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技術 飲食品のうま味の味質改善方法

出願人 MCフードスペシャリティーズ株式会社
発明者 藤田陽平鈴木理恵井上裕
出願日 2013年7月26日 (7年5ヶ月経過) 出願番号 2013-155907
公開日 2015年2月5日 (5年10ヶ月経過) 公開番号 2015-023839
状態 特許登録済
技術分野 調味料
主要キーワード 味質改良 味質改善剤 分離定量 コロミン酸 スパイス類 味質改善 天然調味料 畜肉エキス
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年2月5日)のものです。
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図面 (11)

課題

飲食品うま味味質を改善する方法の提供。

解決手段

うま味成分とD−アミノ酸またはその塩を飲食品中で共存させることを特徴とする、飲食品のうま味の味質改善方法を用いる。

概要

背景

うま味飲食品において基本となる重要な味であり、その強度や持続性等が食品嗜好性に大きな影響を与えている(非特許文献1)。そのため、食品のうま味を改善するために多くの検討が行なわれているが、その多くはうま味を増強することに主眼がおかれている。例えば、特許文献1では、特定のテトラペプチド核酸系うま味成分を組み合わせて、食品のうま味を持続させ、増強させる組成物が開示されている。特許文献2では、イノシン酸を含有する食品にネオクリンを含有させることでイノシン酸のうま味を増強する方法が開示されている。

しかしながら、多様な食品の味質改善要望の中には、食品の味のバランスを崩さないことを前提とするものも多い。例えば、うま味については、うま味を必要以上に増強することなく、その持続性(後に感じるうま味)を付与することが望まれることもある。そのような要望に対しては、従来の味質改善方法では十分に対処できていない。

概要

飲食品のうま味の味質を改善する方法の提供。うま味成分とD−アミノ酸またはその塩を飲食品中で共存させることを特徴とする、飲食品のうま味の味質改善方法を用いる。

目的

本発明は、飲食品のうま味の味質改善方法、特にうま味の持続性向上方法、うま味の味質が改善された飲食品の製造方法、うま味の味質改善剤、うま味を有する飲食品およびうま味製剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

うま味成分とD−アミノ酸またはその塩とを飲食品中で共存させることを特徴とする、飲食品のうま味の味質改善方法

請求項2

うま味成分がL−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分である、請求項1に記載の味質改善方法。

請求項3

D−アミノ酸が、D−プロリン、D−グルタミン酸、およびD−アスパラギン酸からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1または2に記載の味質改善方法。

請求項4

うま味の味質改善が、うま味の持続性向上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の味質改善方法。

請求項5

うま味成分とD−アミノ酸またはその塩とを共存させることを特徴とする、うま味成分のうま味の味質改善方法。

請求項6

D−アミノ酸またはその塩を有効成分とする、うま味の味質改善剤

請求項7

うま味成分とD−アミノ酸またはその塩とを飲食品中で共存させる工程を含む、うま味の味質が改善された飲食品の製造方法。

請求項8

L−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分と、D−アミノ酸またはその塩とを含有させてなる、うま味製剤。

請求項9

D−アミノ酸またはその塩を含有させてなる、うま味を有する飲食品。

請求項10

請求項8記載のうま味製剤を含有させてなる、飲食品。

技術分野

0001

本発明は、飲食品うま味味質改善方法、さらに詳細には、D−アミノ酸またはその塩をうま味成分と共存させることを特徴とする飲食品のうま味の味質改善方法に関する。

背景技術

0002

うま味は飲食品において基本となる重要な味であり、その強度や持続性等が食品嗜好性に大きな影響を与えている(非特許文献1)。そのため、食品のうま味を改善するために多くの検討が行なわれているが、その多くはうま味を増強することに主眼がおかれている。例えば、特許文献1では、特定のテトラペプチド核酸系うま味成分を組み合わせて、食品のうま味を持続させ、増強させる組成物が開示されている。特許文献2では、イノシン酸を含有する食品にネオクリンを含有させることでイノシン酸のうま味を増強する方法が開示されている。

0003

しかしながら、多様な食品の味質改善要望の中には、食品の味のバランスを崩さないことを前提とするものも多い。例えば、うま味については、うま味を必要以上に増強することなく、その持続性(後に感じるうま味)を付与することが望まれることもある。そのような要望に対しては、従来の味質改善方法では十分に対処できていない。

0004

山口静子、日本食品工業学会誌、41巻、3号、p241−248(1994)

先行技術

0005

特開2010−90061号公報
特開2012−175929号公報

0006

本発明は、飲食品のうま味の味質改善方法、特にうま味の持続性向上方法、うま味の味質が改善された飲食品の製造方法、うま味の味質改善剤、うま味を有する飲食品およびうま味製剤を提供することを一つの目的とする。

0007

本発明は、以下の(1)〜(9)の発明に関する。
(1)うま味成分とD−アミノ酸またはその塩とを、飲食品中で共存させることを特徴とする、飲食品のうま味の味質改善方法。
(2)うま味成分がL−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分である、請求項1に記載の味質改善方法。
(3)D−アミノ酸が、D−プロリン、D−グルタミン酸、およびD−アスパラギン酸からなる群から選択される1種または2種以上である、(1)または(2)に記載の味質改善方法。
(4)うま味の味質改善が、うま味の持続性向上である、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の味質改善方法。
(5)うま味成分とD-アミノ酸またはその塩とを共存させることを特徴とする、うま味成分のうまみの味質改善方法。
(6)D−アミノ酸またはその塩を有効成分とする、うま味の味質改善剤。
(7)うま味成分とD−アミノ酸またはその塩とを飲食品中で共存させる工程を含む、うま味の味質が改善された飲食品の製造方法。
(8)L−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分と、D−アミノ酸またはその塩とを含有させてなる、うま味製剤。
(9)D−アミノ酸またはその塩を含有させてなる、うま味を有する飲食品。
(10)(8)記載のうま味製剤を含有させてなる、飲食品。

0008

本発明によれば、飲食品のうま味の味質改善方法、特にうま味の持続性向上方法、うま味の味質が改善された飲食品の製造方法、うま味の味質改善剤、うま味を有する飲食品およびうま味製剤を提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

L−グルタミン酸ナトリウムを含有するコントロール試料(MSG溶液)、ならびに、D−プロリン(D−Pro)、D−グルタミン酸(D−Glu)およびD−アスパラギン酸(D−Asp)の混合物を添加した試料(MSG溶液+D−Mix)に関し、TI法により、うま味を評価した結果を表す。
L−グルタミン酸ナトリウムを含有するコントロール試料(MSG溶液)、および、D−プロリン(D−Pro)10ppmを添加した試料(D−Pro(10ppm)添加)に関し、TI法により、うま味を評価した結果を表す。
L−グルタミン酸ナトリウムを含有するコントロール試料(MSG溶液)、および、D−グルタミン酸(D−Glu)10ppm添加した試料(D−Glu(10ppm)添加)に関し、TI法により、うま味を評価した結果を表す。
L−グルタミン酸ナトリウムを含有するコントロール試料(MSG溶液)、および、D−アスパラギン酸(D−Asp)10ppm添加した試料(D−Asp(10ppm)添加)に関し、TI法により、うま味を評価した結果を表す。
L−グルタミン酸ナトリウムを含有するコントロール試料(MSG溶液)、および、D−プロリン(D−Pro)10ppm添加した試料(D−Pro(10ppm)添加)に関し、TI法により、うま味を評価した結果を表す。
L−グルタミン酸ナトリウムを含有するコントロール試料(MSG溶液)、および、D−プロリン(D−Pro)を50ppm添加した試料(D−Pro(50ppm)添加)に関し、TI法により、うま味を評価した結果を表す。
L−グルタミン酸ナトリウムを含有するコントロール試料(MSG溶液)、および、D−プロリン(D−Pro)を100ppm添加した試料(D−Pro(100ppm)添加)に関し、TI法により、うま味を評価した結果を表す。
L−グルタミン酸ナトリウムおよび核酸系調味料を含有するコントロール試料(MSG溶液+核酸)、ならびに、D−プロリン(D−Pro)を10ppm添加した試料(D−Pro(10ppm)添加)に関し、TI法により、うま味を評価した結果を表す。
L−グルタミン酸ナトリウムおよび核酸系調味料を含有するコントロール試料(MSG溶液+核酸)、ならびに、D−プロリン(D−Pro)を50ppm添加した試料(D−Pro(50ppm)添加)に関し、TI法により、うま味を評価した結果を表す。
L−グルタミン酸ナトリウムおよび核酸系調味料(MSG溶液+核酸)、ならびに、D−プロリン(D−Pro)を100ppm添加した試料(D−Pro(100ppm)添加)に関し、TI法により、うま味を評価した結果を表す。

発明の具体的説明

0010

うま味の味質改善方法
本発明のうま味の味質改善方法は、D−アミノ酸またはその塩とうま味成分とを、飲食品に共存させることを特徴とする。

0011

本発明の味質改善方法において、うま味成分と共存させるD−アミノ酸は、飲食品のうま味の味質改善効果があればいずれも用いることができるが、例えば、D−プロリン、D−グルタミン酸、D−アスパラギン酸、D−オルニチン、D−メチオニン、D−フェニルアラニン、D−グルタミン、D−ヒスチジン、D−リジン、D−トリプトファン、D−アスパラギン、D−トレオニン、D−バリン、D−ロイシン、D−アラニン、D−アルギニン、D−システイン、D−イソロイシン、D−セリン、またはD−チロシンが挙げられ、好ましくはD−プロリン、D−グルタミン酸、またはD−アスパラギン酸が挙げられる。これらのD−アミノ酸は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上のD−アミノ酸を組み合わせる場合には、好ましくは、中性のD-アミノ酸と酸性のD−アミノ酸との組み合わせであり、より好ましくは、D−プロリンとD−グルタミン酸との組み合わせ、D−プロリンとD−アスパラギン酸との組み合わせ、D−グルタミン酸とD−アスパラギン酸との組み合わせ、または、D−グルタミン酸とD−プロリンとD−アスパラギン酸との組み合わせが挙げられる。

0012

したがって、本発明の好ましい態様によれば、D−プロリン、D−グルタミン酸、およびD−アスパラギン酸からなる群から選択される1種または2種以上のD−アミノ酸とうま味成分とを共存させることを特徴とする飲食品のうま味の味質改善方法が提供される。

0013

本発明の別の好ましい態様によれば、D−プロリンおよびD−アスパラギン酸とうま味成分とを共存させることを特徴とする、うま味の持続性向上方法が提供される。

0014

本発明において、D−アミノ酸の塩は、飲食品への添加が許容される塩であれば特に限定されず、酸付加塩金属塩アンモニウム塩有機アミン付加塩アミノ酸付加塩等が挙げられる。

0015

本発明において、酸付加塩としては、塩酸塩硫酸塩、硝酸塩リン酸塩等の無機酸塩酢酸塩マレイン酸塩フマル酸塩クエン酸塩リンゴ酸塩乳酸塩α−ケトグルタル酸塩、グルコン酸塩カプリル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。金属塩としては、ナトリウム塩カリウム塩等のアルカリ金属塩マグネシウム塩カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩アルミニウム塩亜鉛塩等が挙げられる。アンモニウム塩としては、アンモニウムテトラメチルアンモニウム等の塩が挙げられる。有機アミン付加塩としては、モルホリンピペリジン等の塩が挙げられる。アミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の塩が挙げられる。

0016

本発明において、D−アミノ酸またはその塩を単独で用いてもよいが、上述の通り、二種以上を組み合わせて用いてもよい。二種以上を組み合わせて用いる場合は、各D−アミノ酸またはその塩をどのように組み合わせてもよい。D−アミノ酸の組み合わせに含まれるアミノ酸の一種または二種以上をそのアミノ酸の塩と置き換えて組み合わせてよく、さらに、そのアミノ酸の塩を追加してもよい。

0017

本発明において、飲食品全量に対するD-アミノ酸またはその塩の質量比率は、特に限定されず、飲食品中のうま味成分の量および種類に応じて適宜決定することができるが、うま味の味質改善をよりよく達成するために、例えば、0.0001質量%以上とすることができ、好ましくは0.0001〜1質量%であり、より好ましくは0.0001〜0.5質量%であり、さらに好ましくは0.0005〜0.1質量%であり、さらに好ましくは0.001〜0.01質量%である。上記濃度範囲は、うま味成分がL−グルタミン酸である場合、L−グルタミン酸の濃度を飲食品に通常含有される範囲に維持しつつ、うま味の持続性を向上させる上で特に有利である。

0018

本発明に用いる、うま味成分は、うま味を有している飲食品成分である限り、特に限定されない。例えば、アミノ酸系うま味成分、核酸系うま味成分、有機酸系うま味成分等が挙げられる。好ましくは、アミノ酸系うま味成分または核酸系うま味成分である。

0019

本発明のアミノ酸系うま味成分は、うま味を有するアミノ酸系成分である限り特に制限されないが、L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸、オキシグルタミン酸、イボテン酸トリコロミン酸、またはそれらの塩が挙げられ、好ましくはL−グルタミン酸またはその塩である。

0020

また、本発明の核酸系うま味成分は、うま味を有する核酸系成分である限り特に制限されないが、イノシン酸、グアニル酸、またはそれらの塩が挙げられる。

0021

また、本発明の有機酸系うま味成分(アミノ酸系、核酸系は除く)は、うま味を有する有機酸系成分である限り特に制限されないが、コハク酸クエン酸リンゴ酸、トリコロミン酸、イボデン酸またはそれらの塩が挙げられ、好ましくは、コハク酸またはその塩である。

0022

本発明において、うま味成分の塩は、飲食品への添加が許容される塩であれば特に制限されず、前述のD−アミノ酸の塩と同様の塩を用いることができるが、好ましくはナトリウム塩である。

0023

本発明において、飲食品全量に対するうま味成分の質量比率は、特に限定されず、飲食品の種類、性質等に応じて当業者が適宜決定することができる。L−グルタミン酸またはその塩の場合、0.003質量%以上、核酸の場合、0.0008質量%以上であることが例示される。

0024

本発明において、うま味成分に対するD−アミノ酸の質量比率は、特に限定されないが、うま味の味質改善をよりよく達成するために、例えば、うま味成分に対するD−アミノ酸の質量比率は、0.01〜500質量%であり、好ましくは0.01〜200質量%であり、より好ましくは0.01〜50質量%であり、さらに好ましくは0.05〜1質量%であり、さらに好ましくは0.08〜0.8質量%である。上記濃度範囲は、うま味成分がL−グルタミン酸である場合に特に好ましい。

0025

また、本発明において、複数のD−アミノ酸またはその塩をうま味の味質改善に用いる場合には、D−アミノ酸の量は、複数のD−アミノ酸の合計量を表す。

0026

本発明によれば、上述の方法により、D−アミノ酸またはその塩を含有させてなる、うま味を有する飲食品を提供することができる。また、本発明の好ましい態様によれば、上記飲食品は、D−アミノ酸またはその塩と、うまみ成分とを含有させてなる、うま味の味質が改善された飲食品である。

0027

本発明において、飲食品は、液体固体、または半固体のいずれの形態のものであってもよい。

0028

また、本発明において、飲食品の種類は特に限定されず、具体的な例としては、飯類麺類肉類魚介類野菜類またはスープ類が挙げられる。

0029

飲食品中に含有させるD−アミノ酸またはその塩の含有量は、例えば、o−フタルアルデヒドとN−イソブチリル−L−システインや、N−アセチル−L−システインを用いて飲食品中のD−およびL−アミノ酸またはその塩をキラル誘導体化後、逆相カラムを用いて高速液体クロマトグラフィーにより、D-体およびL-体を分離定量することができる。

0030

D−アミノ酸またはその塩を含有させる方法としては、D−アミノ酸またはその塩そのものを添加してもよいが、所望のD−アミノ酸またはその塩を含有された素材または飲食品を添加してもよい。

0031

本発明のうま味の味質改善方法は、下記で詳述するうま味製剤を用いてD−アミノ酸またはその塩を飲食品に含有させてもよい。該うま味製剤を用いて、飲食品中にD−アミノ酸またはその塩を含有させた場合の飲食品中のD−アミノ酸またはその塩の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、飲食品中に、D−アミノ酸またはその塩として、0.0005質量%以上であり、好ましくは0.0015〜1質量%であり、より好ましくは0.003〜0.5質量%であり、さらに好ましくは0.005〜0.1質量%であり、特に好ましくは0.015〜0.1質量%である。飲食品中に、D−アミノ酸またはその塩として、このような濃度となるように、後述するうま味製剤を加えることができる。

0032

本発明のうま味の味質改善方法において、飲食品がL−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分を含有する飲食品である場合には、飲食品中の該L−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分の含有量は、特に限定されず、飲食品に好適に用いられる含有量を選択することができる。

0033

本発明のうま味の味質改善方法において、「うま味成分とD−アミノ酸またはその塩とを飲食品中で共存させる」とは、飲食品にうま味成分と共に、D−アミノ酸またはその塩を共存させる態様であればどのような態様であっても含まれるが、例えば、D−アミノ酸またはその塩をうま味成分(L−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分等)に含有させ、そのうま味組成物を飲食品に含有させてもよく、または該D−アミノ酸またはその塩およびうま味成分をそれぞれ飲食品に直接含有させてもよい。したがって、本発明の好ましい態様によれば、うま味の味質改善方法は、うま味成分と、D−アミノ酸またはその塩とを飲食品中に含有させることを特徴とする。また、本発明のうま味の味質改善方法において、「D−アミノ酸またはその塩を含有させる」とは、飲食品に該D−アミノ酸またはその塩を添加してもよく、D−アミノ酸またはその塩に飲食品を添加してもよく、またD−アミノ酸またはその塩が含有された素材を用いて、同様の操作を行ってもよい。例えば、D−アミノ酸またはその塩が既に存在する容器等に、飲食品を加える態様も含まれる。

0034

本発明のうま味の味質改善方法において、D−アミノ酸またはその塩を、飲食品に共存させる時期は、本発明の効果を奏する限り限定されるものではなく、飲食品の製造工程のいずれの時期に共存させてもよい。例えば、飲食品の原料にあらかじめD−アミノ酸またはその塩を加えて、飲食品を製造してもよいし、該飲食品の製造工程のいずれかの工程においてD−アミノ酸またはその塩を含有させてもよく、または製造後の飲食品にD−アミノ酸またはその塩を含有させてもよい。また、飲食品がL−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分を含有する飲食品である場合には、L−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分は上記D−アミノ酸またはその塩と同時期に加えてもよいし、飲食品の製造工程のいずれかの時期に別々に加えてもよい。

0035

飲食品にD−アミノ酸またはその塩をうま味成分と共存させる方法としては、D−アミノ酸またはその塩自体を含有させる方法の他に、飲食品の製造工程中に化学的方法または酵素学的方法などでL−アミノ酸をD−アミノ酸に変換して含有させてもよく、また他のD−アミノ酸またはその塩に変換する物質を加えて飲食品に含有させてもよい。

0036

本発明のうま味の味質改善方法に用いられる飲食品中には、本発明の効果の妨げとならない限りどのようなものが含有されていてもよく、L体のグルタミン酸ナトリウム、グリシン、アラニン等のアミノ酸類カリウムマグネシウム等の無機塩アスコルビン酸フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、脂肪酸等のカルボン酸等の酸、イノシン酸ナトリウムグアニル酸ナトリウム等の核酸、ショ糖ブドウ糖乳糖等の糖類、蛋白質加水分解物等の天然調味料畜肉エキス等のエキス類スパイス類ハーブ類等の香辛料デキストリン、各種澱粉等の賦形剤等の飲食品に使用可能な添加物を含有してもよい。

0037

本発明の好ましい態様によれば、D−グルタミン酸、D−プロリン、およびD−アスパラギン酸からなる群から選択される1種または2種以上のD−アミノ酸を含有させることを特徴とする、L−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分のうま味の味質改善方法が提供される。

0038

本発明のより好ましい態様によれば、D−グルタミン酸、D−プロリン、およびD−アスパラギン酸を含有させる、L−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分のうま味の持続性向上方法が提供される。

0039

また、上述の通り、本発明によれば、うま味成分とD−アミノ酸またはその塩とを併用することにより、うま味の味質を改善することができる。したがって、本発明の好ましい態様によれば、うま味成分とD−アミノ酸またはその塩とを併用することを特徴とする、うま味の味質改善方法が提供される。

0040

うま味の味質が改善された飲食品の製造方法
本発明によれば、D−アミノ酸またはその塩を、うま味を有する飲食品に共存させる工程を含む、うま味の味質が改善された飲食品の製造方法が提供される。該製造方法において共存させるD−アミノ酸またはその塩は、上記の本発明の味質改善方法に用いられるD−アミノ酸またはその塩であってよく、またD−アミノ酸またはその塩を飲食品に共存させる量は、上記の本発明の味質改善方法において共存させるD−アミノ酸またはその塩の共存量と同じ量であってよい。D−アミノ酸またはその塩を飲食品に共存させる工程とは、飲食品に該D−アミノ酸またはその塩を添加してもよく、該D−アミノ酸またはその塩に飲食品を添加してもよく、また、該D−アミノ酸またはその塩が含有された素材を用いて、同様の操作をしてもよい。例えば、該D−アミノ酸またはその塩が既に存在する容器等に、飲食品を加える態様も含まれる。

0041

D−アミノ酸またはその塩を、飲食品にうま味成分と共存させる時期は、本発明の効果を奏する限り限定されるものではなく、飲食品の製造工程のいずれの時期に共存させてもよい。例えば、原料にあらかじめD−アミノ酸またはその塩を加えて、飲食品を製造してもよいし、該飲食品の製造工程のいずれかの工程においてD−アミノ酸またはその塩を含有させてもよく、また製造後の飲食品にD−アミノ酸またはその塩を含有させてもよい。また、飲食品がL−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分を含有する飲食品である場合には、L−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分は上記D−アミノ酸またはその塩と同時期に加えてもよいし、飲食品の製造工程のいずれかの時期に別々に加えてもよい。

0042

飲食品にD−アミノ酸またはその塩をうま味成分と共存させる方法としては、D−アミノ酸またはその塩自体を含有させる方法の他に、飲食品の製造工程中に化学的方法または酵素学的方法などでL−アミノ酸をD−アミノ酸に変換して含有させてもよく、また他のD−アミノ酸に変換する物質を加えて飲食品に含有させてもよい。

0043

本発明の製造方法において、上記の本発明のうま味の味質改善方法に用いられる飲食品に使用可能な添加物を含有させる工程を含んでいてもよい。

0044

うま味の味質改善剤
本発明において、D−アミノ酸またはその塩は、上述の通り、うま味成分の味質改善の有効成分として用いることができる。したがって、本発明の別の態様によれば、D−アミノ酸またはその塩を有効成分として含有する、うま味の味質改善剤が提供される。また、本発明の別の態様によれば、うま味の味質改善剤としての、D−アミノ酸またはその塩の使用が提供される。また、本発明のさらに別の態様によれば、うま味の味質改善剤の製造における、D−アミノ酸またはその塩の使用が提供される。また、本発明さらに別の好ましい態様によれば、うま味の味質改善剤は、うま味の持続性向上剤として提供される。

0045

本発明において、飲食品におけるうま味の味質改善剤は、D−アミノ酸またはその塩からなってもよく、D−アミノ酸またはその塩を有効成分として含有する組成物であってもよい。また、本発明において、飲食品におけるうま味の味質改善剤は、上記飲食品と同様、D−アミノ酸またはその塩およびうま味成分以外の飲食品に適用可能な他の成分を含有していてもよい。

0046

本発明のうま味の味質改善剤は、うま味の味質改善方法、うま味の味質が改善された飲食品の製造方法に関する上記記載に基づいて使用することができる。すなわち、本発明のうま味の味質改善剤において、各成分の種類および量、加える方法および時期は、うま味の味質改善方法、うま味の味質が改善された飲食品の製造方法と同じあってもよい。

0047

うま味製剤
本発明によれば、L−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分と、D−アミノ酸またはその塩とを含有させてなるうま味製剤が提供される。本発明のうま味製剤を飲食品に加え、飲食品中で、うま味成分とD−アミノ酸またはその塩とを共存させることにより、飲食品のうま味の味質を改善することができる。好ましくは、本発明のうま味製剤を飲食品に加えることにより、飲食品のうま味の持続性の向上を行うことができる。

0048

本発明のうま味製剤に含有させるD−アミノ酸またはその塩は、うま味の味質改善方法に用いられるD−アミノ酸またはその塩と同じであってよい。

0049

本発明のうま味製剤に含有させるD−アミノ酸またはその塩の含有量は、特に限定されないが、うま味製剤に含有するL−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分に対して、例えば1〜500質量%、好ましくは5〜200質量%、より好ましくは50〜100質量%である。

0050

本発明のうま味製剤に含有させるL−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分の含有量は、特に限定されないが、例えば1〜99質量%、好ましくは10〜99質量%、より好ましくは50〜99質量%である。

0051

飲食品
本発明のうま味製剤は、飲食品に含有させて用いることができる。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、本発明のうま味製剤を含有させてなる飲食品が提供される。

0052

本発明のうま味製剤を含有させる飲食品は、上記のうま味の味質改善方法に用いられる飲食品と同じであってよいが、うま味を有さない飲食品であってもよい。また、該飲食品中のD−アミノ酸またはその塩の含有量は、特に限定されないが、上記のうま味の味質改善方法に用いられる飲食品に含まれるD−アミノ酸またはその塩の含有量と同じであってもよい。

0053

本発明のうま味製剤中には、上記の本発明のうま味の味質改善方法に用いられる飲食品に使用可能な添加物を含有していてもよい。

0054

本発明の別の態様によれば、D−アミノ酸またはその塩を含有させてなる、うま味を有する飲食品が提供される。このD−アミノ酸またはその塩を含有させる飲食品は、上記のうま味の味質改善方法に用いられる飲食品と同じであってよい。

0055

本発明の好ましい別の態様によれば、D−グルタミン酸、D−プロリン、およびD−アスパラギン酸とL−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分と共存させることにより得られる、D−グルタミン酸、D−プロリン、およびD−アスパラギン酸と、L−グルタミン酸および/または核酸系うま味成分とを含む飲食品が提供される。本発明のより好ましい態様によれば、上記飲食品は、うま味の味質が改善されたものである。

0056

本発明の別の態様によれば、上記のうま味製剤を含有させてなる飲食品が提供される。

0057

以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0058

実施例1
L−グルタミン酸ナトリウムの1質量%水溶液を調製した。次に、上記の水溶液にD−プロリン(D−Pro)、D−グルタミン酸(D−Glu)、およびD−アスパラギン酸(D−Asp)を各10ppm(0.001質量%)添加し、試料(MSG溶液+D−Mix)を調製した。次に、得られた試料を29℃に調整し、TI法により、試料におけるL−グルタミン酸ナトリウムのうま味を評価した。
ここで、官能評価の一手法であるTI法(Time-Intensity法:新食感事典、サイエンスフォーラム、p420-421(1999)参照)は、経時的な味の強さを評価し、味の強度を時間軸上にプロットして曲線グラフ)を得、得られた曲線に基づき、試料の味の経時的な変化の特性または味質改良効果を評価する手法である。

0059

TI法は、以下の手順で行った。(1)試料(20ml)を口に含むと同時に時間計測を始める、(2)5秒後に試料を吐き出す、(3)うま味強度を経時的に記録し、グラフにする。本発明の実施例では、うま味強度の数値が大きいほど、うま味が強いことを表す。
また、TI法による評価は、3名のパネラーにより行った。評価結果を図1に示す。

0060

図1に示すとおり、D−プロリン、D−グルタミン酸およびD−アスパラギン酸を添加した試料(MSG溶液+D−Mix)は、これらのD−アミノ酸を添加しないコントロール試料(MSG溶液)と比較して、L−グルタミン酸ナトリウムのうま味の持続性が改善された。

0061

実施例2
L−グルタミン酸ナトリウムの1質量%水溶液を調製した。次に、上記の水溶液にD−プロリン(D−Pro)を10ppm(0.001質量%)添加した試料(D−Pro(10ppm)添加)を調製した。さらに同様の手法により、D−グルタミン酸(D−Glu)およびD−アスパラギン酸(D−Asp)を各10ppm(0.001質量%)添加した試料(D−Glu(10ppm)添加、D−Asp(10ppm)添加)を調製した。上記の調製により得られた、これらの試料を29℃に調整し、TI法により、L−グルタミン酸ナトリウムのうま味を評価した。
また、評価方法は、実施例1と同様にして、3名のパネラーで評価を行った。評価結果を図2〜4に示す。

0062

図2〜4に示すとおり、D−プロリン、D−グルタミン酸、およびD−アスパラギン酸をそれぞれ添加した試料(D−Pro(10ppm)添加、D−Glu(10ppm)添加、D−Asp(10ppm)添加)は、これらのD−アミノ酸を添加しないコントロール試料(MSG溶液)と比較して、L−グルタミン酸ナトリウムのうま味の持続性が改善された。特に、D−プロリンを添加した試料で、L−グルタミン酸ナトリウムのうま味の持続性について、改善効果が大きかった。

0063

実施例3
L−グルタミン酸ナトリウムの1質量%水溶液を調製した。次に、上記の水溶液にD−プロリン(D−Pro)を10ppm(0.001質量%)添加した試料(D−Pro(10ppm)添加)を調製した。同様の手法により、D−プロリン(D−Pro)を50ppm(0.005質量%)添加した試料(D−Pro(50ppm)添加)、および100ppm(0.01質量%)添加した試料(D−Pro(100ppm)添加)を調製した。次に、上記の試料を29℃に調整し、TI法により、各試料のL−グルタミン酸ナトリウムのうま味を評価した。
評価方法は、実施例1と同様にして、3名のパネラーで評価を行った。評価結果を図5〜7に示す。

0064

図5〜7に示すとおり、D−プロリンを10〜100ppm添加した各試料は、これらのD−アミノ酸を添加しないコントロール試料(MSG溶液)と比較して、L−グルタミン酸ナトリウムのうま味の持続性が改善された。

0065

実施例4
実施例3のL−グルタミン酸ナトリウム1質量%水溶液を、L−グルタミン酸ナトリウム1質量%および核酸系調味料0.2質量%を含有する水溶液に代えた以外は、同様の手法を用いて、L−グルタミン酸ナトリウムおよび核酸系調味料のうま味に対するD−アミノ酸の効果をTI法により、パネラー3名にて評価した。コントロールもMSG溶液の代わりに、L−グルタミン酸ナトリウム1質量%および核酸系調味料0.2質量%を含有する水溶液(MSG溶液+核酸)を用いた。
核酸系調味料(5‘−リボヌクレオチドナトリウム)は、キリン協和フーズ社のリボイド(5‘−イノシン酸2ナトリウムとグアニル酸2ナトリウムとが約50%ずつ)を用いた。
その結果を、図8〜10に示す。

0066

図8〜10に示すとおり、D−プロリンを10〜100ppm添加した各資料では、これらのD−アミノ酸を添加しないコントロール試料(MSG溶液+核酸)と比較して、うま味成分のうま味の持続性が改善された。

0067

実施例5
常法に従い、かつおぶしと昆布のだしを用いた、そばつゆを作成し、D−プロリンを0.005質量%になるように添加したところ、無添加と比較して、うま味の持続性が改善されていた。

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