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技術 油脂組成物とそれを用いた起泡性水中油型乳化組成物およびホイップクリーム

出願人 ミヨシ油脂株式会社
発明者 高山章子平岡徹益田典大江真史
出願日 2013年7月31日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2013-159790
公開日 2015年2月16日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2015-029447
状態 特許登録済
技術分野 食用油脂 穀類誘導体・合成クリーム ゼリ-、ジャム、シロップ
主要キーワード 泡立器 固化特性 不均一核形成 均一核形成 深度測定 パーム由来 B型粘度計 飽和脂肪酸比率
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

低トランス酸含量であっても、高トランス酸含量クリームと同等の風味甘味コク味ボディー感)、硬さ特性(シマリ、モドリ)、外観ツヤ耐荷重性)を得ることができる、サンド用クリームなどに適した油脂組成物とそれを用いた起泡性水中油型乳化組成物およびホイップクリームを提供する。

解決手段

低トランス酸含量の油脂組成物であって、油脂の0℃、5℃等温時のアブラ指数が1.4〜2.6の範囲内でかつ10℃、15℃等温時のアブラミ指数が2.0〜3.1の範囲内、油脂の構成脂肪酸中不飽和脂肪酸飽和脂肪酸との比(不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸)が0.25〜0.55の範囲内である油脂組成物。

概要

背景

食品の内側に挟まれるサンドクリームなどのホイップクリームは、その商品特性から、最初に感じ甘味、最後に残るコク味ボディー感などの風味や、ホイップ後に経時的にクリームが硬くなっていく現象(シマリ)、ホイップ後に経時的にクリームが軟らかくなっていく現象(モドリ)を調整する硬さ特性や、ツヤ耐荷重性のような外観が要求される。特に、果物等と一緒にサンドされることが多いサンド用クリームでは、甘味が弱いと、果物等の風味のみが感じられたり、コク味やボディー感が弱いと、最後に果物等の風味だけが感じられ、食感として物足りないものになってしまう虞がある。また、耐荷重性が弱いと、果物等の重みにより、外側の食品にホイップクリームの水分が移行してしまい、商品としての食感が損なわれてしまうという問題がある。

そして起泡によってホイップクリームとなる起泡性水中油型乳化組成物製造過程においては、水相部と油相部を調合して均質化した水中油型乳化組成物を5℃程度まで冷却した後、エージングタンクで安定化させ、その後充填されて製品となるが、油滴凝集合一が起こらないように全体を通して乳化定性が良好なこと、冷却時はエージング中の結晶化熱で製品の温度が上昇してしまわないように油脂の結晶化が速いこと、粗大結晶が生成してしまうと乳化破壊を引き起こす虞があるためエージング中に結晶が粗大化しないことが要求される。

これらの製造過程から保管時における乳化安定性と、ホイップ後の風味、硬さ特性、外観は、使用する油脂の結晶性とも密接に関連している。従来、これらの要求を満足するために、トランス脂肪酸含量の高いナタネ硬化油を主成分とするものなどが使用されてきた。このような高トランス酸含量油脂は、トランス酸の構造に由来する固化特性により、作業性、安定性などの面において和洋菓子用クリームの製造に重要な役割を果たしてきた。また、高トランス酸含量油脂を添加することで、硬化油臭と呼ばれる独特の風味が付与され、ホイップクリームの甘味やコク味の向上に寄与してきた面もあった。

一方、トランス酸の循環器系へ及ぼす悪影響を懸念し、高トランス酸含量油脂と同等の特性、機能を持つ油脂への置換えが進められ、低トランス酸含量のラウリン系油脂パーム由来の油脂を利用しつつ、物性として、高トランス酸含量油脂と遜色ないホイップクリームが得られてきた。しかしながら、低トランス酸含量のホイップクリームは、高トランス酸含量のホイップクリームに比べ、甘味やコク味、ボディー感といった風味が劣るため、トランス酸量を低減化しつつ、風味を向上させることが望まれていた。

そのため、一部の不飽和脂肪酸水素添加を行った部分硬化油を用いて低トランス酸含量ホイップクリームの風味や乳化安定性を向上させることも提案されている(特許文献1〜3)。

概要

低トランス酸含量であっても、高トランス酸含量クリームと同等の風味(甘味、コク味、ボディー感)、硬さ特性(シマリ、モドリ)、外観(ツヤ、耐荷重性)を得ることができる、サンド用クリームなどに適した油脂組成物とそれを用いた起泡性水中油型乳化組成物およびホイップクリームを提供する。低トランス酸含量の油脂組成物であって、油脂の0℃、5℃等温時のアブラ指数が1.4〜2.6の範囲内でかつ10℃、15℃等温時のアブラミ指数が2.0〜3.1の範囲内、油脂の構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸との比(不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸)が0.25〜0.55の範囲内である油脂組成物。なし

目的

しかしながら、低トランス酸含量のホイップクリームは、高トランス酸含量のホイップクリームに比べ、甘味やコク味、ボディー感といった風味が劣るため、トランス酸量を低減化しつつ、風味を向上させることが望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

低トランス酸含量の油脂組成物であって、油脂の0℃、5℃等温時のアブラ指数が1.4〜2.6の範囲内でかつ10℃、15℃等温時のアブラミ指数が2.0〜3.1の範囲内、油脂の構成脂肪酸中不飽和脂肪酸飽和脂肪酸との比(不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸)が0.25〜0.55の範囲内である油脂組成物。

請求項2

請求項1記載の油脂組成物を含有する起泡性水中油型乳化油脂組成物

請求項3

糖質としてDE値が5〜30でかつ50%水溶液の20℃での粘度が50〜500cPの範囲内であるデキストリンを含有する請求項2記載の起泡性水中油型乳化組成物

請求項4

請求項2または3に記載の起泡性水中油型乳化組成物を起泡してなるホイップクリーム

技術分野

0001

本発明は、起泡状態とすることによってサンドクリームなどのホイップクリームとして使用される油脂組成物とそれを用いた起泡性水中油型乳化組成物およびホイップクリームに関する。

背景技術

0002

食品の内側に挟まれるサンド用クリームなどのホイップクリームは、その商品特性から、最初に感じ甘味、最後に残るコク味ボディー感などの風味や、ホイップ後に経時的にクリームが硬くなっていく現象(シマリ)、ホイップ後に経時的にクリームが軟らかくなっていく現象(モドリ)を調整する硬さ特性や、ツヤ耐荷重性のような外観が要求される。特に、果物等と一緒にサンドされることが多いサンド用クリームでは、甘味が弱いと、果物等の風味のみが感じられたり、コク味やボディー感が弱いと、最後に果物等の風味だけが感じられ、食感として物足りないものになってしまう虞がある。また、耐荷重性が弱いと、果物等の重みにより、外側の食品にホイップクリームの水分が移行してしまい、商品としての食感が損なわれてしまうという問題がある。

0003

そして起泡によってホイップクリームとなる起泡性水中油型乳化組成物の製造過程においては、水相部と油相部を調合して均質化した水中油型乳化組成物を5℃程度まで冷却した後、エージングタンクで安定化させ、その後充填されて製品となるが、油滴凝集合一が起こらないように全体を通して乳化定性が良好なこと、冷却時はエージング中の結晶化熱で製品の温度が上昇してしまわないように油脂の結晶化が速いこと、粗大結晶が生成してしまうと乳化破壊を引き起こす虞があるためエージング中に結晶が粗大化しないことが要求される。

0004

これらの製造過程から保管時における乳化安定性と、ホイップ後の風味、硬さ特性、外観は、使用する油脂の結晶性とも密接に関連している。従来、これらの要求を満足するために、トランス脂肪酸含量の高いナタネ硬化油を主成分とするものなどが使用されてきた。このような高トランス酸含量油脂は、トランス酸の構造に由来する固化特性により、作業性、安定性などの面において和洋菓子用クリームの製造に重要な役割を果たしてきた。また、高トランス酸含量油脂を添加することで、硬化油臭と呼ばれる独特の風味が付与され、ホイップクリームの甘味やコク味の向上に寄与してきた面もあった。

0005

一方、トランス酸の循環器系へ及ぼす悪影響を懸念し、高トランス酸含量油脂と同等の特性、機能を持つ油脂への置換えが進められ、低トランス酸含量のラウリン系油脂パーム由来の油脂を利用しつつ、物性として、高トランス酸含量油脂と遜色ないホイップクリームが得られてきた。しかしながら、低トランス酸含量のホイップクリームは、高トランス酸含量のホイップクリームに比べ、甘味やコク味、ボディー感といった風味が劣るため、トランス酸量を低減化しつつ、風味を向上させることが望まれていた。

0006

そのため、一部の不飽和脂肪酸水素添加を行った部分硬化油を用いて低トランス酸含量ホイップクリームの風味や乳化安定性を向上させることも提案されている(特許文献1〜3)。

先行技術

0007

特開2009−089684号公報
特開2012−65580号公報
特開2011−254777号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、特許文献1に記載の技術は、硬化油として軽微酸化過酸化物価所定範囲にしたものを使用することで風味の向上を図っているが、ホイップクリーム用油脂を酸化させてしまうと油脂の加熱劣化臭を強く感じてしまう。

0009

特許文献2に記載の技術は、硬化油としてヤシ油極度硬化ハイエルシン菜種油エステル交換油脂を添加することで乳化安定性の向上を図っているが、同時に長鎖飽和脂肪酸を使用しているため、ホイップ時間が長くなり、オーバーランも大きくなることで、ホイップ後のクリームの食感が軽くなり過ぎ、サンド用クリーム等に求められる風味であるボディー感はなくなってしまう。

0010

特許文献3は、高オレイン酸ナタネ油等の硬化油を使用する技術であるが、炭素数18の1価不飽和脂肪酸を総脂肪酸に対して40質量%以上含有していることで、ホイップ後のクリームのモドリが強くなる等の傾向があり、保形性保水性が十分ではなくなるという問題点があった。また部分硬化油の適切な配合によって油脂の結晶性と不飽和脂肪酸量との双方を調整するといったアプローチはされていない。

0011

本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、低トランス酸含量であっても、高トランス酸含量クリームと同等の風味(甘味、コク味、ボディー感)、硬さ特性(シマリ、モドリ)、外観(ツヤ、耐荷重性)を得ることができる、サンド用クリームなどに適した油脂組成物とそれを用いた起泡性水中油型乳化組成物およびホイップクリームを提供することを課題としている。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らはこの課題を解決するために鋭意検討した結果、低トランス酸含量の油脂組成において、部分硬化油の適切な配合により、アブラ指数を高トランス酸含量油脂組成に合わせ、油脂の不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の比率との両者を調整することによって、従来の高トランス酸含量の油脂を用いたホイップクリームと同等の風味、硬さ特性、外観が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

0013

すなわち、本発明の油脂組成物は、低トランス酸含量の油脂組成物であって、油脂の0℃、5℃等温時のアブラミ指数が1.4〜2.6の範囲内でかつ10℃、15℃等温時のアブラミ指数が2.0〜3.1の範囲内、油脂の構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸との比(不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸)が0.25〜0.55の範囲内であることを特徴としている。

0014

本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、前記の油脂組成物を含有する。

0015

この起泡性水中油型乳化組成物において、糖質としてDE値が5〜30でかつ50%水溶液の20℃での粘度が50〜500cPの範囲内であるデキストリンを含有することが好ましい。

0016

本発明のホイップクリームは、前記の起泡性水中油型乳化組成物を起泡してなる。

発明の効果

0017

本発明によれば、低トランス酸含量であっても、高トランス酸含量ホイップクリームと同等の風味(甘味、コク味、ボディー感)、硬さ特性(シマリ、モドリ)、外観(ツヤ、耐荷重性)を得ることができる。

0018

本明細書において、油脂の構成脂肪酸分析は、基準油脂分析試験法(2.4.2. 1-1996)に従い、ガスクロマトグラフ法により行うことができる。

0019

ヨウ素価は、基準油脂分析試験法(2.3.4. 1-1996)に従い、ウィイス法により測定することができる。

0020

本明細書において、油脂の融点は、基準油脂分析試験法(2.2.4. 2-1996)に従った上昇融点測定値である。

0021

以下に、本発明を詳細に説明する。

0022

本発明の油脂組成物は、油脂の0℃、5℃等温時のアブラミ指数が1.4〜2.6の範囲内でかつ10℃、15℃等温時のアブラミ指数が2.0〜3.1の範囲内としたことを第1の特徴としている。

0023

アブラミ指数の範囲をこの範囲内にすることで、従来の高トランス酸含量の油脂に近似する結晶性が得られ、低トランス酸含量の油脂組成でも結晶性が良く、油脂の粗大結晶の生成を抑制して、製造時および冷蔵保存時のクリームの乳化安定性が向上する。そして高トランス酸含量の油脂の結晶性に合わせることで、高トランス酸含量の油脂に特有の風味、例えばコク味とボディー感なども得られる。

0024

油脂組成物の0℃、5℃等温時のアブラミ指数がこの範囲外であると、主にツヤ、甘味、コク味、ボディー感、耐荷重性が低下する傾向がある。油脂組成物の10℃、15℃等温時のアブラミ指数がこの範囲外であると、主に硬さ特性、ツヤ、甘味が低下する傾向がある。

0025

そして本発明の油脂組成物は、油脂の構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸との比(不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸)を0.25〜0.55の範囲内としたことを第2の特徴としている。

0026

飽和/飽和脂肪酸の比率をこの範囲内にすると、アブラミ指数を前記の範囲内としたことと相俟って、さらにホイップ後の硬さ特性、外観が良好になる。特に、モドリがなく適度なシマリのあるホイップクリームが得られ、サンド用クリームなどに必要な耐荷重性が向上する。

0027

さらに、後述のように、糖質としてDE値が5〜30でかつ50%水溶液の20℃での粘度が50〜500cPの範囲内であるデキストリンを組み合わせて配合すると、油脂組成を前記のようにしたことと相俟って、トランス酸含有量が少なくても、硬さ特性、耐荷重性を損なうことなく高トランス酸含量油脂と同等の甘味、コク味、ボディー感等の風味が得られる。

0028

以下に、油脂の結晶性とアブラミ指数に着目して本発明に至った経緯を説明する。

0029

ホイップクリーム用油脂に求められる特性、例えば、製造過程から保管時における乳化安定性、ホイップ後の風味、硬さ特性、外観などは、油脂の結晶量、核形成結晶成長様式などの、油脂の結晶性と密接に関連している。また、ホイップ時においては、適度な結晶量が存在することが重要であり、結晶量が多過ぎるとホイップ終点が早くなってしまい、少な過ぎてもホイップしにくくなってしまう。このような点から、従来ホイップクリームに多用されてきた高トランス酸含量のナタネ硬化油を主成分とする油脂の結晶性に合わせることで、起泡性水中油型乳化組成物の製造時やそれ以降の粗大結晶の生成を抑えるとともに、これらの各特性について同等の性質を得ることを目的とし検討を行った。

0030

より具体的には、高トランス酸含量ホイップクリームの油脂と同様の結晶性の傾向を示すものであれば、トランス酸含量を低減化させても、高トランス酸含量ホイップクリームと同等の物性、風味等を持ち合わせた油脂組成物が得られるのではないかという点に着目し、高トランス酸含量ホイップクリームの油脂のアブラミ指数を求め、その数値に近い配合をトランス酸含量を低減化させた油脂組成で検討した。

0031

Avramiモデルによるアブラミ指数(n値)は、時間と結晶量の関係式より算出され、核形成や結晶成長様式を予測することができる。このn値の傾向から油脂の結晶性を従来のホイップクリーム用油脂である高トランス酸含量の油脂に合わせることを検討した。

0032

油脂の結晶化のプロセスは、核形成と結晶成長から成っている。まず、核形成が起こり、融液中から結晶核が発生する。核形成様式には、均一核形成不均一核形成との二つがあるが、結晶化進行中に常に一定の頻度で核形成が行われるものは均一核形成、結晶化開始直後に不純物等の表面に核が生成し、その後は増加しないものは不均一核形成と呼ばれている。核形成の後、発生した結晶が分子を取り込んで結晶が成長していく。

0033

このような油脂の結晶化プロセスを把握するため、DSC示差走査熱量)測定によって冷却時や等温時の結晶化に伴う発熱量を測定し、結晶量を把握すると共に、偏光顕微鏡による顕微鏡観察を行い、冷却時や等温時における結晶の形を観察した。等温結晶化解析は、等温条件下で生成した結晶量と時間の関係から結晶化メカニズムの知見を得る手法であり、元来、金属やポリマーなどの等温結晶化挙動の評価に使用されていた手法で、油脂に応用されている例もある(JAOCS,Vol.56,no.8 (1979),J.Oleo Sci. 56, (5) 223-230 (2007) JAOCS, Vol. 77, no. 3 (2000) JAOCS, Vol. 82, no. 7 (2005))。試料の融点よりも十分に高い温度で溶解させた状態から設定した温度まで急冷し、その後その温度を一定に保って、試料からの発熱を観測する。等温中に生成する結晶を評価するため、冷却中に結晶化が進行しない程度まで、冷却速度を大きくする。この等温結晶化解析を用いて、Avramiモデルに当てはめ、結晶性を数値から判断した。Avrami式は次の通りである。

0034

1-C=exp(-ktn)

0035

ここでCは結晶化分率、tは結晶化時間、nはアブラミ指数、kは結晶化速度定数を示す。

0036

このn値から、結晶成長様式を予測することができ、実験結果より求められたCとtから、n値を求めることができる。n値を求めるには、式を次のように変形し、左辺縦軸、結晶化時間の対数横軸とした座標プロットすると直線関係が得られる。

0037

ln[-ln(1-C)]=n ln t + ln k

0038

この直線の傾きがn値となる。

0039

結晶成長の次元としては、棒状の結晶が長さ方向のみに成長する場合には一次元、板状結晶が厚さを一定に保ったまま成長する場合は二次元、結晶が全ての方向に成長する場合は三次元となる。n値の評価としては、結晶核のでき方とも関係しており、例えば、n値が4であると、結晶核のでき方が均一核形成のとき、結晶成長の次元は三次元になる。またn値が3であると、結晶核のでき方が不均一核形成の場合結晶成長の次元は三次元となり、結晶核のでき方が均一核形成の場合結晶成長の次元は二次元となる。結晶成長が三次元であるものは、粗大結晶を生成する可能性が高いと考えられる。結晶成長の次元および結晶核のでき方とn値との関係を表1に示した。

0040

0041

ホイップクリーム用油脂の結晶化挙動の評価という点から、起泡性水中油型乳化組成物の製造、ホイップ、流通関与する温度帯として、等温温度を0、5、10、15℃とした。5℃付近まで冷却すると、冷却中に発生するピークと等温中に発生するピークに分けられる。製造工程を想定すると、冷却過程に結晶化するものと、冷却過程よりも遅れて、エージング中に結晶化するものということになる。結晶成長に関与するであろう、冷却過程より少し遅れて発生するピークに着目して検討を行った。

0042

解析の手順については、横軸が時間、縦軸が熱量(等温時の発熱量)のグラフベースラインから、まっすぐ線を引いて囲まれたピークの面積を全結晶量とした。データの信頼性を上げるため、ピークの両端部分は含めないようにし、全結晶量の15〜65%までを用いて解析を行った。ラウリン系油脂のパーム核油、ヤシ油は、0℃、5℃などの低い温度でのn値が大きく、ラウリン系硬化油では、ヤシ硬化油はn値が比較的小さくパーム核硬化油はそれに比べるとn値が比較的大きかった。ナタネ硬化油では、どの温度でも、n値が小さかった。

0043

混合油の評価を行ったところ、ラウリン系油脂とパーム由来の油脂を混合すると、n値の減少が見られ、ラウリン系硬化油とパーム中融点分別硬化油を混合した時が特に顕著であった。

0044

以上のような、高トランス酸含量ホイップクリームの油脂のアブラミ指数と、低トランス酸含量油脂のアブラミ指数の検討に基づいて、ホイップクリームに求められる特性と、トランス酸含量が少ないことを前提に油脂を選択する必要性も考慮し、ラウリン系硬化油やパーム由来の硬化油などの部分硬化油を含む複数の油脂を組み合わせることを検討した。各油脂の特徴を考慮しながら組み合わせ、同様の試験を行いホイップクリームに適した油脂配合の傾向を模索し、高トランス酸含量油脂と結晶性の傾向が同じとなるアブラミ指数を見出し、そのアブラミ指数と同じとなる油脂比率をベースにクリームの物性、風味等を高トランス酸含量のホイップクリームに近づけた。これに加えて、油脂中の不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸との比を所定の範囲内とすることで、シマリなども抑制し、ナタネ硬化油と同等の物性が得られることを見出した。

0045

本発明の油脂組成物は、部分硬化油を含有し、部分硬化油と共に水素添加しない油脂を併用することができる。なお、トランス酸は動脈硬化症リスクを増加させると言われており、健康への影響が懸念される点から、本発明の油脂組成物は、全構成脂肪酸中のトランス酸含量が10%以下、好ましくは1.0〜10%、より好ましくは2.0%〜6.5%となるように調整される。

0046

ここで、部分硬化油としては、ラウリン系硬化油、パーム由来の硬化油などを用いることができる。勿論、その他の動植物油脂の硬化油を用いることもできる。

0047

本発明に使用されるラウリン系硬化油は、ラウリン系油脂の硬化油である。ここでラウリン系油脂は、構成脂肪酸にラウリン酸、すなわち炭素数12の飽和型脂肪酸を多く含有する油脂である。ラウリン系油脂の構成脂肪酸中におけるラウリン酸の含有量は、通常35%以上、好ましくは40%以上である。ラウリン系油脂としては、ヤシ油、パーム核油などが挙げられる。

0048

ラウリン系硬化油としては、パーム核硬化油、ヤシ硬化油などが挙げられる。これらの中でも、ホイップ後のクリームのシマリが軽減される点を考慮すると、パーム核硬化油が好ましい。

0049

ラウリン系硬化油は、融点が30〜40℃の範囲内のものが好ましい。

0050

本発明に部分硬化油として使用されるパーム由来の硬化油は、パーム由来の油脂の一部の不飽和脂肪酸に水素添加を行った硬化油である。ここでパーム由来の油脂としては、パーム油やパーム油の分別油を用いることができる。パーム油の分別油としては、パーム油の1段分別油であるパーム分別軟質油パームオレイン)、パームオレインを分別した分別油(2段分別油)であるパーム中融点分別油、およびこれらのエステル交換油などが挙げられる。中でも、硬さ特性が向上する点を考慮すると、エステル交換油が好ましい。分別処理の方法は、特に限定されないが、ドライ分別、乳化分別、および溶剤分別等により行うことができる。エステル交換処理の方法は、特に限定されないが、公知の方法、例えば、ナトリウムメトキシドなどの合成触媒を使用した化学的エステル交換や、リパーゼ触媒とした酵素的エステル交換によって行うことができる。

0051

パーム由来の硬化油として、パーム硬化油、パーム分別軟質硬化油、パーム中融点分別硬化油などが挙げられる。中でも、パーム中融点分別硬化油は、コク味やボディー感を向上させることができる点で好ましく、パーム分別軟質硬化油は甘味を向上させることができる点で好ましい。

0052

パーム分別軟質硬化油やパーム中融点分別硬化油などのパーム分別硬化油は、他の油脂と組み合わせた結晶性に基づいて従来の高トランス酸含量の油脂を用いたホイップクリームと同等の風味、硬さ特性を達成することを考慮すると、硬化前と硬化後のヨウ素価の差は3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。

0053

本発明の油脂組成物における部分硬化油の含有量は、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。

0054

本発明の油脂組成物の好ましい一例では、部分硬化油として、ラウリン系硬化油、特にパーム核硬化油を含有する。ラウリン系硬化油を主体に配合を組み、配合する各油脂の主な特性と、パーム核硬化油との交互作用とを考慮しながら油脂組成を決定することが望ましい。

0055

(i)ラウリン系硬化油を配合する場合、好ましい一例では、ラウリン系硬化油(特にパーム核硬化油)を油脂全量に対して20〜70質量%含有する。

0056

(i-1) その中でも、ラウリン系硬化油と共にパーム由来の硬化油を含有することが好ましい。この場合、パーム由来の硬化油の含有量は、25〜60質量%が好ましい。

0057

(i-1-1) 好ましい一例では、ラウリン系硬化油と共に、パーム由来の硬化油としてパーム中融点分別硬化油を使用する。ラウリン系硬化油と共にパーム中融点分別硬化油を使用すると、高トランス酸含量ホイップクリーム用油脂に近い結晶化挙動を示す。ラウリン系硬化油とパーム中融点分別硬化油の比率は、質量比で50:50〜85:15が好ましく、より好ましくは、75:25〜83:17である。ラウリン系硬化油とパーム中融点分別硬化油の合計量に対してラウリン系硬化油の割合を適度に高めることで、15〜20℃付近のSFC極端に低下することを抑制し、良好な耐荷重性が得られる。ラウリン系硬化油とパーム中融点分別硬化油の合計量に対してパーム中融点分別硬化油の割合を適度に高めることで、ホイップクリームが硬くなり過ぎることを抑制し、良好な風味が得られる。

0058

さらに、ラウリン系硬化油とパーム中融点分別硬化油を上記の比率で用いると共に、パーム軟質硬化油を併用すると、5℃のSFCが低下し、最初に感じる甘味を向上させることができる。

0059

(i-1-2) また、好ましい別の例では、ラウリン系硬化油およびパーム由来の硬化油と共に、前述の水素添加しない油脂として、ラウリン系油脂およびパーム由来の油脂から選ばれる少なくとも1種の油脂を併用する。

0060

ここでラウリン系油脂およびパーム由来の油脂としては、パーム核油、パーム分別軟質エステル交換油、パーム中融点分別油が好ましい。

0061

中でもパーム分別軟質エステル交換油を使用すると、ホイップ後のシマリを軽減し、外観も良いホイップクリームを得ることができる。

0062

以上において、ラウリン系硬化油やパーム由来の硬化油などの部分硬化油と組み合わせて配合される、前述の水素添加しない油脂としては、上記のようにラウリン系油脂、パーム由来の油脂などを用いることができるが、勿論、その他の動植物油脂を用いることもできる。

0063

本発明の油脂組成物において好適な配合の具体的な幾つかの例を示すと次の通りである。

0064

ラウリン系硬化油(中でもパーム核硬化油)、パーム分別軟質硬化油、パーム中融点分別硬化油、パーム分別軟質エステル交換油を含有しその合計が油脂全量に対して90質量%以上、その内訳がラウリン系硬化油35〜70質量%、パーム分別軟質硬化油8〜30質量%、パーム中融点分別硬化油10〜25質量%、パーム分別軟質エステル交換油5〜20質量%
ラウリン系硬化油(中でもパーム核硬化油)、パーム分別軟質硬化油、パーム中融点分別硬化油、パーム中融点分別油を含有しその合計が油脂全量に対して90質量%以上、その内訳がラウリン系硬化油25〜45質量%、パーム分別軟質硬化油20〜35質量%、パーム中融点分別硬化油20〜35質量%、パーム中融点分別油3〜10質量%
ラウリン系硬化油(中でもパーム核硬化油)、パーム分別軟質エステル交換油、パーム中融点分別硬化油を含有しその合計が油脂全量に対して90質量%以上、その内訳がラウリン系硬化油60〜75質量%、パーム分別軟質エステル交換油3〜10質量%、パーム中融点分別硬化油25〜35質量%
ラウリン系硬化油(中でもパーム核硬化油)、パーム核油、パーム分別軟質硬化油、パーム中融点分別油を含有しその合計が油脂全量に対して90質量%以上、その内訳がラウリン系硬化油10〜20質量%、パーム核油30〜40質量%、パーム分別軟質硬化油10〜30質量%、パーム中融点分別油10〜30質量%
そして、本発明の油脂組成物は、以上のような油脂組成において、油脂の構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸との比(不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸)を0.25〜0.55の範囲内にすると、アブラミ指数を前記の範囲内としたことと相俟って、さらにホイップ後の硬さ特性が良好になり、その結果として、高トランス酸含量クリームと同等の風味、耐荷重性、外観の組成物を得ることができる。不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸との比(不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸)が、0.25未満であると、ホイップ後のシマリが強くなり過ぎ、良好な風味が得られなくなり、0.55を超えると、耐荷重性が低下する虞がある。より好ましい比は、0.35〜0.50である。ラウリン系硬化油とラウリン系油脂は、ラウリン酸(例えば40〜55%)が主成分であり、パーム由来の硬化油とパーム由来の油脂は、パルミチン酸(例えば40〜55%)とオレイン酸(例えば35〜45%)が主成分となっている。これらを適宜に組み合わせることによって、油脂の不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比率を調整することができる。

0065

本発明の油脂組成物の5℃における固体脂含量は、甘味がより強くなる点から、65〜85%が好ましく、70〜80%がより好ましい。固体脂含量が65%以上であると、耐荷重性を向上させることができ、85%以下であると、甘味を強めることができる。

0066

本発明の油脂組成物の35℃における固体脂含量は、耐荷重性がより向上し、風味(コク味、ボディー感)がより強くなる点から、1〜7%が好ましく、1〜4%がより好ましい。固体脂含量が1%以上であると、耐荷重性、風味(コク味、ボディー感)を向上させることができ、7%以下であると、果物等と一緒にサンドされた時、ホイップクリームだけが最後に口の中に残ってしまい、食感として物足りないものになることを防止できる。

0067

本発明の油脂組成物は、これを水に乳化することによって起泡性水中油型乳化油脂組成物を調製することができる。この本発明の起泡性水中油型乳化組成物における油脂(本発明の油脂組成物)の含有量は、風味、硬さ特性などを考慮すると、全量に対して20〜50質量%が好ましく、30〜40質量%がより好ましい。油脂の含有量が、20質量%以上であると、サンド用ホイップクリームとしての満足のいく風味が得られ、50質量%以下であると、食感が重くなりすぎることを防止できる。

0068

本発明の起泡性水中油型乳化組成物は、糖質としてDE値が5〜30でかつ50%水溶液の20℃での粘度が50〜500cPの範囲内であるデキストリンを含有することが好ましい。これを配合すると、油脂組成を前記のようにしたことと相俟って、トランス酸含有量が少なくても、耐荷重性を損なうことなく高トランス酸含量油脂と同等の甘味、コク味、ボディー感等の風味が得られる。本発明に使用されるデキストリンのDE値のより好ましい範囲は、7〜25、さらに好ましい範囲は、15〜25である。DE値が5未満であると、起泡性水中油型乳化組成物の粘度が高くなり過ぎ、最初に感じる甘味が弱くなる虞がある。また、DE値が30を超えると、起泡性水中油型乳化物の粘度が低くなるため、耐荷重性が低下したり、最初に感じる甘味が弱くなる虞がある。また、粘度のより好ましい範囲は、60〜300cP、さらに好ましい範囲は、100〜200cPである。粘度が100〜200cPであると、特に硬さ特性、耐荷重性、甘味、ボディー感を向上させることができる。粘度が50cP未満であると、起泡性水中油型乳化組成物の粘度が低くなり過ぎ、耐荷重性が低下したり、最初に感じる甘味が弱くなる虞がある。粘度が500cPを超えると、起泡性水中油型乳化組成物の粘度が高くなり過ぎ、最初に感じる甘味が弱くなる虞がある。また、甘味を向上させる効果が強い点から、分子量分布が広いデキストリンがより好ましい。

0069

本発明に使用されるデキストリンは、澱粉を化学的または酵素的方法により低分子化した澱粉部分加水分解物であり、市販品などを使用できる。この澱粉の原料としては、コーンキャッサバ、米、馬鈴薯甘藷小麦などを挙げることができる。

0070

なお、デキストリンの粘度は、20℃において、50%水溶液(加熱溶解し、放冷水分調整)をB型粘度計(BH型)、No.1ローター、20rpm、30秒の条件で測定した値である。

0071

DE値(Dextrose Equivalent)とはデキストリンの構成単位であるグルコース残基鎖長指標となるものであり、デキストリン中の還元糖の含有量(%)を示す値である。値が大きいほどデキストリンの鎖長は短くなる。

0072

本発明の起泡性水中油型乳化組成物における前記のデキストリンの含有量は、風味、耐荷重性等の点から、組成物全量に対して好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜4質量%である。

0073

本発明の起泡性水中油型乳化組成物は、以上の各成分以外に、乳化剤が配合される。乳化剤としては、特に限定されないが、ホイップ前の組成物の乳化安定性、ホイップ時には迅速にクリーム中の脂肪を凝集させて部分的に乳化状態破壊させ、かつ解乳化させた状態を長時間維持する点、クリームの食感などの点を考慮すると、ホスファチジルコリンホスファチジルエタノールアミンホスファチジルイノシトールホスファチジン酸ホスファチジルセリンなどのリン脂質が主成分であるレシチンに、ショ糖脂肪酸エステルモノグリセリン飽和脂肪酸エステル、モノグリセリン不飽和脂肪酸エステルなどを組み合わせて使用することが好ましい。本発明の起泡性水中油型乳化組成物における乳化剤の含有量は、組成物全量に対して0.2〜1.0質量%が好ましい。

0074

本発明の起泡性水中油型乳化組成物は、以上の油脂成分と乳化剤と水以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、その他の成分を配合することができる。このようなその他の成分(ここではデキストリンは含めない。)としては、脱脂粉乳等の無脂乳固形分や、増粘多糖類リン酸塩等の塩類など、その他、起泡性水中油型乳化組成物に通常使用される各種の食品素材食品添加物などが挙げられる。これらのその他の成分の配合量は、起泡性水中油型乳化組成物の全量に対して合計で0.1〜5質量%が好ましい。

0075

本発明の起泡性水中油型乳化組成物は、例えば、次の手順で製造することができる。

0076

まず油分、乳化剤、水などの各成分を混合して乳化する。乳化にはホモミキサーなどを用いることができる。乳化剤のレシチンは水相、油相のいずれに添加してもよいが、油相に添加しておくことが好ましい。また、無脂乳固形分や塩類等を用いる場合、これらは予め水に溶解して用いる。乳化は、油相については配合油脂が完全に溶解する温度に加温し、水相については混合後の油相が温度低下を起こさない温度に加温し、油相と水相を混合し、例えば60〜70℃で行うことができる。

0077

乳化した後、均質化を行う。均質化は、高圧ホモジナイザーを用いて、従来より起泡性水中油型乳化組成物の製造に用いられている圧力等の条件を適宜に設定して行うことができる。この均質化の工程において油滴のメディアン径を調整することができる。また均質化の前後の工程として、殺菌または滅菌処理をすることができる。

0078

そして、均質化後の乳化物を冷却することにより、本発明の起泡性水中油型乳化組成物を製造することができる。冷却は、短時間で目的の温度まで冷却できる設備を用いて行うことが好ましく、このような設備としては、例えば、プレート式熱交換器チューブ式熱交換器、掻き取り式熱交換器などを挙げることができ、このような設備を用いて短時間で1〜7℃の温度範囲まで冷却することが好ましい。このような温度範囲であると、シマリを抑制し、かつ製品の粘度増加も抑制できる。冷却後、冷蔵下で攪拌し、タンク中で冷却温度にて例えば1〜2日程放置し安定化させる(エージング)。その後、充填され、製品となる。

0079

本発明の起泡性水中油型乳化組成物を、泡立器具、または専用のミキサーを用いて空気を抱き込ませるように攪拌することによって、起泡状態を呈するホイップクリームを製造することができる。なお、ホイップする際に、グラニュー糖砂糖液糖などの糖類や、アルコール類香料、増粘安定剤、生クリームなどを添加してもよい。

0080

このようにして得られたホイップクリームは、食品の各種用途に使用することができるが、風味(甘味、コク味、ボディー感)、硬さ特性(シマリ、モドリ)、外観(ツヤ、耐荷重性)がいずれも良いことからサンド用クリームに好適である。サンド用クリームとしては、食品(パンパイシューデニッシュスポンジケーキ和菓子など)の内側に包含するクリーム、クッキービスケットなどに挟持されるクリームが挙げられる。食品の内側に包含する際に、果物等と一緒に包含することもできる。

0081

以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表2に示す各成分の配合量は含有率(質量%)を示す。

0082

起泡性水中油型乳化組成物に使用する油脂組成物について、次の測定を行った。測定結果を表2に示す。
[アブラミ指数]
表2に示す組成で調合した油脂組成物をアルミパンに3mg量りとり、アルミのフタを載せたサンプルを、パーキンエルマー社製のDSC(Pyris1)にて、80℃で3分間保持後、−130℃/分で冷却し、各温度0、5、10、15℃で15分間保持し、結晶化ピークからアブラミ指数を求めた。3回測定し、その平均値をアブラミ指数とした。
[SFC]
表2に示す組成で調合した油脂組成物を、基準油脂分析試験法(2.2.9-2003)固体脂含量(NMR法)に従って測定した。

0083

表2に示す配合で、油脂組成物に乳化剤のレシチンとモノグリセリン飽和脂肪酸エステルとモノグリセリン不飽和脂肪酸エステルを添加し油相とした。一方、水に乳化剤のショ糖脂肪酸エステル、脱脂粉乳、デキストリン、カゼインナトリウムリン酸ナトリウム、および増粘多糖類を添加し水相とした。

0084

なお、デキストリンは次のものを使用した。デキストリンの粘度は50%水溶液(加熱溶解し、放冷後水分調整)の粘度(20℃)をB型粘度計(BH型、No.1ローター、20rpm、30秒)で測定した。
デキストリンA 粘度133(cP)、DE値20
デキストリンB 粘度443(cP)、DE値 8
デキストリンC 粘度64(cP)、DE値 23
水相と油相を60℃に加温し、水相に油相を添加し攪拌して乳化した後、高温(約140℃)で殺菌し、高圧ホモジナイザーで最終的な起泡性水中油型乳化組成物の油滴のメディアン径が0.8〜1.2μmとなるように均質化した。

0085

さらに5℃に急冷し、5℃で48時間冷蔵保管した。

0086

その後、20コートボウルにこの起泡性水中油型乳化組成物4kgとグラニュー糖520gを入れ、中高速条件でホイップした。

0087

起泡性水中油型乳化組成物を起泡して得たホイップクリームについて次の測定および評価を行った。測定および評価結果を表2に示す。
[硬さ測定]
ホイップして得たクリームを、プラスチックカップに詰め、直後の硬さと15℃で30分間保持した後の硬さを、プランジャーに直径25mmの球を用いたレオメーターにより、測定速度50mm/分、定深度20mmの条件で定深度測定を行って求めた。測定値は、一の位を四捨五入し、硬さとした。30分後−直後の硬さを計算し、以下の基準により硬さ特性(シマリ・モドリ)を評価した。
◎:30分後−直後の硬さが10g以上30g未満
○:30分後−直後の硬さが30g以上40g以下
△:30分後−直後の硬さの差が0g以上10g未満
×:30分後−直後の硬さの差が0g未満、40g超
[ツヤの評価]
ホイップして得たクリームのツヤを、目視で、以下の基準で判定した。
◎:十分にツヤがあり、見た目なめらかさがある。
○:ツヤはあるが、わずかに荒れが認められる。
△:ツヤは少なく、荒れが目立つ。
×:ツヤはほとんどなく、著しく荒れている。
[耐荷重性]
プラスチックカップに1cmの厚さのスポンジケーキを敷き、その上に起泡性水中油型乳化組成物をホイップして得たクリームを2cmの厚さで載せ、その上にプラスチック板および30gの重りを載せて、10℃で24時間保持した後のスポンジケーキへの水分の染み出しを以下の基準で評価した。
◎:水分の染み出しが全く認められない。
○:わずかに水分の染み出しが認められる。
△:水分の染み出しが容易に確認できる。
×:水分の著しい染み出しが認められた。
[風味]
ホイップして得たクリームをパネラー10名に試食してもらい、最初に感じる甘味、最後に残るコク味とボディー感のそれぞれについて、特に強いを5点、やや強いを4点、やや弱いを3点、弱いを2点、全く感じないを1点として評価を行い、以下の基準で判定した。
◎:平均点が4点以上
○:平均点が3点以上4点未満
△:平均点が2点以上3点未満
×:平均点が2点未満

0088

実施例

0089

油脂の0℃、5℃等温時のアブラミ指数を1.4〜2.6の範囲内、10℃、15℃等温時のアブラミ指数を2.0〜3.1の範囲内とし、かつ油脂の構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸との比を0.25〜0.55の範囲内とした実施例1〜10の起泡性水中油型乳化組成物は、まず製造時においては、全体を通しては乳化安定性が良好で、油滴の凝集や合一、粗大結晶の生成といった問題の発生はなかった。そして表2より、従来のホイップクリームに準じた参考例1の高トランス酸含量ホイップクリームと同等の風味、硬さ特性、外観を得ることができた。また、糖質として特定のデキストリンを組み合わせて配合すると、耐荷重性を損なうことなく甘味等の良いホイップクリームが得られた。一方、アブラミ指数と不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸の比の少なくともいずれかが前記の範囲外である比較例1〜7は、いずれかの評価項目において顕著な低下が見られた。

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