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技術 撮像システムおよび撮像方法

出願人 株式会社SCREENホールディングス
発明者 生藤邦夫津村治郎栗村芳弘
出願日 2013年9月10日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2013-187116
公開日 2015年3月23日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2015-055474
状態 特許登録済
技術分野 光学的手段による材料の調査、分析 画像処理 イメージ分析
主要キーワード 光量ゼロ 試料グループ 輝度分布範囲 輝度値範囲 ベルトドライブ 生体物 ビット落ち データ精度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年3月23日)のものです。
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図面 (11)

課題

培地内生物試料撮像した画像を広いダイナミックレンジデータ表現した多階調画像データを生成することのできる技術を提供する。

解決手段

試料容器WPに担持された培地内の生物試料を撮像対象物として撮像する撮像システム100において、撮像対象物を撮像して原画像を取得する撮像手段21と、原画像の輝度値に対し階調補正処理を施して所定の階調数の多階調画像データを生成するデータ処理手段33とを備え、データ処理手段33は、培地輝度に相当する輝度値を最大階調値対応付け補正特性の階調補正処理を実行する。

概要

背景

医療生物科学実験においては、例えばウェルとも称される窪部を多数配列して設けたプレート状の器具(例えばマイクロプレートマイクロタイタープレート等と呼ばれる)の各ウェルに液体ゲル状の流動体(例えば培養液培地等)を注入し、ここで細胞等を培養したものを試料として観察、計測することが行われる。近年では、CCDカメラ等で撮像してデータ化し、該画像データに種々の画像解析技術を適用して観察や分析に供することが行われるようになってきている。

この種の撮像システムでは、撮像系の感度非線形性に起因して、撮像対象物光学濃度とそれを撮像して多階調画像データで表したときの階調値との相関性が必ずしも線形でなく、これを適正化するための階調補正ガンマ補正トーン補正等とも称される)が必要となる。そのような階調補正技術の先例としては、平面原稿光学的に読み取るドキュメントスキャナ装置に適用されたものがある。例えば特許文献1に記載の画像処理装置では、原稿画像スキャン読み取りするに際して、本スキャンに先立ってより低い分解能プリスキャンを行い、得られた画像のヒストグラム分布特性から階調補正のための補正特性、具体的には入力階調値出力階調値との相関性を求めて、本スキャン時階調補正処理を行っている。

概要

培地内生物試料を撮像した画像を広いダイナミックレンジデータ表現した多階調画像データを生成することのできる技術を提供する。試料容器WPに担持された培地内の生物試料を撮像対象物として撮像する撮像システム100において、撮像対象物を撮像して原画像を取得する撮像手段21と、原画像の輝度値に対し階調補正処理を施して所定の階調数の多階調画像データを生成するデータ処理手段33とを備え、データ処理手段33は、培地の輝度に相当する輝度値を最大階調値対応付けた補正特性の階調補正処理を実行する。

目的

この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、培地内の生物試料を撮像した画像を広いダイナミックレンジでデータ表現した多階調画像データを生成することのできる技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

試料容器担持された培地内生物試料撮像対象物として撮像する撮像システムにおいて、前記撮像対象物を撮像して原画像を取得する撮像手段と、前記原画像の輝度値に対し階調補正処理を施して所定の階調数多階調画像データを生成するデータ処理手段とを備え、前記データ処理手段は、前記培地輝度に相当する輝度値を最大階調値対応付け補正特性の前記階調補正処理を実行することを特徴とする撮像システム。

請求項2

最小輝度から最大輝度までの各輝度値と、最小階調から最大階調までの各階調値とを予め対応付けた補正特性情報を保持する情報保持手段を備え、前記データ処理手段は、前記培地の輝度を前記最大輝度に対応させてスケーリングされた前記補正特性情報に基づいて前記階調補正処理を実行する請求項1に記載の撮像システム。

請求項3

前記撮像手段により撮像された前記原画像、または、前記原画像の撮像前にもしくは前記原画像の撮像後に前記撮像手段により撮像された前記培地の画像に基づいて、前記培地の輝度が求められる請求項1または2に記載の撮像システム。

請求項4

前記培地の種類および前記試料容器への注入量を含む培地情報と、該培地情報で特定される培地の輝度とを予め対応付けた参照テーブルを備え、ユーザより与えられる前記培地情報と前記参照テーブルに基づき前記培地の輝度が求められる請求項1または2に記載の撮像システム。

請求項5

前記撮像手段は、前記原画像を表す原画像データとして前記多階調画像データよりもデータ精度の高いデータを出力し、前記データ処理手段は前記原画像データに対し前記階調補正処理を実行する請求項1ないし4のいずれかに記載の撮像システム。

請求項6

前記データ処理手段は、所定の輝度基準部材を前記撮像手段が撮像した画像から取得されるシェーディング特性に基づくシェーディング補正処理と、前記階調補正処理とを前記原画像に対し実行する請求項1ないし5のいずれかに記載の撮像システム。

請求項7

試料容器に担持された培地内の生物試料を撮像対象物として撮像する撮像方法において、前記撮像対象物を撮像して原画像を取得する撮像工程と、前記原画像の輝度値に対し階調補正処理を施して所定の階調数の多階調画像データを生成するデータ処理工程とを備え、前記データ処理工程の前記階調補正処理では、前記培地の輝度に相当する輝度値を最大階調値に対応付けた前記多階調画像データを生成することを特徴とする撮像方法。

請求項8

最小輝度から最大輝度までの前記原画像の各輝度値と、最小階調から最大階調までの各階調値とを対応付けた補正特性情報を予め作成しておき、前記データ処理工程では、前記培地の輝度を前記最大輝度に対応させてスケーリングした前記補正特性情報に基づいて前記階調補正処理を実行する請求項7に記載の撮像方法。

請求項9

前記原画像、または、前記原画像の撮像前にもしくは前記原画像の撮像後に撮像した前記培地の画像に基づいて、前記培地の輝度を求める請求項7または8に記載の撮像方法。

請求項10

前記培地の種類および前記試料容器への注入量を含む培地情報の入力をユーザから受け付け、該培地情報と、該培地情報で特定される培地の輝度とを予め対応付けた参照テーブルに基づき前記培地の輝度を求める請求項7または8に記載の撮像方法。

請求項11

所定の輝度基準部材を撮像した画像から取得したシェーディング特性に基づき、前記原画像に対するシェーディング補正を行うシェーディング補正工程を備える請求項7ないし10のいずれかに記載の撮像方法。

請求項12

前記撮像工程および前記データ処理工程を過去に実行した前記撮像対象物について再び前記撮像工程および前記データ処理工程を実行するとき、新たに実行する前記データ処理工程では、過去の前記データ処理工程で適用した階調補正特性と同一の階調補正特性を適用する請求項7ないし11のいずれかに記載の撮像方法。

技術分野

0001

この発明は、試料容器担持された培地内生物試料撮像対象物としてこれを撮像する撮像システムおよび撮像方法に関するものである。

背景技術

0002

医療生物科学実験においては、例えばウェルとも称される窪部を多数配列して設けたプレート状の器具(例えばマイクロプレートマイクロタイタープレート等と呼ばれる)の各ウェルに液体ゲル状の流動体(例えば培養液培地等)を注入し、ここで細胞等を培養したものを試料として観察、計測することが行われる。近年では、CCDカメラ等で撮像してデータ化し、該画像データに種々の画像解析技術を適用して観察や分析に供することが行われるようになってきている。

0003

この種の撮像システムでは、撮像系の感度非線形性に起因して、撮像対象物の光学濃度とそれを撮像して多階調画像データで表したときの階調値との相関性が必ずしも線形でなく、これを適正化するための階調補正ガンマ補正トーン補正等とも称される)が必要となる。そのような階調補正技術の先例としては、平面原稿光学的に読み取るドキュメントスキャナ装置に適用されたものがある。例えば特許文献1に記載の画像処理装置では、原稿画像スキャン読み取りするに際して、本スキャンに先立ってより低い分解能プリスキャンを行い、得られた画像のヒストグラム分布特性から階調補正のための補正特性、具体的には入力階調値出力階調値との相関性を求めて、本スキャン時階調補正処理を行っている。

先行技術

0004

特開2003−209693号公報(例えば、図1

発明が解決しようとする課題

0005

細胞等の生物試料を観察する目的で使用される撮像システムに対しても、上記従来技術のような階調補正技術を応用することが考えられる。撮像対象物が培地内の生物試料である場合、培地が完全な透明体ではなくある程度の光学濃度を有しているため、撮像された画像の各画素輝度は培地そのものに相当する輝度以上にはならないという特質がある。しかしながら、原稿の読み取りを目的とする上記従来技術では当然にこのような問題は考慮されておらず、中間階調での輝度値と階調値との相関性にのみ着目されている。そのため、この技術をそのまま生物試料の撮像に適用した場合、実画像ではあり得ない輝度レベルまで階調値が割り当てられることで、画像の多階調表現には全く使われない無効な階調値の範囲が生じ、多階調画像データにおける濃淡表現ダイナミックレンジが制限されてしまうという問題があった。

0006

この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、培地内の生物試料を撮像した画像を広いダイナミックレンジでデータ表現した多階調画像データを生成することのできる技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

この発明の一の態様は、試料容器に担持された培地内の生物試料を撮像対象物として撮像する撮像システムであって、上記目的を達成するため、前記撮像対象物を撮像して原画像を取得する撮像手段と、前記原画像の輝度値に対し階調補正処理を施して所定の階調数の多階調画像データを生成するデータ処理手段とを備え、前記データ処理手段は、前記階調補正処理において、前記培地の輝度に相当する輝度値を最大階調値対応付けた前記多階調画像データを生成する。

0008

また、この発明の他の態様は、試料容器に担持された培地内の生物試料を撮像対象物として撮像する撮像方法であって、上記目的を達成するため、前記撮像対象物を撮像して原画像を取得する撮像工程と、前記原画像の輝度値に対し階調補正処理を施して所定の階調数の多階調画像データを生成するデータ処理工程とを備え、前記データ処理工程の前記階調補正処理では、前記培地の輝度に相当する輝度値を最大階調値に対応付けた前記多階調画像データを生成する。

0009

このように構成された発明では、培地内の生物試料を撮像対象物とする場合における上記特質に鑑み、培地の輝度に相当する輝度値が最大階調値となるように対応付けられた輝度値と階調値との関係に基づいて多階調画像データが生成される。つまり、培地が有する輝度を上限とする輝度の範囲内で、輝度値と階調値との対応付けがなされ、それに基づき原画像が多階調画像データとして表現される。そのため、撮像対象物の実画像における輝度の範囲に応じて階調値が割り付けられて、階調値のダイナミックレンジを有効に使って画像を多階調表現することができる。

発明の効果

0010

この発明によれば、培地の輝度に相当する輝度値が最大階調値となるように輝度値と階調値とが対応付けられて階調補正処理が行われるので、無効な階調値の範囲が生じるのを防止して、培地内の生物試料を撮像した画像を広いダイナミックレンジで表現した多階調画像データを得ることができる。

図面の簡単な説明

0011

本発明にかかる撮像システムの一実施形態の構成を模式的に示す図である。
階調補正処理の概要を示す図である。
ウェルプレートに担持される試料を模式的に示す図である。
階調補正特性スケーリングを説明するための図である。
この撮像システムの撮像動作の第1の態様を示すフローチャートである。
キャリブレーション処理の動作を示すフローチャートである。
この撮像システムの撮像動作の第2の態様を示すフローチャートである。
参照テーブルの一例を示す図である。
トーンカーブの調整の有無による画像の違いを示す図である。
ウェルプレート上の試料配置の例を示す図である。

実施例

0012

図1は本発明にかかる撮像システムの一実施形態の構成を模式的に示す図である。この撮像システム100は、CCDラインセンサ撮像素子とするいわゆるラインCCD型スキャナ装置であり、試料保持部10と、光学走査部20と、制御部30と、ホストコンピュータ50とを備えている。

0013

試料保持部10は、撮像対象物である生物試料を含んだ培地を担持するウェルWが上面に形成されたウェルプレートWPの下面周縁部に当接することでウェルプレートWPを略水平姿勢に保持するホルダ11と、それぞれ後述するシェーディング補正処理およびオートフォーカスAF調整処理とにおいて基準物として読み取られる白基準板12およびAF基準板13とを備えている。

0014

ウェルプレートWPは、断面が略円形で、それぞれに例えば液体状または固体状の培地を担持可能な複数の、例えば96個(12×8のマトリクス配列)のウェルWを有している。各ウェルWの直径および深さは代表的には数mm程度である。なお、この撮像システム100が対象とするウェルプレートのサイズやウェルの数はこれらに限定されるものではなく任意であり、例えば384穴のものであってもよい。

0015

これらのウェルWに生物試料を含む培地が保持された状態でウェルプレートWPがホルダ11に載置されると、光源29からウェルプレートWPに光(例えば白色光)が照射される。光源29は例えばLEDランプにより構成され、ホルダ11に保持されるウェルプレートWPに対して上方に配置される。

0016

光学走査部20は撮像対象物からの透過光受光することで撮像対象物を光学的に撮像する撮像手段として設けられる。光学走査部20は、ウェルプレートWPの下方に、受光素子であるCCD素子22および透過光による光学像倍率を調整する収束光学系23を有する撮像部21と、収束光学系23のフォーカス調整を行うフォーカス調整機構24と、例えばベルトドライブによって撮像部21を所定の方向(図1においては左右方向)に駆動する走査駆動機構25とを備えている。

0017

光源29からウェルプレートWPに向けて照射された光のうち、ウェルWの底面から下方へ透過してくる光が収束光学系23により収束されてCCD素子22に受光され、光学像が電気信号に変換される。フォーカス調整機構24は制御部30からの制御指令に応じて収束光学系23を駆動することで、CCD素子22に結像する光学像のフォーカス位置を調整する。また、走査駆動機構25は、光源29と撮像部21とを一体的に水平面内で移動させる。したがって、光源29と撮像部21との間の位置関係は固定されている。

0018

ウェルプレートWPに対してラインセンサであるCCD素子22をその素子配列方向と直交する方向に相対移動させることで、ウェルプレートWPに対するCCD素子22の走査移動が実現され、これによりウェルWの内容物である生物試料の二次元画像が撮像される。光学走査部20は制御部30により制御される。

0019

制御部30は、ウェルW内の試料からの透過光の受光量に応じてCCD素子22から出力される電気信号を輝度値(色濃度値)に変換するA/Dコンバータ31と、試料から取得された各画素ごとの輝度値の集合を画像データとして保持したり、各種の設定データを記憶するメモリ32と、装置各部を制御する制御手段として機能するCPU33と、CPU33からの制御指令に応じてフォーカス調整機構24および走査駆動機構25を駆動するドライバ34とを備えている。なお、メモリ32は、ROMやRAMあるいは不揮発性メモリなどにより構成されるものであり、A/Dコンバータ31から出力される輝度値データを一時的に保持するバッファメモリ32a、輝度値データに基づき作成される多階調画像データを保持する画像メモリ32bを備えるほか、後述する階調補正処理を実行する際に参照される参照テーブル(LUT)32cなどの種々の参照データが予め記憶されている。

0020

このように構成された制御部30は、インターフェース部(I/F)35を介して、撮像システム100全体の動作を司るホストコンピュータ50と通信可能となっている。具体的には、ホストコンピュータ50は、一般的なパーソナルコンピュータと同様の構成を有するものであり、各種の演算処理を実行するCPU51、CPU51の動作によって発生する制御データを一時的に記憶するメモリ52、CPU51が実行すべき制御プログラム記憶保存するストレージ53、制御部30とのデータのやり取りを行うためのインターフェース部(I/F)54を備えている。

0021

また、ホストコンピュータ50は、ユーザからの各種操作入力受け付けたり、ユーザに対して種々の情報を提示するためのユーザインターフェース(UI)部55を備えている。より具体的には、UI部55は、ユーザからの操作入力を受け付ける受付手段として、操作ボタンキーボードマウスタッチパネル等の入力デバイスを少なくとも1種類備えている。また、ユーザに情報を提示するための出力手段として、例えば取得した画像やメッセージ等を画面表示するディスプレイを備えている。

0022

撮像システム100を動作させるためのユーザからの各種の操作入力の受付や、動作の結果として得られた画像をユーザに提示する機能は、ホストコンピュータ50に集約されている。したがって、制御部30は、光学走査部20に所定の動作をさせるための最小限の構成のみを有している。このように、本装置特有ハードウェアを動作させるために必要な最小限の制御機能を有する制御部30を設ける一方、より一般的な処理については汎用性を有するホストコンピュータ50により処理する構成とすることで、システムコストを低く抑えることができる。

0023

なお、この撮像システム100は、上記のように試料保持部10、光学走査部20および制御部30を一体的に構成した撮像ユニット1と、これを制御する汎用のホストコンピュータ50とで構成されている。これに代えて、撮像に必要な全ての構成が一体のものとして組み込まれてもよい。撮像ユニットとホストコンピュータとで撮像システムを構成する場合、画像データを保存したり各種の解析処理を実行するためのハードウェアおよびソフトウェア資源をホストコンピュータに集約させることができる。このようにすると、撮像ユニット側では撮像のために必要最小限のハードウェアおよびソフトウェアのみを備えればよいので、システムコストを抑えることができる。

0024

次に、上記のように構成された撮像システム100の動作について説明する。この撮像システム100は、ユーザから撮像動作、すなわち試料保持部10に保持された試料の読み取り動作を開始する旨の指示を受け付けると、指定された条件での読み取り動作を実行して試料を撮像する。読み取りにより撮像部21のCCD素子22で生成された画像信号は制御部30のA/Dコンバータ31により多値原画像データに変換される。このときの原画像データには撮像系の非線形感度特性の影響が含まれるため、この撮像システム100では、原画像データに対し階調補正処理を行って、このような非線形性を排除した多階調の画像データを生成する。なお、カラー画像を撮像するシステムにおいては、色分解された色成分ごとに以下のデータ処理がなされる。

0025

図2は階調補正処理の概要を示す図である。より具体的には、図2(a)は階調補正特性の一例を示し、図2(b)はこの撮像システム100における階調補正処理のデータの流れを模式的に示す図である。多階調画像データを例えば8ビットデータとして表現する場合、階調数は256段階であり、図2(a)に示すように階調値は0〜255の値を取る。CCD素子22により受光される最も高輝度の光を輝度値100%、光量ゼロを輝度値0%により表し、輝度値0%に階調値0を、輝度値100%に階調値255をそれぞれ割り当てる。そして、図2(a)に示すように、輝度値と階調値との間に非線形な相関性を与えることにより、撮像系における感度の非線形性を補償して、撮像対象物の光学特性により忠実な多階調画像データを得ることができる。

0026

この撮像システム100では、このような輝度値と階調値との相関性がデータ化されてルックアップテーブル(LUT)32cとして予め記憶保存されている。図2(b)に示すように、CCD素子22から出力されるアナログ画像信号がA/Dコンバータ31によりデジタルデータ(原画像データ)に変換され、バッファ32aに一時的に保存される。そして、CPU33がバッファ32aから出力される原画像データに基づきLUT32cを参照して、原画像データを撮像系の感度の非線形性が補正された多階調データに変換し、画像メモリ32bに記憶させる。このようにして階調補正処理がなされる。

0027

ここで、最終的に画像メモリ32bに記憶される多階調画像データのデータ長は8ビットである。一方、A/Dコンバータ31およびバッファ32aで扱われる原画像データはこれよりビット長が大きく例えば12ないし16ビットである。また、CPU33内部での演算における有効ビット長も8ビットより十分に大きい。このようにすることで、画像信号から多階調画像データを生成するプロセスにおけるノイズの発生を抑えて、画質劣化を防止することができる。

0028

また、CCD素子22から出力される画像信号は順次デジタルデータに変換され、さらに階調補正処理がなされた上で画像メモリ32cに保存される。つまり、A/Dコンバータ31から出力される原画像データは補正処理のために一時的にバッファ32aに保存されるだけで、例えば1枚のウェルプレートWPまたは1つのウェルWの全体画像に相当する原画像データが保存されるわけではない。したがって画像メモリ32bは階調補正後の8ビットデータのみを保存する機能および容量があればよく、またバッファ32aの容量も小さくてよい。

0029

なお、本明細書では、処理の流れを示すためにバッファ32aを独立した機能ブロックとして説明しているが、実際の装置においては例えばCPUの内部バッファを利用したり、画像メモリのメモリ空間の一部をバッファエリアとすることによりバッファ32aを実現することが可能である。また例えば、階調補正後の画像データを順次ホストコンピュータ50に送出しホストコンピュータ50側で記憶保存する構成とすれば、撮像ユニット1側で必要な画像メモリの容量も大きく削減することが可能である。

0030

次に、原画像データにおける輝度値100%に相当する光量をどのように設定するかについて検討する。この種の撮像装置では、撮像デバイス感度ばらつきを補正するために、光学特性が既知の基準面を撮像してシェーディング特性を取得し、該特性に基づき入射光量の正規化を行うシェーディング補正が一般的に行われる。具体的な処理内容については後に詳述するが、この撮像システム100においても、所定の透過率を有する白基準板12の撮像結果に基づくシェーディング補正処理が実行される。シェーディング補正処理については種々の公知技術があり、それらから適宜選択した技術をこの撮像システム100にも適用することができるので、ここでは詳しい説明を省略する。

0031

ただし、この撮像システム100のように、ウェルプレートWPのウェルW内に培地とともに担持される生物試料を撮像する装置においては、このような撮像に固有の、次のような特質がある。

0032

図3はウェルプレートに担持される試料を模式的に示す図である。より具体的には、図3(a)は生物試料を含む培地を担持するウェルプレートWPの側面断面図であり、図3(b)はその底面図である。この撮像システム100における撮像対象物は、図3(a)に示すように、ウェルプレートWPに設けられたウェルWに担持された液体または固体もしくはゲル状の培地Mに存在する例えば細胞塊Spのような生物試料である。ここではウェルWの内底面に細胞塊Spが分布する例を示しているが、培地Mの表面または中層部に撮像対象物が存在する場合もある。また培地Mの量(ウェルWにおける深さ)も様々である。

0033

培地Mは多くの場合何らかの薬品を含んでおり、完全な透明体または白色体であることは稀である。したがって、撮像対象物を下方から観察した場合、一般的には図3(b)に示すように、何らかの光学濃度を有する培地M内に例えば細胞塊Spのような撮像対象物が分布した状態となる。このため、ウェルW内を撮像した画像では培地Mの輝度値が最も高く、他の部分はこれより低輝度となる。つまり、実際の画像は培地Mに相当する輝度値を最大値とする輝度分布を有する。

0034

一方、シェーディング補正処理では一定の光学特性を有する白基準板12を基準として輝度値の正規化を行うため、その結果がウェルWを撮像した実画像の輝度分布範囲合致したものになるとは限らない。そこで、この撮像システム100では、培地Mの輝度値に応じて階調補正特性のスケーリングを行う。

0035

図4は階調補正特性のスケーリングを説明するための図である。図4曲線Aとして示すように、シェーディング補正処理では白基準板12を撮像したときの輝度値が100%となるように、撮像される光量(輝度値)の正規化が行われる。そして、階調補正処理用のLUT32cでは、輝度値100%に対して最大階調値(8ビットの場合255)が、輝度値0%に対して最小階調値0が対応付けられている。

0036

一方、ウェルWを撮像した実画像では、前記したように培地Mが最も高輝度である。どのような試料を撮像しても輝度値が100%以下となるようにシェーディング補正処理が行われており、培地Mが示す輝度値は培地Mの種類や状態により様々であるから、多くの場合、培地Mの輝度値は100%より小さい。図4に示すように実画像における培地Mの輝度値がX%である場合、階調補正後の実画像に対応する多階調画像データは、0から輝度値Xに対応する階調値Yまでの範囲で表現され、階調値Yを超え255までの数値範囲は、画像のデータ表現には用いられないことになる。つまり、256段階の階調数の一部が無効となり、多階調表現のダイナミックレンジが狭くなる。

0037

そこで、この実施形態では、図4に矢印で示すように、0%から100%までの輝度値範囲で階調値と対応付けられている階調補正特性(曲線A)を、0%から培地Mの輝度値X%までの範囲にスケーリングし、修正された階調補正特性(曲線B)を得る。その結果、最小階調値から最大階調値までが、実画像における輝度分布の分布範囲内に割り付けられる。こうして修正された階調補正特性を適用して階調補正処理を実行することで、この実施形態では、ウェルWを撮像して得られた実画像を、256段階の階調数を有効に用いて多階調表現することができる。これにより、画像をより広いダイナミックレンジで表現することが可能となる。

0038

なお、スケーリング時のビット落ちによる演算精度の低下を防止するために、LUT32cに保存されるデータは8ビットよりも大きなビット長を有することが望ましい。また、輝度値と階調値との割り付けにおいて、高階調側に若干のマージンを設けてもよい。すなわち、培地Mの輝度値に最大階調値255を割り付けるのではなく、若干小さい階調値(例えば250)を割り付けてもよい。このようにすると、仮に培地よりも高輝度の領域があった場合、あるいは培地の輝度値に算出誤差があった場合などにも対応することができる。以下の説明では、図4に示される曲線A、Bのように階調補正特性を表す曲線を、「トーンカーブ」と称することがある。

0039

次に、上記した階調補正特性(トーンカーブ)のスケーリングを用いたこの撮像システム100による生物試料の撮像動作の2つの態様について説明する。以下に説明する第1の態様では、与えられた試料を実際に撮像して培地Mの輝度値を求め、その値に基づくスケーリングを行う。一方、第2の態様では、培地Mの種類や状態から推定される当該培地Mの輝度値に基づきスケーリングを行う。これら2つの態様は、同一のハードウェア構成を用い、その動作の一部を異ならせることによって実現可能である。

0040

<第1の態様>
図5はこの撮像システムの撮像動作の第1の態様を示すフローチャートである。また、図6はキャリブレーション処理の動作を示すフローチャートである。これらの処理は、CPU33がメモリ32に予め記憶された制御プログラムを実行して装置各部に所定の動作を行わせることにより実現される。

0041

ホストコンピュータ50がユーザから撮像動作を開始をする旨の指示入力をUI部55を介して受け付けると、その旨およびユーザ指示に含まれる各種の撮像処理の内容を指定する情報(撮像情報)が、ホストコンピュータ50から撮像ユニット1の制御部30に与えられる(ステップS101)。撮像情報としては、例えば撮像すべきウェルプレートWPの枚数や種類、それに担持される試料の内容、撮像条件(例えば照明条件解像度)などが含まれる。これを受けた撮像ユニット1は図6に示すキャリブレーション処理を実行する(ステップS102)。

0042

なお、本実施形態のキャリブレーション処理においては、オートフォーカス(AF)調整処理(ステップS201〜S204)とシェーディング特性を取得するための処理(シェーディング処理;ステップS205〜S207)とを実行するが、これらの処理内容としては公知の技術を適用することができる。そこで、ここでは、これらの処理の原理および詳しい動作については説明を省略する。

0043

キャリブレーション処理では、まずAF調整処理が実行される(ステップS201〜S204)。具体的には、走査駆動機構25を動作させて撮像部21をAF基準板13の直下位置に移動させ(ステップS201)、光学走査部20によりAF基準板13の読み取りを行う(ステップS202)。AF基準板13には所定の基準線が引かれており、収束光学系23のフォーカス位置をフォーカス調整機構24により多段階変更設定しながらその都度基準線の像を取得する。基準線の画像コントラストが最大となるときのフォーカス位置を合焦位置として、そのときの収束光学系23の設定をAFデータDA1として記憶するとともに(ステップS203)、収束光学系23をその設定に合わせる(ステップS204)。

0044

これにより、撮像部21の合焦位置が最適化される。再度のオートフォーカス調整処理が実行されるまでは、このときのAFデータDA1に基づいて収束光学系23が調整された状態で、試料の撮像が行われる。

0045

次に、シェーディング処理が実行される(ステップS205〜S207)。具体的には、走査駆動機構25を動作させて撮像部21を白基準板12の直下位置に移動させ(ステップS205)、光学走査部20により白基準板12の読み取りを行う(ステップS206)。白基準板12は所定の光透過率を有する白色の平板であり、白基準板12の上方に位置決めされた光源29からの光の一部を透過させて光学走査部20に入射させる。

0046

白基準板12の真の色濃度値をV、光学走査部20が白基準板12を読み取った際の出力値シェーディングデータDS1とすると、試料を読み取った読取画像データDDシェーディング補正後補正画像データDCとの間には、
DC=DD×V/DS1 … (式1)
なる関係が、各画素について成り立つ。

0047

シェーディング補正を実行することは、(式1)の関係に基づいて、読取画像データDDから補正画像データDCを得ることに他ならない。言い換えると、シェーディング処理を実行してシェーディングデータDS1を取得することで、以後の読み取りにおけるシェーディング補正を行う際の補正係数、すなわち(式1)右辺係数(V/DS1)が得られることになる。そこで、読み取り結果からこのシェーディングデータDS1を取得し記憶保存しておく(ステップS207)。

0048

このように、シェーディング処理を行うことにより、シェーディング補正を行うために必要な情報が取得される。後述するように、再度のシェーディング処理が実行されるまでは、このときのシェーディングデータDS1から求められる係数(V/DS1)を補正係数として用いたシェーディング補正が実行されることになる。

0049

図5に戻って、上記のようにしてキャリブレーション処理が終了すると、実際に生物試料を読み取る準備が整ったことになる。続いて、撮像すべきウェルプレートWPの残り枚数を表す内部パラメータTを、撮像情報としてユーザにより指定された初期値nに設定し(ステップS103)、トーンカーブの調整が必要か否かを判断する(ステップS104)。ここで、「トーンカーブの調整」とは、例えば図4に示す曲線Aをスケーリングして曲線Bを得る処理のように、LUT32cに記憶されたトーンカーブを培地の輝度値に応じてスケーリングする処理をいう。

0050

トーンカーブの調整が必要であるか否かについては、例えば以下のような基準で判断することができる。まず、撮像すべき試料がこれまで撮像に供されていない新規なものであるとき、培地Mの輝度値が未知であるため、その輝度値の把握とそれに伴うトーンカーブの調整が必要となる。

0051

一方、撮像対象となる試料が過去に撮像に供されたものであるとき、原則としてトーンカーブの調整は不要であるものとする。生物試料を撮像対象物とする撮像システムでは、時間に伴う試料の変化を観察するために、同一の試料を所定の時間間隔を空けて定期的に撮像する、いわゆるタイムラプス撮像が行われることがある。この場合、撮像条件が変わると画像の比較観察が的確に行えなくなるため、同じ撮像条件で撮像が行われる必要がある。したがって、トーンカーブは先の撮像で用いられたものが後の撮像でも用いられることが望ましく、トーンカーブの再調整は不要である。

0052

なお、同一試料でも時間の経過とともに培地の色合いも次第に変化し、一般的には次第に濃色に変化してゆく。これにより、同じトーンカーブを適用し続けることで画像コントラストが次第に低下することが予想される。このような場合に対応するために、必要に応じてトーンカーブの再調整を行ってもよい。

0053

また、例えば照明光の強度や撮像の解像度、走査速度などの撮像条件が変更された場合も、シェーディング処理およびトーンカーブの調整が必要とされる。

0054

さらに、これらの要件に関わらず、ユーザから調整を行う、または行わない旨の指示入力があったときには、当然にその指示が優先されてトーンカーブの調整の要否が判断される。

0055

トーンカーブの調整が必要であると判断された場合には、続いて試料のプレスキャンおよびこれに基づくトーンカーブの調整が行われる(ステップS111〜S113)。具体的には、本スキャンに先立つプレスキャンとして光学走査部20を動作させてウェルプレートWPの撮像を行い(ステップS111)、得られたウェルWの画像内で培地に該当する領域の輝度値を算出する(ステップS112)。

0056

この場合の撮像は単に培地Mの輝度値を求めることができれば足り高い解像度を必要としないので、走査速度を通常より速くしたり、走査する領域を限定してもよい。ただし、撮像された画像については、先に求めたシェーディングデータDS1に基づくシェーディング補正処理が実行される。

0057

前記したように、細胞塊Sp等を含む画像でも培地Mの輝度が最も高いと考えられるから、簡易的には画像内の最も高輝度の領域の輝度値をもって培地Mの輝度値とみなすことができる。より精密には、例えば画像処理によって画像から細胞塊Sp等を検出しそれらが占める領域を除外した領域を培地に相当する領域としその輝度値を求めることができるが、このような複雑な処理についてはホストコンピュータ側で実行されるのが現実的である。

0058

こうして培地Mの輝度値が求められると、図4に示す原理に基づき、トーンカーブが培地Mの輝度値に応じてスケーリングされて、補正前の原画像の輝度値と補正後の画像の階調値との間の新たな相関関係が求められる(ステップS113)。このようにしてトーンカーブの調整が行われる。これにより、後の階調補正処理に適用される補正特性が決定される。

0059

ウェルWに担持される培地の種類や量が異なればその色合いも異なるため、培地Mの輝度値に基づくトーンカーブの調整は、本来的にはウェルWごとに行う必要がある。しかしながら、培地の種類や量およびその作成時期が同じであれば輝度値も概ね同じと考えられるから、このような場合には各ウェルWについて共通のトーンカーブが適用されてもよい。ここではウェルプレートWP全体で同一条件の培地が作成されているものとし、異なる培地を含む場合の扱いについては後で説明する。

0060

トーンカーブの調整が行われ、あるいはステップS104において調整が不要と判断されたときには、続いて試料の本スキャンが行われる(ステップS105)。本スキャンは試料の画像を取得するための撮像部21の走査であり、ユーザにより指定された解像度および撮像条件で撮像が行われる。本スキャンにより画素ごとの原画像データDDが得られると、該原画像データDDに対して、各画素ごとに(式1)に基づくシェーディング補正および調整されたトーンカーブに基づく階調補正処理が実行されて、原画像を256段階の多階調で表現した画像データが得られる(ステップS106)。この多階調画像データが画像メモリ32に保存され(ステップS107)、撮像システム100の出力として、種々の画像処理装置等で利用される。

0061

上記のようにして1つのウェルプレートWPについて撮像が終了すると、撮像すべきウェルプレートWPの残り枚数を示すパラメータTが1だけデクリメントされ(ステップS108)、この値が0となるまでステップS104以降の処理を繰り返す(ステップS109)。このとき、先に撮像されたウェルプレートWPと同じ培地が用いられているか否かにより、トーンカーブの再調整が必要か否かが判断され、必要であればステップS111〜S113が再度実行される。

0062

なお、各ウェルプレートWPの撮像に適用されたトーンカーブについては、当該ウェルプレートWPを識別するための情報と関連付けて、撮像履歴情報としてホストコンピュータ50のメモリ52またはストレージ53に記憶保存される。前記したように、同一の試料については同一の処理条件が適用されることが望ましく、各ウェルプレートWPについて適用されたトーンカーブの情報を記憶保存しておくことで、この目的に供することができる。この情報は、撮像動作の実行時には撮像情報として必要に応じホストコンピュータ50から撮像ユニット1に与えられる。

0063

<第2の態様>
図7はこの撮像システムの撮像動作の第2の態様を示すフローチャートである。この態様においては、トーンカーブの調整を行う際の動作が相違するものの、それ以外の動作については図5に示す第1の態様と同一である。そこで、図7では、図5に示した処理と同一の処理については同一の番号を付してその説明を省略する。

0064

この態様においては、ステップS104においてトーンカーブの調整が必要と判断されたとき、試料のプレスキャンを行うことなく、予め用意された複数のルックアップテーブルの中から培地に応じたものが選択される。具体的には、図4に曲線Aで示すトーンカーブを互いに異なる比率でスケーリングした複数のルックアップテーブル(LUT)を予め作成しておき、撮像ユニット1のメモリ32またはホストコンピュータ50のメモリ52もしくはストレージ53に保存しておく。データ量が大きくなる場合には、これらのLUTについてはホストコンピュータ50側で保存されることが望ましい。

0065

また、ホストコンピュータ50では、トーンカーブを表す階調補正用のLUTとは別に、培地の種類や量などを表す培地情報と、それにより特定される培地に最適なトーンカーブに対応するLUTとを関連付けた参照テーブルが予め作成され、メモリ52またはストレージ53に記憶保存されている。

0066

図8は参照テーブルの一例を示す図である。この参照テーブル56では、「培地情報」として、培地の種類、その濃度、ウェルWへの注入量、ウェルプレートWPの種類が入力されている。これらの情報から特定される培地と当該培地の輝度値との間には一定の相関性があると考えられるので、培地情報を用いることで、実測することなく当該培地の輝度値を推定することが可能となる。培地の輝度値が推定できれば、それに応じたLUTの選択が可能である。

0067

培地情報については、ユーザが試料を管理するためのデータベースと関連付けておくことが好ましい。すなわち、ユーザが作成する種々の試料について、その内容物や作成条件等についてホストコンピュータ50で一元的に管理するデータベースを作成しておくことは、従来から広く行われている。このデータベースからユーザが撮像したいウェルプレートWPを指定したときに、当該ウェルプレートWPに担持される試料の培地情報がデータベースから撮像ユニット1に与えられるようにしておけば、撮像時にユーザが改めて培地情報を指定する必要はなくなる。

0068

また参照テーブルを作成するに際しては、例えば、培地情報により特定される培地を予め実験的に作成し、その撮像を行って輝度値を実測し、用意された複数の階調補正用LUTから当該培地に最も適したものを選択してデータベース化しておくことが考えられる。また、ユーザによる参照テーブルの編集を可能として、データの追廃を行うことができるようにしてもよい。

0069

図8の例では、培地の種類、濃度、ウェルWへの注入量、ウェルプレートWPの種類の12組の組み合わせのそれぞれに対して12通りのLUT(番号1〜12)が1つずつ割り当てられている。撮像される試料の培地情報がわかれば、この参照テーブル56が参照されて(ステップS121)、それに応じた最適なトーンカーブを有するLUTが1つ選択される(ステップS122)。これにより、第1の態様と同様に、トーンカーブが試料の培地に応じた最適なものに調整され、階調補正処理に適用される。

0070

<変形例>
なお、図8に示す参照テーブル56では、培地情報とそれに適したLUT番号とがテーブルとして対応付けられているが、これに代えて、培地情報とそれから推定される培地の輝度値とを対応付けた参照テーブルを設けてもよい。この場合、培地情報に基づき参照テーブルを参照することで、当該培地の輝度値の推定値が結果として得られる。この推定値を、第1の態様における実測値の代わりに用いてトーンカーブをスケーリングし、階調補正処理に適用するようにしてもよい。

0071

<その他>
図9はトーンカーブの調整の有無による画像の違いを示す図である。図9(a)はシェーディング補正処理と、スケーリングを伴わない階調補正処理とを行った画像の例を示す。また、図9(b)はシェーディング補正処理と、スケーリングされた階調補正処理とを行った画像の例である。これらの間で撮像対象物は同一である。スケーリングを行っていない図9(a)の例では、白基準板12の輝度値を最大階調値に対応させた階調補正処理が行われるため、各画素に比較的低い階調値が割り当てられて画像全体が暗く低コントラストとなっている。一方、スケーリングを行った図9(b)の例では、培地の輝度値に最大階調値が割り当てられるため、画像がより明るく、広いダイナミックレンジで画像が表現されるため濃淡の差が大きく高コントラストとなっている。

0072

次に、この撮像システム100を用いて撮像を行うのに適した試料の作成方法について説明する。これまで述べたように、この撮像システム100では、培地の輝度値に応じてトーンカーブをスケーリングする。そのため、ウェルWごとに培地が異なれば異なるトーンカーブが階調補正処理に適用されることになる。ただし、撮像時に生成される原画像データは順次補正処理に供されてバッファ32aから消去されるため、トーンカーブが異なるウェルWについてはそれぞれ個別に撮像部21を作動させて撮像を行い原画像データを取得する必要がある。

0073

これにより撮像処理の所要時間が長くなるのを防止するために、同じ培地を使用した試料をできるだけまとめてウェルプレートWP上に配置することが望ましい。

0074

図10はウェルプレート上の試料配置の例を示す図である。行番号A〜Hがそれぞれ付された8行、列番号1〜12がそれぞれ付された12列のウェルWがマトリクス配置されたウェルプレートWPを例とする。図10(a)に示すように、第1列〜第3列のウェルに細胞A、第4列〜第6列のウェルに細胞A’、第7列〜第9列のウェルに細胞B、第10列〜第12列のウェルに細胞B’がそれぞれ培養されるものとする。一方、培地に添加される化合物は、各行ごとに異なる濃度で添加される。なお行番号Bで示す行については、薬剤を含むウェル(行番号C以下)から含まないウェル(行番号A)への薬剤の混入コンタミネーション)を防止するため空とされている。このようなウェルプレートWPでは、細胞種化合物濃度との組み合わせが互いに異なるグループ1〜グループ32の試料グループが形成される。

0075

各グループ内では同一条件で試料が作成されているので、共通のトーンカーブを適用することができる。一方、異なるグループ間では、グループごとにトーンカーブを異ならせるようにしてもよいが、この場合、撮像部21による本スキャンを32回行う必要がある。もし培地が同じであれば同じトーンカーブを適用することが可能である。仮にグループ1〜グループ16で共通の培地を、またグループ17〜グループ32で他の共通の培地を使用していれば、図10(b)に示すように、グループ1〜グループ16が配置された領域R1と、グループ17〜グループ32が配置された領域R2とでそれぞれ本スキャンを行えばよく、スキャン回数は2回で済む。このように、撮像部21のスキャンをより少ない回数で効率よく行えるようにするために、同じ培地を使用する試料をできるだけまとめてウェルプレートWPに配置することが望ましい。

0076

以上のように、この実施形態では、ウェルプレートWPのウェルW内に培地Mとともに担持された撮像対象物(例えば細胞塊Sp)を撮像するのに際して、培地において得られる輝度値を最大階調値に対応付けた階調補正処理を行って多階調画像データを生成する。こうすることにより、階調値の数値範囲を有効に使って広いダイナミックレンジで画像を多階調表現することができ、良好な画質で画像をデータ化することができる。

0077

具体的には、CCD素子22で受光される最小輝度から最大輝度までを最小階調値から最大階調値までに対応させたトーンカーブをルックアップテーブル(LUT)として予め保存しておき、培地の輝度値に応じてトーンカーブをスケーリングして階調補正処理に適用することで、このような広いダイナミックレンジでの撮像を可能にしている。

0078

この撮像システム100の撮像動作の第1の態様では、試料をプレスキャンして培地の輝度値を実測し、その値によりトーンカーブをスケーリングする。また、第2の態様では、培地を特定する培地情報から推定される輝度値から、予めスケーリングされた複数のLUTから最適なものを選択する。これらのいずれによっても、試料に対応する原画像の輝度分布に応じた輝度範囲に階調値が割り付けられるので、画像を広いダイナミックレンジで多階調表現することができる。

0079

CCD素子22により撮像された画像をデジタルデータ化するA/Dコンバータ31は、最終的に多階調画像データとして保存される8ビットデータよりもビット長の大きい原画像データを出力する。そして、原画像データに対する階調補正処理により、多階調画像データとしての8ビットデータが生成される。このような構成では、演算時の下位ビットの丸めにより生じる画質の劣化を防止することができる。

0080

また、この撮像システム100では、上記の階調補正処理と併せて、白基準板12の撮像結果から取得したシェーディングデータDS1に基づくシェーディング補正処理を実行する。シェーディング補正処理により、撮像系の感度のばらつきに起因する画像品質のばらつきを抑えることができる。そして、さらに上記した階調補正処理を行うことにより、撮像系の感度の非線形性を補正してより画質の良好な画像を得ることができる。

0081

また、この撮像システム100では、試料の撮像を行ったとき、階調補正処理においてどのような補正特性が適用されたかを示す情報を、試料を特定するための情報とともに撮像履歴情報として記憶保存している。そして、過去に撮像を行ったことのある試料に対して改めて撮像を行うときには、その時点での培地の輝度に関わらず、前回の撮像で適用された階調補正特性を適用した階調補正処理を行うことが可能となっている。このような構成では、時間間隔を空けて撮像される同一試料の複数の画像が同じ処理条件で補正処理されているため、それらの画像間の比較観察を行うのに好適な画像を提供することができる。

0082

以上説明したように、この実施形態では、ウェルプレートWPが本発明の「試料容器」に相当している。また、撮像部21のCCD素子22と制御部30のA/Dコンバータ31とが一体として本発明の「撮像手段」として機能する一方、CPU33が本発明の「データ処理手段」として機能している。また、LUT32cとして記憶された情報が本発明の「補正特性情報」に相当し、これを記憶するメモリ32が本発明の「情報保持手段」として機能している。また、参照テーブル56が本発明の「参照テーブル」に相当している。また、白基準板12が本発明の「輝度基準部材」として機能している。

0083

また、この実施形態の撮像動作(図5図7)においては、ステップS105が本発明の「撮像工程」に相当する一方、ステップS106が本発明の「データ処理工程」に相当している。

0084

なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態における撮像動作の第1の態様では、試料の本スキャン(ステップS105)を実行する前にプレスキャン(ステップS111)を実行し、その結果に基づいてトーンカーブのスケーリングを行い階調補正特性を決定している。しかしながら、培地の輝度値を求めるための撮像は、本スキャンの後に実行されてもよく、また本スキャンで得られた画像から培地の輝度値が求められても、階調補正特性の最適化という観点からは上記と同様の結果を得ることが可能である。ただしこれらの場合、本スキャン時点では階調補正特性が確定していないため、本スキャンで得られた原画像データをいったん保存しておく必要がある。そのため、撮像ユニット1に大容量のメモリを設ける、あるいは、階調補正処理をホストコンピュータ50側で実行させるなどの変更が必要である。

0085

また、上記実施形態におけるホストコンピュータ50と撮像ユニット1との機能の切り分けはその一例を示したものであり、上記例に限定されるものではない。例えば、撮像ユニットは単に撮像のみ、つまり試料を走査してデジタルデータ化する動作のみを行い、他の全てのデータ処理をホストコンピュータ側で行うようにしてもよい。また、全ての処理機能を備えた一体型の撮像システムであってもよい。

0086

また、上記実施形態の撮像部21は撮像対象物に対して一次元撮像素子であるCCD素子22を走査移動させることで二次元画像を取得するものであるが、本発明の撮像手段はこのようなリニアセンサの走査移動によるものに限定されず、例えば撮像対象物に対し固定位置決めされたエリアセンサにより二次元画像を取得するものであってもよい。

0087

また、上記実施形態では、撮像部21により撮像された原画像データに対してシェーディング補正処理および階調補正処理を行っているが、本発明にかかる階調補正処理は、シェーディング補正処理を伴わない場合においても有効である。また、シェーディング補正処理はCCD素子22から出力されるアナログ信号に対して実行されてもよい。

0088

また、上記実施形態では、ユーザから撮像の指示を受けてからキャリブレーション処理(オートフォーカス調整処理およびシェーディング処理)を実行しているが、ユーザからの指示によらず、例えばシステムの起動後に、あるいは定期的にキャリブレーション処理が自動実行されるようにしてもよい。このようにした場合、ユーザからの撮像指示を受けると直ちに撮像を行うことができるので、撮像が終了するまでのユーザの待ち時間を短縮することが可能である。

0089

また、上記実施形態では、ウェルプレートWPに対する撮像部21の走査移動を、ウェルプレートWPを固定し、光源29と撮像部21とを一体的にウェルプレートWPに対して移動させることにより実現している。しかしながら、光源29と撮像部21とを固定してウェルプレートWPを移動させる構成によっても同様の走査移動を実現することが可能であり、そのような構成の装置に対しても、本発明を適用することが可能である。また上記実施形態では撮像対象物を担持するウェルプレートWPを挟んで光源29および撮像部21を配置した構成であるが、これらをウェルプレートWPに対して同じ側に配置し、ウェルWからの反射光を読み取る装置に対しても、本発明を適用可能である。また撮像対象物は、ウェルプレートWPを試料容器とするものに限定されず、これ以外に種々のものを本発明の「試料容器」として使用可能である。

0090

この発明は、例えば医療・生物科学分野で用いられるウェルプレート上のウェルのような、例えば生体物を含む試料の撮像を必要とする分野に特に好適に適用することができるが、その応用分野は医療・生物科学分野に限定されない。

0091

1撮像ユニット
12白基準板(輝度基準部材)
21撮像部
22CCD素子(撮像手段)
30 制御部
31 A/Dコンバータ(撮像手段)
32メモリ(情報保持手段)
32c LUT(補正特性情報)
33 CPU(データ処理手段)
50ホストコンピュータ
56 参照テーブル
S105 撮像工程
S106 データ処理工程
Sp細胞塊(撮像対象物)
WPウェルプレート(試料容器)

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