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技術 橋梁

出願人 株式会社IHI
発明者 山内邦博
出願日 2014年7月25日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2014-152239
公開日 2015年3月5日 (5年0ヶ月経過) 公開番号 2015-042836
状態 特許登録済
技術分野 橋または陸橋
主要キーワード 通行性 入口境界 流体流通孔 補助流 鉄筋コンクリート層 設計計算 所要距離 集水装置
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年3月5日)のものです。
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図面 (12)

課題

津波等による水流橋梁の高さを超えて襲った際に、下向きの大きな揚力によって上部構造が押し潰されるように損壊する被害を軽減する。

解決手段

橋梁の上部構造1に、上部構造1を上下に貫通する鋼製筒材10を配置することで複数の流体流通孔9を形成し、津波等の水流が橋梁の上部構造1を超える高さで襲った際に、上部構造1の上にかかる水圧が流体流通孔9を通して下側へ抜けるようにする。

概要

背景

橋梁には、コンクリート製或いは鋼製橋脚下部構造)の上部に、橋軸方向に延びる主桁幅方向に延びる横桁とを有する鋼製の橋桁と、該橋桁上に形成した床版とからなる上部構造を備えた鋼橋と称されるものがある(特許文献1参照)。一方、コンクリート製の橋脚(下部構造)の上部に、コンクリート製の上部構造を備えたコンクリート橋と称されるものがある。前記鋼橋は、コンクリート橋に比して重量を軽減することができ、且つ、現地での工事作業を減少して工期を短縮できる利点がある。

現在使用されているこれらの橋梁は、地震等が発生した場合に上部構造が橋脚(下部構造)に対して位置ずれして落橋することがないように、上部構造を橋脚に拘束する拘束手段を備えたものが多数提案され、実施されている。

橋梁における地震に耐える上部構造の設計強度及び上部構造の位置ずれ防止対策等については種々検討されてきたが、津波洪水等による水流が橋梁の高さを超えるような高さで襲った場合における橋梁の強度については今まで検討されていない。そのために、先の東地方太平洋地震により発生した津波に襲われた橋梁では、設置場所、構造等の条件により程度は異なるけれども、多くの橋梁の上部構造が損壊、流出といった甚大な被害を受けた。このように橋梁が大きな被害を受けたことによって、交通遮断され、そのために被災地復旧作業が大幅に遅れるという重大な問題が発生した。

特許文献1は鋼製の橋桁を有する上部構造の一例を示している。特許文献1に示す鋼製の橋桁を有する上部構造、或いは、他のコンクリート製の上部構造を備えた多くの橋梁において、津波により上部構造が損壊、流出した被害は、津波の水流が橋梁の高さを超えて襲ったことにより、水平方向の抗力以外に、上向き又は下向きの大きな揚力が上部構造に作用したことが原因と考えられる。

概要

津波等による水流が橋梁の高さを超えて襲った際に、下向きの大きな揚力によって上部構造が押し潰されるように損壊する被害を軽減する。橋梁の上部構造1に、上部構造1を上下に貫通する鋼製筒材10を配置することで複数の流体流通孔9を形成し、津波等の水流が橋梁の上部構造1を超える高さで襲った際に、上部構造1の上にかかる水圧が流体流通孔9を通して下側へ抜けるようにする。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

橋梁上部構造に、該上部構造を上下に貫通する筒材を配置して複数の流体流通孔を形成したことを特徴とする橋梁。

請求項2

前記上部構造は、鋼製主桁と、鉄筋コンクリート層による床版とを備え、前記鉄筋コンクリート層による床版を上下に貫通する鋼製筒材を配置して前記流体流通孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載の橋梁。

請求項3

前記上部構造は、主桁と床版が一体に形成されたコンクリート製であり、鉄筋コンクリート層による床版を上下に貫通する鋼製筒材を配置して前記流体流通孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載の橋梁。

請求項4

前記鋼製筒材は、主桁の相互間の床版に一列以上で配置され、且つ、床版の断面欠損を補うだけの強度を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の橋梁。

請求項5

前記鋼製筒材は、床版における車両の走行性阻害しないように、車輪軌跡の外部に配置することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の橋梁。

請求項6

前記床版は、鉄筋コンクリート層の上部に排水性舗装を設けた構成を有し、前記鋼製筒材は前記排水性舗装と前記鉄筋コンクリート層とを貫通して配置され、且つ、前記鋼製筒材は前記鉄筋コンクリート層に対して気密に固定されたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の橋梁。

請求項7

前記鋼製筒材は、前記床版を構成する鉄筋コンクリート層の鉄筋に固定されたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の橋梁。

請求項8

前記鋼製筒材は、前記床版を構成する鉄筋コンクリート層の上面に密着する鍔を有することを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の橋梁。

請求項9

前記上部構造を構成する主桁に、水平方向に開口する補助流通孔を設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の橋梁。

請求項10

前記上部構造を構成する主桁の端部に、床版との間を閉塞した閉塞端横桁が設けてあり、該閉塞端横桁に、水平方向に開口する補助流通孔を設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の橋梁。

技術分野

0001

本発明は、津波洪水等による水流橋梁の高さを超えるような高さで襲った際に、橋梁の上部構造が下向きの揚力によって損壊する問題、及び、上向きの揚力によって上部構造が浮き上がって流出する問題を低減できるようにした橋梁に関するものである。

背景技術

0002

橋梁には、コンクリート製或いは鋼製橋脚下部構造)の上部に、橋軸方向に延びる主桁幅方向に延びる横桁とを有する鋼製の橋桁と、該橋桁上に形成した床版とからなる上部構造を備えた鋼橋と称されるものがある(特許文献1参照)。一方、コンクリート製の橋脚(下部構造)の上部に、コンクリート製の上部構造を備えたコンクリート橋と称されるものがある。前記鋼橋は、コンクリート橋に比して重量を軽減することができ、且つ、現地での工事作業を減少して工期を短縮できる利点がある。

0003

現在使用されているこれらの橋梁は、地震等が発生した場合に上部構造が橋脚(下部構造)に対して位置ずれして落橋することがないように、上部構造を橋脚に拘束する拘束手段を備えたものが多数提案され、実施されている。

0004

橋梁における地震に耐える上部構造の設計強度及び上部構造の位置ずれ防止対策等については種々検討されてきたが、津波や洪水等による水流が橋梁の高さを超えるような高さで襲った場合における橋梁の強度については今まで検討されていない。そのために、先の東地方太平洋地震により発生した津波に襲われた橋梁では、設置場所、構造等の条件により程度は異なるけれども、多くの橋梁の上部構造が損壊、流出といった甚大な被害を受けた。このように橋梁が大きな被害を受けたことによって、交通遮断され、そのために被災地復旧作業が大幅に遅れるという重大な問題が発生した。

0005

特許文献1は鋼製の橋桁を有する上部構造の一例を示している。特許文献1に示す鋼製の橋桁を有する上部構造、或いは、他のコンクリート製の上部構造を備えた多くの橋梁において、津波により上部構造が損壊、流出した被害は、津波の水流が橋梁の高さを超えて襲ったことにより、水平方向の抗力以外に、上向き又は下向きの大きな揚力が上部構造に作用したことが原因と考えられる。

先行技術

0006

特開2011−157733号公報

発明が解決しようとする課題

0007

前記したような津波等による橋梁の被害を防止するためには、橋梁を津波が及ばない高台建設することが考えられるが、このような方法は道路建設計画を大幅に見直す必要があることから、現実的ではなく採用することは困難である。

0008

一方、津波等による被害を防止できる橋梁の設計については種々検討されているが、解決策を見出すには至っていないのが現状である。このため、新設の橋梁及び現在使用されている橋梁において、津波等に襲われた場合の被害をできるだけ小さく抑えられる技術を開発することが急務となっている。

0009

本発明は、上記課題に鑑みてなしたもので、津波等による水流が橋梁の高さを超えて襲った際に、下向きの大きな揚力によって上部構造が押し潰されるように損壊する問題、及び、上向きの揚力によって上部構造が浮き上がって流出する問題を軽減できるようにした橋梁を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、橋梁の上部構造に、該上部構造を上下に貫通する筒材を配置して複数の流体流通孔を形成したことを特徴とする橋梁、に係るものである。

0011

上記橋梁において、前記上部構造は、鋼製の主桁と、鉄筋コンクリート層による床版とを備え、前記鉄筋コンクリート層による床版を上下に貫通する鋼製筒材を配置して前記流体流通孔を形成することができる。

0012

又、上記橋梁において、前記上部構造は、主桁と床版が一体に形成されたコンクリート製であり、鉄筋コンクリート層による床版を上下に貫通する鋼製筒材を配置して前記流体流通孔を形成することができる。

0013

又、上記橋梁において、前記鋼製筒材は、主桁の相互間の床版に一列以上で配置され、且つ、床版の断面欠損を補うだけの強度を有することが好ましい。

0014

又、上記橋梁において、前記鋼製筒材は、床版における歩行者通行性や車両等の走行性阻害しないように、歩道脇や車輪軌跡の外部等に配置することが好ましい。

0015

又、上記橋梁において、前記床版は、鉄筋コンクリート層の上部に排水性舗装を設けた構成を有し、前記鋼製筒材は前記排水性舗装と前記鉄筋コンクリート層とを貫通して配置され、且つ、前記鋼製筒材は前記鉄筋コンクリート層に対して気密に固定されることが好ましい。

0016

又、上記橋梁において、前記鋼製筒材は、前記床版を構成する鉄筋コンクリート層の鉄筋に固定されることが好ましい。

0017

又、上記橋梁において、前記鋼製筒材は、前記床版を構成する鉄筋コンクリート層の上面に密着する鍔を有することが好ましい。

0018

又、上記橋梁において、前記上部構造を構成する主桁に、水平方向に開口する補助流通孔を設けることができる。

0019

又、上記橋梁において、前記上部構造を構成する主桁の端部に、床版との間を閉塞した閉塞端横桁が設けてあり、該閉塞端横桁に、水平方向に開口する補助流通孔を設けることができる。

発明の効果

0020

本発明によれば、津波等の水流が橋梁の上部構造を超えるような高さで襲った際に、上部構造の上にかかる水圧が流体流通孔を通して下側へ抜けることにより、上部構造にかかる水圧が低減されて上部構造が押し潰されるように損壊する問題は低減される。又、津波により水面が上昇して上部構造が水没する際には、上部構造の下側空間に空気が閉じ込められることにより、上部構造が浮き上がって流出する可能性があるが、前記流体流通孔を通して空気が上側へ抜けるので上部構造の浮力が減少し、よって、上部構造が流出する問題は低減される。

図面の簡単な説明

0021

(a)は本発明の車両通行用の鋼橋である橋梁を構成する鋼製の上部構造の一実施例を示すもので、橋梁を上方から見た上側斜視図、(b)は(a)の橋梁を下方から見た下側斜視図である。
図1(a)の一部を拡大して示した上側斜視図である。
本発明の流体流通孔を形成するための鋼製筒材の一例を示す上側斜視図である。
(a)は本発明の橋梁を構成する鋼製の上部構造の他の実施例を示す上側斜視図、(b)は(a)の実施例に備えられる鋼製筒材の例を示す上側斜視図である。
本発明の橋梁を構成する上部構造がコンクリート製の場合の実施例を示す上側斜視図である。
(a)は鋼製筒材を配置して新たな床版を構成する状態を示す断面図、(b)は既存の橋梁の床版に鋼製筒材を設置する状態を示す断面図である。
(a)は縮尺モデルを用いて上部構造に津波が作用した場合を想定して解析を行った状態を示す説明図、(b)は既存の上部構造のモデルと、本発明の流体流通孔を備えた上部構造のモデルにおける揚力を比較して示した線図である。
上部構造の床版に設ける流体流通孔の開口率と下向き揚力の関係を調査した結果を示す線図である。ここで,開口率100%の場合は床版が無い(荷重が作用しない)ことを示している。
上部構造の床版に流体流通孔を設けた場合と設けない場合の、上向き揚力の関係を調査した結果を示す線図である。
上部構造を構成する主桁に補助流通孔を設けた実施例を示す下側斜視図である。
上部構造を構成する主桁の端部に設けられた閉塞端横桁に補助流通孔を設けた実施例を示す上側斜視図である。

実施例

0022

以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。

0023

図1図2は、本発明の車両通行用の鋼橋である橋梁を構成する鋼製の上部構造の一実施例を示すもので、上部構造1は、橋軸方向であるa方向に伸びI型鋼からなる鋼製の主桁2を有しており、該主桁2は橋の幅方向であるb方向に複数配置されている。図示例では4本の主桁2が平行に設けられた場合を示している。更に、前記主桁2の相互間には、橋の幅方向であるb方向に延びる鋼製の横桁3が、橋軸方向であるa方向に所要の間隔を有して多数固定されており、上記主桁2と横桁3とにより鋼製の橋桁4が形成されている。

0024

前記橋桁4の上部には鉄筋コンクリート層による床版5が設けてあり、該床版5の幅方向であるb方向の両端部上側には高欄6が設けられている。

0025

又、前記床版5は、図2に示すように、鉄筋コンクリート層7と、該鉄筋コンクリート層7の上部に備えられる排水性舗装8とを有する場合を示している。

0026

そして、前記上部構造1は、主桁2を介して図示しないコンクリート製又は鋼製の橋脚(下部構造)上に設置され、橋脚に備えた拘束手段によって上部構造1を拘束することにより、上部構造1が位置ずれして橋脚から落橋することがないように支持している。

0027

前記鋼製の上部構造1における鉄筋コンクリート層7の床版5には、該床版5を上下に貫通するように形成した複数の流体流通孔9を設ける。この流体流通孔9は、床版5を上下に貫通する鋼製筒材10によって形成する。前記流体流通孔9は、主桁2の相互間に位置して橋軸方向であるa方向に一列になるように複数設けることができる。図2では、主桁2の各相互間に一列の流体流通孔9を形成した場合(計3列)を示しているが、主桁2の各相互間に2列以上で流体流通孔9を設けてもよい。前記流体流通孔9は、床版5に対する開口率が所定の値になるように複数形成する。前記流体流通孔9を形成するための筒材には種々の材料を用いることができるが、流体流通孔9を設けることによる床版5の断面欠損による強度の低下を補うだけの設計計算上の強度を保持するためには鋼製筒材10を用いることが好ましい。又、前記鋼製筒材10は、床版5における車両の走行性を阻害しないように、車輪の軌跡の外部に配置することが好ましい。

0028

図1図2の床版5に形成した流体流通孔9は、橋の幅方向であるb方向の幅は狭く、橋軸方向であるa方向へは長い細長矩形形状を有している。

0029

図3は、図1図2に備えた細長の流体流通孔9を形成するための鋼製筒材10を示したものであり、この鋼製筒材10は、橋の幅方向であるb方向に狭い幅で且つ橋軸方向であるa方向には幅に対して長い矩形の流体流通孔9を有する扁平な筒形を有している。又、鋼製筒材10における流体流通孔9内の長手方向所要位置には、上下方向に延びる所要数図3では2つ)の補強板11を固定することにより、鋼製筒材10を補強している。補強板11は流体流通孔9の長手方向に所要の間隔を有して任意の数を設けることができる。前記鋼製筒材10には、図6に示す床版5の鉄筋コンクリート層7を形成するために橋の幅方向であるb方向に延びて橋軸方向であるa方向に所要の間隔で多数配設される鉄筋15と干渉しないで配置できるように、下端から所要高さ位置までを切り欠いた複数の切欠部20を設けている。

0030

図3に示す鋼製筒材10の上端から所要距離を隔てた位置の外面(外周面)には、所要の幅で外方へ突出する鍔12を設けている。前記鋼製筒材10における鍔12の下面12aから下端までの長さは、図6(a)に示す如く、前記床版5の鉄筋コンクリート層7の厚さに一致しており、又、前記鋼製筒材10における鍔12の下面12aから上端までの長さは、前記排水性舗装8の厚さに一致している。

0031

図4(a)は、本発明の橋梁を構成する鋼製の上部構造1の他の実施例を示すもので、この実施例では、図2の流体流通孔9が細長の矩形形状を有しているのに対して、円筒形の流体流通孔13を配置した場合を示している。

0032

上記円筒形の流体流通孔13を床版5に形成する場合には、図4(b)に示す円筒形の鋼製筒材14を図6(a)に示す鉄筋15の相互間(隙間)に挿入して配置する。前記円筒状の鋼製筒材14には、図3の鋼製筒材10と同様の鍔12が設けられている。図4の鋼製筒材14を配置する際にも、主桁2の各相互間に一列以上で配置することができ、更に、鋼製筒材14は、床版5における車両の走行性を阻害しないように車輪の軌跡の外部に配置する。

0033

図5は、本発明の橋梁を構成する上部構造がコンクリート製の上部構造1'の場合の実施例を示すもので、この上部構造1'は、コンクリート層による主桁2'と床版5'が一体に形成されており、更に、該床版5'の上部には排水性舗装8が設けられている。そして、コンクリート製の上部構造1'においては、図4と同様に、主桁2'の各相互間の床版5'に、円筒形の鋼製筒材14を用いて流体流通孔13を形成した場合を示している。又、図5の床版5'において、図3に示した矩形の鋼製筒材10を用いて矩形の流体流通孔9を形成してもよい。

0034

前記鋼製筒材10,14を用いて床版5,5'に形成する前記流体流通孔9,13は、前記床版5,5'に対する開口率が所定の値になるように複数形成する。又、前記流体流通孔9,13を形成する鋼製筒材10,14は、流体流通孔9,13による床版5,床版5'の断面欠損を補うだけの設計計算上の強度を有するものとする。

0035

次に、上記実施例の作動を説明する。

0036

図1図2図4(a)及び図5に示すように、鋼製の上部構造1の床版5及びコンクリート製の上部構造1'の床版5'に、該床版5,5'を上下に貫通する鋼製筒材10,14を設けることにより複数の流体流通孔9,13を形成する。このとき、流体流通孔9,13を形成する鋼製筒材14は主桁2の各相互間に一列以上で設けることができ、更に、鋼製筒材14は、床版5における車両の走行性を阻害しないように車輪の軌跡の外部に配置する。鋼製筒材10,14は、所定の強度を有しているため、床版5,5'の設計計算上の強度が低下することはなく、且つ、鋼製筒材10,14は車輪の軌跡の近くには配置されないため、車両の走行に支障を生じることもない。

0037

次に、図6(a)を用いて、流体流通孔9,13を備えた新たな床版5,5'を構成する場合について説明する。

0038

図6(a)において、先ず、図3の鋼製筒材10を用いて、図2図5の床版5,5'に流体流通孔9を設ける場合について説明する。この場合は、鉄筋コンクリート層7による床版5,5'を形成するために、橋の幅方向であるb方向に延びて橋軸方向であるa方向に所要の間隔で配設した鉄筋15に、図3に示す鋼製筒材10の切欠部20が嵌合するように鋼製筒材10を上部から挿入して配置する。その際、流体流通孔9の内部を縦に貫通して、コンクリート16に覆われない鉄筋が存在する場合には、当該鉄筋に樹脂塗料を塗布するなどにより耐腐食性を高めた鉄筋とすることが好ましい。

0039

前記鋼製筒材10は、鉄筋コンクリート層7を形成するために配設される前記鉄筋15に対して溶接等によって固定することが好ましい。

0040

図4(b)の鋼製筒材14を用いて、図6(a)に示す床版5,5'に流体流通孔13を設ける場合には、前記鋼製筒材14は、鉄筋15の相互間の隙間に差し込むようにして配置する。

0041

前記鋼製筒材14は、鉄筋コンクリート層7を形成するために配設される鉄筋15に対して溶接等にて固定することが好ましい。

0042

前記鋼製筒材10,14が配置された後は、図6(a)における前記鋼製筒材10,14の鍔12の下面よりも下方にコンクリート16を打設することにより鉄筋コンクリート層7を形成する。これにより、前記鋼製筒材10,14は鉄筋コンクリート層7に一体に固定され、且つ、前記鋼製筒材10,14とコンクリート16との間の気密が保持される。

0043

次に、前記鉄筋コンクリート層7の上面と、前記鋼製筒材10,14の上端との間に排水性舗装8を施工する。これにより流体流通孔9,13を備えた床版5,5'が構成される。

0044

図6(b)は、既存の橋梁の床版5,5'に図4(b)の鋼製筒材14を設置することにより流体流通孔13を形成する状態を示す。

0045

図6(b)では、先ず、既存の床版5,5'に、鉄筋15の位置を避けて前記鋼製筒材14を挿入して配置できる孔17をドリル等を用いて形成する。又、排水性舗装8には前記鋼製筒材14の鍔12が嵌合できる前記孔17よりも断面形状が大きい開口18を形成する。そして、前記鋼製筒材14における鍔12よりも下側の部分を前記鉄筋コンクリート層7の孔17に挿入して鍔12を前記鉄筋コンクリート層7の上面に載置する。このとき、鍔12の下面12aと前記鉄筋コンクリート層7の上面との間及び鋼製筒材14と前記鉄筋コンクリート層7との間にシール材19を充填してシールを行う。シール材19には樹脂系の接着剤を用いることができ、シール材19により鋼製筒材14は鉄筋コンクリート層7に強固に固定され、且つ、気密性が保持される。

0046

次に、前記排水性舗装8に形成した開口18に充填用舗装8'を施工する。これにより既存の床版5,5'に流体流通孔13を備えることができる。尚、開口18に充填する舗装8'は排水性舗装と通常の舗装のいずれであってもよい。

0047

図6に示した床版5,5'の構成では、該床版5,5'上に降った雨水は、その殆どが排水性舗装8に染み込んで鉄筋コンクリート層7の上面を上部構造1の幅方向端部へ流れ、上部構造1の幅方向端部に備えられる図示しない集水装置に集められる。従って、前記流体流通孔9,13からは、該流体流通孔9,13に直接降った雨水のみが下方へ落下することになるため、橋梁の下部に大量の水が落下するような問題は生じない。

0048

本発明では、上部構造1の床版5,5'に、該床版5,5'を上下に貫通する複数の流体流通孔9,13を形成したので、津波による水流が床版5,5'を超える高さで襲った際には、床版5,5'にかかる水圧が流体流通孔9,13を通して下側へ抜けるので、床版5,5'に作用する下向きの揚力は大幅に低減される。

0049

このとき、前記流体流通孔9,13は、津波による水流が、橋梁の設置場所によって床版を超えて想定される高さとなったときに、床版5,5'にかかる水圧が前記流体流通孔9,13を通して好適に下側へ抜けるように、床版5,5'の上面に対して所定の開口率となるように設けられる。

0050

尚、鋼製筒材10,14は、床版5,5'の鉄筋コンクリート層7の断面欠損を補えるだけの強度を備えた構造としているので、床版5,5'は設計計算上の所定の強度を保つことができる。

0051

本発明者は、図7(a)に示すように、縮尺モデルMを用いて鋼製の上部構造に津波を作用させる解析を実施した。縮尺モデルMには、10ton/mの重量を有する実橋を想定して縮尺1/50に製作したものを用い、沖合い水深1.0m、幅1.0mの水槽を想定した解析を行った。水槽の入口境界に、波高20cm、周期90秒の正弦波を与えることで、波高10m、周期10分程度の津波を想定した。図7(a)は、鋼製の上部構造に対して津波の作用が開始した状態を示しており、この後、水流が上部構造の床版を超えて所定の高さで流動した。

0052

図7(a)の縮尺モデルMを用いて、従来の流体流通孔を有しない鋼製の上部構造Aと、本発明の流体流通孔を備えた鋼製の上部構造Bにおける下向きの揚力を解析し、その結果を図7(b)に比較して示した。

0053

図7(a)に示すように上部構造に対する津波作用開始時には、上向きの揚力が作用し、その後、水流が縮尺モデルMの上部構造の床版を超えて流動した。このとき、従来の流体流通孔を有しない上部構造Aでは、図7(b)中に実線で示すように、大きな下向きの揚力が上部構造に作用することが判明した。このような大きな下向きの揚力が発生した原因は、前記床版の上部から水荷重が作用することと、橋桁の下部の水流が速いことによって床版の下側の圧力が低下したことによるものと考えられる。

0054

一方、本発明のように床版に流体流通孔を備えた上部構造Bでは、図7(b)中に破線で示すように、下向きの揚力が大幅に低減した。このように下向きの揚力が低減した主な原因は、床版の上部の水圧が流体流通孔を通して下側へ抜けたことで、床版の下側の圧力が回復したことによるものと考えられる。

0055

本発明者は、上部構造の床版に設ける流体流通孔の開口率と下向き揚力の関係を調査する試験を実施した。そして、下記表1及び図8に示す結果を得た。ただし、開口率100%の場合は床版が無い(荷重が作用しない)ことを示す理論値である。

0056

表1及び図8に示すように、流体流通孔を備えない上部構造における実橋換算での下向き揚力は12.9[tf/m]であったものが、開口率が1.1%の流体流通孔を設けた場合の下向き揚力は11.5[tf/m]となって下向き揚力は11%減少し、開口率が2.1%の流体流通孔を設けた場合の下向き揚力は9.5[tf/m]となって下向き揚力は26%減少した。このように、上部構造に1.1%の以上の開口率の流体流通孔を備えると、開口率の大きさに対して10倍以上の下向き揚力の低減効果を達成できることが知見された。

0057

一方、津波の発生により水位が上昇して縮尺モデルMの上部構造に作用する初期の段階においては、図7(b)に示すように、上向きの揚力が上部構造に作用する。このような上向きの揚力が上部構造に作用すると、上部構造は浮き上がって流出する可能性がある。

0058

本発明者は、上部構造の床版に設ける流体流通孔の有無と上向き揚力の関係を調査する試験を実施した。そして、図9に示す結果を得た。

0059

図9によれば、流体流通孔を備えない場合の上向き揚力(浮力)は、上部構造の重量を超えて非常に大きな値で作用するため、上部構造は持ち上げられて流出する可能性がある。

0060

これに対し、開口率1.1%の流体流通孔を備えた場合には、上部構造の重量に対して大幅に低い上向き揚力となることから、上部構造が持ち上げられて流出する問題は大幅に低減されるようになる。

0061

ここで、前記したように上部構造の上部の水が流体流通孔を下方へ流通する場合と、上部構造の下部の空気が流体流通孔を上方へ流通する場合とを比較すると、空気の流通は容易であるため、流体流通孔を設けることにより上向き揚力の低減は容易に高められるようになる。

0062

一方、前記上向き揚力を更に低減させるためには、図1図2図4(a)、図5に示すように、床版5,5'に流体流通孔9,13を設けることに加えて、図10図11に示すような構成を実施することができる。

0063

図10は、上部構造1を構成する主桁2に水平方向に開口する補助流通孔21を設けた場合を示している。この補助流通孔21は主桁2における床版5、5'に近い上部位置に設けることが好ましい。又、この補助流通孔21は主桁2の強度低下の影響を抑えた大きさで設けることが好ましく、又、補助流通孔21を形成した部分の周囲は、補強プレートによって補強することが好ましい。

0064

図11は、前記上部構造1を構成する主桁2の端部には、図示しない上側の床版との間を閉塞する閉塞端横桁22が設けてあり、この閉塞端横桁22に、水平方向に開口する補助流通孔23を設けた場合を示している。ここで、閉塞端横桁22に対して要求される構造上の強度は低い場合があるため、このような場合には閉塞端横桁22に対して大きい開口面積の補助流通孔23を設けることができる。

0065

図10に示す主桁2に設ける補助流通孔21と、図11に示す閉塞端横桁22に設ける補助流通孔23は、その両方を同時に備えてもよく、又、その一方のみを備えてもよい。更に、図10に示す左右の幅方向端部の主桁2,2'には前記補助流通孔23を設け、一方、補助流通孔23を備えない主桁2,2'によって挟まれた空間の空気を排出するように、図11に示す閉塞端横桁22における前記挟まれた空間に対応した箇所に補助流通孔23を設けてもよい。

0066

前記したように、床版5,5'に流体流通孔9,13を設けることに加えて、図10図11に示す補助流通孔21,23を設ける構成を備えると、津波によって水面が上昇した際に、床版5,5'の下部の空気の流通が高められるので、上部構造1,1'に対する上向き揚力の作用を確実に低減することができる。

0067

上記したように、橋梁の上部構造1,1'に、該上部構造1,1'を上下に貫通する複数の流体流通孔9,13を形成したことにより、津波等の水流が上部構造1,1'を超える高さで襲った際に、上部構造1,1'上の水圧が流体流通孔9,13を通して下側へ抜けることにより、上部構造1,1'にかかる水荷重が減少することができる。これによって、上部構造1,1'が押し潰されるように損壊する問題を低減することができる。

0068

又、流体流通孔9,13を設けたことにより、水面が上昇して上部構造1,1'を押し上げるように作用するときに、上部構造1,1'の下部の空気が前記流体流通孔9,13を通して逃げることができるため、上向き揚力を効果的に低減することができ、よって、上部構造1,1'が持ち上げられて流出する問題を低減できる。

0069

前記上部構造1が、鋼製の主桁2と、鉄筋コンクリート層7による床版5とを備えている場合は、前記鉄筋コンクリート層7による床版5を上下に貫通する鋼製筒材10,14を配置して前記流体流通孔9,13を形成することができる。又、前記上部構造1が、主桁2'と床版5'を一体に形成したコンクリート製である場合は、鉄筋コンクリート層7による床版5を上下に貫通する鋼製筒材10,14を配置して前記流体流通孔9,13を形成することができる。この時、前記鋼製筒材10,14は、主桁2,2'の相互間の床版5,5'に一列以上で配置され、且つ、床版5,5'の断面欠損を補うだけの強度を有しているので、上部構造1,1'の床版5,5'に流体流通孔9,13を形成しても、上部構造1,1'は必要な強度を保持することができる。

0070

又、前記鋼製筒材10,14は、車輪の軌跡の外部に配置するようにしたので、車両の走行に支障を生じることはない。

0071

前記床版5,5'は鉄筋コンクリート層7の上部に排水性舗装8を有しており、前記鋼製筒材10,14は、前記排水性舗装8と前記鉄筋コンクリート層7を貫通して配置され、且つ、前記鉄筋コンクリート層7に対して気密に固定されているので、鋼製筒材10,14の外側を伝って水が落下する問題を生じることはない。

0072

前記鋼製筒材10,14は前記鉄筋コンクリート層7の鉄筋15に一体に固定しているので前記鋼製筒材10,14の固定強度は高く維持される。

0073

前記鋼製筒材10,14は前記鉄筋コンクリート層7の上面に密着する鍔12を有しているので、鋼製筒材10,14と鉄筋コンクリート層7との間のシール性を高めることができる。

0074

更に、前記流体流通孔9,13を設けることに加えて、図10図11に示すように、主桁2,2'に補助流通孔21を設ける、或いは、閉塞端横桁22に補助流通孔23を設けることを別個に、又は同時に行うことにより、上部構造1,1'に作用する上向き揚力を更に低減することができる。

0075

尚、本発明の橋梁は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

0076

1鋼製の上部構造
1'コンクリート製の上部構造
2主桁
2' 主桁
5床版
5' 床版
7鉄筋コンクリート層
8排水性舗装
9流体流通孔
10 鋼製筒材
12 鍔
13 流体流通孔
14 鋼製筒材
15鉄筋
21補助流通孔
22閉塞端横桁
23 補助流通孔

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