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技術 電子機器装置、筐体および防水装置

出願人 三菱電機株式会社
発明者 久保憂太大橋史武臼田雄一
出願日 2013年11月8日 (7年11ヶ月経過) 出願番号 2013-232154
公開日 2015年5月18日 (6年5ヶ月経過) 公開番号 2015-095476
状態 特許登録済
技術分野 電気装置のための箱体 電気装置の冷却等
主要キーワード 損失係数ζ 流路断面積変化 収縮率α 管摩擦損失 管摩擦 管摩擦係数 防水筐体 変化率α
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年5月18日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (16)

課題

従来の電子機器装置では、冷却風吸気口または排気口に防水装置を備えていたが、圧力損失を低減することは考慮されていなかった。

解決手段

吸気口3および排気口4の少なくとも一方に設けられた、筐体2の外側が低くなるように水平方向に対して決められた角度である傾斜角θで傾斜させた複数の防水板8を、鉛直方向を含みかつ防水板8に垂直な平面において上側の防水板8の水平な下辺と下側の防水板の水平な上辺8を結ぶ直線が鉛直方向となす角度である防水角φが60度以上になるように、平行にかつ同じ間隔で配置した防水部6を備え、防水部6で発生する圧力損失として、少なくとも管での摩擦による圧力損失である管摩擦損失と、冷却風の向きが変更されることによる圧力損失であるベンド損失とを考慮し、冷却風の決められた流量において防水部6で発生する圧力損失が許容値以下になるように傾斜角θを設定した。

概要

背景

屋外環境に設置する電子機器には防水性能が要求され、吸気口または排気口に防水装置を備えた防水筐体が用いられる。防水筐体の開口部の外側または内側に開口部を覆うカバー部材を設け、カバー部材と筐体の間の隙間に配置され、開口部の周囲に取付けられた防水壁を有するものがある(特許文献1参照)。
電子回路基板密閉する筐体と筐体全体を覆う吸気口と排気口を有するカバーを有し、筐体とカバーの間を通風路とし、排気口の近くにファンを設け、排気口に鎧戸を設けた電子機器がある(特許文献2参照)。

概要

従来の電子機器装置では、冷却風の吸気口または排気口に防水装置を備えていたが、圧力損失を低減することは考慮されていなかった。 吸気口3および排気口4の少なくとも一方に設けられた、筐体2の外側が低くなるように水平方向に対して決められた角度である傾斜角θで傾斜させた複数の防水板8を、鉛直方向を含みかつ防水板8に垂直な平面において上側の防水板8の水平な下辺と下側の防水板の水平な上辺8を結ぶ直線が鉛直方向となす角度である防水角φが60度以上になるように、平行にかつ同じ間隔で配置した防水部6を備え、防水部6で発生する圧力損失として、少なくとも管での摩擦による圧力損失である管摩擦損失と、冷却風の向きが変更されることによる圧力損失であるベンド損失とを考慮し、冷却風の決められた流量において防水部6で発生する圧力損失が許容値以下になるように傾斜角θを設定した。

目的

この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がないというIPX3相当の防水性能を確保した上で、吸気または排気での圧力損失が小さい筐体、この筐体に発熱する電子機器を収納した電子機器装置、筐体の吸気口または排気口に設ける防水装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

発熱する電子機器と、前記電子機器を収納し、前記電子機器を冷却する冷却風吸気口および排気口を有する筐体と、前記吸気口および前記排気口の少なくとも一方に設けられた、前記筐体の外側が低くなるように水平方向に対して決められた角度である傾斜角で傾斜させた複数の防水板を、鉛直方向を含みかつ前記防水板に垂直な平面において上側の前記防水板の水平な下辺と下側の前記防水板の水平な上辺を結ぶ直線が鉛直方向となす角度である防水角が60度以上になるように、かつ複数の前記防水板の間を前記冷却風が流れるように、平行にかつ同じ間隔で配置した防水部とを備え、前記防水部で発生する圧力損失として、少なくとも管での摩擦による圧力損失である管摩擦損失と、前記冷却風の向きが変更されることによる圧力損失であるベンド損失とを考慮し、前記冷却風の決められた流量において前記防水部で発生する前記圧力損失が許容値以下になるように前記傾斜角を設定したことを特徴とする電子機器装置

請求項2

前記許容値が、前記傾斜角を変化させた場合の前記圧力損失の最小値を決められた倍数で乗じた値であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器装置。

請求項3

前記傾斜角を前記圧力損失が最小値をとる場合の値よりも大きくすることを特徴とする請求項2に記載の電子機器装置。

請求項4

前記圧力損失として前記冷却風の流路断面積が変化することによる流路断面積変化損失も考慮することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電子機器装置。

請求項5

発熱する物体を収納し、前記物体を冷却する冷却風の吸気口および排気口を有する箱体部と、前記吸気口および前記排気口の少なくとも一方に設けられた、前記筐体の外側が低くなるように水平方向に対して決められた角度である傾斜角で傾斜させた複数の防水板を、鉛直方向を含みかつ前記防水板に垂直な平面において上側の前記防水板の水平な下辺と下側の前記防水板の水平な上辺を結ぶ直線が鉛直方向となす角度である防水角が60度以上になるように、かつ複数の前記防水板の間を前記冷却風が流れるように、平行にかつ同じ間隔で配置した防水部とを備え、前記防水部で発生する圧力損失として、少なくとも管での摩擦による圧力損失である管摩擦損失と、前記冷却風の向きが変更されることによる圧力損失であるベンド損失とを考慮し、前記冷却風の決められた流量において前記防水部で発生する前記圧力損失が許容値以下になるように前記傾斜角を設定したことを特徴とする筐体。

請求項6

前記許容値が、前記傾斜角を変化させた場合の前記圧力損失の最小値を決められた倍数で乗じた値であることを特徴とする請求項5に記載の筐体。

請求項7

前記傾斜角を前記圧力損失が最小値をとる場合の値よりも大きくすることを特徴とする請求項6に記載の筐体。

請求項8

前記圧力損失として前記冷却風の流路の断面積が変化することによる流路断面積変化損失も考慮することを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の筐体。

請求項9

外側が低くなるように水平方向に対して決められた角度である傾斜角で傾斜させた複数の防水板を、鉛直方向を含みかつ前記防水板に垂直な平面において上側の前記防水板の水平な下辺と下側の前記防水板の水平な上辺を結ぶ直線が鉛直方向となす角度である防水角が60度以上になるように、かつ複数の前記防水板の間を前記冷却風が流れるように、平行にかつ同じ間隔で配置した防水部を備え、前記防水部で発生する圧力損失として、少なくとも管での摩擦による圧力損失である管摩擦損失と、前記冷却風の向きが変更されることによる圧力損失であるベンド損失とを考慮し、前記冷却風の決められた流量において前記防水部で発生する前記圧力損失が許容値以下になるように前記傾斜角を設定したことを特徴とする防水装置

請求項10

前記許容値が、前記傾斜角を変化させた場合の前記圧力損失の最小値を決められた倍数で乗じた値であることを特徴とする請求項9に記載の防水装置。

請求項11

前記傾斜角を前記圧力損失が最小値をとる場合の値よりも大きくすることを特徴とする請求項10に記載の防水装置。

請求項12

前記圧力損失として前記冷却風の流路の断面積が変化することによる流路断面積変化損失も考慮することを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の防水装置。

技術分野

0001

この発明は、防水性を確保しつつ強制空冷できる電子機器装置筐体および防水装置に関する。

背景技術

0002

屋外環境に設置する電子機器には防水性能が要求され、吸気口または排気口に防水装置を備えた防水筐体が用いられる。防水筐体の開口部の外側または内側に開口部を覆うカバー部材を設け、カバー部材と筐体の間の隙間に配置され、開口部の周囲に取付けられた防水壁を有するものがある(特許文献1参照)。
電子回路基板密閉する筐体と筐体全体を覆う吸気口と排気口を有するカバーを有し、筐体とカバーの間を通風路とし、排気口の近くにファンを設け、排気口に鎧戸を設けた電子機器がある(特許文献2参照)。

先行技術

0003

特開2013−62425号公報
特開2004−119844号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1の防水筐体は、開口部を覆うカバー部材と開口部の周囲に設けられた防水壁を有するので、防水性は高い。しかし、圧力損失が大きくなり、吸気または排気の効率が良くないという課題がある。
特許文献2の鎧戸は、ファンに水滴がかかることを防止できるが、圧力損失については考慮していない。

0005

この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がないというIPX3相当の防水性能を確保した上で、吸気または排気での圧力損失が小さい筐体、この筐体に発熱する電子機器を収納した電子機器装置、筐体の吸気口または排気口に設ける防水装置を提供するものである。

課題を解決するための手段

0006

この発明にかかる電子機器装置は、発熱する電子機器と、前記電子機器を収納し、前記電子機器を冷却する冷却風の吸気口および排気口を有する筐体と、前記吸気口および前記排気口の少なくとも一方に設けられた、前記筐体の外側が低くなるように水平方向に対して決められた角度である傾斜角で傾斜させた複数の防水板を、鉛直方向を含みかつ前記防水板に垂直な平面において上側の前記防水板の水平な下辺と下側の前記防水板の水平な上辺を結ぶ直線が鉛直方向となす角度である防水角が60度以上になるように、かつ複数の前記防水板の間を前記冷却風が流れるように、平行にかつ同じ間隔で配置した防水部とを備え、前記防水部で発生する圧力損失として、少なくとも管での摩擦による圧力損失である管摩擦損失と、前記冷却風の向きが変更されることによる圧力損失であるベンド損失とを考慮し、前記冷却風の決められた流量において前記防水部で発生する前記圧力損失が許容値以下になるように前記傾斜角を設定したことを特徴とするものである。

発明の効果

0007

この発明によれば、IPX3相当の防水性能を確保した上で、吸気または排気での圧力損失が小さい筐体、この筐体に発熱する電子機器を収納した電子機器装置、筐体の吸気口または排気口に設ける防水装置を得ることができる。

図面の簡単な説明

0008

この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の構成を示す図である。
この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部の構造を表現する変数を説明する図である。
この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部の圧力損失を計算する上で考慮する流路の形状および変数を説明する図を示す。
この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において奥行きLがいくつかの場合で防水板の傾斜角θと圧力損失ΔPの関係を示す図である。
この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において奥行きLに対して圧力損失ΔPが最小値を取る防水板の傾斜角θおよび最小値の3倍までの範囲になるθの範囲を示す図である。
この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において防水板の傾斜角θを変化させた場合の圧力損失ΔPの内訳の変化を示す図である。
この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において奥行きLがいくつかの場合で管摩擦損失とベンド損失だけを考慮した圧力損失ΔPAと防水板の傾斜角θの関係を示す図である。
この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において奥行きLに対して管摩擦損失とベンド損失だけを考慮した圧力損失ΔPAが最小値を取る防水板の傾斜角θおよび最小値の3倍までの範囲になるθの範囲を示す図である。
この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において奥行きLに対して圧力損失が最小値を取る傾斜角θおよび最小値の2倍の圧力損失になるθを、すべての要素を考慮した圧力損失ΔPと管摩擦損失とベンド損失だけを考慮した圧力損失ΔPAとで比較する図である。
この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において防水板の長さaがいくつかの場合で防水板の傾斜角θと圧力損失ΔPの関係を示す図である。
この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において防水板の長さaに対して圧力損失ΔPが最小値を取る防水板の傾斜角θおよび最小値の3倍までの範囲になるθの範囲を示す図である。
この発明の実施の形態3に係る電子機器装置の構成を示す図である。
この発明の実施の形態3に係る電子機器装置の防水部の構造を表現する変数を説明する図である。
この発明の実施の形態3に係る電子機器装置の防水部において奥行きLがいくつかの場合で防水板の傾斜角θと圧力損失ΔPの関係を示す図である。
この発明の実施の形態3に係る電子機器装置の防水部において奥行きLに対して圧力損失ΔPが最小値を取る防水板の傾斜角θおよび最小値の3倍までの範囲になるθの範囲を示す図である。

実施例

0009

実施の形態1
図1は、この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の構成を示す図である。図1(a)が正面図であり、図1(a)に示すA−A断面における断面図が図1(b)であり、図1(c)が背面図である。電子機器装置100は、筐体1の内部に発熱する電子機器2が収納され、電子機器2を冷却する冷却風が筐体1の前面に設けられた吸気口3から筐体1の内部に取り込まれる。冷却風は、電子機器2を冷却した後で、筐体1の背面に設けられた排気口4から、排気口4の内側に設けた送風機5により排出される。吸気口3および排気口4には、その開口部すべてを覆うように、開口部から水が入ることを防止する防水装置である防水部6を設ける。この実施の形態1では、吸気口3および排気口4に同じ防水部6を設ける場合であるが、吸気口と排気口のどちらかに防水部を設けてもよい。吸気口と排気口に設ける防水部を異なる構造のものとしてもよい。
電子機器装置は、屋外に設置される場合もあれば、車両に搭載される場合もある。

0010

防水部6は、長方形の開口部を有する角筒状の枠体7の2つの内側面の間に長方形の複数の防水板8を、筐体の外側になる側が低くなるように枠体7の上下の内面に対して決められた角度で互いに平行にかつ同じ間隔で取付ける。複数の防水板8の間を冷却風が流れる。複数の防水板8は、その長方形の上辺(高い位置にある辺)と下辺(低い位置にある辺)がともに水平であり、上側の防水板8の下辺と下側の防水板8の上辺が同じ高さであるように配置される。上側の防水板8の下辺と下側の防水板8の上辺を同じ高さにすることで、水平方向(鉛直から90度)から飛んでくる水滴が筐体内部に入らないようにすることができる。また、鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がないというIPX3の防雨形防水規格を十分な余裕を持って満足できる。

0011

電子機器装置が車両に搭載されて、勾配がある道路走行または停止した場合でも、確実にIPX3の防雨形の防水規格を満足するには、傾斜角θを10度程度以上にする必要がある。日本では道路構造令20条により縦断勾配は12%以下に制限され、合成勾配は道路構造令25条により11.5%以下に制限されている。なお、勾配12%は約6.8度である。

0012

上側の防水板8の下辺と下側の防水板8の上辺が同じ高さであるように配置しているので、勾配がある道路上に車両がある場合でも、鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴は必ず防水板にあたる。防水板にかかった水が確実に防水部の外側に出るためには、道路の勾配があっても筐体の外側の方が低くなるように防水板が傾斜している必要がある。そのためには、防水板の傾斜角θを10度程度以上にする必要がある。

0013

防水板は長方形でなくてもよく、平行な2つの辺を持ち、平行な2つの辺が水平になるように配置できる形であればどのような形でもよい。
防水部において、複数の防水板は枠体ではなく、例えば平行に配置された2枚の板の間に配置されてもよい。複数の防水板が決められたように配置されていれば、そのように配置するための部材はどのようなものでもよい。

0014

防水部6で発生する圧力損失を評価するため、以下の変数を定義する。図2は、この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部の構造を表現する変数を説明する図である。図2(a)が正面図であり、図2(b)が側面から見た断面図であり、図2(c)が側面から見た断面図の部分拡大図である。なお、簡単化のため、防水板8の厚みはゼロとする。なお、変数の後の[]内に単位を書き、[-]は無単位を意味する。防水板8の厚みを考慮して、圧力損失を考慮してもよい。

0015

(防水部の構造を表現する変数)
H[m]:開口部の高さ。
W[m]:開口部の幅。
L[m]:防水部の奥行き。
θ[度]:防水板の傾斜角。水平方向に対する角度。θ>0である。
a[m]:防水板の長さ。
b[m]:防水板の間隔(鉛直方向)。
c[m]:防水板の間隔(防水板に垂直な方向)。
g[m]:防水板で挟まれる空間の有効長さ
N[-]:防水板で挟まれる空間の数。実数として評価する。

0016

これらの変数の間には、以下の関係がある。
a=L/cosθ ・・・(1)
b=L*tanθ・・・(2)
c=L*sinθ ・・・(3)
g=L*cosθ ・・・(4)
N=(H−b)/b=H/(L*tanθ)−1 ・・・(5)

0017

防水板8により枠体7の開口部はN個の管に分けられるとして管摩擦損失を計算する。高さHが一定の場合に、傾斜角θの変化に対してNは整数になるとは限らない。ここでは、同じ開口部の面積に対して圧力損失を計算するために、冷却風を流す上で小数点以下の部分も1個の管と同様に寄与すると考えて、小数点以下も含むものとしてNを使用する。実際に防水部を製作する場合には、他と異なる管ができると防水部の圧力損失が増大するので、開口部の高さHを調整して開口部が同じ形状の管に分かれるようにする。

0018

図3に、防水部の圧力損失を計算する上で考慮する流路の形状および変数を説明する図を示す。防水部の圧力損失は、筐体の内部空間の大きさおよび形状や筐体が設置される場所の周囲の構造物の配置などの使用環境により影響を受けるが、少なくとも図3において破線で示す仮想的なダクト9による流路は確保できると考えられる。仮想的なダクト9による風の流れを、矢印付き破線で示す。図3に示す流路で防水部の圧力損失を評価することで、使用環境に依存しない防水部の圧力損失を評価することができる。なお、使用環境が事前に分かっている場合は、使用環境での防水部の圧力損失を評価してもよい。

0019

流路の断面積流速を表現する変数として、以下を使用する。
(防水部の圧力損失を計算する上で考慮する流路の形状を表現する変数)
Q[m3/s]:冷却風の流量。
A1[m2]:防水部に入る前の仮想的なダクトの断面積。
v1[m/s]:防水部に入る前の仮想的なダクトでの流速。
A2[m2]:防水板間の空間での流れに垂直な方向での断面積。
v2[m/s]:防水板間の空間での流速。
A3[m2]:防水部を出た後の仮想的なダクトの断面積。
v3[m/s]:防水部を出た後の仮想的なダクトでの流速。
α[-]:防水部に入る際の流路の断面積の変化率
β[-]:防水部から出る際の流路の断面積の変化率。

0020

これらの変数は、前に定義した防水部の構造を説明する変数により、以下のように表される。
A1=W*H ・・・(6)
v1=Q/A1=Q/(W*H) ・・・(7)
A2=N*W*c=W*(H*cosθ−L*sinθ) ・・・(8)
v2=Q/A2=Q/(W*(H*cosθ−L*sinθ)) ・・・(9)
A3=W*H ・・・(10)
v3=Q/A3=Q/(W*H) ・・・(11)

0021

また、これらの変数の間に以下の関係が成立する。
α=A2/A1=cosθ−(L/H)*sinθ ・・・(12)
β=A3/A2=1/(cosθ−(L/H)*sinθ) ・・・(13)
v2=v1/α ・・・(14)
v3=v2/β ・・・(15)

0022

防水部6で発生する圧力損失について検討する。圧力損失としては、以下の5種類を考慮する。
(A)管摩擦損失ΔP1[Pa]:防水部を管と見て、管での摩擦による圧力損失。
(B)急収縮損失ΔP2[Pa]:防水部に入る際に流路の断面積が急に減少することによる圧力損失。
(C)急拡大損失ΔP3[Pa]:防水部から出る際に流路の断面積が急に増加することによる圧力損失。
(D)入口ベンド損失ΔP4[Pa]:防水部に入る際に冷却風の向きが変更されることによる圧力損失。
(E)出口ベンド損失ΔP5[Pa]:防水部から出る際に冷却風の向きが変更されることによる圧力損失。
それぞれの損失を別々に計算して、それらの総和を防水部6の圧力損失とする。つまり、以下の式で、防水部6の圧力損失を計算する。
ΔP=ΔP1+ΔP2+ΔP3+ΔP4+ΔP5 ・・・(16)

0023

入口ベンド損失と出口ベンド損失をまとめて、ベンド損失と呼ぶ。つまり、冷却風の流れの向きが変更されることによる損失がベンド損失である。急収縮損失と急拡大損失のように、流路の断面積が変化することにより発生する圧力損失を、流路断面積変化損失とよぶ。流路の断面積が滑らかに変化するように加工された防水部では、流路の断面積の変化の様子も考慮して流路断面積変化損失を計算する。

0024

圧力損失を計算する上で使用する定数および変数を、以下のように定義する。
(圧力損失を計算する上で使用する定数および変数)
ρ=1.092[kg/m3]:空気の密度
ν=1.815×10-5[-]:動粘性係数
v[m/s]:流速
ζ1[-]:管摩擦損失係数。圧力損失ΔP1と(1/2)*ρ*v2との間の比例係数
ζ2[-]:急収縮損失係数。圧力損失ΔP2と(1/2)*ρ*v2との間の比例係数。
ζ3[-]:急拡大損失係数。圧力損失ΔP3と(1/2)*ρ*v2との間の比例係数。
ζ4[-]:入口ベンド損失係数。圧力損失ΔP4と(1/2)*ρ*v2との間の比例係数。
ζ5[-]:出口ベンド損失係数。圧力損失ΔP5と(1/2)*ρ*v2との間の比例係数。
D[m]:流路の断面の等価直径。管摩擦損失を考慮する際に使用する。
χ[-]:流路の断面の縦横比。管摩擦損失を考慮する際に使用する。
Re[-]:レイノルズ数
λ[-]:損失係数。レイノルズ数の値により、異なる計算式で計算する。
K[-]:修正係数。縦横比により損失係数を修正する係数。
γ[-]:管摩擦係数比。レイノルズ数が中間領域の値である時に使用する。

0025

以下で、種類ごとに圧力損失の計算式を説明する。
(A)管摩擦損失ΔP1
流速vとしては防水板間の空間での流速v2を使用し、以下の式で計算できる。
ΔP1=ζ1*(1/2)*ρ*v22 ・・・(17)
ζ1=K*(g/D)*λ ・・・(18)
Re=v2*D/ν ・・・(19)
ここに、等価直径Dと縦横比χは、以下の式で計算する。
D=2*W*c/(W+c)=2*W*L*sinθ/(W+L*sinθ) ・・・(20)
L*sinθ≦Wで、χ=L*sinθ/W ・・・(21)
L*sinθ>Wで、χ=W/(L*sinθ) ・・・(22)
(A1) Re < 2170の場合
λ=64/Re ・・・(23)
K=1.4992-1.92245*χ+2.59769*χ2-1.67707*χ3+0.461592*χ4 ・・・(24)
(A2) 2170 ≦ Re < 3000の場合
γ=3.087*ln(Re) - 23.7197 ・・・(25)
λ=64*(1-γ)/Re + 0.3164*γ/Re1/4 ・・・(26)
K=1.4992-1.92245*χ+2.59769*χ2-1.67707*χ3+0.461592*χ4 ・・・(27)
(A3) 3000 ≦ Reの場合
λ=0.3164/Re1/4 ・・・(28)
K=1 ・・・(29)

0026

(B)急収縮損失ΔP2
急収縮損失ΔP2および急収縮損失係数ζ2は、以下の式により計算する。急収縮損失係数ζ2の計算式は、日本機会学会が発行する技術資料の番号8230、題名:「管路・ダクトの流体抵抗」の55頁の「表4.1 急縮小の損失」で示された値を近似する式である。
ΔP2=ζ2*(1/2)*ρ*v22 ・・・(30)
ζ2=0.41*(1−α2) ・・・(31)

0027

(C)急拡大損失ΔP3
急収縮損失ΔP3および急収縮損失係数ζ3は、以下の式により計算する。ベルヌーイの定理を基に理論的導出される式である。
ΔP3=ζ3*(1/2)*ρ*v22 ・・・(32)
ζ3=(1−1/β)2 ・・・(33)

0028

(D)入口ベンド損失ΔP4
入口ベンド損失ΔP4および入口ベンド損失係数ζ4は、以下の式により計算する。管壁面なめらかな長方形断面の場合のGibsonの実験式である。
ΔP4=ζ4*(1/2)*ρ*v22 ・・・(34)
ζ4=67.6*10-6*θ2.17 ・・・(35)

0029

(E)出口ベンド損失ΔP5
出口ベンド損失ΔP5および出口ベンド損失係数ζ5は、以下の式により計算する。
ΔP5=ζ5*(1/2)*ρ*v22 ・・・(36)
ζ5=67.6*10-6*θ2.17 ・・・(37)

0030

管摩擦損失に関しては、その値が大きくなるRe < 2170の場合について、さらに式を変形する。(18)式に、(23)式および(19)式を代入して、以下の式を得る。
ζ1=K*64*ν*g/(v2*D2) ・・・(38)
(38)式に、(20)式および(4)式を代入して、以下の式を得る。
ζ1=K*16*ν*L*cosθ*(1/(L*sinθ)+1/W)2/v2 ・・・(39)
傾斜角θが0に十分に近いとして、sinθ≒θ、cosθ≒1を(39)式に代入すると、以下の式を得る。
ζ1=K*16*ν*L*(1/(L*θ)+1/W)2/v2 ・・・(40)
(40)式から、θがゼロに十分に近い場合に、ζ1が(L*θ)の2乗にほぼ反比例して増加することが分かる。なお、θが変化するとKとv2も変化するが、θ≒0では、Kもv2も一定値と見なすことができる。

0031

一例として、防水部の高さH=1.0m、幅W=0.5m、流量Q=20m3/分とし、奥行きLを0.01m≦L≦0.07m、防水板の傾斜角θを5度≦θ≦60度の範囲で変化させ、防水部の圧力損失を計算する。図4は、この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において奥行きLがいくつかの場合で防水板の傾斜角θと圧力損失ΔPの関係を示す図である。

0032

防水部の奥行きL=0.01m,0.03m,0.05m,0.07mの各場合で、防水板の傾斜角θを1度ごとに変化させた場合の、圧力損失ΔPを計算した結果が、図4である。Lの値によらず、15度≦θ≦40度であれば、圧力損失ΔP<0.3[Pa]であり、圧力損失の最小値を含みかつ最小値の2倍程度以下であり、最小値と同等と判断できる。θ<15度ではθが小さくなると、圧力損失が急激に大きくなる。ただし、Lが小さいほど、圧力損失が大きくなり始めるθの角度が大きい。これは、θが0に近い場合の管摩擦損失係数ζ1を近似で求める(40)式において、管摩擦損失係数ζ1が(L*θ)の2乗にほぼ反比例することによる。

0033

θ>40度ではθが大きくなると、圧力損失が大きくなる。これは、主にベンド損失がθの2.17乗に比例することによる。また、同じθの値では、Lが大きいほど圧力損失が少し大きくなる。これは、流路の断面積の変化率αおよびβを計算する(12)式と(13)式で、−(L/H)*sinθの項が存在するために、同じθの値ではLが大きいほどαが小さく(βは大きく)なり、流路断面積変化損失および防水部の中での流速v2が大きくなることによる。

0034

図5は、この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において奥行きLに対して圧力損失ΔPが最小値を取る防水板の傾斜角θおよび最小値の3倍までの範囲になるθの範囲を示す図である。図5から、以下のことが分かる。Lが小さい場合は圧力損失が最小値をとるθの値が大きい。これは、θが小さい場合に圧力損失の大部分を占める管摩擦損失が、θが0に近い場合の管摩擦損失係数ζ1を近似で求める(40)式において、(L*θ)の2乗にほぼ反比例することによる。また、Lが小さいほど圧力損失の最小値の絶対値が大きくなり、最小値から決められた倍数以内(例えば2倍)のθの範囲も広くなる。同じ理由で、Lが長くなるにしたがい、圧力損失が最小値をとるθの値が小さくなり、最小値から決められた倍数以内(例えば2倍)のθの範囲もLが小さい場合よりも狭くなる。

0035

図6は、この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において防水板の傾斜角θを変化させた場合の圧力損失ΔPの内訳の変化を示す図である。奥行きL=0.038mで、傾斜角θを変化させている。θが15度以下では、管摩擦圧力損失がほとんどを占め、45度程度以上ではベンド損失が急激に上昇する。流路断面積変化損失は、θが増加するにしたがって増加するが、ベンド損失よりも増加の速さは小さい。

0036

筐体の開口部を覆う防水部を枠体と複数の同じ大きさの平行な2つの辺を有する防水板で構成し、その上辺および下辺が水平であり、上側の防水板の下辺と下側の防水板の上辺が同じ高さであるように、複数の防水板を互いに平行に配置する。その結果、開口部を同じ形状および大きさの小さな管に分割でき、鉛直方向から60度までの範囲内の角度で降りかかる水を内部に入れることなく、風を取り入れるまたは排出させることができる。開口部を同じ形状および大きさの小さな管に分割するので、風の流れをできるだけ均等に配分でき、圧力損失を小さくすることができる。さらに、防水板の傾斜角を適切に決めることにより、防水部の圧力損失を低減できる。

0037

圧力損失が十分に小さい防水部を得るためには、開口部の幅Wと高さH、流量Qおよび防水部の奥行きLが決まっている場合には、傾斜角θを変化させた場合の圧力損失の最小値の決められた倍数(例えば2倍)以内の圧力損失となる範囲内にθを決めればよい。なお、θを小さくすると防水板の枚数が多くなるので、防水板の枚数が少ない場合よりも材料費がかかり、防水部の重量も重くなるので、圧力損失が同じであれば、θが大きい方が望ましい場合が多い。圧力損失だけでなく、防水部の重量など他の要素も考慮して、θを決めてもよい。

0038

防水部の奥行きLもある範囲内で変化できる場合は、奥行きLと傾斜角θを決められた範囲内で変化させて求めた圧力損失の最小値に対して、最小値の決められた倍数(例えば2倍)以内の圧力損失となる範囲内でLとθを決めればよい。なお、圧力損失だけでなく、防水部の重量など他の要素も考慮して、奥行きLと傾斜角θを決めてもよい。

0039

圧力損失の最小値を求めないで、圧力損失の許容できる上限(許容値)以下になるような、傾斜角θまたはθおよび奥行きLの範囲を求め、求めた範囲内で他の要素を考慮してθまたはθおよびLを決めてもよい。さらには、開口部の幅Wや高さHおよび開口部の形状、流量Qなども含めて決めてもよい。なお、圧力損失の最小値の決められた倍数として求められた値も、圧力損失がその値以下になるようにθまたはθおよびLを決める場合には、圧力損失の許容値である。

0040

圧力損失は想定する流量に対して求めるが、送風機の性能のバラツキなどにより、流量が想定よりも大きくなったり小さくなったりする可能性がある。流量が大きい場合には、冷却能力も増加しているので、防水部の圧力損失が増加しても決められた冷却性能を確保できる。流量が低下した場合には、防水部の圧力損失の増加が冷却性能の低下への影響が小さくなるように、許容値以下の圧力損失が得られるθの範囲の中で、圧力損失が最小値をとる傾斜角θの値よりもθを大きく設定する方がよい。圧力損失が最小値をとるθの値よりもθを大きく設定することにより、流量の低下すなわち流速の低下が発生しても、管摩擦損失の増加を小さくすることができる。なお、流速が低下すると、ベンド損失と流路断面積変化損失は低下する。

0041

圧力損失としては、傾斜角θが小さい場合は管摩擦損失でほぼ決まり、θが大きい場合はベンド損失でほぼ決まるので、少なくとも管摩擦損失とベンド損失を考慮すればよい。

0042

管摩擦損失ΔP1と入口ベンド損失ΔP4と出口ベンド損失ΔP5を考慮した圧力損失ΔPAを使用して、防水部を設計する場合について考察する。
ΔPAは、以下の式で計算する。
ΔPA=ΔP1+ΔP4+ΔP5 ・・・(16A)

0043

図7は、この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において奥行きLがいくつかの場合で管摩擦損失とベンド損失だけを考慮した圧力損失ΔPAと防水板の傾斜角θの関係を示す図である。図8は、この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において奥行きLに対して管摩擦損失とベンド損失だけを考慮した圧力損失ΔPAが最小値を取る防水板の傾斜角θおよび最小値の3倍までの範囲になるθの範囲を示す図である。図9は、この発明の実施の形態1に係る電子機器装置の防水部において奥行きLに対して圧力損失が最小値を取る傾斜角θおよび最小値の2倍の圧力損失になるθを、すべての要素を考慮した圧力損失ΔPと管摩擦損失とベンド損失だけを考慮した圧力損失ΔPAを比較する図である。

0044

図7図4を比較すると、図7では流路断面積変化損失を考慮していないので、傾斜角θが大きい場合に圧力損失ΔPAがΔPよりも小さくなることが分かる。図8図5は、細かく見ると異なる点はあるが、ほぼ同じと見ることができる。図9で、圧力損失が最小値になるθと最小値の2倍になるθを、流路断面積変化損失も含めた圧力損失ΔPと管摩擦損失とベンド損失だけを考慮した圧力損失ΔPAとで比較すると、θの差は最大3度程度である。図8図9から、θが大きい場合に圧力損失ΔPAがΔPと誤差があっても、最小値から決められた範囲の圧力損失になるθの範囲は適切に求められていることが分かる。したがって、少なくとも管摩擦損失とベンド損失を考慮して圧力損失を求めて、圧力損失が最小値の決められた倍数(例えば2倍)以下になるように傾斜角θまたはθおよび奥行きLを決めてやれば、圧力損失が小さい防水部を得ることができる。

0045

防水部の圧力損失に許容できる上限(許容値)が決まっている場合には、管摩擦損失とベンド損失の和が許容値以下になるような傾斜角θの範囲を決めてもよい。また、管摩擦損失が許容値以下になるような最小のθを決め、ベンド損失が許容値以下になるような最大のθを求めてもよい。求めたθの範囲内で、他の要素も考慮してθを決定してもよい。

0046

この明細書で示した圧力損失の計算式は、一般に知られており、発明者らが使用しているものであるが、必要な精度以上で計算できるものであれば他の計算式により計算してもよい。

0047

防水部が設けられる吸気口または排気口の開口部は、水平または鉛直な辺を持つ長方形の形状でなくてもよい。斜めな直線または曲線の辺を持つ開口部でもよい。鉛直でない平面や曲面に設けられた開口部を有する吸気口または排気口に、防水部を設けてもよい。防水部を奥行き方向の断面積が一定の筒状としたが、流路断面積変化損失を軽減するためまたは他の理由により、奥行き方向の断面積を変化させた筒としてもよい。

0048

筐体および防水装置を電子機器装置に適用した場合で説明したが、発熱する物体としては電子機器でなくてもよい。発熱する物体を収納し、物体を冷却する冷却風の吸気口と排気口を有する箱体部を有する筐体であれば、本発明の防水部を適用できる。

0049

以上のことは、他の実施の形態にもあてはまる

0050

実施の形態2
実施の形態2は、防水板の長さaを一定にした場合で圧力損失を考慮する場合である。防水部の構造を表す変数は、奥行きLの替わりに防水板の長さaを使用して、以下のように表現できる。下記以外の変数は、Lに依存しないので、Lの替わりにaを使用する場合でも変化しない。
L=a*cosθ ・・・(1A)
b=a*sinθ ・・・(2A)
c=a*sinθ*cosθ ・・・(3A)
g=a*cos2θ ・・・(4A)
N=(H−b)/b=H/(a*sinθ)−1 ・・・(5A)
A2=N*W*c=W*cosθ*(H−a*sinθ) ・・・(8A)
v2=Q/A2=Q/(W*cosθ*(H−a*sinθ)) ・・・(9A)
α=A2/A1=cosθ*(1−(a/H)*sinθ) ・・・(12A)
β=A3/A2=1/(cosθ*(1−(a/H)*sinθ)) ・・・(13A)
D=2*W*c/(W+c)=2*W*a*sinθ/(W/cosθ+a*sinθ) ・・・(20A)
a*sinθ*cosθ≦Wで、χ=a*sinθ*cosθ/W ・・・(21A)
a*sinθ*cosθ>Wで、χ=W/(a*sinθ*cosθ) ・・・(22A)

0051

収縮率αに関する(12)式と(12A)式を比較すると、−(L/H)*sinθの部分が−(a/H)*sinθ*cosθに変化しているので、防水板の長さaを一定にする(12A)式の場合の方が、傾斜角θの増加に対してαの減少が小さいことが分かる。したがって、aを一定にする場合の方が、θの増加に対して防水部中での流速v2の増加が小さくなり、θが大きい場合の圧力損失がLを一定にする場合よりも小さくなる。急収縮損失と急拡大損失の損失係数ζ2とζ3はαに依存するので、θが大きい場合の圧力損失がLを一定にする場合よりさらに小さくなる。

0052

管摩擦損失に関して、その値が大きくなるRe < 2170の場合について、(38)式に(20A)式および(4A)式を代入すると、以下の式を得る。
ζ1=K*16*ν*a*(1/(a*sinθ)+cosθ/W)2/v2 ・・・(39A)
(39A)式を(39)式と比較すると、a<Wの場合に主要項となる1/(a*sinθ)の項にcosθが乗算されないので、傾斜角θが大きい場合には、管摩擦損失係数ζ1は防水板の長さaを一定にする場合の方が防水部の奥行きLを一定にする場合よりも大きくなる。
θが0に十分に近いとして、sinθ≒θ、cosθ≒1を(39A)式に代入すると、以下の式を得る。
ζ1=K*16*ν*a*(1/(a*θ)+1/W)2/v2 ・・・(40A)
(40A)式を(40)式と比較すると、Lがaに置き換わっただけの式であり、θが小さい場合の管摩擦損失は、aを一定にする場合もLを一定にする場合と同様になる。

0053

実施の形態1と同じH、W、Qで、防水板の長さaを0.01m≦a≦0.07m、防水板の傾斜角θを5度≦θ≦60度の範囲で変化させ、防水部の圧力損失を計算する。図10は、この発明の実施の形態2に係る電子機器装置の防水部において防水板の長さaがいくつかの場合で防水板の傾斜角θと圧力損失ΔPの関係を示す図である。図11は、この発明の実施の形態2に係る電子機器装置の防水部において防水板の長さaに対して圧力損失ΔPが最小値を取る防水板の傾斜角θおよび最小値の3倍までの範囲になるθの範囲を示す図である。

0054

図10図4を比較すると、傾斜角θが大きくなると、防水板の長さaを一定にする図10の方が、圧力損失が小さくなることが分かる。そのため、圧力損失の最小値の決められた倍数の圧力損失になる大きい側のθは、aを一定にする場合の図10の方が、奥行きLを一定にする場合の図5よりも少し大きくなる。

0055

防水板の長さaを決めて圧力損失が小さくなるような傾斜角θを決める場合も、圧力損失が十分に小さい防水部を得るためには、傾斜角θを変化させた場合の圧力損失ΔPの最小値の決められた倍数(例えば2倍)以内の圧力損失となる範囲内にθを決めればよい。防水板の長さaがある範囲内であればよい場合は、aとθを変化させて圧力損失の最小値を求め、最小値の決められた倍数(例えば2倍)以内の圧力損失となる範囲内にaとθを決めればよい。圧力損失の最小値を求めないで、圧力損失の許容できる上限以下になるような、θまたはθおよびaの範囲を求め、求めた範囲内で他の要素を考慮してθまたはθおよびaを決めてもよい。

0056

圧力損失としては、少なくとも管摩擦損失とベンド損失を考慮すればよいことは、奥行きLを設計パラメータとする場合と同様である。

0057

実施の形態3
実施の形態1では上側の防水板の下辺と下側の防水板の上辺を同じ高さにした。この実施の形態3では、上側の防水板の下辺と下側の防水板の上辺とを結ぶ直線と鉛直方向との角度φを設定した、より一般的な防水部を示す。

0058

図12は、この発明の実施の形態3に係る電子機器装置の構成を示す図である。図12(a)が正面図であり、図12(a)に示すB−B断面における断面図が図12(b)であり、図12(c)が背面図である。防水部6Aは、実施の形態1および2の防水部6と比較して、上側の防水板8の下辺と下側の防水板8の上辺とを結ぶ直線が鉛直方向との間で角度φをなす点が異なる。図12では、φ=約105度の場合を示している。なお、実施の形態1および2は、φ=90度に限定した場合である。

0059

実施の形態3の防水部6Aの構造を説明するために、追加で以下の変数を定義する。図13は、この発明の実施の形態3に係る電子機器装置の防水部の構造を表現する変数を説明する図である。図13(a)が正面図であり、図13(b)が側面から見た断面図であり、図13(c)が側面から見た断面図の部分拡大図である。

0060

(防水部の構造を表現する変数)
φ[度]:鉛直方向を含みかつ防水板に垂直な平面において上側の防水板の下辺と下側の防水板の上辺とを結ぶ直線が鉛直方向となす角度。φを防水角と呼ぶ。
d[m]:防水板の重なりまたは隙間(鉛直方向)。
Δθ[度]:傾斜角θの方向と防水角φの方向の間の角度。Δθを差分傾斜角と呼ぶ。

0061

これらの変数の間には、以下の関係がある。実施の形態1の場合と同じ式も、同じ番号を付けて示す。
a=L/cosθ ・・・(1)
b=L*tanθ・・・(2)
d=L*tan(φ-90) ・・・(41)
c=(b−d)*cosθ=L*(sinθ−tan(φ-90)*cosθ) ・・・(3B)
g=a−(b−d)*sinθ
=L*(cosθ+tan(φ-90)*sinθ) ・・・(4B)
N=(H−b)/(b−d)=(H/L−tanθ)/(tanθ−tan(φ-90)) ・・・(5B)
Δθ=φ−90−θ ・・・(42)
防水板8間に冷却風の流路ができるためには、以下が成立する必要がある。
θ>φ−90 ・・・(43)

0062

防水角φがφ<90度であれば、鉛直からφまでの範囲の角度で防水部に降りかかる水を筐体内部に入ることを防止できる。φ>90度の場合は、水平面内での移動方向が防水板に対して斜めである水が、垂直方向の角度がφよりも小さくても筐体内部に入る可能性がある。それでも、φが大きくなれば筐体内部に水が入る可能性がある角度の最小値も大きくなるので、φを防水性能の指標として使用することができる。

0063

防水部の圧力損失を計算する上で使用する流路は図3であるとするので、流路の断面積と速度に関する変数の間の関係式は、実施の形態1の場合と同じになる。したがって、防水角φを考慮する場合でも、(B)急収縮損失ΔP2、(C)急拡大損失ΔP3、(D)入口ベンド損失ΔP4、(E)出口ベンド損失ΔP5は、防水角φを考慮しない場合と同様に計算できる。

0064

(A)管摩擦損失ΔP1を計算する上で使用する変数である防水板の間隔cと管の有効長さgについて、(42)式を(3B)式と(4B)式に代入して、以下の式を得る。
c=L*sinΔθ/cos(φ−90) ・・・(3C)
g=L*cosΔθ/cos(φ−90) ・・・(4C)
さらに、等価直径Dと縦横比χは、以下となる。
D=2*W*L*sinΔθ/(W*cos(φ−90)+L*sinθ) ・・・(20B)
L*sinΔθ≦W*cos(φ−90)で、χ=L*sinΔθ/(W*cos(φ−90)) ・・・(21B)
L*sinΔθ>W*cos(φ−90)で、χ=(W*cos(φ−90))/(L*sinΔθ) ・・・(22B)

0065

(3C),(4C),(20B),(21B),(22B)式から、防水角φを考慮して(A)管摩擦損失ΔP1を計算するには、Lを1/cos(φ−90)倍して傾斜角θの替わりに差分傾斜角Δθを使用すればよいことが分かる。さらに、防水角φが90[度]に近い場合は、cos(φ−90)≒1と近似できることから、傾斜角θの替わりに差分傾斜角Δθを使用するだけでよい。

0066

実施の形態1と同じH、W、Qで、防水板の長さaを0.01m≦a≦0.07m、防水角φ=100度とし、防水板の傾斜角θを15度≦θ≦60度の範囲で変化させ、防水部の圧力損失を計算する。図14は、この発明の実施の形態3に係る電子機器装置の防水部において奥行きLがいくつかの場合で防水板の傾斜角θと圧力損失ΔPの関係を示す図である。図15は、この発明の実施の形態3に係る電子機器装置の防水部において奥行きLに対して圧力損失ΔPが最小値を取る防水板の傾斜角θおよび最小値の3倍までの範囲になるθの範囲を示す図である。

0067

図14図4を比較すると、防水角φ=100度としたことにより、図14では傾斜角θが15度で、図4においてθ=5度での値とほぼ同じになっている。圧力損失の最小値は、同じθに対して管摩擦損失が実施の形態3の方で大きくなるので、実施の形態3での図15の方が大きい値になる。θが30度以上の部分では、図14図4はほぼ同じである。

0068

図15図5を比較すると、実施の形態3の図15の方が、すべての場合で傾斜角θが大きい。この理由は、θの最小値が15度になっていることと、圧力損失の最小値が大きくなっていることである。θが30度以上の部分では圧力損失の絶対値はほとんど変化しないが、圧力損失の最小値が図15の方が大きいため、最小値の決められた倍数の圧力損失が大きくなり、より大きなθまで圧力の決められた倍数以下の圧力損失になることによる。

0069

防水角φを考慮する場合も、傾斜角θを変化させた場合の圧力損失の最小値の決められた倍数(例えば2倍)以内の圧力損失となる範囲内にθを決めればよい。奥行きLも調整できる場合は、Lとθを決められた範囲内で変化させて求めた圧力損失の最小値に対して、最小値の決められた倍数(例えば2倍)以内の圧力損失となる範囲内でLとθを決めればよい。圧力損失の最小値を求めないで、圧力損失の許容できる上限(許容値)以下になるような、θまたはθおよびLの範囲を求め、求めた範囲内で他の要素を考慮してθまたはθおよびLを決めてもよい。

0070

奥行きLではなく、防水板の長さaを使用して設計する場合も、同様にしてθまたはθおよびaを決める。圧力損失としては、少なくとも管摩擦損失とベンド損失を考慮すればよい。

0071

100:電子機器装置
1:筐体
2:電子機器
3:吸気口
4:排気口
5:送風機
6、6A:防水部(防水装置)
7:枠体
8:防水板
9:仮想的なダクト

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