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図面 (19)

課題

チアゾリジンジオン誘導体を含む医薬組成物被験体投与することを包含する、被験体において解糖阻害する方法を提供する。

解決手段

チアゾリジンジオン誘導体を含む医薬組成物を被験体に投与することによって該被験体において解糖を阻害する方法について述べる。チアゾリジンジオン誘導体は有効なエネルギー制限模倣剤であり、従って被験体における癌の処置もしくは防止、代謝障害の処置、または被験体の寿命延長のために用いることができる。様々なチアゾリジンジオン誘導体はまた、アデノシンリン酸活性プロテインキナーゼの活性化またはIL−6発現の阻害にも適している。

概要

背景

ロシグリタゾンピオグリタゾントログリタゾンシグリタゾンを含むチアゾリジンジオン類(TZD)は、核転写因子ペルオキシソーム増殖活性化受容体(PPAR)γのための選択性リガンドである。これらTZDは、グルコースホメオスタシス脂肪酸の代謝、および脂肪細胞中のトリアシルグリセロール貯蔵関与するインスリン感受性遺伝子の転写活性化を通して脂肪組織の機能の多くの面を調節することによって、インスリン感受性を向上させる。さらに、TZD介在PPARγ活性化は、脂肪細胞に与えるインスリンゲノム効果を模倣することによって前駆脂肪細胞分化を促進し、またアジポネクチンIL−6およびTNFαのような炎症性サイトカイン、ならびに脂肪細胞およびマクロファージ中の内分泌調節剤のホストの発現を調整することが示されている。これらの有益な効果によって、TZDは、インスリン抵抗を減らしまた血糖コントロール支援することによって2型糖尿病のための新しいタイプの経口療法を提供する。

脂肪細胞のように、多くのヒト癌細胞株高レベルのPPARγ発現を示すことが報告されている。これら腫瘍細胞を高用量(≧50μM)のTZD、特にトログリタゾンおよびシグリタゾンにインビトロ露出させると、細胞サイクルの阻止、アポトーシスおよび/または再分化に至り、PPARγシグナル伝達とTZDの抗腫瘍活性との間の推定の関連が示唆された。Grommesら、Lancet Oncol.5、p.419−429(2004)。さらに、トログリタゾンのインビトロでの抗癌効果が、脂肪肉腫または前立腺癌患者を含む少数の臨床症例において実証された。Demetriら、Proc
Natl Acad Sci USA.96、p.3951−3956(1999)およびHisatakeら、Cancer Res.60、p.5494−5498(2000)。蓄積した証拠により、トログリタゾンおよびシグリタゾンは、癌細胞の細胞サイクルの進行および存続を支配する多様なシグナル経路を標的にすることによって、PPARγ非依存抗腫瘍効果の媒介となることが示される。Weiら、Cancer Lett.276、p.119−124(2009)。

同定された様々な「的外れ」のメカニズムの中で、βカテニンサイクリンD1、Sp1、アンドロゲン受容体(AR)、および表皮性成長因子受容体(EGFR)を含む広範囲の細胞サイクルおよびアポトーシス調節タンパク質の、プロテアソーム分解または転写抑制による、発現に与えるTZDの効果は特に顕著である。この効果は、βカテニン、サイクリンD1、およびSp1などの標的タンパク質のβトランスデューシン繰り返し体含有タンパク質(β−TrCP)介在プロテアソーム分解を、このE3ユビキチンリガーゼの発現量を上げることによって、活性化させるTZDの能力に起因するという証拠が研究者によって得られている。Weiら、Mol Pharmacol.72、p.725−733(2007)およびWeiら、J Biol Chem.283、p.26759−26770(2008)。サイクリンD1およびSp1のTZD誘発β−TrCP介在タンパク質分解の根底にあるメカニズムを調査する過程で、β−TrCP依存の分解もまたグルコース欠乏条件下で生じることが観測された。

癌細胞とは異なり、非悪性細胞はこれらPPARγ非依存の抗腫瘍効果に耐性があり、これが新規抗腫瘍剤の開発への足場としてのTZDの可能性を際立たせている。この前提は、それぞれの親化合物であるトログリタゾンおよびシグリタゾンより高い多様な抗腫瘍効能を示す2つのPPARγ不活性誘導体、STG28およびOSU−CG12、に対して当てはまることが実証された。Huangら、J.Med Chem.49、p.4684−4689(2006)およびYangら、J.Med Chem.51、p.2100−2107(2008)。

チアゾリジンジオンに対する別の可能な標的としては、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼAMPK)がある。細胞および全身体両レベルでのエネルギーホメオスタシスおよびインスリン感受性の調節におけるAMPKの機能的な役割が知られている。運動細胞ストレス、およびアジポカインなどの刺激応答して、この細胞燃料感知酵素は、栄養素摂取およびエネルギー代謝を制御する多数の下流シグナル経路を介して、グルコースおよび脂肪酸摂取、脂肪酸の酸化、およびミトコンドリア発生の刺激、ならびにグリコーゲン合成の阻害を含む、一連代謝変化を誘発してエネルギー消費均衡を保つ。もっと最近では、蓄積された証拠により、AMPKと癌細胞の成長および存続との間の関連が、結節硬化症錯体2、すなわちラパマイシンの標的の哺乳類相同体(mTOR)を阻害することによってタンパク質合成を負に調節する腫瘍抑制因子を活性化するその能力に照らして、示唆されている。Inokiら、Cell、115、577−590(2003)。機構的な見地からは、AMPKは、成長因子シグナル伝達をmTORの負調節を介して細胞代謝と統合させる。加えて、AMPKは、マクロファージ中の炎症性サイトカイン、特にインターロイキン(IL)−6の産出を阻害することにより、炎症応答を抑制すると報告されている。Lihnら、Mol Cell Endocrinol.292、36−41(2008)。合わせて、これらの知見により、AMPKは2型糖尿病、代謝症候群、および癌の処置のための治療上適切な標的を表すことが示唆される。

癌細胞は、それらの微環境で細胞代謝を好気解糖移行させ、いわゆるワールブルク効果を提供することによって、成長上の利点を得る。Samudioら、Cancer Res.69、p.2163−2166(2009)。ワールブルク効果とは、ほとんどの癌細胞は大抵、ほとんどの正常な細胞のようにミトコンドリア中のピルビン酸塩の酸化によってではなく、シトソル中の乳酸発酵を伴う解糖によってエネルギーを産生するという所見である。これは、酸素豊富な場合でも起きる。ワールブルク効果は、癌中のミトコンドリアへの損傷の結果、腫瘍内の低酸素環境への適応、または癌遺伝子がミトコンドリアをこれらが細胞のアポトーシスプログラムに関与しているという理由でシャットダウンする結果であり得る。

従って、好気的解糖を標的にして悪性対正常細胞の分化感受性を解糖阻害へと活用することは、癌治療にとって有用な方法である。好気的解糖を標的にすることはまた、糖尿病の処置または寿命増加などの他の目的のためにも使用することができる。癌療法のための好気的解糖の使用例としては、様々な自然発生のまたは化学的誘導された腫瘍動物モデルにおける発癌を抑制する場合の食事カロリー制限インビボにおける有効性がある。非特許文献1Jiangら、Cancer Res、68、p.5492−5499(2008);非特許文献2Hurstingら、Annu Rev Med、54、p.131−152(2003);非特許文献3Thompsonら、Mammary Gland Biol Neoplasia、8、p.133−142(2003);および非特許文献4Berriganら、Carcinogenesis、23、p.817−822(2002)参照。

レスベラトロル(Baurら、Nat Rev Drug Discov.5、p.493−506(2006)およびCucciollaら、Cell Cycle、6、p.2495−2510(2007))または2−デオキシグルコース(Zhuら、Cancer Res.65、p.7023(2005))などの様々な化合物を用いた発癌抑制についての情報もまた利用可能である。エネルギー制限模倣剤、2−デオキシグルコースおよびレスベラトロルは、それぞれグルコース代謝および摂取を阻害することによってエネルギー制限の有益な効果を模倣するこれらの能力により幅広い注目を集めている。しかし、これらの薬剤を治療に適用することは、これらのインビトロにおける効能が比較的弱いことにより制限されてきた。新規のエネルギー制限模倣剤、特に、高い効能を示す模倣剤が、癌、代謝障害、または他の異常解糖を伴う症状の処置に使用するために依然として必要である。

概要

チアゾリジンジオン誘導体を含む医薬組成物被験体投与することを包含する、被験体において解糖を阻害する方法を提供する。チアゾリジンジオン誘導体を含む医薬組成物を被験体に投与することによって該被験体において解糖を阻害する方法について述べる。チアゾリジンジオン誘導体は有効なエネルギー制限模倣剤であり、従って被験体における癌の処置もしくは防止、代謝障害の処置、または被験体の寿命延長のために用いることができる。様々なチアゾリジンジオン誘導体はまた、アデノシンリン酸活性化プロテインキナーゼの活性化またはIL−6発現の阻害にも適している。なし

目的

これらの有益な効果によって、TZDは、インスリン抵抗を減らしまた血糖コントロールを支援することによって2型糖尿病のための新しいタイプの経口療法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

本明細書に記載の発明。

技術分野

0001

関連出願への相互参照
この出願は、2009年10月9日に出願された米国仮特許出願第61/250,045号および2010年2月16日に出願された米国仮特許出願第61/304,881号(これらの両方は、その全体が参考として本明細書に援用される)に対する優先権を主張する。

0002

政府資金提供
本発明は、助成金第CA112250号の下、Nation Institutes of Healthによる政府の支援によって少なくとも部分的に支援された。政府は、本発明に一定の権利を有し得る。

背景技術

0003

ロシグリタゾンピオグリタゾントログリタゾンシグリタゾンを含むチアゾリジンジオン類(TZD)は、核転写因子ペルオキシソーム増殖活性化受容体(PPAR)γのための選択性リガンドである。これらTZDは、グルコースホメオスタシス脂肪酸の代謝、および脂肪細胞中のトリアシルグリセロール貯蔵関与するインスリン感受性遺伝子の転写活性化を通して脂肪組織の機能の多くの面を調節することによって、インスリン感受性を向上させる。さらに、TZD介在PPARγ活性化は、脂肪細胞に与えるインスリンゲノム効果を模倣することによって前駆脂肪細胞分化を促進し、またアジポネクチンIL−6およびTNFαのような炎症性サイトカイン、ならびに脂肪細胞およびマクロファージ中の内分泌調節剤のホストの発現を調整することが示されている。これらの有益な効果によって、TZDは、インスリン抵抗を減らしまた血糖コントロールを支援することによって2型糖尿病のための新しいタイプの経口療法を提供する。

0004

脂肪細胞のように、多くのヒト癌細胞株高レベルのPPARγ発現を示すことが報告されている。これら腫瘍細胞を高用量(≧50μM)のTZD、特にトログリタゾンおよびシグリタゾンにインビトロ露出させると、細胞サイクルの阻止、アポトーシスおよび/または再分化に至り、PPARγシグナル伝達とTZDの抗腫瘍活性との間の推定の関連が示唆された。Grommesら、Lancet Oncol.5、p.419−429(2004)。さらに、トログリタゾンのインビトロでの抗癌効果が、脂肪肉腫または前立腺癌患者を含む少数の臨床症例において実証された。Demetriら、Proc
Natl Acad Sci USA.96、p.3951−3956(1999)およびHisatakeら、Cancer Res.60、p.5494−5498(2000)。蓄積した証拠により、トログリタゾンおよびシグリタゾンは、癌細胞の細胞サイクルの進行および存続を支配する多様なシグナル経路を標的にすることによって、PPARγ非依存抗腫瘍効果の媒介となることが示される。Weiら、Cancer Lett.276、p.119−124(2009)。

0005

同定された様々な「的外れ」のメカニズムの中で、βカテニンサイクリンD1、Sp1、アンドロゲン受容体(AR)、および表皮性成長因子受容体(EGFR)を含む広範囲の細胞サイクルおよびアポトーシス調節タンパク質の、プロテアソーム分解または転写抑制による、発現に与えるTZDの効果は特に顕著である。この効果は、βカテニン、サイクリンD1、およびSp1などの標的タンパク質のβトランスデューシン繰り返し体含有タンパク質(β−TrCP)介在プロテアソーム分解を、このE3ユビキチンリガーゼの発現量を上げることによって、活性化させるTZDの能力に起因するという証拠が研究者によって得られている。Weiら、Mol Pharmacol.72、p.725−733(2007)およびWeiら、J Biol Chem.283、p.26759−26770(2008)。サイクリンD1およびSp1のTZD誘発β−TrCP介在タンパク質分解の根底にあるメカニズムを調査する過程で、β−TrCP依存の分解もまたグルコース欠乏条件下で生じることが観測された。

0006

癌細胞とは異なり、非悪性細胞はこれらPPARγ非依存の抗腫瘍効果に耐性があり、これが新規抗腫瘍剤の開発への足場としてのTZDの可能性を際立たせている。この前提は、それぞれの親化合物であるトログリタゾンおよびシグリタゾンより高い多様な抗腫瘍効能を示す2つのPPARγ不活性誘導体、STG28およびOSU−CG12、に対して当てはまることが実証された。Huangら、J.Med Chem.49、p.4684−4689(2006)およびYangら、J.Med Chem.51、p.2100−2107(2008)。

0007

チアゾリジンジオンに対する別の可能な標的としては、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼAMPK)がある。細胞および全身体両レベルでのエネルギーホメオスタシスおよびインスリン感受性の調節におけるAMPKの機能的な役割が知られている。運動細胞ストレス、およびアジポカインなどの刺激応答して、この細胞燃料感知酵素は、栄養素摂取およびエネルギー代謝を制御する多数の下流シグナル経路を介して、グルコースおよび脂肪酸摂取、脂肪酸の酸化、およびミトコンドリア発生の刺激、ならびにグリコーゲン合成の阻害を含む、一連代謝変化を誘発してエネルギー消費均衡を保つ。もっと最近では、蓄積された証拠により、AMPKと癌細胞の成長および存続との間の関連が、結節硬化症錯体2、すなわちラパマイシンの標的の哺乳類相同体(mTOR)を阻害することによってタンパク質合成を負に調節する腫瘍抑制因子を活性化するその能力に照らして、示唆されている。Inokiら、Cell、115、577−590(2003)。機構的な見地からは、AMPKは、成長因子シグナル伝達をmTORの負調節を介して細胞代謝と統合させる。加えて、AMPKは、マクロファージ中の炎症性サイトカイン、特にインターロイキン(IL)−6の産出を阻害することにより、炎症応答を抑制すると報告されている。Lihnら、Mol Cell Endocrinol.292、36−41(2008)。合わせて、これらの知見により、AMPKは2型糖尿病、代謝症候群、および癌の処置のための治療上適切な標的を表すことが示唆される。

0008

癌細胞は、それらの微環境で細胞代謝を好気解糖移行させ、いわゆるワールブルク効果を提供することによって、成長上の利点を得る。Samudioら、Cancer Res.69、p.2163−2166(2009)。ワールブルク効果とは、ほとんどの癌細胞は大抵、ほとんどの正常な細胞のようにミトコンドリア中のピルビン酸塩の酸化によってではなく、シトソル中の乳酸発酵を伴う解糖によってエネルギーを産生するという所見である。これは、酸素豊富な場合でも起きる。ワールブルク効果は、癌中のミトコンドリアへの損傷の結果、腫瘍内の低酸素環境への適応、または癌遺伝子がミトコンドリアをこれらが細胞のアポトーシスプログラムに関与しているという理由でシャットダウンする結果であり得る。

0009

従って、好気的解糖を標的にして悪性対正常細胞の分化感受性を解糖阻害へと活用することは、癌治療にとって有用な方法である。好気的解糖を標的にすることはまた、糖尿病の処置または寿命増加などの他の目的のためにも使用することができる。癌療法のための好気的解糖の使用例としては、様々な自然発生のまたは化学的誘導された腫瘍動物モデルにおける発癌を抑制する場合の食事カロリー制限インビボにおける有効性がある。非特許文献1Jiangら、Cancer Res、68、p.5492−5499(2008);非特許文献2Hurstingら、Annu Rev Med、54、p.131−152(2003);非特許文献3Thompsonら、Mammary Gland Biol Neoplasia、8、p.133−142(2003);および非特許文献4Berriganら、Carcinogenesis、23、p.817−822(2002)参照。

0010

レスベラトロル(Baurら、Nat Rev Drug Discov.5、p.493−506(2006)およびCucciollaら、Cell Cycle、6、p.2495−2510(2007))または2−デオキシグルコース(Zhuら、Cancer Res.65、p.7023(2005))などの様々な化合物を用いた発癌抑制についての情報もまた利用可能である。エネルギー制限模倣剤、2−デオキシグルコースおよびレスベラトロルは、それぞれグルコース代謝および摂取を阻害することによってエネルギー制限の有益な効果を模倣するこれらの能力により幅広い注目を集めている。しかし、これらの薬剤を治療に適用することは、これらのインビトロにおける効能が比較的弱いことにより制限されてきた。新規のエネルギー制限模倣剤、特に、高い効能を示す模倣剤が、癌、代謝障害、または他の異常解糖を伴う症状の処置に使用するために依然として必要である。

先行技術

0011

Jiangら、Cancer Res、(2008)68、p.5492−5499
Hurstingら、Annu Rev Med、(2003)54、p.131−152
Thompsonら、Mammary Gland Biol Neoplasia、(2003)8、p.133−142
Berriganら、Carcinogenesis、(2002)23、p.817−822

課題を解決するための手段

0012

本発明は、チアゾリジンジオン誘導体を含む医薬組成物被験体投与することを包含する、被験体において解糖を阻害する方法を提供する。チアゾリジンジオン誘導体は、解糖を阻害するこれらの能力の結果として、グルコース飢餓により得られるものに類似したエネルギー制限の形態を表す、新規のクラスのエネルギー制限模倣剤を表す。チアゾリジンジオン誘導体を用いて被験体において解糖を阻害する方法は、腫瘍の解糖代謝を阻害することで被験体での癌の処置または防止を行うために使用することができ、また癌と診断されていない被験体を含む被験体の寿命を延ばすために使用することができる。本方法に有用なチアゾリジンジオン誘導体はさらに、本明細書にて提供される式I、II、III、およびIVによって定義される。

0013

本発明はまた、有効量のチアゾリジンジオン誘導体を提供することによってアデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼを活性化する方法を提供する。さらに、AMPKの活性化はIL−6発現の阻害に至るため、本発明はまた、チアゾリジンジオン誘導体を含む医薬組成物を被験体に投与することによって被験体においてIL−6発現を阻害する方法を提供する。AMPKを活性化するためのおよびIL−6発現を阻害するための適切なチアゾリジンジオン誘導体としては、式I、III、およびIVの特定の実施形態によって定義されるものが含まれる。

0014

本発明は以下の図面を参照することにより、より容易に理解され得る。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
被験体において解糖を阻害する方法であって、該方法は、式I:





の化合物を含む医薬組成物を該被験体に投与することを包含し、式中、
R1は水素またはヒドロキシルであり、
R2およびR3は、水素、ヒドロキシル、ハロアミノメチルメトキシエチルエトキシニトロ、アミノスルホニルトリフルオロメチルスルホニル、およびハロアルキル部分から選択され、
R4は、アルキルアルケニルシクロアルキル、およびアリール基から選択される、方法。
(項目2)
R1はヒドロキシルである、項目1に記載の方法。
(項目3)
R2はトリフルオロメチルである、項目2に記載の方法。
(項目4)
R3は水素である、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記化合物は、(Z)−5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−チアゾリジン−2−4−ジオンまたは(Z)−3−(2−エチル−ブチル)−5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオンである、項目4に記載の方法。
(項目6)
R3はヒドロキシルである、項目3に記載の方法。
(項目7)
前記化合物は、(Z)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(2−エチル−ブチル)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(2−エチル−ペンチル)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(4−イソプロピルベンジル)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−3−(4−tert−ブチル−ベンジル)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(2−トリフルオロメチル−ベンジル)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−3−シクロヘキシルメチル−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−3−ベンジル−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−3−シクロヘプチルメチル−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン、および(Z)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−イソブチル−チアゾリジン−2−4−ジオンからなる群より選択される、項目6に記載の方法。
(項目8)
R1は水素であり、R2およびR3はハロ部分である、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記化合物は、(Z)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−3−(2−エチル−ブチル)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−3−(2−エチル−ペンチル)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−3−(4−イソプロピル−ベンジル)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−3−(4−tert−ブチル−ベンジル)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−3−(2−トリフルオロメチル−ベンジル)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−3−シクロヘキシルメチル−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−3−ベンジル−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン、(Z)−3−シクロヘプチルメチル−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン、および(Z)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−3−イソブチル−チアゾリジン−2−4−ジオンからなる群より選択される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記被験体は癌を有するリスクが高いかまたは癌を有すると診断された、項目1に記載の方法。
(項目11)
被験体において解糖を阻害するための方法であって、該方法は、式II:





の化合物を含む医薬組成物を該被験体に投与することを包含し、式中、
R1は、アリール、アルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキル基から選択され、
R2は、水素、ハロ、およびニトロ部分、ならびにアルキル、アルコキシ、およびハロアルキル基から選択され、
R3は、水素およびハロ部分ならびにアルキル、アルコキシ、およびハロアルキル基から選択される、
方法。
(項目12)
R1は





から選択される、項目11に記載の方法。
(項目13)
R2は、水素、ブロモクロロ、メチル、メトキシ、エトキシ、およびニトロから選択され、R3は、水素、メチル、メトキシ、およびブロモから選択される、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記化合物は、構造:





を有する、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記被験体は癌を有するリスクが高いかまたは癌を有すると診断された、項目11に記載の方法。
(項目16)
被験体において解糖を阻害する方法であって、該方法は、式III:





の化合物を含む医薬組成物を該被験体に投与することを包含し、式中、
R1は低級アルキル基であり、R2はハロ、メチル、メトキシ、エチル部分から選択される、
方法。
(項目17)
前記化合物は、5−[3−ブロモ−4−(6−エトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イルメトキシ)−ベンジリデン]−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[4−(6−ブトキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−イルメトキシ)−3−メトキシ−ベンジリデン]−チアゾリジン−2,4−ジオン、および4−{2−[2−ブロモ−4−(2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデンメチル)−フェノキシメチル]−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ}−ブチロニトリルからなる群より選択される、項目16に記載の方法。
(項目18)
被験体において解糖を阻害する方法であって、該方法は、式IV:





の化合物を含む医薬組成物を該被験体に投与することを包含し、式中、
R1は水素、メチル、またはトリフルオロメチル部分であり、R2はメトキシまたはニトロ部分であり、そしてR3はアルキルまたはシクロアルキル基である、
方法。
(項目19)
前記化合物は、4−メトキシ−N−{4−[3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデンメチル]−フェニル}−ベンゼンスルホンアミド、N−{4−[3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデン−メチル]−フェニル}−4−ニトロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド、およびN−{4−[3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデンメチル]−フェニル}−4−ニトロ−ベンゼンスルホンアミドからなる群より選択される、項目18に記載の方法。
(項目20)
式III:





の化合物であって、式中、R1は低級アルキル基であり、R2はハロ、メチル、メトキシ、エチル部分から選択される、式IIIの化合物;
式I:




の化合物であって、式中、R1はヒドロキシルであり、R2はトリフルオロメチルであり、R3は水素であり、そしてR4はアルキルまたはシクロアルキル基である、式Iの化合物;および
式IV:





の化合物であって、式中、R1は水素、メチル、またはトリフルオロメチル部分であり、R2はメトキシまたはニトロ部分であり、そしてR3はアルキルまたはシクロアルキル基である、式IVの化合物
からなる群より選択される有効量のチアゾリジンジオン誘導体を提供することによって、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼを活性化する方法。
(項目21)
前記チアゾリジンジオン誘導体は、式III:





の化合物であり、式中、R1は低級アルキル基であり、R2はハロ、メチル、メトキシ、エチル部分から選択される、
項目20に記載の方法。
(項目22)
前記化合物は、5−[3−ブロモ−4−(6−エトキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−イルメトキシ)−ベンジリデン]−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[4−(6−ブトキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−イルメトキシ)−3−メトキシ−ベンジリデン]−チアゾリジン−2,4−ジオン、および4−{2−[2−ブロモ−4−(2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデンメチル)−フェノキシメチル]−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ}−ブチロニトリルからなる群より選択される、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記チアゾリジンジオン誘導体は、式I:




の化合物であり、式中、R1はヒドロキシルであり、R2はトリフルオロメチルであり、R3は水素であり、そしてR4はアルキルまたはシクロアルキル基である、
項目20に記載の方法。
(項目24)
前記化合物は、5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−チアゾリジン−2,4−ジオンおよび5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−プロピル−チアゾリジン−2,4−ジオンからなる群より選択される、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記チアゾリジンジオン誘導体は、式III




の化合物であり、式中、R1は低級アルキル基であり、R2はハロ、メチル、メトキシ、エチル部分から選択される、
項目20に記載の方法。
(項目26)
前記化合物は、4−メトキシ−N−{4−[3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデンメチル]−フェニル}−ベンゼンスルホンアミド、N−{4−[3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデン−メチル]−フェニル}−4−ニトロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド、およびN−{4−[3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデンメチル]−フェニル}−4−ニトロ−ベンゼンスルホンアミドからなる群より選択される、項目25に記載の方法。
(項目27)
被験体においてIL−6発現を阻害する方法であって、該方法は、
式III:





の化合物であって、式中、R1は低級アルキル基であり、R2はハロ、メチル、メトキシ、エチル部分から選択される、式IIIの化合物;
式I:





の化合物であって、式中、R1はヒドロキシルであり、R2はトリフルオロメチルであり、R3は水素であり、およびR4はアルキルまたはシクロアルキル基である、式Iの化合物;および
式IV:




の化合物であって、式中、R1は水素、メチル、またはトリフルオロメチル部分であり、R2はメトキシまたはニトロ部分であり、およびR3はアルキルまたはシクロアルキル基である、式IVの化合物
からなる群より選択されるチアゾリジンジオン誘導体を含む医薬組成物を該被験体に投与することを包含する、方法。
(項目28)
前記化合物は、5−[3−ブロモ−4−(6−エトキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−イルメトキシ)−ベンジリデン]−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[4−(6−ブトキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−イルメトキシ)−3−メトキシ−ベンジリデン]−チアゾリジン−2,4−ジオン、および4−{2−[2−ブロモ−4−(2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデンメチル)−フェノキシメチル]−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ}−ブチロニトリルからなる群より選択される、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記化合物は、5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−チアゾリジン−2,4−ジオンおよび5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−プロピル−チアゾリジン−2,4−ジオンからなる群より選択される、項目27に記載の方法。
(項目30)
前記化合物は、4−メトキシ−N−{4−[3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデンメチル]−フェニル}−ベンゼンスルホンアミド、N−{4−[3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデン−メチル]−フェニル}−4−ニトロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド、およびN−{4−[3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデンメチル]−フェニル}−4−ニトロ−ベンゼンスルホンアミドからなる群より選択される、項目27に記載の方法。

図面の簡単な説明

0015

図1は、エネルギー制限模倣剤として作用する能力を持つチアゾリジンジオン類(TZD)に影響される様々な因子を示す概略図を提供する。
図2は、多数のチアゾリジンジオン化合物ライブラリを作成する固相法を示す概略図および表を提供する。図の上部分は推定合スキームを示し、図の下部分はライブラリを構成する化合物に存在するR1およびR2の置換基を示す。
図3は、TZDのPPARγ非依存抗増殖効果を示すグラフおよび免疫ブロットを提供する。セクションA)は、非悪性前立腺上皮細胞(PrEC)に対してのLNCaP前立腺癌細胞およびMCF−7乳癌細胞を10%FBS補足培地に72時間放置したときの生存度に与える、2つのエネルギー制限模倣剤、レスベラトロル(Resv)および2−デオキシグルコース(2−DG)に比べてのトログリタゾン(TG)、シグリタゾン(CG)、STG28(STG)、およびOSU−CG12(CG12)の用量依存効果を示す。MTTデータは、平均値±95%信頼区間エラーバー)(n=6)として表されている。セクションB)は、PrECにおいてのβ−TrCP、Sp1、およびアンドロゲン受容体(AR)の発現量に与える、OSU−CG12の効果の欠如を示すもので、OSU−CG12の抗増殖活性に対する非悪性PrECの耐性を実証している。これらウェスタンブロットは3つの独立した実験を代表するものであり、すべてが類似の結果を示している。
図4は、TZDが自食を誘発するという証拠を提供する。左側パネルは、LC3−Iから、自食のマーカーであるLC3−IIへの変換に与える、5μMのOSU−CG12の時間依存効果を提供するが、このマーカーは自食阻害剤3−MA(1mM)によってブロックされ得る。LNCaP細胞を、GFP−LC3プラスミドにより一時的にトランスフェクトし、続いて5μMのOSU−CG12に単独でまたは3−MAの存在下で所定時間にわたって露出させた。GFPの免疫ブロットを行って、LC3−IIの形成を検出した。右側パネルは、GFP−LC3蛍光発光パターンに与える、5μMのOSU−CG12単独のまたは1mMの3−メチルアデニン(3−MA)の存在下での効果についての顕微分析からの画像を提供する。CG12群で明らかな斑点パターンは、それが蓄積して自食胞となっていることを示している。6ウェルプレートで培養されたGFP−LC3発現LNCaP細胞に36時間異なる薬物処理を施し、次に蛍光顕微鏡検査によって検査した。これら免疫ブロットおよび顕微鏡によるデータは3つの実験を代表するものであり、すべてが類似の結果を示している。
図5は、エネルギー制限およびTZDがβ−TrCP介在タンパク質分解を助長する能力を共有していることを示す免疫ブロットを提供する。LNCaPおよびMCF−7細胞を、図のように、トログリタゾン(TG)、STG28、シグリタゾン(CG)、OSU−CG12(CG12)、2つのエネルギー制限模倣剤である2−デオキシグルコース(2−DG)およびレスベラトロル、ならびに無グルコース培地(グルコース飢餓)に露出して、β−TrCP介在タンパク質分解の化合物における効果をウェスタンブロット法により評価した。これらの終点は、β−TrCP、β−TrCP基質、およびSp1標的遺伝子産物の発現、ならびにβ−TrCP基質の認知の助長に関与するキナーゼリン酸化の状態とした。免疫ブロットは3つの独立した実験を代表するものである。
図6は、TZDが、LNCaP細胞内のエネルギー制限に関連した細胞応答を引き出す2−デオキシグルコース(2−DG)およびグルコース飢餓の能力を共有していることを示す免疫ブロットを提供する。セクションA)は、エネルギー制限関連(Sirt1発現、p53脱アセチル化、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)リン酸化、および小胞体ERストレス指標GRP78の発現)ならびにβ−TrCP依存タンパク質分解関連(β−TrCP、Sp1、およびサイクリンD1の発現量)の様々なマーカーに与える、10mMの2−DGおよびグルコース飢餓に比べての10μMのOSU−CG12(CG12)の時間依存効果のウェスタンブロット分析を示す。セクションB)は、AにおけるようにCG12および2−DGで処置されたLNCaP細胞でのRTPCRによるSirt1、GRP78、β−TrCP、Sp1、およびサイクリンD1のmRNA発現量の平行分析を示す。セクションC)は、LNCaP細胞でのERストレスおよびAMPK/mTOR/p70S6Kシグナル伝達に与える、2−DG、レスベラトロル、およびグルコース飢餓に対しての様々な用量でのTZDの効果のウェスタンブロット分析を示す。ERストレスの指標には、IRE1α、ERストレスセンサ、GRP78およびGADD153の発現量が含まれた。免疫ブロットおよびPCRの結果は3つの独立した実験を代表するものである。
図7は、TZDが、グルコース摂取をブロックすることによってエネルギー代謝を標的にすることを示すグラフおよび免疫ブロットを提供する。セクションA)は、[3H]−2−デオキシグルコース([3H]−2DG)摂取に与える、OSU−CG12(CG12、左側パネル)およびレスベラトロル(中央パネル)の用量および時間依存効果を示す。データは、平均値±95%信頼区間(エラーバー)(n=3)として表されている。右側パネルはOSU−CG12およびレスベラトロルの球棒構造を示す。セクションB)は、LNCaP細胞での解糖速度(左側パネル)ならびにNADH(中央パネル)および乳酸塩(右側パネル)の細胞内濃度に与える、10mMの2−DGに比べての10μMのOSU−CG12の時間依存効果を示す。データは、平均値±95%信頼区間(エラーバー)(n=3)として表されている。セクションC)は、補足グルコースが、LNCaP細胞でのOSU−CG12の抗増殖活性に対する用量依存防御を提供することを実証している。表示した濃度のグルコースの存在下で培養した細胞の生存度を、72時間の薬物処置の後MTTアッセイによって決定した。データは、平均値±95%信頼区間(エラーバー)(n=6)として表されている。セクションD)では、左側パネルは、補足グルコース(20mg/ml)が、24時間にわたるLNCaP細胞でのOSU−CG12によるSirt1の一時的な誘発およびその結果としてのp53の脱アセチル化を覆したことを実証している。D)の右側パネルは、補足グルコースが、PARP開裂、AMPK活性化、および異なる用量のOSU−CG12で処置されたLNCaP細胞でのGRP78、GADD153、およびβ−TrCPの発現の誘発を実証している。これら免疫ブロット結果は3つの独立した実験を代表するものである。
図8は、β−TrCP発現がエネルギー制限模倣剤の抗増殖効果にとって重要であり、またβ−TrCPタンパク質のSirt1介在安定化によって上方調節されることを示すグラフおよび免疫ブロットを提供する。セクションA)は、OSU−CG12(CG12、左側パネル)および2−デオキシグルコース(2−DG、左側パネル)によるLNCaP細胞生存度の用量依存阻害に与える、β−TrCPのワイルドタイプ(WT)または優性ネガティブ(ΔF)形態の異所性発現の効果を示す。細胞生存度は、MTTアッセイによって決定した。データは、平均値±95%信頼区間(エラーバー)(n=6)として表されている。pCMVは空ベクターによりトランスフェクトされた細胞である。セクションB)は、LNCaP細胞でのPARP開裂を助長するOSU−CG12(5μM)および2−DG(5mM)の能力に与える、WT(WT−β−TrCP−Myc)および優性ネガティブ(ΔF−β−TrCP−Myc)β−TrCPの異所性発現の効果を示す。セクションC)は、Sirt1上方調節により、OSU−CG12処置されたLNCaP細胞でのβ−TrCP発現量が高まることを示す。左側パネルでは、血球凝集素タグ化Sirt1(HA−Sirt1)の異所性発現により、β−TrCP発現が用量依存で上昇し、これに対応して標的タンパク質サイクリンD1およびSp1の発現が減少した。右側パネルでは、Sirt1の優性ネガティブ阻害により、OSU−CG12介在β−TrCP誘発およびPARP開裂がブロックされた。セクションD)は、Sirt1によりタンパク質安定化を介してβ−TrCP発現が増加したという証拠を提供する。左側パネルでは、Sirt1脱アセチル化活性が、OSU−CG12によるβ−TrCPタンパク質の安定化にとって不可欠である。ニコチンアミドまたはスプリトマイシンによるSirt1脱アセチル化活性の薬理学的阻害により、β−TrCPタンパク質安定性を向上させるOSU−CG12の能力が覆された。LNCaP細胞を12時間、5μMのOSU−CG12により、単独でまたは50mMのニコチンアミドもしくは200μMのスプリトマイシンの存在下で前処理し、続いて、さらに12または24時間、100μg/mLのシクロヘキシミドにより処置した。右側パネルでは、RT−PCR分析により、上述のように処置されたLNCaP細胞でのβ−TrCPmRNAレベルが変わらないままであることが分かった。すべての免疫ブロットおよびPCRの結果は3つの独立した実験を代表するものである。
図9は、AMPKの優性ネガティブまたは薬理学的阻害はOSU−CG12介在自食をブロックしたが、アポトーシスまたはERストレスには効果がなかったことを示す免疫ブロットを提供する。左側パネルでは、p−mTOR、p−p70S6K、β−TrCP、およびGADD153の発現量、GFP−LC3の変換、ならびにGFP−LC3発現LNCaP細胞でのPARP開裂を調整するOSU−CG12(5μM)の能力に与える、AMPKのK45Rキナーゼデッド型優性ネガティブ(DN)形態に対してのワイルドタイプ(WT)形態の異所性発現の効果を示す。右側パネルでは、AMPKの薬理学的阻害剤である化合物Cの効果の平行分析である。
図10は、TSC2のshRNA介在ノックダウンにより細胞がOSU−CG12誘発自食から防御されたことを示す免疫ブロットおよび顕微鏡画像を提供する。左側パネルでは、OSU−CG12処置細胞でのTSC2およびp−AMPK発現のウェスタンブロット分析により、TSC2のshRNA介在ノックダウンの有効性の確認を示す。右側パネルでは、スクランブル化またはTSC2 shRNAによりトランスフェクトされたGFP−LC3発現LNCaP細胞をDMSOまたは5μMのOSU−CG12に36時間露出させ、次に蛍光顕微鏡検査によって検査してGFP−LC3蛍光発光のパターンを評価した。
図11は、OSU−CG12が、AMPK/TSC2/mTOR/p70S6Kシグナル経路を標的にすることによって自食を誘発することを示すグラフおよび免疫ブロットを提供する。セクションA)は、AMPKの優性ネガティブ阻害によりLNCaP細胞がOSU−CG12介在抗増殖効果から部分的に防御されたことを示す。データは、平均値±95%信頼区間(エラーバー)(n=6)として表されている。セクションB)は、GADD153(DDIT3)のsiRNA介在ノックダウンが、PARP開裂、β−TrCP誘発、AMPK活性化のいずれにも影響を与えなかったことを示す。すべての免疫ブロットおよび蛍光顕微鏡検査のデータは3つの独立した実験を代表するものである。
図12において、セクション(A)は、先導AMPK活性剤を同定するための、ベンジリデン−チアゾリジンジオン系集中化合物ライブラリの2段スクリーニング概略表示を提供する。セクション(B)は、シリーズA−C化合物の一般的な合成手順を提供する。反応条件:シリーズA:a、K2CO3/R1−Br;b、LAH、THF;c、(CF3SO2)2O、ピリジン、CH2Cl2;d、K2CO3、DMF;e、AcOH、ピペリジンエタノール還流。シリーズB:a、AcOH、ピペリジン、エタノール/還流;b、K2CO3、DMF。シリーズC:a、K2CO3、DMF;b、ピペリジン、CH2Cl2;c、LAH、ドライTHF、0℃;d、MnO2、CH2Cl2、還流;d、ピペリジン、EtOH、還流;e、AcOH、ピペリジン、エタノール/還流。
図13は、チアゾリジンジオン系の集中化合物ライブラリにおける化合物1〜60の化学構造を提供する。
図14において、セクション(A)は、mTORおよびIL−6/IL−6受容体介在のシグナル経路の負の調節剤としてのAMPKの役割の概略表示を提供する。セクション(B)は、6時間の処置後、10%のFBS含有培地において、LPS処理されたおよび非処置(対照)のTHP−1マクロファージにおける場合に対しての、LPS処理されたTHP−1細胞でのAMPK、p70S6K、およびStat3のリン酸化に与える、各10μMでのシグリタゾンおよび62の効果のウェスタンブロット分析を提供する。(C)左側パネルは、6時間の処置後、10%のFBS含有培地において、THP−1マクロファージでのLPS刺激IL−6の産生に与える、表示した濃度のシグリタゾン(CG)および62の阻害効果ELISA分析である。カラムは平均;バーはSD(N=3)。右側パネルは、MTTアッセイ(N=6)によるTHP−1細胞の生存度に与える対応する効果である。
図15において、セクション(A)は、6時間の処置後、10%のFBS含有培地における、LPS処理のみ(L)および非処置(対照)のTHP−1マクロファージにおける場合に対しての、LPS処理されたTHP−1細胞でのAMPK、p70S6K、およびStat3のリン酸化に与える、各10μMでのシグリタゾン(CG)に比べての化合物1〜60の効果のウェスタンブロット分析を提供する。セクション(B)の上側パネルは、6時間の処置後、10%のFBS含有培地における、THP−1マクロファージでのLPS刺激IL−6の産生に与える、各10μMでのシグリタゾン(CG)に比べての化合物1〜60の阻害効果のELISA分析を提供する。カラムは平均;バーはSD(N=3)。下側パネルは、MTTアッセイ(N=6)によるTHP−1細胞の生存度に与える対応する効果を示す。
図16において、セクション(A)は、分化されたTHP−1細胞でのPPARγ活性化に与える、各10μMでのシグリタゾン(CG)に比べての化合物8、12、31、44、49、53および54の効果を示す。THP−1細胞を、PPRE−x3−TK−Lucレポーターベクターにより一時的にトランスフェクトし、次に10%FBS補足RPMI1640培地で48時間、個々の薬剤またはDMSOビヒクルに露出させた。カラムは平均;バーはSD(N=6)。セクション(B)の上側パネルは、6時間の処置後、10%のFBS含有培地における、THP−1マクロファージでのLPS刺激IL−6の産生に与える、各1μMでのシグリタゾン(CG)に比べての化合物8、12、21、31、44、49、53および54の阻害効果のELISA分析を提供する。カラムは平均;バーはSD(N=3)。下側パネルは、MTTアッセイ(N=6)によるTHP−1細胞の生存度に与える対応する効果を示す。
図17において、セクション(A)は、6時間の処置後、10%のFBS含有培地における、THP−1マクロファージでのLPS刺激IL−6の産生に与える、化合物53の用量依存効果のELISA分析を提供する。カラムは平均;バーはSD(N=3)。セクション(B)は、6時間の処置後、10%のFBS含有培地における、LPS処理されたTHP−1マクロファージでのmRNAレベルのIL−6に与える、化合物53の用量依存抑制効果のRT−PCR分析の結果を示す。カラムは平均;バーはSD(N=3)。セクション(C)は、6時間の処置後、10%のFBS含有培地における、LPS処理されたTHP−1マクロファージでのAMPKおよびp70S6Kのリン酸化レベルに与える、0.5mMのAICARに対しての化合物53の用量依存効果のウェスタンブロット分析を示す。
図18において、セクション(A)は、優性ネガティブ(DN)AMPKプラスミドまたはpCMV空ベクターにより一時的にトランスフェクトされたTHP−1マクロファージでのAMPKの発現量のウェスタンブロット分析を提供する。セクション(B)は、10μMの化合物53と共同処置されたまたはされていないTHP−1マクロファージでのLPS刺激IL−6産生に与える、DN−AMPKの異所性発現の防御効果を示す。カラムは平均;バーはSD(N=3)。セクション(C)は、10%のFBS含有培地における、C−26腺癌細胞でのAMPKおよびp70S6Kのリン酸化レベルに与える、化合物53の用量依存および時間依存効果のウェスタンブロット分析を示す。セクション(D)は、PT1およびA−769662に対しての化合物53の表面静電位および構造を示す。
図19は、様々な癌細胞株における化合物53および54の細胞生存度を示すグラフを提供する。

0016

本発明は、チアゾリジンジオン誘導体を含む医薬組成物を被験体に投与することを包含する、被験体でのエネルギー代謝を制限する方法を提供する。特に、本発明は、式I、式II、式III、または式IVによるチアゾリジンジオン誘導体を含む医薬組成物を被験体に投与することを包含する、被験体において解糖を阻害する方法を提供する。本発明は、エネルギー代謝を制限するためにこれまで使用されていない多数のチアゾリジンジオン誘導体であって、これらの多くは従来のエネルギー制限模倣剤より高い効能を示す誘導体を提供する。

0017

別の局面では、本発明は、有効量のチアゾリジンジオン誘導体を送達することによって、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化させる方法を提供する。特に、本発明は、式I、式III、または式IVによる有効量のチアゾリジンジオン誘導体を提供することによって、AMPKを活性化させる方法を提供する。AMPKの活性化によりIL−6が阻害されるため、これらチアゾリジンジオン誘導体はまた、式I、III、またはIVによるチアゾリジンジオン誘導体を含む医薬組成物を被験体に投与することにより、被験体においてIL−6発現を阻害する方法においても使用され得る。

0018

定義
本明細書にて示される用語は、実施形態の説明のためのみのものであって、本発明を全体として限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の説明および添付の請求の範囲において使用されるものとして、単数形「a」、「an」および「the」は、これらの前後の文脈によって禁忌とされない限り、それらの複数形を含む。

0019

本明細書で用いられる用語「有機基」は、脂肪族基環状基、または脂肪族基と環状基との組み合わせ(例えば、アルカリルおよびアラルキル基)として分類される炭化水素基を意味するために用いられる。本発明の文脈では、本発明のチアゾリジンジオン類のための適切な有機基は、チアゾリジンジオン類のエネルギー制限活性を妨害しないものである。本発明の文脈では、用語「脂肪族基」は、飽和または不飽和で線状または分枝状の炭化水素基を意味する。この用語は、例えばアルキル、アルケニル、およびアルキニル基を包含するために用いられる。

0020

本明細書で用いられる用語「アルキル」、「アルケニル」、および接頭語「alk」は、直鎖基および側鎖基を含む。特に指定しない限り、これらの基は1〜20個の炭素原子を含有し、アルケニル基は2〜20個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、これらの基は、合計多くて10個の炭素原子、多くて8個の炭素原子、多くて6個の炭素原子、または多くて4個の炭素原子を有する。4個以下の炭素原子を含むアルキル基はまた低級アルキル基とも称され得る。アルキル基はまた、これらが含む炭素原子の数によって参照され得る(すなわち、C1〜C4アルキル基は、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基である)。

0021

本明細書で用いられるシクロアルキルは、環構造を形成するアルキル基(すなわち、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基)を指す。環状基は、単環式または多環式であり得、好ましくは3〜10個の環状炭素原子を有し得る。シクロアルキル基は、4個以下の炭素原子を含むアルキル基を介して主構造に結合することができる。環状基の例としては、シクロプロピルシクロプロピルメチルシクロペンチルシクロヘキシルアダマンチル、ならびに置換および非置換のボルニルノルボルニル、およびノルボルネニルが挙げられる。

0022

特に指定しない限り、「アルキレン」および「アルケニレン」は、上記に定義した「アルキル」および「アルケニル」基の二価の形態である。用語「アルキレニル」および「アルケニレニル」は、それぞれ「アルキレン」および「アルケニレン」が置換されるときに用いられる。例えば、アリールアルキレニル基は、アリール基が結合するアルキレン部分を備えている。

0023

用語「ハロアルキル」は、ペルフルオロ化基を含む、1個以上のハロゲン原子によって置換される基を含む。これはまた、接頭語「ハロ」を含む他の基にも当てはまる。適切なハロアルキルの例としては、クロロメチル、トリフルオロメチルなどがある。ハロ部分としては、塩素臭素フッ素、およびヨウ素を含む。

0024

本明細書で用いられる用語「アリール」は、カルボクリック芳香族環または環系を含む。アリール基の例としては、フェニル、ナフチルビフェニルフルオレニルおよびインデニルが挙げられる。アリール基は置換されても非置換でもよい。

0025

特に指定しない限り、用語「ヘテロ原子」とは原子O、S、またはNのことである。用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例えば、O、S、N)を含有する芳香族環または環系を含む。いくつかの実施形態では、用語「ヘテロアリール」は、2〜12個の炭素原子を含有する環または環系、1〜3個の環、1〜4個のヘテロ原子、およびヘテロ原子としてO、S、および/またはNを含む。適切なヘテロアリール基としては、フリルチエニルピリジルキノリニルイソキノリニルインドリルイソインドリル、トリアゾリルピロリル、テトラゾリルイミダゾリルピラゾリルオキサゾリルチアゾリルベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾリル、ベンゾキサゾリル、ピリミジニルベンズイミダゾリルキノキサリニルベンゾチアゾリルナフチリジニルイソキサゾリルイソチアゾリルプリニル、キナゾリニルピラジニル、1−オキシドピリジル、ピリダジニルトリアジニルテトラジニル、オキサジアゾリルチアジアゾリルなどが含まれる。

0026

用語「アリーレン」および「ヘテロアリーレン」は、上記に定義された「アリール」および「ヘテロアリール」基の二価の形態である。用語「アリーレニル」および「ヘテロアリーレニル」は、それぞれ「アリーレン」および「ヘテロアリーレン」が置換されるときに用いられる。例えば、アルキルアリーレニル基は、アルキル基が結合するアリーレン部分を備えている。

0027

本明細書で説明するいかなる式またはスキームにおいても、ある基が一度より多く現れる場合、各基(または置換基)は、明示されているかどうかにかかわらず、独立して選択される。例えば、式−C(O)−NR2において各R基は独立して選択される。

0028

本出願全体を通して用いられるある特定の用語の検討および再引用を簡単にする手段として、用語「基」および「部分」は、置換を考慮にいれているかまたは置換される可能性のある化学的な種と、そのように置換を考慮にいれていないかまたは置換される可能性のない化学的な種との間を区別するために使用される。従って、用語「基」がある化学的な置換基について説明するために用いられるときは、その説明された化学物質は、非置換基、およびカルボニル基または他の従来の置換基と同様に、鎖に、例えば、非過酸化O、N、S、Si、またはF原子を有する基を含む。用語「部分」がある化学的な化合物または置換基を説明するために用いられるときは、非置換の化学物質のみが含まれるものとされる。例えば、「アルキル基」という語句は、メチル、エチル、プロピル、tert−ブチルなどの純粋な開鎖飽和炭化水素アルキル置換基だけでなく、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルホニル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシルなどの当該分野では公知のさらなる置換基を有するアルキル置換基をも含むものとされる。従って、「アルキル基」は、エーテル基ハロアルキル類、ニトロアキル類、カルボキシアルキル類、シアノアルキル類などを含む。一方、「アルキル部分」という語句は、メチル、エチル、プロピル、tert−ブチルなどの純粋な開鎖飽和炭化水素アルキル置換基の包含に限定される。

0029

本発明は、本明細書で述べる化合物を、異性体(例えば、ジアステレオマーおよびエナンチオマー)、互変体類、塩類溶媒和物多形体、プロドラッグ類などを含む薬学的に許容可能ないかなる形態においても含む。特に、化合物が光学活性である場合、本発明は特に、その化合物のエナンチオマーのそれぞれをエナンチオマーのラセミ混合物と共に含む。用語「化合物」は、明示されているかどうかにかかわらず(「塩」が明示されている場合もあるが)、このような形態のいずれかまたはすべてを含むことは理解されたい。

0030

本明細書で用いられる用語チアゾリジンジオン誘導体は、本明細書において提供される式によって記載されるように、本発明のチアゾリジンジオン化合物の簡略形であり、当業者によりチアゾリジンジオンとして特徴付けられ得るすべての可能な化合物を包含するようには意図されない。

0031

本明細書で用いられる「処置する」、「処置すること」、および「処置」などは、少なくとも1つの症状の緩和または抑制、疾患の進行の遅延、疾患の発症の防止または遅延などを通しての状態の改善を含む、癌などの状態または疾患に罹るリスクがあるかまたは罹っている被験体に恩恵をもたらすあらゆる作用のことをいう。被験体は、発癌物質への露出により危険に晒されるとか、解糖を含む障害などに遺伝子的に罹りやすいなどの場合がある。

0032

本明細書で用いられる「薬学的に許容可能な」とは、化合物または組成物が、疾患の重症度および処置の必要性に照らして過度に有害な副作用はなく、本明細書にて述べる方法にとって、被験体への投与に適切であることを意味する。

0033

用語「治療上有効な」および「薬理学的に有効な」とは、他の治療に典型的に関連する有害な副作用などの副作用を避ける一方で疾患の重症度を下げるという目標を実現する各薬剤の量を限定するよう意図される。治療上有効な量は、1以上の用量で投与され得る。一方で、有効量とは、検出可能な量のAMPKの活性化など、有意の化学効果を提供するのに十分な量である。

0034

チアゾリジンジオン誘導体を用いたエネルギー代謝の制限
本発明は、本発明の1つ以上のチアゾリジンジオン誘導体を被験体に投与することによって被験体でのエネルギー代謝を制限する方法を提供する。特に、本発明は、1つ以上のチアゾリジンジオン誘導体を含む医薬組成物を被験体に投与することによって被験体において解糖を阻害する方法を提供する。

0035

本明細書にて定義する被験体とは、動物、好ましくは家畜(例えば、雌牛)または愛玩動物(例えば、)などの哺乳類である。より好ましくは、被験体は人間である。被験体はまた、エネルギー制限を必要とする被験体であり得る。エネルギー制限を必要とする被験体とは、エネルギー制限によって生じる様々な生化学的な効果によりエネルギー制限から利益を得る被験体である。例えば、代謝ストレスを減らす必要がある被験体は、エネルギー制限を必要とする被験体であり得る。エネルギー制限によって生じる他の効果については本明細書に述べる。エネルギー制限を必要とする被験体はまた、癌になるリスクが高いかまたは罹っていると診断された被験体、癌を有すると診断されていない被験体、糖尿病の被験体、代謝障害の被験体、または長寿および/または代謝レベルの低下を望む被験体であり得る。

0036

エネルギー代謝の制限とは、例えば、制約カロリー摂取(すなわち、カロリー制限)などの食事エネルギー制限によってもたらすことができる効果をいう。食事エネルギー制限の結果、グルコース利用可能性が減り、結果としてグルコース代謝および解糖が減少する。解糖とは、1分子のグルコースが2分子のピルビン酸塩に分解され2個のATP分子という純益を与える一連の代謝プロセスである。正常の細胞では、解糖は細胞エネルギー産生という最初の工程を提供し、ミトコンドリア中で実行されグルコース分子毎に実質的により多くの量のATPを生成するトリカルボン酸サイクルへの前駆体である。

0037

エネルギー代謝の制限はまた、エネルギー制限模倣剤と呼ばれる適切な化合物を投与することによって模倣することができる。例えば、2−デオキシグルコースは、ヘキソキナーゼによってリン酸化され、これが次に、累積してさらなるグルコース代謝を妨げるリン酸化状態閉じ込められる結果として、エネルギー代謝を制限することができる。本発明者によって実行され本明細書に述べる実験により、本発明のチアゾリジンジオン誘導体は、サイレントインフォメーションレギュレータ1(Sirt1)遺伝子誘発、AMPK活性化、および小胞体ストレスなどの飢餓関連の細胞応答を引き出すことができることが実証される。チアゾリジンジオン誘導体は飢餓関連の細胞応答を引き出すことができるため、また本明細書にて述べる他の理由により、チアゾリジンジオン誘導体は有効なエネルギー制限模倣剤(ERM)である。

0038

解糖の阻害の結果、エネルギー代謝が制限される。解糖はグルコースをピルビン酸塩に変換する代謝経路であり、この結果、高エネルギー化合物、ATPおよびNADHが放出される。正常レベルの解糖のいかなる量の減少も、本明細書にて述べる本発明に関してはエネルギー代謝の制限を表す。しかし、本発明の異なる実施形態によって阻害レベルは変動し得る。例えば、チアゾリジンジオン誘導体を投与することにより、解糖は10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは完全な阻害、またはこの数値範囲内の他のいかなる有意の阻害レベルとなり得る。実現される阻害レベルは、用いられるチアゾリジンジオン誘導体の用量により変動し得、よって用量依存的である。高レベルの解糖阻害を実現可能な一方で、もっと穏当なレベル、すなわち50%以下の阻害が、高レベルの解糖阻害の潜在的な毒性を避けるため、一般的により臨床上で有用であることは留意されたい。

0039

解糖の阻害は、当業者には公知の様々な異なる化合物および効果を用いて測定することができる一方で、解糖の減少を測定するのに通例用いられるマーカーの例としては、細胞によるグルコース摂取速度の減少、NADHおよび乳酸塩の形成の減少、および自食の増加があり、この自食の増加は、自食胞の形成の対応する増加によって同定することができる。本発明のチアゾリジンジオン誘導体のこれらのおよび他の効果を図1に概略的に示す。

0040

本発明のチアゾリジンジオン誘導体は、グルコースホメオスタシスを破壊し、この結果、一時的なSirt1誘発、AMPK活性化、およびERストレスを含む特徴的な細胞応答が生じる。これら応答のそれぞれが、TZDの抗腫瘍効果の媒介となる役目を果たす。本発明者のデータにより、Sirt1誘発とβ−TrCPタンパク質蓄積との間の機構的な関連が示され、これが一連のアポトーシス調節タンパク質のプロテアソーム分解および転写抑制を通してアポトーシスに達する。AMPK活性化は、AMPK−TSC2−mTOR−p70S6K経路を介して自食という結果となる。ERストレス信号は、GRP78、GADD153およびIRE1αなどのセンサタンパク質の上方調節を引き起こし、これもまたアポトーシス誘発で役割を果たす。

0041

被験体での解糖の阻害により、1つ以上の有益な効果を得ることができる。例えば、被験体での解糖の阻害により癌を処置する方法を提供することができる。解糖の阻害はまた、癌を有すると診断されていない被験体を含む、被験体において寿命を延ばす(すなわち、寿命延長効果を提供する)ために使用することができる。解糖の阻害はまた、インスリンレベルの低下、代謝障害の処置、または自食の刺激など当業者には公知のいかなる他の効果を提供するためにも実行することができる。

0042

様々なチアゾリジンジオン誘導体の癌成長を阻害する能力を下の表Iに示す。化合物に対して、3−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)−2,5−臭化ジフェニルテトラゾリウム(MTT)アッセイによる測定で、LNCaP前立腺癌細胞の生存度を下げるこれらの能力を試験した。試験した化合物は、2−DGまたはレスベラトロルなどの公知のエネルギー制約模倣剤より著しく高い活性(すなわち、より低いIC50)を示した。癌細胞増殖阻害のための多くのチアゾリジンジオン誘導体のIC50値は低μM範囲内であり、これらはそれぞれレスベラトロルおよび2−デオキシグルコースより少なくとも1〜3桁は高い効き目であった。

0043

本明細書に示すように、悪性細胞は、正常な細胞に対して著しく高い解糖活性、つまりワールブルグ効果と呼ばれる効果を示す。この効果をもたらすとして、ミトコンドリア欠損癌組織内の低酸素環境への順応、発癌シグナル、およびいくつかの代謝酵素の異常発現を含む幾つかのメカニズムが示唆されている。ミトコンドリアの呼吸機構を用いてATPを生成する癌細胞の能力が低下するため、癌細胞は、成長を続けるための十分なATP生成を維持するため自らの解糖活性を増大させるよう強いられる。この代謝順応により、癌細胞は解糖経路に依存することになり、その阻害による被害を受けやすくなる。さらに、この代謝交替は癌細胞ではほとんど偏在しているため、解糖経路を標的にすることは、広範囲の異なるタイプの癌を処置する有用な方法を表す。抗癌処置のための解糖阻害の使用についてのさらなる検討については、Pelicanoら、Oncogene、25、p.4633−4646(2006)を参照されたい。

0044

解糖が阻害されると、正常細胞内の無傷のミトコンドリアにより、これら細胞が脂肪酸およびアミノ酸などの代替エネルギー源を使用して、呼吸を通じてのATP産生のためのトリカルボン酸サイクルへと通じる代謝中間体を産生することが可能になる。この結果、正常なミトコンドリアを持つ細胞は、癌細胞に対して、解糖を阻害する薬剤に対して感度が低く、治療選択性をもたらす。よって、本発明は、癌細胞内での解糖を選択的に阻害するチアゾリジンジオン誘導体の能力の結果としてチアゾリジンジオン誘導体を用いた癌を処置する方法を提供する。

0045

癌の処置の有効性は、チアゾリジンジオン誘導体の投与に応答した被験体での腫瘍負荷の低下または腫瘍成長の減少を評価することによって測定され得る。腫瘍負荷の低下は、質量の直接の減少によって表されてもよく、または腫瘍成長の遅延によって測定されてもよく、これは、対照腫瘍がある特定の体積まで成長する平均時間を、処置された腫瘍が同じ体積まで成長するのに要する時間から引くことによって計算される。

0046

チアゾリジンジオン誘導体は、癌の処置および防止の両方を行うために用いることができる。本明細書において、用語「防止」は、臨床的に明らかな望ましくない細胞増殖の開始を完全に防ぐこと、またはリスクを持つ個体での望ましくない急速な細胞増殖の臨床前に明らかな段階の開始を防ぐことのいずれかを含む。この定義はまた、悪性細胞の転移の防止または悪性細胞の進行の阻止もしくは反転も包含するものと意図される。これは、前癌状態および癌を発症させるリスクが高い個体の予防処置を含む。高いリスクとは、被験体が癌を発症する平均より上のリスクを表し、これは、例えば、家系または癌を発症する素因を引き起こす遺伝子の検出を通して決定することができる。

0047

癌細胞は、細胞の相対的に無制限の成長を結果としてもたらす遺伝子の損傷を含む。癌細胞に存在する遺伝子の損傷は、癌細胞株のその後の世代において遺伝形質として維持される。本発明の方法によって処置される癌は、当業者には公知のまたは本明細書で述べる癌の形態のいずれであってもよい。固形腫瘍として現れる癌、およびそうではなく白血病で典型的にみられるように非固形腫瘍を形成する癌の両方が処置され得る。すべてのタイプの癌において好気性解糖の増加が優勢であることに基づいて、本発明は、上皮性悪性腫瘍、非上皮性悪性腫瘍、およびリンパ腫を含む様々な異なるタイプの癌に罹る被験体を処置する方法を提供する。

0048

本発明者は、チアゾリジンジオン誘導体を、様々な異なるタイプの癌細胞の成長を阻害するために使用し得ることを実証している。例えば、前立腺癌、乳癌、白血病、非小細胞肺癌結腸癌CNS癌、黒色腫卵巣癌、および腎臓癌細胞の成長の阻害に対するチアゾリジンジオン誘導体の有効性を実証する実験を実行した。これらの実験は本明細書にて後述の実施例2で述べる。

0049

チアゾリジンジオン誘導体による解糖の阻害はまた、2型糖尿病または代謝症候群の処置に使用することができる。本明細書にて定義する代謝症候群は、心臓病または糖尿病を発症するリスクの増大を招き得る障害の組み合わせであり、2型糖尿病または空腹時血糖障害でみられるような空腹時高血糖耐糖能障害、またはインスリン耐性高血圧;主に胴回り脂肪沈着を伴う中心性肥満HDLコレステロールの低下;およびトリグリセリドの上昇から選択される複数の症状を特徴とする。チアゾリジンジオン誘導体は、医薬組成物における治療上有効な量のチアゾリジンジオン誘導体を、これを必要とする被験体に送達することによって、2型糖尿病または代謝症候群を処置または防止するために使用することができる。チアゾリジンジオン誘導体は、本明細書に述べるように、解糖に及ぼすこれらの影響の結果として、およびAMPKに与える影響の結果として有効である。AMPK系は、真核細胞における細胞エネルギー状態のセンサとして作用することが知られており、代謝制御およびインスリンシグナル伝達に重要な影響を及ぼす。Towlerら、Circ Res、100、328−341(2007)。

0050

チアゾリジンジオン誘導体を投与することによって被験体にエネルギー代謝制限を提供する別の潜在的な利点としては、処置される被験体の寿命を延ばし、これにより寿命延長効果を提供することができることである。実験用ラットおよびマウスでの再現可能な寿命延長の研究により、エネルギー制限が寿命を有意に増加させ、また加齢に関連した疾患の発病を遅らせ得ることが実証された。類似の効果は様々な無脊椎種で見られ、また霊長類についての最近の研究は、エネルギー制限により齧歯類で観察されたものに匹敵する生理学的な効果が生じることを示している。エネルギー制約模倣剤の寿命に与える効果を評価するために研究もまた実行されている。Ingramら、Ann NY Acad Sci.1019、p.412−23(2004)参照。

0051

酸化的ストレスの減少、炎症の制御、および高分子糖化に対する防御を含むエネルギー制約模倣剤の寿命延長効果に対して幾つかのメカニズムが提案されている。特に、解糖の阻害により自食が刺激され、この結果、有意量の反応性酸素種を放出する細胞小器官を取り除くことができることが分かった。さらに、エネルギー制約の寿命延長効果は、エネルギー利用率が低い期間、有機体のエネルギーを再生ではなく生き残りの方に向け直す進化的に保存されたストレス応答であり得ると仮定されている。

0052

寿命延長効果とは、非処置の被験体に比べて、治療上有効な用量のエネルギー制約模倣剤で処置された被験体の平均寿命を増大させる効果である。寿命延長効果もまた癌などの疾患を診断された被験体において実現することができる一方で、寿命延長効果は、疾患の除去に依存しないため、健康な被験体で得ることができる。寿命延長効果は、酸化的ストレスまたは炎症などの慢性的な問題を防ぐ結果として見られるため、被験体は、有意な寿命延長効果を得るためには長期間にわたって処置を行わなければならない。マウスにみられる結果に基づけば、寿命延長効果は寿命の10%、20%、30%、または40%の増大を提供し得る。Mattson、M.P.、Annu.Rev.Nutr.25:p.237−60(2005)。

0053

寿命延長効果は、健康であると診断された被験体または疾患もしくは障害を有すると診断されていない被験体において提供することができる。例えば、寿命延長効果は、癌ではないと診断された被験体または癌であると診断されていない被験体において提供することができる。癌であると診断する方法は当業者には周知である。

0054

数多くのチアゾリジンジオン誘導体の活性を調査する努力の一部として、本発明者は、インハウスのチアゾリジンジオン系の集中化合物ライブラリのスクリーニングを行って、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)のペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)γ非依存の活性化およびインターロイキン(IL)−6産生の抑制の媒介となる能力を有する化合物を同定した。ラパマイシンの標的のAMPKおよび哺乳類の相同物の活性化状態(すなわち、それぞれAMPKおよびp70リボソームタンパク質S6キナーゼのリン酸化)、およびリポ多糖体(LPS)刺激THP−1ヒトマクロファージでのIL−6/IL−6受容体シグナル伝達(すなわち、それぞれIL−6産生ならびに転写3リン酸化のシグナルトランスデューサおよび活性剤)に関係する細胞系のアッセイを用いて、この化合物ライブラリをスクリーニングし、様々な活性チアゾリジンジオン誘導体の同定に至った。ここで、化合物53(N−{4−[3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデン−メチル]−フェニル}−4−ニトロ−3−トリフルオロ−メチル−ベンゼンスルホンアミド)が先導薬剤であると同定された。本明細書の実施例に記載の証拠により、IL−6産生の抑制はAMPK活性化に起因したものであることが分かる。チアゾリジンジオン誘導体介在のAMPK活性化はまた、C−26結腸腺癌細胞でも実証されたため、この効果が細胞株特異的ではないことを示す。AMPKは、2型糖尿病、メタリックシンドローム、および癌の処置のための治療上関連する標的を表し、チアゾリジンジオン誘導体のエネルギー制約模倣剤としての使用がさらに支持される。

0055

従って、本発明のさらなる局面は、有効量のチアゾリジンジオン誘導体を提供することによってアデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼを活性化する方法を提供する。加えて、本発明の別の局面は、AMPK活性剤として有効であると本明細書で述べるチアゾリジンジオン誘導体の1つを含む医薬組成物を被験体に投与することによって、被験体においてIL−6発現を阻害する方法を提供する。

0056

チアゾリジンジオン誘導体
本発明のチアゾリジンジオン誘導体は、式I、II、III、およびIVの化合物を含む。例えば、チアゾリジンジオン誘導体は式I

0057

式中、R1は水素またはヒドロキシル;R2およびR3は、水素、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、メチル、メトキシ、エチル、エトキシ、ニトロ、アミノスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル(trifluromethylsulfonyl)、およびハロアルキル部分から選択され;R4は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、およびアリール基から選択される。本発明の特定の実施形態では、R1はヒドロキシルである。さらなる実施形態ではR2はトリフルオロメチルであり、一方なおさらなる実施形態ではR3は水素である、
を有する化合物であり得る。

0058

さらなる実施形態では、式Iのチアゾリジンジオン誘導体は以下に示す化合物のいずれでもあり得る。例えば、チアゾリジンジオン誘導体は以下の化合物のいずれであってもよい。

0059

(Z)−5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−チアゾリジン−2−4−ジオン(OSU−CG12)

0060

(Z)−3−(2−エチル−ブチル)−5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン(OSU−CG5)

0061

(Z)−3−(2−エチル−ペンチル)−5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0062

(Z)−5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(4−イソプロピル−ベンジル)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0063

(Z)−3−(4−tert−ブチル−ベンジル)−5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−トリアゾリジン−2−4−ジオン

0064

(Z)−5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(2−トリフルオロメチル−ベンジル)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0065

(Z)−3−シクロヘキシルメチル−5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0066

(Z)−3−ベンジル−5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0067

(Z)−3−シクロヘプチルメチル−5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0068

(Z)−5−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−イソブチル−チアゾリジン−2−4−ジオン

0069

本発明の他の実施形態では、式Iのチアゾリジンジオン誘導体は、R1がヒドロキシル、R2がトリフルオロメチル、およびR3がヒドロキシルであるように定義される。式IのR4を変えることにより、以下に示すチアゾリジンジオン誘導体が提供される。

0070

(Z)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0071

(Z)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(2−エチル−ブチル)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0072

(Z)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(2−エチル−ペンチル)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0073

(Z)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(4−イソプロピル−ベンジル)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0074

(Z)−3−(4−tert−ブチル−ベンジル)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−トリアゾリジン−2−4−ジオン

0075

(Z)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−(2−トリフルオロメチル−ベンジル)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0076

(Z)−3−シクロヘキシルメチル−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0077

(Z)−3−ベンジル−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0078

(Z)−3−シクロヘプチルメチル−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0079

(Z)−5−(3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンジリデン)−3−イソブチル−チアゾリジン−2−4−ジオン

0080

本発明の他の実施形態では、式Iのチアゾリジンジオン誘導体は、R1が水素ならびにR2およびR3がハロ部分であるように定義される。さらなる実施形態では、R2およびR3は共にブロモ部分である。この実施形態に対して、式IのR4を変えることにより、以下に示すチアゾリジンジオン誘導体が提供される。

0081

(Z)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0082

(Z)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−3−(2−エチル−ブチル)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0083

(Z)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−3−(2−エチル−ペンチル)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0084

(Z)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−3−(4−イソプロピル−ベンジル)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0085

(Z)−3−(4−tert−ブチル−ベンジル)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0086

(Z)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−3−(2−トリフルオロメチル−ベンジル)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0087

(Z)−3−シクロヘキシルメチル−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0088

(Z)−3−ベンジル−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0089

(Z)−3−シクロヘプチルメチル−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2−4−ジオン

0090

(Z)−5−(3,5−ジブロモ−ベンジリデン)−3−イソブチル−チアゾリジン−2−4−ジオン

0091

本発明の別の局面では、チアゾリジンジオン誘導体は、式II

0092

式中、R1は、アリール、アルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキル基から選択され;R2は、水素、ハロ、およびニトロ部分、ならびにアルキル、アルコキシ、およびハロアルキル基から選択され;R3は、水素およびハロ部分ならびにアルキル、アルコキシ、およびハロアルキル基から選択される、
を有する化合物であり得る。

0093

式IIのチアゾリジンジオン誘導体はまた、いくつかの実施形態では、以下から選択されるR1を有し得る。

0094

追加の実施形態では、式IIのチアゾリジンジオン誘導体は、R2が水素、ブロモ、クロロ、メチル、メトキシ、エトキシ、およびニトロから選択され;R3が水素、メチル、メトキシ、およびブロモから選択されるように定義される。

0095

チアゾリジンジオン誘導体はまた、以下の構造を有する化合物STG28であり得る。

0096

本発明のさらなる実施形態では、チアゾリジンジオン誘導体は式III

0097

式中、R1は低級アルキル基であり、R2はハロ、メチル、メトキシ、エチル部分から選択される、
を有する化合物であり得る。

0098

式IIIによる化合物の例としては、5−[3−ブロモ−4−(6−エトキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−イルメトキシ)−ベンジリデン]−チアゾリジン−2−4−ジオン、5−[4−(6−ブトキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−イルメトキシ)−3−メトキシ−ベンジリデン]−チアゾリジン−2−4−ジオン、および4−{2−[2−ブロモ−4−(2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデンメチル)−フェノキシメチル]−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ}−ブチロニトリルからなる群より選択され得る。

0099

本発明のさらなる実施形態では、チアゾリジンジオン誘導体は式IV

0100

式中、R1は、水素、メチル、またはトリフルオロメチル部分であり、R2は、メトキシまたはニトロ部分であり、R3は、アルキルまたはシクロアルキル基である、
を有する化合物であり得る。

0101

式IVによる化合物の例としては、4−メトキシ−N−{4−[3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデンメチル]−フェニル}−ベンゼンスルホンアミド、N−{4−[3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデン−メチル]−フェニル}−4−ニトロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド、およびN−{4−[3−(1−メチル−シクロヘキシルメチル)−2,4−ジオキソ−チアゾリジン−5−イリデンメチル]−フェニル}−4−ニトロ−ベンゼンスルホンアミドからなる群より選択され得る。

0102

本発明の多数のチアゾリジンジオン誘導体は、AMPKを活性化する能力を示す。特に、式I、III、およびIVの化合物は、AMPKを活性化可能であることが示されている。これら化合物は、エネルギー制限模倣剤として有用な化合物を説明するのに用いられたのと同じ全体式の多くを有する一方で、これらの式の化合物に対する置換基は異なってもよい。従って、チアゾリジンジオン誘導体は、式III

0103

式中、R1は低級アルキル基であり、R2はハロ、メチル、メトキシ、エチル部分から選択される、
による化合物;式I

0104

式中、R1はヒドロキシル;R2はトリフルオロメチル;R3は水素;R4はアルキルまたはシクロアルキル基である、
の化合物;および式IV

0105

式中、R1は水素、メチル、またはトリフルオロメチル部分;R2はメトキシまたはニトロ部分、R3はアルキルまたはシクロアルキル基である、
の化合物であり得る。

0106

AMPKを活性化するための特に好適な化合物は、化合物53であり、これは以下の構造を有する。

0107

チアゾリジンジオン誘導体の同定
本発明のさらなる局面は、被験体でのエネルギー代謝を制限するために使用され得るチアゾリジンジオン誘導体を同定する方法を含む。試験に適している潜在的な薬剤を本明細書では「候補薬剤」と呼ぶ。様々な異なるアッセイを用いてエネルギー代謝を制限する薬剤の能力を同定することができる。例えば、グルコース摂取、解糖速度、またはNADHおよび乳酸塩の産生を減らす化合物の能力を測定することができる。あるいは、またはこれに加えて、Sirt1誘発、AMPK活性化、ERストレス、またはβ−TrCP介在タンパク質分解などのグルコース飢餓様の応答を引き出す化合物の能力を測定することができる。これらの分析を実行する手順は当業者には公知であり、多くが本明細書に示す実施例1に記載されている。候補薬剤の供給源としては、例えば、図2に示すような化合物ライブラリまたは天然源が挙げられる。

0108

候補薬剤はまた動物モデルにおいて試験され得る。例えば、エネルギー制限の結果として癌を阻害するチアゾリジンジオン誘導体の能力は、C4−2異種移植片腫瘍モデルにおいて評価することができる。動物モデル(例えば、マウス)での様々な癌の研究は、ヒト癌の研究のための一般に是認された慣行である。しかし、候補薬剤はまた、寿命延長効果のために動物モデルにて評価することもできる。例えば、体温および血漿インスリンレベルは共にエネルギー制限効果の指標であり、言うまでもなく動物モデルの寿命を測定することができる。典型的には、候補薬剤で処置された対照動物と処置を受けていない対照の同腹子との間で結果を比較する。

0109

例えば、C4−2前立腺癌異種移植片腫瘍を、等量の無血清培地およびマトリゲル(2×106細胞数/0.1ml/マウス)中に懸濁させたC4−2細胞の皮下注射によって、去勢雄NCr無胸腺ヌードマウス生後5〜7週間)に定着させることができる。腫瘍の体積が約100mm3に達すると、マウスをランダム実験群(10匹/群)に割り当てる。経口投与用にチアゾリジンジオン誘導体を調製し、研究期間中一日一回、それぞれの最大耐量の100%、50%、25%、および10%を強制投与する。対照として、レスベラトロルを一日一回100mg/kg投与することができる。重量および腫瘍サイズ毎週測定する。対照腫瘍が1000mm3に達すると、マウスを犠牲にして、組織バイオマーカー評価のために採取する。グルコース摂取をブロックするチアゾリジンジオン誘導体の能力はまた、ポジトロン断層法により、[18F]−フルオロデオキシグルコース摂取を用いて試験マウスおいて評価することができる。

0110

免疫組織化学およびウェスタンブロット法を用いて、表IIに示すような試験動物でのチアゾリジンジオン活性のインビボにおける腫瘍内バイオマーカーを特徴付けることができる。これらバイオマーカーは3つのカテゴリー、すなわちβ−TrCPシグナル伝達(一時的なSirt1誘発のための代理マーカーとして)、AMPK活性化、およびERストレス応答に分類することができる。腫瘍血管形成のマーカーもまた、エネルギー制限により調整され得るため、検査することができる。

0111

チアゾリジンジオン誘導体の調剤および投与
本発明は、医薬組成物中の1つ以上のチアゾリジンジオン誘導体を投与する方法を提供する。医薬組成物の例としては、経口、静脈内、筋肉内、皮下、もしくは腹腔内投与、または当業者には公知の任意の他経路のための医薬組成物が挙げられ、一般に薬学的に許容可能なキャリアと共に調剤されるチアゾリジンジオン誘導体を提供することを含む。

0112

本明細書で述べる化合物を経口投与のために調製する場合、医薬組成物は、例えば、錠剤カプセル、懸濁液、または液体の形態であり得る。医薬組成物は好ましくは、特定量活性成分を含有する投薬量単位の形態で作製される。このような投薬量単位の例としては、ラクトースマンニトールトウモロコシ澱粉またはジャガイモ澱粉などの従来の添加物結晶セルロースセルロース誘導体アカシア、トウモロコシ澱粉、またはゼラチンなどの結合剤;トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、またはカルボキシルメチルセルロースナトリウムなどの分解剤;およびタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑剤を含む、カプセル、錠剤、粉末顆粒、または懸濁液がある。活性成分はまた、例えば、生理食塩水ブドウ糖、または水が適切なキャリアとして使用され得る組成物として注射により投与され得る。

0113

静脈内、筋肉内、皮下、または腹腔内投与のためには、化合物は、好ましくは受容体の血液と等張である滅菌水溶液と組み合わされ得る。このような調剤物は、固形活性成分を、塩化ナトリウムグリシンなどの生理学的に相溶性物質を含有し、かつ生理学的条件適合する緩衝pHを有する水に溶解させて水溶液を生成し、この溶液滅菌することによって調製され得る。調剤物は、封印アンプルまたはバイアルなどの単一用量または多用量容器内に存在してもよい。

0114

非経口投与にとって適切な調剤物は、好ましくは等張にされる活性化合物の滅菌水溶液調製物を含むのが都合がよい。注射用の調製物はまた、化合物を、植物油、合成脂肪酸グリセリド高級脂肪酸エステル、またはプロピレングリコールなどの非水性溶媒中で化合物を懸濁または乳化することによって調剤され得る。

0115

投薬の形態および量は、公知の処置または予防レジメン(regiments)を参照することによって容易に確立することができる。投与される治療的に活性の化合物の量、および疾患状態を本発明の化合物および/または組成物により処置するための投薬レジメンは、被験体の年齢、体重、性別、および病状、疾患の重症度、投与の経路および頻度、ならびに用いる特定の化合物、望ましくない増殖細胞の位置、また処置される個体の薬物動態特性を含む様々な要因に依存するので、広く変動し得る。化合物が全身的にではなく局所的に、また処置のためではなく予防のために投与される場合、投薬量は一般に低くなり得る。このような処置は、必要なだけの頻度で、また処置を行う医師が必要と判断した期間、投与され得る。当業者であれば、投薬レジメンまたは投与されるべき阻害剤の治療上有効な量は個体毎に最適化する必要があることは理解されよう。医薬組成物は活性成分を約0.1〜2000mgの範囲で、好ましくは約0.5〜500mgの範囲で、最も好ましくは約1〜200mgの範囲で含有し得る。日用量約0.01〜100mg/kg体重、好ましくは約0.1〜約50mg/kg体重が適切であり得る。日用量は1日1〜4回で投与することができる。

0116

例えば、チアゾリジンジオン誘導体に対する最大耐量(MTD)は、腫瘍のない無胸腺ヌードマウスにおいて決定することができる。薬剤を、0.5%のメチルセルロース(w/v)および0.1%のTween80(v/v)を含有する滅菌水での懸濁液として調製し、マウス(7匹/群)に、一日一回、0、25、50、100および200mg/kgの用量で14日間、強制経口投与する。1週間に2度測定する体重、および一般的な健康および挙動毎日の直接の観察が、薬物耐性の第1の指標となる。MTDは、14日の処置期間にわたって10%以下の体重減少をもたらす最大用量と定義される。

0117

チアゾリジンジオン誘導体はまた薬学的に許容可能な塩として提供され得る。用語「薬学的に許容可能な」とは、アルカリ金属塩を形成するためにおよび遊離酸または遊離塩基付加塩を形成するために一般に用いられる塩を意味する。この塩の性質は、これが薬学的に許容可能であれば重要ではない。式I、II、III、およびIVの化合物の適切な薬学的に許容可能な酸付加塩は、無機酸からまたは有機酸から調製され得る。このような無機酸の例としては、塩酸臭化水素酸ヨウ化水素酸硝酸炭酸硫酸、およびリン酸がある。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式芳香族芳香脂肪族複素環式カルボキシル基、およびスルホン基クラスの有機酸から選択され得、これらの例としては、蟻酸酢酸プロピオン酸コハク酸グリコール酸グルコン酸乳酸リンゴ酸酒石酸クエン酸アスコルビン酸グルクロン(glucoronic)酸、マレイン酸フマル酸ピルビン酸アスパラギン酸グルタミン酸安息香酸アントラニル酸、メシル酸、サリチル酸p−ヒドロキシ安息香酸フェニル酢酸マンデル酸アンボン酸、パモン酸、メタンスルホン酸エタンスルホン酸ベンゼンスルホン酸パントテン酸2−ヒドロキシエタンスルホン酸トルエンスルホン酸スルファニル酸シクロヘキシルアミノスルホン酸ステアリン酸アルゲン酸、γ−ヒドロキシ酪酸ガラクタル酸、およびガラクツロン酸が挙げられる。本明細書で述べる化合物の適切な薬学的に許容可能な塩基付加塩としては、アルミニウムカルシウムリチウムマグネシウムカリウムナトリウム、および亜鉛からなる金属塩が挙げられる。あるいは、N,N’−ベンジルエチレンジアミン、クロロプロカインコリンジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミンN−メチルグルカミン)およびプロカインからなる有機塩を用いて、本明細書で述べる化合物の塩基付加塩を形成してもよい。これらの塩のすべてが、本明細書で述べる対応する化合物から、例えば適切な酸または塩基を該化合物と反応させることによって、従来の手段により調製され得る。

0118

チアゾリジンジオン誘導体の調製
本発明の化合物は、化学的技術において、特に本明細書に含まれる記述に照らして周知のプロセスに類似のプロセスを含む合成経路によって合成され得る。出発材料は一般にAldrich Chemicals(Milwaukee、Wisconsin、米国)などの市販源から入手可能であり、または当業者には周知の方法を用いて容易に調製される(例えば、Louis F.FieserおよびMary Fieser、Reagents for Organic Synthesis、v.1−19、Wiley、New York(1967−1999版)および当業者には公知の類似のテキストに一般的に記載された方法によって調製される)。様々なチアゾリジンジオン誘導体の調製は、本発明者によって先に出願された特許出願に記載されている。共にChenらによる米国特許第7,566,787号および米国特許出願第12/389,759号を参照されたい。これらの開示は全体が本明細書において参考により援用されている。多数の具体的なチアゾリジンジオン誘導体の調製を本明細書の実施例において説明する。

0119

多数のチアゾリジンジオン誘導体はまた、図2に示すように、固相コンビナトリアル化学を用いて調製することができる。図2に示すように、フェノール環(R1)および末端疎水性部分(R2)の置換基を変えることによって、集中化合物ライブラリを作成することができる。

0120

図2合成スキームで示すように、置換ベンズアルデヒド(i)の−OH官能基により、ファーマコフォア求核置換反応を介してメリフィールド樹脂に繋がって共役(ii)を形成し、続いてチアゾリジンジオン環を添加して共役(iii)を生じさせることができる。異なる疎水性付属物(R2OH)を、ミツノブ反応(iv)を介してチアゾリジンジオン環に導入することができ、これにより樹脂からの脱カップリングで高収率および高純度最終生成物(v)が提供される。このコンビナトリアル合成は24ウェルフォーマットにて行われるため、各サイクルは約10日で多mg量の24の誘導体を生成する。同図に示す誘導体に基づいて、全272の誘導体(8R1×34R2)を合成することができる。追加のチアゾリジンジオン誘導体の調製は図12および図13に示す。

0121

本発明を以下の実施例によって示す。特定の実施例、材料、量、および手順は、本明細書に示す本発明の範囲および精神に従って広範囲に解釈されることは理解されよう。

0122

実施例1:癌細胞におけるエネルギー制限に与えるチアゾリジンジオン化合物の効果
本実施例では、本発明者は、トログリタゾン、シグリタゾン、STG28、およびOSU−CG12が、LNCaP前立腺癌およびMCF−7乳癌細胞におけるエネルギー制限に特有の特徴的な細胞応答を引き出すことができたことを示す。これらのエネルギー制限関連の変化としては、解糖速度ならびにNADHおよび乳酸塩の産生の減少、サイレントインフォメーションレギュレータ1(Sirt1)遺伝子発現の一時的な誘発、および細胞内細胞燃料センサAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化および小胞体(ER)ストレスを含み、これらの間の相互作用の結果、自食およびアポトーシスとなる。この知見の意味することは多岐にわたる。第1に、これにより、強力なエネルギー制限模倣剤としてのOSU−CG12の同定によって実証されるように、強力なエネルギー制限模倣剤を開発する足場としてTZDを使用する分子基礎が提供される。OSU−CG12は、飢餓関連の細胞応答の媒介となり、またレスベラトロルより1桁高い(IC50、5μM対60〜110μM)癌細胞の成長を抑制するのに効力を示す。第2に、機構的な見地からは、本研究は、細胞サイクルおよびアポトーシス調節タンパク質のβトランスデューシン繰り返し体含有タンパク質(β−TrCP)依存プロテアソーム分解が、一時的なSirt1転写活性化という下流細胞事象を表しているという第1の証拠を提供する。β−TrCPシグナル伝達の活性化は、アポトーシス誘発に与える、グルコース飢餓およびエネルギー制限模倣剤の効果の根底にある。

0123

方法
細胞培養および試薬
LNCaPホルモン応答前立腺癌細胞およびMCF−7ERα陽性乳癌細胞を、American Type Culture Collection(Manassas、VA)から得て、それぞれ10%のウシ胎仔血清(FBS)補足RPMI1640培地およびF12/DMEM培地により維持した。非悪性前立腺上皮細胞(PrEC)を前立腺上皮成長培地(PrEGM)(Lonza Inc、Walkersville、MD)にて維持した。すべての細胞を、5%のCO2を含む加湿インキュベータで37℃で培養した。トログリタゾンおよびシグリタゾンならびにそれらのPPARγ不活性誘導体STG28およびOSU−CG12を公表された手順に従って合成した。Yangら、J Med Chem.51、p.2100−2107(2008)およびZhuら、Cancer Res.65、p.7023−7030(2005)。無グルコースのRPMI1640培地をInvitrogen(Carlsbad、CA)から購入した。2−DG、レスベラトロル、3−メチルアデニン(3−MA)、ニコチンアミドおよびスプリトマイシンをSigma−Aldrich(St.Louis、MO)から購入した。AMPK阻害剤化合物CおよびシクロヘキシミドをCalbiochem(San Diego、CA)から得た。これらの薬剤を、最終DMSO濃度0.1%の培地に添加した。様々なタンパク質に対する抗体を以下の供給源から得た。マウスモノクローナル抗体:βカテニン、サイクリンD1、Weel、p53およびGFP、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz、CA);β−TrCP,Invitrogen;βアクチン、MP Biomedicals(Irvine、CA)。ラビット抗体:Myc、PARP、NFκB/p105、AR、ERα、p−Ser9−GSK3β、GSK3β、p−Ser473−Akt、Akt、p−Thr202/Tyr204−ERK、ERK、p−Thr180/Tyr182−p38、p38、p−Ser176/180−IκBキナーゼα(IKKα)、IKKα、p−Thr172−AMPK、AMPK、GRP78、Sirt1、AcK382−p53、IRE1α、pSer2448−mTOR、mTOR、p−Thr389−p70S6K、p70S6KおよびTSC2、Cell Signaling Technology(Beverly、MA);EGFR、Sp1およびGADD153、Santa Cruz。ヒトDDIT3SMARTpool siRNAはDharmacon(Lafayette、Co)から得た。フラグタグ化Sirt1(ワイルドタイプ[WT]およびH363Y優性ネガティブ)、HAタグ化Sirt1、Mycタグ化AMPK(WTおよびK45Rキナーゼデッド)およびTSC2 shRNA血漿をAddgene(Cambridge、MA)から購入した。WTおよびΔF−β−TrCP−Myc血漿を記述のように調製した(Weiら、Mol Pharmacol.76、p.47−57(2009))。GFP−LC3血漿は親切にも同僚から提供された(Kabeyaら、LC3、EMBO J.19、p.5720−5728(2000))。

0124

RNA単離および半定量PCR分析
全RNAを、RNeasyミニキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて、薬物処置したLNCaP細胞から単離し、次にOmniscriptRTKit(Qiagen)を用いて製造業者指示書に従ってcDNA逆転写した。PCR生成物を、1%のアガロースゲルにて電気泳動で分離して、臭化エチジウム染色によって視覚化した。

0125

一時的トランスフェクション、免疫ブロットおよび蛍光顕微鏡分析
Amaxa Nucleofectorシステム(Amaxa Biosystems、Cologne、ドイツ)のNucleofectorキットRを用いて電気泳動によってトランスフェクションを行った。LNCaP細胞を以下の血漿またはsiRNA、すなわち、WT−およびH363Y−フラグ−Sirt1(DN−Sirt1)、WT−およびK45R−Myc−AMPK(DN−AMPK)、GFP−LC3、TSC2 shRNA、ならびにDDIT3 siRNA(GADD153)によりトランスフェクトした。様々な標的タンパク質に対する免疫ブロットを、既述のように、M−PER溶解緩衝剤(Pierce、Rockfold、IL)により採取した細胞溶解物において行った(Weiら、Mol Pharmacol.76、p.47−57(2009))。蛍光顕微鏡分析に対しては、GFP−LC3発現血漿により、またはスクランブル化もしくはTSC2 shRNAによりトランスフェクトされたLNCaP細胞を36時間、指示されたように処置した。細胞を室温で20分間、3.7%のホルムアルデヒドにより固定した後、検査前に4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)含有固定培地(Vector Laboratories、Burlingame、CA)を用いて核対比染色を行った。ニコン顕微鏡(Eclipse TE300)を用いて画像を観察した。

0126

解糖速度の決定
[5−3H]グルコース(GE Healthcare、Piscataway、NJ)の3H2Oへの変換を公表手順(Ashcroftら、Biochem J.126、p.525−532(1972))に従って測定することによって、解糖速度を決定した。簡単に述べると、LNCaP細胞を6ウェルプレート(4×105細胞数/ウェル)で播種して、次いで24時間後に様々な間隔で10mMの2−DGまたは10μMのOSU−CG12により処置した。PBS洗浄後、細胞をトリプシン処理し、1mMの非放射性グルコースおよび5μCi/mLの[5−3H]グルコースを含有する500μLのKrebs緩衝液[25mMのNaHCO3、115mMのNaCl、2mMのKCl、2mMのCaCl2、1mMのMgCl2および0.25%のBSA(pH7.4)]において37℃で1時間、再懸濁させた。各処置群からのアリコートを、1mLのH2Oを含有するシンチレーションバイアルに直立に配置された開管内で0.2NのHClに添加した。バイアルを密封して、グルコース消費によって生成されたH2Oを室温で最小限24時間、管外のH2Oで均衡化させた。管内に保持された3Hの量、ならびに蒸発および凝縮によって周りのH2Oへと拡散した量を、シンチレーションカウンタLS6500(Beckman)を用いて個別に決定した。以下の等式:利用したグルコース(pmol)=形成された[3H]水(d.p.m)/[5−3H]グルコース(d.p.m/pmol)]を用いた[5−3H]グルコースからH2Oへの変換速度の計算のために、[5−3H]グルコースのみおよび3H2Oのみの標準を各実験に含めた。

0127

グルコース摂取アッセイ
6ウェルプレート(4×105細胞数/ウェル)でのLNCaP細胞を、異なる濃度のレスベラトロルまたはOSU−OG12に露出し、次にKrebs−Ringerリン酸塩緩衝液(128mMのNaCl、4.7mMのKCl、2.5mMのMgSO4、5mMのNa2HPO4および1%のBSA)により37℃で30分間インキュベートした。細胞をPBSで洗浄した後、1μCi/mLの[3H]−2−DG(Perkin Elmer、Waltham、MA)および100mMの非放射性2−DGを含有する1mLのPBSの添加によってグルコース摂取を開始した。5分後、PBSによる広範囲な洗浄によってグルコース摂取を終了させ、細胞を0.1%のSDS緩衝液にて可溶化した。シンチレーションカウンタLS6500(Beckman)を用いて放射能を測定するためにアリコートを取り出した。

0128

NADHアッセイおよび乳酸塩アッセイ
NADHおよび乳酸塩の細胞内レベルの決定を、それぞれEnzyChrom NAD+/NADHアッセイキットおよびEnzyChrom L−Lactateアッセイキットを用いて行った(BioAssay Systems、Hayward、CA)。簡単に述べると、LNCaP細胞を、24ウェルプレートにて2×105細胞数/ウェルの密度で24時間培養し、次いで10mMの2−DGまたは10μMのOSU−CG12を様々な時間間隔で処置した。細胞をトリプシン処理して収集した後、NADHおよび乳酸塩の細胞内レベルを製造業者の指示書に従って決定した。

0129

細胞生存度アッセイ
細胞生存度を、3−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)−2,5−臭化ジフェニルテトラゾリウム(MTT)アッセイを用いて決定した。LNCaPおよびMCF−7細胞を96ウェルプレート(5000細胞数/ウェル)にて播種し、10%のFBSで補足されたそれぞれの培地で24時間インキュベートした。次に細胞を様々な濃度のOSU−CG12、STG28、CG、TG、レスベラトロル、および2−DGにより72時間処置した。次に薬物含有培地を1xMTT(RPMI1640で0.5mg/mL)に置き換え、次いで37℃で2時間インキュベーションした。培地を取り除いた後、減少したMTT染料を200μL/ウェルのDMSOにて可溶化し、吸収度を570mmで測定した。補足グルコースの効果の評価のため、細胞をOSU−CG12により、0.5、2、10、または20mg/mLのグルコースの存在下で72時間処置し、その後MTTを添加した。β−TrCP過剰発現実験では、WT−またはΔF−β−TrCP−Myc血漿によりトランスフェクトされた細胞を様々な濃度のOSU−CG12に72時間露出させ、その後MTTを添加した。

0130

流量サイトメトリ解析
WT−またはΔF−β−TrCPによりトランスフェクトされたLNCaP細胞を6ウェルプレート(4×105細胞数/ウェル)にて播種し、24時間培養し、次にDMSO、5mMの2−DGまたは5μMのOSU−CG12により48時間処置した。PBSによる広範囲な洗浄後、細胞を冷寒80%エタノール中に4℃で一晩固定し、次にヨウ化プロピジウム(100ユニット/mLのRNAaseAを含有するPBS中に50μg/mL)により染色した。細胞サイクル相分布を、FaCScort流量サイトメータを用いて決定して、ModFitLTV3.0プログラムによって分析した。

0131

統計分析
各実験を3部で行った。すべての実験を少なくとも2回異なる場合に行った。必要な場合は、データは平均値±95%信頼区間として提示される。

0132

結果
TZDは癌細胞での自食を誘発する能力を示す。本発明者は、TZDおよびグルコース除去が、β−TrCP介在プロテアソーム分解を誘発する能力を共有し、これによりTZDをエネルギー制限模倣剤として用いることができることを実証した。文献では、腫瘍エネルギー代謝を選択的に標的とすることにより、多くの低分子薬剤が癌細胞増殖を抑制すると報告されており、これらの薬剤の中でも、2−DGおよびレスベラトロルが特に注目に値する。しかし、これらの薬剤は一般に抗増殖効能が低く、これが治療への適応を制限する要因となる。例えば、LNCaP前立腺癌およびMCF−7乳癌細胞の生存度を阻害する場合の2−DGに対するIC50値は、それぞれ5.5mMおよび4.2mMであり、レスベラトロルの場合はそれぞれ110μMおよび60μMであった(図3A)。これに対して、トログリタゾン(70μMおよび70μM)ならびにシグリタゾン(70μMおよび42μM)の抗増殖効能はレスベラトロルのそれに匹敵する一方で、それらのPPARγ不活性の最適な誘導体、STG28(12μMおよび11μM)ならびにOSU−CG12(5.7μMおよび5.0μM)はそれぞれレスベラトロルおよび2−DGより1〜3桁高い効能を示した。等しく重要なことに、2−DGおよびレスベラトロルと同様に、これらTZDは、正常な前立腺上皮細胞(PrEC)に対して低い細胞毒性を示した。この悪性細胞と非悪性細胞との間の異なる抗増殖効果は、高い濃度のOSU−CG12を48時間処置した後、β−TrCP、Sp1、およびARの発現レベルが変化しなかったことによって証明されるように、TZDにはPrECでのβ−TrCP介在プロテアソーム分解を誘発する能力が無いことに起因するかもしれない(図3B)。

0133

自食とは、健康な細胞と同様に癌細胞でのエネルギー制限への特徴的な細胞応答を表す(Singletaryら、Cancer Epidemiol BiomarkersPrev.17、p.1596−1610(2008))。2−DG(DiPaolaら、Prostate.68 p.1743−1752(2008))およびレスベラトロル(Kueckら、Gynecol Oncol.107 p.450−457(2007))は、抗増殖効果を引き起こすのに必要とされる各濃度に合わせてそれぞれ5〜25mMおよび50〜100μMの用量範囲で癌細胞に自食を誘発すると報告されている。従って、本発明者は、オートファーゴソーム形成のための不可欠の工程である、微小管関連のタンパク質1軽鎖3(LC3)−IIのLC3−Iからの変換の媒介となるTZDの能力を調べた。LNCaP細胞をGFP−LC3発現ベクターにより一時的にトランスフェクトして、公知の自食阻害剤である1mMの3−メチルアデニン(3−MA)と共にまたはこれを使用せず、5μMのOSU−CG12による処置を行った。抗GFP抗体によるウェスタンブロットにより、薬物処理した細胞ではLC3−IIの時間依存蓄積が判明するが、これは3−MAによってブロックされ得る(図4、左側パネル)。さらに、蛍光顕微鏡検査により、OSU−CG12が蛍光断続蛍光パターンを誘発し、これはGFP−LC3が蓄積して自食胞となっていることを示す(右側パネル)。この場合も、このGFP−LC3蛍光の断続パターンは3−MA共同処置によって防止された。類似の結果はまた、MCF−7細胞の場合(データ図示せず)と同様に他のTZDでも得られた。これらのデータは、TZDがエネルギー制限によって誘発されるものに匹敵する癌細胞における応答を引き出すという主張に対するさらなる支持を提供する。

0134

β−TrCP介在プロテアソーム分解は、エネルギー制限が引き出したシグナル伝達事象を表す。サイクリンD1およびSp1のβ−TrCP依存タンパク質分解は、TZDによる処置の後だけではなく、グルコース除去に応答して起こるという本発明者の先の知見に基づき、このβ−TrCP介在プロテアソーム分解はエネルギー代謝を乱すTZDの能力の結果であると仮説を立てた。この仮説に取り組むために、本発明者は、β−TrCP介在タンパク質分解をエネルギー制限が引き出したシグナル伝達事象として確立しようと努めた。このため、グルコース飢餓の効果を、LNCaPおよびMCF−7細胞でのβ−TrCP依存タンパク質分解に関係する一連のシグナル伝達タンパク質の発現レベルにおいて、2つの公知のエネルギー制限模倣剤、2−DGおよびレスベラトロル、ならびに4つの異なるTZD(トログリタゾン、シグリタゾン、およびそれらのPPARγ不活性類似物、STG28およびOSU−CG12)を用いて評価した。これらのタンパク質としては、β−TrCP、β−TrCP基質Sp1、β−カテニン、サイクリンD1、Weel、NF−κB/p105、ならびにSp1標的遺伝子産物AR、ERα、およびEGFRを含めた。図5に示すように、β−TrCP発現を上方調節し、β−TrCP基質およびSp1標的タンパク質の発現を抑制するTZDの能力は、グルコース飢餓および2つのエネルギー制限模倣剤によって共有された。これらの効果を誘発した相対的な効能が、これら薬剤による成長阻害に対して観察されたものに匹敵するものであったのは注目に値する。

0135

さらに、標的タンパク質のDSGモチーフ内のセリン残基のリン酸化が、β−TrCPによる認知にとっての前提条件であるため、GSK3β(β−カテニンおよびSp1)、ERK(Sp1)、IKKα(サイクリンD1)、Akt、およびp38を含むβ−TrCP基質のリン酸化に潜在的に関与する一連のキナーゼの活性化状態に与える、グルコース飢餓、2−DG、およびレスベラトロルに比べてのTZDの効果を比較した。β−TrCP助長タンパク質分解を促進するTZDおよびエネルギー制限の共有能力と一致して、LNCaP細胞のこれら薬剤のいずれかまたは無グルコース培地への露出により、これらキナーゼのリン酸化レベルが同様に変化した(図5)。具体的には、Aktのリン酸化の低下は、GSK3β、ERK、p38、およびIKKαのリン酸化の低下を伴った。これらシグナル伝達バイオマーカーの発現/リン酸化に与える類似の効果はまた、5μMのOSU−CG12、5mMの2−DGまたはグルコース飢餓により処置されたMCF−7細胞においても示された。合わせて、これら相関データは、β−TrCP介在タンパク質分解はエネルギー制限の下流シグナル伝達事象を表すことを示唆する。

0136

TZDは、Sirt1発現の誘発、AMPK活性化、およびERストレス応答によるエネルギー制限を模倣する。TZDが、エネルギー代謝を乱すことによって癌細胞内にβ−TrCP介在プロテアソーム分解を誘発するという仮説をさらに評価するために、エネルギー制限に対する3つの十分に立証された特徴的な細胞応答、Sirt1遺伝子発現(Cohenら、Science 305、p.390−392(2004))、AMPK活性化(Jiangら、Cancer Res.68、p.5492−5499(2008))、およびERストレス(Linら、Proc Natl Acad Sci USA.81、p.988−992(1984))を引き出すTZDの能力を調べた。これらのエネルギー制限応答、すなわち、Sirt1発現の誘発およびその結果生じるp53の脱アセチル化、AMPKのリン酸化、およびグルコース調節タンパク質(GRP)78の発現、ならびにERストレス応答タンパク質のそれぞれの代表であるバイオマーカーの時間経過による変化を、ウェスタンブロットおよび/またはRT−PCRにより、10μMのOSU−CG12により処置したLNCaP細胞において、10mMの2−DGおよびグルコース飢餓と比較して、評価した。

0137

図6Aに示すように、OSU−CG12は、これら細胞応答の媒介となる点で2−DGおよびグルコース飢餓に対して高い類似性を示した。例えば、OSU−CG12、2−DG、またはグルコース飢餓にLNCaP細胞を10分間露出させることで、Sirt1発現およびAMPKリン酸化が即座に着実に増加し、続いて約1時間の後処置でGRP78の発現レベルが上昇した。これに対して、β−TrCPの発現レベルの増大およびその結果のSp1およびサイクリンD1の分解は、これらシグネチャー細胞応答より10時間より長く遅れ、β−TrCP上方調節がこれらエネルギー制限誘発経路の少なくとも1つの下流事象を表すことが示唆される。これら知見に関して2つの重要な特徴が注目に値する。第1に、Sirt1遺伝子発現の転写活性は、OSU−CG12に対する1時間から2−DGおよびグルコース除去に対する4時間までの範囲の短期間の一時的なものであり、これはSirt1デアセチラーゼ基質であるp53のアセチル化レベルの変化に匹敵した。第2に、RT−PCR分析により、TZD処置および2−DG処置細胞の両方のSirt1およびGRP78の発現レベルの増加はmRNAレベルの変化を通して媒介され、一方薬物処置はβ−TrCPのmRNAの存在度には効果を与えなかったため、β−TrCPの場合はタンパク質レベルでの調節に起因した(図6B)。

0138

TZDによるエネルギー制限の標的化に対する追加の証拠として、ERストレスおよびAMPKシグナル伝達に与えるTZDおよびエネルギー制限の平行効果において明らかである。トログリタゾン、STG28、シグリタゾン、およびOSU−CG12によるLNCaP細胞の処置により、ERストレスが誘発され、これは、2つのERストレス応答タンパク質、GRP78、成長停止および損傷誘発遺伝子(GADD)153、ならびにGRP78およびGADD153発現を上方調節することが示されている、1αを必要とするER関連トランスデューサイノシトール(IRE1α)の発現レベルの用量依存上方調節によって明らかであった(図6C)。さらに、AMPKシグナル伝達を活性化するTZDの能力は、共にタンパク質合成の調節を介して細胞成長および増殖の主要なエフェクターである、ラパマイシン(mTOR)およびp70S6Kの哺乳類標的の同時脱リン酸化によって立証された(Hayら、Genes Dev.18、p.1926−1945(2004)およびMartinら、Curr Opin Cell Biol.17、p.158−166(2005))。このERストレスおよびAMPKシグナル伝達活性化のマーカーの調整は、2−DG、レスベラトロルおよびグルコース飢餓により処置された細胞で観察されるものに匹敵した。

0139

OSU−CG12は、グルコース摂取をブロックすることによってエネルギー代謝を標的にする。上述の知見により、TZDは、エネルギー制限への細胞応答に特有の細胞シグナル経路を誘発することが示される。これらの知見に従って、TZDがグルコースの細胞摂取をブロックすることによってエネルギー制限を模倣することを示す、いくつかの証拠が得られた。第1に、[3H]−2−DGのLNCaP細胞への輸送に与える、公知のグルコース摂取阻害剤(Kueckら、Gynecol Oncol.107、p.450−457(2007))であるレスベラトロルに対してのOSU−CG12の効果を評価した。図示するように、5および10μMでのOSU−CG12ならびに50および100μMでのレスベラトロルは、用量依存で(すべての時点でP<0.05)グルコース摂取を著しく阻害することができた(図7A)。構造的な見地からは、OSU−CG12およびレスベラトロルは、特に親水性官能基空間配置に対して、ある程度の類似性を示し、これがグルコース摂取を阻害する場合の共通の作用モードの基底をなすと思われる。第2に、OSU−CG12(10μM)は、2−DG(10mM)の場合と類似した様式で解糖速度の時間依存抑制、NADH産生、およびLNCaP細胞での乳酸塩形成の媒介となった(図7B)。いずれかの薬剤で24時間処置すると、グルコース消費および細胞内NADHおよび乳酸塩レベルが50%〜70%減少した。第3に、高レベルの補足グルコースにより、細胞をOSU−CG12の抗増殖効果から防御することができた。LNCaP細胞のOSU−CG12に対する感受性に与えるグルコースの効果を調べるために、異なる量のグルコースをグルコース欠乏培地に加えて、最終濃度を0.5mg/ml〜20mg/mlの範囲とした。2mg/mlに対して、未修飾の10%FBS含有RPMI1640培地でのグルコース含有量、10および20mg/mlグルコースは、OSU−CG12誘発細胞死に対して著しい防御を示し(すべての時点でP<0.05)、一方0.5mg/mlの場合は、LNCaP細胞は薬物効果に対する感受性がより大きくなった(図7C)。この防御効果はさらに、OSU−CG12誘発PARP開裂、およびSirt1、β−TrCP、GRP78、およびGADD153の発現レベルの増加ならびにAMPKの活性化を含むエネルギー制限関連細胞応答を抑制する、10および/または20mg/mlでの補足グルコースの能力によって確認された(図7D)。

0140

β−TrCPの優性ネガティブ阻害は、OSU−CG12および2−DG誘発アポトーシスから細胞を防御した。上述の知見により、β−TrCP発現およびその結果生じる基質のタンパク質分解の上方調節は、エネルギー制限への主要な細胞応答を表すことが示唆される。β−TrCPは一連の細胞サイクルおよびアポトーシス調節タンパク質の分解を助長するため、本発明者は、β−TrCPはエネルギー制限模倣剤の抗増殖効果の媒介となるのに重要な役目を果たし得ると仮説を立てた。この仮定を立証するために、OSU−CG12および2−DG誘発成長阻害に与える、Fボックスモチーフの欠如により優性ネガティブ突然変異体として作用する、Fボックス削除β−TrCP(ΔF−β−TrCP)に対してのワイルドタイプ(WT)β−TrCPの異質発現の効果を調べた。pCMV対照に対して、β−TrCP強制発現により、LNCaP細胞生存度に対するOSU−CG12および2−DGの抑制活性が向上し、一方ΔF−β−TrCPによるβ−TrCP機能の優性ネガティブ阻害により、両薬剤の成長阻害効果に対して細胞が防御された(図8A)。ウェスタンブロット分析により、これらの効果が、PARP開裂およびサブG1個体数の増加ならびにサイクリンD1およびSp1を含むβ−TrCP基質のプロテアソーム分解によって実証されるように、異質WTβ−TrCPおよびΔF−β−TrCPがOSU−CG12および2−DG誘発アポトーシスをそれぞれ促進および抑制する能力に関連したことが示される(図8B)。

0141

β−TrCPタンパク質発現の増加はSirt1上方調節の結果である。β−TrCPタンパク質発現の上方調節とエネルギー制限関連の細胞応答、すなわちSirt1上方調節、AMPK活性化、およびERストレスの誘発との間の一時的な関係に照らして(図6)、本発明者は、β−TrCP発現の増加はこれら特徴的な応答の1つの結果であり得るという仮説を立てた。この仮説を試験するために、発明者は、β−TrCP発現を上方調節するOSU−CG12の能力に与える、Sirt1、AMPK、およびGADD153の機能および/または発現を阻害する効果を調べた。

0142

得られたデータは、Sirt1の優性ネガティブ形態(H363YSirt1)の強制発現が、β−TrCP発現、およびアポトーシスのためのバイオマーカーであるPARP開裂の誘発に与えるOSU−CG12の効果を覆したことを示している(図8C、右側パネル)。この機構的な関連はさらに、WT Sirt1の異質発現により、β−TrCPレベルの上昇が、その標的タンパク質サイクリンD1およびSp1の発現の減少と共に、用量依存の様式でもたらされたという知見によって立証された(図8C、左側パネル)。さらに、共にSirt1デアセチラーゼ活性の薬理学的阻害剤であるニコチンアミドおよびスプリトマイシンを用いて、OSU−CG12処置LNCaP細胞でのβ−TrCP発現のSirt1誘発上方調節が、デアセチラーゼ依存メカニズムを介してβ−TrCPタンパク質の安定性を向上させるその能力に起因するという証拠が得られた。第1に、タンパク質の安定性を評価するためにシクロヘキシミドを用いて、ビヒクル前処理された細胞において、β−TrCPは12時間より少ない半減期を示した(図8D、左側パネル)。これに対して、5μMでのOSU−CG12は、β−TrCPタンパク質のレベルがシクロヘキシミドの存在下でも24時間まで変化しなかったため、β−TrCPの安定性を増大させた。しかし、β−TrCPに与えるOSU−CG12のこの安定化効果は、細胞をニコチンアミドまたはスプリトマイシンにより共同処置すると覆された。第2に、RT−PCR分析により、β−TrCPのmRNAレベルは、OSU−CG12単独でのまたはいずれかのSirt1阻害剤の存在下での処置後、変化しないことが確認された(図8D、右側パネル)。加えて、Sirt1活性の薬理学的阻害により、LNCaP細胞を、ΔF−β−TrCP(データ示さず)による優性ネガティブ阻害の場合に類似する様式で、OSU−CG12誘発細胞死から防御することができた。合わせて、これらの知見により、Sirt1発現での一時的なTZDまたはエネルギー制限誘発の上方調節と、その結果得られる、向上したタンパク質安定化を通してのβ−TrCP発現の上昇との間の偶然の関係が示唆される。

0143

これに対して、OSU−CG12誘発AMPK活性化の優性ネガティブおよび薬理学的阻害は、β−TrCPタンパク質発現の上方調節に影響を与えなかった(図9)。同様に、GADD163発現のsiRNA介在サイレンシングは、OSU−CG12誘発β−TrCPタンパク質発現に影響を与えなかった(図11B)。これらのデータにより、AMPKおよびERストレスの活性化は、β−TrCP発現のTZDまたはエネルギー制限誘発の上方調節の媒介とならないことが示される。

0144

食細胞死は、エネルギー制限模倣剤の抗増殖効果において役割を果たす。

0145

上述の知見は、2−DGおよびOSU−CG12誘発アポトーシスにおけるSirt1−β−TrCP経路の重要な役割を示している。引き続き本発明者は、エネルギー制限模倣剤の抗腫瘍効果におけるAMPKおよびERストレスシグナル伝達の潜在的な役割を評価した。エネルギー制限は、ラパマイシン(mTOR)経路のAMPK結節硬化錯体(TSC)1/2哺乳類標的を介する自食を誘発することが報告されている(Singletaryら、Cancer Epidemiol Biomarkers Prev.17、p.1596−1610(2008))。従って、AMPK機能をブロックすることで、LNCaP細胞が、エネルギー制限模倣剤に応答して自食を経験するのを防ぐはずである。図9に示すように、下流標的mTORおよびp70S6Kのリン酸化レベルが変わらないことによって証明される、OSU−CG12誘発AMPK活性化の優性ネガティブ(左側パネル)または薬理学的阻害は、GFPタグ化LC3−Iの、オートファーゴソーム形成の指標であるLC3−IIへの変換を防止した。さらに、OSU−CG12処置LNCaP細胞ではβ−TrCPまたはGADD153の発現レベルへの効果は観測されなかったため、この自食の阻害は、β−TrCPおよびERストレスへの薬物誘発変化とは無関係であった。

0146

この知見に従って、OSU−OG12介在自食に与えるTSC2ノックダウンの効果を蛍光顕微鏡検査により評価した。TSC2 shRNAによるLNCaP細胞の安定したトランスフェクションにより、AMPKを活性化するOSU−CG12の能力に影響を及ぼすことなく、TSC2発現の完全な抑制がもたらされた(図10、左側パネル)。AMPK活性化の阻害に類似して、TSC2発現のサイレンシングにより、OSU−CG12によるGFP−LC3ポジティブ斑点の形成が防止され(図10、右側パネル)、OSU−CG12誘発自食におけるAMPK/TSC1/2経路の中心的な役割が確認された。自食は、治療に応えて癌細胞ホメオスタシスを管理することにおいてはアポトーシスに匹敵することが認められるが、それを促進または阻害することにより薬物誘発細胞死を調整する場合のその機能は、細胞状態によって変動する(Tsuchiharaら、Cancer Lett、278、p.130−138(2009))。

0147

エネルギー制限誘発細胞死における自食の役割を評価するために、OSU−CG12介在アポトーシスおよび細胞生存度の抑制に与える、優性ネガティブAMPKの異質発現により自食を阻害する効果を調べた。PARP開裂によって示されるように、AMPK自食経路の阻害によっては細胞をOSU−CG12誘発アポトーシスから防御することはできなかった(図9)が、MTTデータは、自食をブロックすることによって、pCMV対照に対してOSU−CG12誘発細胞死が実質的に減った(すべてのデータポイントにおいてp<0.01)ことを示し(図11A)、これはまた2−DGおよびレスベラトロル処置細胞(データ示さず)においても確認された。これに対して、GADD153のsiRNA介在サイレンシングによるERストレスシグナル伝達の阻害は、OSU−CG12処置LNCaP細胞におけるPARP開裂に影響を与えず(図11B)、またLNCaP細胞のOSU−CG12の抗増殖活性に対する感受性にも影響を与えなかった(データ示さず)。合わせて、これら知見により、Sirt1−β−TrCP経路に加えて、AMPK活性化誘発自食が、癌細胞におけるエネルギー制限模倣剤の抗増殖効果の媒介に重要な役割を果たすことが明らかである。

0148

考察
癌細胞は、細胞エネルギー代謝を好気性解糖に移行させることにより腫瘍微環境において成長上の利点を得る、いわゆるワールブルク効果が長い間認められてきた。Gatenbyら、Nat.Rev.Cancer、4、p.891−899(2004);Kimら、Cancer Res.66、p.8927−8930(2006);およびSamudioら、Cancer Res.69、p.2163−2166(2009)。この悪性関連の解糖移行が、ポシトロン断層法で[18F]−フルオロデオキシグルコース摂取をトレースすることによって癌の分子画像化の基礎を構成する。より最近では、様々な自然のまたは化学誘発の腫瘍動物モデルでの発癌を抑制する場合の、食物カロリー制限(Hurstingら、Annu Rev Med.54、p.131−152(2003))、レスベラトロル(Cucciollaら、Cell Cycle.6、p.2495−2510(2007))、および2−DG(Zhuら、Cancer Res.65、p.7023−7030(2005))のインビボでの有効性によって示されるように、解糖阻害への悪性細胞対正常細胞の感受性の違いを利用することによって、癌治療のために好気性解糖を標的にする(Chenら、J Bioenerg Biomembr.39、p267−274(2007))ことに関心が高まっている。慢性エネルギー制限は、一般的な個体数による化学的予防方策として実現するのは難しいので、2−DGおよびレスベラトロルが、それぞれグルコース代謝および摂取を阻害することによりエネルギー制限の有益な効果を模倣するこれらの能力のために、幅広い注目を集めている。しかし、レスベラトロルおよび2−DGは、グルコース代謝をブロックする場合のインビトロにおける効能が比較的弱く、IC50値はそれぞれ少なくとも50μMおよび4mMであり、このためこれらの治療への適用は限られている。

0149

実験により、TZDは、レスベラトロルおよび2−DGの場合に類似する様式でエネルギー制限に特有の特徴的な細胞応答を引き出すこれらの能力を考慮すれば、新規のクラスのエネルギー制限模倣剤を表すことが実証されている。これらエネルギー制限関連応答としては、最後には自食およびアポトーシスとなる、Sirt1遺伝子発現の一時的な誘発および細胞内燃料センサAMPKおよびERストレスの活性化を含んだ(図11B)。しかし、これらの応答は、培養培地に補足グルコースが存在することによって覆され得る。さらに、TZD、2−DG、レスベラトロル、およびグルコース除去すべてが、Akt、GSK3β、MAPキナーゼ、およびIKKαを含む、検査したシグナル伝達キナーゼのリン酸化状態を調整する能力を共有した。これはさらにエネルギー制限模倣剤としてのTZDの提案した活性をさらに支持する
レスベラトロルと同様、OSU−CG12は、解糖速度の低下ならびにNADHおよび乳酸塩の産生の減少によって明らかにされるように、グルコース摂取をブロックすることによりエネルギー制限の効果を模倣した。この薬物誘発代謝障害が、癌細胞において一時的なSirt1遺伝子発現、AMPK活性化、およびERストレスを含む上述の飢餓関連細胞応答の誘発のシグナルとなった。機構的な見地からは、これら細胞応答のそれぞれが、個別の下流シグナル経路の媒介となり、これらの間の相互作用の結果、OSU−CG12の抗増殖効果となる。例えば、データにより、OSU−CG12誘発AMPK活性化は、TSC1/2−mTOR−p70S6K経路を介して自食へと至る一方、ERストレスの場合は、哺乳類細胞でのERストレス応答の重要なメディエータであるIRE1αの上方調節を介してERシャペロンGRP78およびGADD153の転写活性化をシグナル伝達した。

0150

以前の研究は、AMPK活性化およびERストレスをカロリー制限中の選択的癌細胞殺滅のための標的として意味付けている(Saitoら、Cancer Res.69、p.4225−4234(2009))。しかし、細胞死応答を調節する場合のNAD+依存ヒストンデアセチラーゼであるSirt1の役割は、腫瘍促進剤または腫瘍抑制剤としての従来の役割に照らして十分には定義されていない(Dengら、Int J Biol Sci,5、p.147−152(2009))。Sirt1は、p53、網膜芽細胞腫タンパク質、NF−κB、いくつかのフォークヘッドファミリー転写因子(FOXO)、MyoD、DNA修復タンパク質Ku70、転写コアクチベータPCG−1αおよびp300を含む、脱アセチル化を介する幅広い範囲の非ヒストンシグナル伝達タンパク質の機能と共に、後成変化を調節する能力を示す。Sirt1は、NF−κB/Re1Aの脱アセチル活性化を通して細胞死または細胞サイクル阻止を向上させると示されている(Yeungら、EMBO J.23、p.2369−2380(2004))一方で、これはまたp53、FOXOおよびKu70などの腫瘍抑制およびDNA損傷修復に関与するいくつかの標的タンパク質を不活性化する。

0151

本発明者の研究により、Sirt1の発現が、たとえ非常に短い期間であっても、β−TrCP助長プロテアソーム分解の活性化を通して癌細胞でのエネルギー制限模倣剤によるアポトーシスの誘発の効果の媒介に重要な役割を果たすという第1の証拠が提供される。この機構的な関連は、OSU−CG12または2−DG誘発アポトーシス死をブロックするβ−TrCPまたはSirt1の優性ネガティブおよび/または薬理学的阻害の能力によって実証された。β−TrCP発現のSirt1介在上方調節は、タンパク質安定化を通して実現され、タンパク質安定化のためには、Sirt1のデアセチラーゼ活性が重要であったことは注目に値する。β−TrCPタンパク質のこの安定化は、プロテアソーム介在タンパク質分解のためにβ−TrCPを標的にする特定のE3リガーゼの発現/活性を抑制するSirt1の能力に起因すると考えられる。この潜在的なメカニズムは現在調査中である。加えて、AMPKは、細胞内NAD+レベルを上げることによってSirt1活性を向上させると報告されているが、本データは、AMPKの遺伝的阻害および薬理学的阻害のいずれも、TZD処置癌細胞でのβ−TrCP発現に効果を与えなかったことを示し、AMPK活性化はβ−TrCPタンパク質安定性を上方調節するのに主要な役割を果たさなかったことを示唆した。

0152

実質的な証拠は癌における自食の重要性を示しているが、細胞の薬物誘発細胞死を高めるかまたはこれを防御することによりその治療上の応答を調整する役割は不明瞭のままである。その機能は、異なる死シグナル経路に応答して、および/または異なる腫瘍形成段階で変動すると考えられる。エネルギー制限模倣剤の場合には、提供されたデータは、自食とアポトーシスとの間の相互作用はこれらの抗増殖活動の媒介となるのに重要な役割を果たすと示唆している。

0153

終わりに、本明細書に提供された知見は3つの点で注目に値する。第1に、エネルギー制限を標的にする場合のトログリタゾンおよびシグリタゾンの新規の機能により、幅広い範囲のシグナル伝達標的に与えるこれらのPPARγ非依存効果を説明する機構的な基礎が提供される。第2に、本発明者は、β−TrCP助長プロテアソーム分解のSirt1介在上方調節は、エネルギー制限が引き出したシグナル伝達事象であり、エネルギー制限模倣剤の抗腫瘍効果にとって重要であることを初めて示した。第3に、証拠により、TZDは、グルコース飢餓関連細胞応答を引き出すことによって、抗腫瘍効果の媒介となることが示されている。この知見により、これらTZDを潜在的なエネルギー制限模倣剤を開発するための足場として用いる分子基礎が提供される。OSU−CG12は、レスベラトロルおよび2−DGに対して飢餓状細胞応答を引き出すのにそれぞれ1桁および3桁高い効能を示す。化学療法薬剤としてのOSU−CG12の翻訳値はその経口生体利用効率、および急性毒性を招くことなく腫瘍異種移植成長を抑制する場合の有効性によって強調される。

0154

実施例2:NCI60細胞株スクリーニング分析による癌細胞成長を抑制するチアゾリジンジオン誘導体OSU−CG5およびOSU−CG12の能力
米国国立癌研究所は、様々な異なる癌に対するOSU−CG5およびOSU−CG12の抗癌活性を、様々な異なる細胞株を用いて評価するため実験を行った。NCI60スクリーニング方法の検討に関しては、Shoemaker,R.H、Nature Reviews、6:p.813−823(2006)を参照。より詳しくは、OSU−CG5およびOSU−CG12を試験して、これらの前立腺癌、乳癌、白血病、非小細胞肺癌、結腸癌、CNS癌、黒色腫、卵巣癌、および腎臓癌細胞株の成長を阻害する能力を調べた。様々な異なる細胞株を使用して、各タイプの癌の阻害を評価した。例えば、CCFR−CEM、HL−60、K−562、MOLT−4、RPMI−8226、およびSR細胞株を用いて、白血病に与えるOSU−A9Mの効果を評価した。これらの実験からのデータにより、OSU−CG5およびOSU−CG12は共に、様々な異なるタイプの癌細胞において著しい抗腫瘍効能を示したことが実証された。

0155

NCI60スクリーニング方法は以下の技法を用いて実行された。癌スクリーニングパネルヒト腫瘍細胞株を、5%のウシ胎仔血清および2mMのL−グルタミンを含有するRPMI1640培地にて成長させた。次に細胞を、個別の細胞株の倍加時間に依存して、5,000〜40,000細胞数/ウェルの範囲のプレート密度で100μL中に96ウェルマイクロタイタープレートへと播種した。細胞播種後、マイクロタイタープレートを37℃、5%のCO2、95%の空気および100%の相対湿度で24時間インキュベートし、その後チアゾリジンジオン誘導体を添加する。

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