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技術 フロート式建築物

出願人 株式会社相愛
発明者 永野正展永野敬典
出願日 2013年11月22日 (6年5ヶ月経過) 出願番号 2013-242080
公開日 2015年6月4日 (4年10ヶ月経過) 公開番号 2015-101862
状態 特許登録済
技術分野 異常な外部の影響に耐えるための建築物 防振装置
主要キーワード 内ガイド部材 外ガイド部材 形基礎 連結用フランジ 内形寸法 スライド可動 大災害 フロート部材
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

地震による津波発生時フロート部の浮上に関する作業を行うことなく、浮力により鉛直上方へと浮上させることができるフロート式建築物を提供することを課題とする。

解決手段

地表面上に構築され、適宜箇所貫通孔が設けられる床版と、床版に間隙を有して設置され、水面上に浮遊することが可能なフロート部と、前記フロート部の上方側に建造される建築物と、前記貫通孔の下方側であって、少なくとも地中埋没される外ガイド部材と、前記フロート部の下方側に連結されると共に、前記外ガイド部材に挿通される内ガイド部材と、を備える。

概要

背景

我が国は、世界でも有数の地震国である上、島国であることから、地震に伴って発生する津波による被害も少なくなく、2011年3月11日、我が国は東地方太平洋地震及びこれに伴って発生した津波等(東日本大震災)により甚大な被害がもたらされた。従来より、これらを回避する方策は重要視されているが、東日本大震災以降、特に津波に対する方策が重要視されるようになっている。

例えば、上部に建築物建造されたフロート部がプール形基礎内に収容されるとともに、当該フロート部底面に連結される免震構造体を介して、プール基礎の底面上に設置されており、当該フロート部にはアンカー装置が設置され、当該アンカー装置に対応するプール基礎の底面には係止部材が設けられるフロート式建築物が公知である(特許文献1参照)。

上記構造におけるフロート式建築物において、地震が発生すると、その揺れは、まずプール基礎に伝わり、当該プール基礎上の免震構造体を介してフロート部へと順に伝達される。そして、地震に伴い津波が発生した場合には、津波警報等により、アンカー装置に設けられるバンドブレーキを作動させて、アンカーポールを下方へ落下させて係止部材に係止するとともに、プール基礎の開閉扉開放する。これにより、プール基礎内に津波が流入されると、フロート部は流水流速に流されることなく、アンカーポールにそって鉛直上方へと浮上する。そして、津波が過ぎ去った後にプール基礎内の水を排水すれば、フロート部はアンカーポールに沿って鉛直下方に降下し、元の位置に安置されるものである。

概要

地震による津波発生時にフロート部の浮上に関する作業を行うことなく、浮力により鉛直上方へと浮上させることができるフロート式建築物を提供することを課題とする。地表面上に構築され、適宜箇所貫通孔が設けられる床版と、床版に間隙を有して設置され、水面上に浮遊することが可能なフロート部と、前記フロート部の上方側に建造される建築物と、前記貫通孔の下方側であって、少なくとも地中埋没される外ガイド部材と、前記フロート部の下方側に連結されると共に、前記外ガイド部材に挿通される内ガイド部材と、を備える。

目的

本発明はこのような問題点を解決するものであって、地震による津波発生時にフロート部の浮上に関する作業を行うことなく、浮力により鉛直上方へと浮上させることができるフロート式建築物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

地表面上に構築され、適宜箇所貫通孔が設けられる床版と、床版に間隙を有して設置され、水面上に浮遊することが可能なフロート部と、前記フロート部の上方側に建造される建築物と、前記貫通孔の下方側であって、少なくとも地中埋没される外ガイド部材と、前記フロート部の下方側に連結されると共に、前記外ガイド部材に挿通される内ガイド部材と、を備えるフロート式建築物。

請求項2

前記フロート部が浮上することにより、前記外ガイド部材に挿通された前記内ガイド部材が、スライド可動範囲を超えて上昇する場合に、前記内ガイド部材の下端近傍に設けられた抜け止め用フランジが、前記外ガイド部材又は前記貫通孔に設けられた引き抜け防止部に当接することで、それ以上前記フロート部が上昇することを防止することができる引き抜け防止機構を備える請求項1に記載のフロート式建築物。

請求項3

前記フロート部の下方側に設けられ、前記貫通孔における縁部の前記床版の上端面に直接又は間接的に載置される免震構造体を備える請求項1又は請求項2に記載のフロート式建築物。

請求項4

前記フロート部材を包囲するようにして前記地表面上に外周壁が立設される請求項1から請求項3のいずれかに記載のフロート式建築物。

請求項5

前記外周壁は、開口孔を有する請求項4に記載のフロート式建築物。

技術分野

0001

本発明は、地震に伴う津波発生時浮力を利用して浮上するフロート式建築物に関するものである。

背景技術

0002

我が国は、世界でも有数の地震国である上、島国であることから、地震に伴って発生する津波による被害も少なくなく、2011年3月11日、我が国は東地方太平洋地震及びこれに伴って発生した津波等(東日本大震災)により甚大な被害がもたらされた。従来より、これらを回避する方策は重要視されているが、東日本大震災以降、特に津波に対する方策が重要視されるようになっている。

0003

例えば、上部に建築物が建造されたフロート部がプール形基礎内に収容されるとともに、当該フロート部底面に連結される免震構造体を介して、プール基礎の底面上に設置されており、当該フロート部にはアンカー装置が設置され、当該アンカー装置に対応するプール基礎の底面には係止部材が設けられるフロート式建築物が公知である(特許文献1参照)。

0004

上記構造におけるフロート式建築物において、地震が発生すると、その揺れは、まずプール基礎に伝わり、当該プール基礎上の免震構造体を介してフロート部へと順に伝達される。そして、地震に伴い津波が発生した場合には、津波警報等により、アンカー装置に設けられるバンドブレーキを作動させて、アンカーポールを下方へ落下させて係止部材に係止するとともに、プール基礎の開閉扉開放する。これにより、プール基礎内に津波が流入されると、フロート部は流水流速に流されることなく、アンカーポールにそって鉛直上方へと浮上する。そして、津波が過ぎ去った後にプール基礎内の水を排水すれば、フロート部はアンカーポールに沿って鉛直下方に降下し、元の位置に安置されるものである。

先行技術

0005

特開2007−77758号

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、上記構造においては、プール基礎の開閉扉及びアンカー装置を津波警報等の後に作動させる為、これらのメンテナンスが極めて重要であるものの、地震の発生時期については予測が極めて困難であり、数十年又は数百年に一度起こるか否かの大災害に対して、当該メンテナンスが煩雑なものとなるおそれがある。

0007

また、津波警報等の後におけるプール基礎の開閉扉及びアンカー装置の作動においては、避難する者等がパニックになることも想定され、作業者が迅速に作業を行うことができないおそれもある。

0008

そこで、本発明はこのような問題点を解決するものであって、地震による津波発生時にフロート部の浮上に関する作業を行うことなく、浮力により鉛直上方へと浮上させることができるフロート式建築物を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

前記した目的を達成するために、本発明に係るフロート式建築物は、地表面上に構築され、適宜箇所貫通孔が設けられる床版と、床版に間隙を有して設置され、水面上に浮遊することが可能なフロート部と、前記フロート部の上方側に建造される建築物と、前記貫通孔の下方側であって、少なくとも地中埋没される外ガイド部材と、前記フロート部の下方側に連結されると共に、前記外ガイド部材に挿通される内ガイド部材と、を備える。

0010

前記フロート部が浮上することにより、前記外ガイド部材に挿通された前記内ガイド部材が、スライド可動範囲を超えて上昇する場合に、前記内ガイド部材の下端近傍に設けられた抜け止め用フランジが、前記外ガイド部材又は前記貫通孔に設けられた引き抜け防止部に当接することで、それ以上前記フロート部が上昇することを防止することができる引き抜け防止機構を備えることができる。

0011

前記フロート部の下方側に設けられ、前記貫通孔における縁部の前記床版の上端面に直接又は間接的に載置される免震構造体を備えることができる。

0012

前記フロート部材を包囲するようにして前記地表面上に外周壁を立設することができる。

0013

前記外周壁は、開口孔を有するものとすることができる。

発明の効果

0014

本発明のフロート式建築物では、津波によりフロート部がその浮力で浮上するとともに、建築物及び内ガイド部材が上昇する構造としたことから、フロート部の浮上に関する作業を行う必要がなくなる。これにより、浮上に関する特別な駆動機構等を設ける必要がなく、設備コストメンテナンスコストを低減することができる。

図面の簡単な説明

0015

本発明に係る第1実施形態のフロート式建築物の部分断面斜視図である。
本発明に係る第1実施形態のフロート式建築物が浮上した状態の部分断面斜視図である。
本発明に係る第1実施形態のフロート式建築物に複数本の内ガイド部材を設けた状態の部分断面斜視図である。
本発明に係る第1実施形態のフロート式建築物を包囲するように外周壁を立設した状態の部分断面斜視図である。
本発明に係る第2実施形態のフロート式建築物の一部拡大部分断面斜視図である。
本発明に係る第2実施形態のフロート式建築物が上昇した状態の一部拡大部分断面斜視図である。
本発明に係る第3実施形態のフロート式建築物の部分断面斜視図である。
本発明に係る第3実施形態のフロート式建築物の図7のA−A断面図である。
本発明に係る第3実施形態のフロート式建築物の免震構造体及び内ガイド部材の一部拡大斜視図である。
本発明に係る第3実施形態のフロート式建築物が浮上した状態の部分断面斜視図である。

実施例

0016

以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
〔第1実施形態について〕
本発明に係るフロート式建築物は、図1に示すように、主に、地表面G上に構築される床版1と、床版1に間隙を有して設置され、水面W上に浮遊することが可能なフロート部2と、フロート部2の上方側に建造される建築物3と、地中G1に埋没される外ガイド部材5と、フロート部2の下方側に連結されると共に、外ガイド部材5に挿通される内ガイド部材6とを備えるものである。

0017

床版1は、主として、フロート式建築物を建造する所定の地表面G上に構築される。当該床版1の厚さは、雨水等の水はけを考慮して、例えば10cmから50cm程度の厚さを有することが好ましい。床版は、例えば略四角形状に構築される。

0018

また、床版1は、鉄筋コンクリート等で形成され、床版1の上端面には排水の為の勾配を設けることが望ましい。当該勾配は、床版1の略中央部から両端部にかけて設けてもよいし、一端部から他端部にかけて設けてもよく、これに限られるものではない。

0019

さらに、床版1には、鉛直方向に貫通孔1aが設けられている。当該貫通孔1aには、外ガイド部材5が埋設された状態で外ガイド部材5内に内ガイド部材6が挿通されるか、或いは内ガイド部材6のみが直接挿通される。

0020

また、床版1が構築される箇所の地中G1には、床版1を支持する為の複数の1bが設けられる。当該杭1bは、例えば鋼管杭1b等から構成され、その本数は特に限定されることなく、床版1、フロート部2及び建築物3の面積、重量等に応じて適宜の本数が設けられる。また、床版1が構築される箇所が安定した地盤である場合には、杭1bを設けなくてもよい。

0021

フロート部2は、台船構造からなる。当該フロート部2は、上方に建造される建築物3と共に、内ガイド部材6を上昇させることができるだけの浮力が得られるものであればよく、その構成は特に限定されるものではない。また、フロート部2の内部は、倉庫機能、駐車場等として使用することで、通常時に活用することができる。更に、地表面Gからフロート部2へと繋がる階段スロープ等を別途設けることもできる。

0022

また、フロート部2は、床版1に設置された複数の基台4上に載置されることにより、床版1から間隙を有した状態で設置される。当該間隙に津波が流入することでフロート部2が浮上しやすくなる。

0023

基台4は、一端が床版1上に設置され、他端がフロート部2を支持する。つまり、フロート部2は基台4の上に載置された状態となる。これにより、フロート部2は、基台4に対して分離可能となる。また、床版1とフロート部2との間隙は、作業者がメンテナンスを行うことができる程度の間隙を有することが好ましく、例えば、当該間隔は50cmから100cm程度とされる。さらに、基台4の設置数は特に限定されることなく、フロート部2の面積、重量等に応じて適宜の個数、適宜の間隔を経て設けられる。なお、基台4は、床版1に設けられた貫通孔1aが位置する部分以外の適宜の箇所に設置される。

0024

基台4は、例えば、所定形状の土台や地震による建築物3への揺動を低減する免震構造体等であることが好ましい。免震構造体には、例えば、積層ゴムすべり支承、転がり支承等のアイソレータ鋼材、鉛等のダンパー等を採用することができる。

0025

建築物3は、フロート部2の上方側に建造されるものである。当該建築物3は、戸建て、マンション等の住居を主とするものに限られず、宿泊施設、公的施設等のようなものであってもよいし、石油等の危険物貯蔵する貯蔵タンク設備であってもよいし、避難所等の一時的に避難するものであってもよく、特に限定されるものではない。また、フロート部2と隣接する建築物3の階層には、フロート部2と繋がる連結扉等が設けられており、住居者避難者等が地表面Gからフロート部2を通って建築物3へと移動することができるようになっていることが好ましい。フロート部2と、建築物3とは、一体的に構成されるものであってもよいし、別体を接続させる構成としてもよく、特に限定されるものではない。

0026

外ガイド部材5は、後述する内ガイド部材6を挿通可能とし、浮上の際にガイドとなるものである。当該外ガイド部材5は、例えば中空状の鋼管等から構成され、設置される地域における津波の最高想定高さに応じた適宜の長さ寸法を有する。

0027

そして、外ガイド部材5は、当該上端側が床版1の貫通孔1a内に埋設されるとともに、当該下端側が地中G1に埋設される。また、外ガイド部材5は、床版1内の貫通孔1aに埋設させることなく、その全体を地中G1に埋設させてもよい。このとき、外ガイド部材5は、床版1の貫通孔1aの下方側に位置し、外ガイド部材5の内部空間は当該貫通孔1aと連通するものである。これにより、外ガイド部材5は、鉛直方向に埋設された状態となる。

0028

内ガイド部材6は、フロート部2に連結されるとともに、外ガイド部材5に挿通されるものである。当該内ガイド部材6は、例えば鋼管等から構成され、外ガイド部材5と同様に、設置される地域における津波の最高想定高さに応じた適宜の長さ寸法を有する。具体的には、内ガイド部材6は、外ガイド部材5の長さよりも基台4の高さ分だけ長い長さを有することが好ましい。つまり、内ガイド部材6は、外ガイド部材5の下端近傍まで挿入されていることが好ましい。

0029

内ガイド部材6は、一端側にフロート部2と連結する連結用フランジ部6aを有している。当該連結用フランジ部6aは、ボルト等の固定手段7によってフロート部2に固定されている。これにより、フロート部2と内ガイド部材6が連結される。なお、別体の連結部材等を介してフロート部2と内ガイド部材6とを連結する構成としてもよいし、内ガイド部材6をフロート部2内にて固定する構成とすることもできるし、内ガイド部材6とフロート部2とを直接連結する構成とすることもできる。

0030

そして、フロート部2に連結された内ガイド部材6は、地中G1に埋設された外ガイド部材5に挿通される。

0031

このとき、外ガイド部材5の内形寸法と連結用フランジ部6aを除いた内ガイド部材6の外形寸法とを略同等とすることもできるし、連結用フランジ部6aを除く内ガイド部材6の外径寸法を外ガイド部材5の内径寸法よりも短くして、外ガイド部材5と内ガイド部材6との間に間隙を設けることもできる。当該間隙を設けた場合には、地震の揺動による相対移動を間隙により緩和又は吸収することができ、当該揺動が建築物3及びフロート部2に伝わるのを抑制することができる。

0032

内ガイド部材6は、外ガイド部材5の内部に収容されることから、外ガイド部材5に案内されながら、上下にスライド可能となる。また、外ガイド部材5に挿入された内ガイド部材6の長さ寸法分が内ガイド部材6のスライド可動範囲となる。

0033

よって、例えば、内府の資料である「トラフ巨大地震モデル検討会」等を参考にして、本発明のフロート式建築物が設置される地域の最高想定高さを考慮し、外ガイド部材5と内ガイド部材6との長さを適宜の長さにする。

0034

内ガイド部材6はフロート部2と連結されているので、フロート部2の上昇と共に、建築物3と内ガイド部材6も上昇する。上記地域において、外ガイド部材5に挿入される内ガイド部材6の長さを例えば10m程度とすれば、フロート部2及び建築物3は設置された当初の位置から10m程度上昇することができる。

0035

このようにして構成されるフロート式建築物は、通常時においては、建築物3を住居、貯蔵タンク設備等の夫々の主とした目的のもとで使用することができる。また、地震発生に伴い津波が押し寄せてきた場合、避難所として使用することができる。その際、フロート部2が床版1を介して地表面Gに近い位置に設置されるので、高齢者や子供等であっても迅速に避難することができる。これにより、従来問題であった高所に到達するまでに津波にのまれてしまうという危険を回避することができる。

0036

そして、避難者が避難した状態で津波が押し寄せてくると、図2に示すように、フロート部2の浮力によって浮上する。すなわち、フロート部2の浮上により、建築物3、内ガイド部材6が上昇し、少なくとも建築物3が水面W上に浮上する。このとき、内ガイド部材6が外ガイド部材5に沿って鉛直方向に上昇するので、安定した状態で浮上することができる。

0037

このようにして、建築物3がフロート部2を介して浮上することで、建築物3は津波による被害を受けることがないうえ、避難者が津波にさらわれることもなく安全である。また、フロート部2に連結される内ガイド部材6がフロート部2の浮上に伴い上昇する構造としたことから、特別な駆動機構等を設ける必要がなく、設備コストやメンテナンスコストを低減することができる。

0038

さらに、フロート部2の上方側に建造される建築物3が危険物貯蔵タンク設備等である場合、貯蔵タンク自体が流されることがないうえに、貯蔵タンクが破損することもないので、流出した危険物による火災等を防ぐことができる。

0039

そして、津波が過ぎ去った後には、水面Wの低下に伴い、フロート部2が降下する。このとき、内ガイド部材6が外ガイド部材5に沿って鉛直方向に降下するので、安定した状態で降下し、元の位置に安置することができる。また、本発明に係るフロート式建築物は、地表面G上に設置されることから、従来のように排水作業を行うことなく、水面Wの低下に伴って降下させることができる。

0040

本実施形態によれば、津波によりフロート部2がその浮力で浮上するとともに、建築物3及び内ガイド部材6が上昇する構造としたことから、フロート部2の浮上に関する作業を行う必要がなくなる。

0041

本実施形態におけるフロート式建築物は、図1及び図2に示すように1本の内ガイド部材6によって浮上又は降下させる構成とすることもできるし、図3に示すように、建築物3の面積、重量に応じて複数本の内ガイド部材6によって浮上又は降下させる構成とすることができる。

0042

ただし、フロート式建築物は、1本の内ガイド部材6によって浮上又は降下させる構成の方が、構造が簡単で建設も容易であり、コストを低減できる。また、フロート式建築物の安定した浮上と降下が可能となり、内ガイド部材6を複数本設ける場合と比べて、漂流物が内ガイド部材6に衝突する確率が低く、さらに、上昇した内ガイド部材6どおしの間隙に漂流物が、嵌り込むことがないのでより好ましい。

0043

また、図4に示すように、フロート式建築物における地表面G上の周囲を包囲するようにして外周壁8を立設することもできる。当該外周壁8は、津波が流入するように適宜箇所に開口孔9が設けられる。この外周壁8が設けられることにより、津波によって流される、車、建築物3等によって、内ガイド部材6、フロート部2、建築物3等が損傷することを防止することができる。

0044

外周壁8は、少なくともフロート部2を包囲するものであればよく、内ガイド部材6の長さと同等の高さを有すればさらに好ましい。また、外周壁8は矩形状に立設しても良いし、環状に立設してもよく、これらに限られるものではない。さらに、外周壁8は、津波時に流される船や建築物3等による衝撃に耐え得る構造であって、開口孔9の開口率もこれに準ずるものであれば、特に限定されるものではない。
〔第2実施形態について〕
本発明の第2実施形態に係るフロート式建築物は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、異なる部分について説明する。

0045

第2実施形態に係るフロート式建築物は、内ガイド部材6の可動範囲を超えてフロート部2が上昇する場合に、内ガイド部材6が外ガイド部材5又は床版1から引き抜けることを防止するための引き抜け防止機構を備えている。

0046

内ガイド部材6の可動範囲を超えてフロート部2が上昇した場合に、内ガイド部材6に設けられた抜け止め用フランジ部10が、外ガイド部材5又は床版1部に設けられた引き抜け防止部11と当接することで、それ以上フロート部2が上昇することを防止することが可能であればどのような構成でも構わない。

0047

具体的には、図5及び図6に示すように、抜け止め用フランジ部10は、内ガイド部材6の下端近傍に径方向外側に向けて形成されている。また、引き抜け防止部11は、中空外ガイド部材5の上端近傍リング部材を嵌合させることで、抜け止め用フランジ部10が当接可能となっている。

0048

なお、外ガイド部材5を、床版1に設けられた貫通孔1a内に埋没されることなく、その全体を地中G1に埋没させる構成とした場合、引き抜け防止部11は、床版1に設けられた貫通孔1a内にリング部材を嵌合させる構成とすることができる。

0049

このような、引き抜け防止機構を備えることで、図6に示すように、内ガイド部材6の可動範囲を超えてフロート部2が上昇する場合に、内ガイド部材6が外ガイド部材5又は床版1から引き抜けることを防止できる。
〔第3実施形態について〕
第3実施形態に係るフロート式建築物の基本的構成は、第1実施形態又は第2実施形態と同様であるため、異なる部分について説明する。

0050

第3実施形態に係るフロート式建築物は、図7及び図8に示すように、内ガイド部材6とフロート部2とが免震構造体12を介して連結されている。図7は、第3実施形態に係るフロート式建築物の部分断面斜視図である。図8は、図7のA−A断面図である。

0051

免震構造体12は、地震による建築物3への揺動を低減するものである。当該免震構造体12は、例えば、積層ゴム、すべり支承、転がり支承等のアイソレータ、鋼材、鉛等のダンパー等を採用することができる。

0052

免震構造体12は一端がフロート部2の下方側に連結され、他端が内ガイド部材6に連結される。免震構造体12は、内ガイド部材6が複数本設けられている場合は、全ての内ガイド部材6に設けてもよいし、適宜の内ガイド部材に設けてもよく、その個数は特に限定されることなく、フロート部2及び建築物3の面積、重量に応じて適宜の個数設けられる。

0053

免震構造体12は、免震構造体12におけるフランジ部12aとフロート部2の下方側が、フロート部連結部材13を介して連結される。免震構造体12におけるフランジ部12aとフロート部連結部材13とは、ボルト等の固定手段7によって固定される(図示しない)。フロート部連結部材13とフロート部2もボルト等の固定手段7によって固定される(図示しない)。これにより、フロート部2と免震構造体12が連結される。

0054

また、免震構造体12とフロート部2とは、フロート部連結部材13を介さず、免震構造体12におけるフランジ部12aとフロート部2とを直接固定することもできる。

0055

免震構造体12は、図9に示すように、内ガイド部材6の一端に設けられた連結用フランジ部6aと、免震構造体12におけるフランジ部12aとボルト等の固定手段7によって固定される。これにより、免震構造体12と内ガイド部材6が一体とされる。

0056

そして、免震構造体12に連結された内ガイド部材6は、少なくとも地中G1に埋設された外ガイド部材5に挿通されるとともに、内ガイド部材6の連結用フランジ部6aが床版1における貫通孔1aの縁部の上端面と当接することで支持される。

0057

このとき、外ガイド部材5の内形寸法と連結用フランジ部6aを除いた内ガイド部材6の外形寸法は、略同等とすることもできるし、間隙を設けることもできる。当該間隙を設けた場合には、地震の揺動による相対移動を間隙により緩和又は吸収することができ、当該揺動が建築物3に伝わるのを抑制することができる。

0058

また、内ガイド部材6の連結用フランジ部6aが外ガイド部材5の内形寸法より小さい場合には、免震構造体12のフランジ部12aが床版1の上端面と当接することで支持される。

0059

このとき、外ガイド部材5の内形寸法と内ガイド部材6における連結用フランジ部6aの外形寸法は、略同等とすることもできるし、間隙を設けることもできるのは、上記と同様である。耐久性等を考慮すると、免震構造体12に連結した内ガイド部材6の連結用フランジ部6aにて支持することが望ましい。

0060

更には、内ガイド部材6に連結用フランジ部6aを設けず、溶接等による固定手段7によって免震構造体12に固定することもできる。係る際には、免震構造体12のフランジ部12aが床版1の上端面と当接することで支持される。

0061

このようにして、免震構造体12と内ガイド部材6における連結は、適宜に行われるものであって、床版1の上端面において免震構造体12を介して直接的に当接支持されるか、又は内ガイド部材6を介して間接的に当接支持されていればよい趣旨である。換言すると、床版1における貫通孔1aの縁部の上端面において、免震構造体12が直接的に載置されるか、又は内ガイド部材6を介して間接的に載置されていればよいものである。

0062

第3実施形態に係るフロート式建造物は、内ガイド部材6とフロート部2と免震構造体12を介して連結されていることにより、フロート部2と床版1部との間に間隙を有するので、当該間隙に津波が流入することでフロート部2が浮上しやすくなる。よって、第1実施形態及び第2実施形態のように基台4を設けなくてもよい。

0063

このようにして構成されるフロート式建築物は、津波が押し寄せてくると図10に示すように、フロート部2の浮上により、建築物3、免震構造体12及び内ガイド部材6が上昇する。このとき、内ガイド部材6が外ガイド部材5に沿って鉛直方向に上昇するので、安定した状態で浮上することができる。

0064

建築物3がフロート部2を介して浮上することで、建築物3は津波による被害を受けることがない上、避難者が津波にさらわれることもなく安全である。また、免震構造体12に連結される内ガイド部材6がフロート部2の浮上に伴い上昇する構造としたことから、特別な駆動機構等を設ける必要がなく、設備コストやメンテナンスコストを低減することができる。

0065

そして、津波が過ぎ去った後には、水面Wの低下に伴い、フロート部2が降下する。このとき、内ガイド部材6が外ガイド部材5に沿って鉛直方向に降下するので、安定した状態で降下し、元の位置に安置することができる。また、本発明に係るフロート式建築物は、地表面G上に設置されることから、従来法のように排水作業を行うことなく、津波が過ぎ去った水面Wの低下と同時に降下させることができる。

0066

第3実施形態に係るフロート式建築物によれば、免震構造体12、外ガイド部材5と内ガイド部材6の間に設けられる間隙にて、地震による建築物3への揺動を低減することができる。また、津波によりフロート部2がその浮力で浮上するとともに、建築物3、免震構造体12及び内ガイド部材6が上昇する構造としたことから、フロート部2の浮上に関する作業を行う必要がなくなる。

0067

以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、
例えば、外ガイド部材5、内ガイド部材6、免震構造体等の数、形状、寸法、材質等を適宜変更する等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。

0068

1床版
1a貫通孔
1b杭
2フロート部
3建築物
4基台
5外ガイド部材
6内ガイド部材
6a連結用フランジ部
7 固定手段
8外周壁
9開口孔
10 抜け止め用フランジ部
11 引き抜け防止部
12免震構造体
12a フランジ部
13 フロート部連結部材
G地表面
G1地中
W 水面

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