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技術 ブレーキ温度検出装置および電動駐車ブレーキ制御装置

出願人 株式会社アドヴィックス
発明者 村田俊介都築哲明湯浅賢太郎
出願日 2013年9月20日 (7年4ヶ月経過) 出願番号 2013-195485
公開日 2015年3月30日 (5年10ヶ月経過) 公開番号 2015-058889
状態 特許登録済
技術分野 ブレーキシステム(ブースタ) ブレーキシステム(弁・付属装置) ブレーキシステム(制動力調整)
主要キーワード なされた仕事 警告発生装置 冷却係数 ニュートンの冷却の法則 判定漏れ ブレーキ熱 制動負荷 低下温度
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

より的確にブレーキ温度を検出することができるブレーキ温度検出装置を提供する。

解決手段

温度センサ検出信号読み取り値が示す大気温度よりもブレーキ周辺温度が上昇してしまうような状況、例えば渋滞走行中の場合には大気温度補正値を求め、その大気温度補正値に基づいて大気温度を補正する。そして、その補正後の大気温度に基づいてブレーキ温度を演算する。これにより、演算されたブレーキ温度をより実際のブレーキ温度に近づけることが可能となる。したがって、より的確にブレーキ温度を検出することが可能となる。

概要

背景

従来、特許文献1において、ブレーキ温度に基づいた制御を行うものの一つとして、ブレーキ温度に対応するブレーキ熱量を算出し、それに基づいてフェード状態になっていることの警告であるフェード警告を行うフェード警告発生装置が提案されている。この装置では、制動によるブレーキ温度上昇量の演算と、自然冷却による冷却後のブレーキ温度(以下、冷却後ブレーキ温度という)の演算とによって、ブレーキ温度の演算を行う温度演算処理を行い、このブレーキ温度に基づいてフェード警告を行っている。

具体的には、走行により車両に発生している運動エネルギーと、それを制動力に変換したときに想定される熱量との関係を予め求めておき、車両の運動エネルギーを熱量に換算することで制動時のブレーキ温度上昇量を求めている。また、大気温度前回求めたブレーキ温度との温度差に基づいて冷却後ブレーキ温度を求めている。そして、算出されたブレーキ温度上昇量と冷却後ブレーキ温度とに基づいてブレーキ温度を求め、このブレーキ温度がフェード温度以上であるとフェード状態であると判定すると共に、車体速度から算出された車体減速度(以下、単に減速度という)が制動時のマスタシリンダ(以下、M/Cという)圧から算出される減速度の予想値よりも低いとブレーキの効きが低下していると判定し、フェード警告を行っている。

概要

より的確にブレーキ温度を検出することができるブレーキ温度検出装置を提供する。温度センサ検出信号読み取り値が示す大気温度よりもブレーキ周辺温度が上昇してしまうような状況、例えば渋滞走行中の場合には大気温度補正値を求め、その大気温度補正値に基づいて大気温度を補正する。そして、その補正後の大気温度に基づいてブレーキ温度を演算する。これにより、演算されたブレーキ温度をより実際のブレーキ温度に近づけることが可能となる。したがって、より的確にブレーキ温度を検出することが可能となる。

目的

本発明は上記点に鑑みて、より的確にブレーキ温度を検出することができるブレーキ温度検出装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

制御周期ごとにブレーキ温度の検出を行うブレーキ温度検出装置であって、制動時に、車両を制動させることによる前記ブレーキ温度の上昇量であるブレーキ温度上昇量を演算する制動時ブレーキ温度上昇量演算手段と、前記制動時ではないときに、前記車両に備えられた温度センサ検出信号読み取り値が示す大気温度前回の制御周期の際に検出されたブレーキ温度との差に基づいて、自然冷却によって冷却されたブレーキ温度である冷却後ブレーキ温度を演算する冷却温度演算手段と、前記ブレーキ温度上昇量と前記冷却後ブレーキ温度とを足すことで、今回の制御周期におけるブレーキ温度を検出するブレーキ温度演算手段と、前記温度センサの検出信号の読み取り値が示す大気温度よりも前記車両におけるホイールハウス内の温度が高くなる状況を判定する温度上昇判定手段を備え、前記冷却温度演算手段は、該温度上昇判定手段にて前記ホイールハウス内の温度が高くなる状況であると判定されると、前記温度センサの検出信号の読み取り値が示す大気温度に対して大気温度補正値を足すことで前記大気温度を補正し、補正後の前記大気温度を用いて前記冷却後ブレーキ温度を演算することを特徴とするブレーキ温度検出装置。

請求項2

前記冷却温度演算手段は、前記温度上昇判定手段にて前記ホイールハウス内の温度が高くなる状況であると判定されたときに、前記冷却後ブレーキ温度に対してブレーキ温度補正値を足すことで前記冷却後ブレーキ温度を補正し、前記ブレーキ温度演算手段では、補正後の前記冷却後ブレーキ温度を用いて前記ブレーキ温度を検出することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ温度検出装置。

請求項3

前記温度上昇判定手段は、前記車両が渋滞走行中のときに前記ホイールハウス内の温度が高くなる状況と判定し、前記温度センサの検出信号の読み取り値が示す大気温度よりも高い値に前記大気温度を補正することを特徴とする請求項2に記載のブレーキ温度検出装置。

請求項4

渋滞度合いを示す渋滞レベルを判定する渋滞レベル判定手段を有し、前記渋滞レベルが高いほど、前記大気温度補正値および/または前記ブレーキ温度補正値を大きな値に設定することを特徴とする請求項2または3に記載のブレーキ温度検出装置。

請求項5

前記渋滞レベル判定手段は、前記車両の車体速度と比較される閾値として複数段階設定された低速走行判定閾値と、前記車体速度が前記低速走行判定閾値以下となっている継続時間と比較される閾値として複数段階設定された低速走行判定時間とを有し、前記車体速度が前記低速走行判定閾値の中でもより低い値以下となっているほど、もしくは、前記継続時間が前記低速走行判定時間の中でもより長い時間以上になっているほど、前記渋滞レベルが高いと判定することを特徴とする請求項4に記載のブレーキ温度検出装置。

請求項6

前記渋滞レベル判定手段は、制動開始時の前記車体速度である制動初速所定距離当たりの制動回数とによって示される制動負荷と比較される閾値として複数段階設定された低速走行制動負荷と、前記制動負荷が前記低速走行制動負荷以下となっている回数と比較される閾値として複数段階設定された低速走行制動負荷回数とを有し、前記制動負荷が前記低速走行制動負荷の中でもより低い値以下となっているほど、もしくは、前記制動負荷が前記低速走行制動負荷以下となっている回数が前記低速走行制動負荷回数の中でもより多い回数以上となっているほど、前記渋滞レベルが高いと判定することを特徴とする請求項4または5に記載のブレーキ温度検出装置。

請求項7

モータを駆動することによって前記摩擦材を前記被摩擦材押圧する押圧力を発生させ、前記摩擦材と前記被摩擦材との摩擦によってブレーキ力を発生させる電動駐車ブレーキの制御を行う電動駐車ブレーキ制御装置であって、前記モータを駆動することにより前記押圧力を発生させることで前記電動駐車ブレーキによるブレーキ力を発生させ、該ブレーキ力が目標制動力に達すると前記モータの駆動を停止し、前記ブレーキ力を保持してロック状態にさせるロック制御を行うロック制御手段を有し、前記ロック制御手段は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のブレーキ温度検出装置にて検出されたブレーキ温度に基づいて、前記ロック制御の終了タイミングまたは前記ロック制御の制御回数を設定していることを特徴とする電動駐車ブレーキ制御装置。

技術分野

0001

本発明は、ブレーキ温度を的確に検出することができるブレーキ温度検出装置およびブレーキ温度に基づいて電動駐車ブレーキ(以下、EPB(Electric parking brake)という)を制御するEPB制御装置に関するものである。

背景技術

0002

従来、特許文献1において、ブレーキ温度に基づいた制御を行うものの一つとして、ブレーキ温度に対応するブレーキ熱量を算出し、それに基づいてフェード状態になっていることの警告であるフェード警告を行うフェード警告発生装置が提案されている。この装置では、制動によるブレーキ温度上昇量の演算と、自然冷却による冷却後のブレーキ温度(以下、冷却後ブレーキ温度という)の演算とによって、ブレーキ温度の演算を行う温度演算処理を行い、このブレーキ温度に基づいてフェード警告を行っている。

0003

具体的には、走行により車両に発生している運動エネルギーと、それを制動力に変換したときに想定される熱量との関係を予め求めておき、車両の運動エネルギーを熱量に換算することで制動時のブレーキ温度上昇量を求めている。また、大気温度前回求めたブレーキ温度との温度差に基づいて冷却後ブレーキ温度を求めている。そして、算出されたブレーキ温度上昇量と冷却後ブレーキ温度とに基づいてブレーキ温度を求め、このブレーキ温度がフェード温度以上であるとフェード状態であると判定すると共に、車体速度から算出された車体減速度(以下、単に減速度という)が制動時のマスタシリンダ(以下、M/Cという)圧から算出される減速度の予想値よりも低いとブレーキの効きが低下していると判定し、フェード警告を行っている。

先行技術

0004

特開2001−122107号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、冷却後ブレーキ温度の演算に用いられる大気温度は車両に備えられた温度センサによって検出され、温度センサは大気温度をより正確に検出できる場所、例えばエンジンルーム内などに配置されている。このため、渋滞走行中などのように車両のホイールハウス内の温度が上昇してしまう状況においては、温度センサの検出信号読み取り値が示す大気温度に対してブレーキ周辺温度が上昇する。したがって、実際のブレーキ周辺温度よりも低い大気温度に基づいて冷却後ブレーキ温度の演算が行われることになり、フェード状態になっているにもかかわらずフェード警告が行えなくなるような判定漏れが発生する可能性がある。

0006

本発明は上記点に鑑みて、より的確にブレーキ温度を検出することができるブレーキ温度検出装置を提供すること、および、そのような的確なブレーキ温度に基づいてEPBを制御することができるEPB制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、制御周期ごとにブレーキ温度の検出を行うブレーキ温度検出装置であって、制動時に、車両を制動させることによるブレーキ温度の上昇量であるブレーキ温度上昇量を演算する制動時ブレーキ温度上昇量演算手段と、制動時ではないときに、車両に備えられた温度センサの検出信号の読み取り値が示す大気温度と前回の制御周期の際に検出されたブレーキ温度との差に基づいて、自然冷却によって冷却されたブレーキ温度である冷却後ブレーキ温度を演算する冷却温度演算手段と、ブレーキ温度上昇量と冷却後ブレーキ温度とを足すことで、今回の制御周期におけるブレーキ温度を検出するブレーキ温度演算手段と、温度センサの検出信号の読み取り値が示す大気温度よりも車両におけるホイールハウス内の温度が高くなる状況を判定する温度上昇判定手段を備え、冷却温度演算手段は、該温度上昇判定手段にてホイールハウス内の温度が高くなる状況であると判定されると、温度センサの検出信号の読み取り値が示す大気温度に対して大気温度補正値を足すことで大気温度を補正し、補正後の大気温度を用いて冷却後ブレーキ温度を演算することを特徴としている。

0008

このように、温度センサの検出信号の読み取り値が示す大気温度よりもブレーキ周辺温度が上昇するような状況、例えば渋滞走行中の場合には大気温度補正値を求め、その大気温度補正値に基づいて大気温度を補正している。そして、その補正後の大気温度に基づいてブレーキ温度を演算している。これにより、演算されたブレーキ温度をより実際のブレーキ温度に近づけることが可能となり、より的確にブレーキ温度を検出することが可能となる。

0009

請求項2に記載の発明では、冷却温度演算手段は、温度上昇判定手段にてホイールハウス内の温度が高くなる状況であると判定されたときに、冷却後ブレーキ温度に対してブレーキ温度補正値を足すことで冷却後ブレーキ温度を補正し、ブレーキ温度演算手段では、補正後の冷却後ブレーキ温度を用いてブレーキ温度を検出することを特徴としている。

0010

このようにすれば、判定結果が出るまでの間に演算されたブレーキ温度が実際のブレーキ温度から乖離したとしても、ホイールハウス内の温度が高くなる状況であると判定されたときに、そのタイミングでブレーキ温度補正値分が加味されてブレーキ温度が求められる。このため、判定後には演算されたブレーキ温度を実際のブレーキ温度にほぼ一致させることが可能となる。

0011

請求項3に記載の発明では、温度上昇判定手段は、車両が渋滞走行中のときにホイールハウス内の温度が高くなる状況と判定し、温度センサの検出信号の読み取り値が示す大気温度よりも高い値に大気温度を補正することを特徴としている。

0012

このように、例えば車両が渋滞走行中のときにホイールハウス内の温度が高くなる状況とすることができ、この場合に温度センサの検出信号の読み取り値が示す大気温度よりも高い値に大気温度を補正することで、請求項1に記載の効果を得ることができる。

0013

請求項4に記載の発明では、渋滞度合いを示す渋滞レベルを判定する渋滞レベル判定手段を有し、渋滞レベルが高いほど、大気温度補正値および/またはブレーキ温度補正値を大きな値に設定することを特徴としている。

0014

このように、渋滞レベルが高いほど、大気温度補正値および/またはブレーキ温度補正値を大きな値に設定されるようにすれば、ホイールハウス内の温度上昇の度合いに応じて大気温度補正値および/またはブレーキ温度補正値を設定することができる。

0015

例えば、請求項5に記載の発明のように、渋滞レベル判定手段は、車両の車体速度と比較される閾値として複数段階設定された低速走行判定閾値と、車体速度が低速走行判定閾値以下となっている継続時間と比較される閾値として複数段階設定された低速走行判定時間とを有し、車体速度が低速走行判定閾値の中でもより低い値以下となっているほど、もしくは、継続時間が低速走行判定時間の中でもより長い時間以上になっているほど、渋滞レベルが高いと判定することができる。

0016

また、請求項6に記載の発明のように、渋滞レベル判定手段は、制動開始時の車体速度である制動初速所定距離当たりの制動回数とによって示される制動負荷と比較される閾値として複数段階設定された低速走行制動負荷と、制動負荷が低速走行制動負荷以下となっている回数と比較される閾値として複数段階設定された低速走行制動負荷回数とを有し、制動負荷が低速走行制動負荷の中でもより低い値以下となっているほど、もしくは、制動負荷が低速走行制動負荷以下となっている回数が低速走行制動負荷回数の中でもより多い回数以上となっているほど、渋滞レベルが高いと判定することもできる。

0017

請求項7に記載の発明では、モータを駆動することにより押圧力を発生させることで電動駐車ブレーキによるブレーキ力を発生させ、該ブレーキ力が目標制動力に達するとモータの駆動を停止し、ブレーキ力を保持してロック状態にさせるロック制御を行うロック制御手段を有し、ロック制御手段は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のブレーキ温度検出装置にて検出されたブレーキ温度に基づいて、ロック制御の終了タイミングまたはロック制御の制御回数を設定していることを特徴としている。

0018

このように、ブレーキ温度を演算したら、そのブレーキ温度に基づいてロック制御の制御タイミングまたはロック制御の制御回数を設定することで、熱緩み現象が生じても、駐車を維持できる程度の所望の制動力を発生させることができる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の第1実施形態にかかるEPB制御装置が適用された車両用ブレーキシステムの全体概要を示した模式図である。
ブレーキ温度検出結果に基づくフェード警告処理の詳細を示したフローチャートである。
冷却温度演算処理の詳細を示したフローチャートである。
大気温度補正演算処理の詳細を示したフローチャートである。
渋滞判定処理の詳細を示したフローチャートである。
低速走行判定閾値と車体速度との関係を示したタイムチャートである。
ブレーキ操作と車体速度および制動負荷の演算タイミングなどの関係を示したタイムチャートである。
低速走行判定閾値および低速走行判定時間と渋滞レベルの関係の一例を示したマップである。
低速走行制動負荷と低速走行制動負荷回数と渋滞レベルの関係の一例を示したマップである。
渋滞レベルと大気温度補正値およびブレーキ温度補正値の関係を示したマップである。
ブレーキ温度演算処理の詳細を示したフローチャートである。
渋滞走行中において、大気温度補正演算を実行しなかった場合のタイムチャートである。
渋滞走行中において、大気温度補正演算を実行した場合のタイムチャートである。

実施例

0020

以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。

0021

(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、後輪系にディスクブレーキタイプのEPBを適用している車両用ブレーキシステムを例に挙げて説明する。図1は、本実施形態にかかるブレーキ温度検出装置を含むEPB制御装置が適用された車両用ブレーキシステムの全体概要を示した模式図である。以下、この図を参照して説明する。

0022

図1に示すように、ブレーキシステムには、ドライバ踏力に基づいてブレーキ力を発生させるサービスブレーキ1と駐車時に車輪ロックして車両の移動を規制するためのEPB2とが備えられている。

0023

サービスブレーキ1は、ドライバによるブレーキペダル3の踏み込みに応じた踏力を倍力装置4にて倍力したのち、倍力された踏力に応じたブレーキ液圧をM/C5内に発生させ、このブレーキ液圧を各車輪のブレーキ機構に備えられた各ホイールシリンダ(以下、W/Cという)6に伝えることでブレーキ力を発生させる。また、M/C5とW/C6との間には、ブレーキ液圧調整を行うためのアクチュエータ7が備えられており、サービスブレーキ1により発生させるブレーキ力を調整し、車両の安全性を向上させるための各種制御(例えば、ABS制御等)を行える構造とされている。

0024

アクチュエータ7を用いた各種制御は、ESC(Electronic Stability Control)−ECU8にて実行される。例えば、ESC−ECU8からアクチュエータ7に備えられる各種制御弁ポンプ駆動用のモータを制御するための制御電流を出力することにより、アクチュエータ7に備えられたブレーキ液圧回路を制御し、W/C圧を制御する。例えば、通常ブレーキ時には、アクチュエータ7はM/C5内に発生させられたM/C圧をW/C6にそのまま伝えるが、ABS制御時などにおいては、各種制御弁のオンオフを制御すると共にポンプ駆動用のモータを制御することでW/C圧を増減させ、車輪ロックを回避できるようにする。また、アクチュエータ7は各種制御弁およびポンプ駆動用モータを駆動することで、W/C圧を自動加圧することができ、M/C圧が発生していないときやM/C圧以上にW/C圧を発生させたいときに、自動加圧機能に基づいて高いブレーキ力を発生させることができる。なお、アクチュエータ7の構造については、従来よりよく知られているものであるため詳細については省略するが、各種制御弁やポンプ、ポンプ駆動用のモータなどを備えた構成とされている。

0025

一方、EPB2は、EPB制御装置(以下、EPB−ECUという)9によって制御され、EPB−ECU9によってモータ10を駆動し、ブレーキ機構を制御することでブレーキ力を発生させる。

0026

EPB−ECU9は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムにしたがってモータ10の回転を制御することによりロック制御やリリース制御などの駐車ブレーキ制御を行ったりフェード警告処理を行う。ロック制御では、モータ10を駆動することによりブレーキパッド11をブレーキディスク12に押し当てる押圧力を発生させることでEPB2によるブレーキ力を発生させ、ブレーキ力が目標制動力に達するとモータ10の駆動を停止し、ブレーキ力を保持してロック状態にさせる。リリース制御では、モータ10をロック制御と逆方向に駆動することによりブレーキパッド11がブレーキディスク12に押し当てられていた押圧力を解除し、ブレーキパッド11とブレーキディスク12との間が所定距離離間してからモータ10の駆動を停止し、リリース状態にさせる。また、フェード警告処理では、ブレーキ温度を検出すると共にブレーキ温度に基づいてフェード状態になっているか否かを判定し、フェード状態に至っていればフェード警告を行う。EPB−ECU9のうち、このフェード警告処理におけるブレーキ温度を検出する部分が本発明のブレーキ温度検出装置を構成している。

0027

EPB−ECU9とESC−ECU8とは、車内LANであるCAN通信などを通じて互いに情報の授受を行っている。EPB−ECU9は、駐車ブレーキ制御を実行するにあたり、ESC−ECU8で取り扱われている車体速度情報、ストップランプスイッチ(以下、STPという)の状態に関する情報であるSTP情報、M/C圧情報などを取得している。ESC−ECU8では、図示しない車輪速度センサやSTPおよびM/C圧センサからの検出信号を取得し、これらに基づいて車体速度情報、STP情報、M/C圧情報を取得しているため、これら各情報がCAN通信を通じてEPB−ECU9に伝えられる。

0028

また、EPB−ECU9は、例えば車室内インストルメントパネル(図示せず)に備えられた操作スイッチ(SW)20の操作状態に応じた信号や、車両前後方向の加速度センサ21の検出信号を入力し、操作SW20の操作状態や車両の前後方向加速度等に基づいてモータ10を駆動する。さらに、EPB−ECU9は、インストルメントパネルに備えられたロック/リリース表示ランプ23に対して、ロック中であるかリリース中であるかを示す信号を出力したり、EPB2の故障が検出されたとき、もしくは、フェード警告時には、表示装置24に対してその旨を示す信号を出力する。

0029

具体的には、EPB−ECU9は、モータ10に流される電流モータ電流)をモータ10の上流側もしくは下流側で検出するモータ電流検出、ロック制御を終了させるときの目標モータ電流目標電流値)を演算する目標モータ電流演算、モータ電流が目標モータ電流に達したか否かの判定、操作SW20の操作状態に基づくEPB2の制御など、駐車ブレーキ制御を実行するための各種機能部を有している。このEPB−ECU9により操作SW20の状態やモータ電流に基づいてモータ10を正回転や逆回転させたりモータ10の回転を停止させることで、EPB2の制御を行う。

0030

なお、各車輪に備えられたブレーキ機構は、本実施形態のブレーキシステムにおいてブレーキ力を発生させる機械的構造であり、前輪系のブレーキ機構はサービスブレーキ1の操作によってブレーキ力を発生させる構造とされているが、後輪系のブレーキ機構は、サービスブレーキ1の操作とEPB2の操作の双方に対してブレーキ力を発生させる共用の構造とされている。前輪系のブレーキ機構は、後輪系のブレーキ機構に対して、EPB2の操作に基づいてブレーキ力を発生させる機構をなくした従来から一般的に用いられているブレーキ機構である。

0031

前輪系のサービスブレーキ1の操作によってブレーキ力を発生させるブレーキ機構は従来から一般的に用いられているものであるし、後輪系のサービスブレーキ1とEPB2の操作に対応してブレーキ力を発生させるブレーキ機構も、例えば特開2010−58536号公報などにおいて公知になっているものである。このため、ここでは詳細構造については説明を省略する。

0032

続いて、上記のように構成されたブレーキシステムを用いてEPB−ECU9が上記各種機能部および図示しない内蔵のROMに記憶されたプログラムを用いて実行するフェード警告処理や駐車ブレーキ制御について説明する。ただし、駐車ブレーキ制御における通常のロック制御やリリース制御については従来と同様であるため、ここでは本発明の特徴となるブレーキ温度検出に基づくフェード警告処理と、ブレーキ温度検出に基づくロック制御の方法について説明する。

0033

図2は、ブレーキ温度検出結果に基づくフェード警告処理の詳細を示したフローチャートである。本処理は、例えばイグニッションスイッチ(以下、IGという)がオンされて、EPB−ECU9が起動させられているときに、所定の制御周期ごとに実行される。

0034

フェード警告処理では、ブレーキ温度検出として、ブレーキ温度上昇量および冷却後ブレーキ温度を算出することでブレーキ温度を検出し、これに基づいてフェード警告を行う。また、フェード警告処理において、ブレーキ温度検出を行っていることから、このブレーキ温度検出の結果を用いてロック制御時にブレーキパッド11にてブレーキディスク12を押圧するときの押圧力を決定している。

0035

ここで、ブレーキの温度上昇量とは、上記制御周期ごとのブレーキ機構、より詳しくはブレーキパッド11の温度上昇量を表している。また、冷却後ブレーキ温度とは、上記制御周期ごとに冷却された後のブレーキ機構、より詳しくはブレーキパッド11の温度を表している。したがって、冷却後ブレーキ温度に対してブレーキ温度上昇量を足した値がブレーキ温度を表していることになる。

0036

図2に示すように、まずステップ100において、フラグリセット記憶値リセットなど、通常の初期化処理を行ったのち、ステップ105に進んで制動判定を行う。制動判定では、制動中であるか否かの判定を行うが、本実施形態の場合、制動判定を行うセンサ類が正常であるか否かの判定なども行っている。具体的には、(1)STPがオンされていて、かつ、STPが正常であること、および、(2)M/C圧がブレーキペダル3の踏み込みがあったと想定される判定閾値を超えていて、かつ、M/C圧が有効であること、のいずれか一方でも成り立っているか否かを判定している。これらは、EPB−ECU9がESC−ECU8から取得した情報に基づいて判定している。

0037

なお、(1)、(2)のいずれか一方のみの判定としても良いし、STPが正常であるか否かの判定やM/C圧が有効であるか否かの判定を行わないようにしても良いが、冗長性を持たせるために各判定を行うようにしている。

0038

そして、ステップ105で肯定判定されるとステップ110に進み、制動時ブレーキ温度上昇量演算処理を実行することで制動時におけるブレーキ温度上昇量を演算する。ブレーキ温度上昇量については周知の手法によって演算可能であるが、例えば、運動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量や制動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量を演算し、これらを組み合わせて用いることで、最終的なブレーキ温度上昇量とすることができる。

0039

運動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量は、車両に発生している運動エネルギーを制動力に変化させたときにブレーキに発生すると想定される熱量の上昇量である。例えば、車両に発生している運動エネルギーと、それを制動力に変換したときに想定される熱量との関係を予め求めておき、車両の運動エネルギーを熱量に換算することで運動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量を求めている。車両に発生している運動エネルギーが車重をm、車体速度をvとした場合に1/2・mv2で表されることから、EPB−ECU9ではESC−ECU8から車速情報を取得することで運動エネルギーを求め、この運動エネルギーに対応するブレーキ温度上昇量を予め求めておいた関係を用いて導出している。

0040

制動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量は、車両を制動させるときにエネルギーから想定される熱量の上昇量、つまり摩擦材であるブレーキパッド11を被摩擦材であるブレーキディスク12に押圧することによりなされた仕事量から換算される熱量の上昇量である。例えば、車両を制動させるときに制動力によって消費したエネルギーと、そのエネルギーから想定される熱量との関係を予め求めておき、車両の制動エネルギーを熱量に換算することで制動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量を求めている。制動エネルギーは、W/C圧、つまりブレーキパッド11をブレーキディスク12に押圧している押圧力と制動中の車輪回転数、つまり制動距離とを掛け合わせた値となることから、EPB−ECU9ではESC−ECU8から車速情報およびM/C圧情報から制動エネルギーを求め、この制動エネルギーに対応するブレーキ温度上昇量を予め求めておいた関係を用いて導出している。

0041

このようにして求められる運動エネルギーや制動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量のいずれを用いても構わない。ただし、運動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量は基本的には正確な値となるが、それと比較すると、制動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量は正確な値ではない。これは、制動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量は、制動距離とW/C圧とに基づいて演算される値であり、演算式中に含まれるブレーキパッド11とブレーキディスク12との間の摩擦係数が環境(例えば雰囲気温度湿度)によって変化し易いためである。

0042

したがって、基本的には、運動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量の方が制動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量よりも正確な値になるため、運動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量を用いるのが好ましいが、坂路においては坂路勾配に応じた重力加速度の影響を受け、運動エネルギー演算昇温誤差が発生する。このような場合には、運動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量ではなく、制動エネルギーに基づくブレーキ温度上昇量を用いることで、より正確なブレーキ温度上昇量を得ることができる。なお、坂路勾配については、車体速度の微分値である車体加速度や加速度センサ21の検出信号に基づいて周知の手法によって求められることから、求められた坂路勾配に基づいていずれのブレーキ温度上昇量を用いるかを決定できる。

0043

一方、ステップ105で否定判定された場合には、ステップ115に進んで冷却温度演算処理を実行することでブレーキ冷却温度を演算する。図3は、この冷却温度演算処理の詳細を示したフローチャートである。

0044

この図に示すように、ステップ115aにおいて、大気温度に対して、前回の制御周期におけるブレーキ温度(n−1)と大気温度との差に冷却係数を掛けた値を足すことにより、今回の制御周期における冷却後ブレーキ温度(n)を演算する。つまり、制動中では無い場合、ブレーキパッド11とブレーキディスク12との間に制動による摩擦が生じないため、ブレーキ冷却が行われる。そして、冷却による低下温度は、冷却速度がブレーキ温度とブレーキ周辺温度との差に比例するというニュートンの冷却の法則に基づいて演算されることから、ステップ115aに示した式に基づいて、今回の制御周期における冷却後ブレーキ温度(n)を演算している。

0045

ただし、渋滞走行中においてはホイールハウス内の温度が上昇し、ブレーキ周辺温度が温度センサ22の検出信号の読み取り値が示す大気温度より高くなる。このため、大気温度補正演算処理を実行しており、この大気温度補正演算処理で補正された後の大気温度に基づいて冷却温度演算処理を実行している。

0046

図4は、大気温度補正演算処理の詳細を示したフローチャートである。大気温度補正演算処理は、図2に示すフローチャート中に組み込まれていても良いが、本実施形態の場合、別フローとして実行されており、例えばタイマ割り込みによって補正後の大気温度が入力され、冷却温度演算処理におけるブレーキ冷却温度の演算に用いられている。まず、冷却温度演算処理の説明に先立ち、大気温度補正演算処理の詳細について説明する。

0047

大気温度補正演算処理では、車両に備えられた温度センサ22の検出信号の読み取り値が示す大気温度を補正することで、冷却温度演算処理におけるブレーキ冷却温度の演算に用いる大気温度をよりブレーキ周辺温度に近い値にする。

0048

まず、図4のステップ200に示すように、車両が渋滞走行中であることを判定する渋滞判定処理を実行する。車両が渋滞走行中の際にはブレーキ周辺温度が上昇してしまう状況になっていると想定される。このため、渋滞走行中であることを判定した場合に大気温度を補正する。なお、ここでは温度センサ22の検出信号の読み取り値が示す大気温度よりもブレーキ周辺温度が上昇する状況として渋滞走行中を例に挙げるが、必ずしも渋滞中である必要は無く、下記のような渋滞判定処理での判定条件合致する場合であれば他の走行状態、例えば低速走行中の場合であっても、ブレーキ周辺温度が上昇する状況に該当する。

0049

図5は、この渋滞判定処理の詳細を示したフローチャートである。渋滞判定処理では、まず、図5のステップ200aに示すように、渋滞判定がOFF、例えば渋滞判定結果を示すフラグがリセット状態であるか否かを判定する。以前の渋滞判定処理において渋滞中と判定されることで渋滞判定がONとされていなければ、渋滞判定OFFとなっている。この渋滞判定がOFFとなっていればステップ200bに進み、渋滞中であるか否かの判定を行う。

0050

具体的には、車体速度が低速走行判定閾値以下の状態が低速走行判定時間継続したか、もしくは、制動負荷が低速走行制動負荷以下の状態が低速走行制動負荷回数継続した場合に、渋滞中であると判定している。

0051

低速走行判定閾値および低速走行判定時間は、車両の低速走行の判定に用いる閾値であり、低速走行判定閾値は車体速度と比較される速度閾値、低速走行判定時間は低速走行判定閾値以下の車体速度が継続した時間と比較される時間閾値である。例えば、図6に示す低速走行判定閾値と車体速度との関係を示したタイムチャートに示されるように、車体速度が低速走行判定閾値以下の状態が低速走行判定時間継続した場合に、車両の低速走行が比較的長時間継続していることから、渋滞走行中であると判定している。また、ここでいう低速走行判定閾値や低速走行判定時間については一つである必要はなく、複数設定されていても良い。例えば、低速走行判定閾値と低速走行判定時間の関係をマップなどで示しておき、その関係に示される条件を満たした場合に、渋滞走行中であると判定しても良い。

0052

制動負荷は、制動によってブレーキ機構に掛かる負荷のことを意味しており、制動開始時の車体速度である制動初速をV、所定の距離(例えば1km)当たりの制動回数をNとして、V2Nで表される。このため、車体速度が高いほど、また、制動回数が多いほど制動負荷は大きな値となる。低速走行制動負荷は、車両が低速走行中に掛かると想定される制動負荷を意味しており、本実施形態の場合、低速走行中であることの判定を行うための閾値として用いている。低速走行中の場合、高速走行中と比較して弱い制動によって車両を停止させられることから、小さな制動負荷になっていると想定される。また、低速走行制動負荷回数は、渋滞によって低速走行を行っていることを判定するための閾値であり、演算した制動負荷が連続して低速走行制動負荷以下となっているときに渋滞走行中であると判定する場合の回数である。

0053

例えば、図7に示すブレーキ操作と車体速度および制動負荷の演算タイミングなどの関係を示したタイムチャートに示されるように、制動負荷については、ブレーキ操作が1回行われて車両が停止する毎に演算している。そして、制動開始時から車両停止までの制動距離が例えば20mであった場合、20m当たりの制動回数が1回であるとして、それを1kmに換算することで1km当たりの制動回数=50回を演算している。この制動負荷が制動毎に演算され、演算された制動負荷が低速走行制動負荷以下である状態が低速走行制動負荷回数以上継続した場合に、渋滞走行中と判定している。ここでいう低速走行制動負荷や低速走行制動負荷回数については一つである必要はなく、複数設定されていても良い。例えば、低速走行制動負荷と低速走行制動負荷回数の関係をマップなどで示しておき、その関係に示される条件を満たした場合に、渋滞走行中であると判定しても良い。

0054

このようにして、渋滞走行中であることを判定している。そして、ステップ200bで肯定判定されると、ステップ200cに進み、渋滞判定をONすると共に、渋滞の度合いを示す渋滞レベルを求め、その渋滞レベルに応じて大気温度補正値およびブレーキ温度補正値を設定する。これにより、渋滞レベル、つまりホイールハウス内の温度上昇の度合いに応じて大気温度補正値およびブレーキ温度補正値を設定することができる。

0055

大気温度補正値は、温度センサ22の検出信号から読み取られた大気温度の補正に用いる温度補正値であり、渋滞レベルに応じて大気温度とブレーキ周辺温度との乖離が大きくなることを鑑みて、渋滞レベルが大きくなるほど大きな値とされる。この大気温度補正値については、渋滞走行中と判定されたときに求められた渋滞レベルに対応する固定値としても良いが、判定後にも大気温度とブレーキ周辺温度との乖離の度合いが変化し続けるため、判定後おける渋滞レベルの変化に応じて適宜変更される可変値とするのが好ましい。

0056

ブレーキ温度補正値は、渋滞走行中との判定結果が出るまでの間のブレーキ温度上昇量に相当する。このブレーキ温度補正値についても、上記した大気温度補正値と同様に、渋滞レベルが大きくなるほど大きな値とされる。渋滞走行中と判定される前であっても大気温度とブレーキ周辺温度との間に乖離が生じているため、渋滞走行中と判定されるまでの間における乖離を渋滞走行中と判定されたときに素早く打ち消すためにブレーキ温度補正値を求めている。このブレーキ温度補正値は、渋滞走行中との判定結果が出されたタイミングでのみ用いられる補正値であるため、補正後に渋滞レベルが変化したとしても補正値として用いてはいない。

0057

なお、ここでは渋滞レベルが高いほど大気温度補正値やブレーキ温度補正値を高くするようにしているが、必ずしも両方とも高くする必要はなく、一方のみを高くするようにしても良い。

0058

例えば、低速走行判定閾値と低速走行判定時間の関係や低速走行制動負荷と低速走行制動負荷回数の関係をマップ化しておき、そのマップに渋滞レベルを設定する。そして、そのマップから該当する渋滞レベルを選択し、その渋滞レベルに対応する大気温度補正値およびブレーキ温度補正値を求めることができる。

0059

図8は、低速走行判定閾値および低速走行判定時間と渋滞レベルの関係の一例を示したマップである。この図に示すように、低速走行判定閾値を複数段階に分けて設定し、その閾値毎に低速走行判定時間も複数段階に分けて設定する。そして、マップ中のいずれか該当するものを選択することで渋滞レベルを設定できる。例えば、車体速度が低いほどブレーキ周辺温度の上昇が多くなることから、低速走行判定閾値が小さいほど低速走行判定時間が短くても渋滞レベルが大きな値となるようにしている。また、低速走行判定時間が長くなるほど渋滞レベルが大きな値となるようにしている。つまり、車体速度が低速走行判定閾値の中でもより低い値以下となっているほど、もしくは、継続時間が低速走行判定時間の中でもより長い時間以上になっているほど、渋滞レベルが高いと判定することができる。

0060

図9は、低速走行制動負荷と低速走行制動負荷回数と渋滞レベルの関係の一例を示したマップである。この図に示すように、低速走行制動負荷を複数段階に分けて設定し、その負荷毎に低速走行制動負荷回数も複数段階に分けて設定する。そして、マップ中のいずれか該当するものを選択することで渋滞レベルを設定できる。例えば、制動負荷が低いほど低速走行中であり、ブレーキ周辺温度の上昇が多くなることから、低速走行制動負荷が小さいほど低速走行制動負荷回数が少なくても渋滞レベルが大きな値となるようにしている。また、低速走行制動回数が多くなるほど渋滞レベルが大きな値となるようにしている。つまり、制動負荷が低速走行制動負荷の中でもより低い値以下となっているほど、もしくは、低速走行制動負荷回数の中でもより多い回数以上になっているほど、渋滞レベルが高いと判定することができる。

0061

図10は、渋滞レベルと大気温度補正値およびブレーキ温度補正値の関係を示したマップである。この図に示すように、渋滞レベルが大きいほど、大気温度補正値やブレーキ温度補正値が大きな値となるようにすることができる。

0062

なお、上記したように低速走行判定閾値と低速走行判定時間の関係や低速走行制動負荷と低速走行制動負荷回数の関係をマップ化しておき、そのマップに基づいて渋滞走行中であることの判定を行うことができるが、例えば図8図9に示したマップを用いて、渋滞レベルが1以上の場合に渋滞走行中であると判定するようにしても良い。

0063

また、図5のステップ200bにおいて否定判定された場合には、渋滞走行中ではない場合、もしくは、渋滞走行中であるか否かの判定中である。この場合には、ステップ200dに進んで今回の制御周期における車体速度が低速走行判定閾値以下となっている継続時間や、制動負荷が低速度走行制動負荷以下となっている回数を前回値として保持する。そして、次回の制御周期の際にステップ200bで車体速度が低速走行判定閾値以下となっている継続時間や、制動負荷が低速度走行制動負荷以下となっている回数を演算するときには、ここで保持した前回値を用いて演算が行われる。

0064

一方、ステップ200aで否定判定された場合には、ステップ200eに進み、車体速度が高速走行判定閾値以上であるか否かを判定する。高速走行判定閾値は、車両が渋滞走行を終えて高速走行に移行したことを判定する閾値である。車両が高速走行に移行した場合、車両走行に伴ってブレーキ周囲の大気流動が多くなり、ブレーキ周辺温度と温度センサ22の検出信号の読み取り値が示す大気温度との乖離が小さくなる。このため、車体速度が高速判定閾値以上になったときには、渋滞走行を脱したと判定している。

0065

ここで肯定判定されればステップ200fに進み、渋滞判定をOFFに切替えて処理を終了する。また、否定判定されればステップ200gに進み、前回値を保持、つまり前回の制御周期において渋滞判定がONの状態になっていればその状態を保持し、OFFの状態になっていればその状態を保持して処理を終了する。このようにして、渋滞判定演算処理を終了する。

0066

そして、渋滞判定演算処理が終了すると、図4のステップ205に進み、渋滞判定がOFFであるか否かを判定する。ここで肯定判定されれば、渋滞走行中ではない場合や渋滞走行中と判定される前の状態、もしくは、渋滞走行が解除された場合であるため、そのまま大気温度補正演算処理を終了する。この場合、温度センサ22の検出信号の読み取り値が示す大気温度がそのままブレーキ周辺温度として用いられることになる。

0067

また、ステップ205で否定判定された場合には、ステップ210に進み、渋滞判定がOFFからONに切り替わったタイミングであるか否かを判定する。このとき、上記した図5のステップ200cで渋滞判定がONに切り替わったタイミングであればステップ210で肯定判定され、それ以外のタイミングであれば否定判定される。

0068

ステップ210で肯定判定された場合には、ステップ215に進む。そして、温度センサ22の検出信号の読み取り値が示す大気温度に対して図5のステップ200cで取得した大気温度補正値を足し、渋滞走行による温度上昇を加味したブレーキ周辺温度に近い大気温度に補正する(以下、この大気温度を補正後の大気温度という)。その後、前回の制御周期のときに求めたブレーキ温度(n−1)と補正後の大気温度のいずれか小さい方を最終的な大気温度として設定する。つまり、補正後の大気温度をそのまま最終的なブレーキ周辺温度を表す大気温度としても良いが、ブレーキ温度(n−1)よりも補正後の大気温度が大きくなることはないため、温度上限をブレーキ温度(n−1)に設定している。

0069

一方、ステップ210で否定判定された場合には、ステップ220に進む。この場合は、渋滞判定のONが継続している状態であるため、前回の制御周期のときに設定された大気温度、つまりステップ215で設定された大気温度をそのまま保持する。このようにして、大気温度補正演算処理を終了する。そして、このように渋滞走行中の温度上昇を加味して設定された大気温度を用いて、上記した図2のステップ115における冷却温度演算処理を行っている。

0070

この後、ステップ120に進み、ブレーキ温度演算処理を実行する。図11は、ブレーキ温度演算処理の詳細を示したフローチャートである。この図に示すように、ステップ120aでは渋滞判定がOFFからONに切り替わったタイミングであるか否かを判定する。ここでも、上記した図5のステップ200cで渋滞判定がONに切り替わったタイミングであれば肯定判定され、それ以外のタイミンであれば否定判定される。

0071

そして、ステップ120aで肯定判定された場合には、ステップ120bに進む。ステップ120bでは、まず、冷却温度演算処理で求めた冷却後ブレーキ温度に対して図5のステップ200cで取得したブレーキ温度補正値を足すことで、渋滞判定処理において渋滞走行中と判定されるまでの間に発生した大気温度とブレーキ周辺温度との乖離を打ち消した補正後の冷却後ブレーキ温度を演算する。そして、ホイールハウス内の温度が上昇したときに想定される上限値であるホイールハウス温度上限値と補正後の冷却後ブレーキ温度のいずれか小さい方を最終的な大気温度として設定する。つまり、補正後の冷却後ブレーキ温度をそのまま最終的な冷却後ブレーキ温度としても良いが、ホイールハウス温度上限値よりも補正後の大気温度が大きくなることはないため、温度上限をホイールハウス温度上限値に設定している。その後、ステップ120cに進む。

0072

また、ステップ120aで否定判定された場合には、ステップ120bに進むことなくステップ120cに進む。渋滞判定がOFFのときには冷却後ブレーキ温度を補正する必要はないし、渋滞判定がONのときも、渋滞判定がOFFからONに切り替わったときに冷却後ブレーキ温度を一度補正していることから、さらに同様に補正を行う必要はないためである。

0073

ステップ120cでは、ステップ110で演算した制動時ブレーキ温度上昇量とステップ115(もしくはステップ120b)で演算した冷却後ブレーキ温度とを足すことで、ブレーキ温度を演算する。このようにして、ブレーキ温度演算処理が終了する。

0074

そして、ブレーキ温度が演算されると、ステップ125に進み、ブレーキ温度がフェード判定の閾値となるフェード温度を超えたか否かを判定し、超えていればステップ130に進んでフェード警告を行い、超えていなければステップ135に進んでフェード警告を解除する。このようにして、フェード警告処理が完了する。

0075

図12および図13は、渋滞走行中において、上記したフェード警告処理で実行したような大気温度補正演算を実行しなかった場合と実行した場合それぞれのタイムチャートである。

0076

図12に示すように、大気温度補正演算を実行しなかった場合でも、基本的には演算によって求めたブレーキ温度(以下、ブレーキ演算温度という)は、ほぼ実際のブレーキ温度(以下、ブレーキ実際温度という)に近い値となる。しかしながら、ホイールハウス内の温度上昇が大きくなり、大気温度との乖離が大きくなると、ブレーキ演算温度とブレーキ実際温度との間に乖離が生じてくる。このため、ブレーキ実際温度よりも低いブレーキ演算温度に基づいてフェード警告をすべきか否かの判定を行うことになり、フェード状態になっているにもかかわらずフェード警告が行えなくなるような判定漏れが発生する可能性がある。

0077

これに対して、図13に示すように、大気温度補正演算を実行した場合、渋滞走行中であるか否かの判定が完了するまでの間には、ブレーキ演算温度がブレーキ実際温度から乖離することになるが、渋滞走行中であることが判定されると、そのタイミングでブレーキ温度補正値分が加味されてブレーキ演算温度が求められると共に、大気温度が補正されるため、判定後にはブレーキ演算温度をブレーキ実際温度にほぼ一致させることが可能となる。このため、ブレーキ実際温度とほぼ同等なブレーキ演算温度に基づいてフェード警告をすべきか否かの判定を行うことになり、より的確にフェード警告を行うことが可能となる。

0078

以上説明したように、フェード警告処理において、温度センサ22の検出信号の読み取り値が示す大気温度よりもブレーキ周辺温度が上昇してしまうような状況、例えば渋滞走行中の場合には大気温度補正値を求め、その大気温度補正値に基づいて大気温度を補正している。そして、その補正後の大気温度に基づいてブレーキ温度を演算している。これにより、ブレーキ演算温度をよりブレーキ実際温度に近づけることが可能となる。したがって、より的確にフェード警告を行うことが可能となる。

0079

また、このようにして演算したブレーキ温度に基づいてEPB2のロック制御を行うこともできる。すなわち、EPB2を作動させるときに、ブレーキ温度が高いと、その後の冷却によってブレーキパッド11が熱収縮し、EPB2によって発生させる制動力が低下するという熱緩み現象が発生する。この熱緩み現象を加味して、演算したブレーキ温度に基づいてロック制御の終了タイミングや制御回数、具体的にはモータ10の停止タイミングや1回目のロック制御が終了してから再ロックするまでの時間、再ロックの回数を設定することができる。

0080

例えば、EPB−ECU9がEPB2を制御する際には、モータ10に流される電流がモータ10に掛かる負荷に対応した値になっており、モータ10に掛かる負荷がブレーキパッド11によるブレーキディスク12への押圧力と対応した値になる。このため、モータ電流検出を行い、モータ電流が目標モータ電流になると、ブレーキパッド11によるブレーキディスク12への押圧力が所望値になり、EPB2によるブレーキ力が目標制動力に達したと判定して、モータ10の駆動を停止している。これにより、駐車時にも、EPB2によって所望の制動力を発生させた状態が維持されるようにしている。

0081

このときの目標モータ電流については、目標モータ電流演算によって演算しており、この目標モータ電流演算の際に、ブレーキ温度を加味して目標モータ電流を演算すればよい。例えば、ブレーキ温度に応じた係数項を定めておき、ブレーキ温度が大きいほど目標モータ電流が大きな値となるように設定すれば、駐車時にブレーキパッド11が低温化したとしても、駐車を維持できる程度の所望の制動力を発生させることができる。

0082

またEPB2によって再ロック制御するまでの時間と再ロック制御回数を演算することでも所望の制動力を発生させることができる。駐車時の1回目のロック制御を実施したときのブレーキ温度によって熱緩み現象の程度が異なるため、この1回目のロック制御実施時のブレーキ温度に応じて再ロック制御までの時間と再ロック制御の回数を演算すればよい。例えば、駐車時の1回目のロック制御を実施したときのブレーキ温度が高温のときは、ブレーキ温度と大気温度の差が大きいためブレーキ温度が急激に冷却され、熱緩み現象の程度も大きくなる。そのため駐車時1回目のロック制御を実施した後、より短い時間経過後再ロック制御を実施し、さらに時間が経過した際に、再度再ロック制御を実施することで所望の制動力を発生させることができる。また1回目のロック制御を実施したときのブレーキ温度が低温の時は、より長い時間経過後に再ロック制御を実施することで所望の制動力を発生させ、駐車状態を維持することができる。

0083

したがって、上記のようにしてブレーキ温度を演算したら、そのブレーキ温度に基づいてロック制御時の目標モータ電流を演算し、この目標モータ電流に基づいてロック制御の終了タイミングを決定したり、そのブレーキ温度に基づいて再ロック制御を開始するまでの時間や制御回数を演算し、再ロック制御を実施することで、熱緩み現象が生じても、駐車を維持できる程度の所望の制動力を発生させることができる。

0084

(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。

0085

例えば、上記実施形態では、ブレーキ温度検出を用いてフェード警報処理を行ったり、EPB2の熱緩みを加味したロック制御を行ったりする例を挙げたが、他の制御、例えば通常のサービスブレーキ時に、ブレーキ温度に応じて変動するブレーキの効きを加味して、アクチュエータ7に備えられたポンプおよび制御弁を駆動してW/C圧を嵩上げしても良い。

0086

また、上記実施形態では、摩擦材がブレーキパッド11となり被摩擦材がブレーキディスク12となるディスクブレーキタイプのEPB2を例に挙げたが、他のタイプ、例えばドラムブレーキタイプのものであっても構わない。その場合、摩擦材と被摩擦材は、それぞれブレーキシュードラムとなる。

0087

また、上記実施形態では、車体速度が低速走行判定閾値以下の状態が低速走行判定時間継続したかの判定と、制動負荷が低速走行制動負荷以下の状態が低速走行制動負荷回数継続したの判定の双方を行っているが、いずれか一方のみ行うようにしても良い。また、これら両方に基づいて渋滞レベルの判定を行うようにしたが、いずれか一方のみで構わない。さらに、渋滞走行中と判定された場合に大気温度補正値とブレーキ温度補正値の両方を設定するようにしているが、少なくとも大気温度補正値を設定するようにすれば良い。ただし、ブレーキ温度補正値も設定することで、渋滞走行中と判定されるまでの間における大気温度とブレーキ周辺温度との乖離を渋滞走行中と判定されたときにより素早く打ち消すことが可能となる。

0088

なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。すなわち、ステップ110の処理を実行する部分がブレーキ温度上昇量演算手段、ステップ115の処理を実行する部分が冷却温度演算手段、ステップ120の処理を実行する部分がブレーキ温度演算手段に相当する。また、ステップ200の処理を実行する部分が温度上昇判定手段、ステップ200cの処理を実行する部分が渋滞レベル判定手段に想到する。

0089

1…サービスブレーキ、2…EPB、3…ブレーキペダル、4…倍力装置、6…W/C、7…アクチュエータ、10…モータ、11…ブレーキパッド、12…ブレーキディスク、20…操作SW、21…加速度センサ、22…温度センサ、23…リリース表示ランプ、24…表示装置

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