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技術 熱可塑性再生樹脂及び熱可塑性再生樹脂材料を用いた成形体

出願人 パナソニック株式会社
発明者 徳弘憲一方美娜野末章浩中島啓造天良智尚
出願日 2013年7月11日 (7年3ヶ月経過) 出願番号 2013-145214
公開日 2015年1月29日 (5年8ヶ月経過) 公開番号 2015-016630
状態 未査定
技術分野 プラスチック廃棄物の分離・回収・処理
主要キーワード 近赤外線センサ 材料識別 分別対象 近赤外線吸収スペクトル 再生ポリプロピレン樹脂 再生合成樹脂 分別板 混入樹脂
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年1月29日)のものです。
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図面 (6)

課題

複数種合成樹脂が混在する廃材から対象樹脂分別選別して再資源化するに際し、信頼性が高く高品質熱可塑性再生樹脂を提供する。

解決手段

複数の樹脂が混在した熱可塑性樹脂廃材から材料識別装置を用いて分別回収され、混練成形されたポリプロピレン(PP)樹脂およびポリスチレン(PS)樹脂およびアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)樹脂から選ばれる一の熱可塑性再生樹脂であって、前記熱可塑性樹脂が90重量%以上含有されると共に、その他に、PP樹脂、PS樹脂、ABS樹脂のうち前記熱可塑性樹脂を除く2種類の熱可塑性樹脂と、ポリ塩化ビニルPVC)樹脂を含む混入樹脂を含有し、前記混入樹脂の平均分散粒子径を100ナノメートル以上2000ナノメートル以下に設定し、前記熱可塑性樹脂と前記混入樹脂が海島構造を構成している。

概要

背景

近年の大量生産大量消費、大量廃棄型の経済活動が、地球温暖化資源枯渇など地球規模での環境問題を引き起こしている。このような状況の中、循環型社会構築に向けて、平成13年4月から家電リサイクル法が完全施行され、使用済みになったエアコンテレビ冷蔵庫冷凍庫洗濯機リサイクル義務付けられている。

回収された家電製品は、家電リサイクル工場において、破砕後に、磁気風力振動等を利用して材料毎に分別回収され、再資源化されている。特に金属材料は、比重選別装置磁気選別装置を用いることで、鉄、銅、アルミニウムなど材料毎に高純度で回収され、高い再資源化率が実現されている。

一方、樹脂材料では、水を活用して低比重物高比重物とに分別し、回収する水比重選別法や、近赤外線などの電磁波を照射して物質特有吸収特性を利用した選別方法や、材料ごとに異なる電気的な性質の違いを利用して分離する静電分離法などが用いられている。

しかしながら、再生された樹脂材料には、様々な非相容の不純物混入し、不純物の混入による物性の低下が指摘されており、樹脂再生材の物性回復方法が検討され、提案されている。

従来の樹脂再生材の物性回復方法としては、複数の成分からなる再生複合樹脂に1種類または複数種類相容化剤を添加して物性の向上を検証したものがあった(例えば、特許文献1および2参照)。

概要

複数種合成樹脂が混在する廃材から対象樹脂を分別・選別して再資源化するに際し、信頼性が高く高品質熱可塑性再生樹脂を提供する。複数の樹脂が混在した熱可塑性樹脂廃材から材料識別装置を用いて分別回収され、混練成形されたポリプロピレン(PP)樹脂およびポリスチレン(PS)樹脂およびアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)樹脂から選ばれる一の熱可塑性再生樹脂であって、前記熱可塑性樹脂が90重量%以上含有されると共に、その他に、PP樹脂、PS樹脂、ABS樹脂のうち前記熱可塑性樹脂を除く2種類の熱可塑性樹脂と、ポリ塩化ビニルPVC)樹脂を含む混入樹脂を含有し、前記混入樹脂の平均分散粒子径を100ナノメートル以上2000ナノメートル以下に設定し、前記熱可塑性樹脂と前記混入樹脂が海島構造を構成している。

目的

本発明は、前記従来の課題を解決するもので、非相容の異物により物性の低下した樹脂再生材の物性の回復と、成形時に非相容の異物により引起されるブリードアウト現象の抑制を図る熱可塑性再生樹脂およびその成形物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

複数の樹脂が混在した熱可塑性樹脂廃材から材料識別装置を用いて分別回収され、混練成形されたポリプロピレン(PP)樹脂およびポリスチレン(PS)樹脂およびアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)樹脂から選ばれる一の熱可塑性再生樹脂であって、前記熱可塑性樹脂が90重量%以上含有されると共に、その他に、PP樹脂、PS樹脂、ABS樹脂のうち前記熱可塑性樹脂を除く2種類の熱可塑性樹脂と、ポリ塩化ビニルPVC)樹脂を含む混入樹脂を含有し、前記混入樹脂の平均分散粒子径を100ナノメートル以上2000ナノメートル以下に設定し、前記熱可塑性樹脂と前記混入樹脂が海島構造を構成していることを特徴とする熱可塑性再生樹脂材料

請求項2

前記海島構造(分散相)の周囲を覆う相容化剤の厚みの平均が80ナノメートル以下であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性再生樹脂材料。

請求項3

前記熱可塑性樹脂廃材が冷蔵庫冷凍庫空調機洗濯機から選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性再生樹脂材料。

請求項4

請求項1に記載の材料識別装置が乾式の近赤外選別装置であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の熱可塑性再生樹脂材料。

請求項5

請求項1から4のいずれか1項に記載の熱可塑性再生樹脂材料を用いた成形体

技術分野

0001

本発明は、使用済み家電製品などの複数種合成樹脂材が混在する廃材から、対象樹脂分別選別した上で、再資源化する熱可塑性樹脂再生技術に関するものである。

背景技術

0002

近年の大量生産大量消費、大量廃棄型の経済活動が、地球温暖化資源枯渇など地球規模での環境問題を引き起こしている。このような状況の中、循環型社会構築に向けて、平成13年4月から家電リサイクル法が完全施行され、使用済みになったエアコンテレビ冷蔵庫冷凍庫洗濯機リサイクル義務付けられている。

0003

回収された家電製品は、家電リサイクル工場において、破砕後に、磁気風力振動等を利用して材料毎に分別回収され、再資源化されている。特に金属材料は、比重選別装置磁気選別装置を用いることで、鉄、銅、アルミニウムなど材料毎に高純度で回収され、高い再資源化率が実現されている。

0004

一方、樹脂材料では、水を活用して低比重物高比重物とに分別し、回収する水比重選別法や、近赤外線などの電磁波を照射して物質特有吸収特性を利用した選別方法や、材料ごとに異なる電気的な性質の違いを利用して分離する静電分離法などが用いられている。

0005

しかしながら、再生された樹脂材料には、様々な非相容の不純物混入し、不純物の混入による物性の低下が指摘されており、樹脂再生材の物性回復方法が検討され、提案されている。

0006

従来の樹脂再生材の物性回復方法としては、複数の成分からなる再生複合樹脂に1種類または複数種類相容化剤を添加して物性の向上を検証したものがあった(例えば、特許文献1および2参照)。

先行技術

0007

特開平11−116742号公報
特開2007−130831号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、特許文献1および2の方法では、相容化剤により物性の回復は見受けられるものの、完全に相容化しているのかどうかわからないという課題を有していた。すなわち、相容化したために物性が向上したのではなく、添加剤そのものの特性により物性が向上することもあり得る。相容化剤を添加することである程度の非相容の異樹脂母材と相容化し、それにより物性が向上するということはあり得るが、相容化は混練時のせん断速度などの条件にも影響される現象であるため、異樹脂の量や添加した相容化剤の種類や量のみで完全に相容化が達成されているかどうかということを判別することはできない。

0009

樹脂再生材中に、完全に相容化されず、非相容な状態で残存した異物があると、ブリードアウト現象引起し、成形機内部や金型などの汚染の原因となり、汚染物質蓄積により精密な成形ができなくなったり、成形品外観を汚染することなどの問題が発生する虞があった。

0010

本発明は、前記従来の課題を解決するもので、非相容の異物により物性の低下した樹脂再生材の物性の回復と、成形時に非相容の異物により引起されるブリードアウト現象の抑制を図る熱可塑性再生樹脂およびその成形物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

前記従来の課題を解決するために、本発明の熱可塑性再生樹脂は、複数の樹脂が混在した熱可塑性樹脂廃材から材料識別装置を用いて分別回収され、混練成形されたポリプロピレン(PP)樹脂およびポリスチレン(PS)樹脂およびアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)樹脂から選ばれる一の熱可塑性再生樹脂であって、前記熱可塑性樹脂が90重量%以上含有されると共に、その他に、PP樹脂、PS樹脂、ABS樹脂のうち前記熱可塑性樹脂を除く2種類の熱可塑性樹脂と、ポリ塩化ビニルPVC)樹脂を含む混入樹脂を含有し、前記混入樹脂の平均分散粒子径を100ナノメートル以上2000ナノメートル以下に設定し、前記熱可塑性樹脂と前記混入樹脂が海島構造を構成していることを特徴とする。

発明の効果

0012

本発明の熱可塑性再生樹脂によれば、熱可塑性再生樹脂に含まれる複数の異物の相容化を図り、非相容の異物による物性の低下を回復させることができ、非相容の異物に由来するブリードアウトなどの成形時の問題を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の実施の形態1における一般的な再生工程を示す図
本発明の実施の形態1における近赤外線選別システムを示す図
本発明の実施の形態1における透過型顕微鏡写真
本発明の実施の形態1における相容化剤の混入量とポリプロピレン再生材の物性との関係を示す図
本発明の実施の形態1におけるポリプロピレン再生材中のPS、ABS、PVCの平均分散径の評価を示す図

0014

以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

0015

(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における熱可塑性樹脂廃材の再資源化方法の再生化工程の一例を示すものである。

0016

本実施の形態1は、回収された廃家電品のリサイクル工程の一例として、使用済み冷蔵庫のリサイクル工程を説明する。

0017

本実施の形態1の熱可塑性樹脂廃材は、使用済み冷蔵庫から、冷媒コンプレッサーを取り除き、さらに野菜室冷凍室ケース冷蔵室などの樹脂を手解体により取り除いた後、破砕機で破砕し、さらに、金属やプラスチックが混ざった破砕片から、磁力により鉄などの金属を取り除き、軽量のウレタンフォーム等を風力で吸引除去する。さらに、鉄などの金属とウレタンフォーム等を取り除いた破砕片を、うず電流選別器で金属とそれ以外の破砕片に分別した後、さらにい分けすることにより5〜150mmの大きさの混合熱可塑性樹脂廃材を回収する。

0018

次に、混合熱可塑性廃材から、近赤外線選別システムを用いて熱可塑性樹脂再生材を分別回収する。

0019

以下に、熱可塑性樹脂再生材を分別回収するための近赤外分光分析法を用いた近赤外線選別システムについて説明する。

0020

有機化合物は物質中の原子団ごとに光の吸収波長帯が異なるため、分子構造によって、固有近赤外線吸収スペクトルを示す。近赤外線選別システムとは、有機化合物が分子構造によって、固有の近赤外線吸収スペクトルを示すことを利用して有機化合物の材質識別するシステムのことである。

0021

具体的には、合成樹脂材料に近赤外線を照射し、吸収スペクトル計測することで、合成樹脂材料の種別を特定する。近赤外線吸収スペクトルの特徴として、水素結合分子間相互作用ピーク位置や幅、強度が変化するため、臭素含有樹脂も近赤外線吸収スペクトルを計測することにより識別することができる。

0022

図2は、本発明の実施の形態1における近赤外線識別システムを模式的に示す斜視図である。

0023

図2に示すように、近赤外線識別システム20は、粉砕された混合材料を搬送する搬送装置1と、搬送装置1により運搬される混合材料の個々の材質を判別する情報取得装置である近赤外線選別装置4と、吐出口5を備える管体8と、管体8に高圧空気を供給する空圧源15と、空圧源15から管体8への高圧空気を制御する電磁弁10と、制御手段14と、分別板6とを備えている。

0024

本実施の形態1においては、近赤外線選別装置4は、分別対象となる熱可塑性樹脂材料2として例えばポリプロピレン樹脂を設定しており、粉砕された混合材料からポリプロピレン樹脂を判別する。ポリプロピレン樹脂は、ホモポリマーであってもブロックコポリマーであってもランダムポリマーであっても良い。本実施の形態1の混合材料は、使用済みの冷蔵庫からの廃材であるため、ポリプロピレン樹脂以外に、ポリスチレン樹脂やアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体樹脂塩化ビニル(PVC)樹脂などが主に含まれている。

0025

以下、近赤外線識別システムの動作、作用を説明する。

0026

分別対象となる熱可塑性樹脂材料、本実施の形態1においてはポリプロピレン2や他の合成樹脂材料3を含む粉砕された熱可塑性樹脂廃材11を、それぞれが重ならないように搬送装置1の上に散布する。搬送装置1は、熱可塑性樹脂廃材11を約2m/秒の速度で、情報取得装置である近赤外線選別装置4に向けて搬送する。近赤外線選別装置4は、搬送装置1により搬送される熱可塑性樹脂廃材11の種別を判別すると共に、個々の幅方向(x軸方向)の位置情報を取得する。

0027

具体的には、近赤外線選別装置4は、近赤外線センサを備え、ポリプロピレン2と他の合成樹脂材料3との近赤外線吸収スペクトルの差に基づいてポリプロピレン2と他の合成樹脂材料3とを識別する。また、熱可塑性樹脂廃材11を撮像し、得られた画像の解析結果と近赤外線吸収スペクトルによる識別結果に基づいてポリプロピレン2の位置情報を取得する。

0028

搬送装置1は、熱可塑性樹脂廃材11を、近赤外線選別装置4の下流側に向けて搬送する。制御手段14は、近赤外線選別装置4からのポリプロピレン2の位置情報に基づいて電磁弁10を制御し、搬送装置1端部から落下するポリプロピレン2に向かって吐出口5から高圧空気(吐出圧力:5bar)を噴射して、分別板6を飛び越えさせる。ポリプ
ピレン2以外の合成樹脂材料3が吐出口5を通過する際には、吐出口5から高圧空気を噴射させないため、分別板6を飛び越えることなく落下する。これにより、ポリプロピレン2とポリプロピレン以外の合成樹脂材料3とを分別し、ポリプロピレン2を効率的に高純度で回収することが可能となる。

0029

近赤外線選別装置4による選別精度を調整して回収するポリプロピレン2に混入する他の合成樹脂材料3を多くすることにより、再生合成樹脂材料の量を増大させることができる。

0030

近赤外線識別システム20の各構成部品の具体構成を説明すると、管体8は、具体的には金属製のパイプを例示することができる。電磁弁10は、具体的にはいわゆるソレノイドバルブである。制御手段14は、具体的にはいわゆるコンピュータである。空圧源15は、具体的には空気を一定の圧力で供給するコンプレッサーである。

0031

近赤外線選別システムにより分別したポリプロピレン2は、破砕機で2〜50mmの大きさに粉砕した後、図1フローチャートに示すように乾式洗浄装置により表面付着物を除去して、樹脂片表面の汚れシールなどを除去する。乾式洗浄の後、さらに、風力選別静電セパレーター選別、金属感知選別などを行って、より不純物を除去するようにしてもよい。

0032

なお、洗浄方法としては、乾式洗浄、湿式洗浄など種々の方式が存在するが、本発明では、乾式洗浄を採用した。乾式洗浄は、湿式洗浄に比較し、異物の混入量が多くなるが、水を使用しないために環境への影響が最も少ないことを考慮して採用した。乾式洗浄装置には、高速回転するハンマブレード打撃によって表面付着物を除去する手段や、原料同士の相互擦り作用によって洗浄する手段等があるが、特に限定するものではない。

0033

次に、選別・洗浄したポリプロピレン2の物性回復方法について説明する。

0034

洗浄したポリプロピレン2に、相容化剤を添加し、混練機シリンダダイスの温度を180〜240℃に設定して加熱混練押出しを行った。この押出し時に、メッシュサイズ40〜100程度のスクリーンを通過させることで、メッシュより大きい金属成分やシリコン成分ゴム成分等の異物を除去することができる。また、ポリプロピレン再生材を利用した成形品の耐久性機械物性を更に向上させるために、樹脂材再生化工程中の任意の工程において、熱安定性光安定剤帯電防止剤滑剤フィラー抗菌剤、および着色剤、さらに酸化防止剤などの添加剤を添加することもできる。

0035

なお、押出機一軸押出機でも二軸押出機でも多軸押出機でもかまわないが、スクリュー形状回転数、押出径や長さ等にもよるが、混練条件を向上させるために二軸以上の多軸押出機(L/Dが45以上)を用いることが好ましい。

0036

また、本実施の形態1は、冷蔵庫のリサイクル工程を説明したが、冷蔵庫の合成樹脂廃材に限定されることなく、エアコンや洗濯乾燥機などの他の製品から回収した合成樹脂廃材や複数種類の製品から回収した合成樹脂廃材であってもよい。本実施の形態では、ポリプロピレンを再生樹脂材としているが、他の合成樹脂を再生樹脂材とした場合も同様の方法で再生することが可能である。

0037

改質された熱可塑性樹脂再生材は、射出成型を行うことにより、エアコンなどの家電製品や一般の樹脂成型品として再利用される。

0038

分別されたポリプロピレン再生材に、実験的に効果を検証しやすくするために、ポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン)樹脂を30重量%混ぜ、SEBS系の相容化剤(JSR製)を、それぞれ1.5重量%、3.0重量%、10.0重量%、20.0重量%加えて二軸押出機にて混練し、ペレタイズを行った。作製したペレット状成形物を四酸化オスミウムおよび四酸化ルテニウムで染色して透過型電子顕微鏡TEM観察用試料を作製して観察を行った。

0039

混練時の流れの影響を排除できるペレット状成形物の内部を切り出して観察用の試料とした。図4に示すように、その中に含まれるポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン)の平均分散径はそれぞれ2200、1100、300、100nmであった。また、相容化剤を加えないものは、4300nmであった。

0040

例として相容化剤を10.0重量%添加した時のTEM像図3に示す。分散相が連続して存在せず、ポリプロピレンの海の中に、ポリスチレンが島のように存在する「海島構造」をとっていることがわかる。

0041

平均分散径は、TEMの画像の中から無作為に10個の分散粒子を選んでその粒子径を測長し、10の位を四捨五入して求めた。歪な形状をしているときは、短軸の長さを粒子径とした。

0042

また、物性はシャルピー衝撃試験(JIS K7111−1に準ずる)により行った。シャルピー衝撃試験の結果を図4に示す。比較として、ポリスチレンを添加せず、分別されたポリプロピレン再生材のみの試験も行った。図4の値はポリプロピレン再生材にポリスチレン樹脂を30重量%混ぜたのみで相容化剤を添加していない試料の試験結果を1としたときの換算値である。

0043

シャルピー衝撃試験の結果と平均分散径の間には相関関係があり、平均分散径が、2000nm以下になると、ポリスチレンを混ぜていない純粋なポリプロピレン再生材の試験結果を上回ることから、添加したポリスチレン樹脂の影響を排除できた状態、すなわち相容化が達成された状態であるということがわかる。

0044

図4に示すように、平均分散径が2200nmの再生材のシャルピー衝撃値は、相容化材を添加しないものに比較し、大きく改善しているが、TEMにて確認したところ、相容化は達成されているものの、完全な相容化状態とはなっておらず、平均分散径が約1000nm以下になると、完全な相容化状態となることがわかった。シャルピー衝撃値も平均分散径が1000nmを下回ると、平均分散径に対してほぼ飽和することから、平均分散径は1000nm以下であることがさらに好ましい。

0045

通常、平均分散径は、母材であるマトリックス樹脂、本実施の形態ではポリプロピレンと、分散相の界面張力、各成分の粘度などに依存して決定される。相容化剤を添加した場合、分散相の周囲を相容化剤が被覆するため、界面張力は小さくなり、平均分散径は小さくなる。これは母材と分散相の樹脂の種類が逆になった場合や、ポリスチレン樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体との組み合わせになった場合でも同様である。

0046

せん断速度を大きくし、分散相と母材との粘度比を1に近づけ、界面張力を小さくしていくことで平均分散径は小さくなっていくが、小さくすればするほどその表面積は大きくなり、必要な相容化剤の量も増えていくため、100nm、さらに好ましくは150nm以下まで平均分散径を小さくすることは好ましくない。

0047

また、相容化すべき非相容の異樹脂の量が多くなると、平均分散径を小さくするために添加すべき相容化剤の量が増えてしまうことから、熱可塑性再生材に重量が最大の割合で含まれる樹脂の重量比率が90%以上であることが好ましい。

0048

さらに、相容化剤は再生材の中で分散相の周囲を被覆するように存在するが、相容化剤の添加量が増えすぎるとコスト増になるため、TEMで観察したときに分散相の周囲を被覆している相容化剤が、120nm以下になるように加えるのが良いが、さらに好ましくは80nm以下の厚みになるように加えるのが良い。

0049

以上は、効果を検証し易くするために、分別されたポリプロピレン再生材に、ポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン)樹脂を30重量%混ぜて行った実験について説明したが、以下に、ポリスチレン樹脂を混ぜないで行う実施例と比較例について説明する。

0050

(比較例1)再生ポリプロピレン樹脂を混練し、添加物を加えずに二軸押出機にてペレタイズを行った。

0051

(比較例2)再生ポリプロピレン樹脂にSEBS系の相容化剤(JSR製)を2重量%加えて二軸押出機にてペレタイズを行った。

0052

(比較例3)再生ポリプロピレン樹脂にPP−g−AS系相容化剤(日油製)を1重量%加えて二軸押出機にてペレタイズを行った。

0053

(実施例1)再生ポリプロピレン樹脂にSEBS系の相容化剤(JSR製)を2重量%、およびPP−g−AS系相容化剤(日油製)を1重量%加えて二軸押出機にてペレタイズを行った。

0054

ポリプロピレン再生材の中に異物として含まれるポリスチレン(PS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、およびポリ塩化ビニル(PVC)樹脂の平均分散径の評価は前述の通り透過型電子顕微鏡(TEM)により行った。

0055

評価結果を図5に示す。

0056

比較例1においては、PS、ABS、およびPVC全ての平均分散径が2000nm以上であり、全く相容化していないことがわかる。

0057

比較例2においては、PSの平均分散径は1000nm以下となり、相容化したことがうかがえるが、ABSおよびPVCの平均分散径については2000nm以上であり相容化していないことがわかる。

0058

このとき物性のみで評価すると、比較例2は、PSが相容化した分だけ物性の向上がみられるが、実際はABSとPVCが相容化していないため、製造工程でブリードアウトなどの悪影響が出る可能性がある。

0059

比較例3においても、ABSおよびPVCについてはその平均分散径が1000nm以下となり、相容化したことがうかがえるが、PSの平均分散径は2000nm以上であり、相容化していないことがわかる。

0060

実施例1においては、PS、ABSおよびPVCともその平均分散径は1000nm以下となり、完全相容化を達成したと言える。実施例1の材料においては、10000ショット以上の射出成形試験を行ってもブリードアウトなど非相容樹脂に由来する現象は発生
していない。

0061

また、本実施の形態1で用いられた熱可塑性樹脂廃材は、冷蔵庫・冷凍庫、空調機、洗濯機から選ばれた廃材であるため、分散相としてPS、ABSおよびPVC樹脂の分散径のみを考慮しておけばよい。

実施例

0062

熱可塑性樹脂廃材から樹脂を再生するプロセスの工程中、または工程の最後に、混練後のペレット状成形体もしくは射出成形体の観察を行い、複数種類の熱可塑性樹脂それぞれの分散相の平均分散径を測定する工程を設け、測定結果フィードバックして相容化剤の量や、混練条件を最適化する構成としても良い。

0063

本発明にかかる熱可塑性樹脂再生材によれば、以上のように、再生材を用いた材料およびその成形品に含まれる非相容の異樹脂の影響を排除することが可能となるため、廃家電一般廃棄物を別の成型品に再資源化できる材料として、材料の資源循環に適用できる。

0064

1搬送装置
2熱可塑性樹脂材料
3 他の合成樹脂材料
4近赤外線選別装置
5吐出口
6 分別板

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