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図面 (7)

課題

評価対象材介在物などをはじめとする欠陥を有する場合であっても、低コストかつ短時間で疲労強度を精度良く推定することが可能な疲労強度推定方法を提供する。

解決手段

評価対象材に疲労強度に影響を与える欠陥が存在しない場合の疲労強度である健全材疲労強度を取得する健全材疲労強度取得工程S01と、前記評価対象材における疲労強度に影響を及ぼす欠陥因子を少なくとも一つ測定する欠陥因子測定工程S02と、予め取得した前記評価対象材における前記疲労強度と前記欠陥因子との関係に基づいて、前記欠陥因子測定工程において取得した欠陥因子から、前記疲労強度の低下率を取得する疲労強度低下率取得工程S03と、を備える。

概要

背景

火力発電プラントタービン翼に使用されるタービン翼材(評価対象材)としては、例えば12Cr鋼や17−4PH鋼などの耐食性と強度に優れたステンレス鋼が使用されている。回転体に用いる材は高い信頼性が要求されるため、これまで1次溶解及び2次溶解を施して材料中の介在物偏析等を低減してきた。一方、1次溶解のみで製造された翼材では、介在物や偏析は若干増大するが大幅なコスト低減を図ることができる。このような低コスト材を採用するためには、正確に材料特性を把握して、翼材の信頼性を損なわないようにすることが重要である。この清浄度は、JIS G 0555に定められるものであり、清浄度が大きいほど、その材料中に含まれる非金属介在物(例えば酸化物)の割合が多いことを意味する。

また、2Cr鋼や17−4PH鋼などのステンレス鋼では偏析によりδフェライト相が析出し、材料特性の悪化の一因となる。δフェライトの析出量は、JIS G 0555に定められる点算法AMS2315に定められた手法にて計測することができる。上述のようなタービン翼材においてδフェライトの含有量の上限を許容したり、表面欠陥内部欠陥を許容したりすることができれば、鋼材選択肢が増えてコストを低減することができると考えられる。
なお、本明細書中においては、材料中に分散する介在物やδフェライト、材料中に形成されている表面欠陥、内部欠陥などを含めて単に欠陥と称する。

上述のような欠陥を許容することができれば、タービン翼材のコストの低減を図ることが可能となるが、このような欠陥が存在する場合、欠陥を起因とした疲労破壊が生じ易くなり、疲労強度が低下してしまうおそれがある。したがって、評価対象となるタービン翼材をすべて疲労試験し、疲労強度が十分な特性を有しているかどうかを確認する必要がある。しかしながら、このように疲労試験を全ての溶解ロット毎に逐一行うことは、時間とコストが過剰にかかってしまう。また、評価対象となるタービン翼材から欠陥を試験部に含む試験片を作製することは困難といった問題もある。
そこで、例えば、特許文献1には、微小欠陥が形成された微小欠陥部材の疲労強度の低下を推定する方法が開示されている。

概要

評価対象材が介在物などをはじめとする欠陥を有する場合であっても、低コストかつ短時間で疲労強度を精度良く推定することが可能な疲労強度推定方法を提供する。評価対象材に疲労強度に影響を与える欠陥が存在しない場合の疲労強度である健全材疲労強度を取得する健全材疲労強度取得工程S01と、前記評価対象材における疲労強度に影響を及ぼす欠陥因子を少なくとも一つ測定する欠陥因子測定工程S02と、予め取得した前記評価対象材における前記疲労強度と前記欠陥因子との関係に基づいて、前記欠陥因子測定工程において取得した欠陥因子から、前記疲労強度の低下率を取得する疲労強度低下率取得工程S03と、を備える。

目的

この発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、評価対象材が介在物などをはじめとする欠陥を有する場合であっても、低コストかつ短時間で疲労強度を精度良く推定することが可能な疲労強度推定方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

評価対象材疲労強度に影響を与える欠陥が存在しない場合の疲労強度である健全材疲労強度を取得する健全材疲労強度取得工程と、前記評価対象材における疲労強度に影響を及ぼす欠陥因子を少なくとも一つ測定する欠陥因子測定工程と、予め取得した前記評価対象材における前記疲労強度と前記欠陥因子との関係に基づいて、前記欠陥因子測定工程において取得した欠陥因子から、前記疲労強度の低下率を取得する疲労強度低下率取得工程と、を備えることを特徴とする疲労強度推定方法

請求項2

前記健全材疲労強度と、前記疲労強度の低下率との積を前記評価対象材の疲労強度として取得する疲労強度算出工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の疲労強度推定方法。

請求項3

前記欠陥因子として、介在物δフェライト磁粉探傷試験における欠陥指示長さ、及び超音波探傷試験における欠陥指示長さ、の中から少なくとも一つ選択することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の疲労強度推定方法。

請求項4

前記欠陥因子として、介在物を選択した場合に、評価対象材中に分散する介在物の長径短径平均長さを測定することを特徴とする請求項3に記載の疲労強度推定方法。

請求項5

前記欠陥因子の測定結果平均値に、さらに前記欠陥因子の標準偏差をn倍した値を足し合わせたものを用いて疲労強度低下率を取得することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の疲労強度推定方法。

請求項6

前記健全材疲労強度取得工程では、硬さ試験又は引張試験の結果を、予め取得した疲労強度と引張強度との関係に対応させて、前記健全材疲労強度を取得することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の疲労強度推定方法。

請求項7

タービン翼材の余肉部から、前記欠陥因子測定工程において測定される前記評価対象材の試験片を取得することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の疲労強度推定方法。

技術分野

0001

本発明は、例えばタービン翼材などを評価対象材として疲労強度推定する疲労強度推定方法に関するものである。

背景技術

0002

火力発電プラントのタービン翼に使用されるタービン翼材(評価対象材)としては、例えば12Cr鋼や17−4PH鋼などの耐食性と強度に優れたステンレス鋼が使用されている。回転体に用いる材は高い信頼性が要求されるため、これまで1次溶解及び2次溶解を施して材料中の介在物偏析等を低減してきた。一方、1次溶解のみで製造された翼材では、介在物や偏析は若干増大するが大幅なコスト低減を図ることができる。このような低コスト材を採用するためには、正確に材料特性を把握して、翼材の信頼性を損なわないようにすることが重要である。この清浄度は、JIS G 0555に定められるものであり、清浄度が大きいほど、その材料中に含まれる非金属介在物(例えば酸化物)の割合が多いことを意味する。

0003

また、2Cr鋼や17−4PH鋼などのステンレス鋼では偏析によりδフェライト相が析出し、材料特性の悪化の一因となる。δフェライトの析出量は、JIS G 0555に定められる点算法AMS2315に定められた手法にて計測することができる。上述のようなタービン翼材においてδフェライトの含有量の上限を許容したり、表面欠陥内部欠陥を許容したりすることができれば、鋼材選択肢が増えてコストを低減することができると考えられる。
なお、本明細書中においては、材料中に分散する介在物やδフェライト、材料中に形成されている表面欠陥、内部欠陥などを含めて単に欠陥と称する。

0004

上述のような欠陥を許容することができれば、タービン翼材のコストの低減を図ることが可能となるが、このような欠陥が存在する場合、欠陥を起因とした疲労破壊が生じ易くなり、疲労強度が低下してしまうおそれがある。したがって、評価対象となるタービン翼材をすべて疲労試験し、疲労強度が十分な特性を有しているかどうかを確認する必要がある。しかしながら、このように疲労試験を全ての溶解ロット毎に逐一行うことは、時間とコストが過剰にかかってしまう。また、評価対象となるタービン翼材から欠陥を試験部に含む試験片を作製することは困難といった問題もある。
そこで、例えば、特許文献1には、微小欠陥が形成された微小欠陥部材の疲労強度の低下を推定する方法が開示されている。

先行技術

0005

特開2010−175478号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、特許文献1に記載された疲労強度の推定方法では、残留応力の影響を考慮して疲労強度の低下度合いを推定しており、上述したような介在物をはじめとする欠陥が疲労強度に及ぼす影響を把握することはできなかった。

0007

この発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、評価対象材が介在物などをはじめとする欠陥を有する場合であっても、低コストかつ短時間で疲労強度を精度良く推定することが可能な疲労強度推定方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

前述の課題を解決するために、本発明の疲労強度推定方法は、評価対象材に疲労強度に影響を与える欠陥が存在しない場合の疲労強度である健全材疲労強度を取得する健全材疲労強度取得工程と、前記評価対象材における疲労強度に影響を及ぼす欠陥因子を少なくとも一つ測定する欠陥因子測定工程と、予め取得した前記評価対象材における前記疲労強度と前記欠陥因子との関係に基づいて、前記欠陥因子測定工程において取得した欠陥因子から、前記疲労強度の低下率を取得する疲労強度低下率取得工程と、を備えることを特徴としている。

0009

本発明の疲労強度推定方法によれば、評価対象材に疲労強度に影響を与える欠陥が存在しない場合における疲労強度を健全材疲労強度として取得する健全材疲労強度取得工程と、前述の評価対象材における疲労強度に影響を及ぼす欠陥因子を少なくとも一つ測定する欠陥因子測定工程とを備えているので、予め取得した前述の評価対象材における欠陥因子と疲労強度との関係に基づいて、欠陥因子測定工程において取得した欠陥因子から、疲労強度の低下率を取得することができる。そして、この疲労強度の低下率と健全材欠陥疲労強度とを積算することによって、評価対象材の疲労強度を得ることができる。
したがって、本発明の疲労強度推定方法においては、評価対象材を直接疲労試験することなく、評価対象材の欠陥因子を測定することによって、評価対象材の疲労強度を推定することができるので、低コストかつ短時間で疲労強度を把握することが可能となる。また、欠陥因子を測定することにより疲労強度を推定する構成とされているので、疲労強度の推定精度を高めることができる。

0010

本発明の疲労強度推定方法は、前記健全材疲労強度と、前記疲労強度の低下率との積を前記評価対象材の疲労強度として取得する疲労強度算出工程を備えていても良い。
この場合、前述の健全材疲労強度と、前述の疲労強度の低下率との積を評価対象材の疲労強度として取得する構成とされているので、評価対象材の疲労強度を把握し、その評価対象材の疲労強度が、例えば構造部材として十分であるかどうかを判断することができる。

0011

また、本発明の疲労強度推定方法は、前記欠陥因子として、介在物、δフェライト、磁粉探傷試験における欠陥指示長さ、及び超音波探傷試験における欠陥指示長さ、の中から少なくとも一つ選択する構成としても良い。
評価対象材中に分散する介在物、δフェライト、評価対象材に存在する上述の欠陥指示長さは、疲労強度に影響を及ぼす因子であり、本発明の疲労強度推定方法において、上述のような欠陥因子を選択することによって、より精度の高い疲労強度を取得することができる。また、上述の因子をふたつ以上選択し、予測された疲労強度の中からより低い疲労強度を把握することによって、より安全側の評価をすることが可能である。

0012

また、本発明の疲労強度推定方法は、前記欠陥因子として、介在物を選択した場合に、評価対象材中に分散する介在物の長径短径平均長さを測定することが好ましい。
この場合、評価対象材の疲労強度に影響を及ぼす介在物の長径と短径の平均長さを欠陥因子としているので、より精度の高い疲労強度の評価を行うことができる。

0013

また、本発明の疲労強度推定方法は、前記欠陥因子の測定結果平均値に、さらに前記欠陥因子の標準偏差をn倍した値を足し合わせたものを用いて疲労強度低下率を取得する構成としても良い。
この場合、欠陥因子の測定の結果の平均値に、欠陥因子の標準偏差をn倍した値をさらに足した上で、疲労強度低下率を取得する構成とされているので、より安全側の評価をすることができる。
ここで、nは、正の数であり、必要な安全率に応じて適宜設定することができる。また、欠陥因子の測定結果の平均値は、例えば正規分布とされている。

0014

また、本発明の疲労強度推定方法は、前記健全材疲労強度取得工程では、硬さ試験又は引張試験の結果を、予め取得した疲労強度と引張強度との関係に対応させて、前記健全材疲労強度を取得する構成としても良い。
例えば、JIS鉄鋼I巻末に記載されている鋼材の硬さと引張強度との関係(SAEJ 417)から引張強度を求めることが可能である。硬さ試験から引張強度を推定したり、引張試験を行うことにより、評価対象材の引張強度を取得したりすることによって得られた引張強度の結果を、予め取得した疲労強度と引張強度との関係に対応させることによって健全材疲労強度を容易に把握することができる。

0015

また、本発明の疲労強度推定方法は、タービン翼材の余肉部から、前記欠陥因子測定工程において測定される前記評価対象材の試験片を取得する構成とされても良い。
この場合、タービン翼を構成することになるタービン翼材から評価対象材の試験片を取得することができるので、実際に使用するタービン翼の疲労強度の推定精度を高めることが可能となる。

発明の効果

0016

本発明によれば、評価対象材が介在物などをはじめとする欠陥を有する場合であっても、低コストかつ短時間で疲労強度を精度良く評価することが可能な疲労強度推定方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0017

本発明の実施形態である疲労強度推定方法のフロー図である。
評価対象材の健全材疲労強度と引張強度との関係を示す概略図である。
評価対象材における介在物サイズとその頻度との関係とを示す図である。
介在物を有する場合の疲労強度σw及び健全材疲労強度σw0の比と、介在物サイズとの関係を示す図である。
タービン翼の余肉部を説明するための概略図である。
本発明の実施形態である疲労強度推定方法を用いて取得した推定疲労強度と、実際に疲労試験を行って得た実体疲労強度との関係を示す図である。

0018

以下に、本発明の実施形態である疲労強度推定方法について添付した図面を参照して説明する。

0019

本実施形態である疲労強度推定方法は、タービン翼を構成するタービン翼材の疲労強度を推定する方法である。ここで、タービン翼は、例えば12Cr鋼、17−4PH鋼などの耐食性と強度に優れたステンレス鋼で構成されている。このような鋼材は、その内部に介在物(非金属介在物)やδフェライトを有していたり、表面欠陥や内部欠陥が形成されていたりする場合がある。本実施形態においては、このような介在物、δフェライト、表面欠陥、内部欠陥を含めて単に「欠陥」と称する。上述したような欠陥が鋼材に存在する場合には、これらの欠陥を起点として疲労破壊が生じ易くなるため、疲労強度が低下するおそれがある。
本実施形態である疲労強度推定方法は、上述のような欠陥に起因して疲労強度が低下する場合の疲労強度(疲労限)を推定する方法である。

0020

本発明の実施形態である疲労強度推定方法は、図1のフロー図に示すように、健全材疲労強度取得工程S01と、欠陥因子測定工程S02と、疲労強度低下率取得工程S03と、疲労強度算出工程S04と、を備えている。
以下に各工程の詳細について説明する。なお、本実施形態では、評価対象材として、上述したような鋼材を用いた。

0021

(健全材疲労強度取得工程S01)
まず、評価対象材における硬さ試験を実施し、JIS鉄鋼I巻末に記載されている鋼材の硬さと引張強度との関係(SAEJ 417)から、評価対象材の引張強度X1を取得する。なお、硬さ試験は、例えばJIS Z 2244に準拠して行えば良い。
そして、予め実験室実験などで取得した疲労強度と引張強度との関係に基づいて、前述の硬さ試験によって求めた引張強度から評価対象材の疲労強度(基準疲労強度)を取得する。
ここで、取得される疲労強度は、評価対象材に疲労強度に影響を与える欠陥が存在しない場合の疲労強度である健全材疲労強度である。また、予め取得した疲労強度と引張強度との関係は、欠陥がない又は疲労強度に影響を与える欠陥が極力少ない試験片を用いて実施室で各試験を行い、取得したものである。

0022

具体的には、図2に示す予め取得した疲労強度と引張強度との関係(図2において直線A)に、引張強度X1を対応させて、疲労強度Y1を取得することによって評価対象材の健全材疲労強度を取得することができる。
なお、引張強度X1については、評価対象材に対して引張試験を行い、引張強度を取得しても良いし、市販品である評価対象材の場合は、ミルシートなどの検査結果から引張強度を取得しても良い。

0023

(欠陥因子測定工程S02)
次に、前述の評価対象材における疲労強度に影響を及ぼす欠陥因子を少なくとも一つ選択して測定する。この欠陥因子は、疲労強度に及ぼす因子であれば、どのような因子でも良い。具体的には、欠陥因子として、評価対象材中に分散する介在物の量やサイズ、評価対象材中に分散するδフェライトの量やサイズなどが挙げられる。

0024

また、評価対象材を磁粉探傷試験(MT:Magnetic Partile Testingと称されることもある)によって検査し、評価対象材の表面欠陥に相当する欠陥指示長さを欠陥因子としても良い。また、評価対象材を超音波探傷試験(UT:Ultrasonic Testingと称されることもある)によって検査し、評価対象材の内部欠陥に相当する欠陥指示長さを欠陥因子としても良い。

0025

本実施形態においては、欠陥因子として、レプリカ法を用いて評価対象材中に分散する介在物サイズ及びδフェライト面積率最大面積率)を測定した。レプリカ法は、所定の処理を施して現出させた測定対象箇所の表面の金属組織に対応する凹凸フィルム転写し、この転写した凹凸を光学顕微鏡走査型電子顕微鏡などを用いて組織観察する方法であり、この観察結果から例えば介在物及びδフェライトの大きさ、面積率、個数密度などを把握することができる。また、介在物などを測定する場合に、電界抽出残渣分析によって粒径分布最大粒径などを測定しても良い。

0026

介在物サイズの測定結果の一例として、例えば図3に示すように、介在物サイズとその頻度との関係(図3において曲線B)を把握することができる。本実施形態では、介在物サイズ及びδフェライト面積率として、平均値にさらに標準偏差σの3倍(+3σ)を足し合わせたもの(介在物サイズの場合は、図3におけるX2)を、以下の工程で用いる。なお、図3に示すように、介在物サイズとその頻度との関係は正規分布となっている。

0027

(疲労強度低下率取得工程S03)
次に、予め実験室での実験によって取得した介在物を有する場合の疲労強度σw及び健全材疲労強度σw0の比と、欠陥因子との関係に基づいて、前述の欠陥因子測定工程S02において取得した欠陥因子の値から、疲労強度の低下率を取得する。本実施形態においては、前述のようにして求めた介在物サイズX2又はδフェライトの値を、予め取得した介在物を有する場合の疲労強度σw及び健全材疲労強度σw0の比と、介在物サイズ又はδフェライトとの関係に対応させて疲労強度の低下率を取得する。

0028

より具体的には、予め実験室などの実験によって求めた介在物を有する場合の疲労強度σw及び健全材疲労強度σw0の比と、介在物サイズとの関係(図4において曲線C)に、欠陥因子測定工程S02で求めた介在物サイズX2を対応させて、評価対象材の疲労強度低下率Y2を把握する。
なお、図4における曲線Cは、例えば介在物を有する場合の疲労強度を[健全材疲労強度×A/{√(欠陥サイズ)}1/6]の関係から求めることもできる(日本機械学会論文集(A編)54巻499号(昭63−3)参照)。ここで、Aは材料ごとに決められる定数である。

0029

(疲労強度算出工程S04)
次に、健全材疲労強度取得工程S01において取得した健全材疲労強度と、疲労強度低下率取得工程S03において取得した疲労強度の低下率との積を、評価対象材の疲労強度として取得する。なお、予め図4において、縦軸を[介在物を有する評価対象材の疲労強度σw]にしておけば、これにX2を対応させることで、グラフから疲労強度を取得することもできる。
以上のようにして、本実施形態である疲労強度推定方法が完了する。

0030

以上のような構成とされた本実施形態である疲労強度推定方法においては、評価対象材に疲労強度に影響を与える欠陥が存在しない場合における疲労強度を健全材疲労強度として取得する健全材疲労強度取得工程S01と、前述の評価対象材における疲労強度に影響を及ぼす欠陥因子として介在物サイズ及びδフェライト面積率を測定する欠陥因子測定工程S02とを備えている。よって、予め取得した前述の評価対象材における介在物サイズ又はδフェライト面積率と疲労強度との関係に基づいて、欠陥因子測定工程S02において取得した介在物サイズ又はδフェライト面積率から、疲労強度の低下率を取得することができる。そして、この疲労強度の低下率と健全材欠陥疲労強度とを積算することによって、評価対象材の疲労強度を得ることができる。

0031

したがって、本実施形態である疲労強度推定方法においては、評価対象材を直接疲労試験することなく、評価対象材の欠陥因子(介在物サイズ及びδフェライト面積率)を測定することによって、評価対象材の疲労強度を推定することができるので、低コストかつ短時間で疲労強度を把握することが可能となる。また、欠陥因子(介在物サイズ及びδフェライト面積率)を測定することにより疲労強度を推定する構成とされているので、疲労強度の推定精度を高めることができる。

0032

また、本実施形態である疲労強度推定方法は、健全材疲労強度と、疲労強度の低下率との積を評価対象材の疲労強度として取得する疲労強度算出工程S04を備えているので、評価対象材の疲労強度を把握することができる。そして、その評価対象材の疲労強度が、例えば構造部材として十分であるかどうかを判断することができる。

0033

また、本実施形態である疲労強度推定方法は、欠陥因子として、介在物のサイズ及びδδフェライトの面積率を測定しているので、予測された疲労強度の中からより低い疲労強度を把握することによって、より安全側の評価をすることが可能である。

0034

また、本実施形態である疲労強度推定方法は、介在物サイズの測定結果の平均値に、さらに標準偏差を3倍した値を足し合わせたものを用いて疲労強度低下率を取得する構成とされているので、より安全側の評価をすることができる。

0035

以上、本発明の実施形態である、翼材の寿命評価方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、この発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。

0036

例えば、評価対象材をタービン翼材の余肉部から、前述の欠陥因子測定工程において測定される評価対象材の試験片を取得する構成とされても良い。具体的には、図5に示すように、放電加工機などを用いてタービン翼材10の余肉部11から試験片をサンプリングすれば良い。タービン翼材となる角材板厚中心部に介在物などの偏析が存在し、この偏析は、鍛伸方向に平行に伸長して分布する傾向にある。角材中心部は、機械工により削り出しされてタービン翼とされた場合にタービン翼のプロファイル表面に現出する部分である。タービン翼においては、このプロファイル表面において疲労強度が問題となることが多く、このプロファイル表面の近傍からサンプリングを行い、上述の実施形態で説明した疲労強度推定方法を適用することによって、より精度の高い疲労強度を把握することができる。

0037

なお、上記の実施形態では、タービン翼材に対して本実施形態である疲労強度推定方法を適用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、介在物を有する金属材料や、表面欠陥又は/及び内部欠陥が形成された金属材料に疲労強度推定方法を適用しても良い。

0038

以下に、本発明の有効性を確認するために行った確認実験について説明する。
本実施例においては、12CrMo鋼を評価対象材として、上記の実施形態で説明した疲労強度推定方法を行った。
まず、評価対象材である12CrMo鋼に対して、引張試験を行った。その結果、引張強さσB=60kgf/mm2であった。ここで、予め把握しておいた12CrMo鋼の疲労強度σW0と引張強さσBとの関係、σW0=0.5σBの関係より、σW0=30kgf/mm2が算出される。

0039

次に、評価対象材である12CrMo鋼に対して介在物サイズの評価を行った。評価はレプリカ法により行い、長径の平均値と短径の平均値を求め、これらの平均値を介在物サイズとした。すなわち、介在物の形状は楕円として、長径と短径を求め、これらの平均値である平均長さを算出した。

0040

そして、12CrMo鋼の介在物サイズの疲労強度の推定式である、σW=σW0×A/{√(介在物サイズ)}1/6]の関係を用いて、それぞれの介在物サイズの試験片の疲労強度を推定するとともに疲労強度低下率を算出した。ここで、Aは材料ごとに実験的に決められる定数である。

0041

次に、評価対象材を用いて疲労試験を実施し、実際の疲労強度を求めた。疲労試験は、ASTME466およびE1012に準拠して実施した。

0042

以上の評価の結果を表1に示す。また、実際に疲労試験を実施して得られた実体疲労強度と、本発明の実施例で行った疲労強度推定方法により得られた推定疲労強度との関係を図6に示す。

0043

実施例

0044

表1の結果及び、図6に示されるように、疲労強度推定方法により得られた推定疲労強度は、実体疲労強度とほぼ同じであることが確認された。
また、ここでは、σW0=0.5σBの関係より、σW0を算出したが、タービン翼などとして使用した際により安全側の設計をするために、σW0=0.45σBなどの0.5より低い値を使用しても良い。

0045

10タービン翼材
11余肉部
S01健全材疲労強度取得工程
S02欠陥因子測定工程
S03疲労強度低下率取得工程
S04 疲労強度算出工程

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