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技術 ジルコニア連続繊維とその製造方法

出願人 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明者 鉄井利光原田広史大澤真人
出願日 2013年11月14日 (3年8ヶ月経過) 出願番号 2013-235519
公開日 2015年5月18日 (2年2ヶ月経過) 公開番号 2015-094055
状態 未査定
技術分野 無機繊維
主要キーワード 本方法発明 長繊維強化複合材料 極短繊維 レーザー加熱法 各使用量 ゲル繊維 ジルコニア前駆体 エルビア

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課題

ジルコニア繊維強化ジルコニア複合材料に使用することができる、安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニア連続繊維製造方法を提供する。

解決手段

部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアを形成する酸化物成分生成する金属アルコキシド共存下で、ジルコニウムアルコキシド部分加水分解縮合を行ない、連続紡糸が可能な前駆体を形成する第一工程と、これを溶融あるいは乾式紡糸法高速で連続紡糸する第二工程と、制御された水蒸気雰囲気で不融化する第三工程と、酸化性雰囲気低温焼成して炭素成分含有するゲル繊維変換する第四工程と、非酸化性雰囲気焼成し、炭素を含有するジルコニア系繊維に変換する第五工程とを備える、安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニア連続繊維の製造方法。

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背景

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ジルコニアは室温では単斜晶系であり、温度上げていくと正方晶、及び立方晶へと結晶構造相転移する。この相転移は体積変化を伴うため、焼結体昇降温を繰り返すことによって破壊に至る。特に単斜晶から正方晶への相転移では、約4%の体積収縮が見られる。

ジルコニアに酸化カルシウム酸化マグネシウム、あるいは酸化イットリウムなどの希土類酸化物を固溶させると、構造中に酸素空孔が形成され、立方晶および正方晶が室温でも安定、または準安定となり、昇降温による破壊を抑制することができる。このような安定化剤と呼ばれる酸化物添加したジルコニアは、安定化ジルコニア、または部分安定化ジルコニアと呼ばれる。

安定化ジルコニアは、酸化物無添加ジルコニアに比べて強度、及び靭性などの機械的特性に優れる。これは、破壊の原因となる亀裂の伝播を正方晶から単斜晶への相変態によって阻害し、亀裂先端応力集中を緩和するからである。この特異なメカニズムを「応力誘起変態強化機構」と言い、最大で正方晶の約40%が単斜晶に変態する。また、変態を完全に抑制した完全安定化ジルコニアよりも、添加剤の量を減らしてわずかに変態出来るようにした部分安定化ジルコニアの方が機械的特性に優れることが知られている。
さらに、セラミック繊維は、電気絶縁性低熱伝導性高弾性などの性質を活かして、電気絶縁材断熱材、フィラーフィルターなど様々な分野で用いられる有用な材用であり、ジルコニアについても同様である。

ジルコニア繊維は、種々の方法により製造することができ、たとえば、ジルコニウム塩水溶液出発原料としてこれを繊維化し、これを高温で焼成して製造することができる。
具体的には、ジルコニウム塩の水溶液にポリエチレンオキサイドポリビニルアルコ−ルなどの水溶性有機高分子を加えて粘稠液とし、ノズルより吹き出しこれを焼成する無機塩法(特許文献1)、ZrO2微粉及び結晶安定化剤にZrOCl2をバインダ−として加えて粘稠なスラリ−としこれを乾式紡糸し焼成するスラリ−法(特許文献2)、ジルコニウム有機酸塩を溶融して紡糸し、焼成する方法(非特許文献1)などがある。また、従来より、金属アルコキシドを原料としたゾルゲル法で繊維化できることは良く知られている。

このように、ジルコニアを繊維状にすることは可能であるが、これらの繊維は、多結晶体であるので、高温で粒成長による劣化を起こしやすく、また、機械的強度などの特性単結晶繊維に比べて劣るという課題がある。
そこで、従来、セラミック材料の単結晶繊維を作る方法も数多く提案されてきた。ジルコニアに関しては、水熱合成法レーザー加熱法気相法で単結晶繊維を作ることができる。また、従来の繊維よりも細い繊維を作製し高強度化する方法としてエレクトロスピニング法が知られている。エレクトロスピニング法は、繊維形成性溶液高電圧印加させることにより、溶液を電極に向かって噴出させ、噴出によって溶媒蒸発し、簡便に極細繊維構造体を得ることのできる方法であり、平均繊維径が50〜1000nmであり、さらに繊維長が100μm以上であるジルコニア繊維が得られている(特許文献3)。

しかしながら、これらは極短繊維であり、連続繊維強化セラミックスの強化繊維としては使用できないという課題がある。
従来のジルコニア連続繊維は、特に、安定化ジルコニアは、溶融法、すなわち溶融させて引き伸ばし繊維状にすることができたが、その融点が2700℃と高温であるため、非常に製造原価が高くなるという課題があった。また、上述の無機塩法やゾル−ゲル法による安定化ジルコニア繊維の製造方法では、得られる繊維が多結晶体であるので、高温で粒成長による劣化を起こしやすく、また、機械的強度なども充分ではないという課題があった。

概要

ジルコニア繊維強化ジルコニア複合材料に使用することができる、安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニア連続繊維の製造方法を提供する。部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアを形成する酸化物成分を生成する金属アルコキシド共存下で、ジルコニウムアルコキシドの部分加水分解縮合を行ない、連続紡糸が可能な前駆体を形成する第一工程と、これを溶融あるいは乾式紡糸法で高速で連続紡糸する第二工程と、制御された水蒸気雰囲気で不融化する第三工程と、酸化性雰囲気で低温焼成して炭素成分を含有するゲル繊維に変換する第四工程と、非酸化性雰囲気で焼成し、炭素を含有するジルコニア系繊維に変換する第五工程とを備える、安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニア連続繊維の製造方法。

目的

本発明の目的は、上述の問題点を解消し、ジルコニア繊維強化ジルコニア複合材料に使用することができる、安定化ジルコニア連続繊維または部分安定化ジルコニア連続繊維及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項

以下の情報は公開日時点(2015年5月18日)のものです。

請求項1

ジルコニウムアルコキシドの部分加水分解縮合を、部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアを形成する酸化物成分を生成する金属アルコキシド共存下で行こない、連続紡糸が可能な前駆体を形成する第一工程と、これを溶融あるいは乾式紡糸法で高速で連続紡糸する第二工程と、制御された水蒸気雰囲気で不融化する第三工程と、酸化性雰囲気で低温焼成して炭素成分を含有するゲル繊維に変換する第四工程と、非酸化性雰囲気で焼成し、炭素を含有するジルコニア系繊維に変換する第五工程と、を備える酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法。

請求項2

さらに超高速昇温により結晶化を促進させる第六工程を有する請求項1に記載の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法。

請求項3

前記第一工程において、部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアを形成する酸化物成分がイットリア(Y2O3)、セリア(Ce2O3)、あるいはエルビア(Er2O3)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法。

請求項4

前記第三工程において、前駆体繊維の不融化を、室温の大気中での保持時間を24時間以内とするか、室温以上30℃以下の飽和水蒸気雰囲気で0.5時間以上2時間以内保持して行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法。

請求項5

前記第四工程において、不融化した前駆体繊維を、大気中あるいは乾燥空気中で酸化性雰囲気で、10〜100℃/時の昇温速度で150〜500℃まで加熱し、10時間以下保持して低温焼成し、炭素成分を含有するゲル繊維に変換することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法。

請求項6

前記第五工程において、第四工程で得られたゲル繊維を窒素ガスアルゴンガスなどの非酸化性雰囲気で、昇温速度500〜1000℃/時で800℃以上で焼成し、炭素を1〜6質量%程度含有するジルコニア系繊維に変換することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法。

請求項7

前記第六工程において、前記第六工程で得られた酸化ジルコニウム連続繊維を大気中で、800〜20000℃/時の昇温速度で1000〜1600℃まで加熱し、炭素を酸化除去しながら結晶化を促進させ焼結を進め、安定化ジルコニア繊維または部分安定化ジルコニア繊維を得ることを特徴とする請求項2乃至6の何れか1項に記載の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法。

請求項8

請求項1乃至6の何れか1項に記載の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法で製造される酸化ジルコニウム連続繊維であって、前記第四工程または第五工程で得られる炭素を1〜6質量%程度含有するジルコニア系連続繊維。

請求項9

請求項2乃至7のいずれか1項に記載の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法で製造される酸化ジルコニウム連続繊維であって、前記第六工程で得られる炭素含有量が1質量%以下である安定化酸化ジルコニウム連続繊維または部分安定化酸化ジルコニウム連続繊維。

詳細

以下の情報は 公開日時点 (2015年5月18日)のものです。

技術分野

0001

本発明は、ジルコニア連続繊維に関し、特に連続繊維強化セラミックス強化繊維として用いるのに好適なジルコニア連続繊維に関する。
また、本発明はジルコニア連続繊維に用いられる部分安定化ジルコニア連続繊維または安定化ジルコニア連続繊維の製造方法に関する。


背景技術

0002

ジルコニアは室温では単斜晶系であり、温度を上げていくと正方晶、及び立方晶へと結晶構造が相転移する。この相転移は体積変化を伴うため、焼結体は昇降温を繰り返すことによって破壊に至る。特に単斜晶から正方晶への相転移では、約4%の体積収縮が見られる。

0003

ジルコニアに酸化カルシウムや酸化マグネシウム、あるいは酸化イットリウムなどの希土類酸化物を固溶させると、構造中に酸素空孔が形成され、立方晶および正方晶が室温でも安定、または準安定となり、昇降温による破壊を抑制することができる。このような安定化剤と呼ばれる酸化物を添加したジルコニアは、安定化ジルコニア、または部分安定化ジルコニアと呼ばれる。

0004

安定化ジルコニアは、酸化物無添加ジルコニアに比べて強度、及び靭性などの機械的特性に優れる。これは、破壊の原因となる亀裂の伝播を正方晶から単斜晶への相変態によって阻害し、亀裂先端の応力集中を緩和するからである。この特異なメカニズムを「応力誘起相変態強化機構」と言い、最大で正方晶の約40%が単斜晶に変態する。また、変態を完全に抑制した完全安定化ジルコニアよりも、添加剤の量を減らしてわずかに変態出来るようにした部分安定化ジルコニアの方が機械的特性に優れることが知られている。
さらに、セラミック繊維は、電気絶縁性、低熱伝導性、高弾性などの性質を活かして、電気絶縁材、断熱材、フィラー、フィルターなど様々な分野で用いられる有用な材用であり、ジルコニアについても同様である。

0005

ジルコニア繊維は、種々の方法により製造することができ、たとえば、ジルコニウム塩の水溶液を出発原料としてこれを繊維化し、これを高温で焼成して製造することができる。
具体的には、ジルコニウム塩の水溶液にポリエチレンオキサイドやポリビニルアルコ−ルなどの水溶性有機高分子を加えて粘稠液とし、ノズルより吹き出しこれを焼成する無機塩法(特許文献1)、ZrO2微粉及び結晶安定化剤にZrOCl2をバインダ−として加えて粘稠なスラリ−としこれを乾式紡糸し焼成するスラリ−法(特許文献2)、ジルコニウムの有機酸塩を溶融して紡糸し、焼成する方法(非特許文献1)などがある。また、従来より、金属アルコキシドを原料としたゾル−ゲル法で繊維化できることは良く知られている。

0006

このように、ジルコニアを繊維状にすることは可能であるが、これらの繊維は、多結晶体であるので、高温で粒成長による劣化を起こしやすく、また、機械的強度などの特性が単結晶繊維に比べて劣るという課題がある。
そこで、従来、セラミック材料の単結晶繊維を作る方法も数多く提案されてきた。ジルコニアに関しては、水熱合成法、レーザー加熱法、気相法で単結晶繊維を作ることができる。また、従来の繊維よりも細い繊維を作製し高強度化する方法としてエレクトロスピニング法が知られている。エレクトロスピニング法は、繊維形成性の溶液に高電圧を印加させることにより、溶液を電極に向かって噴出させ、噴出によって溶媒が蒸発し、簡便に極細の繊維構造体を得ることのできる方法であり、平均繊維径が50〜1000nmであり、さらに繊維長が100μm以上であるジルコニア繊維が得られている(特許文献3)。

0007

しかしながら、これらは極短繊維であり、連続繊維強化セラミックスの強化繊維としては使用できないという課題がある。
従来のジルコニア連続繊維は、特に、安定化ジルコニアは、溶融法、すなわち溶融させて引き伸ばし繊維状にすることができたが、その融点が2700℃と高温であるため、非常に製造原価が高くなるという課題があった。また、上述の無機塩法やゾル−ゲル法による安定化ジルコニア繊維の製造方法では、得られる繊維が多結晶体であるので、高温で粒成長による劣化を起こしやすく、また、機械的強度なども充分ではないという課題があった。

0008

特公昭55-36726号公報
特開昭60-246817号公報
特開2006-336121号公報


先行技術

0009

J.Am.Ceram.Soc.,70(1987)C187


発明が解決しようとする課題

0010

従来のジルコニア繊維は多結晶体であるので、高温で粒成長による劣化を起こしやすく、また、機械的強度などの特性が低いためにハンドリング性に問題があり、長繊維強化複合材料用繊維としては使用できなかった。
そこで、本発明の目的は、上述の問題点を解消し、ジルコニア繊維強化ジルコニア複合材料に使用することができる、安定化ジルコニア連続繊維または部分安定化ジルコニア連続繊維及びその製造方法を提供することにある。


課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、アルコキシドを原料にした、アルカリなどの不純物が極めて少なく、また内包される炭素量を制御することによる非晶質構造付与できる、連続ジルコニア繊維の製造法を鋭意検討した結果、本発明に到った。すなわち、本発明は以下の通りである。

0012

本発明の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法は、部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアを形成する酸化物成分を生成する金属アルコキシド共存下で、ジルコニウムアルコキシドの部分加水分解縮合を行ない、連続紡糸が可能な前駆体を形成する第一工程と、これを溶融あるいは乾式紡糸法で高速で連続紡糸する第二工程と、制御された水蒸気雰囲気で不融化する第三工程と、酸化性雰囲気で低温焼成して炭素成分を含有するゲル繊維に変換する第四工程と、非酸化性雰囲気で焼成し、炭素を含有するジルコニア系繊維に変換する第五工程とを備える。

0013

本発明の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法において、好ましくは、超高速昇温により結晶化を促進させる第六工程を有するとよい。
本発明の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法において、好ましくは、上記第一工程において、部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアを形成する酸化物成分がイットリア(Y2O3)、セリア(Ce2O3)、あるいはエルビア(Er2O3)であるとよい。

0014

本発明の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法において、好ましくは、上記第三工程において、前駆体繊維の不融化を、室温の大気中での保持時間を24時間以内とするか、室温以上30℃以下の飽和水蒸気雰囲気で0.5時間以上2時間以内保持して行うとよい。

0015

本発明の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法において、好ましくは、上記第四工程において、不融化した前駆体繊維を、大気中あるいは乾燥空気中で酸化性雰囲気で、10〜100℃/時の昇温速度で150〜500℃まで加熱し、10時間以下保持して低温焼成し、炭素成分を含有するゲル繊維に変換するとよい。
本発明の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法において、好ましくは、上記第五工程において、第四工程で得られたゲル繊維を窒素ガス、アルゴンガスなどの非酸化性雰囲気で、昇温速度500〜1000℃/時で800℃以上で焼成し、炭素を1〜6質量%程度含有するジルコニア系繊維に変換するとよい。

0016

本発明の酸化ジルコニウム連続繊維の製造方法において、好ましくは、上記第六工程において、前記第五工程で得られたゲル繊維を大気中で、800〜20000℃/時の昇温速度で1000〜1600℃まで加熱し、炭素を酸化除去しながら結晶化を促進させ焼結を進め、安定化ジルコニア繊維または部分安定化ジルコニア繊維を得るとよい。

0017

本発明の酸化ジルコニウム系連続繊維は、上記製造方法の第五工程で得られる炭素を1〜6質量%程度含有する酸化ジルコニウム連続繊維をいう。
また、本発明の炭素を1〜6質量%程度含有する酸化ジルコニウム連続繊維は、上記第六工程で、炭素含有量が1質量%以下の安定化酸化ジルコニウム連続繊維または部分安定化酸化ジルコニウム連続繊維へと変換することができる。


発明の効果

0018

本方法発明では、部分安定化ジルコニア連続繊維または安定化ジルコニア連続繊維を得ることができる。
また、本方法発明によればジルコニア連続繊維中に炭素を少量含有させることにより結晶化による繊維の多孔性を抑制し、機械的強度の優れた繊維を獲ることができる。さらに、本方法発明に第六工程を付加することで、急速昇温による、より高温での焼成工程により、より炭素含有量の少ない緻密な高結晶化ジルコニア繊維を得ることができる。


図面の簡単な説明

0019

窒素ガス中、800℃/時で1000℃で焼成して得られた3YSZ繊維のSEM写真である。
窒素ガス中、800℃/時で1000℃で焼成して得られた3YSZ繊維のXRDである。
窒素ガス中、800℃/時で1000℃で焼成して得られた3YSZ繊維の断面のSEM写真である。
大気中、1666℃/時で1500℃で焼成して得られた3YSZ繊維のSEM写真である。
大気中、1666℃/時で1500℃で焼成して得られた3YSZ繊維の断面のSEM写真である。
大気中、1666℃/時で1500℃で焼成して得られた3YSZ繊維のXRDである。
大気中、1666℃/時で1500℃で焼成して得られた6YSZ繊維のXRDである。
大気中、1666℃/時で1500℃で焼成して得られた8YSZ繊維のXRDである。
大気中、15000℃/時で1400℃で焼成して得られたエルビア6モル%安定化ジルコニア繊維の断面のSEM写真である。


実施例

0020

以下に本発明を具体的に説明する。
本発明のジルコニア繊維の製造方法は以下の通りである。
本発明のジルコニア繊維の製造方法の第一工程は、ジルコニウムアルコキシドの部分加水分解縮合を金属アルコキシド共存下で行ない、連続紡糸が可能な前駆体を合成する。ここで、この金属アルコキシドは、部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアを形成する酸化物成分を生成するものである。金属アルコキシドとしてジルコニウムアルコキシドを用いる場合には、例えばジルコニウムテトラ−n−ブトキシドZr(OC4H9)4が好適であるが、ジルコニウムテトラ−i−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−sec−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−t−ブトキシド、などでもよい。
安定化剤としては、安定化剤となる化合物、すなわちイットリウムセリウムエルビウムなどの希土類元素カルシウムマグネシウムなどのアルカリ土類金属などの化合物を含ませればよいが、ジルコニウムアルコキシドと均一に混合するためには、アルコキシドが好ましく、イットリウムテトライソプロポキシドなどが好適である。アルコキシドをイソプロパノールなどに溶解し所定量をジルコニウムアルコキシドと混合する。混合する量はZrO2に対して安定化剤を酸化物に換算して2〜12モル%であることが好ましく、2モル%より少なくては効果が乏しく、12モル%より多いと酸化物が析出するなどの理由で繊維の特性が低下するため好ましくない。

0021

ジルコニウムアルコキシドと上記安定化剤の混合物を部分加水分解させる為β−ジケントンキレート化を行う。β−ジケントンとしては3−オキソブタン酸エチルが好ましい。3−オキソブタン酸エチルの使用量は、金属アルコキシドの0.1〜2倍モルが好ましい。
ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドを加水分解させるため、水、塩酸、イソプロパノールの混合溶液を添加し撹拌する。各使用量は、金属アルコキシドに対して、特に限定しないが、イソプロパノールは3倍モル程度で良い。水は0.3〜2倍モル、塩酸はHClとして0.1〜0.5倍モルが好ましい。アルコキシドに対する水の量が0.3倍モル以下では反応が十分進行せず高分子量化しない。2倍モル以上では、高分子量化が進みすぎ、紡糸が困難になったりゲル化が起こり好ましくない。
安定化剤の混合は、この反応の後でもよい。

0022

次に、室温から徐々に温度を上げながら減圧下で加水分解を進めながら濃縮を行い紡糸可能な前駆体を得る。濃縮温度はおよそ90℃まででよい。
本発明の第二工程は第一工程で得られた前駆体を溶融紡糸法で高速で連続紡糸する。紡糸温度は90℃程度が好ましく、高くすると紡糸筒内で反応が進行し、発泡、ゲル化などが起こる場合がある。第一工程で得られた前駆体をもう一度イソプロパノールなどの溶媒に溶解し、適当な粘度の前駆体溶液としてこれを同様に乾式紡糸することもできる。

0023

本発明の第三工程では、得られた前駆体繊維を制御された水蒸気雰囲気で不融化する。不融化は、前駆体中に残存するアルコキシ基あるいはキレート部分加水分解縮合させ分子間を架橋させ第三工程で繊維が溶融し融着をすることを防止することが目的である。しかしながら、この不融化を進ませすぎると繊維が脆くなり場合によっては粉化するため、加水分解縮合の程度を制御する。大気中での保持時間は24時間以内とし、飽和水蒸気雰囲気では30℃で0.5時間以上2時間以内が好ましい。これ以上の水蒸気処理は前記理由から好ましくない。

0024

本発明の第四工程では、第三工程で得られた不融化繊維を酸化性雰囲気で低温焼成して炭素成分を含有するゲル繊維に変換する。酸化性雰囲気とは大気中でよいが、乾燥空気でもよい。目的は不融化繊維中に残存する溶媒やアルコキシ基等の有機物を適度に除去し、第五工程の焼成で強度を有するジルコニア繊維を生成させることを目的とする。したがって、第三工程での不融化が完全に行われている場合には乾燥空気でもよいし、乾燥窒素ガスなど非酸化性雰囲気でもよい。低温焼成する温度は溶媒が除去されアルコキシ基やキレート分解除去される温度付近、150〜500℃、が好適であり、さらに、200〜300℃がとくに好ましい。保持時間は有機物が減りすぎることがないように10時間以内が好ましい。昇温速度は速すぎては繊維内で気泡が発生したり不均一な構造が生成しやすいので、10〜100℃/時が好ましい。

0025

本発明の第五工程では、前記ゲル繊維を非酸化性雰囲気で焼成し、炭素を含有するジルコニア系繊維に変換する。非酸化性雰囲気は窒素ガス、アルゴンガスなど不活性ガスでよいが、安定化剤の窒化反応が起こり窒化物を生成する場合はアルゴンガスを用いる。この焼成により繊維中に炭素が残留した結晶性の低い(非晶質と称する)ことを特徴とする安定化ジルコニア繊維または部分安定化ジルコニア繊維が得られる。焼成温度は800℃以上が好ましく、800℃より低温では有機炭素成分が多く(炭化水素が残留する)好ましくない。昇温速度は500〜1000℃/時が好ましい。500℃/時以下ではジルコニアの結晶化が進み、炭素成分との分離が起こることが原因と考えられる繊維中の気孔の生成などでの繊維強度の低下が起こり好ましくなく、1000℃/時より速いと有機物の分解が急速過ぎてやはり繊維強度の低下が起こる。

0026

本発明の第六工程では、さらに必要により超高速昇温により結晶化を促進させることができる。第五工程で得られた繊維は炭素を含有しているので、用途に応じ炭素含有量が少ない方が良い場合には1000〜1600℃まで800〜20000℃/時の昇温速度で大気中で加熱し、炭素を酸化除去しながら焼結を進め、炭素含有量の少ない焼結性の安定化ジルコニア繊維または部分安定化ジルコニア繊維を得ることができる。昇温速度が800℃/時より小さいと結晶化が進みすぎ、気孔の発達した繊維となるので好ましくない。酸化性焼成雰囲気酸素や乾燥空気中でもよい。

0027

以上の製造方法により、結晶性の低い緻密な安定化ジルコニア繊維または部分安定化ジルコニア繊維を得ることができる。その理由は以下のように推定されるが、必ずしもその理由がこの推定に限定されるものではない。
実施例で示すように本発明の第五工程で得られる繊維は従来のジルコニア繊維とは異なり1〜6質量%程度の炭素を含有している。1000℃で焼成して得られた繊維の粉末X線回折の結果から明らかなように回折線半値幅は大きく非晶質であることを示している。したがって残留炭素がジルコニアの結晶化を抑制し、その結果、繊維はSEM写真からわかるように、結晶粒成長していない気孔のない断面を示している。また、酸化性雰囲気でさらに高温焼成し結晶化を促進させる場合も、炭素成分により結晶化を抑制しつつ超高速昇温で焼成するため、空孔の生成を最小限にし緻密化が促進されるものと推定される。

0028

以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
まず第1工程において、所定量のジルコニウムテトラ−n−ブトキシドに、3−オキソブタン酸エチルを等モル混合し、発熱反応が終了した後、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドの1.2倍モルのH2Oと塩酸を2−プロパノールを用いて溶液とし、上記ジルコニア前駆体に混合した。この時、塩酸はHClとしてジルコニウムテトラ−n−ブトキシドの0.3倍モルとした。発熱反応終了後、イットリウムトリ−2−プロポキシドの2−プロパノール溶液を、ZrO2に対してY2O3が3、6、8モル%になるように計算量をジルコニア前駆体溶液と混合し、15分攪拌を行った。その後、ロータリーエバポレーターを使用し、室温からウォーターバスで徐々に加熱しながら反応を進め、溶媒と加水分解生成物である2−プロパノールなど低沸点成分を除去し、85℃まで濃縮し、イットリア安定化ジルコニア繊維の前駆体を得た。

0029

次の第二工程において、第一工程で得られた前駆体を紡糸筒入れ、紡糸筒を加熱し、前駆体を85℃程度まで加熱し、紡糸筒内を窒素ガスでおよそ2MPaに加圧し、直径180μmのノズルから前駆体を押し出しながら、およそ100m/分の速度で連続的に巻き取った。
次の第三工程で、得られた生繊維を30℃の飽和水蒸気で1時間あるいは、室温の大気中に12時間あるいは24時間保持して不融化した。不融化は150℃のホットプレート上で溶融しないことで確認した。

0030

不融化した繊維は、次の第四工程において、大気中で200℃あるいは300℃まで50℃/時で昇温し、200℃で5時間あるいは300℃で1時間保持してゲル繊維とした。すべての繊維で黄色から褐色に着色し、有機成分に起因する炭素が含有されていることが確認でき、イットリアを3モル%含有するゲル繊維では炭素分析の結果15.2質量%の炭素を含有していた。
これらのゲル繊維を次の第五工程において、窒素ガス中で、昇温速度800℃/時で焼成し、1000℃で1時間保持して炭素を含有するジルコニア系繊維に変換した。繊維径はほぼ10〜50μmであった(図1)。

0031

表1には本実施例で得られたジルコニア系連続繊維(イットリアのモル数をxとしてxYSZ繊維と称する)の不融化条件と繊維の炭素含有量および機械的特性の例を示す。この焼成により、図2の3YSZ繊維のX線回折の結果からわかるように、結晶性の低いジルコニア系繊維が得られた。

0032

0033

図3には3YSZ繊維の断面のSEM写真を示す。繊維内でジルコニアの結晶粒の生成が見られなかった。

0034

<実施例2>
実施例1で、大気中不融化、200℃でゲル化した後、1000℃で焼成して得られた3YSZ、6YSZ、8YSZ繊維を、大気中1666℃・h−1で1500℃まで昇温し、5分間保持して3YSZ、6YSZ、8YSZ繊維を得た。これらの繊維の炭素含有量はそれぞれ、0.07、0.02、0.03質量%であり、大気中焼成によりほとんど消滅していることが分かった。しかしながら、図4、5に示したように、繊維径はほぼ10〜50μmであり、断面も比較的緻密であることが分かった。
これらの繊維のXRDから、3YSZ繊維は立方晶と正方晶の混合系、また6YSZ繊維と8YSZ繊維はほぼ立方晶系であり、安定化されていることが分かった(図6、7、8)。

0035

<実施例3>
イットリウムトリ−2−プロポキシドの代わりにセリウムトリ−2−プロポキシドをZrO2に対して12モル%になるように混合すること以外は実施例1と同様の方法によりセリア安定化ジルコニア繊維の前駆体を得た。この前駆体を90℃で、窒素ガスでおよそ2.5MPaに加圧し、直径180μmのノズルから押し出しながら、およそ80m/分の速度で連続的に巻き取った。
得られた生繊維を、室温の大気中に15時間保持して不融化した。
不融化した繊維を、大気中で200℃まで50℃/時で昇温し、200℃で5時間保持してゲル繊維とした。

0036

このゲル繊維を窒素ガス中で、昇温速度800℃/時で焼成し、800℃で1時間保持して炭素を含有するジルコニア系繊維に変換後、さらに1000℃/時で1500℃まで焼成し1時間保持した。繊維径はほぼ30μmで、炭素含有量は1.2質量%であった。この繊維はXRDの測定結果からほぼ立方晶系であることが分かった。断面は空孔のほとんどない緻密な構造を示した。

0037

<実施例4>
イットリウムトリ−2−プロポキシドの代わりにエルビウムトリ−2−プロポキシドをZrO2に対して6、8、12モル%になるように混合すること、および、これらをジルコニウムテトラ−n−ブトキシドを50℃まで部分加水分解した後に加えること以外は実施例1と同様の方法によりエルビア(酸化エルビウム)安定化ジルコニア繊維の前駆体を得た。この前駆体を87℃で、窒素ガスでおよそ2.2MPaに加圧し、直径180μmのノズルから押し出しながら、およそ80〜150m//分の速度で連続的に巻き取った。
得られた生繊維を、室温の大気中に12時間保持して不融化した。

0038

不融化した繊維を、大気中で200℃まで40℃/時で昇温し、200℃で1時間保持してゲル繊維とした。
このゲル繊維を窒素ガス中で、昇温速度750℃/時で焼成し、1000℃で1時間保持して炭素を含有するジルコニア系繊維を得た。エルビア6、8、12モル%で安定化した繊維の結晶構造は非晶質の安定化ジルコニア繊維で、繊維径はほぼ18〜30μmであった。いずれの繊維も引張強度およびヤング率は0.8〜1.5GPaおよび150〜190GPaの範囲であった。また炭素含有量は、6質量%エルビア安定化ジルコニア繊維で2.9質量%であった。
さらに上記8質量%エルビア安定化ジルコニア繊維をArガス中で10000℃/時で1400℃まで焼成し5分間保持して、炭素を1.0質量%含有する安定化ジルコニア繊維を得た。繊維径はほぼ20μmで、XRDの結果から、ほぼ立方晶系であることが分かった。炭素含有量は1.2質量%であった。

0039

また、上記6質量%エルビア安定化ジルコニア繊維を大気中で15000℃/時で1400℃まで焼成し5分間保持して、炭素を0.3質量%含有する安定化ジルコニア繊維を得た。繊維径はほぼ15μmで、XRDの結果から、ほぼ立方晶系であることが分かった。
この繊維の断面は図9に示すように結晶の発達した、しかも空孔のほとんどない緻密な構造を示した。

0040

本発明の製造方法によれば、ジルコニア連続繊維中に炭素を少量含有させることにより結晶化による繊維の多孔性を抑制し、機械的強度の優れた繊維を得ることができる。さらに必要により、その後の急速昇温による、より高温での焼成による炭素含有量の少ない緻密な高結晶化ジルコニア繊維を得ることができる。そこで、これらのジルコニア連続繊維は、酸化物をマトリックスとするジルコニア繊維強化酸化物セラミックス複合材料の製造に用いて好適である。


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