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技術 クロストリジウム・ディフィシレの毒素原性菌株の検出

出願人 ジェネオームサイエンシズカナダ、インク.
発明者 パケット、ナンシーロシェット、マリー-エヴァラブールデット、ラシェル
出願日 2014年11月28日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2014-242047
公開日 2015年5月21日 (4年11ヶ月経過) 公開番号 2015-096066
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード 理論データ 基準型 療養施設 ギブス自由エネルギー 骨格位置 リアルタイム解析 後処理中 ウエブサーバー
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図面 (3)

課題

毒素を産生する(毒素原性)クロストリジウムディフィシレ菌株を検出するためのプライマーおよびプローブ、ならびにこれらのプライマーおよびプローブを使用して毒素原性菌株を検出する方法。

解決手段

C.ディフィシレの毒素原性菌株は、毒素B(TcdB)遺伝子に結合する特定のプライマーおよびプローブを使用して、核酸に基づく増幅法によって検出される。これらのプライマーおよびプローブを使用して臨床試料中のC.ディフィシレ核酸を増幅することによりこれらの毒素原性菌株の存在を決定する。

概要

背景

クロストリジウムディフィシレは、ヒトに対して病原性である菌体外毒素を産生する芽胞形成グラム陽性バチルスである。C.ディフィシレ関連疾患(CDAD)は、重症度が、軽度の下痢から劇症大腸炎および死亡にまで及ぶ。C.ディフィシレは、典型的には、病院入院患者または長期療養施設居住者である高齢または重病の患者に影響を及ぼしていた。C.ディフィシレは、偽膜性大腸炎および抗生物質関連下痢の主要な原因である。C.ディフィシレ関連疾患は、正常な腸内細菌叢が変化して、C.ディフィシレが腸管繁殖し、水性下痢を引き起こす毒素の産生が可能になる場合に生じる。腸内細菌叢が変化する1つの主要な原因は、抗生物質の乱用である。浣腸の繰り返し、長期にわたる経鼻胃管挿入、および消化管手術も、人がこの疾患を発症するリスクを増加させる。抗生物質、特にペニシリンアンピシリン)、クリンダマイシン、およびセファロスポリンの乱用も、正常な腸内細菌叢を変化させ、C.ディフィシレ下痢の発症リスクを増加させる場合がある。

C.ディフィシレの毒素原性菌株は、一般的に2つの大型毒素、腸毒素;毒素A(TcdA)および細胞毒素;毒素B(TcdB)を産生し、病患の症状はそれらに起因する。それらは、環境刺激に応じて、C.ディフィシレの増殖中に効率的に発現される。それらの活性は、細胞の様々な生理学的事象を調節し、疾患に直接寄与する。ヒトにおいて、この2つの毒素は、偽膜性大腸炎および抗生物質関連下痢と呼ばれる疾患を引き起こす。伝染は、主として医療施設で生じ、そこでは抗菌薬への曝露およびC.ディフィシレ芽胞による環境汚染が一般的に起こっている(2、3、および4)。

毒素Aおよび毒素Bは、遺伝子tcdAおよびtcdBによってコードされている。両者は配列決定がなされており、単一のオープンリーディングフレームに見出されている。それらは、3つの追加の遺伝子(tcdC、tdcD、tcdE)と共に、19.6kb染色体病原性遺伝子座(Paloc)を形成する(8)。オープンリーディングフレームは両方とも大型であり、tcdAは8,133個のヌクレオチドにわたり、tcdBは長さが7,098個のヌクレオチドである。図1は、C.ディフィシレPalocの遺伝子配置を示している。tcdRと呼び名が変更されたtcdDは(Rupnik,M.ら、J.Med.Microbiol、2005年、54巻:113〜117頁)は、正の調節因子であると提唱されており、tcdEは、推定上のholinタンパク質であり、tcdCは、毒素遺伝子発現の負の調節因子であると提唱されている(Voth,D.E.ら、Clinical Microbiol.Reviews、2005年、18巻:247〜263頁)。

TcdAおよびTcdBは、報告されている最も大型の細菌毒素に属しており、C.ソルデリイ(C.sordellii)の致死性毒素(TcsL)および出血性毒素(TcsH)ならびにC.ノービー(C.novyi)のアルファ毒素(Tcns)のサイズに匹敵する(Voth、上記参照)。TcdA(308kDa)およびTcdB(270kDa)は、標的細胞内のRho、Rac、およびCdc−42などの小型GTPアーゼ不活性化するグルコシルトランスフェラーゼである(Voth、上記参照)。この不活性化は、細胞の細胞骨格の分離、および最終的に細胞死結びつく他の細胞プロセスの変化を引き起こす(Voth、上記参照)。両毒素は、高度に保存されているN末端ドメイン(TcdAおよびTcdBとの間で74%の相同性)を使用して、同一の基質を修飾する。Von Eichel−Streiberは、tcdAおよびtcdB遺伝子が近位に位置していること、およびこの2つのタンパク質間配列相同性および機能的相同性が高いことに触発され、この2つの遺伝子が遺伝子重複の結果として生じた可能性があると提唱した(Knoop F.C.ら、Clin.Micro reviews、1993年7月、251〜265頁)。

TcdBは、Ras、Rac、RapおよびRalをグリコシル化するC.ソルデリイの致死性毒素(TscL)とも相同性を示している(85%の相同性および74%の同一性)。主要な違いはN末端に見出される。これらにより、基質特異性の違いが説明される。TcdAは、C.ソルデリイの出血性毒素(TcsH)と、機能がより類似していると思われる(Voth、上記参照)。

初期の研究では、C.ディフィシレ毒素原性菌株は、毒素Aおよび毒素Bの両方を産生する一方で、非毒素原性菌株は両毒素を欠如していることが、一般的に受入れられていた(Rupnikら、上記参照;Lyerlyら、Clin.Micro.Rev.、1998年、1月、1〜18頁)。その後、検出可能な毒素Aを産生できないが、毒素Bを産生する(TcdA−/TcdB+)毒素変異株発見された。3番目の毒素(二元毒素CDT)も、いくつかのC.ディフィシレ菌株に見出されている。大多数の二元毒素陽性菌株は、TcdAおよびTcdBを産生する(TcdA+TcdB+CDT+)が、いくつかは、TcdAもTcdBも産生しない(TcdA−TcdB−CDT+)。利用可能なデータに照らして、C.ディフィシレ菌株の毒素原性菌株への分類は、それらが3つの公知の毒素のうち少なくとも1つを産生する場合は毒素原性、これらの3つの毒素のうちのいずれも産生しなかった場合は非毒素原性菌株と分類された(Rupnikら、上記参照)。

TcdAおよびTcdBに関する主要な研究は、毒素原性基準菌株VP1 10463に由来する毒素について行われたが、これらの毒素のいくつかの遺伝子変異体は、今では臨床分離株に存在する(Vothら、上記参照)。毒素Aを発現しない(TcdA−/TcdB+)詳しく特徴づけられている2つの菌株、1470および8864は、VP1 10463と比較して修飾されている毒素Bを産生する。菌株1470は、毒素TcdBおよびTcsLのハイブリッドを産生する。この菌株は、TcdB様細胞接着ドメインおよびTcsL様酵素ドメイン(形態変化および細胞死様TcsL)を産生する(Voth、上記参照;Chaves−Olarte E.ら、The Journal of biological chemistry、1999年、274巻、第16号、11046〜11052頁)。上記で言及したように、基準菌株10463に由来する毒素Bは、Rho、Rac、およびCdc−42のような小型GTPアーゼを不活性化した。細胞的機構が修飾される影響は、電子顕微鏡可視化できる。2つのタイプの細胞変性効果が記載されている。Dタイプは、細胞の外観樹状であることによって特徴づけられるが、紡錘体様の外観は、第2のタイプの細胞変性効果、Sタイプに典型的である(Mehligら、FEMS Microbiol.Lett.、2001年、198巻:171〜176頁)。基準菌株の毒素Bならびに毒素Aは、Dタイプの細胞変性効果を示す。菌株1470および菌株8864などの毒素A産生を欠如している菌株は、Sタイプの細胞変性効果を有する毒素Bを産生する。これらの毒素Bの基質は、小型GTPアーゼRas、Rac、Rap,Ral、およびCdc−42である。両菌株は、VP1 14063 tcdB遺伝子と比較して、それらの毒素B遺伝子(tcdB)に変異を示している。これらの変異により、基質特異性の違いが説明される。1470菌株およびVP1 10463のtcdBのN末端領域の違いは、詳しく文書化されている(Von Eichel−Streiberら、Mol Microbiol、1995年、17巻:313〜321頁)。

機能的な毒素Aを産生する別の毒素B変異株が発見された。したがって、菌株C34は、1470および8864のように変異体毒素Bを発現し、基準型菌株14063のように機能的な毒素Aを発現する最初のC.ディフィシレ菌株である(Mehligら、上記参照)。この菌株は、菌株1470および菌株8864のようにSタイプの細胞変性効果を有する毒素Bを産生する。C34は、Dタイプ誘導性TcdAとSタイプ誘導性TcdB分子とを共発現する最初のC.ディフィシレ単離株である。TcdA−C34および基準菌株TcdA−10463の基質は同一であり(Rho、Rac、およびCdc−42)、TcdB−C34およびTcdA−1470または8864の基質は同一である(Ras、Rac、Rap、Ral、およびCdc−42)。C34に由来するtcdB配列は、tcdB−1470または8864とヌクレオチドが異なるのみである。菌株1470および8864のように毒素A産生を防止するtcdAにおける欠失を有する代りに、tcdA−C34には配列の挿入がある。この小さな挿入は、毒素A産生に負の効果を有していない。それでも、この菌株では、細胞に対するSタイプの細胞変性効果は、Dタイプの細胞変性効果より優勢である(Mehligら、上記参照)。

現在まで、一般的に完全なtcdBを産生するが、細胞毒性効果を欠如している非機能的な毒素B、および細胞毒性効果を有する機能的な毒素Aを産生する1つの変異株が記載されている。この変異体の毒素遺伝子変異型判定データにより、Palocにおける突然変異が限定的であることが示され、この菌株は毒素遺伝子変異型IX(TcdA+/TcdB+/CDT+)に分類された(抄録、Maccannellら、2006年)。最近、高毒素原性C.ディフィシレ菌株の流行が、カナダおよび合衆国で報告されている。これらの単離株は、CDT二元毒素に陽性であり、tcdC遺伝子中に欠失を有し、より大量の毒素AおよびBを産生した(McDonaldら、New Engl.J.Med.、2005年12月、353巻、23号)。類似したC.ディフィシレ単離株の出現は、英国、ベルギー、およびオランダでも記載されている。それらの国々で単離された伝染性菌株は、毒素遺伝子変異型III、アメリカPGEF1(NAP1)、制限エンドヌクレアーゼ解析群B1型(restriction endonuclease analysis group type B1)、およびPCRリボタイプ027として特徴づけられた(Kuijper Eら、European Centre for Disease prevention and Controlの文書、Emergence of Clostridium difficile−associated disease in Canada,the United State of America and Europe)。

C.ディフィシレ毒素原性菌株の場合、Paloc(tcdBおよびtcdA領域)におけるヌクレオチド配列の変異、欠失、および重複が、種々の遺伝子型の原因である。種々の遺伝子型を識別し、毒素遺伝子変異型(1、8、9、10、11、12、13、19)としてそれらを分類する遺伝子型決定方式が開発されている。毒素遺伝子変異型決定には、tcdAおよびtcdB遺伝子における病原性遺伝子座(Paloc)の多型性を正確に検出する必要がある。今のところ、少なくとも24種の毒素遺伝子変異型がある(表1を参照)。Palocが基準菌株VP1 10463と同一である菌株は、毒素遺伝子変異型0と呼ばれる。毒素遺伝子の変異がすべて毒素原性に影響するとは限らない。毒素遺伝子変異型がI〜VII、IX、XII〜XV、およびXVIII〜XXIVの菌株は、それらの毒素遺伝子(8、11、13、19)における変異にもかかわらず、毒素AおよびBの両方を産生する。毒素遺伝子変異型XIの菌株は、毒素AまたはB(13)を産生しないが、その一方で毒素遺伝子変異型VIII、X、XVI、およびXVIIの菌株は、機能的な毒素Bを産生するが、毒素Aは産生しない(13)。図2には、毒素遺伝子変異型と毒素発現との関係が詳しく記載されている。菌株1470は、毒素遺伝子変異型VIIIに属し、菌株8864は、毒素遺伝子変異型Xに属している。ほとんどのTcdA−/TcdB+菌株は、毒素遺伝子変異型VIIIに属しており、菌株1470のように変異体毒素Bを産生することが知られており、毒素遺伝子変異型Xには菌株8864のみが含まれている(11)。

tcdB遺伝子のコンセンサス配列は、GenBankで利用可能な6つの配列を使用して決定した(配列表を参照)。tcdBアラインメントにおける第1の配列(配列番号1)は、基準菌株VP1 14063 TcdA+/TcdB+である。配列表の第2および第3の配列(それぞれ、配列番号2および3)は、詳しく特徴づけられている2つのTcdA−/TcdB+菌株(1470、2行目、および菌株8864、3行目)である。4つ目は別のTcdA−/TcdB+菌株である(5340)(配列番号4)。変異体toxBおよび機能的toxA菌株C34クラスター1〜2配列(配列番号5)は、5つ目に示されており、C.ソルデリイ致死性毒素(TcsL)配列(配列番号6)は、特異性対照として6つ目に示されている。tcdB遺伝子の特定の領域は、これらの異なる菌株中で保存されている。

毒素アッセイをしないC.ディフィシレの陽性培養は、C.ディフィシレ関連疾患の診断を行うには十分でない。したがって、組織培養細胞毒素アッセイによる毒素原性C.ディフィシレの検出は、多くの場合「究極標準(gold standard)」であると考えられる。しかしながら、このアッセイは、少なくとも24時間のインキュベーション期間を含むことになるため、時間がかかる。本発明は、迅速、高感度、および特異的であり、糞便試料などの臨床試料から直接的にC.ディフィシレを検出することを可能にする、C.ディフィシレ毒素遺伝子tcdBを標的とするリアルタイムPCRアッセイを提供する。

概要

毒素を産生する(毒素原性)クロストリジウム・ディフィシレ菌株を検出するためのプライマーおよびプローブ、ならびにこれらのプライマーおよびプローブを使用して毒素原性菌株を検出する方法。C.ディフィシレの毒素原性菌株は、毒素B(TcdB)遺伝子に結合する特定のプライマーおよびプローブを使用して、核酸に基づく増幅法によって検出される。これらのプライマーおよびプローブを使用して臨床試料中のC.ディフィシレ核酸を増幅することによりこれらの毒素原性菌株の存在を決定する。なし

目的

本発明は、迅速、高感度、および特異的であり、糞便試料などの臨床試料から直接的にC.ディフィシレを検出することを可能にする、C.ディフィシレ毒素遺伝子tcdBを標的とするリアルタイムPCRアッセイを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

C.ディフィシレ毒素B(TcdB)遺伝子にハイブリダイズすることが可能である長さが最大で100核酸塩基オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーであって、配列番号1〜33からなる群から選択される配列、または配列番号1〜33からなる群から選択される配列と少なくとも85%の同一性を示す配列を含むオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマー。

請求項2

配列番号1〜33からなる群から選択される配列、または配列番号1〜33からなる群から選択される配列と少なくとも85%の同一性を示す配列を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマー。

請求項3

配列番号1〜33からなる群から選択される配列を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマー。

請求項4

生体試料中のC.ディフィシレの毒素原性菌株の存在を決定する方法であって、前記試料を、C.ディフィシレ毒素B(TcdB)遺伝子に結合することが可能である少なくとも1対のプライマーと接触させるステップであって、前記少なくとも1対のプライマーの各プライマーが、長さが最大で100核酸塩基であり、C.ディフィシレ毒素B(TcdB)遺伝子に結合することが可能であり、前記少なくとも1対のプライマーの各プライマーが、配列番号1〜33からなる群から選択される配列、または配列番号1〜33からなる群から選択される配列と少なくとも85%の同一性を示す配列を含むステップと、前記試料由来標的核酸増幅するステップと、前記試料中のC.ディフィシレの前記毒素原性菌株の存在の指標として、増幅産物複数可)の存在または量を検出するステップとを含む方法。

請求項5

前記試料が、糞便末梢血血漿血清リンパ節呼吸組織、および滲出液からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記試料が糞便試料である、請求項5に記載の方法。

請求項7

前記試料を1対のプライマーと接触させる、請求項4に記載の方法。

請求項8

前記増幅が、ポリメラーゼ連鎖反応PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、レプリカーゼ媒介増幅、および転写媒介増幅からなる群から選択される方法によって実行される、請求項4に記載の方法。

請求項9

前記増幅がPCRを使用して実行される、請求項8に記載の方法。

請求項10

前記PCRが、AFLP、Alu−PCR、非対称PCR、コロニーPCR、DD−PCR、デジェネレートPCR、ホットスタートPCR、InsituPCR、インバースPCR、ロングPCR、マルチプレックスPCR、ネステッドPCR、PCR−ELISA、PCR−RFLP、PCR−一本鎖高次構造多型(PCR−SSCP)、定量的競合PCR(QC−PCR)、cDNA末端迅速増幅−PCR(RACE−PCR)、多型DNAランダム増幅−PCR(RAPD−PCR)、リアルタイムPCR、反復遺伝子パリンドロームPCR(Rep−PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、TAIL−PCR、タッチダウンPCR、およびベクトレットPCRからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。

請求項11

前記PCRが定量的リアルタイムPCR(QRT−PCR)である、請求項10に記載の方法。

請求項12

各プライマーが、増幅自体に対して著しい影響を与えずに増幅産物の増幅後操作を可能にする外来性ヌクレオチド配列を導入する、請求項7に記載の方法。

請求項13

前記プライマー対が配列番号30および31を含む、請求項7に記載の方法。

請求項14

前記プライマー対が配列番号32および33を含む、請求項7に記載の方法。

請求項15

前記プライマー対の各プライマーに、5’末端に蛍光体、3’末端に蛍光消光体を含む相補的配列が隣接している、請求項14に記載の方法。

請求項16

生体試料中のC.ディフィシレの毒素原性菌株の存在を核酸に基づく増幅によって検出する際の、C.ディフィシレ毒素B(TcdB)遺伝子にハイブリダイズすることが可能である少なくとも1対のプライマーの使用であって、前記少なくとも1対のプライマーの各プライマーは、長さが最大で100核酸塩基であり、前記少なくとも1対のプライマーの各プライマーが、配列番号1〜33からなる群から選択される配列、または配列番号1〜33からなる群から選択される配列と少なくとも85%の同一性を示す配列を含む使用。

請求項17

前記試料が、糞便、痰、末梢血、血漿、血清、リンパ節、呼吸組織、および滲出液からなる群から選択される、請求項16に記載の使用。

請求項18

前記試料が糞便試料である、請求項17に記載の使用。

請求項19

1対の前記プライマーが使用される、請求項16に記載の使用。

請求項20

前記核酸に基づく増幅が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、レプリカーゼ媒介増幅、および転写媒介増幅からなる群から選択される、請求項16に記載の使用。

請求項21

前記核酸に基づく増幅がPCRである、請求項20に記載の使用。

請求項22

前記PCRが、AFLP、Alu−PCR、非対称PCR、コロニーPCR、DD−PCR、デジェネレートPCR、ホットスタートPCR、InsituPCR、インバースPCR、ロングPCR、マルチプレックスPCR、ネステッドPCR、PCR−ELISA、PCR−RFLP、PCR−一本鎖高次構造多型(PCR−SSCP)、定量的競合PCR(QC−PCR)、cDNA末端迅速増幅−PCR(RACE−PCR)、多型DNAランダム増幅−PCR(RAPD−PCR)、リアルタイムPCR、反復遺伝子外パリンドロームPCR(Rep−PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、TAIL−PCR、タッチダウンPCR、およびベクトレットPCRからなる群から選択される、請求項21に記載の使用。

請求項23

前記PCRが定量的リアルタイムPCR(QRT−PCR)である、請求項22に記載の使用。

技術分野

0001

本発明は、毒素を産生する(毒素原性)クロストリジウムディフィシレ(Clostridium difficile)菌株を検出するためのプライマーおよびプローブ、ならびにこれらのプライマーおよびプローブを使用して毒素原性菌株を検出する方法に関する。より具体的には、本発明は、毒素B(TcdB)遺伝子に結合する特定のプライマーおよびプローブを使用した核酸に基づく増幅法によるC.ディフィシレの検出に関する。これらのプライマーおよびプローブを使用して臨床試料中のC.ディフィシレ核酸を増幅することによりこれらの毒素原性菌株の存在を決定する。

背景技術

0002

クロストリジウム・ディフィシレは、ヒトに対して病原性である菌体外毒素を産生する芽胞形成グラム陽性バチルスである。C.ディフィシレ関連疾患(CDAD)は、重症度が、軽度の下痢から劇症大腸炎および死亡にまで及ぶ。C.ディフィシレは、典型的には、病院入院患者または長期療養施設居住者である高齢または重病の患者に影響を及ぼしていた。C.ディフィシレは、偽膜性大腸炎および抗生物質関連下痢の主要な原因である。C.ディフィシレ関連疾患は、正常な腸内細菌叢が変化して、C.ディフィシレが腸管繁殖し、水性下痢を引き起こす毒素の産生が可能になる場合に生じる。腸内細菌叢が変化する1つの主要な原因は、抗生物質の乱用である。浣腸の繰り返し、長期にわたる経鼻胃管挿入、および消化管手術も、人がこの疾患を発症するリスクを増加させる。抗生物質、特にペニシリンアンピシリン)、クリンダマイシン、およびセファロスポリンの乱用も、正常な腸内細菌叢を変化させ、C.ディフィシレ下痢の発症リスクを増加させる場合がある。

0003

C.ディフィシレの毒素原性菌株は、一般的に2つの大型毒素、腸毒素;毒素A(TcdA)および細胞毒素;毒素B(TcdB)を産生し、病患の症状はそれらに起因する。それらは、環境刺激に応じて、C.ディフィシレの増殖中に効率的に発現される。それらの活性は、細胞の様々な生理学的事象を調節し、疾患に直接寄与する。ヒトにおいて、この2つの毒素は、偽膜性大腸炎および抗生物質関連下痢と呼ばれる疾患を引き起こす。伝染は、主として医療施設で生じ、そこでは抗菌薬への曝露およびC.ディフィシレ芽胞による環境汚染が一般的に起こっている(2、3、および4)。

0004

毒素Aおよび毒素Bは、遺伝子tcdAおよびtcdBによってコードされている。両者は配列決定がなされており、単一のオープンリーディングフレームに見出されている。それらは、3つの追加の遺伝子(tcdC、tdcD、tcdE)と共に、19.6kb染色体病原性遺伝子座(Paloc)を形成する(8)。オープンリーディングフレームは両方とも大型であり、tcdAは8,133個のヌクレオチドにわたり、tcdBは長さが7,098個のヌクレオチドである。図1は、C.ディフィシレPalocの遺伝子配置を示している。tcdRと呼び名が変更されたtcdDは(Rupnik,M.ら、J.Med.Microbiol、2005年、54巻:113〜117頁)は、正の調節因子であると提唱されており、tcdEは、推定上のholinタンパク質であり、tcdCは、毒素遺伝子発現の負の調節因子であると提唱されている(Voth,D.E.ら、Clinical Microbiol.Reviews、2005年、18巻:247〜263頁)。

0005

TcdAおよびTcdBは、報告されている最も大型の細菌毒素に属しており、C.ソルデリイ(C.sordellii)の致死性毒素(TcsL)および出血性毒素(TcsH)ならびにC.ノービー(C.novyi)のアルファ毒素(Tcns)のサイズに匹敵する(Voth、上記参照)。TcdA(308kDa)およびTcdB(270kDa)は、標的細胞内のRho、Rac、およびCdc−42などの小型GTPアーゼ不活性化するグルコシルトランスフェラーゼである(Voth、上記参照)。この不活性化は、細胞の細胞骨格の分離、および最終的に細胞死結びつく他の細胞プロセスの変化を引き起こす(Voth、上記参照)。両毒素は、高度に保存されているN末端ドメイン(TcdAおよびTcdBとの間で74%の相同性)を使用して、同一の基質を修飾する。Von Eichel−Streiberは、tcdAおよびtcdB遺伝子が近位に位置していること、およびこの2つのタンパク質間配列相同性および機能的相同性が高いことに触発され、この2つの遺伝子が遺伝子重複の結果として生じた可能性があると提唱した(Knoop F.C.ら、Clin.Micro reviews、1993年7月、251〜265頁)。

0006

TcdBは、Ras、Rac、RapおよびRalをグリコシル化するC.ソルデリイの致死性毒素(TscL)とも相同性を示している(85%の相同性および74%の同一性)。主要な違いはN末端に見出される。これらにより、基質特異性の違いが説明される。TcdAは、C.ソルデリイの出血性毒素(TcsH)と、機能がより類似していると思われる(Voth、上記参照)。

0007

初期の研究では、C.ディフィシレ毒素原性菌株は、毒素Aおよび毒素Bの両方を産生する一方で、非毒素原性菌株は両毒素を欠如していることが、一般的に受入れられていた(Rupnikら、上記参照;Lyerlyら、Clin.Micro.Rev.、1998年、1月、1〜18頁)。その後、検出可能な毒素Aを産生できないが、毒素Bを産生する(TcdA−/TcdB+)毒素変異株発見された。3番目の毒素(二元毒素CDT)も、いくつかのC.ディフィシレ菌株に見出されている。大多数の二元毒素陽性菌株は、TcdAおよびTcdBを産生する(TcdA+TcdB+CDT+)が、いくつかは、TcdAもTcdBも産生しない(TcdA−TcdB−CDT+)。利用可能なデータに照らして、C.ディフィシレ菌株の毒素原性菌株への分類は、それらが3つの公知の毒素のうち少なくとも1つを産生する場合は毒素原性、これらの3つの毒素のうちのいずれも産生しなかった場合は非毒素原性菌株と分類された(Rupnikら、上記参照)。

0008

TcdAおよびTcdBに関する主要な研究は、毒素原性基準菌株VP1 10463に由来する毒素について行われたが、これらの毒素のいくつかの遺伝子変異体は、今では臨床分離株に存在する(Vothら、上記参照)。毒素Aを発現しない(TcdA−/TcdB+)詳しく特徴づけられている2つの菌株、1470および8864は、VP1 10463と比較して修飾されている毒素Bを産生する。菌株1470は、毒素TcdBおよびTcsLのハイブリッドを産生する。この菌株は、TcdB様細胞接着ドメインおよびTcsL様酵素ドメイン(形態変化および細胞死様TcsL)を産生する(Voth、上記参照;Chaves−Olarte E.ら、The Journal of biological chemistry、1999年、274巻、第16号、11046〜11052頁)。上記で言及したように、基準菌株10463に由来する毒素Bは、Rho、Rac、およびCdc−42のような小型GTPアーゼを不活性化した。細胞的機構が修飾される影響は、電子顕微鏡可視化できる。2つのタイプの細胞変性効果が記載されている。Dタイプは、細胞の外観樹状であることによって特徴づけられるが、紡錘体様の外観は、第2のタイプの細胞変性効果、Sタイプに典型的である(Mehligら、FEMS Microbiol.Lett.、2001年、198巻:171〜176頁)。基準菌株の毒素Bならびに毒素Aは、Dタイプの細胞変性効果を示す。菌株1470および菌株8864などの毒素A産生を欠如している菌株は、Sタイプの細胞変性効果を有する毒素Bを産生する。これらの毒素Bの基質は、小型GTPアーゼRas、Rac、Rap,Ral、およびCdc−42である。両菌株は、VP1 14063 tcdB遺伝子と比較して、それらの毒素B遺伝子(tcdB)に変異を示している。これらの変異により、基質特異性の違いが説明される。1470菌株およびVP1 10463のtcdBのN末端領域の違いは、詳しく文書化されている(Von Eichel−Streiberら、Mol Microbiol、1995年、17巻:313〜321頁)。

0009

機能的な毒素Aを産生する別の毒素B変異株が発見された。したがって、菌株C34は、1470および8864のように変異体毒素Bを発現し、基準型菌株14063のように機能的な毒素Aを発現する最初のC.ディフィシレ菌株である(Mehligら、上記参照)。この菌株は、菌株1470および菌株8864のようにSタイプの細胞変性効果を有する毒素Bを産生する。C34は、Dタイプ誘導性TcdAとSタイプ誘導性TcdB分子とを共発現する最初のC.ディフィシレ単離株である。TcdA−C34および基準菌株TcdA−10463の基質は同一であり(Rho、Rac、およびCdc−42)、TcdB−C34およびTcdA−1470または8864の基質は同一である(Ras、Rac、Rap、Ral、およびCdc−42)。C34に由来するtcdB配列は、tcdB−1470または8864とヌクレオチドが異なるのみである。菌株1470および8864のように毒素A産生を防止するtcdAにおける欠失を有する代りに、tcdA−C34には配列の挿入がある。この小さな挿入は、毒素A産生に負の効果を有していない。それでも、この菌株では、細胞に対するSタイプの細胞変性効果は、Dタイプの細胞変性効果より優勢である(Mehligら、上記参照)。

0010

現在まで、一般的に完全なtcdBを産生するが、細胞毒性効果を欠如している非機能的な毒素B、および細胞毒性効果を有する機能的な毒素Aを産生する1つの変異株が記載されている。この変異体の毒素遺伝子変異型判定データにより、Palocにおける突然変異が限定的であることが示され、この菌株は毒素遺伝子変異型IX(TcdA+/TcdB+/CDT+)に分類された(抄録、Maccannellら、2006年)。最近、高毒素原性C.ディフィシレ菌株の流行が、カナダおよび合衆国で報告されている。これらの単離株は、CDT二元毒素に陽性であり、tcdC遺伝子中に欠失を有し、より大量の毒素AおよびBを産生した(McDonaldら、New Engl.J.Med.、2005年12月、353巻、23号)。類似したC.ディフィシレ単離株の出現は、英国、ベルギー、およびオランダでも記載されている。それらの国々で単離された伝染性菌株は、毒素遺伝子変異型III、アメリカPGEF1(NAP1)、制限エンドヌクレアーゼ解析群B1型(restriction endonuclease analysis group type B1)、およびPCRリボタイプ027として特徴づけられた(Kuijper Eら、European Centre for Disease prevention and Controlの文書、Emergence of Clostridium difficile−associated disease in Canada,the United State of America and Europe)。

0011

C.ディフィシレ毒素原性菌株の場合、Paloc(tcdBおよびtcdA領域)におけるヌクレオチド配列の変異、欠失、および重複が、種々の遺伝子型の原因である。種々の遺伝子型を識別し、毒素遺伝子変異型(1、8、9、10、11、12、13、19)としてそれらを分類する遺伝子型決定方式が開発されている。毒素遺伝子変異型決定には、tcdAおよびtcdB遺伝子における病原性遺伝子座(Paloc)の多型性を正確に検出する必要がある。今のところ、少なくとも24種の毒素遺伝子変異型がある(表1を参照)。Palocが基準菌株VP1 10463と同一である菌株は、毒素遺伝子変異型0と呼ばれる。毒素遺伝子の変異がすべて毒素原性に影響するとは限らない。毒素遺伝子変異型がI〜VII、IX、XII〜XV、およびXVIII〜XXIVの菌株は、それらの毒素遺伝子(8、11、13、19)における変異にもかかわらず、毒素AおよびBの両方を産生する。毒素遺伝子変異型XIの菌株は、毒素AまたはB(13)を産生しないが、その一方で毒素遺伝子変異型VIII、X、XVI、およびXVIIの菌株は、機能的な毒素Bを産生するが、毒素Aは産生しない(13)。図2には、毒素遺伝子変異型と毒素発現との関係が詳しく記載されている。菌株1470は、毒素遺伝子変異型VIIIに属し、菌株8864は、毒素遺伝子変異型Xに属している。ほとんどのTcdA−/TcdB+菌株は、毒素遺伝子変異型VIIIに属しており、菌株1470のように変異体毒素Bを産生することが知られており、毒素遺伝子変異型Xには菌株8864のみが含まれている(11)。

0012

0013

tcdB遺伝子のコンセンサス配列は、GenBankで利用可能な6つの配列を使用して決定した(配列表を参照)。tcdBアラインメントにおける第1の配列(配列番号1)は、基準菌株VP1 14063 TcdA+/TcdB+である。配列表の第2および第3の配列(それぞれ、配列番号2および3)は、詳しく特徴づけられている2つのTcdA−/TcdB+菌株(1470、2行目、および菌株8864、3行目)である。4つ目は別のTcdA−/TcdB+菌株である(5340)(配列番号4)。変異体toxBおよび機能的toxA菌株C34クラスター1〜2配列(配列番号5)は、5つ目に示されており、C.ソルデリイ致死性毒素(TcsL)配列(配列番号6)は、特異性対照として6つ目に示されている。tcdB遺伝子の特定の領域は、これらの異なる菌株中で保存されている。

0014

毒素アッセイをしないC.ディフィシレの陽性培養は、C.ディフィシレ関連疾患の診断を行うには十分でない。したがって、組織培養細胞毒素アッセイによる毒素原性C.ディフィシレの検出は、多くの場合「究極標準(gold standard)」であると考えられる。しかしながら、このアッセイは、少なくとも24時間のインキュベーション期間を含むことになるため、時間がかかる。本発明は、迅速、高感度、および特異的であり、糞便試料などの臨床試料から直接的にC.ディフィシレを検出することを可能にする、C.ディフィシレ毒素遺伝子tcdBを標的とするリアルタイムPCRアッセイを提供する。

発明が解決しようとする課題

0015

本発明は、毒素を産生する(毒素原性)C.ディフィシレ菌株を検出するためのプライマーおよびプローブを提供する。これらのプライマーおよびプローブは、表2〜4に示されており、C.ディフィシレの毒素原性菌株を検出する方法は、これらのプローブおよびプライマーを使用する。

課題を解決するための手段

0016

本発明の一実施形態は、C.ディフィシレ毒素B(TcdB)遺伝子にハイブリダイズすることが可能である長さが最大で約100核酸塩基オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーであり、前記プローブまたはプライマーは、配列番号1〜33からなる群から選択される配列、または配列番号1〜33からなる群から選択される配列と少なくとも約85%の同一性を示す配列を含む。一実施形態では、プローブまたはプライマーは、配列番号1〜33からなる群から選択される配列、または配列番号1〜33からなる群から選択される配列と少なくとも約85%の同一性を示す配列を有する。別の実施形態では、プローブまたはプライマーは、配列番号1〜33からなる群から選択される配列を有する。本発明は、生体試料中のC.ディフィシレの毒素原性菌株の存在を検出する方法も提供し、この方法は、試料を、C.ディフィシレ毒素B(TcdB)遺伝子に結合することが可能である少なくとも1対のプライマーと接触させるステップであって、少なくとも1対のプライマーの各プライマーが、長さが最大で約100核酸塩基であり、C.ディフィシレ毒素B(TcdB)遺伝子に結合することが可能であり、少なくとも1対のプライマーの各プライマーが、配列番号1〜33に示されている配列、または配列番号1〜33に示されている配列と少なくとも約85%の同一性を示す配列を含んでいるステップと、試料から標的核酸を増幅するステップと、前記試料中のC.ディフィシレの毒素原性菌株の存在の指標として、増幅産物複数可)の存在または量を検出するステップとを含む。

0017

一実施形態では、試料は、糞便末梢血血漿血清リンパ節呼吸組織、または滲出液試料である。別の実施形態では、試料を、1対のプライマーと接触させる。さらに別の実施形態では、増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、レプリカーゼ媒介増幅、または転写媒介増幅を用いて実行される。好ましくは、増幅はPCRを使用して実施される。PCRのタイプには、AFLP、Alu−PCR、非対称PCR、コロニーPCR、DD−PCR、デジェネレートPCR、ホットスタートPCR、In situ PCR、インバースPCR、ロングPCR、マルチプレックスPCR、ネステッドPCR、PCR−ELISA、PCR−RFLP、PCR−一本鎖高次構造多型(PCR−SSCP)、定量的競合PCR(QC−PCR)、cDNA末端迅速増幅−PCR(RACE−PCR)、多型DNAランダム増幅−PCR(RAPD−PCR)、リアルタイムPCR、反復遺伝子パリンドロームPCR(Rep−PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、TAIL−PCR、タッチダウンPCR、およびベクトレット(Vectorette)PCRが含まれる。一実施形態では、PCRは、定量的リアルタイムPCR(QRT−PCR)である。別の実施形態では、各プライマーは、増幅自体に対して著しい影響を与えずに増幅産物の増幅後操作を可能にする外来性ヌクレオチド配列を導入する。特定の実施形態では、プライマー対は、配列番号30および31または31および32を含む。一実施形態では、プライマー対の各プライマーに、5’末端に蛍光体、3’末端に蛍光消光体を含む相補的配列が隣接している。

0018

本発明は、C.ディフィシレ毒素B(TcdB)遺伝子にハイブリダイズすることが可能である少なくとも1対のプライマーの使用も提供し、前記プローブまたはプライマーは、配列番号1〜33からなる群から選択される配列、または配列番号1〜33からなる群から選択される配列と少なくとも約85%の同一性を示す配列を含む。一実施形態では、核酸に基づく増幅によって生体試料中のC.ディフィシレの毒素原性菌株の存在を検出するために、プローブまたはプライマーは、配列番号1〜33からなる群から選択される配列、または配列番号1〜33からなる群から選択される配列と少なくとも約85%の同一性を示す配列を有する。一実施形態では、試料は、糞便、痰、末梢血、血漿、血清、リンパ節、呼吸組織、または滲出液試料である。別の実施形態では、試料を、1対のプライマーと接触させる。さらに別の実施形態では、増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、レプリカーゼ媒介増幅、または転写媒介増幅を用いて実行される。好ましくは、増幅はPCRを使用して実行される。PCRのタイプには、AFLP、Alu−PCR、非対称PCR、コロニーPCR、DD−PCR、デジェネレートPCR、ホットスタートPCR、In situ PCR、インバースPCR、ロングPCR、マルチプレックスPCR、ネステッドPCR、PCR−ELISA、PCR−RFLP、PCR−一本鎖高次構造多型(PCR−SSCP)、定量的競合PCR(QC−PCR)、cDNA末端迅速増幅−PCR(RACE−PCR)、多型DNAランダム増幅−PCR(RAPD−PCR)、リアルタイムPCR、反復遺伝子外パリンドロームPCR(Rep−PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、TAIL−PCR、タッチダウンPCR、およびベクトレットPCRが含まれる。一実施形態では、PCRは、定量的リアルタイムPCR(QRT−PCR)である。

図面の簡単な説明

0019

C.ディフィシレ病原性遺伝子座の遺伝子配置、ならびにTcdAおよびTcdB遺伝子の提唱されているタンパク質ドメイン構造を示す図である。
NK−toxB−B34−A0標的プローブが形成するヘアピン構造を示す模式図である。
Sign−B4−B0内部対照プローブが形成するヘアピン構造を示す模式図である。

実施例

0020

本発明は、C.ディフィシレの毒素B(TcdB)遺伝子に結合する特定のプライマーおよびプローブを使用した、クロストリジウム・ディフィシレの毒素原性菌株の検出に関する。これらのプライマーおよびプローブを使用して臨床試料中のC.ディフィシレ核酸を増幅することにより毒素原性菌株の存在を決定する。

0021

明細書中で使用される場合、「鋳型」は、少なくとも1つの標的ヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドの全部または一部を指す。

0022

本明細書中で使用される場合、「標的ヌクレオチド配列」は、定義された配列および長さ有する最終産物のヌクレオチド配列を含み、増幅産物の増幅後処理中に取り除かれる他のヌクレオチド配列を含んでいてもよい。標的ヌクレオチド配列中に見出され、その後取り除かれるヌクレオチド配列は、プライマーもしくはプローブの結合部位アニーリング部位)、二本鎖DNA一本鎖DNAへの変換に関与するヌクレオチド、または制限エンドヌクレアーゼの認識部位および/または切断部位として有用な配列を含んでいてもよい。

0023

本明細書中で使用される場合、「外来性ヌクレオチド配列」は、増幅に使用されたプライマーまたはプローブにより導入された配列を指し、増幅産物は、標的ヌクレオチド配列がそこからコピーされた元々の鋳型には見出されない配置で、外来性ヌクレオチド配列および標的ヌクレオチド配列を含有するであろう。

0024

鋳型は、増幅に好適な任意のポリヌクレオチドであってよく、鋳型は、増幅される少なくとも1つの標的ヌクレオチド配列を含有している。好適な鋳型には、DNAおよびRNA分子が含まれ、修飾塩基を有するポリヌクレオチドを含んでいてもよい。好ましくは、鋳型は、ゲノムDNA、cDNA、またはRNA分子である。別の好ましい実施形態では、本明細書中で開示された方法を使用して、RNA鋳型をcDNAに逆転写せずに、RNA鋳型を直接増幅することができる。

0025

「臨床試料」とは、例えば、糞便(液状または軟質)、痰、末梢血、血漿、血清、リンパ節、呼吸組織、もしくは滲出液を含む生検組織、または他の体液、組織、物質を含む、C.ディフィシレ核酸を含有する可能性のある任意の由来組織または材料を意味する。試料を処理して、物理的、化学的、および/または機械的に組織または細胞構造破壊し、したがって細胞内成分を放出させてもよい。試料調製には、分析用試料を調製するために使用される緩衝液、塩、および界面活性剤などを含有する溶液を使用してもよい。

0026

「核酸」とは、核酸骨格結合(例えば、ホスホジエステル結合)によって共に結合されてポリヌクレオチドを形成する窒素性ヘテロ環式塩基または塩基類似体を有するヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体を含むポリマー化合物を意味する。従来のRNAおよびDNAが「核酸」という用語に含まれるように、それらの類似体も「核酸」という用語に含まれる。核酸骨格は、多様な結合、例えば、1つまたは複数の糖ホスホジエステル結合、ペプチド核酸結合ホスホロチオエートもしくはメチルホスホネート結合、または単一のオリゴヌクレオチドにおけるそのような結合の混合を含んでいてもよい。核酸の糖部分は、リボースもしくはデオキシリボース、または公知の置換を有する類似化合物のいずれであってもよい。従来の窒素性塩基(A、G、C、T、U)、公知の塩基類似体(例えば、イノシン)、プリンまたはピリミジン塩基誘導体、および「脱塩基」残基(つまり、1つまたは複数の骨格位置に窒素性塩基がない)は、核酸という用語に含まれる。すなわち、核酸は、RNAおよびDNAに見出される従来の糖、塩基、および結合のみを含んでいてもよく、または従来の構成要素および置換(例えば、メトキシ骨格によって結合された従来の塩基および類似体、またはRNAまたはDNA骨格によって結合された従来の塩基および1つまたは複数の塩基類似体)の両方を含んでいてもよい。

0027

「プライマー」とは、標的配列、プローブ、またはライゲーション産物相補性部分とハイブリダイズし、プライマー伸長を起こすように設計されたオリゴヌクレオチド配列を意味する。プライマーは、ヌクレオチドの重合出発点として機能する(Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology、(1996年) CPLScientific Publishing Services、CRCPress、ニューベリー、英国)。プライマーは、一般的に、約16〜24個のヌクレオチドを含有するが、最大で約50、75、または100個のヌクレオチドを含有していてもよい。プライマーは、標的配列のコード配列を有するDNA鎖にハイブリダイズすることができ、センスプライマーと呼ばれる。プライマーは、標的配列のコード配列の相補体であるDNA鎖にハイブリダイズすることもでき、このようなプライマーはアンチセンスプライマーと呼ばれる。同じ位置でDNAの各鎖にハイブリダイズするプライマー、または互いにハイブリダイズするプライマーは、互いの相補体として知られている。プライマーは、標的DNA配列相補的mRNA配列にハイブリダイズするように設計することもでき、逆転写PCRに有用である。

0028

「プライマー伸長」という用語は、鋳型依存性ポリメラーゼを使用して、標的とアニーリングしているプライマーを5’から3’方向に伸長させる過程を意味する。特定の実施形態によると、鋳型依存性ポリメラーゼは、適切な緩衝液、塩、pH、温度、ならびにその類似体および誘導体を含むヌクレオチド三リン酸を用いて、アニーリングしたプライマーの3’末端から開始して、相補的なヌクレオチドを鋳型鎖に組み込み、相補鎖を生成する。

0029

「プローブ」とは、ハイブリダイゼーションが可能な条件下で核酸の標的配列に特異的にハイブリダイズし、それによって標的または増幅核酸の検出を可能にする核酸オリゴマーを意味する。プローブの「標的」とは、一般的に、標準的な水素結合(つまり、塩基対合)によってプローブオリゴマーの少なくとも一部分と特異的にハイブリダイズする増幅核酸配列内の配列またはサブセットを指す。プローブは、標的特異的配列およびプローブの三次元高次構造に寄与する他の配列を含んでいてもよい。配列は、プローブの標的特異的配列に完全には相補的でない標的配列に対するプローブオリゴマーの適切なハイブリダイゼーション条件下で、安定したハイブリダイゼーションが可能である場合、「十分に相補的である。」

0030

「十分に相補的」とは、一連相補的塩基間の水素結合によって、別の塩基配列にハイブリダイズすることが可能な近接する核酸塩基配列を意味する。相補的塩基配列は、標準的な塩基対合(例えば、G:C、A:T、またはA:U)の使用により、オリゴマー配列の各位置で相補的であってもよく、または相補的でない(脱塩基位置を含む)1つまたは複数の残基を含有していてもよいが、相補的塩基配列全体が、適切なハイブリダイゼーション条件下で別の塩基配列と特異的にハイブリダイズすることが可能である。近接する塩基は、オリゴマーがハイブリダイズするように意図されている配列に、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは100%相補的である。当業者であれば、塩基配列組成に基づいて予測できるか、または日常的な試験で決定することができる適切なハイブリダイゼーション条件を容易に選択することができる(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual、第2版 Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、米国ニューヨーク州、1989年)。

0031

二重鎖」という用語は、ワトソンクリック型、フーグスティーン型、または核酸塩基の他の配列特異的相互作用により塩基対合している核酸の分子間または分子内二本鎖部分を意味する。二重鎖は、プライマーおよび鋳型鎖で構成されていてもよく、またはプローブおよび標的鎖で構成されていてもよい。「ハイブリッド」とは、塩基特異的相互作用、例えば水素結合によって相互作用する核酸の二重鎖複合体、三重鎖複合体、または他の塩基対複合体を意味する。

0032

「アニーリングする」という用語は、本明細書中で使用される場合、二重鎖または他のより高次な構造を形成する、1つのポリヌクレオチドと別のポリヌクレオチドとの塩基対合相互作用を指す。主な相互作用は、塩基特異的であり、つまりワトソン/クリックによるA/TおよびG/C、ならびにフーグスティーン型水素結合である。

0033

本発明の一態様によると、プライマーおよび/またはプローブを使用して、tcdB由来の標的ヌクレオチド配列を含有するC.ディフィシレ核酸鋳型の増幅を可能にし、任意選択で追加の特徴を増幅産物に導入する。各プライマーおよび/またはプローブは、各プライマーが鋳型に結合(アニーリング)するために、鋳型の標的ヌクレオチド配列領域に相補的なヌクレオチド配列を含有する。一実施形態では、少なくとも1つのプライマーは、プライマー結合標的ヌクレオチド配列に相補的なプライマー配列の5’(上流)にある外来性ヌクレオチド配列を含有しており、各増幅産物は、プライマーにより導入された外来性ヌクレオチド配列を含有する結果となる。

0034

本明細書中に記載されているプライマーおよび/またはプローブ配列のいずれかを含有する最大で約100個のヌクレオチドを有するプライマーおよび/またはプローブ、ならびに核酸増幅に基づく方法(例えばPCR)を使用して、臨床試料中のC.ディフィシレTcdB遺伝子の存在を検出するためのこれらのプライマーの使用も、本発明の範囲内である。加えて、本明細書中に記載されている特定のプライマーおよび/またはプローブのいずれかに対して、約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の核酸同一性を示すプライマーおよび/またはプローブ、ならびに核酸増幅に基づく方法を使用して、臨床試料中のC.ディフィシレTcdB遺伝子の存在を検出するためのこれらのプライマーの使用も企図され、これらの相同性配列のいずれかを含む最大で約100個のヌクレオチドを有するプライマーおよび/またはプローブも同様である。

0035

別の実施形態では、2つのプライマーが使用され、各プライマーは、増幅自体に対して著しい影響を与えずに増幅産物の増幅後操作を可能にする外来性ヌクレオチド配列を導入する。あるいは、2つを超えるプライマーが使用され、各プライマーは、増幅自体に対して著しい影響を与えずに増幅産物の増幅後操作を可能にする外来性ヌクレオチド配列を導入する。特定の実施形態のためのプライマーは、当業者であれば、例えば、DieffenbachおよびDveksler(PCRPrimer:A Laboratory Manual、DieffenbachおよびDveksler、編の「General Concepts For PCR Primer Design」)に開示されるような周知の原理に従って設計することができる。

0036

核酸増幅とは、配列特異的な方法を使用して、標的核酸配列もしくはその相補体またはその断片のコピーを複数得るための任意の公知な手順を指す。公知の増幅方法には、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、レプリカーゼ媒介増幅、および転写媒介増幅が含まれる。

0037

PCRは、核酸を増幅するための当技術分野で周知の方法を指す。PCRでは、標的配列に隣接する2つ以上の伸長可能な配列特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用して、標的配列を増幅する。目的の標的配列を含有する核酸は、プライマー、耐熱性DNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)、および4種のdNTPの存在下で、複数ラウンド熱サイクル変性、アニーリング、および伸長)の正確なプログラムかけられ、その結果、標的配列が増幅する。PCRでは、複数ラウンドのプライマー伸長反応が使用され、DNA分子の定義された領域の相補鎖が、耐熱性DNAポリメラーゼによって同時に合成される。各サイクル終わりでは、新たに合成された各DNA分子が、次のサイクルの鋳型として機能する。これらの反応の反復ラウンド中に、新たに合成されたDNA鎖の数は指数関数的に増加し、20〜30回の反応サイクル後には、最初の鋳型DNAは数千倍または数百万倍に複製される。様々なタイプおよび様式のPCRを実行するための方法は、文献、例えば「PCR Primer:A Laboratory Manual」DieffenbachおよびDveksler、編 Cold Spring Harbor Laboratory Press、1995年、およびMullisらによる特許(例えば、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,800,159号)、および科学出版物(例えば、Mullisら、1987年、Methodsin Enzymology、155巻:335〜350頁)に詳細に既述されており、各参考文献の内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

0038

PCRでは、増幅後処理に好適な二本鎖増幅産物が生成される。必要に応じて、増幅産物は、アガロースゲル電気泳動法を用いた可視化により、プローブに基づく比色検出を使用した酵素イムノアッセイ形式により、蛍光発光技術により、または当業者に公知な他の検出手段により、検出することができる。

0039

多種多様なPCR応用法が当技術分野で広く知られており、多数の出典、例えば、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、セクション15、John Wiley & Sons,Inc.、ニューヨーク(1994年)に記載されている。PCRのバリエーションには、AFLP、Alu−PCR、非対称PCR、コロニーPCR、DD−PCR、デジェネレートPCR、ホットスタートPCR、In situ PCR、インバースPCR、ロングPCR、マルチプレックスPCR、ネステッドPCR、PCR−ELISA、PCR−RFLP、PCR−一本鎖高次構造多型(PCR−SSCP)、定量的競合PCR(QC−PCR)、cDNA末端迅速増幅−PCR(RACE−PCR)、多型DNAランダム増幅−PCR(RAPD−PCR)、リアルタイムPCR、反復遺伝子外パリンドロームPCR(Rep−PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、TAIL−PCR、タッチダウンPCR、およびベクトレットPCRが含まれる。例えば、これらの技術は、www.pcrlinks.comに記載されている。

0040

リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応は、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(QRT−PCR)とも呼ばれ、所与のDNA分子の特定部分を同時に定量および増幅するために使用される。それは、特定の配列が試料中に存在するかどうか、もし存在する場合は、存在する配列のコピー数を決定するために使用される。「リアルタイム」という用語は、PCR中の定期的モニタリングを指す。ABI7700および7900HT配列検出システム(Applied Biosystems社製、フォスターティ、米国カリフォルニア州)などの特定のシステムでは、所定のまたはユーザ定義ポイントで各熱サイクル中にモニタリングが実施される。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)プローブを用いたPCRのリアルタイム解析では、好ましくは任意の内部対照シグナルを差し引いた、サイクル間の蛍光染料シグナル変化が測定される。リアルタイム手順は、一般的なパターンのPCRに従うが、DNAが各ラウンドの増幅後に定量される。定量化の一般的な2つの方法は、二本鎖DNAにインターカレートする蛍光染料(例えば、Sybr Green)の使用、および相補的DNAにハイブリダイズすると蛍光を発する修飾DNAオリゴヌクレオチドプローブの使用である。

0041

LCR増幅法では、ハイブリダイゼーション、ライゲーション、および変性の複数サイクルを使用することにより標的およびその相補鎖を増幅するために、少なくとも4つの別々のオリゴヌクレオチドが使用される(欧州特許第0 320 308号)。SDA法は、標的配列を含む半修飾された(hemimodified)DNA二重鎖の一方の鎖をニックする制限エンドヌクレアーゼの認識部位を含有するプライマーを使用することにより増幅し、その後一連のプライマー伸長および鎖置換ステップで増幅する(Walkerらに対する米国特許第5,422,252号)。

0042

鎖置換増幅法では、二本鎖DNA標的は、2つのプライマーと共に変性およびハイブリダイズされ、またはプライマーはDNAヘリックス入り込む。2つのプライマーは、新たに形成されるDNAヘリックスに配置される酵素ニックの内部配列を含有する。5’−>3’エキソヌクレアーゼ活性を欠如する耐熱性DNAポリメラーゼにより、両プライマーが伸長される。一本鎖ニックの生成により、新しいDNA伸長部位が生成され、最初のプライマーのハイブリダイゼーションにより、指数関数的なDNA増幅のための追加のDNA伸長部位が生成される。

0043

本発明の特定の実施形態には、C.ディフィシレのTcdB遺伝子に結合する以下のプライマーおよびプローブ(RNAまたはDNAのいずれか)が含まれる。

0044

プローブおよびプライマーの設計および分子的特徴づけ
任意のPCR診断アッセイにおけるプライマーおよびプローブの設計は、常に感度と特異性との妥協であり、迅速性およびハイブリダイゼーション温度が考慮される必要がある。その蓄積最大限にし、サイクル時間を低減するために、一般的には最も短いアンプリコンを設計する。プライマーと分子標識プローブ(下記で定義)との間の融解温度の温度差は、一般的に可能な限り大きい。これは、標識基部の長さおよびGC含量を変えることにより達成することができる。プライマーおよびプローブのそのような最適化には、核酸配列データベース解析および計算から得られる特定量理論データが必要とされる。関連データの概要を下記に提供する。

0045

プライマーを、配列データベースおよびソフトウェアOligo(商標)(バージョン6.0;National Biosciences社製)を使用して設計した。プライマー設計は、融解温度、GC含量、アンプリコンの長さ、ヘアピン構造をできるだけ少ししか形成しない能力同一配列の別のプライマー分子との相互二次構造ホモダイマー)をできるだけ少ししか形成しないそれらの能力、他のプライマーおよびプローブとの相互二次構造(ヘテロダイマー)をできるだけ少ししか形成しないそれらの能力、およびtoxB DNA遺伝子配列に対するそれらの特異性に基づいていた。TmおよびGC%計算は、IDTのウェブサイト(http//scitools.idtdna.com/Analyzer/oligocalc.asp)で利用可能な、Integrated DNA Technology(IDT)社製OligoAnalyzer3.0プログラムを使用して行った。使用したパラメーターは、すべてのプライマーが0.25μM、100mM Na+、および標的はDNAだった。BD社製GeneOhm(商標)Cdiffアッセイのプライマーの概観を可能にするために、標的を増幅するために使用されたプライマーを表2に記載する。

0046

0047

0048

プライマーKERLA−tcdB−2873およびKENP−tcdB−3102を、クロストリジウム・ディフィシレ毒素B遺伝子増幅用に設計した。それらの特徴を表3に示す。この単体は、標的の増幅を可能にする。両方が類似のGC含量および融解温度(Tm)を有しているため、このプライマーセットを選択した。さらに、これらのプライマーを用いて生成されたアンプリコンは、毒素B遺伝子標的の場合、257bp長であり、分子標識プローブを使用したリアルタイムPCRアッセイに好適である。プライマーKERLA−tcdB−2873およびKENP−tcdB−3102は、内部対照pDIFFa用のプライマーとしても機能する。

0049

0050

分子標識は、ステム−アンドループ構造を形成する一本鎖オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブである。ループは、標的配列に相補的なプローブ配列を含有しており、基部は、プローブ配列の一方の側に位置する相補的アーム配列のアニーリングによって形成される。蛍光体は、一方のアーム末端に共有結合で結合されており、消光体は、他方のアーム末端に共有結合で結合されている。分子標識は、溶液中で遊離している時には蛍光を発しない。しかしながら、分子標識は、標的配列を含有する核酸鎖にハイブリダイズすると、高次構造変化を起こして、明るく蛍光を発することが可能になる。

0051

標的が存在しない場合、基部は、蛍光体と、それらが一時的に電子共有する非蛍光消光体とを非常に接近して配置させることになり、蛍光体が蛍光を発する能力を消失させるため、プローブは発光しない。プローブが標的分子遭遇すると、プローブは、基部ハイブリッドより長くてより安定するプローブ−標的ハイブリッドを形成する。プローブ−標的ハイブリッドの硬直性および長さにより、基部ハイブリッドの同時存在は排除される。したがって、分子標識は、自発的な高次構造再編成を起こして基部ハイブリッドを解離させ、蛍光体および消光体は互いに離れ、蛍光が回復する。

0052

分子標識は、診断アッセイにおけるアンプリコン検出プローブとして使用することができる。非ハイブリダイズ分子標識は発光しないため、アッセイ中に合成されたアンプリコンの数を決定するために、プローブ−標的ハイブリッドを単離する必要はない。分子標識を、遺伝子増幅を実行する前にアッセイ混合物に添加し、蛍光をリアルタイムで測定する。アッセイチューブは、密閉されたままである。したがって、アンプリコンが漏れて、未検査試料を汚染することはあり得ない。さらに、分子標識の使用により、さらなるレベルの特異性が提供される。アンプリコンまたはプライマー−ダイマーが、分子標識の標的配列を有する可能性はほとんどないため、蛍光の発生は、もっぱら意図したアンプリコンの合成による。

0053

分子標識の設計
tcdB配列および内部対照pDIFFaを標的とする分子標識を、配列データベースおよびソフトウェアOligo(商標)(バージョン6.0;National Biosciences社製)を使用して設計した。分子標識プローブを選択する際に考慮した様々な基準を下記に要約する。

0054

・検出するべき種のみに由来し(または検出すべき種特徴に由来し)、必要な特異性を示す保存配列を含有する。

0055

・プローブ長が約20〜30個のヌクレオチド。

0056

・プローブは、二次構造を示す増幅標的の部分にハイブリダイズしない。

0057

・アッセイにより必要とされるTm。

0058

・60%〜80%のGC含量

0059

合成温度およびアニーリング温度の両方において1つの構造のみ(ヘアピンループ)。

0060

・アニーリング温度におけるデルタG<0。

0061

・プローブと適切な標的との間に不一致がない。

0062

・プライマーと分子標識との間のTmの温度差が可能な限り大きい。

0063

配列アラインメントで、プローブ間交差反応性も、プローブとプライマーとの交差反応性も示されていない。

0064

それらの特徴が、確立されているすべての理論的基準間の最良の妥協案に相当するため、分子標識NK−toxB−B34−A0およびSign−B4−B0(表4)を選択した。Sign−B4−B0プローブは、内部対照アンプリコンの順方向鎖とハイブリダイズし、NK−toxB−B34−A0は、C.ディフィシレ毒素B遺伝子の逆方向鎖とハイブリダイズする。毒素B遺伝子アンプリコンの検出の場合、分子標識NK−toxB−B34−A0は、その5’末端に蛍光体5’−カルボキシフルオレセインFAM)およびその3’末端に非蛍光消光体部分塩ダブシル(DABCYL)を保持する。ICアンプリコンの検出の場合、分子標識Sign−B4−B0は、その5’末端に蛍光体テトラクロロフルオレセイン(TET)およびその3’末端に非蛍光消光体部分DABCYLを含む。NK−toxB−B34−A0プローブは、アッセイにおいて陽性シグナルを提供し、Sign−B4−B0は、アッセイにおけるPCR反応妥当性を決定する。それらの特徴を表4に示す。

0065

0066

ヘアピン構造の形成
アッセイの適切な設計には、増幅反応に関する潜在的な問題の検証も必要である。増幅効率は、プライマー、プローブ、およびそれぞれの標的間の二次構造および不一致によって大きく影響される場合がある。そのようなことが発生するのを防止するため、すべてのプライマーについて、ヘアピン構造を形成する能力を、IDT社のウェブサイトで利用可能なIDT社製OligoAnalyzer3.0ソフトウェアを用いて評価した。使用したパラメーターは、0.25μMの各プライマー、100mM Na+、5.5mM MgCl2、標的DNA、57℃のハイブリダイゼーション温度であった。ハイブリダイゼーションは、関与する分子の熱力学的特徴に依存するため、二次構造または望ましくない一致は、このようにして予測および回避することができる。加えて、溶液中で生じるPCRアッセイの全反応において、ギブス自由エネルギー(ΔGと記し、kcal/molで表す)は、一致が生じる可能性が高いかどうかを予測する。負のΔG値は、提唱構造または一致が形成することを示し、正のΔG値は、提唱構造が熱力学的に不安定であり、一致が生じない可能性が高いことを示す。プライマーKERLA−tcdB−2873は、2つのヘアピン構造を形成する可能性があり(ΔG=0.86および0.89kcal/mol)、プライマーKENP−tcdB−3012は、2つのヘアピン構造を形成する可能性がある(ΔG=1.9および2.35kcal/mol)。これらの構造は、すべて熱力学的に不安定である(正のΔG)。

0067

NK−toxB−B34−A0標的プローブおよびSign−B4−B0内部対照プローブ分子は各々、その5’末端に蛍光体を保持し、その3’末端に蛍光消光体を保持する相補的配列(アーム)が各側に隣接しているオリゴヌクレオチドプローブ配列を有する。閉じた高次構造では、アームは基部を形成し、プローブ配列はヘアピンループに位置する(図2aおよび2b)。この高次構造では、蛍光は消光される。しかしながら、標的DNAとハイブリダイズすると、ヘアピン構造がアンフォールディングして蛍光が可能になる。各プローブについて、Bioinformatics Center at Rensselaer and Wadsworthのツール(応用セクションのDNAフォールディング)を使用して、2つの温度で構造を決定した。このウエブサーバーでは、ZukerおよびTurnerによるmfold(バージョン3.1)が使用されている(Zuker、Nucleic Acids Res.31巻(13号)、3406〜15頁、2003年)。まず、合成温度および塩条件でのプローブ構造を決定し(10mM Na+および20℃、Mg2+無し)、その後、PCRアッセイのアニーリング温度および塩条件での構造を決定した(100mM Na+、57℃、および5.5mM Mg2+)。1つの構造だけが、標的プローブならびにICプローブについて得られた(合成条件およびPCR条件(図2aおよび2bを参照))。安定したプローブダイマーは特定されなかった。

0068

すべてのプライマーおよびプローブについて、セルフダイマー(ホモダイマー)またはアッセイの別のプライマーまたはプローブとの二重鎖(ヘテロダイマー)を形成する能力を、IDT社のウェブサイトで利用可能なIDT社製OligoAnalyzer3.0ソフトウェアで評価した。分析に使用したパラメーターは、0.25μMの各プライマー、100mM Na+、および標的はDNAだった。全配列(28bp長)の25%に相当する連続7個未満の塩基対を伴うプライマーのホモ二重鎖が形成する可能性は非常に少ない。KERLA−tcdB−2873が形成する2つの構造は、プライマーサイズの21%に相当する連続6個の塩基を伴っている。これは、安定した二重鎖を生成するのには十分ではない(表5)。KENP−tcdB−3102とのハイブリダイゼーションは、連続4個の塩基対だけ(14%)と生じる可能性があった。プローブとは、Sign−B4−B0(7/41bp)およびNK−toxB−B34−A0(7/32bp)の全配列のそれぞれ17%および22%が、ホモ二重鎖の形成に利用できた。これは、安定した構造の形成には十分ではない。同様に、最も短い配列サイズの25%未満の多数の連続ヌクレオチドを伴うヘテロ二重鎖が生じる可能性は非常に低い(表5)。したがって、形成され得る構造はすべて不安定となり、18%が、該当する最も大きなパーセンテージである。

0069

0070

一実施形態では、必要な特異性を保証するために、アッセイプライマーは、C.ディフィシレ以外の配列とはいかなる増幅産物も生成しない。したがって、プライマーと非C.ディフィシレ配列との潜在的ハイブリダイゼーションを試験した。各アッセイプライマーに相同的な配列を、GenBankデータベースからBLAST探索(バージョン2.2.15)を使用して同定した。その後、非標的配列を増幅する可能性を、以下の基準に従って評価した:

0071

・異なる鎖に対する各プライマー対のハイブリダイゼーション、または同一標的の2つの部位における1つの所与のプライマーのハイブリダイゼーション

0072

・標的配列に相補的なヌクレオチドの数。すなわち、プライマー3’末端の最後の2個のヌクレオチドは、プライマー伸長を可能にするために標的にハイブリダイズするべきである。

0073

・プライマー対によって生成されたDNA断片の長さ。3kbを超える断片は、迅速PCRおよび分子標識検出技術の限界を優に超えている。

0074

これらの探索の結果は、表6に要約されている。両プライマーの場合、C.ディフィシレ菌株に由来する毒素B遺伝子配列だけが、プライマー配列と100%の同一性を示した。

0075

0076

プローブがC.ディフィシレアンプリコンとのみハイブリダイズし、必要な感度を有していたことを保証するため、非C.ディフィシレ配列とプローブとの潜在的なハイブリダイゼーションを試験した。アッセイプローブの各々に相同的な配列を、GenBankデータベースのBLAST探索(バージョン2.2.15)を使用して同定した。これらの探索の結果は、表7に要約されている。標的プローブの場合、C.ディフィシレ菌株に由来する毒素B遺伝子配列だけが、プローブ配列との100%同一性を示した。内部対照プローブの場合、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)配列だけが、プローブ配列との100%同一性を示した。内部対照プローブは、キイロショウジョウバエ配列から設計した。

0077

0078

特異性および感度
22個の異なるC.ディフィシレ毒素遺伝子変異型を、表4に示されているプローブを用いて試験した。すべての毒素遺伝子変異型で陽性結果が得られたが、いかなる近縁種、C.ソルデリイ、C.ディフィシレA−/B−菌株、または非毒素原性C.ディフィシレ菌株でも陽性結果は得られなかった。したがって、プローブは、C.ディフィシレの毒素原性菌株に特異的である。

0079

リアルタイムPCRを、液状または軟質のヒト糞便試料から得られたC.ディフィシレDNAを使用し、表3に示されているプライマーを使用して、標準的な条件下で実施した。下記に記載するように、リアルタイムPCRアッセイを実施した。

0080

リアルタイムPCRアッセイ
凍結乾燥された試薬を、225μl希釈液を用いて再構成して、リアルタイムPCRアッセイに使用された以下の緩衝液:116mMトリスHCl、pH8.3、11.6mM KCl、3.48mM MgCl2、5.8mM NH2SO4を調製し、その後、25μl等量に分割した。0.5、2.5、5、10、または20コピーのC.ディフィシレ鋳型DNAを、5つの反復反応液の各々に添加した。

0081

PCRアッセイを、SMARTCYCLER(商標)PCR装置を用いて以下の条件下で実行した:60℃で6秒間、その後95℃で900秒間、その後95℃で5秒間、63℃で10秒間、および72℃で20秒間を45サイクル。得られた感度および特異性は、それぞれ96.6%および97.4%であった。

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