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技術 ポリメチルペンテンモノフィラメント、及び、その製造方法

出願人 東レ・モノフィラメント株式会社
発明者 中村浩太
出願日 2013年8月2日 (6年6ヶ月経過) 出願番号 2013-161182
公開日 2015年2月16日 (5年0ヶ月経過) 公開番号 2015-030935
状態 特許登録済
技術分野 合成繊維
主要キーワード 液面距離 広がり変形 ボビン鍔 平均伸度 溶融密度 太いフィラメント 断熱筒 外側マイクロメータ
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

産業用途に適した4.0cN/dtex以上の高強度なポリメチルペンテンモノフィラメントの提供。

解決手段

溶融したポリメチルペンテンポリマー口金より吐出して液浴で冷却した後、2段以上の段数延伸して巻き取るにさいし、紡糸ドラフトが0.7〜4.0、一段目延伸倍率が4.5倍以上、総遠心倍率が7倍以上とすることで得られる、単糸繊度が20〜30000dtex、引張強度が4.0〜7.0cN/dtexのポリメチルペンテンモノフィラメント。前記延伸後のモノフィラメントを弛緩倍率0.80〜0.95倍で処理した後巻き取る。

概要

背景

熱可塑性樹脂を構成成分とするモノフィラメントは、その加工性生産性の良さから種々の産業用途への展開が進められている。

特にポリエチレンポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂よりなるモノフィラメントは軽量、安価、且つ、耐加水分解性に優れる特徴から、ロープ編物織物等に加工され、水産資材、各種フィルター搬送ベルト防虫織物、建築資材、車両資材土木資材製紙用資材、クッション資材、生活資材農業資材等の用途において幅広く使用されている。

しかしながら、ポリエチレン、ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン樹脂は耐熱性が低く、使用環境が制限されるという問題がある。

前記ポリエチレン、ポリプロピレンの問題に対し、4−メチル−1−ペンテン主体としたポリメチルペンテンは、他のポリオレフィンと比較して比重が0.83g/ccと軽量であるだけでなく、融点が高い(例えば200℃以上)という特徴を有することから、工業的な繊維化を強く望まれている素材であり、ポリメチルペンテン繊維を得るための方法が特許文献1〜3等で提案されている。

例えば特許文献1には、メルトフローレートが30〜200g/10分のメチルペンテンと他のα−オレフィンコポリマー原料とすることで溶融紡糸熱延伸が可能となり、繊度4〜6デニール未延伸糸延伸して、強度3〜6g/d、繊度1.8〜3.5デニールの細繊度ポリメチルペンテン繊維を得られることが記載されている。

特許文献2には、4−メチル−1−ペンテンと他のα−オレフィンから選ばれた1種の共重合体と、4−メチル−1−ペンテンと他のα−オレフィンから選ばれた2種の共重合体のブレンド物を原料とすることで、強度3.2〜4.2g/d、且つ、製織時にクラックの発生し難いポリメチルペンテンモノフィラメントを得る方法が記載されている。

また、特許文献3には、1000m/分で引き取ったポリメチルペンテン未延伸糸を一旦熱処理した後、延伸することで強度2.9〜3.5g/dのポリメチルペンテン繊維を得る方法が記載されている。

概要

産業用途に適した4.0cN/dtex以上の高強度なポリメチルペンテンモノフィラメントの提供。溶融したポリメチルペンテンポリマー口金より吐出して液浴で冷却した後、2段以上の段数で延伸して巻き取るにさいし、紡糸ドラフトが0.7〜4.0、一段目延伸倍率が4.5倍以上、総遠心倍率が7倍以上とすることで得られる、単糸繊度が20〜30000dtex、引張強度が4.0〜7.0cN/dtexのポリメチルペンテンモノフィラメント。前記延伸後のモノフィラメントを弛緩倍率0.80〜0.95倍で処理した後巻き取る。なし

目的

本発明は前述の課題に対し、産業用途に好適に使用できる4.0cN/dtex(=4.5g/d)以上の強度を達成するポリメチルペンテンモノフィラメントを得ることを課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

単糸繊度が20〜30000dtex、引張強度が4.0〜7.0cN/dtexであるポリメチルペンテンモノフィラメント

請求項2

溶融したポリメチルペンテンポリマー口金より吐出して液浴で冷却した後、2段以上の段数延伸して巻き取るポリメチルペンテンモノフィラメントの製造方法であって、紡糸ドラフトが0.7〜4.0、且つ、1段目延伸倍率が4.5倍以上、総延伸倍率が7倍以上であるポリメチルペンテンモノフィラメントの製造方法。

請求項3

溶融したポリメチルペンテンポリマーを吐出する口金の口金面と冷却する液浴との間の距離が20〜300mmである請求項2記載のポリメチルペンテンモノフィラメントの製造方法。

請求項4

前記延伸後のモノフィラメントを弛緩倍率0.80〜0.95倍で処理したのち巻き取る請求項2または3記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は軽量、耐薬品耐湿熱性に優れ、且つ、産業用途に好適に使用できる強度を有したポリメチルペンテンモノフィラメント、及び、その製造方法に関するものである。

背景技術

0002

熱可塑性樹脂を構成成分とするモノフィラメントは、その加工性生産性の良さから種々の産業用途への展開が進められている。

0003

特にポリエチレンポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂よりなるモノフィラメントは軽量、安価、且つ、耐加水分解性に優れる特徴から、ロープ編物織物等に加工され、水産資材、各種フィルター搬送ベルト防虫織物、建築資材、車両資材土木資材製紙用資材、クッション資材、生活資材農業資材等の用途において幅広く使用されている。

0004

しかしながら、ポリエチレン、ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン樹脂は耐熱性が低く、使用環境が制限されるという問題がある。

0005

前記ポリエチレン、ポリプロピレンの問題に対し、4−メチル−1−ペンテン主体としたポリメチルペンテンは、他のポリオレフィンと比較して比重が0.83g/ccと軽量であるだけでなく、融点が高い(例えば200℃以上)という特徴を有することから、工業的な繊維化を強く望まれている素材であり、ポリメチルペンテン繊維を得るための方法が特許文献1〜3等で提案されている。

0006

例えば特許文献1には、メルトフローレートが30〜200g/10分のメチルペンテンと他のα−オレフィンコポリマー原料とすることで溶融紡糸熱延伸が可能となり、繊度4〜6デニール未延伸糸延伸して、強度3〜6g/d、繊度1.8〜3.5デニールの細繊度ポリメチルペンテン繊維を得られることが記載されている。

0007

特許文献2には、4−メチル−1−ペンテンと他のα−オレフィンから選ばれた1種の共重合体と、4−メチル−1−ペンテンと他のα−オレフィンから選ばれた2種の共重合体のブレンド物を原料とすることで、強度3.2〜4.2g/d、且つ、製織時にクラックの発生し難いポリメチルペンテンモノフィラメントを得る方法が記載されている。

0008

また、特許文献3には、1000m/分で引き取ったポリメチルペンテン未延伸糸を一旦熱処理した後、延伸することで強度2.9〜3.5g/dのポリメチルペンテン繊維を得る方法が記載されている。

先行技術

0009

特開平3−27113号公報
特開平8−41725号公報
特開平11−323657号公報

発明が解決しようとする課題

0010

前述の特許文献1には空冷紡糸で得られるマルチフィラメントと考えられる細繊度ポリメチルペンテン繊維で強度6g/dを達成する方法が記載されているが、特許文献2に示される様に、これまで開示された繊度の太いポリメチルペンテンモノフィラメントは低強度であり、産業用途に適したポリメチルペンテンモノフィラメントが得られていなかった。

0011

本発明は前述の課題に対し、産業用途に好適に使用できる4.0cN/dtex(=4.5g/d)以上の強度を達成するポリメチルペンテンモノフィラメントを得ることを課題とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者がポリメチルペンテンモノフィラメントの紡糸プロセスについて種々検討を重ねた結果、従来のポリメチルペンテンモノフィラメント紡糸方法では未延伸糸を均一、且つ、高倍率に延伸できず、また、その原因が口金より溶融吐出したポリメチルペンテンポリマーを冷却、延伸するプロセスに起因することを見出し本発明に到達した。

0013

即ち、本発明で達成されるポリメチルペンテンモノフィラメントは単糸繊度が20〜30000dtex、引張強度が4.0〜7.0cN/dtexである。その製法は、溶融したポリメチルペンテンポリマーを口金より吐出して液浴で冷却した後、2段以上の段数で延伸して巻き取るポリメチルペンテンモノフィラメントの製造方法であって、紡糸ドラフトが0.7〜4.0、且つ、1段目延伸倍率を4.5倍以上総延伸倍率が7倍以上とするものである。

0014

なお、本発明の製造方法では、溶融したポリメチルペンテンポリマーを吐出する口金の口金面と冷却する液浴との間の距離が20〜300mmであること、延伸後のモノフィラメントを弛緩倍率0.80〜0.95倍で処理したのち巻き取ることが好ましい態様である。

発明の効果

0015

本発明によれば、軽量、且つ、産業用途に好適に使用できる高強度なポリメチルペンテンモノフィラメントが得られ、該高強度ポリメチルペンテンモノフィラメントを用いることで、軽量性、耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性に優れた、ロープ、編物、織物等の水産資材、各種フィルター、搬送ベルト、防虫織物、建築資材、車両資材、土木資材、製紙用資材、クッション資材、生活資材、農業資材等を得ることが可能となる。

0016

以下に本発明について詳細に説明する。

0017

本発明のポリメチルペンテンモノフィラメントの単糸繊度は20dtex以上、好ましくは100dtex以上であることが必要である。単糸繊度が20dtex未満の場合、モノフィラメントとして求められる耐磨耗性剛性が損なわれ、例え高強度なポリメチルペンテンフィラメントであったとしても、モノフィラメントとして産業用途に好適に使用することが困難となる。一方、繊度上限は限定されるものでは無いが、太繊度化に伴い冷却、延伸等の工程において繊維構造内外層差が生じやすいことから、現在の技術水準で得られる繊度上限として30000dtex、好ましくは15000dtexを例示できる。

0018

本発明のポリメチルペンテンモノフィラメントは従来に無い高強度を有するものであり、引張強度が4.0〜7.0cN/dtexであることが必要であり、好ましくは4.5〜7.0cN/dtex、より好ましくは5.0〜7.0cN/dtexである。強度が4.0cN/dtex未満の場合、製品とした際に産業資材として求められる強力を得られない。一方、強度上限については高いほど好ましいが、現在使用可能なプロセスでは強度7.0cN/dtexを超えるポリメチルペンテンを製糸性良く得ることは困難である。

0019

本発明のポリメチルペンテンモノフィラメントは熱収縮率が低く、熱寸法安定性に優れていることも特徴であり、沸水収縮率が1〜10%であることが好ましい。かかる特徴は布帛ネット、ロープ等の製造工程や実使用時に熱処理をした際にも寸法変化が小さく品位に優れた製品が得られるというメリットを生じる。

0020

また、本発明のポリメチルペンテンモノフィラメントは寸法精度に優れることが好ましく、例えば丸断面糸においては円周方向における最大径と最小径の比で示される扁平率が1.0〜1.2であることが好ましい。

0021

本発明のポリメチルペンテンモノフィラメントの断面形状は特に限定されるものではなく、前述した丸断面は勿論のこと、楕円四角、多角、多葉断面などの形状をとることができる。

0022

以下に前述の本発明ポリメチルペンテンモノフィラメントを得るための製造方法について説明する。

0023

本発明のポリメチルペンテンモノフィラメントは従来知られた押出設備を用いた紡糸法により製造することができるため生産性が高く低コスト生産することが可能である。すなわち、エクストルーダーで溶融したポリメチルペンテンポリマーをギヤポンプで計量して紡糸パックに取り付けられた口金より吐出して液浴で冷却した後、2段以上の段数で延伸して巻き取ることにより製造される。

0024

本発明のポリメチルペンテンモノフィラメントの原料となるポリメチルペンテンポリマーは、4−メチル−1−ペンテンのみからなるホモポリマー、又は、4−メチル−1−ペンテンにα−オレフィンを共重合したポリマーである。なお、共重合ポリマーとする際のα−オレフィンの比率は耐熱性の観点から10モル%以下であることが好ましい。

0025

共重合するα−オレフィンは炭素原子数2〜22であることが好ましく、1−ブテン1−ヘキセン1−オクテン、1−デセン1−テトラデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、及び、1−ドコセン等を例示できる。

0026

ポリメチルペンテンポリマーには本発明の効果を損なわない範囲、具体的には5質量%以下であれば酸化チタン炭酸カルシウムカオリンクレーなどの艶消し剤顔料染料滑剤酸化防止剤耐熱剤、耐蒸熱剤、耐光剤紫外線吸収剤帯電防止剤および難燃剤などを含むことができる。

0027

ポリメチルペンテンモノフィラメントに原着化、耐光性付与、抗菌性付与等の機能付与を行う場合、所望の顔料、耐光剤、抗菌剤等を高濃度に含有したマスターチップを作製しておき、ポリメチルペンテンポリマーに必要量ブレンドして紡糸をすることができる。

0028

エクストルーダー、スピンヘッド等の設定温度は、ポリマーの溶融温度を基準に設定するが、熱分解による物理特性低下の抑制、未延伸糸の内外層構造抑制、延伸性確保、冷却浴中での走行糸安定性確保等の観点から250〜310℃であることが好ましい。

0029

エクストルーダーで溶融したポリマーは紡糸パックに導入した後、紡糸口金より吐出するが、溶融ポリマー中の異物を除去してフィラメントの延伸性を向上させるため、金属メッシュ、金属不織布等を用いてパック内で濾過して異物を除くことが好ましい。

0030

口金より吐出した溶融フィラメントは、口金孔内で生じたフィラメント内外層の構造歪を除去させるため、口金直下に加熱筒を配置し、その中を通過させることが好ましい。加熱筒の長さは特に限定されるものではないが、設備化対応の容易さ、得られるモノフィラメントの長手方向の繊度斑低減の観点から10〜150mmの範囲とすることが好ましく、加熱筒の温度としては250〜300℃が好ましい。

0031

加熱筒を通過した溶融フィラメントは冷媒を用いて冷却固化させるが、本発明の製造方法では、冷温水ポリエチレングリコール等を冷媒とする液浴で冷却を行うことが必要である。液浴を用いて冷却することで、本発明の如き単糸繊度の太いモノフィラメントを瞬時に、且つ、内外層の構造差が均一な未延伸フィラメントを得ることが可能となる。一方、単糸細繊度糸の溶融紡糸で一般的に採用される空冷方式を用いた場合には、本発明の如き単糸繊度の太いフィラメントでは未延伸糸の内外層構造差が不均一となり、結果として高強度なモノフィラメントを得ることができない。

0032

また、ポリメチルペンテンモノフィラメントの溶融紡糸においては、溶融したポリメチルペンテンポリマーを吐出する口金の口金面から冷却する液浴の液面との間の距離は20〜300mmであることが好ましく、より好ましい範囲として70〜200mmの範囲を例示できる。詳細な機構は明らかでないものの、前記口金面と前記液面との間の距離が広すぎる場合には、吐出フィラメントの糸揺れに伴い延伸性/製糸性が低下する傾向にあり、一方、前記口金面と前記液面との間の距離が小さすぎる場合には得られる未延伸モノフィラメント繊維軸垂直方向の寸法斑が生じて延伸性/製糸性が低下する傾向となる。

0033

冷却浴の温度については、得られるモノフィラメントの真円度、繊度斑等に応じて変更すればよいが、本発明のポリメチルペンテンモノフィラメントを得るための好ましい冷却温度として10〜60℃の範囲を例示できる。

0034

次いで、冷却固化後のフィラメントを所望の表面速度で回転する引取ロールで引き取って未延伸フィラメントを得る。引取速度については冷却浴中にて溶融モノフィラメントが内外層差無く冷却固化する速度、好ましくは5m/分〜50m/分であればよいが、引取速度と口金孔からの溶融ポリマーを吐出する速度との比である紡糸ドラフト(引取り速度吐出線速度)が0.7〜4.0であり、1.0〜3.0であることが好ましい。紡糸ドラフトが0.7未満の場合、紡糸張力不足により、比重の軽いポリメチルペンテン未延伸糸の液浴中走行安定性が低下し、長手方向に繊維構造斑の大きい、延伸性の悪い未延伸フィラメントしか得ることができない。一方、紡糸ドラフトが4.0を超える場合、曳糸性不足により吐出フィラメントに長手方向の繊度斑が生じて延伸性が低下する。

0035

また、前述の通り本発明のポリメチルペンテンモノフィラメントを得るためには口金吐出から引取りロール間の張力制御が重要であることから、原料とするポリメチルペンテンポリマーはASTM−D1238に準じてP=5kg、温度=260℃で測定したMFRが9〜30g/10分であることが好ましく、20〜30g/10分であることがより好ましい。MFRを前記範囲とすることで前述の液浴冷却工程において適度な紡糸張力が得られ、吐出フィラメントの走行安定性が向上し、未延伸フィラメントの繊維構造斑、長手方向の直径斑、及び、断面方向の形状斑が小さく、後の延伸工程における高倍率延伸に耐えうる未延伸フィラメントを得ることができる。

0036

引取ロールで引き取った未延伸フィラメントは一旦巻き取った後、又は、一旦巻き取ることなく延伸工程に供する。なお、太繊度ポリメチルペンテンモノフィラメントの延伸では延伸前の配向のレベルに適した温度でフィラメントが予熱され、分子鎖易動性相応しい延伸比で延伸され、スムーズに分子鎖が引き伸ばされることが肝要であり、延伸工程におけるスムーズな分子鎖引き伸ばしを達成するためには延伸段数を2段以上とすることが必要である。一方、高強度化を目的に1段延伸で高倍率延伸を行う場合、分子鎖の易動性に対して無理な延伸をすることになり、結果として繊維構造が破壊され、白化した物理特性の低いモノフィラメントしか得ることができない。また、分子鎖の易動性を確保すべく延伸温度を高くし過ぎると分子鎖は配向する前に結晶化して引き伸ばし難くなり、結果として延伸性が低下して高強度化が達成できず、フィラメントは繊維構造破壊により白化してしまう。また、結晶化したフィラメントを引き伸ばすべく、更に延伸温度を高くした場合には分子鎖の流れが生じ、分子鎖の配向を伴わない所謂スーパードロー現象が生じ、効果的な延伸がなされない。

0037

1段目の延伸倍率は4.5倍以上であり、5.0倍以上であることが好ましい。延伸倍率が4.5倍未満では未延伸フィラメント全体が均一に延伸配向せず、2段目の延伸において延伸性が低下して糸切れや強度低下を生じる。なお、1段目の延伸倍率については、延伸温度で、過延伸により繊維構造が破壊されない範囲、具体的にはフィラメントが繊維構造破壊により白化されない範囲であればよいが、通常、7倍以下であることが好ましい。

0038

延伸に使用する熱媒については特に限定されるものではなく、温水、PEG浴、蒸気、及び、乾熱延伸機が使用できるが、一段目の延伸に関しては、安全、且つ、十分な熱量を均一に付与する観点から温水が好ましく使用できる。

0039

1段目の延伸温度については、1段目の延伸倍率により適宜変更すればよいが、本発明の製造方法である4.5倍以上の延伸を製糸性良く達成する為には70〜95℃とすることが好ましい。

0040

1段目の延伸が完了したポリメチルペンテンモノフィラメントを、次いで2段目の延伸に供する。2段目の延伸で使用する熱媒については特に限定されるものではなく、1段目の延伸同様に温水、PEG浴、蒸気、及び、乾熱延伸機が使用できる。しかしながら、フィラメントの走行速度が速くなる2段目の延伸においては液浴飛散防止の観点から乾熱延伸をおこなうことが好ましい。

0041

2段目の延伸温度については、1段目の延伸で得られたポリメチルペンテンモノフィラメントの繊維構造に応じて適宜設定すればよく、1段目の延伸で4.5倍以上延伸されたポリメチルペンテンモノフィラメントの延伸温度としては120℃〜160℃の範囲を好適に使用できる。

0042

2段目の延伸倍率については特に限定されるものではなく、1段目の延伸同様に過延伸により繊維構造が破壊されない程度、具体的にはフィラメントが繊維構造破壊により白化されない程度に設定すればよい。

0043

2段目の延伸を終えたポリメチルペンテンモノフィラメントは必要に応じて3段目以上の延伸に供することができる。なお、3段目以降の延伸温度、延伸倍率、延伸熱媒については2段目の延伸同様の考え方で設定することができる。

0044

本発明の如き高強度なポリメチルペンテンモノフィラメントを得るためには、各延伸段による延伸倍率を乗じて得られる総延伸倍率が7倍以上であることが好ましく、より好ましい範囲として8倍以上の範囲を例示できる。総延伸倍率の上限は特に制限されるものでは無いが、現行のモノフィラメント紡糸設備を用いて製糸性良く得るためには総延伸倍率が11倍以下であることが好ましい。

0045

本発明の様に極めて高強度なポリメチルペンテンモノフィラメントは延伸後の繊維構造残留歪が大きく、弛緩熱処理を施さない場合には巻取りボビンを変形させる可能性があることから、延伸後のモノフィラメントを弛緩倍率0.80〜0.95倍で弛緩熱処理した後、巻き取ることが好ましい。この時、弛緩熱処理温度は100℃〜200℃が好ましい。

0046

弛緩処理後のモノフィラメントは巻取機にて巻き取られるが、この時、巻き取り張力は0.40cN/dtex以下とすることが、残留歪みを更に低減させる観点から好ましい。なお、巻き取り張力の下限は限定されるものではないが、実使用に適用可能な巻き取りパッケージを得るためには0.02cN/dtex以上であることが好ましい。

0047

かくして本発明のポリメチルペンテンモノフィラメントを得ることができる。

0048

以下、実施例によって本発明の態様を更に詳しく説明する。なお、明細書本文および実施例に用いた特性の定義、測定方法は次のとおりである。なお、測定n数について特に触れていない場合は、n=1で測定をおこなった。

0049

外径]デジマチック標準外側マイクロメーター((株)ミツトヨ製、MDC−25SB)を使用して、モノフィラメントの外径を長さ方向に10点測定し、得られた外径の平均値を直径とした。

0050

[繊度]JIS L1013:2010 8.3.1 B法に準じて測定した。

0051

[強力、伸度、引張強度]オリエンテック社製テンシロンUTM−4−100型引張試験機を用い、JIS L1013:2010 8.5.1に準じて定速緊張つかみ間隔25cmにてモノフィラメントの強力を3点測定し、その試行回数3回の平均強力、平均伸度を求めた。なお、強度に関しては平均強力を前記繊度で除して求めた。

0052

[沸水収縮率(沸収)]JIS L1013:2010 8.18.1(B法)に準じて測定した。

0053

[MFR]ASTMD1238に従い、荷重5kg、温度260℃で測定した。

0054

[製糸性]実施例、及び、比較例の製造条件において、12時間の連続生産を行った際の糸切れ本数を示す。

0055

(実施例1〜5、比較例2、比較例4)ポリメチルペンテン樹脂(三井化学(株)製、RT31、MFR=21g/10分、260℃の溶融密度=0.72g/cc)を280℃に設定したφ40mmの1軸エクストルーダーで溶融した後、280℃に保温されたギヤポンプを用いて表1記載の繊度となる様に計量し、280℃に保温された紡糸パックに導入した。パック内で溶融ポリマーを200メッシュ金属フィルターで濾過した後、孔径1.5mm、孔長3.0mm、孔数4の口金より吐出した。吐出フィラメントは口金直下に取り付けられた長さ70mmの断熱筒を通過させた後、表1記載の口金面と液面距離を有して設置された20℃の冷却水浴を通過させ、表1記載の表面速度で回転する引取ロール(1R)で未延伸モノフィラメントを引き取った。未延伸モノフィラメントは一旦巻き取ることなく、1Rと第2ロール(2R)間に設置され、90℃に調温された温水槽を用いて表1記載の倍率で1段目の延伸をおこなった後、2Rと第3ロール(3R)間に設置され、140℃に調温した乾熱延伸槽を用いて表1記載の総倍率となるように2段目の延伸を施した。延伸後のモノフィラメントは、3Rと第4ロール(4R)の間に設置され、150℃に調温した乾熱槽を用いて表1記載の倍率で弛緩熱処理を行い、0.15cNの巻き取り張力で、ABS樹脂製のDIN200型ボビンに巻量1.5kgで巻き取った。得られたモノフィラメントの特性は表1に示す通りであった。

0056

(実施例6、比較例3)表1記載の表面速度で回転する1Rで引き取った未延伸モノフィラメントを一旦巻き取った後、表面速度を15m/分に変更した1Rと表1記載の倍率となる様な表面速度で回転する2R間で1段目の延伸をおこない、続いて2Rと3R間で表1記載の総倍率となるように2段目の延伸を施したこと以外は実施例1と同様におこなった。

0057

(実施例7)孔径3.0mm、孔長5.0mm、孔数4の口金を用いたこと以外は実施例6と同様におこなった。

0058

(実施例8)孔径0.6mm、孔長1.2mm、孔数20の口金を用いたこと以外は実施例1と同様におこなった。

0059

(比較例1)2Rと3R間に設置された乾熱延伸槽温度を室温(25℃)としたこと、2R速度と3R速度を等速とした(すなわち、延伸を1段のみとした)こと以外は実施例1と同様におこなった。得られたモノフィラメントの特性は表2に示す通りであった。

0060

0061

実施例

0062

上記の通り、本発明のポリメチルペンテンモノフィラメントは従来糸と比べて高強度であり、また、実施例3については巻取り後ボビン鍔部に広がり変形が認められたものの、本発明の製造方法を用いることで高強度ポリメチルペンテンモノフィラメントを製糸性良く得ることができた。

0063

本発明のポリメチルペンテンモノフィラメントは高強度の特徴を有することから、水産資材、各種フィルター、搬送ベルト、防虫織物、建築資材、車両資材、土木資材、製紙用資材、クッション資材、生活資材、農業資材等の用途向けロープ、編物、織物等として好適に利用することができる。

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    【課題】ダウン代替品となる発泡繊維の提供。【解決手段】オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物からなる、繊維の長さ方向への切断面のない発泡繊維であって、前記発泡繊維の幅方向断面の最大径が3mm以下であ... 詳細

  • 帝人株式会社の「 パラ型全芳香族ポリアミド繊維」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】強度を保持しつつも、耐摩耗性に優れた全芳香族ポリアミド繊維、それからなるロープを提供することにある。【解決手段】パラ型全芳香族ポリアミド繊維であって、該繊維中にタングステン粒子を20〜70重量... 詳細

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