図面 (/)

技術 呼吸監視装置及び呼吸監視方法

出願人 公立大学法人奈良県立医科大学株式会社フクダ産業
発明者 山内基雄木村弘飛ケ谷喜憲
出願日 2014年9月26日 (6年3ヶ月経過) 出願番号 2014-197098
公開日 2015年5月7日 (5年7ヶ月経過) 公開番号 2015-085191
状態 特許登録済
技術分野 生体の呼吸・聴力・形態・血液特性等の測定
主要キーワード 極小ピーク 指標値データ 近似演算処理 吐出圧変動 評価タイミング 装着態様 加重移動平均 移動平均演算
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年5月7日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

課題

被験者病態病状及び呼吸動態を正しく評価するための呼吸監視装置を提供する。

解決手段

呼吸監視装置1において、圧力センサ10は、酸素濃縮器から被験者に供給される供給酸素の流量による圧力を含む被験者の呼吸圧の変化(呼吸圧の時系列データ)を検出することにより、呼吸波形を取得する。オフセット推定部31は、圧力センサ10により検出された呼吸波形に基づいて、酸素濃縮器により酸素を供給する際に経時的に変動して呼吸波形に重畳するオフセットを推定する。そして、誤差補償呼吸波形演算部32は、オフセット推定部31により推定されたオフセットを用いて、呼吸波形に重畳しているオフセットが補償された呼吸圧の時系列データである誤差補償呼吸波形を演算する。そして、呼吸動態指標値算出部33は、誤差補償呼吸波形演算部32により演算された誤差補償呼吸波形に基づいて、被験者の呼吸動態指標値を算出する。

概要

背景

従来より、呼吸器疾患患者に対して酸素濃縮器等の酸素供給器を用いて酸素を供給する酸素療法が知られている(例えば特許文献1)。特に、自宅に酸素供給器を設置して、自宅に居ながら酸素を患者に供給することができる在宅酸素療法(HOT:Home Oxygen Therapy)は、慢性呼吸不全の患者の生命予後の改善などに役立っている。

概要

被験者病態病状及び呼吸動態を正しく評価するための呼吸監視装置を提供する。呼吸監視装置1において、圧力センサ10は、酸素濃縮器から被験者に供給される供給酸素の流量による圧力を含む被験者の呼吸圧の変化(呼吸圧の時系列データ)を検出することにより、呼吸波形を取得する。オフセット推定部31は、圧力センサ10により検出された呼吸波形に基づいて、酸素濃縮器により酸素を供給する際に経時的に変動して呼吸波形に重畳するオフセットを推定する。そして、誤差補償呼吸波形演算部32は、オフセット推定部31により推定されたオフセットを用いて、呼吸波形に重畳しているオフセットが補償された呼吸圧の時系列データである誤差補償呼吸波形を演算する。そして、呼吸動態指標値算出部33は、誤差補償呼吸波形演算部32により演算された誤差補償呼吸波形に基づいて、被験者の呼吸動態指標値を算出する。

目的

本発明は上記の課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、被験者の病態・病状及び呼吸動態を正しく評価するための新しい手法を提案することにある

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

酸素供給器から被験者に供給される供給酸素を含む前記被験者の呼吸の時系列データである呼吸波形を取得する取得手段と、前記取得手段の取得結果に基づいて、前記酸素供給器により酸素を供給する際に経時的に変動して前記呼吸波形に重畳する誤差成分推定する推定手段と、前記推定手段の推定結果を用いて、前記呼吸波形に重畳している前記誤差成分を補償した呼吸の時系列データである誤差補償呼吸波形を演算する演算手段と、前記演算手段により演算された前記誤差補償呼吸波形に基づいて、前記被験者の呼吸動態指標値を算出する算出手段と、を備えた呼吸監視装置

請求項2

前記取得手段は、圧力検出手段を有し、前記圧力検出手段は、前記被験者の呼吸圧の変化を前記呼吸波形として検出し、前記推定手段は、前記圧力検出手段により検出された呼吸圧の変化に基づいて、前記圧力検出手段のドリフト成分を含む前記誤差成分を推定する、請求項1に記載の呼吸監視装置。

請求項3

前記供給酸素は鼻孔カニューラを介して前記被験者に供給され、前記圧力検出手段は、前記鼻孔カニューラに導通して前記呼吸圧の変化を検出するように構成されてなり、前記推定手段は、前記鼻孔カニューラの背圧変動成分を含む前記誤差成分を推定する、請求項2に記載の呼吸監視装置。

請求項4

前記算出手段により算出された呼吸動態指標値に基づいて、前記被験者の呼吸動態を評価する評価手段と、前記評価手段による評価の結果に基づく所定の報知を行う報知手段と、を更に備えた、請求項1〜3の何れか一項に記載の呼吸監視装置。

請求項5

前記算出手段は、前記被験者の呼吸変動係数を前記呼吸動態指標値として算出し、前記評価手段は、前記呼吸変動係数に基づいて前記被験者の呼吸動態を評価する、請求項4に記載の呼吸監視装置。

請求項6

前記算出手段は、前記被験者の換気量に係る呼吸変動係数を前記呼吸動態指標値として算出することを特徴とする、請求項5に記載の呼吸監視装置。

請求項7

前記評価手段は、前記呼吸変動係数が所定の高閾値条件を満たすか否かを判定し、その判定の結果が肯定判定である場合に、前記被験者が呼吸困難の状態にあると評価し、前記報知手段は、前記評価手段により前記被験者が呼吸困難の状態にあると評価された場合に、その旨を前記被験者に報知する、請求項5又は6に記載の呼吸監視装置。

請求項8

前記推定手段は、前記呼吸波形のうちの一の基準タイミングを基準とする所定期間分の前記呼吸波形の呼吸データを用いた所定の誤差推定処理を行って前記誤差成分を推定する、請求項1〜7の何れか一項に記載の呼吸監視装置。

請求項9

前記誤差推定処理は、前記基準タイミングから遡った所定期間分の前記呼吸データを平均演算する処理を含む、請求項8に記載の呼吸監視装置。

請求項10

前記誤差推定処理は、前記基準タイミングから遡った所定期間分の前記呼吸データを積分近似演算する処理を含む、請求項8に記載の呼吸監視装置。

請求項11

前記誤差推定処理は、前記基準タイミングから遡った第1の所定期間分の前記呼吸データを積分近似演算する第1の積分近似演算処理と、前記基準タイミング以降の第2の所定期間分の前記呼吸データを積分近似演算する第2の積分近似演算処理と、を含み、前記第1の積分近似演算処理の結果と前記第2の積分近似演算処理の結果とを用いて、前記誤差成分を推定する処理である、請求項8に記載の呼吸監視装置。

請求項12

前記基準タイミングをリアルタイム設定更新する基準タイミング設定手段を更に備えた、請求項9又は10に記載の呼吸監視装置。

請求項13

前記呼吸波形の中から類似的変化傾向を示す波形部分を判定する判定手段と、前記判定手段により判定された波形部分に基づいて、前記所定期間を可変に設定する期間設定手段と、を更に備えた、請求項9〜12の何れか一項に記載の呼吸監視装置。

請求項14

酸素濃縮器から被験者に供給される供給酸素を含む前記被験者の呼吸の時系列データである呼吸波形を取得することと、前記取得の結果に基づいて、前記酸素供給器により酸素を供給する際に経時的に変動して前記呼吸波形に重畳する誤差成分を推定することと、前記推定の結果を用いて、前記呼吸波形に重畳している誤差成分を補償した呼吸の時系列データである誤差補償呼吸波形を演算することと、前記誤差補償呼吸波形に基づいて、前記被験者の呼吸動態指標値を算出することと、を含む呼吸監視方法。

技術分野

0001

本発明は、被験者呼吸監視する呼吸監視装置等に関する。

背景技術

0002

従来より、呼吸器疾患患者に対して酸素濃縮器等の酸素供給器を用いて酸素を供給する酸素療法が知られている(例えば特許文献1)。特に、自宅に酸素供給器を設置して、自宅に居ながら酸素を患者に供給することができる在宅酸素療法(HOT:Home Oxygen Therapy)は、慢性呼吸不全の患者の生命予後の改善などに役立っている。

先行技術

0003

特許第4416251号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特に、喫煙者に多く見られる慢性閉塞性肺疾患COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)患者に対する酸素療法は重要である。COPD患者の生命予後に影響する因子は多様であるが、とりわけ呼吸困難感の程度は、日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)や生活の質(QOL:Quality Of Life)を低下させ、日常生活を著しく制限することから重要な生命予後決定因子の一つである。

0005

しかし、呼吸困難の程度はCOPDの重症度指標とされる従来の呼吸動態指標と乖離している場合もあり、呼吸困難感の客観的な評価や予測は困難である。発明者らは、覚醒時の安静呼吸不規則性がCOPD患者の呼吸困難感指標と有意に関連することを実験により明らかにした。つまり、呼吸不規則性は呼吸困難感を反映することから、呼吸不規則性が慢性呼吸不全COPD患者の生命予後を予測し得ることが示唆される。

0006

従って、HOT施行中の慢性呼吸不全COPD患者の呼吸波形非侵襲的に連続モニターし、逐次呼吸不規則性といった被験者の呼吸動態を評価することができれば、COPDの急性憎悪や生命予後を予見することが可能になると考えられる。

0007

本発明は上記の課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、被験者の病態病状及び呼吸動態を正しく評価するための新しい手法を提案することにある。

課題を解決するための手段

0008

以上の課題を解決するための第1の発明は、
酸素供給器(例えば、図1の酸素濃縮器3)から被験者に供給される供給酸素を含む前記被験者の呼吸の時系列データである呼吸波形を取得する取得手段(例えば、図2圧力センサ10)と、
前記取得手段の取得結果に基づいて、前記酸素供給器により酸素を供給する際に経時的に変動して前記呼吸波形に重畳する誤差成分推定する推定手段(例えば、図2オフセット推定部31)と、
前記推定手段の推定結果を用いて、前記呼吸波形に重畳している前記誤差成分を補償した呼吸の時系列データである誤差補償呼吸波形を演算する演算手段(例えば、図2の誤差補償呼吸波形演算部32)と、
前記演算手段により演算された前記誤差補償呼吸波形に基づいて、前記被験者の呼吸動態指標値を算出する算出手段(例えば、図2の呼吸動態指標値算出部33)と、
を備えた呼吸監視装置(例えば、図1図2及び図8の呼吸監視装置1)である。

0009

また、他の発明として、
酸素濃縮器から被験者に供給される供給酸素を含む前記被験者の呼吸の時系列データである呼吸波形を取得することと(例えば、図3のステップA1)、
前記取得の結果に基づいて、前記酸素供給器により酸素を供給する際に経時的に変動して前記呼吸波形に重畳する誤差成分を推定することと(例えば、図3のステップA7)、
前記推定の結果を用いて、前記呼吸波形に重畳している前記誤差成分を補償した呼吸の時系列データである誤差補償呼吸波形を演算することと(例えば、図3のステップA9)、
前記演算された前記誤差補償呼吸波形に基づいて、前記被験者の呼吸動態指標値を算出することと(例えば、図4のステップB5)、
を含む呼吸監視方法を構成することとしてもよい。

0010

この第1の発明等によれば、被験者に供給される供給酸素を含む前記被験者の呼吸の時系列データである呼吸波形を取得する。しかし、酸素供給器により被験者に酸素を供給する際には、酸素濃縮器の物理的な構成や設計等に起因して、種々の誤差成分が呼吸波形に重畳し得る。具体的には、酸素供給器の吐出圧の変動に起因する誤差成分や、酸素供給器からの供給酸素の流量の設定変更により生ずる誤差成分といった誤差成分が呼吸波形に重畳し得る。そこで、取得した呼吸波形を用いて、酸素供給器により酸素を供給する際に経時的に変動して呼吸波形に重畳する誤差成分を推定する。そして、この推定の結果を用いて、呼吸波形に重畳している誤差成分が補償された呼吸の時系列データである誤差補償呼吸波形を演算する。これにより、被験者の正しい呼吸の状態を反映した呼吸情報呼吸パターン)を得ることができる。

0011

また、演算された誤差補償呼吸波形に基づいて、被験者の呼吸動態指標値を算出する。ここで、呼吸動態指標値には、一回換気量吸気一回換気量と呼気一回換気量を含む)の呼吸変動係数や、分時換気量の呼吸変動係数といった指標値が含まれる。呼吸波形から誤差成分が補償された誤差補償呼吸波形を演算し、当該誤差補償呼吸波形に基づいて被験者の呼吸動態指標値を算出することで、被験者の病態・病状及び呼吸動態を正しく評価することが可能となる。

0012

また、第2の発明として、第1の発明の呼吸監視装置であって、
前記取得手段は、圧力検出手段(例えば、図2の圧力センサ10)を有し、
前記圧力検出手段は、前記被験者の呼吸圧の変化を前記呼吸波形として検出し、
前記推定手段は、前記圧力検出手段により検出された呼吸圧の変化に基づいて、前記圧力検出手段のドリフト成分を含む前記誤差成分を推定する、
呼吸監視装置を構成することとしてもよい。

0013

この第2の発明によれば、圧力検出手段を用いることで、被験者の呼吸圧の変化を呼吸波形として簡易に取得することができる。圧力検出手段を用いて呼吸圧の変化を検出する際には、圧力検出手段の特性に起因して、検出される呼吸圧の変化にドリフト成分が重畳し得る。ここで、ドリフト成分には、例えば、圧力検出手段の温度特性に起因する温度ドリフトや、経時的に変化する経時ドリフトが含まれる。そこで、圧力検出手段により検出された呼吸圧の変化に基づいて、これらのドリフト成分を含む誤差成分を推定する。この推定した誤差成分を用いることで、圧力検出手段の特性に起因する誤差成分が補償された誤差補償呼吸波形を得ることができる。

0014

また、第3の発明として、第2の発明の呼吸監視装置であって、
前記供給酸素は鼻孔カニューラ(例えば、図1の鼻孔カニューラ5)を介して前記被験者に供給され、
前記圧力検出手段は、前記鼻孔カニューラに導通して前記呼吸圧の変化を検出するように構成されてなり、
前記推定手段は、前記鼻孔カニューラの背圧変動成分を含む前記誤差成分を推定する、
呼吸監視装置を構成することとしてもよい。

0015

この第3の発明によれば、鼻孔カニューラを介して酸素供給器から被験者に供給酸素が供給されるが、圧力検出手段は鼻孔カニューラに導通しているため、鼻孔カニューラを介して被験者の呼吸圧の変化を呼吸波形として検出することができる。鼻孔カニューラを介して被験者の呼吸圧の変化を検出する場合には、鼻孔カニューラの形状や装着状態等に起因する誤差成分が呼吸圧に重畳し得る。具体的には、例えば、鼻孔カニューラの折れ曲がりに起因する背圧変動成分や、被験者が鼻孔カニューラを装着する際の装着態様や装着位置のズレに起因する背圧変動成分が含まれる。そこで、推定手段は、圧力検出手段により検出された呼吸圧の変化に基づいて、鼻孔カニューラの背圧変動成分を含む誤差成分を推定する。この推定した誤差成分を用いることで、鼻孔カニューラの特性に起因する誤差成分が補償された誤差補償呼吸波形を得ることができる。

0016

また、第4の発明として、第1〜第3の何れかの発明の呼吸監視装置であって、
前記算出手段により算出された呼吸動態指標値に基づいて、前記被験者の呼吸動態を評価する評価手段(例えば、図2の呼吸動態評価部35)と、
前記評価手段による評価の結果に基づく所定の報知を行う報知手段(例えば、図2ディスプレイ50、ランプ55及びスピーカ60のうちの少なくとも何れか)と、
を更に備えた、
呼吸監視装置を構成することとしてもよい。

0017

この第4の発明によれば、算出手段により算出された呼吸動態指標値に基づいて、評価手段が、被験者の呼吸動態を評価し、報知手段が、評価手段による評価の結果に基づく所定の報知を行う。このため、被験者は自身の呼吸動態に関する評価を知ることができるとともに、被験者の病態・病状の把握が容易となる。

0018

また、第5の発明として、第4の発明の呼吸監視装置であって、
前記算出手段は、前記被験者の呼吸変動係数を前記呼吸動態指標値として算出し(例えば、図4のステップB5)、
前記評価手段は、前記呼吸変動係数に基づいて前記被験者の呼吸動態を評価する(例えば、図4のステップB7〜B9)、
呼吸監視装置を構成することとしてもよい。

0019

この第5の発明によれば、算出手段は、被験者の呼吸変動係数を呼吸動態指標値として算出し、評価手段は、呼吸変動係数に基づいて被験者の呼吸動態を評価する。ここで、呼吸変動係数とは、被験者の呼吸の変動の度合いを示す指標値であり、例えば一回換気量の変動係数として定義される。この呼吸変動係数に基づくことで、被験者の呼吸動態を適確に評価することが可能となる。

0020

また、第6の発明として、第5の発明の呼吸監視装置であって、
前記算出手段は、前記被験者の換気量(一回換気量(吸気一回換気量と呼気一回換気量を含む)や分時換気量)に係る呼吸変動係数を前記呼吸動態指標値として算出する(例えば、図4のステップB5)ことを特徴とする、
呼吸監視装置を構成することとしてもよい。

0021

この第6の発明によれば、算出手段は、被験者の換気量に係る呼吸変動係数を呼吸動態指標値として算出することで、急性増悪を適切に検出することが可能となる。

0022

また、第7の発明として、第5又は第6の発明の呼吸監視装置であって、
前記評価手段は、前記呼吸変動係数が所定の高閾値条件を満たすか否かを判定し(例えば、図4のステップB7)、その判定の結果が肯定判定である場合に(例えば、図4のステップB7;Yes)、前記被験者が呼吸困難の状態にあると評価し(例えば、図4のステップB9)、
前記報知手段は、前記評価手段により前記被験者が呼吸困難の状態にあると評価された場合に(例えば、図3のステップA15)、その旨を前記被験者に報知する(例えば、図3のステップA17)、
呼吸監視装置を構成することとしてもよい。

0023

本願発明者の先行研究を行った結果に基づく知見により、呼吸変動係数が一定レベルに達している場合には、被験者は呼吸困難の状態にあると考えてもよいことが明らかとなった。そこで、第7の発明によれば、評価手段が、呼吸変動係数が所定の高閾値条件を満たすか否かを判定し、その判定の結果が肯定判定である場合に、被験者は呼吸困難の状態にあると評価する。そして、評価手段により被験者が呼吸困難の状態にあると評価された場合に、報知手段がその旨を被験者に報知する。これにより、被験者が呼吸困難の状態にあるかどうかを適切に評価した上で、呼吸困難の状態にあると評価した場合には、その旨を被験者に報知することができる。

0024

また、第8の発明として、第1〜第7の何れかの発明の呼吸監視装置であって、
前記推定手段は、前記呼吸波形の一の基準タイミングを基準とする所定期間分の前記呼吸波形の呼吸データを用いた所定の誤差推定処理を行って前記誤差成分を推定する(例えば、図3のステップA7、図6のステップC11〜C15)、
呼吸監視装置を構成することとしてもよい。

0025

この第8の発明によれば、推定手段が、呼吸波形の一の基準タイミングを基準とする所定期間分の呼吸波形の呼吸データを用いた所定の誤差推定処理を行うことで、誤差成分を正しく推定することができる。

0026

より具体的には、第9の発明のように、第8の発明の呼吸監視装置であって、
前記誤差推定処理は、前記基準タイミングから遡った所定期間分の前記呼吸データを平均演算する処理を含む(例えば、図3のステップA7)、
呼吸監視装置を構成するようにすると好適である。

0027

この第9の発明によれば、基準タイミングから遡った所定期間分の呼吸データを平均演算する処理を行うことで、誤差成分を正しく推定することができる。この場合における平均演算としては、例えば、移動平均演算を適用することが可能である。

0028

また、第9の発明に代えて、第10の発明のように、第8の発明の呼吸監視装置であって、
前記誤差推定処理は、前記基準タイミングから遡った所定期間分の前記呼吸データを積分近似演算する処理を含む(例えば、図6のステップC11)、
呼吸監視装置を構成することも可能である。

0029

この第10の発明によれば、基準タイミングから遡った所定期間分の呼吸データを積分近似演算する処理を行うことで、誤差成分を正しく推定することができる。

0030

また、第9の発明に代えて、第11の発明のように、第8の発明の呼吸監視装置であって、
前記誤差推定処理は、
前記基準タイミングから遡った第1の所定期間分の前記呼吸データを積分近似演算する第1の積分近似演算処理(例えば、図6のステップC11)と
前記基準タイミング以降の第2の所定期間分の前記呼吸データを積分近似演算する第2の積分近似演算処理(例えば、図6のステップC13)と、
を含み、前記第1の積分近似演算処理の結果と前記第2の積分近似演算処理の結果とを用いて、前記誤差成分を推定する処理である(例えば、図6のステップC15)、
呼吸監視装置を構成することも可能である。

0031

この第11の発明によれば、基準タイミングから遡った第1の所定期間分の呼吸データを積分近似演算する第1の積分演算処理を行う。また、基準タイミング以降の第2の所定期間分の呼吸データを積分近似演算する第2の積分近似演算処理を行う。そして、第1の積分近似演算処理の結果と第2の積分近似演算処理の結果とを用いて、誤差成分を推定する。基準タイミングを基準とする前後の所定期間分の呼吸波形の呼吸データを積分近似処理し、それらの結果を用いることで、誤差成分の推定の正確性を一層向上させることができる。

0032

また、第12の発明として、第9又は第10の発明の呼吸監視装置であって、
前記基準タイミングをリアルタイム設定更新する基準タイミング設定手段(例えば、図2の基準タイミング設定部39)を更に備えた、
呼吸監視装置を構成することとしてもよい。

0033

この第12の発明によれば、基準タイミング設定手段が基準タイミングをリアルタイムに設定更新するため、誤差成分の推定をリアルタイムに行い、随時適切な誤差補償呼吸波形を演算することが可能となる。

0034

また、第13の発明として、第9〜第12の何れかの発明の呼吸監視装置であって、
前記呼吸波形の中から類似的変化傾向を示す波形部分を判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された波形部分に基づいて、前記所定期間を可変に設定する期間設定手段と、
を更に備えた、
呼吸監視装置を構成することとしてもよい。

0035

酸素供給器から供給される酸素の流量は一定であるとは限らず、経時的に変化し得るため、呼吸波形の形状は随時変化することが想定される。そこで、第13の発明によれば、判定手段が、呼吸波形の中から類似的な変化傾向を示す波形部分を判定する。そして、期間設定手段が、判定手段により判定された波形部分に基づいて、誤差成分の推定に用いる前記の所定期間を可変に設定する。これにより、供給酸素の流量の変化に関わらず、誤差成分を正しく推定することが可能となる。

図面の簡単な説明

0036

呼吸監視システムシステム構成の一例を示す図。
呼吸監視装置の機能構成の一例を示す図。
呼吸解析処理の流れを示すフローチャート
呼吸動態評価処理の流れを示すフローチャート。
(1)呼吸波形の実際の検出結果の一例を示す図。(2)誤差補償呼吸波形の実際の演算結果の一例を示す図。
第2の呼吸解析処理の流れを示すフローチャート。
(1)呼吸波形の実際の検出結果の一例を示す図。(2)近似直線の実際の演算結果の一例を示す図。(3)誤差補償呼吸波形の実際の演算結果の一例を示す図。
変形例における鼻孔カニューラの構成例を示す図。

実施例

0037

以下、図面を参照して、本発明を適用した好適な実施形態の一例について説明する。但し、本発明を適用可能な形態が以下説明する実施形態に限定されるわけでないことは勿論である。

0038

1.システム構成
図1は、本実施形態における呼吸監視システム100のシステム構成の一例を示す図である。呼吸監視システム100は、呼吸監視装置1と、酸素濃縮器3と、鼻孔カニューラ5とを有して構成される。

0039

呼吸監視装置1は、被験者の呼吸を監視し、被験者の呼吸パターンを解析することで、被験者の呼吸動態を評価する装置である。呼吸解析装置や呼吸パターン解析装置と言うこともできる。また、本願発明者の知見によれば、被験者の呼吸困難感や予後は呼吸の不規則性が寄与していると考えられることが明らかとなった。このため、呼吸監視装置1は、被験者の呼吸不規則性を解析する呼吸不規則性解析装置と言うこともできる。

0040

呼吸監視装置1は、酸素濃縮器3から被験者に供給される供給酸素やノイズ成分を含む被験者の呼吸圧の変化である呼吸波形を、圧力センサ10を用いて検出・取得する。そして、当該圧力センサ10により検出された呼吸圧の変化に基づいて、呼吸波形に重畳するオフセットを推定する。そして、推定したオフセットを用いて、呼吸波形に重畳しているオフセットが補償された誤差補償呼吸波形を演算する。そして、演算した誤差補償呼吸波形に基づいて、被験者の呼吸動態指標値を算出し、当該呼吸動態指標値に基づいて、被験者の呼吸動態を評価する。詳細は後述する。

0041

酸素濃縮器3は、被験者に対して濃縮酸素を供給する供給装置であり、酸素供給器の一種である。この酸素濃縮装置としては、例えば酸素を選択的に吸着する吸着剤を用いた吸着型酸素濃縮装置や、酸素選択透過性膜を用いた膜型酸濃縮装置といった公知の酸素濃縮装置を適用可能である。

0042

鼻孔カニューラ5は、被験者の鼻腔に装着して酸素濃縮器3から酸素を送り込むための細いチューブである。本実施形態では酸素濃縮器3から被験者の鼻腔に導通して酸素を供給する酸素供給用チューブ5aと、酸素供給用チューブ5aから分岐した被験者の鼻腔から呼吸監視装置1に導通して被験者の呼吸圧を検出する呼吸圧検出用チューブ5bとの2つのチューブを有して構成される。

0043

酸素濃縮器3が生成した濃縮酸素は、酸素供給用チューブ5aを介して被験者の鼻腔に流入するように構成されている。また、被験者の呼吸は、呼吸圧検出用チューブ5bを介して呼吸監視装置1の圧力センサ10に流入し、圧力センサ10によって被験者の呼吸圧が検出される。

0044

なお、図1に示す鼻孔カニューラ5に代えて、デュアルルーメンカニューラを適用することとしてもよい。デュアルルーメンカニューラは、ダブルルーメンカニューラとも呼ばれる。具体的には、図8に示すように、酸素濃縮器3から被験者の鼻腔に導通して酸素を供給する酸素供給用チューブ5aと、被験者の鼻腔から呼吸監視装置1に導通して被験者の呼吸圧を検出する呼吸圧検出用チューブ5cとの2つのチューブを有して構成されるデュアルルーメンカニューラを鼻孔カニューラ5として構成する。

0045

この場合、酸素濃縮器3が生成した濃縮酸素は、酸素供給用チューブ5aを介して被験者の鼻腔に流入する。また、被験者の呼吸は、呼吸圧検出用チューブ5cを介して呼吸監視装置1の圧力センサ10に流入し、圧力センサ10によって被験者の呼吸圧が検出される。

0046

2.機能構成
図2は、呼吸監視装置1の機能構成の一例を示す図である。
呼吸監視装置1は、圧力センサ10と、A/D(Analog Digital)変換器20と、CPU(Central Processing Unit)30と、操作キー40と、ディスプレイ50と、ランプ55と、スピーカ60と、ROM(Read Only Memory)80と、RAM(Random Access Memory)90とを有して構成される。

0047

圧力センサ10は、呼吸圧検出用チューブ5bから流入した被験者の呼吸による圧力を検出するセンサである。呼吸圧検出用チューブ5bの管内を流れる呼吸の圧力の変化を内部の感圧素子によって電気信号アナログ信号)に変換し、呼吸波形としてA/D変換器20に出力する。圧力センサ10としては、シリコンダイヤフラム式やステンレスダイヤフラム式の圧力センサを適用することができる。本実施形態では、呼吸監視装置1の筐体部に設けられているルアーコネクタ(図示せず)における圧力を検出する。このルアーコネクタに呼吸圧検出用チューブ5bが接続されることにより、圧力センサ10が呼吸圧を検出可能となる。

0048

A/D変換器20は、圧力センサ10から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する変換器である。本実施形態では、A/D変換器20は、半導体のA/Dコンバータであり、圧力センサ10から出力される呼吸波形のアナログ信号を所定のサンプリング周波数(例えば10Hz)でサンプリング標本化)し、量子化を行って、デジタル化された呼吸圧のデータ(以下、本実施形態において「呼吸データ」という。)をCPU30に出力する。A/D変換器20から出力される呼吸圧の時系列データが呼吸波形となる。

0049

CPU30は、ROM80に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従って呼吸監視装置1の各部を統括的に制御するプロセッサーである。なお、CPU30の代わりに、DSP(Digital Signal Processor)等のマイクロプロセッサや、ASIC(Application Specific IntegratedCircuit)、IC(Integrated Circuit)メモリなどの電気電子素子を有する処理部を構成してもよいことは勿論である。CPU30は、ROM80に記憶されている呼吸解析プログラム81を、RAM90を作業領域として実行することにより、呼吸解析処理を実行する。

0050

CPU30は、主要な機能部として、オフセット推定部31と、誤差補償呼吸波形演算部32と、呼吸動態指標値算出部33と、呼吸動態評価部35と、報知制御部37と、基準タイミング設定部39とを有する。但し、これらの機能部は、CPU30の機能を説明するために分かりやすいように記載したものであり、一実施例として記載したものに過ぎない。必ずしもこれら全ての機能部を必須構成要素としなければならないわけではなく、また、これら以外の機能部を必須構成要素として追加してもよいことは勿論である。

0051

オフセット推定部31は、A/D変換器20から出力されるデジタル化された呼吸圧の時系列データに基づいて、所定のオフセット推定処理を行って、オフセットを推定する。本実施形態において、オフセット推定部31が推定するオフセットには、a)酸素濃縮器3の吐出圧変動成分、b)酸素濃縮器3の設定流量を変更した場合に生ずる変動圧成分、c)圧力センサ10の温度ドリフト成分、d)圧力センサ10の経時ドリフト成分、e)鼻孔カニューラ5の折れ曲がりにより発生する背圧変動成分、f)鼻孔カニューラ5の装着状態等に起因して発生する背圧変動成分、が少なくとも含まれる。f)の背圧変動成分とは、例えば、鼻孔カニューラ5のチューブを被験者のの奥まで入れるか/浅く入れるか、被験者のへの引っ掛け方を緩くするか/強くするか、といった鼻孔カニューラ5の装着状態に起因して発生する背圧変動成分を意味する。これは、被験者が睡眠中無意識に鼻孔カニューラ5に触れることによっても生ずる。オフセット推定部31が推定するオフセットは、呼吸波形に重畳する誤差成分に相当する。

0052

誤差補償呼吸波形演算部32は、A/D変換器20から出力されるデジタル化された呼吸波形と、オフセット推定部31によって推定されたオフセットとを用いて、当該呼吸波形に重畳しているオフセットが補償された呼吸圧の時系列データである誤差補償呼吸波形を演算する。

0053

呼吸動態指標値算出部33は、誤差補償呼吸波形演算部32により演算された誤差補償呼吸波形に基づいて、被験者の呼吸動態指標値を算出する。本実施形態において、呼吸動態指標値には、一回換気量や分時換気量、一呼吸毎の呼気時間や吸気時間、一回呼吸時間、呼吸変動係数といった指標値が含まれる。

0054

呼吸動態評価部35は、呼吸動態指標値算出部33によって算出された呼吸動態指標値に基づいて、被験者の呼吸動態を評価する。詳細は後述する。

0055

報知制御部37は、呼吸動態評価部35の評価結果に基づいて、ディスプレイ50やランプ55、スピーカ60といった報知手段に所定の報知を行わせる制御を行う。

0056

基準タイミング設定部39は、A/D変換器20が呼吸波形のサンプリングを行った際のサンプルタイミングに基づいて、オフセット推定部31がオフセットの推定を行う際に用いる基準タイミングを設定する。

0057

操作キー40は、計測項目の選択や被験者情報年齢身長、体重等の情報)の入力の際に使用される操作手段であり、押下されたボタンの信号をCPU30に出力する。例えば、0〜9の10個の数値キーや、計測項目を選択するための方向キー等からなる。また、ディスプレイ50に表示されるデータをプリントアウトする際に操作する印刷キーも含まれる。

0058

ディスプレイ50は、LCD(Liquid Crystal Display)等を有して構成され、CPU30から入力される表示信号に基づく各種表示を行う表示手段である。ディスプレイ50には、呼吸波形や誤差補償呼吸波形、呼吸動態指標値、呼吸動態の評価結果等の各種の情報が表示される。

0059

ランプ55は、LED(Light Emitting Diode)等を有して構成され、CPU30から出力される発光信号に基づき点灯又は点滅する発光装置である。ランプ55は、例えば、呼吸動態の評価結果が肯定的な評価である場合に、緑色に点灯或いは点滅し、呼吸動態の評価結果が否定的な評価である場合に、赤色に点灯或いは点滅するように制御される。

0060

スピーカ60は、CPU30から入力される音出力信号に基づく各種音出力を行う音出力手段である。スピーカ60からは、呼吸の解析を行うための被験者への各種の指示を行うガイド用の音声や、呼吸の解析中に異常や故障等が発生した場合に、その旨を警告するための警告音、呼吸動態の評価結果を報知するための音声やブザー音等が音出力される。

0061

ROM80は、不揮発性記憶装置(メモリ)であり、呼吸監視装置1のシステムプログラム等の各種のプログラムが記憶される。本実施形態において、ROM80には、主要なプログラムとして、CPU30によって読み出され、呼吸解析処理(図3参照)として実行される呼吸解析プログラム81が記憶されている。呼吸解析プログラム81は、呼吸動態評価処理(図4参照)として実行される呼吸動態評価プログラム811をサブルーチンとして含む。また、図示を省略するが、ROM80には、ガイド用の音声データも記憶されており、この音声データはガイド用の音声としてスピーカ60から音出力される。呼吸解析処理については、フローチャートを用いて詳細に後述する。

0062

RAM90は、揮発性の記憶装置(メモリ)であり、CPU30により実行されるシステムプログラム、各種処理プログラム、各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを形成する。本実施形態において、RAM90には、呼吸波形データ91と、オフセットデータ93と、誤差補償呼吸波形データ95と、呼吸動態指標値データ97とが記憶される。本実施形態において、呼吸動態指標値データ97には、一回換気量データ971と、呼吸変動係数データ973とが含まれる。

0063

3−1.第1実施例
(1)処理の流れ
図3は、CPU30がROM80に記憶されている呼吸解析プログラム81に従って実行する呼吸解析処理の流れを示すフローチャートである。
最初に、CPU30は、A/D変換器20から数値化(デジタル化)された呼吸圧の時系列データの取得を開始し、RAM90に呼吸波形データ91として記憶させる処理を開始する(ステップA1)。以後、時系列の呼吸データが、呼吸波形データ91に随時記憶されることになる。

0064

次いで、CPU30は、呼吸データの取得開始から一定期間分(例えば1分間分)のデータが記憶されるまで待機する(ステップA3;No)。そして、一定期間分のデータが記憶されたと判定したならば(ステップA3;Yes)、基準タイミング設定部39が、最新時刻に相当するタイミングを基準タイミングとして設定する(ステップA5)。

0065

その後、オフセット推定部31が、オフセット推定処理として、ステップA5で設定された基準タイミングから遡って過去所定期間分(例えば10秒間分)の呼吸波形の呼吸データ(すなわち、A/D変換器20によるサンプリングデータ)を平均演算する処理を行ってオフセットを推定し、オフセットデータ93としてRAM90に記憶させる(ステップA7)。ここで、ステップA7における平均演算としては、例えば移動平均演算を適用することができる。具体的には、過去所定期間分の呼吸データを単純移動平均演算する処理を行って、オフセットを推定する。

0066

次いで、誤差補償呼吸波形演算部32は、RAM90に呼吸波形データ91として記憶されている呼吸波形と、オフセットデータ93として記憶されているオフセットとを用いて、誤差補償呼吸波形を演算し、誤差補償呼吸波形データ95としてRAM90に記憶させる(ステップA9)。

0067

次いで、CPU30は、呼吸動態の評価タイミングであるか否かを判定する(ステップA11)。呼吸動態の評価タイミングは、例えば、評価期間として予め定められた期間の長さに相当する時間間隔(例えば5分間)が経過する毎のタイミングとすることができる。

0068

ステップA11において呼吸動態の評価タイミングではないと判定したならば(ステップA11;No)、CPU30は、ステップA3に戻り、再び一定期間分のデータが記憶されるまで待機する。

0069

一方、呼吸動態の評価タイミングであると判定したならば(ステップA11;Yes)、CPU30は、ROM90に呼吸解析プログラム81のサブルーチンとして記憶されている呼吸動態評価プログラム811に従って、呼吸動態評価処理を行う(ステップA13)。

0070

図4は、呼吸動態評価処理の流れを示すフローチャートである。
まず、呼吸動態指標値算出部33は、誤差補償呼吸波形データ95に記憶された誤差補償呼吸波形に基づいて、所定の評価期間(例えば最新の5分間の期間)における被験者の一回換気量(Vt)を呼吸動態指標値として算出し、RAM90に一回換気量データ971として記憶させる(ステップB1)。具体的には、誤差補償呼吸波形における1周期分の呼吸波形を対象として、吸気一回換気量(Vti)を算出して、これを一回換気量データ971として記憶するものとする。なお、吸気一回換気量(Vti)に限らず、呼気一回換気量(Vte)を一回換気量データ971として記憶するようにしても良い。また、吸気一回換気量(Vti)及び呼気一回換気量(Vte)に基づいた計算値、例えば、(Vti+Vte)/2を、一回換気量データ971として記憶するようにしても良い。

0071

ここで、発明者らは、COPDの患者11名に対して、安静呼吸時の呼吸波形データを取得しつつ、呼吸回数RR)及び一回換気量(Vt)を計測する実験を行った。実験期間中において、11症例中の2症例に関しては、患者に急性憎悪が認められる結果となった。このとき急性増悪を含む11症例全てに関して、安静呼吸時の呼吸回数(RR)は安定していたものの、急性増悪の2症例に関しては、一回換気量(Vt)にばらつきが認められた。かかる事象案して、ステップB1では、呼吸動態指標値として一回換気量(Vt)を算出するようにしている。

0072

次いで、呼吸動態評価部35は、RAM90に記憶された評価期間分の一回換気量データ971を用いて、当該評価期間における被験者の一回換気量の平均値(以下、「一回換気量平均値」という。)及び標準偏差(以下、「一回換気量標準偏差」という。)を算出する(ステップB3)。

0073

その後、呼吸動態評価部35は、次式(1)に従って呼吸変動係数を算出し、RAM90に呼吸変動係数データ973として記憶させる(ステップB5)。本実施例では、呼吸変動係数を、一回換気量の変動係数と定義する。
呼吸変動係数=(一回換気量標準偏差÷一回換気量平均値)×100 ・・・(1)

0074

次いで、呼吸動態評価部35は、呼吸変動係数が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップB7)。呼吸変動係数が所定の閾値以上となることは、呼吸変動係数が所定の高閾値条件を満たす場合の一例である。本願発明者が先行研究を行った結果に基づく知見によれば、呼吸変動係数が約25以上の値を示していれば(つまり、高閾値条件:呼吸変動係数≧約25)、被験者は呼吸困難の状態にあると評価してもよいことが明らかとなった。

0075

そこで、ステップB7の判定結果が肯定判定である場合は(ステップB7;Yes)、呼吸動態評価部35は、被験者は呼吸困難ありと判定する(ステップB9)。それに対し、ステップB7の判定結果が否定判定である場合は(ステップB7;No)、呼吸動態評価部35は、被験者は呼吸困難なしと判定する(ステップB11)。ステップB9又はB11の後、CPU30は、呼吸動態評価処理を終了する。

0076

図3の呼吸解析処理に戻り、呼吸動態評価処理を行ったならば、CPU30は、呼吸動態評価処理における評価が「呼吸困難あり」であるか否かを判定する(ステップA15)。そして、この条件を満たすと判定したならば(ステップA15;Yes)、報知制御部37が、報知処理を行う(ステップA17)。具体的には、被験者が呼吸困難であると推定される旨をディスプレイ50やランプ55、スピーカ60といった報知手段に報知させる制御を行う。例えば、呼吸困難であると推定される旨のメッセージをディスプレイ50に表示させる制御や、ランプ55を赤色に点灯或いは点滅させる制御、所定のブザー音をスピーカ60から音出力させるなどの制御を行う。

0077

ステップA17の後、又は、ステップA15において条件を満たさないと判定したならば(ステップA15;No)、CPU30は、解析を終了するか否かを判定する(ステップA19)。例えば、操作キー40を介して被験者によって解析の終了が指示されたことを検知した場合に、解析を終了すると判定する。解析を継続すると判定したならば(ステップA19;No)、CPU30は、ステップA3に戻る。また、解析を終了すると判定したならば(ステップA19;Yes)、CPU30は、呼吸解析処理を終了する。

0078

(2)実験結果
図5(1)は、呼吸波形及び誤差補償呼吸波形を実際に計測及び演算した実験結果の一例を示す図である。図5(1)は、圧力センサ10により検出された呼吸圧の波形である呼吸波形を示し、図5(2)は、本実施形態の手法を用いて演算した誤差補償呼吸波形を示す。各図において、横軸は時間tである。また、縦軸は呼吸圧であり、図5(1)の呼吸波形の呼吸圧をP1(t)とし、図5(2)の誤差補償呼吸波形の呼吸圧をP2(t)として図示・説明する。本実験では、オフセットの推定に用いる所定期間を「10秒間」の期間として設定した。

0079

図5(1)において、サンプルタイミングt1を基準タイミングとして設定した。そして、基準タイミングt1から遡って過去10秒間分の呼吸圧のデータを平均処理することで、オフセットOffset=ave(t1)を推定した。そして、図5(1)の呼吸波形の各サンプルタイミングにおける呼吸圧P1(t)からオフセットOffsetを減算することで呼吸圧P2(t)=P1(t)−Offsetを算出し、その時系列データを誤差補償呼吸波形として求めた結果が図5(2)である。

0080

(3)作用効果
呼吸監視装置1において、圧力センサ10は、酸素濃縮器3から被験者に供給される供給酸素の流量による圧力を含む被験者の呼吸圧の変化(呼吸圧の時系列データ)を検出することにより、呼吸波形を取得する。オフセット推定部31は、圧力センサ10により検出された呼吸波形に基づいて、酸素濃縮器3により酸素を供給する際に経時的に変動して呼吸波形に重畳するオフセットを推定する。そして、誤差補償呼吸波形演算部32は、オフセット推定部31により推定されたオフセットを用いて、呼吸波形に重畳しているオフセットが補償された呼吸圧の時系列データである誤差補償呼吸波形を演算する。そして、呼吸動態指標値算出部33は、誤差補償呼吸波形演算部32により演算された誤差補償呼吸波形に基づいて、被験者の呼吸動態指標値を算出する。

0081

より具体的には、オフセット推定部31は、呼吸波形の一の基準タイミングから遡った所定期間分の呼吸波形の呼吸データ(呼吸圧データ)を平均演算する処理を行って、オフセットを推定する。酸素濃縮器3からは酸素供給用チューブ5aを介して被験者に酸素が供給され、被験者の呼吸が圧力検出用チューブ5bを介して圧力センサ10に入力される。この場合、a)酸素濃縮器3の吐出圧変動成分、b)酸素濃縮器3の設定流量を変更した場合に生ずる変動圧成分、c)圧力センサ10の温度ドリフト成分、d)圧力センサ10の経時ドリフト成分、e)鼻孔カニューラ5の折れ曲がりにより発生する背圧変動成分、f)鼻孔カニューラ5の装着状態に起因して発生する背圧変動成分、といったオフセットが誤差成分として呼吸波形に重畳する。これらの誤差成分を、呼吸波形の一の基準タイミングから遡った所定期間分の呼吸波形の呼吸データを平均演算処理することで推定する。そして、推定したオフセットを呼吸波形から減算することで、呼吸波形に重畳しているオフセットが補償された正しい呼吸波形を得ることができる。

0082

ここで、単に呼吸回数(RR)を測定する場合には、上記のように呼吸波形に含まれるオフセット成分を推定するまでもなく、得られた呼吸波形を平滑化した後、微分処理を行うことにより容易且つ正確に呼吸回数(RR)を算出することが可能である。しかしながら、前述したように呼吸回数(RR)の測定のみでは患者の急性憎悪の検出が困難であることから、一回換気量(Vt)の測定が重要となる。そして、一回換気量(Vt)は、吸気一回換気量(Vti)や呼気一回換気量(Vte)にかかわるものであり、これら吸気一回換気量(Vti)や呼気一回換気量(Vte)は、前述したオフセット成分によって影響を受ける測定項目である。従って、一回換気量(Vt)に関しては、まずオフセット成分を推定し、そのオフセット成分を呼吸波形から除去した誤差補償後の呼吸波形に基づいて算出することが適切である。

0083

また、呼吸動態指標値算出部33が、被験者の一回喚気量及び呼吸変動係数を呼吸動態指標値として算出する。そして、呼吸動態評価部35が、呼吸動態指標値算出部33によって算出された呼吸変動係数が所定の高閾値条件を満たすか否かを判定し、その判定の結果が肯定判定である場合に、被験者は呼吸困難の状態にあると評価する。そして、この場合は、報知制御部37が、被験者が呼吸困難の状態にあると評価した旨を、ディスプレイ50やランプ55、スピーカ60といった報知手段に報知させるように制御する。これにより、被験者の病態・病状及び呼吸動態を精密に評価した上で、その評価の結果を被験者に報知することができる。従って、被験者は自身が呼吸困難の状態にあるかどうかを知ることができ、病状や病態の把握が容易となる。

0084

なお、呼吸動態指標値算出部33が算出する呼吸動態指標値は、上記の一回換気量の呼吸変動係数に限られないことは勿論であり、分時換気量(MV)の呼吸変動係数等の、換気量に係る他の測定項目を算出するようにしても良い。そして、呼吸動態評価部35が、これらの呼吸動態指標値に基づいて、被験者の呼吸動態を評価してもよい。この場合は、上記の実施例と同様に、呼吸動態評価部35による評価の結果を、報知制御手段37が、ディスプレイ50やランプ55、スピーカ60といった報知手段に報知させる制御を行えばよい。

0085

3−2.第2実施例
第2実施例は、オフセット推定部31が、第1実施例とは異なるオフセット推定処理を行って、オフセットを推定する実施例である。図示は省略するが、本実施例では、上記の呼吸監視装置1のROM80に、呼吸解析プログラム81に代えて第2の呼吸解析プログラムが記憶されていることとして説明する。

0086

(1)処理の流れ
図6は、CPU30が、ROM80に記憶されている第2の呼吸解析プログラムに従って実行する第2の呼吸解析処理の流れを示すフローチャートである。なお、図3の呼吸解析処理と同一のステップについては同一の符号を付して、再度の説明を省略する。

0087

ステップA1において呼吸波形の取得を開始した後、CPU30は、一定期間分(例えば3〜6時間分)の呼吸波形のデータがRAM90に記憶されたか否かを判定する(ステップC3)。CPU30は、一定期間分のデータが記憶されるまで待機し(ステップC3;No)、一定期間分のデータがRAM90に記憶されたと判定したらならば(ステップC3;Yes)、当該一定期間の中から呼吸動態の評価の対象とする評価期間を設定する(ステップC5)。本実施例では、5分間の時間で区切られるタイミングを評価期間として設定することとして説明する。

0088

次いで、CPU30は、ステップC5で設定した各評価期間について、ループAの処理を行う(ステップC7〜C17)。ループAの処理では、基準タイミング設定部39が、
当該評価期間について基準タイミングを設定する(ステップC9)。例えば、当該評価期間の中央の時刻に相当するタイミングを基準タイミングとして設定する。

0089

次いで、オフセット推定部31は、オフセット推定処理として、次のステップC11〜C15の処理を行う。具体的には、ステップC9で設定された基準タイミングから遡って第1の所定期間分のデータを積分近似演算する第1の積分近似演算処理を行って第1のオフセットを推定する(ステップC11)。具体的には、第1の所定期間分の呼吸波形の呼吸データを積分する一次関数を算出する。この一次関数は、第1の所定期間をΔXとし、ΔXの期間において呼吸データを積分した積分値をΔYとしたときの、ΔXとΔYとの関係に基づいて算出される。そして、算出した一次関数の傾きを第1のオフセットと推定する。

0090

同様に、オフセット推定部31は、ステップC9で設定された基準タイミング以降の第2の所定期間分のデータを積分近似演算する第2の積分近似演算処理を行って第2のオフセットを推定する(ステップC13)。具体的には、第2の所定期間分の呼吸波形の呼吸データを積分する一次関数を算出する。この一次関数は、第2の所定期間をΔXとし、ΔXの期間において呼吸データを積分した積分値をΔYとしたときの、ΔXとΔYとの関係に基づいて算出される。そして、算出した一次関数の傾きを第2のオフセットと推定する。本実施例では、第1の所定期間と第2の所定期間とを同じ長さの時間の期間として設定することとして説明する。具体的には、例えば、第1の所定期間及び第2の所定期間を、基準タイミングを基準とする前後5秒間の期間として設定する。

0091

次いで、オフセット推定部31は、第1の積分近似演算処理で推定された第1のオフセットと、第2の積分近似演算処理で推定された第2のオフセットとを用いて、最終的なオフセットを推定する(ステップC15)。具体的には、例えば、第1のオフセットと第2のオフセットとを加算平均し、その結果を最終的なオフセットと推定して、RAM90にオフセットデータ93として記憶させる。そして、誤差補償呼吸波形の演算(ステップA9)及び呼吸動態評価処理(ステップA13)を行った後、CPU30は、次の評価期間へと処理を移行する。

0092

全ての評価期間についてステップC7〜17の処理を行ったならば、CPU30は、呼吸困難ありと評価された評価期間が存在したか否かを判定し(ステップC19)、存在しなかったと判定した場合は(ステップC19;No)、ステップA19へと処理を移行する。また、呼吸困難ありと評価された評価期間が存在したと判定した場合は(ステップC19;Yes)、報知制御部37が報知処理を行った後(ステップA17)、ステップA19へと移行する。

0093

この第2の呼吸解析処理は、ある程度長い期間の被験者の呼吸波形のデータを取得してメモリに蓄積的に記憶しておき、その後に、後処理として誤差補償呼吸波形を演算及び呼吸動態の評価を行う処理である。

0094

(2)実験結果
図7は、呼吸波形及び誤差補償呼吸波形を実際に計測及び演算した実験結果の一例を示す図である。図7(1)は圧力センサ10により検出された呼吸波形を示し、図7(2)は積分近似処理を行うことで得られた近似直線を示し、図7(3)は最終的に演算された誤差補償呼吸波形を示す。各図において、横軸は時間tである。また、縦軸は呼吸圧であり、図7(1)の呼吸波形の呼吸圧をP1(t)とし、図7(3)の誤差補償呼吸波形の呼吸圧をP2(t)として図示・説明する。本実験では、オフセットの推定に用いる第1の所定期間と第2の所定期間とを、同じ「5秒間」の期間として設定した。

0095

図7(1)において、サンプルタイミングt2を基準タイミングとして設定した。そして、サンプルタイミングt2から遡った5秒間分の呼吸圧P1(t)のデータを積分近似演算する第1の積分近似演算処理を行うとともに、時刻t2以降の5秒間分の呼吸圧P1(t)のデータを積分近似演算する第2の積分近似演算処理を行った。その結果、図7(2)に示すような近似直線が得られた。図7(2)において実線で示した直線は、第1の積分近似演算処理を行うことで得られた第1の近似直線を示す。また、図7(2)において点線で示した直線は、第2の積分近似演算処理を行うことで得られた第2の近似直線を示す。

0096

ここで、オフセットの平均値は、常に同じ値が加算されるため、この第1の近似直線の傾きを第1のオフセットOffset1とし、第2の近似直線の傾きを第2のオフセットOffset2とした。そして、第1のオフセットOffset1と第2のオフセットOffset2とを加算平均した値をオフセットOffsetと推定した。最後に、図7(1)の呼吸波形の各サンプルタイミングにおける呼吸圧P1(t)からオフセットOffsetを減算して呼吸圧P2(t)=P1(t)−Offsetを算出し、その時系列データを誤差補償呼吸波形として求めた結果が図7(3)である。

0097

(3)作用効果
呼吸監視装置1において、オフセット推定部31が、基準タイミングから遡った第1の所定期間分の呼吸波形の呼吸データを積分近似演算する第1の積分近似演算処理を行う。また、オフセット推定部31が、基準タイミング以降の第2の所定期間分の呼吸データを積分近似演算する第2の積分近似演算処理を行う。そして、第1の積分近似演算処理で演算された第1のオフセットと第2の積分近似演算処理で演算された第2のオフセットとを用いて、オフセットを推定する。基準タイミングを基準とする前後の所定期間分の呼吸波形の呼吸データを積分近似処理し、それらの結果を用いることで、誤差成分の推定の正確性を一層向上させることができる。

0098

4.変形例
本発明を適用可能な実施例は、上記の実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。以下、変形例について説明するが、上記の実施例と同一の構成やフローチャートの同一のステップについては同一の符号を付して、再度の説明を省略する。

0099

4−1.呼吸波形の取得
上記の実施形態では、圧力センサ10を用いて被験者の呼吸波形を取得することとして説明したが、圧力センサ10の代わりに、例えば差圧流量計を用いて、被験者の呼吸波形を取得することとしてもよい。

0100

また、上記の実施形態では、圧力センサ10を1のルアーコネクタにおける圧力を検出可能な圧力センサとして説明したが、その代わりに、2つのルアーコネクタ間の差圧を検出可能な差圧センサを用いるようにしても良い。この場合には、一方のルアーコネクタに呼吸圧検出用チューブ5bを接続し、他方のルアーコネクタは大気開放されることにより、差圧センサでは、大気圧と、呼吸圧検出用チューブ5b内の圧力との差圧が検出されることになる。

0101

4−2.呼吸動態の評価
上記の実施形態では、一回換気量の変動係数として定義される呼吸変動係数に基づいて被験者が呼吸困難の状態にあるか否かの評価を行うこととして説明したが、被験者の呼吸動態の評価の方法はこれに限られないことは勿論である。例えば、一回換気量の変動係数の代わりに分時換気量の変動係数を呼吸変動係数として算出し、これを用いて被験者が呼吸困難の状態にあるか否かを評価してもよい。また、一呼吸毎の吸気時間や呼気時間、一回呼吸時間といった呼吸動態指標値に基づいて、被験者の病態・病状や呼吸動態を評価することとしてもよい。

0102

4−3.報知手段
被験者の呼吸動態の評価結果を報知する報知手段は、上記の実施形態で説明したディスプレイ50やランプ55、スピーカ60に限られない。また、必ずしもこれら全ての報知手段を呼吸監視装置1に具備させる必要はなく、これらのうち少なくとも何れか1つの報知手段を呼吸監視装置1に具備させればよいのであって、適宜設計変更可能であることは言うまでもない。

0103

4−4.オフセット推定処理
上記の第1実施例では、オフセット推定処理として、所定期間分の呼吸データを単純移動平均演算する処理を行ってオフセットを推定したが、オフセットを推定するための平均演算処理はこれに限られるわけではない。例えば、単純移動平均演算に代えて、加重移動平均演算を行ってオフセットを推定することとしてもよい。この場合は、加重移動平均として、例えば、線形加重移動平均を適用することとし、基準タイミングの呼吸データに対する重みが最も高くなるように呼吸データに対する重み付けを行って、加重移動平均演算を行うようにすることができる。
なお、上記の単純移動平均や加重移動平均に限らず、指数移動平均を行うこととしてもよく、オフセットを推定するための平均演算処理は適宜設定変更可能である。

0104

また、上記の第2実施例では、第1のオフセットと第2のオフセットとを加算平均した値を最終的なオフセットと推定することとして説明したが、オフセットの推定方法はこれに限られない。例えば、第1のオフセットと第2のオフセットとを単純に加算平均するのではなく、第1のオフセットと第2のオフセットとを加重平均してオフセットを推定してもよい。つまり、第1のオフセットに対する重みを“α”とし、第2のオフセットに対する重みを“β”として(但し、α+β=1)、αとβの値を可変に設定して加重平均を行って、オフセットを推定してもよい。

0105

また、第1のオフセットと第2のオフセットとを用いてオフセットを推定するのではなく、第1のオフセットを最終的なオフセットと推定してもよいことは勿論であるし、第2のオフセットを最終的なオフセットと推定してもよいことは勿論である。つまり、基準タイミングから遡った所定期間分の呼吸データを積分近似演算処理することで誤差成分を推定してもよいし、基準タイミング以降の所定期間分の呼吸データを積分近似演算処理することで誤差成分を推定してもよい。

0106

4−5.基準タイミングの設定
上記の第1実施例では、一定期間分の呼吸データが記憶された後に、基準タイミング設定部39が最新の時刻を基準タイミングとして設定することとして説明したが、基準タイミング設定部39がリアルタイムに基準タイミングを設定更新することとしてよい。つまり、一定期間分の呼吸データが記憶されるのを待って基準タイミングを設定するのではなく、呼吸データが取得される毎に随時最新の時刻に相当するタイミングを基準タイミングとして設定してもよい。

0107

4−6.所定期間の設定
酸素濃縮器3から供給される酸素の量は一定であるとは限らないため、供給酸素やノイズに相当する誤差成分であるオフセットは経時的に変化し得る。そこで、呼吸波形の中から類似的な変化傾向を示す波形部分(以下、「類似変化傾向波形部分」という。)を判定し、判定した波形部分に基づいて所定期間を可変に設定することとしてもよい。

0108

この場合、図示は省略するが、CPU30の機能部として、呼吸波形の中から類似的な変化傾向を示す波形部分を判定する類似変化傾向波形部分判定部を構成する。また、CPU30の機能部として、オフセットの推定に用いる所定期間を可変に設定する期間設定部を構成する。そして、期間設定部が、類似変化傾向波形部分判定部により判定された波形部分に基づいて、所定期間を可変に設定する。

0109

類似変化傾向波形部分の判定は、例えば、呼吸波形の極大値極大ピーク)と極小値極小ピーク)との差を算出し、この差が所定の閾値以下(或いは閾値未満)となる波形部分を類似変化傾向波形部分と判定するなどすることができる。また、呼気と吸気のそれぞれについて、例えば呼吸波形の呼吸データに対して最小二乗法を用いて近似直線を求め、呼気と吸気のそれぞれについて、近似直線の傾きの差が所定の閾値以下(或いは閾値未満)となる波形部分を類似変化傾向波形部分と判定するようにしてもよい。なお、上記の2つの手法を併用することにしてもよく、この場合は類似変化傾向波形部分の判定の正確性を一層向上させることができる。

0110

これらの場合は、例えば、基準タイミング設定部39が、類似変化傾向波形部分判定部により判定された類似変化傾向波形部分に対応するサンプルタイミングのうちの最新のタイミングを基準タイミングとして設定する。そして、期間設定部が、当該類似変化傾向波形部分の一部又は全部に相当する期間を、オフセットの推定に用いる所定期間として設定する。類似変化傾向波形部分の時間的な長さは随時変化するため、オフセットに用いる所定期間も、その都度可変に設定されることになる。

0111

また、第2実施例では、第1の所定期間と第2の所定期間とを同じ長さの期間とすることとして説明したが、必ずしも同じ長さの期間とする必要はなく、異なる長さの期間として設定することとしてもよい。この場合、上記と同様の手法を用いて類似変化傾向波形部分を判定し、その判定結果に基づいて、第1の所定期間と第2の所定期間とを可変に設定することとしてもよい。

0112

1呼吸監視装置
3酸素濃縮器
5鼻孔カニューラ
5a酸素供給用チューブ
5b、5c呼吸圧検出用チューブ
10圧力センサ
20 A/D変換器
30 CPU
40操作キー
50ディスプレイ
55ランプ
60スピーカ
80 ROM
90 RAM
100 呼吸監視システム

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ