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技術 中性子遮蔽材およびこの中性子遮蔽材を使用した使用済燃料保管設備

出願人 株式会社東芝
発明者 木畑正法露木陽長谷川秀信
出願日 2013年7月8日 (6年11ヶ月経過) 出願番号 2013-142969
公開日 2015年1月29日 (5年5ヶ月経過) 公開番号 2015-017806
状態 拒絶査定
技術分野 燃料及び物質の取扱い並びに実験設備 放射線の遮蔽
主要キーワード ボロン成分 保管貯蔵 遮蔽素材 Cr高 ボロン添加量 貯蔵燃料 オーステナイト系ステンレス鋼製 合せ材
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年1月29日)のものです。
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図面 (5)

課題

中性子線遮蔽機能を保持しつつ、従来のボロン添加ステンレス鋼よりも延性および靭性を向上させた新規中性子遮蔽材を提供する。

解決手段

使用済み燃料集合体を収容・貯蔵するための使用済燃料保管設備を構成する中性子遮蔽材3において、中性子遮蔽機能を有するボロン(B)を含有したステンレス鋼から成る母材2の少なくとも一方の表面に、上記母材2よりも靭性および延性が高い中性子遮蔽合金から成る合せ材1を一体にクラッドしたことを特徴とする中性子遮蔽材3である。

概要

背景

一般に原子力発電プラントにおいては、原子炉を一定期間運転後に炉心から取り出された使用済み燃料再処理を実施するまでの間、発電所内の貯蔵プール内に設置された使用済み燃料貯蔵ラックに使用済み燃料を収納貯蔵して使用済み燃料を冷却する。近年は、使用済み燃料貯蔵プール内のスペースを有効活用して、貯蔵容量を増加させる技術的要請が高まっている。

これらの技術的要請に対応すべく、例えば特開平5−80188号公報(特許文献1)および特開平5−80189号公報(特許文献2)に開示されているように、貯蔵燃料間に中性子吸収能力が大きい中性子遮蔽材料を介在させることにより、燃料相互の未臨界性を保持しながら貯蔵燃料間の間隔を狭くして貯蔵密度を高めることが可能な使用済み燃料貯蔵ラックが提案されている。

また、この使用済み燃料貯蔵ラックの構成材料を、地震時等においても貯蔵燃料を支持するための強度部材として用いることにより、貯蔵密度を増大することを可能にした使用済み燃料貯蔵ラックが提案されている。

通常、我が国などで計画または運転されている使用済燃料貯蔵ラック構成材は、中性子吸収能力が大きいボロンを添加したステンレス鋼が使用されており、特にステンレス鋼の中でも燃料装荷時における燃料衝突による衝撃や、運用時の振動等による損傷を防止するために、延性が高いオーステナイト系ステンレス鋼を構成材として採用している。

概要

中性子線遮蔽機能を保持しつつ、従来のボロン添加ステンレス鋼よりも延性および靭性を向上させた新規中性子遮蔽材を提供する。使用済み燃料集合体を収容・貯蔵するための使用済燃料保管設備を構成する中性子遮蔽材3において、中性子遮蔽機能を有するボロン(B)を含有したステンレス鋼から成る母材2の少なくとも一方の表面に、上記母材2よりも靭性および延性が高い中性子遮蔽合金から成る合せ材1を一体にクラッドしたことを特徴とする中性子遮蔽材3である。

目的

従来材のように、遮蔽性能は上がるものの靭性および延性などの機械的強度が小さい放射線遮蔽材を使用することで考えられる技術的課題は、実機の燃料貯蔵バスケットやラック等への燃料装荷時において、燃料の衝突による衝撃荷重外力によって遮蔽材の破損が起こり易く、また運転時に発生する振動等によって遮蔽材が破壊したり、更に製作時における破損のリスクが大きくなったりすることである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

使用済み燃料集合体を収容または貯蔵するための使用済燃料保管設備を構成する中性子遮蔽材において、中性子遮蔽機能を有するボロン(B)を含有したステンレス鋼から成る母材の少なくとも一方の表面に、上記母材よりも靭性および延性が高い中性子遮蔽合金から成る合せ材を一体にクラッドしたことを特徴とする中性子遮蔽材。

請求項2

請求項1に記載の中性子遮蔽材において、前記ボロン(B)を含有したステンレス鋼から成る母材のボロンの総量が質量%で1.0〜3.0%であると共に、前記中性子遮蔽合金から成る合せ材はボロン、ハフニウム(Hf)およびガドリウム(Gd)の少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することを特徴とする中性子遮蔽材。

請求項3

請求項1に記載の中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でニッケルを8〜10.5%、クロムを18〜20%含有するオーステナイト系ステンレス鋼を主成分とし、さらにボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することを特徴とする中性子遮蔽材。

請求項4

請求項1に記載の中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でニッケルを12〜15%、クロムを16〜18%、モリブデンを2〜3%含有するオーステナイト系ステンレス鋼を主成分とし、さらにボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することを特徴とする中性子遮蔽材。

請求項5

請求項1に記載の中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でニッケルを4.5〜6.5%、クロムを21〜23%、モリブデンを2.5〜3.5%含有する二相合金を主成分とし、さらにボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することを特徴とする中性子遮蔽材。

請求項6

請求項1に記載の中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でニッケルを58%以上、鉄を5%以下、モリブデンを8〜10%含有するニッケル基合金を主成分とし、さらにボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することを特徴とする中性子遮蔽材。

請求項7

請求項1に記載の中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でクロムを14.5〜16.5%、モリブデンを15〜17%含有するNi基合金を主成分とし、さらにボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することを特徴とする中性子遮蔽材。

請求項8

請求項1に記載の中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でニッケルを58%以上、クロムを20〜23%、モリブデンを8〜10%含有するニッケル基合金を主成分とし、さらにボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することを特徴とする中性子遮蔽材。

請求項9

請求項1に記載の中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でニッケルを70%以下、クロムを14〜17%含有するニッケル基合金を主成分とし、さらにボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することを特徴とする中性子遮蔽材。

請求項10

請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の中性子遮蔽材において、前記中性子遮蔽材は、母材とその表面側に接合された合せ材との二層構造もしくは母材とその表面側に接合された合せ材と裏面側に接合された合せ材との三層構造を有することを特徴とする中性子遮蔽材。

請求項11

請求項10に記載の中性子遮蔽材において、前記三層構造を構成する表面側合せ材と裏面側合せ材とが、同一合金もしくは互いに異なる組成を有する合金で構成されていることを特徴とする中性子遮蔽材。

請求項12

請求項1から請求項11のいずれか1項記載の中性子遮蔽材を使用した使用済み燃料集合体を収容または貯蔵することを特徴とする使用済燃料保管設備。

請求項13

前記中性子遮蔽材は、使用済み燃料貯蔵容器燃料収納部材となるバスケットまたは使用済み燃料貯蔵ラック構成材に使用されることを特徴とする請求項12記載の使用済燃料保管設備。

技術分野

0001

本発明は、中性子遮蔽材係り、特に原子力発電所などの施設から発生する放射性廃棄物のうち、使用済核燃料などの高い放射線量を有する物質輸送ないし貯蔵するための使用済み燃料貯蔵容器燃料収納部材となるボロン添加オーステナイト系ステンレス鋼製バスケット、及び発電所内にて使用済み核燃料を貯蔵ないし冷却するためのプールの燃料収納部材となるボロン添加ステンレス鋼製使用済み燃料貯蔵ラック構成材となる中性子遮蔽材およびこの中性子遮蔽材を使用した使用済燃料保管設備に関する。

背景技術

0002

一般に原子力発電プラントにおいては、原子炉を一定期間運転後に炉心から取り出された使用済み燃料再処理を実施するまでの間、発電所内の貯蔵プール内に設置された使用済み燃料貯蔵ラックに使用済み燃料を収納・貯蔵して使用済み燃料を冷却する。近年は、使用済み燃料貯蔵プール内のスペースを有効活用して、貯蔵容量を増加させる技術的要請が高まっている。

0003

これらの技術的要請に対応すべく、例えば特開平5−80188号公報(特許文献1)および特開平5−80189号公報(特許文献2)に開示されているように、貯蔵燃料間に中性子吸収能力が大きい中性子遮蔽材料を介在させることにより、燃料相互の未臨界性を保持しながら貯蔵燃料間の間隔を狭くして貯蔵密度を高めることが可能な使用済み燃料貯蔵ラックが提案されている。

0004

また、この使用済み燃料貯蔵ラックの構成材料を、地震時等においても貯蔵燃料を支持するための強度部材として用いることにより、貯蔵密度を増大することを可能にした使用済み燃料貯蔵ラックが提案されている。

0005

通常、我が国などで計画または運転されている使用済燃料貯蔵ラックの構成材は、中性子吸収能力が大きいボロンを添加したステンレス鋼が使用されており、特にステンレス鋼の中でも燃料装荷時における燃料の衝突による衝撃や、運用時の振動等による損傷を防止するために、延性が高いオーステナイト系ステンレス鋼を構成材として採用している。

先行技術

0006

特開平5−80188号公報
特開平5−80189号公報

発明が解決しようとする課題

0007

上記にように、従来からの中性子遮蔽材では、一般的に中性子線遮蔽する性能を持つボロン(B)をオーステナイト系ステンレス鋼に添加し、材料組織中にCr2Bのボライドとして析出させて中性子遮蔽材として使用されてきた。近年、使用済み燃料貯蔵バスケットや使用済み燃料貯蔵ラック等に適用する燃料収納部材には、次世代燃料として燃焼効率が高い燃料が適用されており、使用済燃料保管貯蔵用の遮蔽材として、遮蔽性能を上げるために、ボロンの添加量を増加させる要求が高い。

0008

しかしながら、上記ボロン成分が数%単位で大量に添加されることは、延性が高いオーステナイト系ステンレス鋼でも、母相中クロムが大量にボライドとして吸収される。その結果、オーステナイト相を保持出来なくなり延性および靭性が低下してしまうことが、本発明者らの実験により確認されている。

0009

すなわち、上記ボロン添加量が1%である従来材でも、その衝撃値は約30J/cm2以下まで低下してしまう。つまり、遮蔽性能を向上させるためにボロン添加量を増加させると、遮蔽素材の靭性および延性がますます低下してしまう。

0010

従来材のように、遮蔽性能は上がるものの靭性および延性などの機械的強度が小さい放射線遮蔽材を使用することで考えられる技術的課題は、実機の燃料貯蔵バスケットやラック等への燃料装荷時において、燃料の衝突による衝撃荷重外力によって遮蔽材の破損が起こり易く、また運転時に発生する振動等によって遮蔽材が破壊したり、更に製作時における破損のリスクが大きくなったりすることである。特に燃料貯蔵バスケットやラック等の製作時は、破損を防止する養生対策などが必須であり、製作コストが増大することが不可避であった。

0011

また、ボロンが約1%添加された従来材であるボロン添加ステンレス鋼についても、延性および靭性が乏しいために、曲げ加工が困難であり、連続した材料で構造物を容易に加工形成することが困難であった。例えば、前記特許文献1に示すように、複数の燃料集合体を収容する格子状の燃料収納部材を製作するためには、一枚のボロン添加ステンレス鋼板スリットと呼ばれる穴を加工し、一方のボロン添加ステンレス鋼板には、穴に挿通させるための突起状の加工をして、それらを直角に組み合わせて最終的に格子状に形成する製作方法が採用されている。

0012

しかしながら、この製作方法では、一枚ずつの板からの組み合わせとなるために、隣接部材との繋ぎ目が多く、接合構造が複雑になる課題があった。しかも延性および靭性が低い材料で作られる収納部材は、高い材料品質を要求される原子力用材料を使用するために、製品に占める材料コストの割合は、かなり大きくなる難点があった。

課題を解決するための手段

0013

本発明は上記従来材における課題を解決するためになされたものであり、中性子線の遮蔽機能を保持しつつ、従来のボロン添加ステンレス鋼よりも延性および靭性を向上させた新規な中性子遮蔽材を提供することを目的とする。

0014

上記目的を達成するために、本発明に係る中性子遮蔽材は、使用済み燃料集合体を収容・貯蔵するための使用済燃料保管設備を構成する中性子遮蔽材において、中性子遮蔽機能を有するボロン(B)を含有したステンレス鋼から成る母材の少なくとも一方の表面に、上記母材よりも靭性および延性が高い中性子遮蔽合金から成る合せ材を一体にクラッドしたことを特徴とする。

0015

すなわち、使用済燃料貯蔵ラックの構成材料として、中性子吸収材となるボロン添加ステンレス鋼を母材として用い、その母材の片面または両面に、中性子吸収性能を示し延性および靭性が高い合金材を合せ材としたクラッド鋼で中性子遮蔽材を構成することにより、中性子線の遮蔽性能を保持しつつ、延性が高い中性子遮蔽材が得られることを要旨としている。

0016

また、上記中性子遮蔽材において、前記ボロン(B)を含有したステンレス鋼から成る母材のボロンの総量が質量%で1.0〜3.0%であると共に、前記中性子遮蔽合金から成る合せ材はボロン、ハフニウム(Hf)およびガドリウム(Gd)の少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することが好ましい。

0017

上記母材に含有されるボロンは中性子吸収能を有する成分であり、その含有量が1.0%未満であると母材における中性子吸収性能が不十分となる。一方、総含有量が3.0%を超えて過大になると、母材の延性及び靭性が低下してしまう。

0018

同様に、上記合せ材に含有されるボロン、ハフニウムおよびガドリウムはいずれも中性子吸収能を有する成分であり、その総含有量が0.1%未満であると合せ材における中性子吸収性能が不十分となる。一方、総含有量が0.5%を超えて過大になると、合せ材の延性及び靭性が低下してしまう。

0019

さらに、上記中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でニッケルを8〜10.5%、クロムを18〜20%含有するオーステナイト系ステンレス鋼を主成分とし、さらに従成分としてボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することが好ましい。

0020

上記ニッケルおよびクロムを上記のように所定量含有するオーステナイト系ステンレス鋼(高Cr高Ni鋼)であれば、耐食性及び高温強さに優れており、中性子遮蔽材の機械的強度を高めることができる。また、上記オーステナイト系ステンレス鋼のオーステナイト組織は、軟質であり加工性富むために加工性が優れている。また、合せ材が所定量のボロン、ハフニウムおよびガドリウムを含有しているために中性子吸収効果も優れる。

0021

また、上記中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でニッケルを12〜15%、クロムを16〜18%、モリブデンを2〜3%含有するオーステナイト系ステンレス鋼を主成分とし、さらにボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することが好ましい。

0022

上記ニッケル,クロム,モリブデンを上記のように所定量含有するオーステナイト系ステンレス鋼(高Cr高Ni鋼)であれば、耐食性及び高温強さに優れており、中性子遮蔽材の機械的強度を高めることができる。また、上記オーステナイト系ステンレス鋼のオーステナイト組織は、軟質であり加工性に富むために加工性が優れている。また、合せ材が所定量のボロン、ハフニウムおよびガドリウムを含有しているために中性子吸収効果も優れる。

0023

さらに、上記中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でニッケルを4.5〜6.5%、クロムを21〜23%、モリブデンを2.5〜3.5%含有する二相合金を主成分とし、さらにボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することが好ましい。

0024

上記二相合金ではフェライト相とオーステナイト相との二相を有するステンレス合金であるために、高強度,耐応力腐食割れ耐孔食性に優れている。

0025

また、上記中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でニッケルを58%以上、鉄を5%以下、モリブデンを8〜10%含有するニッケル基合金を主成分とし、さらにボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することが好ましい。

0026

上記Ni−Mo−Fe系のニッケル基合金を主成分とし、さらに従成分としてB,Hf,Gdを所定量含有する合せ材を使用することにより、中性子遮蔽材に加工性及び中性子吸収能を付与することができる。

0027

さらに、上記中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でクロムを14.5〜16.5%、モリブデンを15〜17%含有するNi基合金を主成分とし、さらに従成分としてボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することが好ましい。

0028

上記Ni−Cr−Mo系のニッケル基合金を主成分とし、さらに従成分としてB,Hf,Gdを所定量含有する合せ材を使用することにより、中性子遮蔽材に加工性及び中性子吸収能を付与することができる。

0029

また、上記中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でニッケルを58%以上、鉄を5%以下、モリブデンを8〜10%含有するニッケル基合金を主成分とし、さらにボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することが好ましい。

0030

上記Ni−Fe−Mo系のニッケル基合金を主成分とし、さらに従成分としてB,Hf,Gdを所定量含有する合せ材を使用することにより、同様に中性子遮蔽材に加工性及び中性子吸収能を付与することができる。

0031

さらに、上記中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でニッケルを58%以上、クロムを20〜23%、モリブデンを8〜10%含有するニッケル基合金を主成分とし、さらにボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することが好ましい。

0032

また、上記中性子遮蔽材において、前記合せ材は、質量%でニッケルを70%以下、クロムを14〜17%含有するニッケル基合金を主成分とし、さらにボロン、ハフニウムおよびガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有することが好ましい。

0033

上記Ni−Cr−Mo系またはNi−Cr系のニッケル基合金を主成分とし、さらに従成分としてB,Hf,Gdを所定量含有する合せ材を使用することにより、同様に中性子遮蔽材に加工性及び中性子吸収能を付与することができる。

0034

また、合せ材を構成する合金として、質量%でニッケルを50〜60%、クロムを12〜20%、モリブデンを14〜18%含有するハステロイ合金を主成分とし、さらに従成分としてボロン,ハフニウム、ガドリウムの少なくとも1種を0.1〜0.5%含有し中性子遮蔽性能を示す合金も好適に使用できる。

0035

さらに、合せ材を構成する合金として、Moを6%程度含有するスーパーオーステナイトステンレス鋼(YUS270)を主成分とし、さらに従成分としてボロン,ハフニウム、ガドリウムの少なくとも1種を総量で0.1〜0.5%含有し中性子遮蔽性能を示す合金も好適に使用できる。特に上記YUS270材は、耐食性合金であり、しかも常温耐力汎用のステンレス鋼(SUS304)の1.5倍であり高強度であるステンレス鋼であるために、中性子遮蔽材の耐食性および構造強度を高めることができ、長期間にわたって耐久性を発揮することが可能である。

0036

本発明に係る中性子遮蔽材において、母材(芯材)となるボロン添加ステンレス鋼の厚さを2〜10mmとする一方、その片面側または両面側に一体に接合する合せ材の厚さを0.5mm〜2mmの範囲に調整する。この厚さ範囲の母材と合せ材とを、例えば熱間圧延または冷間圧延して一体に接合することにより、靭性、延性および中性子遮蔽性能が良好な中性子遮蔽材が得られる。

0037

また、上記中性子遮蔽材において、前記中性子遮蔽材は、母材とその表面側に接合された合せ材との二層構造もしくは母材とその表面側に接合された合せ材と裏面側に接合された合せ材との三層構造を有するように構成しても良い。

0038

中性子遮蔽材の表面側と裏面側とで材質的な要求特性が異なる場合には、片面側のみに所定組成の合せ材を一体に接合(クラッド)した二層構造を採用できる。

0039

さらに母材の表裏両面に合せ材を一体に接合した前記三層構造を構成する表面側合せ材と裏面側合せ材とが、同一合金もしくは互いに異なる組成を有する合金で構成しても良い。この構成により、中性子遮蔽材の表面側と裏面側とで材質的な要求特性が同一の場合には同一の合金材で合せ材を形成する。一方、中性子遮蔽材の表面側と裏面側とで材質的な要求特性が異なる場合には、それぞれの組成を規定した合せ材を用いる。

発明の効果

0040

本発明に係る中性子遮蔽材によれば、中性子吸収材となるボロンを添加したステンレス鋼を母材として用い、その母材の片面または両面に、中性子吸収性能を示し延性および靭性が高い合金材を合せ材としたクラッド鋼で中性子遮蔽材を構成しているために、中性子線の遮蔽性能を保持しつつ、延性が高い中性子遮蔽材が得られる。

0041

またこの中性子遮蔽材を使用した使用済燃料保管設備中性子遮蔽材を採用することにより、ラック表面の衝撃特性の向上が図れ、収納する使用済み燃料の衝突による破損事故が著しく減少する。

図面の簡単な説明

0042

本発明に係る中性子遮蔽材の一実施例の構成を示す断面図であり、図1(a)は母材と合せ材とから成る二層構造の中性子遮蔽材を示し、図1(b)は母材とその両面に配置した二枚の合せ材とから成る三層構造の中性子遮蔽材を示す。
ボロン(B)の添加量と衝撃値との関係を示すグラフ
ボロン(B)の添加量に対するマトリックス中のCr減少量を示す相関図。
本実施例に係る中性子遮蔽材および従来の中性子遮蔽材についての曲げ試験結果を比較して示す表。

実施例

0043

以下、本発明の実施形態について添付図面および実施例を参照して具体的に説明する。

0044

図1(a)は、母材2の表面側に合せ材1を一体に接合した本発明の実施例に係る中性子遮蔽材3(二層構造)の断面を示している。また、図1(b)は図1(a)の状態からさらに母材の裏面側にも合せ材1bを一体に接合した本発明の他の実施例に係る中性子遮蔽材3a(三層構造)の断面を示している。

0045

(実施例1−3)
具体的には、中性子吸収材としてのボロンを1.5質量%添加し、厚さが4mmである従来のオーステナイト系ステンレス鋼を母材2とする一方、合せ材1,1a,1bとして、ボロン(B),ハフニウム(Hf)およびガドリウム(Gd)の少なくとも1種が0.1〜0.5%添加され中性子吸収性能が保持された延性が高く厚さが1mmであるオーステナイト系ステンレス鋼(実施例1),Ni基合金(実施例2),もしくはハステロイ合金(実施例3)から成る合せ材を用意した。そして上記母材と合せ材とが熱間圧延によって一体にクラッドされた図1(a)に示す2層構造を有する中性子遮蔽材3を調製した。

0046

なお、上記実施例1で用いる合せ材としては、質量%でニッケルを9%、クロムを19%含有するオーステナイト系ステンレス鋼を主成分とし、さらにボロンを0.2%、およびガドリウムを0.1%含有したものを使用した。

0047

また、上記実施例2で用いる合せ材としては、質量%でニッケルを60%、鉄を4%、モリブデンを9%含有するニッケル基合金を主成分とし、さらにボロンを0.2%、ハフニウムを0.1%およびガドリウムを0.1%含有したものを使用した。

0048

さらに、上記実施例3で用いる合せ材としては、質量%でニッケルを55%、クロムを16%、モリブデンを15%含有するハステロイ合金を主成分とし、さらにボロンを0.2%、およびガドリウムを0.1%含有したものを使用した。

0049

これらクラッド鋼から成る中性子遮蔽材3を製作する製造方法としては、母材2と合せ材1とを重ね合わせた状態で熱間圧延と冷間圧延とを組み合わせて圧延する圧延方法が一般的である。しかしながら、母材2及び合せ材1を粉末冶金によって一体に形成する焼結法も採用できる。また、ボロン添加ステンレス合金鋼から成る母材2と合せ材1となる粉末とを熱間静水圧プレス法HIP)により加圧処理して仮焼結体を製作し、この仮焼結体を押出し成形する押出し法なども採用できる。

0050

(比較例)
一方、従来材として実施例1−3で使用したオーステナイト系ステンレス鋼から成る母材のみから成り、全厚さが5mmである単層の従来材を比較例として調製した。

0051

ここで母材を構成するボロン添加ステンレス鋼におけるボロン添加量の大小が母材に及ぼす影響を調査するために、ボロン添加量を0〜2.0質量%まで変化させた各ステンレス鋼を調製し、各試験片切り出した。各試験片について、JIS—Z2242に準拠したシャルピー衝撃試験を室温中(25℃)で実施した。

0052

図2は、各試験片に係るボロン添加ステンレス鋼についてのボロン添加量と衝撃値との関係を示すグラフである。図2に示す結果から明らかなように、ボロンを添加していないステンレス鋼では、約250J/cm2の衝撃値を示しているが、ボロンが0.3%添加されると、衝撃値は約150J/cm2までに低下した。さらに、ボロン添加量が0.5%まで増加すると、衝撃値は約100J/cm2まで低下し、ボロンが1%添加では衝撃値は約50J/cm2以下になってしまうことが確認された。本発明者らが実施した衝撃試験では、1%以上のボロンを添加した場合には衝撃値は10J/cm2以下まで低下した。

0053

図3は、ボロンを0.6〜2.2質量%添加したステンレス鋼について、ボロン添加量の大小が母相中のクロム減少量に及ぼす影響をEPMA分析により測定した結果を示している。本測定結果によるとボロンが約0.6重量%添加された従来のボロン添加ステンレス鋼の母相中のクロムは約1.75%減少している。さらにボロンを1重量%添加すると、クロムは約3%減少し、ボロン添加量が1.7重量%になると母相中のクロムは約6%減少することが示された。本結果により母材の延性や衝撃特性の高いオーステナイト相を示した母相がボロン添加の影響で変化したことが確認出来た。

0054

図4は、上記のように調製した実施例1−3と比較例(単層の従来材)について、曲げ試験による割れ発生の割合を確認した結果を示す。曲げ試験については、JIS Z2248に規定する「金属材料の曲げ試験方法」に準拠した。すなわち、室温(25℃)中における3点曲げ試験によって各中性子遮蔽材の試験片を、その平面方向に対して30度、60度、90度、120度までの曲げ角度で曲げ試験を実施し、各試験片の外観観察により割れ発生の割合を確認した。

0055

なお各試験片は、本実施例1−3ではボロン添加量0.2%のステンレス鋼、ニッケル基合金、ハステロイ合金から成る板厚1mmの合せ材と板厚4mmの母材とを一体に接合した全体厚さが5mmである2層構造の平板試験片であり、従来材(比較例)は全体厚さが5mmである単層構造の平板試験片である。本実施例1−3では、曲げの外側に合せ材が配置されるようにして曲げ試験を実施した。

0056

図4に示す曲げ試験結果から明らかなように、本実施例1−3に係る中性子遮蔽材によれば、いずれも120度までの曲げ角度においても割れは発生しなかった。合せ材1として、ボロン(B),ハフニウム(Hf)およびガドリウム(Gd)の少なくとも1種が0.1〜0.5%添加され延性が高くなった合せ材を一体に接合しているために、曲げ耐性が改善されることが判明した。

0057

一方、全体厚さが5mmである単層構造の従来材においては、30度の曲げ角度では割れは発生しなかったが、60度の曲げ角度においては、割れが急激に発生しており、90度で曲げると破断したため、曲げ角度120度での曲げ試験は中止した。

0058

上記構成の実施例に係る中性子遮蔽材によれば以下のような顕著な作用効果が発揮される。すなわち、本実施例に係る中性子遮蔽材を採用することにより、曲げ加工によるラックの製作が可能となり、使用済み燃料貯蔵容器のラックの製作コストを大幅に減少させることが可能となり、十分な強度を持った精度が高い燃料貯蔵ラックを製造することができる。なお、曲げ加工する場合、角筒体コーナー部は板厚の2倍程度の曲げ半径になるが、本実施例材を使用することにより、コーナー部付近に割れを発生させること無く、その後の溶接も問題なく施工することができる。

0059

また、本実施例に係る中性子遮蔽材を採用することにより、中性子吸収能力を保持したままの中性子遮蔽材を用いて、ラックの製作設置が可能になった。

0060

さらに、本実施例に係る中性子遮蔽材を採用することにより、ラック表面の衝撃特性の向上が図れ、収納する使用済み燃料の衝突による破損事故が著しく減少する。

0061

特に伸びおよび靭性などの材料特性を維持したままで中性子吸収能力を高めた本実施例の中性子遮蔽材を使用することにより、格子板溶接構造および角筒体の組み合わせ構造でもどちらの構造においても、十分な強度を持ち、簡便で精度の良い燃料貯蔵ラックを製造することができる。

0062

1,1a,1b…合せ材(表面側合せ材、裏面側合せ材)
2…母材(ボロン添加ステンレス鋼)
3,3a…中性子遮蔽材(クラッド材

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