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技術 湿式法不織布及びその製造法

出願人 三菱製紙株式会社
発明者 福田元道藤木均
出願日 2013年10月29日 (7年1ヶ月経過) 出願番号 2013-224479
公開日 2015年5月7日 (5年7ヶ月経過) 公開番号 2015-086477
状態 特許登録済
技術分野 紙(4)
主要キーワード 中間補強材 サチュレータ すられた 全溶融型 円柱状ロール 岩石繊維 補強用繊維シート 補助乾燥
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年5月7日)のものです。
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課題

本発明の課題は、通気度が大きく、塗液浸透性に優れ、建材加工した際に寸法安定性を有し、毛羽立ちにくく面質に優れ、加工の際に断紙しづらい強度を持つ建材用中間基材を提供することである。

解決手段

無機繊維湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層と熱融着性バインダー繊維が含まれる層の二層で構成されることを特徴とし、建材用中間基材として有用な湿式法不織布。

概要

背景

従来、天井、壁紙、床材などの建材では可撓性や剛性を得るために、補強材として無機繊維合成繊維などの補強用繊維シートが使われてきた。これらの繊維シート構成繊維間に空間(開孔性)を有しており、パルプシートなどの開孔性の無いシートと比較して、ポリ塩化ビニルなどの塗液浸透しやすく、建材の製造において有利である。特に、加工し易さ、低価格等を理由に、無機繊維であるガラス繊維シート化してなる不織布が頻繁に使用されている。

このような補強用繊維シートはポリ塩化ビニル等の塗液の浸透性が要求される。塗液のシートへの浸透性が低いと、塗液がシートから剥がれるなどの問題が発生する傾向にあり、建材の補強材として使用することができない。補強用繊維シートの浸透性を上げる手法として、繊維径が大きい無機繊維を使用することで開孔性を大きくする手法がある。しかし、繊維径が大きい無機繊維は、人体への刺激が強いという問題があり、建材への加工の際に作業性や作業効率が悪くなるという問題がある。このため、樹脂塗工層を設けた後も人体に触れる機会が無くならない裏面に関しては、人体への刺激を軽減するための処置を施す必要がある。また、建材用途への使用を考慮すると、建材加工時に熱をかけられた際の寸法安定性や、ロールにこすられた際に毛羽が発生しにくい、テンションがかかった際に紙切れなどを起こさないようにある程度は引張強度が高い等の特性が要求される。さらに、建材として使用された際の火災を防止するための耐熱耐火性などの特性も要求される。

塗液の浸透性を上げるための手法として、例えば繊維径が13〜27μm、繊維長が10〜50mmの太くて長い無機繊維を使用することが示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、無機繊維の種類の選定のみでは、裏面の人体への刺激は軽減されることはなく、建材への加工の際に作業性や作業効率が悪くなるという問題が解消されることはないため、建材の補強材としては良好であるとは言えない。

人体への刺激を軽減するための手法として、無機繊維とポリビニルアルコールバインダーを使用して抄紙し、無機繊維の含有量を50〜97%に、ポリビニルアルコールバインダーの含有量を3〜50%と指定する方法が示されている(例えば、特許文献2参照)。確かにポリビニルアルコールバインダーの含有量が多くなれば人体への刺激が軽減されるが、ポリビニルアルコールバインダーで目が詰まるため、塗液の浸透性が悪くなり、また、寸法安定性や耐熱・耐火性についても悪くなる傾向にあり、コストアップにもなる。建材としての品質コストを考慮すると、人体に触れる可能性が高い面のみ人体への刺激を軽減する手法が好ましいため、ポリビニルアルコールの含有量を増やすことは建材用途としては良好であるとは言えない。

繊維径の大きい繊維を使用して、人体への刺激を軽減するための手法として、無機繊維に有機繊維(特にセルロース繊維)を多く混合して抄紙するという方法がある(例えば、特許文献3参照)。セルロース繊維を多く混合することで人体への刺激は軽減されるが、セルロース繊維によって開孔率が小さくなるため浸透性が悪くなる、耐熱収縮率が下がるため建材加工をする際に高熱がかかると収縮する、などという問題がある。また、無機繊維シートは建材用途として使用されることがあるため、耐火性能が要求されるが、セルロース繊維を多く混抄することで耐火性能が悪化する傾向にあるので、セルロース繊維を多く混合することは良好な方法であるとは言えない。

人体への刺激を軽減するための手法として、表面から裏面にかけて無機繊維の混抄比率を連続的に減少させる方法がある(例えば、特許文献4参照)。これによって裏面における無機繊維の混抄比率がほぼ0%となり、裏面の人体への刺激を大幅に軽減することができるが、このように無機繊維の混抄比率を連続的に減少させるには特殊な傾斜ワイヤーの装置を使用する必要があり、広く使われている傾斜ワイヤーでは抄紙することができない。また、無機繊維の混抄比率が連続的に減少しているため、裏面の有機繊維の含有量が非常に多くなり、塗液の浸透量が表面と裏面で大きく異なってしまうことで、カールや塗液剥離の問題が発生する可能性があるため、混抄比率を連続的に減少させる方法は良好な方法であるとは言えない。

概要

本発明の課題は、通気度が大きく、塗液の浸透性に優れ、建材加工した際に寸法安定性を有し、毛羽が立ちにくく面質に優れ、加工の際に断紙しづらい強度を持つ建材用中間基材を提供することである。無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層と熱融着性バインダー繊維が含まれる層の二層で構成されることを特徴とし、建材用中間基材として有用な湿式法不織布。

目的

すなわち、無機繊維を用いた湿式法不織布及びその製造法に関し、塗液の浸透性や寸法安定性、引張強度、耐熱・耐火性などの建材の補強材として使用される繊維シートとしての特性を維持しながら、人体への刺激が軽減されている湿式法不織布及びその製造法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

無機繊維湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層と熱融着性バインダー繊維が含まれる層の二層で構成されることを特徴とする湿式法不織布。

請求項2

前記湿熱接着性バインダー繊維の含有率が、無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層の20質量%以下である請求項1に記載の湿式法不織布。

請求項3

熱融着性バインダー繊維の含有率が、熱融着性バインダー繊維が含まれる層の30%質量以上である請求項1または請求項2に記載の湿式法不織布。

請求項4

前記無機繊維がガラス繊維であり、平均繊維径が1〜20μmであり、且つ平均繊維長が1〜20mmであり、無機繊維の含有率が不織布全体の60〜95質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の湿式法不織布。

請求項5

フラジール通気度が150cm3/cm2・s以上である請求項1〜4のいずれかに記載の湿式法不織布。

請求項6

幅5cmの無機繊維シートの流れ方向を横切るように、表面、裏面それぞれを山にして折り目を付け、折り目の上にステンレス製の直径5cm、長さ40cmの円柱状ロールを転がし、折り目に発生した繊維の毛羽立ちの本数が10本未満である請求項1〜5のいずれかに記載の湿式不織布。

請求項7

無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層と熱融着性バインダー繊維が含まれる層の坪量比が3〜200:1である請求項1〜6のいずれかに記載の湿式法不織布。

請求項8

請求項1〜7のいずれかに記載の無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層と熱融着性バインダー繊維が含まれる層の二層で構成される湿式法不織布を製造する湿式法不織布の製造方法において、表面温度が100℃以上のヤンキードライヤーバインダー繊維を溶解する工程を含むことを特徴とする湿式法不織布の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、片面が樹脂を均一に浸透させるための表面層であり、反対面が人体への刺激を少なくするための裏面層である無機繊維を用いた湿式法不織布及びその製造法に関する。

背景技術

0002

従来、天井、壁紙、床材などの建材では可撓性や剛性を得るために、補強材として無機繊維や合成繊維などの補強用繊維シートが使われてきた。これらの繊維シート構成繊維間に空間(開孔性)を有しており、パルプシートなどの開孔性の無いシートと比較して、ポリ塩化ビニルなどの塗液が浸透しやすく、建材の製造において有利である。特に、加工し易さ、低価格等を理由に、無機繊維であるガラス繊維シート化してなる不織布が頻繁に使用されている。

0003

このような補強用繊維シートはポリ塩化ビニル等の塗液の浸透性が要求される。塗液のシートへの浸透性が低いと、塗液がシートから剥がれるなどの問題が発生する傾向にあり、建材の補強材として使用することができない。補強用繊維シートの浸透性を上げる手法として、繊維径が大きい無機繊維を使用することで開孔性を大きくする手法がある。しかし、繊維径が大きい無機繊維は、人体への刺激が強いという問題があり、建材への加工の際に作業性や作業効率が悪くなるという問題がある。このため、樹脂塗工層を設けた後も人体に触れる機会が無くならない裏面に関しては、人体への刺激を軽減するための処置を施す必要がある。また、建材用途への使用を考慮すると、建材加工時に熱をかけられた際の寸法安定性や、ロールにこすられた際に毛羽が発生しにくい、テンションがかかった際に紙切れなどを起こさないようにある程度は引張強度が高い等の特性が要求される。さらに、建材として使用された際の火災を防止するための耐熱耐火性などの特性も要求される。

0004

塗液の浸透性を上げるための手法として、例えば繊維径が13〜27μm、繊維長が10〜50mmの太くて長い無機繊維を使用することが示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、無機繊維の種類の選定のみでは、裏面の人体への刺激は軽減されることはなく、建材への加工の際に作業性や作業効率が悪くなるという問題が解消されることはないため、建材の補強材としては良好であるとは言えない。

0005

人体への刺激を軽減するための手法として、無機繊維とポリビニルアルコールバインダーを使用して抄紙し、無機繊維の含有量を50〜97%に、ポリビニルアルコールバインダーの含有量を3〜50%と指定する方法が示されている(例えば、特許文献2参照)。確かにポリビニルアルコールバインダーの含有量が多くなれば人体への刺激が軽減されるが、ポリビニルアルコールバインダーで目が詰まるため、塗液の浸透性が悪くなり、また、寸法安定性や耐熱・耐火性についても悪くなる傾向にあり、コストアップにもなる。建材としての品質コストを考慮すると、人体に触れる可能性が高い面のみ人体への刺激を軽減する手法が好ましいため、ポリビニルアルコールの含有量を増やすことは建材用途としては良好であるとは言えない。

0006

繊維径の大きい繊維を使用して、人体への刺激を軽減するための手法として、無機繊維に有機繊維(特にセルロース繊維)を多く混合して抄紙するという方法がある(例えば、特許文献3参照)。セルロース繊維を多く混合することで人体への刺激は軽減されるが、セルロース繊維によって開孔率が小さくなるため浸透性が悪くなる、耐熱収縮率が下がるため建材加工をする際に高熱がかかると収縮する、などという問題がある。また、無機繊維シートは建材用途として使用されることがあるため、耐火性能が要求されるが、セルロース繊維を多く混抄することで耐火性能が悪化する傾向にあるので、セルロース繊維を多く混合することは良好な方法であるとは言えない。

0007

人体への刺激を軽減するための手法として、表面から裏面にかけて無機繊維の混抄比率を連続的に減少させる方法がある(例えば、特許文献4参照)。これによって裏面における無機繊維の混抄比率がほぼ0%となり、裏面の人体への刺激を大幅に軽減することができるが、このように無機繊維の混抄比率を連続的に減少させるには特殊な傾斜ワイヤーの装置を使用する必要があり、広く使われている傾斜ワイヤーでは抄紙することができない。また、無機繊維の混抄比率が連続的に減少しているため、裏面の有機繊維の含有量が非常に多くなり、塗液の浸透量が表面と裏面で大きく異なってしまうことで、カールや塗液剥離の問題が発生する可能性があるため、混抄比率を連続的に減少させる方法は良好な方法であるとは言えない。

先行技術

0008

特許第4244310号公報
特許第3356003号公報
国際公開第WO2006/059699号パンフレット
特許第3560495号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は前記の問題点を解決すべくなされたものである。すなわち、無機繊維を用いた湿式法不織布及びその製造法に関し、塗液の浸透性や寸法安定性、引張強度、耐熱・耐火性などの建材の補強材として使用される繊維シートとしての特性を維持しながら、人体への刺激が軽減されている湿式法不織布及びその製造法を提供することを課題としている。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記発明を見出した。

0011

(1)無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層と熱融着性バインダー繊維が含まれる層の二層で構成されることを特徴とする湿式法不織布。
(2)前記湿熱接着性バインダー繊維の含有率が、無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層の20質量%以下である上記(1)に記載の湿式法不織布。
(3)熱融着性バインダー繊維の含有率が、熱融着性バインダー繊維が含まれる層の30%質量以上である上記(1)または(2)に記載の湿式法不織布。
(4)前記無機繊維がガラス繊維であり、平均繊維径が1〜20μmであり、且つ平均繊維長が1〜20mmであり、無機繊維の含有率が不織布全体の60〜95質量%である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の湿式法不織布。
(5)フラジール通気度が150cm3/cm2・s以上である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の湿式法不織布。
(6)幅5cmの無機繊維シートの流れ方向を横切るように、表面、裏面それぞれを山にして折り目を付け、折り目の上にステンレス製の直径5cm、長さ40cmの円柱状ロールを転がし、折り目に発生した繊維の毛羽立ちの本数が10本未満である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の湿式不織布。
(7)無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層と熱融着性バインダー繊維が含まれる層の坪量比が3〜200:1である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の湿式法不織布。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層と熱融着性バインダー繊維が含まれる層の二層で構成される湿式法不織布を製造する湿式法不織布の製造方法において、表面温度が100℃以上のヤンキードライヤーバインダー繊維を溶解する工程を含むことを特徴とする湿式法不織布の製造方法。

発明の効果

0012

本発明の湿式法不織布は、無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層と熱融着性バインダー繊維が含まれる層の二層で構成されることを特徴とする湿式法不織布である。無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層が、樹脂塗工層が設けられる表面層であり、開孔性に優れるため、塗液の浸透性に優れている。また、熱融着性バインダー繊維が含まれる層が裏面層であり、熱融着性バインダー繊維を使用しているため、毛羽が立ちにくく、人体への刺激が少ない。また、セルロース繊維を使用しないか、または使用量が少量で済むため、引張強度、耐熱・耐火性に優れている。また、無機繊維の含有量が多いため、寸法安定性にも優れている。

図面の簡単な説明

0013

本発明の湿式法不織布の断面模式図である。

0014

以下、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の湿式法不織布の断面模式図である。本発明の湿式法不織布は、無機繊維5を用いてなり、無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層3と熱融着性バインダー繊維が含まれる層4の二層で構成されることを特徴とする。無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層3が表面1側であり、熱融着性バインダー繊維が含まれる層が裏面2側である。以下、無機繊維と湿熱接着性バインダー層が含まれる層3を「表面層」と、熱融着性バインダー繊維が含まれる層4を「裏面層」と記す場合がある。

0015

本発明の湿式法不織布は無機繊維を多く使用しており、微細な繊維は含有していないか、あるいは少量しか含有されていないため、シート内に多くの空間があるため、優れた浸透性を持つ。また、熱融着性バインダー繊維を含有してなる裏面層を有するため、毛羽が立ちにくく、繊維脱落による裏抜けも抑制される。

0016

本発明で使用する無機繊維としては、ガラス繊維、岩石繊維炭素繊維セラミックス繊維が挙げられ、寸法安定性や耐熱性・耐火性に優れていれば、いずれの無機繊維でも良い。補強用繊維シートとしては、寸法安定性、耐熱性・耐火性に優れており、低価格であるガラス繊維が広くかつ好ましく用いられる。

0017

本発明に用いるガラス繊維としては、チョップドストランドグラスウールグラスフレークが挙げられ、折れ難く、繊維シート形成能があれば、いずれのガラス繊維でも良い。本発明におけるガラス繊維の繊維径は1〜20μmであることが好ましく、2〜17μmがより好ましく、3〜15μmがさらに好ましい。繊維径が1μm未満の場合、細すぎて抄造時に湿式法不織布から脱落し、強度、厚みが不十分となる場合がある。また、目が詰まるため、浸透性不良が発生する場合がある。繊維径が20μmを超えた場合、隙間が大きくなり、塗工の浸透はしやすくなるものの、加工性が劣り、さらに皮膚への刺激性がある等、作業性に支障をきたして利用し難くなる場合がある。

0018

また、本発明におけるガラス繊維の繊維長は、1〜20mmであることが好ましく、2〜15mmがより好ましい。繊維長が1mm未満では、強度が不十分となる場合があり、繊維長が20mmを超えた場合、シートの地合が悪くなり、品質にバラツキが生じる場合がある。

0019

本発明の湿式法不織布では、ガラス繊維の含有率は、湿式法不織布を構成する全繊維成分に対して、60〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましく、80〜85質量%であることがさらに好ましい。含有率が60質量%未満だと、塗液の浸透性が悪くなる場合があり、また、耐熱性や寸法安定性も悪くなる場合がある。含有率が95質量%を超えると、ガラス繊維同士の結合が弱く、強度が低くなる場合がある。

0020

本発明で使用するバインダー繊維は、湿熱接着性バインダー繊維と熱融着性バインダー繊維である。湿熱接着性バインダー繊維とは、湿潤状態において、ある温度で繊維状態から流動または容易に変形して接着機能発現する繊維のことを言う。具体的には、熱水(例えば、80〜120℃程度)で軟化して自己接着または他の繊維に接着可能な熱可塑性繊維であり、例えば、ポリビニル系繊維(ポリビニルピロリドンポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール系、ポリビニルアセタールなど)、セルロース系繊維メチルセルロースなどのC1−3アルキルセルロースヒドロキシメチルセルロースなどのヒドロキシC1−3アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシC1−3アルキルセルロースまたはその塩など)、変性ビニル系共重合体からなる繊維(イソブチレンスチレンエチレンビニルエーテルなどのビニル系単量体と、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸またはその無水物との共重合体またはその塩など)などが挙げられる。本発明に用いる湿熱接着性バインダー繊維としては、ポリビニルアルコール(PVA)系繊維が、湿式法不織布の強度がより高くなり好ましい。

0021

また、熱融着性バインダー繊維は、抄造の乾燥時に熱融着して接着機能を発現する繊維のことを言う。熱融着性バインダー繊維としては、芯鞘型偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型の複合繊維、あるいは単繊維等が挙げられ、特に、芯鞘型熱融着性バインダー繊維を含有することが好ましい。芯鞘型熱融着性バインダー繊維は、芯部の繊維形状を維持しつつ、部のみを軟化、溶融させて繊維同士を熱接着させるため、基材の緻密な構造を損なわずに繊維同士を接着させるのに好適である。芯鞘型熱融着繊維の芯部と鞘部を構成する樹脂成分は特に制限なく、繊維形成能のある樹脂であれば良い。熱融着性バインダー繊維の具体例としては、ポリプロピレンの単繊維、ポリエチレンの単繊維、低融点ポリエステルの単繊維、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせの複合繊維、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせの複合繊維、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせの複合繊維等が挙げられる。

0022

本発明で使用する熱融着性バインダー繊維は、湿式抄紙が容易であり、人体への刺激が少なく、熱加工後の湿潤強度に優れるポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンが好ましい。

0023

湿熱接着性バインダー繊維の繊度は、0.1〜5.6デシテックスが好ましく、0.6〜3.3デシテックスがより好ましく、0.8〜1.5デシテックスがさらに好ましい。0.1デシテックス未満の場合、湿式法不織布が緻密で薄いものになってしまうことがある。一方、5.6デシテックスを超えた場合、無機繊維との接点が少なくなり、湿潤状態下での強度維持が困難になることがあるばかりでなく、均一な地合が取れないことがある。バインダー繊維の繊維長は、1〜20mmが好ましく、2〜15mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。1mm未満の場合、抄造時に抄紙ワイヤーから抜け落ちることがあり、十分な強度が得られないことがある。一方、20mmを超えた場合、水に分散する際にもつれ等を起こすことがあり、均一な地合が得られないことがある。

0024

熱融着性バインダー繊維の繊度は、0.1〜5.6デシテックスが好ましく、0.6〜3.3デシテックスがより好ましく、0.8〜1.5デシテックスがさらに好ましい。0.1デシテックス未満の場合、湿式法不織布が緻密で薄いものになってしまうことがある。一方、5.6デシテックスを超えた場合、無機繊維との接点が少なくなり、湿潤状態下での強度維持が困難になることがあるばかりでなく、均一な地合が取れないことがある。バインダー繊維の繊維長は、1〜20mmが好ましく、2〜15mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。1mm未満の場合、抄造時に抄紙ワイヤーから抜け落ちることがあり、十分な強度が得られないことがある。一方、20mmを超えた場合、水に分散する際にもつれ等を起こすことがあり、均一な地合が得られないことがある。

0025

表面層の湿熱接着性バインダー繊維の含有率は20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。バインダー繊維の含有率が20質量%よりも多い場合は、耐熱性・耐火性が下がる傾向にあり、補強用繊維シート加工後にトラブルが発生する場合があるため、表面層の湿熱接着性バインダー繊維の含有率は20質量%以下が好ましい。

0026

裏面層の熱融着性バインダー繊維の含有率は30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。バインダー繊維の含有率が30質量%よりも少ない場合は、毛羽を抑制することができず、人体への刺激や毛羽立った繊維の脱落による塗工不良が改善されない場合があり、裏面層の熱融着性バインダー繊維の含有率は30質量%以上が好ましい。

0027

本発明において、無機繊維、バインダー繊維に加えて、必要に応じて、性能を阻害しない範囲で、バインダー性能を有しない繊維を配合することができ、その結果、さらに空隙部を増すことや湿紙抄紙の操業性を安定化することができる。繊維としては、セルロース繊維、レーヨンキュプラリヨセル繊維等の再生繊維アセテートトリアセテートプロミックス等の半合成繊維ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系、ベンゾエートポリクラール((polychlal)、フェノール系などの繊維等の合成繊維を加えることができる。

0028

本発明の湿式法不織布は必要に応じて、性能を阻害しない範囲で、液状のバインダーを塗抹することができる。バインダーには、ポリビニルアルコール、塩化ビニル共重合体酢酸ビニル共重合体アクリル、スチレン・ブタジエンラバーSBR)、メタクリレート・ブタジエン・ラバー等の高分子をバインダーとして使用できる。該湿式法不織布に発泡樹脂の加工を施した後で乾燥時に熱がかかるため、耐熱性の高いアクリルの使用が有効である。

0029

液状バインダーの付着量は、固形分付着量が1〜10g/m2であることが好ましい。固形分付着量が1g/m2未満だと、十分な強度が得られない傾向があり、安定した製品ができにくくなる。10g/m2を超えると、耐熱寸法安定性が下がる傾向にあり、塗液の塗工後にトラブルが発生する場合がある。

0030

液状バインダーを塗抹する方法としては、バインダー塗抹液を調製し、表面層側に塗抹する。抄紙工程の途中に設置された2ロールサイズプレスゲートロールコーターエアナイフコーターブレードコーターコンマコーターバーコーターグラビアコーターキスコーター等の含浸または塗工装置による処理が可能であるが、これに限定されるものではない。また、抄紙後にオフマシン装置での含浸または塗工処理も可能である。

0031

本発明の湿式法不織布の坪量は特に限定しないが、20〜100g/m2であることが好ましく、30〜80g/m2がより好ましい。この坪量は不織布を形成する繊維と液状バインダーを併せた値である。20g/m2未満では、塗液の浸透量が少なく、裏抜けなどの問題が発生する場合があり、また、引張強度、硬さにも問題があり、塗抹工程や印刷の際に断紙を起こす恐れがある。一方、100g/m2超では、引張強度や硬さは問題ないものの、塗液が過剰に浸透して、表面の地合が粗くなる場合がある。

0032

表面層の坪量は、18〜98g/m2が好ましく、20〜79g/m2がより好ましく、30〜69g/m2がさらに好ましい。18g/m2未満の場合、均一な地合を得ることが困難であり、また、塗液の浸透性が悪くなる場合がある。湿式法による二層抄きの場合、表面層の坪量が重過ぎると、抄造時の安定性が損なわれるため、坪量は98g/m2以下とすることが好ましい。

0033

裏面層の坪量は、1〜10g/m2が好ましく、2〜8g/m2がより好ましい。1g/m2未満の場合、熱融着性バインダー繊維の量が少ないため、毛羽立ちを抑えることができずに毛羽立ちが発生する恐れがある。一方、10g/m2を超えた場合、湿式法不織布自体の有機分比率アップし、湿式法不織布としての寸法安定性や浸透性や耐熱・耐火性を維持できなくなる場合がある。

0034

本発明の湿式法不織布のフラジール通気度は、150cm3/cm2・s以上であることが好ましく、200cm3/cm2・s以上であることがより好ましい。150cm3/cm2・s未満では、塗液の浸透性が低く、塗液と湿式法不織布が剥離する場合がある。

0035

本発明の湿式不織布の幅5cmの流れ方向を横切るように、表面、裏面それぞれを山にして折り目を付け、折り目の上にステンレス製の直径5cm、長さ40cmの円柱状ロールを転がし、折り目に発生した繊維の毛羽立ちの本数は10本未満であることが好ましく、5本未満であることがより好ましい。10本以上である場合、ポリ塩化ビニルなどを塗工する際に脱落繊維が発生する場合がある。脱落繊維はロールに付着することで、ロールに汚れを発生させる場合や、ポリ塩化ビニルに付着することで塗工面の表面性を著しく悪化させる場合がある。

0036

この他に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、湿式法不織布には、各種アニオン性ノニオン性カチオン性、あるいは両性歩留り向上剤濾水剤、分散剤紙力向上剤や粘剤を、必要に応じて適宜選択して含有させることができる。なお、pH調整剤消泡剤ピッチコントロール剤スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤を目的に応じて適宜添加することも可能である。また、必要に応じて、クレーカオリン焼成カオリンタルク炭酸カルシウム二酸化チタン等の填料や、水酸化アルミニウム水酸化マグネシウム等の自己消火性を有する填料等も含有させることができる。

0037

本発明の湿式法不織布は、円網長網、短網、傾斜ワイヤー等の抄き網を有する抄紙機でこれらの抄き網から同種または異種の複数の抄き網を組み合わせるコンビネーション抄紙機や、複数のヘッドボックスを有し、ワイヤー上で湿紙を重ね合わせる抄紙機にて製造することができる。原料スラリーには、繊維原料の他に、必要に応じて、分散剤、紙力増強剤増粘剤無機填料、有機填料、消泡剤などを適宜添加し、5〜0.001質量%程度の固形分濃度で原料スラリーを調製する。この原料スラリーを、さらに所定濃度希釈して抄造する。次いで、抄造されたウェブは、プレスロールなどでニップされ、次いで、ヤンキードライヤーを使用し、バインダー繊維を溶融させて、強度を発現させる。ヤンキードライヤーにて乾燥することにより、乾燥された表面は鏡面となり、表面の凹凸が少ない面を形成できる特徴がある。その他補助乾燥として、熱風乾燥機加熱ロール赤外線ヒーターなどの加熱装置を併用しても問題はない。この時の乾燥温度としては、湿紙ウェブの水分が十分に除去でき、バインダー繊維により強度を発現できる温度とすることが好ましい。また、円網、長網、短網、傾斜ワイヤー等の抄き網を有する抄紙機にて単層ずつ抄紙し、後加工で熱により重ね合わせる多層品として製造することも可能である。ヤンキードライヤーの温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。100℃未満である場合、熱融着性バインダー繊維に十分に熱がかからず、毛羽立ちを抑制することができない場合がある。

0038

以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数百分率質量基準である。

0039

実施例1
パルパー分散タンク中の水に、ガラス繊維(商品名:ECS13S−552I、日本電気硝子株式会社製、13μm×13mm)、PVAバインダー繊維(商品名:VPB107、株式会社クラレ製、1.0デシテックス×3mm、湿熱接着性バインダー繊維)を7:1の質量比率投入して10分間混合分散した後、貯蔵タンク送り、抄紙ヘッドタンクから、坪量40g/m2となるような抄造条件で、表面層を抄造した。

0040

別のパルパー分散タンク中の水に、ガラス繊維(商品名:ECS13S−552I、日本電気硝子株式会社製、13μm×13mm)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)バインダー繊維(商品名:TA07N、帝人株式会社製、1.2デシテックス×5mm、ポリエステル全溶融型、熱融着性バインダー繊維)を1:1の質量比率で投入して10分間混合分散した後、坪量5g/m2となるような抄造条件で、表面層に抄き合わせを行い、湿紙状態の二層構造の紙を抄造した。湿紙状態でプレスを行い、表面層が120℃のヤンキードライヤーに当たるようにして乾燥し、坪量45g/m2の二層構造の紙を得た。

0041

液状バインダーとして、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−117、株式会社クラレ製)を水に分散して塗抹液を調製した。本塗抹液をサチュレータ塗工装置にて、上記二層構造の紙の裏面層側から、付着量が乾燥質量5g/m2になるような条件で塗抹した後乾燥し、坪量50g/m2の湿式法不織布を得た。

0042

実施例2
表面層のガラス繊維とPVAバインダー繊維の質量比率を39:1に変えた以外は実施例1と同様に実施例2の湿式法不織布を得た。

0043

実施例3
表面層のガラス繊維とPVAバインダー繊維の質量比率を13:3に変えた以外は実施例1と同様に実施例3の湿式法不織布を得た。

0044

実施例4
表面層のガラス繊維とPVAバインダー繊維の質量比率を5:3に変えた以外は実施例1と同様に実施例4の湿式法不織布を得た。

0045

実施例5
裏面層のガラス繊維とポリエステルバインダー繊維の質量比率を4:1に変えた以外は実施例1と同様に実施例5の湿式法不織布を得た。

0046

実施例6
裏面層のガラス繊維とポリエステルバインダー繊維の質量比率を1:4に変えた以外は実施例1と同様に実施例6の湿式法不織布を得た。

0047

実施例7
裏面層の配合を、ポリエステルバインダー繊維100%とした以外は実施例1と同様に実施例7の湿式法不織布を得た。

0048

実施例8
繊維配合が実施例1と同様であり、且つ表面層と裏面層とPVA塗沫量の坪量比率も実施例1と同様である湿式法不織布を、全体の坪量が40g/m2となるようにした以外は実施例1と同様に実施例8の湿式法不織布を得た。

0049

実施例9
繊維配合が実施例1と同様であり、且つ表面層と裏面層とPVA塗沫量の坪量比率も実施例1と同様である湿式法不織布を、全体の坪量を20g/m2とした以外は実施例1と同様に実施例9の湿式法不織布を得た。

0050

実施例10
繊維配合が実施例1と同様であり、且つ表面層と裏面層とPVA塗沫量の坪量比率も実施例1と同様である湿式法不織布を、全体の坪量を70g/m2とした以外は実施例1と同様に実施例10の湿式法不織布を得た。

0051

実施例11
繊維配合が実施例1と同様であり、且つ表面層と裏面層とPVA塗沫量の坪量比率も実施例1と同様である湿式法不織布を、全体の坪量を90g/m2とした以外は実施例1と同様に実施例11の湿式法不織布を得た。

0052

実施例12
表面層の坪量を16g/m2に変えた以外は実施例1と同様に実施例12の湿式法不織布を得た。

0053

実施例13
表面層の坪量を56g/m2に変えた以外は実施例1と同様に実施例13の湿式法不織布を得た。

0054

実施例14
裏面層の坪量を0.5g/m2に変えた以外は実施例1と同様に実施例14の湿式法不織布を得た。

0055

実施例15
裏面層の坪量を8g/m2に変えた以外は実施例1と同様に実施例15の湿式法不織布を得た。

0056

実施例16
液状バインダーの付着量を乾燥重量で0.5g/m2に変えた以外は実施例1と同様に実施例16の湿式法不織布を得た。

0057

実施例17
液状バインダーの付着量を乾燥重量で10g/m2に変えた以外は実施例1と同様に実施例17の湿式法不織布を得た。

0058

実施例18
表面層の原材料を分散するパルパー分散タンク中の水に、ガラス繊維(商品名:ECS13S−552I、日本電気硝子株式会社製、13μm×13mm)、PVAバインダー繊維(商品名:VPB107、株式会社クラレ製、1.0デシテックス×3mm)、セルロース繊維を6:1:1の質量比率で投入したこと以外は実施例1と同様に実施例18の湿式法不織布を得た。

0059

実施例19
表面層の原材料を分散するパルパー分散タンク中の水に、ガラス繊維(商品名:ECS13S−552I、日本電気硝子株式会社製、13μm×13mm)、PVAバインダー繊維(商品名:VPB107、株式会社クラレ製、1.0デシテックス×3mm)、セルロース繊維を5:1:2の質量比率で投入したこと以外は実施例1と同様に実施例19の湿式法不織布を得た。

0060

実施例20
裏面層の原材料を分散するパルパー分散タンク中の水に、ガラス繊維(商品名:ECS13S−552I、日本電気硝子株式会社製、13μm×13mm)、ポリエステルバインダー繊維(商品名:TA07N、帝人株式会社製、1.1デシテックス×5mm)、セルロース繊維を1:1:2の質量比率で投入し、裏面層の坪量が10g/m2となるように抄紙した以外は実施例1と同様に実施例20の湿式法不織布を得た。

0061

実施例21
裏面層の原材料を分散するパルパー分散タンク中の水に、ガラス繊維(商品名:ECS13S−552I、日本電気硝子株式会社製、13μm×13mm)、ポリエステルバインダー繊維(商品名:TA07N、帝人株式会社製、1.2デシテックス×5mm)、セルロース繊維を1:1:4の質量比率で投入し、裏面層の坪量が15g/m2となるように抄紙した以外は実施例1と同様に実施例21の湿式法不織布を得た。

0062

実施例22
裏面層の坪量を10g/m2に変えた以外は実施例1と同様に実施例22の湿式法不織布を得た。

0063

実施例23
裏面層の坪量を20g/m2に変えた以外は実施例1と同様に実施例23の湿式法不織布を得た。

0064

実施例24
湿式不織布に使用するガラス繊維を繊維径の大きいもの(商品名:ECS25I−535K、日本電気硝子株式会社製、25μm×13mm)に変えた以外は実施例1と同様に実施例24の湿式法不織布を得た。

0065

実施例25
湿式不織布に使用するガラス繊維を繊維長の長いもの(商品名:CS25K−871、日東紡績株式会社製、13μm×25mm)に変えた以外は実施例1と同様に実施例25の湿式不織布を得た。

0066

比較例1
パルパー分散タンク中の水に、ガラス繊維(商品名:ECS13S−552I、日本電気硝子株式会社製、13μm×13mm)、PVAバインダー繊維(商品名:VPB107、株式会社クラレ製、1.0デシテックス×3mm)、ポリエステルバインダー繊維(商品名:TA07N、帝人株式会社製、1.2デシテックス×5mm)を15:2:1の比率で投入して10分間混合分散した後、貯蔵タンクに送り、抄紙ヘッドタンクから坪量45g/m2となるような抄造条件で、湿紙状態の単層構造の紙を抄造した。湿紙状態でプレスを行い、ヤンキードライヤーに当たるようにして乾燥し、坪量45g/m2の単層構造の紙を得た。

0067

液状バインダーとして、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−117、株式会社クラレ製)を水に分散して塗抹液を作製した。本塗抹液をサチュレータ塗工装置にて、上記単層構造の紙のヤンキードライヤー非接触面側から、付着量が乾燥質量5g/m2になるような条件で塗抹した後乾燥し、坪量50g/m2の比較例1の湿式法不織布を得た。

0068

(塗液浸透性)
JIS L1096に準じ、フラジール通気性の測定を行った。フラジール通気性が高い不織布ほど、ポリ塩化ビニル等の塗液浸透性が優れており、建材補強材として優れていると言える。なお、通気性試験機には(カトーテック株式会社製、商品名:KES−F8−AP1)を使用した。通気性は下記の度合いで評価した。

0069

「○」フラジール通気性が200cm3/cm2・s以上
「△」フラジール通気性が150cm3/cm2・s以上200cm3/cm2・s未満
「×」フラジール通気性が150cm3/cm2・s未満

0070

(毛羽立ち)
幅5cmの無機繊維シートの流れ方向を横切るように、表面、裏面それぞれを山にして折り目を付け、折り目の上にステンレス製の直径5cm、長さ40cmの円柱状ロールを転がし、折り目に発生した繊維の毛羽立ち本数を計測した。測定はn=4で行い、平均値を示す。毛羽立ちは下記の度合いで評価した。

0071

「○」毛羽の数が5本未満
「△」毛羽の数が5本以上10本未満
「×」毛羽の数が10本以上

0072

(耐熱寸法安定性)
幅40cm、流れ方向30cmの無機繊維シートの縦横の寸法を正確に測定し、温度が200℃の乾燥機の中で10分間熱をかけ、乾燥から取り出してから縦横の寸法を測定した。測定はn=4で行い、寸法変化率を平均値で示す。耐熱寸法変化は下記の度合いで評価した。

0073

「○」寸法変化率が0.02%未満
「△」寸法変化率が0.02%以上0.1%未満
「×」寸法変化率が0.1%以上

0074

(引張強度)
JIS P8113:2006に準じ、引張強度の測定を行った。なお、引張試験機には(日本A&D社製、商品名:テンシロンUTM−III−100型)を使用した。引張強度は下記の度合いで評価した。

0075

「○」引張強度が2.9kN/m以上
「△」引張強度が2.0kN/m以上2.9kN/m未満
「×」引張強度が2.0kN未満

0076

0077

0078

0079

0080

実施例1と比較例1の湿式法不織布は、不織布全体における繊維の種類、各繊維の含有率、液状バインダーの付着量、坪量が同じであり、表面温度100℃以上のヤンキードライヤーでバインダー繊維を溶解する工程を含む製造方法によって、製造されている。実施例1と比較例1から、無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層と熱融着性バインダー繊維が含まれる層の二層で構成されている実施例1の湿式法不織布は、単層抄きである比較例1の湿式法不織布と比較して、フラジール通気度が高く、引張強度、毛羽立ち、耐熱寸法安定性も良好であるという結果となり、そのため、建材用中間補強材として使用が可能である。比較例1においては、湿式法不織布全体の配合は実施例1と同じであるものの、単層抄きとなっており、裏面の毛羽立ちを抑制する熱融着性バインダー繊維が不織布全体に分散するため不足してしまい、毛羽が立ちやすくなるという結果となった。これにより建材用補強材として加工する際にロールに繊維が付着し、不備が発生した。

0081

実施例1〜7から、表面層を構成する全繊維に対し、湿熱接着性バインダー繊維の含有率が20質量%以下であり、裏面層を構成する全繊維に対し、熱融着性バインダー繊維の含有率が30質量%以上である実施例1〜3、6、7においては、フラジール通気度が高く、引張強度、毛羽立ち、耐熱寸法安定性も良好であるという結果となった。実施例1〜3、6、7と比較して、実施例4においては、表面層の湿熱接着性バインダー繊維が多く、無機繊維の含有率が減少したため、耐熱寸法安定性が悪化する傾向が見られた。実施例5においては、裏面層の熱融着性バインダー繊維が減少し、毛羽立ちを抑制する効果が少なくなったため、毛羽立ちが10本/5cm以上発生するようになった。

0082

実施例8〜17から、表面層の坪量が18〜98g/m2であり、裏面層の坪量が1〜10g/m2であり、液状バインダーの付着量が1〜10g/m2であり、且つ不織布全体の坪量が20〜100g/m2である実施例8、10、11、13、15、17においては、フラジール通気度が高く、引張強度、毛羽立ち、耐熱寸法安定性も良好であるという結果となった。実施例8、10、11、13、15、17と比較して、実施例9においては、不織布全体の坪量が小さいため、引張強度が弱くなる傾向が見られた。実施例12においては、不織布全体の坪量は大きいものの、空隙を構成する無機繊維の量が少なくなり、液状バインダーが空隙を塞ぐため、通気度が150cm3/cm2・sよりも低くなることで、建材加工する際に塗液の浸透性が悪くなる傾向が見られた。実施例14においては、裏面層の坪量が小さいため、毛羽立ちを抑制する効果が低くなり、毛羽が10本/5cm以上発生する傾向にあった。実施例16においては、液状バインダーの付着量が少ないため、強度が低下する傾向が見られた。

0083

実施例18〜21から、無機繊維が不織布全体の60質量%以上であり、セルロース繊維を少量配合している実施例18、20においては、フラジール通気度が高く、引張強度、毛羽立ち、耐熱寸法安定性も良好であるという結果となった。実施例18、20と比較して、実施例19においては、無機繊維が少なくなり、セルロース繊維を多く配合していることから、空隙が少なくなるため、フラジール通気度が150cm3/cm2・sよりも低くなり、また、セルロース繊維は熱によって変形しやすいため、耐熱寸法安定性も悪化する傾向が見られた。実施例21においても、実施例19と同様の理由でフラジール通気度が150cm3/cm2・sよりも低くなり、耐熱寸法安定性も悪化する傾向が見られた。

0084

実施例22、23から、表面層と裏面層の坪量比率が3〜200:1である実施例22においてはフラジール通気量が高く、塗工性に優れ、引張強度、毛羽立ち、耐熱寸法安定性も良好であるという結果となった。実施例22と比較して、実施例23においては、不織布全体の無機繊維の比率が低くなるため、耐熱寸法安定性が悪化する傾向が見られた。

実施例

0085

実施例1、実施例24、25から、不織布を構成するガラス繊維の平均繊維径が1〜20μmであり、且つ平均繊維長が1〜20mmである実施例1においては、フラジール通気量が高く、塗工性に優れ、引張強度、毛羽立ち、耐熱寸法安定性も良好であるという結果となった。実施例1と比較して、実施例24においては、無機繊維長が20mmを超えており、地合が悪く、湿式抄紙機で使用する毛布に無機繊維が取られるため、毛羽立ちが悪化する傾向が見られた。実施例25においては、無機繊維径が20μmを超えており、こちらも地合が悪く、毛布に無機繊維が取られるため、毛羽立ちが悪化する傾向が見られた。

0086

本発明の活用例として、通気度が大きいため、塗液の浸透性に優れ、寸法安定性を有し、毛羽が立ちにくく面質に優れ、加工の際に断紙しづらい強度を持つ建材用中間基材等が挙げられる。

0087

1 表面
2 裏面
3無機繊維と湿熱接着性バインダー繊維が含まれる層
4熱融着性バインダー繊維が含まれる層
5 無機繊維

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