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技術 4級アンモニウム塩担持ポリスチレン、及び、それを用いたエポキシ化合物の製造方法

出願人 日本化薬株式会社国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 中西政隆藤田知樹今喜裕佐藤一彦富永健一
出願日 2013年10月9日 (7年0ヶ月経過) 出願番号 2013-212278
公開日 2015年4月20日 (5年6ヶ月経過) 公開番号 2015-074731
状態 特許登録済
技術分野 エポキシ系化合物 触媒を使用する低分子有機合成反応 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード ベンゼン環側 臭素元素 タングステン酸化合物 ビフェニレン樹脂 級アンモニウム硫酸水素塩 過酸化水素水中 トリアコンチル基 内標準物質
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (1)

課題

本発明は、過酸化水素を使用したオレフィン性二重結合を有する化合物エポキシ化反応の際に、触媒として作用し、高いエポキシ基生成率を可能とする4級アンモニウム塩担持ポリスチレン、及び、それを用いたエポキシ化合物の製造方法を提供することを目的とする。

解決手段

下記式(I):(式中、nは8以上の整数を表し、R1はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R2はそれぞれ独立して炭素数1〜30の炭化水素基を表し、X−は一価陰イオンを表す)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする4級アンモニウム塩担持ポリスチレン。

概要

背景

相間移動触媒は、有機溶媒に可溶な化合物と、水に可溶な化合物との不均一系での反応を可能にする触媒である。この相間移動触媒としては、特に4級アンモニウム塩幅広く使用され、例えば、4級アンモニウム塩の存在下、オレフィン性二重結合を有する化合物に過酸化水素を反応させてエポキシ基を生成させる技術が従来から知られている(特許文献1)。しかし、これらの4級アンモニウム塩は、反応溶液中に拡散してしまうため、回収及び再利用が困難であった。また、4級アンモニウム塩が除去できず、得られる生成物中に、4級アンモニウム塩が不純物として残留してしまうという問題もあった。

この問題を解決するため、例えば特許文献2には、ポリスチレンに特定の構造を有する4級アンモニウム塩を担持させた化合物(4級アンモニウム塩担持ポリスチレン)が記載されている。このアンモニウム塩は、触媒として使用した場合に、反応後の回収が容易であるという利点を有する。

概要

本発明は、過酸化水素を使用したオレフィン性二重結合を有する化合物のエポキシ化反応の際に、触媒として作用し、高いエポキシ基の生成率を可能とする4級アンモニウム塩担持ポリスチレン、及び、それを用いたエポキシ化合物の製造方法を提供することを目的とする。下記式(I):(式中、nは8以上の整数を表し、R1はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R2はそれぞれ独立して炭素数1〜30の炭化水素基を表し、X−は一価陰イオンを表す)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする4級アンモニウム塩担持ポリスチレン。なし

目的

本発明は、上記状況を鑑みてなされたものであり、過酸化水素を使用したオレフィン性二重結合を有する化合物のエポキシ化反応の際に、触媒として作用し、高いエポキシ基の生成率を可能とする4級アンモニウム塩担持ポリスチレン、及び、それを用いたエポキシ化合物の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

下記式(I):(式中、nは8以上の整数を表し、R1はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R2はそれぞれ独立して炭素数1〜30の炭化水素基を表し、X−は一価陰イオンを表す)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする4級アンモニウム塩担持ポリスチレン

請求項2

前記式(I)中の3つのR2に含まれる炭素原子の数の合計が、17〜48であることを特徴とする請求項1に記載の4級アンモニウム塩担持ポリスチレン。

請求項3

請求項1又は2に記載の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンの存在下、オレフィン性二重結合を有する化合物過酸化水素を反応させることを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、4級アンモニウム塩担持ポリスチレン、及び、それを用いたエポキシ化合物の製造方法に関する。

背景技術

0002

相間移動触媒は、有機溶媒に可溶な化合物と、水に可溶な化合物との不均一系での反応を可能にする触媒である。この相間移動触媒としては、特に4級アンモニウム塩が幅広く使用され、例えば、4級アンモニウム塩の存在下、オレフィン性二重結合を有する化合物に過酸化水素を反応させてエポキシ基を生成させる技術が従来から知られている(特許文献1)。しかし、これらの4級アンモニウム塩は、反応溶液中に拡散してしまうため、回収及び再利用が困難であった。また、4級アンモニウム塩が除去できず、得られる生成物中に、4級アンモニウム塩が不純物として残留してしまうという問題もあった。

0003

この問題を解決するため、例えば特許文献2には、ポリスチレンに特定の構造を有する4級アンモニウム塩を担持させた化合物(4級アンモニウム塩担持ポリスチレン)が記載されている。このアンモニウム塩は、触媒として使用した場合に、反応後の回収が容易であるという利点を有する。

先行技術

0004

特開2002−37113号公報
特開2008−94899号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、従来の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを相間移動触媒として使用した、オレフィン性二重結合を有する化合物に過酸化水素を反応させるエポキシ化反応では、エポキシ基の生成率が十分ではない、という更なる問題があった。

0006

本発明は、上記状況を鑑みてなされたものであり、過酸化水素を使用したオレフィン性二重結合を有する化合物のエポキシ化反応の際に、触媒として作用し、高いエポキシ基の生成率を可能とする4級アンモニウム塩担持ポリスチレン、及び、それを用いたエポキシ化合物の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上記目的を達成するための本発明の要旨構成は、以下の通りである。

0008

[1]下記式(I):



(式中、nは8以上の整数を表し、R1はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R2はそれぞれ独立して炭素数1〜30の炭化水素基を表し、X−は一価陰イオンを表す)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする4級アンモニウム塩担持ポリスチレン。

0009

[2]前記式(I)中の3つのR2に含まれる炭素原子の数の合計が、17〜48であることを特徴とする前記[1]に記載の4級アンモニウム塩担持ポリスチレン。

0010

[3]前記[1]又は[2]に記載の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンの存在下、オレフィン性二重結合を有する化合物に過酸化水素を反応させることを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。

発明の効果

0011

本発明によれば、過酸化水素を使用したオレフィン性二重結合を有する化合物のエポキシ化反応の際に、触媒として作用し、高いエポキシ基の生成率を可能とする4級アンモニウム塩担持ポリスチレン、及び、それを用いたエポキシ化合物の製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0013

以下、本発明についてその実施形態を例示して具体的に説明する。
なお、本明細書において、転化率とは、エポキシ化反応により、オレフィン性二重結合を有する化合物から消失したオレフィン性二重結合の割合(%)をいい、選択率とは、エポキシ化反応によりオレフィン性二重結合を有する化合物から消失したオレフィン性二重結合中、エポキシ基に選択的に変換したものの割合(%)をいい、生成率とは、エポキシ化反応により、オレフィン性二重結合を有する化合物のオレフィン性二重結合中、エポキシ基に変換したものの割合(%)をいう。

0014

<4級アンモニウム塩担持ポリスチレン>
本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンは、上記式(I)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする。

0015

式(I)において、nは8以上の整数であり、10以上の整数であることが好ましく、15以上の整数であることがより好ましい。nが8以上の整数であることで、本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを触媒として使用した上記エポキシ化反応の際に、従来の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを使用した場合に比して、エポキシ基の生成率を向上させることができる。また、nの値の上限は特に限定されないが、通常、20以下である。

0016

式(I)において、R1はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。

0017

式(I)において、R2はそれぞれ独立して炭素数1〜30の炭化水素基であり、入手容易性の観点からは、炭素数1〜25の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜21の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1〜16の炭化水素基であることが特に好ましい。上記炭化水素基は、特に限定されず、アルキル基アルケニル基芳香族炭化水素基等が挙げられるが、直鎖又は分岐アルキル基であることが好ましく、直鎖のアルキル基であることがより好ましい。直鎖のアルキル基であることで、反応性が向上する。R2としては、例えば、メチル基、エーテル基プロピル基ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基、ノニル基、デシル基ウンデシル基、ドデシル基トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基などが挙げられる。

0018

そして、式(I)中の3つのR2に含まれる炭素原子の数の合計が、17〜48であることが好ましく、20〜48であることがより好ましく、24〜48であることが特に好ましい。式(I)中の3つのR2に含まれる炭素原子の数の合計が17以上であることで、本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを触媒として使用した上記エポキシ化反応において、4級アンモニウム塩担持ポリスチレンの有機層への親和性が向上し相間移動触媒としての機能が向上するため、エポキシ基の生成率を向上させることができ、該炭素原子の数の合計が48以下であることで、本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンの生産性が向上する。
また、エポキシ化反応に触媒として使用した際の、エポキシ基の生成率を向上させる観点から、本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンが有する3つの炭化水素基R2のうち、1つのR2に含まれる炭素原子の数が、他の2つのR2それぞれに含まれる炭素原子の数よりも少ないことが好ましい。

0019

式(I)において、X−は、一価の陰イオンであり、HSO4−、Cl−、Br−からなる群から選択されるいずれか1つであることが好ましく、HSO4−であることがより好ましい。X−がHSO4−であることで、本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンをエポキシ化反応の触媒として使用した際に、エポキシ基の生成率を向上させることができ、加えて、得られるエポキシ化合物へのハロゲン混入を避けることができる。

0020

本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンにおいて、4級アンモニウム塩の担持率は、10〜90モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましい。4級アンモニウム塩の担持率が10モル%以上であることで、エポキシ化反応に触媒として使用した際のエポキシ基の生成率を向上させることができ、90モル%以下であることで,4級アンモニウム塩構造過密になりすぎず、同様にエポキシ化反応に触媒として使用した際のエポキシ基の生成率を向上させることができる。なお、本明細書において、4級アンモニウム塩の担持率とは、4級アンモニウム塩担持ポリスチレンの全繰り返し単位中、4級アンモニウム塩が担持された繰り返し単位の割合(モル%)をいう。また、式(I)で表される繰り返し単位中、4級アンモニウム塩由来置換基がポリスチレンのベンゼン環に結合する位置は、そのベンゼン環のオルトメタ及びパラのいずれの位置であってもよく、格別制限されるものではない。

0021

本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンは、溶剤に対して不溶性である。本明細書において、「溶剤に対して不溶性」であるとは、メチルエチルケトンメチルイソブチルケトンテトラヒドロフロン、及び、トルエンに、90℃以下で、5質量%以上溶解しないことを意味する。
このように4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを溶剤に対して不溶性とするため、4級アンモニウム塩担持ポリスチレンは、その骨格中に、ポリビニルベンゼンジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等)由来の繰り返し単位を有することが好ましい。このようなポリビニルベンゼン由来の繰り返し単位を有することで、4級アンモニウム塩担持ポリスチレンが3次元架橋構造を有することとなり、溶剤に対しての溶解度を低下させることができる。なお、本明細書においては、「ポリスチレン」は、スチレン由来の繰り返し単位のみからなる重合体スチレン単独重合体)と、スチレン由来の繰り返し単位とポリビニルベンゼン由来の繰り返し単位とを含有する重合体(スチレンとポリビニルベンゼンとの共重合体)とが包含されるスチレン系重合体を意味するものとする。
なお、本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを構成するポリスチレンがスチレンとポリビニルベンゼンとの共重合体である場合、全繰り返し単位中、ポリビニルベンゼン由来の繰り返し単位は、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましい。

0022

本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンの粒子径は、特に限定されないが、相間移動触媒としての活性と、反応系からの分離回収の容易さとのバランスを考慮すると、20〜8000μmが好ましく、30〜1000μmがより好ましく、50〜300μmが特に好ましい。なお、4級アンモニウム塩担持ポリスチレンの粒子径は、例えば、粒度分布計を用いて測定することができる。

0023

以下、本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを製造する方法について説明する。本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを製造する方法は、特に限定されないが、例えば、以下の式(II)で表される繰り返し単位を有するポリスチレン(以下、適宜、化合物(II)と略記するものとする)と、3級アミンとを反応させる方法が挙げられる。

0024

0025

式(II)中、n、R1は、それぞれ式(I)と同じものを表し、Yはハロゲン原子を表す。Yのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子塩素原子臭素原子ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましい。

0026

まず、4級アンモニウム塩担持ポリスチレンの原料として用いられる、化合物(II)を製造する方法について説明する。化合物(II)を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、酸の存在下、ポリスチレンと、末端ハロゲン化されたα−オレフィンとを溶媒中で反応させることで得られる。

0027

本明細書において、末端がハロゲン化されたα−オレフィンとは、片方の末端にハロゲン基を有し、もう片方の末端に炭素炭素二重結合を有するオレフィンをいう。化合物(II)の製造に使用可能な、末端がハロゲン化されたα−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、9−ブロモ−1−ノネン、10−ブロモ−1−デセン、11−ブロモ−1−ウンデセン、12−ブロモ−1−ドデセン、13−ブロモ−1−トリデセン、14−ブロモ−1−テトラデセン、15−ブロモ−1−ペンタデセン、16−ブロモ−1−ヘキサデセン、などが挙げられる。

0028

化合物(II)の製造に使用可能な酸としては、特に限定されないが、強酸が好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸トルフルオロ酢酸硫酸塩酸三フッ化ホウ素などが挙げられる。また、化合物(II)の製造に使用可能な溶媒としては、上記末端がハロゲン化されたα−オレフィンが溶解するものであれば特に限定されず、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、クロロホルムテトラクロロエチレン等の極性溶媒が挙げられる。

0029

上記化合物(II)を製造するための反応は、特に限定されないが、上記溶媒にポリスチレンと上記の酸とを添加し、得られた混合液に対して、別途溶媒に溶解させた上記末端がハロゲン化されたα−オレフィンを、原料であるポリスチレンの全繰り返し単位1モル当量に対して、通常0.1〜10モル当量、好ましくは0.8〜1.2モル当量添加し、25〜150℃で3〜100時間反応させることが好ましい。反応終了後、生成物をろ取した後、適宜溶媒で洗浄等して、化合物(II)を得ることができる。

0030

次に、上記のようにして得られた化合物(II)と3級アミンとを溶媒中で反応させ、本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを製造する方法について説明する。

0031

4級アンモニウム塩担持ポリスチレンの製造に使用可能な3級アミンとしては、目的とする4級アンモニウム塩担持ポリスチレンの、式(I)のR2の構造を考慮して適宜選択すればよいが、例えば、メチルジオクチルアミン、トリエチルアミントリブチルアミントリオクチルアミン、メチルジデシルアミンなどが挙げられる。

0032

4級アンモニウム塩担持ポリスチレンの製造に使用可能な溶媒としては、上記3級アミンが溶解するものであれば特に限定されず、例えば、アセトニトリルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒などが挙げられる。

0033

4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを製造するための反応は、特に限定されないが、上記溶媒に化合物(II)と、化合物(II)のハロゲン化アルキル基1モル当量に対して0.9〜20モル当量、より好ましくは0.9〜15モル当量、特に好ましくは0.9〜10モル当量部の上記3級アミンとを添加し、0〜100℃で1〜50時間反応させることが好ましい。反応終了後、生成物をろ取した後、適宜溶媒で洗浄等して、X−がハロゲンイオンである4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを得ることができる。

0034

さらに、上述の理由から、得られたX−がハロゲンイオンである4級アンモニウム塩担持ポリスチレンに硫酸水溶液を加えて、硫酸水素塩とする(式(I)のX−をHSO4−とする)ことが好ましい。硫酸水素塩とする場合は、例えば、上記化合物(II)と3級アミンとの反応後、ろ取等により得られた生成物(X−がハロゲンイオン)に硫酸水溶液とトルエン等の有機溶媒を加え、0〜150℃で1〜50時間反応させることで、4級アンモニウム塩担持ポリスチレンのハロゲンイオンをHSO4−に置換することができる。

0035

この際の硫酸水溶液の量は、特に限定されないが、得られたX−がハロゲンイオンである4級アンモニウム塩担持ポリスチレンの全繰り返し単位1モル当量に対して、1〜20モル当量が好ましい。得られた生成物をろ取した後、適宜溶媒で洗浄等して、X−がHSO4−である4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを得ることができる。

0036

<エポキシ化合物の製造方法>
本発明のエポキシ化合物の製造方法は、本発明の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンの存在下、オレフィン性二重結合を有する化合物に過酸化水素を反応させることを特徴とする。本発明のエポキシ化合物の製造方法において、過酸化水素は、特に限定されないが、通常水に溶解させて過酸化水素水として添加する。過酸化水素水中の過酸化水素の濃度は、特に限定されないが、取扱いの簡便さから過酸化水素濃度が10〜40質量%の濃度であることが好ましい。過酸化水素水の使用量は、特に限定されないが、過酸化水素の量が、原料となる化合物のオレフィン性二重結合1モル当量に対して、1.0〜5.0モル当量となる量であることが好ましく、1.1〜3.2モル当量となる量であることがより好ましい。過酸化水素の量が、原料となる化合物のオレフィン性二重結合に対して1.05モル当量以上であることで、エポキシ化を効率よく進めることができ、5.0モル当量以下であることで、生成するエポキシ基の加水分解を抑制することができる。また本発明のエポキシ化合物の製造方法においては、リン酸化合物タングステン酸化合物等の公知の他の触媒を併用してもよい。本発明のエポキシ化合物の製造方法によれば、従来の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを触媒として使用した場合に比して、エポキシ基の生成率を向上させることができる。

0037

以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンの構造同定には、元素分析装置:CE INSTRUMENTS製EA1110を用い、炭素、水素窒素硫黄、および臭素元素構成比率を測定した。担持率は、元素分析により得られた窒素原子の値が担持された4級アンモニウム塩の量と対応するとみなし、同様に、炭素、水素原子の量がポリスチレンおよび窒素原子に結合するアルキル基に由来するとみなして算出した。そして4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを触媒として用いたエポキシ化反応の、転化率、選択率、生成率の決定は、以下の手法により行った。

0038

(転化率、選択率、生成率の決定)
転化率、選択率、生成率は、以下の式により計算した。計算した各々の値の少数第一位四捨五入して、それぞれ転化率、選択率、生成率として記載した。

0039

・転化率(%)=(1−得られたエポキシ化合物1分子内に残存するオレフィン性二重結合の数の平均値/反応前のオレフィン性二重結合を有する化合物1分子内のオレフィン性二重結合の数の平均値)×100
・選択率(%)={得られたエポキシ化合物1分子内に存在するエポキシ基の数の平均値/(反応前のオレフィン性二重結合を有する化合物1分子内のオレフィン性二重結合の数の平均値−得られたエポキシ化合物1分子内に残存するオレフィン性二重結合の数の平均値)}×100
・生成率(%)=転化率×選択率/100
なお、反応前後の各化合物1分子内のオレフィン性二重結合の数の平均値、反応後の各化合物1分子内のエポキシ基の数の平均値は、1H−NMR測定(溶媒:CDCl3、内標準物質ナフタレン)により得られるスペクトルピーク面積から算出した。

0040

・実施例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンの合成
(1)窒素導入管温度計及び還流管を取り付けた50mlの三口フラスコに東京化成工業社製ポリスチレン樹脂ビーズ(東京化成工業社製ジビニルベンゼン由来の繰り返し単位を1モル%含有するスチレン系重合体100〜200メッシュ)1.60g、トリフルオロメタンスルホン酸0.3g(2.0mmol)、1,2−ジクロロエタン8mlを投入し、窒素雰囲気下、室温で30分間攪拌した。その後、得られた混合液を水浴中にて48℃まで昇温し、該混合液に11−ブロモ−1−ウンデセン3.54g(15.2mmol)を6.5mlの1,2−ジクロロエタンに溶解させた溶液を、カニュレーションにより40分間かけて投入した。さらに48℃で38時間攪拌した後、析出した残渣をろ取し、トルエン、アセトンメタノール、THFで洗浄し、その後70℃で真空乾燥し、以下の式(III)で表される繰り返し単位を含む化合物を得た(収量は2.6g)。元素分析より、C:73.58、H:8.39、Br:17.75と算出された。また、元素分析のデータから算出した担持率は、48.2モル%であった。

0041

0042

(2)得られた式(III)で表される繰り返し単位を含む化合物1.5gと、メチルジオクチルアミン1.7g(式(III)で表される繰り返し単位を含む化合物の臭素化アルキル基1モル当量に対して3モル当量)と、アセトニトリル20mlを50mlフラスコに投入し、78℃で48時間攪拌した。その後、固形分をろ取し、トルエンとTHFで洗浄した。
洗浄後の残渣にトルエン10mlと45%硫酸水溶液(20ml)を加え、さらに24時間室温で攪拌した。その後、得られた粗生成物をろ取し、水とTHFとトルエンで洗浄し、さらに真空乾燥し、以下の式(IV)で表される繰り返し単位を含む実施例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレン(ポリスチレンのベンゼン環と窒素原子とをつなぐ炭素鎖が、ベンゼン環側から1つ目の炭素にメチル基を有する)を得た。元素分析より、C:72.56、H:10.27、N:1.89、S:4.36と算出された。また、元素分析のデータから算出した担持率は、47.6モル%であった。

0043

0044

・実施例2の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンの合成
11−ブロモ−1−ウンデセンに替えて、9−ブロモ−1−ノネン3.12g(15.2mmol)を使用した以外は、実施例1の場合と同様の操作を行い、以下の式(V)で表される繰り返し単位を含む実施例2の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを得た。元素分析より、C:70.44、H:10.75、N:2.07、S:4.26と算出された。また、元素分析のデータから算出した担持率は、58.4モル%であった。

0045

0046

・実施例3の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンの合成
メチルジオクチルアミンに替えて、トリオクチルアミン2.4g(式(III)で表される繰り返し単位を含む化合物の臭素化アルキル基1モル当量に対して3モル当量)とした以外は、実施例1の場合と同様の操作を行い、以下の式(VI)で表される繰り返し単位を含む実施例5の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを得た。元素分析より、C:74.48、H:9.89、N:1.35、S:2.60と算出された。また、元素分析のデータから算出した担持率は、27.2モル%であった。

0047

0048

・比較例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンの合成
50mlのガラスフラスコに、以下の式(VII)で表される繰り返し単位を含むN,N−ジオクチルアミノメチル基を有するポリスチレン(Argonaut Technologies,800257,PS−Clに塩基性条件下でジオクチルアミンを作用させてできた化合物)0.81g(1.09mmol)と、トルエン7.5mlとを投入し、室温にてゆっくりとジメチル硫酸1.34g(10.6mmol)を滴下した。

0049

0050

ジメチル硫酸を滴下後、混合液の温度を140℃に昇温し12時間攪拌した。次いで該混合液を90℃まで下げ、過剰のジメチル硫酸を処理するため水3mlを加え、さらに90℃にて7時間攪拌した。その後、65%硫酸水溶液4mlを加え、混合液の温度を室温まで戻し、更に12時間攪拌した。析出した粗生成物をろ取し、水、ジエチルエーテルで洗浄し、さらに真空乾燥し、以下の式(VIII)で表される繰り返し単位を含む比較例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを得た(収量0.868g、収率98%)。元素分析より、C:76.90、H:8.91、N:1.77、S:3.79と算出された。また、元素分析のデータから算出した担持率は、24.5モル%であった。

0051

0052

・比較例2の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンの合成
11−ブロモ−1−ウンデセンに替えて、5−ブロモ−1−ペンテン2.27g(15.2mmol)を使用した以外は、実施例1の場合と同様の操作を行い、以下の式(IX)で表される繰り返し単位を含む比較例2の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを得た。元素分析より、C:67.98、H:9.49、N:2.00、S:5.36と算出された。また、元素分析のデータから算出した担持率は、45.3モル%であった。

0053

0054

・比較例3の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンの合成
11−ブロモ−1−ウンデセンに替えて、7−ブロモ−1−ヘプテン2.69g(15.2mmol)を使用した以外は、実施例1の場合と同様の操作を行い、以下の式(X)で表される繰り返し単位を含む比較例3の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを得た。元素分析より、C:67.01、H:9.33、N:1.87、S:5.82と算出された。また、元素分析のデータから算出した担持率は、44.9モル%であった。

0055

0056

<<1−オクテンのエポキシ化反応>>
実施例2及び比較例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを用いた1オクテンのエポキシ化反応を行い、本発明の効果を確認した。

0057

[反応例1]実施例2の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを用いた1−オクテンのエポキシ化
撹拌機還流冷却管撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、1−オクテンを含むトルエン溶液(オクテン濃度:25質量%)を投入し、さらに1−オクテン100モル部当たりタングステン酸ナトリウム水和物を2モル部、アミノメチルホスホン酸AMPA)を1モル部、そして、硫酸を1モル部、そして、1−オクテン100質量部当たり、実施例2の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを7.1質量部投入し、この混合液を90℃に昇温した。昇温後、攪拌しながら、35%過酸化水素水溶液を、1−オクテンのオレフィン性二重結合に対し過酸化水素が1.5当量となる量を、5分間かけて添加し、添加終了後、そのまま90℃で4時間攪拌した。
ついで、濾過を行い触媒等の固形成分を取り除いた後、有機層を取り出した。この有機層5mlに対し、10質量%チオ硫酸ナトリウム水溶液を0.1ml加え、濃縮することで、1,2−エポキシオクタンを含む生成物を得た。転化率は61%、選択率は100%、生成率は61%であった。

0058

[反応例2]比較例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを用いた1−オクテンのエポキシ化
実施例2の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンに替えて比較例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを使用した以外は、反応例1と同様にして、1,2−エポキシオクタンを含む生成物を得た。転化率は75%、選択率は73%、生成率は55%であった。

0059

[反応例3]比較例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを用いた1−オクテンのエポキシ化
実施例2の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンに替えて比較例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを使用し、そして硫酸を添加しない以外は、反応例1と同様にして、1,2−エポキシオクタンを含む生成物を得た。転化率は64%、選択率は82%、生成率は52%であった。

0060

反応例1〜3の結果を以下の表1にまとめた。

0061

0062

表1の結果からわかるように、実施例2の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを用いた反応例1は、比較例1の4級アンモニウム塩担持ポリスチレンを用いた反応例2、反応例3に比してエポキシ基の生成率に比して高いエポキシ基の生成率を示した。

0063

<<アリルエーテル化合物のエポキシ化反応>>
実施例1、3及び比較例1〜3の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを用いたアリルエーテル化合物(以下、適宜、AEPと称する)のエポキシ化反応を行い、本発明の効果を確認した。

0064

[AEPの合成]
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら水40質量部、ジメチルスルホキシド400質量部、フェノールビフェニレン樹脂水酸基当量210g/eq.軟化点74℃)210質量部を加え、45℃に昇温し溶解後、38〜40℃に冷却、そのままフレーク状の苛性ソーダ純度99% 東ソー製)44.4質量部(フェノールビフェニレン樹脂の水酸基1モル当量に対し、1.1モル当量)を60分かけて添加し、その後、さらにアリルクロライド(純度98.7% 市販のアリルクロライドを蒸留生成により分離。アリルクロライドポリマーが、アリルクロライドに対し0.2面積%未満であることをガスクロマトグラフィーにより確認)101.5質量部(フェノールビフェニレン樹脂の水酸基1モル当量に対し、1.3モル当量)を60分かけて滴下、そのまま38〜40℃で5時間、60〜65℃で1時間反応を行った。
反応終了後、ロータリーエバポレータにて135℃以下で加熱減圧下、水やジメチルスルホキシド等を留去した後、メチルイソブチルケトン740質量部を加え、水洗を繰り返し、水層中性になったことを確認した後、油層からロータリーエバポレータを用いて減圧下、窒素バブリングしながら溶剤類を留去することで、以下の式(XI)で表されるAEP240質量部を得た。得られたAEPの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定結果を図1に示す。

0065

(式中、nは繰り返し数の平均値であり、n=2.4である)

0066

[反応例4]
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、上記合成したAEPを含むトルエン溶液(AEPの濃度:40質量%)を投入し、さらにAEP100モル部当たり、タングステン酸ナトリウム2水和物を4モル部、リン酸を2.5モル部(85%リン酸水溶液)、そして、AEP100質量部当たり、アンバーリスト35WET(オルガノより購入)を7.1質量部、実施例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを12.5質量部投入し、この混合液を90℃に昇温した。昇温後、攪拌しながら、30%過酸化水素水溶液を、AEP中のアリル基に対し過酸化水素が3当量となる量を、10〜20分間かけて添加し、添加終了後、そのまま90℃で2時間攪拌した。
ついで、濾過を行い触媒等の固形成分を取り除いた後、有機層を取り出した。この有機層50mlに対し、20質量%チオ硫酸ナトリウム水溶液を1ml加え、濃縮することで、エポキシ化合物を得た。転化率は11%、選択率は100%、生成率は11%であった。

0067

[反応例5]
実施例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンに替えて実施例3の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを使用した以外は、反応例4と同様にして、エポキシ化合物を得た。転化率は23%、選択率は78%、生成率は18%であった。

0068

[反応例6]
実施例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンに替えて比較例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを使用した以外は、反応例4と同様にして、エポキシ化合物を得た。転化率は3%、選択率は100%、生成率は3%であった。

0069

[反応例7]
実施例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンに替えて比較例2の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを使用した以外は、反応例4と同様にして、エポキシ化合物を得た。転化率は2%、選択率は100%、生成率は2%であった。

0070

[反応例8]
実施例1の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンに替えて比較例3の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを使用した以外は、反応例4と同様にして、エポキシ化合物を得た。転化率は4%、選択率は100%、生成率は4%であった。

0071

反応例4〜5、及び、反応例6〜8の結果を以下の表2にまとめた。

0072

実施例

0073

表2からわかるように、nが8以上である実施例1、3の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを触媒としてそれぞれ使用した反応例4、5は、nが8未満である比較例1〜3の4級アンモニウム硫酸水素塩担持ポリスチレンを触媒としてそれぞれ使用した反応例6〜8に比して、高いエポキシ基の生成率を示した。

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