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技術 冷菓用油脂

出願人 不二製油株式会社
発明者 尾森仁美森田暁水嶋茂樹
出願日 2013年7月9日 (7年5ヶ月経過) 出願番号 2013-143534
公開日 2015年1月29日 (5年11ヶ月経過) 公開番号 2015-015907
状態 特許登録済
技術分野 食用油脂 菓子
主要キーワード 揮発性分解物 機械工 通常製品 バルブ圧 重量ppm添加 折曲点 空気吹 水溶性ポリフェノール類
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この項目の情報は公開日時点(2015年1月29日)のものです。
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課題

優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な冷菓用油脂を提供すること。

解決手段

本来、油脂に難溶性である水溶性茶ポリフェノールを、15重量ppm〜500重量ppm含有し、かつ乳化剤含有量が茶ポリフェノール含有量の2倍以下である冷菓用油脂。

概要

背景

アイスクリーム類と呼ばれる、アイスクリームアイスミルクおよびラクトアイス等の原料は、乳、乳製品植物性油脂甘味料、安定剤、香料などである。乳製品としては主に乳脂肪源として生クリームバター乳脂が使用されているが、生クリームは保存性が悪いため速やかに使用しなければならず、その都度新鮮なものを使用するのが好ましい。従って常に生クリームを得ることが困難な場合はバターあるいは乳脂が使用される。かかるアイスクリーム類の原料はこのような生クリームやバター、乳脂の代わりに脂肪源として植物性油脂が使用される。また、無脂乳固形源として脱脂粉乳、全粉乳等は日持ちがするのでよく使用される。

アイスクリーム類等、冷菓の製造の際には、まず原料を混合溶解し、均質化、殺菌等の処理後、それを冷却してミックスと呼ばれる原料混合液を作製する。このミックス液は通常エージングという貯蔵工程を経て使用に供される。このミックス液をフリージングして、充填包装工程の後、硬化工程にて凍結されて最終製品である冷菓が得られる。(以降ミックス液を「冷菓ミックス」という。)

植物性油脂を冷菓に用いる場合、乳脂とは異なる様々な機能、特徴を利用することが可能となり、これまでにもいくつかの試みがなされてきた。例えば、植物性油脂の融解性状を利用した冷菓の食感改良方法が提案されている。特許文献1ではココアバターを使用する方法、特許文献2ではヤシ油60〜80%とパーム油40〜20%との混合油を使用する方法、特許文献3では対称型トリグリセリド(SUS)を40%以上含有する油脂95〜40%とラウリン系油脂5〜60%を含有させる方法が開示されている。さらに、特許文献4では、非ラウリン系油脂由来SSS型トリグリセリド及びSUS型トリグリセリド、並びにラウリン系油脂を使用することによって、乳脂含有率が低い冷菓において、口どけ、コク味に優れた冷菓が得られることが開示されている。

特許文献5は、天然物由来酸化防止剤ラクトパーオキシダーゼとを併用することによって冷菓を含む食品食品素材酸化防止法が開示されているが、乳脂の酸化安定性を向上する方法は開示されていない。

植物性油脂の酸化安定性を向上させる為、抗酸化剤の添加が一般的に行われている。油脂への分散が容易な油溶性の抗酸化剤が用いられているが、水溶性抗酸化物質との対比で比較的抗酸化能が低く、水溶性の抗酸化物質を油脂へ分散させ、油脂または油脂を多く含有する食品の酸化安定性を向上させる方法が幾つか開示されている。

特許文献6では、水溶性抗酸化活性物質一種又は、二種以上を含む水溶液100重量部を必要に応じて相乗剤と共に、一種又は二種以上の親油性乳化剤1〜500重量部を用いて乳化した、油中水型親油性抗酸化剤が開示されている。

特許文献7では、カテキン類を除く水溶性化合物HLBが6〜14の乳化剤を水またはアルコールに溶解し、得られた溶液ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加して、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル中水乳化液を調製し、この乳化液に酵素分解レシチン0.5〜30重量部を添加して、十分に混和して得られる、油脂に可溶な水溶性化合物油溶化製剤が開示されている。

特許文献8では、アスコルビン酸エリソルビン酸コウジ酸没食子酸リンゴ酸等の油脂に難溶性の抗酸化物質をエタノールのような低級アルキルアルコールに溶解し、ついでクエン酸モノグリセライド等の有機酸モノグリセライドに溶解し、さらに混合溶液をポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルに溶解することにより、油脂への溶解性が良好な抗酸化剤組成物が開示されている。

概要

優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な冷菓用油脂を提供すること。本来、油脂に難溶性である水溶性の茶ポリフェノールを、15重量ppm〜500重量ppm含有し、かつ乳化剤含有量が茶ポリフェノール含有量の2倍以下である冷菓用油脂。なし

目的

特許文献5に記載されているように、冷菓においても、常温流通されている油脂含有食品と同様に、酸化安定性の向上が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

油脂全量に茶ポリフェノールを15重量ppm〜500重量ppm含有し、かつ該油脂中乳化剤含有量が茶ポリフェノール含有量の2倍以下である冷菓用油脂

請求項2

乳脂ヤシ油パーム油及びパーム核油からなる群から選ばれた1種以上の油脂を主要原料とする冷菓用油脂であって、茶ポリフェノールの含有量が15重量ppm〜50重量ppm、及び乳化剤を含有しない請求項1に記載の冷菓用油脂。

請求項3

乳脂、ヤシ油、パーム油及びパーム核油からなる群から選ばれた1種以上の油脂を主要原料とする冷菓用油脂であって、茶ポリフェノールの含有量が30重量ppm〜500重量ppm、及び下記方法で得られるA/Nの値が2.0以上である請求項1又は請求項2に記載の冷菓用油脂。A:茶ポリフェノールを30重量ppm〜500重量ppm含有する冷菓用油脂のCDM定性時間N:茶ポリフェノールを含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間

請求項4

乳脂、ヤシ油、パーム油及びパーム核油からなる群から選ばれた1種以上の油脂を主要原料とする冷菓用油脂であって、茶ポリフェノールの含有量が30重量ppm〜500重量ppm、乳化剤含有量が800重量ppm以下、該油脂中の乳化剤含有量が茶ポリフェノール含有量の1.5倍以下、及び下記方法で得られるA/Nの値が2.0以上である請求項1又は請求項2に記載の冷菓用油脂。A:茶ポリフェノールを30重量ppm〜500重量ppm含有する冷菓用油脂のCDM安定性時間N:茶ポリフェノールを含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間

請求項5

乳脂、ヤシ油、パーム油及びパーム核油からなる群から選ばれた1種以上の油脂を主要原料とする冷菓用油脂であって、茶ポリフェノールの含有量が150重量ppm〜400重量ppm、乳化剤含有量が500重量ppm以下、該油脂中の乳化剤含有量が茶ポリフェノール含有量の1.5倍以下、及び下記方法で得られるA/Nの値が5.0以上である請求項1に記載の冷菓用油脂。A:茶ポリフェノールを150重量ppm〜400重量ppm含有する冷菓用油脂のCDM安定性時間N:茶ポリフェノールを含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間

請求項6

冷菓100重量部に対して、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の冷菓用油脂を、1〜20重量部使用した冷菓。

請求項7

請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の冷菓用油脂を使用した請求項6に記載の冷菓の光劣化耐性を向上させる方法。

請求項8

茶ポリフェノールを水性媒体に加えて、溶液状態で油脂に添加することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の冷菓用油脂の製造方法。

請求項9

茶ポリフェノールを水性媒体に加えて、溶液状態で油脂に添加後、減圧下で水分除去することを特徴とする請求項8に記載の冷菓用油脂の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、冷菓用油脂に関する。より詳しくは、冷菓に求められる酸化安定性の向上を実現した冷菓用油脂及びそれを利用した冷菓に関する。

背景技術

0002

アイスクリーム類と呼ばれる、アイスクリームアイスミルクおよびラクトアイス等の原料は、乳、乳製品植物性油脂甘味料、安定剤、香料などである。乳製品としては主に乳脂肪源として生クリームバター乳脂が使用されているが、生クリームは保存性が悪いため速やかに使用しなければならず、その都度新鮮なものを使用するのが好ましい。従って常に生クリームを得ることが困難な場合はバターあるいは乳脂が使用される。かかるアイスクリーム類の原料はこのような生クリームやバター、乳脂の代わりに脂肪源として植物性油脂が使用される。また、無脂乳固形源として脱脂粉乳、全粉乳等は日持ちがするのでよく使用される。

0003

アイスクリーム類等、冷菓の製造の際には、まず原料を混合溶解し、均質化、殺菌等の処理後、それを冷却してミックスと呼ばれる原料混合液を作製する。このミックス液は通常エージングという貯蔵工程を経て使用に供される。このミックス液をフリージングして、充填包装工程の後、硬化工程にて凍結されて最終製品である冷菓が得られる。(以降ミックス液を「冷菓ミックス」という。)

0004

植物性油脂を冷菓に用いる場合、乳脂とは異なる様々な機能、特徴を利用することが可能となり、これまでにもいくつかの試みがなされてきた。例えば、植物性油脂の融解性状を利用した冷菓の食感改良方法が提案されている。特許文献1ではココアバターを使用する方法、特許文献2ではヤシ油60〜80%とパーム油40〜20%との混合油を使用する方法、特許文献3では対称型トリグリセリド(SUS)を40%以上含有する油脂95〜40%とラウリン系油脂5〜60%を含有させる方法が開示されている。さらに、特許文献4では、非ラウリン系油脂由来SSS型トリグリセリド及びSUS型トリグリセリド、並びにラウリン系油脂を使用することによって、乳脂含有率が低い冷菓において、口どけ、コク味に優れた冷菓が得られることが開示されている。

0005

特許文献5は、天然物由来酸化防止剤ラクトパーオキシダーゼとを併用することによって冷菓を含む食品食品素材酸化防止法が開示されているが、乳脂の酸化安定性を向上する方法は開示されていない。

0006

植物性油脂の酸化安定性を向上させる為、抗酸化剤の添加が一般的に行われている。油脂への分散が容易な油溶性の抗酸化剤が用いられているが、水溶性抗酸化物質との対比で比較的抗酸化能が低く、水溶性の抗酸化物質を油脂へ分散させ、油脂または油脂を多く含有する食品の酸化安定性を向上させる方法が幾つか開示されている。

0007

特許文献6では、水溶性抗酸化活性物質一種又は、二種以上を含む水溶液100重量部を必要に応じて相乗剤と共に、一種又は二種以上の親油性乳化剤1〜500重量部を用いて乳化した、油中水型親油性抗酸化剤が開示されている。

0008

特許文献7では、カテキン類を除く水溶性化合物HLBが6〜14の乳化剤を水またはアルコールに溶解し、得られた溶液ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加して、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル中水乳化液を調製し、この乳化液に酵素分解レシチン0.5〜30重量部を添加して、十分に混和して得られる、油脂に可溶な水溶性化合物油溶化製剤が開示されている。

0009

特許文献8では、アスコルビン酸エリソルビン酸コウジ酸没食子酸リンゴ酸等の油脂に難溶性の抗酸化物質をエタノールのような低級アルキルアルコールに溶解し、ついでクエン酸モノグリセライド等の有機酸モノグリセライドに溶解し、さらに混合溶液をポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルに溶解することにより、油脂への溶解性が良好な抗酸化剤組成物が開示されている。

先行技術

0010

特開平4−316453号公報
特開昭57−36943号公報
特開平8−298934 号公報
特開2007−166965号公報
特開2000−50852号公報
特開昭63-135483号公報
特開平6-254378号公報
特開2001-131572号公報

発明が解決しようとする課題

0011

上述の通り、従来の冷菓への植物性油脂の利用(特許文献1〜特許文献4)は、油脂の持つ物性面での特徴を利用した発明が多い。

0012

特許文献5に記載されているように、冷菓においても、常温流通されている油脂含有食品と同様に、酸化安定性の向上が望まれている。本発明者らは、冷菓用油脂の酸化安定性が向上できれば、冷菓の品質も向上できると考えて検討を進めた。

0013

また、近年、デパート地下の洋菓子店、コンビニエンスストアスーパーマーケット等では、蛍光灯によって強い光を長時間照射しながら種々の食品をショーケース陳列して販売することが多くなった。冷菓もその一つにあげられる。このとき、照射される光から与えられるエネルギーによって、陳列されている食品中の成分が変化し、異味異臭が生じる光劣化の問題が顕在化するようになった。食品の風味を著しく損ねて商品価値を下落させるために、光劣化防止対策は品質保持の上で大きな問題となっている。

0014

冷菓において、酸化安定性、光劣化耐性の向上と共に、本来のおいしさを損なわない風味良好な冷菓用油脂が求められており、酸化安定性を向上させると共に、良好な風味を得ることも重要である。油脂の酸化安定性を向上させる方法も開示されているが、前記のとおり、特許文献6〜特許文献8では、水溶性抗酸化物質可溶化するために比較的多量の乳化剤の添加を必須とする。本発明者らは、好ましくない風味の原因は乳化剤に由来するとの想定のもと研究を重ねた。

0015

本発明の目的は、冷菓用油脂に平易な方法で水溶性の抗酸化物質を分散させて、優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な冷菓用油脂を提供することにある。

課題を解決するための手段

0016

本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本来油脂に難溶性である水溶性の茶ポリフェノールを、水性媒体を用いて溶液状態で油脂に添加することで、乳化剤を極力含まずに、優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な冷菓用油脂が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1) 油脂全量に茶ポリフェノールを15重量ppm〜500重量ppm含有し、かつ該油脂中乳化剤含有量が茶ポリフェノール含有量の2倍以下である冷菓用油脂、
(2)乳脂、ヤシ油、パーム油およびパーム核油からなる群から選ばれた1種以上の油脂を主要原料とする冷菓用油脂であって、茶ポリフェノールの含有量が15重量ppm〜50重量ppm、および乳化剤を含有しない(1)の冷菓用油脂、
(3) 乳脂、ヤシ油、パーム油およびパーム核油からなる群から選ばれた1種以上の油脂を主要原料とする冷菓用油脂であって、茶ポリフェノールの含有量が30重量ppm〜500重量ppm、および下記方法で得られるA/Nの値が2.0以上である(1)または(2)の冷菓用油脂、
A:茶ポリフェノールを30重量ppm〜500重量ppm含有する冷菓用油脂のCDM定性時間
N:茶ポリフェノールを含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間
(4) 乳脂、ヤシ油、パーム油およびパーム核油からなる群から選ばれた1種以上の油脂を主要原料とする冷菓用油脂であって、茶ポリフェノールの含有量が30重量ppm〜500重量ppm、乳化剤含有量が800重量ppm以下、該油脂中の乳化剤含有量が茶ポリフェノール含有量の1.5倍以下、および下記方法で得られるA/Nの値が2.0以上である(1)または(2)の冷菓用油脂、
A:茶ポリフェノールを30重量ppm〜500重量ppm含有する冷菓用油脂のCDM安定性時間
N:茶ポリフェノールを含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間
(5) 乳脂、ヤシ油、パーム油およびパーム核油からなる群から選ばれた1種以上の油脂を主要原料とする冷菓用油脂であって、茶ポリフェノールの含有量が150重量ppm〜400重量ppm、乳化剤含有量が500重量ppm以下、該油脂中の乳化剤含有量が茶ポリフェノール含有量の1.5倍以下、および下記方法で得られるA/Nの値が5.0以上である(1)の冷菓用油脂、
A:茶ポリフェノールを150重量ppm〜400重量ppm含有する冷菓用油脂のCDM安定性時間
N:茶ポリフェノールを含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間
(6)冷菓100重量部に対して、(1)〜(5)のいずれかの冷菓用油脂を、1〜20重量部使用した冷菓、
(7) (1)〜(5)のいずれかの冷菓用油脂を使用した(6)の冷菓の光劣化耐性を向上させる方法、
(8) 茶ポリフェノールを水性媒体に加えて、溶液状態で油脂に添加することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかの冷菓用油脂の製造方法、
(9) 茶ポリフェノールを水性媒体に加えて、溶液状態で油脂に添加後、減圧下で水分除去することを特徴とする(8)の冷菓用油脂の製造方法、である。

発明の効果

0017

乳化剤を多量に使用することなく、平易な方法で酸化安定性を向上し、かつ風味良好な冷菓用油脂が得られ、本発明の冷菓用油脂を用いることで、優れた酸化安定性と光劣化耐性を有し、かつ風味良好な冷菓を提供することができる。

0018

本発明の冷菓用油脂に使用することができる油脂類としては、大豆油菜種油コーン油綿実油落花生油ひまわり油、こめ油、ベニバナ油サフラワー油オリーブ油ゴマ油、パーム油、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂及び牛脂豚脂、乳脂等の動物性油脂、好ましくは、菜種油、コーン油、綿実油、ひまわり油、パーム油、ヤシ油、パーム核油、乳脂であり、冷菓に適したあっさりとした風味とコク味が得られる点で、より好ましくは、パーム油、ヤシ油、パーム核油、乳脂が使用できる。並びにこれらを分別水素添加エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。油脂種を問わず本発明の効果が得られる。

0019

本発明では、水溶性抗酸化物質として茶ポリフェノールを使用する。またトコフェロール等の油溶性の抗酸化剤、ローズマリー抽出物ヤマモモ抽出物等の水溶性ポリフェノール類、およびアスコルビン酸等、水溶性の抗酸化物質と組み合わせて使用しても、茶ポリフェノールの機能が損なわれることはなく使用することができる。茶ポリフェノールは、熱水、アルコール等の水性媒体を用いて、茶葉より抽出して得られる水溶性ポリフェノール類が例示できる。好ましい茶ポリフェノール抽出方法として、水溶液抽出が例示できる。有機溶媒を用いることなく、水溶液を用いて抽出することで、苦み渋味の少ない茶ポリフェノールを得ることができる。茶ポリフェノールはカテキン類を主成分とし、代表的なカテキン類として8種存在することが知られており、ガレート型カテキンとして、エピガロカテキンガレートエピカテキンガレートカテキンガレートガロカテキンガレートが例示できる。遊離型カテキンとして、エピガロカテキンエピカテキンカテキン、ガロカテキンが例示できる。茶ポリフェノールは、かかるカテキン類以外に、茶葉の発酵状態により発生する酸化されたポリフェノール類も含まれる。本発明において、かかるカテキン類やポリフェノール類を1種以上含有する茶ポリフェノールを用いることが好ましい。さらに好ましくは、ポリフェノール濃度が一定の濃度範囲に調整された、市販されている茶ポリフェノール含有組成物を使用することが好ましく、最も好ましくは、乳化剤等で調整されていない水溶性の物が好ましい。好ましい茶ポリフェノール含有組成物として、太陽化学株式会社製、商品名:サンフェノン、三菱化学フーズ株式会社製、商品名:サンフード等が例示できる。効率的に高濃度で油脂中に分散させることが可能な為、茶ポリフェノール含有組成物中ポリフェノール含有量としては高いほど良く、茶ポリフェノール含有組成物中に茶ポリフェノールを50%以上含有することが好ましい。

0020

本発明の冷菓用油脂は、油脂全量に茶ポリフェノールを15重量ppm〜500重量ppm含有する。好ましくは茶ポリフェノールを30重量ppm〜500重量ppm、例えば30重量ppm〜300重量ppmなどである。冷菓用油脂中の茶ポリフェノール含有量が15重量ppm未満では、充分な酸化安定性向上効果が得られない、500重量ppmを超えると得られる効果との対比で、非効率であるため好ましくない。乳化剤含有量は茶ポリフェノール含有量の2倍以下、好ましくは1.5倍以下、より好ましくは1.2倍以下、さらに好ましくは1.0倍以下である。乳化剤含有量が茶ポリフェノール含有量の2倍を超えると、乳化剤由来の好ましくない風味が感じられるようになり、食品本来の良好な風味が得られなくなる。

0021

本発明の冷菓用油脂は、好ましくは乳脂、ヤシ油、パーム油およびパーム核油からなる群から選ばれた1種以上の油脂を主要原料とし、茶ポリフェノールの含有量が15重量ppm〜50重量ppm、及び乳化剤を含有しない冷菓用油脂である。より好ましくは、茶ポリフェノールの含有量が20重量ppm〜50重量ppm、及び乳化剤を含有しない冷菓用油脂であって、さらに好ましくは、茶ポリフェノールの含有量が30重量ppm〜50重量ppm、及び乳化剤を含有しない冷菓用油脂である。

0022

CDM(Conductmetric Determination Method)安定性とは、油脂の酸化安定性を示す値である。CDM安定性試験により得られた値を、本明細書では「CDM安定性時間」として、酸化安定性の評価の指標とする。CDM安定性時間が長いほど酸化安定性が優れている。本明細書において、CDM安定性試験の方法は、基準油脂分析試験法2.5.1.2-1996に従う。詳しくは、油脂を反応容器中で120℃に加熱しながら清浄空気送り込み、酸化により生成した揮発性分解物を水中に捕集し、水の導電率を継続して測定する。その値が急激に変化する折曲点までの時間が前記「CDM安定性時間」を示す。

0023

本発明の冷菓用油脂は、好ましくは乳脂、ヤシ油、パーム油及びパーム核油からなる群から選ばれた1種以上の油脂を主要原料とし、茶ポリフェノールの含有量が30重量ppm〜500重量ppm、及び下記方法で得られるA/Nの値が2.0以上である。
A:茶ポリフェノールを30重量ppm〜500重量ppm含有する冷菓用油脂のCDM安定性時間
N:茶ポリフェノールを含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間

0024

本発明の冷菓用油脂は、より好ましくは乳脂、ヤシ油、パーム油及びパーム核油からなる群から選ばれた1種以上の油脂を主要原料とし、茶ポリフェノールの含有量が30重量ppm〜500重量ppm、乳化剤含有量が800重量ppm以下、該油脂中の乳化剤含有量が茶ポリフェノール含有量の1.5倍以下、及び下記方法で得られるA/Nの値が2.0以上である。
A:茶ポリフェノールを30重量ppm〜500重量ppm含有する冷菓用油脂のCDM安定性時間
N:茶ポリフェノールを含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間

0025

本発明の冷菓用油脂は、好ましくは乳脂、ヤシ油、パーム油及びパーム核油からなる群から選ばれた1種以上の油脂を主要原料とするが、他の油脂を配合して使用することができる。他の油脂の配合量は、好ましくは70重量%以下、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、最も好ましくは、乳脂、ヤシ油、パーム油及びパーム核油からなる群から選ばれた1種以上の油脂のみを使用することが、冷菓に適した風味と酸化安定性が得られる点で好ましい。

0026

本発明の冷菓用油脂に使用される乳化剤は、W/O型乳化作用を有する乳化剤であれば特に制限はなく、ポリグリセリン脂肪酸エステルショ糖脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル等を使用することができる。好ましい乳化剤として、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが使用できる。例えば、市販されている理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100、ポエム PR-300、阪本薬品工業株式会社製 SYグリスターCRS-75、SYグリスターCR-ED、太陽化学株式会社製サンソフト818H等が例示できる。

0027

本発明の冷菓用油脂を得る方法は、油脂に水溶性の茶ポリフェノールを分散させることができれば特に限定はされないが、茶ポリフェノールを含有してなる食用油脂を得ようとすれば、茶ポリフェノール含有組成物を1重量%溶解した水溶液を作製し、油脂中に規定量加えた後、50〜180℃、0.5〜100torrの減圧条件下攪拌しながら15分〜1時間処理して十分に脱水を行うことにより茶ポリフェノールを含有し、水分含量0.1重量%以下の食用油脂を得ることができる。茶ポリフェノール含有組成物を溶解する水溶液の濃度は0.1〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜50重量%である。1重量%未満では、かかる水溶液を油脂に添加した際、油脂に対する水の量が多くなり水分除去に長時間を要するため好ましくない。また、50重量%を超えると茶ポリフェノール含有組成物に含まれる茶ポリフェノールが析出して油脂への含有量が低下するため好ましくない。温度は50〜180℃が好ましく、50℃未満では水分除去に長時間を要するため好ましくない。減圧条件は、0.5〜100torrが好ましく、可及的に低い方が好ましい。

0028

本発明の冷菓は、冷菓100重量部に対して、上記の冷菓用油脂を1〜 2 0 重量部に調製し、その他の原料として乳類、乳製品、甘味料、安定剤、香料などを使用して、通常の水中油型乳化物調製方法で得ることが出来る。冷菓としては、アイスクリーム類である、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス等が例示できる。

0029

冷菓には、多くの場合乳風味とコク味の付与に乳脂が使用されている。本発明においては、乳脂の一部又は全部を本発明の冷菓用油脂に代替することで、優れた酸化安定性と光劣化耐性を有し、かつ風味良好な冷菓を得ることができる。本発明の冷菓用油脂は、水中油型乳化物中の油脂全体に占める冷菓用油脂の割合が3 0 重量% 以上、好ましくは5 0 重量%以上、さらに好ましくは60 重量% 以上使用することが好ましい。

0030

本発明の冷菓の代表的な例示がアイスクリーム類であって、アイスクリーム類を例にとって説明すると、アイスクリーム類の成分は、乳脂肪無脂乳固形分、甘味料、安定剤、乳化剤、香味料着色料、水分などからなる。

0031

無脂乳固形分はアイスクリーム類の組織改善およびオーバーランの増加とともにアイスクリーム類へ乳味感を付与するという効果を有する。この乳固形分としては、脱脂乳、脱脂粉乳、全脂粉乳などが例示できる。

0032

甘味料はアイスクリーム類に甘味を与えるほか冷菓ミックスの粘性増し組織を改良するという効果を有する。甘味料としてはショ糖がもっとも普通に使用されるが、他に転化糖混合液糖、水飴等が使用され、通常全量に対し1 3 〜 1 7 重量% 程度使用される。

0033

安定剤は組織を滑らかにし、適度の粘性を与え、オーバーランの調整に関与するという効果を有する。このような安定剤として、グアーガムローカストビーンガムキサンタンガムアラビアガムのようなガム類カラギーナンアルギン酸ナトリウム、C M C 、水溶性ヘミセルロースゼラチン寒天ペクチンコーンスターチの他、リン酸塩の如き種々の塩類が例示できる。これらの安定剤を通常製品全体に対し0 . 1 〜 1 . 0 重量% 程度添加するが、種類によっては口中で粘りを感じるようなことがあるので、そのときは添加量を減じるのがよい。

0034

冷菓ミックスの組織を滑らかにし、脂肪分分散保持とフリージング中の脂肪分の凝集を安定的に行う目的で、乳化剤を用いることができる。使用できる乳化剤は公知のものが使用でき、例えばレシチン、アルコール等による分画レシチン、酸またはアルカリあるいは酵素等による部分加水分解レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルおよびポリグリセロール脂肪酸エステル、さらに酢酸モノグリセリド酒石酸モノグリセリド酢酸酒石酸混合モノグリセリド、クエン酸モノグリセリドジアセチル酒石酸モノグリセリド乳酸モノグリセリドコハク酸モノグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド等各種有機酸モノグリセリドが例示できる。かかる目的の為に本発明の冷菓には、風味の点で好ましくは乳化剤の量を最少量、例えば0 . 1 〜 0 . 5 重量%の範囲内で配合することが好ましく 、最も好ましくは乳化剤を用いないのが好ましい。

0035

また香味料、着色料はアイスクリーム類にとっては重要な添加剤であり、嗜好食品であるだけに消費者嗜好に応じて選択使用する必要がある。香味料としては多数あるがバニラが一般的であり、チョコレートストロベリーがよく好まれる。

0036

アイスクリーム類の標準的な製造法は次の通りである。まず、原料を選択し、次いで各原料を混合、溶解・分散して乳化物を調製する。この場合、粉体原料はママコになりやすいので特に注意して混合溶解・分散する。温度はあまり高くするのは好ましくない。通常は5 0 〜 6 0 ℃ 程度である。このようにして調製した乳化物を、均質化する。均質化圧などの条件は一段圧式または二段圧式など均質機により一概に規定できないが、通常前者の一段式圧では1 0 0 〜 1 8 0 k g/cm2 でよく、また二段圧式では第一バルブで約1 0 0kg/cm2 、第二バルブ圧で約4 0 〜 7 0 k g/cm2 がよい。均質化温度は50 〜 7 0 ℃ 程度が一般的である。

0037

次いで均質化処理を経た水中油型乳化物を殺菌ないし滅菌処理する。通常はU H T 滅菌処理する。U H T滅菌には間接加熱方式直接加熱方式とがあり、間接加熱処理する装置としてはA P Vプレート式U H T処理装置( A P V 社製) 、C P − U H T滅菌装置クリマティ・パッケージ社製) 、ストルクチューブラー型滅菌装置( ストルク社製) 、コンサーム掻き取り式U H T 滅菌装置(テトラパックアルファラバル社製) 等が例示できるが、特にこれらにこだわるものではない。また、直接加熱滅菌装置としては、ユーペリゼーション滅菌装置( テトラパック・アルファラバル社製) 、V T I S 滅菌装置( テトラパック・アルファラバル社製) 、ラギアーU H T 滅菌装置( ラギアー社製) 、パラゼーターパッシュ・アンドシルボーグ社製) 、C . P . V a c − H e a t ・U H T 滅菌装置( クリマティー・パッケージ社製) 等のU H T滅菌処理装置が例示でき、これらの何れの装置を使用してもよい。以上の殺菌、均質化が終了したら、冷菓ミックスができあがる。

0038

次に殺菌または滅菌処理した冷菓ミックスを冷却後0 〜 5 ℃ で3 〜 2 4 時間一時的に貯蔵、すなわちエージング(ストレージ) する。このエージングにより冷菓ミックス中の各成分を安定化させる。次いで乳化物を攪拌しながら香味料を添加する。しかる後、フリージングする。この工程は冷菓ミックスをフリーザーにより急激に冷却させて水分を凍結させながら適当量の空気を混入させ、乳化物中に微細気泡結晶粒子脂肪粒子を分散させ、半流動状のソフトクリーム状にする工程であって、この工程の処理如何によってアイスクリームの滑らかな組織と食感が左右されるという重要な工程である。後は所定の容器に充填し包装した後、− 2 0 〜 − 3 0 ℃ に急冷し一定の形を保持するまで凍結させる硬化を行い、出荷されるまで貯蔵しておく。

0039

以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%および部はいずれも重量基準を意味する。

0040

<冷菓用油脂の作製>
茶ポリフェノールを含有する冷菓用油脂の作製において、太陽化学株式会社製サンフェノン90Sを、茶ポリフェノール含有組成物として使用する。かかる茶ポリフェノール含有組成物中のポリフェノール含有量が80重量%以上であることより、茶ポリフェノール含有組成物中の茶ポリフェノール含有量は80重量%として、冷菓用油脂中の茶ポリフェノール含有量を算出した。

0041

<冷菓用油脂Aの作製方法
茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、10重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した乳脂(ヨウ素価33)1kgに、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)を0.3g加えて溶解し、さらに10重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を3.75g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、茶ポリフェノール300重量ppm、乳化剤300重量ppmを含有する乳脂(冷菓用油脂A)を得た。

0042

<冷菓用油脂Bの作製方法>
茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、1重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した乳脂(ヨウ素価33)1kgに、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)を0.1g加えて溶解し、さらに10重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を1.875g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、茶ポリフェノール150重量ppm、乳化剤100重量ppmを含有する乳脂(冷菓用油脂B)を得た。

0043

<冷菓用油脂Cの作製方法>
茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、1重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した乳脂(ヨウ素価33)1kgに、1重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を0.375g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、茶ポリフェノール30重量ppm含有する乳脂(冷菓用油脂C)を得た。

0044

<冷菓用油脂Dの作製方法>
茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、1重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した精製パーム油(不二製油株式会社製、商品名:精製パーム油、ヨウ素価52)70部、精製ヤシ油(不二製油株式会社製、商品名:精製ヤシ油、ヨウ素価8.5)30部を融解混合した油脂1kgに、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)を0.3g加えて溶解し、さらに10重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を3.75g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、茶ポリフェノール300重量ppm、乳化剤を300重量ppm含有するパームヤシ混合油(冷菓用油脂D)を得た。

0045

<冷菓用油脂Eの作製方法>
茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、1重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した精製パーム油(不二製油株式会社製、商品名:精製パーム油、ヨウ素価52)70部、精製ヤシ油(不二製油株式会社製、商品名:精製ヤシ油、ヨウ素価8.5)30部を融解混合した油脂1kgに、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)を0.1g加えて溶解し、さらに10重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を1.875g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、茶ポリフェノール150重量ppm、乳化剤を100重量ppm含有するパームヤシ混合油(冷菓用油脂E)を得た。

0046

評価方法
(1)冷菓の官能評価方法
パネラー10名により、嗅覚味覚により風味が優れている順に「5 」、「4 」、「3 」、「2 」、「1 」の五段階にて評価を行い、平均化した評価点数を評価結果とした。4点以上を合格とした。
(2)CDM安定性時間
メトローム社製CDM試験機ランシマットを使用して冷菓用油脂の酸化安定性を評価する。各食用油脂の酸化安定性の判定は、食用油脂の酸化安定性の増加に相関してCDM安定性時間が延びることによる時間差の比較により行った。測定条件:測定温度120℃、空気吹き込み量20L/h、油脂検体3g仕込み

0047

(冷菓用油脂の酸化安定性の評価)
下記方法でA/Nの値を算出して、CDM安定性時間を指標として酸化安定性を対比し評価した。
評価結果を表1に示す。
A:冷菓用油脂A〜冷菓用油脂EのCDM安定性時間
N:茶ポリフェノールを含まない前記Aのベース油脂、乳脂またはパームヤシ混合油のCDM安定性時間

0048

0049

作製した冷菓用油脂を用いて冷菓を作製して評価した。

0050

[実施例1]
冷菓用油脂A15部、生クリーム(オーム乳業製、油分45%)7部、脱脂粉乳11部、グラニュー糖14部、殺菌卵黄1.5部、水51.5部とを65−70℃で30分間ホモミキサーを用いて撹拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業製)により、145℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った。これを150kg/cm2の均質化圧力で均質化し、直ちに5℃まで冷却した。冷却後、24時間エージングを行い、冷菓ミックスを得た。冷菓ミックスの配合を表2にまとめた。この乳化物を卓上アイスクリームメーカー(Delonghi社製)にてフリージングを行い、冷菓を得た。オーバーラン:[(一定容積の水中油型乳化物重量)−(一定容積の起泡後の起泡物重量)]÷(一定容積の起泡後の起泡物重量)×100は30となるように調整した。
得られたアイスクリームを容器に充填し、−20〜−30℃で硬化させた後、-18℃のショーケース内にて2000luxの照度で蛍光灯を照射し、上記の方法で官能評価を実施した。結果を表4にまとめた。

0051

[実施例2]
冷菓用油脂B 15部を用い、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様に冷菓を作製した。実施例1と同様に評価した。結果を表4にまとめた。

0052

[実施例3]
冷菓用油脂C 15部を用い、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様に冷菓を作製した。実施例1と同様に評価した。結果を表4にまとめた。

0053

[比較例1]
乳脂15部を用い、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様に冷菓を作製した。実施例1と同様に評価した。結果を表4にまとめた。

0054

[比較例2]
乳脂に、油溶性の茶ポリフェノール含有製剤(太陽化学株式会社製、商品名:サントールM97、茶ポリフェノール10%含有、ミックストコフェロール9%含有、グリセリン脂肪酸エステル64%、食品素材17%)を3000重量ppm添加し食用油脂を得た。この食用油脂15部を用い、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様に冷菓を作製した。実施例1と同様に評価した。結果を表4にまとめた。

0055

作製した冷菓用油脂を用いて冷菓を作製して評価した。

0056

[実施例4]
冷菓用油脂C 7部、生クリーム(オーム乳業製、油分45%)7部、脱脂粉乳8部、グラニュー糖14部、殺菌卵黄1.5部、水62.5部を用い、製造方法は実施例1と同様に冷菓を作製した。実施例1と同様に評価した。結果を表4にまとめた。

0057

[実施例5]冷菓用油脂D 7部、生クリーム(オーム乳業製、油分45%)7部、脱脂粉乳8部、グラニュー糖14部、殺菌卵黄1.5部、水62.5部を用い、製造方法は実施例1と同様に冷菓を作製した。実施例1と同様に評価した。結果を表4にまとめた。

0058

[比較例3]
精製パーム油(不二製油株式会社製、商品名:精製パーム油、ヨウ素価52)70部、精製ヤシ油(不二製油株式会社製、商品名:精製ヤシ油、ヨウ素価8.5)30部を融解混合し、食用油脂を得た。この食用油脂を7部、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様に冷菓を作製した。実施例1と同様に評価した。結果を表4にまとめた。

0059

[比較例4]
精製パーム油(不二製油株式会社製、商品名:精製パーム油、ヨウ素価52)70部、精製ヤシ油(不二製油株式会社製、商品名:精製ヤシ油、ヨウ素価8.5)30部を融解混合し、油溶性の茶ポリフェノール含有製剤(太陽化学株式会社製、商品名:サンカトールM97、茶ポリフェノール10%含有、ミックストコフェロール9%含有、グリセリン脂肪酸エステル64%、食品素材17%)を3600重量ppm添加し食用油脂を得た。この食用油脂を7部、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様に冷菓を作製した。実施例1と同様に評価した。結果を表4にまとめた。

0060

0061

表3に実施例1〜6、比較例1〜4の茶ポリフェノール含有量と乳化剤含有量(冷菓用油脂中および冷菓中)をまとめた。茶ポリフェノール含有量(C)に対する乳化剤の含有量(E)をE/Cにて示す。

0062

0063

実施例

0064

(表4の考察)
表4 において、実施例1〜5の風味評価結果は、光照射後も製造直後の良好な風味が維持された。比較例1および比較例3では、光照射に伴い異風味が強く感じられ、冷菓の風味を著しく害する結果であった。比較例2および比較例4では、製造直後から乳化剤由来と考えられる異風味が感じられ、実施例1〜5と対比して、冷菓の風味が低下した。

0065

本発明により、乳化剤を多量に使用することなく、平易な方法で酸化安定性を向上し、かつ風味良好な冷菓用油脂が得られ、本発明の冷菓用油脂を用いることで、優れた酸化安定性および光劣化耐性を有し、かつ風味良好な冷菓を提供することができる。

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