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技術 ガス化炉の運転方法

出願人 電源開発株式会社三菱日立パワーシステムズ株式会社
発明者 池田健一寳山登植田昭雄竹田誠山藤正徳
出願日 2013年7月29日 (7年8ヶ月経過) 出願番号 2013-156439
公開日 2015年2月5日 (6年2ヶ月経過) 公開番号 2015-025091
状態 未査定
技術分野 他に分類されない燃焼 固体物質からの合成ガス等の製造
主要キーワード 設備寿命 チャーフィルタ 設定割合 総重量比 設備保全 排出系統 ガス化残渣 排出状況
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

ガス化炉から排出される溶融スラグを水中に流下させ、破砕した水冷スラグの安定排出を実現すること。

解決手段

石炭41をガス化するガス化炉5の下部に水を貯留するクエンチ部13を備え、ガス化炉5で石炭41のガス化残渣溶融させて溶融スラグ59とし、この溶融スラグ59をクエンチ部13の水中に流下させて得られた水冷スラグを水中から分離するガス化炉5の運転方法において、水冷スラグに含まれる糸状スラグ生成割合を全水冷スラグの重量比率設定割合以下にするべく、塩基性酸化物の少なくともCaO,Fe2O3,MgO,MnO,Na2O,K2Oの総重量比率を酸性酸化物のうち少なくともSiO2,Al2O3,P2O5,TiO2の総重量比率で除して求められる石炭41の灰分の塩基度を0.21以上にすること。前記石炭の灰分の塩基度が0.21未満の場合、該石炭に塩基性酸化物を添加混合する。

概要

背景

石炭ガス化するガス化炉は、微粉砕された石炭をこの石炭に含まれる灰分の溶融温度以上に保持された高温の炉内に酸素や空気などの酸化剤とともに供給し、可燃分一酸化炭素水素を主成分とするガスに変換し、灰分を溶融スラグに変換するものである。

この種のガス化炉は、圧力容器内に下方からクエンチ部、ガス化部、及び熱回収部を備えている。ガス化部には、バーナを介して酸化剤と微粉炭が供給され、灰分の溶融温度以上の炉内温度が維持される。したがって、石炭中の灰分はガス化部で溶融スラグとなり、ガス化部の炉壁に伝って流れ落ち、ガス化部の底部に開口するスラグタップを通ってクエンチ部へ流下する。クエンチ部には水が貯められており、水中に落下した溶融スラグは急冷されて水冷スラグとなる。この水冷スラグは、水中で熱衝撃を受けて破砕されることにより数ミリ程度の粒状物となる。以下、この溶融スラグを水中で破砕する操作を水砕といい、この水砕で得られた数ミリ程度の水冷スラグの粒状物を水砕スラグという。水中の水砕スラグは水とともにクエンチ部から抜き出され、所定の粒径粉砕されて回収される。

ところで、この種のガス化炉を安定に運転させるためには、溶融スラグを水砕スラグに確実に変換することが重要である。この点、ガス化部に溶融スラグが滞留したり、スラグタップに溶融スラグが付着するなどして、溶融スラグの排出が妨げられると、ガス化炉の運転を停止せざるをえなくなる。

特許文献1では、スラグタップが溶融スラグによって閉塞するのを防止するため、スラグタップの近傍を補助バーナで加熱し、スラグタップを通過する溶融スラグの流動性を高める技術が開示されている。

また、特許文献2では、使用する石炭の灰分中CaO濃度に応じて、この石炭にカルシウム化合物を混合し、溶融スラグのCaO濃度を所定の範囲に調整することにより、溶融スラグの流動状態を安定化する技術が開示されている。

しかし、溶融スラグの中には、その一部が水中で破砕されずにスラグ同士が絡み合う性質をもつ糸状の水冷スラグ(以下、適宜、糸状スラグという。)に変換されることがある。この種の水冷スラグは、例えばクエンチ部から排出される際にスラグ排出系統ライン分岐部などで絡み合い排出ラインを閉塞させるおそれがあり、水冷スラグの安定排出を妨げる原因となる。この水冷スラグの糸状化は、特許文献1や特許文献2の技術によって溶融スラグの流動性を高めても発生することがある。

特許文献3には、水冷スラグによるスラグ排出系統の詰まりを防ぐため、溶融スラグの塩基度(CaOをSiO2で除して求められる重量比)が0.3〜1.2の範囲となるように、原炭に調整剤を添加することが記載されている。これによれば、糸状スラグの生成割合を低減できるから、スラグ排出系統における水冷スラグの詰まりを抑制できるとされている。

概要

ガス化炉から排出される溶融スラグを水中に流下させ、破砕した水冷スラグの安定排出を実現すること。石炭41をガス化するガス化炉5の下部に水を貯留するクエンチ部13を備え、ガス化炉5で石炭41のガス化残渣溶融させて溶融スラグ59とし、この溶融スラグ59をクエンチ部13の水中に流下させて得られた水冷スラグを水中から分離するガス化炉5の運転方法において、水冷スラグに含まれる糸状スラグの生成割合を全水冷スラグの重量比率設定割合以下にするべく、塩基性酸化物の少なくともCaO,Fe2O3,MgO,MnO,Na2O,K2Oの総重量比率を酸性酸化物のうち少なくともSiO2,Al2O3,P2O5,TiO2の総重量比率で除して求められる石炭41の灰分の塩基度を0.21以上にすること。前記石炭の灰分の塩基度が0.21未満の場合、該石炭に塩基性酸化物を添加混合する。

目的

本発明の課題は、水冷スラグの形態をより正確に評価することにより、水冷スラグの安定排出を実現することにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

石炭ガス化するガス化炉の下部に水を貯留するクエンチ部を備え、前記ガス化炉で前記石炭のガス化残渣溶融させて溶融スラグとし、この溶融スラグを前記クエンチ部の前記水中に流下させて得られた水冷スラグを水中から分離するガス化炉の運転方法において、前記水冷スラグに含まれる糸状スラグ生成割合を全水冷スラグの重量比率設定割合以下にするべく、下記式により求められる前記石炭の灰分の塩基度を0.21以上にすることを特徴とするガス化炉の運転方法。塩基度(wt%/wt%)=塩基性酸化物の少なくともCaO,Fe2O3,MgO,MnO,Na2O,K2Oの総重量比率(wt%)/酸性酸化物のうち少なくともSiO2,Al2O3,P2O5,TiO2の総重量比率(wt%)

請求項2

前記石炭の灰分の塩基度が0.21未満の場合、該石炭に塩基性酸化物を混合して混合後の混合粉の灰分の塩基度を0.21以上に調整し、該混合粉を前記ガス化炉へ投入することを特徴とする請求項1に記載のガス化炉の運転方法。

請求項3

前記石炭の灰分の塩基度が0.21未満の場合、該石炭に調整用石炭を混合して混合後の混合炭の灰分の塩基度を0.21以上に調整し、該混合炭を前記ガス化炉へ投入することを特徴とする請求項1に記載のガス化炉の運転方法。

請求項4

前記石炭の灰分のCaO濃度を6wt%以上にすることを特徴とする請求項1に記載のガス化炉の運転方法。

請求項5

前記石炭の灰分のCaO濃度が6wt%未満の場合、この石炭にカルシウム化合物を混合して混合後の混合粉の灰分のCaO濃度を6wt%以上に調整し、該混合粉を前記ガス化炉へ投入することを特徴とする請求項4に記載のガス化炉の運転方法。

請求項6

前記石炭の灰分のCaO濃度が6wt%未満の場合、この石炭に調整用石炭を混合して混合後の混合炭の灰分のCaO濃度を6wt%以上に調整し、該混合炭を前記ガス化炉へ投入することを特徴とする請求項4に記載のガス化炉の運転方法。

技術分野

0001

本発明は、ガス化炉運転方法に係わり、特に石炭のガス化炉から排出された溶融スラグを水中に流下させて破砕し、この破砕した水冷スラグを水中から分離するガス化炉の運転方法に関する。

背景技術

0002

石炭をガス化するガス化炉は、微粉砕された石炭をこの石炭に含まれる灰分の溶融温度以上に保持された高温の炉内に酸素や空気などの酸化剤とともに供給し、可燃分一酸化炭素水素を主成分とするガスに変換し、灰分を溶融スラグに変換するものである。

0003

この種のガス化炉は、圧力容器内に下方からクエンチ部、ガス化部、及び熱回収部を備えている。ガス化部には、バーナを介して酸化剤と微粉炭が供給され、灰分の溶融温度以上の炉内温度が維持される。したがって、石炭中の灰分はガス化部で溶融スラグとなり、ガス化部の炉壁に伝って流れ落ち、ガス化部の底部に開口するスラグタップを通ってクエンチ部へ流下する。クエンチ部には水が貯められており、水中に落下した溶融スラグは急冷されて水冷スラグとなる。この水冷スラグは、水中で熱衝撃を受けて破砕されることにより数ミリ程度の粒状物となる。以下、この溶融スラグを水中で破砕する操作を水砕といい、この水砕で得られた数ミリ程度の水冷スラグの粒状物を水砕スラグという。水中の水砕スラグは水とともにクエンチ部から抜き出され、所定の粒径粉砕されて回収される。

0004

ところで、この種のガス化炉を安定に運転させるためには、溶融スラグを水砕スラグに確実に変換することが重要である。この点、ガス化部に溶融スラグが滞留したり、スラグタップに溶融スラグが付着するなどして、溶融スラグの排出が妨げられると、ガス化炉の運転を停止せざるをえなくなる。

0005

特許文献1では、スラグタップが溶融スラグによって閉塞するのを防止するため、スラグタップの近傍を補助バーナで加熱し、スラグタップを通過する溶融スラグの流動性を高める技術が開示されている。

0006

また、特許文献2では、使用する石炭の灰分中CaO濃度に応じて、この石炭にカルシウム化合物を混合し、溶融スラグのCaO濃度を所定の範囲に調整することにより、溶融スラグの流動状態を安定化する技術が開示されている。

0007

しかし、溶融スラグの中には、その一部が水中で破砕されずにスラグ同士が絡み合う性質をもつ糸状の水冷スラグ(以下、適宜、糸状スラグという。)に変換されることがある。この種の水冷スラグは、例えばクエンチ部から排出される際にスラグ排出系統ライン分岐部などで絡み合い排出ラインを閉塞させるおそれがあり、水冷スラグの安定排出を妨げる原因となる。この水冷スラグの糸状化は、特許文献1や特許文献2の技術によって溶融スラグの流動性を高めても発生することがある。

0008

特許文献3には、水冷スラグによるスラグ排出系統の詰まりを防ぐため、溶融スラグの塩基度(CaOをSiO2で除して求められる重量比)が0.3〜1.2の範囲となるように、原炭に調整剤を添加することが記載されている。これによれば、糸状スラグの生成割合を低減できるから、スラグ排出系統における水冷スラグの詰まりを抑制できるとされている。

先行技術

0009

特許第3924224号公報
特開2005−126629号公報
特開2012−193246号公報

発明が解決しようとする課題

0010

ところで、特許文献3では、溶融スラグが流下するときの形態や水冷スラグの形態をCaOとSiO2の2種の酸化物の塩基度で評価している。しかし、石炭の灰分には、CaOやSiO2の他、Al2O3,Fe2O3,MgO,MnO,Na2O,K2O,TiO2,P20など多くの酸化物が含まれており、CaOとSiO2の2種の酸化物から求められる塩基度が同じ石炭でも、水砕スラグの大部分が粒状化する場合と比較的多くの糸状スラグが発生する場合がある。

0011

すなわち、溶融スラグは、CaOとSiO2以外の他の酸化物の組成含有率によって、水砕スラグの形態が変動することから、特許文献3の方法で溶融スラグの塩基度を求め、水砕スラグの形態を評価したとしても、水冷スラグの安定した排出を実現することには難がある。

0012

本発明の課題は、水冷スラグの形態をより正確に評価することにより、水冷スラグの安定排出を実現することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、溶融スラグの流下・水冷試験実験室規模試験装置を用いて実施した。溶融スラグの流下・水冷試験方法は、試料(石炭の灰化試料やスラグ)を溶融温度以上に加熱して溶融スラグとし、この溶融スラグをガス化炉のクエンチ部を模擬した水槽へ落下させて急冷し、そのときの溶融スラグの流下状況と水槽内の水冷スラグの外観を観察することにより行った。試料としては、灰溶融温度が高い石炭と灰溶融温度が低い石炭を使用し、灰溶融温度が高い石炭は、灰溶融温度が低い石炭よりも高い温度に加熱して溶融させた。その結果、いずれの石炭の場合も、図1(c)のように水砕されて粒状化した水冷スラグ(水砕スラグ)と、図1(a)、(b)のように水砕されずに糸状化した水冷スラグ(以下、糸状スラグと略す。)の両方が確認された。

0014

この結果から、本発明者らは、水冷スラグが粒状化するか糸状化するかは、溶融スラグの温度や流動性の他に要因があると推測した。石炭の灰分には、SiO2,Al2O3,CaOなど各種酸化物が含まれている。本発明者らはこれらの灰分を構成する酸化物に着目し、水冷スラグの糸状化と灰組成との関連について検討を行った。具体的には、灰分中の各種酸化物の組成を変えた試料を複数作製し、それぞれの試料について、実験室規模の試験装置で溶融スラグの流下・水冷試験を行って糸状スラグの生成割合を調査した。糸状スラグの生成割合は、水冷スラグを水槽から回収・乾燥した後、ある目開きのにかけ、水冷スラグ全量に対する篩上の重量割合とした。

0015

こうして糸状スラグの生成割合と灰組成との関連を評価した結果、石炭の灰分のCaO濃度や式(1)に示す灰分の塩基度(以下、単に塩基度という。)を用いて糸状スラグの生成割合を整理すれば、水冷スラグの粒状化と糸状化の傾向を明確に区別できることがわかった。また、灰分の塩基度やCaO濃度のほか、式(1)の分子に示す各酸化物の濃度、CaO/SiO2、灰分のSiO2濃度、灰分のAl2O3濃度などについても同様に評価したが、灰分の塩基度やCaO濃度で整理する方が、溶融スラグの糸状化の傾向を良好に表すことができた。
塩基度=塩基性酸化物のうち少なくともCaO,Fe2O3,MgO,MnO,Na2O,K2Oの総重量比率(wt%)/酸性酸化物のうち少なくともSiO2,Al2O3,P2O5,TiO2の総重量比率(wt%)・・・・(1)

0016

次に、本発明者らは、この試験結果から石炭の灰分の塩基度やCaO濃度を水冷スラグの粒状化又は糸状化の指標に用いることができるか否かを検討した。図2は、糸状スラグの全スラグに対する生成割合(wt%)と石炭の灰分の塩基度(wt%/wt%)との関係を示し、図3は、糸状スラグの全スラグに対する生成割合(wt%)と石炭の灰分のCaO濃度(wt%)との関係を示す。図2、3に示すように、灰分の塩基度やCaO濃度が高くなると糸状スラグの生成割合が急激に減少する。そして、灰分の塩基度やCaO濃度が異なる溶融スラグをガス化炉からクエンチ水に流下させ、糸状スラグの生成割合が異なる水冷スラグを発生させ、それぞれの水冷スラグの排出状況を確認したところ、水冷スラグに対する糸状スラグの生成割合が10wt%を境に水冷スラグの糸状化と粒状化(水砕)の傾向を明確に区別することができ、糸状スラグの生成割合が10wt%以下であれば、水冷スラグの排出が安定することが確認された。

0017

したがって、水冷スラグの排出を安定させるための基準として、糸状スラグの生成割合を10wt%以下に設定した。これにより、図2から石炭の灰分の塩基度は0.21が目安となり、図3から石炭の灰分のCaO濃度は6wt%が目安となる。つまり、ガス化炉に供給する石炭の灰分の塩基度が0.21以上であれば、その石炭の全水冷スラグに対する糸状スラグの生成割合を低く抑えることができ、スラグの安定排出が可能となる。そして、塩基度が0.21以上であることに加え、石炭の灰中のCaO濃度が6wt%以上であれば、石炭の全水冷スラグに対する糸状スラグの生成割合を10wt%以下の範囲でさらに安定させることができ、水冷スラグの安定排出をより確実に実現することができる。

0018

以上の結果を踏まえ、本発明では、上記課題を解決するため、石炭をガス化するガス化炉の下部に水を貯留するクエンチ部を備え、ガス化炉で石炭のガス化残渣を溶融させて溶融スラグとし、この溶融スラグをクエンチ部の水中に流下させて得られた水冷スラグを水中から分離するガス化炉の運転方法において、水冷スラグに含まれる糸状スラグの生成割合を全水冷スラグの重量比率設定割合以下にするべく、下記式により求められる石炭の灰分の塩基度を0.21以上にすることを特徴とする。

0019

これによれば、水冷スラグに含まれる糸状スラグの生成割合を10wt%以下に抑えることができるから、水冷スラグの安定した排出が可能となり、ガス化炉の安定した運転を実現できる。

0020

この場合において、石炭の灰分の塩基度が0.21未満の場合には、この石炭に塩基性酸化物を混合して混合後の混合粉の灰分の塩基度を0.21以上に調整し、この調整された混合粉をガス化炉へ投入するようにする。

0021

このように、石炭に塩基性酸化物を混合して調製された混合粉をガス化炉へ投入することにより、塩基度が0.21以上の石炭をガス化炉へ投入するときと同様の効果を得ることができる。なお、塩基性酸化物としては、式(1)の分子の各酸化物のほか、炭酸カルシウムを用いることができる。

0022

また、塩基性酸化物に代えて、調整用石炭を用いることができる。すなわち、石炭の灰分の塩基度が0.21未満のときは、塩基度が0.21以上の調整用石炭を混合して混合後の混合炭の塩基度を0.21以上に調整する。このようにして調整された混合炭をガス化炉へ投入しても、灰分の塩基度が0.21以上の石炭をガス化炉へ投入したときと同様の効果を得ることができる。

0023

また、石炭の灰分の塩基度を0.21以上にすることに加え、石炭の灰分のCaO濃度を6wt%以上にすることで、糸状スラグの生成割合を10wt%以下の範囲で安定させることができ、水砕スラグをより確実に安定排出することができる。ここで、石炭の灰分のCaO濃度が6wt%未満の場合は、この石炭に炭酸カルシウムや水酸化カルシウムといったカルシウム化合物を混合して混合粉とし、或いは、石炭に調整用石炭を混合して混合炭とすることで、混合粉や混合炭の灰分のCaO濃度を6wt%以上にそれぞれ調整する。このようにして調整された混合粉や混合炭をガス化炉へ投入しても、灰分の塩基度が0.21以上であり、かつ、CaO濃度が6wt%以上の石炭をガス化炉へ投入した場合と同様の効果を得ることができる。

発明の効果

0024

本発明によれば、水冷スラグの形態をより正確に評価することができるから、水冷スラグの安定排出を実現できる。

図面の簡単な説明

0025

水冷スラグの形態を示す図であり、(a)と(b)は糸状スラグ、(c)は水砕スラグを表している。
石炭の灰分の塩基度(wt%/wt%)と水砕スラグに対する糸状スラグの生成割合(wt%)との関係を示す図である。
石炭の灰中のCaO濃度(wt%)と水冷スラグに対する糸状スラグの生成割合(wt%)との関係を示す図である。
本発明の第1及び第3の実施形態に適用される石炭ガス化装置の概略系統図である。
溶融スラグが水砕スラグに変換される様子を説明する図である。
本発明の第1及び第2の実施形態に適用されるガス化炉の運転方法の運用手順を説明するフローチャートである。
本発明の第2及び第4の実施形態に適用される石炭ガス化装置の概略系統図である。
本発明の第2及び第4の実施形態に適用されるガス化炉の運転方法の運用手順を説明するフローチャートである。

実施例

0026

(第1の実施形態)
以下、本発明の石炭のガス化炉の運転方法を適用してなる第1の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。

0027

図4に本発明のガス化炉の運転方法を実施するに好適な石炭ガス化装置の概略系統図を示す。この石炭ガス化装置は、微粉炭バーナ1a,1b及びチャーバーナ3a,3bを備えてなるガス化炉5と、微粉炭供給装置7と、酸化物供給装置9を備えて構成される。

0028

ガス化炉5は、軸線を上下方向に向けて配置された圧力容器11を炉の本体とし、圧力容器11内に下方から順に、クエンチ部13、ガス化部15及び熱回収部17を備える。微粉炭バーナ1a,1b及びチャーバーナ3a,3bは、いずれもガス化部15に設けられ、噴出し方向がガス化部15の仮想円径と接するように配置されている。この配置により、微粉炭バーナ1a,1b及びチャーバーナ3a,3bから噴出される微粉炭及びチャーが、ガス化部15内で旋回流を形成するようになっている。

0029

クエンチ部13とその上方に配置されるガス化部15との間には、ガス化部15の底部とクエンチ部13の頂部にそれぞれ開口するスラグタップ19が設けられている。クエンチ部13の底部にはスラグ排出ライン21が接続され、クエンチ部13の内部にはクエンチ水23が貯留されている。スラグ排出ライン21には、上流側から順に、クラッシャ25、スラグ排出弁27が配設されている。クエンチ部13のクエンチ水23の水面よりも上の壁面には、スラグタップ19の近傍を加熱するための補助バーナ29が設けられている。

0030

なお、図4では、クエンチ部13をガス化炉5の圧力容器11内に設ける構成となっているが、圧力容器11から分離した圧力容器11の下方であって、ガス化炉の下部に設けられていてもよい。また、クラッシャ25は、クエンチ部13に貯留されているクエンチ水23中の下方に設けられていてもよい。

0031

圧力容器11の頂部にはガス排出ライン31が接続されている。このガス排出ライン31には、図示しない除塵装置水洗塔及び脱硫装置などのガス精製設備が接続されている。

0032

微粉炭供給装置7は、石炭粉砕機33、微粉炭ホッパ35、回転供給器36、分配器37を備えて構成される。石炭粉砕機33、微粉炭ホッパ35、回転供給器36及び分配器37は、互いに微粉炭供給ライン39を介して接続され、この微粉炭供給ライン39は微粉炭バーナ1a,1bとそれぞれ接続されている。石炭粉砕機33には、石炭41と空気43が供給される。石炭粉砕機33に供給された石炭41は、微粉炭に粉砕された後、微粉炭供給ライン39を介して微粉炭ホッパ35へ気流搬送されて一時貯留される。微粉炭ホッパ35から回転供給器36で切り出された微粉炭は、供給された窒素45に同伴されて、分配器37を経由して微粉炭供給ライン39を通り、微粉炭バーナ1a,1bへ気流搬送される。

0033

酸化物供給装置9は、酸化物ホッパ47、回転供給器48、分配器49を備えて構成される。酸化物ホッパ47、回転供給器48及び分配器49は、互いに酸化物供給ライン51を介して接続され、この酸化物供給ライン51の一端は、微粉炭供給ライン39と接続されている。酸化物ホッパ47には、粉状の塩基性酸化物が貯留されている。酸化物ホッパ47から回転供給器48で切り出された塩基性酸化物は、供給された窒素53に同伴されて、分配器49を経由して酸化物供給ライン51を通り、微粉炭供給ライン39へ気流搬送される。これにより、微粉炭バーナ1a,1bには、微粉炭供給ライン39を通じて微粉炭と酸化物とが混合された混合粉が供給されるようになっている。また、微粉炭バーナ1a,1bには、微粉炭供給ライン39と別の供給ラインから酸化剤として酸素55が供給されるようになっている。

0034

次に、このようにして構成される石炭ガス化装置の微粉炭供給装置7とガス化炉5の基本的な運用方法について説明する。

0035

微粉炭供給ライン39を通じて微粉炭バーナ1a,1bに供給された石炭41の微粉炭は、酸素55とともに高温のガス化部15内へ噴き込まれる。ガス化部15内へ噴き込まれた微粉炭と酸素55は、ガス化部15内で旋回流を形成し、ガス化のための反応時間が確保される。ガス化部15内は、微粉炭の灰分の溶融温度以上の炉内温度が維持されている。

0036

ガス化部15では、炉内に投入された微粉炭の可燃分が一酸化炭素と水素を主成分とするガスに変換される。ここで生成された生成ガスは、ガス化部15の上方に設けられた熱回収部17を通ってガス排出ライン31より炉外へ排出される。炉外へ排出された生成ガスは、脱塵、脱硫などの処理が施された後、発電設備燃料として使用される。生成ガス中のチャー57は図示しないサイクロンチャーフィルタにより捕集され、チャーバーナ3a,3bを通じて再度炉内へ戻される。

0037

一方、炉内に投入された微粉炭の灰分は、溶融スラグ59となり、ガス化部15の炉壁を伝って流れ、スラグタップ19を通ってクエンチ部13へ流下する。クエンチ部13へ流下した溶融スラグ59は、図5に示すように、クエンチ水23中に落下して水冷スラグ61となる。この水冷スラグ61は、スラグ排出弁27が開放されることでスラグ排出ライン21を通じてクエンチ水23とともに炉外へ抜き出される。炉外へ抜き出された水冷スラグ61は、クラッシャ25で所定の粒径に粉砕された後、石炭ガス化装置から排出される。

0038

次に、酸化物供給装置9の運用方法について説明する。まず、水冷スラグ61は、図2に示すように、石炭41の灰分の塩基度(wt%/wt%)に応じて、水冷スラグ61に含まれる糸状スラグの生成割合(wt%)が変化する。すなわち、石炭41の灰分の塩基度が低下すると、図1(a)に示す環様の糸状スラグや、図1(b)に示す針様の糸状スラグの生成割合が急激に高くなる。この水冷スラグは、糸状スラグの生成割合が10wt%を境に糸状化と粒状化とに傾向が分かれ、糸状スラグの生成割合が10wt%以下であれば、水冷スラグの排出が安定することがわかっている。

0039

このため、本実施形態では、水冷スラグ61を安定して排出するための基準として、糸状スラグの生成割合を10wt%以下に設定する。これにより、図2によれば、ガス化炉5へ供給する石炭41の灰分の塩基度をしきい値として、水冷スラグの形状を事前に判断することが可能になる。すなわち、石炭41の灰の塩基度が6wt%以上であれば、その石炭の水冷スラグ61の多くが粒状の水砕スラグとなり、水砕スラグの性質が強くなるため、スラグの安定した排出が可能となる。一方、石炭41の灰中のCaO濃度が6wt%未満であれば、その石炭の水冷スラグ61は水砕されずに多くが糸状スラグとなり、糸状スラグの性質が強くなるため、互いに絡み合ってスラグ排出ライン21などの分岐部や狭間部を閉塞させる原因となり、スラグの安定した排出ができなくなる。

0040

そこで、本実施形態では、石炭41をガス化炉5へ投入する前に、この石炭41の灰分の塩基度を確認する。ここで、灰分の塩基度とは、塩基性酸化物のうち少なくともCaO,Fe2O3,MgO,MnO,Na2O,K2Oの総重量比率(wt%)を酸性酸化物のうち少なくともSiO2,Al2O3,P2O5,TiO2の総重量比率(wt%)で除した値である。

0041

図6に石炭41の灰分の塩基度の確認・調整方法の一例を示す。まず、ステップS1では、ガス化炉へ供試する石炭を受け入れた際か、石炭選定計画段階のどちらかで石炭の灰分の組成を分析する。分析された石炭の灰組成分析の結果が出ると、続くステップS2では、石炭中の灰分の塩基度が0.21以上であるか否かを評価する。その結果、灰の塩基度が0.21以上であれば、ステップS3にて、石炭の灰分のCaO濃度を調整する必要がないと判断され、石炭は添加物を加えることなく、原料炭として使用される。

0042

一方、灰分の塩基度が0.21未満であれば、スラップS4に移行し、石炭の灰分の塩基度を調整するため、塩基性酸化物又は別途用意した調整用石炭のどちらかの添加物が選択される。本実施形態は、塩基性酸化物を選択した場合に適用される。塩基性酸化物が選択されると、ステップS5に進み、所定量の塩基性酸化物が石炭に混ぜられる。塩基性酸化物には、式(1)の分子のいずれかの酸化物(例えばFe2O3又はMgO)の他、炭酸カルシウムなどのカルシウム化合物を用いることができる。

0043

続いて、ステップS6では、こうして石炭と塩基性酸化物が混合された混合粉の灰分の塩基度が分析される。その結果、灰分の塩基度が0.21以上であれば、ステップS3に移行し、この混合粉が原料炭としてガス化炉へ供給され、灰分の塩基度が0.21未満であれば、灰分の塩基度が0.21以上になるまで塩基性酸化物による調整が繰り返される。

0044

本実施形態では、図4において、微粉炭供給装置7に供給される石炭41の灰分の塩基度を分析し、灰分の塩基度が0.21未満であれば、酸化物供給装置9より石炭41に塩基性酸化物が混合される。塩基性酸化物は、酸化物供給ライン51を通じて、微粉炭が搬送される微粉炭供給ライン39に導入され、微粉炭と混合されて混合粉となる。塩基性酸化物は、この混合粉の灰分の塩基度が0.21以上になるように供給され、例えば石炭41の灰分の塩基度、石炭41の灰分の目標とする塩基度及び石炭41の供給量などに基づいて供給量が設定される。微粉炭供給装置7による石炭41の供給量と酸化物供給装置9による塩基性酸化物の供給量は、設定された供給量に応じて回転供給器36,48の回転数を図示しない制御装置などで制御することにより調製される。

0045

このように石炭41の灰分の塩基度が0.21以上に調製された混合粉をガス化炉5へ投入することによって、溶融スラグ59の大部分はクエンチ部13のクエンチ水23中で破砕され、水冷スラグ61のほとんどが粒状の水砕スラグとなる。つまり、糸状スラグの生成割合は、水冷スラグ全体の10wt%以下に抑制される。

0046

本実施形態によれば、石炭41の灰分の塩基度が0.21未満であっても、この石炭41に塩基性酸化物を混合することによって、常にガス化炉5には塩基度が0.21以上に調製された混合粉が供給される。したがって、このようにガス化炉5の運転を行うことで、全水冷スラグに対する糸状スラグの生成割合を10wt%以下に抑制することができ、水冷スラグが継続的に排出可能になるから、ガス化炉の連続運転を達成することができ、ガス化装置信頼性を向上させることができる。

0047

(第2の実施形態)
次に、本発明のガス化炉の運転方法を適用してなる第2の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。図7に本実施形態の石炭ガス化装置の概略構成を示す。この石炭ガス化装置は、図4の酸化物供給装置9が調整用石炭供給装置63となっている点で、第1の実施形態と相違する。なお、本実施形態は、第1の実施形態と異なる点について説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略する。

0048

本実施形態の石炭ガス化装置は、ガス化炉5と、微粉炭供給装置7と、調製用石炭供給装置63を備えて構成される。調整用石炭供給装置63は、石炭粉砕機65、微粉炭ホッパ67、回転供給器68、分配器69を備えて構成される。石炭粉砕機65、微粉炭ホッパ67、回転供給器68及び分配器69は、互いに微粉炭供給ライン71を介して接続され、微粉炭供給ライン71は、微粉炭供給ライン39と接続されている。

0049

石炭粉砕機65には、調整用石炭73と空気75が供給される。石炭粉砕機65で所定の大きさに粉砕された微粉炭は、微粉炭供給ライン71を介して微粉炭ホッパ67へ気流搬送されて一時貯留される。

0050

本実施形態は、図6のステップS4において、塩基性酸化物を選択した場合に適用される。ステップS4において、塩基性酸化物が選択されると、ステップS7に進み、所定量の調整用石炭が石炭に混ぜられる。調製用石炭には、塩基度が0.21以上の石炭が用いられる。続いて、ステップS8では、こうして石炭と調製用石炭が混合された混合粉の灰分の塩基度が分析される。その結果、灰分の塩基度が0.21以上であれば、ステップS3に移行し、この混合炭がガス化炉5へ供給され、灰分の塩基度が0.21未満であれば、灰分の塩基度が0.21以上になるまで調製用石炭による調整が繰り返される。なお、調製用石炭は、塩基度の調整がなされる石炭と同種の炭種であっても良いし、別種の炭種であっても良い。

0051

図7において、微粉炭供給装置7に供給される石炭41の灰分の塩基度を分析し、灰分の塩基度が0.21未満であれば、調製用石炭供給装置63より石炭41に調製用石炭73が混合される。調製用石炭73は、微粉炭供給ライン71を通じて微粉炭供給ライン39に導入され、石炭41と混合されて混合炭となる。調製用石炭73は、この混合炭の灰分の塩基度が0.21以上になるように供給され、例えば石炭41の灰分の塩基度、調製用石炭73の灰分の塩基度、石炭41の灰分の目標とする塩基度及び石炭41の供給量などに基づいて、供給量が設定される。微粉炭供給装置7による石炭41の供給量と調製用石炭供給装置63による調整用石炭73の供給量は、設定された供給量に応じて回転供給器36,68の回転数を図示しない制御装置などで制御することで調製される。

0052

本実施形態によれば、石炭41の灰分の塩基度が0.21未満であっても、この石炭41に調整用石炭73を混合することによって、常にガス化炉5には塩基度が0.21以上に調製された混合炭が供給される。したがって、このようにガス化炉5の運転を行うことで、実施例1と同様、全水冷スラグに対する糸状スラグの生成割合を10wt%以下に抑制することができ、水冷スラグが継続的に排出可能になるから、ガス化炉の連続運転を達成することができ、ガス化装置の信頼性を向上させることができる。

0053

なお、第1及び第2の実施形態では、ガス化炉に投入する混合粉や混合炭の灰分の塩基度を0.21以上に調整する例を説明したが、(1)式の分子に示す塩基性酸化物を多くしすぎると、灰の溶融温度が上昇することがある。この場合、石炭のガス化や溶融スラグの流動性を上げるために炉内温度を非常に高い温度にしなければならなくなる。そのため、設備寿命設備保全などの観点から、灰分の塩基度は、0.21以上1.3以下の範囲に調製することが好ましい。

0054

(第3の実施形態)
次に、本発明のガス化炉の運転方法を適用してなる第3の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。本実施形態は、図4の石炭ガス化装置を用いる点で、第1の実施形態と共通するが、ガス化炉5に供給する石炭41の灰分の塩基度に加え、石炭41の灰分のCaO濃度を調整している点で、第1の実施形態と相違する。なお、本実施形態は、第1の実施形態と異なる点についてだけ説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略する。

0055

図8に本実施形態の石炭41の確認・調整方法を示す。まず、ステップS11では、ガス化炉5へ供試する石炭を受け入れた際か、石炭選定の計画段階のどちらかで灰分の組成を分析する。分析された石炭の組成分析の結果が出ると、続くステップS12では、石炭の灰分の塩基度及び該灰分のCaO濃度を評価する。その結果、塩基度が0.21以上で、かつ、CaO濃度が6wt%以上であれば、ステップS13に進み、石炭は添加物を加えることなく、原料炭として使用される。

0056

一方、塩基度が0.21以上で、かつ、CaO濃度が6wt%以上の条件を満たさないときは、ステップS14に移行し、炭酸カルシウム又は別途用意した調製用石炭のどちらかの添加物が選択される。本実施形態は、炭酸カルシウムが選択された場合に適用される。炭酸カルシウムが選択されると、ステップS15に進み、塩基度及びCaO濃度の条件を満たすように、所定量の炭酸カルシウムが石炭に混ぜられる。

0057

続くステップS16では、石炭と炭酸カルシウムが混合された混合粉の灰分の塩基度とCaO濃度が分析される。その結果、塩基度が0.21以上で、かつ、CaO濃度が6wt%以上の条件を満たしていれば、ステップS13に移行し、石炭41と炭酸カルシウムの混合粉が原料炭としてガス化炉に供給される。一方、塩基度が0.21以上で、かつ、CaO濃度が6wt%以上の条件を満たさないときは、この条件を満たすまで調整が繰り返される。

0058

本実施形態では、図4の石炭ガス化装置において、酸化物供給装置9の酸化物ホッパ47に、塩基性酸化物に代えて、炭酸カルシウムが貯留される。そして、石炭41の灰分の塩基度が0.21以上で、かつ、CaO濃度が6wt%以上の条件を満たしていないときは、酸化物供給装置9より供給された炭酸カルシウムが石炭41と混合される。炭酸カルシウムの供給量は、石炭41と混合した後の混合粉の灰分の塩基度が0.21で、かつ、CaO濃度が6wt%以上となるように設定される。微粉炭供給装置7による石炭41の供給量と酸化物供給装置9による調整用石炭73の供給量は、第1の実施形態と同様、設定された供給量に応じて回転供給器36,48の回転数を制御することにより調整される。

0059

本実施形態によれば、石炭41の灰分の塩基度が0.21以上で、CaO濃度が6wt%以上の条件を満たしていなくても、石炭41に炭酸カルシウムを混合することによって、常にガス化炉5には灰分の塩基度が0.21で、かつ、CaO濃度が6wt%以上に調製された混合粉が供給される。このようにガス化炉5の運転を行うことにより、第1の実施形態と比べて、全水冷スラグに対する糸状スラグの生成割合を10wt%以下の低い状態でより安定させることができるから、水砕スラグの排出を一層安定させることができ、ガス化炉の連続運転を達成し、ガス化装置の信頼性を向上させることができる。

0060

なお、本実施形態では、石炭41の灰分の塩基度やCaO濃度を調整する添加剤として炭酸カルシウムを用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、水酸化カルシウムやCaOを含む物質といった他のカルシウム化合物を使用してもよい。

0061

(第4の実施形態)
次に、本発明のガス化炉の運転方法を適用してなる第4の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。本実施形態は、図7の石炭ガス化装置を用いている点で、第2の実施形態と共通するが、ガス化炉に供給する石炭41の灰分の塩基度に加え、石炭41の灰分のCaO濃度を調整している点で、第2の実施形態と相違する。なお、本実施形態は、第2の実施形態と異なる点についてだけ説明し、第2の実施形態と共通する構成については説明を省略する。

0062

本実施形態は、図8のステップS14で調整用石炭が選択された場合に適用される。すなわち、石炭41の灰分の塩基度が0.21以上で、かつ、CaO濃度が6wt%以上の条件を満たしていないときは、図8において、調製用石炭供給装置63より供給された調製用石炭73が石炭41と混合される。調整用石炭73の供給量は、石炭41と混合した後の混合炭の灰分の塩基度が0.21以上で、かつ、CaO濃度が6wt%以上となるように設定される。

0063

本実施形態によれば、石炭41の灰分の塩基度が0.21以上で、CaO濃度が6wt%以上の条件を満たしていなくても、この石炭41に調整用石炭73を混合することによって、常にガス化炉5には灰分の塩基度が0.21で、かつ、CaO濃度が6wt%以上に調製された混合炭が供給される。このようにガス化炉5の運転を行うことにより、第2の実施形態と比べて、全水冷スラグに対する糸状スラグの生成割合を10wt%以下の低い状態でより安定させることができるから、第3の実施形態と同様に、水砕スラグの排出を一層安定させることができ、ガス化炉の連続運転を達成し、ガス化装置の信頼性を向上させることができる。

0064

なお、第3及び第4の実施形態では、ガス化炉に投入する混合粉や混合炭の灰分の塩基度を0.21以上に調整することに加え、CaO濃度を6wt%以上に調整する例を説明したが、石炭の灰組成によっては、CaO濃度が高くなると、灰の溶融温度が上昇することがある。この場合、石炭のガス化や溶融スラグの流動性を上げるために炉内温度を非常に高い温度にしなければならなくなる。そのため、設備寿命や設備保全などの観点から、灰分のCaO濃度については、6wt%以上40wt%以下の範囲に調整することが好ましい。さらに、炭酸カルシウムや調整用石炭といった添加剤の使用量が少なく済めば、経済性の効果が見込めることから、より好ましくは灰中のCaO濃度を6wt%以上8wt%未満の範囲に調整するのがよい。

0065

また、上述した第1〜第4の実施形態では、塩基性酸化物や調整用石炭などの添加剤を微粉炭供給ライン39へ導入して石炭41と混合する例を示したが、これらの添加剤を石炭41に混合する方法としては、例えば、石炭41を貯蔵する山元で予め石炭41に添加剤を混合して石炭41の灰分の塩基度やCaO濃度を調整するようにしてもよいし、ガス化炉5に別途設置したバーナから添加剤をガス化部15に導入し、ガス化部15内で灰分の塩基度やCaO濃度を調整するようにしてもよい。

0066

また、上述した第1〜第4の実施形態では、塩基度を、塩基性酸化物のうち少なくともCaO,Fe2O3,MgO,MnO,Na2O,K2Oの総重量比率(wt%)を酸性酸化物のうち少なくともSiO2,Al2O3,P2O5,TiO2の総重量比率(wt%)で除した値として説明したが、例えば石炭の塩基度を求めるにあたって、石炭の灰分中の塩基性酸化物の総重量比率(wt%)と酸性酸化物の総重量比率(wt%)を求めることが可能であれば、塩基性酸化物の総重量比率(wt%)を酸性酸化物の総重量比率(wt%)で除した値を用いることが好ましい。

0067

5ガス化炉
7微粉炭供給装置
9酸化物供給装置
13クエンチ部
15ガス化部
19スラグタップ
21スラグ排出ライン
23クエンチ水
33石炭粉砕機
39微粉炭供給ライン
59溶融スラグ
61水冷スラグ
63調整用石炭供給装置

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