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技術 抗IL−6レセプター抗体を有効成分として含有する全身性エリテマトーデスの予防および/または治療剤

出願人 中外製薬株式会社
発明者 三原昌彦大杉義征
出願日 2015年2月25日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2015-035784
公開日 2015年5月28日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2015-098491
状態 拒絶査定
技術分野 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 出現時期 アスペルギウス属 免疫グロブリン量 ハイドロクロリド 測定限界 組織変化 放射免疫拡散法 MICR
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図面 (4)

課題

全身性エリテマトーデスにおける尿タンパク質の漏出を減少させるためあるいは抗DNA 抗体又は抗核抗体を減少させるための新規な予防および/または治療剤の提供。

解決手段

インターロイキン-6(IL-6)レセプター抗体を有効成分として含有する全身性エリテマトーデスにおける尿タンパク質の漏出を減少させるためあるいは抗DNA 抗体又は抗核抗体を減少させるための予防および/または治療剤。

概要

背景

インターロイキン-6(IL-6)はB細胞刺激因子2 (BSF2)あるいはインターフェロンβ2 (IFN-β2)とも呼称されたサイトカインである。IL-6は、Bリンパ球系細胞の活性化に関与する分化因子として発見され(Hirano, T. et al., Nature (1986) 324, 73-76 )、その後種々の細胞の機能に影響を及ぼす多機能サイトカインであることが明らかになった(Akira, S. et al., Adv. in Immunology (1993) 54, 1-78)。

IL-6は、細胞上で二種の蛋白質を介してその生物学的活性を伝達する。一つは、IL-6が結合するリガンド結合性蛋白質のIL-6レセプターである。IL-6レセプターは、細胞膜を貫通して細胞膜上に発現する分子量約80kDの膜結合型IL-6レセプターの他に、本質的にその細胞外領域からなる分子量約40〜50kDの可溶性IL-6レセプターとしても存在する。
もう一つは、非リガンド結合性シグナル伝達に係わる分子量約130kD の膜蛋白質gp130 である。IL-6とIL-6レセプターはIL-6/IL-6レセプター複合体を形成し、次いでgp130 と結合することにより、IL-6の生物学的活性が細胞内に伝達される(Taga, T. et al., J. Exp. Med. (1987) 166, 967 )。

抗IL-6レセプター抗体はこれまでにいくつかの報告がある(Novick, D. et al., Hybridoma (1991) 10, 137-146 、Huang, Y. W. et al., Hybridoma (1993) 12, 621-630 、国際特許出願公開番号WO 95-09873 、フランス特許出願公開番号FR 2694767、米国特許番号US521628)。抗IL-6レセプター抗体の一つであるマウス抗体PM-1(Hirata, et al., J. Immunology (1989) 143, 2900-2906 )およびその相捕性決定領域(CDR)をヒト抗体移植することにより得られたヒト型化PM-1抗体(国際特許出願公開番号WO 92-19759 )が知られている。

全身性エリテマトーデスSLE; Systemic lupus erythematosus )は、抗核抗体または抗DNA 抗体やその免疫複合体が各種臓器組織沈着することにより炎症反応誘導されて生ずる全身性自己免疫疾患である。抗核抗体または抗DNA 抗体やその免疫複合体が腎糸球体に沈着するとループス腎炎発症する。全身性エリテマトーデスでは血中IL-6の増加を示す患者は少なく、IL-6の病態への関与は否定的である(Peterson, E. et al., Lupus. (1996) 5, 571-576 )。

Kiberd, J. J. Am. Soc. Nephrol. (1993) 4, 58-61 には、MRL-lpr/lprマウスにおける抗IL-6レセプター抗体の腎機能組織変化に対する効果が述べられている。しかしながら、Kiberd, J.の実験では、全身性エリテマトーデスの臨床症状の指標として必須な尿タンパク出現時期生存日数の検討がされていない。したがって、これだけの結果から抗IL-6レセプター抗体がループス腎炎に有効であるとは判断できない。
また、使用されたMRL-lpr/lpr マウスの病態は組織学的には全身性エリテマトーデスに似てはいるが、病態の発症機序にはFas抗原の異常が関係している。一方、ヒトの全身性エリテマトーデスではFas 抗原の異常は認められていない(Watanabe-Fukunaga, R. et al., Nature. (1992) 356, 314-317 )。

したがって、このマウスを用いて得られた実験結果が、すぐにヒトの全身性エリテマトーデスに適応できるとは言いがたい。全身性エリテマトーデスにおけるループス腎炎のモデルとしては、NZB/W F1マウスが最もヒトの全身性エリテマトーデスの病態に近いことが知られている(Howie, J.B. et al., Adv.Immunol. (1968) 9, 215-266)。
また、 Kiberd, J. の示したデータには抗IL-6レセプター抗体投与群コントロールIgG投与群の間に統計学有意差がないため、抗IL-6レセプター抗体が治療効果を有するとはいえないと考えられる。したがって、上記Kiberd, J.の文献から抗IL-6レセプター抗体の全身性エリテマトーデスに対する効果は予測されなかった。

Finck, B. K. et al., J. Clin. Invest. (1994) 94, 585-591には、NZB/NZB F1マウスにおける抗IL-6抗体の尿タンパク排泄抑制効果、血中抗DNA抗体価および生存日数延長効果が記載されている。
しかしながら、抗IL-6抗体を投与すると、7ヶ月齢から腎炎を発症するマウスが増加しており、データに示されていない9ヶ月齢以降も増加する可能性が十分に考えられる。したがって、抗IL-6抗体の全身性エリテマトーデスに対する効果は十分ではないことが示唆される。

また、これまでに抗IL-6抗体をヒトやマウスに投与した場合、血中のIL-6濃度が著しく上昇することが数多く報告されている(Wendling, D. et al., J.Rheumatol. (1993) 20, 259-262, Heremans, H. et al., Eur.J.Immunol. (1992) 22, 2395-2401)。さらにIL-6と抗IL-6抗体を同時投与するとIL-6の活性が著しく上昇することも見出されている(Mihara, M. et al., Immunology (1991) 74, 55-59)。このことは、抗IL-6抗体を用いた場合には内因性のIL-6の活性が増強され、副作用を発現する可能性を示す。したがって、全身性エリテマトーデスに抗IL-6抗体を投与すると好ましくない効果が生じうることが示唆される。

また、国際特許出願公開番号WO 96-12503 には、抗IL-6レセプター抗体が腎炎、特にメサンジウム増殖性腎炎に効果があることが記載されている。しかしながら、国際特許出願公開番号WO 96-12503 には、遺伝子操作により大量に産生されたIL-6によりメサンジウム細胞が増殖し、メサンジウム細胞の増殖が直接の原因として発症する腎炎が記載されているのみである。IL-6が発症に関与せず、抗核抗体または抗DNA 抗体あるいはそれら抗体の免疫複合体が腎臓糸球体に沈着して生ずる全身性エリテマトーデスにおける自己免疫性腎炎、例えばループス腎炎に対し抗IL-6レセプター抗体が治療効果を有することは何ら開示されておらず、示唆さえされていない。

したがって、これまでに抗IL-6レセプター抗体が全身性エリテマトーデスに対して治療効果を有することは知られていなかった。
現在、全身性エリテマトーデスの治療にはステロイド剤免疫抑制剤が使用されているが、対症療法であり、しかも長期間の投与が必要とされ、副作用が問題となっている。

概要

全身性エリテマトーデスにおける尿タンパク質の漏出を減少させるためあるいは抗DNA 抗体又は抗核抗体を減少させるための新規な予防および/または治療剤の提供。抗インターロイキン-6(IL-6)レセプター抗体を有効成分として含有する全身性エリテマトーデスにおける尿タンパク質の漏出を減少させるためあるいは抗DNA 抗体又は抗核抗体を減少させるための予防および/または治療剤。

目的

本発明は抗IL-6レセプター抗体を有効成分として含有する全身性エリテマトーデスの予防および/または治療剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

IL-6レセプター抗体を有効成分として含有する全身性エリテマトーデスにおける尿タンパク漏出を減少させるための予防および/または治療剤

請求項2

抗IL-6レセプター抗体を有効成分として含有する全身性エリテマトーデスにおける抗DNA 抗体または抗核抗体を減少させるための予防および/または治療剤。

請求項3

抗IL-6レセプター抗体が抗ヒトIL-6レセプター抗体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の予防および/または治療剤。

請求項4

抗IL-6レセプター抗体が抗IL-6レセプターモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1 項に記載の予防および/または治療剤。

請求項5

抗IL-6レセプター抗体が組換型抗IL-6レセプター抗体であることを特徴とする請求項1 〜4 のいずれか1 項に記載の予防および/または治療剤。

請求項6

抗IL-6レセプター抗体がPM-1抗体であることを特徴とする請求項1 〜5 のいずれか1 項に記載の予防および/または治療剤。

請求項7

抗IL-6レセプター抗体がヒト抗体定常領域を有する抗体であることを特徴とする請求項1 〜6 のいずれか1 項に記載の予防および/または治療剤。

請求項8

抗IL-6レセプター抗体がIL-6レセプターに対するキメラ抗体またはヒト型化抗体であることを特徴とする請求項1 〜7 のいずれか1 項に記載の予防および/または治療剤。

請求項9

抗IL-6レセプター抗体がヒト型化PM-1抗体であることを特徴とする請求項1 〜8 のいずれか1 項に記載の予防および/または治療剤。

技術分野

0001

本発明は抗インターロイキン-6レセプター抗体を有効成分として含有する全身性エリテマトーデスにおける尿タンパク質の漏出を減少させるための予防および/または治療剤に関する。

背景技術

0002

インターロイキン-6(IL-6)はB細胞刺激因子2 (BSF2)あるいはインターフェロンβ2 (IFN-β2)とも呼称されたサイトカインである。IL-6は、Bリンパ球系細胞の活性化に関与する分化因子として発見され(Hirano, T. et al., Nature (1986) 324, 73-76 )、その後種々の細胞の機能に影響を及ぼす多機能サイトカインであることが明らかになった(Akira, S. et al., Adv. in Immunology (1993) 54, 1-78)。

0003

IL-6は、細胞上で二種の蛋白質を介してその生物学的活性を伝達する。一つは、IL-6が結合するリガンド結合性蛋白質のIL-6レセプターである。IL-6レセプターは、細胞膜を貫通して細胞膜上に発現する分子量約80kDの膜結合型IL-6レセプターの他に、本質的にその細胞外領域からなる分子量約40〜50kDの可溶性IL-6レセプターとしても存在する。
もう一つは、非リガンド結合性シグナル伝達に係わる分子量約130kD の膜蛋白質gp130 である。IL-6とIL-6レセプターはIL-6/IL-6レセプター複合体を形成し、次いでgp130 と結合することにより、IL-6の生物学的活性が細胞内に伝達される(Taga, T. et al., J. Exp. Med. (1987) 166, 967 )。

0004

抗IL-6レセプター抗体はこれまでにいくつかの報告がある(Novick, D. et al., Hybridoma (1991) 10, 137-146 、Huang, Y. W. et al., Hybridoma (1993) 12, 621-630 、国際特許出願公開番号WO 95-09873 、フランス特許出願公開番号FR 2694767、米国特許番号US521628)。抗IL-6レセプター抗体の一つであるマウス抗体PM-1(Hirata, et al., J. Immunology (1989) 143, 2900-2906 )およびその相捕性決定領域(CDR)をヒト抗体移植することにより得られたヒト型化PM-1抗体(国際特許出願公開番号WO 92-19759 )が知られている。

0005

全身性エリテマトーデス(SLE; Systemic lupus erythematosus )は、抗核抗体または抗DNA 抗体やその免疫複合体が各種臓器組織沈着することにより炎症反応誘導されて生ずる全身性自己免疫疾患である。抗核抗体または抗DNA 抗体やその免疫複合体が腎糸球体に沈着するとループス腎炎発症する。全身性エリテマトーデスでは血中IL-6の増加を示す患者は少なく、IL-6の病態への関与は否定的である(Peterson, E. et al., Lupus. (1996) 5, 571-576 )。

0006

Kiberd, J. J. Am. Soc. Nephrol. (1993) 4, 58-61 には、MRL-lpr/lprマウスにおける抗IL-6レセプター抗体の腎機能組織変化に対する効果が述べられている。しかしながら、Kiberd, J.の実験では、全身性エリテマトーデスの臨床症状の指標として必須な尿タンパクの出現時期生存日数の検討がされていない。したがって、これだけの結果から抗IL-6レセプター抗体がループス腎炎に有効であるとは判断できない。
また、使用されたMRL-lpr/lpr マウスの病態は組織学的には全身性エリテマトーデスに似てはいるが、病態の発症機序にはFas抗原の異常が関係している。一方、ヒトの全身性エリテマトーデスではFas 抗原の異常は認められていない(Watanabe-Fukunaga, R. et al., Nature. (1992) 356, 314-317 )。

0007

したがって、このマウスを用いて得られた実験結果が、すぐにヒトの全身性エリテマトーデスに適応できるとは言いがたい。全身性エリテマトーデスにおけるループス腎炎のモデルとしては、NZB/W F1マウスが最もヒトの全身性エリテマトーデスの病態に近いことが知られている(Howie, J.B. et al., Adv.Immunol. (1968) 9, 215-266)。
また、 Kiberd, J. の示したデータには抗IL-6レセプター抗体投与群コントロールIgG投与群の間に統計学有意差がないため、抗IL-6レセプター抗体が治療効果を有するとはいえないと考えられる。したがって、上記Kiberd, J.の文献から抗IL-6レセプター抗体の全身性エリテマトーデスに対する効果は予測されなかった。

0008

Finck, B. K. et al., J. Clin. Invest. (1994) 94, 585-591には、NZB/NZB F1マウスにおける抗IL-6抗体の尿タンパク排泄抑制効果、血中抗DNA抗体価および生存日数延長効果が記載されている。
しかしながら、抗IL-6抗体を投与すると、7ヶ月齢から腎炎を発症するマウスが増加しており、データに示されていない9ヶ月齢以降も増加する可能性が十分に考えられる。したがって、抗IL-6抗体の全身性エリテマトーデスに対する効果は十分ではないことが示唆される。

0009

また、これまでに抗IL-6抗体をヒトやマウスに投与した場合、血中のIL-6濃度が著しく上昇することが数多く報告されている(Wendling, D. et al., J.Rheumatol. (1993) 20, 259-262, Heremans, H. et al., Eur.J.Immunol. (1992) 22, 2395-2401)。さらにIL-6と抗IL-6抗体を同時投与するとIL-6の活性が著しく上昇することも見出されている(Mihara, M. et al., Immunology (1991) 74, 55-59)。このことは、抗IL-6抗体を用いた場合には内因性のIL-6の活性が増強され、副作用を発現する可能性を示す。したがって、全身性エリテマトーデスに抗IL-6抗体を投与すると好ましくない効果が生じうることが示唆される。

0010

また、国際特許出願公開番号WO 96-12503 には、抗IL-6レセプター抗体が腎炎、特にメサンジウム増殖性腎炎に効果があることが記載されている。しかしながら、国際特許出願公開番号WO 96-12503 には、遺伝子操作により大量に産生されたIL-6によりメサンジウム細胞が増殖し、メサンジウム細胞の増殖が直接の原因として発症する腎炎が記載されているのみである。IL-6が発症に関与せず、抗核抗体または抗DNA 抗体あるいはそれら抗体の免疫複合体が腎臓糸球体に沈着して生ずる全身性エリテマトーデスにおける自己免疫性腎炎、例えばループス腎炎に対し抗IL-6レセプター抗体が治療効果を有することは何ら開示されておらず、示唆さえされていない。

0011

したがって、これまでに抗IL-6レセプター抗体が全身性エリテマトーデスに対して治療効果を有することは知られていなかった。
現在、全身性エリテマトーデスの治療にはステロイド剤免疫抑制剤が使用されているが、対症療法であり、しかも長期間の投与が必要とされ、副作用が問題となっている。

発明が解決しようとする課題

0012

本発明は、前記の欠点を有さない全身性エリテマトーデスの予防および/または治療剤を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0013

すなわち、本発明は抗IL-6レセプター抗体を有効成分として含有する全身性エリテマトーデスの予防および/または治療剤を提供する。
本発明はまた、抗IL-6レセプター抗体を有効成分として含有する全身性エリテマトーデスにおける自己免疫性腎炎の予防および/または治療剤を提供する。
本発明はまた、抗IL-6レセプター抗体を有効成分として含有する全身性エリテマトーデスにおけるループス腎炎の予防および/または治療剤を提供する。
本発明はまた、抗ヒトIL-6レセプター抗体を有効成分として含有する上記全身性エリテマトーデスの予防および/または治療剤を提供する。
本発明はまた、抗IL-6レセプターモノクローナル抗体を有効成分として含有する上記全身性エリテマトーデスの予防および/または治療剤を提供する。

0014

本発明はまた、組換型抗IL-6レセプター抗体を有効成分として含有する上記全身性エリテマトーデスの予防および/または治療剤を提供する。
本発明はまた、PM-1抗体を有効成分として含有する上記全身性エリテマトーデスの予防および/または治療剤を提供する。
本発明はまた、ヒト抗体定常領域を有する抗IL-6レセプター抗体を有効成分として含有する予防および/または治療剤を提供する。
本発明はまた、IL-6レセプターに対するキメラ抗体またはヒト型化抗体を有効成分として含有する上記全身性エリテマトーデスの予防および/または治療剤を提供する。

0015

本発明はまた、ヒト型化PM-1抗体を有効成分として含有する上記全身性エリテマトーデスの予防および/または治療剤を提供する。
本発明はまた、抗IL-6レセプター抗体を有効成分として含有する全身性エリテマトーデスにおける抗DNA 抗体または抗核抗体を減少させるための予防および/または治療剤を提供する。
本発明はさらに、抗IL-6レセプター抗体を有効成分として含有する全身性エリテマトーデスにおける尿タンパク漏出を減少させるための予防および/または治療剤を提供する。

図面の簡単な説明

0016

図1は、 NZB/W F1マウスにおけるMR16-1の尿タンパク排泄抑制作用を示すグラフである。
図2は、NZB/W F1マウスの生存日数に及ぼすMR16-1の効果を示すグラフである。
図3は、血中の抗DNA 抗体量に及ぼすMR16-1の効果を示すグラフである。

0017

1. 抗IL-6レセプター抗体
本発明で使用される抗IL-6レセプター抗体は、全身性エリテマトーデスの治療効果、全身性エリテマトーデスにおける抗DNA 抗体の減少効果、または全身性エリテマトーデスにおける尿タンパク漏出の減少効果を示すものであれば、その由来、種類および形状を問わない。
本発明で使用される抗IL-6レセプター抗体は、IL-6レセプターと結合することにより、IL-6のIL-6レセプターへの結合を阻害してIL-6の生物学的活性の細胞内への伝達を阻害する抗体である。したがって、本発明で使用される抗IL-6レセプター抗体は、IL-6の生物学的活性を中和する抗体が好ましい。

0018

本発明で使用される抗IL-6レセプター抗体は、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として得ることができる。本発明で使用される抗IL-6レセプター抗体として、モノクローナル抗体が好ましい。さらに、モノクローナル抗体として、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好ましい。
哺乳動物由来のモノクローナル抗体としては、ハイブリドーマに産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクター形質転換した宿主に産生されるものが挙げられる。

0019

このような抗体としては、MR16-1抗体(Saito, et al., J. Immunol. (1993) 147, 168-173)、PM-1抗体(Hirata, et al., J. Immunology (1989) 143, 2900-2906 )、AUK12-20抗体、AUK64-7 抗体あるいはAUK146-15 抗体(国際特許出願公開番号WO 92-19759 )などが挙げられる。これらのうちで、特に好ましい抗体としてPM-1抗体が挙げられる。
なお、PM-1抗体産生ハイブリドーマ細胞株は、PM-1として、工業技術院生命工学工業技術研究所県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、平成2 年7 月10日に、FERM BP-2998としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている。

0020

また、MR16-1抗体産生ハイブリドーマ細胞株は、Rat-mouse hybridoma MR16-1として、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、平成9 年3 月13日に、FERM BP-5875としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている。

0021

2.IL-6レセプターの調製
感作抗原であるIL-6レセプターは、基本的には公知技術を使用して作製できる。
具体的には、IL-6レセプターを作製するには次のようにすればよい。例えば、ヒトIL-6レセプターは、欧州特許出願公開番号EP 325474 に、マウスIL-6レセプターは日本特許出願公開番号特開平3-155795に開示されたIL-6レセプター遺伝子アミノ酸配列を用いることによって得られる。抗体取得の感作抗原として使用されるIL-6レセプターは、ヒトIL-6レセプターが好ましい。

0022

IL-6レセプター蛋白質は、細胞膜上に発現しているものと細胞膜より離脱しているもの(可溶性IL-6レセプター)(Yasukawa, et al., J. Biochem. (1990) 108, 673-676 )との二種類がある。可溶性IL-6レセプター抗体は細胞膜に結合しているIL-6レセプターの本質的に細胞外領域から構成されており、細胞膜貫通領域、あるいは細胞膜貫通領域と細胞内領域欠損している点で膜結合型IL-6レセプターと異なっている。抗体取得の感作抗原として使用されるIL-6レセプターは、その目的を達する限り、細胞膜に結合しているIL-6レセプターおよび可溶性IL-6レセプターのいずれでもよい。

0023

IL-6レセプターの遺伝子配列を公知の発現ベクター系に挿入して適当な宿主細胞を形質転換させた後、その宿主細胞中または、培養上清中から目的のIL-6レセプター蛋白質を公知の方法で精製し、この精製IL-6レセプター蛋白質を感作抗原として用いればよい。また、IL-6レセプターを発現している細胞やIL-6レセプター蛋白質と他の蛋白質との融合蛋白質を感作抗原として用いてもよい。また、その目的を達する限り、IL-6レセプター変異体を抗体取得の感作抗原として使用することができる。
ヒトIL-6レセプターをコードするcDNAを含むプラスミドpIBIBSF2R を含有する大腸菌(E.coli)は、HB101-pIBIBSF2R として、平成元年(1989年)1 月9 日付で工業技術院生命工学工業技術研究所に、受託番号FERM BP-2232としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている。

0024

3.抗体産生ハイブリドーマの作製
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、基本的に公知技術を使用して、以下のように作製できる。すなわち、IL-6レセプターを感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナル抗体産生細胞スクリーニングすることによって作製できる。

0025

感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげっ歯目、ウサギ目霊長目動物が使用される。げっ歯目の動物としては、例えばマウス、ラットハムスター等が使用される。ウサギ目の動物としては、例えばウサギが使用される。霊長目の動物としては、例えばサルが使用される。サルとしては、狭下目のサル(旧世界ザル)、例えばカニクイザルアカゲザルマントヒヒチンパンジー等が使用される。

0026

感作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって行われる。例えば一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内または、皮下に注射することにより行われる。具体的には、感作抗原をPBS(Phosphate-Buffered Saline )や生理食塩水等で適当量希釈、懸濁したものを所望により通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に4 〜21日毎に数回投与するのが好ましい。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することができる。
このように免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞、例えばリンパ節細胞脾細胞が取り出され、細胞融合に付される。細胞融合に付される好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。

0027

前記免疫細胞と融合される他方の親細胞としての哺乳動物のミエローマ細胞は、すでに、公知の種々の細胞株、例えばP3X63Ag8.653(J. Immnol. (1979) 123, 1548-1550)、P3X63Ag8U.1 (Current Topics in Microbiology and Immunology (1978) 81, 1-7)、NS-1(Kohler. G. and Milstein, C. Eur. J. Immunol. (1976) 6, 511-519)、MPC-11(Margulies. D. H. et al., Cell (1976) 8, 405-415 )、SP2/0 (Shulman, M. et al., Nature (1978) 276, 269-270)、FO(de St. Groth, S. F. et al., J. Immunol. Methods(1980) 35, 1-21 )、S194(Trowbridge, I. S. J. Exp. Med. (1978) 148, 313-323)、R210(Galfre, G. et al., Nature (1979) 277, 131-133 )等が適宜使用される。

0028

前記免疫細胞とミエローマ細胞の細胞融合は基本的には公知の方法、例えばミルステインらの方法(Kohler. G. and Milstein, C. 、MethodsEnzymol. (1981) 73: 3-46)等に準じて行うことができる。
より具体的には、前記細胞融合は、例えば細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG )、センダイウィルスHVJ)等が使用され、更に所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。

0029

免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は、例えばミエローマ細胞に対して免疫細胞を1-10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清FCS)等の血清補液を併用することもできる。
細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め、37℃程度に加温したPEG溶液、例えば平均分子量1000-6000 程度のPEG 溶液を通常、30〜60%(w/v )の濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)が形成される。続いて、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去できる。

0030

当該ハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチンアミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。当該HAT 培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間、通常数日〜数週間継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよびクローニングが行われる。

0031

また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球をin vitroで所望の抗原蛋白質または抗原発現細胞感作し、感作Bリンパ球ヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、特定の抗原または抗原発現細胞への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1-59878 参照)。さらに、ヒト抗体遺伝子のレパートリーを有するトランスジェニック動物に抗原または抗原発現細胞を投与し、前述の方法に従い所望のヒト抗体を取得してもよい(国際特許出願公開番号WO 93-12227 、WO 92-03918 、WO 94-02602 、WO 94-25585 、WO 96-34096 、WO 96-33735 、米国特許番号US 5545806参照)。

0032

このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法にしたがい培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。

0033

例えば、抗IL-6レセプター抗体産生ハイブリドーマの作製は、特開平3-139293に開示された方法により行うことができる。工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、平成2 年7 月10日に、FERM BP-2998としてブタペスト条約に基づき国際寄託されたPM-1抗体産生ハイブリドーマをBALB/cマウス(日本クレア製)の腹腔内に注入して腹水を得、この腹水からPM-1抗体を精製する方法や、本ハイブリドーマを適当な培地、例えば10%ウシ胎児血清、5 %BM-Condimed H1(Boehringer Mannheim 製)含有RPMI1640培地、ハイブリドーマSFM 培地(GIBCO-BRL製)、PFHM-II 培地(GIBCO-BRL 製)等で培養し、その培養上清からPM-1抗体を精製する方法で行うことができる。
ハイブリドーマを作製して抗体を産生させる他に、所望の抗体を産生する免疫細胞、例えば感作リンパ球等を癌遺伝子(oncogene)により不死化させた細胞を用いて抗体を得てもよい。

0034

4.組換え型抗体
本発明には、モノクローナル抗体として、抗体遺伝子を抗体産生細胞、例えばハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型抗体を用いることができる(例えば、Carl, A. K. Borrebaeck, James, W. Larrick, THERAPEUTIC MONOCLONALANTIBODIES, Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERSLTD, 1990 参照)。

0035

具体的には、目的とする抗体を産生するハイブリドーマや抗体を産生する免疫細胞、例えば感作リンパ球等を癌遺伝子(oncogene)等により不死化させた細胞から、抗体の可変領域(V 領域)をコードするmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin, J. M. ら、Biochemistry (1979) 18, 5294-5299 )、AGPC法(Chmczynski, P.ら、(1987) 162, 156-159 )等により全RNA を調製し、mRNA Purification Kit (Pharmacia 製)等を使用してmRNAを調製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia 製)を用いることによりmRNAを直接調製することができる。

0036

得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V 領域のcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First-strand cDNA Synthesis Kit 等を用いて行うことができる。また、cDNAの合成および増幅を行うには5'-Ampli FINDERRACE Kit (Clontech製)およびPCRを用いた5'-RACE 法(Frohman, M.A. ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1988) 85, 8998-9002 ;Belyavsky, A. ら、Nucleic AcidsRes. (1989) 17, 2919-2932 )を使用することができる。得られたPCR 産物から目的とするDNA 断片を精製し、ベクターDNA と連結する。さらに、これより組換えベクターを作成し、大腸菌等に導入してコロニーを選択して所望の組換えベクターを調製する。目的とするDNA の塩基配列を公知の方法、例えば、デオキシ法により確認する。

0037

目的とする抗体のV 領域をコードするDNA が得られれば、これを所望の抗体定常領域(C 領域)をコードするDNA と連結し、これを発現ベクターへ組み込む。または、抗体のV 領域をコードするDNA を、抗体C 領域のDNA を含む発現ベクターへ組み込んでもよい。
本発明で使用される抗体を製造するには、後述のように抗体遺伝子を発現制御領域、例えば、エンハンサープロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させることができる。
抗体遺伝子の発現は、抗体の重鎖(H 鎖)または軽鎖(L 鎖)を別々に発現ベクターに組み込んで宿主を同時形質転換させてもよいし、あるいはH 鎖およびL 鎖をコードするDNA を単一の発現ベクターに組み込んで宿主を形質転換させてもよい(国際特許出願公開番号WO 94-11523 参照)。

0038

5.改変抗体
本発明では、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chimeric)抗体、ヒト型化(Humanized )抗体を使用できる。これらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
キメラ抗体は、前記のようにして得た抗体V 領域をコードするDNA をヒト抗体C 領域をコードするDNA と連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 125023 、国際特許出願公開番号WO 92-19759 参照)。この既知の方法を用いて、本発明に有用なキメラ抗体を得ることができる。

0039

例えば、キメラPM-1抗体のL 鎖およびH 鎖のV 領域をコードするDNA を含むプラスミドは、各々pPM-k3およびpPM-h1と命名され、このプラスミドを有する大腸菌は、National Collections of Industrial and Marine Bacteria Limitedに、1991年2 月11日に、各々NCIMB 40366 、NCIMB40362としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている(国際特許出願公開番号WO 92-19759 参照)。
ヒト型化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物、例えばマウス抗体の相補性決定領域(CDR; complementarity determining region )をヒト抗体のCDR へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(欧州特許出願公開番号EP 125023 、国際特許出願公開番号WO 92-19759 参照)。

0040

具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(FR; framework region)を連結するように設計したDNA 配列を、末端部オーバーラップする部分を有するように作製した数個オリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNA をヒト抗体C 領域をコードするDNA と連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 239400 、国際特許出願公開番号WO 92-19759 参照)。

0041

CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、CDR が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体のCDR が適切な抗原結合部位を形成するように抗体のV 領域のFRのアミノ酸置換してもよい(Sato, K.et al., Cancer Res. (1993) 53,851-856 )。
キメラ抗体、ヒト型化抗体には、ヒト抗体C 領域が使用される。好ましいヒト抗体C 領域としては、C γが挙げられ、例えば、C γ1 、C γ2 、C γ3 、C γ4 を使用することができる。また、抗体またはその産生の安定性を改善するために、ヒト抗体C 領域を修飾してもよい。

0042

キメラ抗体はヒト以外の哺乳動物抗体由来のV 領域とヒト抗体由来のC 領域からなり、ヒト型化抗体はヒト以外の哺乳動物抗体由来のCDRとヒト抗体由来のFRおよびC 領域からなり、ヒト体内における抗原性が低下しているため、本発明の治療剤の有効成分として有用である。
本発明に使用されるヒト型化抗体の好ましい具体例としては、ヒト型化PM-1抗体が挙げられる(国際特許出願公開番号WO 92-19759 参照)。

0043

6.抗体断片および抗体修飾物
本発明で使用される抗体は、本発明に好適に使用され得るかぎり、抗体断片や抗体修飾物であってよい。例えば、抗体断片としては、Fab、F(ab')2 、FvまたはシングルチェインFv(scFv)が挙げられる。scFvはH鎖とL 鎖のFvを適当なリンカーで連結させた構造を有する。

0044

これらの抗体断片を得るためには、抗体を酵素、例えば、パパインペプシンで処理し抗体断片を生成させるか、または、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる(例えば、Co, M.S. et al., J. Immunol. (1994) 152, 2968-2976、Better, M. & Horwitz, A. H. Methodsin Enzymology (1989) 178, 476-496, Academic Press, Inc. 、Plueckthun, A. & Skerra, A. Methods in Enzymology (1989) 178, 476-496, Academic Press, Inc. 、Lamoyi, E., Methods in Enzymology (1989) 121, 652-663 、Rousseaux, J. et al., Methods in Enzymology(1989) 121, 663-669 、Bird, R. E. et al., TIBTECH (1991) 9, 132-137 参照)。

0045

scFvは、抗体のH 鎖V 領域とL 鎖V 領域を連結することにより得られる(国際特許出願公開番号WO 88-09344 参照)。このscFvにおいて、H 鎖V 領域とL 鎖V 領域はリンカー、好ましくは、ペプチドリンカーを介して連結される(Huston, J. S. et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1988) 85, 5879-5883)。scFvにおけるH 鎖V 領域およびL 鎖V 領域は、上記抗体として記載されたもののいずれの由来であってもよい。V 領域を連結するペプチドリンカーとしては、例えばアミノ酸12-19 残基からなる任意の一本鎖ペプチドが用いられる(米国特許US 5525491参照)。

0046

scFvをコードするDNA は、前記抗体のH 鎖または、H 鎖V 領域をコードするDNA 、およびL 鎖または、L 鎖V 領域をコードするDNA を鋳型とし、それらの配列のうちの所望のアミノ酸配列をコードするDNA 部分を、その両端を規定するプライマー対を用いてPCR法により増幅し、次いで、さらにペプチドリンカー部分をコードするDNA およびその両端を各々H 鎖、L 鎖と連結されるように規定するプライマー対を組み合せて増幅することにより得られる。
また、一旦scFvをコードするDNA が作製されれば、それらを含有する発現ベクター、および該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って得ることができる。また、その宿主を用いて常法に従って、scFvを得ることができる。

0047

これら抗体断片は、前述のようにその遺伝子を取得し発現させ、宿主により産生させることができる。本願特許請求の範囲でいう「抗体」にはこれらの抗体断片も包含される。
抗体修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG )等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。本願特許請求の範囲でいう「抗体」にはこれらの抗体修飾物も包含される。このような抗体修飾物を得るには、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。これらの方法はこの分野においてすでに確立されている。

0048

7.発現および産生
前記のように構築した抗体遺伝子は、公知の方法により発現させ、抗体を取得することができる。哺乳類細胞を使用する場合、常用される有用なプロモーター/エンハンサー、発現される抗体遺伝子、その3'側下流にポリAシグナルを機能的に結合させたDNA あるいはそれを含むベクターにより発現させることができる。例えばプロモーター/エンハンサーとしては、ヒトサイトメガロウィルス前期プロモーター/エンハンサー(human cytomegalovirus immediate early promoter/enhancer )を挙げることができる。

0049

また、その他に本発明で使用される抗体発現に使用できるプロモーター/エンハンサーとして、レトロウィルスポリオーマウィルスアデノウィルスシミアンウィルス40SV40 )等のウィルスプロモーター/エンハンサーやヒトエロンゲーションファクター1 α(HEF1α)などの哺乳類細胞由来のプロモーター/エンハンサーを用いればよい。
例えば、SV 40 プロモーター/エンハンサーを使用する場合、Mulliganらの方法(Nature (1979) 277, 108)、また、HEF1αプロモーター/エンハンサーを使用する場合、Mizushima らの方法(Nucleic AcidsRes. (1990) 18, 5322)に従えば容易に実施することができる。

0050

大腸菌の場合、常用される有用なプロモーター、抗体分泌のためのシグナル配列、発現させる抗体遺伝子を機能的に結合させて発現させることができる。例えばプロモーターとしては、lacZプロモーター、araBプロモーターを挙げることができる。lacZプロモーターを使用する場合、Wardらの方法(Nature (1098) 341, 544-546;FASEB J. (1992) 6, 2422-2427)、araBプロモーターを使用する場合、Betterらの方法(Science (1988) 240, 1041-1043 )に従えばよい。
抗体分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、pelBシグナル配列(Lei, S. P. et al J. Bacteriol. (1987) 169, 4379 )を使用すればよい。ペリプラズムに産生された抗体を分離した後、抗体の構造を適切にリフォールド(refold)して使用する(例えば、国際特許出願公開番号WO96-30394、日本特許出願公告特公平7-93879 を参照)。

0051

複製起源としては、SV40 、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、ウシパピローマウィルス(BPV)等の由来のものを用いることができる。さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクターは選択マーカーとして、アミノグリコシドトランスフェラーゼ(APH )遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等を含むことができる。
本発明で使用される抗体の製造のために、任意の産生系を使用することができる。抗体製造のための産生系は、in vitroおよびin vivo の産生系がある。in vitroの産生系としては、真核細胞を使用する産生系や原核細胞を使用する産生系が挙げられる。

0052

真核細胞を使用する場合、動物細胞植物細胞真菌細胞を用いる産生系がある。動物細胞としては、(1)哺乳類細胞、例えばCHO (J. Exp. Med. (1995) 108, 945)、COS 、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney )、HeLa、Vero、(2)両生類細胞、例えばアフリカツメガエル卵母細胞(Valle, et al., Nature (1981) 291, 358-340 )、あるいは(3)昆虫細胞、例えばsf9 、sf21、Tn5 が知られている。CHO 細胞としては、特にDHFR遺伝子を欠損したCHO 細胞であるdhfr-CHO(Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1980) 77, 4216-4220 )やCHO K-1 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1968) 60, 1275)を好適に使用することができる。

0053

植物細胞としては、Nicotiana tabacum由来の細胞が知られており、これをカルス培養すればよい。真菌細胞としては、酵母、例えばサッカロミセス(Saccharomyces )属、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、糸状菌、例えばアスペルギウス属(Aspergillus )属、例えばアスペルウスニガー(Aspergillus niger )などが知られている。
原核細胞を使用する場合、細菌細胞を用いる産生系がある。細菌細胞としては、大腸菌(E. coli )、枯草菌が知られている。

0054

これらの細胞に、目的とする抗体遺伝子を形質転換により導入し、形質転換された細胞をin vitroで培養することにより抗体が得られる。培養は、公知の方法に従い行う。例えば、培養液として、DMEM、MEM、RPMI1640、IMDMを使用することができる。その際、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできるし、無血清培養してもよい。また、抗体遺伝子を導入した細胞を動物の腹腔等へ移すことにより、in vivo にて抗体を産生してもよい。

0055

一方、in vivo の産生系としては、動物を使用する産生系や植物を使用する産生系が挙げられる。これらの動物または植物に抗体遺伝子を導入し、動物または植物の体内で抗体を産生させ、回収する。
動物を使用する場合、哺乳類動物昆虫を用いる産生系がある。
哺乳類動物としては、ヤギブタヒツジ、マウス、ウシを用いることができる(Vicki Glaser,SPECTRUM Biotechnology Applications, 1993 )。また、哺乳類動物を用いる場合、トランスジェニック動物を用いることができる。

0056

例えば、抗体遺伝子をヤギβカゼインのような乳汁中固有に産生される蛋白質をコードする遺伝子の途中に挿入して融合遺伝子として調製する。抗体遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA 断片をヤギのへ注入し、この胚を雌のヤギへ導入する。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギまたはその子孫が産生する乳汁から所望の抗体を得る。トランスジェニックヤギから産生される所望の抗体を含む乳汁量を増加させるために、適宜ホルモンをトランスジェニックヤギに使用してもよい。(Ebert, K.M. et al., Bio/Technology (1994) 12, 699-702 )。

0057

また、昆虫としては、例えばカイコを用いることができる。カイコを用いる場合、目的の抗体遺伝子を挿入したバキュロウィルスをカイコに感染させ、このカイコの体液より所望の抗体を得る(Susumu, M. et al., Nature (1985) 315, 592-594 )。
さらに植物を使用する場合、例えばタバコを用いることができる。タバコを用いる場合、目的の抗体遺伝子を植物発現用ベクター、例えばpMON 530に挿入し、このベクターをAgrobacterium tumefaciens のようなバクテリアに導入する。このバクテリアをタバコ、例えばNicotiana tabacum に感染させ、本タバコの葉より所望の抗体を得る(Julian, K.-C. Ma et al., Eur. J. Immunol. (1994) 24, 131-138)。

0058

上述のようにin vitroまたはin vivo の産生系にて抗体を産生する場合、抗体のH 鎖またはL 鎖をコードするDNA を別々に発現ベクターに組み込んで宿主を同時形質転換させてもよいし、あるいはH 鎖およびL 鎖をコードするDNA を単一の発現ベクターに組み込んで、宿主を形質転換させてもよい(国際特許出願公開番号WO 94-11523 参照)。
宿主への発現ベクターの導入方法としては、公知の方法、例えばリン酸カルシウム法(Virology (1973) 52, 456-467 )やエレクトロポレーション法(EMBO J. (1982) 1, 841-845 )等が用いられる。

0059

8. 抗体の分離、精製
前記のように産生、発現された抗体は、細胞内外、宿主から分離し均一にまで精製することができる。本発明で使用される抗体の分離、精製は、通常の蛋白質の精製で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば、アフィニティークロマトグラフィー等のクロマトグラフィーカラムフィルター限外濾過塩析透析等を適宜選択、組み合わせれば抗体を分離、精製することができる(Antibodies: A Laboratory Manual. Ed Harlow and David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)。

0060

アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、例えばプロテインAカラム、プロテインG カラムが挙げられる。プロテインA カラムに用いる担体として、例えばHyper D 、POROS 、Sepharose F.F. (Pharmacia)等が挙げられる。
アフィニティークロマトグラフィー以外のクロマトグラフィーとしては、例えばイオン交換クロマトグラフィー疎水性クロマトグラフィーゲル濾過逆相クロマトグラフィー吸着クロマトグラフィー等が挙げられる(Strategies for Protein Purification and Characterization: A Laboratory Course Manual. Ed Daniel R. Marshak et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1996)。
これらのクロマトグラフィーは、液相クロマトグラフィー、例えばHPLCFPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。

0061

9. 抗体の濃度測定
得られた抗体の濃度測定は、吸光度の測定または酵素結合免疫吸着検定法(enzyme-linked immunosorbent assay;ELISA)等により行うことができる。すなわち、吸光度の測定による場合には、得られた抗体をPBSで適当に希釈した後、280 nmの吸光度を測定する。例えば、ヒト抗体の場合、1 mg/ml を1.35ODとして算出すればよい。

0062

また、ELISAによる場合は以下のように測定することができる。すなわち、0.1M重炭酸緩衝液(pH9.6 )で1 mg/ml に希釈したヤギ抗ヒトIgG(TAGO製)100 ml を96穴プレート(Nunc製)に加え、4℃で一晩インキュベートし、抗体を固層化する。ブロッキングの後、適宜希釈した本発明で使用される抗体または抗体を含むサンプル、あるいは濃度標準品として既知の濃度のヒトIgG (CAPPEL製)100 ml を添加し、室温にて1時間インキュベートする。
洗浄後、5000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgG (BIO SOURCE製)100ml を加え、室温にて1時間インキュベートする。洗浄後、基質溶液を加えインキュベートの後、MICROPLATE READERModel 3550(Bio-Rad 製)を用いて405nm での吸光度を測定し、目的の抗体の濃度を算出する。
また、抗体の濃度測定には、BIAcore (Pharmacia 製)を使用することができる。

0063

10. 抗体の活性の確認
本発明で使用される抗IL-6レセプター抗体の抗原結合活性、結合阻害活性中和活性の評価は、通常知られた方法を使用することができる。例えば、IL-6反応性細胞、例えばMH60.BSF2 を培養したプレートにIL-6を添加する。ついで抗IL-6レセプター抗体を共存させることによりIL-6反応性細胞の3H標識チミジン取込みを指標として評価すればよい。
また、IL-6レセプター発現細胞、例えばU266を培養したプレートに抗IL-6レセプター抗体と125I標識IL-6を加える。そして、IL-6レセプター発現細胞に結合した125I標識IL-6を測定することにより評価すればよい(Antibodies: A Laboratory Manual. Ed Harlow and David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)。

0064

また、本発明で使用される抗IL-6レセプター抗体の抗原結合活性を測定する方法として、ELISA、EIA酵素免疫測定法)、RIA放射免疫測定法)あるいは蛍光抗体法を用いることができる。
例えば、ELISA を用いる場合、IL-6レセプター抗体に対する抗体、例えばそのC 領域に対する抗体を固相化した96穴プレートにIL-6レセプターを添加し、次いで目的の抗IL-6レセプター抗体を含む試料、例えば抗IL-6レセプター抗体産生細胞の培養上清や精製抗体を加える。

0065

アルカリフォスファターゼ等の酵素で標識した目的の抗IL-6レセプター抗体を認識する二次抗体を添加し、プレートをインキュベートおよび洗浄した後、p-ニトロフェニルリン酸等の酵素基質を加えて吸光度を測定することにより抗原結合活性を評価することができる。IL-6レセプターとして、可溶性IL-6レセプターを使用してもよい。
本発明で使用される抗IL-6レセプター抗体のリガンドレセプター結合阻害活性を測定する方法としては、通常のCellELISA、あるいはリガンドレセプター結合アッセイを用いることができる。

0066

例えば、Cell ElLISAの場合、IL-6レセプターを発現する細胞を96穴プレートで培養して接着させ、パラホルムアルデヒド等で固定化する。または、IL-6レセプターを発現する細胞の膜分画を調製して固相化した96穴プレートを作製する。このプレートに目的の抗IL-6レセプター抗体を含む試料、例えば抗IL-6レセプター抗体産生細胞の培養上清や精製抗体を、放射性同位元素、例えば125I等で標識したIL-6を添加する。
プレートをインキュベートおよび洗浄した後、放射活性を測定することでIL-6レセプターに結合したIL-6量を測定でき、抗IL-6レセプター抗体のリガンドレセプター結合阻害活性を評価することができる。

0067

例えば、細胞上のIL-6レセプターに対するIL-6の結合阻害アッセイには、IL-6レセプターを発現する細胞を遠心分離等の手段で分離した後、細胞懸濁液として調製する。放射性同位元素、例えば125I等で標識したIL-6の溶液あるいは非標識IL-6と標識IL-6の混合溶液と濃度調製した抗IL-6レセプター抗体を含む溶液を細胞懸濁液に添加する。一定時間の後、細胞を分離し細胞上に結合した標識IL-6の放射活性を測定すればよい。
上記抗体の活性評価には、BIAcore (Pharmacia 製)を使用することができる。

0068

11.治療効果の確認
本発明の予防および/または治療剤の治療対象疾患は、全身性エリテマトーデスである。本発明により達成される効果を確認するには、抗IL-6レセプター抗体を、ヒトの全身性エリテマトーデスの病態を呈するモデル動物に投与することにより効果を確認することができる。
使用されるモデル動物としては、ヒトの全身性エリテマトーデスの病態を最もよくあらわすモデル動物が用いられる。ヒトの全身性エリテマトーデスの病態を最もよくあらわすモデル動物は、NZB/WF1マウスである。 NZB/WF1マウスはすでに知られており、入手可能なモデル動物である。

0069

全身性エリテマトーデスは、抗核抗体または抗DNA 抗体やその免疫複合体が各種臓器・組織に沈着することにより炎症反応が誘導されて生ずる全身性の自己免疫疾患である。抗核抗体または抗DNA 抗体やその免疫複合体が腎糸球体に沈着すると自己免疫性のループス腎炎が発症する。全身性エリテマトーデスでは血中IL-6の増加を示す患者は少なく、IL-6の病態への関与は否定的である(Peterson, E. et al., Lupus. (1996) 5, 571-576 )。

0070

IL-6は腎糸球体に存在するメサンジウム細胞に直接作用し、メサンジウム細胞を増殖させることにより糸球体腎炎を誘導することが報告されている(Suematsu, S. et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA (1989) 86, 7547-7551)。ループス腎炎は糸球体にIgGクラスの抗核抗体または抗DNA 抗体やその免疫複合体が沈着し、糸球体で炎症反応が誘導されることにより糸球体が傷害を受けて腎炎を発症することから、発症機序においてIL-6により誘導されるメサンジウム増殖性糸球体腎炎と区別される。

0071

後述の実施例に示されるように、 NZB/WF1マウスへ抗IL-6レセプター抗体を投与することにより、IgGクラスの抗DNA 抗体の抑制および尿タンパクの漏出抑制が認められた。NZB/WF1 マウスはヒトの全身性エリテマトーデスの病態を最もよく反映しているモデル動物であることから、抗IL-6レセプター抗体は全身性エリテマトーデスに対して治療効果を有することが示された。
したがって、本発明の予防および/または治療剤は、全身性エリテマトーデスの予防および/または治療剤として有用である。また、本発明の予防および/または治療剤は、全身性エリテマトーデスにおける抗DNA 抗体を減少させるための予防および/または治療剤および全身性エリテマトーデスにおける尿タンパク漏出を減少させるための予防および/または治療剤として有用である。

0072

12.投与経路および製剤
本発明の予防および/または治療剤は、経口的あるいは非経口的に全身あるいは局所的に投与することができる。非経口的投与投与としては、例えば、点滴などの静脈内注射筋肉内注射腹腔内注射皮下注射を選択することができ、患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。

0073

本発明の予防および/または治療剤は、病気に既に悩まされる患者に、病気の症状を治癒するか、あるいは少なくとも部分的に阻止するために十分な量で投与される。例えば、有効投与量は、一回につき体重1 kgあたり0.01 mg から100 mgの範囲で選ばれる。あるいは、患者あたり1-1000 mg 、好ましくは5-50 mg の投与量を選ぶことができる。しかしながら、本発明の予防および/または治療剤はこれらの投与量に制限されるものではない。
投与時期は、全身性エリテマトーデスが生じてから投与してもよいし、あるいは全身性エリテマトーデスの発症が予測される時に発症時の症状緩和のために予防的に投与してもよい。
また、投与期間は、患者の年齢、症状により適宜選択することができる。

0074

本発明の予防および/または治療剤は、投与経路次第で医薬的に許容される担体や添加物を共に含むものであってもよい。このような担体および添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶媒コラーゲンポリビニルアルコールポリビニルピロリドンカルボキシビニルポリマーカルボキシメチルセルロースナトリウムポリアクリル酸ナトリウムアルギン酸ナトリウム水溶性デキストランカルボキシメチルスターチナトリウムペクチンメチルセルロースエチルセルロースキサンタンガムアラビアゴム、カゼイン、ゼラチン寒天ジグリセリンプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリンパラフィンステアリルアルコールステアリン酸ヒト血清アルブミンHSA)、マンニトールソルビトールラクトース医薬添加物として許容される界面活性剤などが挙げられる。使用される添加物は、剤型に応じて上記の中から適宜あるいは組合せて選択されるが、これらに限定されるものではない。

0075

以下、実施例、参考例および実験例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1. ヒト可溶性IL-6レセプターの調製
Yamasakiらの方法(Science (1988) 241, 825-828 )に従い得られたIL-6レセプターをコードするcDNAを含むプラスミドpBSF2R.236を用いて、PCR法により可溶性IL-6レセプターを作成した。プラスミドpBSF2R.236を制限酵素Sph I で消化して、IL-6レセプターcDNAを得、これをmp18(Amersham製)に挿入した。IL-6レセプターcDNAにストップコドンを導入するようにデザインした合成オリゴプライマーを用いて、インビトロミュータジェネシスシステム(Amersham製)により、PCR 法でIL-6レセプターcDNAに変異を導入した。この操作によりストップコドンがアミノ酸345 の位置に導入され、可溶性IL-6レセプターをコードするcDNAが得られた。

0076

可溶性IL-6レセプターcDNAをCHO細胞で発現するために、プラスミドpSV(Pharmacia 製)と連結させ、プラスミドpSVL344 を得た。dhfrのcDNAを含むプラスミドpECEdhfrにHindIII-Sal I で切断した可溶性IL-6レセプターcDNAを挿入し,CHO 細胞発現プラスミドpECEdhfr344 を得た。
10μg のプラスミドpECEdhfr344 をdhfr-CHO細胞株DXB-11(Urland et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1980) 77, 4216-4220)へカルシウムフォスフェイト沈降法(Chen et al., Mol. Cell. Biol. (1987) 7, 2745-2751 )により、トランスフェクトした。トランスフェクトしたCHO 細胞を1mMグルタミン、10%透析FCS、100U/ml のペニシリンおよび100 μ/ml のストレプトマイシンを含むヌクレオシド不含αMEM選択培養液で3 週間培養した。

0077

選択されたCHO細胞を限界希釈法でスクリーニングし、単一のCHO細胞クローンを得た。このCHO 細胞クローンを20nM-200nMの濃度のメトトレキセートMTX )で増幅し、ヒト可溶性IL-6レセプター産生CHO細胞株5E27を得た。CHO 細胞株5E27を5%FBSを含むイスコーブ改変ダルベコ培養液(IMDM、Gibco 製)で培養した。培養上清を回収し、培養上清中の可溶性IL-6レセプターの濃度をELISAにて測定した。

0078

参考例2.抗ヒトIL-6レセプター抗体の調製
Hirataらの方法(J. Immunol., 143:2900-2906, 1989)により作成した抗IL-6抗体MT18をCNBrにより活性化させたセファロース4B(Pharmacia Fine Chemicals製, Piscataway, NJ)と添付の処方にしたがって結合させ、IL-6レセプター(Science (1988) 241, 825-828 )を精製した。ヒトミエローマ細胞株U266を1%ジギトニン(Wako Chemicals製),10mMトリエタノールアミン(pH 7.8)および0.15M NaClを含む1mM p-パラアミノフェニルメタンスルフォニルフルオライドハイドロクロリド(Wako Chemicals製)(ジギトニン緩衝液)で可溶化し、セファロース4Bビーズと結合させたMT18抗体と混合した。その後、ビーズをジギトニン緩衝液で6 回洗浄し、免疫するための部分精製IL-6レセプターとした。

0079

BALB/cマウスを3 ×109 個のU266細胞から得た上記部分精製IL-6レセプターで10日おきに4 回免疫し、その後常法によりハイブリドーマを作成した。成長陽性穴からのハイブリドーマ培養上清を下記の方法にてIL-6レセプターへの結合活性を調べた。5 ×107 個のU266細胞を35S-メチオニン(2.5mCi)で標識し、上記ジギトニン緩衝液で可溶化した。可溶化したU266細胞を0.04ml容量のセファロース4Bビーズと結合させたMT18抗体と混合し、その後、ジギトニン緩衝液で6 回洗浄し、0.25mlのジギトニン緩衝液(pH3.4 )により35S-メチオニン標識IL-6レセプターを流出させ、0.025ml の1M Tris (pH 7.4)で中和した。

0080

0.05mlのハイブリドーマ培養上清を0.01mlのProtein Gセファロース(Phramacia 製)と混合した。洗浄した後、セファロースを上記で調製した0.005ml の35S 標識IL-6レセプター溶液とともにインキュベートした。免疫沈降物質をSDS-PAGEで分析し、IL-6レセプターと反応するハイブリドーマ培養上清を調べた。その結果、反応陽性ハイブリドーマクローンPM-1を樹立した。ハイブリドーマPM-1から産生される抗体は、IgG1κ型のサブタイプを有する。

0081

ハイブリドーマPM-1が産生する抗体のヒトIL-6レセプターに対するIL-6の結合阻害活性をヒトミエローマ細胞株U266を用いて調べた。ヒト組換型IL-6を大腸菌より調製し(Hiranoら,Immunol. Lett. (1988) 17, 41)、ボルトンハンター試薬(New England Nuclear 製, Boston, MA)により 125I標識した(Taga, T. et al., J. Exp. Med. (1987) 166, 967-981 )。4 ×105 個のU266細胞を100 倍量の過剰な非標識IL-6の存在下で室温にて、1 時間、70% (v/v )のハイブリドーマPM-1の培養上清を14000cpmの 125I標識IL-6とともに培養した。70μl のサンプルを400 μl のマイクロフユージポリエチレンチューブに300 μl のFCS上に重層し、遠心の後、細胞上の放射活性を測定した。
その結果、ハイブリドーマPM-1が産生する抗体は、IL-6のIL-6レセプターに対する結合を阻害することが明らかとなった。

0082

参考例3.抗マウスIL-6レセプター抗体の調製
Saito, et al., J. Immunol. (1993) 147, 168-173に記載の方法により、マウスIL-6レセプターに対するモノクローナル抗体を調製した。
マウス可溶性IL-6レセプターを産生するCHO細胞を10%FCSを含むIMDM培養液で培養し、その培養上清からマウス可溶性IL-6レセプターRS12(上記Saito, et al参照)とAffigel 10ゲル(Biorad製)に固定したアフィニティーカラムを用いてマウス可溶性IL-6レセプターを精製した。

0083

得られたマウス可溶性IL-6レセプター50μg をフロイント完全アジュバンドと混合し、ウィスターラット(日本チャールズリバー製)の腹部に注射した。2 週間後からはフロイント不完全アジュバンドで追加免疫した。45日目にラットを屠殺し、その脾細胞約2 ×108 個を1 ×107 個のマウスミエローマ細胞P3U1と50% のPEG1500 (ベーリンガーマンハイム製)をもちいて常法により細胞融合させた後、HAT培地にてハイブリドーマをスクリーニングした。

0084

ウサギ抗ラットIgG抗体(カッペル製)をコートしたプレートにハイブリドーマ培養上清を加えた後、マウス可溶性IL-6レセプターを反応させた。次いで、ウサギ抗マウスIL-6レセプター抗体およびアルカリフォスファターゼ標識ヒツジ抗ウサギIgG によるELISA方によりマウス可溶性IL-6レセプターに対する抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングした。抗体の産生が確認されたハイブリドーマクローンは2 回のサブスクリーニングを行い、単一のハイブリドーマクローンを得た。このクローンをMR16-1と名付けた。

0085

このハイブリドーマが産生する抗体のマウスIL-6の情報伝達における中和活性をMH60.BSF2細胞(Matsuda et al., J. immunol. (1988) 18, 951-956)を用いた3H標識チミジンの取込みで調べた。96ウェルプレートにMH60.BSF2 細胞を1 ×104 個/200μl/ウェルとなるように調製した。このプレートに10pg/ml のマウスIL-6とMR16-1抗体またはRS12抗体を12.3-1000ng/mlを加えて37℃、5%CO2 で44時間培養した後、1 μCi/ ウェルの3H標識チミジンを加えた。4 時間後に3H標識チミジンの取込みを測定した。その結果MR16-1抗体はMH60.BSF2 細胞の3H標識チミジン取込みを抑制した。
したがって、ハイブリドーマMR16-1が産生する抗体は、IL-6のIL-6レセプターに対する結合を阻害することが明らかとなった。

0086

参考例4.ヒト型化PM-1抗体の作成
ヒト型化PM-1抗体を国際特許出願公開番号WO92-19759に記載の方法により得た。参考例2で作成されたハイブリドーマPM-1から常法により全RNA を調製し、これより一本鎖cDNAの合成を行った。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によりマウスPM-1抗体の可変領域(V領域)をコードするDNA を増幅した。PCR 法には、Jones, S.T.et al., Bio/Tcchnology(1991)9, 88-89 に記載されたプライマーを使用した。

0087

PCR法により増幅したDNA 断片を精製し、マウスk型L鎖V領域をコードする遺伝子を含むDNA 断片及びマウスγ型H鎖V領域をコードする遺伝子を含むDNA を断片を得た。これらのDNA 断片をプラスミドpUC19 に連結し、大腸菌DH5 αのコンピテント細胞に導入して大腸菌形質転換体を得た。この形質転換体から上記プラスミドを得、プラスミド中のcDNAコード領域の塩基配列を常法にしたがい決定し、さらに各V領域の相補性決定領域(CDR)を決定した。

0088

キメラPM-1抗体を発現するベクターを作製するため、マウスPM-1抗体のk型L鎖及びH鎖の各々V領域をコードするcDNAをHCMV発現ベクターに挿入した。産生されたキメラPM-1抗体が正しい抗原結合活性を有することを確認した後、CDR-grafting法によりヒト型化PM-1抗体を作製した。クレームワーク領域(FR) のアミノ酸を置換し、キメラ抗体と同程度の抗原結合活性を有するヒト型化PM-1抗体を作製した。

0089

得られたヒト型化PM-1抗体のL鎖及びII鎖をコードする遺伝子を哺乳類細胞中で発現させるため、各々をヒトエロンゲーションファクター1α(HEF-1 α)プロモーターを含むベクターに導入した。これらの発現ベクターでCHO細胞を同時形質転換することにより、ヒト型化PM-1抗体を産生するCHO細胞株を樹立した。得られたヒト型化PM-1抗体が、ヒトIL-6レセプターへの抗原結合活性を有することをELISAにより確認した。さらに、ヒト型化PM-1抗体はマウスPM-1抗体及びキメラPM-1抗体と同程度に、ヒトIL-6のヒトIL-6レセプターへの結合を阻害した。

0090

実施例1.
MR16-1およびKH-5(抗DNP-KLH抗体)はラットのIgGであり、マウスに連続投与するとラットIgG に対する抗体の産生やショック症状を引き起こす可能性がある。そこで、MR16-1やKH-5の投与を開始する前に、これら抗体に対する免疫寛容をFinck, B. K. et al., J. Clin. Invest. (1994) 94, 585-591に記載の方法を用いて誘導した。

0091

すなわち、13週齢雌性NZB/W F1マウス(一群10匹(ただしVehicle投与9 匹))に抗CD4 抗体(GK1.5 )1 mgを3日間連続して腹腔内投与し、0.5 mg のMR16-1あるいはKH-5を2回目の抗CD4 抗体の投与と同時に腹腔内に投与した。その後、MR16-1(0.5 mg)、コントロール抗体として同量のKH-5およびビヒクル・コントロールとしてsalineを週1回、64週齢まで腹腔内投与し、尿タンパク排泄量および血中抗DNA 抗体量を定期的に測定した。

0092

また、血中の免疫グロブリン量についても測定した。尿タンパク量の測定は、コンビスティックス紙(バイエル三共製)を用いて行い、タンパク量が100 mg/dl を越えた個体を陽性とした。結果は図1に示す。さらに生存日数についても観察した。結果を図2に示す。血中の抗DNA 抗体量はELISA法により測定した。結果(平均±標準誤差)を図3に示す。血中の免疫グロブリン量は放射免疫拡散法にて測定した。結果(平均±標準誤差)を表1に示す。

0093

0094

表1 は、血中の免疫グロブリン量に及ぼすMR16-1の効果を示す。表中、IgGサブクラス(subclass)、IgMIgAについての結果は32週齢時のものである。
すなわち、ビヒクル投与群では28週齢から、KH-5投与群では38週齢から尿タンパクの排泄がみられ、実験終了の64週齢ではビヒクル投与群では全例のマウスが、また、KH-5投与群では90% のマウスが陽性となったのに対して、MR16-1投与群では尿タンパクの出現時期が著明に延長され、発症率も著明に抑制された。

0095

生存日数においてもMR16-1は明らかに生存日数を延長し、64週齢までに1匹が死亡したにすぎなかった。また、抗DNA 抗体量においては、MR16-1投与群ではIgGクラスの抗DNA 抗体の産生が著明に抑制されたが、IgMクラスの抗体には影響が見られなかった。血中の免疫グロブリン量においては、MR16-1投与群ではIgG1, IgG2およびIgG3量が減少していたが、IgM およびIgA量には影響が見られなかった。
以上の成績から、抗IL-6レセプター抗体は全身性エリテマトーデスの予防および/または治療剤として有用であることが明らかになった。

0096

IL-6の生物学的活性を阻害するには、抗IL-6抗体と抗IL-6レセプター抗体を使用することが考えられるが、全身性エリテマトーデスにおいて抗IL-6レセプター抗体は抗IL-6抗体に比べ、治療効果が強いと考えられる。
本発明において抗IL-6レセプター抗体を使用した場合、1例のマウスを除いて腎炎の発症は全く見られなかったのに対して、 Finck, B. K. et al., J. Clin. Invest. (1994) 94, 585-591 の実験では抗IL-6抗体を使用したことにより、7ヶ月齢から腎炎を発症するマウスが増加しており、9ヶ月齢以降も増加する可能性が考えられる。このことから、抗IL-6抗体は抗IL-6レセプター抗体に比べて効果が不十分であると推測される。

0097

また、Finck らの報告では、血中の免疫グロブリン量の変化として、IgG1では2%減少, IgG2a では12% 減少, IgG3では92% 増加であり、血中の免疫グロブリン量には抗IL-6抗体は影響を及ぼさなかったと述べている。一方、本発明の抗IL-6レセプター抗体を用いた実験では、コントロール抗体投与群と比較して、IgG1は27% 、IgG2a は23% 、IgG3は32% 減少していた。この結果からも抗IL-6レセプター抗体の方が効果が強いと思われる。

0098

これまでに抗IL-6抗体をヒトやマウスに投与した場合、血中のIL-6濃度が著しく上昇することが数多く報告されている(Wendling, D. et al., J.Rheumatol. (1993) 20, 259-262, Heremans, H. et al., Eur.J.Immunol. (1992) 22, 2395-2401)。さらにIL-6と抗IL-6抗体を同時投与するとIL-6の活性が著しく上昇することも見出されている(Mihara, M. et al., Immunology (1991) 74, 55-59)。
本発明において、抗IL-6レセプター抗体を投与したマウスの血中のIL-6濃度を測定したところ、測定限界以下であった。したがって、抗IL-6レセプター抗体を投与しても、血中のIL-6は上昇しない可能性が示唆された。この事実から考えて、抗IL-6抗体より抗IL-6レセプター抗体の方が優れていると考えられる。

実施例

0099

〔発明の効果〕
本発明により、抗IL-6レセプター抗体が全身性エリテマトーデスの治療効果を有することが示された。したがって、抗IL-6レセプター抗体は全身性エリテマトーデスの予防および/または治療剤として有用である。
また、抗IL-6レセプター抗体は全身性エリテマトーデスにおける抗DNA 抗体を減少させるための予防および/または治療剤および全身性エリテマトーデスにおける尿タンパク漏出を減少させるための予防および/または治療剤として有用である。

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