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技術 劣化診断方法、劣化診断装置及びプログラム

出願人 株式会社システム・ジェイディー
発明者 伊達博
出願日 2013年7月24日 (6年11ヶ月経過) 出願番号 2013-153745
公開日 2015年2月5日 (5年4ヶ月経過) 公開番号 2015-026446
状態 未査定
技術分野 二次電池の保守(充放電、状態検知)
主要キーワード 曲線近似式 劣化診断手法 減衰度合い 劣化箇所 極入力 正極入力 定期診断 印加ステップ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

リチウムイオン電池等の二次電池劣化を、より簡易診断することが可能な劣化診断方法等を提供する。

解決手段

二次電池の劣化を診断する劣化診断方法であって、二次電池の正極及び/又は負極に入力信号印加し、入力信号の反射波であって入力信号を印加した側の電極から出力される反射波を出力信号として観測する観測ステップと、出力信号の観測結果に基づいて二次電池の劣化を診断する診断ステップを含む。二次電池の劣化によって生じる反射波に着目することにより、簡易に二次電池の劣化を診断することが可能になる。

概要

背景

二次電池蓄電池)は、外部から供給された電気エネルギー電極及び電解質の反応エネルギーとして吸収し、負荷を接続すれば逆反応によって電気エネルギーを放出するという繰り返しが可能な装置である。二次電池としては、近年、リチウムイオン電池が盛んに利用されるようになっている。リチウムイオン電池は、例えば、電気自動車など多くのシステム活用されており、大容量化が進んでいる。

リチウムイオン電池は、過充電暴走外部短絡、BMS発熱などの対策が必要である。そのため、リチウムイオン電池は、その劣化現象非破壊かつ稼働状態診断し、その耐久性を評価し、保証することが求められている。

例えば、特許文献1には、リチウムイオン電池のインピーダンスの情報に基づいて、負極に生じ劣化の原因となるSEI膜の状態を判定することが記載されている。

概要

リチウムイオン電池等の二次電池の劣化を、より簡易に診断することが可能な劣化診断方法等を提供する。 二次電池の劣化を診断する劣化診断方法であって、二次電池の正極及び/又は負極に入力信号印加し、入力信号の反射波であって入力信号を印加した側の電極から出力される反射波を出力信号として観測する観測ステップと、出力信号の観測結果に基づいて二次電池の劣化を診断する診断ステップを含む。二次電池の劣化によって生じる反射波に着目することにより、簡易に二次電池の劣化を診断することが可能になる。

目的

そこで、本願発明は、リチウムイオン電池等の二次電池の劣化を、より簡易に診断することが可能な劣化診断方法等を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

二次電池劣化診断する劣化診断方法であって、前記二次電池の正極及び/又は負極に入力信号印加し、前記入力信号反射波であって前記入力信号を印加した側の電極から出力される反射波を出力信号として観測する観測ステップと、前記出力信号の観測結果に基づいて前記二次電池の劣化を診断する診断ステップを含む劣化診断方法。

請求項2

前記観測ステップにおいて、前記入力信号が印加される前記二次電池の電極とは反対側の電極には、前記入力信号を減衰して反射させない減衰手段が接続されており、前記入力信号を印加した側の電極から前記出力信号が出力されるか否かが観測され、前記診断ステップにおいて、前記出力信号が観測されない場合、前記二次電池は劣化していないと診断される、請求項1記載の劣化診断方法。

請求項3

前記二次電池は、リチウムイオン電池であり、前記観測ステップにおいて、前記正極が開放端の状態で前記入力信号を前記負極に印加して前記負極から出力される前記出力信号を観測すると共に、前記負極が開放端の状態で前記入力信号を前記正極に印加して前記正極から出力される前記出力信号を観測し、前記診断ステップにおいて、前記正極からの出力信号の観測結果と前記負極からの出力信号の観測結果とを比較して前記リチウムイオン電池の劣化の有無を診断する、請求項1記載の劣化診断方法。

請求項4

前記診断ステップにおいて、前記正極から入力信号を印加してから出力信号が観測されるまでの時間と、前記負極から入力信号を印加してから出力信号が観測されるまでの時間とが異なれば、前記リチウムイオン電池は少なくとも一方の電極で劣化していると診断する、請求項3記載の劣化診断方法。

請求項5

前記観測ステップにおいて、印加される前記入力信号は、異なる周波数成分を有するものであり、及び/又は、異なる周波数の複数のものであり、前記診断ステップにおいて、前記入力信号に対する観測結果に基づいて、前記二次電池の劣化の有無、及び、劣化がある場合にその度合いを診断する、請求項1から4のいずれかに記載の劣化診断方法。

請求項6

二次電池の劣化を診断する劣化診断装置であって、前記二次電池の正極及び/又は負極に入力信号を印加する印加手段と、前記入力信号の反射波であって前記入力信号を印加した側の電極から出力される反射波を出力信号として観測する観測手段と、前記出力信号の観測結果に基づいて前記二次電池の劣化を診断する診断手段を備える劣化診断装置。

請求項7

コンピュータを、二次電池の正極及び/又は負極に印加された入力信号の反射波である出力信号の観測結果に基づいて前記二次電池の劣化を診断する診断手段として機能させるためのプログラム

技術分野

0001

本願発明は、劣化診断方法劣化診断装置及びプログラムに関し、特に、二次電池劣化診断する劣化診断方法等に関する。

背景技術

0002

二次電池(蓄電池)は、外部から供給された電気エネルギー電極及び電解質の反応エネルギーとして吸収し、負荷を接続すれば逆反応によって電気エネルギーを放出するという繰り返しが可能な装置である。二次電池としては、近年、リチウムイオン電池が盛んに利用されるようになっている。リチウムイオン電池は、例えば、電気自動車など多くのシステム活用されており、大容量化が進んでいる。

0003

リチウムイオン電池は、過充電暴走外部短絡、BMS発熱などの対策が必要である。そのため、リチウムイオン電池は、その劣化現象非破壊かつ稼働状態で診断し、その耐久性を評価し、保証することが求められている。

0004

例えば、特許文献1には、リチウムイオン電池のインピーダンスの情報に基づいて、負極に生じ劣化の原因となるSEI膜の状態を判定することが記載されている。

先行技術

0005

特開2011−252930号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、特許文献1記載の手法は、インピーダンスのナイキストプロット上の反応円弧の形状等に着目するものであり、複雑な演算によってリチウムイオン電池の状態を判定するものである。

0007

インピーダンスのナイキストプロットのような曲線は、リチウムイオン電池に用いる材料(電極材料溶媒活物質など)が異なれば変化する。そのため、測定対象となるリチウムイオン電池ごとに演算式を変更して曲線近似試みる必要があり、手間がかかる。

0008

劣化現象を非破壊かつ稼働状態で簡易に診断することは、リチウムイオン電池に限らず、二次電池一般に対して、求められているものである。

0009

そこで、本願発明は、リチウムイオン電池等の二次電池の劣化を、より簡易に診断することが可能な劣化診断方法等を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明の第1の観点は、二次電池の劣化を診断する劣化診断方法であって、前記二次電池の正極及び/又は負極に入力信号印加し、前記入力信号反射波であって前記入力信号を印加した側の電極から出力される反射波を出力信号として観測する観測ステップと、前記出力信号の観測結果に基づいて前記二次電池の劣化を診断する診断ステップを含む劣化診断方法である。

0011

本願発明の第2の観点は、第1の観点の劣化診断方法であって、前記観測ステップにおいて、前記入力信号が印加される前記二次電池の電極とは反対側の電極には、前記入力信号を減衰して反射させない減衰手段が接続されており、前記入力信号を印加した側の電極から前記出力信号が出力されるか否かが観測され、前記診断ステップにおいて、前記出力信号が観測されない場合、前記二次電池は劣化していないと診断される。

0012

本願発明の第3の観点は、第1の観点の劣化診断方法であって、前記二次電池は、リチウムイオン電池であり、前記観測ステップにおいて、前記正極が開放端の状態で前記入力信号を前記負極に印加して前記負極から出力される前記出力信号を観測すると共に、前記負極が開放端の状態で前記入力信号を前記正極に印加して前記正極から出力される前記出力信号を観測し、前記診断ステップにおいて、前記正極からの出力信号の観測結果と前記負極からの出力信号の観測結果とを比較して前記リチウムイオン電池の劣化の有無を診断する。

0013

本願発明の第4の観点は、第3の観点の劣化診断方法であって、前記診断ステップにおいて、前記正極から入力信号を印加してから出力信号が観測されるまでの時間と、前記負極から入力信号を印加してから出力信号が観測されるまでの時間とが異なれば、前記リチウムイオン電池は少なくとも一方の電極で劣化していると診断する。

0014

本願発明の第5の観点は、第1から第4のいずれかの観点の劣化診断方法であって、前記観測ステップにおいて、印加される前記入力信号は、異なる周波数成分を有するものであり、及び/又は、異なる周波数の複数のものであり、前記診断ステップにおいて、前記入力信号に対する観測結果に基づいて、前記二次電池の劣化の有無、及び、劣化がある場合にその度合いを診断する。

0015

本願発明の第6の観点は、二次電池の劣化を診断する劣化診断装置であって、前記二次電池の正極及び/又は負極に入力信号を印加する印加手段と、前記入力信号の反射波であって前記入力信号を印加した側の電極から出力される反射波を出力信号として観測する観測手段と、前記出力信号の観測結果に基づいて前記二次電池の劣化を診断する診断手段を備える劣化診断装置である。

0016

本願発明の第7の観点は、コンピュータを、二次電池の正極及び/又は負極に印加された入力信号の反射波である出力信号の観測結果に基づいて前記二次電池の劣化を診断する診断手段として機能させるためのプログラムである。

0017

なお、本願発明を、第7の観点のプログラムを定常的に記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として捉えてもよい。

0018

また、第2の観点の前記診断ステップにおいて、前記出力信号が観測された場合、前記二次電池は劣化していると診断されるものであってもよい。

0019

さらに、第3の観点の前記観測ステップにおいて、一方の電極を前記入力信号を印加する印加手段と接続し、他方の電極を減衰手段と接続させて、前記入力信号を印加するものであってもよい。

0020

さらに、第3の観点の前記観測ステップにおいて、いずれの電極から印加した信号に由来する出力信号であるかを明確にするために、例えば一方の電極への入力信号と異なる波形の入力信号を反対側の電極に印加するとしてもよい。具体的には、一方の電極には立ち上がりの入力信号を印加し、反対側の電極には立ち下がりの入力信号を印加するとしてもよい。

0021

さらに、劣化診断装置は、二次電池の負極及び正極のそれぞれに対して、印加手段を1つずつ備える構成としてもよい。同様に、正極及び負極のそれぞれに対して、観測手段を1つずつ備える構成としてもよい。

0022

さらに、劣化診断装置は、印加手段と二次電池の正極又は負極との接続を切り替え切替手段と切替手段を制御する切替制御手段をさらに備えるものであってもよい。この切替手段は、二次電池の負極又は正極と減衰器との接続をも切り替えるものであってもよい。また、切替制御手段が切替手段を制御する代わりに、手動で切替手段を切り替えるものであってもよい。

発明の効果

0023

本願発明の各観点によれば、二次電池の電極に入力信号を印加し、その反射波を観測することにより、簡易に二次電池の劣化を診断することが可能になる。例えば、二次電池の電極が劣化していなければ、電極において入力信号の反射波は生じない。二次電池の電極が劣化すると、電極において入力信号の反射波が生じる。本願発明の各観点によれば、二次電池のインピーダンスの値ではなく、二次電池の劣化によって生じる反射波に着目する。そのため、曲線近似のような高度な演算をすることなく、簡易に二次電池の劣化を診断することが可能になる。

0024

しかも、診断対象の二次電池からの反射波を出力信号として観測するため、二次電池の正極又は負極の少なくともいずれか一方にさえ入力信号を印加できれば、二次電池の劣化を診断可能である。

0025

また、本願発明の第2の観点によれば、二次電池の正極又は負極のいずれか一方の電極から入力信号を印加して反射波が観測されない場合、その時点で劣化診断対象の二次電池が正常であると診断することが可能である。そのため、二次電池が正常の場合、劣化診断がさらに容易となる。

0026

特許文献1に記載の技術は、二次電池の劣化の有無に関わりなく正常な二次電池のデータを要する。また、二次電池に応じて曲線近似式を用意する必要がある。これに対し、本願発明の第2の観点によれば、正常な二次電池のデータがなくとも劣化の有無の診断が可能である。しかも、二次電池の種類を問わず診断可能である。

0027

ここで、リチウムイオン電池は、正極と負極の両方に皮膜が付着して二次電池の劣化を引き起こす。本願発明の第3の観点によれば、正極と負極の両方からの出力信号同士を比較することで劣化診断が可能となる。すなわち、劣化箇所のないリチウムイオン電池を比較対象として必要とせずに、劣化診断対象となるリチウムイオン電池のみを用いて劣化診断を行うことが可能となる。

0028

さらに、本願発明の第4の観点によれば、入力信号の印加から出力信号の観測までの時間を比較するという簡易な方法により、リチウムイオン電池の正極又は負極のいずれか一方に劣化が有るか否かを診断可能となる。特に、少なくとも入力信号の印加から出力信号の観測までの時間が短かった方の電極は、皮膜の付着による劣化があるものと診断可能となる。

0029

さらに、本願発明の第5の観点によれば、二次電池の劣化の有無に加えて、劣化の度合いまで診断することが可能となる。

図面の簡単な説明

0030

リチウムイオン電池の一般的な構成を示す図である。
本願発明の実施例に係る劣化診断装置の概要を示すブロック図である。
図2の劣化診断装置を用いた劣化診断の一例の概要を示すフロー図である。
図2の劣化診断装置を用いた劣化診断の他の例の概要を示すフロー図である。

0031

以下、本願発明の実施の形態について説明する。なお、本願発明の実施の形態は、下記の実施例に限定されるものではない。

0032

まず、劣化診断の対象となるリチウムイオン電池について説明する。図1は、リチウムイオン電池1の一般的な構成を示す図である。

0033

図1に示すように、リチウムイオン電池1は、正極3と負極5との間をリチウムイオンが移動することで充放電を行う二次電池である。電極には、正極3としてコバルト酸リチウムなどが用いられ、負極5としてグラファイトなどが用いられる。両極の間にはショートを防ぐ膜壁7が存在する。この組み合わせの場合に、現在実用化されている二次電池の中では、エネルギー密度が最も高く、高い電圧が得られる。

0034

リチウムイオン電池の劣化の原因の一つに、正極3に生じる表面皮膜9や負極5に生じるSEI皮膜11が成長することによる表面抵抗の増加がある。例えば、正極3の表面皮膜9は、極めて薄いが高抵抗であり、粒子が覆われるため、電荷移動抵抗が増加する。このように、正極3の表面皮膜9や負極5のSEI皮膜11は、劣化の原因となる。

0035

以下、図2を用いて本願発明の実施例に係る劣化診断装置21について詳細に説明する。図2は、本願発明の実施例に係る劣化診断装置21の概要を示すブロック図である。

0036

劣化診断装置21は、印加部23(本願請求項の「印加手段」の一例)と、観測部25(本願請求項の「観測手段」の一例)と、診断部27(本願請求項の「診断手段」の一例)と、切替部29と、切替制御部31とを備える。印加部23は、診断対象のリチウムイオン電池1に対して入力信号を生成して印加する。観測部25は、印加部23がリチウムイオン電池1に対して入力信号を印加したときに、リチウムイオン電池1から反射される出力信号を観測する。診断部27は、観測部25が観測した出力信号からリチウムイオン電池1の劣化の有無及びその度合いを推定して診断する。切替部29は、印加部23とリチウムイオン電池1の正極3又は負極5との接続を切り替える。また、切替部29は、観測部25と正極3又は負極5との接続も切り替える。正極3及び負極5は、それぞれケーブル321又はケーブル322を介して切替部29と接続される。切替制御部31は、切替部29の接続動作を制御する。

0037

切替部29は、減衰器33(本願請求項の「減衰手段」の一例)を有する。減衰器33は、印加部23及び観測部25が接続された正極3又は負極5のいずれか一方の電極とは反対側の電極に接続可能である。減衰器33は、接続していない方の電極に印加された入力信号がリチウムイオン電池1を経由して減衰器33に到達した場合に、到達した信号を減衰するものである。ここで、印加部23及び観測部25と減衰器33とを同一の電極に接続させないのは、印加前の入力信号や観測前の出力信号を減衰器33で減衰させないためである。減衰器33とリチウムイオン電池1との接続も、切替制御部31が切替部29を制御して切り替えさせる。

0038

印加部23及び観測部25が接続された電極とは反対側の電極は、減衰器33が接続されるか、又は、減衰器33が接続されずに開放端とされる。開放端に入力信号が達した場合、反射波が生成される。入力信号が、透過できないほどの厚さに成長した皮膜に達した場合も、反射波が生成される。一方、減衰器33に達した信号は、減衰されて反射波は生成されない。

0039

ここで、以下の説明で使用する用語を定義する。「正極入力信号」は、印加部23を正極3に接続したときの入力信号である。「負極入力信号」は、印加部23を負極5に接続したときの入力信号である。また、「正極出力信号」は、正極入力信号に対する反射波であって、正極3から出力される出力信号である。「負極出力信号」は、負極入力信号に対する反射波であって、負極5から出力される出力信号である。さらに、「正極反射波到達時間」は、正極入力信号が印加されてから正極出力信号が観測されるまでの時間である。「負極反射波到達時間」は、負極入力信号が印加されてから負極出力信号が観測されるまでの時間である。

0040

診断部27は、記憶部35と、反射波評価部37と、演算部39とを備える。記憶部35は、リチウムイオン電池1が正常である場合の出力信号や各観測時における観測結果及び演算結果を記憶する。反射波評価部37は、観測部25により観測された正極出力信号及び負極出力信号を評価する。また、反射波評価部37は、正極反射波到達時間及び負極反射波到達時間をそれぞれ決定して、記憶部35に記憶させる。演算部39は、正極反射波到達時間と負極反射波到達時間との比較や、入力信号と出力信号との振幅減衰度合い等についての演算を行う。

0041

ここで、正極反射波到達時間及び負極反射波到達時間を評価する際、正確を期して、ストリング長に印加部23から正極3又は負極5までのケーブル32の長さを含めることも考えられる。しかし、実際には、入力信号は、ケーブル32中において非常に速く伝搬する。一方、入力信号は、リチウムイオン電池1の中では遅く伝搬する。したがって、信号が印加部23から正極3又は負極5まで伝搬するのに要する時間は、反射波到達時間全体と比較して問題にならないほど短い。

0042

以下においては、入力信号又は反射波の信号がケーブル32を伝搬する時間については、無視する。このことにより、劣化度合いを簡便に推定可能となる。

0043

以下では、図3を用いて本願発明の実施例に係る劣化診断の手順の一例について説明する。図3は、図2の劣化診断装置を用いた劣化診断手法の一例の概要を示すフロー図である。図4で説明する他の例のフローと異なり、フロー当初は、減衰器33を接続しない。

0044

<第1切替〜第1評価>
第1切替ステップS1−1において、切替制御部31が、切替部29に印加部23及び観測部25を正極3又は負極5のいずれか一方に接続させる。ここで、印加部23及び観測部25が接続されたリチウムイオン電池の電極を「1A極」とする。ステップS1−1においては、減衰器33はリチウムイオン電池1のいずれの電極にも接続されていない。

0045

続いて、第1印加ステップS1−2において、印加部23が、入力信号を生成してリチウムイオン電池1に対して印加する。劣化診断対象であるリチウムイオン電池1が正常であれば、印加された入力信号はリチウムイオン電池1の1A極とは反対側の電極(以下、「1B極」とする)で反射される。リチウムイオン電池1の表面皮膜が抵抗値を持ち劣化が生じていれば、入力信号はその劣化箇所で反射される。

0046

第1観測ステップS1−3において、観測部25が、いずれかの電極の皮膜又は1B極の開放端で反射されて1A極から出力された出力信号を観測する。第1評価ステップS1−4において、反射波評価部37が、観測された出力信号を評価し、入力信号の印加から出力信号の観測までの時間である反射波到達時間T1を決定して、記憶部35にT1を記憶させる。

0047

<第2切替〜第2評価>
続いて、第2切替ステップS1−5において、切替制御部31が、切替部29に印加部23及び観測部25を1B極に接続させる。ステップS1−5においても、減衰器33はリチウムイオン電池1のいずれの電極にも接続されていない。続いて、第2印加ステップS1−6において、印加部23が、入力信号を生成してリチウムイオン電池1に対して印加する。第2観測ステップS1−7において、観測部25が、いずれかの電極の皮膜又は1A極で反射されて1B極から出力された出力信号を観測する。第2評価ステップS1−8において、反射波評価部37が、観測された出力信号を評価し、入力信号の印加から出力信号の観測までの時間である反射波到達時間T2を決定して、記憶部35にT2を記憶させる。

0048

<第1判定〜劣化診断>
第1判定ステップS1−9において、演算部39が、T1及びT2が等しいか否かを判定する。T1とT2とが異なる場合、劣化箇所が存在すると判断する。劣化電極推定ステップS1−14において、演算部39が、T1がT2より小さい場合には「少なくとも1A極が劣化している」と推定し、T2がT1より小さい場合には「少なくとも1B極が劣化している」と推定してフローを終了する。

0049

第1判定ステップS1−9において、T1とT2とが等しいと判定された場合、リチウムイオン電池1の劣化について2つの場合が考えられる。劣化していない場合と、偶然にもT1とT2とが等しくなるように正極及び負極の両方が劣化している場合である。

0050

そこで、第3切替ステップS1−10において、切替制御部31は、切替部29を制御して、減衰器33を1A極に接続させる。第3印加ステップS1−11において、1B極から入力信号が印加され、第3観測ステップS1−12において、1B極からの出力信号が観測される。さらに、第2判定ステップS1−13において、診断部27が、反射波の有無を判定する。反射波があれば、上述の劣化電極推定ステップS1−14を経てフローを終了する。反射波がなければ、ステップS1−15において、診断部27が、「正常」と推定してフローを終了する。

0051

続いて、図4を用いて他の劣化診断手法の例について説明する。図4は、図2の劣化診断装置を用いた劣化診断手法の他の例の概要を示すフロー図であり、減衰器33をフロー当初から接続するものである。以下、図3のフローとの相違点を中心に説明する。

0052

<第1切替〜第1観測>
第1切替ステップS2−1において、切替制御部31が、切替部29に印加部23及び観測部25をリチウムイオン電池1の正極3又は負極5のいずれかに接続させる。ここで、印加部23が接続されたリチウムイオン電池の電極を「2A極」とする。また、切替制御部31が、切替部29に減衰器33をリチウムイオン電池1の2A極とは反対側の電極(以下、「2B極」とする)に接続させる。続いて、第1印加ステップS2−2において、印加部23が、入力信号を生成してリチウムイオン電池1に対して印加する。第1観測ステップS2−3において、観測部25が、2A極から出力された出力信号を観測し、少なくともリチウムイオン電池1の電極の劣化箇所における反射波があれば、この反射波を観測する。

0053

<第1判定〜劣化診断>
第1判定ステップS2−4において、反射波評価部37が、反射波が観測されたか否かを判定する。反射波が観測されていなければ、ステップS2−5において、診断部27が、リチウムイオン電池1は正常であると診断してフローを終了する。反射波が観測されていれば、第1評価ステップS2−6に進み、反射波評価部37が、入力信号の印加から出力信号の観測までの時間である反射波到達時間T1を決定して、記憶部35にT1を記憶させる。続いて、第2切替ステップS2−7において、切替制御部31が、切替部29に対して、減衰器33を2B極とは非接続とすると共に、印加部23及び観測部25をリチウムイオン電池1の2B極に接続させる。

0054

ここで、以下の処理は劣化箇所からの反射波を観測するためのものであり、減衰器33は、2A極に接続させてもよいし、接続させずともよい。第2印加ステップS2−8において、印加部23が、入力信号を生成して2B極に印加する。第2観測ステップS2−9において、観測部25が、リチウムイオン電池1の2B極から出力された出力信号を観測する。第2評価ステップS2−10において、反射波評価部37が、観測された出力信号を評価し、入力信号の印加から出力信号の観測までの時間である反射波到達時間T2を決定して、記憶部35にT2を記憶させる。劣化電極推定ステップS2−11において、演算部39が、T1がT2より小さい場合には「少なくとも2A極が劣化している」と推定し、T2がT1より小さい場合には「少なくとも2B極が劣化している」と推定してフローを終了する。

0055

ここで、図3及び図4のフローを比較する。

0056

図3に示すフローにおいては、リチウムイオン電池1に劣化箇所が存在する場合は、T1及びT2が等しくない限り、減衰器33を用いずに劣化診断が行われる。一般的に、劣化が存在してT1及びT2が等しいケースは少ない。また、通常、印加部23の接続を切り替えることの手間は、新たに減衰器33をリチウムイオン電池1に接続する手間に比べると小さいものである。したがって、例えばリチウムイオン電池ユーザーからの依頼で特定のリチウムイオン電池1の劣化診断を行う場合や、中古のリチウムイオン電池の劣化診断を行う場合等、劣化診断対象であるリチウムイオン電池1が劣化している可能性が高い場合には、図3のフローが有用である。

0057

一方、図4に示すフローにおいては、リチウムイオン電池1にフロー当初から減衰器33を接続させる。リチウムイオン電池1が劣化箇所を有しない場合、切替動作は第1切替ステップS2−1のみで済む。したがって、例えば車検のような定期診断を行う場合等、劣化診断対象のリチウムイオン電池が正常である可能性が高い場合には、図4のフローが有用である。

0058

続いて、電極の劣化の度合いを判断する処理について説明する。

0059

図3又は図4の劣化電極推定ステップにおいて、電極の劣化が診断された場合、どの程度劣化しているかを診断することが有用である。劣化度合いを診断するために、印加部23は、リチウムイオン電池の劣化があると診断された電極に対して、異なる周波数の複数の入力信号を印加する。周波数が異なる入力信号は、透過できる皮膜の厚さが異なる。そのため、入力信号の周波数を変化させることにより、診断部27が、電極に付着した皮膜の厚さを推定して診断することが可能となる。

0060

なお、印加部23は、異なる周波数の複数の入力信号を印加する代わりに、異なる周波数成分を複数有する1つの入力信号を印加してもよい。この場合、反射波として観測される出力信号の周波数を観測して評価することにより、診断部27が、電極に付着した皮膜の厚さを推定して診断することが可能となる。

実施例

0061

また、観測部25が観測する出力信号の振幅も電極に付着した皮膜の厚さに依存する。そこで、診断部27は、入力信号の振幅と出力信号の振幅の比から、電極に付着した皮膜の厚さを推定して診断してもよい。

0062

1リチウムイオン電池、23印加部、25観測部、27診断部、29切替部、31切替制御部、32ケーブル、33減衰器、35 記憶部、37反射波評価部、39演算部

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