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技術 金属酸化物半導体式ガスセンサ

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 赤松貴文伊藤敏雄伊豆典哉申ウソク
出願日 2013年8月21日 (6年10ヶ月経過) 出願番号 2013-171480
公開日 2015年3月2日 (5年3ヶ月経過) 公開番号 2015-040753
状態 特許登録済
技術分野 流体の吸着、反応による材料の調査、分析
主要キーワード 大気汚染成分 簡易検査装置 化学発光方式 Ptヒータ じん肺 目的ガス n型半導体 NO含有ガス
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図面 (11)

課題

本発明は、被測定ガス中に250ppb以下の濃度で含まれるNOガスについても検知が可能な金属酸化物半導体ガスセンサを提供することを目的とする。

解決手段

基板と、 前記基板上に形成された電極と、 前記基板の前記電極を形成した面上に形成され、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4を含むNOガス感応層と、を有し、 前記パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4中の、前記パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属の含有率が0.1質量%以上25質量%以下である金属酸化物半導体式ガスセンサを提供する。

概要

背景

一酸化窒素ガスは、例えば燃焼機関排ガス中に大量に含まれ、大気汚染成分として環境に様々な影響を与えるため問題となっている。このため、燃焼機関排ガス中の一酸化窒素ガス濃度の測定が従来から行われており、測定には例えばジルコニアなどを用いた固体電解質型ガスセンサが用いられ、1ppmから数百ppmの濃度の一酸化窒素ガスの測定が行われている。

また、非特許文献1によれば、呼気中一酸化窒素濃度測定は臨床においても応用され、特に気管支喘息咳喘息診断及び治療経過の観察に使用されている。そして、重症じん肺患者においても呼気中の一酸化窒素濃度が高くなることが報告されている。非特許文献1においては呼気中の一酸化窒素濃度を測定する際に、化学発光方式を用いた計測器が用いられているが、化学発光方式の計測器は大型かつ複雑な構造を有し高価である。このため、日常的に一酸化窒素濃度をモニタリングする用途には不適であった。

以上のように、従来から一酸化窒素(以下、「NO」とも記載する)ガス濃度を検知するガスセンサのニーズがあり、特に、NOガス濃度を簡便に検知できる技術が求められていた。

一方ガスセンサとして、金属酸化物半導体を用いた金属酸化物半導体式ガスセンサは小型で簡便な構造なため注目されており、様々なガス種検知対象とする金属酸化物半導体式ガスセンサが検討されてきた。

多くの金属酸化物半導体式ガスセンサの場合、空気に曝露されているときのセンサ抵抗値を基準としている。基準となる測定開始前の空気に曝露されているとき、センサ半導体ガス感応層)表面には電子吸引性酸素吸着しており、半導体として例えばn型半導体を用いた場合、半導体表面近傍では空間電荷層が形成される。これにより、半導体表面間にポテンシャル障壁が形成され、半導体間の電子の移動が妨げられる。この状態の半導体表面に、酸化性ガスを流入させると、さらに空間電荷層が厚くなるため、抵抗値が増加する。他方、還元性ガスを流入させると吸着酸素消費され、空間電荷層が薄くなる、つまり、抵抗値が減少することになる。従って、係る抵抗値の変化からガス濃度を検知できる。なお、半導体としてp型半導体を用いた場合、上記n型の場合と反対の反応が起こるため、酸化性ガスに対して抵抗値が減少し、還元性ガスに対して抵抗値が増加すると考えられる。

金属酸化物半導体式ガスセンサとして、例えば特許文献1においてアルミナ基板の上にガラス層が形成され、その上に電極が形成され、その電極の上を覆うようにして酸化スズ膜が形成されたガスセンサ素子が開示されている。

また、非特許文献2には、WO3を用いたNOガスセンサが開示されている。

特許文献2には、基板裏面にヒータを形成した薄膜型窒素酸化物ガスセンサにおいて、上部をNO2感応層としてのWO3膜、下部をWO3よりも抵抗率の小さいn型酸化物半導体低抵抗層二層構造とした窒素酸化物ガスセンサが開示されている。

非特許文献3には、pおよびn型半導体酸化物を1種類ずつ選んで1:1の重量比で混合したp−n混合粉体ペースト状にし、2本のPt線巻き付けて電極としたアルミナ管上に塗布、焼成して得られた焼結型センサ素子が開示されている。また、p−n混合粉体にかえてCo3O4の含有量が100%の粉体を用いた焼結型センサ素子も開示されている。

概要

本発明は、被測定ガス中に250ppb以下の濃度で含まれるNOガスについても検知が可能な金属酸化物半導体式ガスセンサを提供することを目的とする。基板と、 前記基板上に形成された電極と、 前記基板の前記電極を形成した面上に形成され、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4を含むNOガス感応層と、を有し、 前記パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4中の、前記パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属の含有率が0.1質量%以上25質量%以下である金属酸化物半導体式ガスセンサを提供する。

目的

本発明は、被測定ガス中に250ppb以下の濃度で含まれるNOガスについても検知が可能な金属酸化物半導体式ガスセンサを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基板と、前記基板上に形成された電極と、前記基板の前記電極を形成した面上に形成され、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4を含むNOガス感応層と、を有し、前記パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4中の、前記パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属の含有率が0.1質量%以上25質量%以下である金属酸化物半導体ガスセンサ

請求項2

前記パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4中の、前記パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属の含有率が0.5質量%以上15質量%以下である請求項1に記載の金属酸化物半導体式ガスセンサ。

請求項3

以下の式1で算出されるS/N比が100以上である請求項1または2に記載の金属酸化物半導体式ガスセンサ。(S/N比)=(Rg−Ra)/(Raの標準偏差)・・・式1Rg:前記金属酸化物半導体式ガスセンサを、NOガス濃度50ppbのガス暴露した時の前記金属酸化物半導体式ガスセンサのセンサ抵抗値Ra:前記金属酸化物半導体式ガスセンサを、空気に暴露したときの前記金属酸化物半導体式ガスセンサのセンサ抵抗値Raの標準偏差:前記金属酸化物半導体式ガスセンサを、空気に暴露した時の前記金属酸化物半導体式ガスセンサのセンサ抵抗値の標準偏差

請求項4

NOガス濃度が250ppb以下の被測定ガス曝露した際の前記金属酸化物半導体式ガスセンサのセンサ抵抗値が、前記被測定ガス中のNOガス濃度に対して依存性を示す請求項1乃至3いずれか一項に記載の金属酸化物半導体式ガスセンサ。

請求項5

作動温度が150℃以上350℃以下である、請求項1乃至4いずれか一項に記載の金属酸化物半導体式ガスセンサ。

技術分野

0001

本発明は、金属酸化物半導体ガスセンサに関する。

背景技術

0002

一酸化窒素ガスは、例えば燃焼機関排ガス中に大量に含まれ、大気汚染成分として環境に様々な影響を与えるため問題となっている。このため、燃焼機関排ガス中の一酸化窒素ガス濃度の測定が従来から行われており、測定には例えばジルコニアなどを用いた固体電解質型ガスセンサが用いられ、1ppmから数百ppmの濃度の一酸化窒素ガスの測定が行われている。

0003

また、非特許文献1によれば、呼気中一酸化窒素濃度測定は臨床においても応用され、特に気管支喘息咳喘息診断及び治療経過の観察に使用されている。そして、重症じん肺患者においても呼気中の一酸化窒素濃度が高くなることが報告されている。非特許文献1においては呼気中の一酸化窒素濃度を測定する際に、化学発光方式を用いた計測器が用いられているが、化学発光方式の計測器は大型かつ複雑な構造を有し高価である。このため、日常的に一酸化窒素濃度をモニタリングする用途には不適であった。

0004

以上のように、従来から一酸化窒素(以下、「NO」とも記載する)ガス濃度を検知するガスセンサのニーズがあり、特に、NOガス濃度を簡便に検知できる技術が求められていた。

0005

一方ガスセンサとして、金属酸化物半導体を用いた金属酸化物半導体式ガスセンサは小型で簡便な構造なため注目されており、様々なガス種検知対象とする金属酸化物半導体式ガスセンサが検討されてきた。

0006

多くの金属酸化物半導体式ガスセンサの場合、空気に曝露されているときのセンサ抵抗値を基準としている。基準となる測定開始前の空気に曝露されているとき、センサ半導体ガス感応層)表面には電子吸引性酸素吸着しており、半導体として例えばn型半導体を用いた場合、半導体表面近傍では空間電荷層が形成される。これにより、半導体表面間にポテンシャル障壁が形成され、半導体間の電子の移動が妨げられる。この状態の半導体表面に、酸化性ガスを流入させると、さらに空間電荷層が厚くなるため、抵抗値が増加する。他方、還元性ガスを流入させると吸着酸素消費され、空間電荷層が薄くなる、つまり、抵抗値が減少することになる。従って、係る抵抗値の変化からガス濃度を検知できる。なお、半導体としてp型半導体を用いた場合、上記n型の場合と反対の反応が起こるため、酸化性ガスに対して抵抗値が減少し、還元性ガスに対して抵抗値が増加すると考えられる。

0007

金属酸化物半導体式ガスセンサとして、例えば特許文献1においてアルミナ基板の上にガラス層が形成され、その上に電極が形成され、その電極の上を覆うようにして酸化スズ膜が形成されたガスセンサ素子が開示されている。

0008

また、非特許文献2には、WO3を用いたNOガスセンサが開示されている。

0009

特許文献2には、基板裏面にヒータを形成した薄膜型窒素酸化物ガスセンサにおいて、上部をNO2感応層としてのWO3膜、下部をWO3よりも抵抗率の小さいn型酸化物半導体低抵抗層二層構造とした窒素酸化物ガスセンサが開示されている。

0010

非特許文献3には、pおよびn型半導体酸化物を1種類ずつ選んで1:1の重量比で混合したp−n混合粉体ペースト状にし、2本のPt線巻き付けて電極としたアルミナ管上に塗布、焼成して得られた焼結型センサ素子が開示されている。また、p−n混合粉体にかえてCo3O4の含有量が100%の粉体を用いた焼結型センサ素子も開示されている。

0011

特開2003−65989号公報
特開2001−349859号公報

先行技術

0012

大塚義紀,森岡崇,二川原英治,板橋孝一,田上清一,中野郁夫,加地浩,舩越亮太,井史郎,六条知恵子,木清延,日本職業災害医学会会誌,57(2009)304
B.Fruhberger,N.Stirling,F.G.Grillo,S.Ma,D.Ruthven,R.J.Lad,B.G.Frederick,Sens.Actuators B,76(2001)226
玉置純,長岡忠,山本善史,岡政夫,電気学会論文誌.E,118(1998)125

発明が解決しようとする課題

0013

しかしながら、特許文献1に開示されたガスセンサ素子はNOガス濃度を検知するガスセンサ素子ではない。また、空気雰囲気が285℃におけるセンサ抵抗値が数MΩと高く、センサ抵抗値のばらつきが大きくなり、標準偏差も大きくなるため、ノイズが大きくなり易いという問題があった。このため低濃度ガスを検知することは困難であった。さらには、センサ抵抗値を測定するための周辺回路や装置が大型化し、製品コストも上昇するという問題があった。

0014

非特許文献2のおいては、半導体としてWO3を用いているため、センサ抵抗値がMΩオーダーと高く、センサ抵抗値のばらつきが大きくなり、標準偏差も大きくなるため、ノイズが大きくなり易いという問題があった。このため低濃度のガスを検知することは困難であった。さらには、センサ抵抗値を測定するための周辺回路や装置が大型化し、製品コストも上昇するという問題があった。

0015

特許文献2においては、WO3膜と、WO3よりも抵抗率の小さいn型酸化物半導体の低抵抗層との二層構造を有しており、該二層構造をRFマグネトロンスパッタ法で作製するため、ガスセンサの製造に多くの工程、時間を要するという問題があった。また、量産が難しく、製品コストも上昇するという問題があった。さらに、特許文献2に開示されたガスセンサにおいては、数十ppbレベルのガスの検知についてはできていなかった。

0016

非特許文献3においては、Co3O4の含有量が100%の粉体を用いた焼結型センサ素子の場合、300℃における、NOガス濃度が50ppmのガスに対する感度が1.1となっており、さらに低濃度のNOガスを検知することは困難である。

0017

上記従来技術の問題に鑑み本発明は、被測定ガス中に250ppb以下の濃度で含まれるNOガスについても検知が可能な金属酸化物半導体式ガスセンサを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0018

本発明は、基板と、
前記基板上に形成された電極と、
前記基板の前記電極を形成した面上に形成され、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4を含むNOガス感応層と、を有し、
前記パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4中の、前記パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属の含有率が0.1質量%以上25質量%以下である金属酸化物半導体式ガスセンサを提供する。

発明の効果

0019

本発明は、被測定ガス中に250ppb以下の濃度で含まれるNOガスについても検知が可能な金属酸化物半導体式ガスセンサを提供することができる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の実施形態における金属酸化物半導体式ガスセンサのNOガス感応層を形成する前の状態の説明図
本発明の実施形態における金属酸化物半導体式ガスセンサの説明図
図2のA−A´線での断面図
NO含有ガスに曝露した際にNOガス感応層のセンサ抵抗値が変化するメカニズムの説明図
種々のNOガス濃度のNO含有ガスに対するサンプルNo.1−2のセンサ応答特性
種々のNOガス濃度のNO含有ガスに対するサンプルNo.1−7のセンサ応答特性
種々のNOガス濃度のNO含有ガスに対するサンプルNo.2−1のセンサ応答特性
種々のNOガス濃度のNO含有ガスに対するサンプルNo.2−4のセンサ応答特性
種々のNOガス濃度のNO含有ガスに対するサンプルNo.2−9のセンサ応答特性
種々のNOガス濃度のNO含有ガスに対するサンプルNo.2−13のセンサ応答特性

0021

以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。

0022

本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサの構成例について以下に説明する。

0023

本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサは、基板と、基板上に形成された電極と、基板の電極を形成した面上に形成された、NOガス感応層と、を有している。

0024

NOガス感応層は、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4を含んでいることが好ましい。そして、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4中の、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属の含有率を0.1質量%以上25質量%以下とすることが好ましい。

0025

以下に、図1〜3を用いて本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサの構成について説明する。

0026

まず、図1は、本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサのNOガス感応層(一酸化窒素ガス感応層)を形成する前の状態を示しており、基板1上に、電極2、3が形成されている。

0027

基板1としては特に限定されるものではなく、例えば金属酸化物半導体式ガスセンサの作動温度に対して耐熱性を有する絶縁体を好ましく用いることができる。具体的には、アルミナやジルコニアなどの電気絶縁性セラミック基板や、熱酸化膜付きの基板を好ましく用いることができる。熱酸化膜付きの基板としては例えば熱酸化膜付きのシリコン基板等を好ましく用いることができる。

0028

電極2、3についても電気伝導性を有する材料により構成されていれば良く、特に限定されるものではない。例えば、PtやAu等を好ましく用いることができる。電極2、3の形状も特に限定されるものではないが、NOガス感応層との接触面積を大きくするため、図1に示したように櫛歯形状を有していることが好ましい。そして、電極2、3が対向するように配置することが好ましい。なお、電極2、3を配置する際、電極間の距離は特に限定されるものではないが、金属酸化物半導体式ガスセンサを小型化するため、両電極間の距離はできるだけ小さい方が好ましい。

0029

電極2、3の形成方法は特に限定されるものではないが、例えば、スパッタリング法真空蒸着法スクリーン印刷法を用いて形成することができる。

0030

そして、図2に示したように、電極2、3上に、NOガス感応層4を形成することができる。NOガス感応層4の形状、サイズ等は特に限定されるものではなく、例えば図2に示すように、電極2、3を覆うようにして形成することができる。ここで、図3に、図2におけるA−A´線での断面図を示す。図3に示したように、NOガス感応層4は、電極2、3との接触面積を十分に確保するため、電極2、3間の空間を充填するようにして、電極2、3上に形成されることが好ましい。

0031

NOガス感応層4は、上述のようにパラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4を含んでいることが好ましい。そして、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4中の、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属の含有率が0.1質量%以上25質量%以下とすることが好ましい。

0032

これは、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属は、貴金属触媒として機能していると推認され、センサ感度の向上や吸着酸素の消費を促進してセンサ応答速度を改善させる働きを有すると考えられる。このため、貴金属触媒が機能を発現できる程度にまで添加することが好ましいことから、上記のように、含有率は0.1質量%以上であることが好ましい。また、含有量が25質量%程度で、貴金属触媒を添加したことによるセンサ感度向上等の効果は飽和し始めるため、コストとのバランスを考慮して、上記のように25質量%以下とすることが好ましい。特に、十分な触媒機能を発現させ、コストとのバランスを考慮すると、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4中の、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属の含有率は、0.5質量%以上15質量%以下がより好ましい。

0033

パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属は、Co3O4粉末の表面に均質に分散されていることが好ましいため、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属として、ナノサイズの粒子を用いることが好ましい。具体的には例えば、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属のナノサイズ粒子を含有する貴金属コロイド原料として好ましく用いることができる。

0034

Co3O4上にパラジウム、金、銀から選択された1種類以上の金属を担持する方法は特に限定されるものではない。例えば、Co3O4粉末と、貴金属触媒の原料、例えば、貴金属コロイドとを乳鉢などを用いて直接混ぜ合わせる方法が挙げられる。また、Co3O4粉末を水や有機溶剤に入れ、スターラーなどで撹拌しながら上記コロイド等の金属の原料、例えば貴金属コロイドを添加し、その後、水や有機溶剤を蒸発させて担持することができる。

0035

そして、NOガス感応層4には例えばp型半導体であるCo3O4を好ましく使用できるが、Co3O4の製造方法等については特に限定されず、各種製造方法により製造されたCo3O4を用いることができる。例えば、湿式法などで合成した粉末を好ましく用いることができる。

0036

NOガス感応層4の形成方法は特に限定されるものではないが、たとえば、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4をペースト状にし、電極2、3が形成された基板上に塗布、焼成することにより形成することができる。焼成する際、パラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4ペーストに含まれるバインダー等が蒸発し、NOガス感応層がパラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4からなるように焼成することが好ましい。ただし、Co3O4を950℃以上の温度で加熱すると、CoOと酸素に分解されるため、焼成の際には、950℃より低い温度を用いることが好ましい。具体的には例えば400℃で焼成することが好ましい。

0037

なお、NOガス感応層4を形成するためのペーストは、典型的にはセルロースエチルセルロースヒドロキシエチルセルロースなどの高分子化合物から成るバインダー、トルエンキシレンターピネオールエチレングリコールなどの有機溶剤などを用いて作製したビヒクルにパラジウム、金、銀から選択される1種類以上の金属を担持したCo3O4を混合して作製することができる。

0038

このように本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサにおいては、所定のNOガス感応層4を有しているため、被測定ガス中に含まれる濃度が250ppb以下のNOガスも検知することが可能となる。

0039

本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサにおいては、NOガスを含有する被測定ガスとNOガス感応層とが接触した際に、半導体であるNOガス感応層に生じた抵抗変化を検知してNOガス濃度を検知することができる。

0040

ここで図4を用いて、NOガスを含有する被測定ガスにNOガス感応層が曝露された場合にセンサ抵抗値の変化するメカニズムについて説明する。例えば図4(A)に示す様に、電極2と電極3との間に、NOガス感応層4を構成する金属酸化物半導体粉末5がX個、一列に並んでいると仮定する。また、電極2、3の抵抗値をRe、金属酸化物半導体粉末5間の粒界抵抗値をRb、金属酸化物半導体粉末5と電極2、3との間の界面抵抗値をRiとする。

0041

そうするとまず、金属酸化物半導体式ガスセンサが空気に曝露されている場合、2端子法で測定される抵抗値Rは、R=2Re+2Ri+(X−1)Rbと表すことができる。

0042

そして、空気の供給を止め、金属酸化物半導体式ガスセンサを、NOガスを含有する被測定ガスに曝露すると、図4(B)に示す様にNOが粉末表面の吸着酸素を消費し、吸着酸素の電子が金属酸化物半導体粉末に戻される。本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサの場合、電子が金属酸化物半導体粉末に移ることで空間電荷層が厚くなるため、抵抗値が増加することになる。Reは雰囲気によらず一定であることから、NOガスを含有する被測定ガスに曝露することによるセンサ抵抗値の増加は、RiとRbによるものである。このように、半導体であるNOガス感応層4がNOガスを含有する被測定ガスに暴露されることによりセンサ抵抗値が変化するため、センサ抵抗値の変化から、NOガス濃度を検知することができる。

0043

このような、NOガスを含有する被測定ガスに対して曝露した際のセンサ抵抗値の変化を検知し、被測定ガス中のNOガスの濃度を測定する金属酸化物半導体式ガスセンサの場合、NOガスセンサ感度(Rg/Ra)をその性能評価の一つとして用いることができる。

0044

NOガスセンサ感度(Rg/Ra)は、所定の濃度のNOガスを含有する被測定ガスにセンサを暴露した時のセンサ抵抗値(Rg)と空気下のセンサ抵抗値(Ra)との比から算出される。このため、被測定ガス中のNOガスの濃度毎にNOガスセンサ感度は算出されることとなる。

0045

そして、本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサの場合、検知可能なNOガス濃度の領域においては、被測定ガス中のNOガス濃度の変化に伴い、NOガスセンサ感度が変化する関係を有することが好ましい。すなわち、被測定ガス中のNOガス濃度と、NOガスセンサ感度とが依存性を示すことが好ましい。これは、NOガスセンサ感度と、NOガス濃度とが依存性を示す場合、被測定ガス中のNOガス濃度を正確に検知することができるためである。

0046

例えば被測定ガス中のNOガス濃度の増加に伴い、NOガスセンサ感度も増加することが好ましく、特にNOガスセンサ感度と、被測定ガス中のNOガス濃度とは、比例関係を示すことがより好ましい。

0047

また、空気下のセンサ抵抗値(Ra)は被測定ガス中のNOガス濃度に関わらず一定である。このため、検知可能なNOガス濃度の領域においては、被測定ガス中のNOガス濃度の変化に伴い、被測定ガスにセンサを曝露した時のセンサ抵抗値(Rg)も変化する関係を有することが好ましい。すなわち、被測定ガス中のNOガス濃度と被測定ガスに曝露した時のセンサ抵抗値(Rg)とが依存性を示すことが好ましい。特に、被測定ガス中のNOガス濃度が増加するのに伴い、センサ抵抗値(Rg)が増加する関係であることがより好ましく、例えば両者が比例関係を示すことが好ましい。

0048

本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサは既述のように、被測定ガス中のNOガス濃度が250ppb以下の領域においてもNOガス濃度を検知することができる。このため、NOガス濃度が250ppb以下の被測定ガスにおいて、被測定ガス中のNOガス濃度の変化に伴い、金属酸化物半導体式ガスセンサのセンサ抵抗値も変化することが好ましい。すなわち、NOガス濃度が250ppb以下被測定ガスに曝露した際の金属酸化物半導体式ガスセンサのセンサ抵抗値が、被測定ガス中のNOガス濃度に対して依存性を示すことが好ましい。特に、被測定ガス中のNOガス濃度の増加に伴い、前記被測定ガスに曝露した際の金属酸化物半導体式ガスセンサのセンサ抵抗値が増加する関係であることが好ましく、両者が比例関係になっていることがさらに好ましい。

0049

そして、被測定ガス中に高濃度で含まれた目的ガスの測定を行う場合、センサ感度は大きくなるため、特に問題とならないが、ppbオーダーのような低濃度になるとセンサ感度は小さくなり、1に近くなる。そのため、Rgを明確に信号として検知させるために、Raの標準偏差(ノイズ、N)が小さいことが好ましい。これは、ノイズが大きくなると、算出したセンサ感度が1以上であっても信頼できるデータとならない恐れがあるためである。標準偏差の範囲は特に限定されないが、例えば、0.1Ω以下であることが好ましい。

0050

そのため、NOガス濃度が50ppbの被測定ガスに本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサを曝露したときのセンサ抵抗値Rgと、空気下のNOガス感応層のセンサ抵抗値Raの差をシグナル(S)としたとき、シグナル/ノイズ比(S/N比)が100以上であることが好ましい。さらに、低濃度NO検知の信頼性を上げるため、シグナル/ノイズ比が250以上であることがより好ましい。

0051

具体的には、以下の式1で算出されるS/N比が100以上であることが好ましい。

0052

(S/N比)=(Rg−Ra)/(Raの標準偏差)・・・式1
Rg:金属酸化物半導体式ガスセンサを、NOガス濃度50ppbのガスに暴露した時の金属酸化物半導体式ガスセンサのセンサ抵抗値。

0053

Ra:金属酸化物半導体式ガスセンサを、空気に暴露したときの金属酸化物半導体式ガスセンサのセンサ抵抗値。

0054

Raの標準偏差:金属酸化物半導体式ガスセンサを、空気に暴露した時の金属酸化物半導体式ガスセンサのセンサ抵抗値の標準偏差。

0055

なお、Ra及びRaの標準偏差はNOガス濃度50ppbのガス(被測定ガス)に曝露する前に測定することが好ましい。また、Ra及びRaの標準偏差を測定する際には金属酸化物半導体式センサに空気を供給し始めてから、センサ抵抗値が安定することを確認してから測定を行うことが好ましい。そして、センサ抵抗値は例えば200秒程度測定を行いその平均値をRaとし、その間の標準偏差をRaの標準偏差とすることが好ましい。

0056

RgについてもNOガス濃度50ppbのガスの供給を開始してから、金属酸化物半導体式センサが十分に反応してから、例えば15分程度継続的に供給してから測定を行うことが好ましい。

0057

金属酸化物半導体式ガスセンサを、NOガスを含有する被測定ガスに曝露した後、再び空気雰囲気に戻すとセンサ抵抗値は減少する。この際のセンサ抵抗値の回復は、金属酸化物半導体式ガスセンサに供給するガスの流量に依存するが、連続的に測定を行うなどを考慮すると、回復に要する時間はできるだけ早いほうが好ましい。また、空気下のセンサ抵抗値が測定中に安定せずに増加、または、減少し続けたりすると、NOガスを含有する被測定ガスに曝露した際のセンサ抵抗値が本来よりも増加、または、減少した値となる。

0058

このため、本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサについては、被測定ガスに暴露した後、空気雰囲気に変更してから15分以内に、被測定ガスに暴露する前の75%以上100%以下のセンサ抵抗値に回復することが好ましい。特に、80%以上100%以下のセンサ抵抗値に回復することがより好ましい。

0059

金属酸化物半導体式ガスセンサのセンサ抵抗値の回復率は、被測定ガス中のNOガス濃度が50ppmの場合に上記範囲を満たしていることが好ましく、特に、被測定ガス中のNOガス濃度に関わらず、上記範囲を充足することがより好ましい。

0060

測定は、例えば以下の式2により算出することができる。

0061

(抵抗値回復率%)=(Rg−Ra2)/(Rg−Ra1)×100
Rg:金属酸化物半導体式ガスセンサを、NO含有ガスに暴露した時の金属酸化物半導体式ガスセンサのセンサ抵抗値。なお、この際のNO含有ガス中のNOガス濃度は例えば50ppbとすることができる。
Ra1:金属酸化物半導体式ガスセンサを、(NO含有ガスに曝露する前に)空気に暴露したときの金属酸化物半導体式ガスセンサのセンサ抵抗値。
Ra2:金属酸化物半導体式ガスセンサをNO含有ガスに曝露した後、再び空気に曝露し、空気による曝露を開始してから15分経過時のセンサ抵抗値。

0062

本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサの作動温度は特に限定されるものではないが、例えば、150℃以上350℃以下であることが好ましい。これは、150℃以上に加熱することにより、被測定ガスであるNOガスに対して応答性を高めることができるためである。また、Co3O4は上述のように950℃で分解するが、950℃まで至らなくても高温に加熱した場合、Co3O4が少しずつ分解し、金属酸化物半導体式ガスセンサが劣化する恐れがある。このため、Co3O4の分解を十分に抑制し、センサの劣化等が無く、長期間に渡って使用できるよう、作動温度は350℃以下とすることが好ましい。作動温度は特に、200℃以上300℃以下とすることがより好ましい。

0063

金属酸化物半導体式ガスセンサを上述の作動温度に保持する方法としては特に限定されるものではない。例えば電気炉などによる外部加熱によるもの、及び、基板裏面などにPtヒータ等のヒータを形成し、ヒータに電気を流すことで加熱する抵抗加熱によるもの等、様々な加熱方式を選択することができる。

0064

以上、本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサについて説明してきたが、本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサによれば、被測定ガス中に250ppb以下の濃度で含まれるNOガスについても検知することができる。

0065

なお、本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサによれば、被測定ガス中に250ppbを超えてNOガスが含まれている場合でも検知することができ、250ppb以下の場合に限定されるものではない。ただし、特に、従来のガスセンサではNOガス濃度が250ppb以下の被測定ガスについて検知が困難であったことから、NOガス濃度が係る範囲の被測定ガスの場合に特に有利な効果を発揮する。

0066

被測定ガスの種類については特に限定されるものではなく、NOガスを含んでいるガスであればその測定対象とすることができる。特に近年は呼気中のNOガス濃度の測定等について要望があることから、空気中に含まれるNOガスについて好ましく測定を行うことができる。

0067

また、本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサは、排ガス中のNO濃度の測定や、呼気中NO検知器簡易検査装置等の各種用途に用いることができる。特に、本実施形態の金属酸化物半導体式ガスセンサは小型化でき、簡便に測定を行えるため、呼気中NO検知器、簡易検査装置等により好適に用いることができる。

0068

以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は係る実施例に限定されるものではない。
実験例1]
以下の手順に従って、図1〜3に示した金属酸化物半導体式ガスセンサを作製し、その評価を行った。

0069

本実験例のサンプルNo.1−1〜1−8はいずれも実施例となっている。

0070

まず、基板1として9.5×5mm2に成形した、熱酸化膜付Si基板(三菱マテリアル電子化成株式会社製)(P型<100>、厚さ525μm、酸化膜10000Å)を用意した。

0071

次いで、基板1上に図1に示した櫛歯形状を有する電極2、3を形成した。具体的には、電極幅15μm、電極間距離15μmを有した2.5×4mm2の大きさをもつ櫛歯形状のPt電極をスパッタリング法によって作製した。

0072

そして、電極2、3上に表1に示したサンプルNo.1−1〜1−8の配合比で作製した貴金属触媒を担持したCo3O4粉末を含有したペーストを塗布し、焼成炉を用いて400℃で焼成し、電極2、3上にNOガス感応層4を形成して、金属酸化物半導体式ガスセンサを作製した。

0073

ここで、貴金属触媒を担持したCo3O4粉末を含有するペーストの調製方法について説明する。

0074

まず、Co3O4粉末(シグマアルドリッチ社製 Co3O4ナノ粉末平均粒径20nm〜30nm)を分散媒であるエタノールに分散させ、該分散液をスターラーで攪拌しながら表1に示した各貴金属を含む貴金属コロイド(田中貴金属販売株式会社製)を添加した。次いで、加熱により分散媒を蒸発させて貴金属触媒を担持したCo3O4粉末を調製した。

0075

貴金属触媒を担持したCo3O4粉末とエチルセルロースとターピネオールの混合物から成るビヒクルを質量比で1:16となるように量し、ハイブリッドミキサー(KEYENCE株式会社製 HM−500)で撹拌2分、脱泡2分の条件で撹拌混合し、貴金属触媒を担持したCo3O4粉末を含有するペーストを調製した。

0076

0077

次に作製した金属酸化物半導体式ガスセンサの評価方法について説明する。

0078

まず、作製した金属酸化物半導体式ガスセンサを加熱用ヒータ試料ホルダーに設置し、試料ホルダーを表1に示した作動温度、すなわち、200℃または300℃に加熱した。

0079

次いで、窒素ガス酸素ガスを4:1の流量比となるように混合して合成空気を作製し、試料ホルダーに200mL/minの流量で流し、センサ抵抗値を測定した。

0080

センサ抵抗値は、ケースレーインスツルメンツ株式会社製2700型多チャンネルDMMを用いて2端子法で10秒間隔に測定した。センサ抵抗値が安定したことを確認してから200秒間測定し、その平均値を合成空気下のセンサ抵抗値(Ra1)とし、その標準偏差をRa1のノイズ(N)とした。なお、表1中平均値として記載しているのが、合成空気下のセンサ抵抗値(Ra1)に当たる。異なるセンサ抵抗値同士のばらつきを評価するため、変動係数CV値)を[CV値(%)]=N/Ra1×100により算出した。CV値は小さいことが好ましく、例えば0.2%未満であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。

0081

Ra1の計測後、窒素ベースのNO標準ガスボンベから一定流量のNOガスを窒素ガスへ導入し、合成空気中にNOガスを混合してNO含有ガスを形成した。そして、形成したNO含有ガスを金属酸化物半導体式ガスセンサに供給して、各NOガス濃度のNO含有ガスに対するセンサ抵抗値(Rg)の変化を調べた。

0082

ガスの流量比は、(窒素ベースのNO標準ガスボンベからのガス+窒素ガス):(酸素ガス)=4:1となるように調整し、試料ホルダーに供給するNO含有ガスの流量は200mL/minとした。合成空気に対する曝露及びNO含有ガスに対する曝露は、例えば後述する図5に示すように、それぞれ15分間ずつ交互に行い、RgはNO含有ガスに対する曝露を開始してから15分後のセンサ抵抗値とした。

0083

NO含有ガスに対する曝露を行う際、NO含有ガス中のNOガス濃度は、50ppb、100ppb、150ppb、200ppb、250ppbとなるように調整した。各NOガス濃度において測定したRgと、上述したRa1から[NOガスセンサ感度]=Rg/Ra1を算出した。得られたNOガスセンサ感度の値が、NOガス濃度の増加とともに増加した場合、正確にNOガス濃度の検知が可能であるとし、NOガス濃度依存性について「○」と評価した。なお、この場合、合成空気下のセンサ抵抗値Ra1は一定なため、NO含有ガス中のNOガス濃度が50ppbから250ppbまで増加するのに伴い、NO含有ガスに曝露した際のセンサ抵抗値(Rg)も増加することとなり、両者は依存性を有する。

0084

これに対してNOガス濃度が50ppb〜250ppbの範囲において、得られたNOガスセンサ感度の値が、NOガス濃度の増加とともに増加しなかった場合は、ガスセンシングに問題を生じる恐れがあるためNOガス濃度依存性について「×」と評価した。すなわち、上記NOガス濃度の範囲において、センサ感度が同じ値を含む場合、及び、NOガス濃度が増加したにも関わらず、NOガスセンサ感度が低下した部分を含む場合は「×」と評価した。

0085

そして、各濃度のNO含有ガスに金属酸化物半導体式ガスセンサを15分曝露した後、再び合成空気を15分間流入し、合成空気の流入を開始してから15分経過後のセンサ抵抗値(Ra2)をそれぞれ調べた。

0086

以上の測定の結果から、まず、NOガス濃度が50ppbのNO含有ガスに曝露した際のセンサ抵抗値Rgと合成空気下のセンサ抵抗値Ra1の差から、シグナル(S=Rg−Ra1)を算出した。さらに、検出限界指標となる[S/N比]=(Rg−Ra1)/Nを算出した。

0087

また、NOガス濃度が50ppbのNO含有ガスに曝露後のセンサ抵抗値の回復速度の指標として、[抵抗値回復率(%)]=(Rg−Ra2)/(Rg−Ra1)×100を算出した。

0088

以上の結果を表1に示す。

0089

表1によると、サンプルNo.1−1〜No.1−8のいずれの試料においても、Ra1の標準偏差は0.1Ω以下で、かつ、CV値は0.06%以下となっていることから、ノイズが小さく、センサ抵抗値のばらつきが少ないことが確認できた。さらに、いずれの試料でもNOガス濃度が250ppbのNO含有ガスに曝露した際のNOガスセンサ感度は1.1以上であった。また、NOガスセンサ感度は、用いたNO含有ガスのNOガス濃度の増加とともに大きくなっていることから、NOガス濃度依存性が確認できた。さらに50ppbNO応答、すなわち、NOガス濃度が50ppbのNO含有ガスに曝露した際のS/N比、抵抗値回復率はいずれの試料もS/N比が100以上で、NOガス曝露後の合成空気流入15分でセンサ抵抗値は75%以上回復していることが確認できた。

0090

また、サンプルNo.1−2、1−8より、作動温度は200℃以上300℃以下が好適であることが確認できた。

0091

図5、6にサンプルNo.1−2、1−7の金属酸化物半導体式ガスセンサをNOガス濃度の異なるNO含有ガスに曝露した場合のセンサ応答特性、すなわち、センサ抵抗値の変化をそれぞれ示す。なお、上述のように、合成空気に対する曝露及びNO含有ガスに対する曝露は交互に15分間ずつ行っている。図5図6の上部に数字を示した区間は、各数字の濃度のNO含有ガスを供給し、該濃度のNO含有ガスに対して金属酸化物半導体式ガスセンサを曝露したことを示している。具体的には例えば図5の区間51は、50ppbと示しているように50ppbのNO含有ガスを供給し、該NO含有ガスに対して金属酸化物半導体式ガスセンサを曝露したことを意味している。また、数字を示していない区間、例えば図5中の区間52は合成空気に金属酸化物半導体式ガスセンサを曝露した時間を意味している。

0092

図5、6によると、センサ抵抗値は、NO含有ガスに対する曝露によって増加し、その後の合成空気流入によって再び減少することが確認できた。
[実験例2]
NOガス感応層4を形成する際、表2のサンプルNo.2−1〜2−13の配合比で作製した金属酸化物粉末、または、貴金属触媒を担持した金属酸化物粉末を用いた点以外は、実験例1と同様にしてサンプルNo.2−1〜No.2−13の試料の作製を行った。なお、サンプルNo.2−1〜No.2−13はいずれも比較例となる。

0093

0094

実験例1と同様にして作製した金属酸化物半導体式ガスセンサの評価を行った。なお、本実験例では、いずれのサンプルでも作動温度は200℃とした。結果を表2に示す。

0095

表2に示すように、サンプルNo.2−1は、NOガス感応層に貴金属触媒を担持していないCo3O4を用いた試料であるが、抵抗値回復率が80%未満となり、金属酸化物半導体式ガスセンサとしては好ましくないことが確認された。

0096

ここで、図7にサンプルNo.2−1の金属酸化物半導体式ガスセンサを種々の濃度のNO含有ガスに曝露した場合のセンサ応答特性、すなわち、センサ抵抗値の変化を示す。図7においては、図5図6の場合と同様に、各濃度のNO含有ガスと合成空気とを交互に金属酸化物半導体式ガスセンサに供給した際のセンサ抵抗値の変化を示している。図7に示したようにサンプルNo.2−1の金属酸化物半導体式ガスセンサにおいては、NO含有ガスへの曝露に対してセンサ抵抗値の増加は確認できた。しかし、抵抗値が一定にならず、かつ、合成空気流入後の抵抗値がRa1付近まで減少しないことが確認できた。これを考慮すると、NOガスセンサ感度は本来の値よりも大きく測定されていると考えられる。実験例1の結果とサンプルNo.2−1の結果とを比較すると、Co3O4にパラジウム等の貴金属を担持することによりセンサ特性が大きく向上することが確認できた。

0097

サンプルNo.2−2〜2−5の試料は、NOガス感応層4に種々のp型半導体を用いた結果であるが、NOガス濃度依存性、S/N比、抵抗値回復率のいずれかの項目で好適とならないことが確認できた。

0098

サンプルNo.2−2、2−3はいずれも抵抗値回復率が十分ではなく、金属酸化物半導体式ガスセンサとして適していないことが確認できた。

0099

図8にサンプルNo.2−4の金属酸化物半導体式ガスセンサを種々の濃度のNO含有ガスに曝露した場合のセンサ応答特性、すなわち、センサ抵抗値の変化を示す。図8に示したセンサ応答特性からも確認できるように、サンプルNo.2−4の試料においてはNOガスに対する曝露によるセンサ抵抗値の明確な変化がなかった。また、Ra2が50ppbのRgよりも大きくなったため、抵抗値回復率を算出することができなかった。

0100

サンプルNo.2−5は、表2に示すようにNOガスセンサ感度(Rg/Ra1)で150ppbと200ppbとの数値が1.03と同じ数値になっていた。すなわち、NOガス濃度依存性がなく、NOガスの検知ができないことから、金属酸化物半導体式ガスセンサとして不適であることが確認できた。

0101

サンプルNo.2−6〜2−9は、NOガス感応層4にパラジウムを1質量%担持した種々のp型半導体を用いた結果であるが、いずれもNOガス濃度依存性について好適ではなかった。また、S/N比、抵抗値回復率のいずれかの項目で好適とならないことも確認できた。なお、サンプルNo.2−8は、サンプルNo.2−4と同様に、抵抗値回復率を算出することができなかった。

0102

ここで、図9にサンプルNo.2−9の金属酸化物半導体式ガスセンサを種々の濃度のNO含有ガスに曝露した場合のセンサ応答特性、すなわち、センサ抵抗値の変化を示す。図9に示したセンサ応答特性からも確認できるように、サンプルNo.2−9は、NO含有ガスへの曝露に対してセンサ抵抗値の明確な変化がなく、また、RgがRa1よりも減少したため、S/N比、抵抗値回復率を算出することができなかった。

0103

サンプルNo.2−10は、NOガス感応層に白金を1質量%担持したCo3O4を用いた金属酸化物半導体式ガスセンサであるが、NO濃度依存性、S/N比、抵抗値回復率で好適とならないことが確認できた。サンプルNo.2−10は、サンプルNo.2−9と同様に、S/N比、抵抗値回復率を算出することができなかった。

0104

サンプルNo.2−11は、NOガス感応層にパラジウムを30質量%担持したCo3O4を用いた金属酸化物半導体式ガスセンサであるが、NOガス濃度依存性、S/N比のいずれも好適ではないことが確認できた。

0105

サンプルNo.2−12はNOガス感応層にn型半導体のWO3を用いた金属酸化物半導体式ガスセンサ、サンプルNo.2−13はNOガス感応層にパラジウムを1質量%担持したWO3を用いた金属酸化物半導体式ガスセンサである。いずれの試料もNO濃度依存性について好適とならないことが確認できた。特にサンプルNo.2−13についてはRa1の標準偏差であるノイズNも大きくなっていることが確認された。

0106

ここで、図10にサンプルNo.2−13の金属酸化物半導体式ガスセンサを種々の濃度のNO含有ガスに曝露した場合のセンサ応答特性、すなわち、センサ抵抗値の変化を示す。図10から、サンプルNo.2−13の試料においてはNO含有ガスへ曝露した際に、NO含有ガス中のNOガス濃度の変化とRgの変化とが相関がないことが確認できる。

実施例

0107

なお、サンプルNo.2−12、2−13は、Ra1のCV値が0.2%以上となっており、センサ抵抗値のばらつき(ノイズ)が大きいことが確認できた。これにより、S/N比が好適とならなかったと考えられる。

0108

1基板
2、3電極
4NOガス感応層

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