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技術 アルカリ金属溶出抑制ガラス容器及びアルカリ金属溶出抑制ガラス板、ガラス容器又はガラス板表面からのアルカリ金属溶出を抑制する処理方法

出願人 国立大学法人東京工業大学株式会社神鋼環境ソリューション
発明者 矢野哲司多田篤志椿野直樹三宅明子
出願日 2013年7月19日 (6年11ヶ月経過) 出願番号 2013-150832
公開日 2015年2月2日 (5年5ヶ月経過) 公開番号 2015-020933
状態 特許登録済
技術分野 ガラスの表面処理
主要キーワード 脱アルカリ化 硫酸二アンモニウム 硫酸アンモニウムニッケル ガラス処理 ガラス容器内面 アルカリ金属イオン量 ガラス表面近傍 テトラフルオロホウ酸アンモニウム
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

ガラス容器内面又はガラス板表面からのアルカリ金属溶出を効果的に抑制するための処理方法、及びそのような処理方法によって得られるアルカリ金属溶出抑制ガラス容器又はガラス板を提供すること。

解決手段

本発明のガラス容器内面の処理方法においては、 少なくとも1種類のアンモニウム塩を含有する200℃以上に加熱された溶融液とガラス容器の内面及び外面とを接触させ、かつ、内面側の溶融液と外面側の溶融液とは接触させない状態で、ガラス容器内面を正極側、ガラス容器外面を負極側として直流電圧を加え、ガラス容器内面近傍のアルカリ金属をガラス容器外面側へと移動させることによって、ガラス容器内面からのアルカリ金属溶出を抑制する。

概要

背景

ガラス中には、酸化カルシウム(CaO)、酸化ナトリウム(Na2O)又は酸化カリウム(K2O)のような様々な成分が含有されている。このため、ガラスと液体又は固体が接触すると、ガラス表面からNa+(ナトリウムイオン)、K+(カリウムイオン)又はLi+(リチウムイオン)のようなアルカリ成分アルカリ金属イオン)が液体又は固体へと溶出し得る。

ガラス表面からのアルカリ金属溶出を防止する方法として、ガラス表面を硫酸のような鉱酸によって洗浄する方法が知られている。

特許文献1は、ソーダガラスのようなアルカリ含有ガラスからのアルカリ金属溶出を抑制するための手段として、無機ポリシラザンをアルカリ含有ガラス上に塗布し、200℃以上の温度で焼成することによりガラス保護膜を製造する方法を開示している。

特許文献2は、電気分解によって発生した水素イオンで、ガラス中のアルカリ金属イオンを交換することによって、ガラスを脱アルカリ化する方法を開示している。

概要

ガラス容器内面又はガラス板表面からのアルカリ金属溶出を効果的に抑制するための処理方法、及びそのような処理方法によって得られるアルカリ金属溶出抑制ガラス容器又はガラス板を提供すること。本発明のガラス容器内面の処理方法においては、 少なくとも1種類のアンモニウム塩を含有する200℃以上に加熱された溶融液とガラス容器の内面及び外面とを接触させ、かつ、内面側の溶融液と外面側の溶融液とは接触させない状態で、ガラス容器内面を正極側、ガラス容器外面を負極側として直流電圧を加え、ガラス容器内面近傍のアルカリ金属をガラス容器外面側へと移動させることによって、ガラス容器内面からのアルカリ金属溶出を抑制する。

目的

本発明は、ガラス容器内面又はガラス板表面からのアルカリ金属溶出を効果的に抑制するための処理方法、及びそのような処理方法によって得られるアルカリ金属溶出抑制ガラス容器及びアルカリ金属溶出抑制ガラス板の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ガラス容器内面からのアルカリ金属溶出を抑制するためのガラス処理方法であって、少なくとも1種類のアンモニウム塩を含有する200℃以上に加熱された溶融液ガラス容器内面及び外面とを接触させ、かつ、内面側の溶融液と外面側の溶融液とは接触させない状態で、ガラス容器内面を正極側、ガラス容器外面を負極側として直流電圧を加え、ガラス容器内面近傍のアルカリ金属をガラス容器外面側へと移動させることによって、ガラス容器内面からのアルカリ金属溶出を抑制する処理方法

請求項2

前記アンモニウム塩が、硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムである、請求項1に記載の処理方法。

請求項3

ガラス容器内面から1μm以下の厚み部分におけるナトリウムカリウム及びリチウム含有量が、ガラス容器外面部分におけるナトリウム、カリウム及びリチウムの含有量の1/2以下であることを特徴とする、アルカリ金属溶出抑制ガラス容器。

請求項4

前記ガラス容器がアンモニウムイオンを含有するガラスから構成されている、請求項3に記載のアルカリ金属溶出抑制ガラス容器。

請求項5

ガラス板表面からのアルカリ金属溶出を抑制するためのガラス処理方法であって、少なくとも1種類のアンモニウム塩を含有する200℃以上に加熱された溶融液とガラス板の表面及び裏面とを接触させ、かつ、表面側の溶融液と裏面側の溶融液とは接触させない状態で、ガラス板表面を正極側、ガラス板裏面を負極側として直流電圧を加え、ガラス板表面近傍のアルカリ金属をガラス板裏面側へと移動させることによって、ガラス板表面からのアルカリ金属溶出を抑制する処理方法。

請求項6

前記アンモニウム塩が、硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムである、請求項5に記載の処理方法。

請求項7

ガラス板表面から1μm以下の厚み部分におけるナトリウム、カリウム及びリチウムの含有量が、ガラス板裏面部分におけるガラスフリットのナトリウム、カリウム及びリチウムの含有量の1/2以下であることを特徴とする、アルカリ金属溶出抑制ガラス板。

技術分野

0001

本発明は、ガラス容器内面又はガラス板表面からのアルカリ金属溶出を抑制するための処理方法に関する。また、本発明は、そのような処理方法によって得られるアルカリ金属溶出抑制ガラス容器及びアルカリ金属溶出抑制ガラス板に関する。

背景技術

0002

ガラス中には、酸化カルシウム(CaO)、酸化ナトリウム(Na2O)又は酸化カリウム(K2O)のような様々な成分が含有されている。このため、ガラスと液体又は固体が接触すると、ガラス表面からNa+(ナトリウムイオン)、K+(カリウムイオン)又はLi+(リチウムイオン)のようなアルカリ成分アルカリ金属イオン)が液体又は固体へと溶出し得る。

0003

ガラス表面からのアルカリ金属溶出を防止する方法として、ガラス表面を硫酸のような鉱酸によって洗浄する方法が知られている。

0004

特許文献1は、ソーダガラスのようなアルカリ含有ガラスからのアルカリ金属溶出を抑制するための手段として、無機ポリシラザンをアルカリ含有ガラス上に塗布し、200℃以上の温度で焼成することによりガラス保護膜を製造する方法を開示している。

0005

特許文献2は、電気分解によって発生した水素イオンで、ガラス中のアルカリ金属イオンを交換することによって、ガラスを脱アルカリ化する方法を開示している。

先行技術

0006

特開平4−132635号公報
特開平5−279087号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ガラスを酸洗浄する方法は、処理に時間がかかり、洗浄後の廃酸の処理も必要になるため、処理スペース及び処理コストが大きくならざるを得ない。

0008

また、特許文献1の実施例には、500℃という高温ポリシラザンコート(ポリシラザン保護層)を焼成する方法しか開示されていない。また、開示されている方法では、急激な加熱及び冷却が行われることでSiO2コートにクラックが生じたり、容器温度ムラが生じて割れたりするおそれがある。さらに、1μm以上の厚みでコーティングを行うことも困難である。

0009

特許文献2の脱アルカリ化方法では、Li+とH+とをイオン交換することは可能であるが、Na+やK+とH+とをイオン交換することは、Na+及びK+とH+のイオン半径が大きく異なるためにイオン交換に伴う応力の変化によって、処理途中で応力歪みによるクラック等が発生しやすくなるため、困難であり、ガラス表面からのアルカリ金属溶出を抑制する効果が十分ではない場合がある。特許文献2の図3では、Na2Oの含有量が0.1重量%程度という微量のガラス製品が対象とされており、特許文献2の脱アルカリ化方法は、二元ケイ酸ガラスからすべてのアルカリ金属を電気分解によって除去し、低密度ガラスの製造を目的としている(段落0051、0052)。しかしながら、多成分を含有するケイ酸ガラスに適用すると、アルカリ金属の含有量が多い場合には、上述したように、Na+(又はK+)とH+のイオン半径が大きく異なるため、特許文献2の方法で脱アルカリ処理することは困難である。

0010

本発明は、ガラス容器内面又はガラス板表面からのアルカリ金属溶出を効果的に抑制するための処理方法、及びそのような処理方法によって得られるアルカリ金属溶出抑制ガラス容器及びアルカリ金属溶出抑制ガラス板の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者は、ガラス容器内面からのアルカリ金属溶出を抑制するための方法について、鋭意検討した。その結果、ガラス容器内面及び外面と、アンモニウム塩を含有する溶融液とを接触させ、ガラス容器内面側と外面側とを接触させない状態(絶縁させた状態)で直流電圧を加えることによって、ガラス容器内面近傍のナトリウムイオン(Na+)、リチウムイオン(Li+)又はカリウムイオン(K+)のようなアルカリイオンがガラス容器外面方向へ移動することを見出した。同様に、本発明者は、ガラス板表面及び裏面と、アンモニウム塩を含有する溶融液とを接触させ、ガラス板表面側と裏面側とを接触させない状態で直流電圧を加えることによって、ガラス板表面近傍のアルカリイオンがガラス板裏面方向へ移動することを見出し、本発明を完成させるに至った。

0012

具体的に、本発明は、
ガラス容器内面からのアルカリ金属溶出を抑制するためのガラス処理方法であって、
少なくとも1種類のアンモニウム塩を含有する200℃以上に加熱された溶融液とガラス容器の内面及び外面とを接触させ、かつ、内面側の溶融液と外面側の溶融液とは接触させない状態で、
ガラス容器内面を正極側、ガラス容器外面を負極側として直流電圧を加え、ガラス容器内面近傍のアルカリ金属をガラス容器外面側へとガラス中を移動させることによって、ガラス容器内面からのアルカリ金属溶出を抑制する処理方法に関する。

0013

200℃以上の温度で溶融させたアンモニウム塩とガラス容器内面及び外面とを接触させ、内面側と外面側とは接触させない状態で、内面を正極側、外面を負極側として直流電圧を加えると、ガラス容器外側近傍のNa+、Li+又はK+のようなアルカリイオンは、容器外面に接触している溶融塩中に移動する(溶融液中に抜け出る)。容器外面側のアルカリイオンが抜けた箇所には、ガラス容器内面側からアルカリイオンが順次移動する。容器内面近傍にあったNa+、Li+又はK+といったアルカリイオンが容器外面側へ移動し、当該箇所へ容器内面と接触している溶融塩からH+、H3O+又はNH4+が移動して、ガラス容器内面近傍に導入される。その結果、ガラス容器内面近傍のアルカリ金属の含有量が減少し、ガラス容器内面からのアルカリ金属溶出が抑制される。

0014

溶融塩は、直流電圧を加える際の温度において、安定な溶融状態を維持できれよい。例えば、200℃に加熱して溶融させ、ガラス容器の内面及び外面とそれぞれ接触させ、直流電圧を加える場合には、溶融塩は、200℃において安定な溶融状態であれば足りる。同様に、300℃に加熱して溶融させ、ガラス表面と接触させ、直流電圧を加える場合には、300℃において安定な溶融状態であれば足りる。

0015

本発明はまた、
ガラス板表面からのアルカリ金属溶出を抑制するためのガラス処理方法であって、
少なくとも1種類のアンモニウム塩を含有する200℃以上に加熱された溶融液とガラス板の表面及び裏面とを接触させ、かつ、表面側の溶融液と裏面側の溶融液とは接触させない状態で、
ガラス板表面を正極側、ガラス板裏面を負極側として直流電圧を加え、ガラス板表面近傍のアルカリ金属をガラス板裏面側へと移動させることによって、ガラス板表面からのアルカリ金属溶出を抑制する処理方法に関する。

0016

前記アンモニウム塩は、硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムであることが好ましい。

0017

また、本発明は、
ガラス容器内面から1μm以下の厚み部分におけるナトリウムカリウム及びリチウムの含有量が、ガラス容器外面のガラスのナトリウム、カリウム及びリチウムの含有量の1/2以下であることを特徴とする、アルカリ金属溶出抑制ガラス容器に関する。

0018

本発明の処理方法によって処理されたガラス容器は、内面近傍のアルカリイオンが外面側へと移動し、当該内面近傍にH+、H3O+及びアンモニウムイオンが導入されている。ガラス容器内面からのアルカリ金属溶出を効果的に防止するためには、ガラス容器内面から1μm以下の厚み部分におけるNa、K及びLiの含有量が、ガラス容器外面のNa、K及びLiの含有量の1/2以下であることが重要となる。

0019

ここでいう「Na、K及びLiの含有量」とは、各元素の含有量mol濃度を意味し、ガラス中に含有されるアルカリ金属量目安となる。ガラス容器を構成するガラスがNa、K又はLiのいずれかを含有しない場合には、「Na、K及びLiの含有量」は、3元素のうちガラスに含有されているアルカリ元素だけの合計を意味する。例えば、ガラス容器を構成するガラスがNa及びKを含有し、Liを含有しない場合には、「Na、K及びLiの含有量」は、「Na及びKの含有量」を意味する。また。ガラス容器を構成するガラスがNaのみ含有し、K及びLiを含有しない場合には、「Na、K及びLiの含有量」は、「Naの含有量」を意味する。

0020

ガラス容器内面からのアルカリ金属溶出をより効果的に防止するためには、ガラス容器内面から1μm以下の厚み部分におけるNa、K及びLiの含有量が、ガラス容器外面のNa、K及びLiの含有量の1/3以下であることが好ましく、1/10以下であることがさらに好ましい。特に、Naについては、ガラス容器内面から1μm以下の厚み部分におけるNa含有量が、ガラス容器外面のNa含有量の1/10以下であることが好ましい。

0021

本発明はまた、ガラス板表面から1μm以下の厚み部分におけるナトリウム、カリウム及びリチウムの含有量が、ガラス板裏面側のガラスのナトリウム、カリウム及びリチウムの含有量の1/2以下であることを特徴とする、アルカリ金属溶出抑制ガラス板に関する。

0022

本発明の処理方法によって処理されたガラス板は、表面近傍のアルカリイオンが裏面側へと移動し、当該表面近傍にH+、H3O+及びアンモニウムイオンが導入され、ている。ガラス板表面からのアルカリ金属溶出を効果的に防止するためには、ガラス表面から1μm以下の厚み部分におけるNa、K及びLiの含有量が、ガラス板裏面側のガラスのNa、K及びLiの含有量の1/2以下であることが重要となる。

0023

ここでいう「ガラス板表面」とは、ガラス板の両面のうち、アルカリ金属の溶出を抑制させるために、H+、H3O+又はNH4+を導入し、アルカリイオン含有量を減少させる一面を意味し、「ガラス板裏面」とは、その反対側の一面を意味する。

0024

ガラス板表面からのアルカリ金属溶出をより効果的に防止するためには、ガラス板表面から1μm以下の厚み部分におけるNa、K及びLiの含有量が、ガラス板裏面のNa、K及びLiの含有量の1/3以下であることが好ましく、1/10以下であることがさらに好ましい。特に、Naについては、ガラス板表面から1μm以下の厚み部分におけるNa含有量が、ガラス板裏面のNa含有量の1/10以下であることが好ましい。

0025

本発明のアルカリ金属溶出抑制ガラス容器及びアルカリ金属溶出抑制ガラス板は、NH4+を含有するガラスから構成されることが好ましい。

発明の効果

0026

本発明によれば、ガラス容器内面近傍又はガラス板表面近傍のアルカリイオン含有量を減少させることによって、従来のアルカリ処理法と比較して、ガラス容器内面又はガラス板表面からのアルカリ金属溶出を効果的に抑制し得る。また、本発明によれば、イオン交換によるガラス中の応力の変化が小さいために、処理後のガラス容器又はガラス板が割れにくい。さらに、本発明の方法は、既存のガラス容器又はガラス板表面について適用可能である利点を有する。

図面の簡単な説明

0027

実施形態1の処理方法を説明する概念図を示す。
本発明の処理方法におけるガラス容器内面近傍のイオンの移動を説明する概念図を示す。
実施形態2の処理方法を説明する概念図を示す。
実施例のスライドグラスについて、表層から深さ方向に各元素の分布を測定した結果のグラフを示す。
比較例1のスライドグラスについて、表層から深さ方向に各元素の分布を測定した結果のグラフを示す。
比較例2のスライドグラスについて、表層から深さ方向に各元素の分布を測定した結果のグラフを示す。

実施例

0028

本発明の実施の形態について、以下に説明する。本発明は、以下の記載に限定されない。

0029

(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1の処理方法を説明する概念図である。ガラス容器1は、アルミナのような絶縁性耐熱筒5(耐熱容器)内に取り付けられる。ガラス容器1の厚みは、200℃以上に加熱した溶融塩と接触させた場合に直流電圧を印加可能であれば、特に限定されない。

0030

耐熱容器5内には、少なくとも1種類のアンモニウム塩4を供給する。このとき、ガラス容器1内にもアンモニウム塩4を供給する。すなわち、ガラス容器1の内面2及び外面3の両方が、アンモニウム塩4と接するようにする。アンモニウム塩4は、アンモニウム塩のみから構成されていてもよく、アンモニウム塩以外の成分も含有していてもよい。

0031

ガラス容器1の内面2を正極側、外面3が負極側となるように、負極6及び正極7を取り付け、直流電源8と接続する。その後、ガラス容器1及び耐熱容器5は、高温槽に入れられ、アンモニウム塩の溶融温度以上に加熱される。加熱温度は、200℃以上とする。そうすることにより、アンモニウム塩4が溶融して200℃以上の溶融液9a及び9bとなり、溶融液9aとガラス容器1の内面2とが接触し、溶融液9bとガラス容器1の外面3とが接触することになる。このとき、内面2側の溶融液9aと、外面側の溶融液9bとは接触していない(絶縁されている)。

0032

ガラス容器自体を200℃以上とすることによっても、ガラスの体積抵抗率が小さくなり電流が流れやすくなる。電流を流しやすくする観点から、加熱温度は200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましい。アンモニウム塩及びガラス容器は、それぞれ電気ヒータのような加熱装置によって加熱されることが好ましい。

0033

その後、負極6及び正極7間に直流電圧を加える。直流電圧は、100V以上1000V以下が好ましい。アンモニウム塩4としては、様々な塩を利用し得る。例えば、硫酸水素アンモニウム、アジ化アンモニウム過塩素酸アンモニウムクロム酸アンモニウム、硝酸アンモニウム二クロム酸アンモニウムフッ化水素アンモニウム、ヘキサニトラトセリウム酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウムヨウ素酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物リン酸アンモニウムモリブデン酸アンモニウム四水和物過硫酸アンモニウムスルファミン酸アンモニウム、硫酸ヒドロキシルアンモニウム硫酸二アンモニウムコバルト(II)六水和物、亜硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム鉄(III)十二水和物硫酸アンモニウムニッケル六水和物、五ホウ酸アンモニウム水和物、硫化アンモニウムテトラフルオロホウ酸アンモニウムチオ硫酸アンモニウム硫酸第二鉄アンモニウム硫酸第一鉄アンモニウム、又はリン酸水素ナトリウムアンモニウム四水和物が利用可能である。

0034

これらアンモニウム塩のうち、取り扱い容易性及び廃棄容易性を考慮すると、硫酸アンモニウム又は硫酸水素アンモニウムが好ましく、硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウムの混合物がより好ましい。混合物とする場合、硫酸アンモニウムの硫酸水素アンモニウムに対する質量比は1以上4以下であることが好ましい。このような混合物をアンモニウム塩として使用する場合、直流電圧は100V以上1000V以下とすることが好ましく、100V以上600V以下とすることがより好ましい。これは直流電圧が100V以下であると処理時間が長くなるためであり、1000V以上であると、耐熱容器の外表面と溶融塩に浸漬されていない容器表面をリークして流れる電流が発生し、イオン交換されにくいためである。

0035

ガラス容器1の厚み、処理するガラス中のアルカリ金属量、処理温度又は処理電圧にもよるが、必要なガラスの厚みが処理できる電流を所定時間かければよい。例えば、アルカリ金属量の含有量の合計が10〜20mol%のグラスから構成されるガラス容器を、本発明の処理方法によって200℃以上で処理する場合には、処理厚みを3μm程度とする場合、当該処理に必要な処理厚み中に含まれるアルカリ金属イオン量に相当する電流が流れればよい。なお、この電流は、クーロンメータ15の積算値から知ることができる。ガラス容器内面からのアルカリ金属溶出を効果的に抑制するためには、少なくともガラス容器内面から1μm以下の厚み部分におけるNa、K及びLiの含有量が、ガラス容器外面におけるガラスのNa、K及びLiの含有量の1/2以下となることが好ましく、1/3以下となることがより好ましく、1/10以下となることがさらにより好ましい。

0036

図2は、本発明の方法における、ガラス容器内面近傍のイオンの移動を説明する概念図を示す。溶融液9には、NH4+、H+及びオキソニウムイオンH3O+が含有されている。一方、ガラス容器1には、アルカリイオンとして、Na+、K+及びLi+が主として含有されている。

0037

負極6及び正極7間に直流電圧を加えると、ガラス容器1の外表面3近傍のガラスに含有されているNa+、K+及びLi+は、負極電極が設置された外面3に接触する溶融塩中に移動する。そして、外表面3近傍のガラスに含有されているNa+、K+及びLi+の移動にあわせて、ガラス容器1の内部で内表面2側からNa+、K+及びLi+が外表面側へ移動する。内表面2側のガラスに含有されているNa+、K+及びLi+が移動した後、溶融液9中のNH4+、H+及びH3O+が、内表面2に接触している溶融液から内面2近傍のガラスに導入される。その結果、内面2近傍のガラスにおけるNa+、K+及びLi+が減少し、内面2からのアルカリ金属溶出が効果的に抑制され得る。

0038

特に、アンモニウムイオンを含有する溶融塩を使用する場合、NH4+のイオン半径がNa+等のアルカリ金属イオンのイオン半径と同程度であるため、Na+等が移動した個所にNH4+が入り込むことによって、Na+等のアルカリ金属イオンの移動によるガラス中の応力の変化を小さくすることができ、応力の変化によるグラスの割れを防ぐことが可能となる。また、H3O+もNH4+同様に機能し得る。

0039

なお、ガラス容器を構成するガラスフリットNa化合物、K化合物又はLi化合物を減らし、替わりにアンモニウム塩を添加することによって、ガラス容器のアルカリ含有量を減少させてアルカリ金属溶出を抑制することも考え得る。しかし、この場合には、ガラスフリットを溶融する際、アンモニウム塩が分解してしまうために、実行することはできない。また、アルカリ含有量が少なくなることで、ガラスフリット自体が溶融しにくくなる。

0040

(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2の処理方法を説明する概念図である。基本的な構成は、図1と同じであるため、ここでは相違点についてのみ説明する。

0041

ガラス板17はガスケット14によって耐熱容器5内に取り付けられる。図3においては、ガラス板17の左側が正極側、右側が負極側となっており、正極側と負極側はガラス板17によって絶縁されている。そして、図面上、ガラス板17の左側が表面、右側が裏面となる。溶融液16aは、表面側の溶融液であり、図1の9aに相当する。同様に、溶融液16bは、裏面側の溶融液であり、図1の9bに相当する。ガラス板17の上端及び下端は、耐熱容器5の側面に露出させた。

0042

[実施例]
厚み1.2mm、大きさ25mm×75mmのスライドガラスを準備した。このスライドガラスの組成は、表1に示されるとおりであった。なお、表1中の数値は、質量%を意味する。

0043

0044

上記スライドガラスをガラス板17として、図3に示されるように耐熱容器5に取り付けた。そして、ホウ酸と硫酸水素アンモニウムを等モル混合した混合塩を231℃に加熱した溶融液と、スライドガラスの両面とを接触させた。その後、直流電圧をかけて、トータルで3クーロン電荷が流れたことを確認し、ガラス表面近傍のNa+及びK+を、H+及びNH4+によって置換(イオン交換)した。

0045

スライドガラス及び混合アンモニウム塩は、それぞれ電気ヒータ(図示せず)によって加熱された。また、回路中にクーロンメータを設置することによって、トータルで5クーロン電荷が流れたことを確認し、スライドガラス表面近傍のNa+、K+及びLi+をH+及びNH4+によって置換(イオン交換)した。

0046

ここで、イオン交換量とは、処理中に陽極陰極間に流れた電流であり、電界印加する回路にクーロンメータを組み込んで測定した。イオン交換厚みとは、処理によって形成された、アルカリ金属成分が移動した層の厚みであり、グロー放電発光分光分析装置GDOES)を用いて、スライドガラス表面から深さ方向への各元素の分布を測定した。

0047

図4は、実施例のスライドグラスについて、表層から深さ方向に各元素の分布をGDOESによって測定した結果のグラフを示す。図4において、縦軸は各元素の相対的な存在強度(測定したスライドガラス表面からの深さのもっとも深い位置における特定元素の量を1としたときに、当該元素がどの程度存在しているかを相対的に表した数値)を表し、横軸はスライドガラス表面からの深さ(厚み)を表す。後述する図5及び図6についても同様である。

0048

図4より、実施例のスライドガラスは、スライドガラス表面から4μm程度の厚みまでイオン交換されており、実用上は十分にアルカリ金属溶出が抑制されていると判断された。また、スライドガラス表面から約4μmまでのガラス層にはNa+がほとんど検出されないことも確認された。スライドガラス層表面から4μm以下の厚み部分におけるNaの含有量は、スライドガラスを構成するガラスフリット(未処理のスライドガラスのガラスフリット)のNa+の含有量の1/10以下であることも確認された。

0049

なお、処理時間をさらに長くすることによって、イオン交換の深さをより深くすることが可能であることも確認された。

0050

[比較例1]
スライドガラスとしてリチウムアルミナシリケートガラス(Li2O3:16.7%、Al2O3:16.7%、SiO2:66.6%)を利用し、アンモニウムイオンを含有する溶融塩の替わりに硫酸を用いたこと以外は、すべて実施例と同様に直流電圧を加え、スライドガラス表面のイオン交換を行った。

0051

図5は、比較例1のスライドグラスについて、表層から深さ方向に各元素の分布をGDOESによって測定した結果のグラフを示す。図5より、イオン半径の小さいLi+のみをアルカリ成分として含み、ガラス組成成分も複雑ではないリチウムアルミナシリケートガラスに対しては、アンモニウム塩を含有しないH2SO4を用いた場合にも、Li+とH+がイオン交換されることが確認された。

0052

[比較例2]
リチウムアルミナシリケートガラスに替えて、アルカリ成分としてLi、Na及びKの3種類のアルカリ成分を含有するスライドガラスを利用する以外は、すべて比較例1と同様に直流電圧を加え、ガラス板表面のイオン交換を行った。このスライドガラスの組成は、表2に示されるとおりであった。なお、表2中の%は、質量%を意味する。

0053

0054

比較例2においては、イオン交換処理の途中でスライドガラス自体に割れが発生した。これは、直流電圧の印加により、スライドガラス中のイオンが移動する際に、アルカリイオンが存在していた部分(表面近傍)に外部(硫酸)からH+が導入されるものの、Na+及びK+に比べてH+の半径が非常に小さいため、イオン交換された部分に引っ張り応力が発生して割れが発生したと推測される。

0055

図6は、比較例2のスライドグラスについて、表層から深さ方向に各元素の分布をGDOESによって測定した結果のグラフを示す。図6より、比較例2のスライドグラスは、表面から1μmの厚み(深さ)に満たない部分までしか、イオン交換されていないことが確認された。

0056

本発明のガラス容器又はガラス板表面からのアルカリ金属溶出を抑制する処理方法は、アンモニウム塩を含有する溶融液と接触させた状態で直流電圧を加えることにより、従来イオン交換できなかったアルカリ金属を複数含有するガラス容器又はガラス板を処理対象としても、ガラス容器又はガラス板に割れが発生しにくい。そして、ガラス容器又はガラス板の表面近傍のイオン交換処理を行うことにより、アルカリ金属の溶出を効果的に抑制し得る。

0057

本発明は、医薬品分野又は化学分野のように、ガラス容器内面から溶出するアルカリ金属が問題となるような製品生産する技術分野において有用である。

0058

1:ガラス容器
2:内面
3:外面
4:アンモニウム塩
5:耐熱容器
6:負極
7:正極
8:直流電源
9a,9b:溶融液
14:ガスケット
15:クーロンメータ
16a,16b:溶融液
17:ガラス板

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  • 双葉電子工業株式会社の「 ガラス成形品」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】板状ガラス1の外周端面に樹脂の枠体2が一体成形で設けられ、表面と裏面が平坦なガラス成形品5aにおいて、板状ガラス1を通して見える枠体2の内側の見栄えを改善する。【解決手段】ガラス成形品5aは、... 詳細

  • 株式会社NSCの「 ガラス基板製造方法」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】貫通孔の径が均一になるように加工し易いガラス基板製造方法を提供する。【解決手段】ガラス基板製造方法は、改質ステップおよびエッチングステップを少なくとも含んでいる。改質ステップでは、ガラス基板に... 詳細

  • イビデン株式会社の「 ガラス基板、ガラス基板の製造方法および多数個取り用ガラス基板」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】接続信頼性が高く、短TATおよび低コスト化の可能なガラス基板の提供。【解決手段】ガラス基板は、その側面に厚み方向に延びる溝が形成された基板本体と、 溝内に設けられた側面導体と、を備える。... 詳細

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