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技術 構造化照明装置及び構造化照明顕微鏡装置

出願人 株式会社ニコン
発明者 大内由美子大澤日佐雄
出願日 2013年9月4日 (6年9ヶ月経過) 出願番号 2013-182813
公開日 2015年3月16日 (5年3ヶ月経過) 公開番号 2015-049467
状態 特許登録済
技術分野 顕微鏡、コンデンサー 蛍光または発光による材料の調査,分析
主要キーワード 部分輪 濃度型 ダブルリング カットマスク ピエゾモータ 仮想距離 復調演算 並進機構
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

観察対象面波長間ズレを簡単かつ確実に抑えること。

解決手段

本発明の構造化照明装置の一例は、光源からの射出光束を少なくとも2つの分岐光束分岐する分岐部と、分岐した前記2つの分岐光束による干渉縞標本に形成する光学系と、波長の異なる少なくとも2種類の前記射出光束に位相差を付与する位相差付与部材とを備える。

概要

背景

標本の観察や計測の分野では、対物レンズの性能を超えた解像度を達成するために、空間変調された照明光により標本を照明して変調画像を取得し、その変調画像に含まれる変調成分を除去(復調)することにより、標本の超解像画像を生成する構造化照明顕微鏡SIM:Structured Illumination Microscopy)が提案されている(例えば、特許文献1等を参照)。

特に、特許文献1に記載の構造化照明顕微鏡では、光源から射出した光束を回折格子で複数の光束に分岐し、それら光束を対物レンズの瞳面の互いに異なる位置へ集光し、標本の近傍で互いに干渉させ、その干渉縞構造化照明光としている。

概要

観察対象面波長間ズレを簡単かつ確実に抑えること。本発明の構造化照明装置の一例は、光源からの射出光束を少なくとも2つの分岐光束に分岐する分岐部と、分岐した前記2つの分岐光束による干渉縞を標本に形成する光学系と、波長の異なる少なくとも2種類の前記射出光束に位相差を付与する位相差付与部材とを備える。

目的

本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、観察対象面の波長間のズレを簡単かつ確実に抑えることのできる構造化照明装置及び構造化照明顕微鏡装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

光源からの射出光束を少なくとも2つの分岐光束分岐する分岐部と、分岐した前記2つの分岐光束による干渉縞標本に形成する光学系と、波長の異なる少なくとも2種類の前記射出光束に位相差を付与する位相差付与部材とを備えることを特徴とする構造化照明装置。

請求項2

請求項1に記載の構造化照明装置において、前記分岐部は、前記2種類の射出光束を互いに異なる角度で分岐する回折光学素子であり、前記位相差付与部材は、前記2種類の射出光束の光路が空間的に分離した箇所に配置されることを特徴とする構造化照明装置。

請求項3

請求項2に記載の構造化照明装置において、前記光学系は、対物レンズを含み、前記位相差付与部材は、前記対物レンズの瞳面又は瞳共役面の近傍に配置されることを特徴とする構造化照明装置。

請求項4

請求項2又は請求項3に記載の構造化照明装置において、前記位相差付与部材は、前記2種類の射出光束の一方に所定の位相を付与する第1の領域と、前記2種類の射出光束の他方に前記所定の位相とは異なる位相を付与する第2の領域とを有することを特徴とする構造化照明装置。

請求項5

請求項4に記載の構造化照明装置において、前記第1の領域及び前記第2の領域のうち少なくとも一方の位相は、前記光軸から離れるに従って変化することを特徴とする構造化照明装置。

請求項6

請求項5に記載の構造化照明装置において、前記第1の領域及び前記第2の領域のうち少なくとも一方の位相は、前記光軸から離れるほど大きく設定されることを特徴とする構造化照明装置。

請求項7

請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の構造化照明装置において、前記位相差付与部材が前記2種類の射出光束に付与する位相差は、前記2種類の射出光束の軸上色収差に相当する値に設定されることを特徴とする構造化照明装置。

請求項8

請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の構造化照明装置において、前記位相差付与部材が前記2種類の射出光束に付与する位相差は、前記2種類の射出光束間で前記標本における焦点面を一致させる値に設定されることを特徴とする構造化照明装置。

請求項9

請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の構造化照明装置において、前記光学系が形成する前記干渉縞は、前記2つの分岐光束と他の1つの分岐光束との3つの分岐光束による3光束干渉縞であることを特徴とする構造化照明装置。

請求項10

請求項1〜請求項9の何れか一項に記載の構造化照明装置において、前記光源は、前記2種類の射出光束を同時又は順次に出射することを特徴とする構造化照明装置。

請求項11

請求項1〜請求項10の何れか一項に記載の構造化照明装置において、前記標本に形成される前記干渉縞の方向を複数の方向の間で切り替え切替部を更に備え、前記位相差付与部材は、前記複数の方向毎に用意されていることを特徴とする構造化照明装置。

請求項12

請求項1〜請求項10の何れか一項に記載の構造化照明装置において、前記標本に形成される前記干渉縞の方向を切り替える第1切替部と、前記位相差付与部材の方向を切り替える第2切替部と、を更に備えたことを特徴とする構造化照明装置。

請求項13

請求項1〜請求項12の何れか一項に記載の構造化照明装置において、前記干渉縞の位相をシフトさせる位相シフト部を更に備えたことを特徴とする構造化照明装置。

請求項14

請求項1〜請求項13の何れか一項に記載の構造化照明装置と、前記干渉縞で変調された前記標本からの観察光束光検出器結像する結像光学系と、を備えたことを特徴とする構造化照明顕微鏡装置。

請求項15

請求項14に記載の構造化照明顕微鏡装置において、前記光検出器が生成した画像に基づき前記標本の復調像を演算する演算部を更に備えたことを特徴とする構造化照明顕微鏡装置。

技術分野

0001

本発明は、構造化照明装置及び構造化照明顕微鏡装置に関する。

背景技術

0002

標本の観察や計測の分野では、対物レンズの性能を超えた解像度を達成するために、空間変調された照明光により標本を照明して変調画像を取得し、その変調画像に含まれる変調成分を除去(復調)することにより、標本の超解像画像を生成する構造化照明顕微鏡(SIM:Structured Illumination Microscopy)が提案されている(例えば、特許文献1等を参照)。

0003

特に、特許文献1に記載の構造化照明顕微鏡では、光源から射出した光束を回折格子で複数の光束に分岐し、それら光束を対物レンズの瞳面の互いに異なる位置へ集光し、標本の近傍で互いに干渉させ、その干渉縞を構造化照明光としている。

先行技術

0004

米国再発特許発明第38307号明細書

発明が解決しようとする課題

0005

今後、標本の蛍光色素多様化されると、構造化照明顕微鏡の光源波長も多様化される必要があるが、干渉縞の干渉強度が最大となる位置(観察対象面)の光軸方向の位置は光源波長によってずれる虞がある。本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、観察対象面の波長間ズレを簡単かつ確実に抑えることのできる構造化照明装置及び構造化照明顕微鏡装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明の構造化照明装置の一例は、光源からの射出光束を少なくとも2つの分岐光束に分岐する分岐部と、分岐した前記2つの分岐光束による干渉縞を標本に形成する光学系と、波長の異なる少なくとも2種類の前記射出光束に位相差を付与する位相差付与部材と、を備える。

0007

本発明の構造化照明顕微鏡装置の一例は、本発明の構造化照明装置の一例と、前記干渉縞で変調された前記標本からの観察光束光検出器結像する結像光学系とを備える。

発明の効果

0008

本発明によれば、観察対象面の波長間のズレを簡単かつ確実に抑えることのできる構造化照明装置及び構造化照明顕微鏡装置が実現する。

図面の簡単な説明

0009

構造化照明顕微鏡装置1の構成図である。
回折格子13を説明する図である。
1/2波長板17の機能を説明する図である。
光束選択部材18の機能を説明する図である。
1/2波長板17及び光束選択部材18の機能を説明する図である。
光束選択部材18の形状を説明する図である。
並進機構15Aの機能を説明する図である。
回折格子13における回折角度と波長との関係を説明する図である。
第1実施形態の位相板200を説明する図である。
波長λS、λLに対する対物レンズ6の焦点面のズレを説明する図である。
波長λSの焦点面5ASを波長λLの焦点面5ALに一致させるために必要な延長量Δdpを示す図である。
位相遅延部200Bの作用を説明する図である。
(A)は、第1実施形態の位相板200を光軸に沿った方向(標本側)から見た図であり、(B)は、光軸Oを含む平面で位相板200を切断してできる断面図である。
(A)は、第1実施形態における位相板200の変形例(回転型)を光軸Oに沿った方向から見た図であり、(B)は、光軸Oを含む平面で位相板200を切断してできる断面図である。
(A)は、第1実施形態における位相板200の変形例(リング型)を光軸Oに沿った方向から見た図であり、(B)は、光軸Oを含む平面で位相板200を切断してできる断面図である。
(A)は、第1実施形態における位相板200の変形例(ダブルリング型)を光軸Oに沿った方向から見た図であり、(B)は、光軸Oを含む平面で位相板200を切断してできる断面図である。
3D−SIMに適用される光束選択部材18’の形状を説明する図である。
(A)は、第2実施形態の位相板200を光軸Oに沿った方向(標本側)から見た図であり、(B)は、光軸Oを含む平面で位相板200を切断してできる断面図である。
高さρSが異なると遅延量Δdpが異なることを説明する図である。

実施例

0010

[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態として構造化照明顕微鏡装置を説明する。

0011

図1は、構造化照明顕微鏡装置1の構成図である。以下では構造化照明顕微鏡装置1を全反射蛍光顕微鏡(TIRFM:Total Internal Reflection Fluorescence Microscopy)として使用する場合も併せて説明する。TIRFMは、蛍光性を有した試料(標本)5の表面の極めて薄い層を、観察することができる。

0012

先ず、構造化照明顕微鏡装置1の構成を説明する。

0013

図1に示すとおり構造化照明顕微鏡装置1には、レーザユニット100と、光ファイバ11と、照明光学系10と、結像光学系30と、第1撮像素子351と、第2撮像素子352と、制御装置39と、画像記憶演算装置40と、画像表示装置45とが備えられる。なお、照明光学系10は落射型であり、結像光学系30の対物レンズ6及びダイクロイックミラー7を利用して標本5の照明を行う。

0014

レーザユニット100には、第1レーザ光源101、第2レーザ光源102、シャッタ1031、1032、ミラー105、ダイクロイックミラー106、レンズ107が備えられる。第1レーザ光源101及び第2レーザ光源102の各々は可干渉光源であって、互いの出射波長は異なる。ここでは、第1レーザ光源101の波長をλL、第2レーザ光源102の波長をλSとおき、λL>λSと仮定する。これらの第1レーザ光源101、第2レーザ光源102、シャッタ1031、1032は、それぞれ制御装置39によって駆動・制御される。

0015

光ファイバ11は、レーザユニット100から射出したレーザ光導光するために、例えば、偏波面保存型のシングルモードファイバによって構成される。この光ファイバ11の出射端の光軸O方向の位置は、位置調節機構11Aによって調節可能である。この位置調整機構11Aは、制御装置39によって駆動・制御される。なお、位置調整機構11Aとしては、例えば、ピエゾ素子等が用いられる。

0016

照明光学系10には、光ファイバ11の出射端側から順に、コレクタレンズ12と、偏光板23と、光束分岐部15と、集光レンズ16と、位相板200と、光束選択部24と、レンズ25と、視野絞り26と、フィールドレンズ27と、励起フィルタ28と、ダイクロイックミラー7と、対物レンズ6とが配置される。

0017

なお、光ファイバ11として偏波面保存型のシングルモードファイバを使用した場合は、光ファイバ11の前後でレーザ光の偏波面が保存されるので、偏光板23は非必須であるが、レーザ光の偏光品質を保つためには有効である。一方、光ファイバ11としてマルチモードファイバを使用した場合、偏光板23は必須である。

0018

光束分岐部15には、回折光学素子(回折格子)13と、並進機構15Aとが備えられ、光束選択部24には、1/2波長板17と、光束選択部材18と、回動機構24Aとが備えられる。なお、並進機構15A、回動機構24Aは、制御装置39によって駆動・制御される。

0019

結像光学系30には、標本5の側から順に、対物レンズ6と、ダイクロイックミラー7と、バリアフィルタ31と、第2対物レンズ32と、第2ダイクロイックミラー35と、が配置される。

0020

標本5は、例えば、平行平板状のガラス表面に配置された蛍光性の細胞(蛍光色素で染色された細胞)や、シャーレ内に存在する蛍光性の生体細胞(蛍光色素で染色された動く細胞)などの細胞である。この細胞には、波長λLの光によって励起される第1蛍光領域と、波長λSの光によって励起される第2蛍光領域との双方が発現している。なお、第1蛍光領域は、波長λLの光に応じて中心波長λL’の第1蛍光を発生させ、第2蛍光領域は、波長λSの光に応じて中心波長λS’の第2蛍光を発生させる。

0021

構造化照明顕微鏡装置1がTIRFM(全反射蛍光顕微鏡)として利用される場合、対物レンズ6は、液浸型(油浸型)の対物レンズとして構成される。つまり、対物レンズ6と標本5のガラスとの間隙は、浸液(油)で満たされる。

0022

第1撮像素子351、第2撮像素子352の各々は、CCDやCMOS等からなる二次元の撮像素子である。第1撮像素子351、第2撮像素子352の各々は、制御装置39によって駆動されると、第1撮像素子351の撮像面361、第2撮像素子352の撮像面362の各々に形成された像を撮像し、画像を生成する。これら第1撮像素子351、第2撮像素子352の各々が生成した画像は、制御装置39を介して画像記憶・演算装置40へと取り込まれる。

0023

なお、第1撮像素子351、第2撮像素子352の各々のフレーム周期(撮像の繰り返し周期)は、撮像素子の撮像時間(すなわち電荷蓄積及び電荷読出に要する時間)、干渉縞の方向切り換えに要する時間、その他の所要時間のうち、律速によって定められる。

0024

制御装置39は、レーザユニット100、位置調整機構11A、並進機構15A、回動機構24A、第1撮像素子351、第2撮像素子352を駆動・制御する。

0025

画像記憶・演算装置40は、制御装置39を介して与えられた画像に対して演算を施し、演算後の画像を不図示の内部メモリに格納すると共に、画像表示装置45へ送出する。

0026

次に、構造化照明顕微鏡装置1におけるレーザ光の振る舞いを説明する。

0027

第1レーザ光源101から射出した波長λLのレーザ光(第1レーザ光)は、シャッタ1031を介してミラー105へ入射すると、ミラー105を反射し、ダイクロイックミラー106へ入射する。一方、第2レーザ光源102から射出した波長λSのレーザ光(第2レーザ光)は、シャッタ1032を介してビームスプリッタ106へ入射し、第1レーザ光と統合される。ダイクロイックミラー106から射出した第1レーザ光及び第2レーザ光は、レンズ107を介して光ファイバ11の入射端に入射する。なお、制御装置39がレーザユニット100を制御すると、光ファイバ11の入射端に入射するレーザ光の波長(=光源波長)を、長い波長λLと短い波長λSとの間で切り替えたり、光源波長を長い波長λLと短い波長λSとの双方に設定したりすることができる。

0028

光ファイバ11の入射端に入射したレーザ光は、光ファイバ11の内部を伝搬して光ファイバ11の出射端に点光源を生成する。その点光源から射出したレーザ光は、コレクタレンズ12によって平行光束に変換され、偏光板23を介して回折格子13へ入射すると、各次数回折光束に分岐される。これら各次数の回折光束(以下、「回折光束群」と称す)は、集光レンズ16に入射すると、集光レンズ16によって瞳共役面6A’の互いに異なる位置に集光される。

0029

ここで、瞳共役面6A’は、フィールドレンズ27及びレンズ25に関して対物レンズ6の瞳6A(±1次回折光が集光する位置)と共役な位置のことである。集光レンズ16は、集光レンズ16の焦点位置(後ろ側焦点位置)が瞳共役面6A’と一致するように配置されている。但し、ここでいう「共役な位置」の概念には、当業者が対物レンズ6、フィールドレンズ27、レンズ25の収差ビネッティング等の設計上必要な事項を考慮して決定した位置も含まれるものとする。

0030

なお、光ファイバ11から射出したレーザ光は基本的に直線偏光しているので、偏光板23は、省略することも可能であるが、余分な偏光成分を確実にカットするために有効である。また、レーザ光の利用効率を高めるため、偏光板23の軸は、光ファイバ11から射出したレーザ光の偏光方向に一致していることが望ましい。

0031

瞳共役面6A’に向かった各次数の回折光束は、瞳共役面6A’の近傍に配置された位相板200を介して、同じく瞳共役面6A’の近傍に配置された光束選択部24へ入射する。

0032

ここで、本実施形態の構造化照明顕微鏡装置1がTIRFM(全反射蛍光顕微鏡)として利用される場合、光束選択部24は、入射した各次数の回折光束のうち、1対の回折光束のみ(ここでは±1次回折光束のみ)を選択的に通過させる。

0033

光束選択部24を通過した±1次回折光束は、レンズ25によって視野絞り26付近で回折格子13と共役な面を形成する。その後、±1次回折光束の各々は、フィールドレンズ27により収束光に変換され、さらに励起フィルタ28を経てからダイクロイックミラー7で反射し、対物レンズ6の瞳面6A上の互いに異なる位置に集光する。なお、励起フィルタ28には、これまでの光路で発生する自家蛍光などを除去する機能がある。

0034

瞳面6A上に集光した±1次回折光束の各々は、対物レンズ6の先端から射出される際には平行光束となり、標本5の表面で互いに重なり合い、干渉縞を形成する。この干渉縞が、構造化照明光として使用される。

0035

また、本実施形態の構造化照明顕微鏡装置1がTIRFM(全反射蛍光顕微鏡)として利用される場合、標本5の表面に入射する際の入射角度は、エバネッセント場生成条件全反射条件)を満たすべきである。以下、全反射条件を「TIRF条件」と称す。

0036

TIRF条件を満たすためには、瞳面6Aにおける±1次回折光束の集光点は、瞳面6Aの最外周に位置する所定の輪帯状領域に位置していればよい。この場合、標本5の表面近傍には、干渉縞によるエバネッセント場が生起する。

0037

このような干渉縞により標本5を照明すると、干渉縞の周期構造と標本5上の蛍光領域の周期構造との差に相当するモアレ縞が現れるが、このモアレ縞においては、蛍光領域の高周波数の構造が元の周波数より低周波数側にシフトしているため、この構造を示す蛍光は、元の角度よりも小さい角度で対物レンズ6へ向かうことになる。よって、干渉縞により標本5を照明すると、蛍光領域の高周波数の構造情報までもが対物レンズ6によって伝達される。

0038

標本5で発生した蛍光は、対物レンズ6に入射すると、対物レンズ6で平行光に変換された後、ダイクロイックミラー7とバリアフィルタ31を透過し、第2ダイクロイックミラー35へ入射する。第2ダイクロイックミラー35へ入射した波長λL’の第1蛍光は、第2ダイクロイックミラー35を反射し、第2ダイクロイックミラー35へ入射した波長λS’の第2蛍光は、第2ダイクロイックミラー35を透過する。

0039

第2ダイクロイックミラー35を反射した第1蛍光は、第1撮像素子351の撮像面361上に第1蛍光領域の変調像を形成し、第2ダイクロイックミラー35を透過した第2蛍光は、第2撮像素子352の撮像面362上に第2蛍光領域の変調像を形成する。

0040

撮像面361に形成された第1蛍光領域の変調像、撮像面362に形成された第2蛍光領域の変調像は、第1撮像素子351、第2撮像素子352によって個別に画像化され、第1蛍光領域の変調画像、第2蛍光領域の変調画像としてそれぞれ出力される。

0041

第1蛍光領域の変調画像と、第2蛍光領域の変調画像とは、制御装置39を介して画像記憶・演算装置40へと取り込まれる。さらに、取り込まれた第1蛍光領域の変調画像と、第2蛍光領域の変調画像との各々には、画像記憶・演算装置40において公知の復調演算が施され、第1蛍光領域の復調画像(超解像画像)と、第2蛍光領域の復調画像(超解像画像)とが生成される。そして、これらの超解像画像は、画像記憶・演算装置40の内部メモリ(図示せず)に記憶されるとともに、画像表示装置45へと送出される。なお、公知の復調演算としては、例えば、米国特許第8115806号明細書に開示された方法が用いられる。

0042

次に、回折格子13を詳しく説明する。

0043

図2(A)は、回折格子13を光軸O方向から見た図であり、図2(B)は、±1次回折光束が瞳共役面に形成する集光点の位置関係を示す図である。なお、図2(A)は模式図であるため、図2(A)に示した回折格子13の構造周期は実際の構造周期と同じとは限らない。

0044

図2(A)に示すように、回折格子13は、照明光学系10の光軸Oと垂直な面内において互いに異なる複数方向にかけて周期構造を有した回折格子である。この回折格子13の材質は、例えばガラスである。ここでは、回折格子13は、120°ずつ異なる第1方向V1、第2方向V2、第3方向V3の各々にかけて周期構造を有した3方向回折格子であって、その周期構造の周期は、それら3つの方向の間で共通と仮定する。

0045

なお、回折格子13の周期構造は、濃度(透過率)を利用して形成された濃度型の周期構造、または段差(位相差)を利用して形成された位相型の周期構造の何れであってもよいが、位相差型の周期構造の方が+1次回折光の回折効率が高いという点で好ましい。

0046

このような回折格子13に入射した平行光束は、第1方向V1にかけて分岐した第1回折光束群と、第2方向V2にかけて分岐した第2回折光束群と、第3方向V3にかけて分岐した第3回折光束群とに変換される。

0047

第1回折光束群には、0次回折光束及び±1次回折光束が含まれ、このうち互いの次数が共通である±1次回折光束は、光軸Oに関して対称な方向に進行する。

0048

同様に、第2回折光束群には、0次回折光束及び±1次回折光束が含まれ、このうち互いの次数が共通である±1次回折光束は、光軸Oに関して対称な方向に進行する。

0049

同様に、第3回折光束群には、0次回折光束及び±1次回折光束が含まれ、このうち互いの次数が共通である±1次回折光束は、光軸Oに関して対称な方向に進行する。

0050

これら第1回折光束群の±1次回折光束、第2回折光束群の±1次回折光束、第3回折光束群の±1次回折光束は、前述した集光レンズ16により、瞳共役面内の互いに異なる位置に集光される。

0051

そして、図2(B)に示すように、第1回折光束群の±1次回折光束の集光点14d、14gは、光軸Oに関して対称であり、集光点14d、14gの配列方向は第1方向V1に対応している。

0052

また、第2回折光束群の±1次回折光束の集光点14c、14fは、光軸Oに関して対称であり、集光点14c、14fの配列方向は、第2方向V2に対応している。なお、第2回折光束群の集光点14c、14fから光軸Oまでの距離は、第1回折光束群の集光点14d、14gから光軸Oまでの距離と同じである。

0053

また、第3回折光束群の±1次回折光束の集光点14b、14eは、光軸Oに関して対称であり、集光点14b、14eの配列方向は、第3方向V3に対応している。なお、第3光束群の集光点14b、14eから光軸Oまでの距離は、第1回折光束群の集光点14d、14gから光軸Oまでの距離と同じである。

0054

ここで、光ファイバ11から射出されるレーザ光の波長をλ、回折格子13の構造周期をP、レンズ16の焦点距離をfcとすると、光軸Oから集光点14b、14c、14d、14e、14f、14gまでの距離Dは下記の式で表される。

0055

D∝2fcλ/P
したがって、レーザ光の波長を変更すると、光軸Oから集光点14b、14c、14d、14e、14f、14gまでの距離にズレが生じる。
なお、ここでいう集光点とは、最大強度の8割以上の強度を有する領域の重心位置をいう。そのため、本実施形態の照明光学系10は、完全な集光点が形成されるまで光束を集光する必要はない。

0056

そして、以上の回折格子13は、ピエゾモータ等からなる並進機構15A(図1参照)によって並進移動可能である。並進機構15Aによる回折格子13の並進移動の方向は、照明光学系10の光軸Oと垂直な方向であって、前述した第1方向V1、第2方向V2、第3方向V3の各々に対して非垂直な方向である。この方向に回折格子13が並進移動すると、干渉縞の位相がシフトする(詳細は後述)。

0057

次に、1/2波長板17及び光束選択部材18の機能を詳しく説明する。

0058

図3は、1/2波長板17の機能を説明する図であり、図4は、光束選択部材18の機能を説明する図である。

0059

図3に示すとおり、1/2波長板17は、入射した各次数の回折光束の偏光方向を設定する波長板であって、図4に示すとおり、光束選択部材18は、第1〜第3回折光束群のうち何れか1群の±1次回折光束のみを選択的に通過させるマスクである。

0060

これらの1/2波長板17及び光束選択部材18は、回動機構24A(図1参照)によって光軸Oの周り回動可能である。

0061

回動機構24Aには、例えば、光束選択部材18の周りに形成された第1の歯車と、第1の歯車に噛み合う不図示の第2の歯車と、第2の歯車に連結された不図示のモータ回転モータ)とが備えられる。このモータが駆動されると第2の歯車が回転し、その回転力が第1の歯車へと伝達され、光束選択部材18が光軸Oの周りに回転する。

0062

回動機構24Aは、光束選択部材18を回動させることにより、選択される±1次回折光束を第1〜第3回折光束群の間で切り替えると共に、光束選択部材18に連動して1/2波長板17を回動させることにより、選択された±1次回折光束が標本5に入射するときの偏光方向をS偏光に保つ。つまり、1/2波長板17及び光束選択部材18は、干渉縞の状態を保ちつつ、干渉縞の方向を切り替える。以下、の状態を保つための条件を具体的に説明する。

0063

先ず、1/2波長板17の進相軸(速い軸)の向きは、選択される±1次回折光束の分岐方向(第1方向V1〜第3方向V3のいずれか)に対して±1次回折光束の偏光方向が垂直となるように設定される必要がある。なお、ここでいう1/2波長板17の進相軸とは、その軸の方向に偏光した光が1/2波長板17を通過するときの位相遅延量が最小となるような方向のことである。

0064

また、光束選択部材18の開口パターンは、同一の回折光束群に属する±1次回折光束の一方及び他方を個別に通過させる第1の開口部19及び第2の開口部20からなり、これら第1の開口部19と第2の開口部20との各々の光軸O周りの長さは、前述した方向に直線偏光した回折光束が通過できるような長さに設定されている。よって、第1の開口部19及び第2の開口部20の各々の形状は、部分輪帯状扇状)に近い形状である。

0065

ここで、図3(A)に示すように、1/2波長板17の進相軸の方向が偏光板23の軸の方向と平行になるときの1/2波長板17の回転角を、1/2波長板17の回転角の基準とする(以下、「第1の基準位置」と称する。)。

0066

また、光束選択部材18の光束選択方向(=選択される±1次回折光束の分岐方向)が、偏光板23の軸の方向と垂直になるときの光束選択部材18の回転角を、光束選択部材18の回転角の基準とする(以下、「第2の基準位置」と称する。)。

0067

このとき、図3(B)に示すように、1/2波長板17の第1基準位置からの回転角は、光束選択部材18の第2基準位置からの回転角の2分の1に制御されるべきである。

0068

すなわち、1/2波長板17の第1基準位置からの回転角がθ/2であるときには、光束選択部材18の第2基準位置からの回転角は、θに設定される。

0069

したがって、回動機構24A(図1参照)は、第1回折光束群の±1次回折光束(分岐方向は第1方向V1)を選択するために、図4(A)に示すように、光束選択部材18の光束選択方向を第2の基準位置から右方回転角θ1だけ回転させた場合、1/2波長板17の進相軸の方向を、第1の基準位置から右方に回転角θ1/2だけ回転させる。

0070

このとき、1/2波長板17を通過する前における各次数の回折光束の偏光方向は、図4(A)中に破線両矢印で示すとおり、偏光板23の軸の方向と平行となっているのに対し、1/2波長板17を通過した後における各次数の回折光束の偏光方向は、右方に回転角θ1だけ回転するので、選択された±1次回折光束の偏光方向は、図4(A)に実線両矢印で示すとおり、それら±1次回折光束の分岐方向(第1方向V1)に対して垂直となる。

0071

また、回動機構24A(図1参照)は、第2回折光束群の±1次回折光束(分岐方向は第2方向V2)を選択するために、図4(B)に示すように、光束選択部材18の光束選択方向を第2の基準位置から右方に回転角θ2だけ回転させた場合、1/2波長板17の進相軸の方向を、第1の基準位置から右方に回転角θ2/2だけ回転させる。

0072

このとき、1/2波長板17を通過する前における各次数の回折光束の偏光方向は、図4(B)中に破線両矢線で示すとおり、偏光板23の軸の方向と平行となっているのに対し、1/2波長板17を通過した後における各次数の回折光束の偏光方向は、右方に回転角θ2だけ回転するので、選択された±1次回折光束の偏光方向は、図4(B)に実線両矢印で示すとおり、それら±1次回折光束の分岐方向(第2方向V2)に対して垂直となる。

0073

また、回動機構24A(図1参照)は、第3回折光束群の±1次回折光束(分岐方向は第3方向V3)を選択するために、図4(C)に示すように、光束選択部材18の光束選択方向を第2の基準位置から左方(標本側から見て。以下同じ)に回転角θ3だけ回転させた場合、1/2波長板17の進相軸の方向を、第1の基準位置から左方に回転角θ3/2だけ回転させる。

0074

このとき、1/2波長板17を通過する前における各次数の回折光束の偏光方向は、図4(C)中に破線両矢線で示すとおり、偏光板23の軸の方向と平行となっているのに対し、1/2波長板17を通過した後における各次数の回折光束の偏光方向は、左方に回転角θ3だけ回転するので、選択された±1次回折光束の偏光方向は、図4(C)に実両矢印で示すとおり、それら±1次回折光束の分岐方向(第3方向V3)に対して垂直となる。

0075

したがって、回動機構24Aは、1/2波長板17及び光束選択部材18をギア比2:1で連動すればよい。

0076

なお、以上の説明では、標本5に入射する±1次回折光束をS偏光に保つために回動可能な1/2波長板17を使用したが、回動可能な1/2波長板17の代わりに固定配置された液晶素子を使用し、その液晶素子を1/2波長板17として機能させてもよい。液晶素子の配向電気的に制御すれば、液晶素子の屈折率方性を制御することができるので、1/2波長板としての進相軸を光軸周りに回転させることができる。因みに、標本5に入射する±1次回折光束をS偏光に保つための方法は他にもある。

0077

図5は、以上説明した1/2波長板17及び光束選択部材18の機能を説明する図である。なお、図5において円形枠で囲まれた両矢線は、光束の偏光方向を示し、四角枠で囲まれた両矢線は、光学素子の軸方向を示している。

0078

また、図6に示すように、光束選択部材18の外周部には、複数の(図6に示す例では6個の)切り欠き21が形成されており、回動機構24Aには、これらの切り欠き21を検出するためのタイミングセンサ22が備えられている。これによって、回動機構24Aは、光束選択部材18の回動角、ひいては1/2波長板17の回動角を検知することができる。

0079

次に、並進機構15A(図1参照)の機能を詳しく説明する。

0080

図7は、並進機構15Aの機能を説明する図である。

0081

先ず、上述した復調演算を可能とするためには、例えば、同一の標本5に関する変調画像であって、干渉縞の位相の異なる複数枚の変調画像が使用される。なぜなら、構造化照明顕微鏡装置1が生成する変調画像には、標本5の蛍光領域の構造のうち、干渉縞により空間周波数の変調された構造情報である0次変調成分、+1次変調成分、−1次変調成分が含まれており、それら3つの未知パラメータを復調演算で既知とする必要があるからである。

0082

そこで、並進機構15Aは、干渉縞の位相をシフトするために、図7(A)に示すように、照明光学系10の光軸Oと垂直な方向であって、前述した第1方向V1、第2方向V2、第3方向V3の全てに対して非垂直な方向(x方向)にかけて回折格子13をシフトさせる。

0083

但し、干渉縞の位相を所望のシフト量φだけシフトさせるのに必要な回折格子13のシフト量Lは、光束選択部24による光束選択方向が第1方向V1であるときと、第2方向V2であるときと、第3方向V3であるときとでは、同じとは限らない。

0084

図7(B)に示すとおり、回折格子13の第1方向V1、第2方向V2、第3方向V3の各々の構造周期をPとおき、回折格子13のシフト方向(x方向)と第1方向V1とのなす角をθ1とおき、回折格子13のシフト方向(x方向)と第2方向V2とのなす角をθ2とおき、回折格子13のシフト方向(x方向)と第3方向V3とのなす角をθ3とおくと、光束選択方向が第1方向V1であるときに必要な回折格子13のx方向のシフト量L1は、L1=φ×P/(a×4π×|cosθ1|)で表され、光束選択方向が第2方向V2であるときに必要な回折格子13のx方向のシフト量L2は、L2=φ×P/(a×4π×|cosθ2|)で表され、光束選択方向が第3方向V3であるときに必要な回折格子13のx方向のシフト量L3は、L3=φ×P/(a×4π×|cosθ3|)で表される。

0085

すなわち、干渉縞の位相シフト量を所望の値φとするために必要な回折格子13のx方向のシフト量Lは、波長選択方向(第1方向V1、第2方向V2、第3方向V3の何れか)とx方向とのなす角θにより式(1)のとおり表される。

0086

L=φ×P/(a×4π×|cosθ|) …(1)
因みに、干渉縞の位相シフト量φを2πとするために必要な回折格子13のx方向のシフト量Lは、P/(a×2×|cosθ|)となる。これは、回折格子13の半周期に相当する量である。つまり、回折格子13を半周期分シフトさせるだけで、干渉縞の位相を1周期分シフトできる(なぜなら、±1次回折光からなる干渉縞の縞周期は、回折格子13の構造周期の2倍に相当する。)。

0087

但し、a=1(M=1、2のとき)、a=2(M=3のとき)である。Mは、回折格子13が有する周期構造の方向数である(本実施形態ではM=3、a=2である。)。

0088

次に、本実施形態のレーザユニット100、対物レンズ6、回折格子13、位相板200を詳しく説明する。

0089

先ず、レーザユニット100に搭載された第1レーザ光源101の波長λLは、可視光域に属する561nmであるのに対して、第2レーザ光源102の波長λSは、紫外光域に属する405nmであると仮定する。

0090

一方、対物レンズ6の軸上色収差補正波長域は、435nm〜656nmの範囲であって、d線(=588nm)を基準として補正されていると仮定する。

0091

つまり、対物レンズ6の軸上色収差の補正波長域は、第1レーザ光源101の波長λL(=561nm)をカバーしているものの、第2レーザ光源102の波長λS(=405nm)をカバーしていないと仮定する。

0092

この場合、波長λS(=405nm)に対する対物レンズ6の軸上色収差量は、標本側で、例えば数μm程度となる。

0093

このため、光軸O方向において干渉縞の干渉強度が最大となる位置(観察対象面)は、波長λL(=561nm)と波長λS(=405nm)との間でずれてしまう。

0094

因みに、このズレを抑えるために、例えば、使用波長を波長λL(=561nm)と波長λS(=405nm)との間で切り替える度に、光ファイバ11の出射端又は回折格子13の光軸O方向の位置調整を行うという方法も考えられる。

0095

しかし、この方法だと、位置調整の手間が掛かるばかりか、波長λL(=561nm)による観察と、波長λS(=405nm)による観察とを同時に行うことができないという難点がある。

0096

そこで、本実施形態では、図8(A)、(B)に示すとおり、回折格子13における回折角度が、波長λL(=561nm)の±1次回折光束と、波長λS(=405nm)の±1次回折光束との間で異なるため、波長λL(=561nm)の±1次回折光束の集光点と、波長λS(=405nm)の±1次回折光束の集光点とが、ずれることを利用する。

0097

具体的に、回折格子13の構造周期(ピッチ)をpとおくと、波長λLの±1次回折光束の回折角度θL、波長λSの±1次回折光束の回折角度θSは、以下のとおり表される。

0098

sinθL=λL/p、
sinθS=λS/p
そして、レンズ16の焦点距離をf16とおくと、波長λLの±1次回折光束が瞳共役面6A’に形成する集光点PLの光軸Oからの高さhL、波長λSの±1次回折光束が瞳共役面6A’に形成する集光点PSの光軸Oからの高さhSは、以下のとおり表される。

0099

hL=f16×sinθL、
hS=f16×sinθS
これを利用し、本実施形態では、瞳共役面6A’に位相板200を配置することで、波長λSの±1次回折光束の位相と、波長λLの±1次回折光束の位相とに、位相差を付与する。つまり、本実施形態では、波長λSの集光点PSの近傍における位相板200の位相遅延量を、波長λLの集光点PLの近傍における位相板200の位相遅延量よりも大きく設定する。換言すると、本実施形態では、波長λSの±1次回折光束の光路長と、波長λLの±1次回折光束の光路長とに、光路長差を付与する。

0100

このような機能を持った位相板200としては、例えば図9に示すような構成の位相板200が挙げられる。

0101

この位相板200は、波長λL、λSに対して透明な平行平板からなる基板200A上に、波長λL、λSに対して透明な位相遅延部200Bを、部分的に形成したものである。基板200Aの材質は、例えばガラスであり、位相遅延部200Bは、例えばSiO2などの薄膜によって構成される。

0102

なお、基板200Aに対する位相遅延部200Bの形成には、例えば、エッチング蒸着などの技術が適用されることが望ましい。エッチングや蒸着などの技術によれば、位相遅延部200Bの形状及び厚さの設定を、十分な精度で行うことができるからである。

0103

また、基板200Aにおける位相遅延部200Bの形成先は、波長λSの±1次回折光束の集光点PSをカバーし、かつ、波長λLの±1次回折光束の集光点PLから外れている。また、基板200Aにおける位相遅延部200Bの形成先は、0次回折光束の集光点P0(波長λSと波長λLとの間で共通)から外れている。

0104

なお、位相遅延部200Bの形成先を0次回折光束の集光点P0から外した理由は、構造化照明顕微鏡装置1が3D−SIM(後述)として使用される場合を想定したからである。3D−SIMでは、±1次回折光束だけでなく0次回折光束も標本5へ導光する必要がある。

0105

また、位相遅延部200Bの光軸O方向の厚さdcは、波長λS、λLに対する照明光学系10の焦点面のズレ(標本側の焦点面のズレ)を打ち消すような値に予め設定されている。

0106

ここで、波長λS、λLに対する照明光学系10の焦点面のズレとは、照明光学系10に固有の軸上色収差(=Δdcがゼロであるときに集光レンズ16から対物レンズ6までの光学系で発生する軸上色収差)に起因したズレのことである。

0107

但し、照明光学系10に固有の軸上色収差は、対物レンズ6に固有の軸上色収差によってほぼ決まる。

0108

よって、以下では簡単のため、対物レンズ6以外の光学系(レンズ16、25、27)に起因する軸上色収差をゼロとみなし、対物レンズ6に固有の軸上色収差のみを検討する。

0109

さて、対物レンズ6に固有の軸上色収差の補正波長域は、前述したとおり、波長λLをカバーしているのに対して、波長λSをカバーしておらず、波長λSに対する対物レンズ6の軸上色収差は、標本側で数μm程度である。

0110

よって、本実施形態における位相遅延部200Bの厚さdcは、その数μm程度の軸上色収差を補正できるような値に設定されればよい。

0111

次に、対物レンズ6の軸上色収差と位相遅延部200Bの厚さdcとの関係を詳しく説明する。

0112

図10は、波長λS、λLに対する対物レンズ6の焦点面のズレを説明する図である。

0113

ここでは簡単のため、瞳共役面6A’から瞳面6Aまでの倍率を1と仮定する。この場合、瞳面6Aのサイズが瞳共役面6A’のサイズと等しくなり、瞳共役面6A’に投影される位相板200の像(不図示)のサイズも位相板200のサイズと等しくなり、瞳面6Aにおける波長λLの±1次回折光の集光点PLの高さはhLとなり、瞳面6Aにおける波長λSの±1次回折光の集光点PSの高さはhSとなる。

0114

なお、前述したように集光点は、完全な集光点である必要はなく、通常所定の大きさ(面積)を有するので、位相遅延部200Bの大きさ(面積)は、所定の大きさを有した集光点をカバーできる程度に確保される必要がある。

0115

また、図10では、対物レンズ6の標本側の焦点面が波長λL、λSの間でずれていることを明確化するために、+1次回折光束の光路(波長λL、λSの間で非共通)と共に、標本5に向かう0次回折光束(波長λSと波長λLとの間で共通)の光路も描いた。

0116

先ず、図10に示すとおり、波長λLの光による対物レンズ6の焦点面を5ALとおき、波長λSの光による対物レンズ6による焦点面を5ASとおく。

0117

また、図10に示すとおり、波長λLの焦点面5ALを基準とした、波長λSの焦点面5ASのズレを、Δdoとおく。

0118

本実施形態では、このズレΔdoをゼロとするために、波長λSの±1次回折光束の光路にのみ位相遅延部200Bを配置し、標本側から見た集光点PSの光軸O方向の仮想距離を延長する。

0119

図11は、波長λSの焦点面5ASを波長λLの焦点面5ALに一致させるために必要な延長量Δdpを示す図である。この延長量Δdpは、「デフォーカス収差の式」よって以下のとおり表される。

0120

0121

なお、遅延量Δdpの単位は、波長λSの位相の単位とした。また、ρSは、集光点PSの高さhSを開口数の単位で表したものであり、noは、対物レンズ6の標本側の媒質(ここでは浸液)の屈折率である。

0122

一方、位相遅延部200Bの厚さをdcとおき、位相遅延部200Bの屈折率をncとおくと、位相遅延部200Bが波長λSの光に与える位相遅延量Δdは、以下のとおり表わされる。

0123

0124

したがって、本実施形態では、ΔdがΔdpに一致するように位相遅延部200Bの厚さdcを設定すればよい。つまり、位相遅延部200Bの厚さdcは、以下の式(3)を満たすように設定されればよい。

0125

0126

この設定によると、図12に示すとおり、標本側から見た集光点PSの仮想距離が適度に延長され、波長λSの焦点面5ASが波長λLの焦点面5ALに一致する。なお、図12において符号Ps’で示すのは、標本側から見た集光点PSの虚像である。

0127

したがって、例えば、波長λS、λLの焦点面5AS、5ALのズレΔdoが0.2mmであり、浸液の屈折率noが1.515であり、位相遅延部200Bの屈折率ncが1.5168であり、集光点PSの高さρSが1.4であったならば、式(3)より、位相遅延部200Bの厚さdcは0.36mmに設定されればよいことがわかる。このような厚さの位相遅延部200Bは、エッチングや蒸着などの従来技術によって十分に製作可能である。

0128

なお、式(3)を満たすように位相遅延部200Bの厚さdcを設定すれば、理論的には、互いに異なる波長の焦点面を完全に一致させることができるが、複数波長間の焦点面のズレは、光軸方向の分解能の約1/4までなら許容でき、具体的には、標本5において約60nmまでなら許容でき、この程度のズレであれば、焦点面は一致しているとみなせる。

0129

ところで、本実施形態では、干渉縞の方向を上述した3方向(第1方向V1、第2方向V2、第3方向V3)の間で切り替える。それに対応するため、位相板200には、上述した構成の位相遅延部200Bが、それら3方向の各々について形成されているものとする(図13参照)。

0130

図13(A)は、位相板200を光軸Oに沿った方向(標本側)から見た図であり、図13(B)は、光軸Oを含む平面で位相板200を切断してできる断面図である。

0131

この例では、位相遅延部200Bが3方向(第1方向V1、第2方向V2、第3方向V3)の各々に亘って形成されており、そのうち或る位相遅延部200Bは、分岐方向が第1方向V1である1対の集光点PSをカバーし、他の位相遅延部200Bは、分岐方向が第2方向V2である1対の集光点PSをカバーし、残りの位相遅延部200Bは、分岐方向が第3方向V3である1対の集光点PSをカバーしている。

0132

[第1実施形態の変形例]
なお、第1実施形態では、位相板200の配置先を、図1に示したとおり瞳共役面6A’の近傍としたが、瞳面6Aの近傍としてもよいことは言うまでもない。少なくとも位相板200の配置先は、波長λSの±1次回折光束の光路と、波長λLの±1次回折光束の光路とが空間的に分離されている箇所であればよい。

0133

また、第1実施形態では、複数の光束間に位相差を付与するために、基板200A上に位相遅延部200Bを形成してなる位相板200を光路へ配置したが、位相遅延部200Bのみからなる位相板(つまり、基板を有しない位相板)を光路へ配置してもよい。

0134

また、第1実施形態では、波長λLの±1次回折光束の位相遅延量と波長λSの±1次回折光束の位相遅延量とに差異を付けるために、波長λLの±1次回折光束の光路と波長λSの±1次回折光束の光路との一方にのみ位相遅延部200Bを挿入したが、波長λLの±1次回折光束の光路と波長λSの±1次回折光束の光路との双方に位相遅延部200
Bを挿入してもよい。

0135

その場合は、一方に挿入される位相遅延部200Bと他方に挿入される位相遅延部200Bとの間に厚さの差を設ければよい。或いは、厚さの差を設ける代わりに屈折率の差を設けてもよい。或いは、厚さ及び屈折率の組み合わせの差を設けてもよい。

0136

また、第1実施形態の位相板200は、干渉縞の方向の切り替えに対処するために、位相遅延部200Bを3組み設けたが(図13を参照。)、位相遅延部200Bを1組みだけ設けると共に、位相板200の全体を光軸Oの周りに回動させる機構を更に備えてもよい(図14を参照。)。その場合、上述した制御装置39は、位相板200の回動角を、光束選択部18の回動角に連動させればよい。

0137

また、第1実施形態の位相板200は、干渉縞の方向の切り替えに対処するために、位相遅延部200Bを3組み設けたが(図13を参照。)、これらの位相遅延部200Bの一部又は全部を共通の部材で構成してもよい。例えば、図15に示すとおり、全ての位相遅延部200Bを共通の部材(例えばリング状部材)で構成してもよい。このような位相遅延部200Bを採用した場合、位相板200の光軸O周りの回転角の調整が容易となる(基本的に回転角調整は不要となる。)。

0138

また、第1実施形態では、光源波長の数を「2」とし、撮像素子の個数を「2」としたので、2種類の波長λL、λSの一方による観察と他方による観察とを同時に行うことができる。しかし、第1実施形態では、撮像素子の個数を1とし、2種類の波長λL、λSの一方による観察と他方による観察とを順次に行っても構わない。

0139

また、第1実施形態では、光源波長の数を「2」としたが、3以上に拡張してもよいことは言うまでもない。

0140

また、3以上の光源波長のうち、2以上の光源波長が上述した補正波長域(ここでは435nm〜656nm)から外れていた場合には、それら2以上の光源波長の各々に適した位相遅延部200Bを、位相板200に形成すればよい。

0141

例えば、光源波長として3種類の波長λL、λS1、λS2が使用され、このうち2つの波長λS1、λS2が補正波長域から外れていた場合には、例えば図16に示すとおり、波長λS1に適した位相遅延部200B−1と、波長λS2に適した位相遅延部200B−2との双方が位相板200に形成される。

0142

このうち、位相遅延部200B−1の形成位置の光軸Oからの高さは、波長λS1の集光点の光軸Oからの高さと同じに設定され、位相遅延部200B−2の形成位置の光軸Oからの高さは、波長λS2の集光点の光軸Oからの高さと同じに設定される。

0143

また、位相遅延部200B−1の光軸O方向の厚さは、波長λS1の焦点面を波長λLの焦点面に一致させるための厚さに設定され、位相遅延部200B−2の光軸O方向の厚さは、波長λS2の焦点面を波長λLの焦点面に一致させるための厚さに設定される。

0144

なお、図16では、2つの位相遅延部200B−1、200B−2を別部材で構成したが、同一部材で構成してもよいことは言うまでもない。

0145

また、図16に示した位相板は、図15に示した位相板(リング型)の変形例であるが、図13に示した位相板(6ブロック型)、図14に示した位相板(回転型)を同様に変形してもよいことは言うまでもない。

0146

また、第1実施形態では、光路に対して位相板200を挿脱可能とし、光源波長の少なくとも1つが補正波長域(ここでは435nm〜656nm)から外れていたときには位相板200を光路へ挿入し、光源波長の全てが補正波長域(ここでは435nm〜656nm)に収まっていたときには位相板200を光路から離脱させることとしてもよい。しかし、本実施形態の位相板200は、全ての波長の間で焦点面を一致させることができるので、常時挿入されていても問題ない。

0147

また、第1実施形態では、光源からの射出光束を分岐する手段として、分岐方向の異なる複数の回折光束群を同時に生成する回折格子13(図2(A)参照)を使用したが、分岐方向が共通の回折光束群を1群のみ生成する回折格子(1方向回折格子)を使用してもよい。但し、その場合は、干渉縞の方向を切り替えるために、1方向回折格子を光軸Oの周りに回動させる機構が備えられる。

0148

また、その場合は、回動可能な光束選択部18の代わりに、非回動の0次光カットマスクを使用してもよい。0次光カットマスクは、2次以降の高次回折光束の光路となり得る領域にマスク部を配し、かつ、±1次回折光束の光路となり得る領域に開口部を配し、かつ、0次回折光束の光路となる領域にマスク部を配したマスクである。

0149

また、第1実施形態では、標本5に入射する±1次回折光束をS偏光に保つために、光軸Oの周りを回動可能な1/2波長板17を使用したが、固定配置した1/4波長板と光軸Oの周りを回動可能な1/4波長板とを使用してもよい。但し、その場合は、第1の基準位置を基準とした1/4波長板の回転角は、第2の基準位置を基準とした光束選択部材18の回転角と同じに設定される。

0150

また、第1実施形態では、構造化照明顕微鏡装置1が全反射蛍光顕微鏡(TIRFM)として利用される場合を説明したが、構造化照明顕微鏡装置1を3次元構造化照明顕微鏡装置(3D−SIM:3D-Structured Illumination Microscopy)として利用することもできる。

0151

但し、構造化照明顕微鏡装置1を3D−SIMとして使用する場合は、回折格子13で発生した0次回折光束を瞳共役面6A’にてカットせずに±1次回折光と共に標本5へ入射させる。そのためには、例えば、図6に示した光束選択部材18の代わりに、図17に示すような光束選択部材18’を使用すればよい。この光束選択部材18’は、図6に示した光束選択部材18において、0次回折光束を通過するための開口部29を設けたものである。なお、この開口部29の形成先は、光軸Oの近傍であって、この開口部29の形状は、例えば円形である。このような光束選択部材18’によると、±1次回折光束だけでなく0次回折光束をも干渉縞に寄与させることができる。

0152

このように、3つの回折光束の干渉(3光束干渉)によって生成される干渉縞は、標本5の表面方向だけでなく、標本5の深さ方向にも空間変調されている。よって、この干渉縞によると、標本5の3次元超解像画像を生成することが可能となる。

0153

また、第1実施形態では、構造化照明顕微鏡装置1をTIRF−SIMとして使用する際に、干渉縞に寄与する回折光束として、+1次回折光束と−1次回折光束との組み合わせを使用したが、他の組み合わせを使用してもよいことは言うまでもない。

0154

また、第1実施形態では、構造化照明顕微鏡装置1を3D−SIMとして使用する際に、干渉縞に寄与する回折光束として、+1次回折光束と−1次回折光束と0次回折光束との組み合わせを使用したが、他の組み合わせを使用してもよいことは言うまでもない。

0155

[第1実施形態の作用効果
以上、第1実施形態の構造化照明装置は、光源(レーザユニット100)からの射出光束を少なくとも2つの分岐光束(±1次回折光束)に分岐する分岐部(回折格子13)と、分岐した前記2つの分岐光束による干渉縞を標本(5)に形成する光学系(照明光学系10)と、波長の異なる少なくとも2種類の前記射出光束(λL、λS)に位相差を付与する位相差付与部材(位相板200)とを備える。

0156

したがって、前記2種類の射出光束(λL、λS)に対する前記光学系(照明光学系10)に固有の軸上色収差が仮にゼロでなかったとしても、前記2種類の射出光束(λL、λS)の一方と他方との間で観察対象面を一致させることが可能である。

0157

また、前記分岐部(回折格子13)は、前記2種類の射出光束を互いに異なる角度で分岐する回折光学素子であり、前記位相差付与部材(位相板200)は、前記2種類の射出光束の光路が空間的に分離した箇所に配置される。

0158

このような箇所においては、前記2種類の射出光束(λL、λS)の位相関係を調節することが容易である。

0159

また、前記光学系(照明光学系10)は、対物レンズ(6)を含み、前記位相差付与部材(位相板200)は、前記対物レンズ(6)の瞳面(6A)又は瞳共役面(6A’)の近傍に配置される。

0160

この瞳面(6A)又は瞳共役面(6A’)では、前記2種類の射出光束(λL、λS)の空間的な分離量が最大となるので、前記位相関係の調節が最も容易となる。

0161

また、前記位相差付与部材(位相板200)は、前記2種類の射出光束の一方に所定の位相を付与する第1の領域(波長λSの通過域)と、前記2種類の射出光束の他方に前記所定の位相とは異なる位相を付与する第2の領域(波長λLの通過域)とを有する。

0162

また、前記位相差付与部材(位相板200)が前記2種類の射出光束に付与する位相差は、前記2種類の射出光束の軸上色収差に相当する値に設定される。

0163

したがって、前記位相差付与部材(位相板200)は、前記軸上色収差に起因した観察対象面のズレを、確実に抑えることができる。

0164

或いは、前記位相差付与部材が前記2種類の射出光束に付与する位相差は、前記2種類の射出光束間で前記標本における焦点面を一致させる値に設定されてもよい。

0165

また、構造化照明顕微鏡装置(1)が3D−SIMとして使用されるときには、前記光学系(照明光学系10)が形成する前記干渉縞は、前記2つの分岐光束(±1次回折光束)と他の1つの分岐光束(0次回折光束)との3つの分岐光束による3光束干渉縞である。

0166

このように構造化照明顕微鏡装置(1)が3D−SIMとして使用される場合は、観察対象面のズレが大きな問題となるので、前記位相差付与部材(位相板200)の配置は、特に有効である。

0167

また、前記光源(100)は、前記2種類の射出光束を同時又は順次に出射する。

0168

したがって、第1実施形態の構造化照明装置は、前記2種類の射出光束(λL、λS)による順次照明又は同時照明が可能である。

0169

また、第1実施形態の構造化照明装置は、前記標本(5)に形成される前記干渉縞の方向を複数の方向の間で切り替える切替部(光束選択部材18)を更に備え、前記位相差付与部材(位相板200)は、前記複数の方向毎に用意されている。

0170

或いは、第1実施形態の構造化照明装置は、前記標本(5)に形成される前記干渉縞の方向を切り替える第1切替部(光束選択部材18)と、前記位相差付与部材の方向を切り替える第2切替部(図14参照)とを更に備える。

0171

また、第1実施形態の構造化照明装置は、前記干渉縞の位相をシフトさせる位相シフト部(並進機構15A)を更に備える。

0172

したがって、第1実施形態の構造化照明装置は、前記干渉縞の方向及び位相を切り替えることが可能である。

0173

また、第1実施形態の構造化照明顕微鏡装置(1)は、第1実施形態の構造化照明装置と、前記干渉縞で変調された前記標本(5)からの観察光束を光検出器(撮像素子351、352)に結像する結像光学系(30)と、前記光検出器(撮像素子351、352)が生成した画像に基づき前記標本(5)の復調像を演算する演算手段(画像記憶・演算装置40)とを備える。

0174

したがって、第1実施形態の構造化照明顕微鏡装置(1)によれば、標本(5)における同一の観察対象面を2種類の波長(λL、λS)で超解像観察することができる。

0175

しかも、第1実施形態の構造化照明顕微鏡装置(1)は、2種類の波長(λL、λS)の一方による超解像観察と他方による超解像観察との間で、光学素子の位置調整(例えば、光ファイバ11の出射端又は回折格子13の光軸O方向の位置調整)を行う必要がない。

0176

よって、第1実施形態の構造化照明顕微鏡装置(1)は、2種類の波長(λL、λS)の一方による超解像観察と他方による超解像観察とを同時に行うこと(同時励起・同時露光)も可能である。

0177

[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態として第1実施形態の変形例を説明する。ここでは、第1実施形態との相違点のみ説明する。相違点は、位相板200に形成された位相遅延部200Bの形状にある。

0178

図18(A)は、本実施形態の位相板200を光軸Oに沿った方向(標本側)から見た図であり、図18(B)は、光軸Oを含む平面で位相板200を切断してできる断面図である。

0179

図18(A)、(B)に示すとおり、本実施形態の位相遅延部200Bの光軸O方向の厚さは、光軸Oからの距離に依存しており、具体的には、その厚さは、光軸Oからの距離が大きくなるほど大きく設定されている。

0180

なぜなら、第1に、位相遅延部200Bがカバーすべき集光点PS(波長λSの±1次回折光束の集光点)は、或る拡がりを有しており、その拡がり方は、光ファイバ1のファイバ端のサイズに依存する。このため、光軸Oから集光点PSまでの高さρSも、若干の拡がりを有する。

0181

第2に、高さρSが異なると、必要な遅延量Δdpが異なるので(図19における湾曲した点線を参照。)、位相遅延部200Bに必要な厚さdcも異なる。具体的には、高さρSが大きいときほど、必要な厚さdcは大きくなる。

0182

したがって、例えば、対物レンズ6のNAが1.49であり、照明のσが0.05であり、集光点PSの高さρSが1.325〜1.4の範囲であったと仮定すると、高さρSが1.4である光線にとって必要な厚さdcは0.36mmであり、高さρSが1.325である光線にとって必要な厚さdcは、0.30mmである(式(3)を参照。)。

0183

したがって、本実施形態の位相遅延部200Bには、例えば、ρS=1.325〜1.4の範囲にdc=0.30mm〜0.36mmの範囲の勾配が付与される。

0184

以上、第2実施形態の構造化照明装置(100、10)は、第1実施形態の構造化照明装置において、前記第1の領域(波長λSの通過域)及び前記第2の領域(波長λLの通過域)のうち少なくとも一方の位相は、前記光軸Oから離れるに従って変化する。

0185

具体的には、前記第1の領域(波長λSの通過域)及び前記第2の領域(波長λLの通過域)のうち少なくとも一方の位相は、前記光軸Oから離れるほど大きく設定される。

0186

したがって、第2実施形態の前記位相差付与部材(位相部材200B)は、波長λSの光束及び波長λLの光束のうち少なくとも一方の拡がりに対処できる。

0187

なお、第2実施形態も第1実施形態と同様に変形することが可能である。例えば、第2実施形態における位相板200は、図14(A)に示すような回転型に構成されてもよいし、図15(A)に示すようなリング型に構成されてもよいし、図16(A)に示すようなダブルリング型に構成されてもよい。例えば、基板200A上に位相遅延部200Bを形成してなる位相板200を光路へ配置する代わりに、位相遅延部200Bのみからなる位相板(つまり、基板を有しない位相板)を光路へ配置してもよい。

0188

また、第1実施形態又は第2実施形態の照明光学系10は、対物レンズ6による落射照明光学系で構成されたが、これに限られず、対物レンズ6に代えてコンデンサレンズによる透過・反射照明光学系で構成されてもよい。その場合、集光点が形成されるのは、コンデンサレンズの瞳面である。

0189

また、第1実施形態又は第2実施形態では、干渉縞(2光束干渉縞、3光束干渉縞)を形成するための回折光として、±1次回折光及び0次回折光の組み合わせを用いたが、他の組み合わせを用いてもよい。3光束干渉縞を形成するためには、回折次数の間隔が等間隔な3つの回折光による3光束干渉を生起させればよいので、例えば、0次回折光、1次回折光、2次回折光の組み合わせ、±2次回折光及び0次回折光の組み合わせ、±3次回折光及び0次回折光の組み合わせ、などを用いることが可能である。

0190

[その他]
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。

0191

1…構造化照明顕微鏡装置、100…レーザユニット、11…光ファイバ、10…照明光学系、30…結像光学系、351…第1撮像素子、352…第2撮像素子、39…制御装置、40…画像記憶・演算装置、45…画像表示装置、12…コレクタレンズ、23…偏光板、13…回折格子、16…集光レンズ、200…位相板、18…光束選択部材、25…レンズ、26…視野絞り、27…フィールドレンズ、28…励起フィルタ、7…ダイクロイックミラー、6…対物レンズ、5…標本、6A…瞳面、6A’…瞳共役面

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