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技術 プローブ作製方法、プローブセット、及び表現型決定遺伝子検出方法

出願人 学校法人慶應義塾株式会社ニコン
発明者 加藤真吾塩野博文
出願日 2013年11月11日 (7年0ヶ月経過) 出願番号 2013-233480
公開日 2015年5月18日 (5年6ヶ月経過) 公開番号 2015-092847
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード 一次微分曲線 シーケンスデータベース 測定開始条件 分子数比 水素結合数 増減傾向 線形判別式 エントロピー変化
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年5月18日)のものです。
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図面 (20)

課題

迅速で安価なプローブ作製方法プローブセット、及び表現型決定遺伝子検出方法を提供する。

解決手段

本発明のプローブ作製方法は、塩基配列多様性を有する表現型決定遺伝子群から、特定の表現型決定遺伝子を特異的に検出するプローブの作製方法であって、前記特定の表現型決定遺伝子中の断片Aと、他の表現型決定遺伝子中の当該断片Aに対応する断片Bとを含む断片セットを、前記表現型決定遺伝子群の既知配列情報に基づいて複数設定する断片設定工程と、前記断片Aおよび前記断片BのTm値を用いて複数の前記断片セットからプローブ候補の前記断片セットを選択するプローブ選択工程と、を含むことを特徴とする。

概要

背景

生物において、表現型を決定する遺伝子が塩基配列多様性を有している場合がある。例えば、RNAウイルス、特にHIV(human immunodeficiency virus;ヒト免疫不全ウイルス)は、フィデリティ(正確性)の低い逆転写酵素を有しているため、非常に変異しやすいウイルスである。そのため、HIVは、遺伝子変異に伴い、抗HIV薬に対する抵抗性を獲得する等、多様な表現型を獲得する。

近年、抗HIV(human immunodeficiency virus)薬として、CCR阻害薬が開発されている。HIVは、CD4陽性リンパ球侵入する際、その細胞膜上にある補体受容体CCR5(C−C chemokine receptor5)又はCXCR4(C−X−C chemokine receptor 4)に選択的に結合し、細胞内へ侵入する。CCR5阻害薬は選択的にCCR5に結合し、その立体構造を変化させることによりCCR5指向性HIVの細胞内への侵入を阻害する。

このように、CCR5阻害薬はCCR5に選択的に結合し、CXCR4には結合しないため、患者は、指向性検査(Tropism assay)を受け、感染ウイルスが、CCR5指向性ウイルスであることを確認してからCCR5阻害薬による治療を受ける必要がある。

指向性検査としては、ジェノタイプ検査及びフェノタイプ検査が挙げられる(非特許文献1参照)。
ジェノタイプ検査は、体内で増殖しているHIVのenv領域の遺伝子解析を行い、得られた塩基配列をデータベースや一定のアルゴリズムと照合して感染ウイルスの指向性を評価する方法である。
フェノタイプ検査は、感染者ウイルス由来のenv領域を増幅させ、この増幅した領域の遺伝子を有する感染性ウイルス再構築し、CCR5阻害薬存在下でのHIV由来プロテアーゼ活性を測定することにより、感染ウイルスの指向性を評価する方法である。
ここで、env領域とは、ウイルスを覆う殻となるタンパク質をコードする領域であり、該タンパク質は、宿主細胞表面の受容体に結合し、宿主細胞へウイルスの侵入を可能にする役割を有する。

概要

迅速で安価なプローブ作製方法プローブセット、及び表現型決定遺伝子検出方法を提供する。本発明のプローブ作製方法は、塩基配列の多様性を有する表現型決定遺伝子群から、特定の表現型決定遺伝子を特異的に検出するプローブの作製方法であって、前記特定の表現型決定遺伝子中の断片Aと、他の表現型決定遺伝子中の当該断片Aに対応する断片Bとを含む断片セットを、前記表現型決定遺伝子群の既知配列情報に基づいて複数設定する断片設定工程と、前記断片Aおよび前記断片BのTm値を用いて複数の前記断片セットからプローブ候補の前記断片セットを選択するプローブ選択工程と、を含むことを特徴とする。なし

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

塩基配列多様性を有する表現型決定遺伝子群から、特定の表現型決定遺伝子を特異的に検出するプローブ作製方法であって、前記特定の表現型決定遺伝子中の断片Aと、他の表現型決定遺伝子中の当該断片Aに対応する断片Bとを含む断片セットを、前記表現型決定遺伝子群の既知配列情報に基づいて複数設定する断片設定工程と、前記断片Aおよび前記断片BのTm値を用いて複数の前記断片セットからプローブ候補の前記断片セットを選択するプローブ選択工程と、を含むことを特徴とするプローブ作製方法。

請求項2

前記断片Aおよび前記断片BのTm値を換算するTm値換算工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のプローブ作製方法。

請求項3

前記プローブ選択工程において、前記断片Aおよび前記断片BのTm値を用い、マハラノビスの汎距離による線形判別式に基づいて、複数の前記断片セットのうち、前記断片セットの相関係数のp値が相対的に低い前記断片セットを前記プローブ候補として選択することを特徴とする請求項1または2に記載のプローブ作製方法。

請求項4

前記プローブ選択工程において、複数の前記断片セットのうち、ある前記断片セットに含まれる断片AのTm値と、断片BのTm値との差を、複数の前記断片セットについてそれぞれ求める工程と、複数の前記断片セットのうち、ある前記断片セットについて、当該断片セットの5’末端からの位置を第1軸に、当該断片セットについての前記Tm値の差を第2軸にそれぞれプロットした場合に、前記Tm値の差の極大値を示す前記断片セットを選択する工程と、を含むことを特徴とする請求項3に記載のプローブ作製方法。

請求項5

前記表現型は、RNAウイルス細胞指向性であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプローブ作製方法。

請求項6

前記RNAウイルスは、ヒト免疫不全ウイルスであることを特徴とする請求項5に記載のプローブ作製方法。

請求項7

前記表現型決定遺伝子群は、前記ヒト免疫不全ウイルスの可変領域であることを特徴とする請求項6に記載のプローブ作製方法。

請求項8

前記断片A及び前記断片Bの塩基数は10〜30であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のプローブ作製方法。

請求項9

前記Tm値は最近接塩基対法により求められることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のプローブ作製方法。

請求項10

請求項1〜9のいずれか一項に記載のプローブ作製方法を用いて得られたことを特徴とするプローブセット

請求項11

列番号1で表される塩基配列からなるDNAと、配列番号2で表される塩基配列からなるDNAと、配列番号3で表される塩基配列からなるDNAと、配列番号4で表される塩基配列からなるDNAとを含むことを特徴とするプローブセット。

請求項12

塩基配列の多様性を有する表現型決定遺伝子群から、特定の表現型決定遺伝子を特異的に検出する方法であって、表現型決定遺伝子由来核酸と、請求項10又は11に記載のプローブセットから選ばれる少なくとも一種類のプローブとをハイブリダイズさせた二本鎖核酸を検出する検出工程を有することを特徴とする表現型決定遺伝子検出方法

請求項13

前記検出工程において蛍光色素を用いて前記二本鎖核酸を検出することを特徴とする請求項12に記載の表現型決定遺伝子検出方法。

請求項14

前記検出工程において、分光学的手法を用いて前記二本鎖核酸を検出することを特徴とする請求項12に記載の表現型決定遺伝子検出方法。

請求項15

前記検出工程は、融解曲線を用いて前記二本鎖核酸を検出することを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の表現型決定遺伝子検出方法。

請求項16

請求項15に記載の表現型決定遺伝子検出方法において、前記融解曲線から算出される前記二本鎖核酸のTm値と、前記二本鎖核酸の形成に用いられたプローブのTm値との差を算出する工程と、算出されたTm値の差と、マハラノビスの汎距離による線形判別式とに基づいて、特定の表現型決定遺伝子と、その他の表現型決定遺伝子を判別する工程と、を含むことを特徴とする表現型決定遺伝子検出方法。

請求項17

試料から二本鎖DNAを抽出する工程と、前記二本鎖DNAから表現型決定遺伝子を含む断片を増幅する工程と、前記断片のマイナス鎖プロモーターを付加する工程と、前記プロモーターを付加された断片から、前記表現型決定遺伝子由来の核酸としてRNA鎖を合成する工程と、を有することを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載の表現型決定遺伝子検出方法。

請求項18

試料から二本鎖DNAを抽出する工程と、前記二本鎖DNAから表現型決定遺伝子を含む断片を増幅する工程と、前記断片のマイナス鎖にプロモーターを付加する工程と、前記プロモーターを付加された断片から、RNA鎖を合成する工程と、逆転写反応により、前記RNA鎖から当該mRNAに相補するDNAと前記RNAとの複合体を合成する工程と、前記複合体から前記表現型決定遺伝子由来の核酸として一本鎖DNA鎖を合成する工程と、を有することを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載の表現型決定遺伝子検出方法。

請求項19

前記一本鎖DNA鎖を合成する工程は、前記複合体を熱処理して、RNase処理する工程を有する請求項17に記載の表現型決定遺伝子検出方法。

請求項20

前記一本鎖DNA鎖を合成する工程は、前記複合体をアルカリ処理する工程を有する請求項17に記載の表現型決定遺伝子検出方法。

技術分野

0001

本発明は、プローブ作製方法プローブセット、及び表現型決定遺伝子検出方法に関する。

背景技術

0002

生物において、表現型を決定する遺伝子が塩基配列多様性を有している場合がある。例えば、RNAウイルス、特にHIV(human immunodeficiency virus;ヒト免疫不全ウイルス)は、フィデリティ(正確性)の低い逆転写酵素を有しているため、非常に変異しやすいウイルスである。そのため、HIVは、遺伝子変異に伴い、抗HIV薬に対する抵抗性を獲得する等、多様な表現型を獲得する。

0003

近年、抗HIV(human immunodeficiency virus)薬として、CCR阻害薬が開発されている。HIVは、CD4陽性リンパ球侵入する際、その細胞膜上にある補体受容体CCR5(C−C chemokine receptor5)又はCXCR4(C−X−C chemokine receptor 4)に選択的に結合し、細胞内へ侵入する。CCR5阻害薬は選択的にCCR5に結合し、その立体構造を変化させることによりCCR5指向性HIVの細胞内への侵入を阻害する。

0004

このように、CCR5阻害薬はCCR5に選択的に結合し、CXCR4には結合しないため、患者は、指向性検査(Tropism assay)を受け、感染ウイルスが、CCR5指向性ウイルスであることを確認してからCCR5阻害薬による治療を受ける必要がある。

0005

指向性検査としては、ジェノタイプ検査及びフェノタイプ検査が挙げられる(非特許文献1参照)。
ジェノタイプ検査は、体内で増殖しているHIVのenv領域の遺伝子解析を行い、得られた塩基配列をデータベースや一定のアルゴリズムと照合して感染ウイルスの指向性を評価する方法である。
フェノタイプ検査は、感染者ウイルス由来のenv領域を増幅させ、この増幅した領域の遺伝子を有する感染性ウイルス再構築し、CCR5阻害薬存在下でのHIV由来プロテアーゼ活性を測定することにより、感染ウイルスの指向性を評価する方法である。
ここで、env領域とは、ウイルスを覆う殻となるタンパク質をコードする領域であり、該タンパク質は、宿主細胞表面の受容体に結合し、宿主細胞へウイルスの侵入を可能にする役割を有する。

先行技術

0006

Sing, T., Low, A.J., Beerenwinkel, N., Sander, O., Cheung, P.K., Domingues, F.S., Buch, J., Daumer, M., Kaiser, R., Lengauer, T., Harrigan, P.R.,Antivir Ther 12, 1097-1106(2007).

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、上述した指向性検査は、1週間から1か月程度の時間を要し、検査に高額な費用を要するため未だ改良の余地がある。

0008

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、本発明によれば迅速で安価なプローブ作製方法、プローブセット、及び表現型決定遺伝子検出方法を提供できる。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは上記の課題を解決するため、鋭意研究を行った結果、所定のプローブ選択工程を経ることにより課題を解決できることを見出した。本発明の一実施態様は、下記(1)〜(4)を提供するものである。

0010

(1)本発明の一実施態様におけるプローブ作製方法は、塩基配列の多様性を有する表現型決定遺伝子群から、特定の表現型決定遺伝子を特異的に検出するプローブの作製方法であって、前記特定の表現型決定遺伝子中の断片Aと、他の表現型決定遺伝子中の当該断片Aに対応する断片Bとを含む断片セットを、前記表現型決定遺伝子群の既知配列情報に基づいて複数設定する断片設定工程と、前記断片Aおよび前記断片BのTm値を用いて複数の前記断片セットからプローブ候補の前記断片セットを選択するプローブ選択工程と、 を含むことを特徴とする。
(2)本発明の一実施態様におけるプローブセットは、先に記載のプローブ作製方法を用いて得られたことを特徴とする。
(3)本発明の一実施態様におけるプローブセットは、配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと、配列番号2で表される塩基配列からなるDNAと、配列番号3で表される塩基配列からなるDNAと、配列番号4で表される塩基配列からなるDNAとを含むことを特徴とする。

0011

(4)本発明の一実施態様における表現型決定遺伝子検出方法は、塩基配列の多様性を有する表現型決定遺伝子群から、特定の表現型決定遺伝子を特異的に検出する方法であって、 表現型決定遺伝子由来の核酸と、先に記載のプローブセットから選ばれる少なくとも一種類のプローブとをハイブリダイズさせた二本鎖核酸を検出する検出工程を有することを特徴とする。

発明の効果

0012

本発明によれば、迅速で安価なプローブ作製方法、プローブセット、及び表現型決定遺伝子検出方法を提供できる。

図面の簡単な説明

0013

本発明のプローブ作製方法における工程の一態様を示した図である。
本発明のプローブ作製方法における工程の一態様を示した図である。
本発明のプローブ作製方法における工程の一態様を示した図である。
本発明のプローブ作製方法における工程の一態様を示した図である。
本発明のプローブ作製方法における工程の一態様を示した図である。
本発明のプローブ作製方法における工程の一態様を示した図である。
実施例におけるTm値の差をプロットした結果である。
実施例における線形判別式に基づく結果である。
実施例における融解曲線測定結果である。
実施例における融解曲線の測定結果である。
実施例における融解曲線の測定結果である。
実施例における融解曲線の測定結果である。
実施例におけるTm値の測定結果である。
実施例における鋳型RNAの変異数とΔTmとの関係を示すグラフである。
実施例における鋳型RNAの変異数とΔTmとの関係を示すグラフである。
実施例における鋳型RNAの変異数とΔTmとの関係を示すグラフである。
実施例における鋳型RNAの変異数とΔTmとの関係を示すグラフである。
実施例における水素結合数とΔTmとの関係を示すグラフである。
実施例における水素結合数とΔTmとの関係を示すグラフである。
実施例における水素結合数とΔTmとの関係を示すグラフである。
実施例における水素結合数とΔTmとの関係を示すグラフである。
実施例における線形判別結果を示すグラフである。
実施例における評価結果を示すグラフである。
実施例における電気泳動の結果を示すグラフである。
実施例における電気泳動の結果を示すグラフである。
実施例における電気泳動の結果を示すグラフである。
実施例における融解曲線の測定結果である。
実施例におけるTm値を示すグラフである。

0014

≪プローブ作製方法≫
[第1実施形態]
HIV−1(human immunodeficiency virus type1)は、宿主細胞内へ侵入する際に、CCR5に選択的に結合するCCR5指向性ウイルス(以下、R5ウイルスともいう。)か、CXCR4に選択的に結合するCXCR4指向性ウイルス(以下、X4ウイルスともいう。)かに大別される。
係る細胞指向性を規定する遺伝子群(以下、表現型決定遺伝子群ともいう。)としては、外被糖タンパク質可変領域、特に第3可変領域(V3領域)が挙げられる。V3領域は、上述したenv領域に含まれる遺伝領域である。HIVは、非常に変異しやすいウイルスであり、遺伝子変異によってもたらされるV3領域内のアミノ酸の変化は、ウイルスの細胞指向性などの表現型に影響を与える。従って、感染者の細胞内に存在するV3領域は、塩基配列の多様性を有する表現型決定遺伝子群といえる。
本実施形態では、RNAウイルスの細胞指向性、特にヒト免疫不全ウイルスの細胞指向性を決定する遺伝子を検出対象とする。

0015

即ち、本実施形態のプローブ作製方法は、HIV−1感染者のサンプル中に存在する細胞指向性を規定する遺伝子群から、R5ウイルス決定遺伝子を特異的に検出するプローブの作製方法である。

0016

以下、本実施形態のプローブ作製方法における各工程について説明する。
本実施形態のプローブ作成方法は、断片設定工程と、プローブ選択工程とを含む。
断片設定工程は、特定の表現型決定遺伝子中の断片Aと、他の表現型決定遺伝子中の当該断片Aに対応する断片Bとを含む断片セットを、表現型決定遺伝子群の既知の配列情報に基づいて複数設定する。ここで、特定の表現型決定遺伝子とは、作成するプローブが特異的に検出する表現型決定遺伝子である。この一例においては、特定の表現型決定遺伝子とは、R5ウイルスの表現型決定遺伝子である。また断片Aとは、作成するプローブが特異的に検出する表現型決定遺伝子の断片であり、この一例においては、R5ウイルスの表現型決定遺伝子の断片である。また、他の表現型決定遺伝子とは、作成するプローブが特異的に検出する表現型決定遺伝子以外の表現型決定遺伝子である。この一例においては、他の表現型決定遺伝子とは、X4ウイルスの表現型決定遺伝子である。また断片Bとは、作成するプローブが特異的に検出する表現型決定遺伝子以外の表現型決定遺伝子の断片であり、この一例においては、X4ウイルスの表現型決定遺伝子の断片である。また、表現型決定遺伝子群の既知の配列情報とは、表現型決定遺伝子群に含まれる塩基対の配列情報であって、遺伝子データベース等に予め記憶されている配列情報である。この一例においては、表現型決定遺伝子群の既知の配列情報とは、HIVシーケンスデータベースに記憶されているHIV−1の遺伝子配列情報である。

0017

ここで、断片設定工程における具体的な手順について説明する。断片設定工程において、HIVシーケンスデータベースに記憶されているHIV−1の遺伝子配列情報のうち、R5ウイルスのV3領域の遺伝子配列情報を取得する。次に、取得したR5ウイルスの遺伝子配列情報のうち、V3領域の末端から順に複数の塩基対を有する断片Aを設定する。ここで、V3領域には約100対の塩基対が含まれている。この断片設定工程において、このV3領域に含まれる約100対の塩基対のうち、連続する複数の塩基対を、1つの断片Aとして設定する。

0018

ここで、連続する塩基対の数は例えば10対から30対である。すなわち、断片A及び断片Bの塩基数は例えば10から30である。V3領域の一端の塩基対から他端の塩基対まで順に断片Aを設定することにより、複数の断片Aを設定する。

0019

また、断片設定工程において、HIVシーケンスデータベースに記憶されているHIV−1の遺伝子配列情報のうち、X4ウイルスのV3領域の遺伝子配列情報を取得する。次に、取得したX4ウイルスの遺伝子配列情報のうち、V3領域の末端から順に複数の塩基対を有する断片Bを設定する。この断片Bについても、上述した断片Aと同様にして、V3領域に含まれる約100対の塩基対のうち、連続する複数(例えば10対から30対)の塩基対を、1つの断片Bとして設定する。V3領域の一端の塩基対から他端の塩基対まで順に断片Bを設定することにより、複数の断片Bを設定する。

0020

プローブ選択工程は、断片Aおよび断片BのTm値を用いて複数の断片セットからプローブ候補の断片セットを選択する。ここで、Tm(Melting temperature)値とは、DNAの融解温度を含む。
このプローブ選択工程における具体的な手順について説明する。プローブ選択工程において、まず、ある断片AのTm値(第1のTm値)と、この断片Aに対応する断片BとのTm値(第2のTm値)との差を求める。ここで、ある断片Aに対応する断片Bとは、複数の断片Bのうち、ある断片Aが示すV3領域の塩基対の位置と同じ位置の塩基対を示す断片Bである。一例として、V3領域に100対の塩基対が含まれる場合に、V3領域の一端の塩基対を塩基対1とし、他端の塩基対を塩基対100とする。この場合において、ある断片Aが、塩基対18から塩基対45までの領域を示す断片であるとき、この断片Aに対応する断片Bとは、複数の断片Bのうちの塩基対18から塩基対45までの領域を示す断片Bである。以下の説明において、ある断片のV3領域における塩基対の領域のうち小さい番号を有する塩基対の位置を、ある断片の開始位置と記載する。一例として、ある断片が、塩基対18から塩基対45までの領域を示す断片であるとき、塩基対18を、この断片の開始位置と記載する。また、ある断片が、塩基対18から塩基対45までの領域を示す断片であるとき、この断片を、開始位置が塩基対18である断片とも記載する。

0021

次に、上述のようにして求めたTm値の差を縦軸に、V3領域の一端からの断片の開始位置を横軸にして、断片Aおよび断片Bの開始位置毎に、これらの断片のTm値の差をプロットしたグラフを作成する。ここで、V3領域の一端とは、一例として、V3領域の5’末端である。次に、作成したグラフにおいて、Tm値の差が極大値をとる塩基対の位置と、開始位置とが一致する断片Aおよび断片Bを、複数の断片Aおよび複数の断片Bのなかから選択する。
すなわち、プローブ選択工程において、複数の断片セットのうち、ある断片セットに含まれる断片AのTm値と、断片BのTm値との差を、複数の断片セットについてそれぞれ求める工程と、複数の断片セットのうち、ある断片セットについて、当該断片セットの5’末端からの位置を第1軸に、当該断片セットについてのTm値の差を第2軸にそれぞれプロットした場合に、Tm値の差の極大値を示す断片セットを選択する工程とを含む。

0022

この断片セットの選択において、断片Aおよび断片BのTm値を用い、マハラノビスの汎距離による線形判別式に基づいて、複数の断片セットのうち、相関係数のp値が相対的に低い断片セットをプローブ候補として選択する。ここで、マハラノビスの汎距離による線形判別式とは、後述する式(2)である。
一例として、上述のようにして選択した複数の断片セットのそれぞれについて、相関係数のp値を求め、求めた相関係数のp値が低い方から所定数の断片セットを選択する。この相関係数のp値は、HIV−1検体を第1群(ここでは、X4ウイルス株の群)と第2群(ここでは、R5ウイルス株の群)とに判別する際の正判別率を示す値であり、p値が低いほど正判別率が高い。したがって、相関係数のp値が低い断片セットを用いれば、ある検体を高い正判別率によってX4ウイルス株の群と、R5ウイルス株の群とのいずれの群に属するかを判別することができる。また、検体が属する群を判別する際の断片セットが少ないほど、迅速かつ安価に判別することができる。
一例として、Tm値の差が極大値をとる断片セットが20セットあり、その中から4セットの断片セットを選択する場合には、選択した20セットの断片セットのそれぞれについて、相関係数のp値を求め、求めた相関係数のp値が低い方から4セットの断片セットを選択する。

0023

なお、上述した、断片Aおよび断片BのTm値は、予め算出されていてもよく、次に示すTm値換算工程において換算されることにより算出されてもよい。この場合、Tm値換算工程は、上述した断片設定工程において設定された複数の断片A、および複数の断片Bのそれぞれについて、Tm値を換算する。また、この場合、Tm値は最近接塩基対法によって換算されてもよい。

0024

本実施形態のプローブ作製方法により、配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと、配列番号2で表される塩基配列からなるDNAと、配列番号3で表される塩基配列からなるDNAと、配列番号4で表される塩基配列からなるDNAとを含むプローブセットが得られる。

0025

[第2実施形態]
本実施形態のプローブ作製方法は、上述したHIV以外のウイルスの型判定に用いられる方法である。
本実施形態に係る表現型決定遺伝子は、HPV(Human papillomavirus)においては、例えば、発癌性リスク決定遺伝子である。係る遺伝子を検出するプローブセットを用いることにより、HPV感染者の感染ウイルスは、HPV6,11,40,42,43,44,54,61,70,72,81,CP6108型等の低リスク型であるのか、 HPV 16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68,73,82型等の高リスク型であるのかを判別することができる。
また、本実施形態に係る表現型決定遺伝子は、HCV(hepatitis C virus)においては、例えば、インターフェロン(IFN感受性決定遺伝子である。係る遺伝子を検出するプローブセットを用いることにより、IFN治療の効果予測をすることができる。HCVの遺伝子型としては、1a型、1b型、1c型、2a型、2b型、2c型、3a型、3b型、4型、5a型、6b型が挙げられ、遺伝子型が1bの場合は完全緩解率が50%、1b以外では80から90%に及ぶと判定されている。

0026

[第3実施形態]
本実施形態のプローブ作製方法は、リボソーム小サブユニットrRNA系統解析を利用したものである。本実施形態に係る表現型決定遺伝子は、細菌等の原核生物においては、16SrRNAであり、真菌等の真核生物においては、18SrRNAである。
本実施形態に係る表現型とは、例えば敗血症等の感染症起因性をいう。本実施形態によれば、特定の感染症起因性を有する菌を特異的に検出するプローブを作製できる。

0027

[第4実施形態]
本実施形態のプローブ作製方法は、HLA(Human Leukocyte Antigen)のタイピングに用いられる方法である。
本実施形態に係る表現型決定遺伝子は、例えば、疾患発症リスク決定遺伝子である。係る遺伝子を検出するプローブセットを用いることにより、被験者のHLAが糖尿病になりやすい型(B54、DQB1*04:01、DRB1*04:05等)であるのか、腫瘍性大腸炎発症しやすい型(DRB1*09:01、DR2、B52等)、ベーチェット病にかかりやすい型(B51)であるのか等を判別することができる。

0028

≪表現型決定遺伝子検出方法≫
[第1実施形態]
本実施形態の表現型決定遺伝子検出方法は、塩基配列の多様性を有する表現型決定遺伝子群から、特定の表現型決定遺伝子を特異的に検出する方法である。
以下、一例として、HIV−1感染者のサンプル中に存在する細胞指向性を規定する遺伝子群から、R5ウイルス決定遺伝子を特異的に検出する方法における各工程について説明する。

0029

本実施形態の表現型決定遺伝子検出方法は、R5ウイルス決定遺伝子由来の核酸と、上述したプローブ作製方法の第1実施形態により得られたプローブセットから選ばれる少なくとも一種類のプローブとをハイブリダイズさせた二本鎖核酸を検出する検出工程を有する。
R5ウイルス決定遺伝子由来の核酸としては、RNA鎖であっても、一本鎖DNAであってもよい。先ず、RNA鎖の合成方法について説明する。

0030

(RNA鎖の合成方法)
本実施形態において、先ず、試料から二本鎖DNAを抽出する。試料としては、例えば血清、リンパ球、喀痰、尿、髄液液、腹水等が挙げられ、一例としてHIV−1由来の二本鎖DNAを抽出する観点からはリンパ球が好ましい。
例えば、血清から二本鎖DNAを抽出する場合には、以下の方法が挙げられる。血清試料緩衝液を加え、50℃で一昼夜反応させた後、SDS(Sodium dodecyl sulfate)で細胞を溶解するとともに、RNaseでRNAを消化する。次いで、タンパク質をプロテイナーゼKで消化し、抽出液中のタンパク質をフェノール抽出で除去する。残液エタノールを加え、DNAを沈殿として回収する。
また、例えば、リンパ球から二本鎖DNAを抽出する場合には、以下の方法が挙げられる。Ficoll−paque法でリンパ球分画を得たのちに、フェノール・クロロホルム法でDNAを抽出する。赤血球混入の多い検体は、10倍量のTE緩衝液を加えて溶血させ、10,000回転で10分間遠心する。この操作を2回行い、ペレット試料とした後にDNAを抽出する。
また、例えば、喀痰から二本鎖DNAを抽出する場合には、以下の方法が挙げられる。 1N NaOHを等量の試料に加えて室温で10分間混和した後、そのまま、あるいは1M NaH2PO4を加えて、10000回転で10分間遠心を行う。PBSで2回洗浄後、得られた残渣を40〜100μLのリゾチーム溶液で溶解する。その後、37℃で30分から2時間ほど反応させ、さらにプロテイナーゼKを200μg/mlの濃度で加えて37℃で一昼夜反応させる。試料中には細胞や夾雑物を多く含むため、DNAの抽出は一例としてフェノール・クロロホルム法を用いて行うことが好ましい。
また、例えば、尿、髄液、胸液、腹水から二本鎖DNAを抽出する場合には、以下の方法が挙げられる。遠心操作で細胞成分をペレットにして試料とするか、または何ら濃縮操作をせずに直接PCR検体としてもよい。赤血球の混入の多い試料は、例えば溶血操作を行う。これら試料からのDNA抽出法は一例としてフェノール・クロロホルム法を用いて行う。

0031

次いで、前記二本鎖DNAから表現型決定遺伝子を含む断片を増幅する。核酸増幅反応としては、例えばPCR(Polymerase Chain Reaction)、LAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification)、NASBA(Nucleic Acid Sequence Based Amplification)、ICAN(Isothermal and Chimerical primer−initiated Amplification of Nucleic acids)、TRC(Transcription Reverse−Transcription Concerted)、SDA(Strand Displacement Amplification)、TMA(Transcription Mediated Amplification)、SMAP(SMart Amplification Process)、RPA(Recombines polymerase amplification)、HDA(Helicase−dependent amplification)などが挙げられる。

0032

核酸増幅反応に用いられる試薬は、採用する核酸増幅反応に合わせて適当な核酸増幅反応用試薬を使用することが好ましい。例えば、核酸増幅反応としてPCRを採用する場合には、PCRを構成する各反応に必要な試薬、即ちdNTP及びDNAポリメラーゼが用いられる。DNAポリメラーゼとしては、例えばTaq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ等の熱安定性DNAポリメラーゼを用い、一例として試験開始前伸長を防ぐためにホットスタート機能を持つDNAポリメラーゼや、プルーフリーディング校正)機能を持つDNAポリメラーゼを使用する。これらの試薬は市販されており、容易に入手可能である。

0033

鋳型DNAや核酸増幅に必要な試薬等を含む水性成分は、核酸増幅反応に適した溶液として調製される。例えば、PCR反応が良好に進行するように、トリス−塩酸等のバッファーを用いて、pH7.0〜pH9.0程度の溶液とすることが好ましい。

0034

本実施形態では、表現型決定遺伝子を含む断片を例えばPCR反応で増幅可能な一対のプライマーセットが用いられる。

0035

次いで、増幅された前記二本鎖DNAから表現型決定遺伝子を含む断片のマイナス鎖プロモーターを付加する。一例として、前記断片のプラス鎖の3’末端にハイブリダイズし得る配列の5’末端にプロモーターの配列を付加してなるプライマーを用いて上記核酸増幅反応を行う方法が挙げられる(図1参照)。プロモーターとしては、T3プロモーター、T7プロモーター、SP6プロモーター等が挙げられ、汎用性の観点からT7プロモーターが好ましい。
二本鎖DNAから表現型決定遺伝子を含む断片を増幅する工程と、プロモーターを付加する工程は同時に行われてもよい。即ち、二本鎖DNAから標的遺伝子を含む断片を増幅する際に、プロモーター配列を有するプライマーを用いて増幅反応を行ってもよい。

0036

次いで、前記プロモーターを付加された断片から、前記表現型決定遺伝子由来の核酸としてRNA鎖を合成する(図2参照)。RNA鎖合成における転写系としては、RNAポリメラーゼにより転写させる従来公知のものが挙げられる。RNAポリメラーゼとしては、例えばT7RNAポリメラーゼが挙げられる。

0037

(一本鎖DNAの合成方法1)
次いで、R5ウイルス決定遺伝子由来の核酸の合成方法として、一本鎖DNAの合成方法について説明する。
本実施形態では、逆転写反応により、(RNA鎖の合成方法)で得られた前記RNA鎖から当該RNAに相補するDNAを合成し、該DNAと前記RNAとの複合体を形成させる(図3参照)。逆転写に用いられる逆転写酵素としては、従来公知のものが用いられ、例えば、Moloney Murine Leukemia Virus由来の逆転写酵素等が挙げられる。逆転写されたDNAはRNAとの複合体を形成する。

0038

次いで、形成したDNA−RNA複合体熱処理してRNA鎖とDNA鎖とに解離させ、RNase処理により前記RNA鎖を分解して一本鎖DNAとする。前記複合体から前記表現型決定遺伝子由来の核酸として一本鎖DNA鎖を合成する工程としては、RNaseを添加して前記複合体を熱処理に付する工程が挙げられる。
RNaseとしては、RNaseA、RNaseH、RNaseI、RNaseIII、RNaseL、RNaseP、RNasePhyM、RNaseT1、RNaseT2 、RNaseU2i、RNaseV1等が挙げられ、一例として汎用性の観点からRNaseAが好ましい。更に、例えば、安価であることから、ウシ膵臓由来RNaseAが好ましい。

0039

当該工程において、例えば、RNaseを添加して前記複合体を熱処理に付する(図4参照)。熱処理によりDNA−RNA複合体からDNAとRNAを解離させると同時に、解離したRNAを効率よく分解する観点から、加熱温度としては、例えば、65℃〜100℃、80℃〜100℃、90℃〜95℃である。処理時間としては、例えば、2秒〜1分、2秒〜30秒、2秒〜6秒である。上記RNaseAは特に耐熱性に優れているため、当該熱処理工程に好適に用いられる。

0040

(一本鎖DNAの合成方法2)
また、前記一本鎖DNA鎖を合成する工程は、上述したRNase処理工程に代えて、前記複合体をアルカリ処理する工程を有していてもよい。
アルカリ処理に用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウム水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物水酸化バリウム水酸化マグネシウム、水酸化カリウム等のアルカリ土類金属水酸化物炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が挙げられ、例えばアルカリ金属水酸化物であり、一例として水酸化ナトリウムである。
用いられる水酸化ナトリウムの濃度としては、例えば1mM〜100mM、5mM〜50mM、10mMである。アルカリ処理におけるpHは、例えば10〜14、12〜14である。アルカリ処理における温度は、例えば50〜80℃、60〜70℃である。アルカリ処理における反応時間は、例えば5〜120分、10〜30分である。
当該工程を経ることにより、逆転写反応において未反応のRNAやRNA誘導体等の不純物を容易に取り除くことができ、表現型決定遺伝子由来の核酸として、RNA鎖に相補する一本鎖DNA鎖を得ることができる。

0041

(一本鎖DNAの合成方法3)
また、一本鎖DNAの合成方法としては、アビジンビオチン結合を利用した方法が挙げられる。一例として図5に示されるように、試料から抽出した二本鎖DNAを鋳型として用いてPCRを行う。この鋳型DNAの特定領域をPCR反応で増幅可能な一対のプライマーセットにおいて、一方のプライマーをビオチンで修飾する。係るプライマーセットを用いて反応させて得られた増幅産物である二本鎖のうち、ビオチン修飾プライマーが伸長してなる一方の鎖は5’末端にビオチンを有している。そのため、アビジン修飾磁気ビーズを用いることにより、ビオチン修飾一本鎖DNAのみを容易に回収することができる。また、一方のプライマーをアビジンで修飾し、ビオチン修飾磁気ビーズを用いてもよい。
また、当該合成方法においては、アビジン−ビオチン結合を利用することに限定されず、一方のプライマーをアミノ基、アルデヒド基SH基、などの官能基で修飾し、ビーズをアミノ基、アルデヒド基、エポキシ基などを有するシランカップリング剤表面処理したものを用いてもよい。

0042

(一本鎖DNAの合成方法4)
また、一本鎖DNAの合成方法としては、非対称PCRを利用した方法が挙げられる。一例として図6に示されるように、試料から抽出した二本鎖DNAを鋳型として用いてPCRを行う。この鋳型DNAの特定領域をPCR反応で増幅可能な一対のプライマーセット(プライマーA及びプライマーB)において、プライマーの分子数比に大差をつける。係るプライマーセットを用いて反応させて得られた増幅産物において、分子数の少ないプライマー(プライマーB)が伸長してなる一本鎖と、該一本鎖に対応して、分子数の多いプライマー(プライマーA)が伸長してなる一本鎖と、が二本鎖を形成する。しかし、プライマーBの分子数を超えて増幅したプライマーAが伸長してなる鎖は、一本鎖のままで存在する。

0043

本実施形態の表現型決定遺伝子検出方法は、以上のようにして得られたRNA又は一本鎖DNAと、上述したプローブセットからから選ばれる少なくとも一種類のプローブとをハイブリダイズさせた二本鎖核酸を検出する検出工程を有する。

0044

検出工程としては、例えば蛍光色素を用いて前記二本鎖核酸を検出する工程が挙げられる。
蛍光色素を用いる工程として、一例として、二本鎖DNAに特異的にインターカレートして蛍光を発するサイバーグリーン、SYTO9等の色素を用いる方法と、蛍光物質を結合させたプローブを用いる方法が挙げられる。蛍光物質としては、FAM(カルボキシフルオレセイン)、JOE(6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ2’ ,7’−ジメトキシフルオレセイン)、FITCフルオレセインイソチオシアネート)、TET(テトラクロロフルオレセイン)、HEX(5'−ヘキサクロロ−フルオレセイン−CEホスホロアミダイト)、Cy3、Cy5、Alexa568等が挙げられる。

0045

蛍光色素を用いた検出工程としては、融解曲線を用いて前記二本鎖核酸を検出する工程が挙げられる。融解曲線とは、温度を低温から徐々に上げることにより、前記二本鎖核酸が一本鎖状態に変性するまでの蛍光強度を測定して得られる曲線をいう。融解曲線の負の一次微分曲線温度変化に対する蛍光変化量を示すもので、変化量が最大のところがTmとなる。融解曲線を用いることで、設計したプローブの表現型決定遺伝子との親和性を定量化できる。

0046

また、蛍光色素を用いた検出工程としては、各患者由来の上記表現型決定遺伝子を基板上にスポットし、係る基板を核酸マイクロアレイとして用い、各スポットにおけるプローブとの親和性を、蛍光強度を介して測定する工程も挙げられる。

0047

蛍光色素を用いた検出工程は、感度が高いため、測定に必要とされる核酸試料が少量で済み、多検体同時測定が容易である点で優れている。

0048

また、検出工程としては、分光学的手法を用いて前記二本鎖核酸を検出する工程が挙げられる。分光学的手法を用いる工程としては、上述した融解曲線を用いて前記二本鎖核酸を検出する工程が挙げられる。二重鎖の核酸の温度を上昇させ、一本鎖に解離する過程に伴う260nmにおける吸光度変化を測定し、Tmを決定することができる。
分光学的手法を用いた検出工程は、蛍光色素を用いる必要がないため、蛍光色素の影響を排除することができる。また、プローブを蛍光色素で修飾する必要がないため測定が容易である点で優れている。

0049

また、Tm値の算出(換算)工程としては、上述した融解曲線から算出される二本鎖核酸のTm値と、二本鎖核酸の形成に用いられたプローブのTm値との差を算出する工程が挙げられる。また、表現型決定遺伝子を判別する工程としては、算出されたTm値の差と、マハラノビスの汎距離による線形判別式とに基づいて、特定の表現型決定遺伝子と、その他の表現型決定遺伝子を判別する工程が挙げられる。

0050

以上、本実施形態によれば、プローブと対象核酸との相互作用解析することにより、DNAシークエンサーを用いて塩基配列を解析せずとも、対象核酸の配列解析ができる。

0051

以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0052

[HIV指向性検査用プローブの設計]
米国ロスアラモス国立研究所のHIVデータベースであるHIVシークエンスデータベース(Los Alamos National Laboratory HIV Sequence Database)からHIV−1subtypeBの指向性が既に示されているV3領域の配列情報(612検体由来のR5ウイルス株及び47検体由来のX4ウイルス株のV3領域の塩基配列情報)を取得した。
次いで、取得した塩基配列情報において、各塩基配列の5’末端から16〜26塩基の断片を設定し、各検体由来のウイルスにおいて対応する断片のTm値を、最近接塩基法により、下記式(1)を用いて算出した。

0053

0054

式(1)中、ΔHは、ハイブリッドにおける最近接エンタルピー変化の合計[kcal/mol] を表し、ΔSは、ハイブリッドにおける最近接エントロピー変化の合計[cal/mol・K] を表し、Rは、気体定数(1.987cal/deg・mol)を表し、Ctは、核酸のtotalモル濃度[mol/l]を表し、Na+は、Na+のモル濃度[mol/l]を表す。

0055

R5ウイルス株とX4ウイルス株の対応する断片(以下、断片セットともいう。)における算出したTm値の差をプロットした。結果を図7に示す。図7の横軸は、V3領域の5’末端の塩基を1としたときの各断片の5’末端の塩基の番号(V3領域の各部位の位置)を表し、図7の縦軸は、V3領域の各部位におけるTm値の差を表す。
図7のグラフにおいて、20種類の断片セットが極大値を示し、これらの断片セットをプローブ候補とした。

0056

プローブ候補20種の断片セットについて、上述の式(1)に基づいて算出したTm値を用い、下記式(2)で表されるマハラノビスの汎距離による線形判別式に基づいて、p値を算出した。

0057

0058

式(2)中、xは多変数ベクトルを表し、 ̄Xk(エックス・バー・ケイ)は多変数ベクトルxの平均を表し、Sk(エス・ケイ)は多変数ベクトルxの共分散行列を表す。この式(2)は、X4ウイルス株の群を第1群とし、R5ウイルス株の群を第2群としたとき、HIV−1の検体を多変数ベクトルxによって表した場合に、D22≧D12であれば、この検体は第1群、すなわちX4ウイルス株の群に属し、D22<D12であれば、この検体は第2群、すなわちR5ウイルス株の群に属することを示す。すなわち、次に示す式(3)のzの正負によって、検体がX4ウイルス株の群に属するか、R5ウイルス株の群に属するかを判別することができる。

0059

0060

この式(3)は、次に示す式(4)のような一次式によっても表すことができる。

0061

0062

この式(4)は、検体がX4ウイルス株の群に属するか、R5ウイルス株の群に属するかを判別する判別式として用いることができる。このとき、20種類の断片セットのうちから、相関係数のp値が相対的に低い断片セットを選択することにより、判別精度の低下を軽減しつつ判別式を簡素化することができる。ここでは、20種類の断片セットについて、式(1)〜(4)を用いてp値をそれぞれ算出し、算出したp値のうち、p値の低い方から4種類の断片セットをHIV指向性検査用プローブ(X18、X33、X75、X80)として選出した。この選択した4種類の断片セットによる判別結果を図8に示す。
算出したp値のうち、最も低いp値をとる4種類の断片セットをHIV指向性検査用プローブ(X18、X33、X75、X80)として選出した。
X18は以下の配列を表す。
CAATACAAGAAAAAGTATACATATAGG(配列番号1:27mer)
X33は以下の配列を表す。
AAGTATACATATAGGACCAGGG(配列番号2:22mer)
X75は以下の配列を表す。
TGCAACAGGAGAAATAATAG(配列番号3:20mer)
X80は以下の配列を表す。
CAGGAGAAATAATAGGAGATATAAG(配列番号4:25mer)

0063

[Genomic DNAの抽出]
Ficoll−PaquePLUS(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)にHIV患者(36検体)の血液を重層し、室温、1500rpmで40分遠心分離をし、リンパ球層を採取した。
採取したリンパ球に、2%FCSウシ胎児血清;Fetal calf serum)含有PBS(phosphate buffered saline)10mLを加え、室温、1200rpmで10分遠心分離をし、上清を除いた。沈澱を2%FCS含有PBS5mLに溶解したのち、室温、1000rpmで10分遠心分離をし、上清を除いた。
次いで、QIAamp DNA Blood Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて沈澱からGenomic DNAを抽出した。詳細には、沈澱を200μL PBSに懸濁し、20μL QIAGEN protease及び、200μL Buffer ALを加え、56℃で10分インキュベートしリンパ球を溶解した。これに、200μLエタノールを加えた後、溶液全量をスピンカラムに移し、8000rpmで1分間遠心した。スピンカラムを新しいコレクションチューブに移し、このカラムに500μL BufferAW1を加え、8000rpmで1分間遠心した。更に、スピンカラムを新しいコレクションチューブに移し、このカラムに500μL BufferAW2を加え、8000rpmで1分間遠心した。更に、スピンカラムを新しいコレクションチューブに移し、14000rpmで1分間遠心した。スピンカラムを1.5mLチューブに移した後、このカラムに200μL TE bufferを加え、室温で1分間インキュベートし、8000rpmで1分間遠心し、Genomic DNA溶解液を回収した。

0064

[1stPCR]
HIV−1のC2V3領域約420bp(7377−6955)をPCRにより増幅した。反応液を表1に記載の組成となるように調製し、94℃で1分間保持した後、94℃10秒、48℃10秒、72℃30秒の3ステップPCRを5サイクル行い、94℃5秒、52℃10秒、72℃30秒の3ステップPCRを25サイクル行い、72℃で1分間保持した後、4℃で冷却した。尚、用いたプライマーの配列を以下に示す。
(1)env6955−F (21mer、20μM)
[配列:5’−CAGTACAATGYACACATGGAA−3’](配列番号5)
(2)env7377L−R (26mer、20μM)
[配列:5’−TAGAAAAATTCCCTCYACAATTAAA−3’](配列番号6)

0065

0066

[2ndPCR]
1stPCRで得られた反応液1μLを用いて、HIV−1のC2V3領域約330bp(7337−7005)をPCRにより増幅した。2ndPCR用の反応液を表2に記載の組成となるように調製し、1stPCRで得られた反応液1μLを添加し、94℃で1分間保持した後、94℃5秒、48℃10秒、72℃30秒の3ステップPCRを5サイクル行い、94℃5秒、60℃10秒、72℃30秒の3ステップPCRを30サイクル行い、72℃で1分間保持した後、4℃で冷却した。尚、用いたプライマーの配列を以下に示す。
(3)env7005−F (20mer、20μM)
[配列:5’−TTAAATGGCAGTCTAGCAGA−3’](配列番号7)
(4)env7337B−R (20mer、20μM)
[配列:5’−AATTTCTGGGTCCCCTCCTG−3’](配列番号8)
(5)env7337E−R (20mer、20μM)
[配列:5’−AATTTCTAGATCTCCTCCTG−3’](配列番号9)

0067

0068

[3rdPCR]
2ndPCRで得られた反応液50μLを、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN社製)を用いて精製し、50μLの溶解液を得た。この溶解液を水で10倍希釈した後、3rdPCR用の反応液を表3に記載の組成となるように調製し、上記10倍希釈した溶解液10μLを添加し、94℃で1分間保持した後、94℃5秒、60℃10秒、72℃15秒の3ステップPCRを30サイクル行い、72℃で1分間保持した後、4℃で冷却した。尚、用いたプライマーの配列を以下に示す。(6)env−bridge−F (30mer、20μM)
[配列:5’−ATCTGTAGAAATTAATTGTACAAGACCCAA−3’](配列番号10)
(7)env−T7−R(40mer、20μM)
[配列:5’−TAATACGACTCACTATAGGGATGTTACAATGTGCTTGTCT−3’](配列番号11)

0069

0070

3rdPCRにより、2ndPCRで得られた2本鎖DNAのマイナス鎖の5’末端にT7プロモーターを有する増幅産物が得られた。尚、本実施例においてはPCRを3回に分けているが、まとめて1度に行ってもよい。

0071

[RNAの合成]
3rdPCRにより得られたDNAからRiboMAX(商標名)Large Scale RNA Production Systems(プロメガ社製)を用いて、RNAを合成した。
先ず表4に記載の組成となるように反応液を調製した後、37℃で2時間反応させた。

0072

0073

上記反応後、RNase−Free DNase(Promega社)を1μl添加し、37℃30分間インキュベーションした。インキュベーション終了後、QIAamp MinElute Virus Spin Kit(Qiagen社)を用いて精製を行った。

0074

[融解曲線の測定1]
合成したRNAを用いて、表5に記載の組成となるように反応液を調製した後、StepOnePlus(商標名)リアルタイムPCRシステムアプライドバイオシステムズ社製)を用いて融解曲線の測定を行った。Run methodは、65℃15分/Melt curve stage/20℃1分/95℃15秒であった。尚、20℃から95℃までの昇温を90分かけて行った。

0075

0076

表5中、SYTO9は、MeltDoctor(商標名)HRMマスターミックス試薬キットに含まれているSYTO9 Solutionを意味する。X18を用いた場合の融解曲線の測定結果を図9〜12に示す。図9は、鋳型として用いたRNAの変異が0個の場合の結果であり、図10は、鋳型として用いたRNAの変異が1個の場合の結果であり、図11は、鋳型として用いたRNAの変異が2個の場合の結果であり、図12は、鋳型として用いたRNAの変異が多数の場合の結果である。図9〜12に示すように、鋳型として用いたRNAの変異が増えるにつれて融解曲線のピーク(Tm値)が左にシフトし、変異が多数の場合にはピークが消失することが確認された。

0077

各HIV指向性検査用プローブ(X18、X33、X75、X80)と患者由来の各RNAとを用いてTm値を測定し、野生型R5株のTm値との差を算出した。結果を図13に示す。図13中、IDは各患者の検体番号を示す。尚、図13中、N.D.は変異多数につきTm値が求まらなかったことを意味する。
また、図13に基づき、各プローブを用いた場合の鋳型RNAの変異数と上記Tm値の差(ΔTm)との関係を示したグラフを図14〜17に示す。図14〜17に示すように、各グラフにおける相関係数は−0.87、−0.83、−0.75、−0.77であり、鋳型RNAの変異数とΔTmの間に相関があることが確認された。尚、N.D.の場合のΔTmを−25℃と仮定した。
また、同様に、各プローブにおける水素結合数とΔTmとの関係を示したグラフを図18〜21に示す。図18〜21に示すように、各グラフにおける相関係数は−0.85、−0.82、−0.78、−0.87であり、水素結合数とΔTmの間に相関があることが確認された。尚、N.D.の場合のΔTmを−25℃と仮定した。

0078

[Tm値のマハラビノスの汎距離による線形判別]
各上記Tm値を用い、前記式(2)で表されるマハラノビスの汎距離による線形判別式に基づいて、前記式(3)、式(4)で表されるZ値を算出した。線形判別結果を図22に示す。図22中、横軸はサンプル番号を示し、縦軸はZ値を示す。図22に示すように、R5ウイルスとX5ウイルスが精度よく判別されることが確認された。
また、指向性を識別するアルゴリズムGeno2pheno(g2pともいう)による判別結果との対比を図23に示す。図23に示すように、マハラビノスの汎距離による線形判別は、Geno2phenoによる判別結果とほぼ同じ結果を示すことが確認された。

0079

DNA−RNAハイブリッドの合成]
上記[RNAの合成]で得られたRNAを用いて、表6に記載の組成となるように反応液を調製した後、65℃で5分間保持した後、上に2分おいた。尚、用いたプライマーの配列を以下に示す。
(8)env−bridge−F (30mer、20μM)
[配列:5’−ATCTGTAGAAATTAATTGTACAAGACCCAA−3’](配列番号10)

0080

0081

次いで、上記反応液に5×First−Strand Bufferを4μL、0.1M DTTを1μL、Super Script(登録商標)III逆転写酵素を1μL加え、50℃で15分反応させた後、500mMEDTAを1μL加えて反応を停止させDNA−RNAハイブリッドを合成した。

0082

[一本鎖DNAの合成1(RNase処理)]
上記DNA−RNAハイブリッドを用いて、表7に記載の組成となるように反応液を調製した後、94℃で5秒加熱した後、37℃15分保持した。反応液のうち10μについて、2%アガロースゲルを用いて電気泳動を行い、反応液中のRNAが分解されていることを確認した。結果を図24に示す。

0083

0084

図24中、左端のレーンから、RNAのみを泳動したもの;DNA−RNAハイブリッドを泳動したもの;DNA−RNAハイブリッドを94℃で5秒加熱した後、37℃15分保持した後、泳動したもの;DNA−RNAハイブリッドにRNaseを加え、37℃15分保持した後、泳動したもの;DNA−RNAハイブリッドにRNaseを加え、94℃で5秒加熱した後、37℃15分保持した後、泳動したものを示す。
図24の右端のレーンに示されるように、DNA−RNAハイブリッドにRNaseを加え、94℃で5秒加熱した後、37℃15分保持することによりRNAが分解されていることが確認された。

0085

[一本鎖DNA(プラス鎖)の確認]
上記[一本鎖DNAの合成1(RNase処理)]で得られた一本鎖核酸がDNA(プラス鎖)であることを確認するために、表8に記載の組成となるように反応液を調製した後、94℃で1分間保持した後、94℃5秒、60℃10秒、72℃15秒の3ステップPCRを1サイクル行い、72℃で1分間保持した後、4℃で冷却した。反応液のうち20μLについて、2%アガロースゲルを用いて電気泳動を行った。結果を図25に示す。
尚、表8中の2μM Primerは下記のいずれかの配列を示す。
(9)env−bridge−F (30mer、2μM)
[配列:5’−ATCTGTAGAAATTAATTGTACAAGACCCAA−3’](配列番号10)
(10)env−bridge−R(31mer、2μM)
[配列:5’−TTGCTCTACTAATGTTACAATGTGCTTGTCT−3’](配列番号12)

0086

0087

図25中、左端のレーンから、template DNAのみを泳動した未処理のもの(図25中、未処理と表記);2μM Primerに替えて水を加えた反応産物を泳動したもの(図25中、なしと表記);プライマー(env−bridge−F)を加えた反応産物を泳動したもの(図25中、(+)と表記);プライマー(env−bridge−R)を加えた反応産物を泳動したもの(図25中、(−)と表記)を示す。
図25の右端のレーンに示されるように、プライマー(env−bridge−R)を加えた反応産物からバンドが検出されたことから、[一本鎖DNAの合成1(RNase処理)]で得られた一本鎖核酸がDNA(プラス鎖)であることが確認された。

0088

[一本鎖DNAの合成2(アルカリ処理)]
上記DNA−RNAハイブリッドに、終濃度10mM NaOH、終濃度2mM MgCl2を加え、60℃で15分反応させ、反応液について、2%アガロースゲルを用いて電気泳動を行い、反応液中の一本鎖がDNAであることを確認した。結果を図26に示す。

0089

図26中、左端のレーンから、DNA−RNAハイブリッドをアルカリ処理し、泳動したもの(未処理);DNA−RNAハイブリッドをアルカリ処理し、DNaseを処理した後、泳動したもの(DNase)を示す。
図26に示されるように、左端のレーンに見られたバンドが、DNase処理により消失したことから、アルカリ処理により得られた一本鎖核酸はDNAであることが確認された。

0090

[融解曲線の測定2]
合成した一本鎖DNAを用いて、表9に記載の組成となるように反応液を調製した後、StepOnePlus(商標名)リアルタイムPCRシステム(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて融解曲線の測定を行った。Run methodは、65℃15分/Melt curve stage/20℃1分/95℃15秒であった。尚、20℃から95℃までの昇温を90分かけて行った。

0091

0092

表9中、SYTO9は、MeltDoctor(商標名)HRMマスターミックス試薬キットに含まれているSYTO9 Solutionを意味する。X18を用いた場合の融解曲線の測定結果を図27に示す。図27は、鋳型として用いたDNAの変異が_個の場合の結果であり、鋳型としてRNAを用いた場合と同様の精度でTm値が測定可能なことが確認された。

0093

[分光学的手法による融解曲線の測定]
合成したmRNA、及び一本鎖DNAをそれぞれ用いて、分光光度計(日本分光社製;V−650 spectrophotometer)を用いて融解曲線の測定を行った。測定条件を以下に示す。

0094

開始温度30〜40℃(予想されるTm値によって変更)
目標温度60〜70℃(予想されるTm値によって変更)
勾配2.0℃/min
データ取込間隔 0.3℃
測定開始条件10sec間設定温度±0.1℃以内になった時
スターラー0rpm
測光モードAbs
UV/Visバンド幅2.0 nm
レスポンスMedium
測定波長260 nm
光源切換 350 nm
光源 D2/WI

実施例

0095

HIV指向性検査用プローブとして、X18、X33、X75、X80をそれぞれ用いた時のTm値のグラフを図28に示す。図28に示すように、各プローブを用いた時のTm値の増減傾向は、[融解曲線の測定1]にてSYTO9を用いて測定した場合の傾向と同様であることが確認された。

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