸フジコニル,Fujikonyl butyrate)の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

昆虫の性フェロモンは、通常雌個体が雄個体を誘引する機能をもつ生物活性物質であり、少量で高い誘引活性を示す。性フェロモンは、発生予察地理的な拡散特定地域への侵入)の確認の手段として、また、害虫防除の手段として広く利用されている。害虫防除の手段としては、大量誘殺法(Mass trapping)、誘引殺虫法(Lure & killまたはAttract & kill)、誘引感染法(Lure & infectまたはAttract & infect)や交信撹乱法(Mating disruption)と呼ばれる防除法が広く実用に供されている。性フェロモンの利用にあたっては必要量のフェロモン原体経済的に製造することが、基礎研究のために、更には、応用のために必要とされる。

0003

フジコナカイガラムシPlanococcus kraunhiaeは、日本、中国、エリトリア北米分布し、多くの果実被害を与え、経済的に重要な害虫である。Sugieらは、この害虫の性フェロモンを単離した。性フェロモンは、2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセノールラバンジュロール,Lavandulol)を塩化ブチリルエステル化した際にその酸性条件下0.2%収率で得られる化合物(文献中でCompound Aと記載されている)と各種スペクトル誘導体のそれらが一致し、性フェロモンを酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニル(Fujikonyl butyrate)であると決定した(非特許文献1)。

0004

フジコナカイガラムシは、殺虫剤を使用した慣行防除が困難で、フェロモンを用いた交信撹乱法による防除が有望視されている。基礎的な生物学的研究農学的研究のため、更に、応用や実用に供する目的には十分量のフェロモン原体の供給が必要となり、効率的で選択性のよい(異性体の副生が少なく分離の手間がかからない)製造方法が強く望まれている。

0005

Tabataは、酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの合成を報告している。2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセノールを出発原料とし、Dess−Martin試薬を用いた酸化反応により2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセナール(ラバンジュラール,Lavandulal)とし、このアルデヒドを酸性条件下に異性化して二重結合位置が移動した2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセナール(別名:フジコナール、Fujikonal)とし、このアルデヒドを還元し、更にエステル化することにより目的物を得ている(非特許文献2)。

先行技術

0006

Appl.Entomol.Zool.,43,369−375(2008)
Appl.Entomol.Zool.,48,229−232(2013)

発明が解決しようとする課題

0007

非特許文献2の記載によれば、非特許文献1のCompound Aの合成と同様な方法、すなわち、ラバンジュロールと塩化ブチリルとの反応により目的物の酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルを合成する場合、ラバンジュロールが異性化されずエステル化された酪酸2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセニルに対し目的物は約3〜5%と低収率でしか得られない。
また、非特許文献2の方法では、原料のラバンジュロールは香料として市販されているものの高価で大量に入手することは難しかったり、また、試薬が高価で工業的には実施しにくいDess−Martin酸化反応を用いていたり、中間体の単離や精製の際シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いている等の点で工業的合成方法とは言い難い。
上より、これまでの合成例では、実用のために十分量の原体を工業的に製造するのは非常に困難と考えられた。

0008

本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、例えば、生物学的研究や農学的活性試験や実際の応用や利用等に必要な十分量のフジコナカイガラムシのフェロモン原体を供給するために、簡便かつ効率的な酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(ラバンジュリン酸エステル)を塩基性条件下に異性化させることにより、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステルが得られること、このエステルまたはこのエステルから導かれるカルボン酸を還元、次いで、ブチリル化することによりフジコナカイガラムシの性フェロモンである酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルが工業的に製造可能であることを見出し、本発明を完成させたものである。
本発明の一つの態様では、下記一般式(1)に示す2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エステルを異性化させて下記一般式(2)に示す2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステルを得る異性化工程と、得られた2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)を還元して下記式(3)に示す2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノールを得るエステル還元工程と、得られた2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)をブチリル化して下記式(4)に示す酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルを得るブチリル化工程とを少なくとも含む酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの製造方法が提供される。



(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基を示す。)
また、本発明の別な態様では、前記エステル還元工程が、前記異性化工程で得られた2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)を、下記式(5)に示す2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸に変換する段階と、得られた2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(5)を還元して2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)を得る酸還元段階とを含む酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの製造方法が提供される。

発明の効果

0010

以上のように、本発明は、酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルを効率的に合成するための工業的製造方法を提供する。

0011

以下、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明によれば、出発原料は、下記一般式(1)に示す2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エステルである。

0012

0013

Rは、炭素数1から10、好ましくは炭素数1から5の炭化水素基である。
Rの飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基エチル基、n−プロピル基n−ブチル基、n−ペンチル基n−ヘキシル基、n−ヘプチル基n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロプロピル基シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、シクロプロピルメチル基シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基、シクロオクチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルエチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘプチルエチル基、シクロオクチルエチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルエチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルエチル基、シクロペンチルプロピル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロヘプチルプロピル基、シクロオクチルプロピル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルプロピル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルプロピル基等の直鎖状分岐状もしくは環状の飽和炭化水素基が挙げられる。
Rの不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、エチニル基プロピニル基、1−ブチニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基シクロヘキサジエニル基、メチルシクロヘキセニル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状の不飽和炭化水素基を挙げられ、これらと異性体の関係にある炭化水素基でもよい。
また、これら飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基の炭化水素基の水素原子中の一部または全部がメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基等で置換されていてもよい。

0014

これらの炭化水素基から、後の反応における反応性や入手の容易さを考慮して適切なものを選択できる。例えば、後述する2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)への還元反応基質としてRを有するエステルを選択する場合には、Rは還元反応の際に立体障害の少ない炭素数1〜3の低級アルキル基一級炭化水素基が好ましく、また、エステルを対応するカルボン酸、すなわち、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸に導く場合において、加水分解反応による場合は反応が容易に進行する一級炭化水素基または二級炭化水素基が、酸触媒脱離反応による場合には、三級炭化水素基が好ましい。

0015

これらを考慮し、Rの特に好ましい例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−アミル基ジエチルメチルカルビニル基、トリエチルカルビニル基、シクロペンチルジメチルカルビニル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−イソプロピル−1−シクロペンチル基、1−イソプロピル−1−シクロヘキシル基、1−t−ブチル−1−シクロペンチル基、1−t−ブチル−1−シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、2−メチル−2‐ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、2−エチル−2‐ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、イソボルニル基、2‐ビシクロ[2.2.1]ヘプチルジメチルカルビニル基等を挙げられる。

0016

2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(1)は、既存の方法[例えば、ApSimon,Total Synthesis of Natural Products,Vol.7,317−320,JOHN WILLEY & SONS,(1988)およびその引用文献]で合成できる。セネシオ酸2−メチル−3−ブテン−2イルを塩基性条件下Claisen型転位反応で2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸を得てこれをエステル化する方法[Matsui et.al.,Agric.、Biol.Chem.,Vol.32,1246−1249(1968)]およびセネシオ酸エステルのエノレートプレニルハライド(1−ハロ−3−メチル−2‐ブテン)でアルキル化して2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エステルを得る方法が好ましく例示できる。

0017

次に、2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(1)の2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)への異性化工程について述べる。

0018

0019

異性化反応酸性塩基性のいずれの条件下でも進行させることができるが、種々検討の結果、塩基性条件下でのエステル化合物の異性化が、選択性や反応のしやすさ等の点で特に有効であることが知見された。

0020

塩基性条件下での異性化反応では、通常、塩基を用いて、溶媒中または無溶媒で必要に応じて冷却または加熱して反応を行う。
異性化反応に用いる塩基としては、例えば、ナトリウムメトキシドナトリウムエトキシドナトリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−アミロキシド、リチウムメトキシドリチウムエトキシド、リチウムt−ブトキシド、リチウムt−アミロキシド、カリウムメトキシドカリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、カリウムt−アミロキシド等のアルコキシド類(好ましくは金属アルコキシド、より好ましくはアルカリ金属アルコキシド)、水酸化ナトリウム水酸化リチウム水酸化カリウム水酸化バリウム等の水酸化物塩類(好ましくは金属水酸化物、より好ましくはアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物)、炭酸ナトリウム炭酸カリウム炭酸水素ナトリウム炭酸水素カリウム等の炭酸塩類または重炭酸塩(好ましくはアルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属重炭酸塩)、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、塩化メチルマグネシウムジムシルナトリウム等の有機金属試薬、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、リチウムジシクロヘキシルアミド等の金属アミド類、水素化ナトリウム水素化カリウム水素化カルシウム等の水素化金属類、トリエチルアミンジイソプロピルエチルアミントリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンピリジン、4−ジメチルアミノピリジンピロリジンピペリジンコリジンルチジンモルホリンピペラジン等の有機塩基類が挙げられる。これらの塩基は単独で用いても複数の塩基を混合して用いてもよく、基質の種類や反応性や選択性を考慮して選択できる。

0021

これら塩基のうち、選択性や収率よく目的の反応が進行しやすさの点よりアルコキシド類は特に好ましい。塩基としてアルコキシド類を用いる場合、エステル交換により複雑な生成物を与えないように求核性の低い三級アルコキシドを選ぶか、または、基質のRに対応するアルコキシド[ROM(Mは金属などのカチオン性部を表す。)]を選ぶとよい。

0022

異性化反応に用いる塩基の使用量は、基質や塩基の種類によって種々異なるが、基質のエステル化合物1モルに対して、例えば触媒量(0.5モル以下、好ましくは0.001から0.5モル)から大過剰(2モルから500モル)、好ましくは0.001モルから大過剰量、より好ましくは0.1モルから小過剰量(1モルを超え1.5モル以下)である。反応の進行が十分に早い場合には、化学量論量より少ない量の使用が経済的な面から好ましい。

0023

異性化反応に用いる溶媒としては、例えば、水、メタノールエタノールイソプロピルアルコールt−ブチルアルコールベンジルアルコールメトキシエタノールエトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルトリエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類ヘキサンヘプタンベンゼントルエンキシレンクメン等の炭化水素類、N,N-ジメチルホルムアミドDMF)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンDMI)、ジメチルスルホキシドDMSO)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)等の非プロトン性極性溶媒類、アセトニトリルプロピオニトリル等のニトリル類が挙げられ、これらを単独または混合して用いることができる。水を含む系では加水分解によるカルボン酸の生成が起こったり、更に二重結合の移動が起こり別な異性体が生じる場合があるため非水系の溶媒の選択が好ましい。逆に、基質のエステルをカルボン酸にまで一挙に変換したい場合には、水を含む溶媒を選択するかまたは異性化後に水を添加することもできる。また、塩基と溶媒の選択において、上記のアルコキシドROMを使用する場合に対応するアルコール(ROH)を溶媒として選択することは好ましい例として挙げることができる。なお、水を含む溶媒中塩基としてアルコキシド類を使用する場合とアルコール溶媒中塩基として水酸化物塩類を使用する場合は、系内で同一の条件となると考えられる。

0024

異性化反応における反応温度は、好ましくは−78℃から溶媒の沸点温度、より好ましくは−10℃から100℃である。反応時間は、任意に設定できるが、ガスクロマトグラフィーGC)や薄層クロマトグラフィーTLC)で反応の進行を追跡して反応を十分進行させるのがよく、通常5分間から240時間が好ましい。

0025

反応の後処理、目的物の単離や精製は、減圧蒸留や各種クロマトグラフィー等の通常の有機合成における精製方法から便宜選択して用いることができるが、工業的経済性の観点から減圧蒸留が好ましい。また、目的物が十分な純度を有している場合には、粗生成物のまま次の工程に用いてもよい。

0026

2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)はそのまま後述の還元反応により2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)に導くことができるが、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(5)にした後、還元反応に供することもできる。後述のように2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)のまま還元する場合において、特にRが立体的に嵩高い場合に起きやすいと考えられる1,4−還元などの副反応併発する場合には、一度2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(5)に変換しこれを還元することにより、副反応が併発を避けることができる。また、中間体として酸性のカルボン酸を経由することにより、副反応で生じ得る中性または塩基性の不純物水系後処理(aqueous work−up)により容易に除去できる場合がある。

0027

まず、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)の2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(5)への変換について述べる。

0028

0029

2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)の2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(5)への変換には、エステルからカルボン酸への公知の変換反応を適用できる。例えば、塩基性または中性条件での加水分解反応、酸性条件での脱離反応を挙げることができる。
加水分解反応は基質のエステル中のRが一級または二級炭化水素基である場合に好ましく、酸性条件下での脱離反応はRが三級炭化水素基である場合に好ましい。加水分解反応の場合には、通常、溶媒中塩基または塩類を用いて、溶媒中の水または水を後で添加して反応させる。脱離反応の場合には、通常、溶媒中酸を用いる。いずれも必要に応じて冷却または加熱して反応させてもよい。

0030

加水分解に用いる塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等の水酸化物塩類(好ましくは金属水酸化物、より好ましくはアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩類または重炭酸塩(好ましくはアルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属重炭酸塩)、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−アミロキシド、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムt−ブトキシド、リチウムt−アミロキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、カリウムt−アミロキシド等のアルコキシド類(好ましくは金属アルコキシド、より好ましくはアルカリ金属アルコキシド)を挙げることができる。

0031

加水分解に用いる塩類としては、例えば、ヨウ化リチウム臭化リチウムヨウ化トリメチルシリル、臭化トリメチルシリル等のハロゲン化物類(好ましくはアルカリ金属ハロゲン化物)を挙げることができる。

0032

脱離反応に用いる酸としては、例えば、塩酸臭化水素酸硫酸硝酸等の無機酸類シュウ酸トリフルオロ酢酸メタンスルホン酸ベンゼンスルホン酸p−トルエンスルホン酸等の有機酸類三塩化アルミニウムアルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド三フッ化ホウ素三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四塩化錫四臭化錫二塩化ジブチル錫、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫オキシド四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド酸化チタン(IV)等のルイス酸(Lewis acid)類を挙げることができ、これらは単独または混合して用いられる。

0033

加水分解または脱離反応に用いる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)等の非プロトン性極性溶媒類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類を挙げることができ、これらを単独または混合して用いることができる。

0034

カルボン酸への変換反応の反応温度と反応時間は任意に設定できるが、ガスクロマトグラフィー(GC)や薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応の進行を追跡して反応を十分進行させるのがよい。反応温度は、好ましくは−78℃から溶媒の沸点温度、より好ましくは−10℃から100℃であり、反応時間は、通常5分間から240時間である。

0035

反応の後処理、目的物の単離や精製は、減圧蒸留、再結晶や各種クロマトグラフィー等の通常の有機合成における精製方法から便宜選択して用いることができるが、工業的経済性の観点から減圧蒸留や再結晶が好ましい。ここで、再結晶による精製を適用する場合には、蒸留では分離しにくい異性体の混合物から目的のカルボン酸を純度よく単離することができる場合があり、工業的な価値が高い。また、目的物が十分な純度を有している場合には、粗生成物のまま次の工程に用いてもよい。

0036

次に、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エステル(2)または2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(5)の還元反応により、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)に導く。

0037

0038

2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(5)またはそのエステル(2)から2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)への変換には、カルボン酸またはエステルからアルコールへの公知の還元反応を適用できる。還元反応は、通常溶媒中、必要に応じて冷却または加熱しながら反応基質還元剤を反応させる。反応基質としては、用いる還元剤の種類や反応条件にも依存するが、例えば、エステル中のRが一級または二級アルキル基である場合はエステルをそのまま還元の基質として用いることが好ましい。また、Rが三級で特にその立体障害が大きい場合には1,4-還元等の副反応が起こる場合があり、このような場合には前述の方法により予めカルボン酸に変換して還元の基質として用いることが好ましい。

0039

還元剤(reducing agent)としては、例えば、水素ボランアルキルボラン、ジアルキルボランビス(3−メチル−2−ブチル)ボラン等のホウ素化合物ジアルキルシラントリアルキルシランアルキルアルミニウムジアルキルアルミニウム、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物類、水素化ホウ素ナトリウム水素化ホウ素リチウム水素化ホウ素カリウム水素化ホウ素カルシウム水素化アルミニウムナトリウム水素化アルミニウムリチウム、水素化トリメトキシホウ素ナトリウム、水素化トリメトキシアルミニウムリチウム、水素化ジエトキシアルミニウムリチウム、水素化トリtert−ブトキシアルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシアルミニウムナトリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等の錯水素化塩類(Complex hydride)やそれらのアルコキシあるいはアルキル誘導体等を挙げることができるが、反応条件や後処理の容易さや生成物の単離の容易さ等の点で、錯水素化塩類を使用することが好ましい。

0040

還元剤の使用量は、使用する還元剤、反応条件等によって異なるが、一般的には基質のカルボン酸またはエステル1モルに対して、好ましくは0.5〜大過剰量(2モルから500モル)、より好ましくは0.9〜8.0モルである。

0041

還元反応に用いる溶媒としては、例えば、水、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテルジエチレングリコールジエチルエーテルジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール2−プロパノールエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、アセトニトリルなどのニトリル類、アセトン2−ブタノンなどのケトン類酢酸エチル酢酸n−ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒類が挙げられ、これらを単独もしくは混合して使用しても良い。

0042

還元反応に用いる溶媒は、用いられる還元剤の種類によって適切なものを選択して用いる。例えば、還元剤と溶媒の好ましい組み合わせとしては、還元剤として水素化ホウ素リチウムを用いる場合には、エーテル類、エーテル類とアルコール類との混合溶媒またはエーテル類と炭化水素類との混合溶媒等、還元剤として水素化アルミニウムリチウムを用いる場合には、エーテル類またはエーテル類と炭化水素類との混合溶媒等が挙げられる。

0043

還元反応の反応温度または反応時間は、用いる試薬や溶媒により種々異なるが、例えば、還元剤としてテトラヒドロフラン中水素化アルミニウムリチウムを用いる場合は、反応温度を好ましくは−78℃から50℃、より好ましくは−70℃から20℃で行う。反応時間は、任意に設定できるが、ガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましく、通常0.5〜96時間程度である。目的の2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノールの単離や精製は、減圧蒸留や各種クロマトグラフィー等の通常の有機合成における精製方法から適宜選択して用いることができるが、工業的経済性の観点から減圧蒸留が好ましい。また、目的物が十分な純度を有している場合には、粗生成物のまま次の工程に用いてもよい。

0044

本発明によれば、最終工程は、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)をブチリル化して、目的物の酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニル(4)を得るエステル化反応である。

0045

0046

このエステル化反応としては、公知のエステルの製造方法、例えば、アルコールとアシル化剤との反応、アルコールとカルボン酸との反応、エステル交換反応、アルコールをアルキル化剤に変換した後にカルボン酸と反応させる方法を適用できる。

0047

アルコールとアシル化剤との反応を用いる場合の溶媒は、例えば、塩化メチレンクロロホルムトリクロロエチレン等の塩素系溶剤類、へキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒類が挙げられ、これらを単独あるいは2種類以上を混合してもよい。

0048

そして、これらの溶媒中に、反応基質である2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)と、酪酸クロリド、酪酸ブロミド酪酸無水物、酪酸トリフルオロ酢酸混合酸無水物、酪酸メタンスルホン酸混合酸無水物、酪酸トリフルオロメタンスルホン酸混合酸無水物、酪酸ベンゼンスルホン酸混合酸無水物、酪酸p−トルエンスルホン酸混合酸無水物、または酪酸p−ニトロフェニル等のアシル化剤と、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、または4−ジメチルアミノピリジン等の塩基類とを、順次または同時に加えて反応させる。

0049

酸無水物等のアシル化剤を用いる反応では、塩基類の代わりに塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸類、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類から選ばれる酸触媒下に反応を行うこともできる。

0050

アルコールとアシル化剤との反応温度は、用いるアシル化剤の種類や反応条件により適切な反応温度を選択できるが、一般的には−50℃から溶媒の沸点温度が好ましく、−20℃から室温(5℃から35℃)が更に好ましい。アシル化剤の使用量は、原料のアルコール化合物1モルに対して、好ましくは1から40モル、より好ましくは1から5モルの範囲である。

0051

アルコールとカルボン酸との反応では、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)と酪酸との脱水反応であり、酸触媒下に行うのが一般的である。酪酸の使用量は、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール1モルに対して、好ましくは1〜40モル、より好ましくは1〜5モルの範囲である。

0052

アルコールとカルボン酸との反応の酸触媒の例として、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸類、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類、三塩化アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四塩化錫、四臭化錫、二塩化ジブチル錫、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫オキシド、四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、酸化チタン(IV)等のルイス酸類が挙げられ、これらは単独または混合して用いられる。

0053

アルコールとカルボン酸との反応の酸触媒の使用量は、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール1モルに対して、好ましくは0.001〜1モル、より好ましくは0.01〜0.05モルの触媒量である。

0054

アルコールとカルボン酸との反応の溶媒としては、上記アシル化剤との反応に挙げたものと同様のものを例示できるが、反応温度は、用いるアシル化剤の種類や反応条件により適切な反応温度を選択できるが、一般的には−50℃から溶媒の沸点温度が好ましく、室温(5℃から35℃)から溶媒の沸点温度が更に好ましい。へキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類を含む溶媒を用いて、生じる水を共沸により系外に除去しながら反応を進行させるのもよい。この場合、常圧で溶媒の沸点還流しながら水を留去してもよいが、減圧下に沸点より低い温度で水の留去を行ってもよい。

0055

エステル交換反応では、酪酸アルキルと2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)とを触媒存在下に反応させ、生じるアルコールを除去することにより実施する。エステル交換反応の酪酸アルキルとしては、酪酸の一級アルキルエステルが好ましく、特に酪酸メチル酪酸エチル、酪酸n−プロピルが価格、反応の進行のし易さ等の点から好ましい。この酪酸アルキルの使用量は、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール1モルに対して、好ましくは1〜40モル、より好ましくは1〜5モルの範囲である。

0056

エステル交換反応の触媒としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸類、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基類、青酸ナトリウム、青酸カリウム、酢酸ナトリウム酢酸カリウム酢酸カルシウム、酢酸錫、酢酸アルミニウムアセト酢酸アルミニウム、アルミナ等の塩類、三塩化アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四塩化錫、四臭化錫、二塩化ジブチル錫、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫オキシド、四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、酸化チタン(IV)等のルイス酸類を挙げられ、これらは単独または混合して用いられる。

0057

エステル交換反応の触媒の使用量は、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール1モルに対して、好ましくは0.001〜20モル、より好ましくは0.01〜0.05モルの触媒量である。反応は無溶媒(反応試薬である酪酸アルキル自身を溶媒として用いてもよい)で行うことができ、余計な濃縮溶媒回収等の操作を必要としないので好ましいが、溶媒を補助的に用いることも可能である。

0058

このエステル交換反応の溶媒として、例えば、へキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類等が挙げられ、これらを単独または混合して使用しても良い。

0059

エステル交換反応の反応温度は、用いる酪酸アルキルの種類や反応条件により適切な反応温度を選択できるが、通常、加熱下に行われ、エステル交換反応で生じる低沸点の低級アルコール、即ち、メタノール、エタノール、1−プロパノール等の沸点付近で反応を行い、生じる低級アルコールを留去しながら行うのがよい結果を与える。減圧下に沸点より低い温度でアルコールの留を行ってもよい。

0060

アルコールをアルキル化剤に変換した後にカルボン酸と反応させる方法では、例えば、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)を対応するハロゲン化物(塩化物臭化物ヨウ化物)やスルフォン酸エステル(例えば、メタンスルホン酸エステル、トリフルオロメタンスルホン酸エステルベンゼンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル等)に変換し、これらと酪酸を、通常溶媒中、塩基性条件下に反応させる。

0061

アルコールをアルキル化剤に変換した後にカルボン酸と反応させる方法で用いられる溶媒、塩基、反応時間、および反応温度としては、上記のアルコールとアシル化剤との反応で述べたものと同様のものおよび条件を挙げることができる。酪酸と塩基の組み合わせの代わりに、酪酸ナトリウム、酪酸リチウム、酪酸カリウム、酪酸アンモニウム等の酪酸塩を用いてもよい。

0062

目的の酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの単離や精製は、減圧蒸留や各種クロマトグラフィー等の通常の有機合成における精製方法から適宜選択して用いることができるが、工業的経済性の観点から減圧蒸留が好ましい。

0063

以上のようにして、応用や利用等に必要な十分量の原体を供給するために簡便で、かつ効率的なフジコナカイガラムシのフェロモン原体酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニルの製造方法が実現できる。

0064

以下、実施例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、以下において、「純度」は、特に明記しない限り、ガスクロマトグラフィー(GC)分析によって得られた値である。
合成例1
出発原料2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸(式(1)においてR=H)の合成1
窒素雰囲気下、水素化ナトリウム40.3mmol(60%鉱油懸濁物1.61gをn−ヘキサンで鉱油を除去したもの)とトルエン50mlの混合物をかき混ぜながら加熱還流させ、これにセネシオ酸2−メチル−3−ブテン−2−イル6.76g(96.2%純度)を1時間かけて滴下した。80分間還流を続けた後、ジエチルエーテル50mlを加え、メタノール2mlを滴下した。次いで、水60mlを加え、水層を分離した。分離した水層に20%塩酸を加えて酸性にした後、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液から通常の洗浄、乾燥および濃縮による後処理操作により、目的物の粗生成物7.69g(粗収率89%)を得た。
この粗生成物は、GC分析の結果、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(α,β−不飽和カルンボン酸)と2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸(β,γ−不飽和カルンボン酸)の45.7:54.2の混合物で合わせて78.0%純度であった。

0065

合成例2
出発原料2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸(式(1)においてR=H)の合成2
窒素雰囲気下、ヘキサメチルジシラザン117gとテトラヒドロフラン600mlの混合物を氷冷し、これに1.65Mn−ブチルリチウム、n−ヘキサン溶液425mlを1時間かけて滴下し、30分間かき混ぜた。次いで、混合物をかき混ぜながら−60℃まで冷却し、これにセネシオ酸2−メチル−3−ブテン−2−イル118g(97.8%純度)とテトラヒドロフラン100gの混合物を75分間で滴下した。混合物をゆっくりと室温まで上げ6時間かき混ぜ、再び氷冷した。氷冷した混合物に10%水酸化ナトリウム水溶液286gを加え、水層を分離した。分離した水層に20%塩酸400gを加えた後、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液から通常の洗浄、乾燥および濃縮による後処理操作により、目的物の粗生成物109.1g(94.6%純度、収率90%)を得た。
この粗生成物は、GC分析の結果、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(α,β−不飽和カルンボン酸)は含まれず、原料として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。

0066

合成例3
2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エチル(式(1)においてR=C2H5)の合成
窒素雰囲気下、2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸200.01g(85.4%純度)、炭酸カリウム89.82g、塩化テトラブチルアンモニウム11.28gとトルエン800gの混合物をかき混ぜながら、95℃から100℃に加熱し、ジエチル硫酸191.8gを35分間で滴下した。2時間加熱を続けた後、室温まで冷却して、水510gを加えた。トルエン溶液分取し、通常の洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、粗生成物を得た。
得られた粗生成物を減圧蒸留して目的物193.4g(99.7%純度、収率97%)を得た。

0067

合成例4
2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸t−ブチル(式(1)においてR=C(CH3)3)の合成
窒素雰囲気下、ヘキサメチルジシラザン190gとテトラヒドロフラン700mlの混合物を−20に冷却し、これに1.64Mn−ブチルリチウムn−ヘキサン溶液670mlを25分間かけて滴下し、40分間かき混ぜた。次いで、混合物をかき混ぜながら−40℃から−50℃まで冷却し、これにセネシオ酸t−ブチル162g(96.6%純度)とテトラヒドロフラン100mlの混合物を22分間で滴下した。混合物を−50℃以下で40分間かき混ぜた後、混合物に1−ブロモ−3−メチル−2−ブテン142.5gとテトラヒドロフラン100mlの混合物を35分間で滴下した。徐々に昇温して2時間かけて2℃とし、次いで30℃で40分間かき混ぜた。反応混合物を氷冷した塩化アンモニウム水溶液にあけ、n−ヘキサンで抽出した。n−ヘキサン溶液から通常の洗浄、乾燥および濃縮による後処理操作により、粗生成物249.2g(収率91%)を得た。
この粗生成物は、GC分析の結果、2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸t−ブチル(β,γ−不飽和エステル)と2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸t−ブチル(α,β−不飽和エステル)の97.4:2.6の混合物で合わせて81.9%純度であった。この粗製生物は原料として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。

0068

実施例1
2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エチル(式(2)においてR=C2H5)の合成
(β,γ−不飽和エステルのα,β−不飽和エステルへの異性化)
窒素雰囲気下、2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エチル303g(式(1)においてR=C2H5、75.3%純度、異性体比β,γ−不飽和エステル:α,β−不飽和エステル=96.7:3.3)とテトラヒドロフラン2000mlの混合物に室温でカリウムt−ブトキシド35.0gを加え、室温で15.5時間かき混ぜた。混合物を氷水にあけ、n−ヘキサンで抽出した。n−ヘキサン溶液から通常の洗浄、乾燥および濃縮による後処理操作により、粗生成物258.61g(77.6%純度、異性体比β,γ−不飽和エステル:α,β−不飽和エステル=8.8:91.2)を得た。
この粗生成物を減圧蒸留によって精製して、目的物110.8g(93.1%純度、異性体比β,γ−不飽和エステル:α,β−不飽和エステル=0:100、収率49%)を得た。純度や異性体比の悪いフラクションは再び異性化反応に用いた(リサイクル)。リサイクル向けフラクションを含めた全フラクションの重量×純度の合計で算出した総収率は84%であった。

0069

2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エチル(式(2)においてR=C2H5)
IR(D−ATR):ν=2980,2916,1711,1635,1446,1375,1279,1211,1170,1072cm−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ=1.28(3H,t,J=7.1Hz),1.65−1.67(6H,m),1.80(3H,s),1.96(3H,s),2.99(2H,d,J=6.9Hz),4.17(2H,q,J=7.1Hz),5.01−5.06(1H,m)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl3):δ=14.27,17.73,21.74,22.89,25.66,28.90,59.98,121.64,127.19,132.00,141.54,169.66ppm。

0070

実施例2
2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エチル(式(2)においてR=C2H5)の合成
(β,γ−不飽和エステルとα,β−不飽和エステルの混合物の再異性化
2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エチル(式(1)においてR=C2H5)と2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エチル(式(2)においてR=C2H5)の混合物21.4g(合わせて92.7%純度、異性体比β,γ−不飽和エステル:α,β−不飽和エステル=23.8:76.2)、カリウムt−ブトキシド0.55gとトルエン10mlの混合物を室温で1.5時間かき混ぜた。実施例1と同様の処理後の混合物の異性体比は、β,γ−不飽和エステル:α,β−不飽和エステル=8.9:91.1となり、再異性化が可能であることが示された。

0071

実施例3
2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エチル(式(2)においてR=C2H5)の合成
(β,γ−不飽和エステルのα,β−不飽和エステルへの異性化)
2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エチル0.50g(式(1)においてR=C2H5、75.5%純度,異性体比β,γ−不飽和エステル:α,β−不飽和エステル=96.7:3.3)、20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液0.70gとテトラヒドロフラン5mlの混合物をかき混ぜながら、7.5時間還流した後。実施例1と同様の処理後の混合物の異性体比は、β,γ−不飽和エステル:α,β−不飽和エステル=13.7:86.3となった。このもののスペクトルは実施例1のものと一致した。

0072

実施例4
2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸t−ブチル(式(2)においてR=C(CH3)3)の合成
(β,γ−不飽和エステルのα,β−不飽和エステルへの異性化と後者の精製)
窒素雰囲気下、2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸t−ブチル256.8g(式(1)においてR=C(CH3)3、81.9%純度、異性体比β,γ−不飽和エステル:α,β−不飽和エステル=97.4:2.6)とt−ブチルアルコール1000mlの混合物に、室温でカリウムt−ブトキシド25.0gを加え、室温で終夜かき混ぜた。混合物を氷水にあけ、n−ヘキサンで抽出した。n−ヘキサン溶液から通常の洗浄、乾燥および濃縮による後処理操作により、粗生成物228.65g(81.5%純度、β,γ−不飽和エステル:α,β−不飽和エステル=10.2:89.8)を得た。
この粗生成物を減圧蒸留によって精製して、目的物34.34g(94.2%純度、異性体比β,γ−不飽和エステル:α,β−不飽和エステル=1.7:98.3)および54.28g(90.4%純度、異性体比β,γ−不飽和エステル:α,β−不飽和エステル=0.2:99.8)を得た(二つのフラクションの合計収率38%)。純度や異性体比の悪いフラクションはリサイクルに用いた。リサイクル向けフラクションを含めた全フラクションの重量×純度の合計で算出した総収率は80%であった。

0073

2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸t−ブチル(式(2)においてR=C(CH3)3)
IR(D−ATR):ν=2977,2928,2859,1711,1367,1158,1073cm−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ=1.47(9H,s),1.65−1.67(6H,m),1.76(3H,s),1.90(3H,s),2.94(2H,d,J=6.8Hz),5.04−5.07(1H,m)ppm。

0074

実施例5
2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸t−ブチル(式(2)においてR=C(CH3)3)の合成
(β,γ−不飽和エステルとα,β−不飽和エステルの混合物の再異性化)
窒素雰囲気下、2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸t−ブチル112.55g(式(1)においてR=C(CH3)3、92.3%純度、異性体比β,γ−不飽和エステル:α,β−不飽和エステル=16.7:83.2)、t−ブチルアルコール300ml、テトラヒドロフラン100mlの混合物に室温でカリウムt−ブトキシド10.0gを加え、室温で終夜かき混ぜた。実施例4と同様の処理後により、粗生成物117.34g(87.9%純度、β,γ−不飽和エステル:α,β−不飽和エステル=10.1:89.9)を得た。

0075

比較例1
合成例1で2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸(β,γ−不飽和カルンボン酸)を合成する際、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(α,β−不飽和カルンボン酸)が副生すること、また、特に反応後期にその割合が増大してくることから、この方法がα,β−不飽和カルンボン酸の実用的な合成経路であるかどうかを検証するための実験を実施した。
合成例1と同様に基質および試薬を反応させた後、還流を長時間継続し、反応混合物のGC分析により反応を追跡した。異性体比α,β−不飽和カルンボン酸:β,γ−不飽和カルンボン酸が、累積還流時間70分では68.8:31.2であり、110分では38.1:61.9であった。更に、累積還流時間555分では31.6:68.4となったが、GCにおいてβ,γ−不飽和カルンボン酸と重なる保持時間領域に目的物ではない考えられる異性体のピーク二種が出現した。すなわち、複雑な異性体混合物の生成が確認され、α,β−不飽和カルンボン酸の製法としてこの塩基性条件下でのカルボン酸で直接の異性化は実用的ではないことが判明した。

0076

比較例2
窒素雰囲気下、2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸0.55gとo−キシレン10mlの混合物に触媒量(20mg)のp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、加熱還流し、反応混合物のGC−MS分析の結果、目的物のα,β−不飽和カルンボン酸は痕跡量であったのに対して、主生成物分子内環化した2−イソプロピリデン−5−ヒドロキシ−5−メチル−ヘキサン酸γ−ラクトンであることが確認された。すなわち、α,β−不飽和カルンボン酸の製法としてこの酸性条件下でのカルボン酸で直接の異性化は実用的ではないことが判明した。

0077

実施例6
2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(5)の合成
(エステルからの変換)
窒素雰囲気下、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸t−ブチル97.0g(式(2)においてR=C(CH3)3、87.9%純度、α,β−異性体純度89.9%)とテトラヒドロフラン2000mlの混合物に22.5%過塩素酸160mlを加え、60℃から80℃で25時間かき混ぜた。混合物を氷水にあけ、n−ヘキサンで抽出した。n−ヘキサン抽出液を10%水酸化ナトリウム水溶液100mlで2回抽出し有機層と水層に分離した。有機層から乾燥および濃縮による後処理操作により原料のt−ブチルエステル61.76g(75.1%純度、α,β−異性体純度87.6%、回収率54%)を回収した。
一方、水層(水酸化ナトリウム水溶液抽出液)に20%塩酸100mlを加え、テトラヒドロフラン−トルエン体積比1:1の混合物で抽出した後、得られた有機層を洗浄、乾燥および濃縮による後処理操作により目的物の粗生成物29.57g(94.6%純度、α,β−異性体純度93.0%、収率44%)を得た。
目的物の粗生成物をn−ヘキサンから再結晶して15.69gの目的物(98.0%純度、α,β−異性体純度89.9%)を得た。

0078

2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(5)
IR(D−ATR):ν=2996,2966,2923,1683,1611,1292,1236,932cm−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ=1.67−1.69(6H,m),1.87(3H,s),2.10(3H,s),3.03(2H,d,J=6.9Hz),5.03−5.07(1H,m),11.90−12.70(1H,br.s)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl3):δ=17.79,23.00,23.49,25.68,28.75,121.80,126.02,132.07,147.80,175.03ppm。

0079

実施例7
2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)の合成1
[エステル(式(2)においてR=C2H5)の還元]
窒素雰囲気下、水素化アルミニウムリチウム2.23gとテトラヒドロフラン80mlの混合物に、氷冷下かき混ぜながら、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エチル10.6g(式(2)においてR=C2H5、97.3%純度、α,β−異性体純度95.7%)とテトラヒドロフラン40mlの混合物を10分間で滴下した。反応混合物を氷冷下1時間、室温で2時間かき混ぜた後、かき混ぜながら、順に酢酸エチル4ml、水2.23ml、15%水酸化ナトリウム2.23ml、水6.69mlを注意深く加え、生じた結晶をろ別した。ろ液を乾燥および濃縮して目的物の粗生成物8.48g(85.9%純度、α,β−異性体純度95.2%、収率90%)を得た。
この粗生成物は、中間体として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。

0080

2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)
IR(D−ATR):ν=3332,2966,2915,2878,2857,1445,1375,1000cm−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ=1.42−1.43(1H,br.s),1.68−1.69(6H,m),1.71(3H,s),1.75(3H,s),2.85(2H,d,J=7.3Hz),4.09(2H,s),5.05−5.09(1H,m)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl3):δ=17.73,20.14,20.48,25.72,29.69,62.23,122.64,130.02,131.33,132.06ppm。

0081

実施例8
2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)の合成2
[エステル(式(2)においてR=C(CH3)3)の還元]
水素化アルミニウムリチウム5.50gとテトラヒドロフラン100mlの混合物に、氷冷下かき混ぜながら、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸t−ブチル(2)34.3g(式(2)においてR=C(CH3)3、94.2%純度、α,β−異性体純度98.3%)とテトラヒドロフラン50mlの混合物を15分間で滴下した。反応混合物を加熱し50℃で5時間かき混ぜた後、再び氷冷した。かき混ぜながら、順に酢酸エチル20ml、水5.5ml、15%水酸化ナトリウム5.5ml、水16.5mlを注意深く加え、生じた結晶をろ別した。ろ液を乾燥、濃縮して目的物の粗生成物24.45g(48.1%純度、α,β−異性体純度96.2%、収率50%)を得た。
この粗生成物には主な副生成物として2−イソプロピル−5−メチル−4−ヘキセナール(49.4%GC)と2−イソプロピル−5−メチル−4−ヘキセノール(3)(同2.4%)が含まれていた。

0082

実施例9
2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)の合成
[カルボン酸(5)の還元]
水素化アルミニウムリチウム2.25gとテトラヒドロフラン40mlの混合物に、氷冷下かき混ぜながら、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(5)5.0g(98.0%純度、α,β−異性体純度98.3%)とテトラヒドロフラン50mlの混合物を40分間で滴下した。反応混合物を加熱し室温で2日間かき混ぜた後、再び氷冷した。かき混ぜながら、順に酢酸エチル5ml、水2.25ml、15%水酸化ナトリウム2.25ml、水6.75mlを注意深く加え、生じた結晶をろ別した。ろ液を乾燥、濃縮して目的物の粗生成物4.66g(90.8%純度、α,β−異性体純度97.7%、収率94%)を得た。
この粗生成物のスペクトルは実施例7のものと一致した。この粗生成物は、中間体として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。

0083

実施例10
酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニル(4)の合成
窒素雰囲気下、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセノール(3)94.1g(81.1%純度、α,β−異性体純度98.1%)、ピリジン50g、アセトニトリル500mlの混合物に、氷冷下かき混ぜながら、塩化ブチリル64.0gを55分間で滴下した。反応混合物を氷冷で2時間かき混ぜた。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液を洗浄、乾燥および濃縮による後処理操作により目的物の粗生成物131.22gを得た。この粗生成物を減圧蒸留によって精製して、目的物23.54g(92.8%純度、α,β−異性体純度97.0%)および82.05g(92.2%純度、α,β−異性体純度98.3%)を得た。他のフラクションを含め収率95%であった。

実施例

0084

酪酸2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセニル(4)
IR(D−ATR):ν=2966,2931,2876,1734,1451,1375,1174,1098,966cm−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ=0.94(3H,t,J=7.4Hz),1.58−1.70(8H,m),1.73(3H,s),1.75(3H,s),2.28(2H,t,J=7.5Hz),2.79(2H,d,J=7.2Hz),4.56(2H,s),4.98−5.02(1H,m)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl3):δ=13.66,17.66,18.49,20.42,20.61,25.70,29.61,36.27,63.66,122.08,126.81,131.93,132.58,173.91ppm。

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