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課題

ドライバー細胞膜タンパク質に結合する第1結合ドメイン、および標的細胞膜タンパク質に結合する第2結合ドメインを含む二重結合分子を含む標的細胞膜タンパク質除去用組成物、前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物を有効成分として含む抗癌組成物、並びに前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物を用いた細胞膜タンパク質の除去方法を提供する。

解決手段

本発明による標的細胞膜タンパク質除去用組成物は、ドライバー細胞膜タンパク質に結合する第1結合ドメイン、および標的細胞膜タンパク質に結合する第2結合ドメインを含む二重結合分子を含み、前記ドライバー細胞膜タンパク質は、前記標的細胞膜タンパク質と同一の細胞細胞膜に位置し、前記第1ドメインが結合したときに細胞内に移動して分解される。

概要

背景

細胞膜タンパク質(Membrane Protein)は、細胞膜に存在するタンパク質を意味し、それぞれ特異的な機能を有している。これら細胞膜タンパク質の正確な機能に対する研究は、主にsiRNAを用いたタンパク質の発現阻害によって行われている。しかし、このようなsiRNAを用いたタンパク質の発現阻害による方法によると、細胞膜上におけるタンパク質の正確な機能の究明には限界がある。

細胞膜タンパク質の機能の判別のためのより有利な方法は、これら膜タンパク質が正常に発現して正常に細胞膜に配置された後にこれらを除去するものである。例えば細胞膜タンパク質の中で癌細胞と関連したものとしてよく知られている58種の受容体チロシンキナーゼ(Receptor tyrosine kinase;RTK)は、ある程度共通する構造を有している。これらRTKタンパク質は、リガンドの結合の有無によりホモ二量体(homodimer)またはヘテロ二量体(heterodimer)を形成し、シグナル伝達関与する多様な細胞膜または細胞内タンパク質との相互作用を通じて細胞増殖分化、移動、生存接着、代謝などの多様な活性に関与している。つまり、細胞膜タンパク質の機能は、細胞膜タンパク質が正常に発現し、また正常に細胞膜に配置されて細胞外部の信号を細胞内部に伝達できてこそ、正常に発揮されることになる。

細胞膜タンパク質は、細胞膜に存在しながら細胞内の位置に応じてそれぞれの特異的な機能を有しているため、これらの正確な機能に対する研究は主にsiRNAを用いたタンパク質の発現阻害によって行われているが、上述したように、細胞膜上における正確な機能の究明には限界がある。細胞膜タンパク質の機能の判別のためのより好適な方法として、これらの膜タンパク質が正常に発現して正常に細胞膜に配置された後にこれらを除去できる技術の開発が好ましい。特に細胞膜(plasma membrane)上で特定の細胞膜タンパク質の除去が可能になれば、これはsiRNA技術のように汎用化した膜タンパク質の除去(Membrane Protein depletion)方法を提供できると考えられる。

したがって、RTKタンパク質をはじめとした多様な細胞膜タンパク質の正確な機能分析および効果的な抑制のために、正常に発現および細胞膜に配置された細胞膜タンパク質を除去する技術の開発が求められている。

概要

ドライバー細胞膜タンパク質に結合する第1結合ドメイン、および標的細胞膜タンパク質に結合する第2結合ドメインを含む二重結合分子を含む標的細胞膜タンパク質除去用組成物、前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物を有効成分として含む抗癌組成物、並びに前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物を用いた細胞膜タンパク質の除去方法を提供する。本発明による標的細胞膜タンパク質除去用組成物は、ドライバー細胞膜タンパク質に結合する第1結合ドメイン、および標的細胞膜タンパク質に結合する第2結合ドメインを含む二重結合分子を含み、前記ドライバー細胞膜タンパク質は、前記標的細胞膜タンパク質と同一の細胞の細胞膜に位置し、前記第1ドメインが結合したときに細胞内に移動して分解される。

目的

本発明の一形態は、ドライバー細胞膜タンパク質に結合する第1結合ドメイン、および標的細胞膜タンパク質に結合する第2結合ドメインを含む二重結合分子を含む標的細胞膜タンパク質除去用組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ドライバー細胞膜タンパク質に結合する第1結合ドメイン、および標的細胞膜タンパク質に結合する第2結合ドメインを含む二重結合分子を含み、前記ドライバー細胞膜タンパク質は、前記標的細胞膜タンパク質と同一の細胞細胞膜に位置し、前記第1ドメインが結合したときに細胞内に移動して分解されるものである、標的細胞膜タンパク質除去用組成物

請求項2

前記ドライバー細胞膜タンパク質および前記標的細胞膜タンパク質は、それぞれ独立して、リガンド、抗体、抗体以外のタンパク質またはペプチドの結合によって細胞内在化が誘発される受容体チャネルタンパク質、細胞膜酵素リポタンパク質インテグリン、および細胞表面マーカーからなる群より選ばれたものである、請求項1に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項3

前記ドライバー細胞膜タンパク質および前記標的細胞膜タンパク質は、それぞれ独立して、受容体チロシンキナーゼ、G−タンパク質共役型受容体トランスフェリン受容体低密度リポタンパク質受容体、表面分化抗原類および抗体医薬複合体からなる群より選ばれたものである、請求項2に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項4

前記標的細胞膜タンパク質は、上皮細胞成長因子受容体、血管内皮細胞成長因子受容体HER2タンパク質、HER3タンパク質、血小板由来成長因子受容体、CD9、CD81、CD151、CD63、CD37、CD53、NET1、NET2、NET4、NET5、NET6、TM4SF6、Tspan2、Tspan3、TM4B、CD22、CD79b、CD22、GPNMB、CD19、CD56、CD138、PSMA、EGFR、CD74、TACSTD2、CEA、Folatereceptor1、CD37、Mucin16、ETB、STEAP1、CD70、SLC44A4、Nectin4、AGS−16、GuanylylcyclaseC、Mucin1、EGFRvIII、およびMesothelinからなる群より選ばれたものである、請求項3に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項5

前記ドライバー細胞膜タンパク質は、c−Metタンパク質、c−Metタンパク質変異体、上皮細胞成長因子受容体、HER2、HER3、血小板由来成長因子受容体、血管内皮細胞成長因子受容体、インシュリン様成長因子1受容体、エフリン受容体、トランスフェリン受容体、低密度リポタンパク質受容体、CD11a、CD20、CD3、CD33、CD44、CD59、CD73、CD152(CTLA4)、およびNTRK2、CD9、CD81、CD151、CD63、CD37、CD53、NET1、NET2、NET4、NET5、NET6、TM4SF6、Tspan2、Tspan3、TM4B、CD22、CD79b、CD22、GPNMB、CD19、CD56、CD138、PSMA、EGFR、CD74、TACSTD2、CEA、Folatereceptor1、CD37、Mucin16、ETB、STEAP1、CD70、SLC44A4、Nectin4、AGS−16、GuanylylcyclaseC、Mucin1、EGFRvIII、およびMesothelinからなる群より選ばれたものである、請求項3に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項6

前記第1結合ドメインは、前記ドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体またはその抗原結合断片であり、前記第2結合ドメインは、前記標的細胞膜タンパク質に対する抗体またはその抗原結合断片であり、前記二重結合分子は、前記ドライバー細胞膜タンパク質および前記標的細胞膜タンパク質に対する二重特異性抗体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項7

前記ドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体またはその抗原結合断片は、抗c−Met抗体またはその抗原結合断片である、請求項6に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項8

前記抗c−Met抗体は、c−Metタンパク質のSEMAドメイン(配列番号79)内の配列番号73のアミノ酸配列(EEPSQ)を含む連続する5個以上のアミノ酸からなるエピトープに特異的に結合する抗体である、請求項7に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項9

前記抗c−Met抗体は、配列番号71のアミノ酸配列内の配列番号73のアミノ酸配列(EEPSQ)を含む連続する5〜19個のアミノ酸からなるエピトープに特異的に結合する抗体である、請求項8に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項10

前記抗c−Met抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR−H1、配列番号5のアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列内の2番目から10番目までのアミノ酸を含む連続する8〜19個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有するCDR−H2、および配列番号6のアミノ酸配列、配列番号85のアミノ酸配列、または配列番号85のアミノ酸配列内の1番目から6番目までのアミノ酸を含む連続する6〜13個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有するCDR−H3からなる群より選ばれた一つ以上の重鎖相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域;並びに配列番号7のアミノ酸配列または配列番号86のアミノ酸配列を有するCDR−L1、配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR−L2、および配列番号9のアミノ酸配列、配列番号86のアミノ酸配列、または配列番号89のアミノ酸配列内の1番目から9番目までのアミノ酸を含む9〜17個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有するCDR−L3からなる群より選ばれた一つ以上の軽鎖相補性決定領域を含む軽鎖可変領域を含み、前記配列番号4〜配列番号9は、それぞれ、下記一般式I〜一般式VIで表されるアミノ酸配列である抗体である、請求項8に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物:前記一般式Iにおいて、Xaa1は、存在しないかまたはProもしくはSerであり、Xaa2は、GluまたはAspであり、前記一般式IIにおいて、Xaa3は、AsnまたはLysであり、Xaa4は、AlaまたはValであり、Xaa5は、AsnまたはThrであり、前記一般式IIIにおいて、Xaa6は、SerまたはThrであり、前記一般式IVにおいて、Xaa7は、His、Arg、GlnまたはLysであり、Xaa8は、SerまたはTrpであり、Xaa9は、HisまたはGlnであり、Xaa10は、LysまたはAsnであり、前記一般式Vにおいて、Xaa11は、AlaまたはGlyであり、Xaa12は、ThrまたはLysであり、Xaa13は、SerまたはProであり、前記一般式VIにおいて、Xaa14は、Gly、AlaまたはGlnであり、Xaa15は、Arg、His、Ser、Ala、GlyまたはLysであり、Xaa16は、Leu、Tyr、PheまたはMetである。

請求項11

前記CDR−H1は、配列番号1、配列番号22、配列番号23および配列番号24からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するものであり、前記CDR−H2は、配列番号2、配列番号25、および配列番号26からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するものであり、前記CDR−H3は、配列番号3、配列番号27、配列番号28、および配列番号85からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するものであり、前記CDR−L1は、配列番号10、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、および配列番号106からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するものであり、前記CDR−L2は、配列番号11、配列番号34、配列番号35、および配列番号36からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するものであり、前記CDR−L3は、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号37、配列番号86、および配列番号89からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するものである、請求項10に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項12

前記抗c−Met抗体は、配列番号1、配列番号22、配列番号23および配列番号24からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するポリペプチド(CDR−H1)、配列番号2、配列番号25、および配列番号26からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するポリペプチド(CDR−H2)、および配列番号3、配列番号27、配列番号28、および配列番号85からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するポリペプチド(CDR−H3)を含む重鎖可変領域;並びに配列番号10、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、および配列番号106からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するポリペプチド(CDR−L1)、配列番号11、配列番号34、配列番号35、および配列番号36からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するポリペプチド(CDR−L2)、および配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号37、配列番号86、および配列番号89からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するポリペプチド(CDR−L3)を含む軽鎖可変領域を含む抗体である、請求項11に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項13

前記抗c−Met抗体は、配列番号62、配列番号64、および配列番号66からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有する重鎖、並びに配列番号68、配列番号70、および配列番号108からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体である、請求項7に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項14

前記ドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体および前記標的細胞膜タンパク質に対する抗体は、それぞれ、マウス由来抗体、マウスヒトキメラ抗体またはヒト化抗体である、請求項6〜13のいずれか1項に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項15

前記二重特異性抗体は、前記ドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体、および前記ドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体のC末端に連結された標的細胞膜タンパク質に対する抗体のscFv、(scFv)2、Fab、Fab’、F(ab’)2、または抗体模倣体(antibodymimics)を含むものである、 請求項6〜13のいずれか1項に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項16

前記二重特異性抗体は、抗c−Met抗体、および前記抗c−Met抗体のC末端に連結された標的細胞膜タンパク質に対する抗体のscFv、(scFv)2、Fab、Fab’またはF(ab’)2、または抗体模倣体(antibodymimics)を含むものである、請求項15に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項17

前記標的細胞膜タンパク質に対する抗体は、抗EGFR抗体抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗VEGFR抗体、抗PDGFR抗体、およびIGF−1R抗体からなる群より選ばれたものである、請求項16に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項18

抗EGFR抗体は、セツキシマブ(Cetuximab)、パニツムマブ(Panitumumab)、マツズマブ(Matuzumab)、ネシツムマブ(Necitumumab)、ニモツズマブ(Nimotuzumab)、ザルツムマブ(Zalutumumab)、MM−151、または配列番号109もしくは配列番号111のアミノ酸配列からなる重鎖可変部位と、配列番号110もしくは配列番号112のアミノ酸配列からなる軽鎖可変部位とを含む抗体であり、前記抗HER2抗体は、トラスツズマブ(Trastuzumab)またはペルツズマブ(Pertuzumab)であり、前記抗HER3抗体は、RG−7597であり、前記抗VEGFR抗体は、ラムシルマブ(Ramucirumab)であり、前記抗PDGFR抗体は、オララツマブ(Olaratumab)であり、前記IGF−1R抗体は、シクスツムマブ(Cixutumumab)である、請求項17に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物。

請求項19

請求項1〜13のいずれか1項に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物を有効成分として含む癌の予防または治療用薬学的組成物

請求項20

請求項1〜13のいずれか1項に記載の標的細胞膜タンパク質除去用組成物を用いて生体から分離された細胞を処理する段階を含む、標的細胞膜タンパク質の除去方法

技術分野

0001

ドライバー細胞膜タンパク質に結合する第1結合ドメイン、および標的細胞膜タンパク質に結合する第2結合ドメインを含む二重結合分子を含む標的細胞膜タンパク質除去用組成物、前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物を有効性分として含む抗癌組成物、および前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物を用いた細胞膜タンパク質除去方法が提供される。

背景技術

0002

細胞膜タンパク質(Membrane Protein)は、細胞膜に存在するタンパク質を意味し、それぞれ特異的な機能を有している。これら細胞膜タンパク質の正確な機能に対する研究は、主にsiRNAを用いたタンパク質の発現阻害によって行われている。しかし、このようなsiRNAを用いたタンパク質の発現阻害による方法によると、細胞膜上におけるタンパク質の正確な機能の究明には限界がある。

0003

細胞膜タンパク質の機能の判別のためのより有利な方法は、これら膜タンパク質が正常に発現して正常に細胞膜に配置された後にこれらを除去するものである。例えば細胞膜タンパク質の中で癌細胞と関連したものとしてよく知られている58種の受容体チロシンキナーゼ(Receptor tyrosine kinase;RTK)は、ある程度共通する構造を有している。これらRTKタンパク質は、リガンドの結合の有無によりホモ二量体(homodimer)またはヘテロ二量体(heterodimer)を形成し、シグナル伝達関与する多様な細胞膜または細胞内タンパク質との相互作用を通じて細胞増殖分化、移動、生存接着、代謝などの多様な活性に関与している。つまり、細胞膜タンパク質の機能は、細胞膜タンパク質が正常に発現し、また正常に細胞膜に配置されて細胞外部の信号を細胞内部に伝達できてこそ、正常に発揮されることになる。

0004

細胞膜タンパク質は、細胞膜に存在しながら細胞内の位置に応じてそれぞれの特異的な機能を有しているため、これらの正確な機能に対する研究は主にsiRNAを用いたタンパク質の発現阻害によって行われているが、上述したように、細胞膜上における正確な機能の究明には限界がある。細胞膜タンパク質の機能の判別のためのより好適な方法として、これらの膜タンパク質が正常に発現して正常に細胞膜に配置された後にこれらを除去できる技術の開発が好ましい。特に細胞膜(plasma membrane)上で特定の細胞膜タンパク質の除去が可能になれば、これはsiRNA技術のように汎用化した膜タンパク質の除去(Membrane Protein depletion)方法を提供できると考えられる。

0005

したがって、RTKタンパク質をはじめとした多様な細胞膜タンパク質の正確な機能分析および効果的な抑制のために、正常に発現および細胞膜に配置された細胞膜タンパク質を除去する技術の開発が求められている。

0006

韓国公開特許第2011−0047698号公報

先行技術

0007

2013 Nature Reviews Drug Discovery 12:330

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の一形態は、ドライバー細胞膜タンパク質に結合する第1結合ドメイン、および標的細胞膜タンパク質に結合する第2結合ドメインを含む二重結合分子を含む標的細胞膜タンパク質除去用組成物を提供する。

0009

また、本発明の他の形態は、標的細胞膜タンパク質除去用組成物を有効成分として含む癌の予防および/または治療用組成物を提供する。

0010

さらに、本発明のさらに他の形態は、前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物を用い、生体から分離された細胞を処理する段階を含む標的細胞膜タンパク質の除去方法を提供する。

課題を解決するための手段

0011

本発明の一形態は、ドライバー(driver)細胞膜タンパク質に結合する第1結合ドメイン、および標的細胞膜タンパク質に結合する第2結合ドメインを含む二重結合分子を含む標的細胞膜タンパク質除去用組成物を提供する。

0012

前記ドライバー細胞膜タンパク質に結合する第1結合ドメインと標的細胞膜タンパク質に結合する第2結合ドメインとを含む二重結合分子は、細胞膜に位置する第1結合ドメインを通じてドライバー細胞膜タンパク質と結合する一方、第2結合ドメインを通じて細胞膜タンパク質にも同時に結合する。この際、ドライバー細胞膜タンパク質は、第1結合ドメインとの結合によって細胞内に移動するようになり、これによって前記二重結合分子とこれに結合した標的細胞膜タンパク質がともに細胞内に移動して、細胞内で分解が行われる(図1および図2参照)。

0013

図1は、本発明に係る細胞膜タンパク質除去技術の原理を模式的に示す。具体的に、図1は、標的の細胞膜タンパク質が細胞膜表面に存在する場合、この標的を認知すると同時に細胞膜上のドライバーと同時に結合して、除去しようとする標的の細胞膜タンパク質をともに細胞内移動(エンドイト—シス)させて分解することができる二重結合分子(trigger)を細胞外部から処理して細胞膜タンパク質を除去する様子を示す図である。

0014

図2は、本発明に係る標的特異的な細胞膜タンパク質除去技術の原理を模式的に示す。細胞膜上には様々な種類の細胞膜タンパク質が存在するが、二重結合分子(trigger)の特異性により他の細胞膜タンパク質には結合せず、標的しようとする特定の細胞膜タンパク質にのみ結合し、このタンパク質の細胞内移動(internalization)および分解(degradation)を誘発することができる。

0015

前記ドライバー(driver)細胞膜タンパク質は、上述したとおり、二重結合分子を通じて標的の細胞膜タンパク質を細胞内に移動させる役割を果たすことを表現するために本明細書で命名したものである。

0016

前記ドライバー細胞膜タンパク質は、細胞膜に位置するタンパク質であって、各種リガンド、抗体、または抗体以外のタンパク質(もしくはペプチド)の結合によって細胞内在化(internalization)が誘発される全てのタンパク質でありうる。前記標的細胞膜タンパク質は、細胞膜に位置するタンパク質であって、二重結合分子を通じて前記ドライバー細胞膜タンパク質と結合されると細胞内在化される全てのタンパク質でありうる。前記ドライバー細胞膜タンパク質と標的細胞膜タンパク質とは、それぞれ独立して、全ての受容体チャンネルタンパク質、細胞膜酵素(membrane enzymes)、リポタンパク質(lipoprotein)、インテグリン(integrin)、細胞表面の多様なマーカーなどからなる群より選ばれたものでありうる。具体的に、前記ドライバー細胞膜タンパク質および標的細胞膜タンパク質は、それぞれ独立して、各種リガンド、抗体、または抗体以外のタンパク質(もしくはペプチド)の結合によって細胞内在化(internalization)が誘発される受容体チロシンキナーゼ類(例えば、c−Metタンパク質、c−Metタンパク質変異体、EGFRHER2、HER3、VEGFR、IGF1R、ephrin receptors、FGFRなど)、インテグリン類、NMDA受容体、G−タンパク質共役型受容体(G−protein−coupled receptors;GPCR)、トランスフェリン受容体低密度リポタンパク質(Low−Density Lipoprotein;LDL)受容体、表面分化抗原類(cluster of differentiation;cluster of designation;CD)(例えば、CD11a、CD20、CD3、CD33、CD44、CD59、CD73、CD152(CTLA4)等)、NTRK2(neurotrophic tyrosine kinase)等)、細胞表面に存在する周辺膜タンパク質(peripheral Membrane Proteins)、テトラスパニン(tetraspanins;例えば、CD9、CD81、CD151、CD63、CD37、CD53、NET1、NET2、NET4、NET5、NET6、TM4SF6、Tspan2、Tspan3、TM4Bなど)、抗体結合によって細胞内在化が可能な抗体薬複合体(antibody drug conjugates;ADC)に対する細胞膜標的タンパク質(2013 Nature Reviews Drug Discovery 12:330参照)(例えば、CD22、CD 79b、CD22、GPNMB、CD19、CD56、CD138、PSMA、EGFR、CD74、TACSTD2、CEA、Folate receptor 1、CD37、Mucin16、ETB、STEAP1、CD70、SLC44A4、Nectin4、AGS−16、Guanylyl cyclase C、Mucin1、EGFRvIII、Mesothelin等)等からなる群より選択されうる。

0017

前記ドライバー細胞膜タンパク質は、細胞外ドメイン(extracellular domain)にリガンドまたは抗体が結合されると効率的に細胞内に移動する性質を有する全ての細胞膜タンパク質の中から選択されうる。前記ドライバー細胞膜タンパク質のうちの一部は、それ自体は細胞内移動を起こさないが、突然変異を通じてタンパク質にリガンドまたは抗体を処理した際に人為的に細胞内移動が誘発されうる細胞膜タンパク質に変形するものであってもよい。

0018

前記ドライバー細胞膜タンパク質は、前記標的細胞膜タンパク質と同一の細胞の細胞膜に位置するものであってもよいし、前記標的細胞膜タンパク質と同一の細胞の細胞膜に位置するように導入されたものであってもよい。前記ドライバー細胞膜タンパク質は、当該タンパク質に前記第1結合ドメインが結合したときに細胞内に移動し、その後に分解されるものでありうる。一例において、前記ドライバー細胞膜タンパク質は以下の群より選ばれた1種以上でありうる:
1)リガンド、抗体、抗体以外のタンパク質もしくはペプチドの結合によって細胞内在化(internalization)が誘発される全ての受容体チロシンキナーゼ類(Receptor tyrosine kinase;RTK)(例えば、c−Metタンパク質、c−Metタンパク質変異体(mutants)、上皮細胞成長因子受容体(epidermal growth factor receptor;EGFR;ErbB1)、HER2(Human Epidermal growth factor receptor 2 protein;ErbB2)、HER3(Human Epidermal growth factor receptor 3 protein;ErbB3)、血小板由来成長因子受容体(platelet−derived growth factor receptors;PDGFR)、血管内皮細胞成長因子受容体(vascular endothelial growth factors;VEGFR)、インシュリン様成長因子1受容体(Insulin−like Growth Factor 1 Receptor;IGF1R)、エフリン受容体(ephrin receptors)、繊維芽細胞成長因子受容体(fibroblast growth factor receptor;FGFR)等);
2)リガンド、抗体、抗体以外のタンパク質もしくはペプチドの結合によって細胞内在化が誘発される全ての受容体類(例えば、トランスフェリン受容体(transferrin receptors)、低密度リポタンパク質(Low−Density Lipoprotein;LDL)受容体、表面分化抗原類(cluster of differentiation;cluster of designation;CD)(例えば、CD11a、CD20、CD3、CD33、CD44、CD59、CD73、CD152(CTLA4)等)、NTRK2(neurotrophic tyrosine kinase)等);
3)テトラスパニン(tetraspanins;例えば、CD9、CD81、CD151、CD63、CD37、CD53、NET1、NET2、NET4、NET5、NET6、TM4SF6、Tspan2、Tspan3、TM4Bなど);および
4)抗体結合によって細胞内在化が可能な抗体医薬複合体(antibody drug conjugates;ADC)に対する細胞膜標的タンパク質(Ref:2013 Nature Reviews Drug Discovery 12:330)(例えば、CD22、CD 79b、CD22、GPNMB、CD19、CD56、CD138、PSMA、EGFR、CD74、TACSTD2、CEA、Folate receptor 1、CD37、Mucin16、ETB、STEAP1、CD70、SLC44A4、Nectin4、AGS−16、Guanylyl cyclase C、Mucin1、EGFRvIII、Mesothelinなど)。

0019

一実施形態において、前記ドライバー細胞膜タンパク質は、c−Metタンパク質であってもよく、ここに結合する二重結合分子の第1結合ドメインは、c−Metタンパク質のSEMドメインアミノ酸配列(配列番号79)の143番目から147番目のアミノ酸配列(配列番号73;EEPSQ)に結合するものでありうる。

0020

前記標的細胞膜タンパク質は、タンパク質の種類および性質、または機能に関係なしに細胞膜に存在する全ての種類の細胞膜タンパク質より選ばれたものであってもよく、自体的な性質としては、細胞膜から細胞内に移動しない細胞膜タンパク質まで全て含まれうる。

0021

一例において、前記標的細胞膜タンパク質は、受容体チロシンキナーゼのように腫瘍誘発(oncogenesis)等の非正常的細胞状態と関連した細胞シグナルを媒介する受容体、チャネルなどの細胞膜タンパク質でありうる。このような標的細胞膜タンパク質は、非正常的細胞状態と関連した疾病、例えば癌の治療標的になるものでありうる。

0022

例えば、前記標的細胞膜タンパク質は、細胞膜に存在するG−タンパク質共役型受容体(G−protein−coupled receptors;GPCR)、受容体チロシンキナーゼ(receptor tyrosine kinases)等の全ての種類の内在化タンパク質(integral proteins)と細胞表面に存在する周辺膜タンパク質(peripheral Membrane Proteins)を全て含むものであり、マイクロフィラメント(microfilaments)と結合した構造タンパク質(structural proteins)、細胞接着分子(cell adhesion molecules)、細胞膜酵素(membrane enzymes)、細胞膜受容体(membrane receptors)、キャリアタンパク質(carrier proteins)、チャンネルタンパク質(channel proteins)と運搬タンパク質(transport proteins)、また細胞の表面側に位置する脂質アンカー型タンパク質(lipid−anchored proteins)等、全ての種類の細胞膜タンパク質からなる群より選ばれた1種以上のものでありうる。前記内在化タンパク質は、上記でドライバー細胞膜タンパク質と関連して説明したリガンドまたは抗体結合によって細胞内在化(internalization)が誘発される全ての受容体チロシンキナーゼ類(Receptor tyrosine kinase;RTK)、G−タンパク質共役型受容体類(G−protein−coupled receptors;GPCR)、抗体結合によって細胞内在化が誘発される全ての受容体類(トランスフェリン受容体(transferrin receptors)、低密度リポタンパク質(Low−Density Lipoprotein;LDL)受容体、表面分化抗原類(cluster of differentiation;cluster of designation;CD)等)などからなる群より選ばれた1種以上でありうる。一例において、前記標的細胞膜タンパク質は、この中で特に細胞の機能に重要な、上皮細胞成長因子受容体(epidermal growth factor receptor;EGFR)、血管内皮細胞成長因子受容体(vascular endothelial growth factor receptor;VEGFR)、HER2タンパク質(Human Epidermal growth factor receptor 2 protein)、HER3タンパク質(Human Epidermal growth factor receptor 3 protein)、血小板由来成長因子受容体(platelet−derived growth factor receptors;PDGFR)などからなる群より選ばれたものでありうる。

0023

前記「c−Metタンパク質」は、肝細胞成長因子と結合する受容体チロシンキナーゼを意味する。前記c−Metタンパク質は、全ての種から由来するものであってもよく、例えば、ヒトc−Met(例えば、NP_000236)、サルc−Met(例えば、Macaca mulatta、NP_001162100)等のような霊長類由来のもの、またはマウスc−Met(例えば、NP_032617. 2)、ラットc−Met(例えば、NP_113705. 1)等のような齧歯類由来のものなどでありうる。前記タンパク質は、例えば、GenBankAceession Number NM_000245に提供されたヌクレオチド配列により暗号化されたポリペプチド、またはGenBank Aceession Number NP_000236に提供されたアミノ酸配列を含むタンパク質、またはその細胞外ドメインを含む。受容体チロシンキナ−ゼc−Metは、例えば、癌発生癌転移、癌細胞移動、癌細胞浸透新生血管生成過程などの多様なメカニズムに関与する。

0024

前記上皮細胞成長因子受容体(Epidermal growth factor receptor;EGFR)、HER2(Human Epidermal growth factor receptor 2 protein)、およびHER3(Human Epidermal growth factor receptor 3 protein)は、それぞれ、EGFR(HER1)、HER2、HER3およびHER4から構成されているHERファミリーの受容体チロシンキナーゼ(RTKs)の一員である。EGFR、HER2、またはHER3の細胞外ドメインに対するリガンドの結合は、他のErbB受容体とのレセプターホモまたはヘテロ二量体化誘導し、これは特異的なチロシン残基の細胞内自己リン酸化を誘発する。EGFR自己リン酸化は、細胞増殖、血管新生および転移に影響を与えるMAPKおよびPI3K/Akt活性化を含むダウンストリームシグナル伝達ネットワークを率いる。EGFR、HER2、および/またはHER3の過発現、遺伝子増幅、突然変異、または再配列は、多様な種類のヒト悪性腫瘍で頻繁に観察され、癌治療の不良な予後および悪い臨床的結果と関連している。このような理由で、これらEGFR、HER2、および/またはHER3は、抗癌療法において重要な標的になる。

0025

前記EGFR、HER2、またはHER3は、ヒト、サルなどの霊長類、マウス、ラットなどの齧歯類などの哺乳類から由来したものでありうる。例えば、前記EGFRは、GenBankAccession No.JQ739160、JQ739161、JQ739162、JQ739163、JQ739164、JQ739165、JQ739166、JQ739167、NM_005228.3、NM_201284.1、NM_201282.1、またはNM_201283.1等に提供されたヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされたポリペプチドでありうる。例えば、前記HER2は、GenBank Accession No.X03363.1等に提供されるヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされたポリペプチドでありうる。例えば、前記HER3は、GenBank Accession No.NM_001982等に提供されるヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされたポリペプチドでありうる。

0026

前記血管内皮細胞成長因子受容体(Vascular endothelial Cell growth factor receptor:VEGFR)は、血管内皮細胞成長因子正常細胞でも存在し、特に癌細胞で分泌される血管内皮細胞成長因子(VEGF)と結合して血管新生を起こし、癌細胞に必要な養分を供給する。VEGFRの過発現は、多様な疾病の原因になり、特に癌の発生のみならず、浸湿、転移などの悪い予後にも関与する。このような理由で、VEGFは、抗癌療法において重要な標的になる。前記VEGFRは、ヒト、サルなどの霊長類、マウス、ラットなどの齧歯類などの哺乳類から由来したものでありうる。例えば、前記VEGFRは、GenBankAccession NumberAF063657.2等に提供されたヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされたポリペプチドでありうる。

0027

前記血小板由来成長因子受容体(platelet−derived growth factor receptors;PDGFR)は、表面受容体チロシンキナーゼのうちの一つであって、細胞増殖、細胞分化細胞成長などの調節および癌を起こす多くの疾病と関連している。前記PDGFRは、ヒト、サルなどの霊長類、マウス、ラットなどの齧歯類などの哺乳類から由来したものでありうる。例えば、前記PDGFRは、GenBankAccession Nos.NM_006206.4(PDGFR−A)、NM_002609.3(PDGFR−B)、NM_016205.2(PDGFR−C)等に提供されたヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされたポリペプチドでありうる。

0028

前記インシュリン様成長因子1受容体(Insulin−like Growth Factor 1 Receptor;IGF1R)は、受容体チロシンキナーゼのうちの一つであって、インシュリン様成長因子1(IGF−1)により活性化される膜通過受容体である。前記IGF1Rは、ヒト、サルなどの霊長類、マウス、ラットなどの齧歯類などの哺乳類から由来したものでありうる。例えば、前記IGF1Rは、GenBankAccession No.NM_000875.3等に提供されたヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされたポリペプチドでありうる。

0029

前記エフリン受容体(ephrin receptors)は、表面受容体チロシンキナーゼのうちの一つであって、軸索ガイダンス組織境界の形成、細胞遊走、セグメンテーションなどの胚発生過程を調節する。前記エフリン受容体は、ヒト、サルなどの霊長類、マウス、ラットなどの齧歯類などの哺乳類から由来したものでありうる。例えば、前記エフリン受容体は、GenBankAccession Nos.NM_004440.3、NM_004438.3、NM_004431.3、NM_004442.6、NM_017449.3、NM_004093.3、NM_004441.4、NM_182472.2、NM_005232.4、NM_005233.5、NM_173641.2、NM_001099439.1、NM_001080448.2、NM_001080448.2、NM_004443.3、NM_182689.1、NM_004428.2、NM_004439.5、NM_001962.2、NM_004429.4、NM_182644.2、NM_004952.4、NM_173655.2、NM_182690.2、NM_020526.3、NM_001406.3、NM_005227.2、NM_182685.1等に提供されたヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされたポリペプチドでありうる。

0030

前記トランスフェリン受容体(transferrin receptors)は、トランスフェリンのキャリアタンパク質であって、受容体媒介性エンドサイトーシスを通じて鉄の細胞内移動に関与し、細胞内鉄濃度を調節する。前記トランスフェリン受容体は、ヒト、サルなどの霊長類、マウス、ラットなどの齧歯類などの哺乳類から由来したものでありうる。例えば、前記トランスフェリン受容体は、GenBankAccession Nos.NM_001128148.1、NM_003234.2、NM_001206855.1、NM_003227.3、BC001188.1、M11507.1等に提供されたヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされたポリペプチドでありうる。

0031

前記低密度リポタンパク質(Low−Density Lipoprotein;LDL)受容体は、トランスフェリンのキャリアタンパク質であって、受容体媒介性エンドシトシスを通じて鉄の細胞内移動に関与し、細胞内鉄濃度を調節する。前記LDL受容体は、ヒト、サルなどの霊長類、マウス、ラットなどの齧歯類などの哺乳類から由来したものでありうる。例えば、前記トランスフェリン受容体は、GenBankAccession Nos.NM_000527.4、NM_001195802.1、NM_001195799.1、NM_001195803.1、NM_001195800.1、NM_001195798.1等に提供されたヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされたポリペプチドでありうる。

0032

前記表面分化抗原類(cluster of differentiation;cluster of designation;CD)は、受容体またはリガンドとして多様に作用するタンパク質であって、ヒトの場合、約350種類が知られており、細胞シグナリング(cell signaling)、細胞接着などの多様な細胞過程に関与する。前記表面分化抗原類は、ヒト、サルなどの霊長類、マウス、ラットなどの齧歯類などの哺乳類から由来したものでありうる。例えば、前記表面分化抗原類は、全てのCD系であってもよく、特に癌転移と関連したCD44、CD147、またはそのvariantであってもよく、より具体的にGenBankAccession Nos.(NM_000610.3、NM_001728.3、X55150.1)等に提供されたヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされたポリペプチドでありうる。

0033

前記G−タンパク質共役型受容体(G−protein−coupled receptors;GPCR)は、膜通過受容体タンパク質であって、シグナル伝達経路(signal transduction pathway)および細胞反応を活性化し、多様な疾病に関与する。GPCRは、巨大タンパク質群であって、配列相同性および機能的類似性に基づいて6個のクラスに分類されうる:クラスAまたはクラス1(Rhodopsin−like receptors);クラスBまたはクラス2(Secretin receptor family);クラスCまたはクラス3(Metabotropic glutamate/pheromone);クラスDまたはクラス4(Fungal mating pheromone receptors);クラスEまたはクラス5(CyclicAMPreceptors);およびクラスFまたはクラス6(Frizzled/Smoothened)。前記GPCRは、ヒト、サルなどの霊長類、マウス、ラットなどの齧歯類などの哺乳類から由来したものでありうる。例えば、GPCRは、癌転移に関連するケモカイン受容体(chemokine receptors;Rhodopsin−like receptor subfamily)、例えば、CXCケモカイン受容体、CCケモカイン受容体、CX3Cケモカイン受容体などであってもよく、より具体的にGenBankAccession Nos.NM_001123041.2、NM_005508.4、NM_005201.3、NM_016602.2等に提供されたヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされたポリペプチドでありうる。

0034

テトラスパニン(tetraspanins;例えば、CD9、CD81、CD151、CD63、CD37、CD53、NET1、NET2、NET4、NET5、NET6、TM4SF6、Tspan2、Tspan3、TM4B、etc.)は、哺乳類で33種が発見された膜通過タンパク質(transMembrane Proteins)であって、ほとんど全ての細胞および組織類型原形質膜上でまたは多様な細胞内小器官および顆粒内で多様に発見される。他の多くの細胞表面タンパク質とは異なり、テトラスパニンは明確な受容体機能を示してはいない。テトラスパニンは、エンドソームステムおよびライソゾーム関連小器官で発見される。これらは血小板内の高密度顆粒(dense granule)およびα顆粒(alpha−granules)、メラニン細胞(melanocytes)内のメラノソーム(melanosomes)、T−細胞内の細胞毒性顆粒(cytotoxic granules)、内皮細胞内バイベルパラーデ小体(Weibel−Palade bodies)、および樹枝状細胞内の主要組織適合遺伝子複合体II(Major Histocompatibility Complex II(MHCII))等を含む。また、多くの細胞類型で、後期エンドソーム(late endosomes)/MVBs(multivesicular bodies)が細胞表面と融合するように誘発され、癌の進行および転移と機能的に関連があるエキソソーム(exosome)を分泌することができる。これはテトラスパニンが膜除去(membrane depletion)のためのドライバーまたは標的として使用可能であることを提案する。CD9は、GenBankAccession Nos.NM_001769またはNM_007657のヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされるアミノ酸配列を含むことができる。CD81は、GenBank Accession Nos.NM_004356またはNM_133655のヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされるアミノ酸配列を含むことができる。CD151は、GenBank Accession Nos.NM_001039490またはNM_001111049のヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされるアミノ酸配列を含むことができる。CD63は、GenBank Accession Nos.NM_001040034またはNM_001042580のヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされるアミノ酸配列を含むことができる。CD37は、GenBank Accession Nos.NM_001040031またはNM_007645のヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされるアミノ酸配列を含むことができる。CD53は、GenBank Accession Nos.NM_000560またはNM_007651のヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされるアミノ酸配列を含むことができる。NET1は、GenBank Accession Nos.NM_001047160またはNM_001047159のヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされるアミノ酸配列を含むことができる。NET2は、GenBank Accession Nos.NM_012338またはNM_173007のヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされるアミノ酸配列を含むことができる。NET6は、GenBank Accession Nos.NM_014399またはNM_025359のヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされるアミノ酸配列を含むことができる。TM4SF6は、GenBank Accession Nos.NM_001278743、NM_001278742、NM_001278741、NM_001278740、NM_003270、またはNM_019656のヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされるアミノ酸配列を含むことができる。Tspan2は、GenBank Accession Nos.NM_005725、NM_001243132、またはNM_027533のヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされるアミノ酸配列を含むことができる。Tspan3は、GenBank Accession Nos.NM_001168412、NM_198902、NM_005724、またはNM_019793のヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされるアミノ酸配列を含むことができる。TM4B(TSPAN16)は、GenBank Accession Nos.NM_001282510、NM_001282509またはNM_012466のヌクレオチド配列(mRNA)によりコードされるアミノ酸配列を含むことができる。

0035

本発明に係る標的細胞膜タンパク質除去用組成物は、非正常的細胞状態と関連した細胞信号を媒介したり癌などの疾病に関連した標的細胞膜タンパク質と単純結合して活性を抑制することにとどまらず、これら標的細胞膜タンパク質を細胞内に移動させて分解させる、より根本的な除去作用を示す。

0036

前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物による標的細胞膜タンパク質除去のために、前記ドライバー細胞膜タンパク質と標的細胞膜タンパク質は、同一の細胞(例えば、同一の細胞の細胞膜)に位置するものでありうる。また、前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物により除去される標的細胞膜タンパク質の位置は、細胞膜の柔軟性と標的細胞膜タンパク質の細胞膜発現水準(例えば、非正常的細胞状態での発現水準)を考慮すると、ドライバー細胞膜タンパク質との距離において特に制限はない。

0037

前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物に含まれている前記第1結合ドメインと第2結合ドメインは、ドライバー細胞膜タンパク質または標的細胞膜タンパク質に結合する抗体、抗体断片(antibody fragments、例えば抗原結合断片)、または抗体模倣体(antibody mimicsまたはantibody mimetics)等から独立して選択されるものでありうる。前記第1結合ドメインと第2結合ドメインは、例えば、抗体(例えば、full immunoglobulin form)、scFv抗体、ファージ抗体(phage antibody)、ドメイン抗体(domain antibody)、DARPins(Designed Ankyrin Repeat Proteins)、フィブロネクチンドメイン(Fibronectin Domains)、クリングルドメイン(Kringle Domains)、ナノボディー(nanobody)、ペプチボディ(peptibody)、ペプチド(peptide)、アプチド(aptide)などからなる群より選ばれたものでありうる。

0038

例えば、前記第1結合ドメインは、ドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体またはその抗原結合断片であり、前記第2結合ドメインは、標的細胞膜タンパク質に対する抗体またはその抗原結合断片でありうる。この場合、前記二重結合分子は、前記ドライバー細胞膜タンパク質との結合部位と前記標的細胞膜タンパク質との結合部位を含む、ドライバー細胞膜タンパク質および標的細胞膜タンパク質に対する二重特異性(二重結合)抗体でありうる。

0039

一例において、前記二重特異性抗体は、
ドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体またはその抗原結合断片、および
前記ドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体またはその抗原結合断片のC末端またはN末端に連結された、標的細胞膜タンパク質に対する抗体またはその抗原結合断片
を含むものでありうる。

0040

この場合、前記二重特異性抗体は、上下非対称形態の二重特異性抗体でありうる。前記上下非対称二重特異性抗体は、二重特異性抗体のN−末端とC−末端とが構造的に相異するもの(例えば、Fc部位を基準に、N−末端部分とC−末端部分が互いに異なり、scFv、(scFv)2、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびDARPinsなどの抗体模倣体からなる群より選ばれたもの)、および/または機能的に相異するもの(例えば、C−末端とN−末端とが互いに異なるタンパク質を特異的に認識および/または結合するもの)でありうる。

0041

他の例として、前記二重特異性抗体は、
一本鎖の形態のドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体(scFvFc)またはその抗原結合断片(scFv)、および一本鎖の形態の標的細胞膜タンパク質に対する抗体(scFvFc)またはその抗原結合断片(scFv)を含み、
前記一本鎖の形態のドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体または抗原結合断片と標的細胞膜タンパク質に対する抗体またはその抗原結合断片とが接合して左右非対称形態を形成するものでありうる。

0042

この場合、前記二重特異性抗体は、左右非対称形態の二重特異性抗体でありうる。左右非対称形態の二重特異性抗体は、互いに異なるタンパク質を特異的に認識および/または結合する2個の一本鎖抗体を含むものでありうる。

0043

前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物または前記二重特異性抗体において、ドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体は、ドライバー細胞膜タンパク質の細胞内移動および分解を媒介する役割を発揮することが重要であり、このような役割をより良好に発揮するために、ドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体は、完全な抗体形態(例えば、full immunoglobulin form)を有するものでありうる。また、標的細胞膜タンパク質に対する抗体は、標的細胞膜タンパク質に対する特異的認識および結合が重要であるので、ドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体は、完全な形態のみならず抗原結合断片形態のものであってもよい。したがって、前記二重特異性抗体は、ドライバー細胞膜タンパク質に対する完全な抗体および前記抗体のC末端に連結されたドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体の抗原結合断片を含むものでありうる。

0044

また、ドライバー細胞膜タンパク質と標的細胞膜タンパク質との距離を考慮すると、ドライバー細胞膜タンパク質との結合部位と標的細胞膜タンパク質との結合部位とが柔軟性のある連結部位を通じて連結されている構造が有利でありうる。

0045

前記二重特異性抗体においてドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体またはその抗原結合断片と標的細胞膜タンパク質に対する抗体またはその抗原結合断片は、ペプチドリンカーを通じてまたは通じることなく連結されうる。前記ペプチドリンカーは、1乃至100個、2乃至50個、または5乃至20個のアミノ酸からなるものであってもよく、それに含まれているアミノ酸の種類には制限がない。例えば、前記ペプチドリンカーは、Gly、AsnおよびSerからなる群より選ばれた1種以上の残基を含むことができ、Thrおよび/またはAlaのような中性アミノ酸も含むことができる。ペプチドリンカーに適したアミノ酸配列は、当業界に公知となったものでありうる。一方、前記ペプチドリンカーは、前記二重特異性抗体の機能に影響を与えない限度内で、その長さを多様に決定することができる。

0046

具体的な例において、前記標的細胞膜タンパク質に対する抗体またはその抗原結合断片は、抗EGFR抗体抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗VEGFR抗体、抗PDGFR抗体、抗IGF−1R抗体からなる群より選ばれた抗体またはその抗原結合断片でありうる。前記抗EGFR抗体は、セツキシマブ(Cetuximab;Erbitux)、パニツムマブ(Panitumumab)、マツズマブ(Matuzumab)、ネシツムマブ(Necitumumab)、ニモツズマブ(Nimotuzumab)、ザルツムマブ(Zalutumumab)、MM−151(EGFRの重複しないエピトープに結合するように設計された3個の完全なヒトのモノクローナル抗体の混合物からなるオリゴクローナル治療剤)、配列番号109または配列番号113の重鎖可変部位および配列番号110または配列番号114の軽鎖可変部位を有する抗体などからなる群より選ばれたものでありうる。前記抗HER2抗体は、トラスツズマブ(Trastuzumab;Herceptin)、ペルツズマブ(Pertuzumab)などからなる群より選ばれたものでありうる。前記抗HER3抗体は、RG−7597(ヒト化IgG単クローン抗体)等でありうる。前記抗VEGFR2(KDR)抗体は、ラムシルマブ(Ramucirumab)等より選ばれたものでありうる。前記抗PDGFR抗体は、オララツマブ(Olaratumab、IMC−3G3)等でありうる。前記抗IGF−1R抗体は、シクスツムマブ(Cixutumumab;IMC−A12)等でありうる。

0047

前記二重特異性抗体には、前記標的細胞膜タンパク質に対する抗体が完全な抗体の形態で含まれていてもよいし、抗原結合断片として含まれていてもよい。

0048

前記ドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体またはその抗原結合断片は、抗c−Met抗体、または細胞膜タンパク質を効率的に細胞内に内在化(internalize)させるタンパク質に対する抗体からなる群より選ばれた抗体またはその抗原結合断片でありうる。前記ドライバー細胞膜タンパク質に対する抗体は、完全な抗体の形態で含まれていてもよいし、抗原結合断片として含まれていてもよい。

0049

前記抗原結合断片は、免疫グロブリン構造全体に対するその断片であり、抗原が結合できる部分を含むポリペプチドの一部を意味する。例えば、scFv、(scFv)2、Fab、Fab’またはF(ab’)2でありうるが、これに限定されない。

0050

前記抗原結合断片のうちのFabは、軽鎖および重鎖の可変領域と軽鎖の不変領域および重鎖の第一不変領域(CH1)を有する構造で、1個の抗原結合部位を有する。

0051

Fab’は、重鎖CH1ドメインのC末端に一つ以上のシステイン残基を含むヒンジ領域(hinge region)を有するという点でFabと異なる。F(ab’)2抗体は、Fab’のヒンジ領域のシステイン残基がジスルフィド結合を形成しつつ生成される。

0052

Fvは、重鎖可変部位および軽鎖可変部位のみを有している最小の抗体断片であり、Fv断片を生成するための再構成技術は当業界に広く知られている。二重鎖Fv(two−chain Fv)は、非共有結合で重鎖可変部位と軽鎖可変部位が連結されており、一本鎖Fv(single−chain Fv)は、一般にペプチドリンカーを通じて重鎖の可変領域と単鎖の可変領域が共有結合で連結されたり、またはC末端に直結されていて、二重鎖Fvのようにダイマーのような構造をなすことができる。前記ペプチドリンカーは、1乃至100個、2乃至50個、または5乃至20個のアミノ酸からなるものであり、それに含まれているアミノ酸の種類には制限がない。例えば、前記ペプチドリンカーは、Gly、AsnおよびSerからなる群より選ばれた1種以上の残基を含むことができ、Thrおよび/またはAlaのような中性アミノ酸も含むことができる。ペプチドリンカーに適したアミノ酸配列は、当業界に公知となったものでありうる。一方、前記ペプチドリンカーは、前記抗原結合断片の機能に影響を与えない限度内で、その長さを多様に決定することができる。

0053

前記抗原結合断片は、タンパク質加水分解酵素を用いて得ることができ(例えば、全体抗体をパパインで制限切断すればFabを得ることができ、ペプシンで切断すればF(ab’)2断片を得ることができる)、遺伝子再構成技術を通じて作製することができる。

0054

具体的な例において、前記二重特異性抗体は、抗c−Met抗体、および前記抗c−Met抗体のC末端に連結された標的細胞膜タンパク質に対する抗体(例えば、抗EGFR抗体、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗VEGFR抗体、または抗PDGFR抗体など)のscFv、(scFv)2、Fab、Fab’またはF(ab’)2、例えばscFvを含むものでありうる。例えば、前記抗EGFR抗体のscFv、(scFv)2、Fab、Fab’またはF(ab’)2は、配列番号109または配列番号113のアミノ酸配列を含む重鎖可変部位と配列番号110または配列番号114のアミノ酸配列を含む軽鎖可変部位とを含むものでありうる。したがって、一つの具体的な例において、前記二重特異性抗体は、抗c−Met抗体、および前記抗c−Met抗体のC末端に連結された、配列番号109または配列番号113のアミノ酸配列を含む重鎖可変部位と配列番号110または配列番号114のアミノ酸配列を含む軽鎖可変部位とを含む抗EGFR抗体のscFv、(scFv)2、Fab、Fab’またはF(ab’)2を含むものでありうる。

0055

前記抗c−Met抗体は、c−Metに作用して細胞内移動(internalization)および分解(degradation)を誘導する全ての抗体またはその抗原結合断片であってもよく、c−Metの特定部位、例えばSEMAドメイン内の特定部位をエピトープで認識するものでありうる。

0056

HGF(Hepatocyte growth factor)の受容体であるc−Metは、細胞外部位、膜透過部位、細胞内部位の3つの部分に区分され、細胞外部位の場合、ジスルフィド結合によってα−小単位体とβ−小単位体とが連結された形態でHGF結合ドメインであるSEMAドメイン、PSIドメイン(plexin−semaphorins−integrin homology domain)およびIPTドメイン(immunoglobulin−like fold shared by plexins and transcriptional factors domain)からなる。c−Metタンパク質のSEMAドメインは、配列番号79のアミノ酸配列を有するものであってもよく、c−Metの細胞外部位に存在するドメインであって、HGFが結合する部位に相当する。SEMAドメイン中の特定部位、例えば、106番目から124番目までに相当する配列番号71のアミノ酸配列を有する領域は、c−Metタンパク質のSEMAドメイン内のエピトープ中の2番と3番プロペラドメイン間のループ(loop)部位に相当し、本発明で提案される抗c−Met抗体のエピトープで作用することができる。

0057

「エピトープ(epitope)」という用語は、抗原決定部位(antigenic determinant)であって、抗体により認識される抗原の一部分を意味する。一つの具体的な例によれば、前記エピトープは、c−Metタンパク質のSEMAドメイン(配列番号79)内の連続する5個以上のアミノ酸を含む部位、例えば、c−Metタンパク質のSEMAドメイン(配列番号79)内の106番目から124番目までに該当する配列番号71内に位置する連続する5個乃至19個のアミノ酸を含むものでありうる。例えば、前記エピトープは、配列番号71のアミノ酸配列中の配列番号73(EEPSQ)を含む連続する5乃至19個のアミノ酸からなるものでありうる。前記配列番号73のアミノ酸配列は、c−Metタンパク質のSEMAドメイン(配列番号79)の143番目位置から147番目位置までのアミノ酸配列である。例えば、前記エピトープは、配列番号71、配列番号72または配列番号73のアミノ酸配列を有するポリペプチドでありうる。

0058

前記配列番号72のアミノ酸配列を有するエピトープは、c−Metタンパク質のSEMAドメイン内の2番と3番プロペラ構造のドメイン間のループ部位のうち最も外側に位置する部位に相当し、前記配列番号73のアミノ酸配列を有するエピトープは、一つの具体的な例による抗体または抗原結合断片が最も特異的に結合する部位である。

0059

したがって、抗c−Met抗体は、配列番号71のアミノ酸配列のうち、配列番号73(EEPSQ)を含む連続する5乃至19個のアミノ酸を含むエピトープに特異的に結合するものであってもよく、例えば、配列番号71、配列番号72、または配列番号73のアミノ酸配列を有するエピトープに特異的に結合する抗体または抗原結合断片でありうる。

0060

一つの具体的な例によれば、前記抗c−Met抗体は、
配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR−H1、配列番号5のアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列内の3番目から10番目までのアミノ酸を含む連続する8乃至19個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有するCDR−H2、および配列番号6のアミノ酸配列、配列番号85のアミノ酸配列、または配列番号85のアミノ酸配列内の1番目から6番目までのアミノ酸を含む連続する6乃至13個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有するCDR−H3からなる群より選ばれた一つ以上の重鎖相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;並びに
配列番号7のアミノ酸配列のアミノ酸配列を有するCDR−L1、配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR−L2、および配列番号9のアミノ酸配列、配列番号86のアミノ酸配列、または配列番号89のアミノ酸配列内の1番目から9番目までのアミノ酸を含む9乃至17個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有するCDR−L3からなる群より選ばれた一つ以上の軽鎖相補性決定領域のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含み、
前記配列番号4乃至配列番号9は、それぞれ、下記一般式I〜一般式VIで表されるアミノ酸配列の抗体または抗原結合断片でありうる:

0061

0062

前記一般式Iにおいて、Xaa1は、存在しないかまたはProもしくはSerであり、Xaa2は、GluまたはAspであり、
前記一般式IIにおいて、Xaa3は、AsnまたはLysであり、Xaa4は、AlaまたはValであり、Xaa5は、AsnまたはThrであり、
前記一般式IIIにおいて、Xaa6は、SerまたはThrであり、
前記一般式IVにおいて、Xaa7は、His、Arg、GlnまたはLysであり、Xaa8は、SerまたはTrpであり、Xaa9は、HisまたはGlnであり、Xaa10は、LysまたはAsnであり、
前記一般式Vにおいて、Xaa11は、AlaまたはGlyであり、Xaa12は、ThrまたはLysであり、Xaa13は、SerまたはProであり、
前記一般式VIにおいて、Xaa14は、Gly、AlaまたはGlnであり、Xaa15は、Arg、His、Ser、Ala、GlyまたはLysであり、Xaa16は、Leu、Tyr、PheまたはMetである。

0063

一つの具体的な例において、前記CDR−H1は、配列番号1、配列番号22、配列番号23および配列番号24からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するものでありうる。前記CDR−H2は、配列番号2、配列番号25、および配列番号26からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するものでありうる。前記CDR−H3は、配列番号3、配列番号27、配列番号28、および配列番号85からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するものでありうる。

0064

前記CDR−L1は、配列番号10、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33および配列番号106からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するものでありうる。前記CDR−L2は、配列番号11、配列番号34、配列番号35、および配列番号36からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するものでありうる。前記CDR−L3は、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号37、配列番号86、および配列番号89からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するものでありうる。

0065

一つの具体的な例において、前記抗体または抗原結合断片は、配列番号1、配列番号22、配列番号23および配列番号24からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するポリペプチド(CDR−H1)、配列番号2、配列番号25、および配列番号26からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するポリペプチド(CDR−H2)、および配列番号3、配列番号27、配列番号28、および配列番号85からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するポリペプチド(CDR−H3)を含む重鎖可変領域;および配列番号10、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33および配列番号106からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するポリペプチド(CDR−L1)、配列番号11、配列番号34、配列番号35、および配列番号36からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するポリペプチド(CDR−L2)、および配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号37、配列番号86、および配列番号89からなる群より選ばれたアミノ酸配列を有するポリペプチド(CDR−L3)を含む軽鎖可変領域を含むものでありうる。

0066

所望の抗原を被免疫動物に免疫させて生産する動物由来抗体は、一般に治療の目的でヒトに投与時に免疫拒否反応が起こることがあり、このような免疫拒否反応を抑制するためにキメラ抗体(chimeric antibody)が開発された。キメラ抗体は、遺伝工学的方法を用いて抗アイソタイプ(anti−isotype)反応の原因になる動物由来抗体の不変領域をヒト抗体の不変領域で置換したものである。キメラ抗体は、動物由来抗体に比べて抗アイソタイプ反応において相当部分改善されたが、依然として動物由来アミノ酸が可変領域に存在していて、潜在的な抗イディオタイプ(anti−idiotypic)反応に対する副作用を有している。このような副作用を改善するために開発されたものがヒト化抗体(humanized antibody)である。これはキメラ抗体の可変領域中の抗原の結合に重要な役割を果たすCDR(complementaritiy determining regions)部位をヒト抗体骨格(framework)に移植して作製される。

0067

ヒト化抗体を作製するためのCDR移植(grafting)技術において最も重要なことは、動物由来抗体のCDR部位を最もよく受け入れられる最適化したヒト抗体を選定することであり、このために抗体データベース活用結晶構造(crystal structure)の分析、分子モデリング技術などが活用される。しかし、最適化したヒト抗体骨格に動物由来抗体のCDR部位を移植しても動物由来抗体の骨格に位置しながら抗原結合に影響を与えるアミノ酸が存在することがあり、抗原結合力が保存されない場合が相当数存在するため、抗原結合力を復元するための追加的な抗体工学技術の適用は必須といえる。

0068

一つの具体的な例によれば、前記抗体は、マウス由来抗体、マウス−ヒトキメラ抗体またはヒト化抗体でありうる。

0069

完全な抗体は、2個の全長(full length)軽鎖および2個の全長重鎖を有する構造であり、それぞれの軽鎖は重鎖と二硫化結合で連結されている。抗体の不変領域は、重鎖不変領域と軽鎖不変領域に分けられ、重鎖不変領域は、ガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)およびイプシロン(ε)タイプを有し、サブクラスとしてガンマ1(γ1)、ガンマ2(γ2)、ガンマ3(γ3)、ガンマ4(γ4)、アルファ1(α1)およびアルファ2(α2)を有する。軽鎖の不変領域は、カッパκ)およびラムダ(λ)タイプを有する。

0070

「重鎖(heavy chain)」という用語は、抗原に特異性を付与するために十分な可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインVHおよび3個の不変領域ドメインCH1、CH2およびCH3とヒンジ(hinge)を含む全長重鎖およびその断片を全て含む意味として解釈される。また、「軽鎖(light chain)」という用語は、抗原に特異性を付与するための十分な可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインVLおよび不変領域ドメインCLを含む全長軽鎖およびその断片を全て含む意味として解釈される。

0071

「CDR(complementarity determining region)」という用語は、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の高可変領域(hypervariable region)のアミノ酸配列を意味する。重鎖および軽鎖は、それぞれ3個のCDRを含むことができる(CDRH1、CDRH2、CDRH3およびCDRL1、CDRL2、CDRL3)。前記CDRは、抗体が抗原またはエピトープに結合する際の主な接触残基を提供することができる。一方、本明細書において、「特異的に結合」または「特異的に認識」という用語は、当業者に通常公知されている意味と同一なものであって、抗原および抗体が特異的に相互作用して免疫学的に反応することを意味する。

0072

一つの具体的な例によれば、抗c−Met抗体または抗原結合断片において、前記重鎖可変領域は、配列番号17、配列番号74、配列番号87、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93または配列番号94のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号75、配列番号88、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99または配列番号107のアミノ酸配列を含むものでありうる。

0073

一つの具体的な例において、抗c−Met抗体は、受託番号KCLRF−BP−00220であるハイブリドーマ細胞により生産される、c−Metタンパク質の細胞外部位(extracellular region)に特異的に結合するモノクローナル抗体でありうる(韓国公開特許第2011−0047698号参照;前記文献は本明細書に参照として含まれる)。

0074

前記の抗c−Met抗体は、韓国公開特許第2011−0047698号に定義された抗体を全て含むことができる。

0075

前記抗c−Met抗体の上記で定義されたCDR部位または軽鎖可変部位と重鎖可変部位を除いた軽鎖不変部位と重鎖不変部位は、全てのサブタイプの免疫グロブリンの軽鎖不変部位と重鎖不変部位でありうる。

0076

一つの具体的な例によれば、前記抗c−Met抗体は、配列番号62のアミノ酸配列(このうち1番目から17番目までのアミノ酸配列はシグナルペプチドである)または配列番号62の18番目から462番目までのアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号68のアミノ酸配列(このうち1番目から20番目までのアミノ酸配列はシグナルペプチドである)または配列番号68の21番目から240番目までのアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体;配列番号64のアミノ酸配列(このうち1番目から17番目までのアミノ酸配列はシグナルペプチドである)または配列番号64の18番目から461番目までのアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号68のアミノ酸配列または配列番号68の21番目から240番目までのアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体;または配列番号66のアミノ酸配列(このうち1番目から17番目までのアミノ酸配列はシグナルペプチドである)または配列番号66の18番目から460番目までのアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号68のアミノ酸配列または配列番号68の21番目から240番目までのアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体でありうる。

0077

他の具体的な例によれば、前記抗c−Met抗体は、配列番号62のアミノ酸配列または配列番号62の18番目から462番目までのアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号70のアミノ酸配列(このうち1番目から17番目までのアミノ酸配列はシグナルペプチドである)または配列番号70の21番目から240番目までのアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体;配列番号64のアミノ酸配列または配列番号64の18番目から461番目までのアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号70のアミノ酸配列または配列番号70の21番目から240番目までのアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体;または配列番号66のアミノ酸配列または配列番号66の18番目から460番目までのアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号70または配列番号70の21番目から240番目までのアミノ酸配列のアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体でありうる。

0078

他の具体的な例によれば、前記抗c−Met抗体は、配列番号62のアミノ酸配列または配列番号62の18番目から462番目までのアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号108のアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体;配列番号64のアミノ酸配列または配列番号64の18番目から461番目までのアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号108のアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体;または配列番号66のアミノ酸配列または配列番号66の18番目から460番目までのアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号108のアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体でありうる。

0079

一つの具体的な例において、前記前記抗c−Met抗体は、配列番号66のアミノ酸配列または配列番号66の18番目から460番目までのアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号68の21番目から240番目までのアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体または配列番号66のアミノ酸配列または配列番号66の18番目から460番目までのアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号108のアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体でありうる。

0080

一方、前記配列番号70のアミノ酸配列を有するポリペプチドは、ヒトのカッパ不変領域からなる軽鎖であり、配列番号68のアミノ酸配列を有するポリペプチドは、前記配列番号70のアミノ酸配列を有するポリペプチドで36番((カバットナンバリング(kabat numbering)に従う、配列番号68内の62番目アミノ酸位置)ヒスチジン(histidine)がチロシン(tyrosine)で置換された形態のポリペプチドである。一実施形態によれば、前記置換によって、抗体の生産量を増加させることができる。また前記配列番号108のアミノ酸配列を有するポリペプチドは、前記配列番号68のアミノ酸配列中の1番目から20番目までのシグナルペプチドを除いた21番目から240番目までのアミノ酸配列を有するポリペプチドでカバットナンバリングに従う27e位置(カバットナンバリングに従う、配列番号108内の32番目位置;CDR−L1内部)のセリン(Ser)がトリプトファン(Trp)で置換されたものであり、一実施形態によれば、前記置換によって、抗体の活性(例えば、cMetに対する結合親和度、c−Met分解活性およびAktリン酸化抑制活性など)がより増進されうる。

0081

本発明の他の形態は、前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物またはこれに含まれている二重結合分子(または二重特異性抗体)を用いて細胞を処理する段階を含む標的細胞膜タンパク質の除去方法を提供する。本発明のさらに他の形態は、前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物またはこれに含まれている二重結合分子(または二重特異性抗体)の標的細胞膜タンパク質除去のための用途を提供する。

0082

前記細胞は、哺乳類、例えば、ヒト、サルなどの霊長類、またはラット、マウスなどの齧歯類から由来した全ての細胞であって、生きている細胞でありうる。前記細胞は、例えば癌細胞であってもよく、ドライバー細胞膜タンパク質、例えばc−Metタンパク質が発現する細胞でありうる。前記細胞は、生体に存在するもの、または生体から分離したものでありうる。

0083

一方、代表的にEGFRを含むRTKと癌細胞で共に発現するc−Metは、他のRTKとのクロストーク(crosstalk)が存在しながら、これらに対する抗癌剤耐性と関連している。したがって、c−Metと共にEGFRまたはHER2のようなRTKを阻害することができれば、既存の抗癌剤耐性および問題点を克服した新たな機能を有する抗癌剤の開発が可能になる。

0084

そこで、本発明の他の形態は、前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物またはこれに含まれている二重結合分子(または二重特異性抗体)を有効成分として含む癌の予防および/または治療用薬学的組成物を提供する。

0085

さらに他の形態は、前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物またはこれに含まれている二重結合分子(または二重特異性抗体)の薬学的有効量を癌の予防および/または治療を必要とする患者に投与する段階を含む癌の予防および/または治療方法が提供される。さらに他の形態は、前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物またはこれに含まれている二重結合分子(または二重特異性抗体)の癌の予防および/または治療のための用途が提供される。

0086

前記癌は、これに制限されないが、扁平上皮細胞癌小細胞肺癌非小細胞肺癌肺腺癌扁平上皮癌腹膜癌、皮膚癌、皮膚または眼球内黒色腫、直膓癌、肛門付近癌、食道癌小腸癌、内分泌腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫尿道癌、慢性または急性白血病リンパ球リンパ腫肝細胞癌胃癌胃腸癌、すい臓癌、膠芽腫癌、卵巣癌肝癌膀胱癌肝腫瘍乳癌結腸癌大腸癌子宮内膜または子宮癌唾液腺癌、腎臓癌前立腺癌陰門癌、甲状腺癌頭頸部癌などからなる群より選ばれた1種以上でありうる。前記癌は、原発性癌または転移性癌でありうる。特に、前記癌は、既存の抗癌剤、例えば前記標的細胞膜タンパク質に対する拮抗剤に対して耐性が生じた癌でありうる。

0087

前記薬学的組成物は、前記標的細胞膜タンパク質除去用組成物またはこれに含まれている二重結合分子(または二重特異性抗体)の薬学的有効量と、薬学的に許容される担体希釈剤、および/または賦形剤などとともに提供されうる。

0088

前記組成物に含まれる薬学的に許容される担体は、抗体の製剤化に通常使用されるものであって、ラクトースデキストローススクロースソルビトールマンニトールデンプンアカシアゴムリン酸カルシウムアルギネートゼラチンケイ酸カルシウム微細結晶セルロースポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップメチルセルロースメチルヒドロキシベンゾエートプロピルヒドロキシベンゾエート滑石ステアリン酸マグネシウムミネラルオイルなどからなる群より選ばれた1種以上でありうるが、これに限定されない。前記薬学的組成物は、前記成分以外に薬学的組成物の製造に通常使用される希釈剤、賦形剤、潤滑剤、湿潤剤甘味剤香味剤乳化剤懸濁剤保存剤などからなる群より選ばれた1種以上をさらに含むことができる。

0089

前記薬学的組成物は、経口または非経口で投与することができる。非経口投与である場合には、静脈内注入皮下注入筋肉注入腹腔注入、内皮投与、局所投与鼻内投与肺内投与および直腸内投与などで投与することができる。経口投与の時、タンパク質またはペプチドは消化されるため、経口用組成物活性薬剤コーティングしたり前記の分解から保護されるように剤型化しなければならない。また、前記組成物は、活性物質が標的細胞に移動可能な任意の装置により投与されうる。

0090

前記薬学的組成物の適切な投与量は、製剤化方法投与方式、患者の年齢、体重、性別病的状態食べ物、投与時間、投与経路排泄速度および反応感応性のような要因により多様に処方されうる。前記組成物の好適な投与量は、成人基準に0.001〜100mg/kgの範囲内である。「薬学的有効量」という用語は、癌の予防または治療に効果を奏する量を意味する。

0091

前記薬学的組成物は、本技術分野の当業者が容易に実施できる方法により、薬学的に許容される担体および/または賦形剤を用いて製剤化することによって、単位容量の形態で製造されてもよいし、または多容量容器内に内蔵させて製造されてもよい。剤型は、オイルまたは水性媒質中溶液、懸濁液、シロップ剤または乳化液形態や、エキス剤散剤粉末剤顆粒剤錠剤またはカプセル剤形態であってもよく、分散剤または安定化剤をさらに含むことができる。

0092

また、前記薬学的組成物は、個別治療剤で投与したり他の治療剤と併用して投与することができ、従来の治療剤とは順次的または同時に投与することができる。

0093

一方、前記薬学的組成物は、抗体または抗原結合断片を含むため、免疫リポソームで剤型化することができる。抗体を含むリポソームは、当業界に広く知られた方法により製造されうる。前記免疫リポソームは、フォスファチジルコリンコレステロールおよびポリエチレングリコール誘導体化されたフォスファチジルエタノールアミンを含む脂質組成物であって、逆相蒸発法により製造されうる。例えば、抗体のFab’断片は、ジスルフィド交換反応を通じてリポソームに接合されうる。ドキソルビシンのような化学治療剤が追加的にリポソーム内に含まれうる。

0094

前記薬学的組成物の投与対象または前記予防および/または治療方法の投与対象患者は、哺乳類、例えばヒト、サルなどの霊長類、またはラット、マウスなどの齧歯類などでありうるが、これに制限されず、既存の抗癌剤、例えば前記標的細胞膜タンパク質に対する拮抗剤に対して耐性が生じた癌患者でありうる。

0095

上述したとおり、本発明による標的細胞膜タンパク質の除去技術において、特定の細胞膜タンパク質の除去が可能になるためには、細胞膜タンパク質のエンドサイトーシスおよび分解(degradation)を誘発するドライバー(Driver)が細胞膜上にともに存在することが必要であり、二重結合分子(Trigger)を通じてドライバーと標的とを連結させると同時に標的がドライバーとともに細胞内にエンドサイトーシスされて分解されなければならない。ドライバーは、細胞膜タンパク質で標的細胞膜タンパク質と同一の細胞膜に存在しながら、エンドサイトーシスおよび細胞内分解が可能な分子であり、二重結合分子(Trigger)は、標的細胞膜タンパク質とドライバーに同時に高い親和度で結合可能な分子で、ドライバーのエンドサイトーシスおよび分解を誘発すると同時に標的を引っ張ってドライバーとともに分解されるようにする。

0096

図3は、本発明の一実施形態において使用されるドライバーとトリガー(Trigger、二重結合抗体)を模式的に示す図である。抗癌標的としてよく知られた細胞膜タンパク質であるEGFRは、細胞の表面に存在し、EGFRに対する抗体を処理しても活性が抑制されるに過ぎず、生きている細胞膜で除去されない。一実施形態で使用されるドライバーは、特定のエピトープを含むc−Met細胞膜タンパク質であり、二重結合抗体は、特定のエピトープに高い親和度で結合される二重抗体で、c−Metが細胞内に移動されても副作用(agonism)を誘発せず、効果的にc−Metを分解させることができる特性を有している。

発明の効果

0097

本発明に係る標的細胞膜タンパク質の除去技術は、実際の臨床サンプルに対して次のような効果を期待することができる:
1.細胞生物学分野の細胞膜タンパク質機能研究のための新たなツールの提供で細胞膜タンパク質の機能研究と関連した画期的な方法を提供し、siRNA技術のように商品化が可能である
2.二重抗体パイプラインの拡充:c−Metと共に併用投与などで相乗効果が期待される2次ターゲットに対する二重抗体を製造することで、基本的にこれら抗癌ターゲットを除去できる機能を用いて新たな新規抗癌治療剤のパイプラインの拡充が可能である
3.EGFR、HER2等の抗癌関連主要標的に対する効能向上:ホモダイマーヘテロダイマーの両方を分解して癌生成機能を阻害することができる
4.c−Met関連耐性克服およびc−Met治療効能が向上した抗癌剤の製造が可能である。

図面の簡単な説明

0098

一実施形態に係る細胞膜における標的特異的な特定の細胞膜タンパク質の除去原理を示す模式図である。
一実施形態に係る細胞膜における標的特異的な特定の細胞膜タンパク質の除去原理を示す模式図である。
一実施形態に係る細胞膜タンパク質の除去システム(二重特異性抗体:BsAb)の構成要素を示す模式図である。
MKN45胃癌細胞株における抗c−Met/EGFR二重特異性抗体によるc−Met分解率を示すグラフである(Y軸:対照群(media)に対する相対的c−Met量;X軸:L3−1YIgG2:抗c−Met抗体、ME−01、ME−03:c−Met/EGFR二重特異性抗体、MH2−01:c−Met/HER2二重特異性抗体)。
MKN45胃癌細胞株における抗c−Met/EGFR二重特異性抗体によるEGFR分解を示す蛍光画像である(黄色:抗−c−Met/EGFR二重特異性抗体;赤色:抗−c−Met抗体;緑色:抗−EGFR抗体)。
MKN45胃癌細胞株における抗c−Met/EGFR二重特異性抗体によるEGFRの細胞内移動および分解を抗EGFR抗体(ICR62)単独または融合していない抗c−Met抗体と抗EGFR抗体(ICR62)をともに投与した場合と比較して示す蛍光画像である(黄色:抗−c−Met/EGFR二重特異性抗体;赤色:抗−c−Met抗体;緑色:抗−EGFR抗体)。
MKN45胃癌細胞株における抗c−Met/EGFR二重特異性抗体によるEGFRの細胞内移動および分解を抗c−Met抗体単独または融合していない抗c−Met抗体と抗EGFR抗体(ICR62またはErbitux)をともに投与した場合と比較して示す蛍光画像である(黄色:抗−c−Met/EGFR二重特異性抗体;赤色:抗−c−Met抗体;緑色:抗−EGFR抗体)。
EBC−1肺癌細胞株における抗c−Met/EGFR二重特異性抗体によるEGFRの細胞内移動および分解を抗c−Met抗体または抗EGFR抗体単独または融合していない抗c−Met抗体と抗EGFR抗体(ICR62またはErbitux)をともに投与した場合と比較して示す蛍光画像である(黄色:抗−c−Met/EGFR二重特異性抗体;赤色:抗−c−Met抗体;緑色:抗−EGFR抗体)。
MKN45胃癌細胞株(上段)およびEBC−1肺癌細胞株(下段)における抗c−Met/EGFR二重特異性抗体によるEGFRの総量および活性をウエスタンブロッティング試験した結果を示す図である。
c−Metの発現が低いA431癌細胞株における抗c−Met/EGFR二重特異性抗体によるEGFRの総量および活性をウエスタンブロッティングで試験した結果を示す図である。
HCC827肺癌細胞株およびHCC827エルロチニブ耐性細胞株(HCC827ER)におけるc−Met発現量増加によるEGFR分解をウエスタンブロッティングで確認した結果を示す図である。
MKN45胃癌細胞株における抗c−Met/Her2二重特異性抗体によるHER2の特異的分解をウエスタンブロッティングで確認した結果を示す図である。
c−Met発現が低いA549癌細胞株でc−Metを過発現させた後の抗c−Met/EGFR二重特異性抗体によるEGFR分解誘導の効果を示す蛍光画像である。
c−Met発現が低いHeLa細胞株でc−Metを過発現させた後の抗c−Met/EGFR二重特異性抗体によるEGFR分解誘導の効果を示す蛍光画像である。
huAbF46抗体のエピトープマッピングのためのELISAの結果を示すグラフである。
SEMAドメイン上のhuAbF46抗体のエピトープの位置を確認した模式図である。

実施例

0099

以下、一つ以上の具体的な例を実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、これら実施例は、一つ以上の具体的な例を説明するためのものであり、発明の範囲がこれら実施例に限定されない。

0100

参考例1:抗c−Met抗体の作製
1.1.c−Metに対するマウス抗体(AbF46)の産生
1.1.1.マウスの免疫化
ハイブリドーマ細胞株の開発に必要な免疫化されたマウスを得るために、一匹当たり100μgのヒトのc−Met/Fc融合タンパク質(R&D Systems)と同量完全フロイントアジュバント(Freund’s adjuvant)を混合して、5匹の4−6週齢のBALB/cマウス(Japan SLC, Inc.)の腹腔内に注射した。2週間後、上記と同様な方法で前記抗原で使用されたヒトのc−Met/Fc融合タンパク質を前回に注射した量の半分である50μgを同量の不完全フロイントアジュバント(incomplete Freund’s adjuvant)と混合してマウスの腹腔内に注射した。その1週間後に最後のブースティング(boosting)を行い、さらに3日後、前記マウスの尻尾から採血して血清を得た後、1/1000の希釈倍率PBSを用いて希釈し、ELISA法によりc−Metを認識する抗体の力価が増加することを確認した。上記の結果から、抗体の量が十分に得られるマウスを選別して下記の細胞融合過程を行った。

0101

1.1.2.細胞融合およびハイブリドーマの製造
細胞融合実験の3日前、50μgのc−Met/Fc融合タンパク質とPBS(1体積)との混合物をBALB/cマウス(Japan SLC, Inc.)の腹腔内に注射し、免疫化されたマウスを麻酔した後、体の左側に位置する脾臓摘出した。摘出した脾臓をメッシュ粉砕して細胞を分離し、培養培地DMEM、GIBCO、Invitrogen)と混合して脾臓細胞懸濁液を調製した。前記懸濁液を遠心分離して細胞層回収した。上記で得られた脾臓細胞1×108個と骨髄腫細胞(Sp2/0)1×108個とを混合した後、遠心分離して細胞を沈殿させた。遠心分離された沈殿物を徐々に分散させ、ポリエチレングリコール(PEG)の45%DMEM溶液(1ml)で処理し、37℃で1分間維持させた後、培養培地(DMEM)1mlを添加した。以降、培養培地(DMEM)10mlを1分間添加し、37℃の水で5分間放置した後、50mlに合わせて再び遠心分離した。細胞沈殿物を分離培地HAT培地)に1〜2×105/ml程度に再懸濁させ、96ウェルプレートに0.1mlずつ分注し、37℃の二酸化炭素培養器内で培養して、ハイブリドーマ細胞群を作製した。

0102

1.1.3.c−Metタンパク質に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞の選別
前記参考例1.1.2で製造されたハイブリドーマ細胞群のうち、c−Metタンパク質にのみ特異的に反応する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選別するために、ヒトのc−Met/Fc融合タンパク質とヒトのFcタンパク質を抗原として用いたELISA分析方法を用いてスクリーニングを行った。

0103

マイクロタイタープレートにヒトのc−Met/Fc融合タンパク質を1ウェル当たり、それぞれ50μl(2ug/ml)ずつ加えてプレート表面に付着させ、反応しない抗原は洗浄して除去した。c−MetでないFcに結合される抗体を選別して除外するために、ヒトのFcタンパク質を上記と同様な方法でプレート表面に付着させた。

0104

前記参考例1.1.2で得られたハイブリドーマ細胞の培養液を前記準備されたそれぞれのウェルに50μlずつを加えて1時間反応させた後、リン酸緩衝溶液−Tween20(TBST)溶液で十分に洗浄して反応しない培養液を除去した。ここにヤギ抗−マウスIgG−ホースラディッシュペルオキシダーゼを加えて1時間かけて室温で反応させた後、TBST溶液で十分に洗浄した。次いで、ペルオキシダーゼ基質溶液(OPD)を加えて反応させ、ELISAリーダーを用いて450nmにおける吸光度を測定することにより、その反応の程度を確認した。

0105

上記のような反応の程度の確認によって、ヒトのFcには結合せず、ヒトのc−Metタンパク質にのみ特異的に高い結合力を有する抗体を分泌するハイブリドーマ細胞株を反復して選別した。反復選別を通じて得たハイブリドーマ細胞株を制限稀釈(limiting dilution)してモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株1個のクローンを最終的に得た。最終選別されたモノクローナル抗体産生ハイブリドーマについては、2009年10月6日付でブダペスト条約下の国際寄託機関である韓国ソウル鍾路区蓮建洞に所在する韓国細胞株研究財団に寄託して受託番号KCLRF−BP−00220が与えられた(韓国公開特許第2011−0047698参照)。また、本明細書では、当該ハイブリドーマによって産生されるマウス抗体を「AbF46」と称する。

0106

1.1.4.モノクローナル抗体の産生および精製
前記参考例1.1.3で得たハイブリドーマ細胞を無血清培地で培養し、培養液からモノクローナル抗体を産生し、精製した。

0107

まず、10%(v/v)FBSが含まれている培養培地(DMEM)培地50mlで培養した前記ハイブリドーマ細胞を遠心分離し、細胞沈殿物を20mlのPBSで2回以上洗浄してFBSが除去された状態で、前記細胞沈殿物を培養培地(DMEM)50mlに再懸濁させ、37℃の二酸化炭素培養器内で3日間培養した。

0108

以降、遠心分離して、抗体を産生する細胞を除去し、抗体が分泌された培養液を分離して、4℃にて保管するか、直ちに集めて抗体の分離精製に使用した。アフィニティーカラム(Protein G agarose column;Pharmacia、USA)を装着したAKTA精製機器(GE Healthcare)を用いて前記準備された培養液50ml〜300mlから抗体を純粋精製した後、タンパク質凝集フィルター(Amicon)を使用してPBSで上層液を置換して精製された抗体を保管し、以降の実施例に使用した。

0109

1.2.c−Metに対するキメラ抗体chAbF46の作製
一般にマウス抗体は治療目的でヒトに注入されると、免疫拒絶反応(immunogenicity)を示す可能性が高いことから、これを解決するために、前記実施例1で作製されたマウス抗体AbF46から、抗原結合に関連した変異領域(variable region)を除いた不変領域(constant region)がヒトIgG1抗体の配列で置換されてなるキメラ抗体chAbF46を作製した。

0110

重鎖に該当するヌクレオチド配列は、「EcoRI−signal sequence−VH−NheI−CH−TGA−XhoI」(配列番号38)から構成され、軽鎖に該当するヌクレオチド配列は、「EcoRI−signal sequence−VL−BsiWI−CL−TGA−XhoI」(配列番号39)から構成されるようにそれぞれデザインして遺伝子を合成した。以降、Invitrogen社のOptiCHOTM Antibody Express Kit(Cat No.12762−019)に含まれているpOptiVECTM−TOPO TA Cloning Kitに前記重鎖に相当するヌクレオチド配列を有するDNA断片(配列番号38)を、pcDNATM3.3−TOPO TA Cloning Kit(Cat No.8300−01)に前記軽鎖に相当するヌクレオチド配列を有するDNA断片(配列番号39)をそれぞれEcoRI(NEB、R0101S)およびXhoI(NEB、R0146S)制限酵素を用いてクローニングすることによって、キメラ抗体の発現のための重鎖を含むベクターおよび軽鎖を含むベクターをそれぞれ構築した。

0111

前記構築されたベクターは、それぞれ、Qiagen Maxiprep kit(Cat No.12662)を用いて増幅され、一過性の発現は、FreestyleTM MAX 293 Expression System(invitrogen)を用いて行った。この際に用いた細胞株は293F細胞であり、FreeStyleTM 293 Expression Mediumを培地として使用して浮遊培養方式で培養を行った。一過性発現の一日前の細胞を5×105細胞/mlの濃度に調製した後、24時間経過後、細胞数が1×106細胞/mlになったときに一過性発現を行った。FreestyleTM MAX reagent(invitrogen)用いたliposomal reagent法で形質導入(transfection)を行い、15mlチューブ(tube)に重鎖DNA:軽鎖DNA=1:1の比率でDNAを準備してOptiProTMSFM(invtrogen)2mlと混合し(チューブA)、さらに別の15mlチューブにFreestyleTM MAX reagent100μlとOptiProTM SFM2mlとを混合(チューブB)した後、(チューブA)と(チューブB)とを混合して15分間インキュベーション(incubation)した。その後、一日前に準備した細胞に混合液を徐々に混合した。形質導入の完了後、37℃、80%湿度、8%CO2、130rpmの培養器内で5日間培養した。

0112

以降、10%(v/v)FBSが添加されたDMEM培地で37℃、5%CO2条件下で5時間培養した後、FBSが添加されていないDMEM培地で48時間にかけて37℃、5%CO2条件下で培養した。

0113

前記培養した細胞を遠心分離して上澄み液をそれぞれ100ml取り、AKTA Prime(GE healthcare)を用いて精製した。AKTA PrimeにProteinAカラム(GE healthcare、17−0405−03)を設置し、培養液を5ml/minの流速で流した後、IgGelution buffer(Thermo Scientific、21004)で溶出させた。得られた溶出物をPBSバッファー交換して最終的にAbF46のキメラ抗体(以下、chAbF46と命名する)を精製した。

0114

1.3.キメラ抗体chAbF46からヒト化抗体huAbF46の作製
1.3.1.重鎖のヒト化(Heavy chain humanization)
H1−heavyおよびH3−heavyの2種のデザインのために、まずIgBlast(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Ig Blast/)を通じて前記参考例1.2で精製されたマウス抗体AbF46のVH遺伝子と最も相同性が高いヒトの生殖腺遺伝子を分析した。その結果、VH3−71がアミノ酸レベルで83%の相同性を有することを確認し、マウス抗体AbF46のCDR−H1、CDR−H2、CDR−H3をカバットナンバリングで定義し、マウス抗体AbF46のCDR部分がVH3−71のフレームワークに導入されるようにデザインした。この際、30番目(S→T)、48番目(V→L)、73番目(D→N)、78番目(T→L)のアミノ酸はもとのマウスAbF46抗体のアミノ酸配列に対して逆突然変異(back−mutation)させた。以降、H1は追加的に83番目(R→K)と84番目(A→T)アミノ酸に突然変異を与えて最終的にH1−heavy(配列番号40)とH3−heavy(配列番号41)を構築した。

0115

H4−heavyのデザインのためにヒト抗体のフレームワーク配列を探索した結果、AbF46抗体のマウスフレームワーク配列と配列が非常に類似していると同時に、既存の最も安定であると知られていたVH3 subtypeを用いてカバットナンバリングで定義されたマウス抗体AbF46のCDR−H1、CDR−H2、CDR−H3を導入した。これを通じてH4−heavy(配列番号42)を構築した。

0116

1.3.2.軽鎖のヒト化(Light chain humanization)
H1−light(配列番号43)およびH2−light(配列番号442)の2種のデザインのために、IgBlast(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Ig Blast/)を通じて、マウス抗体AbF46のVL遺伝子と最も相同性が高いヒト生殖腺遺伝子を分析した。その結果、VK4−1がアミノ酸レベルで75%の相同性を有することを確認し、マウス抗体AbF46のCDR−L1、CDR−L2、CDR−L3をカバットナンバリングで定義し、マウス抗体AbF46のCDR部分がVK4−1のフレームワークに導入されるようにデザインした。この際、H1−lightは、36番目(Y→H)、46番目(L→M)、49番目(Y→I)の3個のアミノ酸を逆突然変異させ、H2−lightは、49番目(Y→I)の1個のみのアミノ酸を逆突然変異させて構築した。

0117

H3−light(配列番号45)のデザインのために、Blast(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/IgBlast/)を通じてマウス抗体AbF46のVL遺伝子と最も相同性が高いヒト生殖腺遺伝子を分析した結果の中で、前記VK4−1以外にVK2−40を選定した。マウス抗体AbF46VLとVK2−40は、アミノ酸レベルで61%の相同性を有することを確認し、マウス抗体AbF46のCDR−L1、CDR−L2、CDR−L3をカバットナンバリングで定義し、マウス抗体AbF46のCDR部分がVK4−1のフレームワークに導入されるようにデザインした。この際、H3−lightは、36番目(Y→H)、46番目(L→M)、49番目(Y→I)の3個のアミノ酸を逆突然変異させて構築した。

0118

H4−light(配列番号46)のデザインのために、ヒト抗体のフレームワーク配列を探索した結果、既存の最も安定であると知られていたVk1 subtypeを用いてカバットナンバリングで定義されたマウス抗体AbF46のCDR−L1、CDR−L2、CDR−L3を導入した。この際、H4−lightは、36番目(Y→H)、46番目(L→M)、49番目(Y→I)の3個のアミノ酸をさらに逆突然変異させて構築した。

0119

以降、Invitrogen社のOptiCHOTM Antibody Express Kit(Cat No.12762−019)に含まれているpOptiVECTM−TOPO TA Cloning Kitに前記重鎖に相当するヌクレオチド配列を有するDNA断片(H1−heavy;配列番号47、H3−heavy;配列番号48、H4−heavy;配列番号49)をpcDNATM3.3−TOPO TA Cloning Kitに、前記軽鎖に相当するヌクレオチド配列を有するDNA断片(H1−light;配列番号50、H2−light;配列番号51、H3−light;配列番号52、H4−light;配列番号53)をそれぞれEcoRI(NEB、R0101S)およびXhoI(NEB、R0146S)制限酵素を使用してクローニングすることによって、ヒト化抗体の発現のためのベクターを構築した。

0120

前記構築されたベクターは、それぞれ、Qiagen Maxiprep kit(Cat No.12662)を用いて増幅され、一過的な発現は、FreestyleTM MAX 293 Expression System(invitrogen)を用いて行った。この際に用いた細胞株は293F細胞であり、FreeStyleTM 293 Expression Mediumを培地として用いて浮遊培養方式で培養を行った。一過性発現一日前の細胞を5×105細胞/mlの濃度に調製した後、24時間経過後、細胞数が1×106細胞/mlになったときに一過性発現を行った。FreestyleTM MAX reagent(invitrogen)を用いたliposomal reagent法で形質導入(transfection)を行い、15mlチューブに重鎖DNA:軽鎖DNA=1:1の比率でDNAを準備してOptiProTMSFM(invtrogen)2mlと混合し(チューブA)、さらに別の15mlチューブにFreestyleTM MAX reagent100μlとOptiProTM SFM2mlを混合(チューブB)した後、(チューブA)と(チューブB)とを混合して15分間インキュベーションした。その後、一日前に準備した細胞に混合液を徐々に混合した。形質導入の完了後、37℃、80%湿度、8%CO2、130rpmの培養器内で5日間培養した。

0121

前記培養した細胞を遠心分離して上澄み液をそれぞれ100ml取り、AKTA Prime(GE healthcare)を用いて精製した。AKTA PrimeにProteinAカラム(GE healthcare、17−0405−03)を設置し、培養液を5ml/minの流速で流した後、IgGelution buffer(Thermo Scientific、21004)で溶出した。これをPBSbufferで交換して最終的にAbF46のヒト化抗体(以下、huAbF46と命名する)を精製した。一方、以降の実施例で用いたヒト化抗体huAbF46の重鎖、軽鎖の組み合わせはH4−heavy(配列番号42)およびH4−light(配列番号46)である。

0122

1.4.huAbF46抗体のscFvライブラリーの作製
huAbF46抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を用いてhuAbF46抗体のscFvを作製するための遺伝子をデザインした。それぞれ重鎖可変領域および軽鎖可変領域を「VH−リンカー−VL」の形態になるようにし、前記リンカーは「GLGGLGGGGSGGGGSGGSSGVGS」(配列番号54)のアミノ酸配列を有するようにデザインした。このようにデザインされたhuAbF46抗体のscFvをコードするポリヌクレオチド(配列番号55)をBioneer社に依頼して合成し、これを発現させるためのベクターのヌクレオチド配列を配列番号56に示した。

0123

以降、前記ベクターから発現した結果物を分析して、c−Metに特異的な結合力を示すことを確認した。

0124

1.5.親和性成熟(affinity maturation)のためのライブラリー遺伝子の作製
1.5.1.標的CDRの選定およびプライマーの作製
huAbF46抗体の親和性成熟のために、6個の相補性決定部位(CDR)を前記作 されたマウス抗体AbF46から「カバットナンバリング」により定義した。それぞれのCDRは下記表1のとおりである。

0125

0126

抗体CDRのランダム配列導入のために次のとおりプライマーを作製した。既存のランダム配列導入方式は、突然変異を与えようとする部位に同一比率の塩基(25%A、25%G、25%C、25%T)が導入されるようにNコドンを用いたが、本実施例ではhuAbF46抗体のCDRにランダムに塩基を導入するために、各CDRのアミノ酸をコードする3個の野生型ヌクレオチド中の1番目と2番目のヌクレオチドの85%はそのまま保存し、残りの3個の塩基をそれぞれ5%ずつ導入する方法を取った。また、3番目のヌクレオチドは同一に(33%G、33%C、33%T)導入されるようにプライマーをデザインした。

0127

1.5.2.huAbF46抗体のライブラリー作製およびc−Metに対する結合力の確認
CDRのランダム配列導入を通じた抗体ライブラリー遺伝子の構築を、前記参考例1.5.1のような方法で作製されたプライマーを用いて行った。鋳型としてhuAbF46抗体のscFvを含むポリヌクレオチドを用いて、図1に示した方法のように2個のPCR断片を作製し、これを重複伸長PCR(overlap extension PCR)方法を通じて、所望のCDRのみがそれぞれ突然変異したhuAbF46抗体のscFvライブラリー遺伝子を得て、作製された6個のCDRをそれぞれ標的とするライブラリーを構築した。

0128

このように作製されたライブラリーは、野生型と各ライブラリーのc−Metに対する結合力を確認しており、それぞれのライブラリーは、野生型に比べてc−Metに対する結合力がだいぶ低くなる傾向を示したが、一部c−Metに対する結合力は維持される突然変異を確認した。

0129

1.6.作製されたライブラリーから親和性が改善された抗体の選別
前記構築されたライブラリーからc−Metに対するライブラリーの結合力を向上させた後、それぞれの個別クローンからscFvの遺伝子配列を分析した。得られた遺伝子配列はそれぞれ下記表2のとおりであり、これをIgG形態で変換した。下記クローンのうち、L3−1、L3−2、L3−3、L3−5から生産された4種の抗体を選別して後続の実験を行った。

0130

0131

1.7.選別された抗体のIgGへの変換
選別された4種の抗体の重鎖をコードするポリヌクレオチドは、「EcoRI−シグナル配列−VH−NheI−CH−XhoI」(配列番号38)から構成され、重鎖の場合、親和性成熟後、抗体のアミノ酸が変更されなかったため、huAbF46抗体の重鎖をそのまま使用した。ただし、ヒンジ領域は、ヒトIgG1のヒンジでなく、U6−HC7ヒンジ(配列番号57)で置換した。軽鎖は、「EcoRI−シグナル配列−VL−BsiWI−CL−XhoI」から構成されるようにそれぞれデザインして遺伝子を合成し、親和性成熟後に選別された前記4種の抗体の軽鎖可変領域を含んでコードするポリヌクレオチド(配列番号58〜配列番号61)をBioneer社に依頼して合成した。以降、Invitrogen社のOptiCHOTM Antibody Express Kit(Cat No.12762−019)に含まれているpOptiVECTM−TOPO TA Cloning Kitに前記重鎖に相当するヌクレオチド配列を有するDNA断片(配列番号38)を、pcDNATM3.3−TOPO TA Cloning Kit(Cat No.8300−01)に前記軽鎖に相当するヌクレオチド配列を有するDNA断片(L3−1由来CDR−L3を含むDNA断片:配列番号58、L3−2由来CDR−L3を含むDNA断片:配列番号59、L3−3由来CDR−L3を含むDNA断片:配列番号60、L3−5由来CDR−L3を含むDNA断片:配列番号61)をそれぞれEcoRI(NEB、R0101S)およびXhoI(NEB、R0146S)制限酵素を用いてクローニングすることによって、親和性成熟した抗体の発現のためのベクターを構築した。

0132

前記構築されたベクターは、それぞれ、Qiagen Maxiprep kit(Cat No.12662)を用いて増幅され、一過性の発現は、FreestyleTM MAX 293 Expression System(invitrogen)を用いて行った。この際に用いた細胞株は293F細胞であり、FreeStyleTM 293 Expression Mediumを培地として用いて浮遊培養方式で培養を行った。一過性発現の一日前の細胞を5×105細胞/mlの濃度に調製した後、24時間経過後、細胞数が1×106細胞/mlになったときに一過性発現を行った。FreestyleTM MAX reagent(invitrogen)を用いたliposomal reagent法で形質導入(transfection)を行い、15mlチューブに重鎖DNA:軽鎖DNA=1:1の比率でDNAを準備してOptiProTMSFM(invtrogen)2mlと混合し(チューブA)、さらに別の15mlチューブにFreestyleTM MAX reagent100μlとOptiProTM SFM2mlとを混合(チューブB)した後、(チューブA)と(チューブB)とを混合して15分間インキュベーションした後、一日前に準備した細胞に混合液を徐々に混合した。形質導入の完了後、37℃、80%湿度、8%CO2、130rpmの培養器内で5日間培養した。

0133

前記培養した細胞を遠心分離して上澄み液をそれぞれ100ml取り、AKTA Prime(GE healthcare)を用いて精製した。AKTA PrimeにProteinAカラム(GE healthcare、17−0405−03)を設置し、培養液を5ml/minの流速で流した後、IgGelution buffer(Thermo Scientific、21004)で溶出した。これをPBSbufferで交換して最終的に親和性成熟した4種の抗体(以下、huAbF46−H4−A1(L3−1由来)、huAbF46−H4−A2(L3−2由来)、huAbF46−H4−A3(L3−3由来)、およびhuAbF46−H4−A5(L3−5由来)と命名する)を精製した。

0134

1.8.不変領域および/またはヒンジ領域が置換されたhuAbF46−H4−A1の製造
前記参考例1.7で選別された4種の抗体のうち、c−Metとの結合親和性が最も高く、Aktリン酸化およびc−Met分化程度が最も低いという測定結果を示したhuAbF46−H4−A1を対象に、ヒンジ領域のみ、または不変領域およびヒンジ領域が置換された抗体を作製した。

0135

huAbF46−H4−A1重鎖可変領域、U6−HC7ヒンジおよびヒトのIgG1不変領域からなる重鎖およびhuAbF46−H4−A1の軽鎖可変領域およびヒトのカッパ(kappa)不変領域からなる軽鎖からなる抗体をhuAbF46−H4−A1(U6−HC7)と命名し;huAbF46−H4−A1の重鎖可変領域、ヒトのIgG2ヒンジおよびヒトのIgG1不変領域からなる重鎖およびhuAbF46−H4−A1の軽鎖可変領域およびヒトのカッパ不変領域からなる軽鎖からなる抗体をhuAbF46−H4−A1(IgG2 hinge)と命名し;huAbF46−H4−A1の重鎖可変領域、ヒトのIgG2ヒンジおよびヒトのIgG2不変領域からなる重鎖およびhuAbF46−H4−A1の軽鎖可変領域およびヒトのカッパ不変領域からなる軽鎖からなる抗体をhuAbF46−H4−A1(IgG2 Fc)と命名した。一方、前記3種の抗体は、生産量増大のためにヒトのカッパ不変領域からなる軽鎖の36番目のヒスチジンを全てチロシン(tyrosine)で置換した。

0136

前記3種の抗体を作製するために、huAbF46−H4−A1の重鎖可変領域、U6−HC7ヒンジおよびヒトのIgG1不変領域からなるポリペプチド(配列番号62)をコードするポリヌクレオチド(配列番号63)、huAbF46−H4−A1の重鎖可変領域、ヒトのIgG2ヒンジおよびヒトのIgG1不変領域からなるポリペプチド(配列番号64)をコードするポリヌクレオチド(配列番号65)、huAbF46−H4−A1の重鎖可変領域、ヒトのIgG2ヒンジおよびヒトのIgG2不変領域からなるポリペプチド(配列番号66)をコードするポリヌクレオチド(配列番号67)、36番目のヒスチジンがチロシンで置換されたhuAbF46−H4−A1の軽鎖可変領域およびヒトのカッパ不変領域からなるポリペプチド(配列番号68)をコードするポリヌクレオチド(配列番号69)をBioneer社に依頼して合成した。以降、Invitrogen社のOptiCHOTM Antibody Express Kit(Cat No.12762−019)に含まれているpOptiVECTM−TOPO TA Cloning Kitに前記重鎖に相当する塩基配列を有するDNA断片を挿入し、また、pcDNATM3.3−TOPO TA Cloning Kit(Cat No.8300−01)に前記軽鎖に相当する塩基配列を有するDNA切片を挿入して、前記抗体の発現のためのベクターを構築した。

0137

前記構築されたベクターは、それぞれ、Qiagen Maxiprep kit(Cat No.12662)を用いて増幅され、一過性の発現は、FreestyleTM MAX 293 Expression System(invitrogen)を用いて行った。この際に用いた細胞株は293F細胞であり、FreeStyleTM 293 Expression Mediumを培地として用いて浮遊培養方式で培養を行った。一過性発現の一日前の細胞を5×105細胞/mlの濃度に調製した後、24時間経過後、細胞数が1×106細胞/mlになったときに一過性発現を行った。FreestyleTM MAX reagent(invitrogen)を用いたliposomal reagent法で形質導入(transfection)を行い、15mlチューブに重鎖DNA:軽鎖DNA=1:1の比率でDNAを準備してOptiProTMSFM(invtrogen)2mlと混合し(チューブA)、さらに別の15mlチューブにFreestyleTM MAX reagent100μlとOptiProTM SFM2mlを混合(チューブB)した後、(チューブA)と(チューブB)とを混合して15分間インキュベーションした後、一日前に準備した細胞に混合液を徐々に混合した。形質導入の完了後、37℃、80%湿度、8%CO2、130rpmの培養器内で5日間培養した。

0138

前記培養した細胞を遠心分離して上澄み液をそれぞれ100ml取り、AKTA Prime(GE healthcare)を用いて精製した。AKTA PrimeにProteinAカラム(GE healthcare、17−0405−03)を設置し、培養液を5ml/minの流速で流した後、IgGelution buffer(Thermo Scientific、21004)で溶出した。これをPBSbufferで交換して最終的に3種の抗体(huAbF46−H4−A1(U6−HC7)、huAbF46−H4−A1(IgG2 hinge)、huAbF46−H4−A1(IgG2 Fc))を精製した。このうち、本発明による抗c−Met抗体を代表してhuAbF46−H4−A1(U6−HC7)およびhuAbF46−H4−A1(IgG2 Fc)を選択して下記の実施例に使用し、便宜上、前記抗体をそれぞれ抗c−Met抗体L3−1Y(huAbF46−H4−A1(U6−HC7)および抗c−Met抗体L3−1Y IgG2(uAbF46−H4−A1(IgG2 Fc))と命名した。

0139

1.9.huAbF46抗体のエピトープマッピング(mapping)のためのペプチド作製
(1)エピトープマッピング
1)huAbF46抗体のエピトープマッピングのためのペプチド作製
c−MetのSEMAドメインを含む543個のアミノ酸配列および構造は、PDB(Protein Database)ID:1UZYに示されており、これらアミノ酸配列に基づいてCLIPS(Chemically Linked Peptides on Scaffolds)技術を用いて構造的エピトープ(conformational eptitope)と不連続的エピトープ(discontinuous epitope)を作成可能な6063個の他の配列がデザインされ合成された(Timmerman et al., 2007 Functional reconstruction and synthetic mimicry of a conformational epitope using CLIPSTMtechnology.J.Mol.Recognit.20:283−00)。ペプチドアレイ(Peptide array)作製の過程を詳しく説明すると、CLIPS技術は、既存の典型的な方法である約15個のアミノ酸長を有する線状ペプチド以外にCLIPS(Chemically Linked Peptides on Scaffolds)と呼ばれる‘PepScan’社固有の構造を有するペプチドを作製する方法であって、huAbF46抗体を対象に線状ペプチドおよびCLIPSペプチドの全てに対して結合力を測定した。CLIPSペプチド中のT2 CLIPSペプチドは、2個のシステインがループ(loop)を形成した構造を人為的にペプチドに付与し、T3 CLIPSペプチドは、3個のシステインがループを形成した構造をペプチドに付与する。また、T2T3またはT2T2のような結合型ペプチドを作製することもできる。

0140

エピトープマッピングのために総6063個のペプチドを作製し(ペプチドアレイの作製はPepScan社に依頼)、1〜529番のペプチドは、典型的な線状ペプチドであって、一部領域がオーバーラッピング(overlapping)されるように15個のアミノ酸長で作製された。530〜1058番のペプチドは、T2 CLIPSペプチドに1〜529番のペプチドを導入して作製した。1059〜2014番のペプチドは、T3 CLIPSペプチドに15個のアミノ酸を有するペプチド2個を連結して総956個を作製した。2015〜6063番ペプチドは、8乃至35個のアミノ酸残基を有するペプチドグループ間の結合を通じて線状および非連続的な構造を有するエピトープを探すためのペプチドで、総4048個が作製された。

0141

例えば、T2 CLIPSペプチドを含むペプチドアレイは、次のような方法で作製する。0.5mMのT2 CLIPSペプチドが含まれている1,3−ビスブロモメチルベンゼン溶液アンモニウムビカーボネート(20mM、pH7.9)/アセトンニトリル(1:1(v/v))に溶解させ、前記結果物溶液をペプチドアレイに添加した。前記CLIPS鋳型は、ペプチドアレイ(3ulのウェルを有する455個のウェルプレート)の固相結合されたペプチド内に存在する2個のシステインの側鎖に結合する。前記溶液が完全に覆われるように30〜60分間かけて前記溶液内でペプチドアレイを徐々に振る。最後に、前記ペプチドアレイを過量の水で十分に洗浄し、PBS(pH7.2)内に1%SDS/0.1%β−メルカプトエタノールが含まれている破砕緩衝液で30分間かけて70℃の温度条件で超音波粉砕した後、45分間水で追加的に超音波粉砕を行った。T3 CLIPSペプチドは、前記方法と同一であるが、3個のシステインの側鎖に結合するようにする。

0142

前記ペプチドを用いてELISAを通じてエピトープマッピングを行った結果、huAbF46の核心エピトープは、c−Metタンパク質の168番目アミノ酸から171番目アミノ酸からなるペプチドであるEEPSQ(配列番号73)であることを確認することができた。

0143

2)huAbF46抗体のエピトープマッピング(mapping)のためのELISA分析
エピトープマッピングのために総529個の線状ペプチドおよびCLIPSペプチドを用いてPEPSCANベースのELISA分析を行った。前記ペプチドは、5%ブロッキング溶液(4%卵アルブミン(ovalbumin)、5%ウマ血清および1%のTween80)を用いて30分間常温で反応させた。以降、1%のTween80が添加されたPBSで4℃で一晩中反応させた1〜100μg/ml範囲のhuAbF46抗体を前記ペプチドに反応させた後、洗浄した。以降、ウサギ抗ヒツジ抗体(SIGMA)で処理し、PBSで洗浄した後、ペルオキシダーゼが付着されたブタ抗ウサギ抗体(SIGMA)で処理し、PBSで洗浄した。以降、3%のH2O2に2μl/mlのペルオキシダーゼ2,2’−アジノ−ジ−3−エチルベンズチアゾリンスルホネート(ABTS)(SIGMA)で処理し、1時間後に発色反応を測定した。

0144

その結果、図15に示されるように、線状ペプチドおよびCLIPSペプチドの全てにおいて、「EEPSQ」配列(配列番号73)を含むペプチドのみで特異的なELISA陽性反応を示し、そのため、前記huAbF46は、c−Metの線状エピトープおよび構造エピトープ(conformational epitope)を全て認識する抗体であることを確認することができた。

0145

また、前記「EEPSQ」(配列番号73)エピトープの中で一部の肺癌患者または卵巣癌患者で発見されることが知られているc−Met SEMA部位の代表的な突然変異であるE168D変異が形成されたポリペプチドを用いて上記と同様な方法でELISAを行った結果、下記表3のような結果を得た。

0146

0147

前記結果から、huAbF46抗体はE168D変異を有するc−Met SEMAには結合できず、したがって、前記抗体は癌発病情報を提供するための診断方法利用可能であることを意味する。

0148

3)huAbF46抗体のエピトープマッピングの結果分析
前記実験から、huAbF46抗体は、c−Metタンパク質の168番目アミノ酸から171番目のアミノ酸からなるペプチドの「EEPSQ」配列を含む線状ペプチドおよびCLIPSペプチドの全てにおいて、非特異的な反応なしに特異的な結合反応を示した。これはhuAbF46抗体がc−Metタンパク質中の線状エピトープおよび構造的エピトープ(conformational epitope)の全てに結合することを意味し、これを分子構造の側面から確認すると(PyMOL1.4.1(www.pymol.org)、Cn3D 4.1(NCBI))、図16に示したように、huAbF46抗体のエピトープは、SEMAドメインに位置し、HGFの結合部位でも、直接的な結合部位と近い方のループ(loop)に相当する位置であることを確認することができた。

0149

(2)Full Positional Scanning結果分析
EEPSQ配列の各アミノ酸部位を元来のアミノ酸でない他の20種のアミノ酸で置換し、これらそれぞれのペプチドがhuAbF46抗体との結合力に如何なる変化が発生するかを7種のペプチドアレイを通じて詳細に分析した。

0150

分析の結果、EEPSQのアミノ酸配列中のいずれのアミノ酸が前記抗体の結合に重要であるかを確認し、特に前段のEEP配列が抗体の結合に非常に重要な要素であることを確認することができた。

0151

1.10.SEMAドメインの突然変異によるhuAbF46抗体の結合力分析
EEPSQ配列の各アミノ酸部位または5個のアミノ酸全体を元来のアミノ酸でないアラニンで置換し、これらそれぞれのペプチド(「AAAAA」、「AEPSQ」、「EAPSQ」、「EEASQ」、「EEPSQ」、「EEPSA」、配列番号132〜配列番号137)とhuAbF46抗体の結合力をBiacore(GE healthcare)を用いて測定した。CM5チップ上にhuAbF46抗体を約80〜110RUだけ固定させた後、抗原である前記配列番号132〜配列番号137のペプチドを100nMから0.39nMまでの濃度範囲内で互いに異なる9個の濃度で、且つ30μl/minの速度で注入して、下記表4のようにkon値とkoff値を求め、これからKD値を計算した。その結果、アミノ酸が置換されたペプチドにはhuAbF46抗体が結合できず、このような結果を通じて「EEPSQ」配列がhuAbF46抗体における必須のエピトープであることを確認することができた。

0152

0153

参考例2:抗EGFRscFvの作製
EGFRに結合する抗体の配列は、抗EGFR抗体のscFv配列に基づいて重鎖可変部位と軽鎖可変部位の間に(G4S)3リンカーペプチドを入れて作製した。具体的に、自動化遺伝子合成(Bioneer社に依頼)でヒト化抗EGFR抗体の重鎖可変部位(配列番号109)コードDNA配列(配列番号110)と軽鎖可変部位(配列番号111)コードDNA配列(配列番号112)との間に(GGGGS)3リンカーペプチドコードDNA配列を添加して抗EGFR抗体のscFvをコードするDNAを合成した。

0154

一方、重鎖可変部位(配列番号109)の51番目のアミノ酸FをIで置換し、62番目のアミノ酸QをSで置換し、軽鎖可変部位(配列番号111)の46番目のアミノ酸RをLで置換し、83番目のアミノ酸FをEで置換したことを除いては、上記と同様な方法で1次変形された抗EGFRscFvを作製した。このような変形で抗体の熱安定性を増進させることができる。また、前記1次変形に重鎖の44番目のアミノ酸および軽鎖の100番目のアミノ酸をCで置換することを加えて2次変形された抗EGFR scFvを作製した。具体的に、重鎖可変部位(配列番号109)の51番目のアミノ酸FをIで置換し、44番目のアミノ酸GをCで置換し、62番目のアミノ酸QをSで置換し、軽鎖可変部位(配列番号111)の46番目のアミノ酸RをLで置換し、83番目のアミノ酸FをEで置換し、100番目のアミノ酸GをCで置換したことを除いては、上記と同様な方法で2次変形された抗EGFR scFv(重鎖可変部位:配列番号113;軽鎖可変部位:配列番号114)を作製した。このような変形で安定化ジスルフィド結合が導入されて抗体の生体内薬物動態学的特性(pharmacokinetics)を改善させることができる。なお、前記抗体内のアミノ酸の位置は、カバットナンバリングに従った。

0155

このようにして得られた抗EGFRscFv、または1次もしくは2次変形された抗EGFR scFvを下記の二重特異性抗体の作製に使用した。

0156

参考例3:抗HER2 scFvの作製
Her2に結合するscFv抗体の配列は、トラスツズマブ(ハーセプチン)の配列に基づいて重鎖可変部位と軽鎖可変部位との間にペプチドリンカー(G4S)3を入れて作製した。具体的に、自動化遺伝子合成(Bioneer社)で抗HER2抗体(ハーセプチン)の重鎖可変部位(配列番号115)コードDNA配列(配列番号116)と軽鎖可変部位(配列番号117)コードDNA配列(配列番号118)との間に(GGGGS)3リンカーコードDNA配列を添加して抗HER2抗体のscFvコードDNAを合成した。

0157

0158

このようにして得られた抗HER2抗体のscFv(抗HER2 scFv)を下記の二重特異性抗体の作製に使用した。

0159

実施例1:二重特異性抗体の作製
1.1.抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体の作製
前記参考例1で作製された抗cMet抗体L3−1YIgG2のFcのC末端に前記参考例2で作製された抗EGFR scFvまたは1次もしくは2次変形された抗EGFR scFvを融合した。その融合過程は次のとおりである。

0160

Invitrogen社のOptiCHOTM Antibody Express Kit(Cat No.12762−019)に含まれているpcDNATM3.3−TOPO TA Cloning Kit(Cat No.8300−01)にEcoRIおよびXhoI制限部位を用いて前記参考例1で作製された抗cMet抗体L3−1Y−IgG2の重鎖に該当する塩基配列を有するDNA断片を挿入し、pOptiVECTM−TOPO TA Cloning Kitに前記軽鎖に該当するDNA断片を挿入した。以降、pcDNATM3.3に挿入されたL3−1Y−IgG2のFcのC末端に前記参考例2で作製された抗EGFRscFvを(G4S)2からなる10個のアミノ酸長を有するリンカーペプチドを用いて融合することによって二重特異性抗体の発現のためのベクターを構築した。

0161

前記構築されたベクターは、それぞれ、Qiagen Maxiprep kit(Cat No.12662)を用いて増幅され、一過性の発現を、FreestyleTM MAX 293 Expression System(invitrogen)を用いて行った。この際に用いた細胞株は293F細胞であり、FreeStyleTM 293 Expression Mediumを培地として用いて浮遊培養方式で培養を行った。一過性発現の一日前の細胞を5×105細胞/mlの濃度に調製した後、24時間経過後、細胞数が1×106細胞/mlになったときに一過性発現を行った。FreestyleTM MAX reagent(invitrogen)を用いたliposomal reagent法で形質導入(transfection)を行い、15mlチューブに重鎖DNA:軽鎖DNA=1:1の比率でDNAを準備してOptiProTMSFM(invtrogen)2mlと混合し(チューブA)、さらに別の15mlチューブにFreestyleTM MAX reagent100μlとOptiProTM SFM2mlを混合(チューブB)した後、(チューブA)と(チューブB)とを混合して15分間インキュベーションした後、一日前に準備した細胞に混合液を徐々に混合した。形質導入の完了後、37℃、80%湿度、8%CO2、130rpmの培養器内で5日間培養した。
前記培養した細胞を遠心分離して上澄み液をそれぞれ100ml取り、AKTA Prime(GE healthcare)を用いて精製した。AKTA PrimeにProteinAカラム(GE healthcare、17−0405−03)を設置し、培養液を5ml/minの流速で流した後、IgGelution buffer(Thermo Scientific、21004)で溶出した。これをPBSbufferで交換して最終的に抗cMet/抗EGFR二重特異性抗体を精製した。

0162

前記作製された抗c−Met抗体L3−1Y−IgG2のC末端に抗EGFRscFvが融合された抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体をME−01と命名し、L3−1Y−IgG2のc−末端に前記1次変形された抗EGFR scFvが融合された抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体をME−03と命名し、L3−1Y−IgG2のc−末端に前記2次変形された抗EGFR scFvが融合された抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体をME−03Sと命名した。

0163

前記作製された抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体の2種の抗原(cMet/EGFR)に対するそれぞれの親和性をBiacore T100(GE)を用いて確認した。ヒトFab結合剤(GE healthcare)をCM5チップ(♯BR−1005−30、GE)の表面に製造会社の説明書に従って固定化させた。約90〜120RUのME03Sを捕捉し、多様な濃度のc−Met−Fc(♯358−MT/CF、R&D Systems)またはEGFR−Fc(♯344−ER、R&D Systems)を前記捕捉された抗体に注入した。ここに10mMのグリシン−HCl(pH1.5)溶液を注入して前記表面を再生させた。親和性を測定するために、前記実験で得られたデータをBIAevaluation software(GE healthcare、Biacore T100 evaluation software)を用いてフィッティングした。

0164

前記得られた結果を下記の表5に示した。

0165

0166

表5に示したように、前記製造された抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体は、2種の抗原に全て結合することを確認することができた。

0167

1.2.抗c−Met/抗HER2二重特異性抗体の作製
前記参考例1で作製された抗cMet抗体L3−1Y−IgG2(uAbF46−H4−A1(IgG2 Fc))のFcのC末端に前記参考例3で作製された抗HER2 scFvを融合した。その融合過程は次のとおりである。

0168

Invitrogen社のOptiCHOTM Antibody Express Kit(Cat No.12762−019)に含まれているpcDNATM3.3−TOPO TA Cloning Kit(Cat No.8300−01)にEcoRIおよびXhoI制限部位を用いて前記参考例1で作製された抗cMet抗体L3−1Y−IgG2の重鎖に相当する塩基配列(配列番号66)を有するDNA断片を挿入し、pOptiVECTM−TOPO TA Cloning Kitに前記抗cMet抗体L3−1Y−IgG2の軽鎖に相当する塩基配列(配列番号68)を有するDNA断片を挿入した。以降、pcDNATM3.3に挿入されたL3−1Y−IgG2のFcのC末端に前記参考例3で作製された抗HER2 scFvコードDNAを(GGGGS)2からなるペプチドリンカーのコードDNA配列を用いて融合することによって二重特異性抗体の発現のためのベクターを構築した。

0169

前記構築されたベクターをそれぞれQiagen Maxiprep kit(Cat No.12662)を用いて増幅し、一過性の発現を、FreestyleTM MAX 293 Expression System(invitrogen)を用いて行った。この際に用いた細胞株は293F細胞であり、FreeStyleTM 293 Expression Mediumを培地として用いて浮遊培養方式で培養を行った。一過性発現の一日前の細胞を5×105細胞/mlの濃度に調製した後、24時間経過後、細胞数が1×106細胞/mlになったときに一過性発現を行った。FreestyleTM MAX reagent(invitrogen)を用いたliposomal reagent法で形質導入(transfection)を行い、15mlチューブに重鎖DNA:軽鎖DNA=3:2の比率でDNAを準備してOptiProTMSFM(invtrogen)の2mlと混合し(チューブA)、さらに別の15mlチューブにFreestyleTM MAX reagent100μlとOptiProTM SFM2mlを混合(チューブB)した後、(チューブA)と(チューブB)とを混合して15分間インキュベーションした後、一日前に準備した細胞に混合液を徐々に混合した。形質導入の完了後、37℃、80%湿度、8%CO2、130rpmの培養器内で5日間培養した。

0170

前記培養した細胞を遠心分離して上澄み液をそれぞれ100ml取り、AKTA Prime(GE healthcare)を用いて精製した。AKTA PrimeにProteinAカラム(GE healthcare、17−0405−03)を設置し、培養液を5ml/minの流速で流した後、IgGelution buffer(Thermo Scientific、21004)で溶出した。これをPBSbufferで交換して最終的に抗cMet/抗HER2二重特異性抗体を精製した。

0171

前記作製された抗c−Met抗体L3−1Y−IgG2のC末端に抗HER2 scFvが融合された抗c−Met/抗HER2二重特異性抗体をMH2−01と命名した。

0172

前記作製された抗c−Met/抗HER2二重特異性抗体の2種の抗原(cMet/Her2)に対するそれぞれの親和性をBiacore T100(GE)を用いて確認した。ヒトFab結合剤(GE healthcare)をCM5チップ(♯BR−1005−30、GE)の表面に製造会社の説明書に従って固定化させた。約90〜120RUのMH2−01を捕捉し、多様な濃度のc−Met−Fc(♯358−MT/CF、R&D Systems)またはHer2−Fc(1129−ER、R&D Systems)を前記捕捉された抗体に注入した。ここに10mMのグリシン−HCl(pH1.5)溶液を注入して前記表面を再生させた。親和性を測定するために、前記実験で得られたデータをBIAevaluation software(GE healthcare、Biacore T100 evaluation software)を用いてフィッティングした。

0173

前記得られた結果を表6に示した。

0174

0175

表6に示したように、前記実施例1で作製された二重特異性抗体MH2−01は、c−MetとHer2に全て結合することが確認された
実施例2:二重特異性抗体のc−Met分解
前記実施例1.1および1.2で作製された抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体および抗c−Met/抗HER2二重特異性抗体の癌細胞の増殖抑制効果を胃癌細胞株であるMKN45を用いて確認した。

0176

全ての細胞株は、RPMI1640培地(♯11875−093、Gibco)に10%(v/v)FBSと1%(v/v)ペニシリンストレプトマイシンを添加して5%CO2および37℃の条件で培養した。

0177

前記実施例1.1および1.2で作製された抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体のc−Metタンパク質の分解の程度を確認するために、相対的な総c−Met量を測定した。相対的な総c−Met量を測定するのは、抗体がc−Metに結合して内在化を起こしてc−Metの分解を引き起こすという事実を利用して、総c−Met量の増減を把握することにより抗体の効能を検査するためである。

0178

まず、MKN45胃癌細胞(医薬基盤研究所 JCRB細胞バンク)2×105細胞/mlと前記実施例1で作製された抗体5μg/mlを96ウェルプレートに同時にアプライした後、24時間培養した。以降、抗体で処理された細胞を溶解させ、Human totalHGFR/c−METELISAKIT(R&D Systems、DYC358)を用いて総c−Met量の変化を測定した後に分析した。

0179

前記得られた結果を図4に示した。図4に示されているように、c−Metが過発現される細胞であるMKN45胃癌細胞株を抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体ME−01およびME−03で処理することによって、c−Metの86.8%および88.4%が分解されることが観察された。また、抗c−Met/抗Her二重特異性抗体MH2−01で処理することによって、c−Metの約80%が分解されることが観察された。これは前記二重特異性抗体中の抗c−Metドメインである抗c−Met抗体L3−1YおよびL3−1YIgG2を単独処理した場合のc−Met分解活性と比較して顕著に増進されたものである。このような結果は、抗c−Met抗体が抗EGFR抗体(scFv)または抗HER2抗体(scFv)との融合により上昇したc−Met分解活性を有することを示す。

0180

実施例3:抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体によるEGFRの細胞内移動および分解
MKN45細胞株(医薬基盤研究所 JCRB細胞バンク)を2×104細胞/ウェルの量で準備し、ここにL3−1Y−IgG2(参考例1)、抗EGFRモノクローナル抗体(下記参照)、および抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体ME−03(実施例1.1)をそれぞれ単独処理または併用処理の方法で各ウェル当たり5μg/mlの濃度になるように添加して4時間かけて37℃で処理した。併用投与の場合にも各抗体を5μg/mlの濃度で添加した。対照群として、抗体処理なしにPBSのみを処理した群を準備した。ここに4%(v/v)ホルムアルデヒドを15分間処理して細胞をプレートに固定させ、PBSで3回洗浄した。その後、ブロッキングバッファー(0.5%のtriton x−100および5%のロバ血清)を常温で1時間処理した。その後、c−Met(FAB3582A、R&D Systems)およびEGFR(♯5616、Cell signaling)に対する1次抗体を1:100に希釈して100μlの量で15時間かけて4℃で処理した。PBSで3回洗浄した後、2次抗体(A21433、Invitrogen)を1:2000で希釈して100μlの量で1時間かけて常温で処理し、再びPBSで3回洗浄してDAPIが含まれているmounting medium(H−1200、Vector lab)でプレートを準備した。前記準備された細胞を共焦点顕微鏡(Zeiss、LSM710)で細胞を観察した。

0181

前記抗EGFRモノクローナル抗体(anti−EGFR ab)は、EGFRを認識するscFv−Fc抗体であって、前記参考例2に記載された配列番号109の重鎖可変部位と配列番号111の軽鎖可変部位とをIgG2 FcのN末端に融合させて作製したものである。

0182

前記得られた結果を図5に示した。図5に示されているように、細胞膜上にc−Metが過発現された状態で抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体を処理すると(右側)、標的細胞膜タンパク質であるEGFRが細胞内に移動および分解されることが観察された。一方、c−Metに対するモノクローナル抗体を処理した場合には、EGFRの細胞内移動は観察されなかった。また、EGFRに対するモノクローナル抗体(anti−EGFR ab)処理によっても何ら変化がなかった。これは抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体によって細胞膜に位置するEGFRが細胞内に移動して分解されることを裏付ける結果である。

0183

一方、二重特異性抗体の効能を各抗体を併用投与する場合と比較するために、前記製造された抗EGFRモノクローナル抗体(anti−EGFR ab)、L3−1Y−IgG2(参考例1)、および抗c−Met/抗EGFR二重特異性抗体ME−03(実施例1.1)をそれぞれ単独処理または併用処理の方法で各ウェル当たり5μg/mlの濃度になるように(併用投与の場合、各抗体の濃度がそれぞれ5μg/mlになるように添加)処理し、前記図5の結果を得た方法と同様な方法で実験を行った。

0184

前記得られた結果を図6に示した。図6に示されているように、c−Met抗体とEGFR抗体とを融合二重特異性抗体の形態でなく、単純に複合して処方する場合には、EGFRの細胞内移動および分解が誘発されない反面、抗cMet/抗EGFR二重特異性抗体(ME−03)で処理した場合には、EGFRの細胞内移動および分解が誘発されることが確認された。これは、EGFRの細胞内移動および分解が誘発される理由は、ドライバーとして作用するc−Metと抗cMet/EGFR二重特異性抗体(ME−03)を用いた細胞膜タンパク質除去システムが作用したためと説明されうる。反面、それぞれのモノクローナル抗体を併用処理する場合にはEGFRの細胞内位置には何ら変化がなく、c−Metモノクローナル抗体(L3−1Y−IgG2)処理時にはc−Metのみが細胞内に移動/分解されるのが観察される。

0185

MKN45胃癌細胞株での多様な抗c−Met抗体、抗EGFR抗体、およびこれらの併用処理と、抗c−Met/EGFR二重特異性抗体の処理時の細胞膜タンパク質(EGFRおよびc−Met)の細胞内位置変化を観察した。

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