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技術 免疫製剤を含む脳梗塞治療用医薬品組成物

出願人 国立大学法人新潟大学
発明者 下畑享良
出願日 2015年1月27日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2015-013312
公開日 2015年5月28日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2015-098474
状態 拒絶査定
技術分野 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 影響評価 麻痺側 ペナンブラ OEM 脳梗塞発症 虚血中心 レーザードップラー血流計 血流値
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年5月28日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (10)

課題

解決手段

血栓溶解薬、及び、血管内皮増殖因子VEGF)と前記VEGFの受容体との結合を阻害する結合阻害剤を含む脳梗塞の治療用医薬品組成物である。本発明の脳梗塞の治療用医薬品組成物は、脳梗塞急性期徒過後の患者に投与される場合がある。本発明の脳梗塞の治療用医薬品組成物は、組織型プラスミノゲンアクチベーター(t−PA)又はその誘導体を含む場合がある。本発明の脳梗塞の治療用医薬品組成物は、抗VEGF−A中和抗体又はその誘導体を含む場合がある。

概要

背景

脳梗塞は、脳における局所的な血流遮断即ち虚血によって生じる。脳梗塞急性期の虚
血中心部分は血流を再開しても不可逆的で細胞死に至るが、その周囲には可逆的な不完全
虚血領域が存在し、特に、ペナンブラと呼ばれる。前記虚血中心部分は治療を施さない限
り拡大し、ペナンブラは徐々に消失する。この結果、病理学的には脳梗塞部分が拡大され
臨床的には機能障害が生じ、最悪の場合には死に至る。脳梗塞急性期の治療目的は、前
記ペナンブラでの血流を回復することである。前記回復は、虚血の程度及びその持続時間
に依存する。つまり、前記ペナンブラへの血流をいかに迅速に再開させるかが脳梗塞の早
期回復を決定する。

組織型プラスミノゲンアクチベーター(以下、「t−PA」と称することがある。)
は、虚血の原因となっている血栓を溶解することによってペナンブラへの血液供給を再開
させる血栓溶解療法として有効なので、脳梗塞急性期の治療薬として承認されている。し
かし、脳梗塞急性期徒過後患者へのt−PA投与は有効ではなく、むしろ脳出血合併
症と、予後の増悪とをもたらすので、脳梗塞急性期徒過後、即ち、脳梗塞の発症から3時
間以上経過後の患者へのt−PAの投与は禁忌とされている。

したがって、脳梗塞急性期徒過後の患者にも投与できる脳梗塞治療用医薬品組成物の早
急な開発が望まれているのが現状である。

概要

脳梗塞急性期徒過後の患者にも投与できる脳梗塞治療用医薬品組成物の提供。血栓溶解薬、及び、血管内皮増殖因子VEGF)と前記VEGFの受容体との結合を阻害する結合阻害剤を含む脳梗塞の治療用医薬品組成物である。本発明の脳梗塞の治療用医薬品組成物は、脳梗塞急性期徒過後の患者に投与される場合がある。本発明の脳梗塞の治療用医薬品組成物は、組織型プラスミノゲン・アクチベーター(t−PA)又はその誘導体を含む場合がある。本発明の脳梗塞の治療用医薬品組成物は、抗VEGF−A中和抗体又はその誘導体を含む場合がある。なし

目的

したがって、脳梗塞急性期徒過後の患者にも投与できる脳梗塞治療用医薬品組成物の早
急な開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

明細書に記載された発明。

技術分野

0001

本発明は、脳梗塞治療用医薬品組成物に関し、具体的には、血栓溶解薬、及び、血管内
増殖因子VEGF)と前記VEGFの受容体との結合阻害剤を含む、脳梗塞の治療用
医薬品組成物に関する。

背景技術

0002

脳梗塞は、脳における局所的な血流遮断即ち虚血によって生じる。脳梗塞急性期の虚
血中心部分は血流を再開しても不可逆的で細胞死に至るが、その周囲には可逆的な不完全
虚血領域が存在し、特に、ペナンブラと呼ばれる。前記虚血中心部分は治療を施さない限
り拡大し、ペナンブラは徐々に消失する。この結果、病理学的には脳梗塞部分が拡大され
臨床的には機能障害が生じ、最悪の場合には死に至る。脳梗塞急性期の治療目的は、前
記ペナンブラでの血流を回復することである。前記回復は、虚血の程度及びその持続時間
に依存する。つまり、前記ペナンブラへの血流をいかに迅速に再開させるかが脳梗塞の早
期回復を決定する。

0003

組織型プラスミノゲンアクチベーター(以下、「t−PA」と称することがある。)
は、虚血の原因となっている血栓を溶解することによってペナンブラへの血液供給を再開
させる血栓溶解療法として有効なので、脳梗塞急性期の治療薬として承認されている。し
かし、脳梗塞急性期徒過後患者へのt−PA投与は有効ではなく、むしろ脳出血合併
症と、予後の増悪とをもたらすので、脳梗塞急性期徒過後、即ち、脳梗塞の発症から3時
間以上経過後の患者へのt−PAの投与は禁忌とされている。

0004

したがって、脳梗塞急性期徒過後の患者にも投与できる脳梗塞治療用医薬品組成物の早
急な開発が望まれているのが現状である。

先行技術

0005

N.Engl. J. Med., 333:1581−1587 (1995)

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする
。即ち、本発明は、脳梗塞急性期徒過後の患者にも投与できる脳梗塞治療用医薬品組成物
を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、前記血栓溶解薬の脳梗塞急
性期徒過後の投与による脳出血の合併症や予後の増悪は、血栓溶解薬の投与により血流が
再開されると、血管内皮増殖因子(VEGF)の発現が増加し、これにより、VEGF受
容体シグナル伝達系活性化され、血管壁構築しているタンパク質の分解が促進される
ことによるものであることを見出した。
そこで、前記血栓溶解薬、及び、前記VEGFと前記VEGF受容体との結合を阻害
る結合阻害剤を併用することで、脳梗塞急性期徒過後、即ち、脳梗塞の発症から3時間以
上経過後の患者にも前記血栓溶解薬を投与できることを知見し、本発明の完成に至った。

0008

本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための
手段としては、以下の通りである。即ち、
<1>血栓溶解薬、及び、血管内皮増殖因子(VEGF)と前記VEGFの受容体と
の結合を阻害する結合阻害剤を含むことを特徴とする、脳梗塞の治療用医薬品組成物であ
る。
<2>脳梗塞急性期徒過後の患者に投与されることを特徴とする、前記<1>に記載
組成物である。
<3> 前記脳梗塞急性期は脳梗塞の発症から3時間以内であることを特徴とする、前
記<2>に記載の組成物である。
<4> 前記血栓溶解薬は組織型プラスミノゲン・アクチベーター(t−PA)又はそ
誘導体を含むことを特徴とする、前記<1>から<3>のいずれかに記載の組成物であ
る。
<5> 前記結合阻害剤は、VEGF及び前記VEGFの受容体の少なくともいずれか
と特異的に結合して、該VEGFのシグナル伝達を阻害する活性を有する、ポリクローナ
ル抗体又はモノクローナル抗体と、該抗体の抗原結合断片と、該抗原結合断片を含む組換
え抗体又はキメラ抗体と、これらの誘導体と、からなるグループから選択されることを特
徴とする、前記<1>から<4>のいずれかに記載の組成物である。
<6> 前記結合阻害剤はVEGF−Aと結合することを特徴とする、前記<1>から
<5>のいずれかに記載の組成物である。
<7> 前記VEGF特異的結合パートナーは抗VEGF−A中和抗体又はその誘導体
であることを特徴とする、前記<6>に記載の組成物である。

発明の効果

0009

本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、
脳梗塞急性期徒過後の患者にも投与できる脳梗塞治療用医薬品組成物を提供することがで
きる。

図面の簡単な説明

0010

図1Aは、従来のラット脳梗塞モデル作製手順を示す模式図である。
図1Bは、実施例1におけるラット脳梗塞モデルの作製手順を示す模式図である。
図2Aは、血栓注入による脳梗塞発症24時間後の動物の脳冠状切片写真である。
図2Bは、血栓注入による脳梗塞発症の1時間後にt−PAを投与した動物の脳冠状切片の写真である。
図2C、血栓注入による脳梗塞発症の4時間後にt−PAを投与した動物の脳冠状切片の写真である。
図3は、t−PA及び抗VEGF抗体併用投与後にVEGFの発現が抑制されることを示すウエスタンブロットの結果を示す図である。
図4Aは、血栓注入による脳梗塞発症の4時間後にt−PA及び抗VEGF抗体を併用投与したラットの発症24時間後のTTC染色脳冠状切片の脳梗塞の体積を示す棒グラフである。縦軸:脳梗塞の体積(mm3)。
図4Bは、血栓注入による脳梗塞発症の4時間後にt−PA及び抗VEGF抗体を併用投与したラットの発症24時間後のTTC染色脳冠状切片の浮腫の体積を示す棒グラフである。縦軸:浮腫の体積(mm3)。
図4Cは、血栓注入による脳梗塞発症の4時間後にt−PA及び抗VEGF抗体を併用投与したラットの発症24時間後のTTC染色脳冠状切片の脳出血量を示す棒グラフである。縦軸:脳出血量(mg/dL)。
図4Dは、血栓注入による脳梗塞発症の4時間後にt−PA及び抗VEGF抗体を併用投与したラットの発症24時間後の運動機能スケールを示す帯グラフである。縦軸:運動機能スケール。

0011

(脳梗塞の治療用医薬品組成物)
本発明の脳梗塞の治療用医薬品組成物は、血栓溶解薬、及び、血管内皮増殖因子(VE
GF)と前記VEGFの受容体との結合阻害剤を少なくとも含み、必要に応じて、更にそ
の他の成分を含有する。

0012

<血栓溶解薬>
前記血栓溶解薬としては、脳梗塞急性期の血栓溶解に適用することができれば、特に制
限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、組織型プラスミノゲン・アク
ベーター(t−PA)又はその誘導体、ウロキナーゼストレプトキナーゼ一本鎖
キナーゼ型プラスミノゲン・アクチベーター(u−PA)、デスモテプラーゼなどが挙
げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記血栓溶解薬は、組織型プラスミノゲン・アクチベーター(t−P
A)又はその誘導体を含むことが、血栓溶解の成功率を高めることができる点で好ましい

前記血栓溶解薬の製造方法としては、特に制限はなく、前記血栓溶解薬の種類などに応
じて適宜選択することができ、例えば、遺伝子組換え法、合成法などが挙げられる。また
、市販品を用いてもよい。
前記t−PAの誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することがで
き、例えば、前記t−PAに、糖鎖オリゴヌクレオチドポリヌクレオチドポリエチ
レングリコール、その他の医薬品として許容される添加剤処理剤を結合したものなどが
挙げられる。また、t−PAのアミノ酸配列において、1個又は数個アミノ酸置換
れたものであってもよい。
前記t−PA誘導体の具体的な例としては、モンテプラーゼ、パミテプラーゼ、レテプ
ラーゼ等の前記t−PAのアミノ酸配列において一部のアミノ酸が置換されたt−PA誘
導体テネクテプラーゼラノテプラーゼ等の前記t−PAのアミノ酸配列において一部
のアミノ酸が置換され、更に糖鎖が修飾されたt−PA誘導体などが挙げられる。

0013

前記脳梗塞の治療用医薬品組成物における、前記血清溶解薬含有量としては、特に制
限はなく、前記血清溶解薬の種類などに応じて適宜選択することができる。

0014

本発明における「脳梗塞急性期」とは、脳梗塞の発症の初期で、脳血流量の低下に伴う
脳神経機能障害が認められるが、前記血栓溶解薬による迅速な血流再開のみによって回復
可能な時期をいう。ここで、脳梗塞急性期は、一般的には脳梗塞の発症から3時間以内を
いう。

0015

本発明における「患者」とは、ヒトを含むがヒトに限られない。

0016

<結合阻害剤>
前記結合阻害剤は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)と、前記VEGF受容体との結
合を阻害することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる
が、前記VEGF及び前記VEGF受容体の少なくともいずれかと特異的に結合するもの
であることが好ましい。これにより、前記VEGFのシグナル伝達を阻害することができ
る。
前記結合阻害剤としては、例えば、前記VEGF及び前記VEGF受容体の少なくとも
いずれかと特異的に結合するレセプター又はリガンドなどが挙げられる。
前記レセプター又はリガンドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択するこ
とができ、例えば、タンパク質、炭水化物核酸、脂質、その他の生体高分子などが挙げ
られる。

0017

<<VEGFに特異的に結合する結合阻害剤>>
前記VEGFとは、脈管形成及び血管新生関与する一群糖タンパク質である。前記
VEGFが、血管内皮細胞表面に存在するVEGF受容体にリガンドとして結合すると、
VEGFシグナル伝達系が活性化される。脳梗塞においては、このVEGFシグナル伝達
系の活性化により血管壁を構築しているタンパク質の分解が促進され、脳出血の合併症が
起こることが本発明において確認された。
前記VEGFファミリーとしては、例えば、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−
C、VEGF−D、VEGF−E、胎盤増殖因子(PIGF)−1、PIGF−2などが
挙げられる。VEGFファミリーのそれぞれのメンバーには、更にいくつかの亜型が存在
し、例えば、ヒトのVEGF−Aには、アミノ酸数が121個(VEGF−A121)、
165個(VEGF−A165)、189個(VEGF−A189)、206個(VEG
F−A206)、145個(VEGF−A145)、183個(VEGF−A183)な
どが知られている。また、ヒトのVEGF−Bには、アミノ酸数が167個(VEGF−
B167)、186個(VEGF−B186)などが知られている。
前記VEGFに特異的に結合する結合阻害剤は、前記VEGFファミリーのいずれに結
合するものであってもよい。

0018

前記VEGFに特異的に結合する結合阻害剤としては、特に制限はなく、目的に応じて
適宜選択することができ、例えば、前記VEGFを認識するポリクローナル抗体又はモノ
クローナル抗体、該抗体の抗原結合断片、該抗原結合断片を含むキメラ抗体又は組換え
体(以下、「抗VEGF抗体など」と称することがある。)、及びこれらの誘導体からな
るグループから選択される場合がある。これらの中でも、前記VEGFに特異的に結合す
る結合阻害剤は、モノクローナル抗体が好ましく、抗VEGF−A中和抗体が、血管新生
時の血管の破綻に関与するVEGF−Aの、VEGF受容体への結合を効率よく阻害でき
る点でより好ましい。

0019

前記VEGFに特異的に結合する結合阻害剤の製造方法としては、特に制限はなく、目
的に応じて適宜選択することができ、例えば、遺伝子組換え法、合成法などが挙げられる
。また、市販品を用いてもよい。
また、前記VEGFに特異的に結合する結合阻害剤は、前記抗VEGF抗体など、及び
これらの誘導体の少なくともいずれかそのものであってもよく、ポリエチレングリコール
、その他の医薬品として許容される添加剤や処理剤等のその他の成分を結合又は添加して
もかまわない。前記VEGFに特異的に結合する結合阻害剤における、その他の成分の含
有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0020

−ポリクローナル抗体−
前記ポリクローナル抗体は、前記VEGFやこれらの断片を免疫原として、ほ乳類(例
えば、マウス、ラット、ウサギヒツジ又はヤギ)又は鳥類(例えば、ニワトリ)のいず
れかの動物宿主に注射される。VEGFの断片を免疫原とする場合には、ウシ血清アル
ミン又はスカシヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin
e)のような担体タンパク質と連結される場合に優れた免疫応答が誘発される場合がある

前記免疫原は、1回又は2回以上のブースター免疫を取り込んだ予め定められたスケ
ュールに従って、前記動物宿主に注射されることが好ましい。
前記免疫原は、完全又は不完全フロイントアジュバントその他の免疫増強剤に混合して
前記動物宿主に注射される場合がある。
前記ポリクローナル抗体は、かかる抗血清から、例えば適当な固体支持体に結合された
VEGFやこれらの断片を用いるアフィニティクロマトグラフィーによって精製され、V
EGFと、VEGF受容体との結合が阻害されることや、この結合阻害によりVEGFシ
ナル伝達を阻害できることを確認されたものの場合がある。
前記ポリクローナル抗体としては、例えば、ヒト組換えVEGF165を免疫源として
作製したウサギ抗ラットVEGF抗体IgG(RB−222、19kDa〜22kDa)
などが挙げられる。なお、前記RB−222は、VEGF165及びVEGF121を認
識することができる。

0021

−モノクローナル抗体−
前記モノクローナル抗体は、Kohler及びMilstein(Eur.J.Imm
unol.6:511−519(1976))の技術と、その改良技術を用いて調製され
る場合がある。これらの方法は、所望の特異性を有する抗体を産生できる不死性細胞株の
調製を伴う。
前記不死性細胞株は、前記ポリクローナル抗体の製造方法と同様の方法で免疫された動
宿主由来脾臓細胞から作製される場合がある。前記脾臓細胞は、様々な方法で不死化
され、抗体産生能を有する不死化細胞株が調製される。
前記脾臓細胞は、例えば、前記免疫された動物と同種かあるいは異種の動物由来のミエ
ローマ細胞との融合によって不死化される。当業者に周知の様々な融合技術を用いる場合
がある。

0022

例えば、前記脾臓細胞とミエローマ細胞とは、非イオン性界面活性剤と数分間混合され
、それから、ハイブリッド細胞の増殖は支持するがミエローマ細胞の増殖は支持しない選
培地低濃度プレートされる。好ましい選択技術は、HAT(ヒポキサンチンアミ
プテリンチミジン)選択を用いる。通常約1週間〜2週間の十分な時間の後、ハイブ
リッドコロニーが観察される。シングルコロニーが選択され、該シングルコロニーは、
HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン添加培地)等の培地で培養され、そ
培養上清が、前記VEGFやこれらの断片に対する結合活性についてテストされ、更に
、前記VEGFと、VEGF受容体との結合が阻害されることや、この結合阻害によりV
EGFシグナル伝達を阻害する活性についてもテストされる。反応性及び特異性が高いハ
イブドーマが好ましい。限界希釈法によるクローニングを繰り返すことにより、反応性
及び特異的が高い抗体を安定的に大量に産生するハイブリドーマクローンが選択される
。モノクローナル抗体は増殖中の選択されたハイブリドーマクローン由来細胞株コロ
ニー上清から単離される場合がある。
更に、マウスのような適当な脊椎動物宿主腹腔内に前記ハイブリドーマ細胞株を注射
するような、収率を向上させるための様々な技術が用いられる場合がある。
前記モノクローナル抗体は、前記ハイブリドーマ細胞腹水又は血液から回収される場合
がある。細胞屑由来の不純タンパク質等の汚染物は、クロマトグラフィーゲルろ過、沈
殿及び抽出のような従来技術によって前記抗体から除去される場合がある。

0023

また、前記モノクローナル抗体は、例えば、前記VEGFに対するマウスモノクローナ
ル抗体を遺伝子組み換えによってヒト化したベバシズマブ(Bevacizumab)、
前記ベバシズマブのFabフラグメントであり、前記VEGFとの結合が更に強くなるよ
うに遺伝子改変が行われたラニビズマブ(Ranibizumab)等のモノクローナル
抗体製剤の抗VEGF−A中和抗体などが挙げられる。前記モノクローナル抗体製剤は、
既に悪性腫瘍に対して臨床応用され、ヒトに対する安全性が確認されている。

0024

−抗原結合断片−
前記抗体の抗原結合断片は、抗原結合に関与する抗体の部分を指す。前記抗原結合部位
は、重(H)鎖及び軽(L)鎖のN末端可変(V)領域のアミノ酸残基によって形成さ
れる。
前記抗体の抗原結合断片は、それぞれタンパク質分解酵素パパイン又はペプシンイン
タクトなポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を分解して得られるFab断片又は
F(ab’)2断片の他、天然抗体分子抗原認識能及び結合能の多くを保持する抗原結
合部位を含む非共有結合的なVH及びVL領域のヘテロ2量体を含むFv断片を含む。

0025

組換え抗体
前記組換え抗体は、適当な細菌宿主への形質転換や、適当なほ乳類細胞宿主へのトラン
スフクションなどを含む抗体遺伝子の発現クローニングによって調製される場合がある

また、前記組換え抗体は、例えば、原核生物及び真核生物由来の遺伝子発現システム
用いて大量に調製することができる。

0026

−キメラ抗体−
前記キメラ抗体は、前記組換え抗体の抗原結合部位がVEGFと特異的に結合できるよ
うに同種又は異種の抗体の定常ドメインによって支持された融合タンパク質である。
前記キメラ抗体には、抗体軽鎖可変領域(VL)に操作可能に連結された抗体重鎖可変
領域(VH)を含む短鎖可変部抗体(scFv)と、ラクダ科(Camelidae、ラ
クダヒトコブラクダラマを含む)の動物が産生する軽鎖がないIgGのクラスである
ラクダ重鎖抗体(HCAb)又はその重鎖可変部ドメイン(VHH)とを含む。

0027

−誘導体−
前記VEGFと前記VEGF受容体との結合阻害活性を有する前記抗VEGF抗体など
の誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前
記抗VEGF抗体などに、糖鎖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポリエチレン
グリコール、その他の医薬品として許容される添加剤や処理剤等を結合したものなどが挙
げられる。

0028

前記抗VEGF抗体などの誘導体の具体的な例としては、前記VEGF遺伝子のエクソ
ン7部分に結合し、前記VEGFの生成を阻害するRNAアプタマーのペガプタニブなど
が挙げられる。

0029

また、前記抗VEGF抗体などに、糖鎖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポ
エチレングリコール、その他の医薬品として許容される添加剤や処理剤を添加したもの
であってもよい。
これらの糖鎖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポリエチレングリコール、添
加剤や処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0030

<<VEGF受容体に特異的に結合する結合阻害剤>>
前記VEGF受容体(VEGFR)とは、受容体型チロシンキナーゼ一種であり、リ
ガンドである前記VEGFによる血管内皮細胞の増殖や遊走の促進などの作用の発現に関
与している。
VEGF受容体には、VEGFR−1(Flt−1と称することがある。)、VEGF
R−2(KDR、Flk−1と称することがある。)、VEGFR−3(Flt−4と称
することがある。)、可溶性VEGFR−1、可溶性VEGFR−2、可溶性VEGFR
−3などが知られている。前記VEGFファミリーは、それぞれ決まった受容体に結合し
、VEGF−AはVEGFR−1及びVEGFR−2に、VEGF−B、PlGF−1、
及びPlGF−2はVEGFR1に、VEGF−C及びVEGF−DはVEGFR−2及
びVEGFR−3に、VEGF−EはVEGFR2に結合する。
前記VEGF受容体に特異的に結合する結合阻害剤は、前記VEGF受容体のいずれに
結合するものであってもよい。

0031

前記VEGF受容体に特異的に結合する結合阻害剤としては、特に制限はなく、目的に
応じて適宜選択することができ、例えば、前記VEGFのアナログ、VEGFの拮抗阻害
剤、VEGF受容体を認識するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体、該抗体の抗
結合断片、該抗原結合断片を含むキメラ抗体又は組換え抗体(以下、「抗VEGFR抗
体など」と称することがある。)、及びこれらの誘導体からなるグループから選択される
場合がある。これらの中でも、前記VEGF受容体に特異的に結合する結合阻害剤は、モ
ノクローナル抗体が好ましく、抗VEGFR−1中和抗体、抗VEGFR−2抗体がより
好ましい。

0032

前記VEGF受容体に特異的に結合する結合阻害剤の製造方法としては、特に制限はな
く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、遺伝子組換え法、合成法などが挙げ
られる。また、市販品を用いてもよい。
また、前記VEGF受容体に特異的に結合する結合阻害剤は、前記抗VEGFR抗体な
ど、及びこれらの誘導体の少なくともいずれかそのものであってもよく、ポリエチレング
リコール、その他の医薬品として許容される添加剤や処理剤等のその他の成分を結合又は
添加してもかまわない。前記VEGF受容体に特異的に結合する結合阻害剤における、そ
の他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる

0033

−ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、抗原結合断片−
前記ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及び抗原結合断片は、VEGF受容体
や、これらの断片を免疫原として、前記VEGFを認識するポリクローナル抗体、モノク
ローナル抗体、及び抗原結合断片と同様の方法で製造することができる。

0034

−組換え抗体−
前記組換え抗体は、前記VEGFを認識する組換え抗体と同様の方法で製造することが
できる。

0035

−キメラ抗体−
前記キメラ抗体は、前記組換え抗体の抗原結合部位がVEGF受容体と特異的に結合で
きるように同種又は異種の抗体の定常ドメインによって支持された融合タンパク質である
こと以外は、前記VEGFを認識するキメラ抗体と同様の抗体などが挙げられる。

0036

−誘導体−
前記VEGFと前記VEGF受容体との結合阻害活性を有する前記抗VEGFR抗体な
どの誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、
前記抗VEGF抗体などに、糖鎖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポリエチレ
ングリコール、その他の医薬品として許容される添加剤や処理剤等を結合したものなどが
挙げられる。

0037

また、前記抗VEGF抗体などに、糖鎖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポ
リエチレングリコール、その他の医薬品として許容される添加剤や処理剤を添加したもの
であってもよい。
前記添加剤、処理剤、糖鎖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポリエチレング
リコールなどは、前記抗VEGF抗体などと同様のものなどが挙げられる。
これらの糖鎖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポリエチレングリコール、添
加剤や処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0038

前記脳梗塞の治療用医薬品組成物における、前記結合阻害剤の含有量としては、特に制
限はなく、前記結合阻害剤の種類などに応じて適宜選択することができる。

0039

<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、薬理学上許容される担体の中から投与方
法や剤型などに応じて適宜選択することができる。
例えば、前記脳梗塞の治療用組成物が、経口固形剤として用いられる場合、乳糖白糖
塩化ナトリウムブドウ糖デンプン炭酸カルシウムカオリン微結晶セルロース
珪酸等の賦形剤;水、エタノールプロパノール単シロップブドウ糖液、デンプン
液、ゼラチン液カルボキシメチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースヒドロ
キシプロピルスターチメチルセルロースエチルセルロースシェラックリン酸カル
シウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤乾燥デンプンアルギン酸ナトリウムカン
テン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウムステアリン酸
モノグリセリド、乳糖等の崩壊剤;精製タルクステアリン酸塩ホウ砂、ポリエチレン
グリコール等の滑沢剤酸化チタン酸化鉄等の着色剤;白糖、橙皮、クエン酸酒石酸
等の矯味/矯臭剤などが挙げられる。
例えば、前記脳梗塞の治療用組成物が、経口液剤として用いられる場合、白糖、橙皮、
クエン酸、酒石酸等の矯味/矯臭剤;クエン酸ナトリウム等の緩衝剤トラガントアラ
ビアゴムゼラチン等の安定化剤などが挙げられる。
例えば、前記脳梗塞の治療用組成物が、注射剤として用いられる場合、クエン酸ナトリ
ウム、酢酸ナトリウムリン酸ナトリウム等のpH調節剤及び緩衝剤;ピロ亜硫酸ナトリ
ウム、EDTAチオグリコール酸チオ乳酸等の安定化剤;塩化ナトリウム、ブドウ糖
等の等張化剤塩酸プロカイン塩酸リドカイン等の局所麻酔剤DMSO(ジメチル
ホキシド)、ポリエチレングリコール等の界面活性剤などが挙げられる。
また、前記脳梗塞の治療用組成物は、糖鎖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドな
どを含有していてもよい。これらは、前記結合阻害剤と同様のものなどを用いることがで
きる。これらの糖鎖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポリエチレングリコール
、添加剤や処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記脳梗塞の治療用医薬品組成物における前記その他の成分の含有量としても、特に制
限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0040

<投与>
前記脳梗塞の治療用医薬品組成物の投与時期としては、特に制限はなく、目的に応じて
適宜選択することができるが、脳梗塞発症後3時間以降が好ましく、3時間〜6時間がよ
り好ましい。前記脳梗塞の治療用医薬品組成物は、脳梗塞急性期徒過後の患者に対しても
投与でき、更に前記血栓溶解薬の投与による脳出血の合併症や予後の増悪を改善できる点
で有利である。
前記脳梗塞の治療用医薬品組成物の投与方法としては、特に制限はなく、該脳梗塞の治
療用医薬品組成物における、前記血栓溶解薬や前記結合阻害剤の種類や含有量などに応じ
て適宜選択することができ、例えば、経口投与法、注射による方法、吸入による方法など
が挙げられる。
前記脳梗塞の治療用医薬品組成物の投与量としても、特に制限はなく、投与対象個体の
年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬の投与の有無など、様々な要因
を考慮して適宜選択することができる。
前記投与対象となる動物種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すること
ができ、例えば、ヒト、サルブタウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌネコ、マウス、ラット
、トリなどが挙げられるが、これらの中でもヒトに好適に用いられる。

0041

前記脳梗塞の治療用医薬品組成物における、前記血栓溶解薬と、前記結合阻害剤とは、
同時に併用して投与されてもよく、別々に投与されてもよい。
前記血栓溶解薬がt−PAである場合、該t−PAによって活性化されるプラスミン
VEGFのプロセッシングに関与するため、t−PAの投与に先立って結合阻害剤を脳内
送達しておくことは、前記VEGFと前記VEGF受容体との結合をより強く阻害する
こと、これにより、前記VEGFのシグナル伝達をより強く阻害することにつながる。し
たがって、結合阻害剤を投与した後にt−PAを投与する場合もある。

0042

前記血栓溶解薬の投与量及び投与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選
択することができるが、各医薬製造メーカーの指示に従った投与量及び投与方法が好まし
い。
例えば、前記血栓溶解薬が、前記t−PA製剤の1つであるアルテプラーゼである場合
、その投与量及び投与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが
できるが、0.6mg/kg〜0.9mg/kgであり、上限としては、1個体当たり6
0mg〜90mgを、静脈内投与する方法などが挙げられる。具体的には、全投与量の1
0%を1分間〜2分間のボーラス投与で、残り90%を1時間の点滴投与で静脈内注射
る方法などが挙げられる。

0043

前記結合阻害剤の投与量及び投与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選
択することができるが、各医薬製造メーカーの指示に従った投与量及び投与方法が好まし
い。
例えば、前記結合阻害剤が、前記抗VEGF−A中和抗体又はその誘導体である場合、
5mg/kg〜10mg/kgを静脈内投与する方法が好ましい。
また、前記抗VEGF−A中和抗体が、ベバシズマブである場合、5mg/kg〜10
mg/kgを生理食塩水100mLに溶解し、90分間かけて静注投与することが好まし
い。

0044

前記脳梗塞の治療用医薬品組成物における、前記血栓溶解薬と、前記結合阻害剤とが、
同時に投与される場合、前記組成物の投与量及び投与方法としては、特に制限はなく、目
的に応じて適宜選択することができ、前記組成物における前記血栓溶解薬及び前記結合阻
害剤の種類、含有量などに応じて、適宜選択することができる。

0045

<用途>
前記脳梗塞の治療用医薬品組成物は、脳梗塞急性期徒過後の患者にも投与でき、脳出血
の合併症や予後の増悪を改善できるため、脳梗塞の治療に好適に利用可能である。
前記脳梗塞の治療においては、血栓溶解薬を投与するステップと、該血栓溶解薬を投与
するステップと同時に、あるいは、先だって、前記結合阻害剤を投与するステップとを含
治療方法を用いることが好ましい。

0046

以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例は、新潟大動物実験倫理委員会
よって承認された後に実施された。

0047

(実施例1:ラット脳梗塞モデルの作製)
実験動物
ラット脳梗塞モデルを作製するためにスプラーグ−ドーリーラット(オス、8週齢、日
チャールス・リバー株式会社より入手)を用いた。

0048

<ラット脳梗塞モデルの作製>
図1A及び図1Bを参照して、本願発明のラット脳梗塞モデルの作製方法を説明する。
従来の中大脳動脈閉塞モデルでは、外頸動脈(ECA)1と総頸動脈(CCA)3の分
岐部、若しくは外頚動脈(ECA)1から中大脳動脈(MCA)2起始部にナイロン糸
侵入させて中大脳動脈を閉塞させていた(図1A)。
しかし、血栓溶解療法の治療可能時間を超えて血栓溶解薬を投与することによる脳出血
併発再現させるために、本実施例では、図1Bに示すラット脳塞栓モデルを作製した。
血栓は、ラットの自家血液及びトロンビンを、直径0.35mmのポリエチレンチューブ
カテーテル(PE−50、ベクトン・ディクティンソン社製)中でゲルとして凝固させ、
終夜放置後、1mmの長さに切断された。前記血栓は、前記カテーテルを用いて、1質量
%〜1.5質量%のハロタン麻酔下でラットの外頸動脈(ECA)1から中大脳動脈(M
CA)2に注入された。その後、血栓注入前と、血栓注入の30分間後又は24時間後に
レーザードップラー血流計AFL21、株式会社アドバンス製、東京)を用いて脳表
血流値CBF)が測定された。脳表血流値が血栓注入前と比べて50%未満の動物を以
下の実験でラット脳梗塞モデル動物として用いた。

0049

<栓溶解療法>
ラット脳梗塞モデルに対する血栓溶解療法には、血栓溶解薬であるt−PA(アルテプ
ラーゼ、田辺三菱製薬株式会社製)が、血栓注入の1時間又は4時間後に大腿静脈に30
分間静注された(10mg/kg、10%ボーラス投与及び90%点滴投与)。

0050

<TTC染色>
血栓注入の24時間後にハロタン過剰投与で安楽死させたラットにPBS潅流して、
非固定の脳冠状切片が作製された。前記脳冠状切片は、37℃で15分間、2質量%トリ
フェニルテトラゾリウム塩(TTC)を含むPBS(pH7.4)中でTTC染色され、
スキャナー(CanoScaner、Canon社製)を用いて走査された。
脳梗塞及び浮腫の体積は、Swanson、R.A.ら(J. Cereb. Blo
od Flow Metab.、10:290−293(1990))に基づいて算出さ
れた。

0051

<結果>
図2A図2Cは、t−PA投与の脳梗塞軽減効果と、脳出血惹起効果とを示す脳
切片の写真である。黒色部分は、健常組織を示し、白色部分は、脳梗塞部分を示す。
血栓注入後t−PAを投与せずに24時間経過すると、術側大脳に広範な脳梗塞が観察
された(図2A)。
血栓注入の1時間後にt−PAを投与すると、t−PA非投与動物と比較して脳梗塞部
分の縮小が観察された(図2B)。
しかし、血栓注入の4時間後にt−PAを投与すると、1時間後にt−PAを投与した
動物と比較して、脳梗塞部分の拡大と、前記部分での出血とが観察された(図2C)。
以上の結果から、前記ラット脳梗塞モデルは、ヒトにおける脳梗塞急性期徒過後のt−
PA投与に伴う、脳出血合併症と脳梗塞の増悪とを再現できることが示された。

0052

(実施例2:抗VEGF抗体を用いたVEGFの発現抑制
ヒトにおける脳梗塞急性期徒過後のt−PA投与に伴う、脳出血合併症と、脳梗塞の増
悪とを抑制又は軽減するために、100μgのウサギ抗ラットVEGF抗体IgG(RB
−222、Lab Vision−Neomarkers社製、以下、「抗VEGF抗体
」と称することがある。)がt−PAとともにボーラス投与された。対照実験では、10
0μgのウサギ抗ヒトIgG(R5G10−048、OEMConcepts社製、以
下、「対照抗体」と称することがある。)がt−PAとともにボーラス投与された。

0053

<ウエスタン・ブロット法
ウエスタン・ブロット法は、全細胞抽出液サンプルとして用いてShimohata
、 T.ら(J. Cereb. Blood Flow Metab.,27:146
3−1475 (2007))に記載の方法に従って実施された。
VEGFの検出には、1次抗体として抗VEGF抗体(SC−152、Santa C
ruz Biotechnologies社製、希釈比1:200)が、2次抗体として
ペルオキダーゼコンジュゲート抗ウサギIgG抗体(希釈比1:10,000)が用い
られた。
また、適用されたタンパク質の量がどのサンプルでも均一であることを確認するために
、前記1次抗体及び前記2次抗体を除去した後のブロッティング膜に、抗β−アクチン
体(SC−1616、Santa Cruz Biotechnologies社製、希
釈比1:2,000)及び前記2次抗体を反応させてβ−アクチンが検出された。

0054

<結果>
図3は、t−PA及び抗VEGF抗体の併用投与後に、VEGFの発現が抑制されたこ
とを示すウエスタン・ブロット図である。
レーン1は、血栓注入による脳梗塞発症を行わなかった動物のサンプルを示し、レーン
2は、血栓注入による脳梗塞発症を行わないでt−PA及び対照抗体を投与した動物のサ
プルを示し、レーン3は、血栓注入による脳梗塞発症の1時間後に対照抗体のみを投与
した動物のサンプルを示し、レーン4は、血栓注入による脳梗塞発症の1時間後にt−P
A及び対照抗体を投与した動物のサンプルを示し、レーン5は、血栓注入による脳梗塞発
症の1時間後にt−PA及び抗VEGF抗体を併用投与した動物のサンプルを示し、レー
ン6は、血栓注入による脳梗塞発症の4時間後にt−PA及び対照抗体を投与した動物の
サンプルを示し、レーン7は、血栓注入による脳梗塞発症の4時間後にt−PA及び抗V
EGF抗体を併用投与した動物のサンプルを示す。

0055

レーン3及びレーン4では、VEGFの発現が観察された。レーン6では、非常に多く
のVEGFの発現が観察された。一方、レーン1、レーン2、レーン5、及びレーン7で
は、ほとんどVEGFの発現は観察されなかった。
これらのレーンで検出されたVEGF量相違は、β−アクチンの量の相違とは全く相
関しなかった。レーン3、レーン4、及びレーン5の比較から、血栓注入による脳梗塞発
症の4時間後にt−PAを投与すると、VEGFの発現量が非常に増大したことがわかっ
た。また、レーン4とレーン5との比較、並びに、レーン6とレーン7との比較によって
、t−PA及び抗VEGF抗体の併用投与は、VEGFの発現を顕著に抑制したことがわ
かった。

0056

虚血性血管内皮細胞障害と、その後の脳血液関門機能不全とがt−PA投与後の脳出
血に関係することが知られている。また、VEGFは、MMP−9を活性化し、活性化さ
れたMMP−9は、ゾナオクルデンス−1や基底膜IV型コラーゲンのような脳血液関門
に関与するタンパク質を分解することが知られている。したがって、理論的に拘するわ
けではないが、t−PA及び抗VEGF抗体の併用投与の作用機序は、脳梗塞急性期徒過
後のt−PA投与によるVEGFの増加を抑制することによって、MMP−9活性化のよ
うな脳血液関門の機能不全を防止して、脳出血を予防することで説明できる可能性がある

0057

(実施例3:t−PA及び抗VEGF抗体の併用投与の影響評価
t−PA及び抗VEGF抗体の併用投与は、実施例2で説明されたとおり実施された。
血栓注入による脳梗塞発症から4時間後のt−PA及び抗VEGF抗体の併用投与の効果
は、血栓注入による脳梗塞発症の24時間後のTTC染色脳冠状切片の、脳梗塞の体積、
浮腫の体積、脳出血量、及び運動機能スケールを測定して評価された。
前記TTC染色脳冠状切片の、脳梗塞の体積及び浮腫の体積は、Swanson、R.
A.ら(J. Cereb. Blood Flow Metab.、10:290−2
93(1990))に基づいて算出され、統計的有意性は、ANOVA分散分析)にて
検証され、事後比較(post hoc比較)は、Tukey法で行った。
脳出血量は、分光光度計で術側脳組織1dL当たりのヘモグロビン濃度(単位:g/d
L)が測定された。
運動機能スケールは、Andersen、M.ら(Stroke、30: 1464−
1471(1999))に基づいて5段階で評価された(段階0:運動障害なし、段階1
:術側と反対側の前肢屈曲、段階2:麻痺側へ身体を押し動かすことへの抵抗力の減少
、段階3:麻痺側への自発的な回転、段階4:死亡)。運動機能スケールを比較する際の
統計的有意性は、ANOVA(分散分析)にて検証され、事後比較(post hoc比
較)はTukey法で行った。

0058

<脳梗塞及び浮腫の体積と、脳出血量との結果>
図4A図4Cは、それぞれ、血栓注入による脳梗塞発症の24時間後のTTC染色脳
冠状切片の、脳梗塞の体積、浮腫の体積、及び脳出血量を示す棒グラフである。白色の棒
は、血栓注入による脳梗塞発症の4時間後に対照抗体のみを投与した群で、黒色の棒は、
血栓注入による脳梗塞発症の4時間後にt−PA及び対照抗体を投与した群で、灰色の棒
は、血栓注入による脳梗塞発症の4時間後にt−PA及び抗VEGF抗体を投与した群で
ある。各群の個体数は6であった。
これらの結果から、t−PA及び抗VEGF抗体の併合投与は、t−PA及び抗VEG
F抗体を投与した場合に比べて脳梗塞及び浮腫の体積を低減することはできなかったが、
脳出血量を低減することはできた(P=0.013)。

0059

<運動機能スケール評価結果>
図4Dは、血栓注入による脳梗塞発症の24時間後の運動機能スケールを示す帯グラフ
である。帯の異なる色の部分は、5段階のそれぞれの個体数を表す。左側の帯は、血栓注
入による脳梗塞発症の4時間後に対照抗体のみを投与した群(個体数23)を示し、中央
の帯は、血栓注入による脳梗塞発症の4時間後にt−PA及び対照抗体を投与した群(個
体数20)を示し、右側の帯は、血栓注入による脳梗塞発症の4時間後にt−PA及び抗
VEGF抗体を投与した群(個体数12)を示す。
左側の帯と中央の帯との比較から、脳梗塞発症の4時間後にt−PA及び対照抗体を投
与した群は、対照抗体のみを投与した群より予後が悪かった。この結果から、前記ラット
脳梗塞モデルが、ヒトにおける脳梗塞急性期徒過後のt−PA投与に伴う、脳出血合併症
と脳梗塞の増悪とを再現することを確認できた。
中央の帯と右側の帯との比較から、t−PA及び抗VEGF抗体の併合投与は、t−P
A及び対照抗体の併合投与より予後が改善された(P=0.0001)。更に、左側の帯
と右側の帯との比較から、t−PA及び抗VEGF抗体の併合投与は、対照抗体のみの投
与よりも予後が改善された(P=0.045)。
なお、t−PA及び抗VEGF抗体を併合投与されたラット個体を病理学的に剖検した
ところ、抗原抗体複合体の存在は肝臓膵臓及び腎臓に認められなかった。

実施例

0060

以上の実験結果から、t−PA及び抗VEGF抗体の併用投与は、脳梗塞を発症した患
者において、t−PAを投与するまでの時間を従来よりも延長することができ、かつ、脳
出血合併症を予防しつつ運動機能及び生存割合を改善できることが示された。

0061

本発明の脳梗塞の治療用医薬品組成物は、脳梗塞急性期徒過後の患者にも投与できるた
め、脳梗塞の治療に好適に利用可能である。

0062

1 外頸動脈(ECA)
2中大脳動脈(MCA)
3総頸動脈(CCA)

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