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図面 (13)

課題

過充電時局所的な発熱を小さく抑える

解決手段

ここで提案される非水電解質二次電池10は、角型の電池ケース20に捲回電極体40が収容されている。捲回電極体は、位置決め部材によって電池ケースに位置決めされている。ここで、電池ケース20内における捲回電極体40を除く残余空間のうち、捲回電極体40の捲回軸WLの方向における、負極側の残余空間容積Xが、正極側の残余空間容積Yよりも大きい。ここで、容積Xと容積Yとは、2.1≦(X/Y)≦5.7である。

概要

背景

例えば、特開2011−243527号公報には、捲回電極体電池ケースに収容された二次電池が開示されている。同公報には、正極シート幅方向において、正極集電体露出部側における正極活物質層の縁から電池ケースの内壁までの距離Aが、反対側における正極活物質層の縁から電池ケースの内壁までの距離Bよりも長くすること(A>B)が提案されている。具体的には、同公報には、電池ケースに対して捲回電極体を少し負極側にずらして固定されたリチウムイオン二次電池が開示されている。この場合、上述した距離Aを長く確保することができる。また、同公報で提案されたリチウムイオン二次電池の電池ケースと捲回電極体との正極側では、ガス抜け経路が広くなり、正極側の隙間に放出されたガスはよりスムーズに排出されるようになる。このようなことから、過充電末期に、短絡が生じた場合の安全性を高めることができるとされている。

概要

過充電時局所的な発熱を小さく抑える ここで提案される非水電解質二次電池10は、角型の電池ケース20に捲回電極体40が収容されている。捲回電極体は、位置決め部材によって電池ケースに位置決めされている。ここで、電池ケース20内における捲回電極体40を除く残余空間のうち、捲回電極体40の捲回軸WLの方向における、負極側の残余空間容積Xが、正極側の残余空間容積Yよりも大きい。ここで、容積Xと容積Yとは、2.1≦(X/Y)≦5.7である。

目的

このため、安全性が高く、性能が安定したリチウムイオン二次電池を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

捲回電極体と、前記捲回電極体を収容した電池ケースと、前記捲回電極体を前記電池ケースに位置決めする位置決め部材と、を備え;前記捲回電極体は、捲回軸を含む一平面に沿って扁平な状態で電池ケースに収容されており;前記電池ケース内における前記捲回電極体を除く残余空間のうち、前記捲回電極体の捲回軸WLの方向における、負極側の残余空間容積Xが、正極側の残余空間容積Yよりも大きく;前記容積Xと容積Yとは、2.1≦(X/Y)≦5.7である;非水電解質二次電池

請求項2

前記電池ケースは、扁平な矩形の収容空間を有する角型のケースであり、前記捲回電極体は、帯状正極シート及び帯状の負極シートが帯状のセパレータを介在させた状態で重ねられ、かつ、捲回されており;前記正極シートは、帯状の正極集電体と、前記正極集電体の幅方向片側の縁部に沿って前記正極集電体に設定された露出部と、前記露出部を除いて前記正極集電体の両面に保持された、正極活物質を含む正極活物質層とを備えており;前記負極シートは、前記正極集電体よりも熱伝導率が高い、帯状の負極集電体と、前記負極集電体の幅方向片側の縁部に沿って前記負極集電体に設定された露出部と、前記露出部を除いて前記負極集電体の両面に保持された、負極活物質を含む負極活物質層とを備えており;前記負極活物質層は、前記正極活物質層よりも幅が広く、前記正極シートと前記負極シートとは、前記正極活物質層が前記負極活物質層によって覆われるように対向し、かつ、前記正極シートの露出部と前記負極シートの露出部とが、前記セパレータの幅方向において互いに反対側にはみ出るように重ねられており;当該捲回電極体は、重ねられた前記正極シートの幅方向に設定された捲回軸周りに捲回され、かつ、当該捲回軸を含む一平面に沿って扁平な状態で前記電池ケースに収容されている;請求項1に記載された非水電解質二次電池。

請求項3

前記正極集電体がアルミニウムであり、前記負極集電体が銅である、請求項1または2に記載された非水電解質二次電池。

請求項4

請求項1から3までの何れか一項に記載された非水電解質二次電池が複数組み合わされた組電池であって、前記非水電解質二次電池は、前記電池ケースの幅広面を対向させて重ね合わされており、隣に組み合わされた非水電解質二次電池は、前記電池ケース内に収められた前記捲回電極体が、捲回軸の方向に沿って互いにずれている、組電池。

請求項5

前記隣に組み合わされた非水電解質二次電池は、前記捲回電極体の捲回軸方向の幅βと、捲回軸方向のずれ量αとで、規定されるずらし率A(A=α/β×100)が、1.3≦A≦6.0である、請求項4に記載された組電池。

請求項6

複数の非水電解質二次電池を重ねた状態で組み付けた組電池であって、前記非水電解質二次電池は、扁平な矩形の収容空間を有する角型の電池ケースと、帯状の正極シート及び帯状の負極シートが帯状のセパレータを介在させた状態で重ねられ、かつ、捲回され、捲回軸を含む一平面に沿って扁平な状態で前記電池ケースに収容された捲回電極体とを有し、前記電池ケースの幅広面を対向させて重ね合わされており、隣に重ね合わされた前記非水電解質二次電池は、前記電池ケース内に収められた前記捲回電極体が、捲回軸の方向に沿っておいて互いにずれている、組電池。

技術分野

0001

本発明は非水電解質二次電池に関する。本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な電池一般をいう。「非水電解質二次電池」とは、電解質塩を溶解した非水溶媒からなる非水電解質が用いられた二次電池をいう。また、「非水電解質二次電池」の一種である「リチウムイオン二次電池」は、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。一般に「リチウム二次電池」のように称される電池は、本明細書におけるリチウムイオン二次電池に包含されうる。

背景技術

0002

例えば、特開2011−243527号公報には、捲回電極体電池ケースに収容された二次電池が開示されている。同公報には、正極シート幅方向において、正極集電体露出部側における正極活物質層の縁から電池ケースの内壁までの距離Aが、反対側における正極活物質層の縁から電池ケースの内壁までの距離Bよりも長くすること(A>B)が提案されている。具体的には、同公報には、電池ケースに対して捲回電極体を少し負極側にずらして固定されたリチウムイオン二次電池が開示されている。この場合、上述した距離Aを長く確保することができる。また、同公報で提案されたリチウムイオン二次電池の電池ケースと捲回電極体との正極側では、ガス抜け経路が広くなり、正極側の隙間に放出されたガスはよりスムーズに排出されるようになる。このようなことから、過充電末期に、短絡が生じた場合の安全性を高めることができるとされている。

先行技術

0003

特開2011−243527号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1に開示された二次電池は、特に、過充電末期の短絡に対し、安全性を高めうる形態が提案されている。これに対して、ここでは、過充電に対して電池が局所的に発熱するのを小さく抑えること、および、ハイレートでの充電と放電が繰り返される用途において、電池特性を高く維持できるとの観点において、適した非水電解質二次電池を提案する。

課題を解決するための手段

0005

ここで提案される非水電解質二次電池は、捲回電極体と、捲回電極体を収容した電池ケースと、捲回電極体を電池ケースに位置決めする位置決め部材とを備えている。ここで、捲回電極体は、捲回軸を含む一平面に沿って扁平な状態で電池ケースに収容されている。そして、電池ケース内における捲回電極体を除く残余空間のうち、捲回電極体の捲回軸WLの方向における、負極側の残余空間容積Xが、正極側の残余空間容積Yよりも大きい。ここで、容積Xと容積Yとは、2.1≦(X/Y)≦5.7であるとよい。かかる非水電解質二次電池によれば、特に、過充電時に局所的な発熱を小さく抑えることができる。また、ハイレートでの充電と放電が繰り返される用途において、抵抗が上昇するのを小さく抑えることができる。

0006

ここで、電池ケースは、扁平な矩形の収容空間を有する角型のケースであってもよい。この場合、捲回電極体は、帯状の正極シート及び帯状の負極シートが帯状のセパレータを介在させた状態で重ねられ、かつ、捲回されているとよい。ここで、正極シートは、帯状の正極集電体と、正極集電体の幅方向片側の縁部に沿って正極集電体に設定された露出部と、露出部を除いて正極集電体の両面に保持された、正極活物質を含む正極活物質層とを備えているとよい。また、負極シートは、正極集電体よりも熱伝導率が高い、帯状の負極集電体と、負極集電体の幅方向片側の縁部に沿って負極集電体に設定された露出部と、露出部を除いて負極集電体の両面に保持された、負極活物質を含む負極活物質層とを備えているとよい。また、負極活物質層は、正極活物質層よりも幅が広いとよい。ここで、正極シートと負極シートとは、正極活物質層が負極活物質層によって覆われるように対向し、かつ、正極シートの露出部と負極シートの露出部とが、セパレータの幅方向において互いに反対側にはみ出るように重ねられているとよい。そして、かかる捲回電極体は、重ねられた正極シートの幅方向に設定された捲回軸周りに捲回され、かつ、当該捲回軸を含む一平面に沿って扁平な状態で電池ケースに収容されているとよい。ここで、例えば、正極集電体がアルミニウムであり、負極集電体が銅であるとよい。

0007

また、ここで提案される組電池は、例えば、上述した非水電解質二次電池が複数組み合わされた組電池である。ここで、非水電解質二次電池は、電池ケースの幅広面を対向させて重ね合わされているとよい。そして、隣に組み合わされた非水電解質二次電池は、電池ケース内に収められた捲回電極体が、捲回軸の方向に沿って互いにずれているとよい。この場合、隣に組み合わされた非水電解質二次電池は、捲回電極体の捲回軸方向の幅βと、捲回軸方向のずれ量αとで、規定されるずらし率A(A=α/β×100)が、1.3≦A≦6.0であるとよい。

0008

また、他の形態として、組電池の非水電解質二次電池は、扁平な矩形の収容空間を有する角型の電池ケースと、帯状の正極シート及び帯状の負極シートが帯状のセパレータを介在させた状態で重ねられ、かつ、捲回され、捲回軸を含む一平面に沿って扁平な状態で前記電池ケースに収容された捲回電極体とを有していてもよい。この場合、電池ケースの幅広面を対向させて重ね合わされており、隣に重ね合わされた当該非水電解質二次電池は、電池ケース内に収められた捲回電極体が、捲回軸の方向に沿っておいて互いにずれていてもよい。

図面の簡単な説明

0009

図1は、リチウムイオン二次電池を示す部分断面図である。
図2は、リチウムイオン二次電池に内装される電極体を示す図である。
図3は、リチウムイオン二次電池の充電時の状態を示す模式図である。
図4は、リチウムイオン二次電池の放電時の状態を示す模式図である。
図5は、ここで提案されるリチウムイオン二次電池10Aを示す部分断面図である。
図6は、評価用セル10Bの斜視図である。
図7は、評価用セルの評価を示すグラフである。
図8は、組電池1000の構成を模式的に示す斜視図である。
図9は、組電池1000の模式図である。
図10は、各評価用の組電池の評価を示すグラフである。
図11は、組電池1000の他の形態を示す模式図である。
図12は、二次電池(組電池)が搭載された車両を示す図である。

実施例

0010

以下、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、各図は模式的に描かれており、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。

0011

ここでは、まず適用されうる非水電解質二次電池の構造例としてリチウムイオン二次電池10を説明し、その後、それを基に、ここで提案される非水電解質二次電池を説明する。

0012

《リチウムイオン二次電池10》
図1は、リチウムイオン二次電池10を示す断面図である。図2は、当該リチウムイオン二次電池10に内装される電極体40を示す図である。なお、図1および図2に示されるリチウムイオン二次電池10は、本発明が適用されうるリチウムイオン二次電池の一例を示すものに過ぎず、本発明が適用されうるリチウムイオン二次電池を特段限定するものではない。

0013

リチウムイオン二次電池10は、図1に示すように、電池ケース20と、電極体40(図1では、捲回電極体)を備えている。

0014

≪電池ケース20≫
電池ケース20は、ケース本体21と、封口板22とを備えている。ケース本体21は、一端に開口部を有する箱形を有している。ここでは、ケース本体21は、リチウムイオン二次電池10の通常の使用状態における上面に相当する一面が開口した有底直方体形状を有している。この実施形態では、ケース本体21には、矩形の開口が形成されている。封口板22は、ケース本体21の開口を塞ぐ部材である。封口板22は凡そ矩形のプレートで構成されている。かかる封口板22がケース本体21の開口周縁溶接されることによって、略六面体形状の電池ケース20が構成されている。

0015

電池ケース20の材質は、例えば、軽量で熱伝導性の良い金属材料主体に構成された電池ケース20が好ましく用いられうる。このような金属製材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼ニッケルめっき鋼等が例示される。本実施形態に係る電池ケース20(ケース本体21および封口板22)はアルミニウム若しくはアルミニウムを主体とする合金によって構成されている。

0016

図1に示す例では、封口板22に外部接続用正極端子23(外部端子)および負極端子24(外部端子)が取り付けられている。封口板22には、安全弁30と、注液口32が形成されている。安全弁30は、電池ケース20の内圧所定レベル(例えば、設定開弁圧0.3MPa〜1.0MPa程度)以上に上昇した場合に該内圧を開放するように構成されている。また、図1では、電解液注入された後で、注液口32が封止材33によって封止された状態が図示されている。かかる電池ケース20には、電極体40が収容されている。

0017

≪電極体40(捲回電極体)≫
電極体40は、図2に示すように、帯状の正極(正極シート50)と、帯状の負極(負極シート60)と、帯状のセパレータ(セパレータ72,74)とを備えている。

0018

≪正極シート50≫
正極シート50は、帯状の正極集電箔51と正極活物質層53とを備えている。正極集電箔51には、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。正極集電箔51には、例えば、所定の幅を有し、厚さが凡そ15μmの帯状のアルミニウム箔を用いることができる。正極集電箔51の幅方向片側の縁部に沿って露出部52が設定されている。図示例では、正極活物質層53は、正極集電箔51に設定された露出部52を除いて、正極集電箔51の両面に形成されている。ここで、正極活物質層53は、正極集電箔51に保持され、少なくとも正極活物質が含まれている。この実施形態では、正極活物質層53は、正極活物質を含む正極合材が正極集電箔51に塗工されている。また、「露出部52」は、正極集電箔51に正極活物質層53が保持(塗工、形成)されない部位をいう。

0019

正極活物質には、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。好適例として、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO2)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO2)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn2O4)等のリチウム遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物リチウム遷移金属酸化物)や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO4)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩等が挙げられる。

0020

導電材
導電材としては、例えば、カーボン粉末カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラックオイルファーネスブラック黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。

0021

バインダ
また、バインダは、正極活物質層53に含まれる正極活物質と導電材の各粒子接着させたり、これらの粒子と正極集電箔51とを接着させたりする。かかるバインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合材組成物においては、セルロース系ポリマーカルボキシメチルセルロースCMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)など)、フッ素系樹脂(例えば、ポリビニルアルコールPVA)、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)など)、ゴム類酢酸ビニル共重合体スチレンブタジエン共重合体SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂SBR系ラテックス)など)などの水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合材組成物においては、ポリマー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリルニトリル(PAN)など)を好ましく採用することができる。

0022

≪負極シート60≫
負極シート60は、図2に示すように、帯状の負極集電箔61と、負極活物質層63とを備えている。負極集電箔61には、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。この負極集電箔61には、所定の幅を有し、厚さが凡そ10μmの帯状の銅箔が用いられている。負極集電箔61の幅方向片側には、縁部に沿って露出部62が設定されている。負極活物質層63は、負極集電箔61に設定された露出部62を除いて、負極集電箔61の両面に形成されている。負極活物質層63は、負極集電箔61に保持され、少なくとも負極活物質が含まれている。この実施形態では、負極活物質層63は、負極活物質を含む負極合材が負極集電箔61に塗工されている。また、「露出部62」は、負極集電箔61に負極活物質層63が保持(塗工、形成)されない部位をいう。

0023

《負極活物質》
負極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボンアモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物等が挙げられる。

0024

≪セパレータ72、74≫
セパレータ72、74は、図2に示すように、正極シート50と負極シート60とを隔てる部材である。この例では、セパレータ72、74は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ72、74には、樹脂製の多孔質膜、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。この例では、図2に示すように、負極活物質層63の幅b1は、正極活物質層53の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ72、74の幅c1、c2は、負極活物質層63の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。

0025

また、セパレータ72、74は、正極活物質層53と負極活物質層63とを絶縁するとともに、電解質の移動を許容する。図示は省略するが、セパレータ72、74は、プラスチックの多孔質膜からなる基材の表面に耐熱層が形成されていてもよい。耐熱層は、フィラーとバインダとからなる。耐熱層は、HRL(Heat Resistance Layer)とも称される。

0026

《電極体40の取り付け》
この実施形態では、電極体40は、図2に示すように、捲回軸WLを含む一平面に沿って扁平に押し曲げられている。図2に示す例では、正極集電箔51の露出部52と負極集電箔61の露出部62とは、それぞれセパレータ72、74の両側において、らせん状に露出している。この実施形態では、図1に示すように、電極体40は、セパレータ72、74からはみ出た正負の露出部52、62の中間部分が寄せ集められ、電池ケース20の内部に配置された正負の内部端子23、24の先端部23a、24aに溶接されている。

0027

電極体40は、図1に示すように、電池ケース20に収容される。電池ケース20には、さらに電解液が注入される。電解液は、捲回軸WL(図2参照)の軸方向の両側から電極体40の内部に浸入する。

0028

≪電解液(液状電解質)≫
電解液としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネートプロピレンカーボネートジメチルカーボネートジエチルカーボネートエチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF6,LiBF4,LiAsF6,LiCF3SO3,LiC4F9SO3,LiN(CF3SO2)2,LiC(CF3SO2)3等のリチウム塩を用いることができる。一例として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば質量比1:1)にLiPF6を約1mol/Lの濃度で含有させた非水電解液が挙げられる。

0029

かかるリチウムイオン二次電池10の正極集電箔51と負極集電箔61は、電池ケース20を貫通した電極端子23、24を通じて外部の装置に電気的に接続される。以下、充電時と放電時のリチウムイオン二次電池10の動作を説明する。

0030

≪充電時の動作≫
図3は、かかるリチウムイオン二次電池10の充電時の状態を模式的に示している。充電時、リチウムイオン二次電池10の電極端子23、24(図1参照)は、図3に示すように、スイッチ92によって充電器90に接続されたような状態になる。この際、充電器90の作用によって、正極シート50と負極シート60との間に、電圧印加され、正極活物質層53中の正極活物質からリチウムイオン(Li)が電解液80に放出され、正極活物質層53から電荷が放出される。放出された電荷は、正極集電箔51に送られ、充電器90を通じて負極シート60に送られる。また、負極シート60では電荷が蓄えられるとともに、電解液80中のリチウムイオン(Li)が、負極活物質層63中の負極活物質に吸収され、かつ、貯蔵される。これにより、負極シート60と正極シート50とに電位差が生じる。

0031

≪放電時の動作≫
図4は、かかるリチウムイオン二次電池10の放電時の状態を模式的に示している。放電時、リチウムイオン二次電池10の電極端子23、24(図1参照)は、図4に示すように、スイッチ92によって抵抗94に接続されたような状態になる。この際、負極シート60と正極シート50との電位差によって、抵抗94を通じて負極シート60から正極シート50に電荷が送られるとともに、負極活物質層63に貯蔵されたリチウムイオンが電解液80に放出される。また、正極では、正極活物質層53中の正極活物質に電解液80中のリチウムイオンが取り込まれる。

0032

このようにリチウムイオン二次電池10の充放電において、正極活物質層53中の正極活物質や負極活物質層63中の負極活物質にリチウムイオンが吸蔵されたり、放出されたりする。そして、電解液80を介して、正極活物質層53と負極活物質層63との間でリチウムイオンが行き来する。

0033

車両用途での問題点≫
ところで、このようなリチウムイオン二次電池10は、例えば、4Vを超えるような高い出力を実現しうる。このため、特に発進時や加速時に高い出力が求められる電気車両ハイブリッド車両駆動用電源として好適に用いられうる。また、リチウムイオン二次電池10は、充電効率が高く、急速な充電にも適用でき、例えば、車両の減速時(ブレーキ時)に運動エネルギ電気エネルギ回生して充電するようなエネルギ回生システムにも適用されうる。また、車両用途では、特に、街中での走行などでは、加速や減速が繰返し行われる。これに伴い、電気車両やハイブリッド車両の駆動用電源にリチウムイオン二次電池10が用いられる場合には、高出力の放電や急速充電が繰返される。また、システムトラブルが生じ、リチウムイオン二次電池10が過充電状態に陥った場合でも、所要の安全性が確保されていることが望ましい。

0034

本発明者の知見によれば、上述したようなリチウムイオン二次電池10は、例えば、4.8V程度の高電位まで充電した場合に、高い電位のために電解液が徐々に分解され、その分解熱によって温度が上昇する。この際、特に、負極側の側面20Aの温度が、局所的に高くなる傾向がある。負極側の側面20Aの温度が、局所的に高くなる傾向について、本発明者は、以下のとおりに想定している。つまり、リチウムイオン二次電池は、例えば、4.8V程度の高電位まで充電が進むと、いわゆる過充電状態になって発熱する。この際、特に、負極側で、電解液が分解されやすく、温度が高くなりやすい。そして、その熱を逃がす経路が塞がれている付近において温度上昇が大きいと推定される。

0035

ここで、正極の基材となる正極集電箔51に用いられるアルミニウム箔よりも、負極の基材となる負極集電箔61に用いられる銅箔の方が、熱伝導率が高い。捲回電極体40内の熱は負極集電箔61を通じて負極端子24に伝わる。特に、4.8V程度の高電位まで充電した場合には、捲回電極体40では、負極活物質層63中の負極活物質にリチウムイオンが多く含まれた状態となる。このため、負極活物質層63およびその周辺で電解液の分解が進みやすい。そして、負極活物質層63およびその周辺で電解液の分解に伴って発生した熱が、負極集電箔61を通じて負極端子24に多く伝えられる傾向がある。このようなことが、負極側が高温になりやすいことに関連していると推察される。例えば、負極側で発生した熱は、負極端子を通じて外部に放出されうる。この際、当該負極シート60の露出部62や負極端子24の近傍部位において、電池ケース20の温度が局所的に高くなる。本発明者は、このような知見を基に、電気車両やハイブリッド車両の駆動用電源に用いられるリチウムイオン二次電池10では、過充電状態における局所的な温度上昇が低く抑えられていることが望ましいと考えている。

0036

また、本発明者の知見によれば、高出力の放電や急速充電が繰返されるハイレートサイクル試験後において、リチウムイオン二次電池10の抵抗は上昇する傾向がある。かかる抵抗上昇は、リチウムイオン二次電池10の出力低下や、充電効率の低下の要因となり得る。本発明者は、電気車両やハイブリッド車両の駆動用電源に用いられるリチウムイオン二次電池10では、ハイレートサイクル試験後において抵抗が上昇する程度が低く抑えられていることが望ましいと考えている。

0037

また、高出力の放電や急速充電が繰返し行われる場合には、リチウムイオン二次電池10内でリチウムイオンが激しく移動する。この際、一部のリチウムイオンが、負極表面に金属リチウムとして析出する場合がある。負極表面に析出した金属リチウムは、一部は再びリチウムイオンになり電池反応に寄与しうる。しかし、負極表面に析出した金属リチウムは、金属リチウムとして析出した状態で残り、電池反応に寄与しなくなる場合がある。リチウムイオン二次電池10の負極表面に電池反応に寄与しない金属リチウムの析出が多くなると、リチウムイオン二次電池10の容量が低下したり、リチウムイオン二次電池10の抵抗が上昇したりする傾向がある。

0038

本発明者は、このような観点において、リチウムイオン二次電池10および組電池の新規な構造を提案する。

0039

≪リチウムイオン二次電池10A≫
図5は、ここで提案されるリチウムイオン二次電池10Aを示す部分断面図である。具体的には、ここで提案されるリチウムイオン二次電池10Aは、図5に示すように、捲回電極体40と、電池ケース20と、位置決め部材35とを備えている。

0040

捲回電極体40は、上述したリチウムイオン二次電池10の捲回電極体40と同様の構成であり、重複した説明は省略する。ここで、捲回電極体40は、帯状の正極シート50及び帯状の負極シート60が帯状のセパレータ72、74を介在させた状態で重ねられ、かつ、捲回されている。ここで、この実施形態では、正極集電箔51にはアルミニウム箔が用いられている。また、負極集電箔61には、銅箔が用いられている。電池ケース20内において、捲回電極体40は、電池ケース20内において、正極シート50の露出部52が配置された側にずらして配置されている。

0041

これにより、電池ケース20内における捲回電極体40を除く残余空間のうち、捲回電極体40の捲回軸WLの方向における、負極側の残余空間容積Xが、正極側の残余空間容積Yよりも大きくなっている。ここで、「負極側の残余空間容積X」は、捲回電極体40の捲回軸WLの方向における、捲回電極体40の負極シート60の露出部62が配置された側の残余空間の容積である。ここでは、「負極側の残余空間」は、電池ケース20内における捲回電極体40を除く残余空間のうち、負極シート60の露出部62側の端部に設定した仮想平面V1によって区切られた空間である。「負極側の残余空間容積X」は、負極シート60の露出部62側の端部に設定した仮想平面V1によって区切られた当該空間の容積である。

0042

また、「正極側の残余空間容積Y」は、捲回電極体40の捲回軸WLの方向における、捲回電極体40の正極シート50の露出部52が配置された側の残余空間の容積である。ここでは、「正極側の残余空間」は、電池ケース20内における捲回電極体40を除く残余空間のうち、正極シート50の露出部52側の端部に設定した仮想平面V2によって区切られた空間である。「正極側の残余空間容積Y」は、正極シート50の露出部52側の端部に設定した仮想平面V2によって区切られた当該空間の容積である。

0043

ここで、位置決め部材35は、捲回電極体40を電池ケース20に位置決めする部材である。この実施形態では、封口板22に取り付けられ、かつ、電池ケース20内で、捲回電極体40が取り付けられる正極端子23と負極端子24とが、位置決め部材35として機能している。

0044

リチウムイオン二次電池10Aは、過充電時に、電解液が徐々に分解され、その分解熱で温度が上昇しうる。このリチウムイオン二次電池10Aは、負極側の残余空間容積Xが、正極側の残余空間容積Yよりも大きくなっている。このため、リチウムイオン二次電池10Aは、負極側で、熱がこもりにくく、当該部位の温度上昇を鈍化させることができる。これにより、かかるリチウムイオン二次電池10Aでは、過充電時に、電池ケース20の負極側の温度が局所的に上昇するのを小さく抑えることができる。

0045

ここで、リチウムイオン二次電池10は、上記負極側の残余空間容積Xと、正極側の残余空間容積Yとは、例えば、凡そ2.1≦(X/Y)であるとよい。なお、(X/Y)が大き過ぎると、例えば、ハイレートサイクル試験後の抵抗上昇が大きくなる場合がある。このため、上記負極側の残余空間容積Xと、正極側の残余空間容積Yとは、例えば、凡そ(X/Y)≦5.7であるとよい。また、例えば、正極集電箔51がアルミニウムであり、負極集電箔61が銅であるとよい。また、上述した実施形態のように、電池ケース20は、矩形の収容空間を有しており、捲回電極体40は、捲回軸WLを含む一平面に沿って扁平な状態で収容されているとよい。

0046

試験例》
ここでは、図5に示すリチウムイオン二次電池10Aについて、負極側の残余空間容積Xと、正極側の残余空間容積Yとの比(X/Y)を変えた評価用セルを用意した。そして、当該評価用セルを4.8Vまで充電した時に測定された温度と、ハイレートサイクル試験後の抵抗上昇率とを調べた。

0047

《評価用セル》
ここではまず、表1の試験例で用意された評価用セルを説明する。

0048

≪評価用セルの正極≫
正極における正極活物質層を形成するにあたり正極合材を調製した。ここで、正極合材は、正極活物質として三元系のリチウム遷移金属酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)、導電材としてアセチレンブラック(AB)、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)をそれぞれ用いた。正極活物質と、導電材と、バインダとの質量比を、正極活物質:導電材:バインダ=90:8:2とした。これら正極活物質と、導電材と、バインダとを、イオン交換水と混合することによって正極合材を調製した。次いで、正極合材を正極集電箔の片面ずつ順に塗布して乾燥させ、正極集電箔の両面に正極活物質層が塗工された正極(正極シート)を作製した。

0049

ここでは、正極集電箔としてアルミニウム箔(厚さ15μm)を用いた。正極集電箔への正極合材の塗布量は、正極集電箔の両面で凡そ均等とし、かつ、正極合材が乾燥した後において、正極集電箔の片面あたり9.8mg/cm2以上15.2mg/cm2以下になるように設定した。また、乾燥後、ローラプレス機を用いて圧延することによって、正極活物質層の合材密度を1.8g/cm3以上2.8g/cm3以下とした。ここで例示した評価用セルでは、正極合材の塗布量は、正極集電箔の片面あたり11mg/cm2になるように設定した。また、圧延後の正極活物質層の合材密度を2.2g/cm3とした。

0050

≪評価用セルの負極≫
負極における負極活物質層を形成するにあたり負極合材を調製した。ここで、負極合材は、負極活物質としてアモルファスコートグラファイト増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)、バインダをそれぞれ用いた。バインダには、ゴム系バインダであるスチレンブタジエンゴム(SBR)を用いた。負極活物質と、増粘剤(CMC)と、バインダ(SBR)との質量比は、負極活物質:CMC:SBR=98:1:1とした。これら負極活物質と、CMCと、SBRとを、イオン交換水と混合することによって負極合材を調製した。次いで、負極合材を負極集電箔の片面ずつ順に塗布して乾燥させ、負極集電箔の両面に負極活物質層が塗工された負極(負極シート)を作製した。

0051

ここでは、負極集電箔として銅箔(厚さ10μm)を用いた。負極集電箔への負極合材の塗布量は、負極集電箔の両面で凡そ均等とし、かつ、負極合材が乾燥した後において、負極集電箔の片面あたり4.8mg/cm2以上10.2mg/cm2以下になるように設定した。また、乾燥後、ローラプレス機を用いて圧延することによって、負極活物質層の合材密度を0.8g/cm3以上1.4g/cm3以下とした。ここで例示した評価用セルでは、負極合材の塗布量は、負極集電箔の片面あたり7.2mg/cm2になるように設定した。また、圧延後の負極活物質層の合材密度を1.1g/cm3とした。

0052

≪評価用セルのセパレータの基材≫
セパレータの基材としては、ポリプロピレン(PP)と、ポリエチレン(PE)の3層構造(PP/PE/PP)の多孔質シートを適宜に選択した。

0053

≪評価用セルの組み立て≫
ここでは、評価用セルとして、扁平な角型の評価用セルを作製した。つまり、正極シートと負極シートとを、セパレータを用いて作成した捲回電極体を扁平に押し曲げ、角型の電池ケースに収容し、非水電解液を注液して封口し、扁平な角型の評価用セルを構築した。

0054

なお、ここで、具体的に規定される他、捲回電極体(図2参照)の条件は、各サンプルで同じとした。例えば、ここでは、扁平に押し曲げられ、電池ケースに収容された状態での捲回電極体は、凡そ以下のような寸法にした。ここで、捲回電極体は、幅(L1):125mm、高さ(L2):55mm、厚さ(扁平に押し曲げた状態での最大厚さ):12mmとした。また、正極シートは、合材密度2.2g/cm3、厚み65μm(箔15μm)、長さ3m、幅115mm(a2)、塗工幅98mm(a1)とした。また、負極シートは、合材密度1.1g/cm3、厚み77μm(箔10μm)、長さ3.1m、幅117mm(b2)、塗工幅102mm(b1)とした。

0055

また、図6は、評価用セル10Bの斜視図である。ここで、電池ケース20は、アルミ製のケースである。電池ケース20は、凡そ以下のような寸法にした。ここで、電池ケース20の外寸は、長辺側の長さ(M1):137mm、短辺側の長さ(M2):63.1mm、厚さ(M3):13.3mmであった。また、電池ケース20の内寸は、長辺側の長さ:135.6mm、短辺側の長さ:62.4mm、厚さ:12.5mmであった。また、ここで評価用セルは、電池ケース20の長辺(M1)と、短辺(M2)とで囲まれた2つの平面に、それぞれ樹脂製の板を当て、さらに樹脂製の板の上から金属製の板を当てる。そして、電池ケース20の外側で金属製の板にボルトを通し、ナット締め付ける。ここでは、25℃、SOC60%の状態において、電池ケース20の当該平面を23kgf/cm2の圧力で拘束している。

0056

《電解液》
ここで、非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)とを、所定の体積比(EC:DMC:EMC=3:4:3)で混合溶媒に、リチウム塩としての1.1mol/LのLiPF6を溶解させた電解液を用いた。

0057

《評価用セルの評価》
ここで、作製された評価用セルは、例えば、所定のコンディショニング工程を行い、4.8Vに充電した時の温度上昇率と、ハイレートサイクル試験後の抵抗上昇率とを評価した。

0058

≪コンディショニング≫
次に、上記のように構築した評価用セルについて、電解液を注入した後で、10時間程度放置し、初期充電を行なった。コンディショニング工程は、次の手順1、2によって行なわれる。
手順1:1.5Cの定電流充電にて4Vに到達した後、5分間休止する。
手順2:手順1の後、定電圧充電にて1.5時間充電された場合または充電電流が0.1Aとなった場合に充電を停止し、5分間休止する。

0059

定格容量の測定≫
次に、定格容量は、上記コンディショニング工程の後、評価用セルについて、温度25℃、3.0Vから4.1Vの電圧範囲で、次の手順1〜3によって測定される。
手順1:1Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間休止する。
手順2:1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電にて2.5時間充電し、その後、10秒間休止する。
手順3:0.5Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間停止する。
定格容量:手順3における定電流放電から定電圧放電に至る放電における放電容量(CCCV放電容量)を定格容量とする。この評価用セルでは、定格容量が凡そ4.0Ahになる。

0060

≪SOC調整≫
SOC調整は、次の1、2の手順によって調整される。ここで、SOC調整は、上記コンディショニング工程および定格容量の測定の後に行なうとよい。また、ここでは、温度による影響を一定にするため、25℃の温度環境下でSOC調整を行なっている。例えば、SOC60%に調整する場合には、次の手順による。
手順1:3Vから1Cの定電流で充電し、定格容量の凡そ60%の充電状態(SOC60%:3.73V)にする。
手順2:手順1の後、2.5時間、定電圧充電する。
これにより、評価用セルは、SOC60%の充電状態に調整することができる。なお、ここでは、SOCを60%に調整する場合を記載しているが、手順1での充電状態を変更することによって、任意の充電状態に評価用セルを調整することができる。例えば、SOC79%に調整する場合には、手順1において、評価用セルを定格容量の79%の充電状態にするとよい。

0061

《4.8V充電時の温度》
ここでは、25℃の温度環境雰囲気下において、コンディショニング後に、SOC60%に調整した評価用セルを用意した。そして、次の手順I.〜III.によって、4.8V充電時の温度を測定した。
I.温度センサを取り付ける。
II.評価用セルを4.8Vの充電状態にする。
III.4.8V充電時の温度を測定する。

0062

ここでは、評価用セルの電池ケース20の負極側の側面の予め定められた温度センサ取り付け位置F(図5参照)に、温度センサを取り付ける(手順I.)。次に、25℃の大気環境下にて、当該評価用セルの正負極端子間の電圧が4.8Vになるまで1/3Cの定電流で充電(CC充電)し、続いて合計の充電時間が1.5時間となるまで定電圧で充電(CV充電)する(手順II.)。1分間休止して、温度センサ取り付け位置Fの温度を温度センサによって測定する(手順III.)。かかる手順III.で、測定された温度(℃)を、「4.8V充電時の温度」とした。

0063

≪ハイレートサイクル試験後の抵抗上昇率(%)≫
ここで、表1におけるハイレート抵抗上昇率(%)は、以下のようなハイレートサイクル試験前後のIV抵抗増加率である。かかるIV抵抗の増加率によって評価用セルの高負荷特性を評価した。

0064

ここで、ハイレートサイクル試験は、25℃の温度環境雰囲気下において、コンディショニング後に、SOC60%に調整した評価用セルを用意した。そして、次の手順I.〜IV.を予め定められた回数(ここでは、4000サイクル)繰り返すハイレートサイクル試験を行なった。
I.75Aの定電流で40秒放電(CC放電)
II.5秒休止
III.10Aの定電流で300秒充電(CC充電)
IV.5秒休止
(I.〜IV.の手順を4000サイクル繰り返す。)

0065

ここでは、上記のハイレートサイクル試験の前後において、25℃の環境下においてSOC60%の充電状態(SOC:state of charge)における評価用セルのIV抵抗を測定した。

0066

<抵抗上昇率(%)>
上記ハイレートサイクル試験によって、評価用セルのIV抵抗は上昇する。抵抗上昇率Z(%)は、上記ハイレートサイクル試験前に測定されたIV抵抗Zaと、上記ハイレートサイクル試験後に測定されたIV抵抗Zbとで、Z(%)={Zb/Za}×100で評価されるものである。つまり、ここでは、ハイレートサイクル試験前に測定されたIV抵抗Zaに対する、ハイレートサイクル試験後に測定されたIV抵抗Zbの大きさが評価されている。

0067

≪IV抵抗の測定方法
IV抵抗は、25℃の環境下においてSOC60%の充電状態(SOC:state of charge)における評価用セルのIV抵抗を測定した。ここで、IV抵抗は、予め定められた電流値(I)で10秒間定電流放電し、放電後の電圧(V)をそれぞれ測定する。そして、予め定められた電流値(I)と、放電後の電圧(V)を基に、X軸にI、Y軸にVを取ってプロットし、各放電により得られたプロットを基に、近似直線を引き、その傾きをIV抵抗とする。ここでは、0.3C、1C、3Cの電流値で定電流放電を行なって得た各放電後の電圧(V)を基にIV抵抗(mΩ)を得た。

0068

各評価用セルと、その評価は、表1および図7に示すとおりである。

0069

0070

<サンプル>
ここでは、負極側の残余空間容積Xと正極側の残余空間容積Yとの比(X/Y)が異なる評価用セルを用意した。表1に示されたサンプル1〜サンプル8は、それぞれ負極側の残余空間容積Xと正極側の残余空間容積Yとの比(X/Y)が異なる評価用セルである。比(X/Y)は、負極側の残余空間容積Xを正極側の残余空間容積Yで割った値である。

0071

ここで、サンプル1の評価用セルは、捲回電極体40を電池ケース20の中央に配置した。サンプル2〜サンプル8は、電池ケース20内に収容された捲回電極体40の位置を、徐々に正極側にずらし、正極側の残余空間容積Yに対して負極側の残余空間容積Xを徐々に大きくしたものである(図5参照)。

0072

表1に示すように、ここでは、例えば、サンプル1では負極側の残余空間容積Xと正極側の残余空間容積Yが同じ((X/Y)=1)である。サンプル2では、負極側の残余空間容積Xが正極側の残余空間容積Yよりも少し大きい((X/Y)=1.56)。このように、比(X/Y)が、1〜1.56程度では、4.8V充電時の温度が80℃以上と、過充電時の局所的な温度上昇が大きい傾向が見られた。ここで、サンプル1では、4.8V充電時の温度は83.6℃であった。サンプル2では、4.8V充電時の温度は82.7℃であった。

0073

また、例えば、サンプル3のように、負極側の残余空間容積Xが正極側の残余空間容積Yよりも大きくなると、4.8V充電時の温度が70℃程度(サンプル3では、72.5℃)に低下し、過充電時の局所的な温度上昇が小さくなる傾向が見られた。また、サンプル4〜7のように、負極側の残余空間容積Xが正極側の残余空間容積Yよりもさらに大きくなると、4.8V充電時の温度が70℃未満となり、過充電時の局所的な温度上昇はさらに小さくなる傾向が見られた。

0074

ここで、サンプル4は、比(X/Y)が2.54であり、4.8V充電時の温度が68.3℃であった。
サンプル5は、比(X/Y)が3.67であり、4.8V充電時の温度が64.5℃であった。
サンプル6は、比(X/Y)が4.93であり、4.8V充電時の温度が62.2℃であった。
サンプル7は、比(X/Y)が5.62であり、4.8V充電時の温度が61.9℃であった。

0075

これに対して、比(X/Y)を大きくし過ぎると、ハイレートサイクル試験前後の抵抗上昇率(%)が大きくなる傾向が見られる。例えば、サンプル1〜7では、ハイレートサイクル試験前後の抵抗上昇率(%)が凡そ110%未満である。これに対して、サンプル8では、比(X/Y)が6.79と大きく、ハイレートサイクル試験前後の抵抗上昇率(%)が132.8%と、格段に高くなる。

0076

このように、リチウムイオン二次電池10Aは、過充電時の局所的な温度上昇、特に、負極側の温度上昇を低く抑えるという観点において、図5に示すように、負極側の残余空間容積Xを正極側の残余空間容積Yよりも大きくすることが望ましい。ここで、負極側の残余空間容積Xと正極側の残余空間容積Yとの比(X/Y)は、例えば、凡そ2.1≦(X/Y)、より好ましくは凡そ2.5≦(X/Y)であるとよい。さらに、ハイレートサイクル試験前後の抵抗上昇率(%)を低く抑えるという観点において、負極側の残余空間容積Xと正極側の残余空間容積Yとの比(X/Y)は、例えば、凡そ(X/Y)≦5.7であるとよい。

0077

また、ここで、リチウムイオン二次電池10Aは、正極集電箔51がアルミニウムであり、負極集電箔61が銅であり、正極集電箔51よりも負極集電箔61の熱伝導率が高い。正極集電箔51よりも負極集電箔61の熱伝導率が高い場合には、過充電時において負極側の温度が局所的に上昇する傾向が顕著になる。特に、4.8V程度の高電位まで充電した場合には、捲回電極体40では、負極活物質層63中の負極活物質にリチウムイオンが多く含まれた状態となる。このため、負極活物質層63およびその周辺で電解液の分解が進みやすい。そして、負極活物質層63およびその周辺で電解液の分解に伴って発生した熱が、負極集電箔61を通じて負極端子24に多く伝えられる傾向がある。このため、本願に係る非水電解質二次電池の構成は、正極集電箔51よりも負極集電箔61の熱伝導率が高いリチウムイオン二次電池10Aに特に好適である。また、ここで、非水電解質二次電池として、リチウムイオン二次電池10Aを例示したが、負極側の温度が局所的に上昇する傾向は、過充電時の電解質の分解に伴う発熱に起因する。このため、本願に係る非水電解質二次電池は、特に言及されない限りにおいて、リチウムイオン二次電池10Aに限定されない。本願に係る非水電解質二次電池としては、例えば、ナトリウムイオン二次電池時電池やリチウムイオンポリマー二次電池が例示されうる。

0078

≪組電池≫
次に、上述したリチウムイオン二次電池10Aを利用して組電池を組む場合、当該組電池のうち、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aは、電池ケース20内に収められた捲回電極体40が、捲回軸WLの方向に沿って互いにずれていてもよい。

0079

例えば、図8は、組電池1000の構成を模式的に示す斜視図である。

0080

具体的には、図8に示す組電池1000では、図5に示すリチウムイオン二次電池10Aを単電池とし、これが複数組み合わされている。

0081

例えば、図示されるように、各単電池10A間が電気的に直列に接続されている。具体的には、各単電池10Aの電池ケース20の上面(すなわち封口板22)に、電池ケース20内に収容された電極体の正極と電気的に接続する正極端子23と、該電極体の負極と電気的に接続する負極端子24とがそれぞれ設けられている。そして、隣接する単電池10A間において、一方の正極端子23と他方の負極端子24とが適当な接続具102によって電気的に接続されている。

0082

上述のように配列した複数個の単電池10Aを含む単電池群の両外側には、それぞれエンドプレート106が配置され、当該一対のエンドプレート106,106を架橋するように、単電池群の両側面にその配列方向に沿ってビーム材108が取り付けられている。ビーム材108の各端部は、ビス109によりエンドプレート106に締め付けられて固定されている。このように各単電池10Aは、直列に接続され、拘束(固定)されている。ここでは、25℃、SOC60%の状態において、電池ケース20を23kgf/cm2の圧力で拘束している。

0083

なお、組電池1000の好ましい一態様では、図8に示すように、所定方向に配列された複数の単電池10Aの各々の間に、所定形状の間隔保持シート104が配置される。かかる間隔保持シート104は、使用時に各単電池10A内で発生する熱を放熱するための放熱部材として機能し得る材質(例えば熱伝導性の良い金属製もしくは軽量で硬質なポリプロピレンその他の合成樹脂製)および/または形状であることが好ましい。

0084

この実施形態では、リチウムイオン二次電池10Aは、電池ケース20内に収容された捲回電極体40の位置が、正極側にずれている。このため、正極側の残余空間容積Yに対して負極側の残余空間容積Xが大きい。ここで、図9は、組電池1000の模式図である。図9に示すように、リチウムイオン二次電池10Aは、電池ケース20の幅広面を対向させて重ね合わされている。ここで、電池ケース20の幅広面は、角型の電池ケース20の長辺(M1)と、短辺(M2)で囲まれた面である(図6参照)。

0085

ここで、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aは、図9に示すように、電池ケース20内に収められた捲回電極体40が、捲回軸WLの方向に沿って互いにずれている。組電池1000の各リチウムイオン二次電池10Aは、負極側の残余空間容積Xが正極側の残余空間容積Yよりも大きい。組電池1000の各リチウムイオン二次電池10Aは、隣り合うリチウムイオン二次電池10Aにおいて、負極側の残余空間容積Xと正極側の残余空間容積Yとが隣接するように組み合わされている。

0086

この組電池1000の各リチウムイオン二次電池10Aは、負極側の残余空間容積Xが正極側の残余空間容積Yよりも大きい。このため、各リチウムイオン二次電池10Aは、例えば、4.8V程度の過充電状態における局所的な発熱が小さく抑えられる。このため、組電池1000全体としても、例えば、4.8V程度の過充電状態における局所的な発熱が小さく抑えられる。

0087

また、この組電池1000は、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aの捲回電極体40が、捲回軸WLの方向に沿ってずれている。本発明者の得た知見によれば、このように、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aの捲回電極体40が、捲回軸WLの方向に沿ってずれている場合には、組電池1000の容量維持率が高く維持される傾向がある。

0088

ここで、本発明者は、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aの捲回電極体40の捲回軸方向の幅βと、捲回軸方向のずれ量αとで、規定されるずらし率A(A=α/β×100)を種々変更した組電池1000を作成し、その性能を評価した。

0089

図10は、各評価用の組電池の評価を示している。

0090

ここで、「ずらし率A=0」は、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aの捲回電極体40が、捲回軸WLの方向においてずれていないことを示している。また、ずらし率Aが大きくなればなるほど、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aの捲回電極体40が、捲回軸WLの方向において大きくずれていることを示している。

0091

≪容量維持率≫
ここでは、ずらし率Aが異なる評価用の組電池について、それぞれ容量維持率を測定した。具体的には、ここでは、−30℃の温度環境において、ハイレートサイクル試験を行い、ハイレートサイクル試験前後の容量維持率(%)を評価した。

0092

ここで、−30℃の温度環境で試験をしたのは、低温であればあるほどハイレートサイクル試験において、金属リチウムが析出しやすくなり、ハイレートサイクル試験によって容量が低下しやすくなるためである。つまり、ここでの容量維持率(%)の低下は、金属リチウムの析出に起因するものと考えられる。

0093

<容量維持率(サイクル後容量維持率)の測定>
ここで、容量維持率(サイクル後容量維持率)は、所定の充電状態に調整された評価用組電池の初期容量と、予め定められた充放電サイクル後の評価用組電池の容量(以下、適宜に「サイクル後容量」という。)との比(サイクル後容量)/(初期容量)で求められる。
「サイクル後容量維持率」=(サイクル後容量)/(初期容量)×100(%)

0094

<初期容量>
ここで初期容量の測定は、例えば、所定の充電状態に調整した評価用組電池を、25℃の温度条件下において、端子間電圧が4.1Vになるまで1Cの定電流にて充電し、続いて合計充電時間が2.5時間になるまで定電圧で充電した(CC−CV充電)。充電完了から10分間休止した後、25℃において、4.1Vから3.0Vまで0.33C(1/3C)の定電流で放電させ、続いて合計放電時間が4時間となるまで定電圧で放電させた。このときの放電容量を各電池の初期容量Q1[Ah]とした。

0095

<サイクル後容量>
「サイクル後容量」は、評価用セルを、所定の温度環境で予め定められた充放電サイクルを行う。そして、充放電サイクル後の評価用セルを基に、上述した「初期容量」の測定に準じて、25℃の温度環境において放電容量を測定する。ここで、測定された「放電容量」を「サイクル後容量」とする。

0096

低温環境における充放電サイクル後の容量維持率>
ここでの容量維持率は、特に、−30℃程度の低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を問題としている。このため、具体的には、−30℃の温度環境で予め定められた充放電サイクルを予め定められたサイクル数(ここでは、6000サイクル)実施した後で、「サイクル後容量」を測定した。

0097

ここで、ハイレートサイクル試験は、25℃の温度環境雰囲気下において、コンディショニング後に、SOC79%に調整した評価用セルを用意した。そして、−30℃の温度環境雰囲気下において、次の手順I.〜IV.を予め定められた回数(ここでは、6000サイクル)繰り返すハイレートサイクル試験を行なった。
I.40Cの定電流で0.1秒放電(CC放電)
II.0.4Cの定電流で10秒充電(CC充電)
(つまり、I.で放電した容量分を充電)
III.29秒休止
(I.〜III.の手順を6000サイクル繰り返す。)

0098

かかる容量維持率(低温環境における充放電サイクル後の容量維持率)によって、ずらし率Aが異なる評価用の組電池1000について、ずらし率Aと低温環境における容量維持率との関係を評価した。

0099

その結果、図10に示すように、ずらし率Aが0である場合に比べて、ずらし率Aが大きくなれば、組電池の容量が高く維持される。つまり、ずらし率Aが0である場合に比べて、ずらし率Aが大きくなれば、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率が向上する傾向が見出された。また、ずらし率Aが大き過ぎると、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率が低下する傾向があった。

0100

本発明者は、上記の傾向の理由を、以下のように考えている。ハイレートでの充放電サイクルでは、捲回電極体40が膨張収縮を繰り返す事象が生じる。捲回電極体40が膨張と収縮を繰り返す事象が生じると、捲回電極体40がポンプのように作用し、捲回電極体40内の電解液が減少する。

0101

つまり、組電池1000の各単電池は、エンドプレート106,106や間隔保持シート104によって拘束されている。この際、ハイレートでの充放電サイクルに対しては、電池ケース20内において捲回電極体40が膨張すると、捲回電極体40内の電解液の圧力が高くなり、捲回電極体40内の電解液が押し出される。これに対して、捲回電極体40が収縮すると、捲回電極体40内の電解液の圧力が緩和され、捲回電極体40内に電解液が侵入し、捲回電極体40内に電解液が戻る。しかし、捲回電極体40が膨張する際に、捲回電極体40内の電解液の圧力が高くなり過ぎると、捲回電極体40内の電解液が強く押し出され、捲回電極体40内の電解液が著しく減少する。そして、捲回電極体40が収縮しても捲回電極体40内に電解液が十分に戻らない場合がある。

0102

特に、−30℃程度の低温環境では、リチウムイオン二次電池10A内において、リチウムイオンの移動速度(反応速度)が低下し、リチウムイオンが金属リチウムとして析出しやすくなる。また、金属リチウムが析出すればするほど、組電池1000の容量劣化の程度が大きくなる。このため、−30℃程度の低温環境で、ハイレートでの充放電サイクルを行い、容量劣化(容量維持率)を評価することによって、ハイレートでの充放電サイクルに対する特性をより顕著に評価できる。

0103

ここで、図10に示すように、ずらし率Aが0である場合には、上述した−30℃でのハイレートサイクル試験において、組電池1000の容量維持率が90%となり、10%程度、容量が低下した。また、この際、組電池1000のリチウムイオン二次電池10は、捲回電極体40に金属リチウムの析出が見られた。特に、この場合、捲回電極体40の平坦な面に金属リチウムの析出が顕著であった。かかる事象について、本発明者は、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aの捲回電極体40が、捲回軸方向に適度にずれおらず、ハイレートサイクル試験における捲回電極体40の膨張収縮において、捲回電極体40内の電解液に作用する圧力を緩和できなかったことが要因と考えられる。

0104

また、ずらし率Aが0である場合に比べて、ずらし率Aが大きくなれば、上述した−30℃でのハイレートサイクル試験において、組電池1000の容量維持率が97%程度になり、概ね容量が維持された。

0105

ここで、ずらし率Aが大きくなれば、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aの捲回電極体40の捲回軸方向のずれ量αが大きくなる。つまり、ずらし率Aが大きくなれば、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aの捲回電極体40が、捲回軸方向に適度にずれた状態になる。隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aの捲回電極体40が、捲回軸方向に適度にずれていると、組電池1000の各電池において捲回電極体40の拘束が適度に緩和される。このため、−30℃でのハイレートサイクル試験において、組電池1000の容量維持率が凡そ97%よりも高く維持される。

0106

さらにずらし率Aが大きくなり過ぎると、上述した−30℃でのハイレートサイクル試験において、組電池1000の容量維持率が95%程度に低下する。この場合、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aにおいて、捲回電極体40がずれた部位において、特に金属リチウムの析出が見られた。

0107

かかる事象について、ずらし率Aが大きくなり過ぎると、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aの捲回電極体40の捲回軸方向のずれ量αが大きくなる。この場合、捲回電極体40が大きくずれた部位において、捲回電極体40の拘束が緩和され過ぎた状態になる。捲回電極体40の拘束が緩和され過ぎた部位では、捲回電極体40の正極シートと負極シートの間隔が大きくなり、リチウムイオン二次電池10Aの抵抗が大きくなる。このことが、リチウムの析出を生じさせていると本発明者は考えている。

0108

このような推察から、組電池1000では、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aは、捲回電極体40の捲回軸方向の幅βと、捲回軸方向のずれ量αとで、規定されるずらし率A(A=α/β×100)は、凡そ1.3≦A≦6.0であるとよい。

0109

このように、ここで提案される組電池1000は、単電池としてのリチウムイオン二次電池10Aにおいて、電池ケース20内に収められた捲回電極体40が、捲回軸WLの方向に沿って互いにずれている。組電池1000の各リチウムイオン二次電池10Aは、負極側の残余空間容積Xが正極側の残余空間容積Yよりも大きい。各リチウムイオン二次電池10Aは、例えば、4.8V程度の過充電状態における局所的な発熱が小さく抑えられる。このため、組電池1000全体としても、例えば、4.8V程度の過充電状態における局所的な発熱が小さく抑えられる。

0110

さらに、組電池1000の各リチウムイオン二次電池10Aは、隣り合うリチウムイオン二次電池10Aにおいて、負極側の残余空間容積Xと正極側の残余空間容積Yとが隣接するように組み合わされている。そして、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aの捲回電極体40が、捲回軸WLの方向に沿って適度にずれている。本発明者の得た知見によれば、かかる組電池1000は、過充電での負極側の局所的な発熱が小さく押さえられるとともに、組電池1000の容量維持率が高く維持される傾向がある。

0111

以上、ここでは、負極側の残余空間容積Xが正極側の残余空間容積Yよりも大きいリチウムイオン二次電池10Aを単電池とする組電池を説明した。

0112

なお、上述したように、組電池1000は、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10Aの捲回電極体40が、捲回軸WLの方向に沿って適度にずれていることによって、組電池1000の容量維持率が高く維持される傾向がある。かかる傾向に着目すれば、組電池の単電池は、負極側の残余空間容積Xが正極側の残余空間容積Yよりも大きくなくてもよい。

0113

組電池1000の容量維持率が高く維持されるとの観点では、図示は省略するが、例えば、組電池の単電池は、正極側の残余空間容積Yが負極側の残余空間容積Xよりも大きくてもよい。つまり、組電池1000の単電池を構成するリチウムイオン二次電池は、電池ケース内で捲回電極体が捲回軸方向の片側に偏って配置されていてもよい。そして、この場合、リチウムイオン二次電池が、電池ケース内で捲回電極体が偏った向きが交互に変わるように、複数重ね合わされていてもよい。

0114

また、図11は、組電池1000の他の形態を模式的に示している。ここで、組電池の単電池10は、図11に示すように、電池ケース20の予め定められた位置に捲回電極体40が配置されている。ここで、捲回電極体40は、捲回軸WLの方向において、角型の電池ケース20の略中央に配置されている。図11に示す形態では、組電池1000は、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10の電池ケース20が、当該電池ケース20に収容された捲回電極体40の捲回軸WLの方向に沿ってずらされている。これにより、組電池1000は、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10の捲回電極体40が、捲回軸WLの方向に沿って適度にずれている。かかる構成の組電池1000においても、容量維持率が高く維持される傾向がある。

0115

本発明者の知見によれば、かかる構成においても、組電池1000は、隣に組み合わされたリチウムイオン二次電池10は、捲回電極体40の捲回軸方向の幅βと、捲回軸方向のずれ量αとで、規定されるずらし率A(A=α/β×100)が、凡そ1.3≦A≦6.0であるとよい。

0116

以上、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池および組電池を説明したが、本発明は、上述した何れの実施形態にも限定されず、種々の変更が可能である。

0117

例えば、ここで開示されるリチウムイオン二次電池は、特に、過充電時の温度上昇率を小さく抑えることができる。このため、安全性が高く、性能が安定したリチウムイオン二次電池を提供することができる。したがって、例えば、図12に示されるように、安全性が高く、安定した性能が求められる車両駆動用電池1000として特に好適である。ここで、車両駆動用電池1000は、上記リチウムイオン二次電池10を複数個直列に接続して形成される組電池の形態であり得る。かかる車両駆動用電池1000を電源として備える車両1には、典型的には自動車、特にハイブリッド自動車プラグインハイブリッド車を含む)、電気自動車のような電動機を備える自動車が含まれる。

0118

また、ここでは、リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン二次電池を単電池とする組電池を例示した。ここで提案されるリチウムイオン二次電池に関する構成は、内部構造が同じである他の非水電解質二次電池にも適用されうる。また、ここで提案される組電池に関する構成は、単電池としての構造が同じであれば、同様に非水電解質二次電池を単電池とする組電池にも適用されうる。ここで、他の非水電解質二次電池としては、例えば、ナトリウムイオン二次電池やリチウムイオンポリマー二次電池でもよい。

0119

以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

0120

10、10Aリチウムイオン二次電池(二次電池)
20電池ケース
21ケース本体
22封口板
23正極端子
24負極端子
30安全弁
32注液口
33封止材
40 捲回電極体(電極体)
50正極シート
51正極集電箔
52露出部(正極集電箔露出部)
53正極活物質層
60負極シート
61負極集電箔
62 露出部(負極集電箔露出部)
63負極活物質層
72,74セパレータ
80電解液
90充電器
92 スイッチ
94抵抗
102接続具
104間隔保持シート
106エンドプレート
108ビーム材
1000車両駆動用電池(組電池)
WL 捲回軸

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