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技術 超音波診断装置

出願人 フクダ電子株式会社
発明者 呉弘敏
出願日 2013年10月31日 (7年3ヶ月経過) 出願番号 2013-226572
公開日 2015年5月7日 (5年9ヶ月経過) 公開番号 2015-084976
状態 特許登録済
技術分野 超音波診断装置
主要キーワード 周波数カーブ 半波形 バースト波信号 代表時刻 シミレーション パルス幅内 位相差Φ 超音波反射率
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年5月7日)のものです。
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図面 (20)

課題

スペックルノイズによる血流速度算出値乱れを改善し血流速度を高精度に算出可能な超音波診断装置を提供する。

解決手段

検体内の互いに異なる深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームプローブ送波させる複数種類パルス信号を生成してプローブに順次に送信し、複数種類のパルス信号に応じた複数種類の受信信号を生成し、それら複数種類の受信信号に基づいて血流速度を算出し、その算出された血流速度の、観察領域内の分布を表示する。

概要

背景

検体、とりわけ人体の内部の画像を写し出す装置の1つとして、超音波送受信して得た受信信号に基づいて画像を表示する超音波診断装置が知られている。その超音波診断装置には、通常、受信信号に基づいて被検体内観察領域内の血流分布カラー表示する機能が備えられている。

この超音波診断装置では、電圧印加を受けて振動して超音波を送波し、また超音波による振動を受けて電圧信号を発生する超音波振動子が多数個配列された超音波探触子を備えたプローブが使われる。このプローブの超音波探触子を被検体の体表に宛てがい、超音波探触子を構成している多数個の超音波振動子のそれぞれに、所定の遅延パターンに従ってそれぞれ遅延された、中心周波数f0の複数のパルスからなるバースト波信号印加する。すると、その超音波探触子から被検体内に、中心周波数f0の、所定の深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームが所定の方向に送波される。そしてその反射超音波を、超音波探触子を構成する複数の超音波振動子のそれぞれでピックアップして複数の信号を得、それら複数の信号を所定の遅延パターンに従ってそれぞれ遅延させて互いに加算する。これにより、被検体内に延びる超音波ビームを表わす、RF信号としての受信信号が得られる。この超音波送受信が複数回繰り返され、その間の超音波のドプラ遷移による位相の変化Φ(t)が求められて、その位相の変化Φ(t)と中心周波数f0とから、

但し、Tは送受信の繰返し周期
Cは音速
Vd(t)は超音波ビーム方向のドプラ速度血流速度
tは時刻
である。
が算出される。そして、観察領域内の各点の速度Vdを、通常は体表に近づく向きの血流が赤、遠ざかる向きの血流が青で、かつVdの大きさを色の輝度表現する。この演算法は、複素自己相関法と呼ばれる。

特許文献1には、この複素自己相関法において、2つの周波数の超音波を送受信して位相差補正する提案がなされている。

また、この複素自己相関法に代えて、時間領域の相互相関法(CCM)を採用することも提案されている。このCCMを採用すると、上記の複素自己相関法を採用したときのような、血流速度の算出可能速度範囲の制限を受けずに、高速な血流速度も算出可能である。

ただし、このCCMは計算量が膨大である。特許文献2には、このCCMにおいて計算量を低減させる提案がなされている。

概要

スペックルノイズによる血流速度の算出値乱れを改善し血流速度を高精度に算出可能な超音波診断装置を提供する。被検体内の互いに異なる深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームをプローブに送波させる複数種類パルス信号を生成してプローブに順次に送信し、複数種類のパルス信号に応じた複数種類の受信信号を生成し、それら複数種類の受信信号に基づいて血流速度を算出し、その算出された血流速度の、観察領域内の分布を表示する。

目的

本発明は、上記事情に鑑み、ノイズの影響による血流速度の誤検出を低減させた超音波診断装置を提案すること目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

検体内への超音波ビーム送波と該被検体内で反射して戻ってきた超音波受波とを担うプローブと、被検体内の互いに異なる深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームを前記プローブに送波させる複数種類パルス信号を生成して該プローブに順次に送信する送信部と、前記プローブでの超音波の受波を捉えて、前記複数種類のパルス信号に応じた複数種類の受信信号を生成する受信部と、前記受信部で生成された前記複数種類の受信信号に基づいて血流速度を算出する演算部と、前記演算部で算出された血流速度の、観察領域内の分布を表示する表示部とを備えたことを特徴とする超音波診断装置

請求項2

前記送信部は、中心周波数が互いに異なり、かつ、被検体内の、中心周波数に応じてそれぞれ異なる深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームを前記プローブに送波させる複数種類のパルス信号を生成して、該複数種類のパルス信号を該プローブに順次送信するものであることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。

請求項3

前記演算部が、前記受信部で生成された、それぞれが超音波ビームを表わす、前記複数種類のバースト波信号に応じた複数種類の受信信号のうちの各1種類の受信信号ごとに、超音波のドプラ遷移に基づく血流速度の1次算出を行なう1次算出部と、該複数種類の受信信号に基づいて該1次算出部で1次算出された血流速度の複数の算出値に基づいて血流速度の2次算出を行なう2次算出部とを有するものであることを特徴とする請求項2記載の超音波診断装置。

請求項4

前記送信部は、被検体内の互いに異なる深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームを前記プローブに送波させる、1つのパルス信号内における周波数の変化軌跡が互いに異なる複数種類のチャープ信号からなる複数種類のパルス信号を生成して、該プローブに順次送信するものであることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。

請求項5

前記演算部が、前記受信部で生成された、それぞれが超音波ビームを表わす、前記複数種類のパルス信号に応じた複数種類の受信信号を互いに加算することにより加算受信信号を生成し、該加算受信信号に基づいて血流速度を算出するものであることを特徴とする請求項4記載の超音波診断装置。

請求項6

前記複数種類のチャープ信号が、1つのパルス信号内において周波数が上昇した後下降する山形周波数カーブを描く第1のチャープ信号と、1つのパルス信号のパルス幅内において周波数が下降した後上昇する谷形の周波数カーブを描く第2のチャープ信号とを含むものであることを特徴とする請求項4記載のカラードプラ超音波診断装置

請求項7

前記複数種類のチャープ信号が、1つのパルス信号内において周波数が連続的に上昇する周波数カーブを描く第1のチャープ信号と、1つのパルス信号内において周波数が連続的に下降する周波数カーブを描く第2のチャープ信号とを含むものであることを特徴とする請求項4記載の超音波診断装置。

請求項8

前記演算部は、血流速度を、2つの前記受信信号の、波形どうしが近似している領域のずれ量に基づいて算出するものであることを特徴とする請求項4から7のうちいずれか1項記載の超音波診断装置。

技術分野

0001

本発明は被検体内超音波ビーム送波反射して戻ってきた超音波受波して受信信号を得、その受信信号に基づいて超音波のドプラ遷移に基づく血液速度を算出して、観察領域内の血流速度分布カラー表示する超音波診断装置に関する。

背景技術

0002

検体、とりわけ人体の内部の画像を写し出す装置の1つとして、超音波を送受信して得た受信信号に基づいて画像を表示する超音波診断装置が知られている。その超音波診断装置には、通常、受信信号に基づいて被検体内の観察領域内の血流分布をカラー表示する機能が備えられている。

0003

この超音波診断装置では、電圧印加を受けて振動して超音波を送波し、また超音波による振動を受けて電圧信号を発生する超音波振動子が多数個配列された超音波探触子を備えたプローブが使われる。このプローブの超音波探触子を被検体の体表に宛てがい、超音波探触子を構成している多数個の超音波振動子のそれぞれに、所定の遅延パターンに従ってそれぞれ遅延された、中心周波数f0の複数のパルスからなるバースト波信号印加する。すると、その超音波探触子から被検体内に、中心周波数f0の、所定の深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームが所定の方向に送波される。そしてその反射超音波を、超音波探触子を構成する複数の超音波振動子のそれぞれでピックアップして複数の信号を得、それら複数の信号を所定の遅延パターンに従ってそれぞれ遅延させて互いに加算する。これにより、被検体内に延びる超音波ビームを表わす、RF信号としての受信信号が得られる。この超音波送受信が複数回繰り返され、その間の超音波のドプラ遷移による位相の変化Φ(t)が求められて、その位相の変化Φ(t)と中心周波数f0とから、

0004

0005

但し、Tは送受信の繰返し周期
Cは音速
Vd(t)は超音波ビーム方向のドプラ速度血流速度
tは時刻
である。
が算出される。そして、観察領域内の各点の速度Vdを、通常は体表に近づく向きの血流が赤、遠ざかる向きの血流が青で、かつVdの大きさを色の輝度表現する。この演算法は、複素自己相関法と呼ばれる。

0006

特許文献1には、この複素自己相関法において、2つの周波数の超音波を送受信して位相差補正する提案がなされている。

0007

また、この複素自己相関法に代えて、時間領域の相互相関法(CCM)を採用することも提案されている。このCCMを採用すると、上記の複素自己相関法を採用したときのような、血流速度の算出可能速度範囲の制限を受けずに、高速な血流速度も算出可能である。

0008

ただし、このCCMは計算量が膨大である。特許文献2には、このCCMにおいて計算量を低減させる提案がなされている。

先行技術

0009

特開平4−269949号公報
特開2001−286472号公報

発明が解決しようとする課題

0010

上記の複素自己相関法、CCMのいずれを採用した場合も、血流による反射超音波を捉え、その反射超音波を表わす受信信号に基づいて血流速度を算出する演算法である。

0011

ここで、血流による超音波の反射は、血液中の多数の赤血球等で発生するが、多数の赤血球等によるランダム散乱反射により、いわゆるスペックルノイズが発生し、これにより弱め合う干渉が発生した点においては受信信号が弱まって、算出される位相の変化が激しく、分散が大きく、速度が正確に求められなくなるケースが頻繁に発生する。

0012

上掲の特許文献1には、2つの周波数の超音波を送受信して位相差を補正する提案がなされている。しかながら、上記の(1)式に基づく血流速度Vd(t)を算出するには、中心周波数f0で割り算する必要があるにも拘わらず、2つ存在する中心周波数をどのように使って血流速度を算出するのか不明である。また、2つの周波数の超音波を送受信して位相差を補正することによってスペックルノイズあるいはその他のノイズの影響による血流速度の算出値乱れが解消されるかどうか不明である。

0013

また、CCMを採用した特許文献2には、互いに極性反転させた関係にある2つの超音波ビームを送受信して得た受信信号の位相を補正して互いに加算することにより、超音波ビームのサイドロープを低減させる提案がなされている。ただし、この提案は、メインの超音波ビームのビーム径細めるものではなく、ノイズの影響による血流速度の誤検出を有効に低減させるとは考え難い。

0014

本発明は、上記事情に鑑み、ノイズの影響による血流速度の誤検出を低減させた超音波診断装置を提案すること目的とする。

課題を解決するための手段

0015

上記目的を達成する本発明の超音波診断装置は、
被検体内への超音波ビームの送波と被検体内で反射して戻ってきた超音波の受波とを担うプローブと、
被検体内の互いに異なる深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームをプローブに送波させる複数種類パルス信号を生成してプローブに順次に送信する送信部と、
プローブでの超音波の受波を捉えて、複数種類のパルス信号に応じた複数種類の受信信号を生成する受信部と、
受信部で生成された複数種類の受信信号に基づいて血流速度を算出する演算部と、
演算部で算出された血流速度の、観察領域内の分布を表示する表示部とを備えたことを特徴とする。

0016

本発明の超音波診断装置は、被検体内の互いに異なる深さ位置にそれぞれ焦点を結ぶ複数の超音波ビームを送波している。したがってこれらの超音波ビームを総合すると、被検体内の深さ方向の広い領域においてビーム径が細く絞られた超音波ビームに相当する演算を行なうことができる。このためノイズの影響による血流速度の検出精度の低下を抑え、高い検出精度を確保することができる。

0017

ここで、本発明の超音波診断装置において、上記送信部は、中心周波数が互いに異なり、かつ、被検体内の、中心周波数に応じてそれぞれ異なる深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームをプローブに送波させる複数種類のパルス信号を生成して、それら複数種類のパルス信号をプローブに順次送信するものであることが好ましい。

0018

超音波ビームはその中心周波数によって被検体内を進む間の減衰率が異なり、またその中心周波数によってビーム径を有効に絞ることのできる焦点距離が異なる。そこで上記のように中心周波数が互いに異なり、かつ、被検体内の、中心周波数に応じてそれぞれ異なる深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームを使うと、複数の超音波ビームを総合したときに、被検体内の深さ方向の広い領域において、ビーム径をさらに細く絞ることができ、ノイズの影響による血流速度の検出精度の低下をさらに有効に抑えることができる。

0019

また、本発明の超音波診断装置において、互いに中心周波数が異なる複数の超音波ビームを送波する場合に、上記演算部が、受信部で生成された、それぞれが超音波ビームを表わす、複数種類のバースト波信号に応じた複数種類の受信信号のうちの各1種類の受信信号ごとに、超音波のドプラ遷移に基づく血流速度の1次算出を行なう1次算出部と、それら複数種類の受信信号に基づいて1次算出部で1次算出された血流速度の複数の算出値に基づいて血流速度の2次算出を行なう2次算出部とを有するものであることが好ましい。

0020

各周波数の受信信号に基づいて血流速度の1次算出を行い、複数の周波数の血流速度の算出値に基づく血流速度の2次算出を行なうことにより、スペックルノイズに強い高精度な血流速度が求められる。

0021

また、本発明の超音波診断装置において、上記送信部は、被検体内の互いに異なる深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームをプローブに送波させる、1つのパルス信号内における周波数の変化軌跡が互いに異なる複数種類のチャープ信号からなる複数種類のパルス信号を生成して、プローブに順次送信するものであることも好ましい態様である。

0022

チャープ信号には様々な周波数成分が含まれており、したがってスペックルノイズの影響を一層有効に抑えることができる。

0023

また、本発明の超音波診断装置において、複数種類のチャープ信号を用いた態様の場合に、上記演算部が、受信部で生成された、それぞれが超音波ビームを表わす、複数種類のパルス信号に応じた複数種類の受信信号を互いに加算することにより加算受信信号を生成し、加算受信信号に基づいて血流速度を算出するものであることが好ましい。

0024

超音波の周波数が異なるとスペックルノズルの表われ方が異なり、超音波の周波数によって受信信号が弱められる箇所が異なる。したがって複数種類の受信信号を互いに加算すると、受信信号の弱められる箇所がそれら複数種類の受信信号により互いに相殺された加算受信信号が得られる。この加算受信信号を生成し、その加算受信信号に基づいて血流速度を算出することにより、スペックルノイズの影響を受け難い高精度な血流速度が算出される。

0025

ここで、上記複数種類のチャープ信号が、1つのパルス信号内において周波数が上昇した後下降する山形周波数カーブを描く第1のチャープ信号と、1つのパルス信号のパルス幅内において周波数が下降した後上昇する谷形の周波数カーブを描く第2のチャープ信号とを含むものであってもよく、あるいは上記複数種類のチャープ信号が、1つのパルス信号内において周波数が連続的に上昇する周波数カーブを描く第1のチャープ信号と、1つのパルス信号内において周波数が連続的に下降する周波数カーブを描く第2のチャープ信号とを含むものであってもよい。

0026

また、本発明の超音波診断装置において、チャープ信号を採用した場合、上記演算部は、血流速度を、2つの受信信号の、波形どうしが近似している領域のずれ量に基づいて算出するものであることが好ましい。

0027

チャープ信号は、様々な周波数成分の集合体からなる、複素自己相関法を採用しようとすると、中心周波数が一意に定まらないため、上述の(1)式による血流速度の算出は困難であって、前掲の特許文献1と同じジレンマに陥る可能性がある。

0028

CCMに代表されるような、2つの加算受信信号の波形どうしが近似している領域のずれ量に基づいて血流速度を算出する演算法を採用すると、そのような矛盾が生じなくて済み、この点からも高精度な血流速度の算出に役立つ。

発明の効果

0029

以上の本発明によれば、スペックルノイズによる血流速度の算出値の乱れが改善され、血流速度の高精度な算出が可能となる。

図面の簡単な説明

0030

従来の一例としての超音波診断装置の構成を表わすブロック図である。
複数回(ここではN回)の超音波ビームを送波するときに送信部で生成されるパルス信号送受信間隔の模式図である。
受信信号の一例とその受信信号に基づいて算出された血流速度を示した図である。
本発明の第1実施形態としての超音波診断装置の構成を表わすブロック図である。
焦点を異ならせたときの超音波ビームの概略図である。
送信周波数f0のみを採用したときの超音波ビーム形状のシミュレーション結果を示した図である。
2つの送信周波数f1,f2を採用したときの超音波ビーム形状のシミュレーション結果を示した図である。
2つの送信周波数f1,f2を採用し、かつ別々の焦点を形成したときの超音波ビーム形状のシミュレーション結果を示した図である。
送信部から送信されるバースト波信号の送信タイミングを示した図である。
2つのカラードプラ処理部で算出可能な血流速度の範囲を示した図である。
本発明の第2実施形態としての超音波診断装置の構成を表わすブロック図である。
チャープ信号の一例を示した図である。
図11に示す超音波診断装置1Cにおける送受信および演算処理の説明図である。
図13(B)に示す加算処理に採用される重みの一例を表わした図である。
受信信号(A)と、その受信信号から算出された代表振幅値および代表時刻(B)を示した図である。
受信信号からの代表振幅値および代表時刻の算出方法の説明図である。
(26)式に従う演算の説明図である。
シミレーション結果を示した図である。
チャープ信号の別例を示した図である。

実施例

0031

以下、本発明の実施の形態を説明する。

0032

ここでは先ず、比較例として、従来の典型的な超音波診断装置について説明し、それに続いて、本発明の一実施形態の超音波診断装置を説明する。

0033

図1は、従来の一例としての超音波診断装置の構成を表わすブロック図である。

0034

この超音波診断装置1Aには、プローブ10と、送信部11と、受信部12と、制御部13が設けられている。

0035

プローブ10には、多数の超音波振動子が配列された超音波探触子(不図示)が備えられている。その超音波探触子が、被検体としての人体の体表に宛がわれる。

0036

送信部11はパルス信号を生成し、プローブ10の超音波探触子を構成する多数の超音波振動子それぞれに向けてパルス信号を送信する。このパルス信号は、一定の中心周波数f0であって長さが複数波長のバースト波信号、又は周波数の変化軌跡が異なるチャープ信号である。この生成されたパルス信号は、人体内の超音波ビームの延びる向き、およびその超音波ビームの焦点の深さに応じて定められる遅延パターンに従ってそれぞれ遅延されて、各超音波振動子に印加される。すると、それら多数の超音波振動子それぞれから超音波が送波され、それらの超音波の干渉作用により、所望の向きに延び、かつ所望の深さ位置に焦点を持つ超音波ビームが人体内に送り込まれる。人体内に送り込まれた超音波ビームは、その超音波ビームが人体内の浅い位置から深い位置へと進むに従って人体内の各深さ位置で反射されて超音波探触子に戻り、多数の超音波振動子のそれぞれで受波される。したがってこの受波により得られる信号は、時間軸が超音波探触子からの人体内の深さに対応している。

0037

受信部12では、それら多数の超音波振動子での受波により、各超音波振動子で得られた信号を、これも人体内において超音波ビームの延びる向きや焦点の深さ等に応じた遅延パターンに従ってそれぞれ遅延させて互いに加算する。こうすることにより、人体内を所望の向きに延びる超音波ビームを表わす、RF(Radio Frequency)信号としての受信信号が生成される。この受信部12で生成された受信信号は、Bモード処理部14とMTIフィルタ15に入力される。

0038

制御部13は、送信部11からのパルス信号の送信タイミングや、受信部12での受信タイミングを制御する。また制御部13は、この他にも、この超音波診断装置1Aの動作全体の制御を担っている。

0039

表示部19にBモード像、すなわち人体内の超音波反射率分布に基づく画像を表示するときは、送信部11では、プローブ10から人体内に向けて、人体内の観察領域内において順次に向きの異なる超音波ビームが送波されるように、順次異なる遅延パターンに基づいて遅延させたパルス信号がプローブ10に送信される。受信部12でも同様に、その超音波ビームが送波された向きの超音波ビームが生成されるように遅延加算される。

0040

受信部12でこのようにして得られた受信信号は、Bモード処理部14に入力されてBモード用の画像処理が施され、座標変換部17に入力される。

0041

受信部12で得られる受信信号は、各超音波ビームに沿う深さ方向を時間軸とする信号である。これに対して、表示部19では、ラスタスキャンの向きに並ぶピクセルデータからなる画像信号に基づいて画像が表示される。そこで、座標変換部17では、Bモード処理部14から入力されてきた信号が表示部19での表示に適したピクセルデータの配列からなる信号に変換される。

0042

この座標変換部17から出力された信号は画像合成部18に入力される。この画像合成部18では、Bモード像と人体内の血流を表わすカラードプラ画像を合成する。人体内の血流を表わすカラードプラ画像は、通常は、Bモード像に重ねて表示される。カラードプラ画像を表示することなく、Bモード像のみ表示することもある。

0043

この画像合成部18で合成された画像は表示部19に入力され、図示しない表示画面上に画像が表示され、診断に供される。

0044

また、人体内の血流を表わすカラードプラ画像を表示させるときは、上記のBモード像の生成に加えて以下の処理が行われる。

0045

プローブ10からは人体内の同一の向きに延びる超音波ビームが複数回送波され、かつプローブ10で受波されるように、送信部11によるパルス信号の遅延、受信部12での遅延加算が行われる。

0046

この人体内の同一の向きへの送受信が、観察領域内に延びる超音波ビームの各向きそれぞれについて行われる。

0047

このようにして得られた受信信号はMTIフィルタ15に入力される。MTIフィルタ15はハイパスフィルタ一種であり、ここでは血流のドプラ遷移に起因する成分が通過され、臓器等の動きに起因する成分がカットされる。

0048

MTIフィルタ15を通過した後の受信信号は、カラードプラ処理部16に入力される。このカラードプラ処理部16では入力されてきた受信信号の複素自己相関が算出され、その複素自己相関から位相差が算出され、その位相差に基づいて血流速度等が算出される。この血流速度等は、超音波ビーム上の各点ごとに行われる。超音波ビームは観察領域内で順次向きを変えるため、観察領域内の2次元的な各点について血流速度等が算出される。この算出された血流速度等を表わすデータは座標変換部17に入力されて座標変換を受け、画像合成部18においてBモード像に重ねられる。そして表示部19でBモード像に重ねられた血流分布が表示される。この血流分布は、通常は、プローブ10の、体表に宛てがわれている超音波探触子に向かう向きの血流が赤、遠ざかる向きの血流が青で表示される。さらに血流の速度が、赤あるいは青の色の輝度で表示される。このようにして、観察領域内の血流分布が表示されて診断に供される。

0049

以下、このカラードプラ処理部16での処理を説明する。

0050

図2は、複数回(ここではN回)の超音波ビームを送波するときに送信部で生成されるパルス信号送受信間隔の模式図である。

0051

ここでは、パルス信号1,2,…,N−1,NからなるN個のパルス信号が示されている。ここでは、パルス信号の繰返し周期をT、繰返し周波数PRFと称する。T=1/PRFの関係にある。

0052

送信部11でこの図2に模式的に示すパルス信号がプローブ10に同一の遅延パターンで送信されたときの受信部12で受信されさらにMTIフィルタ15を経由してカラードプラ処理部16に入力されてきた受信信号は、

0053

0054

但し、S(n,t)はMTIフィルタからの出力信号
nは、送受信信号の番号であって、図2に示す、n=1,2,…,N−1,N
tは、各受信信号ごとの基準時刻からの時間
A(n,t)は、振幅
ejθ(n,t)は、位相
jは、虚数単位
I(n,t)は、実部
Q(n,t)は、虚部
である。

0055

カラードプラ処理部16では、この受信信号S(n,t)の複素自己相関

0056

0057

但し、*は複素共役を表わす。
が算出される。この複素自己相関R(1,t)の実部Reと虚部Imは、以下の通りとなる。

0058

0059

0060

カラードプラ処理部16では、さらにこの複素自己相関から位相差

0061

0062

が算出される。

0063

この位相差Φ(t)と、ドプラ角周波数ωd(t)、ドプラ周波数fd(t)は、

0064

0065

0066

の関係にある。またドプラ定理

0067

0068

但し、Cは音速である。
から分かるように、ドプラ周波数fdは、送信の中心周波数f0に比例する。これらの関係から、血流速度、すなわち超音波ビーム方向のドプラ速度、Vd(t)が、

0069

0070

が算出される。

0071

さらに、カラードプラ処理部16では、血流のパワーPower(t)、および分散Var(t)を算出することもできる。血流のパワーPower(t)、および分散Var(t)は、それぞれ

0072

0073

0074

に従って算出される。

0075

次に、時間領域の相互相関法(CCM)による血流速度算出処理について説明する。

0076

上述の複素自己相関法の場合、(6)式で算出される位相差Φ(t)は、

0077

0078

の制限を受ける、この制限により(10)式で算出される血流速度Vdに関し、算出可能な最高速度が制限される。これに対し、CCMを採用すると、上記のような制限を受けず高速な血流速度も算出可能である。

0079

このCCMでは、2つの受信信号を

0080

0081

但し、mは、m番目の受信信号であることを表わし、nは、そのm番目の受信信号中 のn番目サンプリングデータであることを表わす。
としたとき、自己相関演算

0082

0083

但し、

0084

0085

は、波形のセグメントの範囲、

0086

0087

は、サーチ範囲

0088

0089

は、サーチ範囲内での最大の相関値を表わす。
に従って、最大相関値

0090

0091

を満たす

0092

0093

を求め、

0094

0095

但し、

0096

0097

は、サンプリング周期を表わす。
に従って時間シフト

0098

0099

を求め、

0100

0101

但し、

0102

0103

は音速、

0104

0105

は、送受信の繰返し周期を表わす。
に従って、速度

0106

0107

を算出する。

0108

この演算法を採用すれば、前述の複素自己相関法を採用したときのような制限を受けずに速度の算出が可能である。

0109

ただし、このCCMも従来から知られている演算法であるが、速度の検出が信号振幅の強さに依存し、弱い信号に対する正しい速度検出率が低い。また、計算量も膨大であり演算に時間がかかる。

0110

前掲の特許文献2には、信号振幅の差を用いて速度を求める最小自乗法として、上記の(14)式に代えて、

0111

0112

但し、

0113

0114

は、サーチ範囲内での最小誤差を表わす。
に従って、最小誤差

0115

0116

を満たす

0117

0118

を求め、その後、上記の(15),(16)式に従って速度

0119

0120

を算出することが知られている。

0121

(17)式を採用すると、(14)式を採用する場合と比べ、信号振幅の強さに依存せず、血流速度が精度良く検出できる。

0122

ところで、複素自己相関法あるいは時間領域の相互相関法のいずれにおいても、血流速度は、血液中の多数の赤血球等で超音波が反射する際のドプラ遷移に基づいて算出されるが、多数の赤血球等での散乱反射によりスペックルノイズが発生し、干渉によって受信信号が弱まる箇所が生じる。受信信号が弱まると、算出される位相差が激しく変動し、血流速度が正しく算出されないケースが頻繁に発生する。

0123

図3は、受信信号の一例とその受信信号に基づいて算出された血流速度を示した図である。図3(A)、図3(B)のいずれについても、横軸は時間軸、すなわち人体の深さに対応する軸である。図3(A)の縦軸は受信信号の振幅、図3(B)の縦軸は血流速度である。

0124

図3(A)には、2つの受信信号がほぼ重なるようにして示されている。ここでは、2つの受信信号どうしの区別は不要であり、振幅の大小のイメージで十分である。

0125

図3(A)に示す受信信号には、受信信号が弱まった領域a,bが存在し、図3(B)に示す血流速度は、その領域a,bについて、特に領域aについて、大きく変動している。これは、スペックルノイズにより誤って算出された血流速度である。

0126

以上の比較例としての超音波診断装置の説明を踏まえ、次に本発明の一実施形態の超音波診断装置について説明する。

0127

図4は、本発明の第1実施形態としての超音波診断装置の構成を表わすブロック図である。この図4において、図1に示す比較例としての超音波診断装置1Aの構成要素と同一の構成要素には、図1に付した符号と同一の符号を付して示す。またここでは、前述の比較例との相違点について説明する。

0128

この図4に示す超音波診断装置1Bには、2つのMTIフィルタ15_1,15_2と2つのカラードプラ処理部16_1,16_2と、合成部20が備えられている。2つのカラードプラ処理部16_1,16_2は、本発明にいう1次算出部の一例に相当し、合成部20は、本発明にいう2次算出部の一例に相当する。

0129

この図4に示す超音波診断装置1Bの説明については少し後に回す。

0130

図5は、焦点を異ならせたときの超音波ビームの概略図である。

0131

ここでは、繰返し送信周波数f1の超音波ビームについては、従来の単一パルス信号を送信する場合の送信周波数f0の超音波ビームの焦点よりも浅い位置に焦点が形成されている。一方、送信周波数f2の超音波ビームについては、送信周波数f0の超音波ビームの焦点よりも深い位置に焦点が形成されている。尚、全体の扇形の領域Dは観察領域Dを表わしており、点線Lは、超音波ビームの延びる向き、すなわち超音波の進行方向を表わしている。

0132

図6は、送信周波数f0のみを採用したときの超音波ビーム形状のシミュレーション結果を示した図である。ここでは、送信周波数f0=3MHz,焦点距離=80mmが採用されている。ここでは、図6(A),図6(B)のいずれについても、超音波ビームの強度分布等高線で表わされている。但し、図6(A)は斜視図的、図6(B)は平面的に表わされている。後述する図7図8においても同様である。また(a)は、送信側の超音波ビーム、(b)は、受信側の超音波ビーム、(c)は、送受信双方を総合したときの超音波ビームである。また、どの図においても、xは超音波振動子の配列方向、zは深さ方向を表わしている。

0133

図7は、2つの送信周波数f1,f2を採用したときの超音波ビーム形状のシミュレーション結果を示した図である。ここでは、送信周波数f1=2MHz、f2=4MHzが採用されている。焦点距離はどちらの送信周波数f1,f2を用いた場合も80mmである。

0134

図7(A)の送信側超音波ビームは、送信周波数f1の超音波ビームと送信周波数f2の超音波ビームを重ねたものである。図7(B)の受信側超音波ビーム、図7(C)の送受信双方を総合した超音波ビームについても同様である。

0135

図6図7を比較すると、2つの送信周波数f1,f2を採用した図7の場合の方が、単一の送信周波数f0を採用した図6の場合よりも、焦点付近音響パワーが強く、ビーム幅も狭まっていることが分かる。

0136

図8は、2つの送信周波数f1,f2を採用し、かつ別々の焦点を形成したときの超音波ビーム形状のシミュレーション結果を示した図である。ここでは、図7の場合と同様、繰返し送信周波数f1=2MHz、f2=4MHzが採用されている。また、焦点に関しては繰返し送信周波数f1=2MHzの超音波ビームについては焦点距離=60mm、繰返し送信周波数f2=4MHzの超音波ビームについては、焦点距離=120mmとしている。

0137

図8(A)は、図7(A)と同様、送信周波数f1の送信側超音波ビームと送信周波数f2の送信側超音波ビームを重ねて示したものである。図8(B)の受信側超音波ビーム、図8(C)の送受信双方を総合した超音波ビームなついても同様である。

0138

図7図8を比較すると、図8の場合、送信周波数f1の超音波ビームと送信周波数f2の超音波ビームとで焦点を変えたことにより、観察領域全範囲内(特に遠距離)の音響パワーが強く、ビーム幅も狭まっている。これを採用すると、カラードプラ画像の方位分解能をさらに改善でき、信号のS/Nも良くなり、全領域の血流検出精度も高めることができる。

0139

図4の超音波診断装置1Bの説明に戻る。

0140

図4に示す送信部11では、被検体内の、互いの異なる2つの深さ位置にそれぞれ焦点を結ぶように調整された各遅延パターンに基づいて複数のパルス信号を生成してプローブ10に送信する。複数の超音波ビームを総合したとき、被検体内の深さ方向に広い領域についてビーム径の細い超音波ビームが生成され、カラードプラ画像の方位解能が向上できる、信号S/Nも良くなり、ノイズの影響による血流速度の検出精度の低下の防止が期待できる。

0141

また、この図4に示す送信部11では、被検体内の、互いに異なる2つの深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームを生成させるにあたり、送信パルスの周波数が互いに異なる2種類のパルス信号を生成している。

0142

図9は、送信部から送信されるパルス信号の送信タイミングを示した図である。

0143

ここではある深度までの血流速度を検出するために、必要なPRFを定めてそのPRFに固定する。従来の一例としての超音波診断装置(図1)で採用されている送信周波数f0より低い第1周波数f1、ここではf1=(2/3)f0のバースト波信号を送信する。また送信周波数f0より高い第2周波数f2、ここではf2=(4/3)f0を送信する。

0144

これら周波数が異なる2種類のバースト波信号は、被検体内の互いに異なる深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームに変換されるように互いに異なる遅延パターンによってそれぞれ遅延されてからプローブ10に送信される。

0145

図9(A)は、1つの送信方式を示しており、ここでは、送信周波数f1のパルス信号の送信が繰り返された後、送信周波数f2のパルス信号の送信が繰り返されている。

0146

また図9(B)では、送信周波数f1のパルス信号と送信周波数f2のパルス信号が交互に繰り返し送信されている。

0147

図9(A)、図9(B)のいずれの送信方式の場合であっても、送信周波数f1のときの受信信号はMTIフィルタ15_1に入力され、送信周波数f1に応じたフィルタリングが行われてカラードプラ処理部16_1に入力される。これと同様に、送信周波数f2のときの受信信号はMTIフィルタ15_2に入力され、送信周波数f2に応じたフィルタリングが行われてカラードプラ処理部16_2に入力される。

0148

カラードプラ処理部16_1では、送信周波数f1の受信信号から、血流速度Vd1が

0149

0150

により算出される。但し、fd1はドプラ周波数である。

0151

このカラードプラ処理部16_1で算出される最大、最小血流速度は、

0152

0153

0154

但し、Vdmax1,Vdmin1は、送信周波数f1の場合の最大、最小血流速度、
Vdmax,Vdminは、送信周波数f0の場合の最大、最小血流速度、K0,K1は、送信周波数がそれぞれf0,f1のときの、MTIフィルタのカットオフ周波数を定めるための、PRFに対する各割合(%)である。

0155

また、これと同様に、もう1つのカラードプラ処理部16_2では送信周波数f2の受信信号から、血流速度Vd2が、

0156

0157

により算出される。但し、fd2はドプラ周波数である。

0158

このカラードプラ処理部16_2で算出される最大、最小血流速度は、

0159

0160

0161

但し、Vdmax2,Vdmin2は、送信周波数f2の場合の最大、最小血流速度、
Vdmax,Vdminは、送信周波数f0の場合の最大、最小血流速度、K0,K2は、送信周波数がそれぞれf0,f2のときの、MTIフィルタのカットオフ周波数を定めるための、PRFに対する各割合(%)である。

0162

図10は、2つのカラードプラ処理部で算出可能な血流速度の範囲を示した図である。

0163

図10(A)は、送信周波数f1=(2/3)・f0のときの受信信号に基づく算出可能な血流速度の範囲を示しており、図10(B)は送信周波数f2=(4/3)・f0のときの受信信号に基づく算出可能な血流速度の範囲を示している。

0164

さらに図10(C)は、送信周波数f0(f1<f0<f2)のときの受信信号に基づく算出可能な血流速度の範囲を示している。

0165

図4に示す合成部20では、2つのカラードプラ処理部16_1,16_2で算出された血流速度の算出値に基づき、以下の演算により最終的な血流速度が算出される。

0166

血流速度の算出値が血流速度領域R1の範囲内にあるときは、カラードプラ処理部16_1の算出値、すなわち、血流速度Vd、パワーPower、および分散Varとして、
Vd=Vd1
Power=Power1
Var=Var1
但し、Vd1,Power1,Var1は、送信周波数f1のときの受信信号から 算出される血流速度、パワー、および分散である。
が採用される。

0167

また、血流速度の算出値が血流速度領域R2の領域内にあるときは、カラードプラ処理部16_2の算出値、すなわち、
Vd=Vd2
Power=Power2
Var=Var2
但し、Vd2、Power2、Var2は、送信周波数f2のときの受信信号から算出される血流速度、パワー、分散である。
が採用される。

0168

また、血流速度の算出値が、血流速度領域R0の領域内にあるときは、2つのカラードプラ処理部16_1、16_2の双方での算出が可能であるので、双方での算出値の平均値

0169

0170

が算出され、この平均値としての血流速度、パワー、分散が採用される。

0171

このように、本実施形態では2つの送信周波数f1,f2を採用していることで血流速度の算出可能範囲が広がっている。すなわち、図4に示す超音波診断装置1Bでの算出可能最大、最小血流速度Vndmax,Vndminは、

0172

0173

となる。MTIフィルタ15_1における、クラッタ成分除去のためのカットオフ周波数は、繰返し周波数PRFのある割合K(%)に定められることが多い。ここでは、2つのMTIフィルタ15_1,15_2それぞれにおけるカットオフ周波数を定める、繰り返し周波数PRFの割合K1(%),K2(%)を、K1=K2=K0としている。

0174

このように、本実施形態によれば、観察可能な最大、最小血流速度の範囲を広げることができる。

0175

尚、ここでは、K1=K2=K0としているが、表示された画像を観察した結果クラッタ成分が少ないと判断されるときには、さらに遅い血流も検出できるようにもK1とK2を別々に設定してもよい。

0176

また、血流速度の検出精度とカラードプラ画像の分解能トレードオフの関係にあるが、本実施形態の超音波診断装置1Bでは、送信周波数f1,f2の双方を用いているため、図1に示す超音波診断装置1Aのように単一の送信周波数f0を採用した場合と比べ、そのトレードオフが緩和され、検出速度や分解能が向上する。

0177

さらに、本実施形態の場合、複数の中心周波数の超音波ビームを繰り返し送波するため、S/Nが高く、異なる中心周波数の超音波受波で検出されるドプラ速度の加算平均により、多数の赤血球からの散乱反射に起因する血流速度の誤検出が低減され、血流速度の検出精度が向上する。

0178

図11は、本発明の第2実施形態としての超音波診断装置の構成を表わすブロック図である。この図11においても、図1に示す比較例としての超音波診断装置1Aの構成要素と同一の構成要素には、図1に付した符号と同一の符号を付して示す。またここでも、前述の比較例との相違点について説明する。

0179

この図11に示す超音波診断装置1Cには、受信部12とMTIフィルタ15との間に、2つのバッファ20_1,20_2と加算部21が備えられている。

0180

図12は、チャープ信号の一例を示した図である。横軸は時間t、縦軸は周波数である。送信部11では、例えばこの図12に示すような、周波数の変化軌跡が互いに異なる複数種類(この図12に示す例では2種類)のチャープ信号からなる複数種類のパルス信号が生成されてプローブ10に送信される。具体的には、この図12に示す例では、この図12(A)に示す、1つのパルス信号内において周波数が上昇した後下降する山形の周波数カーブを描く第1のチャープ信号S1と、図12(B)に示す、1つのパルス信号内において周波数が下降した後上昇する谷形の周波数カーブを描く第2のチャープ信号S2が生成される。これら2種類のチャープ信号それぞれからなる2種類のパルス信号は、被検体内の、互いに異なる深さ位置にそれぞれ焦点を結ぶ超音波ビームに変換されるように互いに異なる遅延パターンによって遅延されて、プローブに交互に送信される。

0181

図13は、図11に示す超音波診断装置1Cにおける送受信および演算処理の説明図である。横軸は時刻tである。

0182

図13(A)では、1回の送受信が縦1本の線で表わされている。ここでは、第1のチャープ信号S1からなるパルス信号の送信により得られる受信信号をR1、第2のチャープ信号S2からなるパルス信号の送信により得られる受信信号をR2とする。

0183

このようにして2種類の受信信号R1,R2が得られると、次に図13(B)に示すように、隣接する2種類の受信信号R1,R2が互いに加算されて、図13(C)に示す加算受信信号Cが生成される。

0184

ここでは、この加算受信信号Cに基づいて、血流速度Vdが算出される。この加算受信信号の繰返し周期をT(繰返し周波数をPRF)としたとき、血流速度は

0185

0186

で表わされる。

0187

ただし、Cは音速、τは、例えば前述のCCMを採用したときの(15)式であらわされる時間シフトである。

0188

図14は、図13(B)に示す加算処理に採用される重みの一例を表わした図である。

0189

横軸は時間軸である。この時間軸は被検体内の深さに対応している。

0190

図13に示す2種類の受信信号の加算にあたっては、

0191

0192

に従って、被検体内の深さ方向に向かって異なる値に調整された重みで重み付け加算される。超音波ビームはその周波数によって被検体内を進む間の減衰率が異なるが、重み付け加算をすることにより、その減衰率の相違が補われた高精度な血流速度の算出が可能な加算受信信号を生成することができる。

0193

図4に戻って説明を続ける。

0194

受信部12で生成される2種類の受信信号S1,S2のうちの一方の受信信号S1は一方のバッファ20_1に一旦格納され、もう一方の受信信号S2は、もう一方のバッファ20_2に一旦格納される。これらの2つのバッファ20_1,20_2にそれぞれ格納された受信信号S1,S2は、加算部21に入力されて図7に示すように重み付け加算され、加算受信信号Cが生成される。その後の処理は図1に示す超音波診断装置1Aの場合と同様である。ただし、加算部21により生成された加算受信信号Cは複数の周波数の信号成分から成り立っている信号である。そこで、この超音波診断装置1Bのカラードプラ処理部16では、時間領域における最小自乗法による血流速度算出が行なわれる。時間領域における最小自乗法を用いた血流速度の算出法については前述したが、ここでは時間領域における最小自乗法のうち、計算量を低減することのできる新たな演算法について説明する。

0195

ここでは、カラードプラ処理部16に入力されてきた受信信号を、

0196

0197

但し、mは、m番目の受信信号であることを表わし、nは、そのm番目の受信信号中
のn番目のサンプリングデータであることを表わす。
とする。

0198

図15は、受信信号(A)とその受信信号から算出された代表振幅値および代表時刻(B)を示した図である。

0199

図11に示すカラードプラ処理部16では、入力されてきた受信信号

0200

0201

に基づいて、その受信信号の互いに隣接する2つのゼロクロス点に挟まれた半波形の代表振幅値および代表時刻を各半波形ごとに算出することにより、半波形ごとの代表振幅値

0202

0203

および代表時刻

0204

0205

但し、mは、m番目の受信信号であることを表わし、iは、そのm番目の受信信号中 のi番目の半波形であることを表わす。
が算出される。この算出にあたっては、本実施形態では、式

0206

0207

0208

但し、

0209

0210

は、半波形の、それぞれ開始点終了点を表わし、

0211

0212

は、受信信号のサンプリング周期を表わす。
が採用されており、これら(24),(25)式に従って算出される。

0213

図16は、受信信号からの代表振幅値および代表時刻の算出方法の説明図である。

0214

ここでは、図16(A)に実線で示した半波形についての代表振幅値および代表時刻を例に挙げて説明する。

0215

ここで、半波形は、2つのゼロクロス点、すなわち、図16(A)の例では、n=nsの開始点からn=neの終了点に挟まれた部分の波形をいう。図16(A)にサンプリング周期

0216

0217

間隔の縦線の長さが、サンプリングデータ

0218

0219

である。

0220

ここでは、(24)式に従って、そのサンプリングデータ

0221

0222

を開始点n=nsから終了点n=neまで加算し、その加算値をこの半波形iの代表振幅値

0223

0224

とする。

0225

また、(25)式に従う、サンプリングデータ

0226

0227

によって重み付けられた時刻をこの半波形iを代表する代表時刻

0228

0229

とする。

0230

すなわち、この演算法により、この半波形iのデータは、図4(B)に示すように、代表時刻

0231

0232

における代表振幅値

0233

0234

というデータに圧縮される。

0235

図15(B)は、図15(A)に示す受信信号の各半波形について上記の演算を行い、各代表振幅値を対応する各代表時刻に配置したデータ列をあらわしている。

0236

図11のカラードプラ処理部16では、受信信号(図15(A))から代表振幅値および代表時刻からなる圧縮データ(図15(B))を算出した後、次に、その算出された圧縮データを構成する代表振幅値

0237

0238

を対応する代表時刻

0239

0240

に並べたときの、波形どうしが近似している領域のずれ量に基づいて、人体内の血流速度が算出される。

0241

この血流速度の算出にあたり、本実施形態のカラードプラ処理部16では、先ず、m番目とm+1番目の受信信号の代表振幅値

0242

0243

使い

0244

0245

但し、iは観測点
Lは奇数であって、

0246

0247

は、波形のセグメントの範囲、

0248

0249

は、サーチ範囲、

0250

0251

は、サーチ範囲内での最小誤差を表わす。
に従って、最小誤差

0252

0253

を満たす

0254

0255

を求める。さらに、

0256

0257

に従って時間シフト

0258

0259

を求める。そして、

0260

0261

但し、

0262

0263

は音速、

0264

0265

は送受信の繰り返し周期を表わす。
に従って、血流の速度

0266

0267

を算出する。

0268

図17は、(26)式に従う演算の説明図である。

0269

図17(A),(B)は、それぞれ、m番目、m+1番目の受信信号の代表振幅値を、各代表振幅値に対応する各代表時刻に並べた波形を示した図である。

0270

ここでは、図17(A)に示す、m番目の受信信号から求めたデータ列の枠a内の波形と近似した波形を、図17(B)に示す、m+1番目の受信信号から求めたデータ列の中から探索する。この枠a中の波形(データ列)は、近似した波形を探索するためのデータ列の1つのセグメントであり、ここでは、

0271

0272

の幅の枠aが設定されている。この枠aの幅は、この中に代表振幅値が3又は5程度含まれる幅である。

0273

図17(B)に示すデータ列においても、枠aと同じ幅の枠bが設定される。

0274

そして、(26)式に従い、枠a内のセグメントと枠b内のセグメントの一致の程度が算出される。

0275

誤差

0276

0277

が小さいほど一致していることを意味している。上記の枠bを、サーチ範囲

0278

0279

の中で順次移動させて、移動した各位置において、誤差

0280

0281

が算出され、それらの中の最小誤差

0282

0283

が得られる位置

0284

0285

が検出される。このようにして、

0286

0287

が検出されると、次に上記の(27)式に従って、時間シフト

0288

0289

が算出され、(28)式に従って血流速度

0290

0291

が算出される。

0292

図18は、シミレーション結果を示した図である。

0293

図18(A)は、カラードプラ処理部16に入力されてきた受信信号

0294

0295

をそのまま使い、(17)式に示す最小自乗法で計算したときの血流速度を示している。

0296

また図18(B)は、カラードプラ処理部16に入力されてきた受信信号

0297

0298

から(24)式,(25)式に従って半波形ごとの代表振幅値と代表時刻を算出し、(26)式に示す最小自乗法で計算したときの血流速度を示している。

0299

また、図18(A),(B)とも、左側の図(a)は一定の流速についてのシミュレーション結果、右側の図(b)は、血管壁付近の流れが遅く、血管中心の速度が速い層流の場合のシミュレーション結果を示している。

0300

ここでは、送信周波数f0=2MHz、サンプリング周波数Fs=24MHzを採用している。

0301

図18(A)と図18(B)を比較すると、血流速度の算出精度(縦軸)は、ほぼ同じである。更に、圧縮された代表時刻の間の血流速度を検出する必要がある場合、その代表時刻の隣接の二つの速度値線形補間により高速に求めることが可能である。

0302

一方、(17)式、(26)式に従って算出される差の自乗和を求める計算量は、1回の計算(図17に示した1つの枠aと1つの枠bとの間での計算)につき、ほぼ1/6となり、また、サーチ範囲内で枠bを動かしながら行なう計算の繰返し回数も1/6となる。

0303

尚、本実施形態では、半波形ごとの代表振幅値および代表時刻を、(24)式、(25)式に従って算出する例を示したが、代表振幅値および代表時刻を算出するための演算式は、(24)式、(25)式に限定されるものではない。例えば半波形ごとのサンプリングデータのピークの値を代表振幅値とし、そのピークのサンプリングデータのサンプリング時刻を代表時刻としてもよい。

0304

図19は、チャープ信号の別例を示した図である。横軸は時間、縦軸は周波数(MHz)である。

0305

図12には、1つのパルス信号内において周波数が上昇した後下降する山形の周波数カーブを描く第1のチャープ信号S1と、1つのパルス信号内において周波数が下降した後上昇する谷形の周波数カーブを描く第2のチャープ信号S2とのペアが示されている。これに対し、この図19には、1つのパルス信号内において周波数が連続的に上昇する周波数カーブを描く第1のチャープ信号S1(図19(A))と、1つのパルス信号内において周波数が連続的に下降する周波数カーブを描く第2のチャープ信号S2(図19(B))が示されている。

0306

図12に示す2種類のチャープ信号からなる2種類のパルス信号に代えて、この図19に示す2種類のチャープ信号からなる2種類のパルス信号を採用してもよい。

0307

尚、ここでは、2つの繰返し送信周波数f1,f2あるいは2種類のチャープ信号S1,S2からなる2種類のバースト波信号を採用した例について説明したが、フレームレートが充分速い場合は2種類のパルス信号に限られるものではなく、3種類以上のパルス信号を被検体内のそれぞれ異なる深さ位置に焦点を結ぶ超音波ビームが生成されるように、それぞれ異なる遅延パターンに従って遅延させて循環的にプローブに送信し、それにより得られる3種類以上の受信信号に基づいて血流速度を算出してもよい。

0308

1A,1B,1C超音波診断装置
10プローブ
11通信
12 受信部
13 制御部
14Bモード処理
15,15_1,15_2MTIフィルタ
16,16_1,16_2カラードプラ処理部
17座標変換部
18画像合成部
19 表示部
20 合成部
20_1,20_2バッファ
21加算部

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