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技術 蓄電装置

出願人 株式会社半導体エネルギー研究所
発明者 川上貴洋山梶正樹
出願日 2015年1月26日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2015-011987
公開日 2015年5月28日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2015-099790
状態 特許登録済
技術分野 電池の電極及び活物質 二次電池(その他の蓄電池)
主要キーワード ケイ酸鉄 ペレットプレス 炭素前駆物質 酸化還 ノート型パーソナル 電気推進車両 携帯型ゲーム 段階焼成
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

蓄電装置において、充放電速度又は充放電容量等の特性を向上させることを課題の一とする。

解決手段

正極用活物質粒子粒径ナノサイズにすることで、単位質量当たりの活物質表面積を大きくするものである。特に、粒径を10nm以上100nm以下、好ましくは20nm以上60nm以下とする。または、単位質量当たりの表面積を10m2/g以上、好ましくは20m2/g以上とする。更に、XRD半値幅を0.12度以上0.17度未満、好ましくは0.13度以上0.16度未満とし、活物質の結晶性を向上させるものである。

概要

背景

環境問題への関心が高まるなか、ハイブリッド自動車用電源に使用する二次電池電気
二重層キャパシタなど蓄電装置の開発が盛んである。その候補として、エネルギー性能の
高いリチウムイオン電池リチウムイオンキャパシタが注目されている。リチウムイオン
電池は、小型でも大容量の電気を蓄えられるため、既に携帯電話ノート型パーソナル
ピュータなど携帯情報端末に搭載され、製品の小型化などに一役買っている。

二次電池及び電気二重層キャパシタは、正極と負極との間に電解質を介在させた構成を
有する。正極及び負極は、それぞれ、集電体と、集電体上に設けられた活物質と、を有す
る構成が知られている。例えば、リチウムイオン電池は、リチウムイオンを挿入及び脱離
することのできる材料を活物質として電極に用い、電解質を間に介在させて構成する。

リチウムイオン電池の正極用の活物質としては、リチウム酸化物等が知られている(特
許文献1、特許文献2参照)。

概要

蓄電装置において、充放電速度又は充放電容量等の特性を向上させることを課題の一とする。正極用活物質粒子粒径ナノサイズにすることで、単位質量当たりの活物質の表面積を大きくするものである。特に、粒径を10nm以上100nm以下、好ましくは20nm以上60nm以下とする。または、単位質量当たりの表面積を10m2/g以上、好ましくは20m2/g以上とする。更に、XRD半値幅を0.12度以上0.17度未満、好ましくは0.13度以上0.16度未満とし、活物質の結晶性を向上させるものである。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に設けられた電解質と、を有し、前記正極は、リチウム酸素とを有する活物質を有し、前記活物質は、粒径が10nm以上100nm以下であり、且つ、BET法により測定した表面積が24m2/g以上27.5m2/g以下であること特徴とする蓄電装置

請求項2

正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に設けられた電解質と、を有し、前記正極が有する活物質は、リチウムイオンの挿入及び脱離が可能であり、前記活物質は、粒径が10nm以上100nm以下であり、且つ、BET法により測定した表面積が24m2/g以上27.5m2/g以下であること特徴とする蓄電装置。

請求項3

請求項1または請求項2において、前記活物質の表面に、炭素材料担持されていることを特徴とする蓄電装置。

技術分野

0001

技術分野は、蓄電装置及びその作製方法に関する。

背景技術

0002

環境問題への関心が高まるなか、ハイブリッド自動車用電源に使用する二次電池電気
二重層キャパシタなど蓄電装置の開発が盛んである。その候補として、エネルギー性能の
高いリチウムイオン電池リチウムイオンキャパシタが注目されている。リチウムイオン
電池は、小型でも大容量の電気を蓄えられるため、既に携帯電話ノート型パーソナル
ピュータなど携帯情報端末に搭載され、製品の小型化などに一役買っている。

0003

二次電池及び電気二重層キャパシタは、正極と負極との間に電解質を介在させた構成を
有する。正極及び負極は、それぞれ、集電体と、集電体上に設けられた活物質と、を有す
る構成が知られている。例えば、リチウムイオン電池は、リチウムイオンを挿入及び脱離
することのできる材料を活物質として電極に用い、電解質を間に介在させて構成する。

0004

リチウムイオン電池の正極用の活物質としては、リチウム酸化物等が知られている(特
許文献1、特許文献2参照)。

先行技術

0005

特開2008−257894号公報
国際公開第2006/049001号

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献1で開示されるリチウム酸化物は、リチウムイオンの挿入及び脱離が可能であ
り、リチウムイオンの挿入及び脱離に伴う結晶構造の変化が起きにくいため、正極用の活
物質として有望視されている。しかしながら、リチウム酸化物は、導電性が低く、特性を
向上させるに至っていないのが現状である。

0007

上記問題を鑑み、本発明の一態様は、蓄電装置の特性を向上させることを課題の一とす
る。

課題を解決するための手段

0008

開示する発明では、蓄電装置の正極において、活物質の粒径ナノサイズに小さくする
ことで、反応物質(例えばリチウムイオン等)の拡散経路を増加させる。

0009

または、活物質の単位質量当たりの表面積を極力大きくすることで、反応物質(例えば
リチウムイオン等)の拡散経路を増加させる。なお、活物質の単位質量当たりの表面積は
、粒径の小さい粒子が集まることで活物質の表面の凹凸が増加するため、大きくなる。

0010

また、開示する発明では、蓄電装置の正極用の活物質としてリチウム酸化物を用いる。

0011

そして、リチウム酸化物としては、一般式Li(2−x)MSiO4で表され、以下の
(I)及び(II)を満たす材料を用いる。
(I)xは充放電中のリチウムイオンの挿入及び脱離で変化する値であり、0≦x≦2を
満たす。
(II)Mは、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、若しくはコバルト
Co)のうちいずれか一又は複数の遷移金属元素である。

0012

上記一般式Li(2−x)MSiO4で表される材料は、リチウム原子と、それ以外の
金属原子(M原子)との比が、最大で2:1(モル比)となる。そのため、1組成当たり
で最大2個のリチウムイオン(反応物質)を挿入及び脱離することができる。このような
材料を正極用の活物質として用いることで、高容量化が可能となり、蓄電装置の特性を向
上させることができる。

0013

また、開示する発明では、炭素材料担持カーボンコートともいう)された活物質を
正極に用いる。炭素材料の高い導電性により、蓄電装置の内部抵抗を低減させるものであ
る。

0014

本発明の一態様は、粒径が10nm以上100nm以下であり、表面積が10m2/g
以上であり、且つ、XRD半値幅が0.12度以上0.17度未満である蓄電装置用正極
活物質である。

0015

また、本発明の他の一態様は、表面積が10m2/g以上であり、且つ、XRD半値幅
が0.12度以上0.17度未満である蓄電装置用正極活物質である。

0016

また、本発明の他の一態様は、粒径が10nm以上100nm以下であり、且つ、XR
半値幅が0.12度以上0.17度未満である蓄電装置用正極活物質である。

0017

また、本発明の他の一態様は、粒径が10nm以上100nm以下である蓄電装置用正
極活物質である。

0018

また、本発明の他の一態様は、表面積が10m2/g以上である蓄電装置用正極活物質
である。

0019

また、本発明の他の一態様は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に設けられ
た電解質と、を有し、前記正極に設けられた活物質は、粒径が10nm以上100nm以
下であり、且つ、表面積が10m2/g以上であり、且つ、XRD半値幅が0.12度以
上0.17度未満である蓄電装置である。

0020

また、上記活物質は、Li(2−x)MSiO4で表され、以下の(I)及び(II)
を満たすことが好ましい。
(I)xは充放電中のリチウムイオンの挿入及び脱離で変化する値であり、0≦x≦2を
満たす。
(II)Mは、鉄、ニッケル、マンガン、若しくはコバルトのうちいずれか一又は複数の
遷移金属元素である。

0021

また、上記活物質は、以下の(III)乃至(VI)のうち少なくとも一つ以上を満た
すことが好ましい。
(III)空間群P1211に属する結晶構造を有する。
(IV)空間群Pmn21に属する結晶構造を有する。
(V)空間群P121/n1に属する結晶構造を有する。
(VI)空間群Pbn21に属する結晶構造を有する。

0022

また、上記活物質は、Li(2−x)FesNiuSiO4で表され、以下の(I)及
び(VIII)の条件を満たすことが好ましい。
(I)xは充放電中のリチウムイオンの挿入及び脱離で変化する値である。ただし、0≦
x≦2を満たす。
(VIII)s+u=1、0≦s≦1、及び0≦u≦1を満たす。

0023

また、上記活物質は、Li(2−x)FesMntNiuSiO4で表され、以下の(
I)及び(IX)を満たすことが好ましい。
(I)xは充放電中のリチウムイオンの挿入及び脱離で変化する値であり、0≦x≦2を
満たす。
(IX)s+t+u=1、0≦s≦1、0≦t≦1、及び0≦u≦1を満たす。

0024

また、上記活物質は、表面が炭素材料で担持されていてもよい。

0025

また、本発明の他の一態様は、活物質となる原料を混合して混合物を作製し、前記混合
物に第1の粉砕を行い、前記混合物に第1の焼成を行い、前記混合物に第2の粉砕を行い
、前記混合物に糖を添加することで、前記混合物の表面に炭素材料を担持させ、前記混合
物に、前記第1の焼成より高い温度で第2の焼成を行い正極を形成する工程と、前記正極
と、電解質を介して対向する負極を形成する工程と、を有し、前記活物質の粒径が10n
m以上100nm以下であり、且つ、表面積が10m2/g以上であり、且つ、XRD半
値幅が0.12度以上0.17度未満である蓄電装置の作製方法である。

0026

また、本発明の他の一態様は、上記の蓄電装置が搭載された電気推進車両である。

発明の効果

0027

正極活物質微粒子化することで、反応物質の拡散経路を増加させることができる。そ
のため、反応物質の拡散速度を速くすることができ、蓄電装置の充放電速度を速くするこ
とができる。すなわち、蓄電装置の特性を向上させることができる。

0028

また、上記一般式Li(2−x)MSiO4で表される材料は、リチウム原子と、それ
以外の金属原子(M原子)との比が、最大で2:1(モル比)となる。そのため、1組成
当たりで最大2個のリチウムイオン(反応物質)を挿入及び脱離することができる。この
ような材料を正極用の活物質として用いることで、高容量化が可能となり、蓄電装置の特
性を向上させることができる。

0029

活物質の表面に導電性が高い炭素材料を担持することで、蓄電装置の内部抵抗を小さく
することができる。そのため、得られる電圧が高くなり、放電容量を大きくすることがで
きる。すなわち、蓄電装置の特性を向上させることができる。

0030

更に、微粒子化、一般式Li(2−x)MSiO4で表される材料の適用、炭素材料の
担持の複数の手段を複合させて行うことで、蓄電装置の特性を大幅に向上させることがで
きる。

図面の簡単な説明

0031

活物質の一例を示す図。
蓄電装置の特性の一例を示す図。
蓄電装置の特性の一例を示す図。
蓄電装置の特性の一例を示す図。
カーボンコートによる効果の一例を示す図。
蓄電装置の特性の一例を示す図。
活物質の一例を示す図。
蓄電装置の特性の一例を示す図。
蓄電装置の特性の一例を示す図。
Li(2−x)MSiO4が属する空間群の結晶構造の一例を示す図(P1211)。
Li(2−x)MSiO4が属する空間群の結晶構造の一例を示す図(Pmn21)。
Li(2−x)MSiO4が属する空間群の結晶構造の一例を示す図(P121/n1)。
Li(2−x)MSiO4が属する空間群の結晶構造の一例を示す図(Pbn21)。
蓄電装置の構造の一例を示す図。
負極の作製方法の一例を示す図。
負極の作製方法の一例を示す図。
負極の活物質層の一例を示す図。
負極の作製方法の一例を示す図。
負極の作製方法の一例を示す図。
電子機器の例を示す図。
電気推進車両の例を示す図。
X線回折測定結果を示す図。

0032

以下に、実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下の実施の形態
は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することな
くその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従っ
て、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の
形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符
号を付し、その繰り返しの説明は省略する。

0033

(実施の形態1)
本実施の形態では、蓄電装置の正極活物質について説明する。

0034

まず、蓄電装置は、反応物質(リチウムイオン等)を挿入及び脱離することができる材
料を活物質として用いることで、充電及び放電を行うことができる。

0035

そして、優れた蓄電装置の条件として、第1に、充放電速度を速くすることが挙げられ
る。

0036

本発明の一態様は、充放電速度を速くする手段として、正極用活物質の粒子の粒径をナ
ノサイズにするものである。または、正極活物質の単位質量当たりの表面積を大きくする
ものである。

0037

図1は、単位質量当たりの活物質101、及び活物質101中の粒子103の一例であ
る。図1(A)は粒子103の粒径が大きい場合、図1(B)は粒子103の粒径が小さ
い場合を示している。

0038

図1(B)は、図1(A)に比べて粒子103の粒径が小さく、単位質量当たりの活物
質101の粒子103の個数が多い。そして、粒子103の個数を多くすることで、活物
質中の反応物質(リチウムイオン等)の拡散経路は増加する。そのため、反応物質の拡散
速度を増加させることができ、蓄電装置の充放電速度を速くすることができる。特に、粒
径は、10nm以上100nm以下、好ましくは20nm以上60nm以下とする。

0039

また、図1(B)は、図1(A)に比べて活物質101の凹凸が多く、単位質量当たり
の活物質101の表面積が大きい。そして、表面積を大きくすることで、活物質中の反応
物質の拡散経路が増加する。そのため、反応物質の拡散速度を増加させることができ、蓄
電装置の充放電速度を速くすることができる。特に、単位質量当たりの表面積は、10m
2/g以上、好ましくは20m2/g以上とする。なお、粒子103の粒径を小さくする
ことで、単位質量当たりの活物質101の表面積は大きくなる。

0040

なお、粒径とは、粒子103の長軸方向の長さを示しており、単位質量当たりの活物質
に存在する粒子の平均粒径を指す。また、表面積とは、BET法によって測定されたもの
を指す。なお、活物質の粒子の粒径を小さくすること、または、活物質の単位質量当たり
の表面積を大きくすることを、微粒子化ともいう。

0041

図2は、正極活物質にリチウム酸化物を用いる場合について、単位質量当たりの活物質
の表面積とレート特性との関係を示している。横軸は活物質の単位質量当たりの表面積(
m2/g)であり、縦軸はレート特性である。

0042

ここで、縦軸のレート特性について説明する。1Cは、1時間で1回の放電を行うこと
を意味するものである。nCは、1時間でn回の放電を行うものであり、言い換えると1
回の放電を1/n時間で行うものである。すなわち、図2は、縦軸の10C/2C容量が
大きいほど、充放電速度を速くすることが可能であることを示している。なお、10C/
2C容量は、放電レートが2Cの場合の放電容量に対する、放電レートが10Cの場合の
放電容量であり、縦軸はその百分率を示している。

0043

図2に示すように、表面積を大きくすることで、レート特性を向上させることができる
。そして、レート特性は、線形に変化する。これは、表面積が大きくなることで、リチウ
イオンの拡散経路が増加するためである。特に、表面積を10m2/g以上とすること
で、レート特性を80%以上とすることができる。そして、表面積を20m2/g以上と
することで、レート特性を85%以上とすることができる。また、図2より、表面積が少
なくとも10m2/g以上40m2/g以下の範囲、代表的には24m2/g以上27.
5m2/g以下の範囲であれば、レート特性が良好である。なお、レート特性は、80%
以上であれば良好であるといえる。

0044

または、表面積が大きいほど粒径が小さいことから、粒径を小さくすることにより、レ
ート特性を向上させることができる。粒径は、10nm以上100nm以下(好ましくは
20nm以上60nm以下)であることが好ましい。

0045

以上のように、活物質を微粒子化することで、反応物質の拡散経路を増加させることが
でき、充放電速度が速い蓄電装置を得ることができる。

0046

また、優れた蓄電装置の条件としては、第2に、放電容量が大きいことが挙げられる。

0047

本発明の一態様は、放電容量を大きくする手段として、活物質の結晶性を高くする(高
結晶化ともいう)ものである。

0048

図3は、正極活物質にリチウム酸化物を用いる場合の、活物質の結晶性と放電容量との
関係を示している。横軸は活物質のXRD半値幅(度)であり、縦軸は放電容量(mAh
/g)である。なお、XRD半値幅(X線回折のピークの半値幅)が小さいほど、結晶性
が良いことを示している。なお、単位の「度」は角度(°)を示している。

0049

図3に示すように、XRD半値幅を小さくするほど、放電容量を大きくすることができ
る。すなわち、結晶性を高くするほど、放電容量を大きくすることができる。そして、放
電容量は、線形に変化する。特に、XRD半値幅を0.2°未満とすることで、放電容量
を極めて大きくすることができる。図3では、XRD半値幅が少なくとも0.12°以上
0.2°以下の範囲であれば、放電容量が大きくなる。

0050

このように、活物質の結晶性を高くすることで、放電容量の大きい蓄電装置を得ること
ができる。

0051

また、優れた電池特性の条件としては、第3に、充放電速度が速いこと、及び、放電容
量が大きいことを両立させることが挙げられる。

0052

本発明の一態様は、両立する手段として、活物質の微粒子化を行い、且つ、結晶性を高
くするものである。

0053

図4は、活物質の結晶性とレート特性との関係を示している。横軸はXRD半値幅であ
り、結晶性を示す。縦軸は上述したレート特性である。

0054

図4に示すように、XRD半値幅を小さくすることで、レート特性を向上させることが
できる。しかし、XRD半値幅が0.15°で、レート特性の極大値が現れている。すな
わち、レート特性に対して、結晶性に極大値が存在することを意味している。

0055

結晶性が低すぎる場合、粒子間に存在する粒界キャリアイオントラップされてしま
い、キャリアイオンの移動度が遅くなってしまう。このためレート特性が低下してしまう
。一方、結晶性が高すぎると、1つの粒子に入ったキャリアイオンが出てくるまでに時間
がかかってしまう。そのためレート特性が低下してしまう。

0056

図4より、XRD半値幅を0.12°以上0.17°未満とすることで、充放電速度を
速く(レート特性80%以上)することができる。更に、0.13°以上0.16°未満
とすることで、充放電速度を速く(レート特性85%以上)することができる。

0057

したがって、図2乃至図4より、活物質の表面積が10m2/g以上であり、且つ、X
RD半値幅が0.12°以上0.17°未満とすることで、充放電速度が速く(レート特
性80%以上)、放電容量が大きい蓄電装置を得ることができる。更に、活物質の表面積
が20m2/g以上であり、且つ、0.13°以上0.16°未満とすることで、充放電
速度が速く(レート特性85%以上)、放電容量が大きい蓄電装置を得ることができる。

0058

このように、活物質の微粒子化を行い、且つ、結晶性を高くすることで、充放電速度が
速く、放電容量を大きくすることができる。

0059

以上のような、微粒子化又は高結晶化を行う方法の一例としては、(1)材料の混合方
法、(2)材料の焼成方法、(3)材料のカーボンコート等が挙げられる。その詳細を以
下に説明する。なお、以下では、活物質の一例として、オリビン型構造リン酸鉄リチウ
ム(LiFePO4)を作製する場合について説明する。

0060

第1の方法は、材料(原料)の混合方法により、微粒子化又は高結晶化を図るものであ
る。

0061

まず、リン酸鉄リチウムの原料として、炭酸リチウム(Li2CO3)、シュウ酸鉄
FeC2O4)、及び、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)を混合する。

0062

炭酸リチウムはリチウム導入用の原料であり、シュウ酸鉄は鉄導入用の原料であり、リ
ン酸二水素アンモニウムリン酸導入用の原料である。なお、リチウム、鉄、及びリン酸
が導入できるものであれば、これら原料に限定されない。また、これら原料の混合は、ボ
ルミル処理(第1のボールミル処理)にて行う。

0063

ボールミル処理は、例えば、溶媒を添加し、回転数50rpm以上500rpm以下、
回転時間30分間以上5時間以下、ボール径φ1mm以上10mm以下で行う。

0064

混合方法として、ボールミル処理を行うことで、原料の微粒子化を行うことができ、作
製後のリン酸鉄リチウム粒子の微粒子化を図ることができる。また、ボールミル処理によ
り、原料を均一に混合することができ、作製後のリン酸鉄リチウム粒子の結晶性を高める
ことができる。

0065

第2の方法は、材料の焼成方法により、微粒子化又は高結晶化を図るものである。

0066

この方法は、原料の混合物に対し、2段階の焼成を行うことで混合物の結晶化を行うも
のである。例えば、第1の方法において、第1のボールミル処理後の混合物に対して行う

0067

具体的には、混合物に対し、窒素雰囲気中で、250℃以上450℃以下、1時間以上
20時間以下として第1の焼成を行う。

0068

第1の焼成後、混合物を乳鉢等で粉砕する。

0069

次いで、粉砕された混合物に、ボールミル処理(第2のボールミル処理)を行う。第2
のボールミル処理は、溶媒を添加し、回転数50rpm以上500rpm以下、回転時間
30分間以上5時間以下、ボール径φ1mm以上10mm以下で行う。

0070

第2のボールミル処理後、混合物に対し、窒素雰囲気中で、300℃以上700℃以下
、1時間以上20時間以下として第2の焼成を行う。なお、第2の焼成は、第1の焼成よ
り、温度を高くすることが好ましい。

0071

第2の焼成後、混合物を乳鉢等で粉砕する。

0072

そして、粉砕された混合物に、ボールミル処理(第3のボールミル処理)を行う。第3
のボールミル処理は、溶媒を添加し、回転数50rpm以上500rpm以下、回転時間
30分間以上5時間以下、ボール径φ1mm以上10mm以下で行う。

0073

以上のように、2段階の焼成を行うことで、第1の焼成において、結晶核が形成される
ため、第2の焼成を短時間で行うことができる。そのため、結晶成長が抑制され、粒径の
拡大を防止することができる。すなわち、リン酸鉄リチウム粒子の微粒子化を図ることが
できる。また、結晶核の形成により、短時間の焼成でも、結晶性を高めることが可能であ
る。

0074

なお、2段階の焼成を行わず1回としてもよい。ただし、結晶成長を抑制するためには
、低い温度で、長時間焼成を行う必要がある。例えば、数日間焼成する必要がある。その
ため、第2の方法のように、低い温度で第1の焼成を行い、第1の焼成より高い温度で第
2の焼成を行うことが好ましい。

0075

図5は、2段階の焼成を行う場合について、第2の焼成時間とリン酸鉄リチウムの表面
積との関係(○でプロット)、及び、第2の焼成時間とリン酸鉄リチウムの結晶性との関
係(●でプロット)を示している。横軸は焼成時間(時間)であり、縦軸は左側が単位質
量当たりの表面積(m2/g)、右側が結晶性を示すXRD半値幅である。なお、焼成時
間は3時間、5時間、及び10時間の3条件であり、焼成時間以外の条件は同一である。

0076

図5に示すように、2段階焼成を行い第2の焼成時間を短縮することで、表面積を大き
くすることができる(実線501)。また、焼成時間を短縮しても、高い結晶性が得るこ
とができる(破線503)。

0077

なお、第1の焼成又は第2の焼成を行う前に、材料に加圧処理を行ってもよい。例えば
ペレット成型すればよい。ペレットに成型することで、材料の密度が向上する。密度
が向上することで、作製後のリン酸鉄リチウム粒子の単位質量当たりの個数が増加する。
すなわち、微粒子化することができる。なお、第1の焼成及び第2の焼成の両方について
、焼成を行う前に加圧処理を行うことで、微粒子化の効果を高めることができる。

0078

第3の方法は、材料の表面に炭素材料を担持(カーボンコートともいう)することで、
微粒子化するものである。

0079

この方法は、原料の混合物を粉砕した後、粉砕した材料の表面に炭素材料を担持するも
のである。例えば、第2の方法において、第1の焼成後に粉砕された混合物に対して、炭
素(カーボン)を生じる材料を添加する。

0080

具体的には、粉砕された混合物に、加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質(以下「
導電性炭素前駆物質」という)を添加する。導電性炭素前駆物質として、例えば、グルコ
ース、スクロース等の糖を添加する。導電性炭素前駆物質を添加することで、混合物の表
面に炭素材料が担持される。すなわち、混合物がカーボンコートされる。

0081

導電性炭素前駆物質として糖を添加すると、糖に含まれる多くの水酸基と、混合物の表
面とが、強く相互作用する。これにより、リン酸鉄リチウム粒子の結晶成長が抑制される
。リン酸鉄リチウム粒子の結晶成長が抑制されることで、粒径の拡大を防止することがで
きる。

0082

なお、糖の添加量は、1wt%以上20wt%以下とすることが好ましい。

0083

図6は、炭素材料の担持の有無とリン酸鉄リチウムの表面積との関係を示している。横
軸は炭素材料の担持の有無を示し、縦軸は表面積(m2/g)を示す。なお、炭素材料の
担持の有無以外の条件は同一である。

0084

図6に示すように、炭素材料を担持しない場合(縦棒A)に比べ、炭素材料を担持する
場合(縦棒B)は表面積を2倍以上大きくすることができる。

0085

このように粉砕した材料の表面に炭素材料を担持することで、リン酸鉄リチウム粒子の
結晶成長を抑制し、作製後のリン酸鉄リチウム粒子の微粒子化を図ることができる。

0086

なお、作製後のリン酸鉄リチウム粒子の表面にも、ここで用いた炭素材料が担持されて
いる。導電性の高い炭素材料を担持することで、蓄電装置の内部抵抗を低減させ、充電容
量及び放電容量を大きくすることができる。また、放電容量を大きくすることで、活物質
の単位質量あたりの出力を大きくすることができる。出力は、10W/g以上、好ましく
は20W/g以上とすることができる。

0087

すなわち、炭素材料が担持されたリン酸鉄リチウム粒子は、蓄電装置の特性を向上させ
る効果を奏する。したがって、材料に炭素材料を担持することは、作製方法のみの効果に
限定されるものではなく、作製されたリン酸鉄リチウム粒子自体も効果を奏する。

0088

上記第1の方法乃至第3の方法のいずれかを行うことにより、リン酸鉄リチウム粒子の
微粒子化を図ることができる。特に、上記第1の方法乃至第3の方法を、一連の工程とし
て行うことで、微粒子化の効果は一層顕著になる。ただし、これらの作製方法は一例であ
り、限定されない。

0089

なお、本実施の形態では、オリビン型構造のリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を作
製する場合について説明したが、他の活物質を作製する場合においても、第1の方法乃至
第3の方法を行うことで、活物質の微粒子化を図ることができる。

0090

例えば、活物質として、一般式AxMyPOz(x≧0、y>0、z>0)で表される
材料を用いることができる。ここでAは、例えば、リチウム、ナトリウム若しくはカリ
ムなどのアルカリ金属、またはベリリウムマグネシウムカルシウムストロンチウム
若しくはバリウムなどのアルカリ土類金属である。Mは、例えば、鉄、ニッケル、マンガ
ン若しくはコバルトなどの遷移金属元素である。一般式AxMyPOz(x≧0、y>0
、z>0)で表される材料としては、例えばリン酸鉄リチウム、リン酸鉄ナトリウムなど
が挙げられる。Aで表される材料およびMで表される材料は、上記のいずれか一または複
数を選択すればよい。

0091

または、活物質として、一般式AxMyOz(x≧0、y>0、z>0)で表される材
料を用いることができる。例えば、マンガン酸リチウムコバルト酸リチウムなどが挙げ
られる。A及びMは上記のいずれか一または複数を選択すればよい。

0092

または、活物質として、一般式AxMySiOz(x≧0、y>0、z>0)で表され
る材料を用いることができる。すなわち、ケイ酸塩シリケート)が導入されたものであ
る。例えば、ケイ酸鉄リチウムケイ酸鉄マンガンリチウムなどが挙げられる。A及びM
は上記のいずれか一また複数を選択すればよい。なお、上記一般式のxの範囲(x≧0)
において、x=0は反応物質(リチウムイオン等)が全て脱離した場合である。

0093

なお、Mを複数の遷移金属元素とする一例として、マンガンと鉄との二種(MyをMn
sFetとすると、s+t=1、0≦s≦1、0≦t≦1)、鉄とニッケルとの二種(M
yをFetNiuとすると、t+u=1、0≦t≦1、0≦u≦1)、又はマンガンと鉄
とニッケルとの三種(MyをMnsFetNiuとすると、s+t+u=1、0≦s≦1
、0≦t≦1、0≦u≦1)が挙げられる。ここで、s+t=1、t+u=1、及びs+
t+u=1は、欠陥等により、それぞれs+t≒1、t+u≒1、及びs+t+u≒1の
範囲を含む。

0094

特に、Mをマンガンと鉄との二種(MnsFetとすると、s+t=1、0≦s≦1、
0≦t≦1)とし、鉄と鉄よりも酸化還元電位の高いマンガンとを用いることで、酸化還
元反応が促進され、充放電特性等を向上させることができる。

0095

また、活物質は、上記複数の遷移金属元素を含む固溶体としてもよい。

0096

本実施の形態は、他の実施の形態又は実施例と適宜組み合わせて実施することができる

0097

(実施の形態2)
本実施の形態では、蓄電装置の正極活物質について説明する。

0098

まず、蓄電装置は、反応物質(リチウムイオン等)を挿入及び脱離することができる材
料を活物質として用いることで、充電及び放電を行うことができる。

0099

そして、優れた蓄電装置の条件として、充電容量又は放電容量が大きいことが挙げられ
る。

0100

本発明の一態様は、充放電容量を大きくする手段として、炭素材料が担持(カーボンコ
ート)された活物質を正極に用いる。炭素材料は導電性が高いため、蓄電装置の内部抵抗
を低減させることができる。

0101

図7に、炭素材料が担持されている活物質の一例を示す。図7(A)では、活物質の粒
子103の表面の一部又は全部が炭素材料105で被覆されている。また、図7(B)で
は、複数の粒子103が集まって形成される粒子群107において、粒子群107の表面
の一部又は全部が炭素材料105で被覆されている。また、図7(C)では、複数の粒子
103により形成される層(粒子層109ともよぶ)において、粒子層109の表面の一
部又は全部が炭素材料105で被覆されている。

0102

図8に、活物質としてオリビン型構造のリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を用いた
場合の、蓄電装置の充放電特性を示す。図8(A)は、充電特性であり、図8(B)は放
電特性である。いずれも、横軸を容量(mAh/g)とし、縦軸を電圧(V)としている

0103

図8(A)は、炭素材料を担持する場合(実線201)、及び炭素材料を担持しない場
合(破線203)の充電特性を示している。

0104

また、図8(B)は、炭素材料を担持する場合(実線205)、及び炭素材料を担持し
ない場合(破線207)の放電特性を示している。

0105

図8に示すように、炭素材料を担持する場合の充電容量及び放電容量は160mAh/
gであり、炭素材料を担持しない場合の充電容量及び放電容量は120〜140mAh/
gである。

0106

なお、リン酸鉄リチウムを用いた場合の理論容量は、170mAh/gである。すなわ
ち、炭素材料が担持されたリン酸鉄リチウムを正極活物質として用いた蓄電装置では、リ
チウムイオンの拡散がリン酸鉄リチウム全体の94%((160mAh/g)/(170
mAh/g)×100(%))に達することを示している。

0107

このように、リン酸鉄リチウムに導電性が高い炭素材料が担持されることで、蓄電装置
の内部抵抗を低減することができ、充電容量及び放電容量を大きくすることができる。

0108

次に、活物質に炭素材料を担持する方法について、以下に説明する。ここでは、活物質
としてリン酸鉄リチウムを作製する場合について説明する。

0109

まず、リン酸鉄リチウムの原料として、炭酸リチウム(Li2CO3)、シュウ酸鉄(
FeC2O4)、及び、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)を混合する。

0110

炭酸リチウムはリチウム導入用の原料であり、シュウ酸鉄は鉄導入用の原料であり、リ
ン酸二水素アンモニウムはリン酸導入用の原料である。なお、リチウム、鉄、及びリン酸
が導入できるものであれば、これら原料に限定されない。

0111

次いで、混合物を乳鉢等で粉砕する。

0112

そして、粉砕した混合物に、加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質(以下「導電性
炭素前駆物質」という)を添加する。導電性炭素前駆物質として、例えば、グルコース
スクロース等の糖を添加する。導電性炭素前駆物質を添加することで、混合物の表面に炭
素材料が担持される。すなわち、混合物がカーボンコートされる。

0113

なお、糖の添加量は、1wt%以上20wt%以下とすることが好ましい。なお、作製
後のリン酸鉄リチウムにおいて担持される炭素材料の膜厚は、0nmより大きく100n
m以下とすることが好ましい。微粒子化を行うことで、放電可能な電位が大きくなるため
、活物質の単位質量あたりの出力を10W/g以上、好ましくは20W/g以上とするこ
とができる。

0114

以上の工程を行うことで、炭素材料が担持されたリン酸鉄リチウムを作製することがで
きる。そして、このリン酸鉄リチウムを活物質として用い蓄電装置を作製することで、蓄
電装置の内部抵抗を低減させ、充電容量及び放電容量を大きくすることができる。更に、
後の工程において、リン酸鉄リチウム粒子と導電助剤とを混合することにより、導電性を
層高めることができる。導電助剤は、アセチレンブラック等のカーボンブラックを用い
ることができる。なお、カーボンコートにより導電性が確保できる場合は、導電助剤を用
いなくてもよい。

0115

また、炭素材料を担持することで、リン酸鉄リチウムの微粒子化を行うことができるた
め、リチウムイオンの拡散経路を増大させ、蓄電装置の充放電速度を速くすることもでき
る。

0116

なお、本実施の形態では、オリビン型構造のリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を作
製する場合について説明したが、他の活物質を作製する場合においても、炭素材料を担持
することで、蓄電装置の充電容量及び放電容量を大きくすることができる。

0117

例えば、活物質として、一般式AxMyPOz(x≧0、y>0、z>0)で表される
材料を用いることができる。ここでAは、例えば、リチウム、ナトリウム若しくはカリウ
ムなどのアルカリ金属、またはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム
若しくはバリウムなどのアルカリ土類金属である。Mは、例えば、鉄、ニッケル、マンガ
ン若しくはコバルトなどの遷移金属元素である。一般式AxMyPOz(x≧0、y>0
、z>0)で表される材料としては、例えばリン酸鉄リチウム、リン酸鉄ナトリウムなど
が挙げられる。Aで表される材料およびMで表される材料は、上記のいずれか一または複
数を選択すればよい。

0118

または、活物質として、一般式AxMyOz(x≧0、y>0、z>0)で表される材
料を用いることができる。例えば、マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウムなどが挙げ
られる。A及びMは上記のいずれか一または複数を選択すればよい。

0119

または、活物質として、一般式AxMySiOz(x≧0、y>0、z>0)で表され
る材料を用いることができる。すなわち、ケイ酸塩(シリケート)が導入されたものであ
る。例えば、ケイ酸鉄リチウム、ケイ酸鉄マンガンリチウムなどが挙げられる。A及びM
は上記のいずれか一また複数を選択すればよい。なお、上記一般式のxの範囲(x≧0)
において、x=0は反応物質(リチウムイオン等)が全て脱離した場合である。

0120

なお、Mを複数の遷移金属元素とする一例として、マンガンと鉄との二種(MyをMn
sFetとすると、s+t=1、0≦s≦1、0≦t≦1)、鉄とニッケルとの二種(M
yをFetNiuとすると、t+u=1、0≦t≦1、0≦u≦1)、又はマンガンと鉄
とニッケルとの三種(MyをMnsFetNiuとすると、s+t+u=1、0≦s≦1
、0≦t≦1、0≦u≦1)が挙げられる。ここで、s+t=1、t+u=1、及びs+
t+u=1は、欠陥等により、それぞれs+t≒1、t+u≒1、及びs+t+u≒1の
範囲を含む。

0121

特に、Mをマンガンと鉄との二種(MnsFetとすると、s+t=1、0≦s≦1、
0≦t≦1)とし、鉄と鉄よりも酸化還元電位の高いマンガンとを用いることで、酸化還
元反応が促進され、充放電特性等を向上させることができる。

0122

また、活物質は、上記複数の遷移金属元素を含む固溶体としてもよい。

0123

本実施の形態は、他の実施の形態又は実施例を適宜組み合わせて実施することができる

0124

(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である正極用の活物質に好適な材料について説明す
る。

0125

本発明の一態様である正極用の活物質としては、リチウム酸化物を用いる。本実施の形
態では、リチウム酸化物としてケイ酸系リチウムを用いる例を説明する。以下、詳細に説
明する。

0126

本実施の形態に係る正極用の活物質は、一般式Li(2−x)MSiO4で表され、且
つ、以下の(I)及び(II)の条件を満たす。
(I)xは充放電中のリチウムイオンの挿入及び脱離で変化する値である。ただし、0≦
x≦2を満たす。
(II)Mは、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、若しくはコバルト(
Co)のうちいずれか一又は複数の遷移金属元素である。

0127

一般式Li(2−x)MSiO4で表される材料(ケイ酸系リチウム)は、リチウム原
子と、それ以外の金属原子(M原子)との比が、最大で2:1(モル比)となる材料であ
る。そのため、材料中に含まれるリチウム原子を全て反応に用いることができれば、1組
成当たりに最大で2個のリチウムイオン(反応物質)を挿入及び脱離することができる。
このような材料を正極用の活物質として用いることで、高容量化が可能となり、蓄電装置
の特性を向上させることができる。

0128

一般式Li(2−x)MSiO4で表される材料は、リチウム原子と、それ以外の金属
原子(M原子)との比が、最大で2:1(モル比)となる空間群に属する結晶構造を有す
ることができる。

0129

例えば、M=鉄、x=0とするLi2FeSiO4は、空間群P1211に属する結晶
構造、又は空間群Pmn21に属する結晶構造を有することができる。M=マンガン、x
=0とするLi2MnSiO4は、空間群Pmn21に属する結晶構造、又は空間群P1
21/n1に属する結晶構造を有することができる。M=コバルト、x=0とするLi2
CoSiO4は、空間群Pbn21に属する結晶構造を有することができる。

0130

図10は、空間群P1211に属するLi2FeSiO4の結晶構造の例を示している
。空間群P1211に属するLi2FeSiO4は、リチウム原子1001が8個、鉄原
子1003が4個、シリコン原子1005が4個、酸素原子1007が16個で結晶の最
小単位を構成する。図10に示すように、空間群P1211に属するLi2FeSiO4
は、リチウム原子1001と、その他の金属原子(鉄原子1003)との比が、2:1と
なる。これにより、LiCoO2などのリチウム原子とそれ以外の金属原子との比が1:
1である材料よりも、理論的に容量を大きくできることがわかる。

0131

図11は、空間群Pmn21に属するLi2FeSiO4の結晶構造の例を示している
。空間群Pmn21に属するLi2FeSiO4は、リチウム原子1101が4個、鉄原
子1103が2個、シリコン原子1105が2個、酸素原子1107が8個で結晶の最小
単位を構成する。図11に示すように、空間群Pmn21に属するLi2FeSiO4は
、リチウム原子1101と、その他の金属原子(鉄原子1103)との比が、2:1とな
る。これにより、LiCoO2などのリチウム原子とそれ以外の金属原子との比が1:1
である材料よりも、理論的に容量を大きくできることがわかる。

0132

なお、空間群Pmn21に属するLi2MnSiO4も、図11に示す結晶構造を有す
ることができる。この場合は、図11の鉄原子1103がマンガン原子に置き換わる。そ
して、空間群Pmn21に属するLi2MnSiO4は、リチウム原子と、マンガン原子
との比が2:1となる。これにより、LiCoO2などのリチウム原子とそれ以外の金属
原子との比が1:1である材料よりも、理論的に容量を大きくできる。

0133

図12は、空間群P121/n1に属するLi2MnSiO4の結晶構造の例を示して
いる。空間群P121/n1に属するLi2MnSiO4は、リチウム原子1201が8
個、マンガン原子1203が4個、シリコン原子1205が4個、酸素原子1207が1
6個で結晶の最小単位を構成する。図12に示すように、空間群P121/n1に属する
Li2MnSiO4は、リチウム原子1201と、その他の金属原子(マンガン原子12
03)との比が、2:1となる。これにより、LiCoO2などのリチウム原子とそれ以
外の金属原子との比が1:1である材料よりも、理論的に容量を大きくできることがわか
る。

0134

図13は、空間群Pbn21に属するLi2CoSiO4の結晶構造の例を示している
。空間群Pbn21に属するLi2CoSiO4は、リチウム原子1301が8個、コバ
ルト原子1303が4個、シリコン原子1305が4個、酸素原子1307が16個で結
晶の最小単位を構成する。図13に示すように、空間群Pbn21に属するLi2CoS
iO4は、リチウム原子1301と、その他の金属原子(コバルト原子1303)との比
が、2:1となる。これにより、LiCoO2などのリチウム原子とそれ以外の金属原子
との比が1:1である材料よりも、理論的に容量を大きくできることがわかる。

0135

一般式Li(2−x)MSiO4で表される材料は、金属M原子の種類や作製方法(例
えば焼成温度)等を制御することにより、結晶構造の空間群を作り分けることができる。
例として、以下(III)乃至(VI)が挙げられる。
(III)空間群P1211に属する結晶構造を有する。
(IV)空間群Pmn21に属する結晶構造を有する。
(V)空間群P121/n1に属する結晶構造を有する。
(VI)空間群Pbn21に属する結晶構造を有する。

0136

一般式Li(2−x)MSiO4で表される材料は、上述したいずれの空間群に属する
結晶構造を取る場合でも、リチウム原子とその他の金属原子との比が2:1となる。その
ため、理論的に容量を大きくすることが可能である。このような材料を正極用の活物質と
して用いれば高容量化が可能になるなど、蓄電装置の特性向上を実現することができる。

0137

なお、図10乃至図13では、金属M原子として1種類の元素を導入する例を示してい
るが、本発明の一態様はこれに限定されない。

0138

例えば、正極用の活物質として、一般式Li(2−x)FesMntSiO4で表され
、且つ以下の(I)及び(VII)の条件を満たす材料が挙げられる。
(I)xは充放電中のリチウムイオンの挿入及び脱離で変化する値である。ただし、0≦
x≦2を満たす。
(VII)s+t=1、0≦s≦1、及び0≦t≦1を満たす。

0139

上述の材料(一般式Li(2−x)FesMntSiO4)は、一般式Li(2−x)
MSiO4で表される材料の金属Mとして鉄及びマンガンが用いられている。また、金属
Mとして、ニッケル又はコバルトを用いてもよい。

0140

なお、上述の(VII)におけるs+t=1は、欠陥等によりs+t≒1の範囲を含む

0141

また、一般式Li(2−x)FesNiuSiO4で表され、且つ以下の(I)及び(
VIII)の条件を満たす材料が挙げられる。
(I)xは充放電中のリチウムイオンの挿入及び脱離で変化する値である。ただし、0≦
x≦2を満たす。
(VIII)s+u=1、0≦s≦1、及び0≦u≦1を満たす。

0142

上述の材料(一般式Li(2−x)FesNiuSiO4)は、一般式Li(2−x)
MSiO4で表される材料の金属Mとして鉄及びニッケルが用いられている。また、金属
Mとして、マンガン又はコバルトを用いてもよい。

0143

なお、上述の(VIII)におけるs+u=1は、欠陥等によりs+u≒1の範囲を含
む。

0144

また、正極用の活物質として、一般式Li(2−x)FesMntNiuSiO4で表
され、以下の(I)及び(IX)の条件を満たす材料が挙げられる。
(I)xは充放電中のリチウムイオンの挿入及び脱離で変化する値である。ただし、0≦
x≦2を満たす。
(IX)s+t+u=1、0≦s≦1、0≦t≦1、及び0≦u≦1を満たす。

0145

上述の材料(一般式Li(2−x)FesMntNiuSiO4)は、一般式Li(2
−x)MSiO4で表される材料の金属Mとして鉄、マンガン、及びニッケルが用いられ
ている。また、金属Mとして、コバルトを用いてもよい。

0146

なお、上述の(IX)におけるs+t+u=1は、欠陥等によりs+t+u≒1の範囲
を含む。

0147

上述のように、金属M原子として2種類の元素又は3種類以上の元素を用いる材料であ
っても、リチウム原子とその他の金属原子との比は、最大で2:1となる。このような材
料を正極用の活物質として用いることで高容量化が可能となり、蓄電装置の特性を向上さ
せることができる。

0148

本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例の構成と適宜組み合わせることができる。

0149

(実施の形態4)
本実施の形態では、ケイ酸系リチウムの作製方法の例について説明する。

0150

<Li2FeSiO4の作製方法>
金属M原子が鉄である場合の作製方法の一例について説明する。

0151

Li2FeSiO4は、リチウム導入用の原料と、鉄導入用の原料と、ケイ酸塩(シリ
ケート)導入用の原料と、を用いて作製することができる。例えば、リチウム導入用の原
料として炭酸リチウム(Li2CO3)と、鉄導入用の原料としてシュウ酸鉄(FeC2
O4)と、ケイ酸塩(シリケート)導入用の原料として酸化シリコン(SiO2)と、を
用いて作製することができる。また、リチウム及びケイ酸塩導入用の原料としてケイ酸
チウム(Li2SiO3)を用いて作製することができる。なお、リチウム、鉄、及びケ
酸塩が導入できるものであれば、これらの原料に限定されない。

0152

Li2FeSiO4は、材料(原料)を混合し、その後焼成を行うことにより作製する
ことができる。

0153

原料の混合は、例えばボールミル処理により行うことができる。ボールミル処理を行う
ことにより、原料を混合するのと同時に、原料の微粒子化を行うことができ、作製後のL
i2FeSiO4の微粒子化を図ることができる。また、ボールミル処理を行うことによ
り、原料を均一に混合することができ、作製後のLi2FeSiO4の結晶性を高めるこ
とができる。

0154

ボールミル処理により原料の混合を行う場合は、原料と、溶媒と、ボールと、を装置(
ボールミルポット)にいれて混合を行う。溶媒としては、アセトン、又はエタノール
を用いることができる。ボールは、金属製又はセラミック製等を用いることができる。ボ
ールミル処理は、回転数50rpm以上500rpm以下、回転時間30分間以上5時間
以下、ボール径φ1mm以上10mm以下で行うことができる。

0155

例えば、原料として炭酸リチウム、シュウ酸鉄・2水和物、及び酸化シリコンと、溶媒
としてアセトンと、ボール径φ3mmのジルコニア(Zr)製のボールをボールミル用ポ
ットに入れ、回転数400rpmとし、回転時間2時間として、原料の混合物を作ること
ができる。

0156

原料の混合物の焼成は、例えば焼成温度700℃以上1100℃以下、焼成時間1時間
以上24時間以下として行うことができる。

0157

なお、原料の混合物の焼成は、第1の焼成(仮焼成)と第2の焼成(本焼成)との2段
階に分けて行ってもよい。第2の焼成は、第1の焼成よりも高温にすることが好ましい。
2段階の焼成を行うことで、作製後のLi2FeSiO4の微粒子化を図る、又は結晶性
を高めることができる。

0158

第1の焼成は、例えば、窒素雰囲気中で、焼成温度250℃以上450℃以下、焼成時
間1時間以上20時間以下として行うことができる。第2の焼成は、例えば、窒素雰囲気
中で、焼成温度300℃以上700℃以下、焼成時間1時間以上20時間以下として行う
ことができる。

0159

なお、第1の焼成又は第2の焼成を行う前に、原料の混合物に加圧処理を行ってもよい
。例えば、原料の混合物はペレットに成型したものを焼成することができる。原料の混合
物をペレットに成型して2段階の焼成を行う場合は、ペレットに成形した混合物に対し第
1の焼成を行い、焼成物を乳鉢等で粉砕した後にボールミル処理等により混合し、再び混
合物をペレットに成型した後に第2の焼成を行うことができる。

0160

例えば、第1のボールミル処理により混合した原料(炭酸リチウム、シュウ酸鉄・2水
和物、及び酸化シリコン)の混合物を、50℃に加熱して溶媒(アセトン)を蒸発させた
後、ペレットプレスにて圧力150kgfとして5分間圧力をかけ、ペレットに成型する
。ペレットに成型した混合物を、窒素雰囲気中で、焼成温度350℃、焼成時間10時間
として第1の焼成(仮焼成)を行う。

0161

焼成物(仮焼成物)を軽く粉砕した後、焼成物(仮焼成物)と、溶媒(アセトン)と、
ボール径φ3mmのジルコニア(Zr)製のボールをボールミル用ポットに入れ、回転数
400rpm、回転時間2時間の条件で、第2のボールミル処理を行う。

0162

第2のボールミル処理により混合した焼成物(仮焼成物)を、50℃に加熱して溶媒(
アセトン)を蒸発させた後、ペレットプレスにて圧力150kgfとして5分間圧力をか
け、ペレットに成型する。ペレットに成型した焼成物(仮焼成物)を、窒素雰囲気中で、
焼成温度700℃又は800℃、焼成時間10時間として第2の焼成(本焼成)を行う。
この例では、第2の焼成の焼成温度を700℃とすることで、空間群P1211に属する
結晶構造を有するLi2FeSiO4を作ることができる。また、第2の焼成の焼成温度
を800℃とすることで、空間群Pmn21に属する結晶構造を有するLi2FeSiO
4を作ることができる。

0163

以上のようにして得られるLi2FeSiO4は、1組成当たりのリチウムイオンの挿
入及び脱離量を最大で2とすることができる。このような材料を正極用の活物質とするこ
とで、高容量化が可能となり、蓄電装置の特性向上に寄与することができる。

0164

<Li2MnSiO4の作製方法>
金属M原子がマンガンである場合は、上記Li2FeSiO4の作製方法における鉄導
入用の原料に代えて、マンガン導入用の原料を用いる。例えば、ケイ酸リチウム(Li2
SiO3)と、シュウ酸マンガン(MnC2O4)と、を原料に用いて作製することがで
きる。Li2MnSiO4は、材料(原料)を混合し、その後焼成を行うことにより作製
することができる。

0165

以上のようにして得られるLi2MnSiO4は、1組成当たりのリチウムイオンの挿
入及び脱離量を最大で2とすることができる。このような材料を正極用の活物質とするこ
とで、高容量化が可能となり、蓄電装置の特性向上に寄与することができる。

0166

本実施の形態では、金属M原子が鉄又はマンガンである場合を例示したが、金属M原子
の導入用の原料を適宜選択することで、所望のLi(2−x)MSiO4で表される材料
を作製することが可能である。

0167

本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例の構成と組み合わせることができる。

0168

(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態に示した正極用の活物質を用いた蓄電装置の一例に
ついて説明する。

0169

図14(A)に、蓄電装置2200の構造の一部を示す。蓄電装置2200は、正極2
201と、正極2201と電解質2207を間に介して対向して設けられた負極2211
とを有している。

0170

正極2201は、集電体2203と、集電体2203上に設けられた正極活物質層22
05と、で構成される。

0171

正極2201用の活物質(正極活物質層2205)としては上記実施の形態で説明した
材料を用いて形成する。正極活物質層2205の材料及び作製方法は、上記実施の形態に
準じればよい。集電体2203の材料としては、例えば、白金、銅、又はチタン等の導電
性材料を用いることができる。

0172

負極2211は、集電体2213と、集電体2213上に設けられた負極活物質層22
15と、で構成される。集電体2213の材料は、例えば、白金、銅、又はチタン等の導
電性材料を用いることができる。負極活物質層2215の材料は、黒鉛等の炭素材料、リ
チウム金属、シリコン等を用いることができる。

0173

電解質2207は、反応物質(リチウムイオン等)を伝導する機能を有する。電解質2
207の材料としては、固体又は液体を用いることができる。

0174

電解質2207の材料が固体の場合、例えば、Li3PO4、Li3PO4に窒素を混
ぜたLixPOyNz(x、y、zは正の実数)、Li2S−SiS2、Li2S−P2
S5、Li2S−B2S3等を用いることができる。また、これらにLiIなどをドープ
したものを用いることができる。

0175

電解質2207の材料が液体の場合、溶媒と、溶媒に溶解される溶質(塩)とを含んで
いる。溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート若しくはエチレンカーボネート
環状カーボネート、又はジメチルカーボネート若しくはジエチルカーボネート等の鎖状
カーボネートを用いることができる。溶質(塩)としては、例えば、LiPF6、LiB
F4、又はLiTFSA等、軽金属塩リチウム塩等)を1種又は2種以上含んでいるも
のを用いることができる。

0176

なお、電解質2207が液体の場合は、セパレータ2209を設ける。セパレータ22
09は、正極2201と負極2211との接触を防止するとともに、反応物質(リチウム
イオン等)を通過させる機能を有する。セパレータ2209の材料としては、例えば、紙
、不織布、ガラス繊維、あるいは、ナイロンポリアミド)、ビニロンポリビニルアル
コール系繊維であり、ビナロンとも呼ぶ)、ポリプロピレンポリエステルアクリル
ポリオレフィンポリウレタンといった合成繊維等を用いることもできる。ただし、電解
質2207に溶解しない材料を選ぶ必要がある。また、電解質2207に固体電解質を適
用した場合でも、セパレータ2209を設ける構成とすることも可能である。

0177

次に、蓄電装置としてリチウムイオン二次電池を用いた場合の充放電の一例を説明する

0178

充電は、図14(B)に示すように、正極2201と負極2211との間に電源222
1を接続することで行われる。電源2221から電圧が印加されると、正極2201のリ
チウムがイオン化し、リチウムイオン2217として正極2201から脱離されるととも
に、電子2219が発生する。リチウムイオン2217は、電解質2207を介して負極
2211に移動する。電子2219は、電源2221を介して負極2211に移動する。
そして、リチウムイオン2217は、負極2211で電子2219を受け取り、リチウム
として負極2211に挿入される。

0179

一方、放電は、図14(C)に示すように、正極2201と負極2211の間に負荷
223を接続することで行われる。負極2211のリチウムがイオン化し、リチウムイオ
ン2217として負極2211から脱離されるとともに、電子2219が発生する。リチ
ウムイオン2217は、電解質2207を介して正極2201に移動する。電子2219
は、負荷2223を介して正極2201に移動する。そして、リチウムイオン2217は
、正極2201で電子2219を受け取り、リチウムとして正極2201に挿入される。

0180

このように、リチウムイオンが正極2201及び負極2211間を移動することで、充
放電が行われる。蓄電装置2200の正極2201において、正極活物質層2205に上
記実施の形態に示した材料を適用することで、充放電速度を速くする、又は高容量化が可
能となるなど、蓄電装置の特性を向上させることが可能となる。

0181

本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて実施することができる

0182

(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる構成の蓄電装置について説明する。

0183

負極用の活物質としては、黒鉛などの炭素材料が実用化されている。しかしながら、炭
素材料は理論容量に限界があり、実用化されている以上のさらなる高容量化は難しい。そ
こで、本実施の形態では、負極用の活物質としてシリコン材料を用いることで、蓄電装置
の特性向上を図る。

0184

本実施の形態に係る正極用の活物質としては、上記実施の形態に示した材料を用いる。
これにより、蓄電装置の特性向上を図ることができる。

0185

さらに、本実施の形態では、負極用の活物質としてシリコン材料を用いる。これにより
、上記実施の形態に示した正極用の活物質による蓄電装置の特性向上に加え、負極側から
も蓄電装置の特性の向上を図ることができる。

0186

ここで、本実施の形態では、効果的に蓄電装置の特性を向上させるため、結晶性シリコ
ンを負極用の活物質として適用することを特徴の1つとする。好ましくは、触媒元素を用
いて結晶化させた結晶性シリコンを負極用の活物質として適用する。結晶性シリコンは、
非晶質シリコンよりも反応物質(リチウムイオン等)の拡散速度が速く、蓄電装置の特性
のさらなる向上に結びつけることができる。

0187

結晶性シリコンは、非晶質シリコンを熱処理して結晶化させることで得ることができる
。このとき、触媒元素を用いて結晶化を行うと、結晶化のためのプロセス温度低温化及
びプロセス時間を短縮できるため好ましい。

0188

負極用の活物質としてシリコンを適用することで、炭素材料を適用するよりも容量を大
きくすることが可能となる。さらに、シリコンのなかでも結晶性シリコンを適用すること
で、非晶質シリコンを適用するよりもキャリアイオンの拡散速度を向上させることが可能
となる。そして、結晶性シリコンの作製方法として、触媒元素を利用する方法を適用する
ことで、結晶化のためのプロセス温度の低温化及びプロセス時間を短縮することが可能と
なる。つまり、触媒元素を利用して結晶化したシリコン層を負極活物質層に適用すること
で、製造コスト削減及び生産性向上を図った作製方法で、蓄電装置の特性向上を図ること
ができる。

0189

図15を用いて、負極の構成及び作製方法について説明する。蓄電装置の構造としては
上記図14を適用でき、図14の負極2211に相当する。

0190

負極集電体411上に、非晶質シリコン層413を形成する(図15(A)参照)。

0191

負極集電体411としては、チタン、ニッケル、銅、インジウム、錫、又は銀等の導電
性の高い材料を用いる。例えば、本実施の形態では、負極集電体411としてチタンを用
いる。

0192

非晶質シリコン層413は、プラズマCVD法減圧CVD法スパッタ法、又は真空
蒸着法などを用いて、厚さ100nm以上5μm以下、好ましくは1μm以上3μm以下
の範囲で形成する。非晶質シリコン層413の厚さが100nmより小さいと、結晶化後
に得られる負極活物質層417の厚さが薄すぎて充放電ができない恐れがある。非晶質シ
リコン層413の厚さが5μmより大きいと、非晶質シリコン層413を結晶化しきれな
い恐れがある。または、非晶質シリコン層413の厚さが5μmより大きいと、結晶化後
に得られる負極活物質層417が充放電の際に応力変化によってピーリングしてしまう恐
れがある。したがって、非晶質シリコン層413の厚さは上述の範囲内にすることが好ま
しい。

0193

例えば、本実施の形態では、プラズマCVD法により、厚さ3μmの非晶質シリコン層
413を形成する。

0194

非晶質シリコン層413に、結晶化を助長するための触媒元素415を添加する(図1
5(B)参照)。

0195

触媒元素415としては、非晶質シリコンの結晶化を促進する元素を用いることができ
る。具体的には、触媒元素415としては金属元素を用いることができ、例えばニッケル
(Ni)、銅(Cu)、インジウム(In)、スズ(Sn)、又は銀(Ag)のうちいず
れか一の元素又は二以上の元素を用いることができる。触媒元素は、後の熱処理により非
晶質シリコンのシリコンと反応してシリサイドを形成する。シリサイドは結晶核となって
、その後の結晶成長に寄与する。

0196

触媒元素415の添加は、非晶質シリコン層413の表面に塗布する方法、又はスパ
タリング法や真空蒸着法を用いて非晶質シリコン層413の表面に直接付着させる方法な
どを用いればよい。

0197

触媒元素415を非晶質シリコン層413に添加することにより、非晶質シリコン層4
13の結晶化温度を50℃乃至100℃程度も引き下げることが可能である。また、非晶
質シリコン層413の結晶化に要する時間を1/5乃至1/10程度まで短縮することが
可能である。

0198

なお、触媒元素415としては、その効果や再現性の点で、ニッケルが非常に優れてい
る。ニッケルは、非晶質シリコンを結晶化させる際にニッケルシリサイドを形成し、非晶
質シリコンが結晶化する際の結晶核として機能する。本実施の形態では、触媒元素415
としてニッケルを添加する具体的な方法を、図16を用いて説明する。

0199

図16(A)に示すように、非晶質シリコン層413の表面に、触媒元素415を含む
溶液416を添加する。例えば、触媒元素415としてニッケルを用いる場合、溶液41
6としては酢酸ニッケル溶液、塩酸ニッケル溶液硝酸ニッケル溶液、又は硫酸ニッケル
溶液を用いることができる。本実施の形態では、溶液416として酢酸ニッケル溶液を用
いる。

0200

図16(B)に示すように、スピナー421を用いてスピンドライを行う。スピンドラ
イを行うことにより、非晶質シリコン層413表面に、均一に、触媒元素415を含む溶
液416を保持させることができる。

0201

なお、溶液416を添加する前に、非晶質シリコン層413表面に薄い酸化層を形成し
ておくことが好ましい。これは、非晶質シリコン層413表面が疎水性であるため、溶液
416が水を含む溶液であると、溶液416が非晶質シリコン層413表面で弾かれ、触
媒元素415が非晶質シリコン層413表面全体に添加できない恐れがあるからである。
非晶質シリコン層413表面に薄い酸化層を形成することで、溶液416に対する濡れ性
を高める(親水性にする)ことができる。酸化層を形成する方法としては、非晶質シリコ
ン層413表面にUV光照射する、又は非晶質シリコン層413表面をアンモニア過水
若しくはオゾン水などで処理する方法が挙げられる。このような方法で形成される酸化層
は非常に薄いため、触媒元素415は酸化層を通して非晶質シリコン層413に到達する
ことができる。

0202

また、溶液416として、有機系のオクチル酸溶液やトルエン溶液を用いることもでき
る。有機系の溶液は、シリコンと同族元素である炭素を含んでおり、非晶質シリコン層4
13表面との濡れ性が高いため好適である。

0203

非晶質シリコン層413を熱処理する(図15(C)参照)。この熱処理により、非晶
質シリコン層413を結晶化して結晶性シリコン層を得る。このようにして得られた結晶
性シリコン層を、負極活物質層417として用いることができる。そして、負極集電体4
11上に負極活物質層417が設けられた負極419を得ることができる(図15(D)
参照)。

0204

非晶質シリコン層413を結晶化させるための熱処理は、例えば加熱炉にて行うことが
できる。また、レーザビーム等の光照射により行うことができる。

0205

加熱炉において熱処理を行う場合は、450℃以上750℃以下、好ましくは550℃
以上620℃以下の温度範囲で行うことができる。また、熱処理時間は、1時間以上24
時間以下、好ましくは4時間以上10時間以下の範囲で行うことができる。例えば、55
0℃、4時間の熱処理を行う。

0206

また、図15(C)に示すように、レーザビームを照射して熱処理を行う場合は、例え
エネルギー密度を100mJ/cm2以上400mJ/cm2以下、好ましくは200
mJ/cm2以上400mJ/cm2以下の範囲、代表的には250mJ/cm2として
行うことができる。例えば、KrFエキシマレーザのレーザビーム(波長248nm、パ
ルス幅20nsec)を用いて、熱処理を行う。

0207

触媒元素415は、熱処理により非晶質シリコン層413中を移動し、結晶核として機
能し、結晶化を促進させる。例えば、触媒元素415がニッケルの場合は、熱処理により
ニッケルと非晶質シリコンのシリコンとが反応してニッケルシリサイドを形成し、ニッケ
ルシサイドが結晶核となってその後の結晶成長に寄与する。これにより、結晶化が促進
され、結晶化のためのプロセス温度の低温化及びプロセス時間を短縮することができ、製
コスト削減及び生産性向上に寄与することができる。

0208

なお、負極活物質層417となる結晶性シリコン層に残留する触媒元素415は、特に
除去する必要はない。これは、触媒元素415は金属元素であり、導電性を有するためで
ある。

0209

ここで、触媒元素415を用いて非晶質シリコン層413を結晶化すると、熱処理手段
及び条件等にもよるが、結晶化後に、結晶性シリコン層(負極活物質層417)の最表面
に触媒元素が偏析する。この場合、結晶性シリコン層においては、深さ方向(膜厚方向
において、表面に近くなれば近くなるほど、触媒元素415の濃度が高くなる。また、触
媒元素415は熱処理により酸化され、導電性酸化物となる。例えば、触媒元素415と
してニッケルを用いた場合は、結晶性シリコン層の最表面に酸化ニッケルが偏析する。

0210

図17(A)、(B)に、負極活物質層417(結晶性シリコン層)の最表面に導電性
酸化物418が偏析している様子を示す。図17(A)は、導電性酸化物418が粒子状
の形状で負極活物質層417の最表面に偏析している様子を示している。図17(B)は
、導電性酸化物418が負極活物質層417の最表面に層状に偏析している様子を示して
いる。

0211

導電性酸化物418には導電性がある。そのため、負極活物質層417の最表面に偏析
していても特に問題とならない。したがって、触媒元素を用いることでプロセス上の有利
な効果を奏することができ、なおかつ結晶性シリコン層を負極活物質層417に適用した
効果を奏することができる。

0212

なお、触媒元素415として、銅、インジウム、スズ、又は銀を用いた場合は、それぞ
れ酸化され、酸化銅酸化インジウム酸化スズ、又は酸化銀が偏析する。これらの酸化
物も、酸化ニッケルと同様に導電性酸化物であるため、上述のように効果を奏することが
できる。

0213

以上のようにして、負極419を構成することができる。本実施の形態に係る負極は、
負極用の活物質として結晶性シリコン層が適用されている。このため、容量を大きくする
ことができ、蓄電装置の特性を向上させることができる。また、触媒元素を用いて結晶化
させた結晶性シリコン層を適用するため、製造コスト削減及び生産性向上に寄与させるこ
とができる。また、正極においては、上記実施の形態に示した材料を正極活物質として適
用するため、負極側及び正極側の両面から蓄電装置の特性を向上させることができる。

0214

本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例の構成と適宜組み合わせることができる。

0215

(実施の形態7)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる構成の蓄電装置について説明する。

0216

上記実施の形態6では、負極集電体411上に非晶質シリコン層413を形成し、非晶
質シリコン層413に触媒元素415を添加した後、熱処理により結晶化させることで、
負極活物質層417となる結晶性シリコン層を得る例を示した。本実施の形態では、負極
集電体そのものを触媒元素として利用し、負極活物質層となる結晶性シリコン層を形成す
る例について説明する。

0217

負極集電体451上に、非晶質シリコン層453を形成する(図18(A)参照)。

0218

負極集電体451は、非晶質シリコンの結晶化を促進する触媒元素を含み、且つ、導電
性を有する材料からなるものを用いる。触媒元素としては、上述の触媒元素415と同じ
ものであればよく、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、インジウム(In)、スズ(Sn)
、又は銀(Ag)などが挙げられる。負極集電体451は、前述の触媒元素のうちいずれ
か一の元素又は二以上の元素を含む。なお、負極集電体451は、触媒元素の単体を用い
てもよいし、又は触媒元素と他の材料との合金を用いてもよい。ただし、負極集電体45
1を合金とする場合は、リチウムと合金を作らない材料を選択することが好ましい。これ
は、リチウムと合金を作る材料を用いると、負極集電体451自体の安定性が低下する恐
れがあるからである。

0219

非晶質シリコン層453は、上述の非晶質シリコン層413と同様に作製する。

0220

次に、非晶質シリコン層453を熱処理する。この熱処理により、非晶質シリコン層4
53を結晶化して、負極活物質層457となる結晶性シリコン層を得る。負極集電体45
1と負極活物質層457との積層構造で、負極459を構成する(図18(B)参照)。

0221

非晶質シリコン層453の熱処理により、負極集電体451に含まれる触媒元素は、負
極集電体451から非晶質シリコン層453中に熱拡散して移動する。これにより、非晶
質シリコン層453の結晶成長が、負極集電体451との界面から他方の面に向かって進
行する。非晶質シリコン層453の深さ方向(膜厚方向)においては、下(負極集電体4
51との界面)から上(他方の面)へ結晶成長が進行する。このため、得られた結晶性シ
リコン層においては、深さ方向において、下から上に向かうほど、触媒元素の濃度が低く
なっていく。言い換えると、結晶性シリコン層の表層部に近いほど、触媒元素の濃度が低
くなっている。

0222

熱処理条件等は、上述の図15(C)を用いて説明した非晶質シリコン層413の熱処
理条件を適用すればよい。本実施の形態では、負極集電体451が触媒元素として作用す
るため、結晶化のためのプロセス温度の低温化及びプロセス時間の短縮が可能となる。そ
して、製造コスト削減及び生産性向上に寄与することができる。

0223

また、本実施の形態では、負極集電体451自体が触媒元素として作用するため、触媒
元素を添加する工程が不要となり、この点からも製造コスト削減及び生産性向上に寄与す
ることができる。

0224

なお、負極活物質層457となる結晶性シリコン層に残留する触媒元素は、特に除去す
る必要はない。これは、触媒元素が金属元素であり、導電性を有するためである。

0225

以上のようにして、負極を作製することができる。本実施の形態では、負極用の活物質
として結晶性シリコン層を適用する。このため、容量を大きくすることができ、蓄電装置
の特性を向上させることができる。また、負極集電体自体を触媒元素として作用させ、非
晶質シリコン層の結晶化を行うため、製造コスト削減及び生産性向上に一段と寄与させる
ことができる。また、正極においては、上記実施の形態に示した材料を正極活物質として
適用するため、負極側及び正極側の両面から蓄電装置の特性を向上させることができる。

0226

本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例の構成と適宜組み合わせることができる。

0227

(実施の形態8)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる構成の蓄電装置について説明する。

0228

本実施の形態では、集電体と、活物質層と、集電体材料及び活物質材料混合層と、で
負極を構成する。集電体には金属材料を用い、負極用の活物質にはシリコン材料を用いる
。混合層は、前記金属材料と前記シリコン材料の混合層となる。

0229

負極用の活物質としては、シリコン材料を用いる。シリコン材料は、炭素材料よりも理
論的に容量を大きくすることが可能なため、高容量化が可能となり、蓄電装置の特性向上
を図ることができる。

0230

また、集電体と活物質層との間に集電体材料と活物質材料との混合層が設けられている
ため、集電体と活物質層との密着性電子授受容易性等を高めることができる。この点
においても、蓄電装置の特性向上を図ることができる。

0231

なお、正極用の活物質としては、上記実施の形態に示した材料を用いる。

0232

図19を用いて、負極の構成及び作製方法について説明する。蓄電装置の構造としては
上記図14を適用でき、図14の負極2211に相当する。

0233

負極集電体471上に、非晶質シリコン層473を形成する(図19(A)参照)。

0234

負極集電体471としては、チタン、ニッケル、銅、インジウム、錫、又は銀等の導電
性材料を用いる。

0235

非晶質シリコン層473は、上述の非晶質シリコン層413と同様に作製すればよい。

0236

次に、熱処理をすることで、集電体材料と活物質材料との混合層475を形成する(図
19(B)参照)。

0237

例えば、負極集電体471としてチタンを用いた場合、混合層475としてチタンとシ
リコンの混合層を形成する。チタンとシリコンの混合層は、チタンシリサイド層であって
もよい。

0238

この熱処理において、非晶質シリコン層473を結晶化し、負極活物質層477となる
結晶性シリコン層を形成してもよい。負極集電体471と、混合層475と、負極活物質
層477と、の積層構造で、負極479を構成する(図19(C)参照)。

0239

なお、図19(B)における熱処理は、混合層475を形成する目的で行う。この熱処
理で、非晶質シリコン層473が所望の結晶性まで結晶化されなければ、さらに結晶化の
ための熱処理(レーザビーム照射も含む)を行ってもよい。また、負極活物質層477と
しては、非晶質シリコンや微結晶シリコンを用いてもよい。

0240

上述のとおり、負極活物質層477としては、非晶質シリコン、微結晶シリコン、又は
結晶性シリコンを用いることができる。結晶性シリコンは、非晶質シリコンよりもリチウ
ムイオンの拡散速度が速く、蓄電装置の特性向上に寄与できるため好ましい。

0241

以上のようにして、負極を作製することができる。本実施の形態では、負極を構成する
集電体と活物質層との間に、集電体材料と活物質材料の混合層を設けている。このため、
集電体と活物質層との界面の特性(密着性、電子授受の容易性など)が向上し、蓄電装置
の特性を向上させることができる。また、正極においては、上記実施の形態に示した材料
を正極活物質として適用するため、負極側及び正極側の両面から蓄電装置の特性を向上さ
せることができる。

0242

本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例の構成と適宜組み合わせることができる。

0243

(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る蓄電装置の応用形態について説明する。

0244

蓄電装置は、さまざまな電子機器に搭載することができる。例えば、デジタルカメラ
ビデオカメラ等のカメラ類、携帯電話機、携帯情報端末、電子書籍用端末携帯型ゲーム
機、デジタルフォトフレーム音響再生装置等に搭載することができる。また、蓄電装置
は、電気自動車ハイブリッド自動車鉄道電気車両作業車カート車椅子、又は
自転車等の電気推進車両に搭載することができる。

0245

本発明の一態様に係る蓄電装置は、高容量化、充放電速度の向上などの特性向上が図ら
れている。蓄電装置の特性を向上させることで、蓄電装置の小型軽量化にも結びつけるこ
とができる。このような蓄電装置を搭載することで、電子機器や電気推進車両などの充電
時間の短縮、使用時間の延長、小型軽量化などが可能となり、利便性デザイン性の向上
も実現できる。

0246

図20(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機3010は、筐体301
1に表示部3012が組み込まれている。筐体3011は、さらに操作ボタン3013、
操作ボタン3017、外部接続ポート3014、スピーカー3015、及びマイク301
6等を備えている。このような携帯電話機に、本発明の一態様に係る蓄電装置を搭載する
ことで、利便性やデザイン性を向上させることができる。

0247

図20(B)は、電子書籍用端末の一例を示している。電子書籍用端末3030は、第
1の筐体3031及び第2の筐体3033の2つの筐体で構成されて、2つの筐体が軸部
3032により一体にされている。第1の筐体3031及び第2の筐体3033は、軸部
3032を軸として開閉動作を行うことができる。第1の筐体3031には第1の表示部
3035が組み込まれ、第2の筐体3033には第2の表示部3037が組み込まれてい
る。その他、第2の筐体3033に、操作ボタン3039、電源3043、及びスピーカ
ー3041等を備えている。このような電子書籍用端末に、本発明の一態様に係る蓄電
置を搭載することで、利便性やデザイン性を向上させることができる。

0248

図21(A)は、電気自動車の一例を示している。電気自動車3050には、蓄電装置
3051が搭載されている。蓄電装置3051の電力は、制御回路3053により出力が
調整されて、駆動装置3057に供給される。制御回路3053は、コンピュータ305
5によって制御される。

0249

駆動装置3057は、直流電動機若しくは交流電動機単体、又は電動機と内燃機関と、
を組み合わせて構成される。コンピュータ3055は、電気自動車3050の運転者の操
作情報(加速減速、停止など)や走行時の情報(登や下坂等の情報、駆動輪にかかる
負荷情報など)の入力情報に基づき、制御回路3053に制御信号を出力する。制御回路
3053は、コンピュータ3055の制御信号により、蓄電装置3051から供給される
電気エネルギーを調整して駆動装置3057の出力を制御する。交流電動機を搭載してい
る場合は、直流交流に変換するインバータも内蔵される。

0250

蓄電装置3051は、プラグイン技術による外部からの電力供給により充電することが
できる。蓄電装置3051として、本発明の一態様に係る蓄電装置を搭載することで、充
電時間の短縮化などに寄与することができ、利便性を向上させることができる。また、充
放電速度の向上により、電気自動車の加速力向上に寄与することができ、電気自動車の性
能向上に寄与することができる。また、蓄電装置3051の特性向上により、蓄電装置3
051自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与することができ、燃費向上にも結
びつけることができる。

0251

図21(B)は、電動式の車椅子の一例を示している。車椅子3070は、蓄電装置、
電力制御部、制御手段等を有する制御部3073を備えている。制御部3073により出
力が調整された蓄電装置の電力は、駆動部3075に供給される。また、制御部3073
は、コントローラ3077と接続されている。コントローラ3077の操作により、制御
部3073を介して駆動部3075が駆動させることができ、車椅子3070の前進、後
進、旋回等の動作や速度を制御することができる。

0252

車椅子3070の蓄電装置についても、プラグイン技術による外部からの電力供給によ
り充電することができる。蓄電装置として、本発明の一態様に係る蓄電装置を搭載するこ
とで、充電時間の短縮化などに寄与することができ、利便性を向上させることができる。
また、蓄電装置の特性向上により、蓄電装置自体を小型軽量化できれば、車椅子3070
使用者及び介助者使い易さを高めることができる。

0253

なお、電気推進車両として鉄道用電気車両に蓄電装置を搭載させる場合、架線や導電軌
条からの電力供給により充電することも可能である。

0254

本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例の構成と適宜組み合わせることができる。

0255

本実施例では、正極活物質としてリン酸鉄リチウムを用いた場合の、蓄電装置の具体的
な作製方法を説明する。

0256

リン酸鉄リチウムの材料として、炭酸リチウム(Li2CO3)、シュウ酸鉄(FeC
2O4)、及び、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)を、第1のボールミル
処理により混合した。

0257

炭酸リチウムはリチウム導入用の原料であり、シュウ酸鉄は鉄導入の原料であり、リン
酸二水素アンモニウムはリン酸導入の原料である。

0258

第1のボールミル処理は、溶媒としてアセトンを添加し、回転数400rpm、回転時
間2時間、ボール径φ3mmの条件で行った。

0259

ボールミル処理後、原料の混合物を、1.47×102N(150kgf)の圧力をか
けてペレットに成型した。

0260

次いで、ペレットに成型した混合物に第1の焼成を行った。第1の焼成は、混合物を窒
雰囲気中において、350℃、10時間で行った。

0261

第1の焼成後、焼成した混合物を乳鉢で粉砕した。

0262

次に、粉砕した混合物にグルコースを添加し、混合物の表面に炭素材料を担持した。グ
ルコースの量は、5wt%〜15wt%の複数の条件とした。

0263

グルコースを添加した混合物に、第2のボールミル処理を行った。第2のボールミル処
理は、溶媒としてアセトンを添加し、回転数400rpm、回転時間2時間、ボール径φ
3mmの条件で行った。

0264

第2のボールミル処理後、混合物を再度ペレットに成型した。次いで、第2の焼成を行
った。第2の焼成は、混合物を窒素雰囲気中において、400℃〜600℃、3時間〜1
0時間の複数の条件で行った。

0265

第2の焼成後、焼成した混合物を乳鉢で粉砕した。

0266

次に、粉砕した混合物に、第3のボールミル処理を行った。第3のボールミル処理は、
溶媒としてアセトンを添加し、回転数300rpm、回転時間3時間、ボール径φ3mm
で行った。

0267

以上のようにして得られたリン酸鉄リチウム粒子と、導電助剤、バインダ及び溶媒を混
合し、ホモジナイザを用いて分散した。分散した材料を、正極集電体上に塗布し、乾燥し
て、正極活物質層を得た。なお、正極集電体としてアルミニウム箔、導電助剤としてアセ
レンブラック、バインダとしてポリフッ化ビニリデン、溶媒としてN−メチル−2−ピ
ロリドン(NMP)を用いた。

0268

そして、乾燥した材料を、加圧し、形状を整えて、正極を作製した。膜厚は、約50μ
m、及び、リン酸鉄リチウムの担持量が3mg/cm2になるように、ロールプレスにて
加圧し、φ12mmの円形になるように打ち抜くことにより、リチウムイオン二次電池の
正極を得た。

0269

また、負極としてリチウム箔、セパレータとしてポリプロピレン(PP)を用いた。そ
して、電解液としては、溶質に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、溶媒にエチレン
カーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DC)を用いた。なお、電解液はセパ
レータに含浸させた。

0270

以上のようにして、正極、負極、セパレータ、及び電解液を有するコイン型のリチウム
イオン二次電池を得た。正極、負極、セパレータ、及び電解液等の組立ては、アルゴン
囲気のグローブボックス内で行った。

0271

得られたリン酸鉄リチウム粒子のサンプルA〜サンプルGについて、その作製条件と、
各種測定結果(表面積、レート特性、XRD半値幅、及び放電容量)を図9に示した。な
お、レート特性は、10C及び2Cの放電試験(定電流定電圧駆動(CCCV駆動))
における容量比であり、充放電速度を示す。また、XRD半値幅は、X線回折により測定
したピークの半値幅であり、結晶性を示す。また、表面積は、BET法により測定した。
また、放電容量は、放電レート0.2C、CCCV駆動の放電試験により測定した。

0272

また、図9(B)に、表面積とレート特性との関係(○(白丸)でプロット)、及び、
結晶性とレート特性との関係(●(黒丸)でプロット)を示した。横軸は、下側が表面積
(m2/g)、上側がXRD半値幅(°)であり、縦軸はレート特性(%)である。

0273

図9(B)より、表面積の増加に対して、レート特性が向上することが確認できた。特
に、レート特性が線形に変化している(実線601)。図より、表面積が少なくとも24
m2/g以上27.5m2/g以下の範囲であれば、レート特性が良好であることが読み
取れる。

0274

また、サンプルAでは、表面積は大きいもののレート特性が低かった。これは、他のサ
プルと比較してグルコース添加量が多いことに起因し、多量のグルコースの添加により
結晶性を低下させたものと考察される。すなわち、本実施例の作製方法では、グルコース
添加量を5wt%以上10wt%以下とした場合に、高いレート特性が得られることが確
認できた。

0275

また、サンプルF及びサンプルGでは、レート特性の極端な低下が見られた。これは、
他のサンプルと比較して、焼成温度が低いことに起因し、低温での焼成が結晶性を低下さ
せたものと考察される。

0276

また、図9(B)より、レート特性に対して、結晶性(XRD半値幅)に極大値が存在
することが確認できた(破線603)。図より、XRD半値幅が少なくとも0.13°以
上0.17°未満の範囲であれば、レート特性が良好であることが読み取れる。

0277

また、図9(C)に、結晶性と放電容量との関係を示した。結晶性が高くなる(XRD
半値幅が小さくなる)とともに、放電容量が大きくなっていることが確認できた。特に、
放電容量は、線形に変化している(実線605)。図より、XRD半値幅が少なくとも0
.13°以上0.2°以下の範囲であれば放電容量が大きいことが読み取れる。

0278

なお、図9(A)に示すように、焼成時間を短縮しても、レート特性が高く、且つ、放
電容量が大きな蓄電装置を得ることができた。

0279

本実施例は、他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて実施することができる。

0280

本実施例では、リチウム酸化物として、ケイ酸鉄リチウムを作製し、X線回折を測定し
た結果について説明する。

0281

まず、測定したケイ酸鉄リチウムの作製方法を説明する。

0282

ケイ酸鉄リチウムの材料として、炭酸リチウム(Li2CO3)、シュウ酸鉄・2水和
物(FeC2O4・2H2O)、及び酸化シリコン(SiO2)を、第1のボールミル処
理により混合した。

0283

第1のボールミル処理は、溶媒としてアセトンを添加し、回転数400rpm、回転時
間2時間、ボール径φ3mmの条件で行った。

0284

第1のボールミル処理後、原料の混合物をポットから取り出し、50℃に加熱してアセ
トンを蒸発させた。そして、原料の混合物を、ペレットプレスにて1.47×102N(
150kgf)の圧力を5分間かけて、ペレットに成型した。

0285

次に、ペレットに成型した混合物に、第1の焼成(仮焼成)を行った。第1の焼成は、
窒素雰囲気中で、350℃、10時間の条件で行った。

0286

第1の焼成後、焼成した混合物を乳鉢で粉砕した。

0287

次に、粉砕した混合物と、混合物の10wt%のグルコースとを、第2のボールミル処
理により混合した。

0288

第2のボールミル処理は、溶媒としてアセトンを添加し、回転数400rpm、回転時
間2時間、ボール径φ3mmの条件で行った。

0289

第2のボールミル処理後、原料の混合物をポットから取り出し、50℃に加熱してアセ
トンを蒸発させた。そして、原料の混合物を、ペレットプレスにて1.47×102N(
150kgf)の圧力を5分間かけて、ペレットに成型した。

0290

次に、ペレットに成型した混合物に、第2の焼成(本焼成ともいう)を行った。第2の
焼成は、窒素雰囲気中で、700℃、10時間の条件で行った。

0291

以上により作製したケイ酸鉄リチウムのX線回折(XRD:X−ray diffra
ction)の測定を行った。XRDの測定結果を図22(A)に示す。図22(A)の
結果から、作製したケイ酸鉄リチウムは空間群P1211に属する結晶構造を有すること
が確認できた。

0292

また、上述の作製方法において、第2の焼成温度を800℃として作製したケイ酸鉄リ
チウムのX線回折の測定を行った結果を図22(B)に示す。図22(B)の結果から、
作製したケイ酸鉄リチウムは空間群Pmn21に属する結晶構造を有することが確認でき
た。なお、図22(B)の結果には、鉄単体と思われるピークが表れている。この鉄単体
のピークは、原料に含まれていた鉄に起因するものと推測される。

0293

以上により、空間群P1211に属する結晶構造、又は空間群Pmn21に属する結晶
構造を有するケイ酸鉄リチウムを作製できることが確認できた。また、第2の焼成(本焼
成)温度を変更することで、空間群P1211に属する結晶構造、又は空間群Pmn21
に属する結晶構造を作りわけることができることが確認できた。

実施例

0294

本実施例は、他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて実施することができる。

0295

101活物質
103粒子
105炭素材料
107粒子群
109粒子層
201、205、207、501、601、605実線
203、207、503、603破線
2200蓄電装置
2201 正極
2203集電体
2205正極活物質層
2207電解質
2209セパレータ
2211 負極
2213 集電体
2215負極活物質層
2217リチウムイオン
2219電子
2221電源
2223負荷
411負極集電体
413非晶質シリコン層
415触媒元素
416溶液
417 負極活物質層
418導電性酸化物
419 負極
421スピナー
451 負極集電体
453 非晶質シリコン層
457 負極活物質層
459 負極
471 集電体
471 負極集電体
473 非晶質シリコン層
475混合層
477 負極活物質層
479 負極
1001リチウム原子
1003鉄原子
1005シリコン原子
1007酸素原子
1101 リチウム原子
1103 鉄原子
1105 シリコン原子
1107 酸素原子
1201 リチウム原子
1203マンガン原子
1205 シリコン原子
1207 酸素原子
1301 リチウム原子
1303コバルト原子
1305 シリコン原子
1307 酸素原子
3010携帯電話機
3011筐体
3012 表示部
3013 操作ボタン
3014外部接続ポート
3015スピーカー
3016マイク
3017 操作ボタン
3030電子書籍用端末
3031 筐体
3032 軸部
3033 筐体
3035 表示部
3037 表示部
3039 操作ボタン
3041 スピーカー
3043 電源
3050電気自動車
3051 蓄電装置
3053制御回路
3055コンピュータ
3057駆動装置
3070車椅子
3073 制御部
3075 駆動部
3077 コントローラ

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