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技術 複合材料のシミュレーションモデルの作成方法

出願人 住友ゴム工業株式会社
発明者 坂牧隆司
出願日 2013年10月18日 (7年1ヶ月経過) 出願番号 2013-217658
公開日 2015年4月23日 (5年7ヶ月経過) 公開番号 2015-079450
状態 特許登録済
技術分野 特定用途計算機 特有な方法による材料の調査、分析
主要キーワード 各多面体 高分子モデル ループ目 粒子モデル 結合度合い 古典力学 近隣領域 ニュートンの運動方程式
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

高分子材料中フィラー分散配置された複合材料シミュレーションモデルを作成するための方法に関する。

解決手段

コンピュータに、高分子材料高分子粒子モデル離散化した紐状高分子モデルと、フィラーを有限個のフィラー粒子モデルで離散化した塊状のフィラーモデルとが任意の3次元空間上に配置された第1シミュレーションモデルを設定する第1工程S1と、コンピュータが、第1シミュレーションモデルのフィラーモデルの表面に位置する少なくとも一つのフィラー粒子モデルと、このフィラー粒子モデルの近くに位置する高分子粒子モデルとの間に、両粒子モデルを結合するためのボンドを定義して第2シミュレーションモデルを設定する第2工程S2とを含む。

概要

背景

従来、高分子材料中フィラー分散配置された複合材料について、分子シミュレーションが行われている。分子シミュレーションでは、コンピュータ上の仮想の3次元空間内に、複合材料を模したシミュレーションモデルが定義される。シミュレーションモデルは、例えば、高分子材料及びフィラーの分子等が、それぞれ粒子モデル運動方程式での質点)で離散化されて定義される。各粒子モデルは、ポテンシャル等の下、古典力学に従い、時系列的にその位置が逐次計算される。これにより、前記複合材料の物性等が解析される。

例えば、複合材料として、マトリックスゴム中にフィラーとしてシリカが配合されたシリカ配合ゴムの分子シミュレーションが行われることがある。この場合、コンピュータに、例えば、図12に視覚化して示されるような複合材料モデルaが定義される。この複合材料モデルaは、マトリックスゴムを表現するための高分子モデルbと、フィラーを表現するためのフィラーモデルcとを含んでいる。高分子モデルbは、ゴム分子鎖を表すように、有限個の高分子粒子モデルb1を鎖モデルb2で紐状に連ねて定義されている。フィラーモデルcは、球状のフィラー粒子を表すように、有限個のフィラー粒子モデルc1を鎖モデルc2で連結して塊状に定義されている。

複合材料モデルaは、さらに、フィラーモデルcの表面に位置する少なくとも一つのフィラー粒子モデルc1と、高分子モデルbの一つの高分子粒子モデルb1とを結合するボンドdが定義されている。ボンドdは、両モデルの相対距離等を拘束するもので、例えば、実際の複合材料において、フィラーの表面とマトリックスゴムとを結合させるカップリング剤に相当している。このようなボンドdは、ゴムとシリカとの結合度合いに影響を与えるものであり、その配置や数は複合材料の物性の解析に重要な影響を与える。

概要

高分子材料中にフィラーが分散配置された複合材料のシミュレーションモデルを作成するための方法に関する。コンピュータに、高分子材料を高分子粒子モデルで離散化した紐状の高分子モデルと、フィラーを有限個のフィラー粒子モデルで離散化した塊状のフィラーモデルとが任意の3次元空間上に配置された第1シミュレーションモデルを設定する第1工程S1と、コンピュータが、第1シミュレーションモデルのフィラーモデルの表面に位置する少なくとも一つのフィラー粒子モデルと、このフィラー粒子モデルの近くに位置する高分子粒子モデルとの間に、両粒子モデルを結合するためのボンドを定義して第2シミュレーションモデルを設定する第2工程S2とを含む。

目的

本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、フィラーモデルの表面に位置しているフィラー粒子モデルを容易に特定し、能率的に複合材料のシミュレーションモデルを作成しうる方法を提供することを目的としている。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

高分子材料中フィラー分散配置された複合材料シミュレーションモデルを、コンピュータを用いて作成するための方法であって、前記コンピュータに、前記高分子材料有限個の高分子粒子モデル離散化した紐状高分子モデルと、前記フィラーを有限個のフィラー粒子モデルで離散化した塊状のフィラーモデルとが任意の3次元空間上に配置された第1シミュレーションモデルを設定する第1工程と、前記コンピュータが、前記第1シミュレーションモデルの前記フィラーモデルの表面に位置する少なくとも一つのフィラー粒子モデルと、このフィラー粒子モデルの近くに位置する前記高分子粒子モデルとの間に、両粒子モデルを結合するためのボンドを定義して第2シミュレーションモデルを設定する第2工程とを含み、前記第2工程は、前記3次元空間を、前記高分子粒子モデルの一つを含む第1多面体と、前記フィラー粒子モデルの一つを含む第2多面体とを用いて複数の領域に分割する分割工程と、前記3次元空間で互いに隣接している前記第1多面体と前記第2多面体とのペアの中の少なくとも一つのペアに含まれる前記高分子粒子モデルと前記フィラー粒子モデルとの間に前記ボンドを定義する結合工程とを含むことを特徴とする複合材料のシミュレーションモデルの作成方法

請求項2

前記第1多面体及び前記第2多面体は、ボロノイ分割された多面体である請求項1記載の複合材料のシミュレーションモデルの作成方法。

請求項3

前記結合工程は、前記第1多面体と接触している第2多面体に属する全てのフィラー粒子モデルを抽出する抽出工程と、前記抽出されたフィラー粒子モデルの中から少なくとも一つのフィラー粒子モデルを決定する決定工程と、前記決定されたフィラー粒子モデルと、このフィラー粒子モデルの最も近くに位置する前記高分子粒子モデルとの間に前記ボンドを定義するボンド定義工程とを含む請求項1又は2記載の複合材料のシミュレーションモデルの作成方法。

請求項4

前記決定工程と前記ボンド定義工程とは、前記ボンドが予め定められた上限の数に至るまで繰り返して行われる請求項3記載の複合材料のシミュレーションモデルの作成方法。

請求項5

前記決定工程は、既に決定されたフィラー粒子モデルとの距離が予め定めた値を下回らないように、次のフィラー粒子モデルを決定する請求項3又は4に記載の複合材料のシミュレーションモデルの作成方法。

技術分野

0001

本発明は、高分子材料中フィラー分散配置された複合材料シミュレーションモデルを作成するための方法に関する。

背景技術

0002

従来、高分子材料中にフィラーが分散配置された複合材料について、分子シミュレーションが行われている。分子シミュレーションでは、コンピュータ上の仮想の3次元空間内に、複合材料を模したシミュレーションモデルが定義される。シミュレーションモデルは、例えば、高分子材料及びフィラーの分子等が、それぞれ粒子モデル運動方程式での質点)で離散化されて定義される。各粒子モデルは、ポテンシャル等の下、古典力学に従い、時系列的にその位置が逐次計算される。これにより、前記複合材料の物性等が解析される。

0003

例えば、複合材料として、マトリックスゴム中にフィラーとしてシリカが配合されたシリカ配合ゴムの分子シミュレーションが行われることがある。この場合、コンピュータに、例えば、図12視覚化して示されるような複合材料モデルaが定義される。この複合材料モデルaは、マトリックスゴムを表現するための高分子モデルbと、フィラーを表現するためのフィラーモデルcとを含んでいる。高分子モデルbは、ゴム分子鎖を表すように、有限個の高分子粒子モデルb1を鎖モデルb2で紐状に連ねて定義されている。フィラーモデルcは、球状のフィラー粒子を表すように、有限個のフィラー粒子モデルc1を鎖モデルc2で連結して塊状に定義されている。

0004

複合材料モデルaは、さらに、フィラーモデルcの表面に位置する少なくとも一つのフィラー粒子モデルc1と、高分子モデルbの一つの高分子粒子モデルb1とを結合するボンドdが定義されている。ボンドdは、両モデルの相対距離等を拘束するもので、例えば、実際の複合材料において、フィラーの表面とマトリックスゴムとを結合させるカップリング剤に相当している。このようなボンドdは、ゴムとシリカとの結合度合いに影響を与えるものであり、その配置や数は複合材料の物性の解析に重要な影響を与える。

先行技術

0005

特開2013−186746号公報
特開2013−108951号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上述のボンドdを定義する場合、先ず、フィラーモデルcの表面に位置しているフィラー粒子モデルc1を特定しなければならない。しかしながら、フィラー粒子モデルc1は3次元に配置されており、かつ、その数も非常に多いため、どれが表面に位置しているのか、コンピュータで特定することは難しい。

0007

従来、フィラーモデルを球体で定義し、それに内接する正多面体頂点に位置するフィラー粒子モデルにボンドを定義することが考えられていた(関連技術1)。しかしながら、この方法では、ボンドの数が、正多面体の頂点の数に制限されてしまい、任意の数のボンドを定義することができないという問題があった。また、フィラーモデルは、球体で定義されなければならず、汎用性に欠けるという問題もあった。

0008

他の方法として、予め定められた所定の距離Rの範囲内にあるフィラー粒子モデルc1と高分子粒子モデルb1とを逐次又は擬似乱数等を用いて、ボンドで結合するという方法も考えられている(関連技術2)。しかしながら、この方法では、ボンドが特定の位置に偏って配置されることがあるという問題があった。

0009

本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、フィラーモデルの表面に位置しているフィラー粒子モデルを容易に特定し、能率的に複合材料のシミュレーションモデルを作成しうる方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、高分子材料中にフィラーが分散配置された複合材料のシミュレーションモデルを、コンピュータを用いて作成するための方法であって、前記コンピュータに、前記高分子材料を有限個の高分子粒子モデルで離散化した紐状の高分子モデルと、前記フィラーを有限個のフィラー粒子モデルで離散化した塊状のフィラーモデルとが任意の3次元空間上に配置された第1シミュレーションモデルを設定する第1工程と、前記コンピュータが、前記第1シミュレーションモデルの前記フィラーモデルの表面に位置する少なくとも一つのフィラー粒子モデルと、このフィラー粒子モデルの近くに位置する前記高分子粒子モデルとの間に、両粒子モデルを結合するためのボンドを定義して第2シミュレーションモデルを設定する第2工程とを含み、前記第2工程は、前記3次元空間を、前記高分子粒子モデルの一つを含む第1多面体と、前記フィラー粒子モデルの一つを含む第2多面体とを用いて複数の領域に分割する分割工程と、前記3次元空間で互いに隣接している前記第1多面体と前記第2多面体とのペアの中の少なくとも一つのペアに含まれる前記高分子粒子モデルと前記フィラー粒子モデルとの間に前記ボンドを定義する結合工程とを含むことを特徴とする。

0011

本発明にかかる複合材料のシミュレーションモデルの作成方法において、前記第1多面体及び前記第2多面体は、ボロノイ分割された多面体であるのが望ましい。

0012

本発明にかかる複合材料のシミュレーションモデルの作成方法において、前記結合工程は、前記第1多面体と接触している第2多面体に属する全てのフィラー粒子モデルを抽出する抽出工程と、前記抽出されたフィラー粒子モデルの中から少なくとも一つのフィラー粒子モデルを決定する決定工程と、前記決定されたフィラー粒子モデルと、このフィラー粒子モデルの最も近くに位置する前記高分子粒子モデルとの間に前記ボンドを定義するボンド定義工程とを含むことができる。

0013

本発明にかかる複合材料のシミュレーションモデルの作成方法において、前記決定工程と前記ボンド定義工程とは、前記ボンドが予め定められた上限の数に至るまで繰り返して行われることが望ましい。

0014

本発明にかかる複合材料のシミュレーションモデルの作成方法において、前記決定工程は、既に決定されたフィラー粒子モデルとの距離が予め定めた値を下回らないように、次のフィラー粒子モデルを決定することが望ましい。

発明の効果

0015

本発明の第1工程では、コンピュータ上に、第1シミュレーションモデルが設定される。第1シミュレーションモデルは、コンピュータでの数値計算のために、仮想的な3次元空間上に定義されたもので、高分子材料を有限個の高分子粒子モデルで離散化した紐状の高分子モデルと、フィラーを有限個のフィラー粒子モデルで離散化した塊状にフィラーモデルとが前記空間上に配置されたものである。

0016

本発明の第2工程では、コンピュータが、第2シミュレーションモデルを設定する。第2シミュレーションモデルは、第1シミュレーションモデルのフィラーモデルの表面に位置する少なくとも一つのフィラー粒子モデルと、このフィラー粒子モデルの近くに位置する高分子粒子モデルとの間に、両粒子モデルを結合するためのボンドが定義されたものである。

0017

本発明の第2工程は、前記3次元空間を、多面体を用いて、複数の領域に分割する分割工程を含んでいる。多面体として、高分子粒子モデルの一つを含む第1多面体と、フィラー粒子モデルの一つを含む第2多面体とが用いられる。

0018

第2工程は、さらに、結合工程を含んでいる。結合工程では、前記3次元空間で互いに隣接している第1多面体と第2多面体とのペアの中の少なくとも一つのペアに含まれる高分子粒子モデルとフィラー粒子モデルとの間にボンドが定義される。

0019

以上のように、本発明では、フィラーモデルの表面に位置するフィラー粒子モデルは、第1多面体に接触している第2多面体に属するものとして、容易に特定され得る。従って、本発明の方法によれば、シミュレーションモデルの作成が能率化される。また、本発明の方法によれば、ボンドの定義や数などが任意に設定・変更可能なシミュレーションモデルを作成することができる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の処理手順の実施形態のフローチャートである。
視覚化されたフィラー配合ゴムの第1シミュレーションモデルを示す平面図である。
第1工程の一実施形態のフローチャートである。
視覚化されたマトリックスゴムモデルの平面図である。
視覚化されたフィラーゴムモデルの平面図である。
第2工程の一実施形態のフローチャートである。
分割工程を示す第1シミュレーションモデルの平面図である。
決定工程を示す第1シミュレーションモデルの平面図である。
ボンドが定義された第2シミュレーションモデルの平面図である。
(A)は本実施形態の方法に従って得られたフィラーモデルであり、(B)は従来の方法に従って得られたフィラーモデルで、いずれも表面のフィラー粒子として特定されたところが白色で表示されている。
(A)は本実施形態の方法に従って得られたフィラーモデルであり、(B)は従来の方法に従って得られたフィラーモデルで、いずれも距離をおいてボンドが定義可能なフィラー粒子が黒色で表示されている。
複合材料のシミュレーションモデルが視覚化された平面図である。

発明を実施するための最良の形態

0021

以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
本発明は、高分子材料中にフィラーが分散配置された複合材料のシミュレーションモデルを、コンピュータを用いて作成するための方法である。

0022

本明細書において、「高分子材料」とは、少なくとも、樹脂、ゴム及びエラストマーを含む概念である。「フィラー」とは、マトリックスとしての高分子材料を補強するものであれば、特に限定されないが、例えば、少なくともカーボンブラック及びシリカ等を含む概念である。

0023

本明細書において、「シミュレーションモデル」とは、コンピュータの中に定義され、分子シミュレーションの数値計算に利用される「数値データ」である。この実施形態の中で、シミュレーションモデルが図として表現されている。これらは、シミュレーションモデルの数値データが、例えば、実際の分子構造等に模して図形に置き換えて視覚化されたものである。これらのシミュレーションモデルは、コンピュータに接続された表示装置等を通しても表示され得る。

0024

図1には、本発明の処理手順の一実施形態が示されている。本実施形態では、先ず、第1工程が行われる(ステップS1)。第1工程では、図2に示されるように、コンピュータ(図書省略)に定義された仮想の3次元空間(x,y、z)上に、第1シミュレーションモデル2が定義される。第1シミュレーションモデル2は、3次元空間に、紐状の高分子モデル3と、塊状のフィラーモデル4とが配置されている。

0025

図3には、第1工程のさらに具体的な処理手順の一例が示されている。本実施形態の第1工程では、先ず、高分子モデル3が設定される(ステップS11)。

0026

図4には、高分子モデル3の一実施形態が視覚化されている。本実施形態の高分子モデル3は、複数の高分子粒子モデル3aと、これらの高分子粒子モデル3a、3a間を接続している鎖モデル3bとから構成された直鎖状三次元構造を有している。

0027

各高分子粒子モデル3aは、高分子材料の原子又はその集合体を表すことができる。高分子粒子モデル3aは、本実施形態のような粗視化粒子モデル、又は、全ての原子をそれぞれ粒子モデルとして捉えるいわゆる "Full Atom model"のいずれで離散化されても良い。

0028

高分子粒子モデル3aは、例えば、分子動力学に基づいた分子シミュレーションにおいて、運動方程式の質点として取り扱われる。従って、各高分子粒子モデル3aには、その質量、体積、直径、電荷及び/又は初期座標などのパラメータが与えられる。これらの各パラメータは、数値情報としてコンピュータに入力される。

0029

鎖モデル3bは、高分子粒子モデル3a、3aの相対位置を特定している。また、鎖モデル3bは、解析対象となる高分子材料の物性等に基いて、外力又は内力によって、高分子粒子モデル3a、3b間の結合長結合角又は二面角が変化しうるように高分子モデル3を拘束している。鎖モデル3bは、例えば、ベクトル情報としてコンピュータ装置に入力される。

0030

さらに、分子動力学計算を行うために、高分子粒子モデル3a、3a間には、ポテンシャル関数が定義される。

0031

次に、図3に示したように、第1工程では、フィラーモデル4が設定される(ステップS12)。

0032

図5には、フィラーモデル4の一実施形態が視覚化されている。本実施形態のフィラーモデル4は、複数のフィラー粒子モデル4aと、これらのフィラー粒子モデル4a、4a間を接続している鎖モデル4bとから構成された多層かつ球状の三次元構造を有している。

0033

各フィラー粒子モデル4aは、複合材料のフィラーの原子の集合体を表している。フィラー粒子モデル4aは、本実施形態のような粗視化粒子モデルの他、全ての原子をそれぞれ粒子モデルとして捉えるいわゆる "Full Atom model"のいずれで離散化されても良い。

0034

フィラー粒子モデル4aも、分子動力学に基づいた分子シミュレーションにおいて、運動方程式の質点として取り扱われる。従って、各フィラー粒子モデル4aには、その質量、体積、直径、電荷及び/又は初期座標などのパラメータが与えられる。これらの各パラメータは、数値情報としてコンピュータに入力される。

0035

鎖モデル4bについての、高分子モデル3で説明された鎖モデル3bと同様、フィラー粒子モデル4a、4aの相対位置を特定している。また、鎖モデル4bは、外力又は内力によって、解析対象となるフィラーの物性等に基いて、フィラー粒子モデル4a、4b間の結合長、結合角又は二面角が変化しうるようにフィラーモデル4を拘束している。鎖モデル4bは、例えば、ベクトル情報としてコンピュータ装置に入力される。さらに、分子動力学計算を行うために、フィラー粒子モデル4a、4a間にも、ポテンシャル関数が定義される。

0036

次に、図3に示したように、第1工程では、高分子モデル3とフィラーモデル4とを用いて分子動力学計算が行われる(ステップS13)。

0037

分子動力学計算では、図2に示したように、予め定められた体積を持った3次元空間(「セル」とも呼ばれる)の中に、先に定義された高分子モデル3及びフィラーモデル4がランダム初期配置される。また、分子動力学計算では、例えば、所定の時間の中で、配置した全てのモデル3及び4が古典力学に従うものとして、ニュートンの運動方程式が適用される。各時刻における全ての高分子粒子モデル3a及びフィラー粒子モデル4aの動きが追跡される。これにより、各モデル3及び4は、人為的な初期配置から徐々に平衡状態へと変化することができる。

0038

次に、図3に示したように、第1工程では、分子動力学によって、高分子モデル3及びフィラーモデル4が十分に緩和したか否かが判定される(ステップS14)。本実施形態の分子動力学計算では、コンピュータが一定の繰り返しステップ数を終えた時点で、構造緩和がなされたとみなしている。

0039

次に、高分子モデル3及びフィラーモデル4が十分に緩和した場合(ステップS14でY)、この状態の高分子モデル3及びフィラーモデル4の位置情報等を全てコンピュータに記憶する。これにより、コンピュータに、第1シミュレーションモデル2が定義される(ステップS15)。

0040

次に、図1に戻って、本実施形態では、第2工程が行われる(ステップS2)。第2工程では、図2に示した第1シミュレーションモデル2において、フィラーモデル4の表面に位置する少なくとも一つのフィラー粒子モデル4aと、このフィラー粒子モデル4aの近くに位置する高分子粒子モデル3aとの間に、両粒子モデル4a、3aを結合するためのボンドを定義するものである(ボンドについては、図2には示されていない。)。

0041

図6には、第2工程の詳細な処理手順の一例が示されている。図6に示されるように、第2工程では、先ず、分割工程が行われる(ステップS21)。分割工程では、コンピュータにより、第1シミュレーションモデル2の3次元空間が、第1多面体と第2多面体とを用いて複数の領域に分割される。

0042

図7には、上記分割工程を説明するための第1シミュレーションモデル2の平面図が示されている。図7では、高分子モデル3の鎖モデル3b、及び、フィラーモデル4の鎖モデル4bは、それぞれ、省略されている。高分子粒子モデル3aは白丸で、フィラー粒子モデル4aは黒丸でそれぞれ示されている。

0043

第1多面体5は、高分子粒子モデル3aの一つのみを含む多面体である。第2多面体6は、フィラー粒子モデル4aの一つのみを含む多面体である。分割工程では、第1シミュレーションモデル2の空間が、第1多面体5及び第2多面体6のみをを用いて分割される。このような多面体5、6を得る方法として、本実施形態では、ボロノイ分割(ティーセン分割)が採用されている。ボロノイ分割は、ある3次元の空間に複数個母点(粒子モデルに相当)が定義されいる場合、それぞれの母点に最も近い領域によって空間を分割する手法である。即ち、隣り合う母点間を結ぶ直線を二等分する平面を定義しながら、各母点の最近隣領域を分割する手法である。互いに接触している多面体間を区画するのがボロノイ境界である。分割工程により、各多面体5、6の位置情報が全てコンピュータに記憶され得る。

0044

次に、図6に示されるように、抽出工程が行われる(ステップS22)。抽出工程では、第1多面体5と接触している第2多面体6に属する全てのフィラー粒子モデル4aが抽出される。図8には、抽出工程を視覚的に説明するために、第1多面体5と接触している第2多面体6が薄く着色された第1シミュレーションモデル2が示されている。抽出工程では、図8で着色されたように、第1多面体5とボロノイ境界で接触している第2多面体6に属する全てのフィラー粒子モデル4aが、例えば、コンピュータに記憶される。

0045

このように、本実施形態によれば、フィラーモデル4の表面に位置するフィラー粒子モデル4aは、第1多面体5に接触している第2多面体6に属するものとして、容易に特定される。

0046

次に、図6に示されるように、決定工程が行われる(ステップS23)。決定工程は、抽出工程で抽出されたフィラー粒子モデル4aの中から一つのフィラー粒子モデル4aが決定される。本実施形態では、抽出されたフィラー粒子モデル4aの中からランダムに一つのフィラー粒子モデル4aが抽出される。

0047

次に、本実施形態では、決定されたフィラー粒子モデル4aと先に決定されたフィラー粒子モデル4aとの距離が、予め定められた距離Rmin以上であるか否かが判定される(ステップS24)。フィラー粒子モデル4aが先に決定されていない場合、このステップS23は肯定的なものとなる。このステップについては、後で説明される。

0048

次に、本実施形態では、ボンド定義工程が行われる(ステップS25)。ボンド定義工程は、決定されたフィラー粒子モデル4aと、このフィラー粒子モデル4aの最も近くに位置する高分子粒子モデル3aとの間にボンド7を定義するものである。図9には、このようなボンド定義工程が行われた第2シミュレーションモデル10が視覚化されている。ボンド7は、2つの粒子モデル3a、4aをつなぐ腕のように視覚化されている。ボンド7は、ポテンシャル関数を使用して、一定距離の範囲に、2つの粒子モデル3a、4aの相対位置を拘束するもので、コンピュータに記憶される数値情報である。図9では、3つのボンド7が示されている。

0049

次に、本実施形態では、コンピュータにより、定義されたボンド7の数が予め定められた数(上限)に達したか否かが判断される(ステップS26)。ボンド数が上限に達している場合(ステップS26でY)、コンピュータは、現在の高分子モデル3、フィラーモデル4おヨボボンド7の配置を第2シミュレーションモデル10として記憶する(ステップS27)。

0050

一方、コンピュータは、ボンド数が上限に達していないと判断した場合(ステップS26でN)、決定工程(ステップS23)以降を繰り返して処理する。これにより、決定工程(ステップS23)とボンド定義工程(S25)とは、ボンド7が予め定められた上限の数に至るまで繰り返して行われる。

0051

また、2ループ目以降の場合、ステップS24において、決定されたフィラー粒子モデル4aと、先に決定されたフィラー粒子モデル4aとの距離が、予め定められた距離Rmin以上であるか否かが判定される。決定されたフィラー粒子モデル4aと、先に決定されたフィラー粒子モデル4aとの距離が、予め定められた距離Rmin未満の場合には、決定されたフィラー粒子モデル4Aがキャンセルされ(ステップS28)、新たに決定工程が行われる。

0052

このようなステップを含ませることにより、決定工程では、既に決定されたフィラー粒子モデル4aとの距離が予め定めた値を下回らないように、次のフィラー粒子モデル4aを決定することができる。これは、シミュレーションモデルにボンド7を定義する場合、ボンド7が特定箇所に偏って配置されるのを防ぐことができる。

0053

以上のような処理を経て、例えば、図9に示されるような第2シミュレーションモデル10が作成される。そして、この第2シミュレーションモデル10を用いて、各種の物性を解析することができる。本実施形態の方法によれば、第2シミュレーションモデル10が能率的に作成される。また、本実施形態の方法によれば、ボンドの定義や数などが任意に設定・変更可能なシミュレーションモデルを作成することができる。

0054

図10(A)、(B)には、同一条件の第1シミュレーションモデル2から、フィラーモデル4の表面に位置するフィラー粒子モデルの特定を行った結果を示している。図10(A)のものは、上記実施形態に従って得られた結果である。フィラーモデル4において、白丸で視覚化されている粒子が、フィラーモデル4の表面に位置するものとして、抽出工程で抽出されたフィラー粒子モデルであり、1292個が抽出された。

0055

一方、図10(B)のものは、背景技術の欄で説明した関連技術2に従って得られた結果である。図10(A)と同様、フィラーモデル4において、白丸で視覚化されている粒子が、フィラーモデル4の表面に位置するものとして、抽出されたフィラー粒子モデルである。図10(B)では、抽出されたフィラー粒子モデルの数は391個であり、明らかに本実施形態のものに比べて、少ない。この数は、粒子間の距離Rを種々変えていくことである程度増加させることができるが、数多くの試行錯誤が必要になる。

0056

図11(A)、(B)は、それぞれ、図10(A)、(B)の第1シミュレーションモデルに基いて、上限を100として、ボンドを定義した結果が示されている。図11(A)のものは、上記実施形態に従って得られた結果である。フィラーモデル4において、黒丸で視覚化されているフィラー粒子モデル4が高分子粒子モデル(図示省略)とボンドで結合されたものを示している(距離Rminは、2.5に設定した。この長さは、分子シミュレーションにおいて広く用いられている粒子間相互作用ポテンシャル関数の一つであるレナードジョーンズポテンシャルのパラメータσ無次元化されている)。フィラーモデルの表面の粒子が広範囲に抽出されているため、ボンド定義時の自由度が増し、均等にバランスよくボンドが定義されていることが確認できる。

0057

一方、図11(B)のものは、背景技術の欄で説明した関連技術2に従って得られた結果である。ボンドが偏って定義されていることが明らかである。

0058

以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、種々の態様に変更して実施され得る。例えば、第1シミュレーションモデルを得るために、上記実施形態では、分子動力学法が採用されているが、例えば、モンテカルロ法又は分子力学計算が採用されても良い。

0059

2 第1シミュレーションモデル
3高分子モデル
3a高分子粒子モデル
3b 鎖モデル
4aフィラー粒子モデル
4b 鎖モデル
5 第1多面体
6 第2多面体
7ボンド
10 第2シミュレーションモデル

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