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技術 コンクリート部材の健全度推定方法およびコンクリート部材の補修方法

出願人 東日本旅客鉄道株式会社
発明者 佐々木尚美小林薫
出願日 2013年10月11日 (7年0ヶ月経過) 出願番号 2013-213884
公開日 2015年4月20日 (5年6ヶ月経過) 公開番号 2015-075469
状態 特許登録済
技術分野 既存建築物への作業 光学的手段による材料の調査の特殊な応用 化学反応による材料の光学的調査・分析 特有な方法による材料の調査、分析
主要キーワード 補修状況 内部空隙率 遠近差 絶対容積 補修範囲 コア抜き 荷重試験 後始末
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

コンクリート部材に削孔した孔の内面画像から、コンクリート部材の健全度を定量的に調べる手法を提供する。

解決手段

コンクリート部材1の所定部位を削孔し、削孔してできた孔11の内面11aの画像Pを取得し、取得した画像P全体の面積に対する空隙の断面を映した部分の面積の割合に基づいて、所定部位の空隙の多さを求め、コンクリートの空隙多さと、コンクリートの強さとの相関関係に基づいて、求めた空隙の多さに対応するコンクリートの強さを求め、求めたコンクリートの強さに基づいて、コンクリート部材1の健全度を推定する。

概要

背景

コンクリート部材の内部の状態は、表面を目視したり、叩いてみたりするだけでは調べることが困難であるため、従来、コンクリート部材の一部を取り除いて、切断面の状態を調べる方法や、コンクリート部材に超音波放射線入射し、その反射波を画像化して調べる非破壊検査が採用されてきた。しかし、一部を取り除く方法では、健全コンクリート鉄筋にも損傷を与えてしまう可能性があった。また、非破壊検査では、特殊な機材を用い、判断に専門的知識を必要とするため、そのような機材の扱いができる者或いは専門的知識を有する者でなければ検査することができなかった。このため、その場で調べることが出来ない上に、作業に手間がかかるといった問題があった。
そこで、近年、コンクリート部材に孔を削孔し、その孔にリニアイメージセンサを挿入して内面スキャンし、得られた画像からひび割れの幅や長さ、空隙の大きさ等を調べることにより、施工の良し悪しや、劣化の有無を判断する方法が提案されている(特許文献1参照)。

概要

コンクリート部材に削孔した孔の内面画像から、コンクリート部材の健全度を定量的に調べる手法を提供する。コンクリート部材1の所定部位を削孔し、削孔してできた孔11の内面11aの画像Pを取得し、取得した画像P全体の面積に対する空隙の断面を映した部分の面積の割合に基づいて、所定部位の空隙の多さを求め、コンクリートの空隙多さと、コンクリートの強さとの相関関係に基づいて、求めた空隙の多さに対応するコンクリートの強さを求め、求めたコンクリートの強さに基づいて、コンクリート部材1の健全度を推定する。

目的

本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、コンクリート部材に削孔した孔の内面画像から、コンクリート部材の健全度を、現場で即時に、かつ容易に推定する手法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

コンクリート部材所定部位を削孔し、削孔してできた孔の内面の画像を取得し、取得した画像全体面積に対する空隙の断面を映した部分の面積の割合に基づいて、前記所定部位の空隙の多さを求め、コンクリートにおける空隙の多さと、コンクリートの強さとの相関関係に基づいて、求めた空隙の多さに対応するコンクリートの強さを求め、求めたコンクリートの強さに基づいて、前記コンクリート部材の健全度を推定することを特徴とするコンクリート部材の健全度推定方法

請求項2

前記孔を、前記コンクリート部材の表面に沿う方向に間隔を空けて複数削孔し、各孔についてコンクリートの強さをそれぞれ求め、得られた複数のコンクリートの強さに基づいて、前記コンクリート部材の健全度を推定することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート部材の健全度推定方法。

請求項3

前記画像を、前記孔の深さ方向に沿って複数の領域に分割し、各領域についてコンクリートの強さをそれぞれ求め、得られた複数のコンクリートの強さに基づいて、前記コンクリート部材の健全度を推定することを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート部材の健全度推定方法。

請求項4

前記コンクリート部材の表面にひび割れが確認された場合に、前記孔を、前記ひび割れの少なくとも一部が前記孔を通るように削孔することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のコンクリート部材の健全度推定方法。

請求項5

前記孔の直径を20mm以下とすることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のコンクリート部材の健全度推定方法。

請求項6

孔の内面に、コンクリートのpHの程度に応じて変色する薬品を塗布してから、前記孔の内面を撮影することを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のコンクリート部材の健全度推定方法。

請求項7

請求項1から6の何れか一項に記載のコンクリート部材の健全度推定方法によって、前記コンクリート部材の健全度が補修を必要とする程度に低いと推定された場合に、得られたコンクリートの強さから、補修する範囲を決定し、決定された補修範囲に基づいて、前記コンクリート部材を補修することを特徴とするコンクリート部材の補修方法

技術分野

0001

本発明は、コンクリート部材健全度を推定する方法、およびこの方法を利用してコンクリート部材を補修する方法に関する。

背景技術

0002

コンクリート部材の内部の状態は、表面を目視したり、叩いてみたりするだけでは調べることが困難であるため、従来、コンクリート部材の一部を取り除いて、切断面の状態を調べる方法や、コンクリート部材に超音波放射線入射し、その反射波を画像化して調べる非破壊検査が採用されてきた。しかし、一部を取り除く方法では、健全なコンクリート鉄筋にも損傷を与えてしまう可能性があった。また、非破壊検査では、特殊な機材を用い、判断に専門的知識を必要とするため、そのような機材の扱いができる者或いは専門的知識を有する者でなければ検査することができなかった。このため、その場で調べることが出来ない上に、作業に手間がかかるといった問題があった。
そこで、近年、コンクリート部材に孔を削孔し、その孔にリニアイメージセンサを挿入して内面スキャンし、得られた画像からひび割れの幅や長さ、空隙の大きさ等を調べることにより、施工の良し悪しや、劣化の有無を判断する方法が提案されている(特許文献1参照)。

先行技術

0003

特開2009−210588号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、画像からコンクリート部材の健全度を定量的に調べる手法は確立されておらず、健全度を調べる場合には、やはり対象のコンクリート部材の一部を直径50〜100mm程度の供試体としてくり抜いて(コア抜きして)実際に荷重試験を行うしかなかった。コンクリート部材からコア抜きすることは、上述したように、健全なコンクリートや鉄筋にも損傷を与えてしまう可能性があるし、コンクリート部材のあるその場で調べることができず、試験結果が出るまでに時間を要するので、コンクリートの健全度を現場で即時に判断することができないという不便が生じる。

0005

本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、コンクリート部材に削孔した孔の内面画像から、コンクリート部材の健全度を、現場で即時に、かつ容易に推定する手法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するため、本発明は、コンクリート部材の健全度推定方法において、コンクリート部材の所定部位を削孔し、削孔してできた孔の内面の画像を取得し、取得した画像全体面積に対する空隙の断面を映した部分の面積の割合に基づいて、所定部位の空隙の多さを求め、コンクリートに占める空隙の多さと、コンクリートの強さとの相関関係に基づいて、求めた空隙の多さに対応するコンクリートの強さを求め、求めたコンクリートの強さに基づいて、前記コンクリート部材の健全度を推定することを特徴とする。

0007

ここで言う「空隙」には、健全なコンクリートにも含まれる空隙、施工不良等により健全なコンクリートよりも余計に存在する空隙、ひび割れ等が含まれる。
また、「空隙の多さ」には、空隙の総量や、コンクリート全体の体積に占める空隙の割合(空隙率)等が含まれる。
また「コンクリートの強さ」には、コンクリートの圧縮強度や、基準となるコンクリートの圧縮強度に対する比等が含まれる。

0008

このようにすれば、得られた画像から、孔の周囲のコンクリートにおける、充填不良の有無、経年劣化によるひび割れの位置や寸法、補修後の状況等を把握することができるのは勿論、コンクリート部材の少なくとも一部の強さを求めることができる。コンクリートの強さを知ることができれば、コンクリート部材の健全度、延いては、コンクリート部材の補修の要否を容易に判断することができる。
また、従来のように、一部のコンクリートをコア抜きする必要がなく、健全なコンクリートや鉄筋を損傷させる心配が無い。
更に、その場で調べることが可能になるので、作業が容易になる。

0009

なお、望ましくは、上記発明において、前記孔を、前記コンクリート部材の表面に沿う方向に間隔を空けて複数削孔し、各孔についてコンクリートの強さをそれぞれ求め、得られた複数の強さに基づいて、前記コンクリート部材の健全度を推定するようにするとよい。
このようにすれば、コンクリート部材における強さの平面的分布を得ることができるので、コンクリート部材の健全度を一箇所だけ削孔した場合に比べて正確に推定することができる。

0010

また、望ましくは、上記発明において、前記画像を、前記孔の深さ方向に沿って複数の領域に分割し、各領域についてコンクリートの強さをそれぞれ求め、得られた複数の強さに基づいて、前記コンクリート部材の健全度を推定するようにするとよい。
このようにすれば、コンクリート部材における強さの深さ方向に沿った分布を得ることができる。特に、孔をコンクリート部材の表面に沿う方向に所定間隔を空けて並ぶように複数削孔した場合には、コンクリート部材における強さの立体的分布も得ることができるので、コンクリート部材の健全度を更に正確に推定することができる。

0011

また、望ましくは、上記発明において、前記コンクリート部材の表面にひび割れが確認された場合に、前記孔を、前記ひび割れの少なくとも一部が前記孔を通るように削孔するようにするとよい。
このようにすれば、孔の内面にひび割れの断面の少なくとも一部が現れるので、コンクリート部材の劣化状態、すなわち、ひび割れがどの程度奥まで進行しているのかを確認することができる。
また、このひび割れを樹脂等で補修した後に、ひび割れが奥まで樹脂で充填されたかどうかを確認することもできる。

0012

また、望ましくは、上記発明において、前記孔の直径を20mm以下とするとよい。
強度を調べた後、孔は埋める必要があるが、孔が20mmを超える大口径になると空間が大き過ぎて樹脂等で埋めることが困難になり、モルタルを練って詰めることになる。しかし、このようにすれば、モルタルでも樹脂等でも埋めることが可能となり、健全度を調べた後の後始末が一層容易になる。また、埋め戻すためのモルタルや樹脂等は少量で済むので、後埋めした箇所から落下することもない。

0013

また、望ましくは、上記発明において、孔の内面に、コンクリートのpHの程度に応じて変色する薬品を塗布してから、前記孔の内面を撮影するようにするとよい。
ここで、「コンクリートのpHの程度に応じて変色する薬品」とは、例えばフェノールフタレイン溶液などを指す。なお、中性化した部位を識別することが可能となるものであればこれに限る必要はない。
このようにすれば、得られた画像から、コンクリート部材の内部が中性化しているか否か、中性化している場合にはどの程度進行しているかを視覚的に確認することができる。進行の程度が分かれば、材齢等から中性化の進行の早さを知ることができるので、今後どの程度の時間が経てば鉄筋周囲のコンクリートが中性化し始める時期の予測が可能となる。

0014

また、本発明は、コンクリート部材の補修方法において、上記のコンクリート部材の健全度推定方法によって、前記コンクリート部材の健全度が補修を必要とする程度に低いと推定された場合に、得られたコンクリートの強さの分布から、補修する範囲を決定し、決定された補修範囲に基づいて、前記コンクリート部材を補修することを特徴とする。

0015

このようにすれば、コンクリート部材の強さの分布によって、部位毎の補修の要否を正確に行うことができるので、補修を行う範囲を正確かつ容易に決定することができる。その結果、補修の必要な箇所を補修しなかったり、補修の不要な箇所を補修したりすることがなくなり、補修作業を確実かつ効率よく行うことができる。

発明の効果

0016

本発明によれば、コンクリート部材に削孔した孔の内面画像から、コンクリート部材の健全度を、現場で即時に、かつ容易に推定することができる。

図面の簡単な説明

0017

コンクリートの空隙率と強度比の相関関係を示したグラフである。
図1の相関関係を、変数を変えて示したグラフである。
同実施形態で用いる平面画像取得方法の一例を示した図である。
同実施形態の平面画像の一例を示す図である。
同実施形態で得られる強度比の分布の一例を示した図である。
同実施形態で行った補修状況確認方法の一例を示した図である。

実施例

0018

以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。

0019

〔コンクリートの空隙の多さとコンクリートの強さの相関関係〕
まず、本実施形態のコンクリート部材の強度推定方法において用いるコンクリートの空隙の多さとコンクリートの強さの相関関係について説明する。
発明者は、コンクリート中の空隙の量とコンクリートの強度との関係を調べる実験を行った。図1はその結果を示したものである。実験では、まず、材料を下記表1に示す分量で配合したコンクリートで空隙率の異なる供試体を作製した。そして、各供試体未充填率φを求めた。未充填率φとは、健全なコンクリート(体積にして5%程度の空気が含まれる、この度の実験では5.3%であった)の理論上の密度に対する、各供試体の実際の重量と体積から求めた密度の比である。そして、未充填率φから、対象の供試体を形成するコンクリートが単位体積あった場合にその中に存在することになる空隙の量と、単位体積の健全なコンクリート内に存在する空隙の量Air(53L)との差(以下未充填量)φ*(L)を求めた。

0020

0021

次に、供試体を形成するコンクリートが単位体積あった場合にその中に存在することになる水の量(単位水量)w、該コンクリートが健全である場合に含まれる空気の量Air、および求めた未充填量φ*の和v(=w+Air+φ*(Air+φ*=空隙率))に対するセメント絶対容積cの比c/vを供試体毎に求めた。そして、各供試体の圧縮強度f‘c(N/mm2)を測定した。その後、横軸をc/v、縦軸をf‘cとする平面上に各供試体から得られた値をプロットしたところ、プロットしたドットがほぼ直線状に配列され、c/vと圧縮強度f‘cとの間には、下記式(1)の関係があることを見出した。なお、式中のA,Bは、コンクリートの組成等によって異なる固有定数である。この実験で用いたコンクリートの場合は、A=−25.313、B=160.26であった。

0022

0023

式(1)中の定数A,Bが定まれば、同じ或いは近い組成のコンクリートで形成されたコンクリート部材については、未充填量φ*を求め、そこからc/vを計算するだけで、該コンクリート部材の推定圧縮強度f‘cを計算により求めることができるようになる。標準的な配合(例えば、w=170kg、Air=4.5±1.5%、w/c=50%程度)のコンクリートについてA,Bの値を求めておけば、一般的なコンクリート部材の推定圧縮強度f‘cは概ね求めることができる。なお、様々な組成のコンクリートについて、予め定数A,Bの値を求めたものをデータベース化して、その都度A,Bの値を変えて計算するようにすれば、より正確な定圧縮強度f‘cを求めることもできる。

0024

また、図1に示した相関関係は、横軸をコンクリート全体の体積に対する、健全なコンクリート内に存在する空隙の量Airと未充填量φ*を合算したものの百分率(以下、内部空隙率)に変更し、縦軸を健全な(未充填量φ*=0の)コンクリートの圧縮強度を1.0とした場合の強度比に変更すると、図2のように表すこともできる。つまり、対象とするコンクリートの内部空隙率を求めることができれば、図2に当てはめることによって、対象のコンクリートの健全度、すなわち、初期の状態からどの程度劣化が進んだか、或いは、施工不良がどの程度存在するか等を知ることができる。

0025

〔健全度推定方法〕
次に、上記相関関係を利用したコンクリート部材の健全度推定方法について、高架橋10を構成する鉄筋コンクリート梁(以下梁1)を例に説明する。
本実施形態では、まず、図3に示すように、ドリルを用いて、梁1の、健全度の低下が疑われる部位1b、1cの下面に、上方(梁1の中心方向)に向かう直径20mm以下の小口径(ここでは10mm程度)の孔11を削孔する。孔11は間隔(20〜300mm程度)を空けて複数削孔する。なお、初めから多くの孔11を削孔するのではなく、初めは強度が低下していると予想される部位を予測して範囲を限定した上で削孔し、徐々に削孔する範囲を広げていく、或いは、初めは広い範囲を対象に大きなピッチで全体的に削孔し、徐々に削孔する範囲を狭めていくことにより、強度に問題のありそうな部位を絞っていくようにすれば、孔11の数を最小限に抑えるとともに、健全な部位を削孔してしまう可能性を少なくすることができる。

0026

孔11を削孔した後は、各孔11に画像取得手段(直径5mm程度)Cを挿入し、孔11の内面11aの平面画像Pを取得する。平面画像Pの取得方法としては、カメラで孔11内を撮影することにより得られた内面11aを立体的に映し出した画像をコンピュータ等に取り込み、遠近差からくる大きさの違いや画像端部の歪みを補正して平面化する方法でもよいし、側面に回転式のリニアイメージセンサを有し、孔の側面をスキャンすることにより、平面画像を直接取得する方法でもよい。近年では、何れの手段も、容易に持ち運びできる程度に小型化されてきているので、このような手段を用いれば、対象の梁1があるその場所で調査することができ、作業を効率化させることができる。
平面画像Pを取得したら、その平面画像Pを、図4に示すように、深さ方向に沿って間隔(例えば10mm程度)で区切り、複数の領域Paに分ける。

0027

平面画像Pを複数の領域Paに分割した後は、各領域Paを形成するコンクリートが単位体積あった場合の内部空隙率を求める。上記実験では供試体を使って実際の空隙率を求めたが、本実施形態では平面画像Pに映し出された空隙の断面積から求める。具体的には、領域Pa内に映された全ての空隙(健全コンクリートに初めから含まれる空隙、コンクリート充填時に生じた未充填部、ひび割れ)の断面積を測定し、測定した断面積の、領域Pa全体の面積に対する割合を求める。そして、求めた割合を、この領域Paを形成するコンクリートが単位体積あった場合の空隙の総量(上記実験における、コンクリートが健全である場合に含まれる空気の量Airと求めた未充填量φ*の和(=Air+φ*)に相当する)とみなす。この空隙の総量Air+φ*を百分率で表せば、内部空隙率にもなる。
そして、空隙の総量Air+φ*を求めた場合は、更にc/vを求め、図1を参照して、求めたc/v値に対応する推定圧縮強度f‘cを求める。一方、内部空隙率を求めた場合は、図2を参照して、求めた内部空隙率に対応する強度比を求める。

0028

この推定圧縮強度f‘cまたは強度比を、削孔した全ての孔11の、全ての領域Paについても求め、得られた全ての推定圧縮強度f‘cまたは強度比と、その推定圧縮強度f‘cまたは強度比が得られた領域Paの座標を空間にプロットし、同程度の推定圧縮強度f‘cまたは強度比となった領域Pa同士を面で結ぶ。そうすると、例えば図5に示すように、梁1内における推定圧縮強度f‘cまたは強度比の立体的な分布を得ることができる。そして、この分布を用いれば、その推定結果を所定の判断基準に照らし合わせることにより、コア抜きすることなく、現場で即座に梁1の健全度(品質の良し悪し)を推定することができる。
また、推定の結果、健全度が補修を必要とする程度に低いと判断した場合には、梁1のうち、どこまでが補修を必要とする範囲で、どこからが補修不要となるのかを判断する。ここで、上述の圧縮強度の分布または強度比の分布を用いれば、例えば、図5の1bで示す薄く色付けした部位は多少強度の低下が見られるが補修は不要であり、1cで示す濃く色付けした部位は強度が著しく低下しており補修が必要、といったような判断を容易に行うことができる。

0029

もし、梁1の下面に図6(a)に示すようなひび割れ1a,1dが入っているのを見つけ、上述の方法でこの梁1の健全度を調べた結果、梁1に補修が必要と判断した場合には、ひび割れ1a,1dに樹脂Rを注入することになる。しかしながら、ひび割れの奥行きは外から見ただけでは判断できないので、図6(b)の1dで示したひび割れのように、樹脂Rがひび割れの奥まで充填されず、空隙Aが残ってしまった状態で、補修完了と判断してしまう可能性がある。このような空隙Aは、梁1の外側からは確認することができないが、図6(c)に示すように、孔11を、ひび割れ1dが孔11を通るように削孔し、その孔11に画像取得手段Cを挿入することで、樹脂Rが梁1内に十分に充填されたかどうか(空隙Aの有無)を確認することができる。もし、空隙Aが確認されれば、削孔した孔から再度樹脂Rを注入することにより、ひび割れ1dを樹脂Rで補修し直すことができる。なお、新たに削孔せずに、強度比を求めるために削孔した孔11をそのまま用いるようにしても良い。

0030

また、コンクリート構造物はコンクリート自身の強度に問題が無くても中性化による内部の鉄筋の劣化が問題となるが、上記実施形態を応用することで鉄筋の劣化を簡単に予測することができる、すなわち、孔11の内面11aにフェノールフタレイン溶液を塗布した後に内面11aを撮影し、画像化する。そうすれば、中性化していない部位は赤く変色し、中性化した部位は変色していない平面画像Pが得られる。中性化した深さと梁1の材齢とから中性化の進行の早さが求められるので、今後どの位で中性化が鉄筋まで進行するかを推定することができる。空隙の測定と同じ孔を用いればよいので、新たな孔を削孔する等の手間が省ける。

0031

以上のように、上記実施形態では、梁1(コンクリート部材)の強度推定方法において、梁1の所定部位を削孔し、削孔してできた孔11の内面11aの平面画像Pを取得し、取得した平面画像P全体の面積に対する空隙の断面を映した部分の面積の割合に基づいて、所定部位の空隙の総量または内部空隙率(空隙の多さ)を求め、コンクリートのc/vと推定圧縮強度f‘c(コンクリート強さ)との相関関係、または、コンクリートの内部空隙率と、コンクリートの強度比(コンクリート強さ)の相関関係に基づいて、求めた内部空隙率に対応する推定圧縮強度f‘cまたは強度比を求め、求めた推定圧縮強度f‘cまたは強度比に基づいて、梁1の健全度を推定するようにした。

0032

このようにすれば、得られた平面画像Pから、孔11の周囲のコンクリートにおける、充填不良の有無、経年劣化によるひび割れの位置や寸法、補修後の状況等を把握することができるのは勿論、梁1の少なくとも一部の推定圧縮強度f‘cまたは強度比を定量的に求めることができる。コンクリートの推定圧縮強度f‘cまたは強度比を知ることができれば、梁1の健全度、延いては、梁1の補修の要否を容易に判断することができる。
また、従来のように、一部のコンクリートをコア抜きする必要がなく、健全なコンクリートや鉄筋を損傷させる心配が無い。
更に、その場で調べることが可能になるので、作業が容易になる。

0033

また、上記実施形態では、孔11を、梁1の下面(表面)に沿う方向に間隔を空けて複数削孔し、各孔11について推定圧縮強度f‘cまたは強度比をそれぞれ求め、得られた複数の推定圧縮強度f‘cまたは強度比に基づいて、梁1の健全度を推定するようにした。
こうすることで、梁1における推定圧縮強度f‘cまたは強度比の平面的分布を得ることができるので、梁1の健全度を一箇所だけ削孔した場合に比べて正確に推定することができる。

0034

また、上記実施形態では、平面画像Pを、孔11の深さ方向に沿って複数の領域Paに分割し、各領域Paについて推定圧縮強度f‘cまたは強度比をそれぞれ求め、得られた複数の推定圧縮強度f‘cまたは強度比に基づいて、梁1の健全度を推定するようにした。
こうすることで、梁1における推定圧縮強度f‘cまたは強度比の深さ方向に沿った分布を得ることができる。特に、孔11を梁1の下面に沿う方向に間隔を空けて複数削孔した場合には、梁1における推定圧縮強度f‘cまたは強度比の立体的分布も得ることができるので、梁1の健全度を更に正確に推定することができる。

0035

また、上記実施形態では、梁1の下面にひび割れ1a,1dが確認された場合に、孔11を、ひび割れ1a,1dの少なくとも一部が孔11を通るように削孔するようにした。
こうすることで、孔11の内面11aにひび割れ1a,1dの断面の少なくとも一部が現れるので、梁1の劣化状態、すなわち、ひび割れ1a,1dがどの程度奥まで進行しているのかを確認することができる。
また、このひび割れ1a,1dを樹脂R等で補修した後に、ひび割れ1a,1dが奥まで樹脂Rで充填されたかどうかを確認することもできる。

0036

また、上記実施形態では、孔11の直径を20mm以下とした。
強度を調べた後、孔11は埋める必要があるが、孔11が20mmを超える大口径になると空間が大き過ぎて樹脂Rで埋めることが困難になり、モルタルを練って詰めることになる。しかし、こうすることで、モルタルでも樹脂Rでも埋めることが可能となり、健全度を調べた後の後始末が一層容易になる。また、埋め戻すためのモルタルや樹脂等は少量で済むので、後埋めした箇所の樹脂等が落下することもない。

0037

また、上記実施形態では、孔11の内面11aに、フェノールフタレイン溶液(コンクリートのpHの程度に応じて変色する薬品)を塗布してから、孔11の内面を撮影するようにした。
こうすることで、得られた平面画像Pから、梁1の内部が中性化しているか否か、中性化している場合にはどの程度進行しているかを視覚的に確認することができる。進行の程度が分かれば、材齢等から中性化の進行の早さを知ることができるので、今後どの程度の時間が経てば鉄筋周囲のコンクリートが中性化し始める時期の予測が可能となる。

0038

また、上記実施形態では、梁1の補修方法において、梁1の健全度が補修を必要とする程度に低いと推定された場合に、得られた推定圧縮強度f‘cまたは強度比の分布から、補修する範囲を決定し、決定された補修範囲に基づいて、梁1を補修するようにした。
こうすることで、梁1の推定圧縮強度f‘cまたは強度比の分布によって、部位毎の補修の要否を正確に行うことができるので、補修を行う範囲を正確かつ容易に決定することができる。その結果、補修の必要な箇所を補修しなかったり、補修の不要な箇所を補修したりすることがなくなり、補修作業を確実かつ効率よく行うことができる。

0039

以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、本実施形態では梁について説明したが、本発明は、柱等、コンクリート構造物を構成するどのコンクリート部材にも適用することができる。
また、梁の下面を削孔したが、必要に応じて上面或いは側面から削孔するようにしても良い。

0040

1 梁(コンクリート部材)
11 孔
11a内面
P平面画像
Pa 領域

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